JP4349697B2 - 1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素 - Google Patents

1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,5−アンヒドログルシトール(以下、「1,5−AG」と記載する。)を基質とする1,5−AG脱水素酵素及び前記酵素の製造方法、前記酵素を用いた1,5−AGの定量法、並びに、前記酵素をコードするDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】
1,5−AGは、健常人の場合、一定以上の濃度で生体内に存在しているが、糖尿病の患者の場合、著しい濃度低下が見られるため、糖尿病の診断マーカーとして臨床検査における重要な検査項目の1つとして用いられ、その利用価値は極めて高い。
【0003】
従来より知られている、酵素を用いた1,5−AGの定量法としては、1,5−AGを含む試料にピラノースオキシダーゼを作用させることによって生成する過酸化水素を、パーオキシダーゼ発色系にて比色定量する方法(特公平5-41238号公報)が知られている。
【0004】
それ以外の方法として、1,5−AG酸化能を有する酸化酵素を作用させ、酸素の消費量や電子受容体の還元体又は酸化された1,5−AG反応生成物を測定する方法等が知られている。その中でも特に特開昭62-79780号公報には、ピクノポラス属、コリオラス属、シュードモナス属細菌の生産する1,5−AG脱水素酵素について、特開平10-155479号公報にはアグロバクテリウム属細菌の生産する1,5−AG脱水素酵素について開示されており、どちらの酵素も1,5−AGの測定に用いることが可能であることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来から知られている1,5−AGを基質とする酵素は、1,5−AGに対する特異性は高いとは言えない。
【0006】
特開昭62-79780号公報には、1,5−AG脱水素酵素は、1,5−AG以外にもグルコース、ガラクトース、ソルボース、キシロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、アラビトール、エリスリトールの糖質に活性を示すとの記載がある。
【0007】
特開平10-155479号公報には、1,5−AG脱水素酵素は、1,5−AG以外にソルボース、グルコースに対して活性があると記載されている。
【0008】
1,5−AGの定量に使用される場合、1,5−AGに作用する酵素であっても、前述の様な基質特異性が低い酵素であれば、酵素のメリットが十分に生かされなくなってしまうことがある。この様な従来から知られている酵素の特異性の低さは、測定対象となる試料に由来する諸事情によっても更に大きな問題点となる。
【0009】
糖尿病患者の血中グルコース濃度は健常人と比較して高く、健常人では60〜110mg/dl位であるのに対して、糖尿病患者では110〜1000mg/dlと高い値を示す。
【0010】
一方、血中の1,5−AGの濃度は、健常人では1.5〜2.8mg/dl位であるのに対して、糖尿病患者では0.15〜0.2mg/dl位の低い値を示す。グルコース濃度と1,5−AGとの濃度差が糖尿病患者で約1000倍程度になるため、1,5−AGを酵素法によって測定する場合、従来の脱水素酵素を使用するときは、グルコースの除去や修飾を行う前処理操作が必要となる。
【0011】
前処理方法としては、試料中に含まれる1,5−AG以外の糖質をイオン交換カラム等を用いて除去する方法があるが、この方法は分離操作が煩雑であり、特に多数の試料を処理する場合には非常に時間がかかる。また、グルコース等の糖質に対してリン酸化による修飾を行う方法は、グルコースのリン酸化反応の至適条件と1,5−AG測定条件とが異なるため、それぞれ別々の反応条件で行う必要がある。
【0012】
微生物を培養して目的の酵素を精製分離する方法において、通常用いられる方法としては、目的の酵素と特異的に反応する基質を培地に添加して培養を行う方法がある。1,5−AG脱水素酵素の場合、1,5−AG添加培地で、1,5−AG脱水素酵素生産菌を培養するのが一般的な酵素の製造法である。
【0013】
しかし、1,5−AGは値段が高く大量の酵素を入手する場合は、1,5−AGを大量に消費しなければならないため分離精製された酵素の単価が高くなってしまうという欠点を持つ。培養菌が、目的とする1,5−AG以外の物質を栄養源として利用できない性質を持つ場合は、栄養源を他の物質で代用することができない。
【0014】
【課題を解決するための手段】
従来の酵素における欠点を克服するため、本発明者らは、1,5−AGに対する基質特異性が従来の脱水素酵素よりも高く、しかも従来に知られていない1,5−AG脱水素酵素を生産する菌のスクリーニングを行った。そして1,5−AG分解菌の生成する酵素が、1,5−AGの測定に利用できる酵素であるか否かの検討を行うと共に、酵素の持つ物理化学的な特徴について検討を行った。
【0015】
その結果、土壌より採取した微生物の培養上清中に、基質として1,5−AGに特異的に反応する酵素の存在を見出した。
【0016】
前記酵素は、電子受容体として酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の存在下で1,5−AGに作用させると、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の生成を示唆する、340nmにおける吸光度の増加が見られたため、脱水素酵素であることが確認された。
【0017】
更に分離精製された1,5−AG脱水素酵素の物理化学的諸性質を調べたところ従来に知られていない新規な酵素であることが確認された。
【0018】
すなわち、本発明は、次にあげる理化学的特性を示す1,5−AG脱水素酵素(以下、「本発明酵素」ともいう)を提供する。
(1) 作用: 1,5−AGの脱水素反応を触媒する。
(2) 基質特異性:1,5−AGを基質として認識するが、グルコースを基質として認識しない。
(3) 至適pH:9.0付近である。
(4) pH安定性:pH6.0〜10.0で安定である。
(5) 至適温度:40〜50℃である。
(6) 温度安定性:70℃、10分間のインキュベーションで50%以上の活性が残存している。
