JP3944866B2 - N−アセチルノイラミン酸シンターゼ、及びこれを用いるn−アセチルノイラミン酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なN−アセチルノイラミン酸シンターゼ、及びそれを用いることを特徴とするN−アセチルノイラミン酸の製造方法に関する。
【0002】
本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、その触媒活性がマンガン、カルシウムもしくはそれらのイオン、またはグルタチオンによって影響されず、またその活性がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)によって阻害されないことを特徴とする新規な酵素である。
【0003】
【従来の技術】
N−アセチルノイラミン酸は、その誘導体及び重合体を含めて、近年医薬品の原料として注目されている。このため、従来からこのN−アセチルノイラミン酸を大量生産するための技術開発が行われてきており、現在、更に経済的な製造法の確立が求められている状況である。
【0004】
かかるN−アセチルノイラミン酸を酵素的に製造する従来の方法として、N−アセチルノイラミン酸リアーゼ及びエピメラーゼを用いて、N−アセチルグルコサミン及びピルビン酸を反応させる方法〔Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 30, 827-828 (1991)〕、及びN−アセチルノイラミン酸リアーゼを用いて、強アルカリの条件下でN−アセチルグルコサミン及びピルビン酸を反応させる方法等が挙げられるが、前者の方法は、N−アセチルグルコサミンからN−アセチルノイラミン酸への転換率が28%と低く、また後者の方法は、比較的強いアルカリ条件下を使用するため、作業上の安全性、反応後の排水処理、機器の耐性等の観点からまだまだ改良の余地があった。
【0005】
ところで、以前より、N−アセチルノイラミン酸の合成に関与する酵素としてN−アセチルノイラミン酸シンターゼ(EC 4.1.3.19)の存在が知られている。このN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、N−アセチルマンノサミンとホスホエノールピルビン酸とからN−アセチルノイラミン酸を合成する反応を触媒する酵素である。
【0006】
かかる酵素は、中性領域でこの反応を触媒するため、少なくとも従来法による問題はなく、N−アセチルノイラミン酸の酵素的製造に有用であると考えられる。
【0007】
しかしながら、現在まで見つけられたN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、病原菌の一種である髄膜炎菌に由来するものであり、その取得・調製の困難性から未だ単離精製されておらず、その工業的利用は難しいと考えられる〔ブラックロウ(Blacklow)ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry) 237, 3520-3526 (1962)〕。一方で、大腸菌の粗抽出物にN−アセチルノイラミン酸シンターゼ活性の存在が報告されている〔Biol. Chem. Hoppe-Seyler. 371, 1101-1106 (1990); Glycobiology.1,93-100 (1990)〕が、これらの報告では、被検物として細胞抽出物(粗精製物)を用いている点、N−アセチルノイラミン酸シンターゼ活性を該酵素に対する非特異的測定法を使用して測っている点等から、測定している活性がN−アセチルノイラミン酸シンターゼによるものであるという信憑性は低い。また、更に加えて、最近、大腸菌中のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの存在を否定する文献が発表されており〔Biochem. J. (1995) 308, 501-505〕、この中で、大腸菌中でのN−アセチルノイラミン酸合成はN−アセチルノイラミン酸シンターゼではなく、N−アセチルノイラミン酸リアーゼが担っていると報告されている。
【0008】
このような状況のもと、N−アセチルノイラミン酸を酵素を用いて工業的に製造するにあたって、有用な特性(理化学的、酵素的性質)を有する新規なN−アセチルノイラミン酸シンターゼを発見し、該酵素を用いてN−アセチルノイラミン酸を効率的に製造する反応系を確立することが求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、N−アセチルマンノサミンとホスホエノールピルビン酸を基質としてN−アセチルノイラミン酸を産生する反応を触媒する酵素であって、新規な特性を有するN−アセチルノイラミン酸シンターゼを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、この新規N−アセチルノイラミン酸シンターゼを用いて、N−アセチルマンノサミン及びホスホエノールピルビン酸から、N−アセチルノイラミン酸を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の下で鋭意検討を重ねた結果、大腸菌に、従来公知のN−アセチルノイラミン酸シンターゼとは異なる有用な特性を有する新規なN−アセチルノイラミン酸シンターゼが存在することを見いだして、これを単離・精製することに成功した。