JP5155859B2 - 金属板の接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば車体等の金属板の損傷部や、建築物、機械等の非鉄金属または非金属製の周壁の損傷部の補修に好適で、特に複雑な湾曲面を有する板体の接合ないし補修部を平面的または立体的に面一に接合し、これを精密かつ美麗に仕上げられるとともに、この種の接合作業を合理的かつ容易に行える金属板の接合方法に関する。
例えば金属板を接合する場合、一般に金属板を重合若しくは突合わせ、または接合する金属板に継手板を当てがって溶接し、またはリベット若しくはネジ止めする方法が採られる。
しかし、溶接は金属板が熱変形したり残留応力を生じ、リベットは瞬間的な点圧によって、リベット孔周辺に衝撃歪と残留応力を生じ、接合精度や接合後の変形の惧れがあって安定性がなく、またネジ止めではねじ込み作業が煩雑になり、しかも何れの場合も溶接跡やリベット、ビス等が表出して体裁が悪い、という問題があった。
したがって、このような一般的な接合方法では、例えば高度の表面均整化を要求される車体の損傷部の補修に応じられない。
すなわち、車体の損傷部の補修形態として、損傷部位を切除し、その切除部に補修用部材を接合する場合があるが、そのような補修に、前述した一般的な手法で補修用部材を接合すると、補修部表面に歪が生じてしまい、表面の均整化や外観が損なわれるため、前述の接合手法は採用できない。
このため、通常は損傷部を含む車体部品を新規部品と取り替えて対応していたが、そのような補修方法では、車体部品に隣接する他の部品、例えばウィンドガラスやバンパ等の着脱を要して手間が掛かり、また補修費が嵩んで不合理になる。
そこで、出願人は、車体の損傷部位を含む所定範囲を部分的に切除し、用意した補修部材を接着剤を用いて、表面の均整化を損なうことなく、比較的容易に接合する方法を開発し、これを既に提案している。
すなわち、出願人の提案した金属板の接合方法は、一組の金属板の端部をテ−パ状に面取り加工し、その近接位置にタッピングスクリュをねじ込み可能なビス孔を形成し、その開口部を摺り鉢状に形成する一方、金属板の接合端部を向き合わせて配置し、その裏面に接着剤を塗布して当て板を接着する。
そして、前記接着剤が略硬化したところで、前記タッピングスクリュをビス孔にねじ込み、該ビス孔と、前記金属板の端部間の凹部に接着剤を充填し、前記ビスの頭部を隠蔽するとともに、金属板の接合部分を均整化して、外見上、接合部のない単一の金属板のように形成していた(例えば、特許文献1参照)。
また、出願人は、金属板の接合方法の他の形態として、一方の金属板の端部をテ−パ状に面取り加工し、その近接位置にタッピングスクリュをねじ込み可能なビス孔を形成し、他方の金属板の縁部に段部を形成し、これを裏面側に折り曲げて重合部を形成し、該重合部を前述の当て板の代わりに用い、これを前記一方の金属板の端部側裏面に配置し、該金属板の裏面に接着剤を塗布して重合部を接着配置する。
そして、前記接着剤が略硬化したところで、前記タッピングスクリュをビス孔にねじ込み、該ビス孔と、前記金属板の面取り加工部と端縁との間の凹部に同質の接着剤を充填し、前記ビスの頭部を隠蔽するとともに、金属板の接合部分を均整化して、外見上、接合部のない単一の金属板のように形成する方法も同時に提案している。
しかし、前記出願人が提案した接合方法は、タッピングスクリュと、金属板に対するビス孔の形成を要し、部品点数が増えるとともに、ビス孔の加工が増えて、生産性が悪かった。
また、例えば自動車の車体用のように、薄板の鋼板同志を接合する場合、ビスの頭部がビス孔内に埋没する長さのタッピングスクリュを要し、しかもタッピングスクリュは約50mmピッチで配置しなければ、接合代の接着剤に対して良好な押圧状態を得られなかった。
このような条件を満たすためには、特注のタッピングスクリュを用いなくてはならず、またその一連の接合作業に際しても、ビス孔の孔明け作業やタッピングスクリュのねじ込み作業、および接着剤の充填作業等を要して、作業が煩雑で手間が掛かる等の問題があった。
更に、前述の接合方法は、各金属板の端部の継代部をタッピングスクリュによって均圧に締着することが難しく、一方を強く締着すると、その継代部が他方の継代部よりも沈み込んで、左右の継代部に段差ができてしまい、双方の金属板端部を面一に接合することが難しかった。
その結果、左右の金属板端部に段差ができた場合、金属板間を含む段差側の金属板の表面にパテを塗って均整化していたが、作業に手間が掛かるばかりか、接合跡を外部から感得されて体裁が悪い、という問題があった。
このような問題を解決するものとして、自動車の車体の損傷部分を含む所定部を除去し、その板金の端部をテ−パ状に形成し、該テ−パの折り曲げ部をア−ル状に形成するとともに、前記除去部分よりも広い面積の補修部材を用意し、該補修部材の端部を専用の修理用工具によって折り返し成形し、この折り返し部を前記板金の端部の裏側に接着剤を介して接合配置し、補修部材と板金の端部との間の凹部にパテを塗リ込み、補修部材と板金とパテの表面を塗装した板金補修方法がある(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この板金補修方法は、テ−パ部のア−ル状形成によって補修跡の表出は防止できるが、当該部に充填する充填剤の温度膨張に配慮していないため、例えば夏季に充填剤が膨出して補修跡が表出し、外観を損なうという問題があった。
また、前述の補修方法は、折り返し部に接着剤を介して板金を単に接合配置しているため、折り返し部の寸法のバラツキや接着剤の多少によって、接合する板金の面一性を得られず、またその品質が区々になって、接合部の均整化や美麗な外観は期待できなかった。特に、接合部分が複雑かつ三次元の湾曲面の場合、接合部の面一ないし均整の低下が著しく、予ねてよりその改良が望まれていた。
