JPH0691827B2 - 新規ベクタ−プラスミド - Google Patents

新規ベクタ−プラスミド

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JPH0691827B2
JPH0691827B2 JP56204319A JP20431981A JPH0691827B2 JP H0691827 B2 JPH0691827 B2 JP H0691827B2 JP 56204319 A JP56204319 A JP 56204319A JP 20431981 A JP20431981 A JP 20431981A JP H0691827 B2 JPH0691827 B2 JP H0691827B2
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dna
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明夫 尾崎
徹夫 岡
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協和醗酵工業株式会社
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/74Vectors or expression systems specially adapted for prokaryotic hosts other than E. coli, e.g. Lactobacillus, Micromonospora
    • C12N15/77Vectors or expression systems specially adapted for prokaryotic hosts other than E. coli, e.g. Lactobacillus, Micromonospora for Corynebacterium; for Brevibacterium

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はコリネバクテリウム属またはブレビバクテリウ
ム属に属する微生物中で発現される遺伝子を含有するDN
A断片をコリネバクテリウム属またはブレビバクテリウ
ム属菌種のプラスミドに組み込み、コリネバクテリウム
属またはブレビバクテリウム属菌種を宿主として遺伝子
のクローン化を容易ならしめるベクタープラスミドなら
びにその製造法に関する。
遺伝子工学技法は任意の遺伝子を含むDNA断片をベクタ
ーと称されるプラスミドやファージに組み込み、この組
換え体を微生物細胞内に導入することによって、ベクタ
ーの自律複製機能を利用してその挿入遺伝子を微生物中
で遺伝せしめることを可能にした。遺伝子工学技法は大
腸菌を宿主として初めて確立させ、それゆえに特定の代
謝系の強化による有用代謝産物の生産や高等生物遺伝子
の導入による有用蛋白質の生産等の応用研究はもっぱら
大腸菌を用いて試みられている。これらの応用研究を容
易にしている背景として、長年に蓄積された大腸菌の遺
伝学的知見の寄与があるのは言うまでもないが、すでに
多くの有用なベクターが開発されていることも無視でき
ない。遺伝子工学におけるベクターの重要性はレコンビ
ナンナ・モレキュルス:インパクト・オン・サイエンス
・アンド・ソサイエティ,マイルス・インターナショナ
ル・シンポジウム・シリーズNo.10(Recombinant Molec
ules:Impact on Science and Society,Miles Internati
onal Symposium Series No.10,edited by R.F.Beers an
d E.G.Basset,Raven Press,New York,1977)に明解に概
説されている。
宿主大腸菌において応用面で頻用されているのはプラス
ミドベクターであり、それらは多くの利点を有してい
る。代表的なプラスミドベクターpBR322を例にとればそ
の有用性がよく理解できる。pBR322は細胞中で多数のコ
ピーで存在する複製特性を有するため分離取得が容易で
あり、分子量が小さく、種々の制限酵素による切断部位
が1個所に限定されているため、複製能を損うことなく
DNA断片のクローン化を容易ならしめる。また、プラス
ミド上に存在するアンピシリンおよびテトラサイクリン
耐性遺伝子は選択マーカーとして使用することができ、
プラスミド保有菌の選別を可能にする。さらに有利なこ
とに、プラスミド分子中唯一の切断点としてアンピシリ
ン耐性遺伝子内に制限酵素PetI、テトラサイクリン耐性
遺伝子内に制限酵素BamHI、HindIIおよびSalIなどの切
断点があり、それらの部位へ他のDNA断片が組み込まれ
ると薬剤耐性遺伝子が分断されて薬剤感受性となる(こ
れを挿入不活化という)ため、一つの薬剤耐性でプラス
ミド保有菌を選択し、しかる後に他方の薬剤に感受性で
あることを確認することによって組換え体保有菌を簡便
