JP2713783B2 - 高感度測定法 - Google Patents

高感度測定法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はプトレッシン及び/またはカダベリンも極め
て感度よく定量する新規な方法に関するものであり、生
体内の各臓器の様子についての検査に対しても有効であ
り、例えば臨床検査などの医療の分野において広く利用
することができる。
[従来の技術] 従来、プトレッシンやカダベリンの定量には高速液体
クロマトグラフ装置を用いる方法や酵素的比色定量法あ
るいは化学発光を利用する方法が用いられてきた。
[発明が解決しようとする課題] 近年、分析化学の一つの命題ともいうべき微量試料を
精度よく測定する方法の開発が盛んに行われてきてお
り、医学上重要な代謝成分であるプトレッシンやカダベ
リンの極微量定量についてもその測定法の開発が望まれ
ていた。高感度測定法は蛍光測定、発光測定などの種々
の方法が開発されているが、検体が体液のような場合、
体液中に含まれる物質により盲検値が上昇したりクエン
チングによる誤差が生じやすい。高速液体クロマトグラ
フィーや酵素的比色定量法では定量限界はたかだか約1
μMである。また化学発光法ではnM領域の測定が可能で
あるが、測定に特殊な装置が必要であるという欠点を有
していた。
一方、酵素サイクリング法の原理そのものは従来より
知られていた方法である(生化学実験講座5、酵素研究
法、上、121−135、日本化学会編、東京化学同人)がプ
トレッシンやカダベリンの微量分析に応用した技術とし
ては知られていなかった。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、上記従来の欠点を解決すべく鋭意研究
した結果、プトレッシントランスアミナーゼを従来の酵
素的定量系に基質と共に添加し作用させることによって
酵素サイクリングを形成し、実際の測定対象である過酸
化水素とアンモニア及α−ケト酸を増幅発生させること
ができることを見出して、本発明を完成させるに至っ
た。
即ち、本発明はプトレッシン及び/またはカダベリン
に、プトレッシントランスアミナーゼとアミノ基供与体
及びポリアミンの酸化酵素を作用させて、酵素サイクリ
ング法による増幅反応を行い、生じたサイクリング反応
生成物を測定することを特徴とするプトレッシン及び/
またはカダベリンの高感度測定法である。
本発明に使用されるプトレッシントランスアミナーゼ
とはプトレッシンやカダベリンが酸化されて生成したω
−アミノアルキルアルデヒドにアミノ基を転移させ、プ
トレッシンやカダベリンを再生させる酵素をいい、酵素
サイクリング系を成立させるために必要な酵素である。
そのような酵素として、以下に示すように従来から知ら
れていたいくつかのプトレッシントランスアミナーゼが
ある。即ち、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミ
ストリー、239巻、783頁(1964年)に記載のエシェリヒ
ア・コリーB由来のジアミン:α−ケトグルタル酸トラ
ンスアミナーゼやアグリカルチャラル・バイオロジカル
・ケミストリー、43巻、1043頁(1979年)に記載のシュ
ードモナス属細菌F−126由来のω−アミノ酸:ピルビ
ン酸トランスアミナーゼあるいはジャーナル・オブ・バ
クテリオロジー、128巻、722頁(1976年)に記載のシュ
ードモナス・アエルギノサ由来のγ−アミノ酪酸:α−
ケトグルタル酸トランスアミナーゼである。
これらのプトレッシントランスアミナーゼを使用する
こともできるが、酵素のKm値やpH安定性,熱安定性等の
点で優れている特願平1−45416号に記載のプトレッシ
ン:ピルビン酸トランスアミナーゼを用いる方が有利で
ある。
以下にプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼ
について詳しく述べる。
作用 次式に示す通り、アミノ基供与体であるプトレッシン
とアミノ基受容体であるピルビン酸に作用して、4−ア
ミノブタナールとL−アラニンを生成するアミノ基転移
反応、及びその逆反応を触媒する。
NH2(CH24NH2+CH3COCOOH NH2(CH23CHO+CH3CH(NH2)COOH 基質特異性 (1)アミノ基供与体 プトレッシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミ
ンに対して作用し、L−リジン、L−オルニチンに対し
ては、作用を示さない。
