JP6441806B2 - N−アセチルノイラミン酸及びn−アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法 - Google Patents

N−アセチルノイラミン酸及びn−アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法 Download PDF

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Description

本発明は、微生物、微生物の培養物、又は該培養物の処理物を用いたN−アセチルノイラミン酸(以下、NeuAcという。)及びNeuAc含有糖質の効率的な製造法に関する。
酵素を用いたNeuAc製造法としては、NeuAcアルドラーゼを酵素として、ピルビン酸及びN−アセチルマンノサミン(以下、ManNAcという。)を基質として用いる製造法(非特許文献1及び2)、アルカリ条件下で、NeuAc酸アルドラーゼを酵素として、ピルビン酸及びN−アセチルグルコサミン(以下、GlcNAcという。)を基質として用いる製造法(特許文献1)、NeuAc酸アルドラーゼ及びN−アセチルグルコサミン−2−エピメラーゼ(以下、GlcNAcエピメラーゼという。)を酵素として、ピルビン酸及びGlcNAcを基質として用いる製造法(非特許文献3及び4)、並びにNeuAcシンセターゼを酵素として、ホスホエノールピルビン酸(以下、PEPという。)及びManNAcを基質として用いる製造法(特許文献2及び非特許文献5)が知られている。
しかしながら、上記の酵素を用いたNeuAcの製造法はいずれも、操作が煩雑である。
効率的なNeuAcの製造法としては、微生物を用いた製造法を挙げることができ、そのような例としては、GlcNAcエピメラーゼ、及び病原性大腸菌K1株由来のNeuAcシンセターゼを発現させた大腸菌を用いて、GlcNAcからManNAcを経てNeuAcを製造する方法(特許文献3)、並びにGlcNAc6リン酸エピメラーゼ、及び食中毒の原因微生物であるカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のNeuAcシンターゼを発現させた大腸菌を用いて、グリセロールを炭素源としてNeuAcを製造する方法 (特許文献4)が知られている。
また、微生物を用いたNeuAc含有糖質の製造法としては、シチジン−5’−一リン酸−N−アセチルノイラミン酸シンターゼ(以下、CMP−NeuAcシンターゼという。)、シアリルトランスフェラーゼ、及びカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacterjejuni)由来のNeuAcシンセターゼを発現させた大腸菌を用いた、グルコース及びラクトースからシアリルラクトースを製造する方法(特許文献5)が知られている。
NeuAcシンターゼとしては、上記の病原性微生物由来の酵素以外にも、B群レンサ球菌ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)由来の酵素、髄膜炎菌ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)由来の酵素が実際にNeuAcシンターゼ活性を有することが確認されている。これらのNeuAcシンターゼは、いずれも病原性微生物由来である。
そもそも、NeuAcは哺乳類が有する糖であり、微生物が哺乳類の免疫系からの防御機構としてNeuAcを生成することからも、これまで実際に活性を有することが確認されたNeuAc酸シンターゼが、全て哺乳類等に感染能をもつ病原性微生物由来であることは理解できる。
非病原性微生物由来のNeuAcシンターゼとしては、ゲノム配列の情報からその存在が示唆されているが、実際にNeuAcシンターゼ活性を有するかは知られていない。たとえ、これらの非病原性微生物が活性を有するNeuAcシンターゼを有していたとしても、当該微生物は哺乳類の免疫系からの防御機構としてNeuAcを生成する必要がないので、NeuAcシンターゼ活性は弱いものと予測することができることから、微生物を用いたNeuAc又はNeuAc含有糖質の製造法において、非病原性微生物由来のNeuAcシンターゼを利用する動機付けはなかった。
米国特許第5,665,574号公報 特開平10−4961号公報 特開2001−136982号公報 国際公開第WO2008/040717号パンフレット 国際公開第WO2012/112777号パンフレット
J. Am. Chem. Soc. (1988), Vol.110, p.6481-6486 J. Am. Chem. Soc. (1988), Vol.110, p.7159-7163 Angew. Chem. Int. Ed. Eng. (1991), Vol.30, p.827-828 Carbohydrate Research (1998), Vol.306, p.575-578 Glycobiology (1997), Vol. 7, p.697-701
本発明の課題は、微生物、微生物の培養物、又は該培養物の処理物を用いた効率的なNeuAc及びNeuAc含有糖質の製造法を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(14)に関する。
(1)次の(i)〜(iii)、
(i)酵素源として、以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物の培養物、又は該培養物の処理物、
(ii)基質として、PEP及びManNAc又はGlcNAc、並びに
(iii)(ii)において、GlcNAcを基質として用いる場合は、さらに酵素源としてGlcNAcエピメラーゼを生産する微生物の培養物又は該培養物の処理物、
を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAcを生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法。
[1]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する変異蛋白質
[3]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質
(2)PEPが、上記(1)に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはPEPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させて得られるPEPである、上記(1)に記載の製造法。
(3)次の(i)〜(iii)、
(i)酵素源として、上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物、CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物、及びシアリルトランスフェラーゼを生産する微生物の培養物、又はそれらの培養物の処理物、
(ii)基質として、シチジン−5’−三リン酸(以下、CTPという。)、受容体糖質、PEP及びManNAc又はGlcNAc、並びに
(iii)(ii)において、GlcNAcを基質として用いる場合は、さらに酵素源としてGlcNAcエピメラーゼを生産する微生物の培養物、又は該培養物の処理物、
を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法。
(4)PEPが、上記(3)に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはPEPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させて得られるPEPである、上記(3)に記載の製造法。
(5)CTPが、上記(3)に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはCTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTP前駆物質、及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にCTPを生成、蓄積させて得られるCTPである、上記(3)又は(4)に記載の製造法。
(6)PEPを生成、蓄積する微生物が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、上記(2)、(4)、又は(5)のいずれか1つに記載の製造法。
(7)CTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、上記(5)に記載の製造法。
(8)上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物が、以下の[4]〜[6]のいずれかに記載のDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもNeuAcシンターゼ活性が増強された微生物である、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の製造法。
[4]上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA
[5]配列番号1又は3で表される塩基配列を有するDNA
[6]配列番号1又は3で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
(9)GlcNAcエピメラーゼを生産する微生物が、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもGlcNAcエピメラーゼ活性が増強された微生物である、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の製造法。
(10)CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物が、CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもCMP−NeuAcシンターゼ活性が増強された微生物である、上記(3)〜(7)のいずれか1つに記載の製造法。
(11)シアリルトランスフェラーゼを生産する微生物が、シアリルトランスフェラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもシアリルトランスフェラーゼ活性が増強された微生物である、上記(3)〜(7)のいずれか1つに記載の製造法。
(12)上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を培地に培養し、培養物中にNeuAcを生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法。
(13)上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を受容体糖質を含有する培地に培養し、培養物中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法。
(14)親株が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、上記(8)〜(13)のいずれか1つに記載の製造法。
本発明により、微生物、該微生物の培養物、又は該培養物の処理物を用いた効率的なNeuAc及びNeuAc含有糖質の製造法が提供される。
また、本発明の製造法は、非病原性微生物由来のNeuAcシンターゼを利用することから、従来の病原性微生物由来のNeuAcシンターゼを利用するNeuAc及びNeuAc含有糖質の製造法よりも、消費者に与える不安を軽減することができる。
微生物を用いたNeuAcの製造において、反応時間(横軸、単位は時間を表す)に対するNeuAcの生成量(縦軸、単位はg/Lを表す)を示す図である。
1 本発明のNeuAcの製造法に用いられる微生物
1.1 以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc又はNeuAc含有糖質の製造法には、NeuAcシンターゼを生産する微生物として、以下の
[1]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、
[2]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する変異蛋白質、又は
[3]配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列と95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質
のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物を用いる。
NeuAcシンターゼとは、NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質をいう。
NeuAcシンターゼ活性とは、ManNAc及びPEPを基質としてNeuAcを生成する活性をいう。