に検出することができる〔Bolivar,F.et al.:Gene,2,9
5(1977)参照〕。
大腸菌ではpBR322と同様な特性をもつ実用的プラスミド
ベクターが数多く作製されている。例えば、薬剤耐性遺
伝子の挿入不活化をより多くの制限酵素でできるように
したプラスミドベクターとしてpGA22が作製されてい
る。pGA22はpBR322の有するアンピシリンおよびテトラ
サイクリン耐性遺伝子の他にクロラムフェニコールとカ
ナマイシン耐性遺伝子をもっており、アンピシリン耐性
遺伝子とテトラサイクリン耐性遺伝子への挿入不活化に
加えて、制限酵素EcoRIによるクロラムフエニコール耐
性遺伝子あるいは制限酵素HindIIやXhoIによるカナマイ
シン耐性遺伝子への挿入不活化もできる特性を有してい
る〔An,G.et al:J.Bactariol.,140,400(1979)参
照〕。
一方、大腸菌以外の工業的に有用な微生物、例えばアミ
ラーゼ生産菌である枯草菌(バチルス・サチルス)、抗
生物質などの生産菌である放線菌および醸造用アルコー
ルなどの生産菌である酵母などでも遺伝子工学技法が開
発されており、各菌種でのベクターへ取得されている。
しかしながら、これら宿主菌を用いた実用的な応用例は
少ない。応用を遅らせている原因の一つに、これらの菌
種では大腸菌ほど有利なプラスミドベクターがないこと
をあげることができる。もし、前記のごとき大腸菌の実
用プラスミドベクターの特性をこれらの菌種のプラスミ
ドベクターに付与できれば、大腸菌で発揮した有用性を
そのまま適用できることになるが、これらの菌種では大
腸菌ベクターの薬剤耐性遺伝子をベクターマーカーとし
て実用的に使用した例は知られていない。特に、同じ原
核生物であるにもかかわらず、グラム陽性のバチルス・
サチルスや放線菌ではグラム陰性である大腸菌の遺伝子
は形質発現できないというのが通説になっており、事
実、大腸菌ベクタープラスミドの選択マーカーとして使
われている大腸菌の薬剤耐性遺伝子をバチルス・サチル
スや放線菌のプラスミドに連結した形でこれら菌種に導
入しても、その組換え体プラスミドは複製はするが、大
腸菌の薬剤耐性遺伝子は形質発現しないことが示されて
いる〔Kreft,J.et al:Molec.Gen.Genet,162,59(197
8),Schottel,J.L.et al:J.Bacteriol,146,360(198
1)参照〕。従つてこれらグラム陽性の微生物には大腸
菌で得られている成果をそのまま適用するのは難しいも
のとみなされている。
本発明者らは、グラム陽性菌であるコリネバクテリウム
属およびブレビバクテリウム属菌種において遺伝子工学
技法により有用物質生産菌の効率的な育成を行うため
に、大腸菌の高度に進歩した遺伝学体系および遺伝子工
学によってもたらされた成果を有効に活用できるか否か
を鋭意検討してきた。その結果、グラム陰性菌の遺伝子
はグラム陽性菌内で発現し難いという通説をくつがえし
て、グラム陽性菌であるコリネバクテリウム属微生物は
グラム陰性菌である大腸菌の遺伝子を初め、他の微生物
の遺伝子を発現せしめる特性を有することを見出し本発
明を完成した。
本発明の有用性はコリネバクテリウム属およびブレビバ
クテリウム属菌種を宿主菌とする遺伝子工学を行うため
の有利なプラスミドベクターを提供できる点にある。そ
の主たる利点は、大腸菌内で叛現する遺伝子をコリネバ
クテリウム属およびブレビバクテリウム属菌種内で自律
複製できるプラスミドに組み込むことにより、選択マー
カーと新たな制限酵素切断部位を付与し、ひいては該菌
種における遺伝子操作を容易ならしめることにある。こ
のような特性をもたらす遺伝子としては、大腸菌プラス
ミド由来の薬剤耐性遺伝子、大腸菌染色体上に位置する
遺伝子ばかりでなく、大腸菌内で発現できる他の微生物
由来の遺伝子も適用できる。これらの遺伝子をコリネバ
クテリウム属およびブレビバクテリウム属菌種のプラス
ミドに組み込んだ組換え体プラスミドは、公知の試験管
内DNA組換え技術により組換え操作後、コリネバクテリ
ウム属あるいはブレビバクテリウム属菌種を形質転換し
て目的の形質を有する形質転換株を選択し、その培養菌
体から取得することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、コリネバクテリウム属またはブレビバクテリ
ウム属に属する微生物中で遺伝的形質が発現される遺伝
子を含むDNA断片をコリネバクテリウム属またはブレビ
バクテリウム属に属する微生物細胞内で自律複製できる
プラスミド(コリネタイプのプラスミド)に組み込んだ
組換え体プラスミドで、コリネバクテリウム属またはブ
レビバクテリウム属に属する微生物において自律複製
し、該導入遺伝子の発現に基づいてその存在を識別しう
る組換え体プラスミドを提供する。
コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属に属