(7) 電子受容体:酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を利用できる。
(8) 分子量:ドデシル硫酸−ポリアクリルアミド電気泳動法による分子量は約36,000であり、ゲルろ過法による分子量は約141,000である。
【0019】
本発明酵素は、好ましくは、トリコデルマ属の菌を培養することによって生産されるものである。トリコデルマ属の菌は、好ましくは、トリコデルマ・ロンギブラキアツムKDK3003(Tricoderma longibrachiatum KDK3003)である。
【0020】
本発明酵素は、また、好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する。
【0021】
また、本発明は、本発明酵素の製造方法(以下、「本発明製造方法」ともいう)及び本発明酵素を用いる1,5−AGの定量法(以下、「本発明定量法」ともいう)を提供する。本発明製造法は、本発明酵素を生産するトリコデルマ属の菌を栄養培地で培養し、培養物から、生産された本発明酵素を分離精製することを特徴とする。本発明定量法は、NAD存在下で、1,5−AGを含む試料に本発明酵素を反応させることによって生成するNADHを吸光度の変化量により測定することを特徴とする。
【0022】
さらに、また、本発明は、本発明酵素の一部分をコードするDNAを提供する。このDNAは配列番号1に示す塩基配列を有する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明酵素は、1,5−AG以外で生体内に最も多く存在する糖質であるグルコースを基質として認識することができないが、1,5−AGに対しては特異的な活性を示す脱水素酵素である。なお、本明細書において、糖及び糖アルコールであって光学異性体のあるものは、特記しない限りD型のものを意味する。
【0024】
先ず、本発明酵素の理化学的特性について説明する。
(1) 作用
1,5−AGの脱水素反応を触媒する。脱水素反応は電子受容体の存在下に起こる。
(2) 基質特異性:1,5−AGを基質として認識するが、グルコースを基質として認識しない。より具体的には、後記実施例に記載の条件において、グルコース、ソルビトール、キシリトール及びマンニトールに対して活性が検出されず、グリセルアルデヒドに対しては、1,5−AGに対する活性を100%とした場合、50%程度位の活性を示す。
(3) 至適pH:9.0付近である。
(4) pH安定性:pH6.0〜10.0で安定である。
(5) 至適温度:40〜50℃である。
(6) 温度安定性:70℃、10分間のインキュベーションで50%以上の活性が残存している。
(7) 電子受容体:酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を利用できる。電子受容体として利用できるか否かは後記実施例に記載の方法で確認することができる。
(8) 分子量:ドデシル硫酸−ポリアクリルアミド電気泳動法による分子量は約36,000であり、ゲルろ過法による分子量は約141,000である。
【0025】
なお、至適pH、pH安定性、至適温度、温度安定性及び分子量は後記実施例に記載の方法で測定できる。
【0026】
本発明酵素は、好ましくは、トリコデルマ属の菌を培養することによって生産されるものである。トリコデルマ属の菌は、好ましくは、トリコデルマ・ロンギブラキアツムKDK3003(Tricoderma longibrachiatum KDK3003)である。本発明酵素を生産するトリコデルマ属の菌及びその培養の条件については本発明製造方法に関して説明する。
【0027】
本発明酵素は、また、好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する。配列番号2に示すアミノ酸配列は、トリコデルマ・ロンギブラキアツムKDK3003から取得された本発明酵素の部分cDNAの塩基配列から推定されたものである。酵素については、一般に、種間や個体間でアミノ酸配列に酵素の活性に実質的に影響を与えない変異が存在し得ること、及び、このような変異を人工的に生じさせることができることが周知であり、したがって、好ましい本発明酵素は、配列番号2に示すアミノ酸配列においてこのような変異を有するアミノ酸配列を有するものも包含する。すなわち、配列番号2に示すアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換又は挿入を有するアミノ酸配列を有し、かつ上記本発明酵素の(1)及び(2)の特性(好ましくは上記の(1)〜(8)の特性)を損なわないものも包含する。
【0028】
本発明酵素は、以下に説明する本発明製造方法により得ることができる。
【0029】
本発明製造方法は、本発明酵素を生産するトリコデルマ属の菌を栄養培地で培養し、培養物から、生産された本発明酵素を分離精製することを特徴とする。
【0030】
本発明酵素を生産するトリコデルマ属の菌は、トリコデルマ属の菌を1,5−AG資化能を指標としてスクリーニングし、次いで、無細胞抽出液のNAD依存的1,5−AG脱水素活性を指標としてスクリーニングをすることによって得ることができる。
【0031】
1,5−AG資化能は、1,5−AGからのグルコースへの変換により評価できる。評価法としては、特に限定されないが、例としては、1,5−AGを単独の炭素源とする培地で、スクリーニングされる菌を培養して得た培養ろ液中におけるグルコースの生成をグルコースオキシダーゼにより測定する方法、緩衝液中で休止細胞を1,5−AGに作用させて緩衝液中におけるグルコースの生成を薄層クロマトグラフィーで検出する方法、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。これらの方法の具体的条件としては後記実施例1に記載された条件を挙げられる。
【0032】
無細胞抽出液のNAD依存的1,5−AG脱水素活性は、細胞を破砕し遠心分離して得た上清を無細胞抽出液とし、これにNAD及び1,5−AGを添加し、340nmの吸光度の変化を測定することにより評価できる。細胞の破砕及び吸光度の測定の条件は、NAD依存的1,5−AG脱水素活性が測定できる限り、特に制限されないが、後記実施例1に記載された条件を挙げることができる。
【0033】