変異蛋白質とは、元となる蛋白質中のアミノ酸残基を人為的に欠失若しくは置換、又は該蛋白質中にアミノ酸残基を挿入若しくは付加して得られる蛋白質をいう。
相同蛋白質とは、元となる蛋白質と構造および機能が類似することにより、その蛋白質をコードする遺伝子が進化上の起源を元の蛋白質をコードする遺伝子と同一にすると考えられる蛋白質であって、自然界に存在する生物が有する蛋白質をいう。
上記[2]の変異蛋白質において、アミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたとは、同一配列中の任意の位置において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入または付加されていてもよい。欠失、置換、挿入又は付加されるアミノ酸の数は1〜20個、好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個である。
欠失、置換、挿入又は付加されるアミノ酸は天然型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸としては、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−アルギニン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−システインなどがあげられる。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。
上記の変異蛋白質又は相同蛋白質が、NeuAcシンターゼ活性を有していることは、後述する方法により該蛋白質をコードするDNAを有する組換え体DNAを作製し、該組換え体DNAでNeuAcシンターゼ活性を有さない微生物、例えばエシェリヒア・コリW3110株を形質転換して得られる微生物を培養し、得られる培養物から該蛋白質を含む細胞抽出液を調製し、該画分を基質であるManNAc及びPEPと接触させ、結果として生成するNeuAcを高速クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーによって検出することで確認することができる。
上記の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物の例としては、ロドバクター属に属する微生物、フラボバクテリウム属に属する微生物、及び以下の
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA、
[5]配列番号1又は3で表される塩基配列を有するDNA、
[6]配列番号1又は3で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA、又は
[7]配列番号1又は3で表される塩基配列と少なくとも95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
のいずれかに記載のDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもNeuAcシンターゼ活性が増強された微生物を挙げることができる。
ロドバクター属に属する微生物としては、好ましくは、ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)NBRC16581株を挙げることができる。フラボバクテリウム属に属する微生物としては、好ましくは、フラボバクテリウム・サイクロフィラム(Flavobacteriumpsychrophilum) NBRC 100250株を挙げることができる。
上記において、ハイブリダイズするとは、特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部にDNAがハイブリダイズする工程である。したがって、該特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部の塩基配列は、ノーザンまたはサザンブロット解析のプローブとして有用であるか、またはPCR解析のオリゴヌクレオチドプライマーとして使用できる長さのDNAであってもよい。プローブとして用いるDNAとしては、少なくとも100塩基以上、好ましくは200塩基以上、より好ましくは500塩基以上のDNAをあげることができ、プライマーとして用いられるDNAとしては、少なくとも10塩基以上、好ましくは15塩基以上のDNAをあげることができる。
DNAのハイブリダイゼーション実験の方法はよく知られており、例えばモレキュラー・クローニング第2版、第3版(2001年)、Methods for General and Molecular Bacteriology, ASM Press(1994)、Immunology methods manual, Academic press(Molecular)に記載の他、多数の他の標準的な教科書に従ってハイブリダイゼーションの条件を決定し、実験を行うことができる。
また、市販のハイブリダイゼーションキットに付属した説明書に従うことによっても、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを取得することができる。市販のハイブリダイゼーションキットとしては、例えばランダムプライム法によりプローブを作製し、ストリンジェントな条件でハイブリダイゼーションを行うランダムプライムドDNAラベリングキット(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)などをあげることができる。
上記のストリンジェントな条件とは、例えばDNAを固定化したフィルターとプローブDNAとを50%ホルムアミド、5×SSC(750 mMの塩化ナトリウム、75 mMのクエン酸ナトリウム)、50 mMのリン酸ナトリウム(pH 7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン、および20 μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で42 ℃で一晩、インキュベートした後、例えば約65 ℃の0.2×SSC溶液中で該フィルターを洗浄する条件をあげることができる。
上記した様々な条件は、ハイブリダイゼーション実験のバックグラウンドを抑えるために用いるブロッキング試薬を添加、または変更することにより設定することもできる。上記したブロッキング試薬の添加は、条件を適合させるために、ハイブリダイゼーション条件の変更を伴ってもよい。
上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとしては、例えば上記したBLASTおよびFASTA等のプログラムを用いて、上記パラメータに基づいて計算したときに、配列番号1または3で表される塩基配列と少なくとも95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAをあげることができる。
また、該蛋白質をコードする部分の塩基配列を宿主の発現に最適なコドンとなるように塩基を置換することにより、該DNAがコードする蛋白質の発現量を向上させることができる。本発明の製造法に用いられる親株におけるコドン使用頻度の情報は、公共のデータベースを通じて入手することができる。
上記の[4]〜[7]のいずれかに記載のDNAを有する組換え体DNAとは、該DNAが、親株において自律複製可能又は染色体中への組込が可能で、該DNAを転写できる位置にプロモーターを含有している発現ベクターに組み込まれている組換え体DNAをいう。
親株とは、遺伝子改変及び形質転換等の対象となる元株のことをいう。遺伝子導入による形質転換の対象となる元株は宿主株ともいう。
親株は、いずれの微生物であってもよいが、好ましくは、原核生物又は酵母菌株を、より好ましくは、エシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、若しくはシュードモナス属等に属する原核生物、又はサッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、クルイベロミセス属、トリコスポロン属、シワニオミセス属、ピチア属、若しくはキャンディダ属等に属する酵母菌株を、最も好ましくは、Escherichia coli XL1-Blue、Escherichia coli XL2-Blue、Escherichia coli DH1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.49、Escherichia coli W3110、Escherichia coli NY49、Escherichia coli BL21 codon plus(ストラタジーン社製)、Serratia ficariaSerratia fonticolaSerratia liquefaciensSerratiamarcescensBacillus subtilisBacillus amyloliquefaciensBrevibacterium immariophilum ATCC14068、Brevibacterium saccharolyticum ATCC14066、Corynebacterium ammoniagenesCorynebacterium glutamicum ATCC13032、Corynebacterium glutamicum ATCC14067、Corynebacterium glutamicum ATCC13869、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC13870、Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354、若しくはPseudomonas sp. D-0110等の原核生物、又はSaccharomyces cerevisiaeSchizosaccharomyces pombeKluyveromyces lactisTrichosporon pullulansSchwanniomyces alluviusPichia pastoris、若しくはCandida utilis等の酵母菌株を挙げることができる。
該親株は、NeuAcの分解活性が低下した微生物細胞を用いるのが好ましい。そのような微生物としては、例えばNeuAcリアーゼ活性が低下した微生物をあげることができ、具体的には、Escherichia coli NAN8-71 (FERMBP-7908, WO03/72783)をあげることができる。
また、後述する1.5又は1.6の微生物も、本発明の製造法に用いられる微生物の親株として用いることができる。
細菌等の原核生物を親株として用いる場合は、該組換え体DNAは、プロモーター、リボソーム結合配列、上記の[4]〜[7]のいずれかに記載のDNA、及び転写終結配列により構成された組換え体DNAであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。該組換え体DNAにおいては、該DNAの発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
親株にエシェリヒア属に属する微生物を用いる場合は、発現ベクターとしては、例えば、pColdI(タカラバイオ社製)、pCDF-1b、pRSF-1b(いずれもノバジェン社製)、pMAL-c2x(ニューイングランドバイオラブス社製)、pGEX-4T-1(ジーイーヘルスケアバイオサイエンス社製)、pTrcHis(インビトロジェン社製)、pSE280(インビトロジェン社製)、pGEMEX-1(プロメガ社製)、pQE-30(キアゲン社製)、pET-3(ノバジェン社製)、pKYP10(特開昭58-110600)、pKYP200[Agric. Biol. Chem., 48, 669(1984)]、pLSA1[Agric. Biol. Chem., 53, 277 (1989)]、pGEL1[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 82, 4306 (1985)]、pBluescriptII SK(+)、pBluescript II KS(-)(ストラタジーン社製)、pTrS30 [エシェリヒア・コリ JM109/pTrS30(FERM BP-5407)より調製]、pTrS32 [エシェリヒア・コリJM109/pTrS32(FERM BP-5408)より調製]、pTK31[APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY、 2007、 Vol. 73、No. 20、p.6378-6385] pPAC31 (WO98/12343)、pUC19 [Gene, 33, 103 (1985)]、pSTV28(タカラバイオ社製)、pUC118(タカラバイオ社製)、pPA1(特開昭63-233798)等を挙げることができる。
上記発現ベクターを用いる場合のプロモーターとしては、エシェリヒア属に属する微生物の細胞中で機能するものであればいかなるものでもよいが、例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、エシェリヒア・コリやファージ等に由来するプロモーターを用いることができる。また、Ptrpを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーターも用いることもできる。