そして、該酵素が、N−アセチルノイラミン酸の合成に有用であることを確認して、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、マンガン、カルシウムまたはそれらのイオン(以下、これらを総称して金属類ともいう。)によって触媒活性が影響されないことを特徴とするN−アセチルノイラミン酸シンターゼである。
【0013】
また、本発明は、上記金属類の他、グルタチオンによっても触媒活性が影響されないことを特徴とするN−アセチルノイラミン酸シンターゼである。
【0014】
更に、本発明は、エチレンジアミン四酢酸(以下、EDTAという。)によりその活性が阻害されないことを特徴とするN−アセチルノイラミン酸シンターゼである。
【0015】
更にまた、本発明は大腸菌に由来する上記N−アセチルノイラミン酸シンターゼである。
【0016】
さらに本発明は、上記のいずれかのN−アセチルノイラミン酸シンターゼを触媒として用いることを特徴とする、N−アセチルマンノサミン及びホスホエノールピルビン酸からN−アセチルノイラミン酸を製造する方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
N−アセチルノイラミン酸シンターゼは、N−アセチルマンノサミンおよびホスホエノールピルビン酸を基質として、N−アセチルノイラミン酸を産生する反応を触媒する酵素である。その反応は、具体的には下記の式で表すことができる。
【0018】
【化1】
本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、上記反応を触媒する酵素であって、マンガン、カルシウムまたはそれらのイオンによって触媒活性が影響されないことを特徴とするものである。言い換えれば、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、N−アセチルマンノサミン及びホスホエノールピルビン酸を含む反応系に、マンガン、カルシウムまたはそれらのイオンのいずれか少なくとも一種が適当量存在するとしないとに関わらず、触媒活性が殆ど変化せず、これらの金属類が反応系に存在していなくても上記の反応を触媒する能力を十分発揮する酵素である。なお、ここで適当量とは、一般的に補因子(金属)要求性酵素において、触媒活性に必要とされる補因子(金属)の量を広く意味するが、具体的には〜50mMの濃度が例示される。
【0019】
また、別の表現で言い換えると、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、活性化物質として、マンガン、カルシウムまたはそれらのイオンを必要としないことを特徴とするものである。ここで活性化物質とは、N−アセチルノイラミン酸シンターゼに直接的または間接的に作用することにより、反応速度や平衡等を変化させて触媒活性(酵素活性)を高めるような物質を意味し、それがないと反応が進行しない「必須活性化物質」、なくても反応は進行するがあればさらに活性化される「非必須活性化物質」の両者を包含するものである。また、このような活性化物質として、他にマグネシウム、コバルト、カリウム、ナトリウム、銀、鉄またはそれらのイオンを含めることもできる。
【0020】
従来公知の髄膜炎菌由来のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、活性化物質として、マンガンまたはそれらのイオン等を必要とするものであり〔The Journal of Biological Chemistry. Vol.237, No.11, pp.3520-3526 (1962)等〕、この点で本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼと相違するものである。また、大腸菌に由来すると報告されているN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、活性化物質としてカルシウムまたはそのイオンを必要としており〔Glycobiology Vol. 1, no.1, pp.93-100 (1990)等〕、この点で本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼと相違するものである。
【0021】
