JP6441806B2 - N−アセチルノイラミン酸及びn−アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法 - Google Patents
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Description
効率的なNeuAcの製造法としては、微生物を用いた製造法を挙げることができ、そのような例としては、GlcNAcエピメラーゼ、及び病原性大腸菌K1株由来のNeuAcシンセターゼを発現させた大腸菌を用いて、GlcNAcからManNAcを経てNeuAcを製造する方法(特許文献3)、並びにGlcNAc6リン酸エピメラーゼ、及び食中毒の原因微生物であるカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のNeuAcシンターゼを発現させた大腸菌を用いて、グリセロールを炭素源としてNeuAcを製造する方法 (特許文献4)が知られている。
非病原性微生物由来のNeuAcシンターゼとしては、ゲノム配列の情報からその存在が示唆されているが、実際にNeuAcシンターゼ活性を有するかは知られていない。たとえ、これらの非病原性微生物が活性を有するNeuAcシンターゼを有していたとしても、当該微生物は哺乳類の免疫系からの防御機構としてNeuAcを生成する必要がないので、NeuAcシンターゼ活性は弱いものと予測することができることから、微生物を用いたNeuAc又はNeuAc含有糖質の製造法において、非病原性微生物由来のNeuAcシンターゼを利用する動機付けはなかった。
(1)次の(i)〜(iii)、
(i)酵素源として、以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物の培養物、又は該培養物の処理物、
(ii)基質として、PEP及びManNAc又はGlcNAc、並びに
(iii)(ii)において、GlcNAcを基質として用いる場合は、さらに酵素源としてGlcNAcエピメラーゼを生産する微生物の培養物又は該培養物の処理物、
を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAcを生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法。
[1]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する変異蛋白質
[3]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質
(2)PEPが、上記(1)に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはPEPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させて得られるPEPである、上記(1)に記載の製造法。
(3)次の(i)〜(iii)、
(i)酵素源として、上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物、CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物、及びシアリルトランスフェラーゼを生産する微生物の培養物、又はそれらの培養物の処理物、
(ii)基質として、シチジン−5’−三リン酸(以下、CTPという。)、受容体糖質、PEP及びManNAc又はGlcNAc、並びに
(iii)(ii)において、GlcNAcを基質として用いる場合は、さらに酵素源としてGlcNAcエピメラーゼを生産する微生物の培養物、又は該培養物の処理物、
を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法。
(4)PEPが、上記(3)に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはPEPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させて得られるPEPである、上記(3)に記載の製造法。
(5)CTPが、上記(3)に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはCTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTP前駆物質、及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にCTPを生成、蓄積させて得られるCTPである、上記(3)又は(4)に記載の製造法。
(6)PEPを生成、蓄積する微生物が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、上記(2)、(4)、又は(5)のいずれか1つに記載の製造法。
(7)CTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、上記(5)に記載の製造法。
(8)上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物が、以下の[4]〜[6]のいずれかに記載のDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもNeuAcシンターゼ活性が増強された微生物である、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の製造法。
[4]上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA
[5]配列番号1又は3で表される塩基配列を有するDNA
[6]配列番号1又は3で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
(9)GlcNAcエピメラーゼを生産する微生物が、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもGlcNAcエピメラーゼ活性が増強された微生物である、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の製造法。
(10)CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物が、CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもCMP−NeuAcシンターゼ活性が増強された微生物である、上記(3)〜(7)のいずれか1つに記載の製造法。
(11)シアリルトランスフェラーゼを生産する微生物が、シアリルトランスフェラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもシアリルトランスフェラーゼ活性が増強された微生物である、上記(3)〜(7)のいずれか1つに記載の製造法。
(12)上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を培地に培養し、培養物中にNeuAcを生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法。
(13)上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を受容体糖質を含有する培地に培養し、培養物中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法。
(14)親株が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、上記(8)〜(13)のいずれか1つに記載の製造法。