ところで、車体の損傷部の補修時に、補修部材と車体の端部との間の凹部にパテが充填され、このパテはその固化後に塗装に備えて、車体表面と面一になるよう研削され、このいわゆるパテ研ぎ手段として、一般にサンダが使用される。
前記サンダのなかに、粗ヘッドと仕上ヘッドを備え、各ヘッドはプ−リに巻き掛けて回転駆動する無端の研削ベルトと、該ベルト内に配置したパッドユニットを有し、該パッドユニットは研削ベルトに進退自在に設けたブラケットと、該ブラケットを駆動する空気シリンダと、ブラケットに回転自在に支持されたパッドと、該パッドを所望の角度に位置決めするモ―タとを備え、前記パッドは相直交する二つの平坦部分と、該平坦部分の間の角部に配置した曲面部分とを備え、被研削面が平坦面または凸状の曲面にはパッドの平坦部分を選択し、被研削面が凹状の曲面にはパッドの曲面部分を選択し、この選択部分で研削ベルトを押圧し、被研削面を研削するベルトサンダ−がある(例えば、特許文献3参照)。
しかし、前記ベルトサンダ−は、パッドの曲面部分の曲率が一種類に限定され、これを空気シリンダで直線的に移動し、研削ベルトを単純に押し付けているため、被研削面が複雑な湾曲面に形成され、その曲率が種々に変化する、車体の曲面部分の研削には対応できない、という問題があった。
このような問題を解決するものとして、可撓性を有する弾性材からなる二つのパッド本体を互いに重ね合わせ、これらを長さ方向に相対動可能に結合してパッドを構成し、該パッドを保持し、これを研削ベルトに押し付けて、被研削面を研削するベルトサンダ−がある(例えば、特許文献4参照)。
しかし、前記ベルトサンダ−はパッドを手で保持して作業するため、労力の負担が大きく長時間の作業が困難になるとともに、パッド本体が可撓性を有する結果、パッド本体を所望の曲率に維持するために、却って手指に微妙な操作を要し、手指の負担が大きくなるとともに、作業に熟練を要するという問題があった。
特許第3187782号公報 WO00/32352号公報 特開昭59−53155号公報 特開2001−300840号公報
本発明はこのような問題を解決し、例えば車体等の金属板の損傷部や、建築物、機械等の非鉄金属または非金属製の周壁の損傷部の補修に好適で、特に複雑な湾曲面を有する板体の接合ないし補修部を平面的または立体的に面一に接合し、これを精密かつ美麗に仕上げられるとともに、この種の接合作業を合理的かつ容易に行える金属板の接合方法を提供することを目的とする。
本発明の金属板の接合方法は、互いに接合する二つの金属板の接合端部を離間して配置し、前記金属板の一方または両方の接合端部の裏面に、何れか一方の金属板と一体または別体の接合片を配置し、該接合片と前記一方または両方の金属板の接合部との間に接着剤を介在し、該接着剤の硬化前に前記一方または両方の接合端部の表面に一または複数の吸着具を設置し、該吸着具の磁力を介して一方または両方の金属板の接合端部と前記接合片とを吸着保持し、前記接着剤の硬化後、前記二つの金属板の接合端部間に充填剤を充填して接続する、金属板の接合方法において、前記接着剤の硬化前に、前記二つの金属板の接合端部表面に亘って、板厚方向に湾曲可能な押圧板を取り付け、該押圧板は裏面に接着剤との接着を回避可能な非接着シ−トを有し、前記押圧板の表面に前記吸着具を設置し、該吸着具の磁力を介して前記二つの金属板の合端部を吸引変位し、該二つの金属板の接合端部側表面を前記押圧板を基準に面一にするようにして、金属板の接合部を平面的または立体的に面一に接合し、接合部の均整化を図り精密かつ美麗な外観を得られるようにしている。
また、本発明の金属板の接合方法は、押圧板の端部に複数の切欠部を形成して湾曲を促し、湾曲した接合部の面一化に応じられるようにしている。
更に、本発明の金属板の接合方法は、押圧板を短小に形成し、これを複数配置して、押圧板を湾曲し易くするようにしている。
本発明の金属板の接合方法は、二つの金属板の表面が平面または湾曲面状であり、平面または湾曲面状の金属板の接合または補修に応じられるようにしている。
また、本発明の金属板の接合方法は、押圧板が柔軟で薄厚の透磁性部材であり、磁力の透過を可能にするとともに、磁力の減衰を防止して、磁力を利用した接合面の面一化を促すようにしている。
更に、本発明の金属板の接合方法は、押圧板がアルミニウム板または合成樹脂板であり、透磁性の具体的な押圧板を提案している。
本発明の金属板の接合方法は、押圧板の表面の中央に縦方向に指標線を形成し、該指標線を前記二つの金属板の接合部の中央に配置し、接合部に対し押圧板を左右均等に配置し得るようにしている。
本発明の金属板の接合方法は、一方の金属板の接合端部を折り曲げて一体形成した接合片の折り曲げ部が浅く形成され、または前記接合片と他方の金属板の接合端部との間に接着剤が少量に塗布され、前記押圧板と前記他方の金属板との間に間隙が形成される際、前記吸着具の磁力を介して、前記他方の金属板の接合端部を表面側へ吸引変位し、二つの金属板の接合端部側表面を前記押圧板を基準に面一にし、例えば一方の金属板の接合端部の接合片の折り曲げ部が浅く形成され、または前記接合片と他方の金属板の接合端部との間に接着剤が多量に塗布され、押圧板と前記一方の金属板との間に間隙が形成される際、二つの金属板の接合端部側表面の面一手段として、吸着具の磁力を介し、前記一方の金属板の接合部を表面側へ吸引変位させ、当該接合部の表面を移動させて面一状態を形成するようにしている。