また、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、その触媒活性がグルタチオンによって影響されないことを特徴とするものである。言い換えると、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、N−アセチルマンノサミン及びホスホエノールピルビン酸を基質とする反応系に、グルタチオンが適当量存在するとしないとに関わらず、その触媒活性が変化しないことを特徴とするものである。ここで適当量とは、一般的にSH化合物要求性酵素において、触媒活性に必要とされるSH化合物の量を広く意味するが、具体的には〜10mMの濃度を例示することができる。
【0022】
また、別の表現で言い換えると、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、活性化物質(「必須活性化物質」、「非必須活性化物質」の両者を含む)としてグルタチオンを必要としないことを特徴とするものである。さらに、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、グルタチオンの他、β−メルカプトエタノール、システイン、ホモシステインによってもその触媒活性は影響されない。
【0023】
この点、酵素の最適な活性化に、すなわち「非必須活性化物質」としてグルタチオン等が必要とされる髄膜菌由来のN−アセチルノイラミン酸シンターゼと相違するところである〔The Journal of Biological Chemistry. Vol.237, No.11,
pp.3520-3526 (1962)等〕。
【0024】
また、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、EDTAの存在によってもその触媒活性が阻害されないという特性を有する。この特性もまた、EDTAの存在によってその活性が阻害される、従来公知の髄膜炎菌由来のN−アセチルノイラミン酸シンターゼと著しく相違するところである〔The Journal of Biological Chemistry. Vol.237, No.11, pp.3520-3526, (1962)等〕。
【0025】
このことは、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、Mn2+、Mg2+、Zn2+、Co2+、Cu2+、Fe2+などの金属イオンが酵素の触媒部位もしくは活性部位に結合等して活性の発現に関与するといった金属酵素ではないことを示唆している。
【0026】
本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼには、上記特性を有する全ての酵素が包含されるが、さらに下記の表1に示される理化学的性質を有していることが好ましい。
【0027】
【表1】
かかる理化学的性質の測定条件の詳細については、後の実施例に記載する。なお、表1のうち、pH安定性について、pH4〜12とは、最大活性を100%とした場合に、その40%以上の活性を維持しているpH範囲を意味し、またpH7〜10とは、同様に90%以上の活性を維持しているpH範囲を意味する(図8参照)。
【0028】
本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、前述するように、触媒活性がマンガン、カルシウムまたはそれらのイオンにより影響されないという性質、好ましくは、さらに加えて触媒活性がグルタチオンにより影響されないという性質、より好ましくはこれらの性質に加えて表1に記載する各種の理化学的性質を有するものであればよく、その由来等によって何ら制限されるものではない。
【0029】
本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼとして、通常、ラット、ウシ、ヒトなどの哺乳類、微生物等に由来するものが挙げられるが、好ましくは、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)以外の細菌に由来するものであり、さらに好ましくは大腸菌、とりわけ大腸菌K1に由来するものである。
【0030】
また、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、同様に上記特性を有するものである限り、その取得方法によって何ら限定されるものではない。
【0031】
取得方法の一例としては、例えば、N−アセチルノイラミン酸シンターゼを発現・産生する菌株を適当な培地で培養し、その培養菌体の細胞抽出液に含まれるN−アセチルノイラミン酸シンターゼを適当な方法で単離・精製する方法等が挙げられる。
【0032】
この場合、用いられる菌株は、N−アセチルノイラミン酸シンターゼを発現・産生し得るものであれば特に制限されることなく、また野生菌、変異株、組換体等の別も問わない。好ましくは大腸菌、より好ましくは大腸菌K1(Escherichia coli K1)(ATCC 23511)等が例示される。
【0033】
