JP3150868B2 - 6ホスホグルコン酸脱水素酵素とその製造法 - Google Patents

6ホスホグルコン酸脱水素酵素とその製造法

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JP3150868B2
JP3150868B2 JP5543895A JP5543895A JP3150868B2 JP 3150868 B2 JP3150868 B2 JP 3150868B2 JP 5543895 A JP5543895 A JP 5543895A JP 5543895 A JP5543895 A JP 5543895A JP 3150868 B2 JP3150868 B2 JP 3150868B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、6ホスホグルコン酸
脱水素酵素とその製造法に関するものである。さらに詳
しくは、この発明は、その反応において補酵素としてニ
コチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(以下NAD
と略記する)に特異的に作用し、安定性に優れた新規な
6ホスホグルコン酸脱水素酵素(以下6PGDHと略記
する)とその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、酵素は、その反応の安定性、基質
との特異的結合性、および光学的定量化の容易性などの
優れた特性が注目され、医療分野や食品の成分分析など
に広く触媒として利用されている。なかでも6PGDH
は、とくにグルコース6リン酸脱水素酵素(以下G6P
DHと略記する)との共存下でグルコース6リン酸(以
下G6Pと略記する)を定量する場合に、高い測定感度
が得られるという点においてその有用性が指摘されてい
る。すなわち、そのようなG6P測定の場合、一般的に
はG6PDHまたは6PGDHの反応により生成した還
元型NAD(以下NADHと略記する)あるいは還元型
ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドリン酸(以
下NADPHと略記する)の340nmにおける吸光度
を分光学的に測定するが、さらにジアホラーゼやフェナ
ジンメトサルフェート(以下PMSと略記する)および
その誘導体により、生成したNAD(P)Hを基質とし
てニトロブルーテトラゾリウム(以下NBTと略記す
る)などのテトラゾリウム塩や2,6−ジクロロフェノ
ールインドフェノール(以下DCPIPと略記する)な
どを還元発色させ、可視部で測定することもできる。
【0003】この様なG6Pまたは6PGを経由する各
種分析対象を可視部域で測定する場合、ジアホラーゼは
NADHに特異性が高く、またPMSにも適用できるた
め、NADに対して特異的に作用する6PGDHを利用
することが望ましい。この6PGDHは、細菌から高等
生物に至るまで広く生物界に存在し、補酵素として、ニ
コチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドリン酸(以下
NADPと略記する)に特異的に作用するもの(ヨーロ
ピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Euro
pean Journal of Biochemistry)、1巻、170頁(1
967年))、NADPとNAD両方に作用するもの
(アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミ
ストリー(Agricultural and Biological Chemistry
)、46巻、391頁(1982年))、NADのみ
に作用するもの(エフエムビーエス・マイクロバイオロ
ジー・レターズ(FMBS Microbiology Letters )、52
巻、199頁(1988年))が知られているが、その
ほとんどはNADPに特異的に作用するものである。
【0004】また、6PGDHは、上記の通り、G6P
DHとの共存下、NADまたはNADPから生成される
NAD(P)H量を測定することによりG6Pを定量す
る測定系において、測定感度を高めるものであるが、こ
の測定方法を反応式に示すと以下のようになる。
【0005】
【化2】
【0006】
【化3】
【0007】この測定方法については、たとえば特開平
3−232498号公報には、NADPに特異的に作用
する6PGDHを用いた測定系が記載されている。この
ように、NAD(P)から生成するNAD(P)Hを測
定することでG6Pを定量できる。G6PDHのみを用
いた場合、1モルのG6Pに対し、1モルのNAD
(P)Hしか生成しないのに対し、6PGDHを共役さ
せることにより、1モルのG6Pから2モルのNAD
(P)Hを生成させることができるため、G6PDHの
