JP5089058B2 - 試料中の銅イオン濃度測定用酵素 - Google Patents
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また、銅は過酸化物を産生するフェントン反応を触媒することから、近年、血清中の過剰な銅とアルツハイマー病の関係が報告され(非特許文献1)、血清中の銅イオン濃度の測定意義は益々高まってきている。
現在、ヒト体液中の銅イオン濃度測定は、(1)原子吸光法と(2)キレート剤を用いる方法(非特許文献2)が主流であり、その他に(3)フェニルエチルアミンオキシダーゼまたはヒスタミンオキシダーゼ(特許文献1)と(4)アポガラクトースオキシダーゼ(特許文献2)を用いる方法が報告されている。
ところが、(1)原子吸光法は特異性や感度が高い利点の反面、特別な測定機器が必要であり、また、この測定機器は多数の検体を短時間に測定することが困難である。(2)キレート剤を用いる方法は、試薬の安定性が高く、多数の検体を短時間に測定することが可能だが、コバルトやニッケルとも反応し、特異性に問題がある。(3)フェニルエチルアミンオキシダーゼまたはヒスタミンオキシダーゼを用いる方法と(4)アポガラクトースオキシダーゼを用いる方法は、特異性が高く多数の検体を短時間に測定することが可能だが、反応で生成する過酸化水素を、例えば4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)、およびペルオキシダーゼと反応させて得られる発色を測定する方法であり、使用する薬剤や酵素の種類が多くなり煩雑且つ不経済である。
上記のとおり、現状の銅イオン測定法は満足のいくものではなく、よりよい測定法の開発が望まれていた。
Squittiら、Excess of serum copper not related to ceruloplasmin in Alzheimer disease、2005年、64巻、1040-1046 Abeら、Direct Colorimetric Assay for Copper in Serum、Clinical Chemistry、1989年、35巻、552-554
次に、該酵素を用いて、汎用の吸光光度分析機や自動分析機にて試料中の銅イオン濃度を測定する簡便な方法を検討した結果、該酵素の酵素活性の変化を測定することにより、試料中の銅イオン濃度を測定できることを見いだした。
さらに、該酵素と該酵素の基質を含有する銅イオン濃度測定用試薬の組成を検討し、正確に試料中の銅イオン濃度を測定できる銅イオン濃度測定用試薬組成物を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の構成に関する。
(1)銅を補欠因子とする酵素であって、少なくとも完全なホロ体ではないことを特徴とする酵素。
(2)銅を補欠因子とする酵素が少なくとも完全なホロ体でもアポ体でもない上記(1)に記載の酵素。
(3)銅を補欠因子とする酵素が、ビリルビンオキシダーゼ及び/又はラッカーゼである上記(1)又は(2)に記載の酵素。
(4)銅を補欠因子とする酵素が、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のCotAである上記(1)又は(2)に記載の酵素。
(5)銅を補欠因子とする酵素が、大腸菌(Escherichia coli)由来のCueOである上記(1)又は(2)に記載の酵素。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の少なくとも完全なホロ体ではない銅を補欠因子とする酵素の製造方法であって、遺伝子組み換え微生物により当該酵素を産生させることを特徴とする、少なくとも完全なホロ体ではない銅を補欠因子とする酵素の製造方法。
(7)少なくとも完全なホロ体ではない銅を補欠因子とする酵素の製造方法が、下記1)〜3)の工程を含む上記(6)に記載の酵素の製造方法。
1)窒素源を3%以下含み、かつ、銅を含まない培地にて、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のCotAまたは大腸菌(Escherichia coli)由来のCueOの遺伝子を導入した遺伝子組み換え微生物を培養する工程
2)1)で得られる、菌体内または培養液中に産生された完全なCotA又はCueOのアポ体を精製する工程
3)精製されたアポ体の一部をホロ化する工程
(8)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の酵素と該酵素の基質を含有することを特徴とする銅イオン濃度測定用試薬組成物。