また、本発明の金属板の接合方法は、一方の金属板の接合端部を折り曲げて一体形成した接合片の折り曲げ部が深く形成され、または前記接合片と他方の金属板の接合端部との間に接着剤が少量に塗布され、前記押圧板と前記他方の金属板との間に間隙が形成される際、前記吸着具の磁力を介して、前記他方の金属板の接合端部を表面側へ吸引変位し、二つの金属板の接合端部側表面を前記押圧板を基準に面一にし、例えば一方の金属板の接合端部の接合片の折り曲げ部が深く形成され、または前記接合片と他方の金属板の接合端部との間に接着剤が少量に塗布され、押圧板と前記他方の金属板との間に間隙が形成される際、二つの金属板の接合端部側表面の面一手段として、吸着具の磁力を介して、前記他方の金属板の接合部を表面側へ吸引変位させ、当該接合部の表面の面一状態を形成するようにしている。
更に、本発明の金属板の接合方法は、一方の金属板の接合端部を折り曲げて一体形成した接合片の折り曲げ不全により、他方の金属板の接合端部に対し平行に形成されていない場合、前記他方の金属板の接合端部を内側に直角に屈曲し、これら二つの金属板の接合部表面に亘って前記押圧板を取り付け、前記吸着具の磁力を介して、前記二つの金属板の接合端部表面を前記押圧板を基準に面一にし、例えば一方の金属板の接合端部の接合片の折り曲げ不全により、他方の金属板の接合端部に対し平行に形成されていない場合、二つの金属板の接合端部側表面の面一手段として、他方の金属板の接合端部を内側に直角に屈曲し、吸着具の磁力を介して、何れか一方の接合端部を表面側へ吸引変位させ、当該接合部の表面を移動させて面一状態を形成するとともに、屈曲部におけるバリの表出を回避し、前記バリとの擦過を防止して作業の安全を図るようにしている。
また、本発明の金属板の接合方法は、充填剤は線膨張係数が小であり、充填剤の膨張と収縮を抑制し、例えば夏季における充填剤の熱膨張による膨張を抑制し、接合跡の表出を防止し得るようにしている。
更に、本発明の金属板の接合方法は、充填剤の硬化後、前記押圧板を取り外し、前記充填剤の表面に研削シ−トを往復直線移動し、硬化した充填剤の表面を研削し均整化処理する際、研削シ−トを駆動力によって往復直線運動させ、合理的かつ容易に処理し得るようにしている。
本発明の金属板の接合方法は、研削シ−トを板厚方向に湾曲可能な柔軟な研削板に取付けて往復直線駆動させ、研削シ−トを研削板に同動させて湾曲させ、平面または湾曲面状の金属板に対する合理的な研削を可能にしている。
また、本発明の金属板の接合方法は、研削板の先端部を手指で押圧し、前記研削シ−トを金属板の接合部の表面または湾曲面状に沿わせて移動させ、研削板の先端部を手指で押圧しながら、金属板の接合端部表面に研削シ−トを安全かつ確実に移動させるようにしている。
更に、本発明の金属板の接合方法は、振動装置を介し研削シ−トを板厚方向および長さ方向に揺動させて前記充填剤の表面を研削し、研削シ−トを多様な方向へ振動かつ移動させ、確実かつ精密に研削するようにしている。
本発明の金属板の接合方法は、振動装置を握持し、研削シ−トを被研削部に押し当てて研削し、被研削部を合理的かつ容易に研削し得るようにしている。
本発明の金属板の接合方法は、接着剤の硬化前に、前記二つの金属板の接合端部表面に亘って、板厚方向に湾曲可能な押圧板を取り付け、該押圧板は裏面に接着剤との接着を回避可能な非接着シ−トを有し、前記押圧板の表面に前記吸着具を設置し、該吸着具の磁力を介して前記二つの金属板の合端部を吸引変位し、該二つの金属板の接合端部側表面を前記押圧板を基準に面一にするから、金属板の接合部を平面的または立体的に面一に接合し、接合部の均整化を図り精密かつ美麗な外観を得られる効果がある。
また、本発明の金属板の接合方法は、押圧板の端部に複数の切欠部を形成して湾曲を促すから、湾曲した接合部の面一化に応じられる効果がある。
更に、本発明の金属板の接合方法は、押圧板を短小に形成し、これを複数配置するから、押圧板を湾曲し易くすることができる。
本発明の金属板の接合方法は、二つの金属板の表面が平面または湾曲面状であるから、平面または湾曲面状の金属板の接合または補修に応じられる効果がある。
また、本発明の金属板の接合方法は、押圧板が柔軟で薄厚の透磁性部材であるから、磁力の透過を可能にするとともに、磁力の減衰を防止して、磁力を利用した接合面の面一化を促すことができる。
更に、本発明の金属板の接合方法は、押圧板がアルミニウム板または合成樹脂板であるから、透磁性の具体的な押圧板を提案することができる。
本発明の金属板の接合方法は、押圧板の表面の中央に縦方向に指標線を形成し、該指標線を前記二つの金属板の接合部の中央に配置するから、接合部に対し押圧板を左右均等に配置することができる。
本発明の金属板の接合方法は、一方の金属板の接合端部を折り曲げて一体形成した接合片の折り曲げ部が浅く形成され、または前記接合片と他方の金属板の接合端部との間に接着剤が少量に塗布され、前記押圧板と前記他方の金属板との間に間隙が形成される際、前記吸着具の磁力を介して、前記他方の金属板の接合端部を表面側へ吸引変位し、二つの金属板の接合端部側表面を前記押圧板を基準に面一にするから、例えば一方の金属板の接合端部の接合片の折り曲げ部が浅く形成され、または前記接合片と他方の金属板の接合端部との間に接着剤が多量に塗布され、押圧板と前記一方の金属板との間に間隙が形成される際、二つの金属板の接合端部側表面の面一手段として、吸着具の磁力を介し、前記一方の金属板の接合端部を表面側へ吸引変位させ、当該接合端部の表面を移動させて面一状態を形成することができる。
また、本発明の金属板の接合方法は、一方の金属板の接合端部を折り曲げて一体形成した接合片の折り曲げ部が深く形成され、または前記接合片と他方の金属板の接合端部との間に接着剤が少量に塗布され、前記押圧板と前記他方の金属板との間に間隙が形成される際、前記吸着具の磁力を介して、前記他方の金属板の接合端部を表面側へ吸引変位し、二つの金属板の接合端部側表面を前記押圧板を基準に面一にするから、例えば一方の金属板の接合端部の接合片の折り曲げ部が深く形成され、または前記接合片と他方の金属板の接合端部との間に接着剤が少量に塗布され、押圧板と前記他方の金属板との間に間隙が形成される際、二つの金属板の接合端部側表面の面一手段として、吸着具の磁力を介して、前記他方の金属板の接合端部を表面側へ吸引変位させ、当該接合端部の表面を移動させて面一状態を形成することができる。
