JP4069243B2 - アルドヘキソースデヒドロゲナーゼ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、糖尿病、真菌感染症、白内障等の診断において行われるマンノースの定量に用いられるアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ及びこの酵素を含むマンノース測定用試薬などに関する。
【0002】
【従来の技術】
アルドヘキソースデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.119)(以下、「AHDH」という)は、次式に示すように、D-アルドヘキソース及びそのアナログの可逆的な酸化反応を触媒する。
【0003】
D-アルドヘキソース+NAD → D-ヘキソン酸-δ-ラクトン+NADH+H+(NADは酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを示し、NADHは還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを示す。)
AHDHに関する報告は少なく、これまで2〜3のバクテリアでのみその性質が明らかにされている。例えば、Gluconobacter cerinusから得られるニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下、「NADP」と略する)依存性アルドヘキソースデヒドロゲナーゼがJ.Biol.Chem. 243(8) 1968 pp1936-1941に記載されている。また、NAD依存性アルドヘキソースデヒドロゲナーゼがJ.Biol.Chem. 247(7) 1972 pp2222-2227に記載されている。このうち、D−マンノースに対して高い反応性を示すAHDHは、Gluconobacter cerinusから得られるNADP依存性アルドヘキソースデヒドロゲナーゼである。
【0004】
ここで、ヘキソースの1種であるマンノースは、生体内では、主に糖タンパク質や糖脂質などの糖鎖合成に利用されており、糖タンパク質の生合成や分泌、さらには糖タンパク質の機能発現に重要な役割を果たしている。また、マンノースはヒト血中にも微量に存在しているが、食物から吸収されることは殆どなく、主にグルコース代謝系から供給されている。すなわち、グルコース→グルコース−6−リン酸→フルクトース−6−リン酸→マンノース−6−リン酸の経路で供給される。また、マンノース−6−リン酸からマンノース−1−リン酸及びGDP−マンノースを経て合成されるGDP−マンノースは、マンノース糖鎖合成のドナーとして、重要な役割を果たしていることが知られている。
【0005】
ヒトにおけるマンノースの血中の濃度は、平均値で16〜81μM程度、SDの範囲では11〜142μM程度とされている(日本臨牀 53(増刊号) p579-581(1995))。
【0006】
血中のマンノース濃度と各種疾患との関係については、以下の報告があり、血中のマンノース濃度の測定はこれらの疾患の診断に有用であることが示唆されている。例えば、血糖コントロール不良の糖尿病(Clinica. Climica Acta 251;1996 pp91-103)や真菌感染症(J. Clin.Microbiol. 21(6) ;1985 pp972-979)の患者では血中マンノース濃度が上昇していた。糖尿病患者では、空腹時の血清マンノース濃度は健常者の3〜5倍に上昇し、グルコース濃度とよく相関していた(防衛医科大学校雑誌15(4) p217-223(1990)、Clin. Chim. Acta 251 p91-103(1996))。特に、ケトアシドーシスの症例においては約670μM(健常者平均値の50倍)に達し、治療により約50μMにまで改善した(防衛医科大学校雑誌 15(4) p217-223(1990))。糖尿病の合併症としては、網膜症の発症群で、血清マンノース濃度が有意に高値であった(糖尿病 33(Sup.) p144(1990)、糖尿病34(Sup.) p277(1991))。白内障患者のレンズ中の糖鎖に含まれるマンノースの割合は、糖尿病群では非糖尿病群より高かった(防衛医科大学校雑誌 18(4) p308-315(1993))。妊娠糖尿病では、妊娠の初期、中期、後期を通じ、糖尿病群の血清マンノース濃度は正常群より高く、妊娠初期のマンノース濃度高値群で自然流産の頻度が高かった(糖尿病 33(9) p719-725(1990))。また、免疫力の低下した患者で問題になる真菌症、特に、カンジダ症においては血清マンノース濃度が110〜1,315μM(健常者平均値の63倍)と、著しく上昇していた(日本臨牀 53(増刊号) p579-581(1995 )、日本医事新報No.3286 p46-48(1987))。
【0007】
現在、血液の生化学検査のほとんどの項目は汎用の自動分析装置で測定されている。しかし、汎用の自動分析装置に対応できない、すなわち特殊な分析装置を必要とし人手により測定しなければならない検査項目もある。このような検査項目は人件費が高くつくために、近年の医療費の高騰により、事実上臨床での検査が困難な状況にある。
【0008】
ここで、血中マンノース量の測定方法は数多く報告されているが、何れも煩雑な操作を必要とするため、自動分析装置での測定は困難である(Clin. Chem. 43(3) p533-538(1997))。現在最も信頼できるマンノースの測定法としては、キャピラリィー・ガスクロマトグラフィー(GC)法(防衛医科大学校雑誌 15(4) p217-223(1990))やガスクロマトグラフィー−マススペクトロメトリィー(GC−MS)法(Clin. Chim. Acta251 p91-103(1996 ))などの分離分析法が報告されている。しかし、いずれの方法も、煩雑な前処理と高度なメンテナンス技術を要する特殊な装置を必要とする。
【0009】
また、酵素を用いたマンノースの測定法も幾つか報告されている。ひとつは、マンノースをヘキソキナーゼ(EC2.7.1.1)によりリン酸化してマンノース−6−リン酸を生成させ、生成したマンノース−6−リン酸をマンノースリン酸イソメラーゼ(EC5.3.1.8)によりフルクトース−6−リン酸へ異性化し、さらに、フルクトース−6−リン酸をグルコースリン酸イソメラーゼ(EC5.3.1.9)によりグルコース−6−リン酸に異性化後、検体中のマンノース量に応じて生成したグルコース−6−リン酸を、補酵素の存在下にグルコース−6−リン酸脱水素酵素(EC1.1.1.49)を用いて酸化し、この反応によって生じた補酵素の還元体を分光光度計で定量する方法である(Clin. Chem. 30(2) p293-294(1984))。この酵素系によりマンノースを測定する場合、ヘキソキナーゼは、マンノースの他にグルコースもリン酸化するため、このグルコースから多量のグルコース−6−リン酸が生じ、これがグルコース−6−リン酸脱水素酵素と反応して測定誤差を生じる。特に、ヒト血清中にはグルコースがマンノースの100倍程度存在するため、測定前にグルコースを除去しておく必要がある。