(2)アミノ基受容体 ピルビン酸、グルオキシル酸に対して作用し、α−ケ
トグルタル酸に対しては作用しない。
これらのアミノ基供与体及びアミノ基受容体に対する
作用の強さを、それぞれプトレッシン及びピルビン酸に
対する作用を100とした相対活性値で第1表に示す。
至適pH pH9.5〜10.5(第1図に示す) pH安定性 30℃で1時間保存した時、pH4.5〜13.0に
おいて90%以上の残存活性を有する。(第2図に示す) また、プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼ
が有するその他の理化学的性質は以下の通りである。
1.至適温度 PH10.5、30分間の反応において、55−60℃
である。(第3図に示す) 2.温度安定性 PH7.5、1時間の処理条件下において、7
0℃までの温度で90%以上の残存活性を有する。また、8
0℃、1時間の処理で完全に失活する。(第4図に示
す) 3.分子量 192,000±5,000(バイオシル TSK−250;東
ソー社製によるゲル濾過法で測定) 4.サブユニットの分子量 48,000±5,000(SDS−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動法で測定) 5.サブユニットの数 4個 6.Km値 プトレッシンとピルビン酸を基質として、PH1
0.5、30℃の条件下で求めたプトレッシンに対するKm値
は0.2mMであり、ピルビン酸に対するKm値は1.0mMであ
る。
7.補酵素 ピリドキサルリン酸 8.吸収スペクトル 280nm及び416nmに吸収極大を持つ。
(第5図に示す) 9.阻害剤 種々の試薬及び金属イオンの濃度1mMでの酵
素に対する影響を第2表に示す。ヒドロキシルアミン、
フェニルヒドラジン、D−シクロセリンなどのピリドキ
サルリン酸を補酵素とする酵素阻害剤により強く阻害を
受ける。また、パラクロロメルクリ安息香酸、銀イオ
ン、水銀イオンにより強く阻害される。
プトレッシン ピルビン酸トランスアミナーゼと従来
から知られている、プトレッシンに作用し得るトランス
アミナーゼの理化学的性質を比較した結果を第3表に示
す。
第3表における従来のトランスアミナーゼとは、ジャ
ーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Bio
l.Chem.)、239巻、783頁(1964年)に記載のエシェリ
ヒア・コリーB(Escherichiacoli B)由来のジアミ
ン:α−ケトグルタル酸トランスアミナーゼ、アグリカ
ルチャラル・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Bi
ol.Chem.)、43巻、1043頁(1979年)に記載のシュード
モナス(Pseudomonas)属細菌F−126由来のω−アミノ
酸:ピルビン酸トランスアミナーゼ、さらにジャーナル
・オブ・バクテリオロジー(J.Bacteriol.)、128巻、7
22頁(1976年)に記載のシュードモナス・アエルギノサ
(Pseudomonas aeruginosa)由来のγ−アミノ酪酸:α
−ケトグルタル酸トランスアミナーゼである。
第3表からわかるように、プトレッシン:ピルビン酸
トランスアミナーゼは、従来から知られていたプトレッ
シントランスアミナーゼとは基質特異性の異にする酵素
である。
また、常温で生育する放線菌であるストレプトミセス
属に属する微生物から得られたにも関わらず、70℃、1
時間の熱処理によっても90%以上の残存活性を有すると
いう高い耐熱性を持っている。また、pH4.5〜13.0の広
いpH範囲で安定であるという優れた性質を持っているこ
とも判明した。プトレッシン:ピルビン酸トランスアミ
ナーゼが以上のように耐熱性、pH安定性に優れているこ
とは、工業的にあるいは臨床検査分野にこの酵素を用い
る際に大変有用な性質である。
プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの酵素
活性測定方法及び酵素活性の表示方法は以下の通りであ
る。
2mMのプトレッシン、2mMピルビン酸及び0.02%o−ア
ミノベンズアルデヒドを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
5)2.0mlとプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナー
ゼを含有する被検体0.2mlを混合し、30℃で30分間〜1