また、本発明の製造法は、非病原性微生物由来のNeuAcシンターゼを利用することから、従来の病原性微生物由来のNeuAcシンターゼを利用するNeuAc及びNeuAc含有糖質の製造法よりも、消費者に与える不安を軽減することができる。
1.1 以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc又はNeuAc含有糖質の製造法には、NeuAcシンターゼを生産する微生物として、以下の
[1]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、
[2]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する変異蛋白質、又は
[3]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列と95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質
のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物を用いる。
NeuAcシンターゼ活性とは、ManNAc及びPEPを基質としてNeuAcを生成する活性をいう。
変異蛋白質とは、元となる蛋白質中のアミノ酸残基を人為的に欠失若しくは置換、又は該蛋白質中にアミノ酸残基を挿入若しくは付加して得られる蛋白質をいう。
上記[2]の変異蛋白質において、アミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたとは、同一配列中の任意の位置において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入または付加されていてもよい。欠失、置換、挿入又は付加されるアミノ酸の数は1〜20個、好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA、
[5]配列番号1又は3で表される塩基配列を有するDNA、
[6]配列番号1又は3で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA、又は
[7]配列番号1又は3で表される塩基配列と少なくとも95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
のいずれかに記載のDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもNeuAcシンターゼ活性が増強された微生物を挙げることができる。
上記において、ハイブリダイズするとは、特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部にDNAがハイブリダイズする工程である。したがって、該特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部の塩基配列は、ノーザンまたはサザンブロット解析のプローブとして有用であるか、またはPCR解析のオリゴヌクレオチドプライマーとして使用できる長さのDNAであってもよい。プローブとして用いるDNAとしては、少なくとも100塩基以上、好ましくは200塩基以上、より好ましくは500塩基以上のDNAをあげることができ、プライマーとして用いられるDNAとしては、少なくとも10塩基以上、好ましくは15塩基以上のDNAをあげることができる。
上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとしては、例えば上記したBLASTおよびFASTA等のプログラムを用いて、上記パラメータに基づいて計算したときに、配列番号1または3で表される塩基配列と少なくとも95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAをあげることができる。
上記の[4]〜[7]のいずれかに記載のDNAを有する組換え体DNAとは、該DNAが、親株において自律複製可能又は染色体中への組込が可能で、該DNAを転写できる位置にプロモーターを含有している発現ベクターに組み込まれている組換え体DNAをいう。
親株は、いずれの微生物であってもよいが、好ましくは、原核生物又は酵母菌株を、より好ましくは、エシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、若しくはシュードモナス属等に属する原核生物、又はサッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、クルイベロミセス属、トリコスポロン属、シワニオミセス属、ピチア属、若しくはキャンディダ属等に属する酵母菌株を、最も好ましくは、Escherichia coli XL1-Blue、Escherichia coli XL2-Blue、Escherichia coli DH1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.49、Escherichia coli W3110、Escherichia coli NY49、Escherichia coli BL21 codon plus(ストラタジーン社製)、Serratia ficaria、Serratia fonticola、Serratia liquefaciens、Serratiamarcescens、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、Brevibacterium immariophilum ATCC14068、Brevibacterium saccharolyticum ATCC14066、Corynebacterium ammoniagenes、Corynebacterium glutamicum ATCC13032、Corynebacterium glutamicum ATCC14067、Corynebacterium glutamicum ATCC13869、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC13870、Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354、若しくはPseudomonas sp. D-0110等の原核生物、又はSaccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces lactis、Trichosporon pullulans、Schwanniomyces alluvius、Pichia pastoris、若しくはCandida utilis等の酵母菌株を挙げることができる。
また、後述する1.5又は1.6の微生物も、本発明の製造法に用いられる微生物の親株として用いることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。該組換え体DNAにおいては、該DNAの発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
上記発現ベクターを用いる場合のプロモーターとしては、コリネ型細菌の細胞中で機能するものであればいかなるものでもよいが、例えば、P54-6プロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 53, 674-679 (2000)]を用いることができる。
上記発現ベクターを用いる場合のプロモーターとしては、酵母菌株の細胞中で機能するものであればいかなるものでもよいが、例えば、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、gal 1プロモーター、gal 10プロモーター、ヒートショックポリペプチドプロモーター、MFα1 プロモーター、CUP 1プロモーター等のプロモーターをあげることができる。