(9)試料中の銅イオンに、請求項1〜5のいずれか1項に記載の酵素と該酵素の基質を作用させて、該酵素の活性の変化を測定することにより試料中の銅イオン濃度を測定することを特徴とする銅イオン濃度測定方法。
(10)酵素が、アポ体に予め銅イオンを加えることにより一部ホロ化した少なくとも完全なホロ体ではない酵素である、上記(9)に記載の銅イオン濃度測定方法。
(11)酵素が、CotAのアポ体(アポCotA)であって、添加する銅イオン濃度が、0.25mg/mlのアポCotAに対して0.01〜1μMである上記(9)に記載の銅イオン濃度測定方法。
(12)酵素が、CueOのアポ体(アポCueO)であって、添加する銅イオン濃度が、0.01mg/mlのアポCueOに対して0.5〜2μMである上記(9)に記載の銅イオン濃度測定方法。
(13)試料中の銅イオン濃度が低い場合には、完全なホロ体ではない銅を補欠因子とする酵素を作用させる上記(9)に記載の銅イオン濃度測定方法。
(14)試料中の銅イオン濃度が高い場合には、アポ体の銅を補欠因子とする酵素を作用させる上記(9)に記載の銅イオン濃度測定方法。
(15)酵素の活性の変化を、基質の吸光度変化として測定する上記(9)に記載の銅イオン濃度測定方法。
本明細書中に記載するタンパク質濃度は、バイオラッド社のプロテインアッセイキットを用いて使用説明書記載の方法に従って測定し、BSA(牛血清アルブミン)をスタンダードとして算出した。
また、枯草菌由来の少なくとも完全なホロ体ではないCotAまたは大腸菌由来の少なくとも完全なホロ体ではないCueOの遺伝子を導入した遺伝子組み換え微生物を培養して、菌体内または培養液中に産生された該酵素を、常法にて分離精製して得ることが好適である。
銅を含まない培地として、実施例1と3に示すM9−グルコース培地が例示できる。M9−グルコース培地で「銅を補欠因子とする酵素」の遺伝子を導入した遺伝子組み換え微生物を培養した場合、微生物の成育が「アポCotA」や「アポCueO」等の「銅を補欠因子とする酵素のアポ体」の製造のためには不適当な場合がある。その場合はM9−グルコース培地に窒素源を少量添加すると、微生物の成育が改善され、銅を補欠因子とする酵素のアポ体が効率よく得られる場合がある。窒素源としては利用可能な窒素化合物であれば良く、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、カザミノ酸などが使用されるが、窒素源中に混在する銅の量が少ないものが望ましい。M9−グルコース培地に添加する窒素源の量は3%以下が好ましく、1%以下は更に好ましい。最も好ましくは約0.5%である。
また、CotAまたはCueOによる、4−アミノアンチピリンや3−メチル−2−ベンゾチアゾリンヒドラシゾンなどのカップラーとクロロフェノール等のフェノール類またはTOOSやN,N−ジメチルアニリンなどのアニリン類およびそれらの誘導体などの色原体を縮合反応の基質としてもよい。
(なお、前記酵素及び基質の濃度は、銅イオン濃度測定用試薬組成物における濃度を示している。)
一般的には基質の変化に伴うそれら基質の吸収スペクトルや吸光強度の変化を測定する光学的方法が例示され、例えば、ABTS、SGZやDMPの酸化に伴う吸収スペクトルや特定波長における吸光強度の変化を測定する方法が挙げられる。
また、4−アミノアンチピリンや3−メチル−2−ベンゾチアゾリンヒドラシゾンなどのカップラーとクロロフェノール等のフェノール類またはTOOSやN,N−ジメチルアニリンなどのアニリン類およびそれらの誘導体などの色原体との縮合反応に伴う吸収スペクトルや特定波長における吸光強度の変化を利用してもよい。
消費する酸素を測定する場合は酸素電極を利用する。
[参考例1]枯草菌(Bacillus subtilis、ATCC 23857)の培養
枯草菌(Bacillus subtilis、ATCC 23857)はATCCの製品案内書に従い次のように培養した。1Lあたり、ニュートリエントブロス23g、ポテト抽出液20mlを添加した培地をオートクレーブ滅菌(121℃、15分)して枯草菌を接種し、26℃で好気的に32時間培養した。培養終了後、培養物を7,000rpmで10分間遠心し集菌した。
参考例1の菌体から常法に従いDNAを抽出した(Sambrook, J., Fritsch, E. F., and T. Maniatis. 1989. Molecular cloning: A laboratory manual, 2nd Ed. p. 9.14-9.23. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY.)。次に、PCR法により配列表配列番号1で表される遺伝子を増幅した。PCRの各条件は以下のとおりである。