時間反応させた後、直ちに435nmにおける吸光度を測定
する。1分間当りの吸光度の増加量(A)から以下の換
算式(1)を使用して被検体1.0ml当りのプトレッシ
ン:ピルビン酸トランスアミナーゼの酵素活性値を計算
する。酵素活性値は、1分間当り1μ moleの1−ピロ
リンを生成させる酵素量を1ユニット(μ mole/min)
として表示する。
プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの完全
に純化された酵素の比活性値は、約4.5ユニット/mg−タ
ンパクを示す。また、ドデシル硫酸ナトリウムの存在、
非存在下でのポリアクリルアミドゲル電気泳動法におい
て両者共に単一のタンパクバンドが観測される。
本発明におけるアミノ基供与体は、ω−アミノアルキ
ルアルデヒドからプトレッシンやカダベリンを再生させ
るために必要なプトレッシントランスアミナーゼの基質
であれば、酵素の作用に応じて如何なるものでも使用す
ることができる。具体的には、L−アラニン、グリシ
ン、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸等が挙げら
れる。また、ω−アミノアルキルアルデヒドとは、4−
アミノブタナール及び5−アミノペンタナールであっ
て、水溶液中では1−ピロリン及び2,3,4,5,−テトラヒ
ドロピリジンと平衡状態にある。
本発明においてポリアミンの酸化酵素はプトレッシン
やカダベリンを酸化してω−アミノアルキルアルデヒド
と過酸化水素及びアンモニアを生成する反応を触媒する
酵素であれば、特に限定されず、かかる特性を有する公
知の酵素が特に制限なく使用される。例えば、ミクロコ
ッカス属,ノカルディア属,アスペルギルス属,シュー
ドモナス属等の微生物起源のプトレッシンオキシダー
ゼ、発芽大豆等の植物起源のプトレッシンオキシダー
ゼ、ブタ腎等の動物起源のジアミンオキシダーゼ等が挙
げられる。
また、サイクリング反応生成物とは、酵素サイクリン
グ反応によって増幅生成され得る化合物のことであり、
過酸化水素,アンモニア及びα−ケト酸を指す。α−ケ
ト酸としてはアミノ基供与体から生成したグリオキシル
酸かピルビン酸かオキザロ酢酸もしくはα−ケトグルタ
ル酸などが挙げれる。
上記本発明における反応の原理について例示すれば次
式の通りである。
なお、本発明により、プトレッシン及びカダベリンを
生成する化合物、或は4−アミノブタナール及び5−ア
ミノペンタナールはプトレッシン及びカダベリンに変換
され得るので、これらのω−アミノアルキルアルデヒド
を生成する化合物もまた高感度に測定するひとができ
る。そのような具体例として、スペルミジンにミクロコ
ッカス・ローゼウスやシュードモナス・フルオレッセン
ス由来のプトレッシンオキシダーゼを作用させて4−ア
ミノブタナールを生成し、次いで酵素サイクリング反応
を行う場合、或はスペルミジンやスペルミンにペニシリ
ウム・クリンゲナムやラット肝由来のポリアミンオキシ
ダーゼを作用させてプトレッシンを生成し、次いで酵素
サイクリングを行う場合等があげられる。
酵素サイクリング法によて増幅されたサイクリング生
成物はいずれも従来から知られている方法で定量するこ
とができる。例えば、アンモニア及びα−ケトグルタル
酸はL−グルタミン酸デヒドロゲナーゼとNADHを用いる
酵素法等で,ピルビン酸はL−乳酸デヒドロゲナーゼ法
等で,オキザロ酢酸はオキザロ酢酸デカルボキシラーゼ
法等で定量できる。過酸化水素の定量は例えば、従来か
ら知られている4−アミノアンチピリン−ペルオキシダ
ーゼ法によって容易に行うことができる。サイクリング
反応生成物のうちで、過酸化水素を定量することは高感
度に測定できるという点で有利である。
また、増幅された過酸化水素を化学発光法で測定する
ことによって更に高感度な測定法とすることも可能であ
る。
上記のサイクリング反応についてその反応液量は通常
0.1〜5mlの範囲で行われる。被測定ポリアミンであるプ
トレッシンあるいはカダベリンの定量可能な最低濃度は
1〜10nM程度である。
プトレッシントランスアミナーゼの使用濃度は通常反
応液1ml当たり0.5〜50ユニツトの範囲である。
アミノ基供与体は通常5〜50mMの濃度範囲で使用され
る。
ポリアミンの酸化酵素の使用濃度は通常反応液1ml当
たり0.5〜50ユニツトの範囲である。
通常、これらの酵素及び試薬は同一溶液内に同時に存
在させて酵素サイクリング反応を形成させる。
上記の反応はプトレッシントランスアミナーゼとポリ
アミンの酸化酵素の両酵素が作用し得るpH範囲、温度範