【0010】
Soyama等(Clin. Chem. 30(2) p293-294(1984))と Akazawa等(J. Clin. Endocrinol. Metab. 62(5) p984-989(1986))は、グルコースオキシダーゼを用いてグルコースを除去するとともにマンノースを定量する方法を報告している。具体的には、グルコースオキシダーゼとカタラーゼとを用いて予め試料中のグルコースを除去し、アデノシン三リン酸の存在下でマンノースにヘキソキナーゼを作用させることによりマンノース−6−リン酸に変換し、続いてマンノース−6−リン酸にマンノース−6−リン酸イソメラーゼを作用させることによりフルクトース−6−リン酸に変換した後、更にフルクトース−6−リン酸にグルコース−6−リン酸イソメラーゼを作用させることによりグルコース−6−リン酸とし、最後に補酵素であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、「NAD」という)の存在下で、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させることにより生じた還元型のNADHの吸光度(340nm)を分光光度計で測定することによりマンノースを定量している。しかしながら、本測定法ではグルコースの除去が不完全である場合や、長時間グルコース除去反応を行うとマンノースまで反応してしまうという問題があった(Clin. Chem. 43(3) p533-538(1997))。
【0011】
マンノースに共存するアルドヘキソースの影響を除去してマンノースを定量する上記酵素法の改良法として、グルコースやフルクトースが共存する試料にアデノシン三リン酸及びNADP存在下にヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸イソメラーゼを作用させることによりグルコース及びフルクトースをグルコース−6−リン酸に変換し、更にグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを添加してグルコース−6−リン酸をグルコン酸−6−リン酸に変換し、このときに生じるNADPHを塩酸酸性下で分解することによりグルコース等による影響を除去した後に、上記方法と同様にしてマンノースにヘキソキナーゼ、マンノース−6−リン酸イソメラーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼをこの順に作用させて、生じたNADPHの吸光度(340nm)を測定するマンノースの定量方法が、Pitkanen等により報告されている(Eur. J. Clin. Chem.Clin. Biochem 35(10); 1997 pp761-766)。
【0012】
また、James等は、グルコキナーゼ(EC2.7.1.2)を用いてグルコースを選択的にリン酸化し、生じたグルコース−6−リン酸をアニオン交換樹脂を充填した遠心型のミニカラムで吸着除去後、吸着されずに通過液中に回収されたマンノースを、前記のヘキソキナーゼ等の酵素系を用いたマンノース測定法で検出している(Clin. Chem. 43(3) p533-538(1997))。
【0013】
また、特開平11−266896号公報には、予め被験試料を、ピラノースオキシダーゼやL−ソルボースオキシダーゼ等のグルコースの2位酸化酵素、またはピラノースオキシダーゼやL−ソルボースオキシダーゼ等のグルコースの2位酸化酵素とグルコースオキシダーゼ等のグルコースの1位酸化酵素とを組み合わせ使用することにより処理し、これにより検体中に存在するグルコースを完全に除去してからマンノースを測定する方法が記載されている。
【0014】
しかしながら、上述した酵素を用いたマンノース測定方法は、数種の酵素反応を組み合わせた複雑な酵素共役系を介することから、すべての酵素の至適条件を設定することが困難である。また、高価な酵素を多数組み合わせて用いるためコスト高になる。更に、生体試料由来の成分や夾雑物の影響を受け易い。
【0015】
また、特開2001−197900号公報には、NADP依存性アルドヘキソースデヒドロゲナーゼを用いたマンノースの定量方法が記載されている。しかしながら、NADPはNADより試薬として数倍高価である。
【0016】
従来、アルドヘキソースデヒドロゲナーゼとしては、補酵素として、NAD依存性のものとNADP依存性のものとがあることが知られている(J.Biol.Chem. 243(8) 1968 pp1936-1941,J.Biol.Chem. 247(7) 1972 pp2222-2227)。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、D−マンノースに対する特異性が高いとともに、補酵素としてNADを効率的に利用し得るアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ、このアルドヘキソースデヒドロゲナーゼの効率的な生産方法、及び、感度が高くかつ低コストなマンノース測定用試薬などを提供することを主目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明者は探索及び研究を重ね、補酵素としてNADPよりもNADに対して依存性が強く、D−グルコースよりもD−マンノースに対して反応性が高い新規なアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ(以下、「AHDH」という)を単離することに成功した。具体的には、探索対象として既に染色体の全塩基配列が決定されている(Nature 407 (6803), pp508-513 (2000))好熱好酸性アーキアであるサーモプラズマ・アシッドフィラム(Thermoplasma acidophilum)を選び、機能未知遺伝子産物の機能同定をすすめることにより新規なAHDHを単離し、このAHDHが上記の補酵素依存性及び基質特異性を有することを見出した。さらに、AHDHを遺伝子工学的技術により高生産させ、高純度なAHDHを安価に大量供給することを可能にして、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の各項のAHDHなどを提供する。
【0019】
項1. 補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を共存させるよりも補酵素として同じ濃度のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを共存させる方がD−マンノースに対する活性が高く、かつ、D−グルコースに対するよりもD−マンノースに対するVmax/Kmが大きいアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ。