みを用いる場合の2倍の感度が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、たとえ
ば、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケ
ミストリー誌(Agricultural and Biological Chemistr
y )、46巻、391頁(1982年)に記載されてい
るグルコノバクター・サブオキシダンス(Gluconobacte
r suboxydans)IFO12528株は、NADとNA
DP両方に作用する6PGDHを生産するが、この酵素
はATPにより強く阻害される。また、エフエムビーエ
ス・マイクロバイオロジーレターズ(FMBS Microbiolog
y Letters)、52巻、199頁(1988年)に記載
されているメチロバチルス・フラゲラタム(Methyrobac
illus flagellatum )KT1株から得られるNADに
特異的に作用する6PGDHも知られているが、その安
定性は極めて悪く、4℃で3日間保存しただけで約90
%失活するため、実用的でなかった。そのため、この酵
素を実際に反応試薬中へ適用することは不可能であっ
た。
【0009】以上のような理由から、NADに特異的に
作用し、安定性に優れた6PGDHの実現が強く要望さ
れていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
記の課題を解決するものとして、以下のからの理化
学的性質を有する6PGDHを提供する。また、その6
PGDH生産能を有する菌株を培養し、培養物から6P
GDHを採取することを特徴とする6PGDHの製造法
を提供する。
【0011】 作 用 下記反応式の反応を触媒し、補酵素としてNADに特異
的に作用する。
【0012】
【化4】
【0013】 安定性:50mM MES緩衝液(p
H7.2)中、2mMのエチレンジアミン四酢酸存在
下、室温で1カ月放置後、90%以上の残存活性を有す
る。 分子量:約13万〜26万(セファクリルS−30
0ゲルクロマトグラフィー法) 基質特異性:6−ホスホ−D−グルコン酸に特異性
を示し、補酵素としてはNADに特異的に作用し、NA
Dを補酵素としたときの活性値を100とすると、NA
DPを用いた場合1以下である。
【0014】 至適pH範囲:6.5〜8.5(温度
30℃) 安定pH:5〜9 作用適温の範囲:20℃から50℃までの範囲(M
ES緩衝液pH7.2) そしてこの発明の上記の菌株は、ロイコノストック・ラ
クティス(Leuconostoc lactis)SHO47またはロイコ
ノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis) SHO
54株であり、その菌学的性質を示したものが表1〜表
4である。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】この表1〜4に示した菌学的性質から、バ
ージィのマニュアル・オブ・システマティック・バクテ
リオロジー(Bargey's Mannual of Systematic Bacteri
ology )およびメソッズ・イン・マイクロバイオロジー
(METHODS IN MICROBIOLOGY)第16巻、第147〜17
8頁に基づき検索した結果、SHO47株およびSHO
54株は共にロイコノストック・ラクティス(Leuconost
oc lactis) に属する細菌と判明したが、生理的性質に
おいて既存菌株とは異なるものがあり、新菌株と判断で
きるので、それぞれロイコノストック・ラクティス(Leu
conostoc lactis)SHO47株、ロイコノストック・
ラクティス(Leuconostoc lactis)SHO54株と命名
し、平成5年11月17日に通産省工業技術院生命工学
工業技術研究所に寄託した。その受託番号はそれぞれ、
FERM P−13970,FERM P−13971
である。
【0020】この発明における微生物を培養する際に用
いられる栄養培地については、炭素源として、グルコー
ス、シュークロース、ラクトース等が使用でき、窒素源
としては硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、ペプト
ン、肉エキス、酵母エキス等の無機または有機物が使用
できる。さらに、無機塩類としては、カリウム、ナトリ
ウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、マンガン等の各塩類、
必要に応じて微量金属塩、ビタミン類などを使用しても
よい。
【0021】培養は通常、嫌気的あるいは微好気的な条
件下で行う。培養温度は20℃から42℃、好ましくは
30℃から42℃、最適には35℃から42℃で行う。
培地のpHは5.8〜7.2、好ましくは6.0〜7.
