JP3012356B2 - フルクトキナーゼの製造法 - Google Patents

フルクトキナーゼの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフルクトキナーゼを効率
よく製造する方法に関し、さらに詳細には、シュードモ
ナス属に属する細菌を使用して特性がすぐれたフルクト
キナーゼを効率よく製造する方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】フルクトースは生化学上、または生理的
に重要な物質である。たとえば食品分野において、フル
クトースは一般に多量のグルコースと共存しており、果
糖、あるいは転化糖として大量に消費されており、ま
た、農業分野においては果実の甘みの指標になり、製品
の品質の評価の項目とされている。また、健常人の血清
には通常0.06mMのフルクトースが存在している。通
常、グルコースはフルクトースの50〜100倍量存在
している。しかして、このフルクトースは、人の健康状
態を把握−たとえば糖尿病のモニタリング−するための
重要な因子の1つとされている。従って、フルクトース
を正確に定量することが重要である。
【0003】フルクトースは、従来は、たとえば、“Me
thods of Enzymatic Analysis 〔Second Edition〕, Ve
rlag Chemie Weinheim AcademicPress , Inc. , 1305-1
307”に記載されている方法で測定されている。しかし
てこの方法は下記の原理によるものである。すなわち、 (1)HK(ヘキソキナーゼ)の作用によって、D−フ
ルクトースとATP(アデノシン三りん酸)とからF6
P(D−フルクトース6−りん酸)およびADP(アデ
ノシン二りん酸)とが生成せしめられる。 (2)PGI(ホスホグルコースイソメラーゼ)の作用
によって、前記(1)のF6PはG6P(D−グルコー
ス6りん酸)に変換せしめられる。 (3)G6PDH(D−グルコース6−ホスホデヒドロ
ゲナーゼ)の作用により、前記(2)のG6PとNAD
+ (ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドりん酸)
とからD−グルコノ−δ−6−りん酸(D-glucono-δ-l
actone 6-phospate)、NADPH(還元型ニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチドりん酸)およびH+ (水素
イオン)を生成せしめる。 (4)前記(3)のNAPDHを、NADPHの最大吸
収波長である340nmの吸光度によって、フルクトース
の量を求める。また、ヘキソキナーゼの1種としてフル
クトキナーゼが知られている。フルクトースをりん酸化
する酵素は、フルクトキナーゼまたはD−フルクトース
6−ホスホトランスフェラーゼ(D−fructose6−phos
photransferase) とも称され、酵素番号EC2.7.
1.4の酵素であり、Mg2+の存在下で、D−フルクトー
スおよびATPからD−フルクトース6−りん酸および
ADPを生成させる反応を触媒する酵素である。フルク
トキナーゼの生産菌としては(1)Streptomyces violacer
uber〔Sabater,B., Sebastian, J. & Asensio, C.(197
2)Biochem.Biophys.Acta, 284, 414-420〕, (2)Leucono
stoc mesenteroides〔Anderson, R.L. & Sapico, V.L.
(1975)Meth.Enzymol. 42, 39-43〕, (3)Streptococcus
faecalis 〔Moore, L.D.& O′Kane, D.J.(1963)J.Bacte
riol. 86, 766-772〕, (4)Aerobacter aerogenes 〔Kel
ker, N.E. & Hanson, T.E.(1970)J.Biol.Chem. 8, 2060
-2065〕, および(5)Echinococcus granulosus〔マメ;C
hen.M. & Whisteler, R.L.(1977)Adv.Carbohtdr.Chem.