上記のようなスクリーニング法で得られた菌の例としてはトリコデルマ・ロンギブラキアツム KDK3003(Trichoderma longibrachitaum KDK3003)が挙げられる。この菌は、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(住所 〒305−0046 茨城県つくば市東1丁目1番3号)にブタペスト条約の規定に基づいて平成10年8月10日から国際寄託されている(寄託番号:FERM BP−6458)。
【0034】
本発明製造方法には、本発明酵素の産生能を保持する限り、トリコデルマ・ロンギブラキアツム KDK3003(Trichoderma longibrachitaum KDK3003)の変異株を使用することもできる。変異誘発法としては公知の方法を使用できる。また、自然突然変異により変異株が生じる可能性もある。変異株の中、本発明酵素の産生能を保持するものは、上述のスクリーニング法により選択可能である。
【0035】
本発明製造方法における栄養培地とは、トリコデルマ属の菌が増殖し本発明酵素を産生するものである限り特に限定されない。炭素源、窒素源、及び、その他の微量栄養素を含む、トリコデルマ属の菌の培養に通常に使用される培地が挙げられる。炭素源としては、1,5−AG、グルコース、グリセロール等が挙げられるが、安価でありかつ良好な酵素産生をもたらすことからグルコースを用いることが好ましい。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム等が挙げられるが、良好な酵素産生をもたらすことから硝酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0036】
1,5−AG脱水素酵素を生産する前記トリコデルマ属の菌を、1,5−AGを含まない培地で培養したところ、1,5−AG脱水素酵素を生成することが確認された。よって高価な1,5−AGを培地に添加しなくとも安価なグルコースを炭素源として1,5−AG脱水素酵素が製造できる事が確認された。したがって、本発明製造方法においては、1,5−AGを含まない栄養培地を用いることが好ましい。1,5−AGを含まないとは、上記から明らかなとおり、1,5−AGを培地に添加しないことを意味するものであり、栄養培地に本来的に含まれている1,5−AGは存在しても差し支えない。
【0037】
分離精製の方法は、特に限定されず、タンパク質の分離精製に使用される、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲル濾過等を組み合わせて用い、上記の本発明酵素の特性を指標にして分離精製を行うことができる。好ましい方法としては、硫安分画(35〜55%飽和)、陽イオン交換クロマトグラフィー(例えばDEAE Toyopeal 650M(東ソー社製))、硫安分画(0〜55%飽和)、疎水クロマトグラフィー(例えばフェニルセファロース(アマシャムファルマシアバイテク社製))、ゲル濾過(スーパーデックス200pg(アマシャムファルマシアバイテク社製))を順次行う方法が挙げられる。
【0038】
更に本発明は、電子受容体として酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の存在下で、1,5−AGを含む試料に本発明酵素を作用させることにより生成する還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を、吸光度の変化量により測定することによって1,5−AGを定量する方法も提供する。
【0039】
1,5−AGを含む試料としては、血清、血漿、尿等の生物学的液体が挙げられる。試料が、吸光度の測定を妨げる性質を有する場合には、必要に応じ遠心分離等の試料の前処理を行う。
【0040】
NADの存在量、温度、pH、酵素量等の、本発明酵素を作用させる条件としては、1,5−AG量に応じてNADHの量が変化する限り、特に限定されないが、通常には、NADの濃度が0.01〜10mM、温度が20〜70℃、pHが5〜11、酵素量が0.001〜20U/mlの条件が挙げられる。酵素の1Uは、後記実施例において定義した通りである。
【0041】
吸光度を測定する波長は、その波長における吸光度の変化がNADHの量の変化量に特異的なものであれば特に制限されないが、通常には340nmである。反応開始時の反応の遅延等により誤差が生じることがあるため、反応開始から第一の時間(例えば50秒)が経過してから、第2の時間(例えば100秒)が経過するまでの間における吸光度の変化量を測定することが好ましい。
【0042】
本発明酵素は、1,5−AGに特異的であるため、本発明定量法によれば、生理条件的に高濃度のグルコース(例えば110mg/dl以上)の存在下でも、その影響を受けずに、生理条件的に低濃度(例えば0.2mg/dl以下)の1,5−AGを定量することが可能である。したがって、特に、糖尿病患者由来の試料に、グルコースの除去や修飾をする必要がないため、有利に適用できる。
【0043】
本発明定量法に使用するための、本発明酵素を含む1,5−AG定量用キットを提供することもできる。このキットは、上述の理由により特に糖尿病患者の試料に適用するのに適している。
【0044】
上記キットは、通常には、本発明酵素の他に、NAD、緩衝液等の試薬を含む。本発明酵素は、固体支持体に固定化してもよい。固体支持体としては、高分子ゲル、ビーズ、プレート等が挙げられる。固定化は、担体結合法、架橋化法、包括法、複合法等の公知の方法によって行うことができる。また、標準物質(1,5−AG)をキットに含めてもよい。本発明酵素、NAD及び標準物質は、溶液状態でなくてもよく、その場合には溶解用溶媒をキットに含めることが好ましい。
【0045】
本発明は、配列番号1に示す塩基配列を有するKDK3003株由来の本発明酵素の部分cDNAも提供する。このcDNAは全長cDNA(本発明酵素をコードするDNA)の取得に使用できる。例えば、このcDNAの塩基配列に基づいて作成されたプローブを用いて、KDK3003株から調製されたcDNAライブラリーをハイブリダイゼーションによりスクリーニングすることができる。また、このcDNAの塩基配列に基づいて5’RACE法を行うこともできる。
【0046】
得られた本発明酵素をコードするDNAは、本発明酵素の製造に使用できる。すなわち、本発明酵素をコードするDNAにより適当な宿主を形質転換し、得られた形質転換体を培養し、培養物から本発明酵素を取得することができる。形質転換の方法としては、本発明酵素をコードするDNAを、宿主に適合した発現ベクターに組み込み、得られた発現ベクターを宿主に導入する方法が挙げられる。宿主は、原核細胞及び真核細胞のいずれでもよく、具体的には大腸菌、酵母などが挙げられる。培養物からの本発明酵素の取得は、上記に本発明製造方法について説明したような分離精製の方法によって行うことができる。