培養は、微生物、好ましくは大腸菌の培養に通常用いられる栄養源を含む各種の培地で行うことができる。スケールアップが可能である等の点から好ましくは液体培地であり、より好ましくは硫酸アンモニウム0.5%、リン酸水素二カリウム1.4%、酵母エキス0.05%、ソルビトール2%、硫酸マグネシウム0.1%を有する液体培地等が例示される。培養は、通常20℃〜40℃、好ましくは37℃で、1〜100時間、好ましくは5〜20時間程度行うことができ、必要により通気や撹拌を加えることもできる。好適な培養方法としては、振盪培養や通気撹拌培養等が挙げられる。
【0034】
培養後は、自体公知の方法、例えば分画法、各種クロマトグラフィー法(イオン交換法、クロマトフォーカシング法、ゲル濾過法等)等を用いて、各工程のN−アセチルノイラミン酸シンターゼ活性を有する画分を分離取得することにより、順次N−アセチルノイラミン酸シンターゼを単離・精製することができる。
【0035】
N−アセチルノイラミン酸シンターゼの活性は、N−アセチルマンノサミン及びホスホエノールピルビン酸を基質とする反応系で、pH7〜8、好ましくはpH7.5、25〜37℃、好ましくは35℃の条件で、10〜60分間、好ましくは30分間反応させた後、生成したN−アセチルノイラミン酸の量を適当な方法で測定することにより行うことができる。
【0036】
N−アセチルノイラミン酸の定量は、当業界で公知の方法で行うことができ、例えばレゾルシノール塩酸法〔Acta Chem. Scand., 13, 856 (1959)〕、チオバルビツール酸法(TBA法)〔J. Biol. Chem., 234, 1971 (1959)、Biochem. J., 81, 384 (1961)、J. Biochem., 82, 1425 (1977)〕等を用いて、反応生成物(N−アセチルノイラミン酸)を比色定量する方法が例示される。好ましくは、チオバルビツール酸法である。
【0037】
特に精製過程において、N−アセチルノイラミン酸シンターゼの活性を求める場合には、上記の反応系にリン酸塩を添加して行うことが好ましい。大腸菌の粗酵素にはフォスファターゼが含まれており、それにより反応系中の基質の一つであるホスホエノールピルビン酸がピルビン酸に変換されるため、N−アセチルノイラミン酸シンターゼの活性を正確に評価することが困難だからである。これに対して反応液にリン酸塩を添加しておくと、リン酸塩がフォスファターゼの阻害剤として機能するため、正確にN−アセチルノイラミン酸シンターゼの活性を測定、評価することができる。尚、リン酸塩の塩は特に制限されず、通常使用される塩、具体的にはリン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等が例示される。反応条件の具体的な一例を図1に示す。
【0038】
また、本発明は、上記の本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼを触媒として用いることを特徴とする、N−アセチルマンノサミン及びホスホエノールピルビン酸からN−アセチルノイラミン酸を製造する方法である。
【0039】
N−アセチルノイラミン酸は、従来、N−アセチルノイラミン酸リアーゼ及びエピメラーゼの存在下で、N−アセチルグルコサミンとピルビン酸を反応させる方法、コロミン酸の加水分解、卵黄や牛乳(ミルクホエー)等に含まれる糖タンパク質の加水分解等によって製造されているが、前述の本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼを触媒として、下記の反応を行うことによって製造する本発明の方法によると、前述するように反応系に金属類、SH化合物等の添加を必要としないことに加えて、収率及び純度に関して有利に製造することができる。
【0040】
【化2】
すなわち、本発明の製造方法は、N−アセチルマンノサミンとホスホエノールピルビン酸とを基質として、前述する本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼを触媒として用いるものである。製造条件(反応条件)は、適宜選択・調整することができ、具体的には、温度は通常25〜50℃程度、好ましくは25〜37℃程度、より好ましくは35℃程度、pHは通常5.5〜9程度、好ましくは7〜8程度、より好ましくはpH7.5程度、インキュベーション時間は通常0.5〜24時間程度、好ましくは5〜10時間程度、より好ましくは6時間程度が例示される。
【0041】
製造に際して、N−アセチルノイラミン酸シンターゼは、粗製品、精製品のいずれをも用いることができる。粗製品を用いる場合、特にN−アセチルノイラミン酸シンターゼにフォスファターゼが含まれる場合は、リン酸塩を存在させた反応系を用いてN−アセチルノイラミン酸を製造することが好ましい。
【0042】
本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼを用いた本発明の製造法によれば、高純度のN−アセチルノイラミン酸を高い収率で得ることができる。本発明の方法によれば反応効率が95〜100%程度、純度が98〜100%であり、従来のN−アセチルノイラミン酸リアーゼを用いる製造方法が反応効率が約50%程度、純度99%であるのに比較して、著しく有意な効果を有する。また、反応系に金属類やSH化合物を添加する必要がなく、またこのため最終反応物からこれらの金属類等を排除・精製する必要もない点でも有利である。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
