JP7039250B2 - 補修装置および補修方法 - Google Patents
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Description
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、金属材料により形成された板状部材に発生した欠陥を、板状部材を傷つけることなく容易かつ確実に補修することが可能な補修装置および補修方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかる補修装置は、軸線に沿って筒状に形成された把持部と、前記軸線に直交する平面上に配置される本体部と、前記本体部の下面に取り付けられるとともに前記軸線を挟んで平行に配置される一対の支持軸回りに回転する一対のガイドローラと、前記把持部の内部に配置されるとともに前記軸線に沿って移動可能な軸部と、前記軸部を前記本体部の前記下面に向けて付勢する付勢力を発生する付勢力発生部と、前記軸部に取り付けられるとともに前記付勢力発生部が発生する付勢力により前記一対のガイドローラよりも前記下面から離間した位置に先端が配置される押圧部と、を備え、前記一対のガイドローラの外周面が樹脂材料により形成されており、前記押圧部が前記先端に向けて突出する曲面形状を有する金属材料により形成されている。
このように、本発明の一態様にかかる補修装置によれば、金属材料により形成された板状部材に発生した欠陥を、板状部材を傷つけることなく容易かつ確実に補修することができる。
係止部の雄ねじが把持部の雌ねじに係合した状態で係止部を軸線回りに回転させることにより、係止部がばね部材の一端を係止する軸線方向の位置が変化する。係止部がばね部材の一端を係止する位置を本体部から遠ざけるとばね部材が発生する付勢力が弱まり、係止部がばね部材の一端を係止する位置を本体部に近づけるとばね部材が発生する付勢力が強まる。係止部がばね部材の一端を係止する位置を適切に設定することにより、補修装置の押圧部が板状部材の補修箇所に伝達する付勢力を適切に調整することができる。
作業者は、把持部を把持した状態で押圧部の先端を板状部材に押し付けて一対のガイドローラが板状部材に接触したことを、貫通穴から突出した軸部の標識部を視認することにより確認することができる。そのため、作業者は、一対のガイドローラと板状部材との接触状態を目視により確認しなくても、一対のガイドローラと板状部材とが接触したことを標識部により確認し、補修作業を開始することができる。
押圧部を一対のガイドローラと同方向に回転するローラとすることにより、金属材料により形成されたローラの幅の全体を利用して補修箇所に付勢力発生部の付勢力を伝達して補修箇所を適切に補修することができる。
一対のガイドローラのそれぞれが有する回転体の幅を押圧部が有する回転体の幅よりも十分に広くすることで、一対のガイドローラを板状部材に接触した状態で往復動させる際の安定性が高まり、補修箇所を補修する際の作業性が向上する。
押圧部を球状の回転体を有するボールローラとすることにより、金属材料により形成された回転体と補修箇所とが点接触するため、付勢力発生部が発生する付勢力を回転体と補修箇所との点接触位置に集中的に伝達することができる。
押圧部を金属材料により形成される半球部とそれに連結される連結部とを有するものとすることで、金属材料により形成された半球部と補修箇所とが点接触するため、付勢力発生部が発生する付勢力を半球部と補修箇所との点接触位置に集中的に伝達することができる。また、押圧部にローラや回転体等の可動部品を設けないため、壊れにくく耐久性の高い構造とすることができる。
補修箇所に保護フィルムを貼り付けることにより、金属材料により形成された押圧部の外周面との接触により板状部材の補修箇所が傷つくことが防止される。
以下に、本発明の第1実施形態にかかる補修装置100について、図面を参照して説明する。
本実施形態の補修装置100は、母材の上に表層材を貼り合わせた航空機用の外板に形成された欠陥を補修する装置である。ここで、母材は、例えば、アルミニウムを主成分とし、銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム等を含むことでアルミニウムよりも剛性を高めたアルミニウム合金である。また、表層材は、例えば、純アルミニウム材である。純アルミニウム材は、アルミニウム合金よりも耐食性が高い。
図5は、表層材200と母材300とを有する外板の補修箇所210を示す断面図である。図5に示す補修箇所210は、製造時の母材と表層材との貼り合わせの不良により熱処理工程で加熱された際に表層材の一部が母材から浮き上がって発生した水膨れ状の欠陥(例えば、ブリスタと呼ばれる)を示す。なお、補修装置100を用いた補修作業の補修箇所は、水膨れ状の欠陥以外の他の欠陥も対象となる。例えば、表層材200の表面に物体との衝突等により形成された凹凸形状や、表層材200の表面に発生した傷も補修箇所となる。
また、保護フィルム400を貼付して補修箇所210を補修装置100により補修するのが好ましいが、保護フィルム400を貼付せずに補修箇所210を補修してもよい。
図6に示すように、補修装置100を用いて補修作業を行う作業者は、ステップS601で、補修箇所210を目視等により確認し、補修箇所210に印を付加する。印の付加は、例えば筆記具にて印を書くことにより行う。
ステップS602で、作業者は、印が付加された補修箇所210に保護フィルム400を貼付する。
ステップS606で、作業者は、補修箇所210から保護フィルム400を除去し、補修装置100を用いた補修作業を終了する。
本実施形態の補修装置100によれば、付勢力発生部60が発生する付勢力により一対のガイドローラ30,40よりも下面21から離間した位置に押圧ローラ70の先端70aが配置されている。補修装置100を用いて表層材200に発生した欠陥を補修する作業者は、把持部10を把持した状態で押圧ローラ70の先端70aを表層材200に押し付けることにより付勢力発生部60が発生する付勢力に対向する押圧力を発生させて一対のガイドローラ30,40を表層材200に接触させる。そして、作業者は、押圧ローラ70が表層材200の補修箇所210を複数回通過するように一対のガイドローラ30,40を表層材200に接触した状態で往復動させる。これにより、表層材200の補修箇所210に複数回に渡って付勢力発生部60が発生させる付勢力が伝達される。