【0020】
項2. 2−デオキシ−D−グルコースに対するよりもD−マンノースに対するVmax/Kmが大きい項1に記載のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ。
【0021】
項3. D−マンノースに対するKmが100mM以下である項1又は2に記載のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ。
【0022】
項4. 15分間の熱処理により酵素活性が実質的に低下しない上限温度が60℃である項1、2又は3に記載のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ。
【0023】
項5. 至適温度が70℃以上である項1から4のいずれかに記載のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ。
【0024】
項6. pH7〜11での16時間の処理により酵素活性が実質的に低下しない項1から5のいずれかに記載のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ。
【0025】
項7. 最大値の80%以上の活性を示すpHが9〜11である項1から6のいずれかに記載のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ。
【0026】
項8. 単量体の分子量が27000〜33000である項1から7のいずれかに記載のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ。
【0027】
項9. 以下の(1)又は(2)のポリペプチド。
(1) 配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(2) 配列番号1に示すアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を共存させるよりも補酵素として同じ濃度のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを共存させる方がD−マンノースに対する活性が高いとともに、D−グルコースに対するよりもD−マンノースに対するVmax/Kmが大きいアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド。
【0028】
項10. 項9に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【0029】
項11. 以下の(3)又は(4)のポリヌクレオチド。
(3) 配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド
(4) 配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェント
な条件でハイブリダイズし、かつ、補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を共存させるよりも補酵素として同じ濃度のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを共存させる方がD−マンノースに対する活性が高いとともに、D−グルコースに対するよりもD−マンノースに対するVmax/Kmが大きいアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
項12. 項10又は11に記載のポリヌクレオチドを含む組み換えベクター。
【0030】
項13. 項12に記載の組み換えベクターを保持する形質転換体。
【0031】
項14. 項13に記載の形質転換体を培養し、この形質転換体からアルドヘキソースデヒドロゲナーゼを分離し、精製するアルドヘキソースデヒドロゲナーゼの製造方法。
【0032】
項15. サーモプラズマ・アシッドフィラム(Thermoplasma acidophilum)を培養し、培養菌体からアルドヘキソースデヒドロゲナーゼを分離し、精製するアルドヘキソースデヒドロゲナーゼの製造方法。
【0033】
項16. 項1から8のいずれかに記載のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼとニコチンアミドアデニンジヌクレオチドとを含むマンノース測定用試薬。
【0034】
項17. 項9に記載のポリペプチドとニコチンアミドアデニンジヌクレオチドとを含むマンノース測定用試薬。
【0035】
項18. 被験試料に項16又は17に記載のマンノース測定用試薬を添加し、試料中の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド濃度の増加率を定量することにより被験試料中のマンノースを定量するマンノース測定方法。
【0036】
【発明の実施の形態】
(I)アルドヘキソースデヒドロゲナーゼ
補酵素依存性・基質特異性
本発明のAHDHは、補酵素としてNADPを共存させるよりも補酵素として同じ濃度のNADを共存させる方がD−マンノースに対する活性が高く、かつ、D−グルコースに対するよりもD−マンノースに対するVmax/Kmが大きい酵素である。
【0037】
すなわち本発明のAHDHは、補酵素としてNADPよりもNADへの依存性が強く、かつ、D−グルコースよりもD−マンノースに対する活性が高い又は/及び親和性が高い酵素である。
【0038】
本発明において、AHDHの活性は、補酵素(NAD)の存在下でAHDHによる基質の脱水素反応を行い、還元型補酵素(NADH)の濃度を反映する340nmにおける吸光度の増加速度を測定することにより求めた値である。具体的には、80mg/mlの補酵素を含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH(8.0))中に基質を溶解させ、酵素溶液を1/60容量添加し、37℃で340nmの吸光度の変化を測定する。直線的増加が見られる初期部分の吸光度の変化速度から次式に従い、AHDH活性を算出する。上記条件下で1分間に1μmolの還元型補酵素を生成する酵素量を1単位とする。
【0039】
【式1】
【0040】
但し、補酵素としてNADPへの依存性を検討する場合には、補酵素としてNADに代えてNADPを用い、還元型NADPHの濃度を反映する340nmの吸光度を測定する。
【0041】
また、Vmax及びKmは、常法に従いラインウィーバー・バークプロットから算出する。
【0042】
本発明のAHDHにおいて、D−マンノースに対する活性は、NADの共存下ではNADPの共存下での2倍以上、特に5倍以上であることが好ましい。
