JP2000093196A - カイロイノシトールの定量方法 - Google Patents

カイロイノシトールの定量方法

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JP2000093196A
JP2000093196A JP10270948A JP27094898A JP2000093196A JP 2000093196 A JP2000093196 A JP 2000093196A JP 10270948 A JP10270948 A JP 10270948A JP 27094898 A JP27094898 A JP 27094898A JP 2000093196 A JP2000093196 A JP 2000093196A
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chiroinositol
myo
inositol
dehydrogenase
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English (en)
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Takuji Takatsuma
卓司 高妻
Mamoru Takahashi
守 高橋
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少なくともミオイノシトール及びカイロイノ
シトールを含有する被検液中のカイロイノシトールを、
実質的にミオイノシトールの影響を受けることなく、正
確、簡便、安価に定量するための定量法を提供する。 【解決手段】 少なくともミオイノシトール及びカイロ
イノシトールを含有する被検液に、カイロイノシトール
よりもミオイノシトールに特異性が高いデヒドロゲナー
ゼを作用せしめて、ミオイノシトールをミオイノソース
2となし、次いで少なくともカイロイノシトールに作用
するデヒドロゲナーゼを用いてカイロイノシトールを定
量する定量方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくともミオイ
ノシトールとカイロイノシトールを含有する液体に、カ
イロイノシトールよりもミオイノシトールに特異性の高
いデヒドロゲナーゼを作用せしめて、ミオイノシトール
をミオイノソース2となすことを特徴とする、カイロイ
ノシトールの定量方法、定量用組成物、純化方法に関す
る。
【0002】本発明を更に詳しく言えば、少なくともミ
オイノシトールとカイロイノシトールを含有する被検液
に、カイロイノシトールよりもミオイノシトールに特異
性の高いデヒドロゲナーゼを作用せしめて、ミオイノシ
トールをミオイノソース2となし、次いで少なくともカ
イロイノシトールに作用する酵素を用いてカイロイノシ
トールを定量することを特徴とするカイロイノシトール
の定量方法及び、定量用組成物、さらに少なくともミオ
イノシトールとカイロイノシトールを含有する液体に、
カイロイノシトールよりもミオイノシトールに特異性の
高いデヒドロゲナーゼを作用せしめて、ミオイノシトー
ルをミオイノソース2となすことを特徴とするカイロイ
ノシトールの純化方法に関し、臨床生化学検査、食品検
査などにおけるカイロイノシトールの測定に有用な定量
分析法及び定量用組成物、及びカイロイノシトールの簡
便、安価な純化方法に関する。
【0003】
【従来の技術】生体中のカイロイノシトールの定量は、
糖尿病状態の診断に有用であり、特にII型糖尿病をは
じめとする耐糖能障害の原因であるインスリン抵抗性の
指標になると考えられている〔Larner J.et
al.,New Eng.J.Med.,323,3
73−378(1990)、特表平4−504001号
公報(国際公開番号WO90/10711)、特表平4
−505218号公報(国際公開番号WO91/123
35)〕。またカイロイノシトールは、インスリン非依
存性糖尿病の治療薬、または予防薬として注目されてい
る(Diabetes Frontier,4,637
−638,1993)。
【0004】カイロイノシトールを測定する意義につい
て、前記の特表平4−504001号公報および特表平
4−505218号公報には、糖尿病前期におけるイン
スリン抵抗性を把握するに当たり、体液(血液、尿)中
のカイロイノシトールの定量が有用であることが示され
ており、酵素を用いた還元/酸化分析、ペーパークロマ
トグラフィーによる分離について示唆しているが、何ら
具体的方法は提案されていない。
【0005】カイロイノシトールを定量する方法に関し
て、以下の(a)、(b)が知られている。 (a)GC−Massにて定量した報告〔Toshim
itsu Niwa,J.Chromatograph
y,227(1983),25−39,Toshimi
tsu Niwa,J.Chromatograph
y,336(1984),345−350〕 (b)カイロイノシトールに特異的な抗体を用いた免疫
測定法(特開平8−21835号公報) 前記(a)の方法は前処理が必要で、しかも操作が煩雑
であるために、多検体処理が困難である。また、前記
(b)の免疫化学的な方法は、高感度な反面、酵素を用
いた生化学的な測定法に比べ再現性、生体中に多量に存
在する低分子の影響、単位時間あたりの検体処理能力、
コスト等の点で問題がある。
【0006】精度が高く、簡便かつ安価なカイロイノシ
トールの定量方法を提供する上で酵素法は最も適切な方
法の一つであると考えられる。しかし、生体中に存在す
るカイロイノシトールの濃度は非常に低く、一方カイロ
イノシトールの立体異性体に相当するミオイノシトール
は比較的多量に存在すること〔Larner J.et
al.,New Eng.J.Med.,323,3
73−378(1990)〕が知られており、さらに、
糖尿病を発症すれば、生体中のカイロイノシトールは減
少し、ミオイノシトールは増加すること〔Larner
J.et al.,New Eng.J.Med.,
323,373−378(1990)〕が知られてお
り、ミオイノシトールの影響を回避してカイロイノシト
ールのみを正確に定量することが重要である。
【0007】また、カイロイノシトールを得る方法とし
ては次の(c)〜(g)が知られている。 (c)ピニトールを含有する植物から、適当な溶媒でピ
ニトールを抽出し、次に脱メチル化を行いカイロイノシ
トールを得る方法、及びカイロイノシトールを微量含有
する植物からカイロイノシトールを抽出精製する方法
(J.Agric.Food Chem.,32,12
89−1291,1984)。
【0008】(d)カスガマイシンを酸で加水分解し、
カイロイノシトールを得る方法(米国特許第5,09
1,596号明細書、特開平7−53425号公報)。 (e)化学合成にてカイロイノシトールを合成する方法
(J.Org.Chem.,58,2331−233
3,1993、J.Chem.Soc.Perkin
Transactions,741−743,199
3)。
【0009】(f)ミオイノシトールをカイロイノシト
ールに変換する方法(Monatch.Chem.,1
02,459〜464,1971、J.Biol.Ch
em.,267,16904〜16910,199
2)。 (g)ミオイノシトールからカイロイノシトールを含む
ミオイノシトール立体異性体の混合物を得る方法(Ca
rbohydrate Research,166,1
71〜180,1987、Biochemistry,
12,4705−4712,1973、特開平9−14
0388号公報)。
【0010】前記(c)に記載の方法は、植物中に於け
る含有量が少ないために、抽出、精製が困難で収率が低
く、(e)に記載の化学的な合成法は立体特異的な合成
が必要とされるため、反応収率が低く、何れも工業的規
模の製造には必ずしも満足しうるものではない。また前
記(d)に記載のカスガマイシンを酸で加水分解し、カ
イロイノシトールを得る方法は精製工程が煩雑である。
【0011】一方前記(f)、(g)に記載のミオイノ
シトールをカイロイノシトールに変換する方法、及びミ
オイノシトールからカイロイノシトールを含むミオイノ
シトール立体異性体の混合物を得る方法を用いれば、安
価なミオイノシトールからカイロイノシトールを安価に
製造することが可能となると考えられるが、多量に含ま
れる原料のミオイノシトールと生成したカイロイノシト
ールを分離する必要がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、少なくとも
ミオイノシトールとカイロイノシトールを含有する被検
液に、カイロイノシトールよりもミオイノシトールに特
異性の高いデヒドロゲナーゼを作用せしめて、ミオイノ
シトールをミオイノソース2となし、次いで少なくとも
カイロイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼを用い
て、カイロイノシトールを正確、簡便、安価に定量する
定量用組成物およびその定量方法、さらに、少なくとも
ミオイノシトールとカイロイノシトールを含有する液体
に、カイロイノシトールよりもミオイノシトールに特異
性の高いデヒドロゲナーゼを作用せしめて、ミオイノシ
トールをミオイノソース2となし、簡便、安価にカイロ
イノシトールを純化しうるカイロイノシトールの純化方
法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するた
めには、カイロイノシトールよりもミオイノシトールに
特異性の高いデヒドロゲナーゼ、好ましくは実質的にカ
イロイノシトールに作用せずに、少なくともミオイノシ
トールに作用するデヒドロゲナーゼを用いて、少なくと
もミオイノシトールとカイロイノシトールを含む液体中
のミオイノシトールを選択的にミオイノソース2に変換
すれば良い。そこで本発明者らは、鋭意検討を重ね、自
然界より幅広く酵素をスクリーニングした結果、静岡県
三島市壱町田付近の土壌より採集したクレブシーラ・ニ
ューモニエ(Klebsiella pneumoni
ae)属に属するクレブシーラ・ニューモニエ(Kle
bsiella pneumoniae)TK24(F
ERM BP−6506)株由来のデヒドロゲナーゼが
カイロイノシトールよりもミオイノシトールに特異性が
高く、実質的にカイロイノシトールに作用せずに少なく
ともミオイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼであ
ることを見出した。
【0014】また、少なくともミオイノシトールとカイ
ロイノシトールを含む液体に、本酵素を作用せしめて、
ミオイノシトールをミオイノソース2となし、次いで少
なくともカイロイノシトールに作用するデヒドロゲナー
ゼを用いてカイロイノシトールを測定することによりミ
オイノシトールの影響を小さくして正確にかつ簡便にカ
イロイノシトールが測定できること、さらに少なくとも
ミオイノシトールとカイロイノシトールを含む液体に、
本酵素を作用せしめて、ミオイノシトールをミオイノソ
ース2となすことにより、簡便にカイロイノシトールを