0、最適には6.4〜6.7である。このような条件下
で3〜30時間、好ましくは6から10時間培養するこ
とにより、菌体内に6PGDHが生成、蓄積される。
【0022】また、この発明で6PGDHを製造するに
は、たとえば上記のごとく微生物を培養し、培養終了
後、遠心分離や濾過などの操作で培養液から菌体を回収
し、菌体から粗酵素液を抽出し、精製すればよい。抽出
法には、超音波破砕、フレンチプレス、界面活性剤処
理、リゾチーム処理などいずれを用いてもよく、こうし
た処理後、遠心分離により細胞片を除去し、粗酵素液を
得る。粗酵素液については、イオン交換クロマトグラフ
ィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水クロマ
トグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等のクロマ
トグラフィーを組み合わせることにより、本発明の6P
GDHを単離、精製することができる。イオン交換クロ
マトグラフィーにはQ−セファロースFF(ファルマシ
ア社製)、DEAE−セファロースカラム(ファルマシ
ア社製)など、アフィニティークロマトグラフィーに
は、プロシオンブルーH−ERD(ICI製)、ブルー
セファロースCL−6Bカラム(ファルマシア社製)な
ど、疎水クロマトグラフィーには、オクチル−セファロ
ースCL−4Bカラム(ファルマシア社製)など、ゲル
濾過クロマトグラフィーには、セファデックスカラムな
どが挙げられる。また、これらのカラムクロマトグラフ
ィーに加え、硫酸ストレプトマイシンや硫酸プロタミン
処理による除核酸、硫酸アンモニウム処理によるタンパ
ク質の塩析を行ってもよい。
【0023】このようにして得られた6PGDHは、前
記の通りの理化学的性質を有するが、この点をさらに詳
しく説明すると次の通りである。 (1)作用:次の反応式の反応を触媒する。
【0024】
【化5】
【0025】(2)基質特異性およびKm値:6PGお
よびNADに対するミカエリス定数(Km値)は、それ
ぞれ1.1mM、0.54mMである。また、NADを
補酵素としたときの活性値を100とすると、NADP
を用いた場合は、1以下である。 (3)至適pH:6.5〜8.5(温度30℃) (4)安定pH:5〜9(各pHで24時間、4℃処理
後の活性:pH4〜5.5、酢酸緩衝液、pH5.5〜
7MES緩衝液、pH7〜8、イミダゾール−塩酸緩衝
液、pH8〜9.5、グリシル・グリシン−KOH緩衝
液) (5)作用適温の範囲:20℃から50℃までの範囲。
【0026】(MES緩衝液pH7.2) (6)安定性:50mM MES緩衝液(pH7.2)
中、2mMのエチレンジアミン四酢酸(以下EDTAと
略記する。)の存在下、室温で30日放置後90%以上
の残存活性を有する。 (7)分子量:約13万〜26万(セファクリルS−3
00ゲルクロマトグラフィー法による測定において、p
H6.0で行った場合約13万。pH8.0で行った場
合約26万) なお、活性の測定は、1.7mMの6PG、2.0mM
のNADおよび8.0mMの塩化マグネシウム(MgC
2 )を含むグリシル・グリシン緩衝液(pH7.5)
に酵素溶液を加え、緩やかに混和した後、分光光度計で
340nmにおける吸光度変化を測定した。測定は、3
0℃で行った。1分間に1マイクロモルのNADHを生
成させる酵素量を1単位(U)とした。
【0027】
【実施例】次に、この発明の実施例を示し、さらに具体
的に説明する。実施例1 グルコース3.0%(重量%を表す。以下同様)、酵母
エキス1.0%、ペプトン0.5%、クエン酸三ナトリ
ウム・二水和物0.5%、酢酸ナトリウム0.2%、硫
酸マグネシウム・七水和物0.02%、硫酸マンガン・
四〜五水和物0.005%、ツイン80 0.1%(容
量%)、pH6.4よりなる培地2リットルを3リット
ル容のジャーファーメンターに仕込み、121℃で15
分間オートクレーブ滅菌した後、ロイコノストック・ラ
クティス(Leuconostoc lactis)SHO54株(FER
M P−13971)を接種し、40℃で10時間、2
00rpmで攪拌し、通気しない条件下、4NのNaO
HでpHを6.4に調整しながら10時間培養した。遠
心分離により菌体を採取して約20gの菌体を得た。得
られた菌体を凍結状態で保存した。
【0028】次に、凍結菌体約20gをEDTAおよび
2−メルカプトエタノールを2mMずつ含む20mMリ
ン酸緩衝液(pH7.0)180m1に懸濁し、超音波
処理により菌体破砕後、遠心分離により細胞片を除去
し、6PGDHを含む粗酵素液を得た。この粗酵素液に
蛋白質100mg当たり1%の硫酸プロタミン溶液1.
