JP7035024B2 - テアニンの製造方法 - Google Patents
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Description
テアニンの製造方法として、シュードモナス属細菌から得られるグルタミナーゼをグルタミンとエチルアミンに作用させる方法(特許文献2)、グルタミンとエチルアミン誘導体にグルタミナーゼ又はグルタミナーゼ産生菌を作用させる方法(特許文献3)、ATP存在下、メチロトローフ細菌が有するγ-グルタミルメチルアミド合成酵素をグルタミン酸とエチルアミンに作用させる方法(特許文献1)等が開示されているが、これらの方法では、その製造工程で反応基質としてエチルアミンを添加する必要がある。しかし、エチルアミンは沸点が非常に低いため、製造中にエチルアミンが揮発することは避けられず、揮発したエチルアミンが周辺環境や作業員の身体に悪影響を及ぼす可能性がある。また、例えば反応効率の向上を目的として沸点以上の温度でエチルアミンを反応させようとすると特別な設備が必要とり、上記の方法は、安全面、コスト面で問題がある(特許文献1)。よって、外部から基質としてエチルアミンを添加せず、副生物としてエチルアミンが蓄積、残存しないテアニンの製造方法が求められている。
そこで、本発明は、外部からエチルアミンを添加しない、テアニンの効率的な製造方法を提供することを課題とする。
(1)炭素源からアセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸及びATPを生成し、かつ親株よりも、以下の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物。
[1]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列からなる蛋白質
[2]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アセトアルデヒドとアラニンを基質としてエチルアミンを生成する活性(以下、エチルアミン生成活性という。)を有する変異蛋白質
[3]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、エチルアミン生成活性を有する相同蛋白質
(2)炭素源からアセトアルデヒド、アラニン及びグルタミンを生成し、かつ親株よりも、上記(1)の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性及びグルタミナーゼ活性が増強した微生物。
(3)アセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸及びATPを含有する水性媒体中に、上記(1)の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素を共存させることにより、テアニンを該水性媒体中に生成、蓄積させ、該水性媒体中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
(4)アセトアルデヒド、アラニン及びグルタミンを含有する水性媒体中に、上記(1)の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質及びグルタミナーゼを共存させることにより、テアニンを該水性媒体中に生成、蓄積させ、該水性媒体中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
(5)上記(1)又は(2)に記載の微生物を培地に培養し、培養物中にテアニンを生成、蓄積させ、該培養物中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
(6)上記(1)に記載の微生物の培養物又は該培養物の処理物、アセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸及びATPを水性媒体中に共存せしめ、該水性媒体中にテアニンを生成、蓄積させ、該水性媒体中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
(7)上記(2)に記載の微生物の培養物又は該培養物の処理物、アセトアルデヒド、アラニン及びグルタミンを水性媒体中に共存せしめ、該水性媒体中にテアニンを生成、蓄積させ、該水性媒体中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
(8)微生物が、エシェリヒア属又はコリネバクテリウム属に属する微生物である、上記(1)又は(2)に記載の微生物。
(9)微生物が、エシェリヒア属又はコリネバクテリウム属に属する微生物である、上記(5)~(7)のいずれか1に記載のテアニンの製造方法。
(10)炭素源が糖である、上記(1)又は(2)に記載の微生物。
1-1.エチルアミン生成活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物及び該微生物の造成方法
エチルアミン生成活性が増強した微生物
本発明の微生物は、炭素源からアセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸及びATPを生成し、かつ親株よりも、以下の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物である。
[1]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列において、1~20個、好ましくは1~10個、最も好ましくは1~5個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アセトアルデヒドとアラニンを基質としてエチルアミンを生成する活性(以下、エチルアミン生成活性という。)を有する変異蛋白質
[3]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列と95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、エチルアミン生成活性を有する相同蛋白質
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、о-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