【0044】
−実施例1−
N−アセチルノイラミン酸シンターゼの調製方法
N−アセチルノイラミン酸シンターゼを産生する大腸菌K1(ATCC 23511)を、液体培地(組成:硫酸アンモニウム0.5%、リン酸水素二カリウム1.4%、酵母エキス0.05%、ソルビトール2%、硫酸マグネシウム0.1%:pH8.5)中で37℃の条件下で振盪培養した。8時間後に培養を止め、得られた培養物を遠心分離(9,000rpm, 20分間)にかけて、菌体を集めた。この菌体をさらに50mM Tris−HCl溶液(pH9)に懸濁・溶解した後、菌体を超音波で破砕し、再度遠心することにより、その上清である細胞抽出液を得た。
【0045】
この抽出液を透析後、陰イオン交換クロマトグラフィー〔DEAE−セルロース:ワットマン社製、条件;緩衝液:50mM Tris−HCl溶液(pH8)、流速:40ml/分〕、陽イオン交換クロマトグラフィー〔CM−セルロース:ワットマン社製、条件;緩衝液:50mM Tris−HCl溶液(pH7)、流速:2ml/分〕、ゲル濾過クロマトグラフィー〔ULTROGEL AcA44、条件;緩衝液:50mM Tris−HCl溶液(pH9)−100mM NaCl、流速:1.5ml/分〕、陰イオン交換クロマトグラフィー〔RESOURCE Q:ファルマシア社製、条件;緩衝液:A)50mM Tris−HCl溶液(pH9)、B)50mM Tris−HCl溶液(pH9)−300mM NaCl、グラジエント:0−300mM NaCl、流速3ml/分〕、クロマトフォーカシング〔Mono P:ファルマシア社製、条件;緩衝液:A)75mM Tris(pH9.3)−CH3COOH、B)10倍希釈 Polybuffer96−CH3COOH(pH9);流速1ml/分〕及びゲル濾過クロマトグラフィー〔セファデックスG−100:ファルマシア社製、条件;緩衝液:50mM Tris−HCl溶液(pH9)−150mM NaCl、流速:0.4ml/分〕にかけて、順次N−アセチルノイラミン酸シンターゼの活性画分を取得して、精製した。
【0046】
尚、各画分に含まれるN−アセチルノイラミン酸シンターゼの活性は、図1に示す手順で行った。まず、リン酸カリウムの存在下でN−アセチルマンノミン及びホスホエノールピルビン酸とともに、pH7.5、35℃で30分間インキュベーションした。その後、反応総量の約1/10容量の0.1N 塩酸を添加することにより反応を停止し、次いでチオバルビツール酸法を用いて、生成されたN−アセチルノイラミン酸の比色を540nmの波長で測定する方法で求めた。
【0047】
なお、チオバルビツール酸法は、以下の方法に従って行った。
【0048】
−チオバルビツール酸法−
試料0.2mlに0.1mlの過ヨウ素酸試薬を加え、37℃で30分間放置する。これに亜硫酸ソーダ液を加えて過ヨウ素酸を消去してから、チオバルビツール酸液を1.0ml加える。栓をして沸騰湯浴中に7.5分間保ち、発色させる。氷水中で冷やし、2−メトキシエタノール2.0mlを加えて混和し、色素を転溶して比色する。
【0049】
表2に各精製段階で得られたN−アセチルノイラミン酸シンターゼの精製度及び収率を記載する。
【0050】
【表2】
なお、ここでN−アセチルノイラミン酸シンターゼの活性単位(1U)とは、1分間に1μmolのN−アセチルマンノサミンをN−アセチルノイラミン酸に転換する酵素量を意味する。また、蛋白質の量は、ローリー法(Lowry method)によって〔J. Biol. Chem., 193 265 (1951)〕、測定した。
【0051】
この方法により、最終的に、比活性487U/mg蛋白の精製標品30μgを得ることができた。
【0052】
この精製標品をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド電気泳動(以下、SDS−PAGEという。12.5%ポリアクリルアミドゲル)にかけた結果、分子量約50kDの単一のバンドが得られた(図2)。
【0053】
一方、セファデックスG-100を用いたゲル濾過法では、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは分子量106kDを示し、このことから本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、約50kDのサブユニットからなるホモダイマーであることが示唆された。
【0054】
−実施例2−
N−アセチルノイラミン酸シンターゼの理化学的性質
実施例1で精製したN−アセチルノイラミン酸シンターゼを用いて下記の実験を行い、その理化学的性質を調べた。なお、N−アセチルノイラミン酸シンターゼの活性は、図1に示す方法に準じて測定した。
