JP6843177B2 - 剥離試験機 - Google Patents
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Description
遮水層を施工する際には、遮水シートの融着作業前(本施工前)に融着条件の確認試験を行い、遮水シート同士の融着条件を設定する。この確認試験では、可搬型引張試験機を利用してせん断試験を行うのが一般的である。せん断試験は、遮水シート同士を融着させてなる試験片に対して、遮水シート同士をずらす方向に、一方の遮水シートと他方の遮水シートとを反対方向に引っ張ることにより行う。
剥離試験は、融着された2枚の遮水シートを互いに離間する方向(引き剥がす方向)に力を加えることで接合性を確認するものである。すなわち、遮水シート同士の融着面で両者が剥がれる場合には接合が不十分であると判断し、融着面で剥がれることなく遮水シート自体が破損する場合には融着が十分であると判断する。この剥離試験には、せん断試験において使用する可搬型引張試験機を使用することができるが、可搬型引張試験機は、一定の速度で引張力を付与するため、試験に時間がかかる。また、せん断試験と剥離試験の両方に可搬型引張試験機を使用すると、両試験を終えるまでに時間がかかり、現場の作業工程に影響してしまう。また、剥離試験は、人力にて行うこともできる。人力により行う剥離試験は、一人の試験担当者が素手または器具を介して試験片を掴んで引っ張る場合や、二人の試験担当者がそれぞれ試験片を素手または器具を介して掴んで引っ張る場合などがある。ところが、人力による剥離試験は、大きな力が必要であることに加え、試験担当者により力のかけ方が異なるとともに、試験片に作用する引張力の大きさにも差が生じるため、客観的な判断が難しい。
第一実施形態では、図1に示すように、融着された遮水シート1に対して剥離試験を行う場合に使用する剥離試験機2について説明する。剥離試験では、予め設定された融着条件により融着した遮水シート1同士の接合部から切り出した試験片11(図2参照)に対して、遮水シート1同士を引き剥がす力を作用させることにより遮水シート1同士の融着度合(適切に融着されているか否か)を確認する。剥離試験により融着面12において遮水シート1同士が剥がれた場合には、融着条件を検討し直す必要があると判断する。一方、剥離試験により遮水シート1同士が融着面12において剥がれずに、遮水シート1に破損が生じた場合には適正に融着されていると判断する。
一対の柄3,3は、軸支部6を挟んで対向している。柄3は、金属製の棒状の柄本体31と、柄本体31の先端部に形成された曲面部32とにより形成されている。曲面部32は、平面視半円状を呈していて、他方の柄3に向かって突出している。なお、曲面部32の形成箇所は限定されるものではなく、例えば、柄本体31の中央部に形成してもよい。曲面部32は、柄本体31に半円状の板材を固定することにより形成してもよいし、鋼材を加工することにより柄本体31と曲面部32とを一体に形成してもよい。また、曲面部32は必要に応じて形成すればよく、例えば、図3(a)および(b)に示すように、柄本体31の先端に軸受け(軸支部6)を形成して一対の柄3同士を回動可能に連結する場合には、曲面部32は省略してもよい。
挟持部41は、二またに分かれていて、遮水シート1の端部を挟持することが可能となっている。シート保持部4は、挟持部41において遮水シート1の端部を挟持した状態で、挟持部41をネジ等により締め付けることで、遮水シート1を保持(挟持)する。なお、挟持部41の構成は限定されるものではなく、遮水シート1を保持することができれば、必ずしもネジ式である必要はない。挟持部41は、例えば、クリップ式やクランプ式であってもよい。
ここで、シート保持部4の先端同士の間には所定の大きさの間隔d1が形成されている。そして、図4に示すように、一対の柄本体31,31を略平行にすると、一対のシート保持部4,4が離隔する。本実施形態の剥離試験機2は、シート保持部4同士を離隔させた際のシート保持部4の先端同士の間隔d2(最大値)が、「d2/d1>遮水シート1の伸び(例えば、500〜600%)」となるように設定されている。
さらに、シート保持部4において試験片11を挟持した状態で試験を行うため、せん断試験用の試験片製造装置(打ち抜き機)で制作した幅2cm程度の小さな試験片11に対しても試験を行うことができる。試験片製造装置を使用することができれば、カッターなどを利用して試験片11を製造する手間を削減することができるため、試験の効率化を図ることができる。
第二実施形態では、第一実施形態と同様に、融着された遮水シート1に対して剥離試験を行う場合に使用する剥離試験機2について説明する。
剥離試験機2は、図7に示すように、一対の柄3,3と、柄3の先端部に形成されたシート保持部4と、柄3の基端部に形成された把持部5と、シート保持部4と把持部5との間において一対の柄3,3を連結する軸支部6(回動支点部)とを備えている。
柄3、把持部5および軸支部6の詳細は、第一実施形態の柄3、把持部5および軸支部6と同様なため、詳細な説明は省略する。
