JP3125954B2 - 新規なホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ及びその製法 - Google Patents
新規なホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ及びその製法Info
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測定するのに好適である、新規な性質を有するホスホエ
ノールピルビン酸カルボキシラーゼ及びその製法に関す
るものである。
ーゼは多くの植物、原生動物、大部分の細菌に存在する
ことが報告されている。これらの酵素については「ホス
ホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ」 田口正明及び
香月裕彦、蛋白質、核酸、酵素、Vol.22,No.14(1977)等
に詳しく記載されている。
ゼは、ホスホエノールピルビン酸および重炭酸イオンに
作用して、オキザロ酢酸とリン酸イオンを生成する反応
を触媒する。体液、特に血清および血漿中に存在する炭
酸ガスは重炭酸イオン(HCO3 -)と平衡状態にあり、
体液中で第2に大きなフラクションである。故に炭酸ガ
スおよび重炭酸イオンは血液中で最も重要な生理学的緩
衝作用系を形成している。このため血清または血漿中の
炭酸ガス含量の測定値は、電解質分散、アニオン不足の
有意な標識であり、これは呼吸、代謝系の酸−塩基不均
衡の医学的診断の助けになっている。例えば血清および
血漿中の重炭酸濃度の正常値は22〜32mmol/l
であるが、異常時には低値で15mmol/l、高値で
40mmol/lと変動する。
いるようにホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ
には、多くのエフェクターが存在するが、大部分の酵素
はアクチベーターとして高価なアセチルコエンザイム
A、フルクトース−1、6−ジリン酸やグルコース6−
リン酸を必要としている。また、アクチベーターを必要
としないホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼは
一部の細菌およびC4植物に見られる。しかしこれらの
起源の酵素にとって問題とされるのは安定性である。す
なわち、炭酸ガス測定試薬の使用pHは、pH8.0以
上の緩衝液が汎用されている。その理由として炭酸ガス
はアルカリ性pHでは重炭酸イオン形成側に平衡が片寄
り、逆に酸性側では炭酸ガス形成側に平衡が片寄るため
である。上述のC4植物のホスホエノールピルビン酸カ
ルボキシラーゼに代表される酵素は、炭酸ガス測定試薬
中での使用pH(pH8.0)中で不安定であることは
よく知られた事実である。上記の背景より、高価なアク
チベータを必要とせず、また炭酸ガス測定試薬の使用p
H(pH8.0)中で安定なホスホエノールピルビン酸
カルボキシラーゼが求められていた。
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、アセトバクター
・ハンゼニイ(Acetobacter hansenii)IFO14820から高
価なアクチベーターを必要とせず、pH8.0で安定な
ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼを見い出し
本発明を完成するに至った。
る新規なホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼで
ある。 (1) 次の反応を触媒する。
4時間処理) pH7.5〜8.5(10mM MgSO4 を含むトリ
ス緩衝液中で25℃、24時間処理) (4) 至適作用温度:60℃ (5) 熱安定性:45℃まで安定(pH7.0、15
分間処理) (6) 分子量:390,000±10、000(ゲル
ろ過法) 100,000±5、000 (SDS−PAGE) (7) アセチルCoAで活性化されない。
記の新規なホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ
生産能を有する菌株を栄養培地にて培養し、該培養物か
ら新規なホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼを
採取することを特徴とする新規なホスホエノールピルビ
ン酸カルボキシラーゼの製造法である。
スホエノールピルビン酸カルボキシラーゼを産生しうる
ものであれば植物、微生物など如何なる起源のものを用
いてもよい。好ましくは、上記性質を有するホスホエノ
ールピルビン酸カルボキシラーゼを産生しうるアセトバ
クター属細菌であって、好適な例としてはアセトバクタ
ー・ハンゼニイ(Acetobacter hansenii)IFO14820が挙げ
られる。
記ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ生産菌を
栄養培地に培養し、該培養物からホスホエノールピルビ