する微生物中で遺伝的形質が発現される遺伝子として
は、真核生物または原核生物いずれから由来するものも
用いることができるが、好ましくは原核生物とくにコリ
ネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属などのコリネ
ホルム細菌、エツシエリヒア属、ミクロバクテリウム
属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、シ
ュードモナス属、セラチア属またはバチルス属に属する
細菌、酵母、放線菌などに由来する、アミノ酸、核酸、
ビタミンなど細胞構成分の生合成に関与する遺伝子、糖
類などの基質の資化性に関与する遺伝子、プラスミド、
ファージなどがあげられる。
エッシエリヒア属菌由来のプラスミド、ファージとして
は、たとえばpBR322、pBR325、pGA22、pACYC177、pACYC
184、λgtWESλBなどが、バチルス属またはスタフィロ
コッカス属菌由来のプラスミド、ファージとしては、た
とえばpUB110、pC194、pTP4、φ11などが、コリネバク
テリウム属またはブレビバクテリウム属菌由来のプラス
ミドとしては、たとえばpCG4などが、放線菌由来のプラ
スミドとしては、たとえばpSLP1.2、pSLP111、SCP2など
が、酵母由来のプラスミドとしては、たとえばYEp13、Y
Rp7、YIp1などがあげられる。
コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属に属
する微生物細胞内で自律複製できる具体的に好適なプラ
スミドとしては、プラスミドpCG1、pCG2、pCG4などがあ
げられる。これらプラスミドは本発明者らが見出した新
規プラスミドであり特願昭56−18101、同56−133557お
よび同56−58186において開示したものである。それら
のプラスミドを保有する菌株はアメリカン・タイプ・カ
ルチヤー・コレクションならびに工業技術院微生物工業
技術研究所に寄託され、その寄託番号は実施例中に記
す。
本発明における組換え体プラスミドベクターは、異なる
菌種または菌株から得られる遺伝子、プラスミド相互間
の組換え体であればいずれも含まれるが、具体例として
はプラスミドpCG2は大腸菌プラスミドpGA22を連結した
組換え体プラスミドpCE54、プラスミドpCG1にプラスミ
ドpCG4の一部を連結した組換え体プラスミドpCG11、プ
ラスミドpCG11にスタフィロコッカス属菌プラスミドpUB
110を連結した組換え体プラスミドpCB101、プラスミドp
CG11にスレオニンオペロン担特大腸菌プラスミドpGH2を
連結した組換え体プラスミドpEthr1などがあげられる。
各組換え体プラスミドについて、以下にさらに詳細に説
明する。
pCE54 pCE54は次のようにして作成することができる。まず、p
CG2をその保有菌コリネバクテリウム・グルタミクム225
−218株の培養菌体から前記の特許出願明細書に開示し
た方法(具体的には実施例1に示す)で、pGA22をその
保有大腸菌の培養菌体から通常用いられる方法で濃縮単
離する。両プラスミドDNAを各分子中1箇所の切断点を
もつ制限酵素たとえばPatIで完全消化して直鎖状化した
後、プラスミド分子の両端に単鎖として突き出た同一接
着末端で両DNA分子の連結した和合分子を生成させるた
めにT4ファージDNAリガーゼを作用させる。このDNA混成
物中からの両プラスミド分子の和合連結した組換え体プ
ラスミドの取得は、一旦、pGA22に由来する薬剤耐性で
選択されるコリネバクテリウム属あるいはブレビバクテ
リウム属菌種の形質転換株を分離し、これら形質転換株
の保有するプラスミドを解析することによって達成され
る。
DNA混成物による形質転換は、本発明者らが先に特許出
願したコリネバクテリウム属およびブレビバクテリウム
属菌種のプロトプラストを使用する形質転換法(特願昭
56−58187および特願昭56−65777、具体的には実施例に
示す)により実施することができる。選択に用いる薬剤
はpGA22に由来する薬剤耐性遺伝子のうち、pCG2との連
結部位となるため挿入不活化されるアンピシリン耐性遺
伝子を除いた他の耐性遺伝子に対応するテトラサイクリ
ン、クロラムフエニコールあるいはカナマイシンを使用
すればよい。形質転換株はDNA無添加系で受容菌プロト
プラストが正常細胞へ復帰増殖できない濃度の薬剤(通
常、テトラサイクリン0.4〜1.6μg/ml、クロラムフエニ
コール2.5〜5μg/mlおよびカナマイシン100〜800μg/m
l)を含む高張寒天培地上で復帰増殖するコロニーを分
離するか、あるいは一旦非選択的に再生培地上で正常細
胞に復帰増殖させた後にかき集め、この菌懸濁液を受容
菌正常細胞が生育できない濃度の薬剤(通常、テトラサ
イクリン0.5〜4μg/ml、クロラムフエニコール2〜15
μg/mlおよびカナマイシン2〜25μg/ml)を含む寒天培
地上にまき生育するコロニーを分離することによって得