【0043】
また本発明のAHDHは、D−マンノースに対するVmax/Kmが、D−グルコースに対するVmax/Kmの1.5倍以上、特に3倍以上であることが好ましい。
【0044】
本発明のAHDHはD−マンノースに対する親和性が強い。本発明のAHDHは、Kmが通常100mM以下、特に50mM以下、さらに特に25mMであることが好ましい。このKmの下限値は特に限定されないが、通常10mM程度である。
【0045】
本発明のAHDHは、D−マンノースの他に、D−グルコース及び2−デオキシ−D−グルコースに対する脱水素活性を有していてもよい。但し、補酵素としてNADを用いた場合に、2−デオキシ−D−グルコースよりもD−マンノースに対するVmax/Kmが大きいことが好ましい。特に、補酵素としてNADを用いた場合に、D−マンノースに対するVmax/Kmが、2−デオキシ−D−グルコースに対するVmax/Kmの1.1倍以上、特に1.2倍以上であることが好ましい。
耐熱性・至適温度
本発明のAHDHは耐熱性が高い。20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)中での15分間の熱処理に対して60℃以下であれば実質的に活性が低下しない(実質的に活性が低下しない上限温度が60℃である)ことが好ましい。また、同条件の70℃での熱処理により70%以上活性が残存する酵素であることがより好ましい。
【0046】
ここで、実質的に活性が低下しないとは、測定誤差範囲を考慮し、90%以上活性が残存する場合をいう。
【0047】
また、本発明のAHDHの至適温度は70℃以上であることが好ましい。
【0048】
本発明のAHDHは、このように耐熱性が高く、また至適温度が高いことにより、保存中に活性が低下し難く、取り扱いが容易である。また、D−マンノース定量に当たり比較的高温で酵素反応を行えるため、夾雑酵素の影響を除外でき、その分高感度に測定できる。酵素の製造においても、加温処理により容易に夾雑酵素を不溶性画分として除去することが可能である。特に、本発明のAHDHをコードするDNAを含む組換え体を保持する形質転換体を用いてAHDHを製造する場合には、宿主が生産するその他の種々の糖脱水素酵素を完全に除去することが望まれるため、これらの酵素を夾雑酵素として容易に除去できる利点は大きい。
pH安定性・至適pH
本発明のAHDHは、アルカリに対して極めて耐性である。100mMリン酸カリウム(pH6.3〜7.5)、トリス塩酸(pH7.1〜9.1)、グリシン水酸化ナトリウム(pH9.0〜11)各緩衝液中での25℃16時間の処理により、実質的に活性が低下しないpH範囲は7〜11程度であることが好ましい。同条件で60%以上の活性が残存するpH範囲は6.3〜11程度であることがより好ましい。
【0049】
ここで、実質的に活性が低下しないとは、測定誤差範囲を考慮し、90%以上活性が残存する場合をいう。
【0050】
また、本発明のAHDHにおいて、最大値の80%以上の活性を有するpHが9〜11程度であることが好ましい。特に本発明のAHDHは至適pHが10であることが好ましい。
【0051】
本発明のAHDHは、このように耐アルカリ性に優れるために、測定試薬に用いる緩衝液を広い範囲から選択することができる。
分子量
本発明のAHDHのSDS−PAGEにより測定した分子量は30000±3000程度である。
アミノ酸配列
本発明のAHDHとしては、それには限定されないが、以下の(1)又は(2)のポリペプチドからなるものが挙げられる。
(1) 配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(2) 配列番号1に示すアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、補酵素としてNADPを共存させるよりも補酵素として同じ濃度のNADを共存させる方がD−マンノースに対する活性が高いとともに、D−グルコースに対するよりもD−マンノースに対するVmax/Kmが大きいアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド。
【0052】
(2)の改変されたポリペプチドは、公知の方法、例えば(1)のポリペプチドをコードするDNAに対して、エキソヌクレアーゼを用いたDNA欠失導入、リンカー導入、位置指定突然変異導入、変異プライマーを用いたPCR法等による塩基配列の改変を行うことや化学合成等によって得ることができる。
【0053】
ポリペプチドの改変を活性を損なわない範囲で行うために、例えばアミノ酸の置換であれば、類似した側鎖を有するアミノ酸間で置換することが好ましい。具体的には、例えばアスパラギン酸とグルタミン酸との間、トリプトファンとフェニルアラニンとチロシンとの間、リジンとアルギニンとの間、セリンとスレオニンとの間、アスパラギンとグルタミンとの間、バリンとロイシンとイソロイシンとの間などでアミノ酸の置換を行うことが好ましい。
【0054】
改変に対して耐えられる領域は、活性中心付近以外の部分、すなわち種間で保存されていない領域である。具体的には、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号132〜149以外の部分である。
【0055】
(2)のポリペプチドのアミノ酸配列は(1)のポリペプチドのアミノ酸配列との間で、通常80%以上、特に90%以上の相同性を有することが好ましい。
塩基配列
本発明のポリヌクレオチドは、上記の(1)又は(2)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。本発明のポリヌクレオチドは、このポリペプチドをコードするものであれば、特に限定されないが、特に以下の(3)又は(4)のポリヌクレオチドが好ましい。
(3) 配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド
(4) 配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェント
な条件でハイブリダイズし、かつ、補酵素としてNADPを共存させるよりも補酵素として同じ濃度のNADを共存させる方がD−マンノースに対する活性が高いとともに、D−グルコースに対するよりもD−マンノースに対するVmax/Kmが大きいアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
本発明において、「ポリヌクレオチド」には、DNA及びRNAの双方が含まれる。また、ポリヌクレオチドには、その塩基配列を有するポリヌクレオチドの他にそれに相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドが含まれる。また、DNAの場合には、1本鎖DNA及び2本鎖DNAの双方が含まれる。