更に、本発明の金属板の接合方法は、一方の金属板の接合端部を折り曲げて一体形成した接合片の折り曲げ不全により、他方の金属板の接合端部に対し平行に形成されていない場合、前記他方の金属板の接合端部を内側に直角に屈曲し、これら二つの金属板の接合部表面に亘って前記押圧板を取り付け、前記吸着具の磁力を介して、前記二つの金属板の接合端部側表面を前記押圧板を基準に面一にするから、例えば一方の金属板の接合端部の接合片の折り曲げ不全により、他方の金属板の接合端部に対し平行に形成されていない場合、二つの金属板の接合部表面の面一手段として、他方の金属板の接合端部を内側に直角に屈曲し、吸着具の磁力を介して、何れか一方の接合端部を表面側へ吸引変位させ、当該接合端部の表面を移動させて面一状態を形成するとともに、屈曲部におけるバリの表出を回避し、前記バリとの擦過を防止して作業の安全を図ることができる。
発明の金属板の接合方法は、充填剤は線膨張係数が小であるから、充填剤の膨張と収縮を抑制し、例えば夏季における充填剤の熱膨張による膨張を抑制し、接合跡の表出を防止することができる。
また、本発明の金属板の接合方法は、充填剤の硬化後、前記押圧板を取り外し、前記充填剤の表面に研削シ−トを往復直線移動し、硬化した充填剤の表面を研削し均整化処理するから、研削シ−トを駆動力によって往復直線運動させ、合理的かつ容易に処理することができる。
更に、本発明の金属板の接合方法は、研削シ−トを板厚方向に湾曲可能な柔軟な研削板に取付けて往復直線駆動させるから、研削シ−トを研削板に同動させて湾曲させ、平面または湾曲面状の金属板に対する研削を合理的に行なうことができる。
本発明の金属板の接合方法は、研削板の先端部を手指で押圧し、前記研削シ−トを金属板の接合部の表面または湾曲面状に沿わせて移動させるから、研削板の先端部を手指で押圧しながら、金属板の接合端部表面に研削シ−トを安全かつ確実に移動させることができる。
また、本発明の金属板の接合方法は、振動装置を介し研削シ−トを板厚方向および長さ方向に揺動させて、前記充填剤の表面を研削するから、研削シ−トを多様な方向へ振動かつ移動させ、確実かつ精密に研削することができる。
更に、本発明の金属板の接合方法は、振動装置を握持し、研削シ−トを被研削部に押し当てて研削するから、被研削部を合理的かつ容易に研削することができる。
本発明を適用した車体に損傷部を有する補修対象の自動車を示す正面図である。 本発明を適用した接合部の要部を拡大して示す斜視図である。 本発明による接合部の補修状況の要部を拡大して示す斜視図で、接合端部の表面に押圧板を配置している。 本発明による接合部の補修状況の要部を拡大して示す斜視図で、接合端部の表面に配置した押圧板に吸着具を設置している。 本発明の接合方法に使用した吸着具を拡大して示す斜視図である。
本発明による接合部の補修状況の要部を拡大して示す断面図で、接合端部を板厚方向に離間して配置し、それらの間に接着剤を塗布するとともに、その表面に配置した押圧板に吸着具を設置している。 本発明による接合部の補修状況の要部を拡大して示す断面図で、接合端部を板厚方向に離間して配置し、かつそれらの接合端部が板厚方向に離間して配置された場合の補修状況を示している。 本発明による接合部の補修状況の要部を拡大して示す断面図で、接合端部を板厚方向に離間して配置し、かつそれらの接合端部が図7と反対方向に離間して配置された場合の補修状況を示している。
本発明による接合部の補修状況の要部を拡大して示す断面図で、接合端部を板厚方向に離間して配置し、かつその接合端部の一方が異状に成形された場合の補修状況を示している。 本発明による接合部の補修状況の要部を拡大して示す断面図で、接合端部の表面に配置した押圧板を取り外し、その空隙部に充填剤を塗布した状況を示している。 本発明による接合部の補修状況の要部を拡大して示す断面図で、接合端部の表面の空隙部に充填した充填剤をサンダで研削している状況を示している。 本発明の充填剤の研削に適用したサンダを示す正面図である。 図12の平面図である。 本発明の充填剤の研削に適用したサンダの使用状態を示す断面図で、湾曲した被研削部の研削状況を示している。
本発明の第2の実施形態を示す斜視図で、二枚の金属板を突き合わせて配置し、その接合端部の表面に押圧板を配置し、その表面に吸着具を設置している状況を示している。 図15の横断図である。 前記第2の実施形態における接合部の補修状況の要部を拡大して示す断面図で、図16の状態から押圧板を取り外し、その空隙部に充填剤を塗布した状況を示している。 前記第2の実施形態における接合部の補修状況の要部を拡大して示す断面図で、図17の状態から充填剤をサンダで研削している状況を示している。 本発明の第3の実施形態を示す斜視図で、二つの吸着具をハンドルで連結している。
本発明の応用形態を示す斜視図で、二枚の板体を離間して配置し、その裏面に接着剤を塗布して接合片を重合して配置し、その表面側からタッピングスクリュをねじ込んで、それらを仮止めしている。 図20のA−A線に沿う拡大断面図で、タッピングスクリュの扁平な頭部をサンダで研削して除去している。 タッピングスクリュの頭部を除去後、空隙分に充填剤を塗布し、その表面を面一にして塗装した状況を示している。 本発明の第の実施形態に使用したサンダの正面図で、その使用状態を示している。
図23の要部を拡大して示す断面図で、揺動枠と揺動レバ−、保持板と研削板との取り付け状況を示している。 図23の要部を拡大して示す断面図で、揺動枠と揺動レバ−、保持板と研削板との取り付け状況の詳細を示している。
符号の説明
2 金属板(車体側)
4a,4b,9a 微小湾曲部
5 金属板(補修部材)
6,31 接合片(接合代)
