JP2713783B2 - 高感度測定法 - Google Patents

高感度測定法

Info

Publication number
JP2713783B2
JP2713783B2 JP31875689A JP31875689A JP2713783B2 JP 2713783 B2 JP2713783 B2 JP 2713783B2 JP 31875689 A JP31875689 A JP 31875689A JP 31875689 A JP31875689 A JP 31875689A JP 2713783 B2 JP2713783 B2 JP 2713783B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
putrescine
enzyme
reaction
transaminase
cadaverine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP31875689A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03180200A (ja
Inventor
昌人 岡田
佳典 吉村
峰登 長谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP31875689A priority Critical patent/JP2713783B2/ja
Publication of JPH03180200A publication Critical patent/JPH03180200A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2713783B2 publication Critical patent/JP2713783B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はプトレッシン及び/またはカダベリンも極め
て感度よく定量する新規な方法に関するものであり、生
体内の各臓器の様子についての検査に対しても有効であ
り、例えば臨床検査などの医療の分野において広く利用
することができる。
[従来の技術] 従来、プトレッシンやカダベリンの定量には高速液体
クロマトグラフ装置を用いる方法や酵素的比色定量法あ
るいは化学発光を利用する方法が用いられてきた。
[発明が解決しようとする課題] 近年、分析化学の一つの命題ともいうべき微量試料を
精度よく測定する方法の開発が盛んに行われてきてお
り、医学上重要な代謝成分であるプトレッシンやカダベ
リンの極微量定量についてもその測定法の開発が望まれ
ていた。高感度測定法は蛍光測定、発光測定などの種々
の方法が開発されているが、検体が体液のような場合、
体液中に含まれる物質により盲検値が上昇したりクエン
チングによる誤差が生じやすい。高速液体クロマトグラ
フィーや酵素的比色定量法では定量限界はたかだか約1
μMである。また化学発光法ではnM領域の測定が可能で
あるが、測定に特殊な装置が必要であるという欠点を有
していた。
一方、酵素サイクリング法の原理そのものは従来より
知られていた方法である(生化学実験講座5、酵素研究
法、上、121−135、日本化学会編、東京化学同人)がプ
トレッシンやカダベリンの微量分析に応用した技術とし
ては知られていなかった。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、上記従来の欠点を解決すべく鋭意研究
した結果、プトレッシントランスアミナーゼを従来の酵
素的定量系に基質と共に添加し作用させることによって
酵素サイクリングを形成し、実際の測定対象である過酸
化水素とアンモニア及α−ケト酸を増幅発生させること
ができることを見出して、本発明を完成させるに至っ
た。
即ち、本発明はプトレッシン及び/またはカダベリン
に、プトレッシントランスアミナーゼとアミノ基供与体
及びポリアミンの酸化酵素を作用させて、酵素サイクリ
ング法による増幅反応を行い、生じたサイクリング反応
生成物を測定することを特徴とするプトレッシン及び/
またはカダベリンの高感度測定法である。
本発明に使用されるプトレッシントランスアミナーゼ
とはプトレッシンやカダベリンが酸化されて生成したω
−アミノアルキルアルデヒドにアミノ基を転移させ、プ
トレッシンやカダベリンを再生させる酵素をいい、酵素
サイクリング系を成立させるために必要な酵素である。
そのような酵素として、以下に示すように従来から知ら