【0047】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0048】
【実施例1】
1,5−AG脱水素酵素の生産能を有する菌の取得
(1) スクリーニング
土壌試料を5mlの下記組成の培養培地に加え、30℃で2日間振盪(1分当たり300往復)した。0.01mlの培養物を新しい培地に移し、同条件で培養を行った。そして、培養物を同一培地の寒天プレートに接種することにより純粋培養物を得た。
【0049】
培養培地の組成は、3g(NH42SO4、1gK2HPO4、1gNaH2PO4、0.5gMgSO4・7H2O、0.1gCaCl2・2H2O、5g1,5−AG、1mlビタミン混合物及び10ml金属溶液を1000mlの蒸留水に含むもの(pH5.5)であった。ビタミン混合物の組成は、1mgチアミン・HCl、2mgリボフラビン、2mgCaパントテン酸、2mgピリドキシン・HCl、0.1mgビオチン、1mgp−アミノ安息香酸、2mgニコチン酸及び0.1mg葉酸を100mlの蒸留水に含むものであった。金属溶液の組成は、11.7gMnSO4・3H2O、2.2gZnSO4・7H2O、0.4gCuSO4・5H2O、0.28gCoCl2・2H2O、0.26gNaMoO4・2H2O、0.4gH3BO3及び0.06gKIを1000mlの蒸留水に含むものであった。
【0050】
種々の32の土壌試料から196の培養物が単離された。単離した微生物は1,5−AGを単独の炭素源として増殖したものであり、73の菌類、46の酵母及び77の細菌を含んでいた。
【0051】
単離した微生物を、5mlの1,5−AG培地(培養培地において、ビタミン混合物及び金属溶液の代わりに5%酵母エキスを用いたもの)で、30℃において数日間振盪培養した。細菌及び酵母の細胞を、8,000×g、5分間の遠心分離で回収した。菌類の菌糸は濾紙による濾過で回収した。細胞及び菌糸を0.85%KClで洗浄し、0.1MTris−HCl緩衝液(pH8.0)に懸濁し、ミニビーズビーターモデル3110BX(日本ラムダ社製)で破砕した。破砕液を、8,000×gで10分間遠心分離して細胞片を除去することにより、無細胞抽出液を得た。
【0052】
無細胞抽出液についてオキシダーゼ活性を、PODと共役させた比色法により測定した。すなわち、100μmolTris−HCl(pH8.0)、4.5μmol4−アミノアンチピリン、6.0μmolフェノール、6.0ユニットパーオキシダーゼ及び2μmol1,5−AGを総容量3mlに含む反応混合物を用い、30℃でキノン染料の生成を505nmの吸光度により測定(日立U−3300分光光度計)することによりオキシダーゼ活性を求めた。しかし、1,5−AGに特異的な酵素活性は観察されなかった。1,5−AGの構造は、グルコースの構造に類似しているため、1,5−AGに特異的な酵素活性のスクリーニングは難しいと予測された。そこで、単離体について、1,5−AGをグルコースに変換する活性を、培養ろ液中のグルコースの定量により、検出した。
【0053】
培養ろ液中のグルコースはグルコースオキシダーゼ(GOD)法で測定した。すなわち、100μmolMES−Na(pH5.7)、4.5μmol4−アミノアンチピリン、6.0μmolフェノール、6.0ユニットPOD、100ユニットGOD、5μmol1,5−AG及び50μl試料を総容量3mlに含む反応混合液を30℃で30分間インキュベートし、反応混合物の505nmの吸光度を測定した。その結果、2つの菌類を含む7つの単離体の培養ろ液でグルコースが検出された。
【0054】
GOD試験において陽性であった微生物について休止細胞反応を行いさらに選択を行った。すなわち、100μmolTris−HCl(pH8.0)、2μmol1,5−AG及び0.1g休止細胞を総容量1mlに含む反応混合物を30℃で1〜3時間振盪させて反応させた。反応混合物をシリカゲル(25TLCプレート20×20、メルク社製)にのせ、フェノール/水(4:1、v/v)を展開溶媒としてTLCを行った。スポットを、20%硫酸又は0.5mlアニスアルデヒド/0.5ml硫酸/9ml95%メタノール/数滴の酢酸を噴霧することにより検出した。硫酸は還元糖の検出、アニスアルデヒド/硫酸/メタノール溶液は炭水化物の検出に用いた。その結果、11−3株が休止細胞反応で1,5−AGをグルコースに変換する活性を有することが判明した。
【0055】
11−3株の菌糸から調製された無細胞抽出液を、1,5−AGとの酵素反応に用いたが、休止細胞反応において観察された1,5−AGからグルコースへの反応は、無細胞抽出液及び1,5−AGのみでは起こらなかった。還元性のコエンザイム及びコファクター(NADH、NADPH、FADH及びGSH)及びα−ケトグルタル酸、そして、FAD、FMN、GSSG、及びPMSなどの酸化還元反応に関係する他のコエンザイム及びコファクターを酵素反応に用いたが、全ての場合において、グルコースも他の反応生成物もTLCにより反応混合物中に検出されなかった。Cu2+、Fe2+、Mg2+及びZn2+などの金属イオンの添加も効果が無かった。
【0056】
酵素が細胞膜に結合している可能性もあったので、無細胞抽出液の調製後の細胞片を1,5−AGとの反応に用いたが、グルコースは反応混合物中に検出されなかった。
【0057】
さらに、11−3株の無細胞抽出液を用いて、酵素活性を、NAD、NADH、NADP及びNADPHをコエンザイムとして340nmで分光光度測定的に測定した。その結果、NAD、1,5−AG及び無細胞抽出液を含む反応混合物で吸光度の増加が認められた。したがって、1,5−AGのNAD依存性デヒドロゲナーゼ活性が11−3株の無細胞抽出液で確認された。
【0058】
(2) 1,5−AG脱水素酵素生産能の検討
(2−1) 炭素源の検討
1,5−AG脱水素酵素の生産能に関し、1,5−AG以外の炭素源培地によっても前記酵素が生産され、酵素活性が維持できるか否かの検討を行った。
【0059】
1,5−AGの他の炭素源として1,4−AG、グルコース、グリセロール及びそれらの組み合わせを選択し、各濃度が0.5%になる様に、上記培養培地に添加した。各培地(5ml)に11−3株を1白金耳接種し、30℃で2日間振とう培養を行った。