親株にコリネ型細菌を用いる場合は、発現ベクターとしては、例えば、pCG1(特開昭57-134500)、pCG2(特開昭58-35197)、pCG4(特開昭57-183799)、pCG11(特開昭57-134500)、pCG116、pCE54、pCB101(いずれも特開昭58-105999)、pCE51、pCE52、pCE53〔いずれもMolecular and General Genetics, 196, 175 (1984)〕等を挙げることがきる。
上記発現ベクターを用いる場合のプロモーターとしては、コリネ型細菌の細胞中で機能するものであればいかなるものでもよいが、例えば、P54-6プロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 53, 674-679 (2000)]を用いることができる。
親株に酵母菌株を用いる場合には、発現ベクターとしては、例えば、YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37419)、pHS19、pHS15等を挙げることができる。
上記発現ベクターを用いる場合のプロモーターとしては、酵母菌株の細胞中で機能するものであればいかなるものでもよいが、例えば、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、gal 1プロモーター、gal 10プロモーター、ヒートショックポリペプチドプロモーター、MFα1 プロモーター、CUP 1プロモーター等のプロモーターをあげることができる。
親株を、該組換え体DNAで形質転換して得られる、該親株よりもNeuAcシンターゼ活性が増強された微生物とは、該組換え体DNAが、親株において自立複製可能なプラスミドとして導入されることにより、又は親株の染色体中に組み込まれることにより、該DNAの転写量若しくは該DNAがコードする蛋白質の生産量が増大した微生物をいう。
また、該微生物は、上記[2]の変異蛋白質を生産することにより、NeuAcシンターゼの比活性が増強した微生物であってもよい。
上記[4]〜[7]のいずれかに記載のDNAの転写量若しくは該DNAがコードする蛋白質の生産量が増大したことを確認する方法としては、例えば、該DNAの転写量を、ノーザン・ブロッティングにより、又は該蛋白質の生産量をウェスタン・ブロッティングにより、親株のそれと比較することにより確認することができる。
NeuAcシンターゼの比活性が増強したことを確認する方法としては、例えば、該変異蛋白質をコードするDNAで親株を形質転換して得られる形質転換株から該変異蛋白質を精製し、該蛋白質、ManNAc及びPEPを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中に生成、蓄積したNeuAcと該蛋白質量から比活性を測定し、同様に測定した変異が導入されていないNeuAcシンターゼの比活性と比較することにより確認することができる。
親株を、上記[4]〜[7]のいずれかに記載のDNAを有する組換え体DNAで形質転換して得られる、該親株よりもNeuAcシンターゼ活性が増強された微生物は、以下の方法で造成することができる。
上記[4]のDNAのうち上記[1]の蛋白質をコードするDNA、及び上記[5]のDNAは、例えば、配列番号1または3で表される塩基配列に基づき設計することができるプローブDNAを用いた、微生物、好ましくは、ロドバクター属又はフラボバクテリウム属に属する微生物、より好ましくは、ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)NBRC16581株又はフラボバクテリウム・サイクロフィラム (Flavobacteriumpsychrophilum) NBRC 100250株の染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション、または該塩基配列に基づき設計することができるプライマーDNAを用いた、上記微生物の染色体DNAを鋳型としたPCR [PCR Protocols, Academic Press (1990)] により取得することができる。
ロドバクター・カプスラタスNBRC16581株及びフラボバクテリウム・サイクロフィラムNBRC 100250株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター(NITE Biological Resource Center)から入手することができる。
上記[4]のDNAのうち上記[3]の相同蛋白質をコードするDNA、並びに上記[6]及び[7]のDNAは、例えば、各種の遺伝子配列データベースに対して配列番号1又は3で表される塩基配列と95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を検索し、又は、各種の蛋白質配列データベースに対して配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列と95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を検索し、該検索によって得られた塩基配列又はアミノ酸配列に基づいて設計することができるプローブDNA又はプライマーDNA、及び当該DNAを有する微生物を用いて、上記のDNAを取得する方法と同様の方法によって取得することができる。
上記[4]のDNAのうち上記[2]の変異蛋白質をコードするDNAは、例えば、配列番号1又は3で表される塩基配列からなるDNAを鋳型としてエラープローンPCR等に供することにより取得することができる。
または、目的の変異(欠失、置換、挿入又は付加)が導入されるように設計した塩基配列をそれぞれの5'端に持つ1組のPCRプライマーを用いたPCR[Gene, 77, 51 (1989)]によっても、上記の[2]のDNAを取得することができる。すなわち、まず該DNAの5'端に対応するセンスプライマーと、5'端に変異の配列と相補的な配列を有する、変異導入部位の直前(5'側)の配列に対応するアンチセンスプライマーで該DNAを鋳型にしてPCRを行い、該DNAの5'端から変異導入部位までの断片A(3'端に変異が導入されている)を増幅する。次いで、5'端に変異の配列を有する、変異導入部位の直後(3'側)の配列に対応するセンスプライマーと、該DNAの3'端に対応するアンチセンスプライマーで該DNAを鋳型にしてPCRを行い、5'端に変異が導入された該DNAの変異導入部位から3'端までの断片Bを増幅する。これらの増幅断片同士を精製後、混合して鋳型やプライマーを加えずにPCRを行うと、増幅断片Aのセンス鎖と増幅断片Bのアンチセンス鎖は変異導入部位が共通しているのでハイブリダイズし、プライマー兼鋳型としてPCRの反応が進行し、変異が導入されたDNAが増幅する。
取得した上記の[4]〜[7]のいずれかに記載のDNAは、そのまま、あるいは適当な制限酵素などで切断し、常法によりベクターに組み込み、得られた組換え体DNAを宿主細胞に導入した後、通常用いられる塩基配列解析方法、例えばジデオキシ法 [Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 74, 5463 (1977)]または3700 DNAアナライザー(アプライドバイオシステムズ社製)等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより、該DNAの塩基配列を決定することができる。
上記の宿主細胞としては、例えば、Escherichia coli XL1-Blue、Escherichia coli XL2-Blue、Escherichia coli DH1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.49、Escherichia coli W3110、Escherichia coli NY49、Escherichia coli MP347、Escherichia coli NM522等を挙げることができる。
上記のベクターとしては、pBluescriptIIKS(+)(ストラタジーン社製)、pDIRECT [Nucleic Acids Res., 18, 6069 (1990)]、pCR-Script Amp SK(+)(ストラタジーン社製)、pT7Blue(ノバジェン社製)、pCR II(インビトロジェン社製)およびpCR-TRAP(ジーンハンター社製)などをあげることができる。
組換え体DNAの導入方法としては、宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci.,USA, 69, 2110 (1972)]、プロトプラスト法(特開昭63-248394)、エレクトロポレーション法[Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]等をあげることができる。
塩基配列を決定した結果、取得されたDNAが部分長であった場合は、該部分長DNAをプローブに用いた、染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション法等により、全長DNAを取得することができる。
更に、決定されたDNAの塩基配列に基づいて、パーセプティブ・バイオシステムズ社製8905型DNA合成装置等を用いて化学合成することにより目的とするDNAを調製することもできる。
該DNA断片を適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、本発明の製造法に用いられる微生物が有する組換え体DNAを作製することができる。
このような組換え体DNAの例としては、後述するpRcneuB及びpFpneuBを挙げることができる。
組換え体DNAを親株において自立複製可能なプラスミドとして導入させる方法としては、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)]、プロトプラスト法(特開昭63-248394)、エレクトロポレーション法[Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]等の方法を挙げることができる。
組換え体DNAを親株の染色体中に組み込む方法としては、相同組換え法を挙げえることができる。例えば、相同組換え法としては、導入したい宿主細胞内では自律複製できない薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドDNAと連結して作製できる相同組換え用プラスミドを用いる方法を挙げることができ、エシェリヒア・コリで頻用される相同組換えを利用した方法としては、ラムダファージの相同組換え系を利用して、組換え体DNAを導入する方法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97, 6641-6645(2000)]をあげることができる。
さらに、組換え体DNAと共に染色体上に組み込まれた枯草菌レバンシュークラーゼによって大腸菌がシュークロース感受性となることを利用した選択法や、ストレプトマイシン耐性の変異rpsL遺伝子を有する大腸菌に野生型rpsL遺伝子を組み込むことによって大腸菌がストレプトマイシン感受性となることを利用した選択法[Mol. Microbiol., 55, 137(2005), Biosci. Biotechnol. Biochem., 71, 2905 (2007)]等を用いて、親株の染色体DNA上の目的の領域が組換え体DNAに置換された微生物を取得することができる。
上記の方法で造成した微生物が、親株よりもNeuAcシンターゼ活性が増強された微生物であることは、上述の方法により、上記[4]〜[7]のいずれかに記載のDNAの転写量、該DNAがコードする蛋白質の生産量、又は該蛋白質の比活性を、親株のそれと比較することにより確認することができる。
このような微生物の例としては、後述するW3110/pRcneuB及びW3110/pFpneuBを挙げることができる。
1.2 CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法には、CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物を用いる。
CMP−NeuAcシンターゼとは、CMP−NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質をいう。
CMP−NeuAcシンターゼ活性とは、CTP及びNeuAcを基質として、CMP−NeuAcを生成する活性をいう。
CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物の例としては、パスツレラ属(Pasteurella)に属する微生物、又は、CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもCMP−NeuAcシンターゼ活性が増強された微生物を挙げることができる。