<PCRに用いたプライマー>
アンチセンス鎖用
5’−TCA TGT AGA TCT TGT GTG AGC ATA AAA AGC AGC TCC−3’(配列番号3)
センス鎖用
5’−CTA TAG TAC TAG TTT GGA AAA TTT AG−3’(配列番号4)
<PCR反応溶液組成>
KOD DNAポリメラーゼ 1μl
10倍濃縮のKOD DNAポリメラーゼに添付の緩衝液 5μl
1mM 塩化マグネシウム 2μl
0.2mM dNTP 7.5μl
1μg/ml 枯草菌(ATCC 23857)のDNA 10μl
10pmol/μl センスプライマー 5μl
10pmol/μlアンチセンスプライマー 5μl
蒸留水 14.5μl
<PCR反応条件>
(1)98℃ 15秒
(2)65℃ 20秒
(3)74℃ 30秒
上記(1)〜(3)を30回繰り返した。
参考例2で得られた増幅されたPCR産物を、SpeIとBg1IIで切断して精製し、これをpET−21a(+)のNheIとBamHIの切断部位に挿入し、枯草菌CotA遺伝子が連結されたプラスミドを構築した。構築されたプラスミドを、常法によって大腸菌 BL21(DE3)に形質転換した。
参考例3で得られたプラスミドを導入した大腸菌 BL21(DE3)を50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地(Difco社製)に接種し、培養液の600nmの吸光度が0.6になったときにlacプロモーター誘導剤である1mMのイソプロピル−β−D(−)−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加した。その後、22℃でさらに18時間培養し、遠心分離(15,000G、1分、4℃)により集菌し、25ppmの塩化銅を含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で懸濁して超音波破砕機を用いて菌体を破砕した後、遠心分離(15,000G、5分、4℃)し、上清を取得して細胞抽出液とした。
参考例4で得られた細胞抽出液を、75℃で60分間熱処理して、そのまま10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したQ sep.BB(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)に吸着させた。10mMのトリス,塩酸緩衝液(pH8.5)で充分に洗浄した後、0から0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。CotA画分に最終濃度25%になるように硫酸アンモニウム添加し、25%の硫酸アンモニウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したPhenyl sep.FF(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)に吸着して25から0%の硫酸アンモニウムを含む10mMのトリス,塩酸緩衝液(pH7.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。CotA画分はG−25(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)で脱塩した後、10mMのトリス,塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したQ sep.HP(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)に吸着し、0から0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。CotA画分を10mMのリン酸緩衝液pH7.0で平衡化したG−25で脱塩して精製酵素とし、SDS−PAGEで単一バンドである事を確認した。
参考例3のプラスミドを導入した大腸菌BL21(DE3)を50μg/mlのアンピシリンと0.5%グルコースを含み、銅を含まないM9培地(Difco社製)に接種し、培養液の600nmの吸光度が0.4になったときに1mMのIPTGを添加した。その後、22℃でさらに18時間培養し、遠心分離(15,000G、1分、4℃)により集菌し、10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で懸濁して超音波破砕機を用いて菌体を破砕した後、遠心分離(15,000G、5分、4℃)し、上清を取得して細胞抽出液とした。この細胞抽出液は、参考例5記載の方法で精製し、枯草菌由来アポCotAの精製酵素を得た。