【0056】
本発明において、ストリンジェントな条件としては、2×SSC(300mMNaCl、30mMクエン酸)中で65℃、16時間のハイブリダイゼーション条件が挙げられる。
【0057】
(4)の改変されたポリヌクレオチドは、公知の方法、例えば(3)のポリヌクレオチドに対して、エキソヌクレアーゼを用いたDNA欠失導入、リンカー導入、位置指定突然変異導入、変異プライマーを用いたPCR法等による塩基配列の改変を行うことや化学合成等によって得ることができる。
【0058】
(4)のポリヌクレオチドの塩基配列は、(3)のポリヌクレオチドの塩基配列との相同性が80%以上、特に90%以上、さらに特に95%以上であることが好ましい。
本発明のポリヌクレオチドの製造方法
本発明のポリヌクレオチドは、例えば、配列番号2の塩基配列に基づき合成したオリゴヌクレオチドをプローブとして用いてサーモプラズマ属細菌(特にサーモプラズマ・アシッドフィラム)のゲノムライブラリーをハイブリダイゼーションによりスクリーニングする方法、このゲノムライブラリーをPCRの鋳型として用い、配列番号2の塩基配列に基づき合成したセンスプライマーとアンチセンスプライマーとを組み合わせてPCRを行う方法等により得ることができる。
【0059】
また、本発明のポリヌクレオチドは、以下の方法によっても得られる。すなわち、例えばサーモプラズマ属細菌(特にサーモプラズマ・アシッドフィラム)の染色体DNAを常法に従い分離、精製した後、超音波破砕又は任意の制限酵素処理によりDNAを切断する。このDNA断片をリニアーな発現ベクターの平滑末端または接着末端においてDNAリガーゼなどにより結合閉鎖させて組換えベクターを構築する。このようにして得られた組換えベクターを、ベクターに応じた複製可能な宿主微生物に形質転換により導入した後、ベクターのマーカーとAHDH酵素活性の発現とを指標としてAHDH遺伝子が導入された菌株をスクリーニングする。得られた菌株を培養し、培養菌体から組換えベクターを分離及び精製し、組換えベクターからAHDH遺伝子を採取すればよい。
【0060】
染色体DNAは、具体的には以下のように採取される。すなわち、微生物を例えば1〜3日間攪拌培養することにより得られた培養液を遠心分離により集菌し、次いでこれを溶菌させることにより遺伝子含有溶菌物を調製することができる。溶菌の方法としては、弱アルカリ緩衝液による懸濁処及び必要に応じてプロテアーゼ等の酵素、ラウリル硫酸ナトリウム又はドデシル硫酸ナトリウム等の界面活性剤処理が挙げられる。このようにして得られた溶解物からDNAを分離・精製するには、常法に従って、例えばフェノール処理やプロテアーゼ処理による除蛋白処理や、リボヌクレアーゼ処理、アルコール沈殿処理などの方法を適宜組み合わせて行えばよい。
【0061】
微生物から分離、精製されたDNAを切断する方法は、例えば超音波処理、制限酵素処理などにより行うことができる。特定のヌクレオチド配列に作用するII型制限酵素処理が好ましい。
【0062】
ベクターは、細菌用ベクターの他、酵母用ベクター、動物細胞用ベクターも使用できる。通常は、細菌用のファージベクター又はプラスミドベクターを用いればよい。例えばエシェリヒア・コリを宿主微生物とするLambda-gt10又はLambda-gt11のようなファージベクター、pBR322、pUC19又はpBluescriptのようなプラスミドベクターが挙げられる。
【0063】
このようなベクターを、上述したAHDH遺伝子供与体である微生物DNAの切断に使用したのと同じ制限酵素で切断してベクター断片を得ることができるが、必ずしも微生物DNAの切断に使用した制限酵素と同一の制限酵素を用いる必要はない。微生物DNA断片とベクター断片とを結合させる方法は公知のDNAリガーゼを用いる方法であればよく、例えば微生物DNA断片の接着末端とベクター接着断片とのアニーリングの後、適当なDNAリガーゼの使用により微生物DNA断片とベクターDNA断片との組換えベクターを作製する。必要であれば、アニーリングの後、宿主微生物に移入して生体内のDNAリガーゼを利用して組換えベクターを作製することもできる。
【0064】
宿主微生物としては、組換えベクターが安定に自律増殖可能で、外来性遺伝子の形質を発現できるものであればよく、ベクターに応じて細菌、酵母、動物細胞を用いればよい。それには限定されないが、一般的にはエシェリヒア・コリW3110、エシェリヒア・コリC600、エシェリヒア・コリHB101、エシェリヒア・コリJM109、エシェリヒア・コリDH5α等を用いることができる。
【0065】
形質転換は、リン酸カルシウム法、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、リポソームフェクション法、マイクロインジェクション法などの公知の方法を採用できる。
【0066】
宿主微生物への目的組換えベクターの移入の有無は、ベクターが備える薬剤耐性マーカーとAHDH活性とを同時に発現するコロニーを選択すればよい。例えば当該薬剤耐性マーカーに相当する薬剤を含む平板培地上で生育するコロニーの中から、AHDH活性測定を行うことによりAHDHを生産する株を選択すればよい。
【0067】
選択した菌株からAHDH遺伝子を保持する組換えベクターを分離し、制限酵素処理によりAHDHをコードするポリヌクレオチドを得ることができる。さらに、PCRにより当該ポリヌクレオチドを増幅させることもできる。
【0068】
ゲノムDNAのプローブ又はプライマーを用いたスクリーニング、形質転換体のAHDH活性を指標にしたスクリーニングのいずれの方法を採る場合にも、本発明のポリヌクレオチドは、サーモプラズマ属細菌の他に、アーキオグロバス属、メタノコッカス属、パイロコッカス属等の細菌から得ることもできる。
本発明のAHDH・ポリペプチドの製造方法
本発明のAHDHは、前述した形質転換体又はサーモプラズマ属細菌等の細菌を、通常、液体培地中で培養することにより、形質転換体の菌体内に、又は、分泌シグナル付加したAHDHの場合には菌体外に生産させることができる。工業的には通気攪拌培養を行うことが好ましい。
【0069】
培地の栄養源としては、微生物の培養に通常用いられるものが広く使用され得る。炭素源としては資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、糖蜜、ピルビン酸などが使用される。窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えば、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ抽出物などが使用される。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて使用される。
【0070】