パスツレラ属(Pasteurella)に属する微生物に属する微生物としては、好ましくは、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurellamultocida) PM70株を挙げることができる。
CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAは、好ましくは細菌等の原核生物または酵母由来の、特に好ましくは原核生物由来の、最も好ましくは、パスツレラ・マルトシダ PM70株由来のCMP−NeuAcシンターゼをコードするDNA(特願2008-5794)を挙げることができる。
例えば、パスツレラ・マルトシダ PM70株由来のCMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAは、特願2008-5794に記載された方法で取得することができる。
該DNAを有する組換え体DNAは、上記1.1に記載の方法に従って作成することができる。
該組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもCMP−NeuAcシンターゼ活性が増強された微生物は、上記1.1に記載の方法に従って造成することができる。
上記の方法で造成した微生物が、親株よりもCMP−NeuAcシンターゼ活性が増強された微生物であることは、上述の方法により、CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAの転写量、該蛋白質の生産量、又は該蛋白質の比活性を、親株のそれと比較することにより確認することができる。
このような微生物の例としては、Escherichiacoli N18-14/pMnK1(特開2008-5794)を挙げることができる。
また、該微生物を、さらに上記1.1の[4]〜[7]のいずれかに記載のDNAからなる群より選ばれるDNAを有する組換え体DNAで形質転換して得られる、親株よりもNeuAcシンターゼ活性が増強された微生物であってもよい。
このとき、NeuAcシンターゼをコードするDNA及びCMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAは、同一の組換え体DNAに存在していてもよく、別々の組み換え体DNAに存在していてもよい。
1.3 シアリルトランスフェラーゼを生産する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法には、シアリルトランスフェラーゼを生産する微生物を用いる。
シアリルトランスフェラーゼとは、シアリルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をいう。
シアリルトランスフェラーゼ活性とは、CMP−NeuAc及び受容体糖質を基質として、NeuAc含有糖質を生成する活性をいう。
本発明の製造法において、基質として用いられる受容体糖質としては、シアリルトランスフェラーゼの基質になるものであれば、オリゴ糖、多糖、ならびに糖蛋白質および糖脂質等の複合糖質などいずれでもよい。
シアリルトランスフェラーゼの基質となるオリゴ糖または多糖としては、非還元末端にガラクトースを有するオリゴ糖または多糖、あるいは非還元末端にNeuAcを有するオリゴ糖または多糖をあげることができ、好ましくは非還元末端にラクトース、グロボトリオース、N‐アセチルラクトサミン、ラクト‐N‐テトラオース、ラクト‐N‐ネオテトラオース、ルイスaおよびルイスXからなる群より選ばれる構造を有するオリゴ糖、または非還元末端にNeuAcα2-Galβ1-4GlcおよびNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcからなる群より選ばれる構造を有するオリゴ糖、より好ましくはラクトースをあげることができる。
複合糖質としては、上記したオリゴ糖及び多糖に蛋白質又は脂質等が結合した複合糖質をあげることができる。
NeuAc含有糖質としては、上記した受容体糖質にNeuAcが付加した糖質、好ましくは、非還元末端にNeuAcα2−3Galβ1−4Glc、NeuAcα2−6Galβ1−4GlcおよびNeuAcα2−8NeuAcからなる群より選ばれる構造を有するオリゴ糖を含む糖質をあげることができ、より好ましくは3´‐シアリルラクトースまたは6´‐シアリルラクトースをあげることができる。
シアリルトランスフェラーゼを生産する微生物の例としては、パスツレラ属(Pasteurella)に属する微生物、フォトバクテリウム属(Photobacterium)に属する微生物、又は、シアリルトランスフェラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもシアリルトランスフェラーゼ活性が増強された微生物を挙げることができる。
パスツレラ属(Pasteurella)に属する微生物としては、好ましくは、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurellamultocida) PM70株を挙げることができる。フォトバクテリウム属(Photobacterium)に属する微生物としては、好ましくは、Photobacterium damselae JT0160株を挙げることができる。
シアリルトランスフェラーゼをコードするDNAは、好ましくは細菌等の原核生物または酵母由来の、特に好ましくは原核生物由来の、最も好ましくは、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurellamultocida) PM70株由来のα-2,3-sialyltransferaseをコードするDNA (WO03/27297)、又はPhotobacterium damselae JT0160株由来のα-2,6-sialyltransferase (GenBank ACCESSION No. BAA25316)をコードするDNAなどを挙げることができる。
例えば、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida) PM70株由来のα-2,3-sialyltransferaseをコードするDNA及びPhotobacterium damselae JT0160株由来のα-2,6-sialyltransferaseをコードするDNAは、WO03/27297に記載された方法で取得することができる。
該DNAを有する組換え体DNAは、上記1.1に記載の方法に従って作成することができる。
該組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもシアリルトランスフェラーゼ活性が増強された微生物は、上記1.1に記載の方法に従って造成することができる。
上記の方法で造成した微生物が、親株よりもシアリルトランスフェラーゼ活性が増強された微生物であることは、上述の方法により、シアリルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAの転写量、該蛋白質の生産量、又は該蛋白質の比活性を、親株のそれと比較することにより確認することができる。
このような微生物の例としては、Escherichiacoli NM522/pYP3(特開2008-5794)を挙げることができる。
また、該微生物を、さらに上記1.1の[4]〜[7]のいずれかに記載のDNA、又はCMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで形質転換して得られる、親株よりも、NeuAcシンターゼ活性又はCMP−NeuAcシンターゼ活性が増強された微生物であってもよい。
このとき、シアリルトランスフェラーゼ、NeuAcシンターゼ、及びCMP−NeuAcシンターゼからなる群より選ばれる蛋白質をコードするDNAは、1〜3種類の、好ましくは1〜2種類の、最も好ましくは1種類の組換え体DNAに、任意の組み合わせで別々に存在していてもよい。
1.4 GlcNAcエピメラーゼを生産する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc又はNeuAc含有糖質の製造法には、NeuAc又はNeuAc含有糖質の製造が、GlcNAcを基質として行われる場合には、GlcNAcエピメラーゼを生産する微生物を用いる。
GlcNAcエピメラーゼとは、GlcNAcエピメラーゼ活性を有する蛋白質をいう。
GlcNAcエピメラーゼ活性とは、GlcNAcを基質として、エピメリ化反応により、ManNAcを生成する活性をいう。
GlcNAcエピメラーゼを生産する微生物の例としては、シネコシスティス属(Synechocystis)に属する微生物、又は、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもGlcNAcエピメラーゼ活性が増強された微生物を挙げることができる。
シネコシスティス属(Synechocystis)に属する微生物としては、好ましくは、Synechocystis sp. PCC6803株(Pasteur Culture Collection of Cyanobacteria, INSTITUTE PASTEUR)を挙げることができる。
GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAは、好ましくは細菌等の原核生物または酵母由来の、特に好ましくは原核生物由来の、最も好ましくは、Synechocystis sp. PCC6803株由来の、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを挙げることができる。
例えば、Synechocystis sp. PCC6803株由来のGlcNAcエピメラーゼをコードするDNAは、WO00/47730に記載された方法で取得することができる。
該DNAを有する組換え体DNAは、上記1.1に記載の方法に従って作成することができる。
親株を、該組換え体DNAで形質転換して得られる、該親株よりもGlcNAcエピメラーゼ活性が増強された微生物は、上記1.1に記載の方法に従って造成することができる。
上記の方法で造成した微生物が、親株よりもGlcNAcエピメラーゼ活性が増強された微生物であることは、上述の方法により、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAの転写量、該蛋白質の生産量、又は該蛋白質の比活性を、親株のそれと比較することにより確認することができる。
このような微生物の例としては、後述するW3110/pRcneuB2を挙げることができる。
また、該微生物を、さらに上記1.1の[4]〜[7]のいずれかに記載のDNA、CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNA、及びシアリルトランスフェラーゼをコードするDNAからなる群より選ばれるDNAを有する組換え体DNAで形質転換して得られる、親株よりも、NeuAcシンターゼ、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼからなる群より選ばれる蛋白質の活性が増強された微生物であってもよい。
このとき、GlcNAcエピメラーゼ、NeuAcシンターゼ、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼからなる群より選ばれる蛋白質をコードするDNAは、1〜4種類の、好ましくは1〜3種類の、より好ましくは1又は2種類の、最も好ましくは1種類の組換え体DNAに、任意の組み合わせで別々に存在していてもよい。
1.5 PEPを生成、蓄積する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc又はNeuAc含有糖質の製造法では、基質であるPEPは、PEPを生成、蓄積する微生物によって供給されてもよい。
該微生物としては、糖等のエネルギー供与体からPEPを生成、蓄積する微生物であれば特に制限はないが、好ましくは、エシェリヒア属若しくはコリネバクテリウム属に属する原核生物、又はサッカロマイセス属に属する酵母菌株を、最も好ましくは、エシェリヒア・コリ、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス、コリネバクテリウム・グルタミクム、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム、サッカロマイセス・セレビシエ等を挙げることができる。サッカロマイセス・セレビシエとしては、特開平6-197778に記載の株をあげることができる。
また、変異手法あるいは遺伝子組換え手法により、糖等のエネルギー供与体からPEPを生成する活性を増強した微生物を用いることもできる。
1.6 CTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物及び該微生物を造成する方法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法では、基質であるCTPは、CTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物によって供給されてもよい。