& Biochem. 34, 285-343 〕などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】たとえば血清中の、
フルクトースの定量にあたり、フルクトース検体には前
記したように一般に、フルクトースに比べ多量のグルコ
ースが共存している。従来の一般に入手し得るフルクト
キナーゼを使用した技術では検体中の基質としてフルク
トース以外にグルコースにも該酵素が作用し、かつ常に
フルクトースに比べて50〜100倍量存在するグルコ
ースによるブランクの高い測定になってしまい、大きな
誤差が生じるばかりかフルクトースの測定が困難な場合
も多かった。また前記の生産菌から得られたフルクトキ
ナーゼは性能が劣り、たとえば、Streptomycess violac
eruberからのフルクトキナーゼは安定性が悪く、0〜4
℃で2週間で完全に失活してしまい、また、Leuconosto
c mesenteriodes からのフルクトキナーゼはフルクトー
スに対する特異性が低く、フルクトースに対すると同様
にマンノースにも作用するなどにより、末だ実用に供さ
れているものは見当らない。もしも、フルクトースに対
する特異性が高く、他の糖類には実質的に作用せず、り
ん酸化の活性が高く、各種安定性のよいすぐれた特性を
有するフルクトキナーゼを見出し、これを容易に効率よ
く生産できれば、このようなフルクトキナーゼを使用す
ることでブランクのない、誤差を生じにくいフルクトー
ス測定系を組み立てることが可能となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、フルクト
ースに対する基質特異性が高く、安定性に優れたフルク
トキナーゼを生産する微生物を見出すべく広く自然界か
らスクリーニングしたところ、熊本県熊本市の畑土壌よ
り分離したシュードモナス・エスピー・No. 921が目
的とする性質を有する酵素を生産していることを発見
し、本発明を完成させたものである。即ち、本発明は、
シュードモナス属に属するフルクトキナーゼ生産菌を培
養して得られた培養物からフルクトキナーゼを採取する
ことを特徴とするフルクトキナーゼの製造法を提供する
ものである。本フルクトキナーゼ生産菌はシュードモナ
ス属に属するものであって、例えば、本発明者らが分離
したNo. 921菌株は本発明に最も有効に利用される菌
株の一例である。なお、本菌株の同定であたっては、同
定実験は「医学細菌同定の手引き(第2版)197
4」、“Microbiological Methods(第3巻)”に準じて
行い、DNAのGCmol%の測定はフェノール法で精製
したDNAをヌクレアーゼP1で処理しDEAEカラム
を用いたHPLCで測定した。 キノンの分析は「新し
い分類学に伴走する細菌同定法」に準じてキノンを精製
しHPLCで分析した。生育温度テスト以外には、培養
は28〜30℃で行なった。 実験結果を“Bergey′sM
anual of Determinative Bacteriology(8版)、Berge
y′s Manual of Systematic Bacteriology Vol.1(1
984)、同誌、Vol.2(1986)”などと対比して
同定を行った。なお、シュードモナス・エスピー・No.
921は微工研条寄第3310号(FERM BP−3
310)として通商産業省工業技術院微生物工業技術研
究所に寄託されている。
【0006】シュードモナス・エスピー・No. 921の
菌学的性質を示す。すなわち、 1)生育の特徴 普通寒天斜面培地 線状に良好に生育する。半光沢で、灰白色〜淡黄土色を
呈する。可溶性色素は産生しない。 普通寒天平面培地 縁はなめらかで丸い平らな集落を形成する。灰白色〜淡
黄土色を呈する。可溶性色素は産生しない。 液体培地(ペプトン水) 生育は弱いが、一様に混濁する。リトマスミルク培地 変化しない。 2)DNAのGCmol % 64.5±1.0mol %(DEAEカラムを用いたHPLC
分析) 3)主たるイソプレノイドキノン Q8 4)形態の特徴 端の丸い、まっすぐかまたはやや曲がった桿状細菌で、
極毛で運動する。大きさは0.5×1.5〜2.0μmで、芽
胞は形成しない。配列は単独、二連たまに短連鎖。 5)生理・生化学的性状 グラム染色 − KOH反応 + 抗酸性染色 − カプセル形成 − OFテスト(Hugh-Leifson) 0 OFテスト(N源にNH4H2PO4) 0 好気での生育 + 嫌気での生育 − 生育温度 37℃ − 30℃ + 20℃ + 10℃ NT 食塩耐性 0% + 1.0% (+) 3.0% − 生育pH 4.7 + 9.0 + 10.0 − ゲラチン分解 + デンプン分解 + カゼイン分解 −(生育しない) エスクリン分解 − セルロース分解 − チロシン分解 − Tween 80の分解 − アルギニン分解 + カタラーゼ産生 + オキシダーゼ産生 − レシチナーゼ産生 − ウレアーゼ産生(SSR) − ウレアーゼ産生(Chris.) − インドール産生 − 硫化水素産生(lead acetate