10 接着剤
12 押圧板
13 非接着シ−ト
15 吸着具
16 ハウジング
17 マグネットブロック
18 把持部
19 充填剤
20 サンダ
22 研削板
28 被研削部
29 研削シ−ト
32 ハンドル
34 タッピングスクリュ
34a 頭部
35 塗装部
36 揺動枠
37 駆動部(振動装置)
39 揺動レバ−
以下、本発明を自動車の車体の損傷部の補修法に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図11において1は補修対象の自動車で、その車体2の被補修側板体5の一部に損傷部3を有している。
前記損傷部3を補修する場合は、先ず前記損傷部3を適宜工具を用いて適宜形状に切除し、その切除部周辺を適宜工具(図示略)を用いて内側に斜状に折り曲げ、その表面にテ−パ状の開口面4を形成する。
前記開口面4は、前記被補修側板体5の板厚と後述する接着剤の塗布厚の相加分、段部を形成して折り曲げられ、その平坦な切除部の端縁側を被補修側板体5と略平行に折り曲げ、前記被補修側板体5と一体的な接合片である接合代6を形成している。
前記開口面4の表面側、つまり外側の折り曲げ部と、内側の折り曲げ部とにアール状の微小湾曲部4a,4bを前記工具、または別の工具によって成形している。
一方、前記車体2の被補修側板体5と同質かつ同厚の金属板製の補修側板体7を用意し、該補修側板体7を前記切除部の形状より若干小形の相似形状、または損傷部3の該当車体部品の前記切除部を除く形状に形成している。
前記補修側板体7は、その端部周辺に前記接合代6と略等幅の接合代8を有し、その端縁に前記開口面4と同様なテ−パ状の開口面9を形成し、その表面側に前述と同様なアール状の微小湾曲部9aを、前記工具または別の工具によって成形している
この場合、前記開口面4,9はテ−パ状に限らず、表面側の隅角部をア−ル状に形成することでも良く、また前記微小湾曲部4a,4b,9aを当初から形成する代わりに、後述する充填剤を空隙11に充填する前に形成することでも良い。更に、この実施形態では被被補修側板体5に折り曲げ部を形成しているが、この反対に被補修側板体7に折り曲げ部を形成してもよい。
この後、前記接合代6の表面に接着剤10を塗布し、該接着剤10上に接合代8を重合し、前記車体2側の被補修側板体5の開口面4と、接合代8の開口面9とを空隙11を介在して対向配置し、これらの状態を前記接着剤10が硬化する前に押圧板12を介して保持する。
前記接着剤10として、実施形態ではエポキシ樹脂を主体とする主剤と、硬化剤とからなるものを用いている。
前記押圧板12は、比透磁率の小さなアルミニウム板等の金属板または合成樹脂板が用いられ、これらは車体2または補修側板体7の平坦面に沿って配置され、または湾曲面に沿って湾曲可能な薄厚に形成され、その裏面にポリエチレンフィルム等の非接着シ−ト13を貼り付けている。
前記押圧板12の表面の中央に指標線14が縦方向に形成され、該指標線14を被補修側板体5と補修側板体7の接合端部の中央に位置付け、前記押圧板12を左右均等に配置可能にしている。
この場合、押圧板12を被補修側板体5または補修側板体7の湾曲面に沿って、湾曲可能にする他の手段として、押圧板12の縦横の複数位置に切欠部若しくは頸部(共に図示略)を設けて湾曲し易くし、若しくは押圧板12を細幅または短小に形成し、これを複数配置するようにしても良い。
この後、前記押圧板12上に被補修側板体5と補修側板体7の接合部に亘って、複数または単一の吸着具15を配置する。
前記吸着具15は、比透磁率の高い鋼板製のハウジング16と、該ハウジング16の内部に固定した、例えば軽量で大きな磁力を有する永久磁石からなるマグネットブロック17とからなり、前記ハウジング16は鋼板を略コ字形断面に屈曲形成し、その屈曲片16aの端縁を、マグネットブロック17よりも僅かに突出して、磁極を形成可能にしている。eはその突出量である。
図中、18はハウジング16の中央に突設した略T字形状の把持部で、吸着具15を保持可能にしている。
したがって、前記吸着具15は、屈曲片16a,16aの端縁が押圧板12に密着し、マグネットブロック17から放出される磁力線は、屈曲片16a,16aの端縁から押圧板12を透過し、その裏面側の被補修側板体5と接合代8から空隙11を経由する磁気回路を形成する。
そして、前記接着剤10が硬化する間、裏面側の被補修側板体5の端部と接合代8を吸引変位させ、それらの表面を押圧板12を基準面に面一状態に形成可能にしている。
したがって、例えば図7のように、被補修側板体5の接合部に形成した折り曲げ部が浅く折り曲げられ、或いは接着剤10が多量に塗布されて、補修側板体7の接合代8が被補修側板体5よりも外側へ突出し、被補修側板体5と押圧板12との間に微小間隔Sが存在する場合は、被補修側板体5側が吸着具15に吸引変位されて矢視方向、つまり表面側へ移動し、接合代8側が押圧板12との当初の吸着状態を維持して、被補修側板体5と接合代8の表面とが面一状態を形成する。
したがって、接合代6,8との間に一定厚の接着層10が形成される。
その後、接着剤10が硬化し、被補修側板体5と接合代8の表面が面一状態を保持し、また前記一定厚の接着層10によって、一定の接着強度を得られる。
この場合、被補修側板体5側が吸着具15に吸引変位すると、接着剤10の一部が空隙11に押し出されるが、該接着剤10は非接着シ−ト13に接触し、押圧板12との接触を回避しているから、接着剤10の硬化後に押圧板12が取り外せなくなることはない。
また、接着剤10の一部は接合代6の端部と、補修側板体7の裏面に押し出され、それらの固着力を強化する一方、このように接着剤10が押し出されても、それらは被補修側板体5および補修側板体7の裏面側に置かれるから、前記板体5,7の表面外観を損ねることはない。