上記の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性が増強した微生物としては、例えば以下の[4]~[7]のいずれか1つに記載のDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもエチルアミン生成活性が増強された微生物を挙げることができる。
[4]上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質をコードするDNA
[5]配列番号1、3、5、又は7で表わされる塩基配列からなるDNA
[6]配列番号1、3、5、又は7で表わされる塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、エチルアミン生成活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
[7]配列番号1、3、5、又は7で表わされる塩基配列と少なくとも95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、エチルアミン生成活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
親株において染色体中への組込が可能なDNAであって、上記の[4]~[7]のいずれか1つに記載のDNAを有するDNAもまた、上記の[4]~[7]のいずれか1つに記載のDNAを有する組換え体DNAである。
組換え体DNAが、親株の染色体DNAへの組込が可能なDNAである場合は、プロモーターを含有していなくてもよい。
また、親株において自律複製可能な組換え体DNAにおいては、該DNAの発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
親株を上記[4]~[7]のいずれか1つに記載のDNAを有する組換え体DNAで形質転換して得られる、該親株よりもエチルアミン生成活性が増強された微生物は、以下の方法で造成することができる。
本発明の微生物は、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性が増強しているのと同時に、γ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物である。
[8]配列番号10で表わされるアミノ酸配列からなる蛋白質
[9]配列番号10で表わされるアミノ酸配列において、1~20個、好ましくは1~10個、最も好ましくは1~5個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、γ-グルタルメチルアミド合成酵素活性を有する変異蛋白質
[10]配列番号10で表わされるアミノ酸配列と95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、γ-グルタルメチルアミド合成酵素活性を有する相同蛋白質
γ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物としては、例えば上記Methylovorus mays TGMS No.9株が有するγ-グルタルメチルアミド合成酵素をコードするDNA、又は以下の[11]~[14]のいずれか1つに記載のDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強された微生物を挙げることができる。
[11]上記[8]~[10]のいずれか1つに記載の蛋白質をコードするDNA
[12]配列番号9で表わされる塩基配列からなるDNA
[13]配列番号9で表わされる塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、γ-グルタルメチルアミド合成酵素活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
[14]配列番号9で表わされる塩基配列と少なくとも95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、γ-グルタルメチルアミド合成酵素活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
該組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもγ-グルタルメチルアミド合成酵素が増強された微生物は、上記と同様の方法に従って造成することができる。
また、本発明の微生物は、γ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強しているのに加え、生成したテアニンが分解されるのを抑制する観点から、テアニンの分解活性が低下又は喪失していることが好ましい。そのような微生物としては、具体的には、γ-グルタミルトランスペプチダーゼの活性が低下又は喪失した微生物を挙げることができる。
本発明の微生物は、炭素源からアセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸及びATPを生成し、かつ親株よりも、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物である。
例えば、任意の親株を用いて取得したエチルアミン生成活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物を挙げることができる。また、以下の(A)~(D)のいずれか1つに記載の微生物を親株として造成した、上記のエチルアミン生成活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物、又は上記のエチルアミン生成活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物を親株として造成した、以下の(A)~(D)のいずれか1つに記載の微生物を挙げることができる。
(A)親株よりもアルコールデヒドロゲナーゼ(AdhE)及びアルデヒドレダクターゼ(YqhD)からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の蛋白質の活性が低下又は喪失した微生物
(B)親株よりもアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EutE)の活性が増強した微生物
(C)親株よりもL-アラニンデヒドロゲナーゼ(Ald)の活性が増強した微生物
(D)上記(A)~(C)の微生物の形質を任意の組み合わせで有する微生物
本発明の微生物は、アセトアルデヒドやアラニンの供給量を増やす観点から、上記(B)又は(C)の形質を、好ましくは(B)及び(C)の形質を有することが好ましい。