純化できることを見出した。
【0015】加えて酵素反応で生じたミオイノソース2
はアルカリ性、高温、酸化剤の存在下分解することか
ら、カイロイノシトールの測定系がミオイノソース2の
影響を受ける場合、特にイノシトールとイノソースの間
で酵素サイクリング反応を形成せしめる高感度測定法
〔特願平9−072878号(1997年3月28日出
願)〕を用い、かつサイクリング反応がミオイノソース
2の影響を受ける場合にも、特異的にカイロイノシトー
ルを測定できること、またカイロイノシトールの純化法
に於いて、カイロイノシトールの純化をさらに簡便な方
法を用いて行えることを見出し、本発明の完成に至っ
た。
【0016】すなわち、本発明は、少なくともミオイノ
シトールとカイロイノシトールを含有する被検液に、カ
イロイノシトールよりもミオイノシトールに特異性の高
いデヒドロゲナーゼを作用せしめて、ミオイノシトール
をミオイノソース2となし、次いで少なくともカイロイ
ノシトールに作用するデヒドロゲナーゼを用いてカイロ
イノシトールを定量することを特徴とする定量法、ま
た、カイロイノシトールよりもミオイノシトールに特異
性の高いデヒドロゲナーゼ、及び、少なくともカイロイ
ノシトールに作用するデヒドロゲナーゼを含有してなる
定量用組成物、更にまた少なくともミオイノシトールと
カイロイノシトールを含有する液体に、カイロイノシト
ールよりもミオイノシトールに特異性の高いデヒドロゲ
ナーゼを作用せしめて、ミオイノシトールをミオイノソ
ース2となすことを特徴とするカイロイノシトールの純
化方法に関する。
【0017】以下、この発明の構成及び好ましい形態に
ついて更に詳しく説明する。本発明において、ミオイノ
シトールをミオイノソース2となすデヒドロゲナーゼ
は、カイロイノシトールよりもミオイノシトールに特異
性が高い、好ましくは実質的にカイロイノシトールに作
用しない、少なくともミオイノシトールに作用するデヒ
ドロゲナーゼであれば何れのものでも使用できるが、そ
の具体例としてクレブシーラ・ニューモニエ(Kleb
siella pneumoniae)TK24(FE
RM BP−6506)が生産する酵素が挙げられる。
【0018】またカイロイノシトール定量に使用するデ
ヒドロゲナーゼとしては、少なくともカイロイノシトー
ルに作用するデヒドロゲナーゼであれば何れのものでも
使用できるが、その具体例としては上記の特願平9−0
72878号に記載のバチルス・エスピー(Bacil
lus sp.)No.3(FERM BP−588
1)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agroba
cterium rhizogenes)1215(F
ERM BP−6270)が生産する酵素が挙げられ
る。
【0019】クレブシーラ・ニューモニエ(Klebs
iella pneumoniae)TK24(FER
M BP−6506)由来の酵素は、ミオイノシトール
に作用し、かつ実質的にカイロイノシトールに作用しな
いことから、臨床化学検査、食品検査等において、少な
くともミオイノシトールとカイロイノシトールを含有す
る被検液に、カイロイノシトールよりもミオイノシトー
ルに特異性の高いデヒドロゲナーゼを作用せしめて、ミ
オイノシトールをミオイノソース2となし、次いで少な
くともカイロイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼ
を用いてカイロイノシトールを定量することを特徴とす
る定量法及び定量用組成物に適し、ミオイノシトール及
びカイロイノシトールの少なくとも両成分を含有する生
体液等の被検液中のカイロイノシトールの定量に好適で
あり、更にまた、少なくともミオイノシトールとカイロ
イノシトールを含有する液体に、カイロイノシトールよ
りもミオイノシトールに特異性の高いデヒドロゲナーゼ
を作用せしめて、ミオイノシトールをミオイノソース2
となすことを特徴とするカイロイノシトールの純化方法
に適している。
【0020】なお、クレブシーラ・ニューモニエ(Kl
ebsiella pneumoniae)TK24株
は、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号所在の通商
産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号F
ERM BP−6506(受託日;平成10年9月17
日)として寄託されており、バチルス・エスピー(Ba
cillus sp.)No.3は通商産業省工業技術
院微生物工業技術研究所に受託番号FERM BP−5
881(受託日;平成9年3月19日)として寄託され
ている。またアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agr
obacterium rhizogenes)121
5株は、茨城県つくば市観音台2丁目1番2号所在の農
林水産省農業生物資源研究所(National In
stitute of Agrobiological
Resources)の菌株リスト番号MAFF30
1726であり、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3
号所在の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所
に受託番号FERM BP−6270(受託日;平成1
0年2月26日)として寄託されている。
【0021】クレブシーラ・ニューモニエ(Klebs
iella pneumoniae)TK24(FER
M BP6506)株の菌学的性質は、下記に示す通り
である。 試験項目 結果 形態 短桿菌 グラム染色 − 胞子 − 運動性 − 酸素に対する態度 通性嫌気性 オキシダーゼ − カタラーゼ + OF F 乳糖からのガス生成 + 集落の色調 特徴的集落色素を生成せず オルニチンデカルボキシラーゼ − アルギニンジヒドロラーゼ − リジンデカルボキシラーゼ + ウレアーゼ + リパーゼ − β−グルコシダーゼ + N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ − β−ガラクトシダーゼ + α−グルコシダーゼ − α−ガラクトシダーゼ + β−グルクロニダーゼ − α−マルトシダーゼ − L−アスパラギン酸アリルアミダーゼ −
【0022】 酸の生成 L−アラビトール − D−ガラクツロン酸 + 5−ケトグルコン酸カリウム − ピルビン酸ナトリウム − D−マンニトール + D−マルトース + グルコース + シュークロース + L−アラビノース + D−アラビトール + トレハロース + L−ラムノース + イノシトール + アドニトール + パラチノース + D−セロビオース + D−ソルビトール + インドールの生成 − マロン酸の利用 −
【0023】本菌はグラム陰性の短桿菌で、胞子を形成
しない通性嫌気性菌であること、運動性がないこと、乳
糖からのガス生成があること等から大腸菌群であり、カ
タラーゼ産生、ウレアーゼ産生等の酵素産生能、糖から
の酸の生成等から、クレブシーラ・ニューモニエ・サブ
エスピー・ニューモニエ(Klebsiella pn
eumoniae subsp. pneumonia
e)と同定され、本菌株をクレブシーラ・ニューモニエ
(Klebsiella pneumoniae)TK
24株と命名した。
【0024】バチルス・エスピー(Bacillus
sp.)No.3株(FERM BP−5881)の菌
学的性質を下記に示す。 (a)形態学的な特徴 端の丸いまっすぐまたはやや曲がった桿状細菌で大きさ
は0.5〜0.7×1.5〜3.5μmで周毛で運動す
る。端または亜端に0.8×1.0〜2.0μmの楕円
から卵形の芽胞を形成し、芽胞によって菌体は膨張す
る。多形性なし。
【0025】(b)各培地における生育状態 各種培地上で、1〜2日、50〜52℃で培養、観察し
た所見を下記に示す。 1)普通寒天平板培地 円形で丘状(convex)の集落を形成する。表面は
滑らかで縁は丸い。黄土色〜淡黄土色を呈するが、可溶
性色素は産生しない。 2)普通寒天斜面培地 線状に良好に生育する。黄土色〜淡黄土色を呈するが、
可溶性色素は産生しない。 3)液体培地(ペプトン水) 生育良好で一様に混濁する。 4)リトモスミルク培地 4〜5日後、弱酸性になる。 DNAのGCモル%:41.9%(HPLC法) 主たるイソプレノイドキノン:MKー7
【0026】(c)生理的、生化学的性質〔+;陽性、
(+);弱陽性、−;陰性、NT;未実験〕 グラム染色 + KOH反応 − カプセル形性 − 抗酸性染色 − OFテスト(Hugh−Leifson) NT OFテスト(N源にNH4 2 PO4 ) F 好気での生育 +
【0027】 ゼラチンの分解 − 澱粉の分解 (+) カゼインの分解 − エスクリンの分解 + チロシンの分解 − アルギニンの分解 − セルロースの分解 − カタラーゼ産生 + オキシダーゼ産生 + レシチナーゼ産生 − ウレアーゼ産生(SSR) − ウレアーゼ産生(Chris) − インドール産生 − 硫化水素産生(酢酸鉛紙で検出) − アセトイン産生(K2 HPO4 ) − アセトイン産生(NaCl) − MRテスト − 硝酸塩還元テスト(ガス産生) − (NO2 - の検出) − (NO3 - の検出) +
【0028】シモンズ培地での利用性 クエン酸塩 − リンゴ酸塩 − マレイン酸塩 − マロン酸塩 − プロピオン酸塩 − グルコン酸塩 − コハク酸塩 − クリステンゼン培地での利用性 クエン酸塩 + リンゴ酸塩 − マレイン酸塩 − マロン酸塩 − プロピオン酸塩 + グルコン酸塩 − コハク酸塩 + グルコースよりガスの産生 −
【0029】各種糖類より酸の産生 アドニトール − L(+)アラビノース − セロビオース + ヅルシトール − メソ・エリスリトール − フラクトース + フコース + ガラクトース + グルコース + グリセリン + イノシトール + イヌリン + ラクトース + マルトース + マンニトール + マンノース + メレジトース − メリビオース + ラフィノース − ラムノース + D−リボース + サリシン + L−ソルボース − ソルビトール − 澱粉 + サッカロース + トレハロース + キシロース −
【0030】以上の通り、本菌株の主性状は、グラム陽
性の桿状細菌で、大きさは、0.5〜0.7×1.5〜
3.5μm、周毛で運動、芽胞形成、多形性なし、グル
コースを発酵的に分解し、酸を産生する。カタラーゼ・
オキシダーゼ産生。高温性の通性嫌気性であり、これら
のグラム陽性桿菌で芽胞を形成し、好気で生育する特徴
から、バチルス属に属すると判断された。
【0031】そこで、本菌株がバチルス属のどの種に属
するか否かを同定した。即ち、Bergey’s Ma
nual of Systematic Bacter
iology,Vol.2によれば、高温(50℃)で
生育する菌種はバチルス・アシドカルダリウス(B.a
cidocaldarius)、バチルス・サブチリス
(B.subtilis)、バチルス・バジウス(B.