また、前述と反対に、例えば被補修側板体5の接合部に形成した折り曲げ部が深く折り曲げられ、或いは接着剤10が少量に塗布されて、被補修側板体5が接合代8よりも外側へ突出し、接合代8と押圧板12との間に微小間隔Sが存在する図8に示す場合は、接合代8側が吸着具15に吸引変位されて矢視方向、つまり表面側へ移動し、被補修側板体5側が押圧板12との当初の吸着状態を維持して、被補修側板体5と接合代8の表面とが面一状態を形成する。
したがって、接合代6,8との間に一定厚の接着層10が形成される。
その後、接着剤10が硬化し、被補修側板体5と接合代8の表面が面一状態を保持し、また前記一定厚の接着層10によって、一定の接着強度を得られる。
この場合、補修側板体7が前述のように吸引変位しても、接着剤10の塗布量が極端に少なくない限り、接着剤10による接着に支障はない。
更に、接合代6の折り曲げ加工が悪く、接合代6が接合代8と平行に形成されていない図9に示す場合でも、被補修側板体5と接合代8に亘って押圧板12を掛け渡し、これに吸着具15を配置し、被補修側板体5と接合代8を吸着変位させることによって、それらが面一状態を形成し、この面一状態で接着剤10が硬化し、被補修側板体5と接合代8が当該状態を保持する。
この場合、空隙11に臨む接合代8の端部を直角に屈曲することによって、開口面9におけるバリの形成の心配がなく、この後の押圧板12の取り外しや、空隙11に対する充填剤の充填時に、手指がバリに触れる心配がなく、安心して作業を行える。
なお、1枚の押圧板12上には通常、複数の吸着具15が所定間隔で配置されるが、被補修側板体5に一様な折り曲げ加工を得られず、或いは接着剤10の塗布量にムラがある場合は、当該部に吸着具15を適宜姿勢で配置し、被補修側板体5と接合代8の面一形成を促す。この状況は図4のようである。
こうして接着剤10の硬化後、吸着具15を撤去し、押圧板12を取り外す。
その際、前述のように押圧板12は接着剤10の接着を回避しているから、把持部18を傾倒する等して、吸着具15を容易に撤去できる。
この後、前記空隙部11に充填剤19を充填する。充填剤19はエポキシ樹脂系の接着性を有するものを使用し、これは基本的に線膨張係数の小さなものを使用していて、接合部における温度膨張と収縮を可及的に抑制し、特に夏季における温度膨張による膨出を阻止し、接合跡の表出を回避している。
前記充填剤19は、当初は空隙部11に図10のように肉盛状に充填され、該充填剤19の表面をサンダ20によって研削し均整化処理する。
前記サンダ20は図12乃至図14のように、サンダ本体21と研削板22とからなり、このうちサンダ本体21は細長円筒状に形成され、その内部に圧縮空気を作動源とする往復直線運動機構と駆動機構(共に図示略)を内蔵し、その一端に圧縮空気源に連通する空気ホ−ス23を接続し、外周面に操作レバ−24の一端を回動可能に連結している。
実施形態では、前記駆動機構は回転運動を往復直線運動に変換する機構を備え、その作動を5〜10mmの範囲で往復動可能にしている。駆動源としては、圧縮空気の代わりに電源を用いることも可能である。
前記サンダ本体21の他端に略Z字形状の連結杆25が突設され、その基端が前記駆動機構に連係し、該駆動機構と同動可能に構成されている。前記連結杆25の先端部は、基端部の軸方向から下方へオフセットして配置され、その形状を矩形に拡張していて、該先端部に比較的剛性を有する合成樹脂製の保持板26をビス止めしている。
前記保持板26は略方形に形成され、該保持板26に前記研削板22の基端側が、両面接着テ−プまたは接着剤を介して取り付けられている。
前記研削板22は弾性および柔軟性に富む軟質塩化ビニル等の合成樹脂材によって、前記保持板26よりも長尺な横長矩形に形成され、その先端部を手指27で軽く押圧することで、板厚方向に湾曲可能に構成され、被研削面28の湾曲面28aに自在に変形可能にしている。
前記研削板22の下面に、面ファスナ(図示略)を介して所定の砥粒を塗布した研削シ−ト29が着脱自在に取り付けられ、前記研削板22と同動可能にされている。
前記サンダ20を使用して、前記充填剤19の表面を研削し均整化処理する場合は、前記充填剤19の乾燥および硬化後、所定粒度の研削シ−ト29を研削板22の下面に取り付け、空気ホ−ス23をエア−コンプレッサ等の圧縮空気源に接続する。
次に、サンダ本体21を保持し、研削シ−ト29を充填剤19の表面に押し当て、研削板22の先端部に手指2を添えて軽く押圧し、研削板22ないし研削シ−ト29を接合代6,8の表面ないし湾曲面形状に沿わせる。
この後、操作レバ−24を押圧操作し、サンダ本体21の内部に圧縮空気を供給し、内部の駆動機構を駆動して、該機構に連係する連結杆25を往復直線運動させる。
このため、前記往復直線運動は連結杆25から保持板26を介して研削板22に伝達され、該板22に研削シ−ト29が同動して充填剤19の表面を研削する。
その間、研削板22の先端部に手指2を終始添えて軽く押圧し、研削板22ないし研削シ−ト29を接合代6,8の表面ないし湾曲面形状に沿わせる。
したがって、被補修側板体5と補修側板体7の表面が平坦面の場合は勿論、図14のような湾曲面28aであっても、該湾曲面28aに密着し、かつこれを包み込むように研削し得るから、従来のように角度を変えて削り込む必要がなく、また熟練者でなくても容易かつ一様に充填剤19を研削できる。
なお、被補修側板体5または補修側板体7の表面が凹状湾曲部の被研削部を研削する場合は、研削板22ないし研削シ−ト29を被研削部に押し当てれば、研削板22が自身の弾性に抗して湾曲し、その基部側を剛性を備えた保持板26で支持する。
したがって、所望の曲率に容易に湾曲できるとともに、このような凹状湾曲部の研削時に際しても、基本的に研削板22の先端部に手指2を添えて軽く押圧し、被研削部の湾曲面形状に沿わせて作業する。この状況は図12の仮想線のようである。