ここで、シート保持部4同士の間には所定の大きさの間隔d1が形成されている。そして、図8に示すように、一対の柄本体31,31を略平行にすると、一対のシート保持部4,4が離隔する。本実施形態の剥離試験機2は、シート保持部4同士を離隔させた際のシート保持部4同士の間隔d2(最大値)が、「d2/d1>遮水シート1の伸び(例えば、500〜600%)」となるように設定されている。
この他の第二実施形態の剥離試験機2の作用効果は、第一実施形態の剥離試験機2と同様なため、詳細な説明は省略する。
第三実施形態では、第一実施形態と同様に、融着された遮水シート1に対して剥離試験を行う場合に使用する剥離試験機2について説明する。
剥離試験機2は、図9に示すように、一対の柄3,3と、柄3の先端部に形成されたシート保持部4と、柄3の基端部に形成された把持部5と、一方の柄3に対して他方の柄3が回動する際の支点となる回動支点部7とを備えている。なお、シート保持部4および把持部5の詳細は、第一実施形態または第二実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
例えば、図10(a)に示すように、回動支点部7は、表面に複数の歯が形成された円弧歯車であってもよい。回動支点部7が円弧歯車であれば、回動支点部7同士を歯合させることで、柄3を回動させる際の安定性が向上する。
また、回動支点部7が曲面(半円状)である場合には、図10(b)に示すように、一方の回動支点部7の表面には円周方向に沿って凹字状の溝が形成し、他方の回動支点部7の表面には前記溝に挿入可能な凸部が円周方向に沿って形成されていてもよい。このようにすれば、溝に凸部を嵌合させることで、柄3同士のズレを抑制し、柄3を回動させる際の安定性が向上する。
また、一方の回動支点部7と他方の回動支点部7の厚さが違う場合には、一方の回動支点部7に他方の回動支点部7を挿入可能な溝が円周方向に沿って形成されていてもよい。このようにすれば、回動支点部7同士を嵌合させることで、柄3同士のズレを抑制し、柄3を回動させる際の安定性が向上する。
以上、本実施形態の剥離試験機2を使用すれば、第一実施形態の剥離試験機2と同様の作用効果を得ることができる。
第四実施形態では、第一実施形態と同様に、融着された遮水シート1に対して剥離試験を行う場合に使用する剥離試験機2について説明する。
剥離試験機2は、図11(a)および(b)に示すように、一対の柄3,3と、柄3の先端部に形成されたシート保持部4と、柄3の基端部に形成された把持部5と、シート保持部4と把持部5との間において一対の柄3,3を連結する軸支部6(回動支点部)とを備えている。
シート保持部4は、挟持部41と固定部42とを備えている。固定部42は、柄3の先端に固定されている。本実施形態では、柄本体31の軸に対して、シート保持部4が先端に向かうにしたがって内側(他方のシート保持部4側)に離れるように傾斜している。そのため、図11(a)に示すように把持部5同士を近づけると、シート保持部4同士が略平行となる。挟持部41の詳細は、第一実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
また、把持部5の詳細は、第一実施形態の把持部5および軸支部6と同様なため、詳細な説明は省略する。
一対の柄3,3は、軸支部6を中心に回動可能である。把持部5同士が離れるように柄3を回動させると、シート保持部4同士が離隔し、把持部5同士が近づくように柄3を回動させると、シート保持部4同士が近づく。
以上、本実施形態の剥離試験機2を使用すれば、第一実施形態の剥離試験機2と同様の作用効果を得ることができる。
11 試験片
12 融着面
2 剥離試験機
3 柄
31 柄本体
32 曲面部
4 シート保持部
41 挟持部
42 固定部
5 把持部
6 軸支部
7 回動支点部
Claims (3)
- 融着された遮水シート同士の融着度合いを確認する剥離試験機であって、
一対の柄と、
前記柄の先端部に形成されたシート保持部と、
前記柄の基端部に形成された把持部と、
一方の前記柄に対して他方の前記柄が回動する際の支点となる回動支点部と、を備え、前記シート保持部同士が離反する方向に拡開させることを特徴とする、剥離試験機。 - 前記回動支点部が、前記シート保持部と前記把持部との間において、一対の前記柄を連結する軸支部であることを特徴とする、請求項1に記載の剥離試験機。
- 前記回動支点部が、他方の前記柄に向かって突出するように前記柄に形成された曲面部または円弧歯車であることを特徴とする、請求項1に記載の剥離試験機。
Priority Applications (1)
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JP2019077803A JP6843177B2 (ja) | 2019-04-16 | 2019-04-16 | 剥離試験機 |
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JP2020176870A JP2020176870A (ja) | 2020-10-29 |
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Family Applications (1)
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