参考例3のプラスミドを導入した大腸菌BL21(DE3)を50μg/mlのアンピシリン、0.5%グルコースおよび0.5%カザミノ酸を含み、銅を含まないM9培地に接種し、培養液の600nmの吸光度が0.4になったときに1mMのIPTGを添加した。その後、22℃でさらに18時間培養し、遠心分離(15,000G、1分、4℃)により集菌し、10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で懸濁して超音波破砕機を用いて菌体を破砕した後、遠心分離(15,000G、5分、4℃)し、上清を取得して細胞抽出液とした。この細胞抽出液は、参考例5記載の方法で精製し、枯草菌由来アポCotAの精製酵素を得た。
大腸菌はオートクレーブ滅菌(121℃15分)したLB培地(Difco社製)で好気的に37℃18時間培養した。培養終了後、培養物を7,000rpmで10分間遠心し集菌した。
参考例6の菌体から常法に従いDNAを抽出した(Sambrook, J., Fritsch, E. F., and T. Maniatis. 1989. Molecular cloning: A laboratory manual, 2nd Ed. p. 9.14-9.23. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY.)。次に、PCR法により配列番号2で表される遺伝子を増幅した。PCRの各条件は以下のとおりである。
<PCRに用いたプライマー>
センス鎖用
5’−GAA GCT AGC ATG CAA CGT CGT GAT TTC TTA AAA TAT−3’(配列番号5)
アンチセンス鎖用
5’−GGA GAG CTC CGG GCA TAT TTC CGA ATA CGG TCT−3’(配列番号6)
<PCR反応溶液組成>
KOD DNAポリメラーゼ 1μl
10倍濃縮のKOD DNAポリメラーゼに添付の緩衝液 5μl
1mM 塩化マグネシウム 2μl
0.2mM dNTP 7.5μl
1μg/ml 大腸菌のDNA 10μl
10pmol/μl センスプライマー 5μl
10pmol/μl アンチセンスプライマー 5μl
蒸留水 14.5μl
<PCR反応条件>
(1)98℃15秒
(2)65℃20秒
(3)74℃30秒
上記(1)から(3)を30回繰り返した。
参考例7で得られた増幅されたPCR産物を、NheIとSacIで切断して精製し、これをpET−21a(+)のNheIとSacIの切断部位に挿入し、大腸菌CueO遺伝子が連結されたプラスミドを構築した。構築されたプラスミドを、常法によって大腸菌 BL21(DE3)に形質転換した。
参考例8で得られたプラスミドを導入した大腸菌BL21(DE3)を50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地に接種し、培養液の600nmの吸光度が0.6になったときに1mMのIPTGを添加した。その後、37℃でさらに6時間培養し、遠心分離(15,000G、1分、4℃)により集菌し、25ppmの塩化銅を含む10mMのトリス,塩酸緩衝液(pH8.5)で懸濁して超音波破砕機を用いて菌体を破砕した後、遠心分離(15,000G、5分、4℃)し、上清を取得して細胞抽出液とした。
参考例9で得られた細胞抽出液は55℃で60分間熱処理して、そのまま10mMのトリス,塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したQ sep.BBに吸着させた。10mMのトリス,塩酸緩衝液(pH8.5)で充分に洗浄した後、0から0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス,塩酸緩衝液(pH8.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。CueO画分に最終濃度25%になるように硫酸アンモニウム添加し、25%の硫酸アンモニウムを含む10mMのトリス,塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したPhenyl sep.FFに吸着して25から0%の硫酸アンモニウムを含む10mMのトリス,塩酸緩衝液(pH7.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。CueO画分はG−25で脱塩した後、10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したQ sep.HPに吸着し、0から0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス,塩酸緩衝液(pH8.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。CueO画分を10mMのリン酸緩衝液pH7.0で平衡化したG−25で脱塩して精製酵素とし、SDS−PAGEで単一バンドである事を確認した。