れていたいくつかのプトレッシントランスアミナーゼが
ある。即ち、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミ
ストリー、239巻、783頁(1964年)に記載のエシェリヒ
ア・コリーB由来のジアミン:α−ケトグルタル酸トラ
ンスアミナーゼやアグリカルチャラル・バイオロジカル
・ケミストリー、43巻、1043頁(1979年)に記載のシュ
ードモナス属細菌F−126由来のω−アミノ酸:ピルビ
ン酸トランスアミナーゼあるいはジャーナル・オブ・バ
クテリオロジー、128巻、722頁(1976年)に記載のシュ
ードモナス・アエルギノサ由来のγ−アミノ酪酸:α−
ケトグルタル酸トランスアミナーゼである。
これらのプトレッシントランスアミナーゼを使用する
こともできるが、酵素のKm値やpH安定性,熱安定性等の
点で優れている特願平1−45416号に記載のプトレッシ
ン:ピルビン酸トランスアミナーゼを用いる方が有利で
ある。
以下にプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼ
について詳しく述べる。
作用 次式に示す通り、アミノ基供与体であるプトレッシン
とアミノ基受容体であるピルビン酸に作用して、4−ア
ミノブタナールとL−アラニンを生成するアミノ基転移
反応、及びその逆反応を触媒する。
NH2(CH24NH2+CH3COCOOH NH2(CH23CHO+CH3CH(NH2)COOH 基質特異性 (1)アミノ基供与体 プトレッシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミ
ンに対して作用し、L−リジン、L−オルニチンに対し
ては、作用を示さない。
(2)アミノ基受容体 ピルビン酸、グルオキシル酸に対して作用し、α−ケ
トグルタル酸に対しては作用しない。
これらのアミノ基供与体及びアミノ基受容体に対する
作用の強さを、それぞれプトレッシン及びピルビン酸に
対する作用を100とした相対活性値で第1表に示す。
至適pH pH9.5〜10.5(第1図に示す) pH安定性 30℃で1時間保存した時、pH4.5〜13.0に
おいて90%以上の残存活性を有する。(第2図に示す) また、プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼ
が有するその他の理化学的性質は以下の通りである。
1.至適温度 PH10.5、30分間の反応において、55−60℃
である。(第3図に示す) 2.温度安定性 PH7.5、1時間の処理条件下において、7
0℃までの温度で90%以上の残存活性を有する。また、8
0℃、1時間の処理で完全に失活する。(第4図に示
す) 3.分子量 192,000±5,000(バイオシル TSK−250;東
ソー社製によるゲル濾過法で測定) 4.サブユニットの分子量 48,000±5,000(SDS−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動法で測定) 5.サブユニットの数 4個 6.Km値 プトレッシンとピルビン酸を基質として、PH1
0.5、30℃の条件下で求めたプトレッシンに対するKm値
は0.2mMであり、ピルビン酸に対するKm値は1.0mMであ
る。
7.補酵素 ピリドキサルリン酸 8.吸収スペクトル 280nm及び416nmに吸収極大を持つ。
(第5図に示す) 9.阻害剤 種々の試薬及び金属イオンの濃度1mMでの酵
素に対する影響を第2表に示す。ヒドロキシルアミン、
フェニルヒドラジン、D−シクロセリンなどのピリドキ
サルリン酸を補酵素とする酵素阻害剤により強く阻害を
受ける。また、パラクロロメルクリ安息香酸、銀イオ
ン、水銀イオンにより強く阻害される。
プトレッシン ピルビン酸トランスアミナーゼと従来
から知られている、プトレッシンに作用し得るトランス
アミナーゼの理化学的性質を比較した結果を第3表に示
す。
第3表における従来のトランスアミナーゼとは、ジャ
ーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Bio
l.Chem.)、239巻、783頁(1964年)に記載のエシェリ
ヒア・コリーB(Escherichiacoli B)由来のジアミ
ン:α−ケトグルタル酸トランスアミナーゼ、アグリカ
ルチャラル・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Bi
ol.Chem.)、43巻、1043頁(1979年)に記載のシュード