該微生物としては、CTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物であれば特に制限はないが、好ましくは、エシェリヒア属若しくはコリネバクテリウム属に属する原核生物、又はサッカロマイセス属に属する酵母菌株を、より好ましくは、エシェリヒア・コリ、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス、コリネバクテリウム・グルタミクム、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム、サッカロマイセス・セレビシエ等を、最も好ましくは、エシェリヒア・コリ又はコリネバクテリウム・アンモニアゲネスを挙げることができる。
また、変異手法あるいは遺伝子組換え手法により、CTP前駆物質からCTPを生成する活性を増強した微生物を用いることもできる。
CTP前駆物質としては、微生物が代謝してCTPに変換できる物質であればいずれでもよく、好ましくはオロット酸、ウラシル、オロチジン、ウリジン、シトシン、シチジン、CMP、UTPおよびUMPをあげることができ、より好ましくはオロット酸およびCMP、さらに好ましくはオロット酸を挙げることができる。
1.7 上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物及び該微生物の造成法
本発明のNeuAcの発酵法による製造法には、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を用いる。
糖からManNAcを生成する微生物とは、後述の2.3の方法で該微生物を培地に培養したときに、該糖を出発基質として、ManNAcを該微生物の細胞中に生成、蓄積する微生物をいう。
そのような微生物としては、糖を出発基質としてManNAcを生成する微生物である限りにおいて制限はないが、例えば、NeuAcを生産することが知られている、特許文献4の実施例4に記載されたSI2株を、又は、国際公開第WO2004/003175号パンフレットの実施例14に記載されたGlcNAc生産株である7107-607(2)、7107-660(1)、7107-660(4)、7107-661(1)、7107-661(2)又は7107-661(3)株等を親株として、上記1.1の方法により、上記1.4のGlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで形質転換して得られる微生物を挙げることができる。
上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物は、例えば、特許文献4の実施例4に記載されたpBS-neuBCプラスミドを有する株SI2において、pBS-neuBCプラスミドが有するNeuAcシンターゼをコードするDNA(neuB)を上記1.1の[4]〜[7]のいずれかに記載されたDNAに置き換えた微生物(以下、微生物Aという。)、又は上記1.1の[4]〜[7]のいずれかに記載されたDNA及び上記1.4のGlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで国際公開第WO2004/003175号パンフレットの実施例14に記載されたGlcNAc生産株である7107-607(2)、7107-660(1)、7107-660(4)、7107-661(1)、7107-661(2)又は7107-661(3)株等を形質転換した微生物を挙げることができる(7107-607(2)株を親株として造成された微生物を、微生物Bという。)。
1.8 上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物及び該微生物の造成法
本発明の発酵法によるNeuAc含有糖質の製造法には、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を用いる。
糖からManNAcを生成する微生物については、上記1.7と同じである。
上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物としては、例えば、上記1.1の方法によって造成される特許文献5の実施例7に記載されたneuABC、CMP−NeuAcシンターゼ、及びバクテリアタイプのα(2,3)シアリルトランスフェラーゼを発現するプラスミドを有するE547株において、当該プラスミドが有するNeuAcシンターゼをコードするDNA(neuB)を上記1.1の[4]〜[7]のいずれかに記載のDNAに置き換えた微生物(以下、微生物Cという。)、又は上記1.1の[4]〜[7]のいずれかに記載されたDNA、上記1.4のGlcNAcエピメラーゼをコードするDNA、上記1.2のCMP−NeuAcシンターゼをコードするDNA及び上記1.4のシアリルトランスフェラーゼをコードするDNAを任意の組み合わせですべて有する1乃至4種類の組換え体DNAで、国際公開第WO2004/003175号パンフレットの実施例14に記載されたGlcNAc生産株である7107-607(2)、7107-660(1)、7107-660(4)、7107-661(1)、7107-661(2)又は7107-661(3)株等を形質転換した微生物を挙げることができる(7107-607(2)株を親株として造成された微生物を、微生物Dという。)。
2 本発明のNeuAcの製造法
2.1 PEP及びManNAcを基質として用いるNeuAcの製造法
本発明のNeuAcの製造法のうち、(i)酵素源として、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物(以下、2.1の微生物という。)の培養物、又は該培養物の処理物、(ii)基質として、PEP及びManNAc、を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAcを生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法について、以下説明する。
2.1の微生物を培養する方法は、微生物の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
該微生物を培養する培地としては、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、該微生物の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、該微生物が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類等を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体、およびその消化物等を用いることができる。
無機塩としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等を用いることができる。
培養は、通常振盪培養または深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常5時間〜7日間である。培養中pHは3.0〜9.0に保持する。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行う。
また、培養中必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
上記の培養により得られた微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、ManNAc及びPEPを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAcを生成、蓄積させ、該媒体からNeuAcを採取することにより、NeuAcを製造することができる。
本明細書において、培養物の処理物としては、上記の培養物の濃縮物、該培養物の乾燥物、該培養物を遠心分離、または濾過等して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、および該菌体の固定化物などの酵素源として該培養物と同様の機能を保持する生菌体を含んでいるもの、並びに該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物、当該処理した菌体から得られる粗酵素抽出物、および当該処理した菌体から得られる精製酵素を、好ましくは、上記の培養物の濃縮物、該培養物の乾燥物、該培養物を遠心分離、または濾過等して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、および該菌体の固定化物などの酵素源として該培養物と同様の機能を保持する生菌体を含んでいるもの、並びに該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物を、最も好ましくは、上記の培養物の濃縮物、該培養物の乾燥物、該培養物を遠心分離、または濾過等して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、および該菌体の固定化物などの酵素源として該培養物と同様の機能を保持する生菌体を含んでいるものをあげることができる。
酵素源の量は、用いる各酵素源について、1〜500g/lであり、好ましくは1〜300g/lである。
ManNAc及びPEPの濃度は、0.1mM〜10Mであり、好ましくは1mM〜1Mである。
水性媒体としては、水、りん酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ほう酸塩、クエン酸塩、トリスなどの緩衝液、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトンなどのケトン類、アセトアミドなどのアミド類などをあげることができる。また、酵素源として用いた微生物の培養液を水性媒体として用いることができる。
NeuAcの生成反応においては、必要に応じてフィチン酸等のキレート剤、界面活性剤あるいは有機溶媒を添加してもよい。界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・オクタデシルアミン(例えばナイミーンS-215、日本油脂社製)などの非イオン界面活性剤、セチルトリメチルアンモニウム・ブロマイドやアルキルジメチル・ベンジルアンモニウムクロライド(例えばカチオンF2-40E、日本油脂社製)などのカチオン系界面活性剤、ラウロイル・ザルコシネートなどのアニオン系界面活性剤、アルキルジメチルアミン(例えば三級アミンFB、日本油脂社製)などの三級アミン類など、NeuAcの生成を促進するものであればいずれでもよく、1種または数種を混合して使用することもできる。界面活性剤は、通常0.1〜50g/lの濃度で用いられる。
有機溶剤としては、キシレン、トルエン、脂肪族アルコール、アセトン、酢酸エチルなどがあげられ、通常0.1〜50ml/lの濃度で用いられる。NeuAcの生成反応は、水性媒体中、pH5〜10、好ましくはpH6〜8、20〜50℃の条件で1〜96時間行う。該生成反応を促進させるために、アデニン、アデノシン−5’−一リン酸(AMP)、アデノシン−5’−三リン酸(ATP)、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどを添加することができる。アデニン、AMP、ATPは、通常0.01〜100mmol/lの濃度で用いられる。
上記のNeuAcの製造法に用いられる基質のPEPは、特に制限はなく、市販のPEPを用いてもよいし、2.1の微生物若しくは上記1.5の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたPEPを用いてもよい。さらにNeuAcを生成する反応とPEPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でPEPを生成させるとともに、NeuAcを生産することもできる。
2.1の微生物の親株に上記1.5の微生物を用いた場合や、2.1の微生物がNeuAcの製造に十分なPEPを供給できる場合は、上記1.5の微生物を用いることを要しない。
エネルギー供与体としては、該微生物が代謝することができ、かつアデノシン‐5´‐三リン酸(以下ATPと略す)などのエネルギー物質を生産させることができる物質であればいずれでもよく、例えばグルコース、フルクトース、シュークロース、ラクトース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、N‐アセチルノイラミン酸等の炭水化物、ピルビン酸、乳酸、酢酸等の有機酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸、糖蜜、澱粉加水分解物等をあげることができる。
エネルギー供与体の濃度は、通常10〜300g/lの濃度で用いられる。
水性媒体中に生成したNeuAcの定量はDionex社製の糖分析装置などを用いて行うことができる〔Anal. Biochem., 189, 151 (1990)〕。反応液中に生成したNeuAcの採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法によって行うことができる。