【0060】
培養上清液中の酵素活性は、以下の組成からなる反応液を30℃でインキュベーションして測定した。すなわち生成されるNADHを、インキュベーション開始後50秒から100秒後の間の340nmにおける吸光度変化の測定を行い、それを相対値として用いるか、または6220M-1・cm-1のNADHの吸光係数を用いて酵素活性量に換算した。1ユニット(U)は、1分間に1μmolのNADHを生成する酵素量と定義した。
【0061】
Tris−HCl(pH8) 33mM
β−NAD(オリエンタル酵母社製) 1.67mM
1,5−AG(和光純薬社製) 0.083%
酵素液(培養上清液) 50μl
【0062】
増殖は、菌糸湿潤重量を測定し、培地1l当たりの値を指標とした。
【0063】
測定結果を表1に示す。1,5−AG以外の炭素源としては、グルコースを用いても同等若しくはそれ以上の酵素活性が得られた。よって、高価な1,5−AGを酵素の誘導培地として用いなくとも、安価なグルコースで代用できることが可能であることがわかった。このため以後の実験はグルコースを炭素源として用いることにした。
【0064】
【表1】
表1 炭素源の影響
──────────────────────────────
炭素源 増殖(g/L) 活性(%)
──────────────────────────────
1,5−AG 24 100
1,4−AG 8 32
グルコース 30 112
グリセロール 28 68
グリセロール+1,5−AG 36 74
グリセロール+1,4−AG 16 98
──────────────────────────────
AG:アンヒドロ−D−グルシトール
【0065】
(2−2) 窒素源の検討
(NH42SO4の代わりに、ポリペプトン、ビーフエキストラクト、NH4Cl、NH4NO3及びNaNO3を用いて、11−3株の1,5−AG脱水素酵素産生に対し、窒素源の影響も調べた。表2に示すように11−3株は、NaNO3を含む培地で培養したときに、最大の1,5−AGに対する活性及び増殖が観察された。
【0066】
【表2】
表2 窒素源の影響
──────────────────────────────
窒素源 増殖(g/L) 活性(%)
──────────────────────────────
(NH42SO4 34 100
NH4Cl 30 87.6
NH4NO3 26 59.9
NaNO3 30 150
ビーフエキス 46 32.2
ポリペプトン 52 25.6
──────────────────────────────
【0067】
(2−3) タイムコース
11−3株を、10Lジャーファーメンタ(速度:500rpm、空気:5.0l/分)を用いて、1,5−AG及び(NH42SO4の代わりにそれぞれグルコース及びNaNO3を含む7lの培養培地で培養し、菌糸の増殖及び1,5−AG脱水素酵素の比活性のタイムコースを調べた(図1)。図1中、白丸は菌糸湿潤重量、黒丸は酵素活性、黒四角は比活性を示す。比活性算出のためのタンパク質量は、BIO-RADプロテインアッセイキットを用いてブラッドフォード法により定量した。
【0068】
増殖及び比活性は40時間まで増加し、定常状態初期に最大に達した。1,5−AG脱水粗酵素活性は一過性に検出された。
【0069】
(3) 11−3株の同定
11−3株は、糸状菌であり、コロニーは緑色を呈する。顕微鏡下で、分岐したフィアライドの頂端に多くのフィアロ型分生子が観察された。分生子は、鎖生ではなく塊生であった。これらの観察結果から、11−3株はトリコデルマ属に属すると認められる。
【0070】
11−3株の同定をオランダのCentaalbureau voor Schimmelcultures(CBS)に依頼したところ、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichodermalongibrachiatum Rifai)であることがわかった。
【0071】
11−3株は、トリコデルマ・ロンギブラキアツム KDK3003(Trichoderma longibrachitaum KDK3003)と命名され、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(住所 〒305−0046 茨城県つくば市東1丁目1番3号)にブタペスト条約の規定に基づいて平成10年8月10日から国際寄託されている(寄託番号:FERM BP−6458)。
【0072】
【実施例2】
1,5−AG脱水素酵素の製造及び特性評価
KDK3003株を、10Lジャーファーメンタを用い、8Lの培地中、28℃、2日間培養した。培地の組成は、3gNaNO3、1gKH2PO4、0.5gMgSO4・7H2O、0.1gCaCl2・2H2O、5g酵母エキス及び4gグルコースを1000mlの蒸留水に含むもの(pH5.5)であった。
【0073】
その後,培養液を吸引ろ過して菌糸体を集め、洗浄後、2mMDTTを含む0.1MTris−HCl(pH8.0)(130ml)に懸濁し、ビードビーター(日本ラムダ社製)を用いてガラスビーズ(300ml、0.25〜0.50mmf)で菌糸体を破砕した。破砕物を、4℃において9,000×gで30分間遠心分離して非破砕細胞及び細胞片を除き、上清を無細胞抽出液とした。以下の精製操作は全て4℃で行った。
【0074】
無細胞抽出液に、撹拌しながら硫酸アンモニウムを35%飽和になるように加え、pHを35%水酸化アンモニウム溶液で7.0に調整した。1時間撹拌した後、沈殿を16,000×gで30分間遠心分離して沈殿を除いた。上清を回収し、硫酸アンモニウムを55%飽和になるように加えて、上記と同様にして沈殿物を回収し、緩衝液A(2mMDTTを含む50mMTris−HCl(pH8.0))に溶解し、同緩衝液に対して透析した。
【0075】
透析液を、緩衝液Aで平衡化したDEAE−トヨパール(Toyopearl)650M(東ソー社製)カラム(2.2φ×20cm)にアプライした。カラムを同緩衝液で洗浄し、吸着したタンパク質をKClのリニアグラジエント(0〜0.5M)で溶出した。溶出した酵素活性画分を回収し、撹拌しながら硫酸アンモニウムを55%飽和になるように加え、pHを35%水酸化ナトリウム溶液で7.0に調整した。1時間撹拌後、沈殿を16,000×gで30分間遠心し、上清を除いた。沈殿を緩衝液Aに溶解し、25%飽和の硫酸アンモニウムを含む緩衝液Aに対して透析後、25%飽和の硫酸アンモニウムを含む緩衝液Aで平衡化したフェニル−セファロース(Sepharose)(アマシャムファルマシアバイテク社製)カラム(1.0φ×10cm)にアプライした。同緩衝液で洗浄し、酵素を、硫酸アンモニウムの25%飽和から0%飽和へのリニアグラジエントにより溶出した(流速1ml/min)。溶出した酵素活性画分を回収し、0.1MNaClを含む緩衝液Aで平衡化したスーパーデックス(Superdex)200 pg(アマシャムファルマシアバイテク社製)カラム(1.6φ×60cm)にアプライし、酵素を同緩衝液で溶出した(2ml/min)。