モナス(Pseudomonas)属細菌F−126由来のω−アミノ
酸:ピルビン酸トランスアミナーゼ、さらにジャーナル
・オブ・バクテリオロジー(J.Bacteriol.)、128巻、7
22頁(1976年)に記載のシュードモナス・アエルギノサ
(Pseudomonas aeruginosa)由来のγ−アミノ酪酸:α
−ケトグルタル酸トランスアミナーゼである。
第3表からわかるように、プトレッシン:ピルビン酸
トランスアミナーゼは、従来から知られていたプトレッ
シントランスアミナーゼとは基質特異性の異にする酵素
である。
また、常温で生育する放線菌であるストレプトミセス
属に属する微生物から得られたにも関わらず、70℃、1
時間の熱処理によっても90%以上の残存活性を有すると
いう高い耐熱性を持っている。また、pH4.5〜13.0の広
いpH範囲で安定であるという優れた性質を持っているこ
とも判明した。プトレッシン:ピルビン酸トランスアミ
ナーゼが以上のように耐熱性、pH安定性に優れているこ
とは、工業的にあるいは臨床検査分野にこの酵素を用い
る際に大変有用な性質である。
プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの酵素
活性測定方法及び酵素活性の表示方法は以下の通りであ
る。
2mMのプトレッシン、2mMピルビン酸及び0.02%o−ア
ミノベンズアルデヒドを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
5)2.0mlとプトレッシン:ピルビン酸トランスアミナー
ゼを含有する被検体0.2mlを混合し、30℃で30分間〜1
時間反応させた後、直ちに435nmにおける吸光度を測定
する。1分間当りの吸光度の増加量(A)から以下の換
算式(1)を使用して被検体1.0ml当りのプトレッシ
ン:ピルビン酸トランスアミナーゼの酵素活性値を計算
する。酵素活性値は、1分間当り1μ moleの1−ピロ
リンを生成させる酵素量を1ユニット(μ mole/min)
として表示する。
プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの完全
に純化された酵素の比活性値は、約4.5ユニット/mg−タ
ンパクを示す。また、ドデシル硫酸ナトリウムの存在、
非存在下でのポリアクリルアミドゲル電気泳動法におい
て両者共に単一のタンパクバンドが観測される。
本発明におけるアミノ基供与体は、ω−アミノアルキ
ルアルデヒドからプトレッシンやカダベリンを再生させ
るために必要なプトレッシントランスアミナーゼの基質
であれば、酵素の作用に応じて如何なるものでも使用す
ることができる。具体的には、L−アラニン、グリシ
ン、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸等が挙げら
れる。また、ω−アミノアルキルアルデヒドとは、4−
アミノブタナール及び5−アミノペンタナールであっ
て、水溶液中では1−ピロリン及び2,3,4,5,−テトラヒ
ドロピリジンと平衡状態にある。
本発明においてポリアミンの酸化酵素はプトレッシン
やカダベリンを酸化してω−アミノアルキルアルデヒド
と過酸化水素及びアンモニアを生成する反応を触媒する
酵素であれば、特に限定されず、かかる特性を有する公
知の酵素が特に制限なく使用される。例えば、ミクロコ
ッカス属,ノカルディア属,アスペルギルス属,シュー
ドモナス属等の微生物起源のプトレッシンオキシダー
ゼ、発芽大豆等の植物起源のプトレッシンオキシダー
ゼ、ブタ腎等の動物起源のジアミンオキシダーゼ等が挙
げられる。
また、サイクリング反応生成物とは、酵素サイクリン
グ反応によって増幅生成され得る化合物のことであり、
過酸化水素,アンモニア及びα−ケト酸を指す。α−ケ
ト酸としてはアミノ基供与体から生成したグリオキシル
酸かピルビン酸かオキザロ酢酸もしくはα−ケトグルタ
ル酸などが挙げれる。
上記本発明における反応の原理について例示すれば次
式の通りである。
なお、本発明により、プトレッシン及びカダベリンを
生成する化合物、或は4−アミノブタナール及び5−ア
ミノペンタナールはプトレッシン及びカダベリンに変換
され得るので、これらのω−アミノアルキルアルデヒド
を生成する化合物もまた高感度に測定するひとができ
る。そのような具体例として、スペルミジンにミクロコ
ッカス・ローゼウスやシュードモナス・フルオレッセン
ス由来のプトレッシンオキシダーゼを作用させて4−ア
ミノブタナールを生成し、次いで酵素サイクリング反応