その上で、アセトアルデヒドがエタノールに代謝されるのを抑制する観点から、上記(A)の形質を有することがさらに好ましい。
アルコールデヒドロゲナーゼとは、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質をいう。アルコールデヒドロゲナーゼ活性とは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素としてアセトアルデヒドをエタノールに還元する活性をいう。
(a)親株よりも、該蛋白質の比活性が80%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下、最も好ましくは0%に低下した微生物
(b)親株よりも、該DNAの転写量又は該蛋白質の生産量が80%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下、最も好ましくは0%に低下した微生物
より好ましくは、該DNAの一部又は全部が欠損した微生物を挙げることができる。
[15]配列番号12で表わされるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA
[16]配列番号12で表わされるアミノ酸配列と95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
[17]配列番号11で表わされる塩基配列からなるDNA
[18]配列番号11で表わされる塩基配列と少なくとも95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
[19]配列番号14で表わされるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA
[20]配列番号14で表わされるアミノ酸配列と95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、アルデヒドレダクターゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
[21]配列番号13で表わされる塩基配列からなるDNA
[22]配列番号13で表わされる塩基配列と少なくとも95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、アルデヒドレダクターゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
アルデヒドデヒドロゲナーゼとは、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質をいう。アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性とは、アセチルCoAを基質としてアセトアルデヒドを生成する活性をいう。
(c)親株の染色体DNA上にあるアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを改変することにより得られる、
i)親株よりも該蛋白質の比活性が増強した微生物、又は、
ii)親株よりも該DNAの転写量又は該蛋白質の生産量が増大した微生物
(d)該蛋白質をコードするDNAを含む組換え体DNAで親株の微生物を形質転換することにより得られる、親株よりも該DNAのコピー数が増大した微生物
[23]配列番号16で表わされるアミノ酸配列を有する蛋白質
[24]配列番号16で表わされるアミノ酸配列において、1~20個、好ましくは1~10個、最も好ましくは1~5個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する変異蛋白質
[25]配列番号16で表わされるアミノ酸配列と95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する相同蛋白質
[26]上記[23]~[25]のいずれか1つに記載の蛋白質をコードするDNA
[27]配列番号15で表わされる塩基配列を有するDNA
[28]配列番号15で表わされる塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
[29]配列番号15で表わされる塩基配列と少なくとも95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
また、調製したDNA断片を有し染色体への組込が可能な組換え体DNAで親株を形質転換し、アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするDNAを染色体の任意の位置に組み込むことによっても、親株よりも該蛋白質をコードするDNAのコピー数が増大した微生物を取得することができる。染色体へDNAを組み込む場合、組換え体DNAはプロモーターを含有していなくてもよい。
親株において自律複製可能な組換え体DNAを用いる場合、転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
L-アラニンデヒドロゲナーゼとは、L-アラニンデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質をいう。L-アラニンデヒドロゲナーゼ活性とは、ピルビン酸を基質としてL-アラニンを生成する活性をいう。
[30]配列番号18で表わされるアミノ酸配列を有する蛋白質
[31]配列番号18で表わされるアミノ酸配列において、1~20個、好ましくは1~10個、最も好ましくは1~5個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、L-アラニンデヒドロゲナーゼ活性を有する変異蛋白質
[32]配列番号18で表わされるアミノ酸配列と95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、L-アラニンデヒドロゲナーゼ活性を有する相同蛋白質
[33]上記[30]~[32]のいずれか1つに記載の蛋白質をコードするDNA
[34]配列番号17で表わされる塩基配列を有するDNA
[35]配列番号17で表わされる塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、L-アラニンデヒドロゲナーゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