【0055】
(1)金属類の要求性
実施例1で得られた精製N−アセチルノイラミン酸シンターゼについて、N−アセチルノイラミン酸の合成における金属類(金属類のイオン)の要求性を調べた。
【0056】
金属類(イオン)としては、マンガン(MnCl2)、マグネシウム(MgCl2)、コバルト(CoCl2)、カルシウム(CaCl2)、カリウム(KCl)、ナトリウム(NaCl)、銀(AgNO3)、鉄(FeSO4)を用いた。
【0057】
図1に示す反応系において、酵素として0.005UのN−アセチルノイラミン酸シンターゼを用いて、上記の金属類を一切加えない系、各種金属類を様々な濃度で加えた系でのそれぞれについて生成されるN−アセチルノイラミン酸の量を求めた。マンガン(MnCl2)及びカルシウム(CaCl2)についての結果を図3に示す。
【0058】
マグネシウム(MgCl2)、コバルト(CoCl2)、カリウム(KCl)、ナトリウム(NaCl)、銀(AgNO3)及び鉄(FeSO4)についても、この結果と同様に、少なくとも10mMの濃度でN−アセチルノイラミン酸シンターゼの触媒活性に全く影響を与えなかった。
【0059】
(2)SH化合物要求性
実施例1で得られた精製N−アセチルノイラミン酸シンターゼについて、N−アセチルノイラミン酸の合成におけるSH化合物の要求性について調べた。
【0060】
尚、反応に使用するN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、予めSH化合物を含まない緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.5)で透析して調製した。
【0061】
SH化合物としては、グルタチオン、β−メルカプトエタノール、システイン、ホモシステインを用いた。
【0062】
図1に示す反応系において、酵素として0.005UのN−アセチルノイラミン酸シンターゼを用いて、上記のSH化合物を一切加えない系、各種SH化合物を様々な濃度で加えた系それぞれについて、生成されるN−アセチルノイラミン酸の量を求めた。グルタチオンについての結果を図4に示す。
【0063】
β−メルカプトエタノール、システイン及びホモシステインについても、図4の結果と同様に、少なくとも10mMの濃度までN−アセチルノイラミン酸シンターゼ活性に何ら影響を与えなかった。
【0064】
(3)阻害剤
実施例1で得られた精製N−アセチルノイラミン酸シンターゼによるN−アセチルノイラミン酸の生合成における阻害剤について調べた。
【0065】
阻害剤として、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、PCMB(p−クロロメタクリ安息香酸)、HgCl2(塩化水銀)、MIA(ヨード酢酸)、H4P2O7(ピロリン酸)を用いた。
【0066】
図1に示す反応系において、酵素として0.005UのN−アセチルノイラミン酸シンターゼを用いて、上記の阻害剤を一切加えない系、各種阻害剤を様々な濃度で加えた系それぞれにおいて、生成するN−アセチルノイラミン酸の量を求めた。EDTA、PCMB及びHgCl2についての結果を図5に示す。
【0067】
MIA及びH4P2O7については、EDTAと同様に、少なくとも1mMの濃度までN−アセチルノイラミン酸シンターゼの活性に何ら影響を与えなかった。
【0068】
(4)基質特異性、反応生成物の同定
N−アセチルマンノサミンとホスホエノールピルビン酸を基質とする系、N−アセチルマンノサミンとピルビン酸を基質とする系で、それぞれ実施例1で得られた精製N−アセチルノイラミン酸シンターゼを反応させた。反応は、図1に示す条件に準じて、0から300分間の範囲でインキュベーションして反応することにより行った。結果を図6に示す。N−アセチルマンノサミンとホスホエノールピルビン酸を基質とした場合、インキュべーション(反応)時間にほぼ比例して生成するシアル酸量は増加したが、N−アセチルマンノサミンとピルビン酸を基質とした場合は、シアル酸の増加は全く認められなかった。
【0069】
このことから、精製酵素が、N−アセチルマンノサミンとホスホエノールピルビン酸に対して基質特異性を示すこと、さらに該酵素が、シアル酸リアーゼ活性を含まないシアル酸シンターゼの純品であることが確認された。
【0070】
また、反応生成物を、チオバルビツール酸法、HPLCによる分析、IRによる分析をすることにより、N−アセチルノイラミン酸であることを確認した。
【0071】
(5)酵素化学的性質(pH、温度の影響)
(i)至適pH、pHによる安定性
pHが4〜12の範囲にある各種の反応液を調製して、各pH条件下で反応を行い、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの至適pHを求めた。反応条件は、インキュベーション(反応)を25℃で30分間行い反応液のpHを変える以外は、図1に示す方法に準じて行った。結果を図7に示す。
【0072】