0mlを加え、充分攪拌した後、生じた沈澱を遠心分離
で除去した。この上清を硫酸アンモニウムで塩析処理し
た。固形硫酸アンモニウムを45%飽和まで加え、生じ
た沈澱を除去した後、上清に75%飽和となるまで固形
硫酸アンモニウムを加え生じた沈澱を20mMリン酸緩
衝液(pH7.0)に溶解し、ついで20倍量の20m
Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したセファクリ
ルS−200ゲルカラム(ファルマシア社製)に通じ、
6PGDH活性がみられた画分を集めた後、予め20m
Mリン酸緩衝液(pH5.8)で平衡化したプロシオン
ブルーH−BRDカラム(プロシオンブルーH−BRD
はICI社より購入)に通じ、100mMのリン酸緩衝
液(pH6.8)で溶出した。続いて、ファルマシア社
製FPLCシステム(P500ポンプ2台、GP250
コントローラー、UV−1検出器)により、予め20m
Mのトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したモ
ノQ−セファロースカラム(ファルマシア社製)に通
じ、KClを緩衝液に加えた溶液で溶出せしめると、K
Cl濃度0.4〜0.45Mの近くで6PGDH活性画
分を得た。得られた6PGDHは、ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動で単一なバンドを与え、精製酵素標品を得
ることができた。また、活性の収率は約70%で、酵素
1mg当たり約101単位の比活性を示し、その精製度
は粗酵素液を1とすると約55倍であった。実施例2 グルコース3.0%(重量%を表す。以下同様)、酵母
エキス1.0%、ペプトン0.5%、クエン酸三ナトリ
ウム・二水和物0.5%、酢酸ナトリウム0.2%、硫
酸マグネシウム・七水和物0.02%、硫酸マンガン・
四〜五水和物0.005%、ツイン80 0.1%(容
量%)、pH6.4よりなる培地25リットルを30リ
ットル容のジャーファーメンターに仕込み、121℃で
15分間オートクレーブ滅菌した後、ロイコノストック
・ラクティス(Leuconostoc lactis)SHO54株(F
ERM P−13971)を接種し、40℃で10時
間、200rpmで攪拌し、通気しない条件下、4Nの
NaOHでpHを6.4に調整しながら培養した。遠心
分離により菌体を採取して約180gの菌体を得た。得
られた菌体を凍結状態で保存した。
【0029】次に、凍結菌体約100gをEDTAおよ
び2−メルカプトエタノールを2mMずつ含む20mM
リン酸緩衝液(pH7.0)1リットルに懸濁し、これ
にTriton X−100を0.01%、リゾチーム
を0.2mg/ml、DNaseIを0.2mg/ml
になるように添加し、2時間室温で攪拌後、遠心分離に
より細胞片を除去し、6PGDHを含む粗酵素液を得
た。
【0030】この粗酵素液を酢酸を加えpH5.8に調
整し、予め20mMリン酸同緩衝液(pH5.75)で
平衡化したプロシオンブルーH−BRDカラム(プロシ
オンブルーH−BRDはICI社より購入)に通じ、1
00mMのリン酸緩衝液(pH6.8)で溶出した。濃
縮後、予め20mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)で平衡化したQ−セファロースFFカラム(ファル
マシア社製)に通じ、KClを平衡液に加えた溶液で溶
出せしめると、KCl濃度0.40〜0.45Mの近く
に活性画分が溶出した。この溶出画分を濃縮後、硫酸ア
ンモニウムを0.5Mになるように加え、予め1Mの硫
酸アンモニウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH5.