ン酸カルボキシラーゼを採取することにより製造でき
る。ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ生産菌
の培養にあたって使用する培地としては、使用菌株が資
化しうる炭素源、窒素源、無機物、その他必要な栄養素
を適量含有するものであれば、合成培地、天然培地いず
れも使用できる。炭素源としては、例えばペプトン類、
肉エキス、酵母エキス等の窒素含有天然物や、塩化アン
モニウム、クエン酸アンモニウム等の無機窒素含有化合
物が使用される。無機物としては、リン酸カリウム、リ
ン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等が使用される。培
地は通常振とう培養、あるいは通気撹拌培養で行う。培
養温度は20〜40℃、好ましくは25〜30℃、培養
pH5〜9の範囲で、好ましくは7〜8に制御するのが
良い。これら以外の条件下でも使用する菌株が生育すれ
ば実施できる。培養期間は通常1〜10日で生育し、菌
体内にホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼが生
産蓄積される。
精製法を用いれば良い。例えば、抽出法には超音波破
砕、ガラスビーズを用いる機械的な破砕、フレンチプレ
ス、界面活性剤などいずれを用いてもよい。さらに抽出
液については、硫安やぼう硝などの塩析法、塩化マグネ
シウムや塩化カルシウムなどの金属凝集法、プロタミン
やポリエチレンイミンなどの凝集法、さらにはDEAE
(ジエチルアミノエチル)−セファロース、CM(カル
ボキシメチル)−セファロースなどのイオン交換クロマ
ト法などにより精製することができる。またこれらの方
法で得られた粗酵素液や精製酵素液は、例えば、スプレ
ードライや凍結乾燥により粉末化できる。さらには適当
な担体に固定化して固定化酵素として使用できる。
ラーゼの活性は以下の方法によって測定できる。50m
M Tris−HCl、10mM Na2CO3、3.2
mM ホスホエノールピルビン酸、10mM MgSO
4、0.14mM NADH、50U/mlマレートデ
ヒドロゲナーゼを含む反応混液2.9mlをキュベット
(d=1cm)に調製し、30℃で約5分間予備加温す
る。次に酵素溶液0.1mlを添加し、ゆるやかに混和
後、水を対照に30℃に制御された分光光度計で340
nmの吸光度変化を2〜3分間記録し、その初期直線部
分から1分間あたりの吸光変化を求める(△ODtes
t)。盲検は酵素溶液の代わりに50mM リン酸緩衝
液(pH7.0)を加え、同様に操作を行って、1分間
当りの吸光度変化を求める(△ODblank)。ホス
ホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの活性は、上記
条件で1分間に1マイクロモルのNADHを消費する酵
素量を1単位(U)とする。
せず、またpH8.0で安定性の良いホスホエノールピ
ルビン酸カルボキシラーゼが得られる。該酵素を用いる
ことにより安価に安定性のよい炭酸ガス測定試薬が得ら
れる。
す。 実施例1 ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.5%、グルコー
ス0.5%、硫酸マグネシウム0.05%を含む培地
(pH7.O)100mlを500ml容坂口フラスコ
に移し、121℃、15分間オートクレーブを行った。
種菌として、アセトバクター・ハンゼニイ(Acetobacte
r hansenii)IFO14820を一白金耳植菌し、30℃で48
時間培養し、種培養液とした。次に同培地61を10l
容ジャーファーメンターに移し121℃で15分間オー
トクレーブを行い、放冷後、種培養液100mlを移
し、300rpm,通気量21/分、30℃で48時間
培養した。培養液を遠心分離にて集菌し、50mMリン
酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。本液をフレンチプ
レスで処理し、遠心分離を行い、上清液を得た。得られ
た粗酵素液を硫安分画、DEAE−セファロースクロマ
トグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフ
ィー、セファデックスG−200によるゲルろ過により
比活性84U/mgにまで精製した。
キシラーゼは下記の特性を有していた。 (1)下記の反応を触媒した。
Mであった。 (3)至適pH 50mM MES緩衝液(pH6.0〜7.5)、50
mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5〜9.0)中での酵
素活性を測定した。その結果は図1に示す通りであっ
て、至適pH7.5〜8.0であった。 (4)安定pH Britton-Robinson's緩衝液(pH3−12)で25℃、
24時間保存してその残存活性を測定した。その結果、
安定pHはpH5.0〜8.0であった。また10mM
MgSO4 存在下、トリス塩酸緩衝液(7.5〜9.