また、該微生物は、上記[2]の変異蛋白質を生産することにより、NeuAcシンターゼの比活性が増強した微生物であってもよい。
NeuAcシンターゼの比活性が増強したことを確認する方法としては、例えば、該変異蛋白質をコードするDNAで親株を形質転換して得られる形質転換株から該変異蛋白質を精製し、該蛋白質、ManNAc及びPEPを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中に生成、蓄積したNeuAcと該蛋白質量から比活性を測定し、同様に測定した変異が導入されていないNeuAcシンターゼの比活性と比較することにより確認することができる。
上記[4]のDNAのうち上記[1]の蛋白質をコードするDNA、及び上記[5]のDNAは、例えば、配列番号1または3で表される塩基配列に基づき設計することができるプローブDNAを用いた、微生物、好ましくは、ロドバクター属又はフラボバクテリウム属に属する微生物、より好ましくは、ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)NBRC16581株又はフラボバクテリウム・サイクロフィラム (Flavobacteriumpsychrophilum) NBRC 100250株の染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション、または該塩基配列に基づき設計することができるプライマーDNAを用いた、上記微生物の染色体DNAを鋳型としたPCR [PCR Protocols, Academic Press (1990)] により取得することができる。
上記[4]のDNAのうち上記[3]の相同蛋白質をコードするDNA、並びに上記[6]及び[7]のDNAは、例えば、各種の遺伝子配列データベースに対して配列番号1又は3で表される塩基配列と95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を検索し、又は、各種の蛋白質配列データベースに対して配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列と95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を検索し、該検索によって得られた塩基配列又はアミノ酸配列に基づいて設計することができるプローブDNA又はプライマーDNA、及び当該DNAを有する微生物を用いて、上記のDNAを取得する方法と同様の方法によって取得することができる。
または、目的の変異(欠失、置換、挿入又は付加)が導入されるように設計した塩基配列をそれぞれの5'端に持つ1組のPCRプライマーを用いたPCR[Gene, 77, 51 (1989)]によっても、上記の[2]のDNAを取得することができる。すなわち、まず該DNAの5'端に対応するセンスプライマーと、5'端に変異の配列と相補的な配列を有する、変異導入部位の直前(5'側)の配列に対応するアンチセンスプライマーで該DNAを鋳型にしてPCRを行い、該DNAの5'端から変異導入部位までの断片A(3'端に変異が導入されている)を増幅する。次いで、5'端に変異の配列を有する、変異導入部位の直後(3'側)の配列に対応するセンスプライマーと、該DNAの3'端に対応するアンチセンスプライマーで該DNAを鋳型にしてPCRを行い、5'端に変異が導入された該DNAの変異導入部位から3'端までの断片Bを増幅する。これらの増幅断片同士を精製後、混合して鋳型やプライマーを加えずにPCRを行うと、増幅断片Aのセンス鎖と増幅断片Bのアンチセンス鎖は変異導入部位が共通しているのでハイブリダイズし、プライマー兼鋳型としてPCRの反応が進行し、変異が導入されたDNAが増幅する。
組換え体DNAの導入方法としては、宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci.,USA, 69, 2110 (1972)]、プロトプラスト法(特開昭63-248394)、エレクトロポレーション法[Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]等をあげることができる。
更に、決定されたDNAの塩基配列に基づいて、パーセプティブ・バイオシステムズ社製8905型DNA合成装置等を用いて化学合成することにより目的とするDNAを調製することもできる。
このような組換え体DNAの例としては、後述するpRcneuB及びpFpneuBを挙げることができる。
組換え体DNAを親株において自立複製可能なプラスミドとして導入させる方法としては、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)]、プロトプラスト法(特開昭63-248394)、エレクトロポレーション法[Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]等の方法を挙げることができる。
このような微生物の例としては、後述するW3110/pRcneuB及びW3110/pFpneuBを挙げることができる。
1.2 CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法には、CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物を用いる。
CMP−NeuAcシンターゼ活性とは、CTP及びNeuAcを基質として、CMP−NeuAcを生成する活性をいう。
CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物の例としては、パスツレラ属(Pasteurella)に属する微生物、又は、CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもCMP−NeuAcシンターゼ活性が増強された微生物を挙げることができる。
CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAは、好ましくは細菌等の原核生物または酵母由来の、特に好ましくは原核生物由来の、最も好ましくは、パスツレラ・マルトシダ PM70株由来のCMP−NeuAcシンターゼをコードするDNA(特願2008-5794)を挙げることができる。
該DNAを有する組換え体DNAは、上記1.1に記載の方法に従って作成することができる。
該組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもCMP−NeuAcシンターゼ活性が増強された微生物は、上記1.1に記載の方法に従って造成することができる。
このような微生物の例としては、Escherichiacoli N18-14/pMnK1(特開2008-5794)を挙げることができる。
このとき、NeuAcシンターゼをコードするDNA及びCMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAは、同一の組換え体DNAに存在していてもよく、別々の組み換え体DNAに存在していてもよい。
1.3 シアリルトランスフェラーゼを生産する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法には、シアリルトランスフェラーゼを生産する微生物を用いる。
シアリルトランスフェラーゼ活性とは、CMP−NeuAc及び受容体糖質を基質として、NeuAc含有糖質を生成する活性をいう。
本発明の製造法において、基質として用いられる受容体糖質としては、シアリルトランスフェラーゼの基質になるものであれば、オリゴ糖、多糖、ならびに糖蛋白質および糖脂質等の複合糖質などいずれでもよい。