5)で平衡化されたオクチルセファロースカラムCL−
4B(ファルマシア社製)に通じ、同緩衝液で溶出し
た。活性画分を集めて濃縮後、脱塩した。このようにし
て得られた6PGDHは、ポリアクリルアミドゲル電気
泳動で単一なバンドを与え、精製酵素標品を得ることが
できた。また、活性の収率は約55%で、酵素1mg当
たり約130単位の比活性を示し、その精製度は粗酵素
液を1とすると約25倍であった。
【0031】実施例1及び実施例2で得られた6PGD
Hは、セファクリルS−300(ファルマシア社製)ゲ
ルクロマトグラフィーにより分子量を測定したところ、
測定をpH6.0で行った場合約13万であった。ま
た、同様にpH8.0で行った場合は約26万であっ
た。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動において
は分子量約3.3万の位置に単一のバンドを与えた。実施例3 グルコース3.0%(重量%を表す。以下同様)、酵母
エキス1.0%、ペプトン0.5%、クエン酸三ナトリ
ウム・二水和物0.5%、酢酸ナトリウム0.2%、硫
酸マグネシウム・七水和物0.02%、硫酸マンガン・
四〜五水和物0.005%、ツイン80 0.1%(容
量%)、pH6.4よりなる培地25リットルを30リ
ットル容のジャーファーメンターに仕込み、121℃で
15分間オートクレーブ滅菌した後、ロイコノストック
・ラクティス(Leuconostoc lactis)SHO47株(F
ERM P−13970)を接種し 、40℃で7時
間、100rpmで攪拌し、通気しない条件下、4Nの
NaOHでpHを6.4に調整しながら培養した。遠心
分離により菌体を採取して約160gの菌体を得た。得
られた菌体を凍結状態で保存した。
【0032】次に、凍結菌体約100gをEDTAおよ
び2−メルカプトエタノールを2mMずつ含む20mM
リン酸緩衝液(pH7.0)1リットルに懸濁し、これ
にTriton X−100を0.01%、リゾチーム
を0.2mg/ml、DNaseIを0.2mg/ml
になるように添加し、2時間室温で攪拌後、遠心分離に
より細胞片を除去し、6PGDHを含む粗酵素液を得、
菌体中の6PGDH含量を測定したところ18万U/k
g湿菌体を示した。
【0033】この粗酵素液を酢酸を加えpH5.8に調
整し、予め20mMリン酸同緩衝液(pH5.75)で
平衡化したプロシオンブルーH−BRDカラム(プロシ
オンブルーH−BRDはICI社より購入)に通じ、1
00mMのリン酸緩衝液(pH6.8)で溶出した。濃
縮後、予め20mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)で平衡化したQ−セファロースFFカラム(ファル
マシア社製)に通じ、KClを平衡液に加えた溶液で溶
出せしめると、KCl濃度0.40〜0.45Mの近く
に活性画分が溶出した。この溶出画分を濃縮後、硫酸ア
ンモニウムを0.5Mになるように加え、予め1Mの硫
酸アンモニウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH5.