参考例8のプラスミドを導入した大腸菌BL21(DE3)を50μg/mlのアンピシリンと0.5%グルコースを含み、銅を含まないM9培地に接種し、培養液の600nmの吸光度が0.4になったときに1mMのIPTGを添加した。その後、37℃でさらに6時間培養し、遠心分離(15,000G、1分、4℃)により集菌し、10mMのトリス,塩酸緩衝液(pH8.5)で懸濁して超音波破砕機を用いて菌体を破砕した後、遠心分離(15,000G、5分、4℃)し、上清を取得して細胞抽出液とした。この細胞抽出液は、参考例10記載の方法で精製し、大腸菌由来アポCueOの精製酵素を得た。
参考例8のプラスミドを導入した大腸菌BL21(DE3)を50μg/mlのアンピシリン、0.5%グルコースおよび0.5%カザミノ酸を含み、銅を含まないM9培地に接種し、培養液の600nmの吸光度が0.6になったときに1mMのIPTGを添加した。その後、37℃でさらに6時間培養し、遠心分離(15,000G、1分、4℃)により集菌し、10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で懸濁して超音波破砕機を用いて菌体を破砕した後、遠心分離(15,000G、5分、4℃)し、上清を取得して細胞抽出液とした。この細胞抽出液は、参考例10記載の方法で精製し、大腸菌由来アポCueOの精製酵素を得た。
実施例2で得られた精製された枯草菌由来アポCotAを0.1mg/mlになるように20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5、25℃)中に溶解し、80℃30分熱処理後した後にその残存活性を測定したところ、90%以上の活性を保持していた。
実施例4で得られた精製された大腸菌由来アポCueOを0.1mg/mlになるように20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5、25℃)中に溶解し、65℃で30分熱処理後した後にその残存活性を測定したところ、90%以上の活性を保持していた。
<試料>
0、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、30及び40μMの硫酸銅水溶液
<銅イオン濃度測定組成物>
R1試薬
10mM リン酸カリウム緩衝液(pH 6.0)
0.25mg/ml アポCotA(実施例2製)
R2試薬
100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)
5mM ABTS
<測定方法>
使用機器:日立7080形自動分析機
パラメーター:試料 20μl
R1試薬 140μl
R2試薬 70μl
反応温度 37℃
測定主波長 450nm
Rate−A
試料20μlとR1試薬140μlを反応槽中で混和した。5分後、CotAの基質ABTSを含むR2試薬140μlを混和し、試料中の銅濃度に応じてホロ化され活性化されたCotAの酵素反応が開始され、混和後後3分後から4分後の450nmにおける吸光度差を測定した(As)。また、盲検として酵素抜きのR1試薬を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定した(Ab)。吸光度差(As−Ab)を図1の縦軸に表した。以上の方法で0μMから40μMの硫酸銅水溶液を5重測定した結果、図1に示すような直線の検量線が得られ、相関係数R2=0.997であることから、試料中の銅イオン濃度の正確な測定が可能であることが判明した。
枯草菌由来少なくとも完全なホロ体でないCotAを用いた銅イオン濃度の測定
<試料>
0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10μMの硫酸銅水溶液
<銅イオン濃度測定組成物>
R1試薬
10mM リン酸カリウム緩衝液(pH 6.0)
0.25mg/ml アポCotA(実施例2製)
0.1μM CuSO4
R2試薬
100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)
5mM ABTS
<測定方法>
使用機器:日立7080形自動分析機
パラメーター:試料 20μl
R1試薬 140μl
R2試薬 70μl
反応温度 37℃
測定主波長 450nm
Rate−A