培養温度、培地pH及び培養時間は、生産菌または宿主に応じてAHDHの生産量の多い条件を選択すればよい。例えば宿主としてエシェリヒア・コリを用いる場合には、培養温度は20〜42℃程度が好ましい。培養時間は、温度や培地成分などの培養条件によって異なるが、通常は6〜72時間程度とすればよい。培地のpHはpH6〜9程度のアルカリ性の範囲が好ましい。
【0071】
また、本発明のAHDHの最も好ましい生産菌であるサーモプラズマ・アシッドフィラムからAHDHを採取する場合には、培養温度は55〜60℃程度が好ましい。培養時間は、温度や培地成分などの培養条件によって異なるが、通常は24〜48時間程度とすればよい。培地のpHはpH0.5〜4程度の酸性の範囲が好ましい。
【0072】
AHDHが主に菌体外に分泌される場合には、形質転換体を含む培養液をそのまま利用することもできるが、一般的には、常法に従って、濾過又は遠心分離などにより菌体を除去した培養液を利用すればよい。一方、AHDHが主に菌体内に生産される場合には、培養液から菌体を集め、菌体を超音波破砕のような機械的方法又はリゾチームのような酵素的方法で破壊し、必要に応じてEDTA等のキレート剤及び/又はトリトンX−100等の界面活性剤を添加して酵素を可溶化し、水溶液中にAHDHを回収する。
【0073】
得られたAHDH含有溶液を、例えば、減圧濃縮若しくは膜濃縮により濃縮するか、硫酸アンモニウム若しくは硫酸ナトリウムなどを用いた塩析処理又は親水性有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトンなど)による分別沈殿法により沈殿させればよい。また、本発明のAHDHは耐熱性の高い酵素であることから、50〜60℃程度での加熱処理を行うことにより夾雑タンパク質を効果的に除去することができる。さらに、常法に従い、等電点電気泳動、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等を適宜組み合わせることにより、AHDHをSDS−PAGEで単一バンドが得られるまで精製することができる。
【0074】
本発明のAHDHは、精製酵素溶液の形態、又は、例えば凍結乾燥、真空乾燥又はスプレードライなどにより粉末化した形態の双方で流通させることができる。精製酵素を溶解させておく緩衝液の種類は特に限定されず、リン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液又はGOODの緩衝液等の公知の緩衝液を使用することができる。緩衝液のpHは、AHDHの安定pH範囲である7〜11程度とすることが好ましい。
マンノース測定用試薬
本発明のマンノース測定用試薬は、本発明のAHDH(又は本発明のポリペプチド)とNADとを含む試薬である。
【0075】
これらは、乾燥品であってもよいが、緩衝液中に溶解させたものであってもよい。さらに、紙片に含浸させたものであってもよい。緩衝液は、通常pH7〜9程度、特に7.5〜8.5程度を用いることが好ましい。緩衝液の種類は、上記pH範囲で緩衝能を有するものであればよく、10〜500mM程度のリン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、各種GOOD緩衝液等の公知の緩衝液を使用することができる。
【0076】
溶液状の試薬である場合には、AHDHは0.1〜100U/ml程度、特に1〜10U/ml程度の濃度で含まれていることが好ましい。また、NADは0.1〜10mM程度、特に0.5〜5mM程度の濃度で含まれていることが好ましい。AHDHに対するNADの比率が多すぎると試薬が高価なものとなり、少なすぎると酵素反応が十分に進まなくなる。本発明の範囲であればこのような問題は生じない。
【0077】
また、本発明のマンノース測定用試薬が乾燥品である場合には、AHDHの1Uに対してNADが0.1〜1マイクロモル程度、特に0.2〜0.8マイクロモル程度の比率で含まれていることが好ましい。また、緩衝剤として、リン酸緩衝剤、トリス塩酸緩衝剤、各種GOOD緩衝剤等を、AHDHの1Uに対して1〜100マイクロモル程度の比率で含むことが好ましい。
【0078】
本発明の試薬には、いずれの試薬形態の場合にも、必要に応じて、溶解補助剤や安定剤としてBSA、EDTA、グリシン、塩化ナトリウム、トレハロース等の公知の添加剤が含まれていてもよい。
マンノース測定方法
本発明のマンノース測定用試薬を使用して、以下のようにして被験試料中のマンノース量を定量する。
【0079】
定量に先立ち、被験試料を、必要に応じて推定マンノース濃度が1μM〜10mM程度になるように、蒸留水又は緩衝液を用いて希釈してもよい。被験試料0.01mlに対して本発明のマンノース測定用試薬を、AHDH添加量が1〜10U/ml程度となるように添加する。さらに、試料中の還元型NAD濃度の増加率を測定する。還元型NAD濃度の増加率の測定方法は、特に限定されないが、分光光度計を用いて、340nmの吸光度の上昇率を測定するのが簡便である。対照(盲検)として本発明の試薬に代えて蒸留水を添加した同じ試料を用いる。測定時の温度は37〜70℃程度、測定時間は吸光度が直線的に増加する範囲であればよいが、通常120〜600秒間程度とすればよい。
【0080】
試料中に含まれるマンノース濃度は、測定した吸光度変化から盲検の吸光度変化を引いた値を次式に当てはめることにより算出することができる。
【0081】
【式2】
【0082】
本発明方法の対象にすることができる被験試料は、特に限定されないが、血清、尿、食品抽出物、多糖加水分解物等が挙げられる。
【0083】
また、本発明の試薬を用いて、被験試料中のD−マンノースを定量できる他、D−マンノースの検出(定性分析)も行える。被験試料に本発明の試薬及びホルマザン色素を加え、発色することを指標にD−マンノースの存在を確認できる。
【0084】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び試験例を示して説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0085】
AHDH活性測定方法
0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)2.6ml、1.5M D−マンノース水溶液0.3ml、80mg/mlNAD水溶液0.1mlをキュベットに調製し、37℃で約5分間予備加温する。次いで、酵素溶液0.05mlを添加し、ゆるやかに混和後、蒸留水を対照に37℃に制御された分光光度計で、NADH濃度を反映する340nmの吸光度の変化を5〜6分間記録し、その初期直線部分から1分間あたりの吸光度変化を測定する。盲検は酵素溶液の代わりに蒸留水を試薬混液に加えて、同様にして吸光度変化を測定する。このようにして求めた吸光度変化速度から次式に従い酵素活性を算出する。上記条件下で1分間に1マイクロモルの還元型補酵素(NADH)を生成する酵素量を1単位とする。
【0086】
【式3】
【0087】
Vmax・Km
Vmax及びKmは、常法に従いラインウィーバーバークプロット等から求める。
【0088】
実施例1(染色体DNAの分離)
サーモプラズマ・アシッドフィラム(Thermoplasma acidophilum)ATCC25905株の染色体DNAを次の方法で分離した。
【0089】
同菌株を、酵母エキス(ディフコ社製)1g/l、グルコース10g/l、(NH4)2SO41.32g/l、KH2PO40.372g/l、MgSO4・7H2O0.247g/l、CaCl2・2H2O0.074g/l、10ml/lの微量元素溶液(FeCl3・6H2O1.93g/l、MnCl2・4H2O0.18g/l、Na2B4O7・10H2O0.45g/l、ZnSO4・7H2O22mg/l、CuCl2・2H2O5mg/l、NaMoO4・2H2O3mg/l、VOSO4・2H2O3mg/l、CoSO4・7H2O1mg/lを加え、硫酸でpHを1.3に調節した培地で58℃、二晩振とう培養した後、遠心分離(4,000rpm、15分間)により集菌した。
【0090】
遠心チューブ内に残存する培養液をキムワイプで拭き取った後、細胞1gあたり20%シュークロース、100mMトリス−塩酸(pH8.0)、50mM EDTA、0.1% SDSを含んだ溶液15mlに懸濁し、150μlのプロテアーゼK溶液(10mg/ml)と150μlのRNAseA(10mg/ml)とを加え、37℃、12時間保温した。これを等量のクロロホルム/フェノール溶液で処理後遠心分離により水層を分取する操作を3回繰り返した。
【0091】
得られた水層に600μlの5M NaClを加え混合した後、0.8倍量のイソプロピルアルコールを加え、転倒混和後に出現するDNAを硝子棒に巻き付け精製DNA標品とした。この精製DNAを5mlの1mM EDTAを含んだ10mMトリス塩酸(pH8.0)溶液(以下、TEと略記する)に再溶解し、200μlの5MNAClを加え混合した後0.8倍量のイソプロピルアルコールを加え再抽出したDNAを70%エタノール溶液で洗浄後、風乾の後1mlのTE(トリス塩酸−EDTA)緩衝液で溶解した。
【0092】
実施例2(AHDHをコードするDNAを含む組換えベクターの調製)
サーモプラズマ・アシッドフィラムTa0754の染色体遺伝子の塩基配列(AL139299−Ta0754;GenBank、EMBL、DDBJ)に基づき、配列番号3に示す42塩基からなるセンスプライマーと配列番号4に示す29塩基からなるアンチセンスプライマーを合成した。このプライマーセットと、Pfuturbo DNAポリメラーゼとを用い、実施例1で得られたDNAを鋳型として、以下のサイクルでPCRを行った。
【0093】
ステップ1:94℃、1分間
ステップ2:58℃、1分間
ステップ3:72℃、2.5分間(30サイクル)
得られたPCR産物を1%アガロースゲルにて泳動すると、0.78kbの大きさの特異的バンドが認められた。このDNA断片を、制限酵素NcoI及びXhoIで消化し、このDNA断片を同じくNcoI及びXhoIで消化することにより得られたベクターpET28の開環物とライゲーションした。このようにして、組み換えベクターpET/Ta0754を得た。この組み換えベクターによりエシェリヒア・コリXL1/Blue株(Stratagene社)を形質転換した。
【0094】
実施例3(塩基配列の決定)
pET/Ta0754の約0. 8kbpの挿入DNAについて、BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(アプライドバイオシステムズ社)及びABI3100(アプライドバイオシステムズ社)を用いて塩基配列を決定した。決定した塩基配列のオープンリーディングフレーム及びこれに対応するアミノ酸配列を、それぞれ配列番号2及び配列番号1に示した。アミノ酸配列から求められるタンパク質の分子量は約28,900であった。
【0095】
実施例4(形質質転換体の作製)
エシェリヒア・コリBL21(DE3)RIL株(Stratagene社)のコンピテントセルをpET/Ta0754で形質転換し、形質転換体エシェリヒア・コリBL21(DE3)RIL(pET/Ta0754)を得た。
【0096】
実施例5(形質転換体からのAHDHの製造)
LB培地100mlを500mLフラスコに分注し、121℃、20分間オートクレーブを行い、放冷後、別途無菌濾過した10mg/mlカナマイシン、34mg/mlクロラムフェニコール(ナカライテスク社)0.1mlを添加した。この培地にLB培地で予め30℃、17時間振とう培養したエシェリヒア・コリBL21(DE3)RIL(pET/Ta0754)の培養液1mlを接種し、37℃で9時間通気攪拌培養した。
【0097】
LB培地900mlを2Lフラスコに分注し、121℃、20分間オートクレーブを行い、放冷後、別途無菌濾過した10mg/mlカナマイシン、34mg/mlクロラムフェニコール(ナカライテスク社製)0.9mlを添加した。この培地に先程の9時間培養したエシェリヒア・コリBL21(DE3)RIL(pET/Ta0754)の培養液100mlを接種し、37℃で17時間通気攪拌培養した。培養終了時の培養液1ml中に含まれる菌体中のAHDH活性は約4U/mlであった。
【0098】
培養液中の菌体を遠心分離により集菌し、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)に懸濁した。菌体懸濁液を超音波で破砕し、遠心分離を行い、上清液を得た。得られた粗酵素液を60℃で60分間熱処理し、遠心分離を行い、上清液を得た。
【0099】
ポリエチレンイミンによる除核酸処理および硫安分画を行った後、セファデックス(Sephadex)G−25(ファルマシアバイオテク社)によるゲル濾過により脱塩し、DEAEセファロースCL−6B(アマーシャム・ファルマシア・バイオテク社)カラムクロマトグラフィー、Superdex−200(アマーシャム・ファルマシア・バイオテク社)カラムクロマトグラフィーにより分離、精製を行い、精製酵素標品を得た。本方法により得られたAHDH標品は、電気泳動(SDS−PAGE)によりほぼ単一なバンドを示した。この酵素標品の比活性は38U/mg−solid−タンパク質であった。
【0100】
AHDHの耐熱性・至適温度
実施例5により得られたAHDHを20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)中で、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃及び90℃の各温度条件で、それぞれ15分間処理した後、NAD存在下でのD−マンノースに対する活性を測定した。結果を、図1に示す。図1から、活性が実質的に低下しない上限温度は、60℃であることが分かる。なお、ここでは、リン酸緩衝液中での耐熱性を調べたが、他の緩衝液を用いても同様の結果が得られる。