5)で平衡化されたオクチルセファロースカラムCL−
4B(ファルマシア社製)に通じ、同緩衝液で溶出し
た。活性画分を集めて濃縮後、脱塩した。このようにし
て得られた6PGDHは、ポリアクリルアミドゲル電気
泳動で単一なバンドを与え、精製酵素標品を得ることが
できた。また、活性の収率は約55%で、酵素1mg当
たり約110単位の比活性を示し、その精製度は粗酵素
液を1とすると約33倍であった。
【0034】このSHO47株の培養菌体から得られた
6PGDHは、セファクリルS−300(ファルマシア
社製)ゲルクロマトグラフィーにより分子量を測定した
ところ、SHO54株と同様、測定をpH6.0で行っ
た場合約13万、pH8.0で行った場合は約26万で
あった。また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動においてもSHO54株同様、分子量約3.3万の位
置に単一のバンドを与えた。至適pHもSHO54株の
6PGDHと同様にpH6.5〜8.5(温度30℃)
付近であった。実施例4 SHO54株から精製した6PGDHの補酵素の特異性
を調べた。1.7mMの6PG、2.0mMのNADま
たはNADP、および8.0mMの塩化マグネシウム
(MgCl2 )を含むグリシル・グリシン緩衝液(pH
7.5)1.0mlをセルに入れ、30℃で約3分間保
温した後、酵素溶液0.02mlを加え、緩やかに混和
した後、分光光度計で340nmにおける吸光度変化を
測定した。1分間に1マイクロモルのNADHを生成さ
せる酵素量を1単位(U)とした。NAD、NADPを
補酵素として用いた場合の比活性を算出し、比較に用い
た。比活性は蛋白質1mg当たりの活性値とした。結果
を表5に示した。
【0035】
【表5】
【0036】NADを補酵素とした時の活性値を100
とすると、NADPを用いた場合は0.4であった。実施例5 SHO54株から精製した6PGDHの保存安定性を調
べた。6PGDHを、2mMのEDTAを含む50mM
のMES緩衝液(pH7.2)で希釈することにより、
10U/mlの濃度の6PGDH液を調製した。この酵
素液を0.5mlずつ1.5ml容のエッペンドルフチ
ューブに分注し、30℃の恒温槽で保存した。適当な時
間保存した後の残存酵素活性を測定し、保存開始時の酵
素活性を100%として、各保存時間での残存活性をプ
ロットした安定性曲線を図1に示した。
【0037】
【発明の効果】この発明の6PGDHは、補酵素として
NADのみ特異的に作用するため、紫外部での測定のみ
ならず、ジアホラーゼやPMSと共役させることによ
り、酵素反応により生成したNADHを基質としてNB
TやDCPIPなどを還元発色させ可視部での測定を可
能とさせる。また、ジアホラーゼはNADPHに対する
特異性が低いため、従来のNADP特異的な6PGDH
を用いた場合、可視部での測定には多量のジアホラーゼ
を使用しなければならないという問題があったが、この
発明の酵素により可視部での測定が容易となる。また従
来知られているNADに特異的といわれている6PGD
Hが極めて不安定(メチロバチルス・フラゲラタム(Me
thyrobacillus flagrllatum )KT1株由来のNAD
特異的といわれている6PGDHの場合、4℃で3日間
保存しただけで90%失活)で、実用的でなかったのに
対し、この発明の6PGDHは室温で30日放置後も9
0%以上の残存活性を有する程安定性に優れているた
め、各種測定用試薬への利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の6PGDHの保存安定性試験におけ
る安定性曲線を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 仁司 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ 株式会社中央研究所内 (72)発明者 小原 仁実 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1 株 式会社島津製作所三条工場内 (72)発明者 矢幡 雅人 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1 株 式会社島津製作所三条工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 9/04 BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の理化学的性質を有する6ホスホグ
    ルコン酸脱水素酵素。 作 用 次式の反応を触媒し、補酵素としてニコチンアミド・ア
    デニン・ジヌクレオチドに特異的に作用する。 【化1】 安定性:50mM MES緩衝液(pH7.2)
    中、2mMのエチレンジアミン四酢酸存在下、室温で1
    カ月放置後、90%以上の残存活性を有する。 分子量:約13万〜26万(セファクリルS−30
    0ゲルクロマトグラフィー法) 基質特異性:6−ホスホ−D−グルコン酸に特異性
    を示し、補酵素としてはニコチンアミド・アデニン・ジ
    ヌクレオチドに特異的に作用し、ニコチンアミド・アデ
    ニン・ジヌクレオチドを補酵素としたときの活性値を1
    00とすると、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオ
    チドリン酸を用いた場合1以下である。 至適pH範囲:6.5〜8.5(温度30℃) 安定pH:5〜9 作用適温の範囲:20℃から50℃までの範囲(M
    ES緩衝液pH7.2)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の6ホスホグルコン酸脱水
    素酵素の生産能を有するロイコノストック・ラクティス
    SHO47(FERM P−13970)またはロイコ
    ノストック・ラクティスSHO54(FERM P−1
    3971)を培養し、培養物から請求項1記載の6ホス
    ホグルコン酸脱水素酵素を採取することを特徴とする6
    ホスホグルコン酸脱水素酵素の製造法。
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