JP2680686B2 - プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの製造方法 - Google Patents

プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの製造方法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナー
ゼの製造方法に関するものである。
本発明による酵素、プトレッシン:ピルビン酸トラン
スアミナーゼは、L−アラニンの合成、また、微量のプ
トレッシン、ピルビン酸、4−アミノブタナール及びL
−アラニンの定量等に使用される。さらに、ポリアミン
を分析定量する用途にも使用される。例えば、生体試料
中のポリアミンを分析し、その増減で腫瘍の発生等の診
断に使用出来る。
[従来の技術] プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼは次の
反応を触媒する酵素である。
プトレッシン+ピルビン酸 4−アミノブタナール+L−アラニン 従来、プトレッシンに作用するトランスアミナーゼの
製造方法としては、ジャーナル・オブ・バイオロジカル
・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、239巻、783頁(1964
年)に記載のジアミン:α−ケトグルタル酸トランスア
ミナーゼをエシェリヒア・コリーB(Escherichia coli
B)なる細菌から製造する方法、アグリカルチャラル・
バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Chem.)、
43巻、1043頁(1979年)に記載のω−アミノ酸:ピルビ
ン酸トランスアミナーゼをシュードモナス(Pseudomona
s)属のF−126なる細菌から製造する方法、さらにジャ
ーナル・オブ・バクテリオロジー(J.Bacteriol.)、12
8巻、722頁(1976年)に記載のγ−アミノ酪酸:α−ケ
トグルタル酸トランスアミナーゼをシュードモナス・ア
エルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)なる細菌から製
造する方法が知られている。
[発明が解決しようとする問題点] プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼは、L
−アラニンの合成、また、微量のプトレッシン、ピルビ
ン酸、4−アミノブタナール及びL−アラニンの定量等
に使用することが期待される。さらに、ポリアミンを分
析定量する用途にも使用される。しかしそれらの目的に
使用するためには、従来から知られているトランスアミ
ナーゼの製造方法及びそれらの製造方法から得られるト
ランスアミナーゼは次に示すような欠点を有していた。
即ち、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ
ー、239巻、783頁(1964年)に記載のエシェリヒア・コ
リーB由来のジアミン:α−ケトグルタル酸トランスア
ミナーゼは、スペルミジンやスペルミンのようなポリア
ミンに対して作用しないので、ポリアミン定量の目的に
は不適当である。また、保存安定性の面でも工業的に該
酵素を供給するに充分なものではない。また、アグリカ
ルチャラル・バイオロジカル・ケミストリー、43巻、10
43頁(1979年)に記載のシュードモナス属細菌F−126
由来のω−アミノ酸:ピルビン酸トランスアミナーゼも
スペルミジンやスペルミンに対して作用しない。
ジャーナル・オブ・バクテリオロジー、128巻、722頁
(1976年)に記載のシュードモナス・アエルギノサ由来
のγ−アミノ酪酸:α−ケトグルタル酸トランスアミナ
ーゼがプトレッシン、スペルミジンやスペルミンに作用
する酵素として知られているが、L−リジンやL−オル
ニチオンに対しても作用するために試料中のポリアミン
量が正確に測定できないという問題点があった。
さらにこれらの酵素ではプトレッシンやピルビン酸に
対するKm値が大きく、微量のプトレッシンやピルビン酸
に対して反応速度が遅いという欠点を有していた。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは、かかる従来の欠点を解決すべく鋭意研
究した結果、ストレプトミセス属に属する微生物がプト
レッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼを多く産生す
ることを見出し、かつまたそれらの微生物の培養物から
得られるプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼ
は、L−オルニチン、L−リジンには作用せず、プトレ
ッシン、スペルミジン、スペルミンに作用し、かつプト
レッシンに対するKm値が従来の酵素のKm値の1/10程度で
あり、さらに熱安定性が高いことを見出し本発明を完成