【0101】
また、実施例5により得られたAHDHについて、100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)中で、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃及び70℃の各温度条件下で、NAD存在下でのD−マンノースに対する活性を測定した。結果を図2に示す。図2から、本酵素の至適温度は70℃以上であると考えられる。
【0102】
pH安定性・至適pH
実施例5により得られたAHDHを、リン酸カリウム(pH6.3〜7.5)、トリス塩酸(pH7.1〜9.1)、グリシン水酸化ナトリウム(pH9.0〜11)の各100mM緩衝液中で、25℃の温度条件で、それぞれ16時間処理し、D−マンノースに対する活性を測定した。結果を、図3に示す。図3から、活性が実質的に低下しない下限pHは7であることが分かる。なお、ここではリン酸緩衝液、トリス緩衝液及びグリシン緩衝液中でのpH安定性を調べたが、他の緩衝液を用いる場合にも同様の結果が得られる。
【0103】
また、実施例5により得られたAHDHをリン酸カリウム(pH6.3〜7.5)、トリス塩酸(pH7.1〜9.1)、グリシン水酸化ナトリウム(pH9.0〜11)の各0.1M緩衝液中で、37℃の温度条件下で、D−マンノースに対する活性を測定した。結果を図4に示す。図4から、本酵素の至適pHは10であることが分かる。
【0104】
分子量
実施例5により得られたAHDHの、SDS−PAGEにより測定した場合の分子量は、約30000であった。
【0105】
基質特異性
実施例5により得られたAHDHのD−マンノース、D−グルコース、2−デオキシ−D−グルコースに対するNAD共存下での活性を測定し、ラインウィーバー・バークプロットからVmax及びKmを算出した。D−グルコース及び2−デオキシ−D−グルコースを基質とする場合は、上記の活性測定方法に準じてAHDH活性を測定した。結果を以下の表1に示す。
【0106】
【表1】
【0107】
表1の結果、本酵素は、D−マンノースに対するVmax/Kmが最も高く、2−デオキシ−D−グルコースに対しても比較的高い活性を有することが分かる。また、上記の二つの基質に対するより活性は低いが、本酵素はD−グルコースに対しても活性を有することが分かる。
補酵素依存性
実施例5により得られたAHDHのD−マンノースをはじめとする種々の糖に対する活性を、補酵素としてNAD又はNADPを用いて測定し、相対活性値を算出した。NADPを用いる場合及び基質としてD−マンノース以外の単糖を用いる場合も、上記の活性測定法に準じてAHDH活性を測定した。結果を以下の表2に示す。
【0108】
【表2】
【0109】
表2の結果、本酵素は、補酵素としてNADPを用いる場合よりもNADを用いる場合の方が、D−マンノースに対して格段に高い活性を示すことが分かる。なお、本酵素が活性を示す他の基質(2−デオキシ−D−グルコース、D−キシロース、β−D−グルコース、D−グルコース、D−フコース)に対しても同様である。
【0110】
【発明の効果】
本発明によると、D−マンノースに対する特異性が高いとともに、補酵素としてNADを効率的に利用し得るアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ、このアルドヘキソースデヒドロゲナーゼの効率的な生産方法、及び、感度が高くかつ低コストなマンノース測定用試薬などが提供される。
【0111】
さらにいえば、本発明のAHDHはD−グルコース等に対するよりもD−マンノースに対する活性が高いため、本発明のAHDHは、血清などの被験試料中に夾雑アルドヘキソースが含まれている場合でも、D−マンノースを感度良く定量することができる。また、本発明のAHDHは、補酵素として安価なNADを効率的に利用できるため、低コストにD−マンノースを定量することができる。
【0112】
さらに、本発明のAHDHは、極めて耐熱性に優れるため、保存時に活性が低下し難く、取り扱いが容易である。また、被験試料中のD−マンノースを定量するにあたり、比較的高温下で定量を行えるために、夾雑酵素の影響を除外でき、その分高感度な定量を行える。
【0113】
また、本発明のAHDHはアルカリ性溶液に対して耐性であるため、試薬に用いる場合の緩衝剤を広い範囲から選択できる。
【0114】
また、本発明によると、AHDHをコードするポリヌクレオチド配列が提供されたため、ランダム変異処理や部位特異的変異処理のようなタンパク質工学的手法により、AHDHの基質親和性又は基質特異性(Km)、反応性(Vmax)などを改良することができる。
【0115】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 サーモプラズマ・アシッドフィラム由来のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼの温度に対する安定性を示す図である。
【図2】 サーモプラズマ・アシッドフィラム由来のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼの活性に及ぼす温度の影響を示す図である。
【図3】 サーモプラズマ・アシッドフィラム由来のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼのpHに対する安定性を示す図である。
【図4】 サーモプラズマ・アシッドフィラム由来のアルドヘキソースデヒドロゲナーゼの活性に及ぼすpHの影響を示す図である。
Claims (2)
- 配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド又は
配列番号1に示すアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を共存させるよりも補酵素として同じ濃度のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを共存させる方がD−マンノースに対する活性が高いとともに、D−グルコースに対するよりもD−マンノースに対するVmax/Kmが大きいアルドヘキソースデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド
とニコチンアミドアデニンジヌクレオチドとを含むマンノース測定用試薬。 - 被験試料に請求項1に記載のマンノース測定用試薬を添加し、試料中の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド濃度の増加率を定量することにより被験試料中のマンノースを定量するマンノース測定方法。
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