2.2 PEP及びGlcNAcを基質として用いるNeuAcの製造法
本発明のNeuAcの製造法のうち、(i)酵素源として、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物、及びGlcNAcエピメラーゼを生産する微生物(これらの微生物を以下、2.2の微生物という。)の培養物、又は該培養物の処理物、(ii)基質として、PEP及びGlcNAc、を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAcを生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法について、以下説明する。
2.2の微生物を培養する方法は、微生物の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
該微生物を培養する培地としては、上記2.1に記載の培地を用いることができる。
上記の培養により得られた微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、GlcNAc及びPEPを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAcを生成、蓄積させ、該媒体からNeuAcを採取することにより、NeuAcを製造することができる。
2.2の微生物は、上記1.4に記載のとおり、異なる親株から造成された別個の微生物であってもよく、上記1.4に記載のとおり、一の微生物が、上記1.1の[4]〜[7]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA及びGlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有していてもよい。2.2の微生物が2種類からなる微生物であるときは、それぞれの微生物を培養した後、それぞれの培養物又は該培養物の処理物を混合して上記の酵素源とすることができる。
酵素源の量は、上記2.1の記載と同じである。
GlcNAcの濃度は、0.1mM〜10Mであり、好ましくは1mM〜1Mである。
水性媒体としては、上記2.1に記載の水性媒体を用いることができる。
上記のNeuAcの製造法に用いられる基質のPEPは、特に制限はなく、市販のPEPを用いてもよいし、2.2の微生物若しくは上記1.5の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたPEPを用いてもよい。さらにNeuAcを生成する反応とPEPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でPEPを生成させるとともに、NeuAcを生産することもできる。
2.2の微生物の親株に上記1.5の微生物を用いた場合や、2.2の微生物がNeuAcの製造に十分なPEPを供給できる場合は、上記1.5の微生物を用いることを要しない。
エネルギー供与体としては、上記2.1に記載のエネルギー供与体を用いることができる。
エネルギー供与体の濃度は、上記2.1の記載と同じである。
NeuAcの定量方法及び採取方法は、上記2.1に記載の方法を用いることができる。
2.3 発酵法によるNeuAcの製造法
本発明のNeuAcの製造法のうち、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を培地に培養し、培養物中にNeuAcを生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法について、以下説明する。
該微生物を培養する方法は、微生物の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
該微生物を培養する培地としては、上記2.1に記載の培地を用いることができる。
上記の培養により、培養物中にNeuAcを生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAcを採取することにより、NeuAcを製造することができる。
NeuAcの定量方法は、上記2.1に記載の方法を用いることができる。
該培養物中からのNeuAcの採取は通常イオン交換樹脂法、沈殿法その他の公知の方法を組み合わせることにより実施できる。なお、菌体内にNeuAcが蓄積する場合には、例えば菌体を超音波などにより破砕し、遠心分離によって菌体を除去して得られる上清からイオン交換樹脂法などによって、NeuAcを採取することができる。
3 本発明のNeuAc含有糖質の製造法
3.1 CTP、受容体糖質、PEP、及びManNAcを基質として用いるNeuAc含有糖質の製造法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法のうち、(i)酵素源として、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物、CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物、及びシアリルトランスフェラーゼを生産する微生物(これらの微生物を以下、3.1の微生物という。)の培養物、又はそれらの培養物の処理物、(ii)基質として、CTP、受容体糖質、PEP及びManNAc、を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法について、以下説明する。
3.1の微生物を培養する方法は、微生物の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
該微生物を培養する培地としては、上記2.1に記載の培地を用いることができる。
上記の培養により得られた微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、ManNAc、PEP、受容体糖質、及びCTPを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該媒体からNeuAc含有糖質を採取することにより、NeuAc含有糖質を製造することができる。
3.1の微生物は、上記1.2及び1.3に記載のとおり、異なる親株から造成された別個の微生物であってもよく、上記1.2及び1.3に記載のとおり、一の微生物が、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA、CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNA、及びシアリルトランスフェラーゼをコードするDNAからなる群より選ばれるDNAを有していてもよい。3.1の微生物が2種類以上からなる微生物であるときは、それぞれの微生物を培養した後、それぞれの培養物又は該培養物の処理物を混合して上記の酵素源とすることができる。
酵素源の量は、上記2.1の記載と同じである。
ManNAcの濃度は、上記2.1の記載と同じである。
受容体糖質の濃度は、1mM〜3Mであり、好ましくは50mM〜1Mである。
水性媒体としては、上記2.1に記載の水性媒体を用いることができる。
上記のNeuAc含有糖質の製造法に用いられる基質のPEPは、特に制限はなく、市販のPEPを用いてもよいし、3.1の微生物若しくは上記1.5の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたPEPを用いてもよい。さらにNeuAc含有糖質を生成する反応とPEPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でPEPを生成させるとともに、NeuAc含有糖質を生産することもできる。
3.1の微生物の親株に上記1.5の微生物を用いた場合や、3.1の微生物がNeuAc含有糖質の製造に十分なPEPを供給できる場合は、上記1.5の微生物を用いることを要しない。
上記のNeuAc含有糖質の製造法に用いられる基質のCTPは、特に制限はなく、市販のCTPを用いてもよいし、3.1の微生物若しくは上記1.6の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTP前駆物質、及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にCTPを生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたCTPを用いてもよい。さらにNeuAc含有糖質を生成する反応とCTPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でCTPを生成させるとともに、NeuAc含有糖質を生産することもできる。
CTP前駆物質の濃度は、1mM〜1Mである。
3.1の微生物の親株に上記1.6の微生物を用いた場合や、3.1の微生物がNeuAc含有糖質の製造に十分なCTPを供給できる場合は、上記1.6の微生物を用いることを要しない。
エネルギー供与体としては、上記2.1に記載のエネルギー供与体を用いることができる。
エネルギー供与体の濃度は、上記2.1の記載と同じである。
水性媒体中に生成したNeuAc含有糖質の定量はDionex社製の糖分析装置などを用いて行うことができる〔Anal. Biochem., 189, 151 (1990)〕。反応液中に生成したNeuAc含有糖質の採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法によって行うことができる。
3.2 CTP、受容体糖質、PEP、及びGlcNAcを基質として用いるNeuAc含有糖質の製造法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法のうち、(i)酵素源として、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物、CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物、シアリルトランスフェラーゼを生産する微生物、及びGlcNAcエピメラーゼを生産する微生物(これらの微生物を以下、3.2の微生物という。)の培養物、又はそれらの培養物の処理物、(ii)基質として、CTP、受容体糖質、PEP及びGlcNAc、を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法について、以下説明する。
3.2の微生物を培養する方法は、微生物の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
該微生物を培養する培地としては、上記2.1に記載の培地を用いることができる。
上記の培養により得られた微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、GlcNAc、PEP、受容体糖質、及びCTPを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該媒体からNeuAc含有糖質を採取することにより、NeuAc含有糖質を製造することができる。
3.2の微生物は、上記1.2、1.3及び1.4に記載のとおり、異なる親株から造成された別個の微生物であってもよく、上記1.2、1.3及び1.4に記載のとおり、一の微生物が、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA、CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNA、シアリルトランスフェラーゼをコードするDNA、及びGlcNAcエピメラーゼをコードするDNAからなる群より選ばれるDNAを有していてもよい。3.2の微生物が2種類以上からなる微生物であるときは、それぞれの微生物を培養した後、それぞれの培養物又は該培養物の処理物を混合して上記の酵素源とすることができる。
酵素源の量は、上記2.1の記載と同じである。
GlcNAcの濃度は、上記2.2の記載と同じである。
受容体糖質の濃度は、上記3.1の記載と同じである。
水性媒体としては、上記2.1に記載の水性媒体を用いることができる。
上記のNeuAc含有糖質の製造法に用いられる基質のPEPは、特に制限はなく、市販のPEPを用いてもよいし、3.2の微生物若しくは上記1.5の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたPEPを用いてもよい。さらにNeuAc含有糖質を生成する反応とPEPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でPEPを生成させるとともに、NeuAc含有糖質を生産することもできる。
3.2の微生物の親株に上記1.5の微生物を用いた場合や、3.2の微生物がNeuAc含有糖質の製造に十分なPEPを供給できる場合は、上記1.5の微生物を用いることを要しない。