するに至った。
即ち、本発明はストレプトミセス属に属し、プトレッ
シン:ピルビン酸トランスアミナーゼ生産能を有する微
生物を培養し、その培養物からプトレッシン:ピルビン
酸トランスアミナーゼを採取することを特徴とするプト
レッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの製造方法で
ある。
本発明に使用される微生物はストレプトミセス属に属
し、プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの生
産能を有するものであれば既知の菌株、自然界から新た
に分離された菌株及びこれらの変異株のいずれでも使用
することができる。さらに、これらのストレプトミセス
属に属し、プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナー
ゼの生産能を有する微生物からプトレッシン:ピルビン
酸トランスアミナーゼをコードする遺伝子を単離し、そ
の遺伝子を同属あるいは他の属に属する微生物内にて発
現させるように導入して得られるプトレッシン:ピルビ
ン酸トランスアミナーゼ生産菌も使用することができ
る。
本発明のプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナー
ゼの製造方法は、プトレッシン:ピルビン酸トランスア
ミナーゼの生産能のあるストレプトミセス属に属する微
生物の培養物からプトレッシン:ピルビン酸トランスア
ミナーゼを採取する方法であるが、ストレプトミセス属
に属する微生物としては例えば、ストレプトミセス・ア
ベラニウスR−20(Streptomyces avellaneus R−20,微
工研菌寄第5443号)、ストレプトミセス・ヒグロスコピ
クス(Streptomyces hygroscopicus IFO 13472)、スト
レプトミセス・オリボクロモゲネス(Streptomyces oli
vochromogenes IFO 3178)、ストレプトミセス・グリシ
ウス(Streptomyces griseus IFO 12875)、ストレプト
ミセス・ケーリカラー(Streptomyces coelicolor IFO
12854)、ストレプトミセス・ビオラセオルーバ(Strep
tomyces violaceoruber IFO 12826)、ストレプトミセ
ス・フラジエ(Streptomyces fradiae IFO 12773)、ス
トレプトミセス・バーティシラタス(Streptomyces ver
ticilatus ATCC 13495)、ストレプトミセス・ラベンジ
ュレ(Streptomyces lavendulae IFO 12789)、ストレ
プトミセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces virid
ochromogenes IFO 13347)、ストレプトミセス・アルブ
ス(Streptomyces albus IFO 13014)等が挙げられる。
生産菌の培養に使用する培地としてはグルコース、糖
蜜、可溶性でんぷん等の炭素源、肉エキス、酵母エキ
ス、ポリペプトン等の窒素源、及びリン酸第一カリウ
ム、リン酸第二カリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネ
シウム等の無機塩類を含有するものであれば特に限定さ
れないが、これらの成分の他にアセチルプトレッシン、
ベンゾイルプトレッシン等のアシルポリアミンやプトレ
ッシン、スペルミジン、ジアミノプロパン、又はカルジ
ン等のポリアミンを含有させることが該酵素の生産性を
高める上において有利である。
本発明のプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナー
ゼを生産する生産菌を培養する際の培養条件としては、
通気撹漿条件下で培養温度が15〜40℃の範囲、好ましく
は20〜35℃の範囲で培養する方法が好適である。培養時
のpH条件は、5.0〜9.0の範囲で、好ましくはpH6.0〜8.0
の範囲が適当である。培養時間は、特に限定されないが
酵素の生産性等の経済性を考慮すると増殖の後期に達す
る時間から休止状態に入ってから10時間以内の範囲が適
当である。
培養によって得られた培養物から培養液と菌体とを分
離する方法としては、従来から行われている遠心分離法
や濾過等の方法が使用出来るが、遠心分離の方法が好適
である。
本発明のプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナー
ゼの分離精製は、次の様にして行うことが出来る。
菌体内に蓄積された該酵素を菌体から抽出する方法と
しては、従来から行われている超音波による菌体破砕、
あるいはガラス・ビーズと共に回転させるダイノミル細
胞破砕機による菌際破砕又は、リゾチーム等の酵素やト
ルエン等の有機溶媒による細胞膜の破壊等の方法が挙げ
られる。これらの中から適当な方法を選択して菌体から