[36]配列番号17で表わされる塩基配列と少なくとも95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、L-アラニンデヒドロゲナーゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
エチルアミン生成活性が増強した微生物
本発明の微生物としては、上記1-1の微生物の他に、炭素源からアセトアルデヒド、アラニン及びグルタミンを生成し、かつ親株よりも、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性及びグルタミナーゼ活性が増強した微生物を挙げることができる。
1-2の本発明の微生物は、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性が増強しているのと同時に、グルタミナーゼ活性が増強した微生物である。
グルタミナーゼとは、グルタミナーゼ活性を有する蛋白質をいう。グルタミナーゼ活性とは、エチルアミンとグルタミンを基質としてテアニンを生成する活性をいう。
親株よりもグルタミナーゼの活性が増強した微生物の例としては、グルタミナーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもグルタミナーゼ活性が増強された微生物を挙げることができる。
また、1-2の本発明の微生物は、グルタミナーゼ活性が増強しているのに加え、生成したテアニンが分解されるのを抑制する観点から、テアニンの分解活性が低下又は喪失していることが好ましい。そのような微生物としては、具体的には、γ-グルタミルトランスペプチダーゼの活性が低下又は喪失した微生物を挙げることができる。
1-2の本発明の微生物は、炭素源からアセトアルデヒド、アラニン及びグルタミンを生成し、かつ親株よりも、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性及びグルタミナーゼ活性が増強した微生物である。
例えば、任意の親株を用いて取得したエチルアミン生成活性及びグルタミナーゼ活性が増強した微生物を挙げることができる。また、以下の(E)~(H)のいずれか1つに記載の微生物を親株として造成した、上記のエチルアミン生成活性及びグルタミナーゼ活性が増強した微生物、又は上記のエチルアミン生成活性及びグルタミナーゼ活性が増強した微生物を親株として造成した、以下の(E)~(H)のいずれか1つに記載の微生物を挙げることができる。
(E)親株よりもアルコールデヒドロゲナーゼ(AdhE)及びアルデヒドレダクターゼ(YqhD)からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の蛋白質の活性が低下又は喪失した微生物
(F)親株よりもアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EutE)の活性が増強した微生物
(G)親株よりもL-アラニンデヒドロゲナーゼ(Ald)の活性が増強した微生物
(H)上記(E)~(G)の微生物が有する形質を任意の組み合わせで有する微生物
1-2の本発明の微生物は、アセトアルデヒドやアラニンの供給量を増やす観点から、上記(F)又は(G)の形質を、好ましくは(F)及び(G)の形質を有することが好ましい。
その上で、アセトアルデヒドがエタノールに代謝されるのを抑制する観点から、上記(E)の形質を有することがさらに好ましい。
本発明のテアニンの製造方法は、以下の2-1及び2-2に記載の方法である。
本発明のテアニンの製造方法としては、上記1-1又は上記1-2の微生物を培地に培養し、培養物中にテアニンを生成、蓄積させ、該培養物中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法を挙げることができる。
本発明のテアニンの製造方法としては、また、アセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸及びATP、又は、アセトアルデヒド、アラニン及びグルタミンを基質として用いるテアニンの製造方法を挙げることもできる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・オクタデシルアミン(例えばナイミーンS-215、日本油脂社製)等の非イオン界面活性剤、セチルトリメチルアンモニウム・ブロマイドやアルキルジメチル・ベンジルアンモニウムクロライド(例えばカチオンF2-40E、日本油脂社製)等のカチオン系界面活性剤、ラウロイル・ザルコシネート等のアニオン系界面活性剤、アルキルジメチルアミン(例えば三級アミンFB、日本油脂社製)等の三級アミン類等、テアニンの生成を促進するものであればいずれでもよく、1種又は数種を混合して使用することもできる。界面活性剤は、通常0.1~50g/Lの濃度で用いることができる。
テアニンの生成反応は、水性媒体中、通常pH5~10、好ましくはpH6~8、20~50℃の条件で1~96時間行うことができる。該生成反応を促進させるために、アデニン、アデノシン-5’-一リン酸(AMP)、ADP、ATP、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等を添加することができる。アデニン、AMPは、通常0.01~100mmol/Lの濃度で用いることができる。
基質として用いられるアセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸、ATP及びグルタミンとしては、特に制限はなく、例えば、市販のアセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸、ATP及びグルタミンを用いることができる。
また、上記1-1及び上記1-2の微生物のいずれか1種以上の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該微生物菌体内又は該水性媒体中に生成、蓄積させて得られるアセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸、ATP及びグルタミンを用いてもよい。
エネルギー供与体としては、上記2-1の炭素源を挙げることができる。
また、酵素源として、精製した上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質、γ-グルタルメチルアミド合成酵素、及びグルタミナーゼにかえて、上記1-1及び上記1-2の微生物の培養物又は該培養物の処理物を用いることもできる。
(I)糖からアセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸及びATPを生成し、かつ親株よりも、以下の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物であって、エシェリヒア属に属する微生物。
[1]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列からなる蛋白質
[2]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アセトアルデヒドとアラニンを基質としてエチルアミンを生成する活性(以下、エチルアミン生成活性という。)を有する変異蛋白質
[3]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、エチルアミン生成活性を有する相同蛋白質
(II)上記(I)の微生物であって、親株よりもL-アラニンデヒドロゲナーゼ活性が増強し、かつ、アルデヒドレダクターゼ活性が低下又は喪失した微生物。
(III)上記(I)又は(II)の微生物であって、親株よりもアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性が増強し、かつ、アルコールデヒドロゲナーゼ活性が低下又は喪失した微生物。
(IV)上記(I)の微生物であって、親株よりもアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性及び/又はL-アラニンデヒドロゲナーゼ活性が増強した微生物。
(V)上記(IV)の微生物であって、親株よりもアルコールデヒドロゲナーゼ活性及び/又はアルデヒドレダクターゼ活性が低下又は喪失した微生物。
(VI)上記(I)~(V)のいずれかの微生物を培地に培養し、培養物中にテアニンを生成、蓄積させ、該培養物中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
(VII)上記(I)~(V)のいずれかの微生物の培養物又は該培養物の処理物、アセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸及びATPを水性媒体中に共存せしめ、該水性媒体中にテアニンを生成、蓄積させ、該水性媒体中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
(VIII)糖からアセトアルデヒド、アラニン及びグルタミンを生成し、かつ親株よりも、上記(I)の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性及びグルタミナーゼ活性が増強した微生物であって、エシェリヒア属に属する微生物。
(IX)上記(VIII)の微生物であって、親株よりもL-アラニンデヒドロゲナーゼ活性が増強し、かつ、アルデヒドレダクターゼ活性が低下又は喪失した微生物。
(X)上記(VIII)又は(IX)の微生物であって、親株よりもアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性が増強し、かつ、アルコールデヒドロゲナーゼ活性が低下又は喪失した微生物。
(XI)上記(VIII)の微生物であって、親株よりもアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性及び/又はL-アラニンデヒドロゲナーゼ活性が増強した微生物。
(XII)上記(XI)の微生物であって、親株よりもアルコールデヒドロゲナーゼ活性及び/又はアルデヒドレダクターゼ活性が低下又は喪失した微生物。
(XIII)上記(VIII)~(XII)のいずれかの微生物を培地に培養し、培養物中にテアニンを生成、蓄積させ、該培養物中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
(XIV)上記(VIII)~(XII)のいずれかの微生物の培養物又は該培養物の処理物、アセトアルデヒド、アラニン及びグルタミンを水性媒体中に共存せしめ、該水性媒体中にテアニンを生成、蓄積させ、該水性媒体中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
(1)エチルアミン生成活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物の造成
Pseudomonas syringae pv.syringae B728a株を周知の培養方法により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製した。配列番号19及び20で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行い、γ-グルタルメチルアミド合成酵素Psyr_2273(配列番号10で表わされるアミノ酸配列からなる蛋白質)をコードするDNA断片を増幅した。
実施例1(1)で得られたW3110/pTrc99A_Psyr_2273_PP_5182株、W3110/pTrc99A_Psyr_2273_PP_0596株、W3110/pTrc99A_Psyr_2273_JM49_01725株、W3110/pTrc99A_Psyr_2273_PFLU_RS03325株、及びW3110/pTrc99A株を、それぞれLBプレート上で30℃にて一晩培養し、100mg/Lのアンピシリンを含むLB培地5mLが入った太型試験管に植菌して、30℃で12時間、振盪培養した。
その後、それぞれ試験管生産培地[グルコース30g/L、硫酸マグネシウム七水和物2g/L、カザミノ酸5g/L、硫酸アンモニウム2g/L、クエン酸1g/L、リン酸二水素カリウム14g/L、リン酸水素二カリウム16g/L、チアミン塩酸塩10mg/L、硫酸第一鉄七水和物50mg/L、硫酸マンガン五水和物10mg/L(グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物以外については、水酸化ナトリウム水溶液によりpH7.2に調整した後オートクレーブし、グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物については、グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物含有水溶液を別途調製した後オートクレーブし、それぞれ冷却後、混合した)]が5mL入った太型試験管に0.05mL植菌し、30℃で5時間培養した後、終濃度1mMのIPTG、終濃度10mMのアラニン、終濃度10mMのアセトアルデヒドを添加して、さらに30℃で21時間、振盪培養した。