【0076】
精製結果を表3に示す。酵素活性及びタンパク質量は上記実施例1の(2)に記載した方法により測定した。
【0077】
【表3】
Figure 0004349697
【0078】
スーパーデックス200pgによるクロマトグラフィー後に得られた酵素を、以下の酵素の物理化学的特性を検討する酵素として使用した。
【0079】
(1)至適pH及びpH安定性の検討
pHが5.5、6.5、7.0、7.5を示す100mMのMcIlvaine、pHが7.5、8.0、8.5、9.0を示す100mMのトリス−HCl、pHが9.0、9.5、11.0、12.0、12.5を示す100mMのグリシン−NaOHの緩衝液を作製した。これらの緩衝液をTris−HCl(pH8)の代わりに同モル濃度となるように用いる他は、実施例1の(2)に記載の条件で酵素活性を測定した。最大の酵素活性を100としたときの相対的な酵素活性をパーセントで求めた結果を図2に示す。この結果、本酵素の至適pHは9付近であることがわかった。
【0080】
また、本酵素を各pHの各緩衝液中で、30℃,10分間インキュベーションし、インキュベーション後の混合液を酵素液とし、実施例1の(2)に記載の条件で酵素活性を測定し、最大の酵素活性を100としたときの相対的な酵素活性をパーセントで求めた結果を図3に示す。この結果、本酵素は、pH6〜10の範囲において安定であることがわかった。
【0081】
(2)至適温度及び温度安定性の検討
反応温度を20〜60℃の範囲において10℃間隔の温度にする他は、実施例1の(2)に記載の条件で酵素活性を測定し、最大の酵素活性を100としたときの相対的な酵素活性をパーセントで求めた結果を図4に示す。この結果、本酵素の至適温度は、40〜50℃の間にあることがわかった。
【0082】
また、酵素液を30〜80℃の範囲において10℃間隔の温度でそれぞれ10分間インキュベーションした後、この酵素液を用いて、実施例1の(2)に記載の条件で酵素活性を測定した結果、本酵素は、70℃、10分間のインキュベーションでも50%以上の活性が残存しており、温度安定性は良好であることが確認された(図5)。
【0083】
(3)電子受容体の検討
本酵素は、電子受容体としてNADを利用することが培養上清における検討時に確認された。300μlの100mMのTris−HCl(pH9)、25μlの10mMの酸化型NADP、25μlの5%の1,5−AG、10μlの酵素液、及び、640μlの水を良く混合し、30℃でインキュベーションを行い、340nmにおける吸光度変化を測定したところ、吸光度は増加しなかった。よって本酵素は、NADを補酵素として利用できるが、NADPは利用できないことがわかった。
【0084】
(4)分子量の検討
精製した酵素をスーパーデックス200pg(アマシャムファルマシアバイテク社製)によるゲルろ過法を用いて溶出し、予め求めた分子量マーカー(ベーリンガーマンハイム社製 No104558)の溶出容量から分子量を求めた結果、分子量は141,000(141kDa)であった。
【0085】
SDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)による分析も行った。ファーストシステム(アマシャムファルマシアバイテク社製)を使用し、PastGel Gradient 10−15(アマシャムファルマシアバイテク社製)ゲルを使用して、250Vで、30分間泳動し、タンパク染色は、クマシーブリリアントブルーG−250で行った。同時に泳動した分子量マーカー(LMWマーカーキット)から分子量を求めた結果、36,000(36kDa)であった。本酵素は、4量体であることが予想された。
【0086】
(5)基質特異性の検討
グルコース、フルクトース、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、グリセルアルデヒド、グリセルアルデヒド3リン酸、アセトアルデヒドに対する基質特異性を調べるため、0.25%の基質水溶液を作製した。
【0087】
前記基質水溶液を最終濃度3mMとなるように加える他は、実施例1の(2)に記載の条件で酵素活性を測定し、最大の酵素活性を100とした時の相対的な酵素活性をパーセントで求めた,結果を表4に示す。
【0088】
1,5−AG脱水素酵素は、従来酵素とは異なりグルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトールには反応しない。また、グリセルアルデヒドに対しては、1,5−AGを基質としたときの活性と比較して、半分程度の活性を示す。よって従来より知られる酵素とは全く別の1,5−AG脱水素酵素であることが示唆された。
【0089】
【表4】
表4 基質特異性
─────────────────────────
基質(3mM) 相対活性
─────────────────────────
1,5−AG 100
グルコース 検出されず
フルクトース 検出されず
ソルビトール 検出されず
キシリトール 検出されず
マンニトール 検出されず
グリセルアルデヒド 52
グリセルアルデヒド3リン酸 検出されず
アセトアルデヒド 検出されず
─────────────────────────
【0090】
実施例1の(2)に記載の条件で1,5−AG及びNADの濃度を変化させて測定を行ったところ、1,5−AG及びNADのKm値はそれぞれ0.67mM及び0.50mMであった。
【0091】
(6)金属イオン及び試薬の影響の検討
種々の金属イオン及び試薬の酵素活性に対する影響を検討した。
【0092】
表5に示す金属塩を最終濃度1mMとなるように、基質溶液を含まない反応混合液に加え30℃で10分間インキュベートした後、基質溶液を加える他は、実施例1の(2)に記載の条件で酵素活性を測定し、最大の酵素活性を100としたときの相対的な酵素活性をパーセントで求めた結果を表5に示す。