酵素の抽出を行うことにより、酵素を採取することが出
来る。
これらの方法で抽出された粗酵素液からプトレッシ
ン:ピルビン酸トランスアミナーゼをさらに精製する必
要がある場合には、通常実施されている一般的な酵素の
精製手段である硫酸アンモニウム沈澱法、イオン交換カ
ラムクロマトグラフィー法、ゲル濾過法、ヒドロキシア
パタイト・カラムクロマトグラフィー法、アフィニティ
ークロマトグラフィー法、調製用電気泳動法等の方法を
適宜組み合わせるか、あるいは繰り返すことによって精
製を行うことが出来る。
また、本発明によるプトレッシン:ピルビン酸トラン
スアミナーゼの高い耐熱性を利用して、熱処理により夾
雑タンパク質を変性させた後分離除去する方法も精製の
有効な手段となり得る。
本発明により得られたプトレッシン:ピルビン酸トラ
ンスアミナーゼは、以下の理化学的性質を有する。
作用 次式に示す通り、アミノ基供与体であるプトレッシン
とアミノ基受容体であるピルビン酸に作用して、4−ア
ミノブタナールとL−アラニンを生成するアミノ基転移
反応、及びその逆反応を触媒する。
NH2(CH24NH2+CH3COCOOH NH2(CH23CHO+CH3CH(NH2)COOH 基質特異性 (1)アミノ基供与体 プトレッシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミ
ンに対して作用し、L−リジン、L−オルニチンに対し
ては、作用を示さない。
(2)アミノ基受容体 ピルビン酸、グリオキシル酸に対して作用し、α−ケ
トグルタル酸に対しては作用しない。
これらのアミノ基供与体及びアミノ基受容体に対する
作用の強さを、それぞれプトレッシン及びピルビン酸に
対する作用を100とした相対活性値で第1表に示す。
至適pH pH9.5〜10.5(第1図に示す) pH安定性 30℃で1時間保存した時、pH4.5〜13.0に
おいて90%以上の残存活性を有する。(第2図に示す) また、本発明のプトレッシン:ピルビン酸トランスア
ミナーゼが有するその他の理化学的性質は以下の通りで
ある。
1.至適温度 pH10.5、30分間の反応において、55−60℃
である。(第3図に示す) 2.温度安定性 pH7.5、1時間の処理条件下において、7
0℃までの温度で90%以上の残存活性を有する。また、8
0℃、1時間の処理で完全に失活する。(第4図に示
す) 3.分子量 192,000±5,000 (バイオシルTSK−250;東ソー社製によるゲル濾過法で
測定) 4.サブユニットの分子量 48,000±5,000 (SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定) 5.サブユニットの数 4個 6.Km値 プトレッシンとピルビン酸を基質として、PH1
0.5、30℃の条件下で求めたプトレッシンに対するKm値
は0.2mMであり、ピルビン酸に対するKm値は1.0mMであ
る。
7.補酵素 ピリドキサルリン酸 8.吸収スペクトル 280nm及び416nmに吸収極大を持つ。
(第5図に示す) 9.阻害剤 種々の試薬及び金属イオンの濃度1mMでの本
発明の酵素に対する影響を第2表に示す。ヒドロキシル
アミン、フェニルヒドラジン、D−シクロセリンなどの
ピリドキサルリン酸を補酵素とする酵素阻害剤により強
く阻害を受ける。また、パラクロロメルクリ安息香酸、
銀イオン、水銀イオンにより強く阻害される。
本発明によるプトレッシン:ピルビン酸トランスアミ
ナーゼと従来から知られている、プトレッシンに作用し
得るトランスアミナーゼの理化学的性質を比較した結果
を第3表に示す。
第3表における従来のトランスアミナーゼとは、ジャ
ーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Bio
l.Chem.)、239巻、783頁(1964年)に記載のエシェリ
ヒア・コリーB(Escherichia coli B)由来のジアミ
ン:α−ケトグルタル酸トランスアミナーゼ、アグリカ
ルチャラル・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Bi
ol.Chem.)、43巻、1043頁(1979年)に記載のシュード
モナス(Pseudomonas)属細菌F−126由来のω−アミノ
酸:ピルビン酸トランスアミナーゼ、さらにジャーナル
・オブ・バクテリオロジー(J.Bacteriol.)、128巻、7
22頁(1976年)に記載のシュードモナス・アエルギノサ
(Pseudomonas aeruginosa)由来のγ−アミノ酪酸:α
−ケトグルタル酸トランスアミナーゼである。
第3表からわかるように、本発明のプトレッシン:ピ
ルビン酸トランスアミナーゼは、従来から知られていた
トランスアミナーゼとは基質特異性を異にする酵素であ
る。
このプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼは
プトレッシン及びピルビン酸に対するKm値がそれぞれ0.
2mM及び1.0mMと低く、微量のプトレッシン及びピルビン
酸に対しても反応が速く進行する。
また、常温で生育する放線菌であるストレプトミセス
属に属する微生物から得られたにも関わらず、70℃、1
時間の熱処理によっても90%以上の残存活性を有すると
いう高い耐熱性を持っている。また、pH4.5〜13.0の広
いpH範囲で安定であるという優れた性質を持っているこ
とも判明した。本発明のプトレッシン:ピルビン酸トラ
ンスアミナーゼが以上のような基質に対する親和性、耐
熱性、pH安定性に優れていることは、工業的にあるいは
臨床検査分野にこの酵素を用いる際に大変有用な性質で
ある。
本発明におけるプトレッシン:ピルビン酸トランスア
ミナーゼの酵素活性測定方法及び酵素活性の表示方法は
以下の通りである。
2mMのプトレッシン、2mMピルビン酸及び0.02%、o−
アミノベンズアルデヒドを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
5)2.0mlとプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナー
ゼを含有する被検体0.2mlを混合し、30℃で30分間〜1
時間反応させた後、直ちに435nmにおける吸光度を測定
する。1分間当りの吸光度の増加量(A)から以下の換
算式(1)を使用して被検体1.0ml当りのプトレッシ
ン:ピルビン酸トランスアミナーゼの酵素活性値を計算
する。酵素活性値は、1分間当り1μmoleの1−ピロリ
ンを生成させる酵素量を1ユニット(μmole/min)とし
て表示する。
本発明によるプトレッシン:ピルビン酸トランスアミ
ナーゼの完全に純化された酵素の比活性値は、約4.5ユ
ニット/mg−タンパクを示す。また、ドデシル硫酸ナト
リウムの存在、非存在下でのポリアクリルアミドゲル電
気泳動法において両者共に単一のタンパクバンドが観測
される。
[効果] 本発明のプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナー
ゼの製造方法は、プトレッシン及びピルビン酸に対する
Km値が低く、また、スペルミジン、スペルミンに対して
も作用し、さらに広い範囲のpHで安定であり、温度安定
性にも優れているという特徴を持つプトレッシン:ピル
ビン酸トランスアミナーゼを提供する。
本発明の製造方法によるプトレッシン:ピルビン酸ト
ランスアミナーゼのこれらの性質は、工業的に、また臨
床検査薬としてこの酵素を使用するに当たって大変有利
なものである。以下、本発明を実施例によってさらに具
体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるも
のではない。
[実施例] 実施例 1 0.5%グルコース、0.4%ポリペプトン、0.5%魚肉エ
キス、0.3%アセチルプトレッシン、0.2%食塩、0.02%
消泡剤から成る培地(pH7.5)1を5の三角フラス
コに入れ、120℃で20分間オートクレーブした後、28℃
下でこの培地にストレプトミセス・アペラニウスR−20
[微工研菌寄 第5443号]を植菌した。28℃で24時間振
とう培養を行った後この培養液を、予め上記と同様の組
成を有する培地150を仕込み滅菌しておいたジャー・
ファーメンターに加えて本培養を行った。培養条件は28
℃、撹拌回転数300rpm、通気100/minで、18時間培養
の後、培養液を遠心分離機にかけて菌体を採取した。
得られた菌体の約2.7Kg(湿菌体重量)を40%エタノ
ールを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)12に懸濁し、
その懸濁液をダイノミル細胞破砕機に連続的に通過させ
て菌体破砕を行った。その破砕液を連続遠心分離機を使
用して遠心分離し、上清液を得た。この上清液中のプト
レッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの総活性は2
2,000ユニット、比活性は0.072ユニット/mg−タンパク
であった。
この上清液を、予め10mMのリン酸緩衝液(pH7.5)に
て平衡化した4のDEAE−セルロース(ワットマン社
製)に加え、1時間撹拌した後40mMの硫酸アンモニウム
を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)15で洗浄した。次
いで、0.5Mの食塩を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)5
