JP4743854B2 - 酸化酵素及びそれを含有する酸化試薬 - Google Patents

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Description

本発明は、熱安定性に優れたビリルビンオキシダーゼ活性及び/又はアスコルビン酸オキシダーゼ活性を示すバチラス・サチルスに属するバクテリアの内胞子皮構成成分(Endospore coat component、CotA)を含有する組成物、それを用いたビリルビン及び/又はアスコルビン酸酸化試薬、及びそれを用いた試料中のビリルビン及び/又はアスコルビン酸を酸化する方法に関する。
血清中ビリルビンは、液体クロマトグラフィーにより、他の物質を抱合していない非抱合型ビリルビン、ビリルビン1分子あたり1分子のグルクロン酸を抱合したモノグルクロナイドビリルビン、ビリルビン1分子あたり2分子のグルクロン酸を抱合したジグルクロナイドビリルビン、およびアルブミンと結合したアルブミン結合ビリルビン(δビリルビン)に分画されることは知られており(非特許文献1)、さらに、それぞれの画分の比率や量は病態により変化する事が知られている(非特許文献2)。血清中ビリルビンの測定方法は、ビリルビンオキシダーゼなどの酵素を用いる酵素法、ジアゾ試薬やバナジン酸イオンなどを用いた化学法(特許文献1)、そして高速液体クロマトグラフィーを用いる方法に大別され、現在のところ、ジアゾ試薬を用いる方法で測定されたそれぞれのビリルビン濃度が、直接型ビリルビンまたは総ビリルビンとして各種肝疾患診断や黄疸鑑別などの診断の基準にされている。
血清中ビリルビン測定方法のうち、酵素法においては、ビリルビンオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、ラッカーゼ、またはチロシナーゼを用いる方法が報告されている(特許文献2、3、4、5など)が、ビリルビンオキシダーゼの安定性が高い酵素を用いることが当然望ましい。しかし、現在知られているビリルビンオキシダーゼは血清中ビリルビンに対する特異性は高いものの安定性が悪いため該酵素を含有する測定試薬が不安定という問題があったため、安定化のためのいろいろな添加剤が工夫されてきた(特許文献6、7など)。また、耐熱性ビリルビンオキシダーゼが報告されているが(特許文献8)、該酵素は生産性が低く未だ実用化に至っていない。そのため、スエヒロ茸由来のビリルビンオキシダーゼ(特許文献9)やミロセシウム属(Myrothecium)由来のビリルビンオキシダーゼ(特許文献10)などの実用的に用いられているビリルビンオキシダーゼと比べて安定性の高いアスコルビン酸オキシダーゼを用いた試料中のビリルビン測定方法も開発されている(特許文献11)。該アスコルビン酸オキシダーゼのもつビリルビンオキシダーゼ活性は60℃30分の熱処理で100%の活性を保持するものの、80℃30分の熱処理では完全に失活する。
また、特許文献8の耐熱性ビリルビンオキシダーゼは、80℃10分の熱処理で残存活性が90%、90℃10分では50%程度の残存活性を示す。さらに最近、ミロセシウム属由来のビリルビンオキシダーゼを遺伝子工学的手法で改変した報告がなされた。それによると、遺伝子改変前の酵素が60℃30分の熱処理で46.6%の残存活性であるのに対し、遺伝子改変後には59.8%の残存活性に改善されている(特許文献12)。一方、アスコルビン酸オキシダーゼは、臨床診断薬分野においては血清中アスコルビン酸が測定値に干渉する事を防ぐ目的で、臨床診断薬に使用される汎用酵素である。現在、55℃60分の熱処理で残存活性が60%になるという性質を有する熱安定性、保存安定性を有するアスコルビン酸オキシダーゼが知られている(特許文献13)。バチラス・サチルスに属するバクテリアの内胞子皮構成成分(Endospore coat component、CotA)は、その遺伝子配列及びアミノ酸配列は知られており(非特許文献5)、ラッカーゼ活性を有することが知られている(非特許文献3)。
特開平05−018978号公報 特開昭59−17999号公報 特開平02−238897号公報 特開平11−72497号公報 特開2000−166595号公報 特開平08−66196号公報 特開平10−42869号公報 特開昭61−209587号公報 特開昭59−135886号公報 特開昭57−159487号公報 特開平09−178755号公報 特開平16−089042号公報 特開平06−78766号公報 ラウフ(Lauff)ら、Separation of bilirubin species in serum and bile by high-performance reversed-phase liquid chromatography, ジャーナル・オブ・クロマトグラフィー・A(Journal of Chromatography A)、米国、エルゼビア(ELSEVIER)、1981年12月、 226巻2号、391-402 足立ら、Bilirubinの分画測定とその意義、生物試料分析、1986年、9巻3号、33-42 リジア・オー・マーチンス(Ligia O. Martins)ら、Molecular and Biochemical Characterization of a Highly Stable Bacterial Laccase That Occurs as a Structural Component of the Bacillus subtilis Endospore Coat, ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY)、米国、アメリカ生化学分子生物学協会、2002年5月24日 277巻、21号、1884918859 フランシスコ・ジェー・エギータ(Francisco J. Enguita)ら、Crystal Structure of a Bacterial Endospore Coat Component,ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY)、米国、アメリカ生化学分子生物学協会、2003年5月23日、278巻、21号、1941619425. クンスト(F. KUNST)ら、The complete genome sequence of the Gram-positive bacterium Bacillus subtilis、ネイチャー(Nature)、米国、1997年、 390巻、249-256
本発明の課題は、現在知られているビリルビン及び/又はアスコルビン酸酸化試薬よりも、さらに有用なビリルビン及び/又はアスコルビン酸酸化試薬を提供することにある。さらには、該酸化試薬を用いた試料中のビリルビン及び/又はアスコルビン酸の酸化方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは、臨床診断薬としての利便性から液状で保存できる試薬が有用であると考えた。また、安定化剤の非存在下においても安定であることも重要であると考えた。そのためには、原料である臨床診断用酵素の安定性が重要と考えて、既存のビリルビンオキシダーゼ及び/又はアスコルビン酸オキシダーゼを検討した結果、いずれも安定性に問題があるという課題を見出した。本発明の課題は、安定化剤の非存在下において安定性に優れたビリルビン及び/又はアスコルビン酸酸化試薬、及びそれらを含有するビリルビン及び/又はアスコルビン酸測定試薬の提供、さらには、該測定試薬を用いた試料中のビリルビン及び/又はアスコルビン酸の酸化方法を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、バチラス・サチルスの内胞子皮構成成分がビリルビンオキシダーゼ及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性を有することを発見し、さらに、該タンパク質が80℃30分の熱処理でも95%以上の残存活性を有することを見出して、該タンパク質を利用した安定性に優れたビリルビン及び/又はアスコルビン酸酸化試薬の提供、及び該測定試薬を用いた試料中のビリルビン及び/又はアスコルビン酸を酸化する方法を確立して本発明に至った。