研削作業終了後、研削板22の先端から手指27を離すと、研削板22が自身の弾性によって直線状態の原状を回復し、これに研削シ−ト29が同動する。
なお、研削シ−ト29が使用によって磨耗し、或いは別の粗さの研削シ−ト29に交換するときは、ファスナを剥がして所望のものと交換する。
また、前述のサンダは手動で往復作動させて使用することも可能であり、その場合は、サンダ本体21に装備した往復直線運動機構とその駆動機構を割愛すればよく、そのようにすることで、サンダの軽量化と低廉化を図れ、また手動による作業性が向上する。
こうして、充填剤19の表面を研削後、接合部の表面に下塗りとしてプライマ−サ−フェサを塗布し、その乾燥に車体2と同色の塗料を上塗り塗装すれば、一連の補修作業が終了する。
補修後、前記充填剤19の研削部を含む接合部は、周囲の表面および曲面状態と同様に均整化されて補修されているから、接合部が周囲と一体に感得される。
しかも、充填剤19は従来のものに比べて線膨張係数が小さいものを採用しているから、夏季における膨張や冬季における収縮が可及的に抑制され、前記時期における充填剤19の剥離や膨出を阻止し、接合跡の表出を回避して均整を保持する。
図15乃至図20、および図23乃至図25は本発明の他の実施形態を示し、前述の実施形態の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。
このうち、図15乃至図18は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は被補修側板体5と補修側板体7の接合端部を板厚方向に重合して配置する代わりに、空隙部11を介在して同一面上に突き合わせて配置し、それらの裏面に接着剤10を塗布し、これに前記板体5,7と別体の接合片31を重合配置している。
そして、前記接着剤10が硬化する前に、被補修側板体5と補修側板体7の接合端部の表面に押圧板12を重合し、該押圧板12に一または複数の吸着具15を設置し、該吸着具15の磁力によって各接合端部を吸着変位させ、押圧板12を基準面として前記接合端部表面を面一化している。
したがって、従来のようなタッピングスクリュ−やそのビス孔の形成を要さず、その分前記作業を容易かつ速やかに行え、しかも接合端部表面の精密な面一性を得られる。
この後、前述と同様の要領で吸着具15を撤去し、押圧板12を取り外して、空隙部11に充填剤19を充填し、その乾燥硬化後、前記サンダ20を用いて充填剤19の表面を研削する。
図19は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態は二つの吸着具15を略U字形のハンドル32で連結し、その着脱操作を簡便に行えるようにしている。
この場合、吸着具15は、空隙部11の開口幅よりも若干離間して連結され、被補修側板体5と補修側板体7の種々の接合端部の設置に適合可能にしている。
図20乃至図22は本発明の応用形態を示し、この応用形態は被補修側板体5と補修側板体7の接合端部を、接着剤10と接合片31を用いて接合する際、接着剤10が固化するまでの間、両接合端部を仮止めする方法に関するもので、各板体と接合片31の接合端部に、同様なビス孔33を縦方向に複数形成し、これらのビス孔33にタッピングスクリュ34をねじ込んで仮止めする。
したがって、前記板体5,7は、金属板に限らず、非鉄金属、非金属等の種々の板材の接合に適用することができる。
前記タッピングスクリュ34の頭部34aは扁平に形成され、該頭部34aの外面に工具(図示略)と係合可能なスリワリまたは係合溝を有し、その頭部厚を約1mm以下に形成している。
前記タッピングスクリュ34を用いて、被補修側板体5と補修側板体7の接合端部を仮止めする場合は、それらの裏面に接着剤10を塗布し、これに接合片31を重合するとともに、それらのビス孔33を位置合わせし、該ビス孔33に適宜な工具を用いてタッピングスクリュ34をねじ込む。
前記接着剤10の固化後、ベルトサンダまたは前記サンダを前記頭部34aに押し当て、該サンダを駆動して前記頭部34aを削り取る。
この場合、前記頭部34aは非常に薄厚に形成され、両板体5,7の仮止めを奏するとともに、前記サンダによって速やかに削り取られるから、サンダによる摩擦熱が両板体5,7やタッピングスクリュ34の螺軸に蓄積されることがなく、またその切除部を板体5,7の表面と面一に形成する。この状況は図21のようである。
この後、前記板体の表面に下塗りとしてプライマ−サ−フェサを塗布し、この乾燥後に車体2と同色の塗料35を上塗り塗装すれば、一連の補修作業が終了する。
したがって、従来のようにビス孔33に充填剤または接着剤を充填する面倒がなく、
また接合部の両板体5,7にタッピングスクリュ34が残置し、接合片31との接合強度を強化する。
図23乃至図25は本発明の第の実施形態を示し、この実施形態は前記サンダ20の改良に係り、研削板22の先端部を手指27で押さえて研削する代わりに、サンダ20の上部を握持して研削するようにしている。
すなわち、このサンダ20は、略コ字形の揺動枠36上に振動装置37を設置し、該振動装置37は手38で握持可能な略円筒状に形成され、その内部に圧縮空気によって駆動可能なタ−ビン(図示略)を備えていて、該タ−ビンによって球面状に揺動かつ振動可能に構成している。
前記揺動枠36の一対の屈曲片36aに、自在継手41を介して揺動レバ−39の上部を球面状に回動かつ揺動自在に連結し、該レバ−39の下端部に、ピン40を介して矩形の保持板26を上下方向に回動可能に連結し、その連結位置を、保持板26の長さ方向に沿って内外2対1に配分し(L1:L2=2:1)、該保持板26,26の間に、研削板22と研削シ−ト29を湾曲かつ同動可能に取り付けている。