囲で行われ、通常はpH6〜9,反応温度は25℃ 〜45℃である。
反応の時間はサイクリング反応生成物を検出可能なま
で充分に増幅生成させる時間の範囲で任意に設定できる
が、他の反応条件によって左右され、通常は10分〜5時
間の範囲である。
酵素サイクリング反応の停止は予定された時間の終わ
りに停止試薬を添加することによって行われ、停止試薬
としては1,8−ジアミノオクタンやピルビン酸等が用い
られる。
[効果] 本発明のプトレッシン及び/またはカダベリンの高感
度測定方法は、簡便な操作で極微量のプトレッシン及び
/またはカダベリンを正確に定量することができる方法
を提供するものであり、臨床検査などの医療の分野に大
きく貢献することが期待される。例えば、血清中のポリ
アミン分析への応用等を可能にする。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、こ
れにより本発明を限定するものではない。
[実施例] 製造例 1 0.5%グルコース、0.4%ポリペプトン、0.5%魚肉エ
キス、0.3%アセチルプトレッシン、0.2%食塩、0.02%
消泡剤から成る培地(pH7.5)1を5の三角フラス
コに入れ、120℃で20分間オートクレーブした後、28℃
下でこの培地にストレプトミセス・アベラニウムR−20
[微工研菌寄 第5443号]を植菌した。28℃で24時間振
とう培養を行った後この培養液を、予め上記と同様の組
成を有する培地150を仕込み滅菌しておいたジャー・
ファーメンターに加えて本培養を行った。培養条件は28
℃、撹拌回転数300rpm、通気100/minで、18時間培養
の後、培養液を遠心分離機にかけて菌体を採取した。
得られた菌体の約2.7Kg(湿菌体重量)を40%エタノ
ールを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)12に懸濁し、
その懸濁液をダイノミル細胞破砕機に連続的に通過させ
て菌体破砕を行った。その破砕液を連続遠心分離機を使
用して遠心分離し、上清液を得た。この上清液中のプト
レッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの総活性は2
2,000ユニツト、比活性は0.072ユニツト/mg−タンパク
であった。
この上清液を、予め10mMのリン酸緩衝液(pH7.5)に
て平衡化した4のDEAE−セルロース(ワットマン社
製)に加え、1時間撹拌した後40mMの硫酸アンモニウム
を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)15で洗浄した。次
いで、0.5Mの食塩を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)5
で酵素成分を溶出させた。[総酵素活性=15,400ユニ
ツト、比活性=0.56ユニツト/mg−タンパク] この酵素溶液を限外濾過により脱塩した後、65℃で30
分間熱処理を行い、生じた沈澱を遠心分離により除い
た。[総酵素活性=12,200ユニツト、比活性=2.1ユニ
ツト/mg−タンパク] こうして得られた酵素液を、予め10mMリン酸緩衝液
(pH7.5)で平衡化しておいた1のDEAE−セルロース
のカラムに通し吸着させた。カラムを同様の緩衝液2
で洗浄した後、食塩の直線濃度勾配によりプトレッシ
ン:ピルビン酸トランスアミナーゼを溶出させた。[総
酵素活性=8,820ユニツト、比活性=3.5ユニツト/mg−
タンパク] この溶出液を限外濾過により脱塩した後、硫酸アンモ
ニウムを20%となるように添加し、次いで予め20%の硫
酸アンモニウムを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)で平
衡化しておいた0.1のブチルトヨパール650M(東ソー
社製)のカラムに通し、酵素を吸着させた。カラムを同
様のリン酸緩衝液で洗浄した後、硫酸アンモニウムの逆
直線濃度勾配によりプトレッシン:ピルビン酸トランス
アミナーゼを溶出させた。[総酵素活性=7.430ユニツ
ト、比活性=4.4ユニツト/mg−タンパク] 得られた酵素溶液を限外濾過により濃縮した後、1.7
のセファクリルS−400(ファルマシア社製)を充填
したカラムに通しゲル濾過を行い活性画分を集めた。
[総酵素活性=7,360ユニツト、比活性=4.5ユニツト/m
g−タンパク] こうして得られた酵素の純度をドデシル硫酸ナトリウ
ム存在下、及び非存在下でのポリアクリルアミド・ゲル