即ち、本発明は、
I)20mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.5(25℃))中0.1mg/mlの酵素濃度で80℃30分間加熱処理した後の残存酵素活性を以下の酵素活性測定法に従って測定するビリルビンオキシダーゼ活性及び/又はアスコルビン酸オキシダーゼ活性が、加熱処理前に比べて80%以上残存することを特徴とするバチラス・サチルス(Bacillus subtilis、ATCC 23857)由来の内胞子皮構成成分(Endospore coatcomponent)タンパク質含有組成物、
(1)ビリルビンオキシダーゼ活性測定法
1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0(25℃))0.1ml、0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0(25℃))で希釈した酵素液0.02ml、および蒸留水0.88mlからなる酵素活性測定溶液1mlを層長1cmの石英セル中で37℃1.5分間予備加温した後、基質として干渉チェックAビリルビンF(成分はビリルビン)を0.9%NaClで20mg/dlに調製したものを20μl添加して酵素反応を開始し、反応開始後1分後から2分後までの450nmにおける基質の吸光度差を測定する(As)。盲検として100℃で90分間熱処理した同じ濃度の酵素液を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定する(Ab)。酵素活性1単位(1ユニット)は37℃で1分間に1マイクロモルのビリルビンを変化する酵素量、上記反応液中でのビリルビンFのミリモル吸光係数は36として、As−Abより酵素活性を求める。
(2)アスコルビン酸オキシダーゼ活性測定法
アスコルビン酸オキシダーゼ活性測定溶液(0.5mMのL−アスコルビン酸、0.45mMのエチレンジアミン四酢酸を含む90mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5(25℃)))1mlを層長1cmの石英セル中で30℃5分間予備加温した後、0.05%BSAを含む10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5(25℃))で希釈した酵素液0.1mlを混和して酵素反応を開始し、反応開始後1分後から5分後までの245nmにおけるL−アスコルビン酸の吸光度差を測定する(As)。盲検として100℃で90分間熱処理した同じ濃度の酵素液を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定する(Ab)。この酵素液使用の吸光度(As)と盲検の吸光度(Ab)の吸光度差(As−Ab)より酵素活性を求める。酵素活性1単位(1ユニット)は30℃で1分間に1マイクロモルのL−アスコルビン酸を変化する酵素量、上記反応液中でのL−アスコルビン酸のミリモル吸光係数は10として、As−Abより酵素活性を求める。
II)20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0(25℃))中0.1mg/mlの酵素濃度で80℃30分間加熱処理した後の残存酵素活性を請求項1に記載の酵素活性測定法に従って測定するビリルビンオキシダーゼ活性及び/又はアスコルビン酸オキシダーゼ活性が、90%以上の活性を保持することを特徴とする上記I)に記載の内胞子皮構成成分タンパク質含有組成物、
III)少なくともビリルビンオキシダーゼ活性を示す、バクテリアの内胞子皮構成成分タンパク質を含有するビリルビン酸化試薬、
IV)タンパク質が、バチラス・サチルスに属するバクテリアが生産するタンパク質である上記III)に記載のビリルビン酸化試薬、
V)少なくともアスコルビン酸オキシダーゼ活性を示す、バクテリアの内胞子皮構成成分タンパク質を含有するアスコルビン酸酸化試薬、
VI)タンパク質が、バチラス・サチルスに属するバクテリアが生産するタンパク質である上記V)に記載のアスコルビン酸酸化試薬、
VII)上記I)又はII)に記載のタンパク質含有組成物を含有するビリルビン酸化試薬、
VIII)上記I)又はII)に記載のタンパク質含有組成物を含有するアスコルビン酸酸化試薬、
IX)配列番号2に記載のタンパク質を含有するビリルビン酸化試薬、
X)配列番号2に記載のタンパク質を含有するアスコルビン酸酸化試薬、
XI)配列番号1に記載のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質を含有するビリルビン酸化試薬、
XII)配列番号1に記載のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質を含有するアスコルビン酸酸化試薬、
に関する。
本発明により、安定性がよいビリルビンオキシダーゼ及び/又はアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつタンパク質を利用した試料中のビリルビン及び/又はアスコルビン酸を酸化する試薬を提供でき、該試薬を用いた試料中のビリルビン及び/又はアスコルビン酸を酸化する方法を提供できる。その結果、長期保存可能な臨床診断用試薬を提供することができる。
本願発明について、以下具体的に説明する。
本明細書において、単に「ビリルビン」と記載した場合は、直接型ビリルビン、間接型ビリルビン、及び総ビリルビンの全てを含む意味である。
本発明で使用しうる試料とは、ビリルビン及び/又はアスコルビン酸を含有するものであれば特に限定されないが、生体試料、例えば、血漿、血清、尿などを挙げる事ができる。
本発明のビリルビンオキシダーゼ活性とは、ビリルビンを基質とする酸化反応の触媒作用を指す。
また、本発明のアスコルビン酸オキシダーゼ活性とは、アスコルビン酸を基質とする酸化反応の触媒作用を指す。
本発明のビリルビンオキシダーゼ活性及び/又はアスコルビン酸オキシダーゼ活性は、後述したビリルビンオキシダーゼ活性の熱安定性及び/又はアスコルビン酸オキシダーゼ活性の熱安定性の測定条件において、それぞれ独立して、少なくとも80度30分熱処理後も80%以上の活性を保持していることが好ましく、少なくとも80度30分熱処理後も85%以上の活性を保持していることがさらに好ましく、少なくとも80度30分熱処理後も90%以上の活性を保持していることが特に好ましく、少なくとも80度30分熱処理後も95%以上の活性を保持していることが最も好ましい。
本発明のビリルビンオキシダーゼ活性及び/又はアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつ内胞子皮構成成分は、バクテリアの内胞子皮構成成分であれば何ら限定されるものではないが、好ましくはバチラス属に属する微生物が生産する内胞子皮構成成分、さらに好ましくはバチラス・サチルスが生産する内胞子皮構成成分CotAが挙げられる。さらには、該CotAは、ビリルビンオキシダーゼ活性及び/又はアスコルビン酸オキシダーゼ活性を有するものであれば、遺伝子的に改変したものであっても良い。また、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質も好ましく、配列番号1に記載の遺伝子配列でコードされるタンパク質も大変に好ましい。
本発明者らは、配列番号2に記載されたバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotA遺伝子がコードするタンパク質がビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつ事を見出した。
