JPH0630572B2 - L−フエニルアラニン脱水素酵素 - Google Patents

L−フエニルアラニン脱水素酵素

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JPH0630572B2
JPH0630572B2 JP60080293A JP8029385A JPH0630572B2 JP H0630572 B2 JPH0630572 B2 JP H0630572B2 JP 60080293 A JP60080293 A JP 60080293A JP 8029385 A JP8029385 A JP 8029385A JP H0630572 B2 JPH0630572 B2 JP H0630572B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、L−フェニルアラニン脱水素酵素及びその
製造方法に関する。
〔従来の技術〕
本発明のL−フェニルアラニン脱水素酵素に類似する作
用を有するL−フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ及び
この酵素を利用するL−α−アミノカルボン酸の製造方
法が特開昭59-198972に記載されている。しかしながら
この公開された明細書に記載されているL−フェニルア
ラニンデヒドロゲナーゼはブレビバクテリウム(Brevib
acterium)属細菌により生産されたものであり、この明
細書にはスポロサルシナ(Sporosarcina)属細菌及びバ
シルス(Bacillus)属細菌が同様の酵素を生産すること
は全く示唆されていない。またこのL−フェニルアラニ
ンデヒドロゲナーゼは130,000±10,000の分子量を有
し、分子量66,000±5,000のサブユニットから成る点、
及びフェニルピンビン酸のみならずp−ヒドロキシフェ
ニルピルビン酸、インドールピルビン酸等広範囲の基質
に対して高い特異性を有する点等において、本発明のL
−フェニルアラニン脱水素酵素とは全く異なる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従って本発明は、今までL−フェニルアラニン脱水素酵
素を生産することが知られていなかった微生物に由来す
る新規なL−フェニルアラニン脱水素酵素、及び該酵素
の新規な製造方法、を提供しようとするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
前記の目的は、次の性質: (1)1モルのL−フェニルアラニン、1モルのNAD+及び
1モルの水から1モルのフェニルピルビン酸、1モルの
NADH及び1モルのアンモニウムイオンを生成する反応、
並びにこの逆反応を触媒する; (2)高速液体クロマトグラフィーゲル濾過法において約2
90,000の分子量を有し、SDS−ポリアクリルアミドゲル
ディスク電気泳動法において約38,000〜39,000の分子量
を有するサブユニットを示す; (3)L−フェニルアラニンに特異的に作用し、L−トリ
プトファン、L−チロシン及びL−メチオニンに対する
特異性が非常に低い; を有することを特徴とするL−フェニルアラニン脱水素
酵素;並びにこれらの細菌を培養し、この培養物から前
記酵素を採取することを特徴とする前記酵素の製造方
法; を提供することにより解決される。
〔具体的な説明〕 (1)微生物 本発明において使用する微生物としてはスポロサルシナ
属又はバシルス属に属し、L−フェニルアラニン脱水素
酵素を生産することができるものであればよく、このよ
うな微生物は保存菌の中から選択することができる場合
もあり、また自然界から新たに分離することができる。
スポロサルシナ属に属する微生物としては、スポロサル
シナ・ウレアエを挙げることができる。この種に属する
保存菌として例えばスポロサルシナ・ウレアエIFO1269
8、及びスポロサルシナ・ウレアエIFO12699(ATCC 6473)
を挙げることができ、また新菌株として本発明者等が分
離したスポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04を挙げること
ができる。前記の保存菌はそれぞれ前記寄託番号のもと
にIFO又はATCCから自由に入手することができ、また新
菌株スポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04は工業技術院微
生物工業技術研究所に微工研菌寄第8178号(FERM P-817
8)として寄託され、微工研条寄第1012号(FERM≠BP-10
12)としてブタペスト条約に基く国際寄託に移管され
た。
バシルスに属する微生物としては、例えば本発明者等に
より分離された新菌株バシルスsp.SCRC-R53b、バシルス
sp.SCRC-R79a、バシルスsp.SCRC-101A、及びバシルスs
p.SCRC-114Dを挙げることができる。これらの菌株の菌
学的性質は非常に近似しており、これらの代表株として
バシルスsp.SCRC-R79aが工業技術院微生物工業技術研究
所に微工研菌寄第8179号(FERM P−8179)とし
て寄託され、微工研条寄第1013号(FERM≠BP-1013)と
してブタペスト条約に基く国際寄託に移管された。また
バシルスsp.SCRC-114Dが微工研条寄第1011号としてブタ
ペスト条約に基き国際寄託されている。
前記の新菌株は次のようにして分離した。次の第1表に
示す組成の培地を調製した。
この培地を試験管(18mm)に5mlずつ分注し、120
℃で15分間滅菌した。この培地に各地より採取した土
壌サンプルを少量加え30℃で3日間振とう培養した。
この培養液を一白金耳とり、同じ培地に接種しさらに3
0℃で3日間振とう培養した。表の培地に2%の寒天を
加えた平板培地に、培養液の一部を白金耳を用いて画線
塗布し、30℃で数日保温した。出現したコロニーを同
じ培地組成の斜面培地に釣菌した。
このようにして各地より採取した土壌サンプルから多数
の菌株を分離した。次に、表の培地200mlを500ml容の三
角フラスコに分注し、同様に滅菌した。それぞれの菌株
をこの培地で30℃、24時間回転振とう培養し、得ら
れた菌体を洗浄後、超音波処理により破砕した。遠心後
得られた上清を0.1mMのEDTAおよび5mMの2−メルカ
プトエタノールを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で
透析した。この上清に含まれるL−フェニルアラニン脱
水素酵素活性を後記の方法により測定した。
このようにして、L−フェニルアラニン脱水素酵素を顕
著に生産する下記の5株を得た。これらの菌株の分離源
は次表の通りであった。
前記の新規な5菌株はそれぞれ次のような菌学的性質を
有する。
上記の菌学的性質に基づき、ヘバージィズ・マニュアル
・オブ・ディターミネイティブ・バクテリオロジー(Be
rgey′s Manual of Determinative Bacteriology)第8
版、1974年の分類基準に従って、前記5菌株を次の様に
同定した。
(i)SCRC-R04株は、好気性で運動性及び胞子形成能を有
し、グラム陽性の2連〜4連の球菌であることからスポ
ロサルシナ属に属する。スポロサルシナ属には唯一の種
としてスポロサルシナ・ウレアエが知られており、前記
性質が文献記載のそれとほぼ一致するので、SCRC-R04株
はスポロサルシナ・ウレアエであると同定される。
(ii)SCRC-R53b、SCRC-R79a、SCRC-101A、及びSCRC-114D
株はいずれもグラム陽性の桿菌で内生胞子を形成し、カ
タラーゼの生成が認められることからバシルス属に属す
ることが明らかである。
なお、菌株SCRC-R04、SCRC-R53b、SCRC-R79a、SCRC-101
A、及びSCRC-114Dの電子顕微鏡写真をそれぞれ第1図〜
第5図に示す。
以上、主として自然界から分離した菌株について詳細に
記載したが、これらの菌に変異を生じさせて一層生産生
の高い菌株を得ることもできる。また、これらの菌株の
細胞中に存在するL−フェニルアラニン脱水素酵素の生
産に関与する遺伝子を切り出し、これを適切なベクター
例えばプラスミドに挿入し、このベクターを用いて適当
な宿主、例えばエッシェリッヒヤ・コリ(Eshcerichia
coli)や酵母のごとき異種宿主、又はバシルス属菌株も
しくはスポロサルシナ属菌株のごとき同種宿主を形質転
換することにより、本発明のL−フェニルアラニン脱水
素酵素生産株を人為的に創成することもできる。
この発明の菌株は、常法に従って保存することができ、
例えば寒天スラント培地上で、又は凍結乾燥法により保
存することができる。寒天スラント培地としてはスポロ
サルシナ属又はバシルス属細菌の保存に常用されている
培地、例えば菌の分離に関して前記した培地を使用する
ことができる。また、凍結乾燥保存も常法に従って行う
ことができる。
(2)酵素の製造方法 前記の微生物を培養して本発明のL−フェニルアラニン
脱水素酵素を製造しようとする場合、基礎栄養培地とし
て、この発明の微生物が増殖し得るものであればいずれ
を使用してもよい。この培地は、窒素源として例えば酵
母エキス、ペプトン、肉エキス等の1種類又は複数種類
を含有する。また、この培地には必要に応じて炭素源と
してグルコース、澱粉、グリセリン等を加えることがで
きる。この培地には無機塩類、例えばリン酸二カリウ
ム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム等を加えること
が好ましい。
L−フェニルアラニン脱水素酵素の製造に当たっては前
記基礎培地に、誘導物質として少量のL−フェニルアラ
ニンを添加するのが好ましい。このL−フェニルアラニ
ンの添加量は、基礎培地の組成、培養する菌株の性質等
により異なるがおよそ0.01〜10w/v%であり、好ましく
は0.1〜1w/v%である。
培養は固体培地又は液体培地のいずれを用いて行っても
よいが、目的酵素を多量に得るためには、液体培地を用
い、振とう培養、通気・攪拌培養等により好気的条件下
で培養を行うのが好ましい。培養温度は菌が生育し、L
−フェニルアラニン脱水素酵素が生産される温度範囲内
であればいずれの温度でも良いが、好ましくは25〜45℃
である。pHは6〜11、好ましくは7〜10の範囲であ
る。培養時間は酵素活性が発現される時間を選べば良い
が好ましくは6〜48時間である。
次に得られた培養物から本発明のL−フェニルアラニン
脱水素酵素が採取されるが、精製法として通常の酵素精
製法を用いることが出来る。遠心分離等によって菌体を
集め、超音波処理、ダイノミル等の機械的方法によって
菌体を破砕する。細胞片などの固形物を遠心分離などに
よって除き、粗酵素を得、さらにこれに硫酸プロタミン
又は硫酸ストレプトマイシンを加えて処理を行い、塩
析、有機溶媒沈澱、吸着クロマトグラフィー、イオン交
換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等
を行い、さらに硫酸アンモニウム等の塩やポリエチレン
グリコール等の添加による結晶化等の公知の方法によっ
て均一の結晶酵素標品を単離することが出来る。なお、
本発明の酵素の製造方法の具体的な1例を実施例に記載
する。
(3)力価の測定方法 本発明においては次の方法により力価を測定した。
酸化的脱アミノ化反応:グリシン−KCl−KOH緩衝液(pH
10.5)100μmol、NAD+2.5μmol、L−フェニルアラニン
10μmol、及び適当量のサンプルを1mlになるように混
合して反応せしめ、25℃におけるNADHの増加を340nm
の吸光度の増加として計測し、1分間当り1マイクロモ
ルのNADHを増加せしめる酵素量を1単位とした。
還元的アミノ化反応:各種緩衝液100μmol、NADH0.1μm
ol、NH4Cl200μmol、フェニルピルビン酸ナトリウム1
0μmol及び適当量のサイプルを1mlになるように混合
して反応せしめ、25℃におけるNADHの減少を340nmの
吸光度の減少として計測し、1分間当り1マイクロモル
のNADHを減少せしめる酵素量を1単位とした。
フェニルピルビン酸の還元的アミノ化反応の速度は、至
適pHにおいて上記酸化的脱アミノ化反応速度に比べて約
5.5倍速い。従って前記特開昭59-198972に記載されてい
るように還元的アミノ化反応速度を測定し、上記のよう
に力価を定義した場合、同量の酵素が約5.5倍の単位数
を示す。
(4)酵素の性質 本発明のL−フェニルアラニン脱水素酵素は次の性質を
有する。
A.スポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04により生産され
る酵素 (1)作用:次式に示す反応を触媒する。
L−フェニルアラニン+NAD++H2O フェニルピルビン酸+NADH+NH3+H (2)基質特異性:本酵素は第3表に示すようにL−フェ
ニルアラニン以外のL−アミノ酸には極めてわずかにし
か反応せず又は全く反応しない。
上記の表は酸化的脱アミノ化反応について測定した結果
を示す。基質濃度はL−チロシンを1.4mMとしたのを
除き、10mMとした。
D−フェニルアラニン、L−アラニン、L−ヒスチジ
ン、L−アルギニン、L−リジン、L−オルニチン、L
−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミ
ン、L−グルタミン酸、L−プロリン、L−セリン、L
−スレオニン、L−システインおよびDL−フェニルグ
リシンは基質とならない。
補酵素としてはNAD+が必要であり、NADP+はNAD+に対し
て約3.9%の活性を示すにすぎない。
(3)至適pH:酸化的脱アミノ化反応ではpH10.5付近が至
適であり、還元的アミノ化反応では9.0付近が至適であ
る(第6図)。
(4)pH安定性:各pHの緩衝液(0.05M)中30℃にて1
時間保温した後の残存活性を酸化的脱アミノ化について
測定した場合、第7図に示す(処理前の活性を100%と
する)ごとくpH9付近において安定である。
(5)至適温度:40℃付近における活性が最大である
(第8図)。
(6)温度安定性:0.1Mグリシン−NaOH緩衝液(pH9.0)
中、各温度において10分間処理した後の残存活性を酸
化的脱アミノ化反応について測定したところ、第9図に
示す(処理前の活性を100%とする)ごとく42℃にお
いて活性の半分を失う。
(7)吸収スペクトル:278nmに極大吸収、283nm付近
に肩を有する。可視部の吸収は認められない。この様子
を第10図に示す。
(8)金属イオン、阻害剤の影響:銀、水銀等の金属イオ
ン、およびPCMB、N−エチルマレイミド、5,5′−ジ
チオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)等のSH阻害剤によ
って活性が阻害される(第4表)。
金属イオンおよび阻害剤の濃度は特に記さない限り1m
Mである。
(9)等電点:アンホラインを用いる焦点電気泳動により
測定した場合5.3〜5.4である。
(10)分子量:高速液体クロマトグラフィー(TSK 3000 S
W)により約290,000と算出される。
(11)サブユニットの分子量:SDS−ポリアクリルアミド
ゲルディスク電気泳動により約38,000〜39,000と算出さ
れる。
(12)均一性:ポリアクリルアミドゲル電気泳動(7.5
%,pH8.4)により第11図Aに示す如く単一のバンド
を与える。またSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
(10.0%,pH7.2)により第11図Bに示す如く単一の
バンドを与える。
(13)結晶形:第12図に拡大して示すように板状であ
る。
以上のごとく、本発明のL−フェニルアラニン脱水素酵
素は他の微生物起源のそれとは明らかに異なっており、
新規な酵素である。
B.バシルスsp.SCRC-R79aにより生産される酵素 (1)作用:次式に示す反応を触媒する。
L−フェニルアラニン+NAD++H2O フェニルピルビン酸+NADH+NH3+H (2)基質特異性:本酵素は第5表に示すようにL−フェ
ニルアラニン及びL−チロシン以外のL−アミノ酸には
極めてわずかにしか反応せず、又は全く反応しない。
上記の表は酸化的脱アミノ化反応について測定した結果
を示す。基質濃度はL−チロシンを1.4mMとしたのを
除き、10mMとした。
D−フェニルアラニン、L−アラニン、L−ヒスチジ
ン、L−アルギニン、L−リジン、L−オルニチン、L
−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミ
ン、L−グルタミン酸、L−プロリン、L−セリン、L
−スレオニン、L−システイン、L−バリン、L−ロイ
シン、L−イソロイシン、およびL−α−アミノ−n−
酪酸は基質とならない。
なお、還元的アミノ化反応ではフェニルピルビン酸をL
−フェニルアラニンにする速度を100%とすると、p−
ヒドロキシフェニルピルビン酸をL−チロシンにする相
対速度はpH9.0において176%である。
L−フェニルアラニンの酸化的脱アミノ化反応ではNADP
+はNAD+の2.9%の補酵素活性しか有さない。
(3)至適pH:酸化的脱アミノ化反応ではpH10.6〜11.3付
近が至適であり、還元的アミノ化反応ではpH9.8〜10.8
付近が至適である(第13図)。
(4)pH安定性:各pHの緩衝液(0.05M)中30℃にて1時
間保温した後の残存活性を酸化的脱アミノ化について測
定した場合、第14図に示す(処理する前の活性を100
%とする)ごとく、pH4〜11.3の範囲で安定であり、特
にpH9〜11の範囲で安定であった。
(5)至適温度:50℃付近における活性が最大である
(第15図)。
(6)温度安定性:0.1Mグリシン−NaOH緩衝液(pH9.0;
第16図A)、及び0.1Mグリシン−KCl−KOH緩衝液(p
H11.0;第16図B)中、各温度において10分間処理
した後の残存活性を酸化的脱アミノ化反応について測定
する場合、pH9.0においては57℃で活性が半減し、pH11.
0においては48℃で活性が半減する。
(7)吸収スペクトル:278nmに極大吸収、283nm付近
に肩を有する。可視部に吸収は認められない。この様子
を第17図に示す。
(8)金属イオン、阻害剤の影響:銀、水銀等の金属イオ
ンおよびPCMBによって活性が阻害される(第6表)。
金属イオンおよび阻害剤の濃度は特に記さない限り1m
Mである。
(9)等電点:アンホラインを用いる焦点電気泳動により
測定した場合4.3〜4.4である。
(10)分子量:高速液体クロマトグラフィー(TSK 3000 S
W)により約290,000と算出される。
(11)サブユニットの分子量:SDS−ポリアクリルアミド
ゲルディスク電気泳動により約38,000〜39,000と算出さ
れる。
(12)均一性:ポリアクリルアミドゲル電気泳動(7.5
%,pH8.4)により第18図Aに示す如く単一のバンド
を与える。またSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
(10.0%,pH7.2)により第18図Bに示す如く単一の
バンドを与える。
(5)L−フェニルアラニンの製造方法 本発明のL−フェニルアラニンの製造方法においては、
スポロサルシナ属細菌又はバシルス属細菌によって生産
されるL−フェニルアラニン脱水素酵素の存在下でフェ
ニルピルビン酸、NADH及びアンモニウムイオンを反応せ
しめることによりL−フェニルアラニンを生成せしめ、
該フェニルアラニンを採取する。
この方法において使用されるL−フェニルアラニン脱水
素酵素の使用形態は特に限定されない。例えば、この発
明によって精製された酵素を使用することできるのは無
論のこと、細胞を含有する培養液、培養生菌体、アセト
ン等によって脱水処理された乾燥菌体、菌体破砕物、種
々の段階まで精製された部分精製酵素標品等の酵素含有
物を使用することができる。さらにこれらの酵素又は酵
素含有物を常法に従って固定化したものを使用すること
もできる。工業的な実施に当っては生菌体、固定化菌体
等を用いるのが有利である。反応液中のL−フェニルア
ラニン脱水素酵素の量は基質であるフェニルピリビン酸
又はその塩の濃度等によって異なり特に限定されない
が、通常10〜10,000単位/とするのが便利である。
基質としてフェニルピリビン酸又はその塩、例えばナト
リウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩等を
使用することができる。フェニルピリビン酸又はその塩
の添加量は、反応液中の前記酵素の濃度等により異なり
特に限定されないが、1〜500g/とするのが便利で
ある。低濃度で使用する場合には遊離酸の形で使用する
ことができるが、比較的高濃度で使用する場合には塩の
形で使用するのがpH調整の観点から好ましい。例えばフ
ェニルピルビン酸ナトリウムは高濃度では完全には溶解
しないが、反応液中に未溶解のナトリウム塩が存在して
いても差しつかえない。また、フェニルピリビン酸アン
モニウム又はフェニルピルビン酸をアンモニアで中和し
たものを使用することもでき、この場合このアンモニウ
ム塩あフェニルピルビン酸の給源であると同時に後に記
載するアンモニウムイオンの給源としても機能する。フ
ェニルピリビン酸又はその塩はバッチ式反応においては
反応開始時に一度に添加することもでき、又反応の進行
と共に複数回に分割して、もしくは連続的に添加するこ
ともできる。
アンモニウムイオンの給源としてはアンモニウム塩、例
えば塩化アンモニウム又は硫酸アンモニウムの形で使用
するのが便利である。また、アンモニアガス又は水酸化
アンモニウム水溶液を、反応液のpHを所定値に維持しな
がら反応の進行と共に連続的に導入することも可能であ
る。前記のようにフェニルピルビン酸アンモニウムを使
用する場合にはこの物質がアンモニウム塩の給源として
も機能する。アンモニウム塩の使用量はフェニルピルビ
ン酸の量と同モル量又はそれより多量とする。この量は
一般にフェニルピルビン酸の量に対して1〜2倍モル量
とするのが便利である。アンモニウム塩のモル量を多く
することによって酵素反応の平衡をL−フェニルアラニ
ン側に傾け、フェニルピリビン酸に対するL−フェニル
アラニンの収率を上昇せしめることができる。
NADHは、フェニルピルビン酸と等モルを加えてもよい
が、NADHは非常に高価であるから、工業的見地から、前
記の反応系のほかに、NADH再生系、すなわち前記反応に
より生成したNAD+をNADHに還元する系を共有させるのが
好ましい。このような系としてNAD+をNADHに変換する酵
素とその基質との組合わせ、例えば蟻酸脱水素酵素(EC
1.2.1.2)と蟻酸、L−グルタミン酸脱水素酵素(EC
1.4.1.2)とグルタミン酸、アルコール脱水素酵素(EC
1.1.1.1)とエタノール、アルデヒド脱水素酵素(EC 1.
2.1.3)とアセトアルデヒド、グルコース−6−リン酸
脱水素酵素(EC 1.1.1.49)とグルコース−6−リン酸
等を使用することができる。また、ヒドロゲナーゼ(EC
1.18.3.1)による分子状水素を電子供与体とするNAD+
のNADHへの還元反応や、電気化学的に還元されたメチル
ビオローゲンやジヒドロリポアミドのジアホラーゼ(EC
1.6.4.3)による酸化に伴うNAD+のNADHへの還元反応を
も使用することができる。蟻酸脱水素酵素と蟻酸を使用
する場合、NAD+が還元されてNADHとなると同時に蟻酸が
酸化されて二酸化炭素が生成し、これは反応系から容易
に除去され、反応が常に所望の方向に進行するため特に
好ましい。蟻酸脱水素酵素は市販されており容易に入手
することができる。又、例えばカンジダ・ボイディニ
(Candida boidinii)No.2201(AKU 4705)や、ハンゼヌ
ラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(ATCC26012)
から公知の方法〔カトウら、アグリカルチュラル・アン
ド・バイオロジカル・ケミストリー(Agri-cultural and
Biological Chemistry)38,111〜116(1974)〕により精
製して使用することもできる。NADH再生系の酵素濃度
は、L−フェニルアラニン脱水素酵素濃度等に依存して
異なり、一般に基質フェニルピルビン酸の還元的アミノ
化速度(従ってNAD+生成速度)に匹敵する速度でNAD+
NADHに還元するために必要な量である。例えば、前記の
ように10〜10,000単位/のL−フェニルアラニン脱水
素酵素を使用し、NADH再生系酵素として蟻酸脱水素酵素
を使用する場合、この酵素の使用量は10〜10,000単位/
程度とするのが好ましい。蟻酸脱水素酵素の基質とし
ては蟻酸の塩、例えば蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、
蟻酸アンモニウム等を使用するのが便利である。蟻酸塩
の使用量はフェニルピルビン酸又はその塩の量の1〜2
倍モル量とするのが好ましい。NADH再生系を用いる場合
は、NAD+又はNADHを通常の生理的濃度である0.1〜10
mM加えればよい。
反応媒体としては水、又は水性液、例えば水性緩衝液を
用いることができる。緩衝液としては例えばトリス−HC
l緩衝液、グリシン−NaOH緩衝液等を使用することがで
きる。
反応液のpHとしては、前記のNADH再生系を用いない場合
には、L−フェニルアラニン脱水素酵素による還元的ア
ミノ化に適するpHを用いることができ、例えばスポロサ
ルシナ属細菌由来の酵素を用いる場合にはpH8〜10、
好ましくはpH約9とし、バシルス属細菌由来の酵素を用
いる場合にはpH9〜11、好ましくはpH約10とする。
フェニルピルビン酸の還元的アミノ化系と共にNADH再生
系を用いる場合には、これら両者の反応が共に良好に進
行するpH範囲を選択する必要がある。このようなpHは、
例えば、スポロサルシナ属細菌由来のL−フェニルアラ
ニン脱水素酵素とカンジダ・ボイディニ由来の蟻酸脱水
素酵素を用いる場合には通常はpH7.5〜9.5、好ましくは
pH8.0〜9.0である。また、バシルス属細菌由来のL−フ
ェニルアラニン脱水素酵素とカンジダ・ボイディニ由来
の蟻酸脱水素酵素を用いる場合には通常はpH8〜10、好
ましくはpH8.5〜9.5である。
反応温度も、反応pHの場合と同様に考えることができる
が酵素のいずれの組合わせにおいても通常は20℃〜50
℃、好ましくは25℃〜40℃である。
反応時間は特に臨界的でなく、反応混合物の基質濃度、
酵素力価等に依存して、基質フェニルピルビン酸が十分
な収率でL−フェニルアラニンに転換されるまで反応を
維持する。
反応方式は回分式であっても連続式であってもよく、反
応時間はいずれの方式を用いるかにより異なる。
生成したL−フェニルアラニンは任意の常法に従って精
製採取することができる。例えば、反応終了後にトリク
ロロ酢酸を加えて蛋白質を沈澱せしめ、菌体(存在する
場合には)と共に濾去し、濾液をイオン交換樹脂等によ
り精製し、結晶化する。
フェニルアラニンの定量は、例えばロイコノストック・
メセンテロイデス(Leuconostoc mesent eroides)ATCC
8042を用いるバイオアッセイにより行うことができる。
次に実施例によりこの発明をさらに具体的に説明する。
実施例1.スポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04からのL
−フェニルアラニン脱水素酵素の精製 L−フェニルアラニン0.2%、酵母エキス0.5%、ペプト
ン1.0%、K2HPO40.2%、NaCl0.1%、及びMgSO4・7H2O0.0
2%を含有し、pH7.0に調整した培地30を120℃、1
5分間加熱殺菌した後、スポロサルシナ・ウレアエSCRC
-R04(微工研菌寄第8178号)微工研条寄第1012号を
接種し、30℃で24時間好気的に培養した。培養後、
遠心分離機で菌体を採取し湿重量約380gの菌体を得
た。菌体を0.85%の食塩水で1回洗浄した後、0.1mME
DTAおよび5mMの2−メルカプトエタノールを含むリ
ン酸緩衝液(pH7.0)1に懸濁し、9KHzにおける超
音波処理を約10時間行い菌体を破砕した。破砕菌体は
14,000xg、20分間の遠心分離で除去し、L−フェニルア
ラニン脱水素酵素を含む粗抽出液を得た。この無細胞抽
出液に5%プロタミン硫酸水溶液を1g蛋白当り0.1g
となるように添加し、30分間攪拌した。生成した沈澱
を14,000xg、20分間遠心分離し、得られた粗酵素液を0.
1mMのEDTAおよび5mMの2−メルカプトエタノール
を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析し
た。透析後の酵素液(1990ml)に固体硫酸アンモニウム
(412g)を加え30%硫酸アンモニウム飽和とした。
30分間攪拌の後、14,000xgで20分間遠心して得られる
上清(2100ml)にさらに固体硫酸アンモニウム(416
g)を加え60%硫酸アンモニウム飽和とした。14,000
xgで20分間遠心して得られる、酵素活性を有する沈澱を
少量の0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、さらに
0.1mMのEDTAおよび5mMの2−メルカプトエタノー
ルを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で透析した。こ
の酵素液をあらかじめ、0.1mMのEDTAおよび5mMの
2−メルカプトエタノールを含む0.01Mリン酸緩衝液
(pH7.0)で平衡化したDEAE−トヨパール650Mのカラム
に通過させ、0.1mMのEDTAおよび5mMの2−メルカ
プトエタノールを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で溶
出した。
活性画分を集め、0.1mMのEDTAおよび5mMの2−メ
ルカプトエタノールを含む0.01Mのリン酸緩衝液で透析
後、あらかじめ同じ緩衝液で平衡化したヒドロキシアパ
タイトのカラムに通過させ、0.1mMのEDTAおよび5m
Mの2−メルカプトエタノールを含む0.01Mから0.15M
のリン酸緩衝液(pH7.0)の直線的な濃度勾配で酵素を
溶出させた。この活性画分を集め0.1mMのEDTA、5m
Mの2−メルカプトエタノールおよび0.1MNaClを含む
0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したセファデッ
クスG−200によるゲル濾化クロマトグラフィーを行な
った。このようにして得られた酵素液を限外濾化により
濃縮し、硫酸アンモニウムを添加し結晶化を行った。こ
うして収率31%で板状結晶L−フェニルアラニン脱水
素酵素が得られた。この結晶の拡大図を第12図に示
す。なお第7表に菌体抽出液から結晶化に至るまでの精
製工程における比活性および回収率を示す。
例2.(参考例)バシルスsp.SCRC-R79aからのL−フェ
ニルアラニン脱水素酵素の精製 L−フェニルアラニン0.2%、酵母エキス0.5%、ペプト
ン1.0%、K2HPO40.2%、NaCl0.1%、及びMgSO4・7H2O0.0
2%を含有し、pH7.0に調製した培地10を120℃、1
5分間加熱殺菌した後、バシルスsp.SCRC-R79a(微工研
菌寄第8179号)(微工研条寄第1013号)を接種し、
30℃で24時間好気的に培養した。培養後10の培
養液から遠心分離機で菌体を採取し湿重量約108gの菌
体を得た。菌体を0.85%の食塩水で1回洗浄した後、0.
1mMEDTAおよび5mMの2−メルカプトエタノールを
含むリン酸緩衝液(pH7.0)約0.4に懸濁し、9KH
zにおける超音波処理を約6時間行ない菌体を破砕し
た。破砕菌体は14,000xg、20分間の遠心分離で除去し、
L−フェニルアラニン脱水素酵素を含む粗抽出液を得
た。この無細胞抽出液に5%プロタミン硫酸水溶液を1
g蛋白当り0.1gとなるように添加し、30分間攪拌し
た。生成した沈澱を14,000xg、20分間遠心分離し、得ら
れた粗酵素液を0.1mMのEDTAおよび5mMの2−メル
カプトエタノールを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)
に対して透析した。透析後の酵素液(400ml)に固体硫
酸アンモニウム(70.4g)を加え30%硫酸アンモニウ
ム飽和とした。30分攪拌の後、14,000xgで20分間遠心
して得られる、上清(430ml)にさらに固体硫酸アンモ
ニウム(85.6g)を加え60%硫酸アンモニウム飽和と
した。14,000xgで20分間遠心して得られる、酵素活性を
有する沈澱を少量の0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶
解し、さらに0.1mMのEDTAおよび5mMの2−メルカ
プトエタノールを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で
透析した。この酵素液を、あらかじめ0.1mMのEDTAお
よび5mMの2−メルカプトエタノールを含む0.01Mリ
ン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したDEAE−トヨパール650
Mのカラムに通過させ、0.1mMのEDTAおよび5mMの
2−メルカプトエタノールを含む0.1Mのリン酸緩衝液
(pH7.0)で溶出した。
活性画分を集め、0.1mMのEDTAおよび5mMの2−メ
ルカプトエタノールを含む0.01Mリン酸緩衝液で透析
後、あらかじめ同じ緩衝液で平衡化したヒドロキシアパ
タイトのカラムに通過させ、0.1mMのEDTAおよび5m
Mの2−メルカプトエタノールを含む0.01Mから0.4M
のリン酸緩衝液(pH7.0)の直線的な濃度勾配で酵素を
溶出させた。この活性画分を集め0.1mMのEDTA、5m
Mの2−メルカプトエタノールおよび0.1MNaClを含む
0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したセファデッ
クスG−200によるゲル濾化クロマトグラフィーを行な
った。こうして、L−フェニルアラニン脱水素酵素を約
60%の収率で約1800倍に精製した。この精製過程にお
ける比活性および回収率を第8表に示す。この酵素はポ
リアクリルアミドゲル電気泳動およびSDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動において均一であることが証明さ
れた。
実施例3.スポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04由来の粗
酵素を用いるL−フェニルアラニンの製造 フェニルピリビン酸ナトリウム5g(22mmol)、蟻酸
アンモニウム3g(49mmol)、NAD+0.21g(0.29mmo
l)、トリス−HCl緩衝液(pH8.5)18mmol、粗L−フ
ェニルアラニン脱水素酵素43.2単位(実施例1、第7表
の工程3の硫酸アンモニウム分画まで部分精製した粗酵
素画分に相当)および粗蟻酸脱水素酵素49.0単位(pH8.
5),カンジダ・ボイディニNo.2201より部分精製)を含
む300mlの反応液を30℃において24時間反応させ
た。反応液中に生成したL−フェニルアラニンの量をロ
イコノストック・メセンテロイデスを用いる微生物定量
法により定量したところ1.91g(11.6mmol,52.7%の
転換率)のL−フェニルアラニンが生成していた。この
反応液に20%トリクロロ酢酸30mlを加え除蛋白後、陽
イオン交換樹脂アンバーライト(Amberlite)IR-120
(H)カラムに吸着させ、1Mアンモニア水で溶出さ
せた。L−フェニルアラニンを含む画分を集め、濃縮後
陰イオン交換樹脂アンバーライト(Amberlite)IRA-400
(OH)カラムに吸着させ、1M蟻酸で溶出させた。
L−フェニルアラニンを含む画分を濃縮乾固した。小量
の温水に溶解し、エタノールを50%となるように加
え、冷蔵すると結晶が析出した。この結晶を同様の操作
により再結晶化し、0.458gの無色固体を得た。この標
品の元素分析値は以下のとおりであった。
融点:270℃で分解した。
比旋光度▲[α]20 D▼−35.5°(c=0.48,H2O)で光
学的に純粋なL体であった。マススペクトル、核磁気共
鳴吸収スペクトル、および赤外吸収スペクトルによる分
析結果はいずれも、生成物がL−フェニルアラニンであ
ることを示した。
実施例4.スポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04由来の部
分精製酵素を用いるL−フェニルアラニンの高濃度合成 フェニルピリビン酸ナトリウム3.57mmol、NAD+100μmo
l、NH4Cl5mmol、トリス−HCl緩衝液(pH8.5)272
μmol、蟻酸ナトリウム7.84mmol、L−フェニルアラニ
ン脱水素酵素35単位(実施例1、第7表の工程4のDE
AE−トヨパールカラムを通過させた画分)および蟻酸脱
水素酵素10.2単位((pH8.5),カンジダ・ボイディニN
o.2201より部分精製)を5ml中に含む反応液を30℃で
24時間保温した。微生物定量法により定量したとこ
ろ、580mg(3.53mmol,98.5%の転換率)のL−フェニ
ルアラニンが生成していた。
実施例5.スポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04由来の粗
酵素を用いるL−フェニルアラニンの合成 フェニルピルビン酸ナトリウム200μmol、NAD+20μmo
l、蟻酸ナトリウム200μmol、トリス−HCl緩衝液(pH8.
5)600μmol、蟻酸脱水素酵素11.9単位((pH8.
5),カンジダ・ボイディニNo.2201の無細胞抽出液)お
よびL−フェニルアラニン脱水素酵素13.2単位(SCRC-R
04株の培養菌体の無細胞抽出液を硫酸アンモニウム30〜
60%飽和として沈澱した粗酵素画分;実施例1の第7表
の工程3に相当)を含む13.0mlの反応液を30℃で15時
間反応させた。反応液中に生成したL−フェニルアラニ
ンの量を微生物定量法により測定したところ32.8mg(19
8.8μmol,98.4%の転換率)のL−フェニルアラニンが
生成していた。
例6.(参考例)バシルスsp.SCRC-R79a由来の部分精製
酵素を用いるL−フェニルアラニンの合成 フェニルピルビン酸ナトリウム400μmol、蟻酸アンモニ
ウム800μmol、NAD+5μmol、トリス−HCl緩衝液(pH8.
5)260μmol、粗蟻酸脱水素酵素0.5単位(pH8.5),お
よびL−フェニルアラニン脱水素酵素0.25単位(SCRC-R
79aの無細胞抽出液よりプロタミン処理,硫安分画,DEA
E−トヨパール、およびヒドロキシアパタイトの各カラ
ムクロマグラフィーにより、約180倍に精製した酵素標
品)を含む5.0mlの反応液を30℃で24時間反応させ
た。微生物定量法により定量したところ64.4mg(390.0
μmol,97.5%の転換率)のL−フェニルアラニンが生
成していた。
この反応液から、実施例3の方法に準じてL−フェニル
アラニンを得た。
【図面の簡単な説明】
第1図はスポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04の電子顕微
鏡写真であって、生物の形態を表わす図面に代る写真で
あり; 第2図はバシルスsp.SCRC-R53bの電子顕微鏡写真であっ
て、生物の形態を表わす図面に代る写真であり; 第3図はバシルスsp.SCRC-R79aの電子顕微鏡写真であっ
て、生物の形態を表わす図面に代る写真であり; 第4図はバシルスsp.SCRC-101Aの電子顕微鏡写真であっ
て、生物の形態を表わす図面に代る写真であり; 第5図はバシルスsp.SCRC-114Dの電子顕微鏡写真であっ
て、生物の形態を表わす図面に代る写真であり; 第6図はスポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04が生産する
L−フェニルアラニン脱水素酵素のpHと反応速度の関係
を表わすグラフであって、Aは酸化的脱アミノ化反応に
ついて、Bは還元的アミノ化反応についての結果を示
し; 第7図はスポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04が生産する
L−フェニルアラニン脱水素酵素のpH安定性を示すグラ
フであり; 第8図はスポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04が生産する
L−フェニルアラニン脱水素酵素の温度と反応速度との
関係を表わすグラフであって、酸化的脱アミノ化反応に
ついての結果を示し; 第9図はスポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04が生産する
L−フェニルアラニン脱水素酵素の温度安定性を示すグ
ラフであり; 第10図はスポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04が生産す
るL−フェニルアラニン脱水素酵素の紫外部吸収スペク
トラムであり; 第11図はスポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04が生産す
るL−フェニルアラニン脱水素酵素の均一性を示す電気
泳動図であって、Aはポリアクリルアミド電気泳動(7.
5%ゲル,pH8.4)を示し、そしてBはSDS−ポリアクリ
ルアミド電気泳動(10.0%ゲル,pH7.2)を示し; 第12図はスポロサルシナ・ウレアエSCRC-R04が生産す
るL−フェニルアラニン脱水素酵素の顕微鏡拡大スケッ
チであり; 第13図はバシルスsp.SCRC-R79aが生産するL−フェニ
ルアラニン脱水素酵素のpHと反応速度の関係を表わすグ
ラフであって、Aは酸化的脱アミノ化反応について、B
は還元的アミノ化反応についての結果を示し; 第14図はバシルスsp.SCRC-R79aが生産するL−フェニ
ルアラニン脱水素酵素のpH安定性を示すグラフであり; 第15図はバシルスsp.SCRC-R79aが生産するL−フェニ
ルアラニン脱水素酵素の温度と反応速度との関係を表わ
すグラフであって、酸化的脱アミノ化反応についての結
果を示し; 第16図はバシルスsp.SCRC-R79aが生産するL−フェニ
ルアラニン脱水素酵素の温度安定性を示すグラフであ
り、Aは0.1Mグリシン−NaOH緩衝液(pH9.0)中での結
果を示し、そしてBは0.1Mグリシン−KCl−KOH緩衝液
(pH11.0)中での結果を示し; 第17図はバシルスsp.SCRC-R79aが生産するL−フェニ
ルアラニン脱水素酵素の紫外線吸収スペクトラムであ
り;そして、 第18図はバシルスsp.SCRC-R79aが生産するL−フェニ
ルアラニン脱水素酵素の均一性を示す電気泳動図であっ
て、Aはポリアクリルアミド電気泳動(7.5%ゲル,pH
8.4)を示し、そしてBはSDS−ポリアクリルアミド電気
泳動(10.0%ゲル,pH7.2)の結果を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の性質: (1)作用:1モルのL−アミノ酸、1モルのNAD+及び1
    モルの水から1モルのフェニルピルビン酸、1モルのNA
    DH及び1モルのアンモニウムイオンを生成する反応、並
    びにこの逆反応を触媒する; (2)分子量:高速液体クロマトグラフィーゲル濾過法に
    おいて約290,000の分子量を有し、 SDS−ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法にお
    いて約38,000〜39,000の分子量を有するサブユニットを
    示す; (3)基質特異性:下記の表に示すようにL−フェニルア
    ラニン以外のL−アミノ酸には極めてわずかにしか反応
    せず又は全く反応しない: (上記の表は酸化的脱アミノ化反応について測定した結
    果を示す); (4)至適pH:酸化的脱アミノ化反応ではpH10.5付近が至
    適であり、還元的アミノ化反応では9.0付近が至適であ
    る; (5)pH安定性:各pHの緩衝液(0.05M)中30℃にて1時
    間保温した後の残存活性を酸化的脱アミノ化について測
    定した場合pH9付近において安定である;並びに (6)至適温度:40℃付近における活性が最大である; を有することを特徴とするL−フェニルアラニン脱水素
    酵素。
  2. 【請求項2】スポロサルシナ(Sporosarcina)属細菌に
    より生産される特許請求の範囲第1項記載の酵素。
  3. 【請求項3】次の性質: (1)作用:1モルのL−アミノ酸、1モルのNAD+及び1
    モルの水から1モルのフェニルピルビン酸、1モルのNA
    DH及び1モルのアンモニウムイオンを生成する反応、並
    びにこの逆反応を触媒する; (2)分子量:高速液体クロマトグラフィーゲル濾過法に
    おいて約290,000の分子量を有し、 SDS−ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法にお
    いて約38,000〜39,000の分子量を有するサブユニットを
    示す; (3)基質特異性:下記の表に示すようにL−フェニルア
    ラニン以外のL−アミノ酸には極めてわずかにしか反応
    せず又は全く反応しない: (上記の表は酸化的脱アミノ化反応について測定した結
    果を示す); (4)至適pH:酸化的脱アミノ化反応ではpH10.5付近が至
    適であり、還元的アミノ化反応では9.0付近が至適であ
    る; (5)pH安定性:各pHの緩衝液(0.05M)中30℃にて1時
    間保温した後の残存活性を酸化的脱アミノ化について測
    定した場合pH9付近において安定である;並びに (6)至適温度:40℃付近における活性が最大である; を有するL−フェニルアラニン脱水素酵素の製造方法に
    おいて、該酵素を生産することができるスポロサルシナ
    (Sporosarcina)属細菌を培養し、この培養物から該酵
    素を採取することを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】前記細菌がスポロサルシナ・ウレアエ(Sp
    orosarcina ureae)である特許請求の範囲第3項記載の
    方法。
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