R1試薬中には予め0.1μMの硫酸銅を添加しておき、アポCotAは少なくとも完全なホロ体でない状態にしておいた。その後、試料10μlとR1試薬140μlを反応槽中で混和した。次いで、5分後、CotAの基質を含むR2試薬140μlを混和し、試料中の銅濃度に応じてさらにホロ化され活性化されたCotAの酵素反応が開始され、混和後3分後から4分後の450nmにおける吸光度差を測定した(As)。また、盲検として酵素抜きのR1試薬を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定した(Ab)。吸光度差(As−Ab)を図2の縦軸に表した。
以上の方法で0μMから10μMの硫酸銅水溶液を5重測定した結果、図2に示すような直線の検量線が得られ、相関係数R2=0.977であることから、試料中の銅イオン濃度の正確な測定が可能であることが判明した。
<試料>
0、2.5、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、30及び40μMの硫酸銅水溶液
<銅イオン濃度測定組成物>
R1試薬
10mM リン酸カリウム緩衝液(pH 6.0)
0.01mg/ml アポCueO(実施例4製)
R2試薬
100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)
5mM ABTS
<測定方法>
使用機器:日立7080形自動分析機
パラメーター:試料 10μl
R1試薬 140μl
R2試薬 70μl
反応温度 37℃
測定主波長 450nm
Rate−A
試料10μlとR1試薬140μlを反応槽中で混和した。5分後、CueOの基質ABTSを含むR2試薬140μlを混和し、試料中の銅濃度に応じてホロ化され活性化されたCueOの酵素反応が開始され、混和後3分後から4分後の450nmにおける吸光度差を測定した(As)。また、盲検として酵素抜きのR1試薬を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定した(Ab)。吸光度差(As−Ab)を図3の縦軸に表した。以上の方法で0μMから40μMの硫酸銅水溶液を5重測定した結果、図3に示すように、直線の検量線が得られず、このままでは試料中の銅イオン濃度の正確な測定が困難であることが判明した。
<試料>
0、2.5、5、7.5、10、15、17.5、20、30及び40μMの硫酸銅水溶液
<銅イオン濃度測定組成物>
R1試薬
10mM リン酸カリウム緩衝液(pH 6.0)
0.01mg/ml アポCueO(実施例4製)
1μM 硫酸銅
R2試薬
100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)
5mM ABTS
<測定方法>
使用機器:日立7080形自動分析機
パラメーター:試料 10μl
R1試薬 140μl
R2試薬 70μl
反応温度 37℃
測定主波長 450nm
Rate−A
R1試薬中には予め1μMの硫酸銅を添加しておき、アポCueOは少なくとも完全なホロ体でない状態にしておいた。その後、試料10μlとR1試薬140μlを反応槽中で混和した。次いで、5分後、CueOの基質ABTSを含むR2試薬140μlを混和し、試料中の銅濃度に応じてさらにホロ化され活性化されたCueOの酵素反応が開始され、混和後3分後から4分後の450nmにおける吸光度差を測定した(As)。また、盲検として酵素抜きのR1試薬を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定した(Ab)。吸光度差(As−Ab)を図4の縦軸に表した。
以上の方法で0μMから40μMの硫酸銅水溶液を5重測定した結果、図4に示すように参考例11が改善されて直線の検量線が得られ、相関係数R2=0.973であることから、試料中の銅イオン濃度の正確な測定が可能であることが判明した。
<試料>
40μMの表1に示す金属塩水溶液
<銅イオン濃度測定組成物>
R1試薬
10mM リン酸カリウム緩衝液(pH 6.0)
0.25mg/ml アポCotA(実施例2製)
R2試薬
100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)
5mM ABTS
<測定方法>
使用機器:日立7080形自動分析機
パラメーター:試料 20μl
R1試薬 140μl
R2試薬 70μl
反応温度 37℃
測定主波長 450nm
Rate−A