以下に、本発明の酵素のビリルビンオキシダーゼ(EC 1.3.3.5)活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ(EC 1.10.3.3)活性の測定法および理化学的性質を示す。尚、本発明で使用した実験に使用した試薬類は、特に断らない限り、和光純薬工業社製、国産化学社製、シグマアルドリッチ社製など市販で容易に入手できるものを使用した。
<酵素作用>
ビリルビンを基質として用いたときの反応式は式1である。生成物のビリベルジンは、条件によって、ビリルビンオキシダーゼ及び/又は空気酸化によってさらに無色の物質に変換される場合もある。
Bilirubin + O => biliverdin + HO (式1)
アスコルビン酸を基質として用いたときの反応式は式2である。
2 L−ascorbate + O => 2 dehydroascorbate + 2 HO (式2)
<ビリルビンオキシダーゼ活性測定法>
1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0(25℃))0.1ml、0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0(25℃))で適当な濃度に希釈した酵素液0.02ml、および蒸留水0.88mlからなる酵素活性測定溶液1mlを層長1cmの石英セル中で37℃1.5分間予備加温した後、基質として国際試薬(株)の干渉チェックAビリルビンF(成分はビリルビン)を0.9%NaClで20mg/dlに調製したものを20μl添加して酵素反応を開始し、反応開始後1分後から2分後までの450nmにおける基質の吸光度差を測定する(As)。盲検として100℃で90分間熱処理した同じ濃度の酵素液を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定する(Ab)。酵素活性1単位(1ユニット)は37℃で1分間に1マイクロモルのビリルビンを変化する酵素量、上記反応液中でのビリルビンFのミリモル吸光係数は36として、As−Abより酵素活性を求める。
<アスコルビン酸オキシダーゼ活性測定法>
アスコルビン酸オキシダーゼ活性測定溶液(0.5mMのL−アスコルビン酸、0.45mMのエチレンジアミン四酢酸を含む90mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5(25℃)))1mlを層長1cmの石英セル中で30℃5分間予備加温した後、0.05%BSAを含む10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5(25℃))で適当な濃度に希釈した酵素液0.1mlを混和して酵素反応を開始し、反応開始後1分後から5分後までの245nmにおけるL−アスコルビン酸の吸光度差を測定する(As)。盲検として100℃で90分間熱処理した同じ濃度の酵素液を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定する(Ab)。この酵素液使用の吸光度(As)と盲検の吸光度(Ab)の吸光度差(As−Ab)より酵素活性を求める。酵素活性1単位(1ユニット)は30℃で1分間に1マイクロモルのL−アスコルビン酸を変化する酵素量、上記反応液中でのL−アスコルビン酸のミリモル吸光係数は10として、As−Abより酵素活性を求める。
<ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAのビリルビンオキシダーゼ比活性>
上記のビリルビンオキシダーゼ活性測定法において、国際試薬(株)の干渉チェックAビリルビンC(成分はジタウロビリルビン)に対して2.5μmol/min/mgで、F−ビリルビンに対して13μmol/min/mgであった。
<ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAのアスコルビン酸オキシダーゼ比活性>
上記のアスコルビン酸オキシダーゼ活性測定法において5.2μmol/min/mgであった。
<タンパク質濃度測定法>
タンパク質濃度はバイオラッド社のプロテインアッセイキットを用いて使用説明書記載の方法に従って測定し、BSAをスタンダードとして算出した。
<ビリルビンオキシダーゼ活性の熱安定性>
酵素を0.1mg/mlになるように20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5(25℃))中に溶解し、各温度で30分間熱処理した後のビリルビンオキシダーゼの残存活性を前記酵素活性測定法に従って測定した。図1中○は本発明のビリルビンオキシダーゼ、●はビリルビンオキシダーゼ活性をもつアクレモニウム由来アスコルビン酸オキシダーゼ(旭化成ファーマ社製)、△はTrachyderma tsunodae由来ビリルビンオキシダーゼ(タカラバイオ社製)を示す。図1に示すとおり、本発明のビリルビンオキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスが生産する内胞子皮構成成分CotAは少なくとも80度30分熱処理後も95%以上の活性を保持していた。
<アスコルビン酸オキシダーゼ活性の熱安定性>
酵素を0.1mg/mlになるように20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5(25℃))中に溶解し、80℃で図2の横軸の時間熱処理した後のアスコルビン酸オキシダーゼの残存活性を前記酵素活性測定法に従って測定した。図2に示すとおり、本発明のアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスが生産する内胞子皮構成成分CotAは少なくとも80度30分熱処理後も90%以上の活性を保持していた。
<電子受容体の影響>
1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0(25℃))0.1ml、0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0(25℃))で適当に希釈した酵素液0.02ml、1mMの表1に挙げた各電子受容体0.1mlおよび蒸留水0.78mlからなる酵素活性測定溶液1mlを使用して上記酵素活性測定法と同じ方法で酵素反応速度を求めた。基質として国際試薬(株)の干渉チェックAビリルビンFまたはビリルビンCを0.9%NaClで20mg/dlに調製したものを使用した。本反応液中でのビリルビンCのミリモル吸光係数は74とした。結果を表1に示した。
Figure 0004743854
<見かけのKmとVmax>
国際試薬(株)の干渉チェックAビリルビンCおよびビリルビンFに対する見かけのKmとVmaxを測定した。見かけのKmとVmaxを測定するための測定溶液は1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0(25℃))0.1ml、0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0(25℃))で適当に希釈した酵素液0.02ml、そして最終液量が1mlになるように蒸留水で調製して使用した。国際試薬(株)の干渉チェックAビリルビンCまたはビリルビンFの測定溶液中の濃度を、表2に示した各Km値の1/10倍から10倍の間で5つ以上の異なる濃度になるように調製して、37℃における本発明の酵素の各基質に対する、反応開始後1分目から1分間の反応速度を測定し、ラインウェーバー・バーク逆数プロットにより各見かけのKm値とVmax値を算出した。結果を表2に示した。本発明の酵素は、本条件下、ビリルビンCよりビリルビンFに高いVmaxをもつ事が分かった。