paper) − アセトイン産生(K2HPO4) − アセトイン産生(NaCl) − MRテスト − 硝酸塩還元テスト(ガス産生) − (No2 - の検出) − (No3 - の検出) + シモンズ培地での利用性 クエン酸塩 − リンゴ酸塩 − マレイン酸塩 − マロン酸塩 − プロピオン酸塩 − グルコン酸塩 − コハク酸塩 − クリステンゼン培地での利用性 クエン酸塩 − リンゴ酸塩 − マレイン酸塩 − マロン酸塩 − プロピオン酸塩 − グルコン酸塩 − コハク酸塩 − グルコースよりガスの産生 − 糖より酸の産生 アドニトール + L(+)−アラビノース + セロビオース − ズルシトール − メソーエリスリトール − フルクトース − D−ガラクトース + D−グルコース + グリセリン − イノシトール + イヌリン − ラクトース − マルトース − マンニトール + マンノース + メレジトース − メリビオース − ラフィノース − L(+)−ラムノース + D−リボース + サリシン − L−ソルボース + ソルビトール + スターチ − サッカロース − トレハロース + D−キシロース +
【0007】シュードモナス・エスピー・No. 921の
同定について記載する。すなわち、 1)主性状 グラム陰性の桿状細菌で極毛で運動する。グルコースを
酸化的に分解し酸を産生する。オキシダーゼ非産生。カ
タラーゼ産生。DNAのGCmol %は64.5±1.0%。
主たるキノンはQ8 。 2)同定 No. 921は好気性のグラム陰性桿状細菌で運動性(極
毛)があることから、Pseudomonas 科のPseudomonas
属、Xanthomonas 属およびGluconobacter 属のいずれか
に属する。各属の鑑別表を記する。 No.921 Pseudomonas Xanthomonas Gluconobacter 色素産生 W W,G,Y Y W オキシダーゼ − +(−) − − カタラーゼ + + + + pH4.5での生育 − − − − キノン Q8 8,9,108 10 DNA のGCmol % 64.5 58〜70 63〜71 56〜64 W:白色、 G:灰色、 Y:黄色 No. 921はpH4.5での生育性、色素産生性、キノン型
によりPseudomonas 属に属するものと同定した。DNA
のGCmol %が64±5%の菌種を選んで諸性状を対比
したが、性状がよく一致する菌種の記載はなく種の確定
はできなかった。よってNo. 921を、Pseudomonas s
p. No. 921と命名し、工業技術院微生物工業技術研
究所に寄託した。
【0008】フルクトキナーゼを製造する方法について
説明する。すなわち、本発明においては、先ずシュード
モナス属に属するフルクトキナーゼ生産菌が適当な培地
で培養される。前記のフルクトキナーゼ生産菌の代表例
としては、前記のシュードモナス・エスピー・No. 92
1が挙げられる。細菌の一般的性状として菌学上の性質
は自然にまたは人工的に変異し得るものである。従って
自然的にあるいは、通常行われる紫外線照射、放射線照
射または変異誘導剤、例えばN−メチル−N−ニトロ−
N−ニトロソグアジニンまたはエチルメタンスルホネー
トなどを用いる人工的変異手段により本菌株を変異させ
て得られる人工変異株は勿論、自然変異株も含めシュー
ドモナス属に属し、採取し得る量でフルクトキナーゼを
生産する能力を有する変異株または変種もすべて本発明
に使用することができる(これらを総括して本細菌と記
すこともある)。
【0009】前記の培養は、細菌の培養に一般的に用い
られる条件によって行うことができる。培地としては、
本細菌が同化し得る炭素源、消化し得る窒素源、さらに
必要に応じて無機塩などを含有させた栄養培地が使用さ
れる。本細菌が同化し得る炭素源としては、グルコー
ス、フルクトース、サッカロースおよびマンノースなど
が単独、または組み合わせて用いられる。本細菌が同化
し得る窒素源としてはペプトン、肉エキス、酵母エキス
およびマルトエキスなどが単独、または組み合わせて用
いられる。その他、必要に応じて無機塩、金属塩などが
使用される。前記以外に本細菌が同化し得る炭素源、同
化し得る窒素源が使用できることは言うまでもない。培
養は通常、振とうまたは通気撹拌培養などの好気的条件
下で行うのがよく、工業的には深部通気撹拌培養が好ま
しい。培養温度はフルクトキナーゼ生産菌が発育し、本
酵素を生産する範囲内で適宜変更し得るが、通常は15
〜32℃、特に28℃付近が好ましい。培養時間は培養
条件によって異なるが、本酵素が最高力価に達する時期
を見計らって適当な時間に培養を停止すればよく、通常
は1〜2日間程度である。発泡があるときにはシリコン
油などの消泡剤が適宜使用される。フルクトキナーゼ
は、一般にこの様にして得られた本細菌の主として菌体
内に含有されているので、得られた培養液から濾過また
は遠心分離等の常法によって集菌し、これらの菌体を超
音波処理、フレンチプレス処理、ガラスビーズ処理等の
機械的破壊手段やリゾチーム等の酵素的溶解等の種々の