NeuAc含有糖質としては、上記した受容体糖質にNeuAcが付加した糖質、好ましくは、非還元末端にNeuAcα2−3Galβ1−4Glc、NeuAcα2−6Galβ1−4GlcおよびNeuAcα2−8NeuAcからなる群より選ばれる構造を有するオリゴ糖を含む糖質をあげることができ、より好ましくは3´‐シアリルラクトースまたは6´‐シアリルラクトースをあげることができる。
シアリルトランスフェラーゼをコードするDNAは、好ましくは細菌等の原核生物または酵母由来の、特に好ましくは原核生物由来の、最も好ましくは、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurellamultocida) PM70株由来のα-2,3-sialyltransferaseをコードするDNA (WO03/27297)、又はPhotobacterium damselae JT0160株由来のα-2,6-sialyltransferase (GenBank ACCESSION No. BAA25316)をコードするDNAなどを挙げることができる。
該DNAを有する組換え体DNAは、上記1.1に記載の方法に従って作成することができる。
上記の方法で造成した微生物が、親株よりもシアリルトランスフェラーゼ活性が増強された微生物であることは、上述の方法により、シアリルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAの転写量、該蛋白質の生産量、又は該蛋白質の比活性を、親株のそれと比較することにより確認することができる。
また、該微生物を、さらに上記1.1の[4]〜[7]のいずれかに記載のDNA、又はCMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで形質転換して得られる、親株よりも、NeuAcシンターゼ活性又はCMP−NeuAcシンターゼ活性が増強された微生物であってもよい。
1.4 GlcNAcエピメラーゼを生産する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc又はNeuAc含有糖質の製造法には、NeuAc又はNeuAc含有糖質の製造が、GlcNAcを基質として行われる場合には、GlcNAcエピメラーゼを生産する微生物を用いる。
GlcNAcエピメラーゼ活性とは、GlcNAcを基質として、エピメリ化反応により、ManNAcを生成する活性をいう。
GlcNAcエピメラーゼを生産する微生物の例としては、シネコシスティス属(Synechocystis)に属する微生物、又は、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもGlcNAcエピメラーゼ活性が増強された微生物を挙げることができる。
GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAは、好ましくは細菌等の原核生物または酵母由来の、特に好ましくは原核生物由来の、最も好ましくは、Synechocystis sp. PCC6803株由来の、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを挙げることができる。
該DNAを有する組換え体DNAは、上記1.1に記載の方法に従って作成することができる。
親株を、該組換え体DNAで形質転換して得られる、該親株よりもGlcNAcエピメラーゼ活性が増強された微生物は、上記1.1に記載の方法に従って造成することができる。
このような微生物の例としては、後述するW3110/pRcneuB2を挙げることができる。
1.5 PEPを生成、蓄積する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc又はNeuAc含有糖質の製造法では、基質であるPEPは、PEPを生成、蓄積する微生物によって供給されてもよい。
1.6 CTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法では、基質であるCTPは、CTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物によって供給されてもよい。
CTP前駆物質としては、微生物が代謝してCTPに変換できる物質であればいずれでもよく、好ましくはオロット酸、ウラシル、オロチジン、ウリジン、シトシン、シチジン、CMP、UTPおよびUMPをあげることができ、より好ましくはオロット酸およびCMP、さらに好ましくはオロット酸を挙げることができる。
1.7 上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物及び該微生物の造成法
本発明のNeuAcの発酵法による製造法には、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を用いる。
そのような微生物としては、糖を出発基質としてManNAcを生成する微生物である限りにおいて制限はないが、例えば、NeuAcを生産することが知られている、特許文献4の実施例4に記載されたSI2株を、又は、国際公開第WO2004/003175号パンフレットの実施例14に記載されたGlcNAc生産株である7107-607(2)、7107-660(1)、7107-660(4)、7107-661(1)、7107-661(2)又は7107-661(3)株等を親株として、上記1.1の方法により、上記1.4のGlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで形質転換して得られる微生物を挙げることができる。
1.8 上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物及び該微生物の造成法
本発明の発酵法によるNeuAc含有糖質の製造法には、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を用いる。
上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物としては、例えば、上記1.1の方法によって造成される特許文献5の実施例7に記載されたneuABC、CMP−NeuAcシンターゼ、及びバクテリアタイプのα(2,3)シアリルトランスフェラーゼを発現するプラスミドを有するE547株において、当該プラスミドが有するNeuAcシンターゼをコードするDNA(neuB)を上記1.1の[4]〜[7]のいずれかに記載のDNAに置き換えた微生物(以下、微生物Cという。)、又は上記1.1の[4]〜[7]のいずれかに記載されたDNA、上記1.4のGlcNAcエピメラーゼをコードするDNA、上記1.2のCMP−NeuAcシンターゼをコードするDNA及び上記1.4のシアリルトランスフェラーゼをコードするDNAを任意の組み合わせですべて有する1乃至4種類の組換え体DNAで、国際公開第WO2004/003175号パンフレットの実施例14に記載されたGlcNAc生産株である7107-607(2)、7107-660(1)、7107-660(4)、7107-661(1)、7107-661(2)又は7107-661(3)株等を形質転換した微生物を挙げることができる(7107-607(2)株を親株として造成された微生物を、微生物Dという。)。
2 本発明のNeuAcの製造法
2.1 PEP及びManNAcを基質として用いるNeuAcの製造法
本発明のNeuAcの製造法のうち、(i)酵素源として、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物(以下、2.1の微生物という。)の培養物、又は該培養物の処理物、(ii)基質として、PEP及びManNAc、を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAcを生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法について、以下説明する。