Figure 0004743854
<分子量>
58,757(アミノ酸一次配列からの計算値)。60,000(SDS-PAGEによる測定値)。
<至適pH>
国際試薬(株)の干渉チェックAビリルビンCおよびビリルビンFに対する至適pHを求めた。至適pHを測定するための測定溶液は1Mの各緩衝液0.1ml、0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0(25℃))で適当に希釈した酵素液0.02ml、および蒸留水0.78mlからなる酵素活性測定溶液1mlを使用して上記酵素活性測定法と同じ方法で酵素反応速度を求めた。pH変化に伴うビリルビンCおよびビリルビンFのミリモル吸光係数の変化は考慮しなかった。図3に、緩衝液として、pH2.6からpH3.4の範囲はグリシン−塩酸緩衝液(図中○印)、pH3.4からpH5.9の範囲は酢酸−水酸化ナトリウム緩衝液(図中△印)、pH5.9からpH6.8の範囲はクエン酸−水酸化ナトリウム緩衝液(図中□印)、pH6.3からpH7.4の範囲はリン酸カリウム緩衝液(図中●印)、pH7.3からpH8.7の範囲はトリス−塩酸緩衝液(図中▲印)、pH8.4からpH11.0の範囲はグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(図中■印)、を使用した場合のビリルビンCに対する最大活性を100%とした相対活性を示した。本発明の酵素のビリルビンCに対する至適pHはpH3からpH4であった。
図4に、緩衝液として、pH2.6からpH3.4の範囲はグリシン−塩酸緩衝液(図中○印)、pH3.4からpH5.9の範囲は酢酸−水酸化ナトリウム緩衝液(図中△印)、pH5.9からpH6.8の範囲はクエン酸−水酸化ナトリウム緩衝液(図中□印)、pH6.3からpH7.4の範囲はリン酸緩衝液(図中●印)、pH7.3からpH8.7の範囲はトリス−塩酸緩衝液(図中▲印)、pH8.4からpH11.0の範囲はグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(図中■印)、を使用した場合のビリルビンFに対する最大活性を100%とした相対活性を示した。本発明の酵素のビリルビンFに対する至適pHはpH6からpH8であった。
本発明の配列番号2のアミノ酸配列1から515で表されるビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAのアミノ酸配列をコードするDNAにおいて、その配列番号2のアミノ酸配列の1から515で表記されるアミノ酸配列のN末端側およびC末端側はアミノ酸残基またはポリペプチド残基を含む場合であってもよく、そのアミノ酸残基としてはシグナルペプチドまたはT7タグ、Hisタグ、Sタグ、Trxタグ、CBDタグ、DsbAタグ、GSTタグ、Nusタグなどが挙げられる。
さらに、本発明のビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを構成するアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列の1から515で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドによる酵素活性発現と同様の効果を発現する、配列番号2のアミノ酸配列の1から515のアミノ酸配列の一部から実質的になるアミノ酸配列や酵素活性発現に関与しない一部のアミノ酸の配列を変異、欠損または付加したものの均等物も含まれる。
本発明の配列番号2のアミノ酸配列1から515で表されるアミノ酸配列をコードするDNAは、そのN末端側およびC末端側のアミノ酸残基またはポリペプチド残基を含めたアミノ酸配列の各アミノ酸に対応する一連のコドンのうちいずれか1個のコドンからなるDNAであれば良い。
さらに、本発明のビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼをもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAをコードするDNAは、配列番号2のアミノ酸配列1から515で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドによる酵素活性発現と同様の効果を発現する、アミノ酸配列1から515中の一部分からなる実質的になるアミノ酸配列をコードするDNAであってもよく、また酵素活性発現に関与しない一部のアミノ酸の配列を変異、欠損または付加したものの均等物のアミノ酸配列をコードするDNAであっても良い。
DNAの供与体である微生物としては、ビリルビンオキシダーゼ活性及び/又はアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつ内胞子皮構成成分を生産するバクテリアであれば、なんら限定されるものではないが、好ましくはバチラス・サチルス(Bacillus subtilis、ATCC 23857)が挙げられる。
本発明のビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼをもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAをコードするDNAを組み込むベクターとしては、宿主微生物体内で自律的に増殖しうるファージまたはプラスミドから遺伝子組み換え用として構築されたものが適しており、ファージベクターとしては、例えば、エシェリヒア・コリに属する微生物を宿主微生物とする場合にはλgt・λC、λgt・λBなどが使用できる。また、プラスミドベクターとしては、例えば、エシェリヒア・コリを宿主微生物とする場合には、プラスミドpET−3a、pET−11a、pET−32aなどのpETベクター(Novagen)またはpBR322、pBR325、pACYC184、pUC12、pUC13、pUC18、pUC19、pUC118、pIN I、BluescriptKS+、枯草菌を宿主とする場合にはpWH1520、pUB110、pKH300PLK、放線菌を宿主とする場合にはpIJ680、pIJ702、酵母特にサッカロマイセス・セレビジアエを宿主とする場合にはYRp7、pYC1、YEp13などが使用できる。このようなベクターを、ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAをコードするDNAの切断に使用した制限酵素で生成するDNA末端と、同じ末端を生成する制限酵素で切断してベクター断片を作成し、ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAをコードするDNA断片とベクター断片とを、DNAリガーゼ酵素により常法に従って結合させてビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAをコードするDNAを目的のベクターに組み込むことができる。
プラスミドを移入する宿主微生物としては、組み換えDNAが安定かつ自律的に増殖可能であればよく、例えば宿主微生物がエシェリヒア・コリに属する微生物の場合、エシェリヒア・コリ BL21、エシェリヒア・コリ BL21(DE3)、エシェリヒア・コリ BL21trxB、エシェリヒア・コリ Rosetta(DE3)、エシェリヒア・コリ Rosetta、エシェリヒア・コリ Rosetta(DE3)pLysS、エシェリヒア・コリ Rosetta(DE3)pLacl、エシェリヒア・コリ RosettaBlue、エシェリヒア・コリ Rosetta−gami、エシェリヒア・コリ Origami、エシェリヒア・コリ Origami、エシェリヒア・コリ Tuner、エシェリヒア・コリ DH1、エシェリヒア・コリ JM109、エシェリヒア・コリ W3110、エシェリヒア・コリC600などが利用できる。また、微生物宿主がバチラス属に属する微生物の場合、バチラス・サチリス、バチラス・メガテリウムなど、放線菌に属する微生物の場合、ストレプトマイセス・リビダンス TK24など、サッカロマイセス・セルビシエに属する微生物の場合、サッカロマイセス・セルビシエ INVSC1などが使用できる。