電気泳動によって調べた結果、両者共に一本のバンドの
みが観察され、純粋なプトレッシン:ピルビン酸トラン
スアミナーゼであることが確認された。
また、本酵素の分子量をバイオシルTSK−250(東ソー
社製)によるゲル濾過法により測定したところ、約192,
000と推定された。さらに、サブユニットの分子量をド
デシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド・ゲル電気
泳動法により測定したところ、約48,000と推定された。
該分子量及びサブユニットの分子量から、プトレッシ
ン:ピルビン酸トランスアミナーゼが4個のサブユニッ
トから構成されるオリゴマー酵素であることがわかる。
次に、こうして得られた精製酵素を20mMリン酸緩衝液
(pH7.5)により適当な濃度に希釈して調製した酵素標
品を用いて本酵素の至適pH、pH安定性、至適温度、温度
安定性、及び吸収スペクトルを調べた。
[至適pH] 2mMプトレッシン、2mMピルビン酸を含む0.1M酢酸緩衝
液(pH3.2,4.4,5.7)または0.1Mリン酸緩衝液(pH5.0,
6.0,7.0,7.5)または0.1Mトリス(ヒドロキシメチル)
アミノメタン−塩酸緩衝液(pH7.0,8.2,9.2)または0.1
M炭酸緩衝液(pH9.0,9.4,10.6,11.7)または0.1M四ホウ
酸緩衝液(pH10.5,11.4,12.1,13.0)1.8mlに0.2mlの酵
素標品(0.002ユニツト)を添加混合し、30℃下で30分
間反応を行った。この反応溶液1.0mlに20%トリクロロ
酢酸水溶液を0.2ml加え、0℃下で20分間放置した。次
いで、0.02%o−アミノベンズアルデヒドを含む0.5Mリ
ン酸緩衝液(pH7.5)1.0mlを加えて室温で30分間放置し
た後、435nmに於ける吸光度を測定し、それぞれの酵素
活性値を算出した。以上の操作の後、最高の酵素活性値
を100%とした相対活性(Relative activity)を算出
し、グラフ化して第1図を得た。第1図により、本酵素
の至適pHは9.5〜10.5の範囲にあることがわかる。
[pH安定性] 50mM酢酸緩衝液(pH3.5,4.5,5.5,5.9)または50mMリ
ン酸緩衝液(pH5.6,6.2,6.7,7.5,8.3)または50mMトリ
ス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液(pH
7.6,8.1,8.9)または50mMホウ酸緩衝液(pH8.2,9.3,9.
9)または50mM炭酸緩衝液(pH9.4,10.6,11.7)または50
mM四ホウ酸緩衝液(pH10.8,12.7,13.2,13.7)0.95mlと
酵素標品0.05ml(50ユニツト)を混合し、30℃で1時間
放置した後、各溶液0.02mlを20mlリン酸緩衝液(pH7.
5)1.98mlを混合した。この酵素溶液0.2mlを2mMプトレ
ッシン、2mMピルビン酸及び0.02%o−アミノベンズア
ルデヒドを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)2.0mlに
加えて、30℃で1時間反応させた後直ちに435nmにおけ
る吸光度を測定し、それぞれの酵素活性値を算出した。
以上の操作の後、最高の酵素活性値を100%とした相対
活性を算出し、グラフ化して第2図を得た。第2図から
明らかなように、本酵素はpH4.5〜13.0の範囲において9
0%以上の残存活性を有している。
[至適温度] 25mMプトレッシン及び25mMピルビン酸を含む0.1M炭酸
緩衝液(pH10.5)1.8mlと0.2mlの酵素標品(0.013ユニ
ツト)を混合し、30,39,44,50,56,60,68,79℃の各温度
下において30分間反応させた。各反応溶液1mlに20%ト
リクロロ酢酸溶液0.2mlを加え、0℃下で20分間放置し
た。次いで、0.02%のo−アミノベンズアルデヒドを含
む0.5Mリン酸緩衝液(pH7.5)1.0mlを加えて室温で30分
間放置した後、435nmにおける吸光度を測定し、それぞ
れの酵素活性値を算出した。以上の操作の後、最高の酵
素活性値を100%とした相対活性を算出し、グラフ化し
て第3図を得た。第3図より、本酵素の至適温度が55〜
60℃であることがわかる。
[温度安定性] 25mMリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈した酵素標品(0.0
34ユニツト/ml)を4,30,40,50,60,70,75,80℃の各温度