を行う場合、或はスペルミジンやスペルミンにペニシリ
ウム・クリンゲナムやラット肝由来のポリアミンオキシ
ダーゼを作用させてプトレッシンを生成し、次いで酵素
サイクリングを行う場合等があげられる。
酵素サイクリング法によて増幅されたサイクリング生
成物はいずれも従来から知られている方法で定量するこ
とができる。例えば、アンモニア及びα−ケトグルタル
酸はL−グルタミン酸デヒドロゲナーゼとNADHを用いる
酵素法等で,ピルビン酸はL−乳酸デヒドロゲナーゼ法
等で,オキザロ酢酸はオキザロ酢酸デカルボキシラーゼ
法等で定量できる。過酸化水素の定量は例えば、従来か
ら知られている4−アミノアンチピリン−ペルオキシダ
ーゼ法によって容易に行うことができる。サイクリング
反応生成物のうちで、過酸化水素を定量することは高感
度に測定できるという点で有利である。
また、増幅された過酸化水素を化学発光法で測定する
ことによって更に高感度な測定法とすることも可能であ
る。
上記のサイクリング反応についてその反応液量は通常
0.1〜5mlの範囲で行われる。被測定ポリアミンであるプ
トレッシンあるいはカダベリンの定量可能な最低濃度は
1〜10nM程度である。
プトレッシントランスアミナーゼの使用濃度は通常反
応液1ml当たり0.5〜50ユニツトの範囲である。
アミノ基供与体は通常5〜50mMの濃度範囲で使用され
る。
ポリアミンの酸化酵素の使用濃度は通常反応液1ml当
たり0.5〜50ユニツトの範囲である。
通常、これらの酵素及び試薬は同一溶液内に同時に存
在させて酵素サイクリング反応を形成させる。
上記の反応はプトレッシントランスアミナーゼとポリ
アミンの酸化酵素の両酵素が作用し得るpH範囲、温度範
囲で行われ、通常はpH6〜9,反応温度は25℃ 〜45℃である。
反応の時間はサイクリング反応生成物を検出可能なま
で充分に増幅生成させる時間の範囲で任意に設定できる
が、他の反応条件によって左右され、通常は10分〜5時
間の範囲である。
酵素サイクリング反応の停止は予定された時間の終わ
りに停止試薬を添加することによって行われ、停止試薬
としては1,8−ジアミノオクタンやピルビン酸等が用い
られる。
[効果] 本発明のプトレッシン及び/またはカダベリンの高感
度測定方法は、簡便な操作で極微量のプトレッシン及び
/またはカダベリンを正確に定量することができる方法
を提供するものであり、臨床検査などの医療の分野に大
きく貢献することが期待される。例えば、血清中のポリ
アミン分析への応用等を可能にする。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、こ
れにより本発明を限定するものではない。
[実施例] 製造例 1 0.5%グルコース、0.4%ポリペプトン、0.5%魚肉エ
キス、0.3%アセチルプトレッシン、0.2%食塩、0.02%
消泡剤から成る培地(pH7.5)1を5の三角フラス
コに入れ、120℃で20分間オートクレーブした後、28℃
下でこの培地にストレプトミセス・アベラニウムR−20
[微工研菌寄 第5443号]を植菌した。28℃で24時間振
とう培養を行った後この培養液を、予め上記と同様の組
成を有する培地150を仕込み滅菌しておいたジャー・
ファーメンターに加えて本培養を行った。培養条件は28
℃、撹拌回転数300rpm、通気100/minで、18時間培養
の後、培養液を遠心分離機にかけて菌体を採取した。
得られた菌体の約2.7Kg(湿菌体重量)を40%エタノ
ールを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)12に懸濁し、
その懸濁液をダイノミル細胞破砕機に連続的に通過させ
て菌体破砕を行った。その破砕液を連続遠心分離機を使
用して遠心分離し、上清液を得た。この上清液中のプト
レッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの総活性は2
2,000ユニツト、比活性は0.072ユニツト/mg−タンパク
であった。
この上清液を、予め10mMのリン酸緩衝液(pH7.5)に
て平衡化した4のDEAE−セルロース(ワットマン社
製)に加え、1時間撹拌した後40mMの硫酸アンモニウム
を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)15で洗浄した。次
いで、0.5Mの食塩を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)5