badius)、バチルス・ブレビス(B.brevi
s)、バチルス・コアグランス(B.coagulan
s)、バチルス・リケニフォルミス(B.lichen
iformis)、バチルス・パントセンチカス(B.
pantothenticus)、バチルス・シェゲリ
(B.schegelli)、バチルス・ステアロサー
モフィリス(B.stearothermophilu
s)の9菌種が記載されている。
【0032】これらの内で、嫌気下で生育する菌種はバ
チルス・コアグランス(B.coagulans;以
下、「C」と略記する事がある)とバチルス・リケニフ
ォルミス(B.licheniformis;以下、
「L」と略記する事がある)の2菌種のみである。すな
わち、CおよびLと本菌とを対比した結果は、次の通り
である。
【0033】尚、C、Lおよび本菌で示される「+」は
陽性、「(+)」は弱陽性、「−」は陰性、「d」は菌
株によって異なる、NDはデーター無しであることを示
す。 本菌 オキシダーゼ産生 − d + 芽胞による膨張 d − + 嫌気生育 + + + アセトイン産生 + + − グルコース(酸) + + + L・アラビノース(酸) + + + キシロース d + − マンニット(酸) d + + カゼイン分解 d + − ゼラチン分解 d + − デンプン分解 − + (+) クエン酸塩利用 + + − プロピオン酸塩利用 d + − チロシン分解 − + − LV反応 − + −
【0034】 インドール産生 − + − 食塩耐性 2% + + + 5% − + − 7% − + − 10% − ND − 生育温度 40℃ + + + 50℃ + + + 55℃ + + + 60℃ ND ND + 70℃ − − − 硝酸塩還元 d + − DNAのGCモル% 44.5 46.4 41.9 (Type) (Type) 44.3 42.9 〜50.3 〜49.9
【0035】以上対比した結果によれば、本菌株の諸性
状はバチルス・コアグランス(B.coagulan
s)に近いと考えられるが、アセトイン産生能、DNA
のGCモル%、また上記対比表には載せていないが、リ
トモスミルク培地での反応も違っている。よって、本菌
株を公知のものと区別するため、バチルス・エスピー
(Bacillus sp.)No.3と命名した。
【0036】純粋な酵素の取得は、上記のクレブシーラ
属に属する、カイロイノシトールよりもミオイノシトー
ルに特異性の高いデヒドロゲナーゼ生産菌、好適にはク
レブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella p
neumoniae)TK24(FERM BP−65
06)株、及びバチルス属、アグロバクテリウム属に属
する少なくともカイロイノシトールに作用するデドロゲ
ナーゼ生産菌、好適にはバチルス・エスピー(Baci
llus sp.)No.3(FERM BP−588
1)株、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrob
acterium rhizogenes)1215株
(FERM BP−6270)を適当な培地で培養し、
公知の蛋白質、酵素等の単離、精製手段を用いることに
より得られる。
【0037】本発明に使用した生産菌としては、上記の
クレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella
pneumoniae)TK24(FERM BP−6
506)株、バチルス・エスピー(Bacillus
sp.)No.3(FERMBP−5881)株、アグ
ロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacteri
um rhizogenes)1215株が挙げられる
が、細菌の一般的性状として菌学上の性質は変異しうる
ものであるから、自然的にあるいは通常行われる紫外線
照射、放射線照射または変異誘導剤、例えばN−メチル
−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、エチルメタ
ンスルホネート等を用いる人工的変異手段により変異し
うる人工変異株は勿論、自然変異株も含め、クレブシー
ラ(Klebsiella)属に属し、ミオイノシトー
ルよりもカイロイノシトールに特異性の高いデヒドロゲ
ナーゼを生産する能力を有する菌株、また、バチルス
(Bacillus)属、アグロバクテリウム(Agr
obacterium)属に属し、少なくともカイロイ
ノシトールに作用するデヒドロゲナーゼを生産する能力
を有する菌株は、すべて本発明に使用することができ
る。
【0038】また上記デヒドロゲナーゼを発現する遺伝
子を、微生物に導入した形質転換微生物も使用できる。
上記の培養は、細菌の培養に一般的に用いられる条件に
よって行うことができる。培地としては微生物が同化し
うる炭素源、消化しうる窒素源、さらには必要に応じ、
無機塩などを含有させた栄養培地が使用される。同化し
うる炭素源としては、グルコース、フルクトース、サッ
カロース、イノシトール、などが単独または組み合わせ
て用いられる。消化しうる窒素源としては、例えばペプ
トン、肉エキス、酵母エキス、等が単独または組み合わ
せて用いられる。その他必要に応じてリン酸塩、マグネ
シウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、
その他、鉄、マンガン等の種々の重金属塩等が使用され
る。また上記以外に公知の同化しうる炭素源、消化しう
る窒素源が使用できる。
【0039】培養は、通常振とうまたは通気攪拌培養な
どの好気的条件下で行うのが良く、工業的には深部通気
攪拌培養が望ましい。培養温度は生産菌が発育し、前記
の酵素を生産する範囲内で適宜変更しうるが、通常は2
0〜60℃、バチルス・エスピーNo.3株では、特に
50℃付近が、クレブシーラ・ニューモニエTK24
株、アグロバクテリウム・リゾゲネス1215株は特に
30℃付近が好ましい。培養時間は培養条件によって異
なるが、前期酵素が高力価に達する時期を見計らって適
当な時間培養すればよいが、通常は1〜2日程度であ
る。これらの培地組成、培地の液性、培養温度、攪拌速
度、通気性等に応じて好ましい結果が得られるように適
宜調節、選択される。また液体培養において発泡がある
場合は、シリコン油、植物油、等の消泡剤が適宜使用さ
れる。
【0040】このようにして得られたデヒドロゲナーゼ
は、主として菌体内に含有されるので、得られた培養物
から濾過または遠心分離の手段により集菌し、この菌体
を超音波処理、フレンチプレス処理、ガラスビーズ処
理、凍結破砕処理等の機械的破壊手段やリゾチーム等の
酵素的破壊手段等の種々の菌体処理手段を適宜組み合わ
せて、粗精製の酵素含有液が得られる。
【0041】精製は、例えば、硫安、硫酸ナトリウム等
を添加する塩析沈殿法や、分子篩い、各種の樹脂を用い
たクロマトグラフィー、各種電気泳動、超遠心分離法、
各種脱塩法、加熱や化学薬品による処理、等を適宜組み
合わせて行う。例えばクロマトグラフィーとしては陽イ
オン、陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー、分配、吸着クロマトグラ
フィー、順相、逆相クロマトグラフィー、疎水クロマト
グラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ
ー、アフィニティークロマトグラフィー等が使用でき
る。
【0042】精製後の保存は液状、もしくは凍結乾燥品
を、冷蔵、凍結等の条件にて保存できる。また液状の保
存の場合、酵素を安定に保存する目的で、凍結乾燥時に
は溶解時の溶解性や溶解後の安定性を保つ目的で各種安
定化剤を例えば0.1〜50%添加しても良い。安定化
剤としては糖類、例えばマンニトール、サッカロース、
ソルビトール等、アミノ酸、例えばグルタミン酸、グリ
シン等、ペプチドまたは蛋白質、例えばアルブミン等、
2価の金属イオン、例えば塩化マグネシウム等が挙げら
れる。
【0043】精製されたクレブシーラ・ニューモニエ
(Klebsiella pneumoniae)TK
24株由来のカイロイノシトールよりもミオイノシトー
ルに特異性の高いデヒドロゲナーゼの性状は以下の通り
である。 (1)活性測定法 <反応液組成> 100mM トリス−HCl緩衝液(pH8.5) 20mM ミオイノシトール(シグマ社製、米国) 2mM NAD(オリエンタル酵母社製、日本国) 5U/ml ジアフォラーゼ(旭化成工業社製、日本国) 0.025% ニトロブルーテトラゾリウム(以下NTBと略す;和光純薬 社製、日本国)
【0044】1.5%トリトン(Triton)−X1
00(和光純薬社製、日本国)上記反応液1mlを小試
験管に入れ、37℃で5分間インキュベート後に、適当
に希釈した酵素液20μlを添加して攪拌し、反応を開
始する。正確に5分間の反応後に0.1NのHCl(2
ml)を添加して攪拌し反応を停止する。550nmに
於ける吸光度を測定し、A1を求め、また上記反応液よ
りミオイノシトールを除いた反応液を用いて同様の測定
を行いその吸光度A0を求める。酵素活性は下記の式よ
り算出する。
【0045】 18.3 ; NTBの分子吸光係数 5 ; 反応時間 3.02; 総反応液量 0.02; 酵素液量 B ; 希釈倍率
【0046】(2)酵素作用 少なくともミオイノシトールおよび補酵素(例示として
NADとした)の存在下、ミオイノソース2及び還元型
補酵素を生成する下式の反応を触媒する。
【0047】
【化1】 上記の補酵素に関しては、ニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチド類(以下NAD類と略する)、例えば、ニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アセチ
ルピリジンアデニンジヌクレオチド(アセチルNA
D)、ニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド
(デアミノNAD)、ピリジンアルデヒドアデニンジヌ
クレオチド(アルデヒドNAD)、ピリジンアルデヒド
ヒポキサンチンジヌクレオチド(アルデヒドデアミノN
AD)が挙げられる。
【0048】下記の相対活性測定法を用いた場合の酵素
反応の初速度、および、NADの代わりにそれぞれ同濃
度の補酵素を用いた場合の酵素反応の初速度は、NA
D;93mAbs/min、アセチルNAD;6.1m
Abs/min、デアミノNAD;55.1mAbs/
min、アルデヒドNAD;4.1mAbs/minで
あった。(NAD;オリエンタル酵母社製、日本国、ア
セチルNAD、アルデヒドNAD、デアミノNAD;以
上シグマ社製、米国)
【0049】*相対活性測定法* <反応液組成> 100mM グリシン緩衝液(pH10.0) 基質 20mM ミオイノシトール 補酵素 2mM NAD(オリエンタル酵母社
製、日本国) 上記の反応液1mlを石英セルにとり、37℃に温度コ
ントロールされている分光光度計にセットする。5分以
上インキュベートし、約1.0U/mlの酵素溶液を2
0μlを添加、攪拌する。それぞれの還元型補酵素に特
有な波長の、1分間当たりの吸光度変化より初速度を求
める。
【0050】またミオイノシトールを基質とした場合の
反応生成物は、ペーパークロマトグラフィー(J.B.