で1時間放置した。この酵素溶液0.2mlを2mMプトレッシ
ン、2mMピルビン酸及び0.02%o−アミノベンズアルデ
ヒドを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)2.0mlに加え
て、30℃で1時間反応させた後直ちに435nmにおける吸
光度を測定し、それぞれの酵素活性値を算出した。以上
の操作の後、最高の酵素活性値を100%とした相対活性
を算出し、グラフ化して第4図を得た。第4図から明ら
かなように、本酵素は70℃までの温度において90%以上
の残存活性を有している。
[吸収スペクトル] 精製酵素を20mMリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈して調
製した酵素標品−(a)(180μg/ml)を用いて、紫外
部領域での吸収スペクトルを測定して第5図−(a)を
得た。同様にして調製した酵素標品−(b)(910μg/m
l)を用いて、可視部領域での吸収スペクトルを測定し
て第5図−(b)を得た。第5図より、本酵素が280n
m、416nmに吸収極大を有することがわかる。
実施例 1 種々の濃度のプトレッシン水溶液2.0mlに、100mMトリ
ス・塩酸緩衝液(pH8.0),1.0mM2,4−ジクロロフェノー
ル,0.6mM4−アミノアンチピリン,ミクロコッカス・フ
ラビダス由来のプトレッシンオキシダーゼ(5ユニツ
ト),ストレプトミセス・アベラニウムR−20由来のプ
トレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼ(6ユニツ
ト),ペルオキシダーゼ(1ユニツト)及び15mM L−
アラニンから成るサイクリング液2.0mlを加え、37℃で3
0分間反応させた。20mM1,8−ジアミノオクタン溶液(10
0mMトリス・塩酸緩衝液,pH8.0)0.1mlを添加して反応を
停止させた後、510nmでの吸光度を測定することによっ
て増幅生成した過酸化水素を定量した。盲検としてプト
レッシン水溶液のかわりに水2.0mlを用いた。
その結果は第6図(A)に示す通りであって、極めて
良好な直線が得られ、サイクリング反応が正確に行われ
ていることを示している。また、第6図はこの方法が非
常に高感度であることを示しており、その感度はサイク
リング反応を行わせなかった場合の約100倍であった。
実施例 2 種々の濃度のプトレッシン水溶液2.0mlのかわりに種
々の濃度のカダベリン水溶液2.0mlを用いた以外は、実
施例1と同様の操作を行って得られた結果は第6図
(B)に示す通りである。検量線は良好な直線であり、
測定感度はサイクリング反応が行わせなかった場合の約
25倍であった。
比較例 1 プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼを添加
しなかった以外は、実施例 1及び実施例2と同様の操
作を行って得られた結果は第6図(C)及び(D)に示
す通りであって定量限界以下であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナー
ゼのpH活性曲線(○ 酢酸緩衝液、△ リン酸緩衝液、
□ トリス−塩酸緩衝液、● 炭酸緩衝液、▲ 四ホウ
酸緩衝液)を示し、第2図は同じくpH安定性(○ 酢酸
緩衝液、△ リン酸緩衝液、□ トリス−塩酸緩衝液、 ● ホウ酸緩衝液、▲ 炭酸緩衝液、■ 四ホウ酸緩衝
液)であり、第3図は温度活性曲線を、第4図は温度安
定性を、第5図は(a)が紫外部領域での、(b)が可
視部領域での吸収スペクトルをそれぞれ示すものであ
る。第6図は、(A)が本発明によるプトレッシンを定
量した際の検量線を、(B)が本発明によるカダベリン
を定量した際の検量線を、(C)がサイクリング反応を
行わせずにプトレッシンを定量した際の結果を、(D)
がサイクリング反応を行わせずにカダベリンを定量した
際の結果をそれぞれ示すものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プトレッシン及び/またはカダベリンに、
    プトレッシントランスアミナーゼ,アミノ基供与体,及
    びポリアミンの酸化酵素を作用させて酵素サイクリング
    法による増幅反応を行い、生じたサイクリング反応生成
    物を測定することを特徴とするプトレッシン及び/また
    はカダベリンの高感度測定法。
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