また、N−アセチルノイラミン酸シンターゼを各種pH条件下(pH4〜12)で一定時間インキュベーションした後の酵素の安定性を調べた。具体的には、まずN−アセチルノイラミン酸シンターゼだけを各種pH条件下、25℃で30分間インキュベーションした。次いで、該酵素液をN−アセチルマンノサミンおよびホスホエノールピルビン酸と混合して、該反応液について酵素反応(pH7.5、25℃、30分間)して、酵素の活性を調べた。結果を図8に示す。
【0073】
これらの結果、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの反応の至適pHは7.5であり、またpH4〜12の範囲で25℃、30分間のインキュベーションしても最大活性100%に対して40%以上の活性を維持しており、特にpH7〜10の範囲では最大活性100%に対して90%以上の活性が維持され、安定であることが判明した。
【0074】
(ii)作用適温の範囲
N−アセチルノイラミン酸シンターゼの触媒反応を、pH7.5の条件下で15℃、20℃、30℃、35℃、40℃、50℃及び60℃の各種温度で行った。その結果、温度35℃で最大の活性が得られた(図9)。
【0075】
また、N−アセチルノイラミン酸シンターゼを各種温度条件下(0〜60℃)で一定時間インキュベーションした後の酵素の安定性を調べた。具体的には、まずN−アセチルノイラミン酸シンターゼだけを各種温度条件下、pH7.5で30分間インキュベーションした。次いで該酵素液とN−アセチルマンノサミンおよびホスホエノールピルビン酸を混合して、この反応液について酵素反応(25℃、pH7.5、30分間)して、酵素の活性を調べた。結果を図10に示す。
【0076】
これらの結果から、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの触媒活性の至適温度は35℃であり、また温度安定性に関しては、pH7.5で30分間インキュベーションする条件下で0〜30℃程度まで安定であることが判明した。
【0077】
(6)ミカエリス定数
N−アセチルノイラミン酸合成反応における初速度の、両基質(N−アセチルマンノサミンおよびホスホエノールピルビン酸)の濃度依存性について調べた。
【0078】
反応は、30mM トリス塩酸緩衝液(pH 7.5)、0.005U N−アセチルノイラミン酸シンターゼ、各種濃度のN−アセチルマンノサミン、ホスホエノールピルビン酸を含む反応溶液(500μl)を用いて、35℃で30分間インキュベーションすることにより行い、生成したN−アセチルノイラミン酸の量をチオバルビツール酸法で求めた。
【0079】
N−アセチルマンノサミンの濃度依存性を調べる際は、ホスホエノールピルビン酸の濃度は、20mMとし、ホスホエノールピルビン酸の濃度依存性を調べる際は、N−アセチルマンノサミンの濃度は、20mMとした。
【0080】
ラインウィーバー・バーク式によって算出した結果、ミカエリス定数は、N−アセチルマンノサミンについては5.6mM、ホスホエノールピルビン酸については0.043mMであった。
【0081】
−実施例3−
N−アセチルノイラミン酸シンターゼを用いるN−アセチルノイラミン酸の製造
トリス塩酸緩衝液(pH8)にN−アセチルマンノサミン717mg及びホスホエノールピルビン酸702mgを溶解し、この溶液に実施例1で精製取得したN−アセチルノイラミン酸シンターゼを0.06U加えて、全量を30mlとし、30℃で10時間反応させた。
【0082】
反応後の、反応液中のN−アセチルノイラミン酸の生成量をチオバルビツール酸法で測定して、N−アセチルノイラミン酸への変換率を求めた。
【0083】
その結果、反応液中のN−アセチルノイラミン酸の量は、900mgであり、使用したN−アセチルマンノサミンに対する変換率は約97%であった。
【0084】
Dowex×1(登録商標、ダウケミカル株式会社製)によるイオン交換クロマトグラフィーにより反応生成物を単離し、濃縮後、常法に従いN−アセチルノイラミン酸の結晶810mgを得た。
【0085】
参考例
N−アセチルノイラミン酸シンターゼ反応系に対するリン酸塩の影響
N−アセチルノイラミン酸シンターゼの粗製品(実施例1における細胞抽出液を使用)及び精製品(実施例1におけるセファデックスG−100後の最終精製品を使用)について、反応系にリン酸カリウムを入れた場合と入れない場合とで、N−アセチルノイラミン酸シンターゼの活性を測定した。反応は図1に示す条件に準じて行った。結果を表3に示す。
【0086】
【表3】
なお、反応液中のN−アセチルノイラミン酸リアーゼの活性は、基質(N−アセチルノイラミン酸、40μmols/ml)50μl、200mMリン酸緩衝液(pH7.5)50μl、酵素液100μlからなる反応液を37℃にて30分間反応して生成されるN−アセチルマンノサミンをMorgan−Elson(モルガン−エルソン)変法で定量することにより測定した。
【0087】