該微生物を培養する培地としては、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、該微生物の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、該微生物が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類等を用いることができる。
培養は、通常振盪培養または深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常5時間〜7日間である。培養中pHは3.0〜9.0に保持する。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行う。
本明細書において、培養物の処理物としては、上記の培養物の濃縮物、該培養物の乾燥物、該培養物を遠心分離、または濾過等して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、および該菌体の固定化物などの酵素源として該培養物と同様の機能を保持する生菌体を含んでいるもの、並びに該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物、当該処理した菌体から得られる粗酵素抽出物、および当該処理した菌体から得られる精製酵素を、好ましくは、上記の培養物の濃縮物、該培養物の乾燥物、該培養物を遠心分離、または濾過等して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、および該菌体の固定化物などの酵素源として該培養物と同様の機能を保持する生菌体を含んでいるもの、並びに該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物を、最も好ましくは、上記の培養物の濃縮物、該培養物の乾燥物、該培養物を遠心分離、または濾過等して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、および該菌体の固定化物などの酵素源として該培養物と同様の機能を保持する生菌体を含んでいるものをあげることができる。
ManNAc及びPEPの濃度は、0.1mM〜10Mであり、好ましくは1mM〜1Mである。
水性媒体としては、水、りん酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ほう酸塩、クエン酸塩、トリスなどの緩衝液、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトンなどのケトン類、アセトアミドなどのアミド類などをあげることができる。また、酵素源として用いた微生物の培養液を水性媒体として用いることができる。
エネルギー供与体としては、該微生物が代謝することができ、かつアデノシン‐5´‐三リン酸(以下ATPと略す)などのエネルギー物質を生産させることができる物質であればいずれでもよく、例えばグルコース、フルクトース、シュークロース、ラクトース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、N‐アセチルノイラミン酸等の炭水化物、ピルビン酸、乳酸、酢酸等の有機酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸、糖蜜、澱粉加水分解物等をあげることができる。
水性媒体中に生成したNeuAcの定量はDionex社製の糖分析装置などを用いて行うことができる〔Anal. Biochem., 189, 151 (1990)〕。反応液中に生成したNeuAcの採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法によって行うことができる。
2.2 PEP及びGlcNAcを基質として用いるNeuAcの製造法
本発明のNeuAcの製造法のうち、(i)酵素源として、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物、及びGlcNAcエピメラーゼを生産する微生物(これらの微生物を以下、2.2の微生物という。)の培養物、又は該培養物の処理物、(ii)基質として、PEP及びGlcNAc、を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAcを生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法について、以下説明する。
該微生物を培養する培地としては、上記2.1に記載の培地を用いることができる。
上記の培養により得られた微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、GlcNAc及びPEPを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAcを生成、蓄積させ、該媒体からNeuAcを採取することにより、NeuAcを製造することができる。
GlcNAcの濃度は、0.1mM〜10Mであり、好ましくは1mM〜1Mである。
水性媒体としては、上記2.1に記載の水性媒体を用いることができる。
上記のNeuAcの製造法に用いられる基質のPEPは、特に制限はなく、市販のPEPを用いてもよいし、2.2の微生物若しくは上記1.5の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたPEPを用いてもよい。さらにNeuAcを生成する反応とPEPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でPEPを生成させるとともに、NeuAcを生産することもできる。
エネルギー供与体としては、上記2.1に記載のエネルギー供与体を用いることができる。
エネルギー供与体の濃度は、上記2.1の記載と同じである。
2.3 発酵法によるNeuAcの製造法
本発明のNeuAcの製造法のうち、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を培地に培養し、培養物中にNeuAcを生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法について、以下説明する。
該微生物を培養する培地としては、上記2.1に記載の培地を用いることができる。
上記の培養により、培養物中にNeuAcを生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAcを採取することにより、NeuAcを製造することができる。
該培養物中からのNeuAcの採取は通常イオン交換樹脂法、沈殿法その他の公知の方法を組み合わせることにより実施できる。なお、菌体内にNeuAcが蓄積する場合には、例えば菌体を超音波などにより破砕し、遠心分離によって菌体を除去して得られる上清からイオン交換樹脂法などによって、NeuAcを採取することができる。
3 本発明のNeuAc含有糖質の製造法
3.1 CTP、受容体糖質、PEP、及びManNAcを基質として用いるNeuAc含有糖質の製造法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法のうち、(i)酵素源として、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物、CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物、及びシアリルトランスフェラーゼを生産する微生物(これらの微生物を以下、3.1の微生物という。)の培養物、又はそれらの培養物の処理物、(ii)基質として、CTP、受容体糖質、PEP及びManNAc、を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法について、以下説明する。