で酵素成分を溶出させた。[総酵素活性=15,400ユニ
ツト、比活性=0.56ユニツト/mg−タンパク] この酵素溶液を限外濾過により脱塩した後、65℃で30
分間熱処理を行い、生じた沈澱を遠心分離により除い
た。[総酵素活性=12,200ユニツト、比活性=2.1ユニ
ツト/mg−タンパク] こうして得られた酵素液を、予め10mMリン酸緩衝液
(pH7.5)で平衡化しておいた1のDEAE−セルロース
のカラムに通し吸着させた。カラムを同様の緩衝液2
で洗浄した後、食塩の直線濃度勾配によりプトレッシ
ン:ピルビン酸トランスアミナーゼを溶出させた。[総
酵素活性=8,820ユニツト、比活性=3.5ユニツト/mg−
タンパク] この溶出液を限外濾過により脱塩した後、硫酸アンモ
ニウムを20%となるように添加し、次いで予め20%の硫
酸アンモニウムを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)で平
衡化しておいた0.1のブチルトヨパール650M(東ソー
社製)のカラムに通し、酵素を吸着させた。カラムを同
様のリン酸緩衝液で洗浄した後、硫酸アンモニウムの逆
直線濃度勾配によりプトレッシン:ピルビン酸トランス
アミナーゼを溶出させた。[総酵素活性=7.430ユニツ
ト、比活性=4.4ユニツト/mg−タンパク] 得られた酵素溶液を限外濾過により濃縮した後、1.7
のセファクリルS−400(ファルマシア社製)を充填
したカラムに通しゲル濾過を行い活性画分を集めた。
[総酵素活性=7,360ユニツト、比活性=4.5ユニツト/m
g−タンパク] こうして得られた酵素の純度をドデシル硫酸ナトリウ
ム存在下、及び非存在下でのポリアクリルアミド・ゲル
電気泳動によって調べた結果、両者共に一本のバンドの
みが観察され、純粋なプトレッシン:ピルビン酸トラン
スアミナーゼであることが確認された。
また、本酵素の分子量をバイオシルTSK−250(東ソー
社製)によるゲル濾過法により測定したところ、約192,
000と推定された。さらに、サブユニットの分子量をド
デシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド・ゲル電気
泳動法により測定したところ、約48,000と推定された。
該分子量及びサブユニットの分子量から、プトレッシ
ン:ピルビン酸トランスアミナーゼが4個のサブユニッ
トから構成されるオリゴマー酵素であることがわかる。
次に、こうして得られた精製酵素を20mMリン酸緩衝液
(pH7.5)により適当な濃度に希釈して調製した酵素標
品を用いて本酵素の至適pH、pH安定性、至適温度、温度
安定性、及び吸収スペクトルを調べた。
[至適pH] 2mMプトレッシン、2mMピルビン酸を含む0.1M酢酸緩衝
液(pH3.2,4.4,5.7)または0.1Mリン酸緩衝液(pH5.0,
6.0,7.0,7.5)または0.1Mトリス(ヒドロキシメチル)
アミノメタン−塩酸緩衝液(pH7.0,8.2,9.2)または0.1
M炭酸緩衝液(pH9.0,9.4,10.6,11.7)または0.1M四ホウ
酸緩衝液(pH10.5,11.4,12.1,13.0)1.8mlに0.2mlの酵
素標品(0.002ユニツト)を添加混合し、30℃下で30分
間反応を行った。この反応溶液1.0mlに20%トリクロロ
酢酸水溶液を0.2ml加え、0℃下で20分間放置した。次
いで、0.02%o−アミノベンズアルデヒドを含む0.5Mリ
ン酸緩衝液(pH7.5)1.0mlを加えて室温で30分間放置し
た後、435nmに於ける吸光度を測定し、それぞれの酵素
活性値を算出した。以上の操作の後、最高の酵素活性値
を100%とした相対活性(Relative activity)を算出
し、グラフ化して第1図を得た。第1図により、本酵素
の至適pHは9.5〜10.5の範囲にあることがわかる。
[pH安定性] 50mM酢酸緩衝液(pH3.5,4.5,5.5,5.9)または50mMリ
ン酸緩衝液(pH5.6,6.2,6.7,7.5,8.3)または50mMトリ
ス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液(pH
7.6,8.1,8.9)または50mMホウ酸緩衝液(pH8.2,9.3,9.
9)または50mM炭酸緩衝液(pH9.4,10.6,11.7)または50
mM四ホウ酸緩衝液(pH10.8,12.7,13.2,13.7)0.95mlと
酵素標品0.05ml(50ユニツト)を混合し、30℃で1時間
放置した後、各溶液0.02mlを20mlリン酸緩衝液(pH7.