このことから、精製過程の粗酵素の活性測定には、リン酸塩を添加した反応系を用いることにより、N−アセチルノイラミン酸シンターゼの正確な活性を評価できることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】N−アセチルノイラミン酸シンターゼの酵素反応の条件を概説する図である。
【図2】精製N−アセチルノイラミン酸シンターゼをSDS−PAGEにかけた電気泳動像を示す図面に代わる写真である。
【図3】本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの触媒活性に対する金属イオン(マンガンイオン、カルシウムイオン)の影響を示す図である。なお、図面の縦軸は、1分当たりに生じるN−アセチルノイラミン酸の量(μmol)を意味する。
【図4】本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの触媒活性に対するグルタチオンの影響を示す図である。なお、図面の縦軸は、1分当たりに生じるN−アセチルノイラミン酸の量(μmol)を意味する。
【図5】本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの触媒活性に対するEDTA、PCMB(p−クロロメルクリ安息香酸)、塩化水銀の影響を示す図である。なお、図面の縦軸は、1分当たりに生じるN−アセチルノイラミン酸の量(μmol)を意味する。
【図6】N−アセチルマンノサミン及びホスホエノールピルビン酸(図中、○で示す)、またはN−アセチルマンノサミン及びピルビン酸(図中、●で示す)を基質にした場合におけるN−アセチルノイラミン酸シンターゼによるN−アセチルノイラミン酸の生成量を経時的にみた図である。
【図7】本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの至適pHを示す図である。なお、図の縦軸は、最大活性を100%とした場合のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの相対活性を、横軸は反応液のpHを示す。
【図8】本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの安定pH範囲を示す図である。なお、図の縦軸は、最大活性を100%とした場合のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの相対活性を、横軸は25℃で30分間インキュベーションした際のpHを示す。
【図9】本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの至適温度を示す図である。なお、図の縦軸は、最大活性を100%とした場合のN−アセチルノイラミン酸
シンターゼの相対活性を、横軸は反応液の温度を示す。
【図10】本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの安定温度範囲を示す図である。なお、図の縦軸は、最大活性を100%とした場合のN−アセチルノイラミン酸シンターゼの相対活性を、横軸はpH7.5で30分間インキュベーションした際の温度を示す。
Claims (5)
- マンガン、カルシウムまたはそれらのイオンによって触媒活性が影響されず、次の理化学的性質を有することを特徴とするN−アセチルノイラミン酸シンターゼ:
(a)作用:N−アセチルマンノサミンおよびホスホエノールピルビン酸を基質として、N−アセチルノイラミン酸を産生する作用を有する
(b)基質特異性:N−アセチルマンノサミンおよびホスホエノールピルビン酸を基質とするが、N−アセチルマンノサミンおよびピルビン酸を基質としない
(c)至適pH:7〜8
(d)安定pH:4〜12
(e)作用適温:30〜37℃
(f)安定温度範囲:0〜30℃まで安定
(g)阻害物質:p−クロロメルクリ安息香酸及び塩化水銀
(h)無機質の作用:10mMの塩化マンガン(MnCl2)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、硝酸銀(AgNO3)及び硫酸鉄(FeSO4)により酵素活性は変化しない
(i)分子量:ゲル濾過法による測定で106kダルトンにピークを示す。 - グルタチオンによって触媒活性が影響されないことを特徴とする請求項1記載のN−アセチルノイラミン酸シンターゼ。
- エチレンジアミン四酢酸によって触媒活性が阻害されないことを特徴とする請求項1または2記載のN−アセチルノイラミン酸シンターゼ。
- 大腸菌に由来する請求項1乃至3のいずれかに記載のN−アセチルノイラミン酸シンターゼ。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のN−アセチルノイラミン酸シンターゼを触媒として用いることを特徴とする、N−アセチルマンノサミン及びホスホエノールピルビン酸からN−アセチルノイラミン酸を製造する方法。
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