【0093】
【表5】
表5 金属イオンの影響
────────────────────
化合物 相対活性(%)
────────────────────
無し 100
LiCl2 検出されず
MgCl2 24
CaCl2 検出されず
MnCl2 検出されず
CoCl2 57
NiCl2 検出されず
CuCl2 14
ZnCl2 24
BaCl2 検出されず
HgCl2 21
FeCl2 269
FeCl3 検出されず
────────────────────
【0094】
酵素活性は、1mMのMn2+、Fe3+、Ni2+、Ca2+、Ba2+及びLi2+により完全に阻害された。一方、Fe2+で活性化が認められた。
【0095】
表6に示す試薬を最終濃度1mM(PCMBは0.1mM)となるように、基質溶液を含まない反応混合液に加え30℃で10分間インキュベートした後、基質溶液を加える他は、実施例1の(2)に記載の条件で酵素活性を測定し、最大の酵素活性を100としたときの相対的な酵素活性をパーセントで求めた結果を表6に示す。
【0096】
【表6】
表6 試薬の影響
────────────────────
化合物 相対活性(%)
────────────────────
無し 100
2,2−ビピリジル 57
o−フェナントロリン 検出されず
エチレンジアミン四酢酸 104
シアン化カリウム 100
アジ化ナトリウム 検出されず
フッ化カリウム 130
ヨード酢酸 70
PCMB(0.1mM) 検出されず
DTNB 検出されず
フェニルヒドラジン 178
────────────────────
PCMB:p−クロロメルクリ安息香酸
DTNB:ジチオビス(ニトロ安息香酸)
【0097】
酵素活性は、PCMB、DTNB、NaN3及びo−フェナントロリンにより強く阻害された。
【0098】
これらの結果より、酵素反応にSH基及び鉄イオンが関与していることが示唆される。
【0099】
(7)反応生成物の検討
実施例1で記載したように、KDK3003株の菌糸を用いた休止細胞反応ではグルコースの生成が検出されたが、酵素反応混合物のTLCにおける分析ではグルコースの生成は検出されなかった。無細胞抽出液においてグルコノ−δ−ラクトンレダクターゼ活性が顕著に認められたことから、グルコノ−δ−ラクトンの加水分解物であるグルコン酸の検出をグルコン酸デヒドゲナーゼを用いて試みた。この結果、1,5−AG脱水素反応後の反応液を基質溶液としたときにグルコン酸デヒドロゲナーゼ反応が顕著に認められた。したがって、1,5−AGは1,5−AG脱水素酵素によりグルコノ−δ−ラクトンに変換されると推定される。
【0100】
【実施例3】
1,5−AG脱水素酵素を用いた1,5−AGの定量
1,5−AG脱水素酵素(AGDH)を用いた、1,5−AGの量の酵素的定量について検討した。用いた精製AGDHは、最後のゲル濾過を行わなかった他は実施例2に記載の方法により調製したものであった。
【0101】
糖尿病の患者の血清1,5−AG濃度は一般に0.15〜0.2mg/dlである。そこで0.2mg/dlの1,5−AGを試料として基質溶液の代わりに用い、2.7U/mlの精製AGDHを酵素液として用い、Tris−HCl緩衝液の代わりにリン酸カリウム緩衝液を用いた他は実施例1の(2)と同様にして測定を行った。この結果、この濃度の1,5−AGを検出可能であることが判明した。
【0102】
さらに、血清中の1,5−AGレベルに基づく種々の濃度(0.5〜2mg/dl)の1,5−AGを試料として上記と同様に測定を行った。また、グルコース(試料中110mg/dl)及びフルクトース(試料中0.56mg/dl)の存在下でも同様に測定を行った。結果を図6〜8に示す。図6は1,5−AGのみ、図7はグルコース存在下、図8はフルクトース存在下の結果を示す。
【0103】
図6から明らかなように、1,5−AGの濃度とNADH形成との間に直線関係が観察された。さらに、生理的条件に匹敵する濃度のグルコース及びフルクトースの共存は、AGDHによる1,5−AGの定量に影響を与えないことが示された(図7及び8)。
【0104】
これらの結果は、本発明のAGDHを用いた1,5−AGの定量が糖尿病の診断に適したものであることを示す。
【0105】
【実施例4】
1,5−AG脱水素酵素のcDNAの取得
KDK3003株からAGDHを実施例2のようにして精製した。精製した酵素をプロテアーゼV8(シグマアルドリッチジャパン社製)により部分消化し、SDS-PAGEに付し、PVDF膜上にブロットした。各バンドのペプチドのアミノ酸配列をプロテインシークエンサ(Applied Bipsystem model 476A)で決定した。決定された部分アミノ酸配列に基づいて下記のプライマーを設計した。
【0106】
KDK3003株を実施例2に記載したようにして32時間培養して得られた菌体から全RNAを酸グアニジン−フェノール−クロロホルム法(Anal. Biochem., 162, 156-159 (1987))により調製し、全RNAからmRNAを、Quick Prep mRNA精製キット(アマシャムファルマシアバイテク社製)を用いてオリゴ(dT)−セルローススパンカラムにより精製した。5 mgのmRNAから、Ready To-Go PCR Beads(アマシャムファルマシアバイテク社製)を用いて製造者の指示書に基づいてcDNAを合成した。
【0107】
得られたcDNAを鋳型として用い、増幅特異性を最大化するために、AmpliWax(商標)PCR Gem(パーキンエルマージャパン社製)を用いたオート−ホット−スタートPCRを行った(J. Virol., 5272-5281 (1996))。プライマーを除く他の全ての反応成分を80℃に5分間加熱した後、プライマーを加え、次いで、TaKaRa PCR Thermal Cycler MP(宝酒造社製)を用いたサーモサイクラーシークエンス(94℃で1分間の最初の変性、94℃1分間、55℃1分間及び72℃2分間を35サイクル、そして72℃で3分間の最終の伸長)に付した。PCR混合物は、6.25μM変性プライマー(5'-ATYCCNGTBCARAAGCCNGGN(配列番号3)又は5'-AAGCCNGGNGTBGAYGARGTBYT(配列番号4)及び3'-CVACRTGNGCNGCCTTNGCRA(配列番号5))を含むものであった。
【0108】