該微生物を培養する培地としては、上記2.1に記載の培地を用いることができる。
上記の培養により得られた微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、ManNAc、PEP、受容体糖質、及びCTPを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該媒体からNeuAc含有糖質を採取することにより、NeuAc含有糖質を製造することができる。
ManNAcの濃度は、上記2.1の記載と同じである。
受容体糖質の濃度は、1mM〜3Mであり、好ましくは50mM〜1Mである。
水性媒体としては、上記2.1に記載の水性媒体を用いることができる。
上記のNeuAc含有糖質の製造法に用いられる基質のPEPは、特に制限はなく、市販のPEPを用いてもよいし、3.1の微生物若しくは上記1.5の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたPEPを用いてもよい。さらにNeuAc含有糖質を生成する反応とPEPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でPEPを生成させるとともに、NeuAc含有糖質を生産することもできる。
上記のNeuAc含有糖質の製造法に用いられる基質のCTPは、特に制限はなく、市販のCTPを用いてもよいし、3.1の微生物若しくは上記1.6の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTP前駆物質、及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にCTPを生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたCTPを用いてもよい。さらにNeuAc含有糖質を生成する反応とCTPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でCTPを生成させるとともに、NeuAc含有糖質を生産することもできる。
3.1の微生物の親株に上記1.6の微生物を用いた場合や、3.1の微生物がNeuAc含有糖質の製造に十分なCTPを供給できる場合は、上記1.6の微生物を用いることを要しない。
エネルギー供与体としては、上記2.1に記載のエネルギー供与体を用いることができる。
水性媒体中に生成したNeuAc含有糖質の定量はDionex社製の糖分析装置などを用いて行うことができる〔Anal. Biochem., 189, 151 (1990)〕。反応液中に生成したNeuAc含有糖質の採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法によって行うことができる。
3.2 CTP、受容体糖質、PEP、及びGlcNAcを基質として用いるNeuAc含有糖質の製造法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法のうち、(i)酵素源として、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物、CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物、シアリルトランスフェラーゼを生産する微生物、及びGlcNAcエピメラーゼを生産する微生物(これらの微生物を以下、3.2の微生物という。)の培養物、又はそれらの培養物の処理物、(ii)基質として、CTP、受容体糖質、PEP及びGlcNAc、を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法について、以下説明する。
該微生物を培養する培地としては、上記2.1に記載の培地を用いることができる。
上記の培養により得られた微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、GlcNAc、PEP、受容体糖質、及びCTPを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該媒体からNeuAc含有糖質を採取することにより、NeuAc含有糖質を製造することができる。
GlcNAcの濃度は、上記2.2の記載と同じである。
受容体糖質の濃度は、上記3.1の記載と同じである。
水性媒体としては、上記2.1に記載の水性媒体を用いることができる。
上記のNeuAc含有糖質の製造法に用いられる基質のPEPは、特に制限はなく、市販のPEPを用いてもよいし、3.2の微生物若しくは上記1.5の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたPEPを用いてもよい。さらにNeuAc含有糖質を生成する反応とPEPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でPEPを生成させるとともに、NeuAc含有糖質を生産することもできる。
上記のNeuAc含有糖質の製造法に用いられる基質のCTPは、特に制限はなく、市販のCTPを用いてもよいし、3.2の微生物若しくは上記1.6の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTP前駆物質、及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にCTPを生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたCTPを用いてもよい。さらにNeuAc含有糖質を生成する反応とCTPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でCTPを生成させるとともに、NeuAc含有糖質を生産することもできる。
3.2の微生物の親株に上記1.6の微生物を用いた場合や、3.2の微生物がNeuAc含有糖質の製造に十分なCTPを供給できる場合は、上記1.6の微生物を用いることを要しない。
エネルギー供与体としては、上記2.1に記載のエネルギー供与体を用いることができる。
NeuAc含有糖質の定量方法及び採取方法は、上記3.1に記載の方法を用いることができる。
3.3 発酵法によるNeuAc含有糖質の製造法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法のうち、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を受容体糖質を含有する培地に培養し、培養物中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法について、以下説明する。
該微生物を培養する培地としては、上記2.1に記載の培地に受容体糖質を含む培地を用いることができる。
受容体糖質は、培養の最初に添加してもよく、培養の途中から必要に応じて添加してもよい。添加する受容体糖質の濃度は、10〜300g/lの濃度で用いられる。
NeuAc含有糖質の定量方法は、上記3.1に記載の方法を用いることができる。
該培養物中からのNeuAc含有糖質の採取は通常イオン交換樹脂法、沈殿法その他の公知の方法を組み合わせることにより実施できる。なお、菌体内にNeuAc含有糖質が蓄積する場合には、例えば菌体を超音波などにより破砕し、遠心分離によって菌体を除去して得られる上清からイオン交換樹脂法などによって、NeuAc含有糖質を採取することができる。