で酵素成分を溶出させた。[総酵素活性=15,400ユニ
ット、比活性=0.56ユニット/mg−タンパク] この酵素溶液を限外濾過により脱塩した後、65℃で30
分間熱処理を行い、生じた沈澱を遠心分離により除い
た。[総酵素活性=12,200ユニット、比活性=2.1ユニ
ット/mg−タンパク] こうして得られた酵素液を、予め10mMリン酸緩衝液
(pH7.5)で平衡化しておいた1のDEAE−セルロース
のカラムに通し吸着した。カラムを同様の緩衝液2で
洗浄した後、食塩の直線濃度勾配によりプトレッシン:
ピルビン酸トランスアミナーゼを溶出させた。[総酵素
活性=8,820ユニット、比活性=3.5ユニット/mg−タン
パク] この溶出液を限外濾過により脱塩した後、硫酸アンモ
ニウムを20%となるように添加し、次いで予め20%の硫
酸アンモニウムを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)で平
衡化しておいた0.1のブチルトヨパール650M(東ソー
社製)のカラムに通し、酵素を吸着させた。カラムを同
様のリン酸緩衝液で洗浄した後、硫酸アンモニウムの逆
直線濃度勾配によりプトレッシン:ピルビン酸トランス
アミナーゼを溶出させた。[総酵素活性=7,430ユニッ
ト、比活性=4.4ユニット/mg−タンパク] 得られた酵素溶液を限外濾過により濃縮した後、1.7
のセファクリルS−400(ファルマシア社製)を充填
したカラムに通しゲル濾過を行い活性画分を集めた。
[総酵素活性=7,360ユニット、比活性=4.5ユニット/m
g−タンパク] こうして得られた酵素の純度をドデシル硫酸ナトリウ
ム存在下、及び非存在下でのポリアクリルアミド・ゲル
電気泳動によって調べた結果、両者共に一本のバンドの
みが観察され、純粋なプトレッシン:ピルビン酸トラン
スアミナーゼであることが確認された。
また、本酵素の分子量をバイオシルTSK−250(東ソー
社製)によるゲル濾過法により測定したところ、約192,
000と推定された。さらに、サブユニットの分子量をド
デシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド・ゲル電気
泳動法により測定したところ、約48,000と推定された。
該分子量及びサブユニットの分子量から、本発明の酵素
が4個のサブユニットから構成されるオリゴマー酵素で
あることがわかる。
次に、こうして得られた精製酵素を20mMリン酸緩衝液
(pH7.5)により適当な濃度に希釈して調製した酵素標
品を用いて本酵素の至適pH、pH安定性、至適温度、温度
安定性、及び吸収スペクトルを調べた。
[至適pH] 2mMプトレッシン、2mMピルビン酸を含む0.1M酢酸緩衝
液(pH3.2,4.4,5.7)または0.1Mリン酸緩衝液(pH5.0,
6.0,7.0,7.5)または0.1Mトリス(ヒドロキシメチル)
アミノメタン−塩酸緩衝液(pH7.0,8.2,9.2)または0.1
M炭酸緩衝液(pH9.0,9.4,10.6,11.7)または0.1M四ホウ
酸緩衝液(pH10.5,11.4,12.1,13.0)1.8mlに0.2mlの酵
素標品(0.002ユニット)を添加混合し、30℃下で30分
間反応を行った。この反応溶液1.0mlに20%トリクロロ
酢酸水溶液を0.2ml加え、0℃下で20分間放置した。次
いで、0.02%o−アミノベンズアルデヒドを含む0.5Mリ
ン酸緩衝液(pH7.5)1.0mlを加えて室温で30分間放置し
た後、435nmに於ける吸光度を測定し、それぞれの酵素
活性値を算出した。以上の操作の後、最高の酵素活性値
を100%とした相対活性(Relative activity)を算出
し、グラフ化して第1図を得た。第1図より、本酵素の
至適pHは9.5〜10.5の範囲にあることがわかる。
[pH安定性] 50mM酢酸緩衝液(pH3.5,4.5,5.5,5.9)または50mMリ
ン酸緩衝液(pH5.6,6.2,6.7,7.5,8.3)または50mMトリ
ス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液(pH
7.6,8.1,8.9)または50mMホウ酸緩衝液(pH8.2,9.3,9.
9)または50mM炭酸緩衝液(pH9.4,10.6,11.7)または50
mM四ホウ酸緩衝液(pH10.8,12.7,13.2,13.7)0.95mlと
酵素標品0.05ml(50ユニット)を混合し、30℃で1時間
放置した後、各溶液0.02mlを20mMリン酸緩衝液(pH7.