C.,241,No4,800−806,1966)お
よびミオイノソース2を用いた逆反応の確認にてミオイ
ノソース2が反応生成物であることを確認した。逆反応
の確認条件を下記に示す。
【0051】<反応液組成> 100mM グリシン緩衝液(pH10.0) 基質 20mM ミオイノソース2(シグマ社
製、米国) 補酵素 1mMNADH(オリエンタル酵母社製、
日本国) 上記の反応液1mlを石英セルにとり、37℃に温度コ
ントロールされている分光光度計にセットする。5分以
上インキュベートし、約20mU/mlの酵素溶液を2
0μlを添加、攪拌する。NADHに特有な340nm
の波長の、1分間当たりの吸光度変化より反応性を確認
する。
【0052】(3)基質特異性 前記の相対活性測定法に従い、反応液中の20mMミオ
イノシトールに変えて同一濃度のD−マンノース、ラク
トース、スクロース、キシリトール、D−フルクトー
ス、D−ガラクトース、ソルビトール、マンニトール、
グリセロール、D−カイロイノシトール、エピイノシト
ール、サイロイノシトールを測定した。ミオイノシトー
ルに対する反応初速度を100とした場合の各基質にお
ける酵素活性を表1に示すが、本酵素は、カイロイノシ
トールよりもミオイノシトールに特異性が高く、実質的
にカイロイノシトールに作用しないデヒドロゲナーゼで
あることが明らかである。
【0053】基質としては、D−マンノース、スクロー
ス、キシリトール、D−フルクトース、D−ガラクトー
ス、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、D−
カイロイノシトール(以上、和光純薬社製、日本国)、
ミオイノシトール、エピイノシトール、サイロイノシト
ール(以上、シグマ社製、米国)ラクトース;(ナカラ
イテスク;nacalai tesque社製、日本
国)を用いた。
【0054】
【表1】
【0055】(4)至適pH 10付近(基質;ミオイノシトール) 前記の相対活性測定法を用い、反応液中の100mMの
pH10.0グリシン緩衝液にかえて100mMトリス
緩衝液(pH7.0〜9.0,−□−)及び100mM
グリシン緩衝液(pH9.0〜11.0,−○−)の各
緩衝液を用いて測定した。各pHにおける活性は図1に
示した通りであって、pH10付近で最大の活性を示し
た。
【0056】(4)分子量 75000±15000 TSKゲルG300SW(0.75φ×600mm)、
溶離液;50mMリン酸緩衝液(pH7.5)+0.2
M Na2 SO4 +0.05%NaN3 、分子量マーカ
ーはオリエンタル酵母社製(日本国)を使用した。クロ
マトグラフィー装置は島津社製装置(日本国)を使用し
た。UV280nm及びフラクションの活性測定にて検
出した。
【0057】(5)熱安定性 本酵素液、約5U/mlに15分間の加熱処理を行っ
た。残存活性は前記の酵素活性測定法にて測定した。ま
た市販のミオイノシトールデヒドロケナーゼ〔シグマ社
製、米国 エンテロバクター・アエロゲネス(Ente
robacteraerogenes)由来〕の熱安定
性も同様に測定を行った。各温度の処理後の残存活性は
図2に示した通りで、本酵素は40℃の処理まで安定で
あり(−□−)、市販酵素は熱処理に対し不安定であっ
た(−○−)。この市販のミオイノシトールデヒドロゲ
ナーゼもカイロイノシトールよりもミオイノシトールに
特異性が高いものであり、本発明に使用できるものであ
る。
【0058】(6)Km値 前記の相対活性測定法を用い、20mMのミオイノシト
ールの濃度及び、2mMのNADの濃度を変化させそれ
ぞれのKm値を測定した。 ミオイノシトールに対するKm値;49.6±5.0mM NADに対するKm値 ;1.5±0.2mM 次いで、バチルス・エスピー(Bacillus s
p.)No.3株(以下B.sp.No3と略すること
がある)、及びアグロバクテリウム・リゾゲネス(Ag
robacterium rhizogenes)12
15株(以下A.r.1215と略することがある)由
来の、少なくともカイロイノシトールに作用するデヒド
ロゲナーゼの性状は以下の通りである。
【0059】(1)活性測定法 クレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella
pneumoniae)TK24株由来のデヒドロゲナ
ーゼ酵素活性測定法に於いて、20mMミオイノシトー
ルを同濃度のカイロイノシトール(和光純薬社製、日本
国)にかえて行う。
【0060】(2)酵素作用 少なくともカイロイノシトールおよび補酵素の存在下、
還元型補酵素を生成する反応を触媒する。上記の補酵素
については、例えばNAD、アセチルNAD、アルデヒ
ドNAD、デアミノNAD、NADP、チオニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、チオニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチドフォスフェート(チ
オNADP)が挙げられる。各補酵素を用いた場合の相
対活性比(NADを補酵素として用いた場合を100%
とする)は下記の表2に示すとおりである。
【0061】また相対活性の測定はクレブシーラ・ニュ
ーモニエ(Klebsiellapneumonia
e)TK24株由来のデヒドロゲナーゼと同じ方法に於
いて、20mMミオイノシトールを同濃度のD−カイロ
イノシトール(和光純薬社製、日本国)にかえて行い、
補酵素利用性は2mM NADを同濃度の各補酵素に変
えて行った。(NAD、チオNAD、NADP、チオN
ADP;以上オリエンタル酵母社製、日本国、アセチル
NAD、アルデヒドNAD、デアミノNAD;以上シグ
マ社製、米国)。
【0062】
【表2】
【0063】(3)基質特異性 基質特異性は下記表3に示すとおりである。
【0064】
【表3】
【0065】基質特異性の測定は、下記の反応試薬を用
い、クレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiell
a pneumoniae)TK24株由来のデヒドロ
ゲナーゼと同様の方法で行った。基質はミオイノシトー
ルの代わりに同濃度のD−カイロイノシトール、サイロ
イノシトール、エピイノシトール、マンノース、フルク
トース、ソルビトール、マンニトール、グリセロールを
用い測定し、D−カイロイノシトールに対する活性を1
00%として計算を行った。D−カイロイノシトール、
マンノース、フルクトース、ソルビトール、マンニトー
ル、(以上和光純薬社製、日本国)ミオイノシトール、
サイロイノシトール、エピイノシトール(以上シグマ社
製、米国)
【0066】 <<反応液組成>> <B.sp.No3由来> 100mM グリシン緩衝液 pH9.8 基質 20mM D−カイロイノシトール 補酵素 2mM チオNAD(オリエンタル酵母社製、日本) <A.r.1215由来> 100mM Tris緩衝液 pH8.5 基質 20mM D−カイロイノシトール 補酵素 2mM チオNADP(オリエンタル酵母社製、日本国)
【0067】 (4)分子量 B.sp.No.3由来;135、000±10、000 A.r.1215由来 ;105、000±10、000 クレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella
pneumoniae)TK24株由来のデヒドロゲナ
ーゼと同じ方法に於いて、基質ミオイノシトールをD−
カイロイノシトールに置き換えて測定した。
【0068】(5)至適pH B.sp.No3由来;11.0付近 A.r.1215由来;10.0付近 クレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella
pneumoniae)TK24株由来のデヒドロゲナ
ーゼと同じ方法に於いて、基質ミオイノシトールを同濃
度のD−カイロイノシトールに置き換えて測定した。
【0069】(6)熱安定性 B.sp.No3由来;60℃、15分の処理でほぼ1
00%の残存活性を有する。 A.r.1215由来;40℃、15分の処理でほぼ1
00%の残存活性を有する。 クレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella
pneumoniae)TK24株由来のデヒドロゲナ
ーゼと同じ方法に於いて、基質ミオイノシトールを同濃
度のD−カイロイノシトールに置き換えて測定した。
【0070】(7)Km値 D−カイロイノシトールに対するKm値を示す。 B.sp.No3由来;5.2±0.5mM A.r.1215由来;28.9±3.0mM B.sp.No3由来の酵素の補酵素に対するKm値を
示す。 NAD;0.5±0.1mM チオNAD;0.9±0.1mM Km値の測定はクレブシーラ・ニューモニエ(Kleb
siella pneumoniae)TK24株由来
のデヒドロゲナーゼと同じ方法に於いて、下記の反応試
薬を用いて測定した。
【0071】 <<反応液組成>> <B.sp.No3由来> 100mM グリシン緩衝液 pH11.0 基質 10mM D−カイロイノシトール 補酵素 1mM NAD(オリエンタル酵母社製、日本国) <A.r.1215由来> 100mM グリシン緩衝液 pH10.0 基質 20mM D−カイロイノシトール 補酵素 2mM チオNADP(オリエンタル酵母社製、日本国)
【0072】本発明のカイロイノシトールの定量法、定
量用組成物、およびカイロイノシトールの純化法に用い
ることのできる、カイロイノシトールよりもミオイノシ
トールに特異性の高いデヒドロゲナーゼは、少なくとも
補酵素としてNAD類(好ましくはNAD)を用い、ミ
オイノシトールをミオイノソース2となすものであり、
カイロイノシトールよりもミオイノシトールに特異性の
高い性質を有するデヒドロゲナーゼで有れば良く、本発
明の知見に基づき、これらの補酵素と基質を用いて確認
できるものである。
【0073】さらにまた本発明のカイロイノシトールの
定量法、定量用組成物に用いることのできる少なくとも
カイロイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼは、少
なくともNAD(P)類〔好ましくはNAD(P)〕を
用い、カイロイノシトールに作用して、還元型補酵素を
生成するもので有れば良く、本発明の知見に基づき、こ
れらの補酵素と基質を用いて確認できるものである。
【0074】ミオイノシトールからミオイノソース2を
生成する反応の液組成については、使用するカイロイノ
シトールよりもミオイノシトールに特異性の高いデヒド
ロゲナーゼの各種補酵素間のKm値等を考慮して補酵素
を1種類またはそれ以上適宜選択し、その後、至適pH
の曲線から反応が効率よく進行するよう反応液pHを適
宜設定すればよい。
【0075】例えば前記したクレブシーラ属由来のカイ
ロイノシトールよりもミオイノシトールに特異性の高い
