JPH1118762A - 1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素及びその製造法 - Google Patents

1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素及びその製造法

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JPH1118762A
JPH1118762A JP17571297A JP17571297A JPH1118762A JP H1118762 A JPH1118762 A JP H1118762A JP 17571297 A JP17571297 A JP 17571297A JP 17571297 A JP17571297 A JP 17571297A JP H1118762 A JPH1118762 A JP H1118762A
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anhydroglucitol
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dehydrogenase
anhydroglucitol dehydrogenase
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Mitsue Uchida
充恵 内田
Hitoshi Kondo
仁司 近藤
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1,5−アンヒドログルシトールに特異的に
作用する1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素、
及び上記1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素の
製造法を提供する。 【解決手段】 1,5−アンヒドログルシトールに特異
的に作用し、D−グルコース、D−マンノース、D−ガ
ラクトース、D−アラビノース、D−キシロース、D−
フルクトース、D−ソルビトース、キシリトール、ミオ
イノシトール、マルトース、ラクトースに全く作用しな
い1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素、及び上
記1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素の生産能
を有する微生物を培養し、培養物から上記1,5−アン
ヒドログルシトール脱水素酵素を採取することを特徴と
する1,5−アンヒドログルシトール脱水素酵素の製造
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な1,5−ア
ンヒドログルシトール脱水素酵素(以下、1,5−AG
DHと略記する)及びその製造法に関するものであり、
さらに詳しくは、1,5−アンヒドログルシトール(以
下、1,5−AGと略記する)に特異的に作用する1,
5−AGDHとその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1,5−AGはヒト髄液及び血漿中に存
在する化合物であるが、ある種の疾患、特に糖尿病の際
には血漿中の1,5−AGレベルが低下することから、
糖尿病の診断マーカーとして有効であることが知られて
いる。従来、1,5−AGは、ガスクロマトグラフィー
による分離方法やピラノースオキシダーゼまたはL−ソ
ルボースオキシダーゼを利用した酵素法により測定され
ていた(特公平5−41238号公報)。その後、1,
5−AGに作用する1,5−AG酸化酵素(以下、1,
5−AGODと略記する)や補酵素をNAD+に限定し
た1,5−AGDHが見い出され、それぞれの酵素を利
用した酵素法による測定方法が開発された(特公平3−
24200号公報、特開平2−268679号公報)。
ピラノースオキシダーゼの生産菌としては、ポリポラス
・オブッサス(Polyporus obtusus )、バシジオマイセ
タウス・フンギ(Basidiomycetous fungi )等が挙げら
れる。L−ソルボースオキシダーゼの生産菌としては、
トラメテスサングイネア(Trametessanguinea )IFO
−4923が挙げられる。また、1,5−AGODの生
産菌としては、ピクノポラス・コクシネウム(Pycnopor
us coccineus)IFO−4923、同IFO−649
0、コリオラス・コンソルス(Coriolus consors)IF
O−9078、シュードモナス(Pseudomonas )sp.NK
−85001 (FERM P−8100)が挙げられる(特
公平3−24200号公報)。さらに、1,5−AGD
Hの生産菌としては、オイペニシリウム・クルスタセウ