また、本発明のビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAは公知の遺伝子操作手段により、本来の反応を触媒する性質を損なわないペプチドの変異をなしてもよく、このような変異体遺伝子は、本発明のビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotA遺伝子から遺伝子工学的手法により作製される人工変異遺伝子を意味し、この人工変異遺伝子は前出の部位特異的変異法や、目的遺伝子の特定DNA断片を人工変異DNAで置換するなどの種々なる遺伝子工学的方法を使用して得られる。かくして取得された人工変異ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotA遺伝子をベクターに挿入して宿主微生物に移入させることによって変異体ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを発現させることが可能であり、優れた性質を有する変異体ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを製造することも可能である。
また、形質転換微生物により該ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを製造するに当たっては、該形質転換微生物を栄養培地で培養して菌体内または培養液中に該ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを産生せしめ、培養終了後、得られた培養物を濾過または遠心分離などの手段により菌体を採集し、次いでこの菌体を機械的方法またはリゾチームなどの酵素的方法で破壊し、又、必要に応じてEDTAおよび/または適当な界面活性剤などを添加して該ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAの水溶液を濃縮するか、または濃縮する事なく硫安分画、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー等の吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーにより処理して、純度の良い該ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを得ることができる。
形質転換微生物の培養条件はその栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すれば良く、通常多くの場合は、液体培養で行うが、工業的には深部通気撹拌培養を行うのが有利である。培地の栄養源としては、微生物の培養に通常用いられるものが広く使用されうる。培養温度は微生物が発育し、ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを生産する範囲で適宜変更し得るが、エシェリヒア・コリの場合、好ましくは、10から45℃程度、さらに好ましくは15から42℃程度である。培養条件は、条件によって多少異なるが、ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAをもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAが最高収量に達する時期を見計らって適当な時期に培養を終了すればよく、エシェリヒア・コリの場合、通常は12から48時間程度である。培地pHは菌が発育し、ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAをもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを生産する範囲で適宜変更し得るが、エシェリヒア・コリの場合、好ましくはpH6から8程度である。
本発明の酵素は主としてその菌体内に含有、蓄積されており、その菌体内から抽出すれば良い。抽出法を例示すればまず培養物を固液分離し、得られた湿潤菌体をリン酸緩衝液やトリス−塩酸緩衝液などの溶液に分散し、リゾチーム処理、超音波処理、フレンチプレス処理、ダイノミル処理などの菌体破砕手段を適宜選択組み合わせて、粗製の本発明の酵素液または本発明の酵素の封入体を得る。
封入体の本発明の酵素を可溶化する方法として、in vivoでは大腸菌シャペロン遺伝子を共役発現して可溶性度を増大する方法、コールドショックプロテインベクター(タカラバイオ社製)を用いる方法、形質転換体のペリプラズム領域に発現する方法などがある。in vitroではメルカプトエタノール、尿素やグアニジンのような変性剤で封入体を完全にアンフォールディングした後、透析あるいは希釈により変性剤を除去してリフォールディングできる。この際、リフォールディング効率を上げるためにシクロアミロース、シクロデキストリン、界面活性剤、グルタチオン、アルギニンなどを使用しても良い。
粗製の本発明の酵素液から公知のタンパク質や酵素などの単離、精製手段を用いて精製酵素を得る。例えば、粗製の本発明の酵素液にアセトン、メタノール、エタノールなどの有機溶媒による分別沈殿法、硫酸アンモニウム、食塩などによる塩析法などを適用して目的酵素を沈殿させ、回収する。さらに、この沈殿物を必要に応じて透析、等電点沈殿を行った後、電気泳動法などで単一の帯を示すまで、イオン交換体、ゲル濾過剤、吸着体などを用いるカラムクロマトグラフィーなどにより精製する。また、これらの方法を適当に組み合わせることにより目的酵素の精製度が上がる場合は適宜組み合わせて行うことができる。
これらの方法によって得られる酵素は安定化剤として、各種の塩類、糖類、タンパク質、脂質、界面活性化剤などを加え、あるいは加えることなく、限外濾過濃縮、凍結乾燥などの方法により、液状または固形のビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを得ることができ、また、適宜凍結乾燥を行ってもよく、この場合安定化剤としてサッカロース、マンニトール、食塩、アルブミンなどを0.5から10%程度添加しても良い。
本発明のビリルビンオキシダーゼを用いたビリルビン酸化試薬及び方法とは、ビリルビンオキシダーゼの作用により試料中ビリルビンを酸化する試薬、及び該酸化によって変化するビリルビンの光学的変化によりビリルビンを定量する安定性が高い試薬及び方法である。その結果、特に本発明のビリルビンオキシダーゼを液状試薬に使用すれば大幅な試薬の安定性の向上が見込まれる。
本発明のアスコルビン酸オキシダーゼを用いたアスコルビン酸酸化試薬及び方法とは、アスコルビン酸オキシダーゼの作用により試料中アスコルビン酸を酸化する試薬及び方法である。特に本発明のアスコルビン酸オキシダーゼを液状試薬に使用すれば大幅な試薬の安定性の向上が見込まれる。
本発明の酵素を含有するキットとしては、ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAをもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを含有するキットであれば特に限定されないが、例えば、ビリルビン測定試薬が挙げられる。また、試料中及び/又は試薬中のビリルビン及び/又はアスコルビン酸によって測定値が干渉されうるキットにおいて、ビリルビン及び/又はアスコルビン酸による干渉を回避するために本発明の酵素を含有したキットであってもよい。