方法を適宜単独、あるいは組み合わせて粗製のフルクト
キナーゼ含有液が得られる。
【0010】次に、このフルクトキナーゼ含有液から公
知の蛋白質、酵素の精製手段を用いることにより精製さ
れたフルクトキナーゼを得ることができる。例えば粗製
のフルクトキナーゼ含有液に硫安を添加して硫安沈殿に
より本酵素を回収し、さらにその後必要に応じて分子
篩、各種クロマトグラフィー法を適宜組み合わせて精製
すればよい。こうして得られた精製酵素は、必要に応じ
てサッカロースおよびマンニトールなどの糖類、牛血清
アルブミンなどの蛋白質類等の安定化剤が添加され、凍
結乾燥によりフルクトキナーゼの粉体を得ることができ
る。
【0011】このようにして得られたフルクトキナーゼ
(以下 本酵素 と記す)の性状は以下のとうりであ
る。すなわち、 (1)酵素作用 下記式に示すようにMg2+の存在下で、D−フルクトース
およびATPからD−フルクトース6−りん酸およびA
DPを生成させる反応を触媒する。
【0012】(2)基質特異性 フルクトース 100% N−アセチル−D−グルコサミン0 グルコース 0 ラクトース 0 ソルボース 0 サッカロース 0 ガラクトース 0 マルトース 0 キシロース 0 ソルビトール 0 マンノース 0.1* 2−デオキシ−D−リボース 0 2−デオキシ−D−グルコース 0* :マンノースには作用せずにマンノース中の不純物と
して存在した基質(未同定)との反応結果か、又は、マ
ンノースに対して相対活性0.1%を示した結果かは判定
し得なかったが、フルクトースの定量時において実質的
に影響を及ぼさないことが考察される。
【0013】(3)分子量 75,000±8000 トーソー社製TSKゲルG3000SW(0.75×60
cm)による値である。溶出液;0.2M NaCl含有0.1Mリ
ン酸緩衝液(pH7.0)。標準蛋白としてオリエンタル酵
母社製の次のマーカーを使用した。 分子量 12,400 シトクロームC 32,000 アデニレイトキナーゼ 67,000 エノラーゼ 142,000 ラクテイトデヒドロゲナーゼ 290,000 グルタメイトデヒドロゲナーゼ
【0014】(4)等電点 5.12±0.52 キャリアアンフォライト(pH3.5〜10)を用いる焦点
電気泳動法により4℃、700Vの定電圧で40時間通
電した後、分画し、各画分の酵素活性を測定した。
【0015】(5)Km値(ミハエリス定数) 100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0) 30mM D−フルクトース(和光純薬社製) 0.2% 牛血清アルブミン(シグマ社製) 5U/ml ジアホラーゼ(東洋醸造社製) 5U/ml ホスホグルコースイソメラーゼ(ベーリンガ
ーマンハイム山ノ内社製) 20U/ml グルコース6−りん酸デヒドロゲナーゼ
(東洋醸造社製) 1mM NADP+ 5mM MgCl2 および 0.025 % ニトロテトラゾリウムブルー(和光純薬社
製) を含む反応液中でATPの濃度を変化させて、ATPに
対するKm値を測定した結果では0.71mMの値を示した。
一方、前記反応液中で30mMフルクトースの代わりに1
0mM ATPを添加し、D−フルクトースの濃度を変化
させて、D−フルクトースに対するKm値を測定した結果
では1.0mMを示した。
【0016】(6)熱安定性 本酵素液(1.0U/ml)を20mMトリス塩酸緩衝液(pH
8.0)で調製し、各温度で15分間加熱処理後、その残
存活性を後記の酵素活性測定法に従って測定した。その
結果は図1に示されるとうりであって、酵素活性は40
℃までは安定であった。
【0017】(7)至適温度 100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、30mM D−フ
ルクトース、10mMATPおよび5mM MgCl2で調製した
反応液1mlに本酵素(1U/ml)10μlを添加し、3
0、35、40、45、50および55℃のそれぞれの
温度で15分間反応させた後、直ちにアミコンセントリ
フローCF25(アミコン社製)を用いて2℃で限外濾
過を行って濾液を得、この濾液中のD−フルクトース6
−りん酸を後記の反応液を用いて測定した。その結果
は、図2に示されるとうりであって、45°において最
も活性が高かった。 反応液 100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0) 0.2% 牛血清アルブミン 5U/ml ジアホラーゼ 5U/ml ホスホグルコースイソメラーゼ 20U/ml グルコース6−りん酸デヒドロゲナーゼ 1mM NADP+ および 0.025% ニトロテトラゾリウムブルー 前記の反応液1mlに濾液を0.05ml添加し、37℃で5
分間反応させた後に、0.1N塩酸を2ml添加して反応を
停止させ、550nmにおける吸光度を測定した。
【0018】(8)pH安定性 本酵素液(1.0U/ml)を40mMの酢酸緩衝液(pH5.0
〜6.0 白抜三角で表示)、りん酸緩衝液(pH6.0〜8.
0 白抜円で表示)およびトリス塩酸緩衝液(pH8.0〜
10.0黒円で表示)の各緩衝液で調製し、40℃で15
分間加熱処理した後、その残存活性を後記の酵素活性測
定法に従って測定した。その結果は図3に示されるとう
りであって、pH6.5〜8.0の範囲で95%以上の活性を
保持していた。
【0019】(9)至適pH 酢酸緩衝液(pH,5.0,5.5,6.0 白抜三角で表
示)、りん酸緩衝液(pH,6.0,6.5,7.0,7.5,8.
0 白抜円で表示)およびトリス塩酸緩衝液(pH,8.
0,8.5,9.0,9.5 黒円で表示)の各緩衝液で調製
した反応液に本酵素を添加し、37℃で反応させた後、
0.1N塩酸2mlで反応を停止させ、550nmにおける吸
光度を測定した結果は図4に示されるとうりであって、
pH7付近で最も活性が高かった。
【0020】(10) 金属イオンの活性に及ぼす影響 後記の酵素活性測定法のMgCl2 の代わりに以下に示した
2価の金属の塩酸塩を添加して、酵素活性を測定した結
果、MnCl2 がMgCl2 の8.2%を示しただけで他の金属イ
オンは作用しなかった。 金属塩 相対活性 none 0% MgCl2 100 BaCl2 0 CaCl2 0 MnCl2 8.2 ZnCl2 0 NiCl2 0 CuCl2 0 CoCl2
【0021】(11) 水溶液中における保存安定性 0.05% NaN3 含有40mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)
で本酵素液(5U/ml)を調製し、5℃における保存安
定性の検討を行った。その結果は図5に示されるとうり
であって3週間で96%、6週間でも91%の高い活性
を保持していた。
【0022】(12) フルクトキナーゼの活性測定法 1.反応液組成 100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0) 5mM MgCl2 30mM D−フルクトース(和光純薬社製) 10mM ATP(オリエンタル酵母社製) 0.2% 牛血清アルブミン(シグマ社製) 1mM NADP+ (オリエンタル酵母社製) 5U/ml ジアホラーゼ(東洋醸造社製) 5U/ml ホスホグルコースイソメラーゼ(ベーリンガ
ーマンハイム山ノ内社製) 20U/ml グルコース6−りん酸デヒドロゲナーゼ
(東洋醸造社製) 0.025% ニトロテトラゾリウムブルー(和光純薬社
製) 2.活性測定法 前記の反応液1mlを小試験菅に入れ、37℃で2分間イ
ンキュベイトした後に、適当に希釈した酵素液を0.02
ml添加して反応を開始させる。正確に10分間インキュ
ベイトした後に、0.1N塩酸2.0mlを添加して反応を停
止させ、A550n m を測定して吸光度A1 を求める。この
とき同時に酵素無添加のものをブランクとし吸光度A0
を求める。 3.計算式 U/ml= (A1-A0)/19.3 × 1/10 × 3.02 /0.02 × Z 式中、19.3;分子吸光係数cm2 /μmol 、Z;希釈倍
【0023】
【実施例】次に、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これにより本発明を限定するものではない。 実施例1 〔シュードモナス・エスピー・No. 921の培養〕ポリ
ペプトン1%、酵母エキス0.5%、カザミノ酸1%、マ
ルトエキス1%、マンノース1%、KH2PO40.3%および
MgSO4 ・7H2O 0.05%を含む液体培地(pH7.0)10
0mlを、500ml容三角フラスコ20本に分注し、12
0℃で20分間加熱滅菌した後、これにシュードモナス
・エスピー・No. 921の菌体1白金耳を接種し、28
℃で120r.p.m.の振とう培養器で40時間培養し、酵
素活性0.1U/mlの培養物1.9Lを得た。
【0024】実施例2 〔酵素の分離精製〕実施例1で得られた培養液1.9Lを
遠心分離して集菌し、得られた菌体を20mMトリス塩酸
緩衝液1L(pH8.0)で一回洗浄した。洗浄した菌体を
20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁して50mlに
調製し、クボタ社製の超音波破砕器(INSONATOR 201M)
を用いて180W、10分間で破砕して破砕液を得た。
この破砕液から15,000r.p.m.、20分間の遠心分離で4
2ml(酵素活性3.5U/ml)の上清を得た。この上清に
硫安11gを溶解し、生じた沈殿物を遠心分離して除去
し、得られた上清に再び硫安8gを溶解し、生じた沈殿
物を遠心分離し、得られた沈殿物を20mMトリス塩酸緩
衝液(pH8.0)20mlで溶解し、これを透析チューブを
用いて20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)2Lに対して
1晩透析し、25mlの酵素液(酵素活性4.7U/ml)を
得た。得られた酵素液を20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
0)で緩衝化したDEAE−セファロースCL−6B
(ファルマシア社製)50mlのカラムに通し、0.2M塩
化カリを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)1Lを
流し、次いで0.3M KClを含む20mMトリス塩酸緩衝液
(pH8.0)で溶出し、酵素液100ml(酵素活性1.2U
/ml)を得た。得られた酵素液を20mMトリス塩酸緩衝
液(pH6.5)5Lに対して一晩透析した。透析して得た
酵素液を20mMトリス塩酸緩衝液(pH6.5)で緩衝化し
たブルーセファロースCL−6B(ファルマシア社製)
5mlのカラムに通し、通過液110ml(酵素活性1.0U
/ml)を得た。この通過液中にはコンタミ酵素としての
ヘキソキナーゼ、NADHオキシダーゼ、乳酸デヒドロ
ゲナーゼが全く存在しなかった。この通過液をアミコン
セントリフローCF25(アミコン社製)を用いて濃縮
し、2ml(酵素活性54U/ml)の酵素液を得た。
【0025】実施例3 本酵素を用いたD−フルクトースの定量 100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0) 2U/ml フルクトキナーゼ(実施例2で得られた本酵
素) 5U/ml ホスホグルコースイソメラーゼ 20U/ml グルコース6−りん酸デヒドロゲナーゼ 5mM ATP 1mM NADP+ 5mM MgCl2 前記の反応液を調製し、これを小試験管に1mlづつ分注
し、37℃で2分間インキュベイトした後に、1、2、
3、4、5mMにそれぞれ調製したD−フルクトース液を
それぞれ10μl添加し、37℃で10分間インキュベ
イトした後に生成されたNADPHのA340nm の吸光度
を測定した。このときD−フルクトース無添加のものを
ブランクとして測定し、このブランクを差し引いたΔA
340nm の結果は図6に示されるとうりであって、原点を
通る直線を示しており、ほぼ理論量のD−フルクトース
6−りん酸が生成されていた。
【0026】
【発明の効果】本発明により、フルクトースに対する特
異性が高く、他の糖類には実質的に作用せず、りん酸化
の活性が高く、各種安定性のよいすぐれた特性を有する
フルクトキナーゼが容易に、効率よく得られる。また、
このようにして得られたフルクトキナーゼを使用するこ
とにより、多量な他の糖類の共存下でもフルクトースを
正確に、しかも容易に定量することが可能となり、本発
明の産業上の価値は極めて高い。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【図1】本酵素の熱安定性を示すグラフである。
【図2】本酵素の至適温度を示すグラフである。
【図3】本酵素のpH安定性を示すグラフである。
【図4】本酵素の至適pHを示すグラフである。
【図5】本酵素の水溶液中における保存安定性を示すグ
ラフである。
【図6】本酵素を用いてD−フルクトースを定量すると
きの検量線を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 9/00 - 9/99 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュードモナス属に属するフルクトキナ
    ーゼ生産菌を培養し、得られた培養物からフルクトキナ
    ーゼを採取することを特徴とするフルクトキナーゼの製
    造法。
  2. 【請求項2】 シュードモナス属に属するフルクトキナ
    ーゼ生産菌が、シュードモナス・エスピー・No. 921
    (FERM BP−3310)である請求項1記載の製
    造法。
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Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Journal of Basic Microbiology,Vol.31,No.1,(June 21,1991:JICSTの資料受入日)、P.75−79

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