その結果、PCR産物として約300bpのフラグメントが得られた。PCR産物を直接pT7Blue-2 Tベクターに結合し、その組換えプラスミドで、ELECTRO CELL MANUPULATER 600 (BTX社製)を用いてE. coli JM109を形質転換した(Nucleic Acids Res., 16, 6127-6145(1988); Genetic Engineering-Principles and Methods vol. 12, pp. 275-295(1990))。プラスミドを含むコロニーは、0.1%IPTG及び2.0%X-galを含む2×YT寒天培地で白色コロニーとして検出された。PCR産物のクローニングは、コロニーPCRにより確認した。コロニーから得られたプラスミドを、ABI PRISM(商標)BigDye(商標)ターミネーターサイクルシークエンシングレディリアクションキットを用いてダイデオキシターミネーション反応に付し、ABI PRISM 310ジェネティックアナライザーで配列決定した。
【0109】
決定された塩基配列に基づいて、3’−RACEを、3’−RACECoreセット(宝酒造社製)を用いて行い、3'フランキング領域をクローニングした(J. Virol., 5272-5281(1996))。KDK3003株のmRNAを、オリゴdT-3サイトアダプタープライマーを用いて逆転写酵素のためにプライミングした。逆転写反応は、30℃で10分行いさらにAMVトランスクリプターゼと共に50℃で30分インキュベートした。PCRの2回目は、5μMの3サイトアダプタープライマー(宝酒造社製)、5μMの、cDNAの塩基配列に基づいて設計した遺伝子特異的プライマー(5'-CTGATCTAGAGGTACCGGATCCGCTGCACGTACTGCATGAACGG-3'(配列番号6))、及び、鋳型としてのRT-PCR産物を用いて行った。PCR条件は、94℃1分、65℃1分及び72℃2分を35サイクルであった。増幅産物のクローニング及び配列決定の手順は前記と同様に実施した。
【0110】
その結果、約1.2 kbpのフラグメントが得られ、308アミノ酸(配列番号2)をコードする1231bpヌクレオチド(配列番号1)から成ることが明らかになった。推定アミノ酸配列は、精製AGDHで決定された二つのアミノ酸配列(配列番号2におけるアミノ酸番号1〜16及びアミノ酸番号102〜117)を含んでいた。
【0111】
【発明の効果】
本発明の1,5−AG脱水素酵素は、1,5−AGには特異的に反応するが生体成分中に最も多く含まれるグルコースには反応しないため、本酵素によって1,5−AGを測定する場合は前処理操作が不要である。従って、有利に、自動分析装置に適用することができる。
【0112】
【配列表】
Figure 0004349697
Figure 0004349697
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【図面の簡単な説明】
【図1】 培養のタイムコースの一例を示す。
【図2】 1,5−AG脱水素酵素の各pHにおける活性%を示す。
【図3】 1,5−AG脱水素酵素の各pHにおける安定性を示す。
【図4】 1,5−AG脱水素酵素の各温度における活性%を示す。
【図5】 1,5−AG脱水素酵素の各温度における安定性を示す。
【図6】 1,5−AG脱水素酵素を用いた1,5−AGの定量を示す。
【図7】 グルコース存在下における1,5−AG脱水素酵素を用いた1,5−AGの定量を示す。
【図8】 フルクトース存在下における1,5−AG脱水素酵素を用いた1,5−AGの定量を示す。

Claims (6)

  1. 次にあげる理化学的特性を示す1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素。
    (1) 作用: 1,5−アンヒドログルシトールの脱水素反応を触媒する。
    (2) 基質特異性:1,5−アンヒドログルシトールを基質として認識するが、グルコースを基質として認識しない。
    (3) 至適pH:9.0付近である。
    (4) pH安定性:pH6.0〜10.0で安定である。
    (5) 至適温度:40〜50℃である。
    (6) 温度安定性:70℃、10分間のインキュベーションで50%以上の活性が残存している。
    (7) 電子受容体:酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を利用できる。
    (8) 分子量:ドデシル硫酸−ポリアクリルアミド電気泳動法による分子量は36,000であり、ゲルろ過法による分子量は141,000である。
  2. トリコデルマ属の菌を培養することによって生産される請求項1記載の1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素。
  3. 前記トリコデルマ属の菌が、トリコデルマ・ロンギブラキアツムKDK3003(Tricoderma longibrachiatum KDK3003)(FERM BP-6458)であることを特徴とする請求項2記載の1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素。
  4. 配列番号2に示すアミノ酸配列を有する請求項1記載の1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素を生産するトリコデルマ属の菌を栄養培地で培養し、培養物から、生産された1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素を分離精製することを特徴とする1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素の製造方法。
  6. 酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)存在下で、1,5−アンヒドログルシトールを含む試料に請求項1〜4のいずれか1項に記載の1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素を反応させることによって生成する還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を、吸光度の変化量により測定することを特徴とする1,5−アンヒドログルシトールの定量法。
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