これらの試薬やキットは液状品、液状品の凍結物、液状品の凍結乾燥品、又は液状品の乾燥品(加熱乾燥及び/又は風乾及び/又は減圧乾燥等による)として提供できる。液状品、液状品の凍結物、液状品の凍結乾燥品が好ましく、液状品、液状品の凍結乾燥品がより好ましく、液状品が最も好ましい。別の態様として、液状品の凍結物が好ましい場合もある。さらに別の態様としては、液状品の凍結乾燥が好ましい場合もある。
本発明のビリルビンオキシダーゼと公知のビリルビンオキシダーゼの性質を比較して表3に示す。本発明のビリルビンオキシダーゼは同一反応を触媒する公知の酵素とは性質の異なる新規な酵素であり、特に公知の酵素より高い安定性を示す。
Figure 0004743854
尚、本発明の内胞子皮構成成分タンパク質と、特開昭61−209587号公報に記載のタンパク質等について、アミノ酸配列(特にN末端)、核酸配列などを比較することは当業者であれば容易に行える。また、その他の酵素学的性質、物理化学的性質などで比較してもよい。
本発明を実施例、参考例、製剤例および試験例に基づいて説明するが、本発明の範囲は以下の例に限定されることはない。
[実施例1]
<培養>
バチラス・サチルス(Bacillus subtilis、ATCC 23857)はATCCの製品案内書に従い次のような培地で培養した;1Lあたり、ニュートリエントブロス23g、ポテト抽出液20ml。該培地をオートクレーブ滅菌(121度15分)してバチラス・サチルスを接種し、26度で好気的に32時間培養した。培養終了後、培養物を7,000rpmで10分間遠心し集菌した。
[実施例2]
<DNAの抽出>
実施例1で培養したバチラス・サチルスの菌体を50mMのトリス−塩酸(pH8.0)、50mMのEDTA、15%シュークロースを含む1mg/mlリゾチーム溶液で37℃、10分処理した後、SDSを最終濃度0.25%になるよう添加して菌体を溶解した。さらに等量のフェノール/クロロホルム=1:1混合液を加え、30分攪拌した後、12,000rpmで15分遠心分離処理をして水層を回収した。回収した水層に10分の1量の3Mの酢酸ナトリウム(pH5.5)を混合後、2倍量のエタノールを静かに重層し、ゲノムDNAをガラス棒に巻き付かせて分離した。分離したゲノムDNAを、10mMトリス−塩酸(pH8.0)、1mMのEDTA水溶液(TEバッファー)20mlに溶解し、20mg/mlのRNaseAを200μl加え、37℃で1時間保温し、混在しているRNAを分解した。次いで、等量のフェノール/クロロホルム混合液を加え、前記と同様に処理して、水層を分取した。分取した水層に10分の1量の3Mの酢酸ナトリウム(pH5.5)と2倍量のエタノールを加えて前記の方法でもう一度ゲノムDNAを分離した。この染色体を50mlのTE(10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、1mMのEDTA(pH8.0))に溶解し、TE飽和のフェノールとクロロホルムの1対1混和液20mlを加え、全体を懸濁した後、同様の遠心分離を繰り返し、上層を再び別の容器に移した。この分離した上層20mlに3Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)2mlとエタノール50mlを加え、撹拌後−70℃で5分間冷却した後、遠心分離(2,000G、4℃、15分)し、沈澱した染色体を75% エタノールで洗い、減圧乾燥した。以上の操作によりバチラス・サチルスのDNA標品約10mgを得た。
[実施例3]
<PCR法による配列番号1に示す遺伝子の増幅>
PCRに用いたプライマーは次のとおりである。センス:5’−TCA TGT AGA TCT TGT GTG AGC ATA AAA AGC AGC TCC−3’、アンチセンス:5’−CTA TAG TAC TAG TTT GGA AAA TTT AG−3’。PCR反応溶液組成は、KOD DNAポリメラーゼ1μl、10倍濃縮のKOD DNAポリメラーゼに添付の緩衝液5μl、1mM塩化マグネシウム2μl、0.2mM dNTP7.5μl、101μg/ml バチラス・サチルスのDNA 10μl、10pmol/μl センスプライマー5μl、アンチセンスプライマー5μl、蒸留水14.5μlからなる。PCR反応条件は、(1)98度15秒、(2)65度2秒、(3)74度30秒、(1)から(3)の30回繰り返し、であった。
[実施例4]
<ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotA発現プラスミドの構築1>
実施例3で増幅したPCR産物はSpeIとBamHIで切断して精製し、これをpET−21aのNheIとBamHIの切断部位に挿入し、ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotA遺伝子が連結されたプラスミドを構築した。構築されたプラスミドは定法によってエシェリヒア・コリ BL21(DE3)に形質転換した。
[実施例5]
<ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotA発現プラスミドの構築2>
実施例3で増幅したPCR産物はSpeIとBamHIで切断して精製し、これをpWH1520のSpeIとBamHIの切断部位に挿入し、ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotA遺伝子が連結されたプラスミドを構築した。構築されたプラスミドはバチラス・メガテリウムプロテインエクスプレッションシステム(MoBiTec社製)の説明書に従ってバチラス・メガテリウムに形質転換した。
[実施例6]
<形質転換大腸菌の培養とその細胞抽出液の調製>
実施例4で作成したプラスミドを導入したエシェリヒア・コリBL21(DE3)を50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地に接種し、培養液の600nmの吸光度が0.6になったときにlacプロモーター誘導剤である1mMのIPTGを添加した。その後、37度でさらに4時間培養し、遠心分離(15,000G、1分、4℃)により集菌し、25ppmの塩化銅を含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で懸濁して超音波破砕機を用いて菌体を破砕した後、遠心分離(15,000G、5分、4℃)し、上清を取得して細胞抽出液とした。
[実施例7]
<形質転換バチラス・メガテリウムの培養とその細胞抽出液の調製>
実施例5で作成したプラスミドを導入したバチラス・メガテリウを50μg/mlのテトラサイクリンを含むLB培地に接種し、培養液の600nmの吸光度が0.3になったときに誘導剤である0.5%のキシロースを添加した。その後、37度でさらに4時間培養し、遠心分離(15,000G、1分、4℃)により集菌し、25ppmの塩化銅を含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で懸濁して超音波破砕機を用いて菌体を破砕した後、遠心分離(15,000G、5分、4℃)し、上清を取得して細胞抽出液とした。
[実施例8]
<形質転換大腸菌の培養とその封入体の調製>
実施例4で作成したプラスミドを導入したエシェリヒア・コリBL21(DE3)を50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地に接種し、培養液の600nmの吸光度が0.6になったときにlacプロモーター誘導剤である1mMのIPTG(和光純薬社製)を添加した。その後、37度でさらに4時間培養し、遠心分離(15,000G、1分、4℃)により集菌し、10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で懸濁して超音波破砕機を用いて菌体を破砕した後、遠心分離(15,000G、5分、4℃)し、沈殿を取得して粗封入体とした。粗封入体は4%トライトン X−100を含むTEで1回以上洗浄した後、蒸留水で1回以上洗浄した。