(1) ロドバクター・カプスラタス由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物の造成
ロドバクター・カプスラタスNBRC16581株を公知の方法[Arch Microbiol105, 207-216. 1975]により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製した。配列番号5及び6で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅したDNA断片を制限酵素KpnI及びHindIIIで切断し、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAを含む約1kbのDNA断片を精製した。
上記の3種類のDNA断片をライゲーションキットを用いて連結し、該連結反応液を用いてEscherichia coli W3110株を形質転換することにより、W3110/pRcneuBを造成した。
(2) フラボバクテリウム・サイクロフィラム由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物の造成
フラボバクテリウム・サイクロフィラム NBRC 100250株を公知の方法により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製した。配列番号9及び10で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅したDNA断片を制限酵素KpnI及びHindIIIで切断し、配列番号3で表される塩基配列からなるDNAを含む約1kbのDNA断片を精製した。
(3) PEP及びManNAcを基質として用いるNeuAcの製造
W3110/pRcneuB及びW3110/pFpneuBをアンピシリン50 mg/mlを含むLB培地[バクトトリプトン(ディフコ社製)10 g/l、酵母エキス(ディフコ社製)5 g/l、塩化ナトリウム5 g/l] 5 mlの入った太型試験管に接種し、30℃で16 時間培養した。該培養液をアンピシリン50 mg/mlを含むLB培地 50 ml の入ったバッフル付三角フラスコに10%接種し、30℃、220rpmで8時間培養した。該培養液 40ml分を遠心分離し湿菌体を取得した。
反応は12.5mMのManNAc、PEP (共にシグマ・アルドリッチ社製)を含む反応バッファーに前述した上清タンパク質液を終濃度0.25 mg/mlになるように添加して、30℃、330rpmで振とうすることによって行った。反応開始後90分が経過した時点で1/4量の6.7Mリン酸を添加することで反応を終了させた。
結果を表1に示す。
(1) ロドバクター・カプスラタス由来のNeuAcシンターゼをコードするDNA及びシアノバクテリア由来のGlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物の造成
シネコシスティス・エスピーPCC680株を公知の方法により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製した。配列番号11及び12で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅したDNA断片を制限酵素HindIIIで切断し、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを含む約1kbのDNA断片(以下、GlcNAcエピメラーゼ断片という。)を精製した。
上記の2種類のDNA断片をライゲーションキットを用いて連結し、該連結反応液を用いてEscherichia coli W3110株を形質転換した。該形質転換体のうち、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAがトリプトファンプロモーターの制御により発現する形質転換体をPCR法を用いて選択し、W3110/pRcneuB2を造成した。
(2) 本発明の製造法に用いる微生物を評価するための微生物の造成
本発明の製造法に用いる微生物を評価するため、既知の病原性微生物由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで形質転換した微生物を造成した。
W3110/pCjneuBから定法によって抽出したプラスミドpCjneuBをHindIIIで切断し、約4.1kbのDNA断片を精製した。
W3110/pEcneuBから定法によって抽出したプラスミドpEcneuBをSse8387Iで切断し、約4.1kbのDNA断片を精製した。
(3) PEP及びGlcNAcを基質として用いるNeuAcの製造
W3110/pRcneuB2、W3110/pCjneuB2、及びW3110/pEcneuB2をアンピシリン 50μg/mlを含むLB培地 50mlの入った300mL容バッフル付き三角フラスコに接種し、30℃で220rpmの条件で16時間培養した。該培養液30mlをグルコース 5g/l、酵母エキス(オリエンタル社製)5g/l、リン酸二水素カリウム 3g/l、リン酸水素二ナトリウム 6g/l、塩化アンモニウム 1g/L、硫酸マンガン五水和物 10mg/L、ウラシル 30mg/L、硫酸鉄七水和物0.2g/L、チアミン 8mg/L、硫酸マグネシウム七水和物 2.4 g/L、アンピシリン 50μg/mlの組成からなる液体培地(pH7.0)0.8Lの入った2.5L容培養槽に接種し、30℃で培養した。攪拌は600rpm、通気量1L/分の条件で培養を行った。培養中、28%アンモニア水を用いて、培養液のpHを7.0に維持した。また、培養途中で必要に応じてグルコースを添加した。培養開始後十分時間が経ち、OD 660nmが50を超えた段階で該培養液を用いて反応を行った。
なお、本反応においては、宿主の大腸菌がエネルギー供与体であるグルコースの存在下によりPEPを供給することができるので、NeuAcを生成する反応とPEPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でPEPを生成させるとともに、NeuAcを生産させることができた。
以上の結果から、ロドバクター・カプスラタス由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物を用いたNeuAcの製造法は、既知の病原性微生物由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物を用いたNeuAcの製造法と比較して、消費者の不安を軽減することができるだけではなく、より効率的にNeuAcを製造できることが示された。
上記1.7に記載の微生物A及び微生物Bを、それぞれLBプレート上で30℃にて一晩培養し、LB培地5mLが入った太型試験管に植菌して、30℃で12時間、振盪培養する。試験管生産培地[グルコース 30g/L、硫酸マグネシウム7水和物 0.5 g/L、イーストエキストラクト 2g/L、硫酸アンモニウム 20g/L、リン酸二水素カリウム 2 g/L、塩化ナトリウム0.6 g/L、チアミン塩酸塩 100mg/L、硫酸第一鉄七水和物 20 mg/L、硫酸マンガン五水和物 20 mg/L、水酸化ナトリウム溶液によりpH7.5に調整後、炭酸カルシウム 30 g/L、グルコースおよび硫酸マグネシウム7水和物水溶液は別途オートクレーブし、冷却した後混合]が5mL入った太型試験管に0.5mL植菌し、30℃で48時間、振盪培養する。