デヒドロゲナーゼについてみれば、前記した補酵素を含
め、反応しうる補酵素で有れば何れの補酵素を用いても
良く、例えば前記補酵素の使用濃度としては0.02m
M〜1M程度で良いが、好適にはNADであり、例えば
NADに対するKm値は1.5mMであるからNADの
濃度は0.02M〜500mM、好ましくは0.1〜1
00mMであり、また酵素の量は0.01〜1000U
/ml、特に0.05〜500U/mlが好ましく、ま
た至適pHは10付近であるから、反応のpHは8〜1
2、特に9〜11が好ましいが、補酵素の量、酵素量、
反応のpHはカイロイノシトールを定量する被検液や、
カイロイノシトール純化時に用いる液体の種類や量等に
より適宜決定することができ、これ以外の量を用いるこ
ともできる。
【0076】同様にカイロイノシトールを定量する酵素
反応液については、使用する少なくともカイロイノシト
ールに作用するデヒドロゲナーゼの各種補酵素間のKm
値等を考慮して補酵素を1種類またはそれ以上適宜選択
し、その後、至適pHの曲線から反応が効率よく進行す
るよう反応液pHを適宜設定すればよい。例えば少なく
ともカイロイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼに
ついてみれば、前記した補酵素を含め、反応しうる補酵
素で有れば何れの補酵素を用いても良く、前記補酵素の
使用濃度としては0.01〜1M程度でよく、また酵素
の量は0.01〜1000U/ml程度でよく、反応の
pHは6〜13付近でよいが、その補酵素量、酵素量、
pHはカイロイノシトールを定量する被検液の種類や
量、さらに使用する酵素の性質等により適宜決定しても
良くこれ以外の量を用いることもできる。
【0077】例えばバチルス属由来の酵素について見れ
ば、前記補酵素の使用濃度としては0.01mM〜1M
程度で良いが、好適にはNAD、チオNADであり、例
えばNADに対するKm値は0.5mMであるからNA
Dの濃度は0.01〜100mM、好ましくは0.05
〜50mMであり、チオNADに対するKm値は0.9
mMであるからチオNADの濃度は0.02〜100m
M、好ましくは0.1〜50mMであり、酵素の量は
0.01〜1000U/ml、特に0.05〜500U
/mlが好ましく、また至適pHは11付近であるか
ら、反応のpHは6〜13、特に8〜12が好ましい。
【0078】さらに例えばアグロバクテリウム属由来の
酵素について見れば、前記補酵素の使用濃度としては
0.01mM〜1M程度で良いが、好適にはNADPで
あり、同様にNADPの濃度は0.01〜100mM、
好ましくは0.05〜50mMであり、酵素の量は0.
01〜1000U/ml、特に0.05〜500U/m
lが好ましく、また至適pHは10付近であるから、反
応のpHは6〜12、特に8〜11付近が好ましいが、
その量は、カイロイノシトールを定量する被検体の種類
や量等により適宜決定することができ、これ以外の量を
用いることもできる。
【0079】以上のことから、カイロイノシトール定量
用組成物としては、カイロイノシトールよりもミオイノ
シトールに特異性が高いデヒドロゲナーゼ、及び、少な
くともカイロイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼ
を含有するものとして調整すれば良く、好ましくはこれ
に補酵素、好適にはNADを添加せしめて液状、液状の
凍結物、凍結乾燥品として提供できる。
【0080】さらに本発明に基づくミオイノシトールか
らミオイノソース2を生成する反応、及びカイロイノシ
トールを定量する酵素反応組成には、例えば界面活性
剤、塩類、緩衝剤、pH調製剤や防腐剤などを適宜選択
して添加しても良い。
【0081】適宜な添加物において、界面活性剤として
はポリオキシエチレンアルキルエーテル類〔例えばポリ
オキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(ト
リトンX−100)、ポリオキシエチレン(23)ラウ
リルエーテル(以上、ナカライテスク社製、日本
国)〕、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
類〔;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート
(ツイーン20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
パルミテート(ツイーン40)、ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノステアレート(ツイーン60)、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノオレエート(ツイーン8
0)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート
(ツイーン85)(以上、関東化学社製、日本国)〕、
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリ
グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソル
ビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキ
シプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル類、ポ
リオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩
類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類(以
上、NIKKO CHEMICALS社製、日本国)、
ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステルコール酸
(和光純薬社製、日本国)、アデカトール720N、ア
デカトールB−795、アデカトールSO−120、ア
デカノールB−795(以上、旭電化工業社製、日本
国)、、トリトンX−305、トリトンX−114、ト
リトンX−405、トリトンWR−1339、(以上、
ナカライテスク社製、日本国)等の0.01〜10%、
好適には0.05〜5%、各種金属塩類、例えば塩化リ
チウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マンガ
ン、塩化コバルト、塩化亜鉛、塩化カルシウムの1mM
〜5M、好適には10mM〜1M、各種緩衝液、例えば
トリス−塩酸緩衝液、グリシン−NaOH緩衝液、燐酸
緩衝液、グッドの緩衝液等の10mM〜2M、好適には
20mM〜1M、各種防腐剤、例えばアジ化ナトリウム
の0.01〜10%、好適には0.05〜1%を適宜添
加すればよい。
【0082】またミオイノシトールをミオイノソース2
となした後のカイロイノシトールの検出は、補酵素の変
化量を、例えば補酵素としてNADを用いて生成される
変化の量として還元型補酵素である還元型NADをその
極大吸収波長域である340nm付近の波長にて比色計
で測定する等公知の技術を用い直接定量するか、もしく
は、たとえば生じた還元型補酵素を各種ジアフォラー
ゼ、またはフェナジンメトサルフェート(以下PMSと
略す)、メトキシPMS、ジメチルアミノベンゾフェノ
キサジニウムクロライド(メルドラブルー)等の電子キ
ャリアー及びニトロテトラゾリウムに代表される各種テ
トラゾリウム塩等の還元系発色試薬を用い間接的に定量
するか、たとえば下記式に示すようなデヒドロゲナー
ゼ、オキシダーゼの組み合わせを適宜用い還元型補酵素
から過酸化水素を発生させ、生じる過酸化水素を公知の
方法を用い直接、間接的に測定してもよく、またこれ以
外の公知の方法により直接、間接的に測定してもよい。
【0083】
【化2】
【0084】式中デヒドロゲナーゼAはNAD(P)H
類の存在下、基質Aを基質Bに変換するデヒドロゲナー
ゼで有れば何れのデヒドロゲナーゼを使用しても良く、
またオキシダーゼBは基質Bに作用し過酸化水素を生じ
るオキシダーゼで有れば何れのオキシダーゼを用いても
良いが、例えばpH5〜10、好ましくはpH6〜9に
おいて、基質Aにピルビン酸0.01mM〜1M、好ま
しくは0.05mM〜500mMを用いた場合には、ラ
クテートデヒドロゲナーゼ(旭化成工業社製、日本国)
0.001〜500U/ml、好ましくは0.01〜1
00U/mlが選択でき、生じた乳酸はラクテートオキ
シダーゼ(旭化成工業社製、日本国)0.001〜50
0U/ml、好ましくは0.01〜100U/mlを用
いることにより、D−カイロイノシトール量に比例した
過酸化水素を得ることができる。
【0085】カイロイノシトールを純化する方法に於け
る、ミオイノシトールをミオイノソース2となした後の
カイロイノシトールの純化は、公知のカラムクロマトグ
ラフィー、例えば陽イオン交換クロマトグラフィー、陰
イオン交換クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィ
ー、逆相クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィ
ー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシ
アパタイトクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラ
フィー、電気泳動、再結晶、蒸発乾固等の公知の技術を
用いて行うことができる。
【0086】またカイロイノシトールを定量するに当た
って、さらに高感度に定量する場合には、下記式で示さ
れる酵素サイクリング法を用いることができる。
【0087】
【化3】 式中、生成物とはカイロイノシトールから2原子または
4原子の水素原子が引き抜かれた化合物を示し、A1は
NAD(P)類、またはチオNAD(P)類を示し、A
2はA1の還元型を示し、B1はA1がチオNAD
(P)類の場合には還元型NAD(P)類を、A1がN
AD(P)類の場合には還元型チオNAD(P)類を示
し、B2はB1の酸化型生成物を示す。
【0088】酵素サイクリングを用いたカイロイノシト
ール定量反応の液組成については、使用するカイロイノ
シトールに作用するデヒドロゲナーゼの各種補酵素間の
Km値等を考慮して補酵素を2種類またはそれ以上適宜
選択し、その後正反応/逆反応の至適pHの間でpH条
件を酵素的サイクリングが効率よく進行するように設定
すればよい。A1、B1の量は被検体中のカイロイノシ
トールの量に比較して過剰量であり、またカイロイノシ
トールに作用するデヒドロゲナーゼのA1、B1に対す
るKm値に比較しても過剰量であることが必要である。
【0089】例えばバチルス属由来の少なくともカイロ
イノシトールに作用するデヒドロゲナーゼについてみれ
ば、Km値はNAD、チオNADについてそれぞれ0.