[実施例9]
<ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAの精製法1>
実施例5または6で調整した粗酵素液は75度で60分間熱処理して、そのまま10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したQ sep.BB(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)に吸着させた。25ppmの塩化銅を含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で充分に洗浄した後、0および0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分に最終濃度25%になるように硫酸アンモニウム添加し、25%の硫酸アンモニウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平行化したPhenyl sep.FF(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)に吸着して25および0%の硫酸アンモニウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分はG−25(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)で脱塩した後、10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したQ sep. HPに吸着し、0および0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分を10mMのリン酸緩衝液pH7.0で平衡化したG−25で脱塩して精製酵素とし、SDS−PAGEで単一バンドである事を確認した。
[実施例10]
<ビリルビンオキシダーゼ活性及びアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAの精製法2>
実施例8で調製した封入体は20mMのメルカプトエタノールを含む6Mの塩酸グアジンで1mg/mlになるようにアンフォールディングして溶解し、400mM アルギニン塩酸塩、2mM EDTA、5mM 還元型グルタチオン、0.5mM 酸化型グルタチオン、0.1mM PMSFを含む100mMトリス−塩酸緩衝液で6時間かけて6倍に希釈し、2日間4度で放置した後限外濾過膜で濃縮し、この酵素液を10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)にて15時間透析し、本発明の酵素の活性体を得た。
[実施例11]
<バチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAのもつビリルビンオキシダーゼ活性を用いたビリルビンCの定量>
国際試薬(株)の干渉チェックAビリルビンCを0.9%NaCl水で希釈して0、4、5、7.5mg/dlの検量線用標準液を調製した。1Mのリン酸緩衝液pH6.00.1ml、0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.0)で希釈した7.25μg/mlの本発明の酵素液0.02ml、および蒸留水0.88mlからなるビリルビンC測定溶液1mlを使用して上記酵素活性測定法と同じ方法で各検量線用標準液を測定した。その結果、図5に示すようにビリルビン濃度と波長450nmでの吸光度の変化量はR=0.9996で直線状にプロットされ、波長450nmの吸光度変化測定でビリルビンCを定量できた。
[実施例12]
<バチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAのもつビリルビンオキシダーゼ活性を用いたビリルビンFの定量>
国際試薬(株)の干渉チェックAビリルビンCを0.9%NaCl水で希釈して0、2.5、4、5、7.5、10mg/dlの検量線用標準液を調製した。1Mのリン酸緩衝液(pH6.0)0.1ml、0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.0)で希釈した7.25μg/mlの本発明の酵素液0.02ml、および蒸留水0.88mlからなるビリルビンF測定溶液1mlを使用して上記酵素活性測定法と同じ方法で各検量線用標準液を測定した。その結果、図6に示すようにビリルビン濃度と波長450nmでの吸光度の変化量はR=0.9857で直線状にプロットされ、波長450nmの吸光度変化測定でビリルビンFの定量が可能であった。
[実施例13]<ビリルビンオキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを用いた血清中総ビリルビン測定試薬の調整、及び該測定試薬を用いた検体の測定値と、市販の血清中総ビリルビン測定試薬(イアトロT−Bilキット)を用いた同検体の測定値との比較>
1)バチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを用いた血清中総ビリルビン測定試薬の調整
バチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを用いた血清中総ビリルビン測定試薬として以下に示した試薬キットを調整した。
1−1)試薬1 100mM リン酸緩衝液 pH 7.2、
0.2% コール酸ナトリウム、
0.5mM EDTA−2Na
1−2)試薬2 100mM リン酸緩衝液pH 7.2、
0.02% TX−100、
0.5mM EDTA−2Na、
4U/ml ビリルビンオキシダーゼ(実施例9にて調整したバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotA)
2)血清中総ビリルビンの測定
日立7080形自動分析機を用いてヒト血清70検体を上記試薬とイアトロT−Bilキット(三菱化学イアトロン社製)を用いて測定した。日立7080形自動分析機の上記試薬の分析パラメーターは、2ポイントエンド測定、サンプル量10μl、試薬1は200μl、試薬2は100μl、測定主波長450nm、副波長546nmとした。イアトロT−Bilキットは添付文書に従って使用した。測定値はイアトロT−Bilキット用のキャリブレータを用いて総ビリルビン濃度に換算した。測定結果の相関図を図7に示したように、相関式がY=1.08X+0.27、相関係数がR=0.994であり、良好な相関を示された。これはバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを用いた血清中総ビリルビン測定試薬で、ヒト血清中の総ビリルビンを精度良く測定できることを示している。
本発明により、安定化剤の非存在下において安定性、特に熱安定性に優れたビリルビンオキシダーゼ活性及び/又はアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつタンパク質を利用して、安定性に優れたビリルビン酸化試薬の提供を行うことが可能であり、また該酸化試薬を用いた試料中のビリルビン及び/又はアスコルビン酸の酸化方法の提供が可能である。
ビリルビンオキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotA(○),ビリルビンオキシダーゼ活性をもつアクレモニウム由来アスコルビン酸オキシダーゼ(●)、Trachyderma tsunodae由来ビリルビンオキシダーゼ(△)の熱安定を示す。 アスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAの熱安定を示す。 ビリルビンオキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAの国際試薬(株)の干渉チェックAビリルビンCに対する至適pHを示す。 ビリルビンオキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAの国際試薬(株)干渉チェックAビリルビンFに対する至適pHを示す。 ビリルビンオキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAの国際試薬(株)干渉チェックAビリルビンCに対する定量例を示す。 ビリルビンオキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAの干渉チェックAビリルビンFに対する定量例を示す。 ビリルビンオキシダーゼ活性をもつバチラス・サチルスの内胞子皮構成成分CotAを用いた血清中総ビリルビン測定試薬を用いてヒト血清70検体を測定した測定値と、市販の血清中総ビリルビン測定試薬(イアトロT−Bilキット)を用いて同検体を測定したの測定値との相関を示す。

Claims (10)

  1. バチラス・サチルスに属するバクテリアのCotAタンパク質を含有するビリルビン酸化試薬及び/又はアスコルビン酸酸化試薬。
  2. 前記CotAタンパク質が精製されたタンパク質である、請求項1の酸化試薬。
  3. バチラス・サチルスに属するバクテリアのCotAタンパク質を含有するビリルビン酸化試薬。
  4. バチラス・サチルスに属するバクテリアのCotAタンパク質を含有するアスコルビン酸酸化試薬。
  5. 以下の(a)〜(c)のいずれかに記載のタンパク質:
    (a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸変異、欠損又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ビリルビンオキシダーゼ活性を有するタンパク質;
    (c)配列番号1に記載のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質;
    を含有するビリルビン酸化試薬。
  6. 前記タンパク質が、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5(25℃))中0.1mg/mlの酵素濃度で80℃30分間加熱処理した後の残存酵素活性を以下の酵素活性測定法に従って測定するビリルビンオキシダーゼ活性が、加熱処理前に比べて80%以上残存するタンパク質であることを特徴とする、請求項5に記載のビリルビン酸化試薬。
    ビリルビンオキシダーゼ活性測定法:
    1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0(25℃))0.1ml、0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0(25℃))で希釈した酵素液0.02ml、および蒸留水0.88mlからなる酵素活性測定溶液1mlを層長1cmの石英セル中で37℃1.5分間予備加温した後、基質として干渉チェックAビリルビンF(成分はビリルビン)を0.9%NaClで20mg/dlに調製したものを20μl添加して酵素反応を開始し、反応開始後1分後から2分後までの450nmにおける基質の吸光度差を測定する(As)。盲検として100℃で90分間熱処理した同じ濃度の酵素液を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定する(Ab)。酵素活性1単位(1ユニット)は37℃で1分間に1マイクロモルのビリルビンを変化する酵素量、上記反応液中でのビリルビンFのミリモル吸光係数は36として、As−Abより酵素活性を求める。
  7. 以下の(a)〜(c)のいずれかに記載のタンパク質:
    (a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸変異、欠損又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、アスコルビン酸オキシダーゼ活性を有するタンパク質;
    (c)配列番号1に記載のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質;
    を含有するアスコルビン酸酸化試薬。
  8. 前記タンパク質が、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5(25℃))中0.1mg/mlの酵素濃度で80℃30分間加熱処理した後の残存酵素活性を以下の酵素活性測定法に従って測定するアスコルビン酸オキシダーゼ活性が、加熱処理前に比べて80%以上残存するタンパク質であることを特徴とする、請求項7に記載のアスコルビン酸酸化試薬。
    アスコルビン酸オキシダーゼ活性測定法:
    アスコルビン酸オキシダーゼ活性測定溶液(0.5mMのL−アスコルビン酸、0.45mMのエチレンジアミン四酢酸を含む90mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5(25℃)))1mlを層長1cmの石英セル中で30℃5分間予備加温した後、0.05%BSAを含む10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5(25℃))で酵素液0.1mlを混和して酵素反応を開始し、反応開始後1分後から5分後までの245nmにおけるL−アスコルビン酸の吸光度差を測定する(As)。盲検として100℃で90分間熱処理した同じ濃度の酵素液を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定する(Ab)。この酵素液使用の吸光度(As)と盲検の吸光度(Ab)の吸光度差(As−Ab)より酵素活性を求める。酵素活性1単位(1ユニット)は30℃で1分間に1マイクロモルのL−アスコルビン酸を変化する酵素量、上記反応液中でのL−アスコルビン酸のミリモル吸光係数は10として、As−Abより酵素活性を求める。
  9. 以下の(a)〜(c)のいずれかに記載のタンパク質:
    (a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるンパク質;
    (b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸変異、欠損又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ビリルビンオキシダーゼ活性を有するタンパク質;
    (c)配列番号1に記載のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質;
    を含有する、血清中総ビリルビン測定用試薬。
  10. 以下の(a)〜(c)のいずれかに記載のタンパク質:
    (a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸変異、欠損又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ビリルビンオキシダーゼ活性を有するタンパク質;
    (c)配列番号1に記載のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質;
    を用いる、ビリルビンの酸化方法。
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