ム(Eupenicillium crustaceum)IFO−8938、ハ
ンセヌラ・カリホニア(Hansenura carifonia )HUT
−7321、ピチア・シュードポリモルファ(Pichia p
seudopolymorha)HUT−7330等の各種真菌(特開
平2−268679号公報)が挙げられる。また、シュ
ードモナス属に属する微生物を代表とする各種1,5−
AGOD生産菌を、1,5−AGを含有する培地で培養
することにより、1,5−AGOD活性の高い酵素を取
得していたが、それらの酵素は菌体の膜画分に存在して
おり、抽出操作が容易でなかった(特公平7−1230
6号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のガスクロマトグラフィー法は、試料の前処理及
び分析機器の維持・管理に高度な技術が必要であったた
め、一般的に用いられる方法ではなかった。ピラノース
オキシダーゼまたはL−ソルボースオキシダーゼを利用
した酵素法では、1,5−AGのみならずグルコースを
酸化するという性質を有することから、測定の際、血漿
中に正常時で1,5−AGの約40倍、糖尿病時では更
に多量に存在するグルコースを除去する必要があった。
また、1,5−AGOD及び従来の1,5−AGDHを
利用した酵素法では、その基質特異性がそれ程厳密でな
かった。さらに、1,5−AGODの生産菌の培養に
は、炭素源として高価な1,5−AGを使用していたた
め、製造コストが高くなるという欠点があった。さらに
また、上記酵素は菌体の膜画分に存在していたため、可
溶化等による酵素の抽出操作が必要であった。本発明
は、1,5−AGに特異的に作用する1,5−AGD
H、及びその製造法を提供することを目的とするもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等はこのような
課題を解決するために鋭意研究した結果、土壌より分離
したラフネラ属、エンテロバクター属、セラチア属に属
する微生物より得た酵素が、NAD+ の存在下、1,5
−AGを酸化する反応を触媒し、かつ、その酵素が血中
に存在するグルコース等の糖類と全く反応しない1,5
−AGDHであること、及びこれらの微生物を培養する
場合、培地に1,5−AGを含有させなくても、1,5
−AGDHを生産できることを見い出し、本発明に到達
した。
【0005】すなわち、本発明は、以下の(1)から
(6)の理化学的性質を有する1,5−AGDH、及び
その1,5−AGDH生産能を有する菌株を培養し、培
養物から1,5−AGDHを採取することを特徴とする
1,5−AGDHの製造法を要旨とするものである。 (1)作用:電子受容体の存在下、1,5−AGを酸化
する。 (2)分子量:約6万5千〜7万(ゲルろ過クロマトグ
ラフィー法) (3)基質特異性:1,5−AGに特異的に作用する。
D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、
D−アラビノース、D−キシロース、D−フルクトー
ス、マルトース、ラクトースに全く作用しない。 (4)至適pH:8.5(温度30℃) (5)安定pH:6.0〜7.5 (6)作用適温の範囲:20〜40℃(リン酸緩衝液p
H6.0)
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明に用いる微生物は上記1,5−AG
DHを産生し得るものであって、その種類には特に限定
はないが、例えば、ラフネラ属、エンテロバクター属、
セラチア属に属する微生物が挙げられる。これらの微生
物の中でも、好適な例として、ラフネラ・アクアティリ
ス474、エンテロバクター・クロアカエ340、セラ
チア・マルセッセンス825が挙げられる。以下に、ラ
フネラ・アクアティリス474、エンテロバクター・ク
ロアカエ340、セラチア・マルセッセンス825の菌
学的性質を以下に示す。
【0008】 試験項目 試験結果 菌 株 474 340 825 形態 桿菌 桿菌 桿菌 グラム染色性 − − − 胞子 − − − 運動性 + + + 酸素に対する態度 通性嫌気性 通性嫌気性 通性嫌気性 オキシダーゼ − − − カタラーゼ + + + OF F F F 乳糖からのガスの生成 + + − 集落の色調 NP NP NP (NP:特徴的集落色素を生成せず)
【0009】上記性状試験の結果から、いずれの菌株も
腸内細菌であることが示唆されたので、自動細菌検査装
置ATB Expression(ビオメリュー)による同定試験を行
った。なお、試験には腸内細菌同定キットID 32E(ビオ
メリュー)を用いた。