以上より、エチルアミン生成活性を有する蛋白質(PP_5182、PP_0596、JM49_01725、又はPFLU_RS03325)及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素(Psyr_2273)をコードするDNAを有する組換え体DNAでW3110株を形質転換して得られる、W3110株よりもエチルアミン生成活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物を用いて、外部からエチルアミンを添加することなく、テアニンを製造できることがわかった。
(1)遺伝子欠損及び遺伝子置換の際にマーカーとして用いるDNA断片の取得
表2の「プライマーセット」で表わされる塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして、表2の「鋳型」に記載されたDNAを鋳型としてPCRを行い、各DNA断片を増幅した。
アルデヒドレダクターゼをコードするDNA(以下、yqhD遺伝子という。)を、ilvGMEDAオペロンの発現を支配するプロモーター(以下、ilvプロモーターという。)を上流に付したBacillus subtilis由来のL-アラニンデヒドロゲナーゼをコードするDNA(以下、ald遺伝子という。)に置換した大腸菌を、以下の方法で造成した。
アルコールデヒドロゲナーゼをコードするDNA(以下、adhE遺伝子という。)を、ilvプロモーターを上流に付したアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(以下、eutE遺伝子という。)に置換した大腸菌を、以下の方法で造成した。
実施例2にて取得したW3110AE株を、実施例1に記載のpTrc99A_Psyr_2273_PP_5182、pTrc99A_Psyr_2273_PP_0596、pTrc99A_Psyr_2273_JM49_01725、pTrc99A_Psyr_2273_PFLU_RS03325、又はpTrc99Aで形質転換し、それぞれW3110AE/pTrc99A_Psyr_2273_PP_5182株、W3110AE/pTrc99A_Psyr_2273_PP_0596株、W3110AE/pTrc99A_Psyr_2273_JM49_01725株、W3110AE/pTrc99A_Psyr_2273_PFLU_RS03325株、及びW3110AE/pTrc99A株を得た。
当該微生物をそれぞれLBプレート上で30℃にて一晩培養し、100mg/Lのアンピシリンを含むLB培地5mLが入った太型試験管に植菌して、30℃で12時間、振盪培養した。
その後、それぞれ試験管生産培地[グルコース30g/L、硫酸マグネシウム七水和物2g/L、カザミノ酸5g/L、硫酸アンモニウム2g/L、クエン酸1g/L、リン酸二水素カリウム14g/L、リン酸水素二カリウム16g/L、チアミン塩酸塩10mg/L、硫酸第一鉄七水和物50mg/L、硫酸マンガン五水和物10mg/L(グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物以外については、水酸化ナトリウム水溶液によりpH7.2に調整した後オートクレーブし、グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物については、グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物含有水溶液を別途調製した後オートクレーブし、それぞれ冷却後、混合した)]が5mL入った太型試験管に0.05mL植菌し、30℃で5時間培養した後、終濃度1mMのIPTGを添加し、さらに30℃で21時間、振盪培養した。
以上より、エチルアミン生成活性を有する蛋白質(PP_5182、PP_0596、JM49_01725、又はPFLU_RS03325)及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素(Psyr_2273)をコードするDNAを有する組換え体DNAでW3110AE株を形質転換して得られる、W3110AEよりもエチルアミン生成活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物を用いることにより、糖から効率的にテアニンを製造できることがわかった。
(1)エチルアミン生成活性及びグルタミナーゼ活性が増強した微生物の造成
Pseudomonas nitroreducens IFO 12694株(特開平11-225789号公報)を周知の培養方法により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製する。特開平11-225789号公報のグルタミナーゼをコードするDNAの塩基配列をもとにプライマーを設計し、上記1-2に記載の方法にしたがって、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行い、グルタミナーゼGLNをコードするDNA断片を増幅する。
W3110/pTrc99A_GLN_PP_5182株、W3110/pTrc99A_GLN_PP_0596株、W3110/pTrc99A_GLN_JM49_01725株、W3110/pTrc99A_GLN_PFLU_RS03325株、及びW3110/pTrc99A株を、それぞれLBプレート上で30℃にて一晩培養し、100mg/Lのアンピシリンを含むLB培地5mLが入った太型試験管に植菌して、30℃で12時間、振盪培養する。
その後、それぞれ試験管生産培地[グルコース30g/L、硫酸マグネシウム七水和物2g/L、カザミノ酸5g/L、硫酸アンモニウム2g/L、クエン酸1g/L、リン酸二水素カリウム14g/L、リン酸水素二カリウム16g/L、チアミン塩酸塩10mg/L、硫酸第一鉄七水和物50mg/L、硫酸マンガン五水和物10mg/L(グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物以外については、水酸化ナトリウム水溶液によりpH7.2に調整した後オートクレーブし、グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物については、グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物含有水溶液を別途調製した後オートクレーブし、それぞれ冷却後、混合する)]が5mL入った太型試験管に0.05mL植菌し、30℃で5時間培養した後、終濃度1mMのIPTG、終濃度10mMのアラニン、終濃度10mMのアセトアルデヒドを添加して、さらに30℃で21時間、振盪培養する。