5)1.98mlを混合した。この酵素溶液0.2mlを2mMプトレ
ッシン、2mMピルビン酸及び0.02%o−アミノベンズア
ルデヒドを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)2.0mlに
加えて、30℃で1時間反応させた後直ちに435nmにおけ
る吸光度を測定し、それぞれの酵素活性値を算出した。
以上の操作の後、最高の酵素活性値を100%とした相対
活性を算出し、グラフ化して第2図を得た。第2図から
明らかなように、本酵素はpH4.5〜13.0の範囲において9
0%以上の残存活性を有している。
[至適温度] 25mMプトレッシン及び25mMピルビン酸を含む0.1M炭酸
緩衝液(pH10.5)1.8mlと0.2mlの酵素標品(0.013ユニ
ツト)を混合し、30,39,44,50,56,60,68,79℃の各温度
下において30分間反応させた。各反応溶液1mlに20%ト
リクロロ酢酸溶液0.2mlを加え、0℃下で20分間放置し
た。次いで、0.02%のo−アミノベンズアルデヒドを含
む0.5Mリン酸緩衝液(pH7.5)1.0mlを加えて室温で30分
間放置した後、435nmにおける吸光度を測定し、それぞ
れの酵素活性値を算出した。以上の操作の後、最高の酵
素活性値を100%とした相対活性を算出し、グラフ化し
て第3図を得た。第3図より、本酵素の至適温度が55〜
60℃であることがわかる。
[温度安定性] 25mMリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈した酵素標品(0.0
34ユニツト/ml)を4,30,40,50,60,70,75,80℃の各温度
で1時間放置した。この酵素溶液0.2mlを2mMプトレッシ
ン、2mMピルビン酸及び0.02%o−アミノベンズアルデ
ヒドを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)2.0mlに加え
て、30℃で1時間反応させた後直ちに435nmにおける吸
光度を測定し、それぞれの酵素活性値を算出した。以上
の操作の後、最高の酵素活性値を100%とした相対活性
を算出し、グラフ化して第4図を得た。第4図から明ら
かなように、本酵素は70℃までの温度において90%以上
の残存活性を有している。
[吸収スペクトル] 精製酵素を20mMリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈して調
製した酵素標品−(a)(180μg/ml)を用いて、紫外
部領域での吸収スペクトルを測定して第5図−(a)を
得た。同様にして調製した酵素標品−(b)(910μg/m
l)を用いて、可視部領域での吸収スペクトルを測定し
て第5図−(b)を得た。第5図より、本酵素が280n
m、416nmに吸収極大を有することがわかる。
実施例 1 種々の濃度のプトレッシン水溶液2.0mlに、100mMトリ
ス・塩酸緩衝液(pH8.0),1.0mM2,4−ジクロロフェノー
ル,0.6mM4−アミノアンチピリン,ミクロコッカス・フ
ラビダス由来のプトレッシンオキシダーゼ(5ユニツ
ト),ストレプトミセス・アベラニウムR−20由来のプ
トレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼ(6ユニツ
ト),ペルオキシダーゼ(1ユニツト)及び15mM L−
アラニンから成るサイクリング液2.0mlを加え、37℃で3
0分間反応させた。20mM1,8−ジアミノオクタン溶液(10
0mMトリス・塩酸緩衝液,pH8.0)0.1mlを添加して反応を
停止させた後、510nmでの吸光度を測定することによっ
て増幅生成した過酸化水素を定量した。盲検としてプト
レッシン水溶液のかわりに水2.0mlを用いた。
その結果は第6図(A)に示す通りであって、極めて
良好な直線が得られ、サイクリング反応が正確に行われ
ていることを示している。また、第6図はこの方法が非
常に高感度であることを示しており、その感度はサイク
リング反応を行わせなかった場合の約100倍であった。
実施例 2 種々の濃度のプトレッシン水溶液2.0mlのかわりに種
々の濃度のカダベリン水溶液2.0mlを用いた以外は、実
施例1と同様の操作を行って得られた結果は第6図
(B)に示す通りである。検量線は良好な直線であり、
測定感度はサイクリング反応が行わせなかった場合の約
25倍であった。
比較例 1 プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼを添加
しなかった以外は、実施例 1及び実施例2と同様の操
作を行って得られた結果は第6図(C)及び(D)に示
す通りであって定量限界以下であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナー
ゼのpH活性曲線(○ 酢酸緩衝液、△ リン酸緩衝液、
□ トリス−塩酸緩衝液、● 炭酸緩衝液、▲ 四ホウ
酸緩衝液)を示し、第2図は同じくpH安定性(○ 酢酸
緩衝液、△ リン酸緩衝液、□ トリス−塩酸緩衝液、 ● ホウ酸緩衝液、▲ 炭酸緩衝液、■ 四ホウ酸緩衝
液)であり、第3図は温度活性曲線を、第4図は温度安
定性を、第5図は(a)が紫外部領域での、(b)が可
視部領域での吸収スペクトルをそれぞれ示すものであ
る。第6図は、(A)が本発明によるプトレッシンを定
量した際の検量線を、(B)が本発明によるカダベリン
を定量した際の検量線を、(C)がサイクリング反応を
行わせずにプトレッシンを定量した際の結果を、(D)
がサイクリング反応を行わせずにカダベリンを定量した
際の結果をそれぞれ示すものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プトレッシン及び/またはカダベリンに、
    プトレッシントランスアミナーゼ,アミノ基供与体,及
    びポリアミンの酸化酵素を作用させて酵素サイクリング
    法による増幅反応を行い、生じたサイクリング反応生成
    物を測定することを特徴とするプトレッシン及び/また
    はカダベリンの高感度測定法。