【0010】 試験項目 試験結果 菌 株 474 340 825 オルニチンデカルボキシラーゼ − + + アルギニンジヒドラーゼ − + − ウレアーゼ − − − 酸の生成 L−アラビトール − − − D−ガラクツロン酸 + + − 5−ケトグルコン酸カリウム + − + リパーゼ ? − + 酸の生成 ピルビン酸ナトリウム − − − β−グルコシダーゼ + + + 酸の生成 D−マンニトール + + + D−マルトール + + + インドールの生成 − − − N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ − − + β−ガラクトシダーゼ + + + 酸の生成 グルコース + + + シュークロース + + − L−アラビノース + + − D−アラビトール − − − α−グルコシダーゼ − − − α−ガラクトシダーゼ + + − 酸の生成 トレハロース + + + L−ラムノース + + − イノシトール − + + アドニトール − − + パラチノース − + − β−グルクロニダーゼ + − − 酸の生成 D−セロビオース + + − D−ソルビトール + + + α−マルトシダーゼ − ? − マロン酸塩の利用 + + − L−アスパラギン酸アリルアミダーゼ − − + (?:判定保留)
【0011】菌学的性質から、バージィのマニュアル・
オブ・システマティック・バクテリオロジー(Bargey's
mannual of Systematic Bacteriology )に基き検索し
た結果、474株、340株、825株は、それぞれラ
フネラ・アクアティリス、エンテロバクター・クロアカ
エ、セラチア・マルセッセンスに属する細菌と判明し、
それぞれラフネラ・アクアティリス474、エンテロバ
クター・クロアカエ340、セラチア・マルセッセンス
825と命名し、平成9年3月26日に通産省工業技術
院生命工学工業技術研究所に寄託した。その寄託番号は
それぞれ、FERM P−16158、FERM P−
16157、FERM P−16159である。
【0012】本発明における微生物を培養する際に用い
られる栄養培地は、炭素源として、1,5−AG、グリ
セロール、コハク酸、グルコース、シュークロース、マ
ルトース、ラクトース等が使用できるので、高価な1,
5−AGは必ずしも使用しなくてもよい。窒素源として
は、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等の無機窒
素、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カザミノ酸、コ
ーンスチープリカー等の有機窒素が使用できる。無機塩
類としては、カリウム、ナトリウム、亜鉛、鉄、マグネ
シウム、マンガン等の各塩類、必要に応じて微量金属
塩、ビタミン類等を使用してもよい。
【0013】培養は通常、微好気的な条件下で行う。培
養温度は20〜40℃、好ましくは25〜37℃、最適
には30℃で行う。このような条件下で10〜80時
間、好ましくは20〜70時間培養することにより、菌
体内に1,5−AGDHが生成、蓄積される。本発明で
は、1,5−AGDHが菌体内に蓄積されるので、菌体
の膜画分から抽出するよりも、容易に、効率よく、1,
5−AGDHを抽出することができる。
【0014】本発明の1,5−AGDHを得るために
は、まず、例えば、上記のごとく微生物を培養し、培養
終了後、遠心分離や濾過等の操作で培養液から菌体を回
収する。次に、菌体から粗酵素液を抽出し、精製すれば
よい。具体的には、酵素の抽出法は、自己消化、超音波
破砕、フレンチプレス、界面活性剤処理、リゾチーム処
理等いずれの方法を用いてもよく、こうした処理後、遠
心分離により細胞片を除去し、粗酵素液が得られる。粗
酵素液は、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニテ
ィークロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲ
ル濾過クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーを組
み合わせ、処理することにより、本発明の1,5−AG
DHを精製することができる。
【0015】イオン交換樹脂としては、Q−セファロー
スFF(ファルマシア社製)、DEAE−セファロース
(ファルマシア社製)等が挙げられる。アフィニティー
クロマト用樹脂としては、ブルーセファロースCL−6
B、レッドセファロースCL−6B(ファルマシア社
製)等やプロシオンブルーH−ERD(ICI社製)、
または、チバクロンイエローHE−3G(チバガイギー
社製)等のトリアジン色素から作製した樹脂が用いられ
る。疎水クロマト用樹脂としては、オクチル−セファロ
ースCL−4B(ファルマシア社製)等が挙げられる。
ゲル濾過用担体または樹脂としては、セファデックスG
−100等が挙げられる。
【0016】また、これらのカラムクロマトグラフィー
に加え、硫酸ストレプトマイシンや硫酸プロタミン処理
による除核酸、硫酸アンモニウム処理によるタンパク質
の塩析を行ってもよい。
【0017】このようにして得られた1,5−AGDH