その結果、エチルアミン生成活性を有する蛋白質(PP_5182、PP_0596、JM49_01725、又はPFLU_RS03325)及びグルタミナーゼGLNをコードするDNAを有する組換え体DNAでW3110株を形質転換して得られる、W3110株よりもエチルアミン生成活性及びグルタミナーゼ活性が増強した微生物を用いて、外部からエチルアミンを添加することなく、テアニンを製造できることがわかる。
実施例2にて取得したW3110AE株を、実施例4に記載のpTrc99A_GLN_PP_5182、pTrc99A_GLN_PP_0596、pTrc99A_GLN_JM49_01725、pTrc99A_GLN_PFLU_RS03325、又はpTrc99Aで形質転換し、それぞれW3110AE/pTrc99A_GLN_PP_5182株、W3110AE/pTrc99A_GLN_PP_0596株、W3110AE/pTrc99A_GLN_JM49_01725株、W3110AE/pTrc99A_GLN_PFLU_RS03325株、及びW3110AE/pTrc99A株を得る。
当該微生物をそれぞれLBプレート上で30℃にて一晩培養し、100mg/Lのアンピシリンを含むLB培地5mLが入った太型試験管に植菌して、30℃で12時間、振盪培養する。
その後、それぞれ試験管生産培地[グルコース30g/L、硫酸マグネシウム七水和物2g/L、カザミノ酸5g/L、硫酸アンモニウム2g/L、クエン酸1g/L、リン酸二水素カリウム14g/L、リン酸水素二カリウム16g/L、チアミン塩酸塩10mg/L、硫酸第一鉄七水和物50mg/L、硫酸マンガン五水和物10mg/L(グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物以外については、水酸化ナトリウム水溶液によりpH7.2に調整した後オートクレーブし、グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物については、グルコース及び硫酸マグネシウム七水和物含有水溶液を別途調製した後オートクレーブし、それぞれ冷却後、混合する)]が5mL入った太型試験管に0.05mL植菌し、30℃で5時間培養した後、終濃度1mMのIPTGを添加し、さらに30℃で21時間、振盪培養する。
その結果、エチルアミン生成活性を有する蛋白質(PP_5182、PP_0596、JM49_01725、又はPFLU_RS03325)及びグルタミナーゼGLNをコードするDNAを有する組換え体DNAでW3110AE株を形質転換して得られる、W3110AE株よりもエチルアミン生成活性及びグルタミナーゼ活性が増強した微生物を用いることにより、糖から効率的にテアニンを製造できることがわかる。
配列番号20-人工配列の説明:合成DNA
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Claims (10)
- 炭素源からアセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸及びATPを生成し、かつ形質転換により、親株よりも、以下の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素活性が増強した微生物。
[1]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列からなる蛋白質
[2]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アセトアルデヒドとアラニンを基質としてエチルアミンを生成する活性(以下、エチルアミン生成活性という。)を有する変異蛋白質
[3]配列番号2、4、6、又は8で表わされるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、エチルアミン生成活性を有する相同蛋白質 - 炭素源からアセトアルデヒド、アラニン及びグルタミンを生成し、かつ形質転換により、親株よりも、請求項1の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質の活性及びグルタミナーゼ活性が増強した微生物。
- アセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸及びATPを含有する水性媒体中に、請求項1の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素を共存させることにより、テアニンを該水性媒体中に生成、蓄積させ、該水性媒体中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
- アセトアルデヒド、アラニン及びグルタミンを含有する水性媒体中に、請求項1の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質及びグルタミナーゼを共存させることにより、テアニンを該水性媒体中に生成、蓄積させ、該水性媒体中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
- 請求項1又は2に記載の微生物を培地に培養し、培養物中にテアニンを生成、蓄積させ、該培養物中からテアニンを採取することを特徴とする、テアニンの製造方法。
- 請求項1に記載の微生物の培養物又は該培養物の処理物、アセトアルデヒド、アラニン、グルタミン酸及びATPを水性媒体中に共存せしめ、該水性媒体中にテアニンを生成、蓄積させ、該水性媒体中からテアニンを採取することを特徴とし、
前記培養物の処理物は、請求項1の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質及びγ-グルタルメチルアミド合成酵素を含む、テアニンの製造方法。 - 請求項2に記載の微生物の培養物又は該培養物の処理物、アセトアルデヒド、アラニン及びグルタミンを水性媒体中に共存せしめ、該水性媒体中にテアニンを生成、蓄積させ、該水性媒体中からテアニンを採取することを特徴とし、
前記培養物の処理物は、請求項1の[1]~[3]のいずれか1つに記載の蛋白質及びグルタミナーゼを含む、テアニンの製造方法。 - 微生物が、エシェリヒア属又はコリネバクテリウム属に属する微生物である、請求項1又は2に記載の微生物。
- 微生物が、エシェリヒア属又はコリネバクテリウム属に属する微生物である、請求項5~7のいずれか1項に記載のテアニンの製造方法。
- 炭素源が糖である、請求項1又は2に記載の微生物。
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