JP31875689A 1989-12-11 1989-12-11 高感度測定法 Expired - Fee Related JP2713783B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31875689A JP2713783B2 (ja) 1989-12-11 1989-12-11 高感度測定法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31875689A JP2713783B2 (ja) 1989-12-11 1989-12-11 高感度測定法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03180200A JPH03180200A (ja) 1991-08-06
JP2713783B2 true JP2713783B2 (ja) 1998-02-16

Family

ID=18102589

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31875689A Expired - Fee Related JP2713783B2 (ja) 1989-12-11 1989-12-11 高感度測定法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2713783B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7560271B2 (en) 2006-12-20 2009-07-14 Agentase, Llc Seafood spoilage indicator
CN107075558B (zh) 2014-09-26 2021-09-24 旭化成制药株式会社 使用激酶的新型测定方法及组合物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03180200A (ja) 1991-08-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Chen et al. Site-directed mutagenesis of tyrosine-71 to phenylalanine in Citrobacter freundii tyrosine phenol-lyase: evidence for dual roles of tyrosine-71 as a general acid catalyst in the reaction mechanism and in cofactor binding
Kiick et al. Mechanistic deductions from kinetic isotope effects and pH studies of pyridoxal phosphate dependent carbon-carbon lyases: Erwinia herbicola and Citrobacter freundii tyrosine phenol-lyase
Adams 13 Amino Acid Racemases and Epimerases
JPS61280272A (ja) ウリカ−ゼおよびその製造法
Nakajima et al. Distribution of glutamate racemase in lactic acid bacteria and further characterization of the enzyme from Pediococcus pentosaceus
JPH04278099A (ja) アンモニア、α−アミノ酸類またはα−ケト酸の高感度定量法および高感度定量用組成物
JP2713783B2 (ja) 高感度測定法
GB2028500A (en) Method for determining a transminase in a biological fluid and reagent combinations for use in the methods
Girotti et al. Bioluminescent flow sensor for the determination of L-(+)-lactate
Mögele et al. Determination of organic acids, amino acids and saccharides by high-performance liquid chromatography and a postcolumn enzyme reactor with amperometric detection
Kobes et al. Variant properties of bovine liver 2-keto-4-hydroxyglutarate aldolase; its β-decarboxylase activity, lack of substrate stereospecificity, and structural requirements for binding substrate analogs
Jones et al. [21] d-glutamate-d-amino acid transaminase from bacteria
Barban STUDIES ON THE METABOLISM OF THE TREPONEMATA I: Amino Acid Metabolism
Ohshima et al. Selective Enzymatic Determination of L-Phenylalanine and Phenyl-Pyruvate
JP3078137B2 (ja) ベンジルアミントランスアミナーゼ
JP3151097B2 (ja) チラミンの高感度定量方法
JP3155415B2 (ja) ベンジルアミン類の高感度定量方法
JP2680665B2 (ja) プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼ
JP3586485B2 (ja) ピルビン酸の定量方法およびその定量用試薬
JPS63129996A (ja) L−アミノ酸及びα−ケト酸の定量方法
JP2680686B2 (ja) プトレッシン:ピルビン酸トランスアミナーゼの製造方法
JP3449649B2 (ja) 酢酸ナトリウムの定量方法及び定量試薬
JP2698056B2 (ja) L−グルタミン酸・l−ピログルタミン酸相互変換酵素
JP2811697B2 (ja) アスパラギン酸のラセミ化方法
JP3586737B2 (ja) 生体物質の測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees