JPH104961A - N−アセチルノイラミン酸シンターゼ、及びこれを用いるn−アセチルノイラミン酸の製造方法 - Google Patents
N−アセチルノイラミン酸シンターゼ、及びこれを用いるn−アセチルノイラミン酸の製造方法Info
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Abstract
及び該酵素を用いることを特徴とする、N−アセチルノ
イラミン酸の効率的な製造方法を提供する。 【解決手段】マンガン、カルシウムもしくはそれらのイ
オン、グルタチオンまたはEDTAによって触媒活性が
影響されないことを特徴とするN−アセチルノイラミン
酸シンターゼ。大腸菌に由来する上記N−アセチルノイ
ラミン酸シンターゼ。上記N−アセチルノイラミン酸シ
ンターゼを触媒として用いることを特徴とする、N−ア
セチルマンノサミン及びホスホエノールピルビン酸から
N−アセチルノイラミン酸を製造する方法。
Description
ルノイラミン酸シンターゼ、及びそれを用いることを特
徴とするN−アセチルノイラミン酸の製造方法に関す
る。
ーゼは、その触媒活性がマンガン、カルシウムもしくは
それらのイオン、またはグルタチオンによって影響され
ず、またその活性がエチレンジアミン四酢酸(EDT
A)によって阻害されないことを特徴とする新規な酵素
である。
体及び重合体を含めて、近年医薬品の原料として注目さ
れている。このため、従来からこのN−アセチルノイラ
ミン酸を大量生産するための技術開発が行われてきてお
り、現在、更に経済的な製造法の確立が求められている
状況である。
に製造する従来の方法として、N−アセチルノイラミン
酸リアーゼ及びエピメラーゼを用いて、N−アセチルグ
ルコサミン及びピルビン酸を反応させる方法〔Angew. C
hem. Int. Ed. Engl., 30, 827-828 (1991)〕、及びN
−アセチルノイラミン酸リアーゼを用いて、強アルカリ
の条件下でN−アセチルグルコサミン及びピルビン酸を
反応させる方法等が挙げられるが、前者の方法は、N−
アセチルグルコサミンからN−アセチルノイラミン酸へ
の転換率が28%と低く、また後者の方法は、比較的強
いアルカリ条件下を使用するため、作業上の安全性、反
応後の排水処理、機器の耐性等の観点からまだまだ改良
の余地があった。
ミン酸の合成に関与する酵素としてN−アセチルノイラ
ミン酸シンターゼ(EC 4.1.3.19)の存在が知られてい
る。このN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、N−
アセチルマンノサミンとホスホエノールピルビン酸とか
らN−アセチルノイラミン酸を合成する反応を触媒する
酵素である。
するため、少なくとも従来法による問題はなく、N−ア
セチルノイラミン酸の酵素的製造に有用であると考えら
れる。
アセチルノイラミン酸シンターゼは、病原菌の一種であ
る髄膜炎菌に由来するものであり、その取得・調製の困
難性から未だ単離精製されておらず、その工業的利用は
難しいと考えられる〔ブラックロウ(Blacklow)ら、ザ
・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(The Journal of Biological Chemistry) 237, 3520-3
526 (1962)〕。一方で、大腸菌の粗抽出物にN−アセチ
ルノイラミン酸シンターゼ活性の存在が報告されている
〔Biol. Chem. Hoppe-Seyler. 371, 1101-1106 (1990);
Glycobiology.1,93-100 (1990)〕が、これらの報告で
は、被検物として細胞抽出物(粗精製物)を用いている
点、N−アセチルノイラミン酸シンターゼ活性を該酵素
に対する非特異的測定法を使用して測っている点等か
ら、測定している活性がN−アセチルノイラミン酸シン
ターゼによるものであるという信憑性は低い。また、更
に加えて、最近、大腸菌中のN−アセチルノイラミン酸
シンターゼの存在を否定する文献が発表されており〔Bi
ochem. J. (1995) 308, 501-505〕、この中で、大腸菌
中でのN−アセチルノイラミン酸合成はN−アセチルノ
イラミン酸シンターゼではなく、N−アセチルノイラミ
ン酸リアーゼが担っていると報告されている。
ラミン酸を酵素を用いて工業的に製造するにあたって、
有用な特性(理化学的、酵素的性質)を有する新規なN
−アセチルノイラミン酸シンターゼを発見し、該酵素を
用いてN−アセチルノイラミン酸を効率的に製造する反
応系を確立することが求められている。
ルマンノサミンとホスホエノールピルビン酸を基質とし
てN−アセチルノイラミン酸を産生する反応を触媒する
酵素であって、新規な特性を有するN−アセチルノイラ
ミン酸シンターゼを提供することを目的とする。
イラミン酸シンターゼを用いて、N−アセチルマンノサ
ミン及びホスホエノールピルビン酸から、N−アセチル
ノイラミン酸を効率的に製造する方法を提供することを
目的とする。
の下で鋭意検討を重ねた結果、大腸菌に、従来公知のN
−アセチルノイラミン酸シンターゼとは異なる有用な特
性を有する新規なN−アセチルノイラミン酸シンターゼ
が存在することを見いだして、これを単離・精製するこ
とに成功した。そして、該酵素が、N−アセチルノイラ
ミン酸の合成に有用であることを確認して、本発明を完
成するに至った。
ムまたはそれらのイオン(以下、これらを総称して金属
類ともいう。)によって触媒活性が影響されないことを
特徴とするN−アセチルノイラミン酸シンターゼであ
る。
チオンによっても触媒活性が影響されないことを特徴と
するN−アセチルノイラミン酸シンターゼである。
(以下、EDTAという。)によりその活性が阻害され
ないことを特徴とするN−アセチルノイラミン酸シンタ
ーゼである。
N−アセチルノイラミン酸シンターゼである。
セチルノイラミン酸シンターゼを触媒として用いること
を特徴とする、N−アセチルマンノサミン及びホスホエ
ノールピルビン酸からN−アセチルノイラミン酸を製造
する方法である。
ーゼは、N−アセチルマンノサミンおよびホスホエノー
ルピルビン酸を基質として、N−アセチルノイラミン酸
を産生する反応を触媒する酵素である。その反応は、具
体的には下記の式で表すことができる。
反応を触媒する酵素であって、マンガン、カルシウムま
たはそれらのイオンによって触媒活性が影響されないこ
とを特徴とするものである。言い換えれば、本発明のN
−アセチルノイラミン酸シンターゼは、N−アセチルマ
ンノサミン及びホスホエノールピルビン酸を含む反応系
に、マンガン、カルシウムまたはそれらのイオンのいず
れか少なくとも一種が適当量存在するとしないとに関わ
らず、触媒活性が殆ど変化せず、これらの金属類が反応
系に存在していなくても上記の反応を触媒する能力を十
分発揮する酵素である。なお、ここで適当量とは、一般
的に補因子(金属)要求性酵素において、触媒活性に必
要とされる補因子(金属)の量を広く意味するが、具体
的には〜50mMの濃度が例示される。
N−アセチルノイラミン酸シンターゼは、活性化物質と
して、マンガン、カルシウムまたはそれらのイオンを必
要としないことを特徴とするものである。ここで活性化
物質とは、N−アセチルノイラミン酸シンターゼに直接
的または間接的に作用することにより、反応速度や平衡
等を変化させて触媒活性(酵素活性)を高めるような物
質を意味し、それがないと反応が進行しない「必須活性
化物質」、なくても反応は進行するがあればさらに活性
化される「非必須活性化物質」の両者を包含するもので
ある。また、このような活性化物質として、他にマグネ
シウム、コバルト、カリウム、ナトリウム、銀、鉄また
はそれらのイオンを含めることもできる。
イラミン酸シンターゼは、活性化物質として、マンガン
またはそれらのイオン等を必要とするものであり〔The
Journal of Biological Chemistry. Vol.237, No.11, p
p.3520-3526 (1962)等〕、この点で本発明のN−アセチ
ルノイラミン酸シンターゼと相違するものである。ま
た、大腸菌に由来すると報告されているN−アセチルノ
イラミン酸シンターゼは、活性化物質としてカルシウム
またはそのイオンを必要としており〔Glycobiology Vo
l. 1, no.1, pp.93-100 (1990)等〕、この点で本発明の
N−アセチルノイラミン酸シンターゼと相違するもので
ある。
シンターゼは、その触媒活性がグルタチオンによって影
響されないことを特徴とするものである。言い換える
と、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼは、
N−アセチルマンノサミン及びホスホエノールピルビン
酸を基質とする反応系に、グルタチオンが適当量存在す
るとしないとに関わらず、その触媒活性が変化しないこ
とを特徴とするものである。ここで適当量とは、一般的
にSH化合物要求性酵素において、触媒活性に必要とさ
れるSH化合物の量を広く意味するが、具体的には〜1
0mMの濃度を例示することができる。
N−アセチルノイラミン酸シンターゼは、活性化物質
(「必須活性化物質」、「非必須活性化物質」の両者を
含む)としてグルタチオンを必要としないことを特徴と
するものである。さらに、本発明のN−アセチルノイラ
ミン酸シンターゼは、グルタチオンの他、β−メルカプ
トエタノール、システイン、ホモシステインによっても
その触媒活性は影響されない。
「非必須活性化物質」としてグルタチオン等が必要とさ
れる髄膜菌由来のN−アセチルノイラミン酸シンターゼ
と相違するところである〔The Journal of Biological
Chemistry. Vol.237, No.11,pp.3520-3526 (1962)
等〕。
シンターゼは、EDTAの存在によってもその触媒活性
が阻害されないという特性を有する。この特性もまた、
EDTAの存在によってその活性が阻害される、従来公
知の髄膜炎菌由来のN−アセチルノイラミン酸シンター
ゼと著しく相違するところである〔The Journal of Bio
logical Chemistry. Vol.237, No.11, pp.3520-3526,
(1962)等〕。
ミン酸シンターゼは、Mn2+、Mg2+、Zn2+、C
o2+、Cu2+、Fe2+などの金属イオンが酵素の触媒部
位もしくは活性部位に結合等して活性の発現に関与する
といった金属酵素ではないことを示唆している。
ーゼには、上記特性を有する全ての酵素が包含される
が、さらに下記の表1に示される理化学的性質を有して
いることが好ましい。
実施例に記載する。なお、表1のうち、pH安定性につ
いて、pH4〜12とは、最大活性を100%とした場
合に、その40%以上の活性を維持しているpH範囲を
意味し、またpH7〜10とは、同様に90%以上の活
性を維持しているpH範囲を意味する(図8参照)。
ーゼは、前述するように、触媒活性がマンガン、カルシ
ウムまたはそれらのイオンにより影響されないという性
質、好ましくは、さらに加えて触媒活性がグルタチオン
により影響されないという性質、より好ましくはこれら
の性質に加えて表1に記載する各種の理化学的性質を有
するものであればよく、その由来等によって何ら制限さ
れるものではない。
ーゼとして、通常、ラット、ウシ、ヒトなどの哺乳類、
微生物等に由来するものが挙げられるが、好ましくは、
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)以外の細菌に由来
するものであり、さらに好ましくは大腸菌、とりわけ大
腸菌K1に由来するものである。
シンターゼは、同様に上記特性を有するものである限
り、その取得方法によって何ら限定されるものではな
い。
セチルノイラミン酸シンターゼを発現・産生する菌株を
適当な培地で培養し、その培養菌体の細胞抽出液に含ま
れるN−アセチルノイラミン酸シンターゼを適当な方法
で単離・精製する方法等が挙げられる。
ルノイラミン酸シンターゼを発現・産生し得るものであ
れば特に制限されることなく、また野生菌、変異株、組
換体等の別も問わない。好ましくは大腸菌、より好まし
くは大腸菌K1(Escherichia coli K1)(ATCC 2
3511)等が例示される。
に通常用いられる栄養源を含む各種の培地で行うことが
できる。スケールアップが可能である等の点から好まし
くは液体培地であり、より好ましくは硫酸アンモニウム
0.5%、リン酸水素二カリウム1.4%、酵母エキス
0.05%、ソルビトール2%、硫酸マグネシウム0.
1%を有する液体培地等が例示される。培養は、通常2
0℃〜40℃、好ましくは37℃で、1〜100時間、
好ましくは5〜20時間程度行うことができ、必要によ
り通気や撹拌を加えることもできる。好適な培養方法と
しては、振盪培養や通気撹拌培養等が挙げられる。
法、各種クロマトグラフィー法(イオン交換法、クロマ
トフォーカシング法、ゲル濾過法等)等を用いて、各工
程のN−アセチルノイラミン酸シンターゼ活性を有する
画分を分離取得することにより、順次N−アセチルノイ
ラミン酸シンターゼを単離・精製することができる。
性は、N−アセチルマンノサミン及びホスホエノールピ
ルビン酸を基質とする反応系で、pH7〜8、好ましく
はpH7.5、25〜37℃、好ましくは35℃の条件
で、10〜60分間、好ましくは30分間反応させた
後、生成したN−アセチルノイラミン酸の量を適当な方
法で測定することにより行うことができる。
界で公知の方法で行うことができ、例えばレゾルシノー
ル塩酸法〔Acta Chem. Scand., 13, 856 (1959)〕、チ
オバルビツール酸法(TBA法)〔J. Biol. Chem., 23
4, 1971 (1959)、Biochem. J., 81, 384 (1961)、J. Bi
ochem., 82, 1425 (1977)〕等を用いて、反応生成物
(N−アセチルノイラミン酸)を比色定量する方法が例
示される。好ましくは、チオバルビツール酸法である。
ラミン酸シンターゼの活性を求める場合には、上記の反
応系にリン酸塩を添加して行うことが好ましい。大腸菌
の粗酵素にはフォスファターゼが含まれており、それに
より反応系中の基質の一つであるホスホエノールピルビ
ン酸がピルビン酸に変換されるため、N−アセチルノイ
ラミン酸シンターゼの活性を正確に評価することが困難
だからである。これに対して反応液にリン酸塩を添加し
ておくと、リン酸塩がフォスファターゼの阻害剤として
機能するため、正確にN−アセチルノイラミン酸シンタ
ーゼの活性を測定、評価することができる。尚、リン酸
塩の塩は特に制限されず、通常使用される塩、具体的に
はリン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウ
ム、リン酸マグネシウム等が例示される。反応条件の具
体的な一例を図1に示す。
チルノイラミン酸シンターゼを触媒として用いることを
特徴とする、N−アセチルマンノサミン及びホスホエノ
ールピルビン酸からN−アセチルノイラミン酸を製造す
る方法である。
アセチルノイラミン酸リアーゼ及びエピメラーゼの存在
下で、N−アセチルグルコサミンとピルビン酸を反応さ
せる方法、コロミン酸の加水分解、卵黄や牛乳(ミルク
ホエー)等に含まれる糖タンパク質の加水分解等によっ
て製造されているが、前述の本発明のN−アセチルノイ
ラミン酸シンターゼを触媒として、下記の反応を行うこ
とによって製造する本発明の方法によると、前述するよ
うに反応系に金属類、SH化合物等の添加を必要としな
いことに加えて、収率及び純度に関して有利に製造する
ことができる。
ミンとホスホエノールピルビン酸とを基質として、前述
する本発明のN−アセチルノイラミン酸シンターゼを触
媒として用いるものである。製造条件(反応条件)は、
適宜選択・調整することができ、具体的には、温度は通
常25〜50℃程度、好ましくは25〜37℃程度、よ
り好ましくは35℃程度、pHは通常5.5〜9程度、
好ましくは7〜8程度、より好ましくはpH7.5程
度、インキュベーション時間は通常0.5〜24時間程
度、好ましくは5〜10時間程度、より好ましくは6時
間程度が例示される。
シンターゼは、粗製品、精製品のいずれをも用いること
ができる。粗製品を用いる場合、特にN−アセチルノイ
ラミン酸シンターゼにフォスファターゼが含まれる場合
は、リン酸塩を存在させた反応系を用いてN−アセチル
ノイラミン酸を製造することが好ましい。
ーゼを用いた本発明の製造法によれば、高純度のN−ア
セチルノイラミン酸を高い収率で得ることができる。本
発明の方法によれば反応効率が95〜100%程度、純
度が98〜100%であり、従来のN−アセチルノイラ
ミン酸リアーゼを用いる製造方法が反応効率が約50%
程度、純度99%であるのに比較して、著しく有意な効
果を有する。また、反応系に金属類やSH化合物を添加
する必要がなく、またこのため最終反応物からこれらの
金属類等を排除・精製する必要もない点でも有利であ
る。
明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定される
ものではない。
K1(ATCC 23511)を、液体培地(組成:硫
酸アンモニウム0.5%、リン酸水素二カリウム1.4
%、酵母エキス0.05%、ソルビトール2%、硫酸マ
グネシウム0.1%:pH8.5)中で37℃の条件下
で振盪培養した。8時間後に培養を止め、得られた培養
物を遠心分離(9,000rpm, 20分間)にかけて、
菌体を集めた。この菌体をさらに50mM Tris−
HCl溶液(pH9)に懸濁・溶解した後、菌体を超音
波で破砕し、再度遠心することにより、その上清である
細胞抽出液を得た。
トグラフィー〔DEAE−セルロース:ワットマン社
製、条件;緩衝液:50mM Tris−HCl溶液
(pH8)、流速:40ml/分〕、陽イオン交換クロ
マトグラフィー〔CM−セルロース:ワットマン社製、
条件;緩衝液:50mM Tris−HCl溶液(pH
7)、流速:2ml/分〕、ゲル濾過クロマトグラフィ
ー〔ULTROGEL AcA44、条件;緩衝液:50mM Tri
s−HCl溶液(pH9)−100mM NaCl、流
速:1.5ml/分〕、陰イオン交換クロマトグラフィ
ー〔RESOURCE Q:ファルマシア社製、条件;緩衝液:
A)50mM Tris−HCl溶液(pH9)、B)
50mM Tris−HCl溶液(pH9)−300m
M NaCl、グラジエント:0−300mM NaC
l、流速3ml/分〕、クロマトフォーカシング〔Mo
no P:ファルマシア社製、条件;緩衝液:A)75
mM Tris(pH9.3)−CH3COOH、B)
10倍希釈 Polybuffer96−CH3COO
H(pH9);流速1ml/分〕及びゲル濾過クロマト
グラフィー〔セファデックスG−100:ファルマシア
社製、条件;緩衝液:50mM Tris−HCl溶液
(pH9)−150mM NaCl、流速:0.4ml
/分〕にかけて、順次N−アセチルノイラミン酸シンタ
ーゼの活性画分を取得して、精製した。
ミン酸シンターゼの活性は、図1に示す手順で行った。
まず、リン酸カリウムの存在下でN−アセチルマンノミ
ン及びホスホエノールピルビン酸とともに、pH7.
5、35℃で30分間インキュベーションした。その
後、反応総量の約1/10容量の0.1N 塩酸を添加
することにより反応を停止し、次いでチオバルビツール
酸法を用いて、生成されたN−アセチルノイラミン酸の
比色を540nmの波長で測定する方法で求めた。
法に従って行った。
37℃で30分間放置する。これに亜硫酸ソーダ液を加
えて過ヨウ素酸を消去してから、チオバルビツール酸液
を1.0ml加える。栓をして沸騰湯浴中に7.5分間
保ち、発色させる。氷水中で冷やし、2−メトキシエタ
ノール2.0mlを加えて混和し、色素を転溶して比色
する。
ノイラミン酸シンターゼの精製度及び収率を記載する。
性単位(1U)とは、1分間に1μmolのN−アセチル
マンノサミンをN−アセチルノイラミン酸に転換する酵
素量を意味する。また、蛋白質の量は、ローリー法(Lo
wry method)によって〔J. Biol. Chem., 193 265 (195
1)〕、測定した。
U/mg蛋白の精製標品30μgを得ることができた。
ポリアクリルアミド電気泳動(以下、SDS−PAGE
という。12.5%ポリアクリルアミドゲル)にかけた
結果、分子量約50kDの単一のバンドが得られた(図
2)。
濾過法では、本発明のN−アセチルノイラミン酸シンタ
ーゼは分子量106kDを示し、このことから本発明の
N−アセチルノイラミン酸シンターゼは、約50kDの
サブユニットからなるホモダイマーであることが示唆さ
れた。
ゼを用いて下記の実験を行い、その理化学的性質を調べ
た。なお、N−アセチルノイラミン酸シンターゼの活性
は、図1に示す方法に準じて測定した。
ターゼについて、N−アセチルノイラミン酸の合成にお
ける金属類(金属類のイオン)の要求性を調べた。
nCl2)、マグネシウム(MgCl2)、コバルト(C
oCl2)、カルシウム(CaCl2)、カリウム(KC
l)、ナトリウム(NaCl)、銀(AgNO3)、鉄
(FeSO4)を用いた。
0.005UのN−アセチルノイラミン酸シンターゼを
用いて、上記の金属類を一切加えない系、各種金属類を
様々な濃度で加えた系でのそれぞれについて生成される
N−アセチルノイラミン酸の量を求めた。マンガン(M
nCl2)及びカルシウム(CaCl2)についての結果
を図3に示す。
(CoCl2)、カリウム(KCl)、ナトリウム(N
aCl)、銀(AgNO3)及び鉄(FeSO4)につい
ても、この結果と同様に、少なくとも10mMの濃度で
N−アセチルノイラミン酸シンターゼの触媒活性に全く
影響を与えなかった。
ターゼについて、N−アセチルノイラミン酸の合成にお
けるSH化合物の要求性について調べた。
ン酸シンターゼは、予めSH化合物を含まない緩衝液
(50mM Tris−HCl、pH7.5)で透析し
て調製した。
メルカプトエタノール、システイン、ホモシステインを
用いた。
0.005UのN−アセチルノイラミン酸シンターゼを
用いて、上記のSH化合物を一切加えない系、各種SH
化合物を様々な濃度で加えた系それぞれについて、生成
されるN−アセチルノイラミン酸の量を求めた。グルタ
チオンについての結果を図4に示す。
びホモシステインについても、図4の結果と同様に、少
なくとも10mMの濃度までN−アセチルノイラミン酸
シンターゼ活性に何ら影響を与えなかった。
ターゼによるN−アセチルノイラミン酸の生合成におけ
る阻害剤について調べた。
ン四酢酸)、PCMB(p−クロロメタクリ安息香
酸)、HgCl2(塩化水銀)、MIA(ヨード酢
酸)、H4P2O7(ピロリン酸)を用いた。
0.005UのN−アセチルノイラミン酸シンターゼを
用いて、上記の阻害剤を一切加えない系、各種阻害剤を
様々な濃度で加えた系それぞれにおいて、生成するN−
アセチルノイラミン酸の量を求めた。EDTA、PCM
B及びHgCl2についての結果を図5に示す。
Aと同様に、少なくとも1mMの濃度までN−アセチル
ノイラミン酸シンターゼの活性に何ら影響を与えなかっ
た。
を基質とする系、N−アセチルマンノサミンとピルビン
酸を基質とする系で、それぞれ実施例1で得られた精製
N−アセチルノイラミン酸シンターゼを反応させた。反
応は、図1に示す条件に準じて、0から300分間の範
囲でインキュベーションして反応することにより行っ
た。結果を図6に示す。N−アセチルマンノサミンとホ
スホエノールピルビン酸を基質とした場合、インキュべ
ーション(反応)時間にほぼ比例して生成するシアル酸
量は増加したが、N−アセチルマンノサミンとピルビン
酸を基質とした場合は、シアル酸の増加は全く認められ
なかった。
マンノサミンとホスホエノールピルビン酸に対して基質
特異性を示すこと、さらに該酵素が、シアル酸リアーゼ
活性を含まないシアル酸シンターゼの純品であることが
確認された。
法、HPLCによる分析、IRによる分析をすることに
より、N−アセチルノイラミン酸であることを確認し
た。
響) (i)至適pH、pHによる安定性 pHが4〜12の範囲にある各種の反応液を調製して、
各pH条件下で反応を行い、本発明のN−アセチルノイ
ラミン酸シンターゼの至適pHを求めた。反応条件は、
インキュベーション(反応)を25℃で30分間行い反
応液のpHを変える以外は、図1に示す方法に準じて行
った。結果を図7に示す。
ゼを各種pH条件下(pH4〜12)で一定時間インキ
ュベーションした後の酵素の安定性を調べた。具体的に
は、まずN−アセチルノイラミン酸シンターゼだけを各
種pH条件下、25℃で30分間インキュベーションし
た。次いで、該酵素液をN−アセチルマンノサミンおよ
びホスホエノールピルビン酸と混合して、該反応液につ
いて酵素反応(pH7.5、25℃、30分間)して、
酵素の活性を調べた。結果を図8に示す。
ラミン酸シンターゼの反応の至適pHは7.5であり、
またpH4〜12の範囲で25℃、30分間のインキュ
ベーションしても最大活性100%に対して40%以上
の活性を維持しており、特にpH7〜10の範囲では最
大活性100%に対して90%以上の活性が維持され、
安定であることが判明した。
H7.5の条件下で15℃、20℃、30℃、35℃、
40℃、50℃及び60℃の各種温度で行った。その結
果、温度35℃で最大の活性が得られた(図9)。
ゼを各種温度条件下(0〜60℃)で一定時間インキュ
ベーションした後の酵素の安定性を調べた。具体的に
は、まずN−アセチルノイラミン酸シンターゼだけを各
種温度条件下、pH7.5で30分間インキュベーショ
ンした。次いで該酵素液とN−アセチルマンノサミンお
よびホスホエノールピルビン酸を混合して、この反応液
について酵素反応(25℃、pH7.5、30分間)し
て、酵素の活性を調べた。結果を図10に示す。
ノイラミン酸シンターゼの触媒活性の至適温度は35℃
であり、また温度安定性に関しては、pH7.5で30
分間インキュベーションする条件下で0〜30℃程度ま
で安定であることが判明した。
両基質(N−アセチルマンノサミンおよびホスホエノー
ルピルビン酸)の濃度依存性について調べた。
7.5)、0.005U N−アセチルノイラミン酸シン
ターゼ、各種濃度のN−アセチルマンノサミン、ホスホ
エノールピルビン酸を含む反応溶液(500μl)を用
いて、35℃で30分間インキュベーションすることに
より行い、生成したN−アセチルノイラミン酸の量をチ
オバルビツール酸法で求めた。
調べる際は、ホスホエノールピルビン酸の濃度は、20
mMとし、ホスホエノールピルビン酸の濃度依存性を調
べる際は、N−アセチルマンノサミンの濃度は、20m
Mとした。
した結果、ミカエリス定数は、N−アセチルマンノサミ
ンについては5.6mM、ホスホエノールピルビン酸に
ついては0.043mMであった。
チルノイラミン酸の製造 トリス塩酸緩衝液(pH8)にN−アセチルマンノサミ
ン717mg及びホスホエノールピルビン酸702mg
を溶解し、この溶液に実施例1で精製取得したN−アセ
チルノイラミン酸シンターゼを0.06U加えて、全量
を30mlとし、30℃で10時間反応させた。
ミン酸の生成量をチオバルビツール酸法で測定して、N
−アセチルノイラミン酸への変換率を求めた。
ミン酸の量は、900mgであり、使用したN−アセチ
ルマンノサミンに対する変換率は約97%であった。
株式会社製)によるイオン交換クロマトグラフィーによ
り反応生成物を単離し、濃縮後、常法に従いN−アセチ
ルノイラミン酸の結晶810mgを得た。
ン酸塩の影響 N−アセチルノイラミン酸シンターゼの粗製品(実施例
1における細胞抽出液を使用)及び精製品(実施例1に
おけるセファデックスG−100後の最終精製品を使
用)について、反応系にリン酸カリウムを入れた場合と
入れない場合とで、N−アセチルノイラミン酸シンター
ゼの活性を測定した。反応は図1に示す条件に準じて行
った。結果を表3に示す。
活性は、基質(N−アセチルノイラミン酸、40μmo
ls/ml)50μl、200mMリン酸緩衝液(pH
7.5)50μl、酵素液100μlからなる反応液を
37℃にて30分間反応して生成されるN−アセチルマ
ンノサミンをMorgan−Elson(モルガン−エ
ルソン)変法で定量することにより測定した。
定には、リン酸塩を添加した反応系を用いることによ
り、N−アセチルノイラミン酸シンターゼの正確な活性
を評価できることがわかった。
応の条件を概説する図である。
DS−PAGEにかけた電気泳動像を示す図面に代わる
写真である。
の触媒活性に対する金属イオン(マンガンイオン、カル
シウムイオン)の影響を示す図である。なお、図面の縦
軸は、1分当たりに生じるN−アセチルノイラミン酸の
量(μmol)を意味する。
の触媒活性に対するグルタチオンの影響を示す図であ
る。なお、図面の縦軸は、1分当たりに生じるN−アセ
チルノイラミン酸の量(μmol)を意味する。
の触媒活性に対するEDTA、PCMB(p−クロロメ
ルクリ安息香酸)、塩化水銀の影響を示す図である。な
お、図面の縦軸は、1分当たりに生じるN−アセチルノ
イラミン酸の量(μmol)を意味する。
ピルビン酸(図中、○で示す)、またはN−アセチルマ
ンノサミン及びピルビン酸(図中、●で示す)を基質に
した場合におけるN−アセチルノイラミン酸シンターゼ
によるN−アセチルノイラミン酸の生成量を経時的にみ
た図である。
の至適pHを示す図である。なお、図の縦軸は、最大活
性を100%とした場合のN−アセチルノイラミン酸シ
ンターゼの相対活性を、横軸は反応液のpHを示す。
の安定pH範囲を示す図である。なお、図の縦軸は、最
大活性を100%とした場合のN−アセチルノイラミン
酸シンターゼの相対活性を、横軸は25℃で30分間イ
ンキュベーションした際のpHを示す。
の至適温度を示す図である。なお、図の縦軸は、最大活
性を100%とした場合のN−アセチルノイラミン酸シ
ンターゼの相対活性を、横軸は反応液の温度を示す。
ゼの安定温度範囲を示す図である。なお、図の縦軸は、
最大活性を100%とした場合のN−アセチルノイラミ
ン酸シンターゼの相対活性を、横軸はpH7.5で30
分間インキュベーションした際の温度を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】マンガン、カルシウムまたはそれらのイオ
ンによって触媒活性が影響されないことを特徴とするN
−アセチルノイラミン酸シンターゼ。 - 【請求項2】グルタチオンによって触媒活性が影響され
ないことを特徴とする請求項1記載のN−アセチルノイ
ラミン酸シンターゼ。 - 【請求項3】エチレンジアミン四酢酸によって触媒活性
が阻害されないことを特徴とする請求項1または2記載
のN−アセチルノイラミン酸シンターゼ。 - 【請求項4】大腸菌に由来する請求項1乃至3のいずれ
かに記載のN−アセチルノイラミン酸シンターゼ。 - 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかに記載のN−ア
セチルノイラミン酸シンターゼを触媒として用いること
を特徴とする、N−アセチルマンノサミン及びホスホエ
ノールピルビン酸からN−アセチルノイラミン酸を製造
する方法。
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