0)で25℃、24時間保存してその残存活性を測定し
た。その結果、安定pHはpH7.5〜8.5であった
(図2)。 (5)至適温度 各温度における酵素活性を測定した。その結果は図3に
示す通りであって至適温度は60℃であった。 (6)熱安定性 本発明の酵素を50mM K−リン酸(pH7.0)中
で15分間保温した後、残存する酵素活性を測定した。
その結果は図4に示す通りであって45℃まで安定であ
った。 (7)至適マグネシウム濃度 硫酸マグネシウムを1〜50mMに変化させて酵素活性
を測定した。その結果は図5に示す通りであって2〜1
0mMが至適であった。 (8)分子量 390,000±10,000(TSK−gel G−
3000SWを用いたゲルろ過法) 100,000±5,000 (SDS−PAGE) (9)等電点 等電点電気泳動法で6.0±0.1であった。 (10)アセチルCoA、ADPの影響は以下の通りで
あった。
の通りであった。
明の酵素はアセチルコエンザイムAに活性化されず、A
DPに阻害されず、かつ至適pHが7.5〜8.0にあ
り、試料中の炭酸ガスの測定に適している。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記理化学的性質を有する新規なホスホ
エノールピルビン酸カルボキシラーゼ。 (1) 次の反応を触媒する。 【化1】 (2) 至適作用pH:7.5〜8.0 (3) pH安定性:pH5.0〜8.0(25℃、2
4時間処理) pH7.5〜8.5(10mM MgSO4 を含むトリ
ス緩衝液中で25℃、24時間処理) (4) 至適作用温度:60℃ (5) 熱安定性:45℃まで安定(pH7.0、15
分間処理) (6) 分子量:390,000±10、000(ゲル
ろ過法) 100,000±5、000 (SDS−PAGE) (7) アセチルCoAで活性化されない。 - 【請求項2】 アセトバクター属に属し、下記理化学的
性質を有する新規なホスホエノールピルビン酸カルボキ
シラーゼ生産能を有する菌株を栄養培地にて培養し、該
培養物から新規なホスホエノールピルビン酸カルボキシ
ラーゼを採取することを特徴とする新規なホスホエノー
ルピルビン酸カルボキシラーゼの製造法。 (1) 次の反応を触媒する。 【化2】 (2) 至適作用pH:7.5〜8.0 (3) pH安定性:pH5.0〜8.0(25℃、2
4時間処理) pH7.5〜8.5(10mM MgSO4 を含むトリ
ス緩衝液中で25℃、24時間処理) (4) 至適作用温度:60℃ (5) 熱安定性:45℃まで安定(pH7.0、15
分間処理) (6) 分子量:390,000±10、000(ゲル
ろ過法) 100,000±5、000 (SDS−PAGE) (7) アセチルCoAで活性化されない。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11324893A JP3125954B2 (ja) | 1993-05-14 | 1993-05-14 | 新規なホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ及びその製法 |
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JPH06319541A JPH06319541A (ja) | 1994-11-22 |
JP3125954B2 true JP3125954B2 (ja) | 2001-01-22 |
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-
1993
- 1993-05-14 JP JP11324893A patent/JP3125954B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (2)
Title |
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Arch.Microbiol.,122(1979),p.109 |
J.Bcteriol.,98(1968),p.1005 |
Also Published As
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JPH06319541A (ja) | 1994-11-22 |
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