5)1.98mlを混合した。この酵素溶液0.2mlを2mMプトレ
ッシン、2mMピルビン酸及び0.02%o−アミノベンズア
ルデヒドを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)2.0mlに
加えて、30℃で1時間反応させた後直ちに435nmにおけ
る吸光度を測定し、それぞれの酵素活性値を算出した。
以上の操作の後、最高の酵素活性値を100%とした相対
活性を算出し、グラフ化して第2図を得た。第2図から
明らかなように、本酵素はpH4.5〜13.0の範囲において9
0%以上の残存活性を有している。
[至適温度] 25mMプトレッシン及び25mMピルビン酸を含む0.1M炭酸
緩衝液(pH10.5)1.8mlと0.2mlの酵素標品(0.013ユニ
ット)を混合し、30,39,44,50,56,60,68,79℃の各温度
下において30分間反応させた。各反応溶液1mlに20%ト
リクロロ酢酸溶液0.2mlを加え、0℃下で20分間放置し
た。次いで、0.02%のo−アミノベンズアルデヒドを含
む0.5Mリン酸緩衝液(pH7.5)1.0mlを加えて室温で30分
間放置した後、435nmに於ける吸光度を測定し、それぞ
れの酵素活性値を算出した。以上の操作の後、最高の酵
素活性値を100%とした相対活性を算出し、グラフ化し
て第3図を得た。第3図より、本酵素の至適温度が55〜
60℃であることがわかる。
[温度安定性] 25mMリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈した酵素標品(0.0
34ユニット/ml)を4,30,40,50,60,70,75,80℃の各温度
で1時間放置した。この酵素溶液0.2mlを2mMプトレッシ
ン、2mMピルビン酸及び0.02%o−アミノベンズアルデ
ヒドを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)2.0mlに加え
て、30℃で1時間反応させた後直ちに435nmにおける吸
光度を測定し、それぞれの酵素活性値を算出した。以上
の操作の後、最高の酵素活性値を100%とした相対活性
を算出し、グラフ化して第4図を得た。第4図から明ら
かなように、本酵素は70℃までの温度において90%以上
の残存活性を有している。
[吸収スペクトル] 精製酵素を20mMリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈して調
製した酵素標品−(a)(180μg/ml)を用いて、紫外
部領域での吸収スペクトルを測定して第5図−(a)を
得た。同様にして調製した酵素標品−(b)(910μg/m
l)を用いて、可視部領域での吸収スペクトルを測定し
て第5図−(b)を得た。第5図より、本酵素が280n
m、416nmに吸収極大を有することがわかる。
実施例 2−12 0.5%グルコース、0.4%ポリペプトン、0.3%酵母エ
キス、0.3%プトレッシン、0.2%食塩、から成る培地
(pH7.5)各10mlを大型試験管に分注し、120℃で15分間
オートクレーブしたものに、第4表に示す各種の微生物
を斜面培養から1白金耳接種し、28℃で48時間振とう培
養した。培養終了後、遠心分離により菌体を集め、10mM
リン酸緩衝液(pH7.5)5mlで洗浄した後、10mMリン酸緩
衝液(pH7.5)5mlに懸濁して氷冷下で超音波処理(70W,
5分間)した。この超音波処理液を遠心分離して酵素抽
出液を得た。こうして得られた酵素抽出液中には、プト
レッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼのみならずプ
トレッシンオキシダーゼの存在が考えられる。プトレッ
シンオキシダーゼの作用による1−ピロリン生成量を差
し引くために以下に示すように2段階の活性測定を行っ
た。
まず、酵素抽出液0.2mlを2mMプトレッシン、2mMピル
ビン酸及び0.02%o−アミノベンズアルデヒドを含有す
る0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)2.0mlに加えて30℃で30分
間反応させた後、直ちに435nmにおける吸光度を測定
し、1分間当りの吸光度増加量(B)を求めた 次に、酵素抽出液0.2mlを2mMプトレッシン及び0.02%
o−アミノベンズアルデヒドを含有する0.1Mリン酸緩衝
液(pH7.5)2.0mlに加えて30℃で30分間反応させた後、
直ちに435nmにおける吸光度を測定し、1分間当りの吸
光度増加量(C)を求めた。
B値からC値を差し引いて正味の1分間当りの吸光度
増加量を求め、(1)式により酵素活性を算出した。酵
素抽出液中の酵素活性を元の培養液1ml当りに換算した
値を、培地1ml当りの活性として第4表に示した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のプトレッシン ピルビン酸トランス
アミナーゼのpH活性曲線(○……酢酸緩衝液、△……リ
ン酸緩衝液、□……トリス−塩酸緩衝液、●……炭酸緩
衝液、▲……四ホウ酸緩衝液)を示し、第2図は同じく
pH安定性(○……酢酸緩衝液、△……リン酸緩衝液、□
……トリス−塩酸緩衝液、●……ホウ酸緩衝液、▲……
炭酸緩衝液、■……四ホウ酸緩衝液)であり、第3図は
温度活性曲線を、第4図は温度安定性を、第5図は
(a)が紫外部領域での、(b)が可視部領域での吸収
スペクトルをそれぞれ示すものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ストレプトミセス属に属し、プトレッシ
    ン:ピルビン酸トランスアミナーゼ生産能を有する微生
    物を培養し、その培養物からプトレッシン:ピルビン酸
    トランスアミナーゼを採取することを特徴とするプトレ
    ッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの製造方法。
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