50、0.87mMと小さくチオNAD、NADを補酵
素とし選択することができる。またサイクリング反応を
行う場合に、チオNADを用いた場合の正反応の至適p
Hは10.5付近であり、NADHを用いた逆反応の至
適pHが10付近であることからチオNAD、NADH
を補酵素として選択しpH10付近でサイクリングを行
うと良い。
【0090】A1及びB1の濃度は0.02mM〜2
M、特に0.05〜100mMが好ましく、カイロイノ
シトールに作用する酵素の量は1〜1000U/ml、
特に5〜500U/mlが好ましいが、その量は被検体
の種類や量等により適宜決定することができ、これ以外
の量用いることもできる。
【0091】同様に例えばアグロバクテリウム属由来の
酵素については、チオNADP、NADPを補酵素とし
選択することができ、サイクリング反応はチオNAD
P、NADPHを補酵素として選択しpH10付近でサ
イクリングを行うと良い。A1及びB1の濃度は0.0
2mM〜2M、特に0.05〜100mMが好ましく、
カイロイノシトールに作用する酵素の量は1〜1000
U/ml、特に5〜500U/mlが好ましいが、その
量は被検体の種類や量等により適宜決定することがで
き、これ以外の量用いることもできる。
【0092】このサイクリング反応においては、ミオイ
ノソース2が残存すれば、ミオイノシトールへの可逆反
応が生じ、その結果カイロイノシトールの定量に悪影響
を及ぼす場合があることから、ミオイノソース2を分
解、除去する事が望ましい。一方ミオイノソース2はア
ルカリ性で還元性を示し、室温に於いて徐々に分解する
こと、およびカイロイノシトールはアルカリ性にて安定
であることから、例えばpH8〜14、好ましくは9〜
14において、室温にて一定時間放置すれば、ミオイノ
ソース2を分解することができ、ミオイノソース2の影
響を受けないカイロイノシトールの定量、特にミオイノ
ソース2の影響を受けない酵素サイクリングを用いた高
感度定量が可能になり、さらにカイロイノシトールの純
化においては、さらに簡便なカイロイノシトールの純化
が可能になる。
【0093】さらに、ミオイノソース2を分解する反応
は加熱、例えば37〜100℃、好ましくは50〜10
0℃、及び酸化剤の添加、例えば酸化型補酵素、NA
D、NADP、チオNAD、チオNADP、アルデヒド
NAD、デアミノNAD、アセチルNAD等を0.01
mM〜1M好ましくは0.1mM〜500mM、その他
各種酸化剤、各種酸化力のある金属等により加速する事
ができるが、その量は、カイロイノシトール純化時に用
いる液体や、カイロイノシトールを定量する被検体の種
類や量等により適宜決定することができ、これ以外の量
用いることもでき、さらに適宜組み合わせても良い。
【0094】また、カイロイノシトールの定量法、定量
用組成物に於いて、少なくともカイロイノシトールに作
用するデヒドロゲナーゼの性状により、カイロイノシト
ールの定量が、他の糖、例えばグルコース、ガラクトー
ス、フルクトース、マンノース、グルコサミン、リブロ
ース、キシルロース、アラビノース、フコース、アロー
ス等、またはポリオール、例えばグリセロール、ソルビ
トール、マンニトール等、または酸、例えばグルクロン
酸等によって影響を受ける場合には、あらかじめ、それ
ぞれの糖、ポリオール、酸等に作用し、かつカイロイノ
シトールには作用しない、デヒドロゲナーゼ、キナーゼ
若しくはオキシダーゼ等にて処理を行い、影響を回避す
ることができる。
【0095】例えばグルコースの影響を受ける場合は、
カイロイノシトールを測定する前にヘキソキナーゼII
(旭化成工業社製、日本国)0.1〜100U/ml、
好ましくは0.5〜50U/ml、及びATP(オリエ
ンタル酵母社製、日本国)0.1〜100mM、好まし
くは0.5〜50mM、マグネシウム0.1〜100m
M、好ましくは0.5〜50mMを含む溶液で処理し、
グルコースをリン酸化し、処理すればよい。また例えば
ガラクトースの影響を受ける場合には、カイロイノシト
ールを測定する前にガラクトキナーゼ(シグマ社製、米
国)0.1〜100U/ml、好ましくは0.5〜50
U/ml、及びATP(オリエンタル酵母社製、日本
国)0.1〜100mM、好ましくは0.5〜50m
M、マグネシウム0.1〜100mM、好ましくは0.
5〜50mMを含む溶液で処理し、ガラクトースをリン
酸化し、処理すればよい。他糖、ポリオール、酸に対し
ても同様である。
【0096】またカイロイノシトール定量の対象となる
被検液としては、例えば血液、尿、随液、血球、リンパ
液、組織抽出液などの生体液や食品抽出液等が挙げられ
るが、これ以外の被検液でもカイロイノシトールを含む
ものであれば何ら限定されるものはない。またカイロイ
ノシトールとしてはD体が好ましい測定対象物として挙
げられる。
【0097】かくして、調製された本発明のカイロイノ
シトール定量用組成物によって、被検体中のカイロイノ
シトールを定量するには、カイロイノシトール定量用組
成物に被検体0.001〜0.5mlを加え、37℃の
温度にて反応させ、レートアッセイを行う場合には、反
応開始後の一定時間後の2点間の数分ないし数十分間、
例えば3分後と4分後の1分間、または3分ごと8分後
の5分間における変化した補酵素の量を直接または間接
的に測定すれば良く、エンドポイントアッセイの場合に
は反応開始後一定時間後の変化した補酵素の量を直接ま
たは間接的に測定すれば良い。この場合既知濃度のカイ
ロイノシトールを用いて測定した場合の吸光度等の変化
と比較すれば被検液中のカイロイノシトールの量を求め
ることができる。尚、本発明において変化した補酵素量
の測定にあたり、吸光度測定の代わりに他の公知の測定
法を使用して定量を行うこともできる。
【0098】また、本発明のカイロイノシトール純化方
法に使用しうるカイロイノシトールを含む液体として
は、少なくともミオイノシトールとカイロイノシトール
を含む液体であれば何れの液体でもかまわないが、例え
ばミオイノシトールをカイロイノシトールに変換する各
種の方法に於いて生じた、少なくともミオイノシトール
とカイロイノシトールを含む反応液、化学的に合成され
た少なくともミオイノシトールとカイロイノシトールを
含む反応液、植物や微生物から抽出した少なくともミオ
イノシトールとカイロイノシトールを含む反応液、等が
挙げられる。
【0099】
【発明の実施の形態】ついで、本発明の実施例及び参考
例を詳しく述べるが、本発明は何らこれにより限定され
るものではない。
【0100】
【参考例1】クレブシーラ・ニューモニエ(Klebs
iella pneumoniae) TK24;通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究
所; (受託番号FERM BP−6506)の培養、精製 酵母エキス(極東製薬社製、日本国)2%、ペプトン
(極東製薬社製、日本国)2%、グリセロール(和光純
薬社製、日本国)2%、リン酸2カリウム(和光純薬社
製、日本国)0.1%、グルコース(国産化学社製、日
本国)0.1%、pH7.0を含む液体培地100ml
を500ml三角フラスコに分注し、121℃で20分
加熱滅菌した後これにクレブシーラ・ニューモニエ(K
lebsiella pneumoniae)TK24
(FERM BP−6506)株の1白金耳を接種し、
28℃で120rpmの振とう培養器で20時間培養し
て種母85ml(酵素活性0.04U/ml)を得た。
【0101】一方、上記と同様の培地組成にて消泡剤と
してディスフォームBC51Y(日本油脂社製、日本
国)を0.1%添加した液体培地20Lを30L用ジャ
ーファメンターに仕込み加熱後滅菌した後に上記の種母
85mlを移植し、培養温度30℃、通気量20L/
分、内圧0.4kg/cm2 、攪拌速度200rpmで
16時間通気培養し、培養物20L(酵素活性0.12
U/ml)を得た。
【0102】得られ培養物を遠心分離で集菌し、これを
10mMトリス緩衝液pH8.0に分散させ、氷浴で冷
却しながら超音波処理を行い、菌体を可溶化した。可溶
化液は3000r.p.m.15分の遠心分離を行い、
可溶化上清2.5L(2U/ml)を得た。
【0103】この酵素液を10mM燐酸緩衝液pH7.