の理化学的性質を以下に示す。 (1)作用:電子受容体の存在下、1,5−AGを酸化
する。 本発明で用いられる電子受容体としては、1,5−AG
を脱水素による酸化反応に関与するものであれば特に制
限はなく、例えば、酸素、フェナンジンメトサルフェー
ト、ジクロルフェノールインドフェノール、フェリシア
ン化カリウム、フェリシアン化ナトリウム等のフェリシ
アン化化合物、チトクロムC、NAD+、NADP+
FMNなどの補酵素が挙げられる。電子受容体としてN
AD+ またはNADP+ を用いた場合には、生成したN
ADHまたはNADPHを基質としてニトロブルーテト
ラゾリウム等のテトラゾリウム塩や2,6−ジクロロフ
ェノールインドフェノール等を還元発色させ、可視部で
測定することもできる。 (2)分子量:約6万5千〜7万(ゲルろ過クロマトグ
ラフィー法) (3)基質特異性:1,5−AGに特異的に作用する。
D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、
D−アラビノース、D−キシロース、D−フルクトー
ス、D−ソルビトース、キシリトール、ミオイノシトー
ル、マルトース、ラクトースに全く作用しない。 (4)至適pH:8.5(温度30℃) (5)安定pH:6.0〜7.5 (6)作用適温の範囲:20〜40℃(リン酸緩衝液p
H6.0)
【0018】なお、活性の測定は、400mMの1,5−
AG、10mMのNAD+ 、50μMのニトロテトラゾ
リウムブルー及び10U/mlのジアホラーゼ(Bacill
us stearothermophilus 由来、生化学工業社製)を含む
0.2Mのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)に酵素溶液
を加え、緩やかに混和した後、分光光度計で550nm
における吸光度変化を測定した。測定は、30℃で行っ
た。1分間に1マイクロモルのフォルマザンを生成する
酵素量を1単位(U)とした。
【0019】本発明の1,5−AGDHは、1,5−A
Gに特異的に作用し、血液等の体液中に存在する他の糖
類、例えば、D−グルコース、D−マンノース、D−ガ
ラクトース、D−アラビノース、D−キシロース、D−
フルクトース、D−ソルビトース、キシリトール、ミオ
イノシトール、マルトース、ラクトース等には全く作用
しないので、体液を試料とした1,5−AGの測定にお
いて、測定誤差が生じにくい。このため、体液を試料と
した1,5−AGの測定用試薬に好適に利用できる。
【0020】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、%はいずれも重量%を表す。
【0021】実施例1 グリセロール0.5%、ペプトン5.0%、酵母エキス
0.05%、リン酸水素二カリウム0.1%、硫酸マグ
ネシウム・七水和物0.025%、pH7.0よりなる
培地18リットルを30リットル容のジャーファーメン
ターに仕込み、121℃で15分間滅菌した後、ラフネ
ラ・アクアティリス474(FERMP−16158)
を接種した。30℃で60時間、100rpmで撹拌
し、通気しない条件下培養し、遠心分離により約180
gの湿菌体を得た。得られた菌体は凍結で保存した。次
に、凍結菌体約100gをEDTA及び2−メルカプト
エタノールを2mMずつ含む25mMリン酸緩衝液(p
H8.0)500mlに懸濁し、超音波処理により、菌
体を破砕後、遠心分離により細胞片を除去し、1,5−
AGDHを含む粗酵素液を得た。この粗酵素液を25m
Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したDEAE−
セファロース−FFカラム(ファルマシア社製)に通
じ、KClの濃度勾配により溶出せしめると、KCl濃
度0.15〜0.2Mで1,5−AGDH活性画分を得
た。続いて、得られた画分を25mMリン酸緩衝液(p
H7.0)で平衡化したブルーセファロースCL−6B
カラム(ファルマシア社製)に通じ、KClの濃度勾配
により溶出せしめると、KCl濃度0.4〜0.5Mに
1,5−AGDH活性画分を得た。このようにして得ら
れた1,5−AGDHの収率は約40%で、酵素蛋白質
1mg当たり約20単位の比活性を示し、その精製度は
粗酵素液を1とすると約300倍であった。
【0022】得られた1,5−AGDHは、スーパーロ
ース(ファルマシア社製)ゲル瀘過クロマトグラフィー
により分子量を測定したところ、6万5千〜7万であっ
た。また、得られた1,5−AGDHは、D−グルコー
ス、D−マンノース、D−ガラクトース、D−アラビノ
ース、D−キシロース、D−フルクトース、D−ソルビ
トース、キシリトール、ミオイノシトール、マルトー
ス、ラクトースには全く作用しなかった。さらに、pH
6〜7.5で安定で、pH8.5で最大の活性を示し
た。
【0023】実施例2 実施例1と同様の培地、条件により、エンテロバクター
・クロアカエ340(FERM P−16157)を培
養し、約390gの湿菌体を得た。得られた菌体は、凍
結で保存した。次に、これらの菌体から実施例1と同様
の方法で粗抽出液を得た。さらに、実施例と同様の方法
で粗抽出液から精製酵素標品を得た。このようにして得
られた1,5−AGDHの収率は約30%で、酵素蛋白
質1mg当たり約20単位の比活性を示し、その精製度
は粗酵素液を1とすると約200倍であった。また、得
られた1,5−AGDHは、請求項1記載の性質を示し
た。
【0024】実施例3 実施例1と同様の培地、条件により、セラチア・マルセ
ッセンス825(FERM P−16159)を培養
し、約410gの湿菌体を得た。得られた菌体は、凍結
で保存した。次に、これらの菌体から実施例1と同様の
方法で粗抽出液を得た。さらに、実施例と同様の方法で
粗抽出液から精製酵素標品を得た。このようにして得ら
れた1,5−AGDHの収率は約25%で、酵素蛋白質
1mg当たり約45単位の比活性を示し、その精製度は
粗酵素液を1とすると約250倍であった。また、得ら
れた1,5−AGDHは、請求項1記載の性質を示し
た。
【0025】
【発明の効果】本発明の1,5−AGDHは、1,5−
AGに特異的に作用するので、1,5−AGの測定用試
薬に利用可能であり、特に、血液等の体液中に存在する
他の糖類には全く作用しないので、体液中の1,5−A
Gの測定においても誤差が生じにくく、体液を試料とす
る1,5−AGの測定用試薬としても好適に利用でき
る。また、本発明の製造法は、1,5−AGに特異的に
作用する1,5−AGDHを安価に、効率よく、生産す
ることができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の理化学的性質を有する1,5−ア
    ンヒドログルシトール脱水素酵素。 (1)作用:電子受容体の存在下、1,5−アンヒドロ
    グルシトールを酸化する。 (2)分子量:約6万5千〜7万(ゲルろ過クロマトグ
    ラフィー法) (3)基質特異性:1,5−アンヒドログルシトールに
    特異的に作用する。D−グルコース、D−マンノース、
    D−ガラクトース、D−アラビノース、D−キシロー
    ス、D−フルクトース、マルトース、ラクトースに全く
    作用しない。 (4)至適pH:8.5(温度30℃) (5)安定pH:6.0〜7.5 (6)作用適温の範囲:20〜40℃(リン酸緩衝液p
    H6.0)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の1,5−アンヒドログル
    シトール脱水素酵素の生産能を有する微生物を培養し、
    培養物から請求項1記載の1,5−アンヒドログルシト
    ール脱水素酵素を採取することを特徴とする1,5−ア
    ンヒドログルシトール脱水素酵素の製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の1,5−アンヒドログル
    シトール脱水素酵素の生産能を有する微生物が、ラフネ
    ラ(Rahnella)属に属する微生物である請求項2記載の
    製造法。
  4. 【請求項4】 ラフネラ属に属する1,5−アンヒドロ
    グルシトール脱水素酵素の生産能を有する微生物が、ラ
    フネラ・アクアティリス(Rahnella aquatitlis )47
    4(FERM P−16158)である請求項3記載の
    製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の1,5−アンヒドログル
    シトール脱水素酵素の生産能を有する微生物が、エンテ
    ロバクター(Enterobacter)属に属する微生物である請
    求項2記載の製造法。
  6. 【請求項6】 エンテロバクター属に属する1,5−ア
    ンヒドログルシトール脱水素酵素の生産能を有する微生
    物が、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter c
    loacae)340(FERM P−16157)である請
    求項5記載の製造法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の1,5−アンヒドログル
    シトール脱水素酵素の生産能を有する微生物がセラチア
    (Serratia)属に属する微生物である請求項2記載の製
    造法。
  8. 【請求項8】 セラチア属に属する1,5−アンヒドロ
    グルシトール脱水素酵素の生産能を有する微生物が、セ
    ラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens )82
    5(FERM P−16159)である請求項7記載の
    製造法。
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