前記サンダ20によって充填剤19の表面を研削する場合は、振動装置37を握持してサンダ20を所望位置へ移動し、研削シ−ト29を被研削部28に押し当て、充填剤19の表面を包み込むように位置付ける。
このようにすると、保持板26,26が被研削部28の表面形状に沿ってピン40を中心に回動し、該保持板26,26間の研削板22が緩やかに湾曲して、研削シ−ト29がこれに同動して湾曲する。
このような状況の下で振動装置37に圧縮空気を供給すると、該振動装置37が球面状に揺動かつ振動し、これに揺動枠36と屈曲片36aが同動し、揺動レバ−39を自在継手41を中心に球面状に回動かつ揺動させる。
このため、保持板26,26がその長さ方向および幅方向に揺動し、これに研削板22と研削シ−ト29が同動して、充填剤19の表面を多方向に研削する。
したがって、作業者は振動装置37を握持し、これを軽く押圧するだけで労力の負担が少なく、またサンダ20を前後に移動する必要もないから、容易かつ合理的に作業でき、研削シ−ト29が多方向に移動して充填剤19の表面を精密に研削する。
この場合、研削シ−ト29が充填剤19の盛り上がり表面を研削する際は、保持板26の枢支位置より内側に上向きの力が作用し、外側には下向きの力が作用し、この下向きの力は、前記配分比によって上向きの力の2倍に相当し、これが充填剤19の盛り上がり表面を押し付ける。
したがって、枢支位置より外側の保持板26は、その表面積が内側の保持板26の1/2であるにも拘わらず、均等な研削を可能にしている。
このように本発明の金属板の接合方法は、特に複雑な湾曲面を有する板体の接合ないし補修部を平面的または立体的に面一に接合し、これを精密かつ美麗に仕上げられるとともに、この種の接合作業を合理的かつ容易に行えるから、例えば車体等の金属板の損傷部や、建築物、機械等の非鉄金属または非金属製の周壁の損傷部の補修に好適である。

Claims (16)

  1. 互いに接合する二つの金属板の接合端部を離間して配置し、前記金属板の一方または両方の接合端部の裏面に、何れか一方の金属板と一体または別体の接合片を配置し、該接合片と前記一方または両方の金属板の接合端部との間に接着剤を介在し、該接着剤の硬化前に前記一方または両方の接合端部の表面に一または複数の吸着具を設置し、該吸着具の磁力を介して一方または両方の金属板の接合端部と前記接合片とを吸着保持し、前記接着剤の硬化後、前記二つの金属板の接合端部間に充填剤を充填して接続する、金属板の接合方法において、前記接着剤の硬化前に、前記二つの金属板の接合端部表面に亘って、板厚方向に湾曲可能な押圧板を取り付け、該押圧板は裏面に接着剤との接着を回避可能な非接着シ−トを有し、前記押圧板の表面に前記吸着具を設置し、該吸着具の磁力を介して前記二つの金属板の接合端部を吸引変位し、該二つの金属板の接合端部側表面を前記押圧板を基準に面一にすることを特徴とする金属板の接合方法。
  2. 前記押圧板の端部に複数の切欠部を形成して湾曲を促す請求項1記載の金属板の接合方法。
  3. 前記押圧板を短小に形成し、これを複数配置する請求項1記載の金属板の接合方法。
  4. 前記二つの金属板の表面が、平面または湾曲面状である請求項1記載の金属板の接合方法。
  5. 前記押圧板が柔軟で薄厚の透磁性部材である請求項1記載の金属板の接合方法。
  6. 前記押圧板がアルミニウム板または合成樹脂板である請求項1記載の金属板の接合方法
  7. 前記押圧板の表面の中央に縦方向に指標線を形成し、該指標線を前記二つの金属板の接合部の中央に配置する請求項1記載の金属板の接合方法。
  8. 前記一方の金属板の接合端部を折り曲げて一体形成した接合片の折り曲げ部が浅く形成され、または前記接合片と他方の金属板の接合端部との間に接着剤が多量に塗布され、前記押圧板と前記一方の金属板との間に間隙が形成される際、前記吸着具の磁力を介して、前記一方の金属板の接合端部を表面側へ吸引変位し、二つの金属板の接合端部側表面を前記押圧板を基準に面一にする請求項1記載の金属板の接合方法。
  9. 前記一方の金属板の接合端部を折り曲げて一体形成した接合片の折り曲げ部が深く形成され、または前記接合片と他方の金属板の接合端部との間に接着剤が少量に塗布され、前記押圧板と前記他方の金属板との間に間隙が形成される際、前記吸着具の磁力を介して、前記他方の金属板の接合端部を表面側へ吸引変位し、二つの金属板の接合端部側表面を前記押圧板を基準に面一にする請求項記載の金属板の接合方法。
  10. 前記一方の金属板の接合端部を折り曲げて一体形成した接合片の折り曲げ不全により、他方の金属板の接合端部に対し平行に形成されていない場合、前記他方の金属板の接合端部を内側に直角に屈曲し、これら二つの金属板の接合端部側表面に亘って前記押圧板を取り付け、前記吸着具の磁力を介し、前記二つの金属板の接合部表面を前記押圧板を基準に面一にする請求項記載の金属板の接合方法。
  11. 前記充填剤は、線膨張係数が小である請求項記載の金属板の接合方法。
  12. 前記充填剤の硬化後、前記押圧板を取り外し、前記充填剤の表面に研削シ−トを往復直線移動し、前記充填剤の表面を研削し均整化処理する請求項記載の金属板の接合方法。
  13. 前記研削シ−トを板厚方向に湾曲可能な柔軟な研削板に取付けて往復直線駆動させる請求項12記載の金属板の接合方法。
  14. 前記研削板の先端部を手指で押圧し、前記研削シ−トを金属板の接合部の表面または湾曲面状に沿わせて移動させる請求項12記載の金属板の接合方法。
  15. 前記振動装置を介し研削シ−トを板厚方向および長さ方向に揺動させ、前記充填剤の表面を研削する請求項12記載の金属板の接合方法。
  16. 前記振動装置を握持し、研削シ−トを被研削部に押し当てて研削する請求項15記載の金属板の接合方法。
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