5にて平衡化されたQ−セファロース(Sepharo
se)B.B.(ファルマシアバイオテック;Phar
macia Biotech社製、スウェーデン国)
1.25Lにかけ、0、0.1、0.2、0.3MのK
Cl(ナカライテスク;nacalai tesque
社製、日本国)を含む同一の緩衝液にてステップワイズ
に溶出、活性のあるフラクション2.2L(1.5U/
ml)を得た。
【0104】得られた酵素液は4MになるようにNaC
l(ナカライテスク社製、日本国)を加え、4M Na
Clを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)にて平
衡化されたフェニルセファロースFF(ファルマシア社
製、スウェーデン国)200mlにかけ4→0MのNa
Clグラジエントにて展開、活性ピークをプールし酵素
溶液600mlを得た。得られた酵素溶液は10mMリ
ン酸緩衝液pH7.5に対し透析し、分子量5万カット
の膜で濃縮し100ml(27U/ml)の酵素溶液を
得た。得られた酵素液は凍結して−20℃にて保存し
た。
【0105】
【参考例2】バチルス・エスピー(Bacillus
sp.)No.3 ;通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所; (受託番号;FERM BP−5881)の培養、精製 酵母エキス(極東製薬社製、日本国)2%、ペプトン
(極東製薬社製、日本国)2%、リン酸2カリウム(和
光純薬社製、日本国)0.2%、塩化カルシウム(和光
純薬社製、日本国)0.02%、硫酸マグネシウム(和
光純薬社製、日本国)0.05%、ミオイノシトール
(和光純薬社製、日本国)2%、pH7.3を含む液体
培地100mlを500ml三角フラスコに分注し、1
20℃で20分加熱滅菌した後これにバチルス・エスピ
ーNo.3(FERM BP−5881)の1白金耳を
接種し、50℃で120r.p.m.の振とう培養器で
30時間培養して種母85ml(酵素活性1.9U/m
l)を得た。
【0106】一方、上記と同様の培地組成にて消泡剤と
してデイスフォーム442(日本油脂社製、日本国)を
0.1%添加した液体培地20Lを30L用ジャーファ
メンターに仕込み加熱後滅菌した後に上記の種母85m
lを移植し、培養温度50℃、通気量20L/分、内圧
0.4kg/cm2 、攪拌速度150r.p.m.で2
4時間通気培養し、培養物18.0L(酵素活性2.9
U/ml)を得た。
【0107】培養物を遠心分離で集菌し、これに0.1
%のリゾチーム(エーザイ社製、日本国)を含む20m
Mリン酸緩衝液(pH7.5)を5L加え、37℃で1
時間インキュベートした後、遠心分離して沈殿物を除去
し、上清4.5L(10U/ml)を得た。この上清に
アセトン1.8Lを添加攪拌し、生じた沈殿物を遠心分
離して集め、これを20mMリン酸緩衝液で溶解し1L
の粗酵素液(39U/ml)を得た。この溶液に固形硫
安200gを溶解し、生じた沈殿物を遠心分離で除去
し、得られた上清に再び固形硫安50gを溶解した。こ
の処理液を遠心分離して得られた沈殿物を20mMリン
酸緩衝液(pH7.5)で溶解し、500mlの酵素液
(58.1U/ml)を得た。
【0108】この酵素液をUFモジュール(日本国、旭
化成工業社製;ACP−1010)にて濃縮し、20m
Mリン酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したセファデッ
クスGー25(ファルマシア社製)にて脱塩し、同一の
緩衝液で平衡化されたDEAEセファロースCL−6B
(ファルマシア社製)250mlにかけ0→0.3Mの
KClグラジエントにて展開、活性ピークをプールし酵
素溶液400ml(49.3U/ml)を得た。得られ
た酵素液を10mMリン酸緩衝液(7.0)20Lに対
して一晩透析した。こうして得られた酵素液は牛血清ア
ルブミン(シグマ社製)を0.2g溶解した後に凍結乾
燥して凍結乾燥品1.2g(17.0U/mg)を得
た。
【0109】
【参考例3】アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agr
obacterium rhizogenes)121
5 通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所; (受託番号FERM BP−6270)の培養、精製 酵母エキス(極東製薬社製、日本国)2%、ペプトン
(極東製薬社製、日本国)2%、リン酸2カリウム(和
光純薬社製、日本国)0.1%、グルコース(国産化学
社製、日本国)0.1%、グリセリン(和光純薬社製、
日本国)2%、pH7.0を含む液体培地100mlを
500ml三角フラスコに分注し、120℃で20分加
熱滅菌した後、これにアグロバクテリウム・リゾゲネス
(Agrobacterium rhizogene
s)1215(FERM BP−6270)の1白金耳
を接種し、28℃で120rpmの振とう培養器で30
時間培養して種母とした。
【0110】一方、上記からグルコースとグリセリンを
抜いた培地組成にて消泡剤としてデイスフォームBC−
51Y(日本油脂社製、日本国)を0.1%添加した液
体培地20Lを30L用ジャーファメンターに仕込み加
熱後、滅菌した後に上記の種母100mlを移植し、培
養温度30℃、通気量20L/分、内圧0.4kg/c
2 、攪拌速度150rpmで24時間通気培養し、培
養物20L(酵素活性60mU/ml)を得た。得られ
た培養物を遠心分離で集菌し、これに10mMリン酸緩
衝液(pH7.5)を2L加え、氷浴中にて30分ソニ
ケーション処理を行った。ついで遠心分離(8000r
pm、20分)して沈殿物を除去し、上清1.5L(6
90mU/ml)を得た。
【0111】この酵素液を同一の緩衝液で平衡化された
Qセファロース ビックビーズ(ファルマシア社製、ス
ウェーデン国)にかけ0、0.1、0.2、0.3、
0.4MのKClを含む同一緩衝液にてステップワイズ
に展開、0.1M画分をプールし酵素溶液10L(4m
U/ml)を得た。得られた酵素液はUFモジュール
(日本国、旭化成工業社製;ACP−1010)にて濃
縮し、10mMリン酸緩衝液(pH7.5)10Lに対
して一晩透析し酵素粗精製液200ml(270mU/
ml)を得た。
【0112】
【実施例1】 <ミオイノシトール消去試薬> 100mM グリシン緩衝液(pH 10.1) 2mM 酸化型NAD(オリエンタル酵母社製、日本国) 5U/ml クレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella pn eumoniae)TK24株由来のカイロイノシトールよ りもミオイノシトールに特異性の高いデヒドロゲナーゼ 5U/ml ジアフォラーゼ(旭化成工業社製、日本国) 0.025% NTB(和光純薬社製、日本国)
【0113】 <カイロイノシトール検出試薬> 100mM Tris−HCl緩衝液(pH 8.5) 2mM 酸化型NAD(オリエンタル酵母社製、日本国) 5U/ml バチルス・エスピー(Bacillus sp.)No.3 株由来の少なくともカイロイノシトールに作用するデヒドロ ゲナーゼ 5U/ml ジアフォラーゼ(旭化成工業社製、日本国) 0.025% NTB(和光純薬社製、日本国) 1.5% トリトン−X100(和光純薬社製、日本国)
【0114】<操作>カイロイノシトール600μM、
かつミオイノシトール0、100、200、300、4
00、500μMを含む、ミオイノシトール及びカイロ
イノシトール混合被検液0.1mlを、上記のミオイノ
シトール消去試薬0.4mlに加えて、37℃、1時間
のミオイノシトールをミオイノソース2となす反応を行
った。また対照としてクレブシーラ・ニューモニエ(K
lebsiella pneumoniae)TK24
株由来の酵素無添加の反応を行った。反応終了後、反応
液は分子量3万カットの膜(ウルトラフリーMC ミリ
ポア社製)にて遠心、除蛋白を行い、カイロイノシトー
ル定量用サンプルとした。
【0115】次いで上記のカイロイノシトール検出試薬
1mlを試験管にとり、37℃にインキュべートのの
ち、上記のカイロイノシトール定量用サンプル0.05
mlを添加し、反応を開始させた。正確に10分後、
0.1NのHCl 2mlを加え反応を停止し、550
nmにおける吸光度を測定した。測定結果は図3に示
し、その吸光度変化値を下記表4に示した。(ミオイノ
シトール0μMでカイロイノシトール600μMの被検
液の推定吸光度は83ΔmAbsである)。
【0116】
【表4】
【0117】図3及び表4から明らかなように、ミオイ
ノシトールをミオイノソース2となさない場合には(消
去なし;−○−)、ミオイノシトールの添加量に伴って
カイロイノシトール定量への影響が増加し、正確にカイ
ロイノシトールが定量できてないことが明らかであり、
これに対し、ミオイノシトールをミオイノソース2とな
す反応を行った場合には(消去有り;−□−)、ミオイ
ノシトールを添加してもカイロイノシトールの定量値は
一定であり、ミオイノシトールの影響を受けないカイロ
イノシトールの正確な測定ができることが明らかであっ
た。
【0118】
【実施例2】 <ミオイノシトール消去試薬> 100mM グリシン緩衝液(pH 10.1) 2mM 酸化型NAD(オリエンタル酵母社製、日本国) 5U/ml クレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella pn eumoniae)TK24株由来のカイロイノシトールよ りもミオイノシトールに特異性の高いデヒドロゲナーゼ 5U/ml ジアフォラーゼ(旭化成工業社製、日本国) 0.025% NTB(和光純薬社製、日本国)
【0119】 <カイロイノシトール高感度検出試薬> 100mM グリシン緩衝液(pH 9.8) 2mM 酸化型チオNAD(オリエンタル酵母社製、日本国) 100U/ml バチルス・エスピー(Bacillus sp.)No.3 株由来の少なくともカイロイノシトールに作用するデヒドロ ゲナーゼ 0.03mM NADH(オリエンタル酵母社製、日本国)
【0120】<操作>カイロイノシトール100μM、
かつミオイノシトール0、100、200、300、4
00、500μMを含有するミオイノシトール及びカイ
ロイノシトール混合被検液0.1mlを、上記のミオイ
ノシトール消去試薬0.4mlに加えて、37℃、1時
間のミオイノシトールをミオイノソース2となす反応を
行った。また、対照としてクレブシーラ・ニューモニエ
(Klebsiella pneumoniae)TK
24株由来の酵素無添加の反応を行った。反応終了後、
反応液は分子量3万カットの膜(ウルトラフリー−MC
ミリポア社製)にて除蛋白を行った。除蛋白を行った
サンプルは、70℃、30分熱処理を行い、カイロイノ
シトール定量用サンプルとした。
【0121】次いで上記のカイロイノシトール高感度検
出試薬1mlをキュベットにとり、37℃にインキュべ
ートののち、カイロイノシトール定量用サンプル0.0
33mlを添加し、反応を開始させた。反応開始後の1
分目と3分目の405nmにおける吸光度を読みとりそ
の差をとり、1分間あたりの吸光度変化を求め、ミオイ
ノシトール無添加の時の吸光度を100%とした場合の
各ミオイノシトール添加時の吸光度の割合を算出した。
その結果は図3に示し、その吸光度変化値を下記表5に
示した。
【0122】
【表5】
【0123】図4及び表5から明らかなように、高感度
な酵素サイクリングを用いた検出系を使用した場合に
も、ミオイノシトールをミオイノソース2となさない場
合には、ミオイノシトールの添加量に伴ってカイロイノ
シトール定量への影響が増加し、正確にカイロイノシト
ールが定量できてないことが明らかであり(消去なし;
−○−)、これに対し、ミオイノシトールをミオイノソ
ース2となす反応を行った場合には、ミオイノシトール
を添加してもカイロイノシトールの定量値は一定であ
り、ミオイノシトールの影響を受けないカイロイノシト
ールの正確かつ高感度な定量が可能であることが明らか
であった(消去有り;−□−)。
【0124】
【実施例3】 <ミオイノシトール消去反応溶液> 2mM ミオイノシトール(シグマ社製 米国) 2mM カイロイノシトール(和光純薬社製 日本国) 100mM グリシン緩衝液(pH 10.1) 50mM 酸化型NAD(オリエンタル酵母社製、日本国) 15U/ml クレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella pn eumoniae)TK24株由来のカイロイノシトールよ りもミオイノシトールに特異性の高いデヒドロゲナーゼ 5U/ml ジアフォラーゼ(旭化成工業社製、日本国) 0.025% NTB(和光純薬社製、日本国)
【0125】 <HPLC条件> 装置 HPLCシステム(島津社製 日本国) カラム Shodex Asahipack NH2P−50 (昭和電工社製 日本国) 流速 0.6ml/min 温度 30℃ 溶離液 10mM グリシン緩衝液 pH10.0:アセトニトリ ル=1:3 検出 RI サンプル 標準品;ミオイノシトール及びカイロイノシトールを1m Mになるように溶離液に溶解 反応液;酵素反応溶液を溶離液にて2倍希釈
【0126】<操作>上記のミオイノシトール消去反応
溶液を作成し、37℃、1時間のミオイノシトールをミ
オイノソース2となす反応を行った。反応終了後、反応
液は分子量3万カットの膜(ウルトラフリー−MC ミ
リポア社製)にて除蛋白を行い、HPLC用溶離液にて
2倍希釈し、酵素反応溶液とし、上記の条件でHPLC
分析を行った。またミオイノシトール及びカイロイノシ
トールをそれぞれ1mMになるように溶離液に溶解した
溶液を作成し、標準品とした。HPLCのクロマトグラ
ムを図5及び図6に示した。標準品では、カイロイノシ
トールは19.28分、ミオイノシトールは19.87
分に溶出し(標準品クロマトグラム;図5)、反応溶液
はカイロイノシトールのピークのみが検出されミオイノ
シトールのピークは検出されなかった(反応液クロマト
グラム;図6)。それ故、このカイロイノシトールのピ
ークのものを回収することによりカイロイノシトールの
純化用定量組成物がえられる。このことから、カイロイ
ノシトールの純化においても、本発明が有用であること
は明らかである。
【0127】
【発明の効果】本発明により、実質的にミオイノシトー
ルの影響をなくし被検液中のカイロイノシトールを、正
確、簡便、安価に測定することが可能となり、かつ少な
くともミオイノシトールとカイロイノシトールを含む水
溶液中から簡便、安価にカイロイノシトールを純化する
ことが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレブシーラ・ニューモニエ(Kle
bsiella pneumoniae)TK24株の
生産するカイロイノシトールよりもミオイノシトールに
特異性の高いデヒドロゲナーゼに作用する酵素の至適p
Hを示す曲線である。
【図2】本発明のクレブシーラ・ニューモニエ(Kle
bsiella pneumoniae)TK24株、
及び市販のエンテロバクター・アエロゲネス(Ente
robacter aerogenes)株の生産する
カイロイノシトールよりもミオイノシトールに特異性の
高いデヒドロゲナーゼの熱安定性を示す曲線である。
【図3】本発明の実施例1に基づくカイロイノシトー
ル、ミオイノシトール混合被検液の定量曲線である。
【図4】本発明の実施例2に基づくカイロイノシトー
ル、ミオイノシトール混合被検液の定量曲線である。
【図5】本発明の実施例3に基づくカイロイノシトー
ル、ミオイノシトール混合被検液のHPLCによる定量
分析結果である。
【図6】本発明の実施例3に基づくカイロイノシトール
のHPLCによる定量分析結果である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともミオイノシトール及びカイロ
    イノシトールを含有する被検液に、カイロイノシトール
    よりもミオイノシトールに特異性の高いデヒドロゲナー
    ゼを作用せしめて、ミオイノシトールをミオイノソース
    2となし、次いで少なくともカイロイノシトールに作用
    するデヒドロゲナーゼを用いてカイロイノシトールを定
    量することを特徴とするカイロイノシトールの定量方
    法。
  2. 【請求項2】 カイロイノシトールよりもミオイノシト
    ールに特異性の高いデヒドロゲナーゼが、クレブシーラ
    ・ニューモニエ(Klebsiella pneumo
    niae)TK24(FERM BP−6506)由来
    のデヒドロゲナーゼであることを特徴とする請求項1に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 カイロイノシトールよりもミオイノシト
    ールに特異性の高いデヒドロゲナーゼ及び少なくともカ
    イロイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼを含有し
    てなるカイロイノシトールの定量用組成物。
  4. 【請求項4】 カイロイノシトールよりもミオイノシト
    ールに特異性の高いデヒドロゲナーゼが、クレブシーラ
    ・ニューモニエ(Klebsiella pneumo
    niae)TK24(FERM BP−6506)由来
    のデヒドロゲナーゼである請求項3に記載の定量用組成
    物。
  5. 【請求項5】 少なくともミオイノシトール及びカイロ
    イノシトールを含有する液体に、カイロイノシトールよ
    りもミオイノシトールに特異性の高いデヒドロゲナーゼ
    を作用せしめて、ミオイノシトールをミオイノソース2
    となすことを特徴とするカイロイノシトールの純化方
    法。
  6. 【請求項6】 カイロイノシトールよりもミオイノシト
    ールに特異性の高いデヒドロゲナーゼがクレブシーラ・
    ニューモニエ(Klebsiella pneumon
    iae)TK24(FERM BP−6506)由来の
    デヒドロゲナーゼであることを特徴とする請求項5に記
    載のカイロイノシトールの純化方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002142798A (ja) * 2000-11-06 2002-05-21 Toyobo Co Ltd イヌリン測定方法
JP2011211942A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Cci Corp バイオセンサ

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