上記1.7に記載の微生物Cを、それぞれLBプレート上で30℃にて一晩培養し、LB培地5mLが入った太型試験管に植菌して、30℃で12時間、振盪培養する。試験管生産培地[グルコース 30g/L、ラクトース 30g/L、硫酸マグネシウム7水和物 0.5 g/L、イーストエキストラクト 2g/L、硫酸アンモニウム 20g/L、リン酸二水素カリウム 2 g/L、塩化ナトリウム0.6 g/L、チアミン塩酸塩 100mg/L、硫酸第一鉄七水和物 20 mg/L、硫酸マンガン五水和物 20 mg/L、水酸化ナトリウム溶液によりpH7.5に調整後、炭酸カルシウム 30 g/L、グルコースおよび硫酸マグネシウム7水和物水溶液は別途オートクレーブし、冷却した後混合]が5mL入った太型試験管に0.5mL植菌し、30℃で48時間、振盪培養する。
配列番号6−人工配列の説明:合成DNA
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
配列番号9−人工配列の説明:合成DNA
配列番号10−人工配列の説明:合成DNA
配列番号11−人工配列の説明:合成DNA
配列番号12−人工配列の説明:合成DNA
配列番号13−人工配列の説明:合成DNA
配列番号14−人工配列の説明:合成DNA
配列番号15−人工配列の説明:合成DNA
配列番号16−人工配列の説明:合成DNA
配列番号17−人工配列の説明:合成DNA
配列番号18−人工配列の説明:合成DNA
Claims (14)
- 次の(i)〜(iii)、
(i)酵素源として、以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物の培養物、又は該培養物の処理物、
(ii)基質として、ホスホエノールピルビン酸(以下、PEPという。)及びN−アセチルマンノサミン(以下、ManNAcという。)又はN−アセチルグルコサミン(以下、GlcNAcという。)、並びに
(iii)(ii)において、GlcNAcを基質として用いる場合は、さらに酵素源としてN−アセチルグルコサミン−2−エピメラーゼ(以下、GlcNAcエピメラーゼという。)を生産する微生物の培養物又は該培養物の処理物、
を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にN−アセチルノイラミン酸(以下、NeuAcという。)を生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法。
[1]配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する変異蛋白質
[3]配列番号2で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質 - PEPが、請求項1に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはPEPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させて得られるPEPである、請求項1に記載の製造法。
- 次の(i)〜(iii)、
(i)酵素源として、請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物、シチジン−5’−一リン酸−N−アセチルノイラミン酸シンターゼ(以下、CMP−NeuAcシンターゼという。)を生産する微生物、及びシアリルトランスフェラーゼを生産する微生物の培養物、又はそれらの培養物の処理物、
(ii)基質として、シチジン−5’−三リン酸(以下、CTPという。)、受容体糖質、PEP及びManNAc又はGlcNAc、並びに
(iii)(ii)において、GlcNAcを基質として用いる場合は、さらに酵素源としてGlcNAcエピメラーゼを生産する微生物の培養物、又は該培養物の処理物、
を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法。 - PEPが、請求項3に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはPEPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させて得られるPEPである、請求項3に記載の製造法。
- CTPが、請求項3に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはCTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTP前駆物質、及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にCTPを生成、蓄積させて得られるCTPである、請求項3又は4に記載の製造法。
- PEPを生成、蓄積する微生物が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、請求項2、4、又は5のいずれか1項に記載の製造法。
- CTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、請求項5に記載の製造法。
- 請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物が、以下の[4]〜[6]のいずれかに記載のDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもNeuAcシンターゼ活性が増強された微生物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造法。
[4]請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA
[5]配列番号1で表される塩基配列を有するDNA
[6]配列番号1で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA - GlcNAcエピメラーゼを生産する微生物が、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもGlcNAcエピメラーゼ活性が増強された微生物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造法。
- CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物が、CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもCMP−NeuAcシンターゼ活性が増強された微生物である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の製造法。
- シアリルトランスフェラーゼを生産する微生物が、シアリルトランスフェラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもシアリルトランスフェラーゼ活性が増強された微生物である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の製造法。
- 請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を培地に培養し、培養物中にNeuAcを生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法。
- 請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を受容体糖質を含有する培地に培養し、培養物中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質
の製造法。 - 親株が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、請求項8〜13のいずれか1項に記載の製造法。
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