試料20μlとR1試薬140μlを反応槽中で混和した。5分後、CotAの基質ABTSを含むR2試薬70μlを混和し、試料中の銅濃度に応じてさらにホロ化され活性化されたCotAの酵素反応が開始され、R2試薬混和後3分後から4分後の450nmにおける吸光度差を測定した(As)。また、盲検として酵素抜きのR1を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定し(Ab)、吸光度差(As−Ab)の相対値を表1に表した。
<試料>
40μMの表2に示す金属塩水溶液
<銅イオン濃度測定組成物>
R1試薬
10mM リン酸カリウム緩衝液(pH 6.0)
0.01mg/ml アポCueO(実施例4製)
1μM 硫酸銅
R2試薬
100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)
5mM ABTS
<測定方法>
使用機器:日立7080形自動分析機
パラメーター:試料 10μl
R1試薬 140μl
R2試薬 70μl
反応温度 37℃
測定主波長 450nm
Rate−A
R1試薬中には予め1μMの硫酸銅を添加しておき、アポCueOは少なくとも完全なホロ体でないにしておいた。試料10μlとR1試薬140μlを反応槽中で混和した。5分後、CueOの基質ABTSを含むR2試薬70μlを混和し、試料中の銅濃度に応じてさらにホロ化され活性化されたCueOの酵素反応が開始され、R2試薬混和後3分後から4分後の450nmにおける吸光度差を測定した(As)。また、盲検として酵素抜きのR1試薬を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定し(Ab)、吸光度差(As−Ab)の相対値を表2に表した。
Claims (6)
- 配列表配列番号1のアミノ酸配列1番目から515番目で示されるアミノ酸配列からなる銅を補欠因子とするCotAであって、
0.25mg/mlのアポCotAに対して0.01〜1μMの銅イオンを添加して製造される、完全なホロ体でもアポ体でもないCotA。 - 請求項1に記載のCotAの製造方法であって、下記1)〜3)の工程を含むCotAの製造方法。
1)窒素源を3%以下含み、かつ、銅を含まない培地にて、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のCotAの遺伝子を導入した遺伝子組み換え微生物を培養する工程
2)1)で得られる、菌体内または培養液中に産生された完全なCotAのアポ体を精製する工程
3)精製されたアポ体に対して銅イオンを添加しそのアポ体の一部をホロ化することにより完全なホロ体でもアポ体でもないCotAを製造する工程 - 下記(1)または(2)に記載のCotAおよび該CotAの基質を含有することを特徴とする銅イオン濃度測定用試薬組成物。
(1)配列表配列番号1のアミノ酸配列1番目から515番目で示されるアミノ酸配列からなる銅を補欠因子とするCotAであって、完全なホロ体でもアポ体でもないCotA。
(2)0.25mg/mlのアポCotAに対して0.01〜1μMの銅イオンを添加して製造される、前記(1)に記載のCotA。 - 試料中の銅イオンに、下記(1)または(2)に記載のCotAと該CotAの基質を作用させて、該CotAの活性の変化を測定することにより試料中の銅イオン濃度を測定することを特徴とする銅イオン濃度測定方法。
(1)配列表配列番号1のアミノ酸配列1番目から515番目で示されるアミノ酸配列からなる銅を補欠因子とするCotAであって、完全なホロ体でもアポ体でもないCotA。
(2)0.25mg/mlのアポCotAに対して0.01〜1μMの銅イオンを添加して製造される、前記(1)に記載のCotA。 - 下記(1)または(2)に記載のCueOおよび該CueOの基質を含有することを特徴とする銅イオン濃度測定用試薬組成物。
(1)配列表配列番号2のアミノ酸配列1番目から516番目で示されるアミノ酸配列からなる銅を補欠因子とするCueOであって、完全なホロ体でもアポ体でもないCueO。
(2)0.01mg/mlのアポCueOに対して0.1〜10μMの銅イオンを添加して製造される、前記(1)に記載のCueO。 - 試料中の銅イオンに、下記(1)または(2)に記載のCueOと該CueOの基質を作用させて、該CueOの活性の変化を測定することにより試料中の銅イオン濃度を測定することを特徴とする銅イオン濃度測定方法。
(1)配列表配列番号2のアミノ酸配列1番目から516番目で示されるアミノ酸配列からなる銅を補欠因子とするCueOであって、完全なホロ体でもアポ体でもないCueO。
(2)0.01mg/mlのアポCueOに対して0.1〜10μMの銅イオンを添加して製造される、前記(1)に記載のCueO。
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