このように、本実施形態の補修装置100によれば、金属材料により形成された表層材200に発生した欠陥を、表層材200を傷つけることなく容易かつ確実に補修することができる。
一対のガイドローラ30,40のそれぞれが有する回転体32,42の幅W2を押圧ローラ70が有する回転体72の幅W1よりも十分に広くすることで、一対のガイドローラ30,40を表層材200に接触した状態で往復動させる際の安定性が高まり、補修箇所210を補修する際の作業性が向上する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとする。
それに対して、本実施形態の補修装置100Aは、補修箇所210に付勢力発生部60が発生する付勢力を伝達する機構として、ボールローラ(押圧部)70Aを用いるものである。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとする。
それに対して、本実施形態の補修装置100Bは、補修箇所210に付勢力発生部60が発生する付勢力を伝達する機構として、押圧突起(押圧部)70Bを用いるものである。
11 雌ねじ
20 本体部
21 下面
22 抜け防止部
30,40 ガイドローラ
31,41 支持軸
32,42 回転体
50 軸部
51 大径部
52 小径部
53 標識部
60 付勢力発生部
61 ばね部材
62 係止部
62a 雄ねじ
63 貫通穴
70 押圧ローラ(押圧部)
70a 先端
70A ボールローラ(押圧部)
70B 押圧突起(押圧部)
71 回転軸
72 回転体
100,100A 補修装置
200 表層材(板状部材)
210 補修箇所
300 母材
400 保護フィルム
X 軸線
Claims (7)
- 軸線に沿って筒状に形成された把持部と、
前記軸線に直交する平面上に配置される本体部と、
前記本体部の下面に取り付けられるとともに前記軸線を挟んで平行に配置される一対の支持軸回りに回転する一対のガイドローラと、
前記把持部の内部に配置されるとともに前記軸線に沿って移動可能な軸部と、
前記軸部を前記本体部の前記下面に向けて付勢する付勢力を発生する付勢力発生部と、
前記軸部に取り付けられるとともに前記付勢力発生部が発生する付勢力により前記一対のガイドローラよりも前記下面から離間した位置に先端が配置される押圧部と、を備え、
前記一対のガイドローラの外周面が樹脂材料により形成されており、
前記押圧部が前記先端に向けて突出する曲面形状を有する金属材料により形成されており、
前記把持部は、前記本体部から離間した先端側の内周面に形成された雌ねじを有し、
前記付勢力発生部は、付勢力を発生するばね部材と、前記ばね部材の一端を係止するとともに前記雌ねじと係合する雄ねじが外周面に形成された係止部と、を有し、
前記係止部は、前記軸線に沿って延びる貫通穴を有し、
前記軸部は、前記貫通穴を貫通した状態で配置されており、
前記軸部には、前記押圧部の先端の前記下面からの距離が前記一対のガイドローラの先端の前記下面からの距離が一致する場合に前記貫通穴から突出して視認可能となる標識部が形成されている補修装置。 - 前記押圧部は、前記一対の支持軸と平行に配置される回転軸回りに回転する円筒状の回転体を有するローラである請求項1に記載の補修装置。
- 前記一対のガイドローラのそれぞれが有する円筒状の回転体の幅は、前記押圧部が有する回転体の幅の2倍以上である請求項2に記載の補修装置。
- 前記押圧部は、金属材料により形成される球状の回転体と、該回転体を回転可能に支持する支持部とを有するボールローラである請求項1に記載の補修装置。
- 前記押圧部は、金属材料により形成される半球部と、該半球部に連結される連結部とを有する請求項1に記載の補修装置。
- 補修装置により金属材料により形成された板状部材を補修する補修方法であって、
前記補修装置は、
軸線に沿って筒状に延びる把持部と、
前記軸線に直交する平面上に配置される本体部と、
前記本体部の下面に取り付けられるとともに前記軸線を挟んで平行に配置される一対の支持軸回りに回転する一対のガイドローラと、
前記把持部の内部に配置されるとともに前記軸線に沿って移動可能な軸部と、
前記軸部を前記本体部の前記下面に向けて付勢する付勢力を発生する付勢力発生部と、
前記軸部に取り付けられるとともに前記付勢力発生部が発生する付勢力により前記一対のガイドローラよりも前記下面から離間した位置に先端が配置される押圧部と、を備え、
前記一対のガイドローラの外周面が樹脂材料により形成されており、
前記把持部は、前記本体部から離間した先端側の内周面に形成された雌ねじを有し、
前記付勢力発生部は、付勢力を発生するばね部材と、前記ばね部材の一端を係止するとともに前記雌ねじと係合する雄ねじが外周面に形成された係止部と、を有し
前記係止部は、前記軸線に沿って延びる貫通穴を有し、
前記軸部は、前記貫通穴を貫通した状態で配置されており、
前記軸部には、前記押圧部の先端の前記下面からの距離が前記一対のガイドローラの先端の前記下面からの距離が一致する場合に前記貫通穴から突出して視認可能となる標識部が形成されており、
前記押圧部が前記先端に向けて突出する曲面形状を有する金属材料により形成されており、
前記把持部を把持した状態で前記押圧部を前記板状部材に押し付けるとともに前記一対のガイドローラを前記板状部材に接触させる工程と、
前記押圧部が前記板状部材の補修箇所を複数回通過するように前記一対のガイドローラを前記板状部材に接触した状態で往復動させる工程と、を備える補修方法。 - 前記押圧部を前記板状部材に押し付ける前に前記補修箇所に保護フィルムを貼り付ける工程と、を備える請求項6に記載の補修方法。
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