上記のNeuAc含有糖質の製造法に用いられる基質のCTPは、特に制限はなく、市販のCTPを用いてもよいし、3.2の微生物若しくは上記1.6の微生物の培養物又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTP前駆物質、及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にCTPを生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたCTPを用いてもよい。さらにNeuAc含有糖質を生成する反応とCTPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でCTPを生成させるとともに、NeuAc含有糖質を生産することもできる。
CTP前駆物質の濃度は、上記3.1の記載と同じである。
3.2の微生物の親株に上記1.6の微生物を用いた場合や、3.2の微生物がNeuAc含有糖質の製造に十分なCTPを供給できる場合は、上記1.6の微生物を用いることを要しない。
エネルギー供与体としては、上記2.1に記載のエネルギー供与体を用いることができる。
エネルギー供与体の濃度は、上記2.1の記載と同じである。
NeuAc含有糖質の定量方法及び採取方法は、上記3.1に記載の方法を用いることができる。
3.3 発酵法によるNeuAc含有糖質の製造法
本発明のNeuAc含有糖質の製造法のうち、上記1.1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を受容体糖質を含有する培地に培養し、培養物中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法について、以下説明する。
該微生物を培養する方法は、微生物の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
該微生物を培養する培地としては、上記2.1に記載の培地に受容体糖質を含む培地を用いることができる。
受容体糖質は、培養の最初に添加してもよく、培養の途中から必要に応じて添加してもよい。添加する受容体糖質の濃度は、10〜300g/lの濃度で用いられる。
上記の培養により、培養物中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAc含有糖質を採取することにより、NeuAc含有糖質を製造することができる。
NeuAc含有糖質の定量方法は、上記3.1に記載の方法を用いることができる。
該培養物中からのNeuAc含有糖質の採取は通常イオン交換樹脂法、沈殿法その他の公知の方法を組み合わせることにより実施できる。なお、菌体内にNeuAc含有糖質が蓄積する場合には、例えば菌体を超音波などにより破砕し、遠心分離によって菌体を除去して得られる上清からイオン交換樹脂法などによって、NeuAc含有糖質を採取することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
PEP及びManNAcを基質として用いるNeuAcの製造
(1) ロドバクター・カプスラタス由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物の造成
ロドバクター・カプスラタスNBRC16581株を公知の方法[Arch Microbiol105, 207-216. 1975]により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製した。配列番号5及び6で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅したDNA断片を制限酵素KpnI及びHindIIIで切断し、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAを含む約1kbのDNA断片を精製した。
大腸菌W3110株を公知の方法により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製した。配列番号7及び8で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅したDNA断片を制限酵素KpnI及びBamHIで切断し、大腸菌W3110株のトリプトファンプロモーターを含む約0.4kbのDNA断片(以下、Ptrp断片という。)を精製した。
発現ベクターであるpUC18〔Gene, 33, 103 (1985)〕を制限酵素HindIII及びBamHIで切断し、2.7kbのDNA断片(以下、pUC18HindIIIBamHI断片という)を精製した。
上記の3種類のDNA断片をライゲーションキットを用いて連結し、該連結反応液を用いてEscherichia coli W3110株を形質転換することにより、W3110/pRcneuBを造成した。
(2) フラボバクテリウム・サイクロフィラム由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物の造成
フラボバクテリウム・サイクロフィラム NBRC 100250株を公知の方法により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製した。配列番号9及び10で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅したDNA断片を制限酵素KpnI及びHindIIIで切断し、配列番号3で表される塩基配列からなるDNAを含む約1kbのDNA断片を精製した。
当該DNA断片並びにPtrp断片及びpUC18HindIIIBamHI断片をライゲーションキットを用いて連結し、該連結反応液を用いてEscherichia coli W3110株を形質転換することにより、W3110/pFpneuBを造成した。
(3) PEP及びManNAcを基質として用いるNeuAcの製造
W3110/pRcneuB及びW3110/pFpneuBをアンピシリン50 mg/mlを含むLB培地[バクトトリプトン(ディフコ社製)10 g/l、酵母エキス(ディフコ社製)5 g/l、塩化ナトリウム5 g/l] 5 mlの入った太型試験管に接種し、30℃で16 時間培養した。該培養液をアンピシリン50 mg/mlを含むLB培地 50 ml の入ったバッフル付三角フラスコに10%接種し、30℃、220rpmで8時間培養した。該培養液 40ml分を遠心分離し湿菌体を取得した。
各菌株の培養液各40 ml分を、反応バッファー(0.1Mビシンバッファー(pH 8.0)、10mM塩化マンガン)で一回洗浄したのち、4mlの当該反応バッファーに懸濁し、超音波破砕を行った。 破砕後 18,000×gで5分間遠心し、膜画分を沈殿させた後、上清を採取した。上清はブラッドフォード法を用いてタンパク量を定量し、反応に用いた。
反応は12.5mMのManNAc、PEP (共にシグマ・アルドリッチ社製)を含む反応バッファーに前述した上清タンパク質液を終濃度0.25 mg/mlになるように添加して、30℃、330rpmで振とうすることによって行った。反応開始後90分が経過した時点で1/4量の6.7Mリン酸を添加することで反応を終了させた。
NeuAcの分析は、ダイオネックス社製の分析装置 DX-500を用いて以下の条件で行った。(カラム:Cabopac PA-10、分析温度:30℃、流速:0.8ml/min、溶離液A組成:500mM NaOH、溶離液B組成:100mM NaOH/500mM NaOAc、溶離液C組成: 脱イオン水 溶離グラジエント条件:分析開始0分から10分まで A:B:C = 1 : 1 : 98 → A:B:C = 4 : 4 : 92、分析開始10分から15分まで A:B:C = 20:16:64 → 35:35:30、分析開始15分から22分まで A:B:C = 50:50:0 検出器:パルスドアンペロメトリー検出器)
結果を表1に示す。
以上の結果より、ロドバクター・カプスラタス由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物、又はフラボバクテリウム・サイクロフィラム由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物が、NeuAcの製造に利用できることが示された。
上記のNeuAcシンターゼは非病原性微生物由来であることから、本発明のNeuAc製造法は、従来の病原性微生物由来のNeuAcシンターゼを利用するNeuAc製造法と比較して、消費者に与える不安を軽減することができる。
PEP及びGlcNAcを基質として用いるNeuAcの製造
(1) ロドバクター・カプスラタス由来のNeuAcシンターゼをコードするDNA及びシアノバクテリア由来のGlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物の造成
シネコシスティス・エスピーPCC680株を公知の方法により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製した。配列番号11及び12で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅したDNA断片を制限酵素HindIIIで切断し、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを含む約1kbのDNA断片(以下、GlcNAcエピメラーゼ断片という。)を精製した。
実施例1(1)で造成したW3110/pRcneuBから定法によって抽出したプラスミドpRcneuBをHindIIIで切断し、約4.1kbのDNA断片を精製した。
上記の2種類のDNA断片をライゲーションキットを用いて連結し、該連結反応液を用いてEscherichia coli W3110株を形質転換した。該形質転換体のうち、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAがトリプトファンプロモーターの制御により発現する形質転換体をPCR法を用いて選択し、W3110/pRcneuB2を造成した。
(2) 本発明の製造法に用いる微生物を評価するための微生物の造成
本発明の製造法に用いる微生物を評価するため、既知の病原性微生物由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで形質転換した微生物を造成した。
カンピロバクター・ジェジュニATCC 43438株を公知の方法により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製した。配列番号13及び14で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅したDNA断片を制限酵素KpnI及びHindIIIで切断し、NeuAcシンターゼをコードするDNAを含む約1kbのDNA断片を精製した。
当該DNA断片並びにPtrp断片及びpUC18HindIIIBamHI断片をライゲーションキットを用いて連結し、該連結反応液を用いてEscherichia coli W3110株を形質転換することにより、W3110/pCjneuBを造成した。
W3110/pCjneuBから定法によって抽出したプラスミドpCjneuBをHindIIIで切断し、約4.1kbのDNA断片を精製した。
当該約4.1kbのDNA断片及びGlcNAcエピメラーゼ断片をライゲーションキットを用いて連結し、該連結反応液を用いてEscherichia coli W3110 W3110株を形質転換した。該形質転換体のうち、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAがトリプトファンプロモーターの制御により発現する形質転換体をPCR法を用いて選択し、W3110/pCjneuB2を造成した。
大腸菌K235 ATCC 13027株を公知の方法により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製した。配列番号15及び16で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅したDNA断片を制限酵素KpnI及びSse8387Iで切断し、NeuAcシンターゼをコードするDNAを含む約1kbのDNA断片を精製した。
当該約1kbのDNA断片並びにPtrp断片及びあらかじめPstI及びBamHIで切断したpUC18断片をライゲーションキットを用いて連結し、該連結反応液を用いてEscherichia coli W3110株を形質転換することにより、W3110/pEcneuBを造成した。
W3110/pEcneuBから定法によって抽出したプラスミドpEcneuBをSse8387Iで切断し、約4.1kbのDNA断片を精製した。
シネコシスティス・エスピーPCC680株を公知の方法により培養し、該微生物の染色体DNAを単離精製した。配列番号17及び18で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして、当該染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅したDNA断片を制限酵素Sse8387Iで切断し、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを含む約1kbのDNA断片を精製した。
上記のSse8387Iで切断した約4.1kbのDNA断片及びSse8387Iで切断した約1kbのDNA断片をライゲーションキットを用いて連結し、該連結反応液を用いてEscherichia coli W3110株を形質転換した。該形質転換体のうち、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAがトリプトファンプロモーターの制御により発現する形質転換体をPCR法を用いて選択し、W3110/pEcneuB2を造成した。
(3) PEP及びGlcNAcを基質として用いるNeuAcの製造
W3110/pRcneuB2、W3110/pCjneuB2、及びW3110/pEcneuB2をアンピシリン 50μg/mlを含むLB培地 50mlの入った300mL容バッフル付き三角フラスコに接種し、30℃で220rpmの条件で16時間培養した。該培養液30mlをグルコース 5g/l、酵母エキス(オリエンタル社製)5g/l、リン酸二水素カリウム 3g/l、リン酸水素二ナトリウム 6g/l、塩化アンモニウム 1g/L、硫酸マンガン五水和物 10mg/L、ウラシル 30mg/L、硫酸鉄七水和物0.2g/L、チアミン 8mg/L、硫酸マグネシウム七水和物 2.4 g/L、アンピシリン 50μg/mlの組成からなる液体培地(pH7.0)0.8Lの入った2.5L容培養槽に接種し、30℃で培養した。攪拌は600rpm、通気量1L/分の条件で培養を行った。培養中、28%アンモニア水を用いて、培養液のpHを7.0に維持した。また、培養途中で必要に応じてグルコースを添加した。培養開始後十分時間が経ち、OD 660nmが50を超えた段階で該培養液を用いて反応を行った。
水でODを50に調整した培養液700ml、グルコース50g/l、GlcNAc 140g/l、キシレン5ml/lの組成からなる反応液を2.5L容培養槽に入れ、該反応液を攪拌(500rpm)し、32℃で44時間反応を行った。反応中、10N NaOHを用いて、該反応液のpHを7.2に維持した。
なお、本反応においては、宿主の大腸菌がエネルギー供与体であるグルコースの存在下によりPEPを供給することができるので、NeuAcを生成する反応とPEPを生産する反応を同一の水性媒体中で同時に行うことにより、同一の水性媒体中でPEPを生成させるとともに、NeuAcを生産させることができた。
結果を表2及び図1に示す。
W3110/pRcneuB2ではW3110/pCjneuB2の4倍以上、W3110/pEcneuB2の3倍以上である10.4g/LのNeuAcを生産することができた。
以上の結果から、ロドバクター・カプスラタス由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物を用いたNeuAcの製造法は、既知の病原性微生物由来のNeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる微生物を用いたNeuAcの製造法と比較して、消費者の不安を軽減することができるだけではなく、より効率的にNeuAcを製造できることが示された。
発酵法によるNeuAcの製造
上記1.7に記載の微生物A及び微生物Bを、それぞれLBプレート上で30℃にて一晩培養し、LB培地5mLが入った太型試験管に植菌して、30℃で12時間、振盪培養する。試験管生産培地[グルコース 30g/L、硫酸マグネシウム7水和物 0.5 g/L、イーストエキストラクト 2g/L、硫酸アンモニウム 20g/L、リン酸二水素カリウム 2 g/L、塩化ナトリウム0.6 g/L、チアミン塩酸塩 100mg/L、硫酸第一鉄七水和物 20 mg/L、硫酸マンガン五水和物 20 mg/L、水酸化ナトリウム溶液によりpH7.5に調整後、炭酸カルシウム 30 g/L、グルコースおよび硫酸マグネシウム7水和物水溶液は別途オートクレーブし、冷却した後混合]が5mL入った太型試験管に0.5mL植菌し、30℃で48時間、振盪培養する。
培養終了後、培養液を適当に希釈した後、遠心し、その上清のNeuAc濃度をHPLCにて定量する。
発酵法によるNeuAc含有糖質の製造
上記1.7に記載の微生物Cを、それぞれLBプレート上で30℃にて一晩培養し、LB培地5mLが入った太型試験管に植菌して、30℃で12時間、振盪培養する。試験管生産培地[グルコース 30g/L、ラクトース 30g/L、硫酸マグネシウム7水和物 0.5 g/L、イーストエキストラクト 2g/L、硫酸アンモニウム 20g/L、リン酸二水素カリウム 2 g/L、塩化ナトリウム0.6 g/L、チアミン塩酸塩 100mg/L、硫酸第一鉄七水和物 20 mg/L、硫酸マンガン五水和物 20 mg/L、水酸化ナトリウム溶液によりpH7.5に調整後、炭酸カルシウム 30 g/L、グルコースおよび硫酸マグネシウム7水和物水溶液は別途オートクレーブし、冷却した後混合]が5mL入った太型試験管に0.5mL植菌し、30℃で48時間、振盪培養する。
培養終了後、培養液を適当に希釈した後、遠心し、その上清のシアリルラクトース濃度をHPLCにて定量する。
本発明により、NeuAc及びNeuAc含有糖質を効率的に製造することができる。また、消費者に与える不安を軽減することができる。
図1において、●はW3110/pRcneuB2を、■はW3110/pCjneuB2を、▲はW3110/pEcneuB2を示す。
配列番号5−人工配列の説明:合成DNA
配列番号6−人工配列の説明:合成DNA
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
配列番号9−人工配列の説明:合成DNA
配列番号10−人工配列の説明:合成DNA
配列番号11−人工配列の説明:合成DNA
配列番号12−人工配列の説明:合成DNA
配列番号13−人工配列の説明:合成DNA
配列番号14−人工配列の説明:合成DNA
配列番号15−人工配列の説明:合成DNA
配列番号16−人工配列の説明:合成DNA
配列番号17−人工配列の説明:合成DNA
配列番号18−人工配列の説明:合成DNA

Claims (14)

  1. 次の(i)〜(iii)、
    (i)酵素源として、以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物の培養物、又は該培養物の処理物、
    (ii)基質として、ホスホエノールピルビン酸(以下、PEPという。)及びN−アセチルマンノサミン(以下、ManNAcという。)又はN−アセチルグルコサミン(以下、GlcNAcという。)、並びに
    (iii)(ii)において、GlcNAcを基質として用いる場合は、さらに酵素源としてN−アセチルグルコサミン−2−エピメラーゼ(以下、GlcNAcエピメラーゼという。)を生産する微生物の培養物又は該培養物の処理物、
    を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にN−アセチルノイラミン酸(以下、NeuAcという。)を生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法。
    [1]配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
    [2]配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する変異蛋白質
    [3]配列番号2で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質
  2. PEPが、請求項1に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはPEPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させて得られるPEPである、請求項1に記載の製造法。
  3. 次の(i)〜(iii)、
    (i)酵素源として、請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物、シチジン−5’−一リン酸−N−アセチルノイラミン酸シンターゼ(以下、CMP−NeuAcシンターゼという。)を生産する微生物、及びシアリルトランスフェラーゼを生産する微生物の培養物、又はそれらの培養物の処理物、
    (ii)基質として、シチジン−5’−三リン酸(以下、CTPという。)、受容体糖質、PEP及びManNAc又はGlcNAc、並びに
    (iii)(ii)において、GlcNAcを基質として用いる場合は、さらに酵素源としてGlcNAcエピメラーゼを生産する微生物の培養物、又は該培養物の処理物、
    を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質の製造法。
  4. PEPが、請求項3に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはPEPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にPEPを生成、蓄積させて得られるPEPである、請求項3に記載の製造法。
  5. CTPが、請求項3に記載のいずれか1種以上の微生物若しくはCTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物の培養物、又は該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTP前駆物質、及びエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にCTPを生成、蓄積させて得られるCTPである、請求項3又は4に記載の製造法。
  6. PEPを生成、蓄積する微生物が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、請求項2、4、又は5のいずれか1項に記載の製造法。
  7. CTP前駆物質からCTPを生成、蓄積する微生物が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、請求項5に記載の製造法。
  8. 請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する微生物が、以下の[4]〜[6]のいずれかに記載のDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもNeuAcシンターゼ活性が増強された微生物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造法。
    [4]請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA
    [5]配列番号1で表される塩基配列を有するDNA
    [6]配列番号1で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、NeuAcシンターゼ活性を有する相同蛋白質をコードするDNA
  9. GlcNAcエピメラーゼを生産する微生物が、GlcNAcエピメラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもGlcNAcエピメラーゼ活性が増強された微生物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造法。
  10. CMP−NeuAcシンターゼを生産する微生物が、CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもCMP−NeuAcシンターゼ活性が増強された微生物である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の製造法。
  11. シアリルトランスフェラーゼを生産する微生物が、シアリルトランスフェラーゼをコードするDNAを有する組換え体DNAで親株を形質転換して得られる、該親株よりもシアリルトランスフェラーゼ活性が増強された微生物である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の製造法。
  12. 請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を培地に培養し、培養物中にNeuAcを生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAcを採取することを特徴とする、NeuAcの製造法。
  13. 請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、CMP−NeuAcシンターゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを生産し、かつ、糖からManNAcを生成する微生物を受容体糖質を含有する培地に培養し、培養物中にNeuAc含有糖質を生成、蓄積させ、該培養物中からNeuAc含有糖質を採取することを特徴とする、NeuAc含有糖質
    の製造法。
  14. 親株が、エシェリヒア属に属する微生物又はコリネ型細菌である、請求項8〜13のいずれか1項に記載の製造法。
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