られる。テトラサイクリン、クロラムフエニコールある
いはカナマイシン耐性により選択された形質転換株の中
には、pGA22由来の他の薬剤耐性形質をも同時に獲得し
ているものがある。
こうして得られる形質転換株の保有するプラスミドDNA
は、本発明者らが特願昭56−18101および特願昭56−657
77に開示した方法(具体的には実施例に示す)で培養菌
体から単離精製でき、さらに各種制限酵素で消化して生
成するDNA断片をアガロースゲル電気泳動で解析する常
法により構造を知ることができる。形質転換株の一株か
ら分離されたプラスミドがpCE54である。第1図にpCE54
の作製工程と各種制限酵素に対する切断地図を示した
が、pCR54はpCG2とpGA22が各プラスミド分子のPstI切断
点で連結した複合プラスミドであることが明示されてい
る。また別の形質転換株からpCG2に対するpGA22の結合
向きがpCE54とは逆向きの複合プラスミドを得ることが
できる。いずれの複合プラスミドも、前記と同様な形質
転換法および選択法によりコリネバクテリウム属または
ブレビバクテリウム属菌種を再形質転換すると、3薬剤
に耐性の形質転換株を生成せしめ、それらの形質転換株
は供与プラスミドと同一のプラスミドを有することが確
かめられる。
コリネバクテリウム・グルタミクムLA103株(L−22の
誘導株)を宿主菌とした場合のpCE54保有株と非保有株
のテトラサイクリン、クロラムフエニコールおよびカナ
マイシンに対する感受性度を最小生育阻止濃度で表示し
て第1表に示した。最小生育阻止濃度はNB寒天培地(粉
末ブイヨン20g、酵母エキス5gおよび寒天18gを水1に
含み、pH7.2に調整した培地)上に約104細胞を塗布接種
して30℃で2日間培養後、生育の全く認められない最小
の薬剤濃度である。
第1表より明らかなごとく、pCE54の保有株は、pGA22由
来の3種の薬剤耐性遺伝子の発現により、3薬剤に対す
る耐性形質が付与されている。従って、pCE54はpGA22が
宿主大腸菌で示した有効性をコリネバクテリウム属およ
びブレビバクテリウム属菌種で発揮でき、これらの菌種
を宿主としたDNA断片のクローン化を効率的に行うこと
を可能ならしめるものである。
pCG11 pCG11は本発明者らが先に発明し特許出願(特願昭56−1
8101)されたプラスミドで、コリネバクテリウム・グル
タミクム225−57(ATCC31808、FERM−P5865)から分離
されたプラスミドpCG1における制限酵素BglIIのただ一
つの切断部位に、コリネバクテリウム・グルタミクム22
5−250(ATCC31830、FERM−P5939)から分離されたプラ
スミドpCG4のストレプトマイシンおよび/またはスペク
チノマイシン耐性遺伝子を含むBamHI断片を両者の同一
接着末端を利用して結合せしめたプラスミドである。
pCB101 前記のごとく、大腸菌遺伝子はバチルス・サチルス内で
発現しないが、逆にバチルス属菌種内で発現する遺伝子
の中には大腸菌内で発現し得るもののあることが知られ
ている。例えば、バチルス・サチルスでベクターとして
使用される薬剤耐性プラスミドあるいはペニシリン耐性
のバチルス・リケニホルミスの染色体DNAと大腸菌プラ
スミドとの組換え体プラスミドを大腸菌に導入したと
き、バチルス属菌種由来の薬剤耐性遺伝子が発現するこ
とは多くの例で示されている〔例えば、Ehrlich,S.D.:P
roc.Natl.Acad.Sci.,USA,75,1433(1973)、Krert,J.et
al.:Molec.Gen,Genet.,162,59(1978)およびGray,O.e
t al.:J.Bacteriol.,145,422(1981)等参照〕。従っ
て、これらの大腸菌以外の微生物の遺伝子を用いても、
pCE54と同じように有用なコリネバクテリウム属および
ブレビバクテリウム属菌種のベクタープラスミドを作製
できる。その一例として、プラスミドpUB101の特性を導
入した誘導体プラスミドについて以下に説明する。
pUB101はもともとカナマイシン(あるいはネオマイシ
ン)耐性のスタフィコッカス属菌から分離されたプラス
ミドであるが、バチルス・サチルス内で複製できるだけ
でなく、その上に存在するカナマイシン(あるいはネオ
マイシン)耐性遺伝子も発現されることがわかり、宿主
バチルス・サチルスにおけるベクターとして利用されて
いるプラスミドである〔Keggins,K.M.at al.:Proc.Nat
l.Acad.Sci.,USA,75,1423(1978)参照〕。pUB110のカ
ナマイシン耐性遺伝子が大腸菌内で発現できることは組
換えDNA技法によって得られるpUB110と大腸菌プラスミ
ドの組換え体プラスミドを保有する大腸菌のカナマイシ
ン耐性度を測定することによって確かめられる。pUB110
と頻用される大腸菌プラスミドpBR325〔Bolivar,F.et
al.:Gene,4,121(1978)参照〕を両者に1箇所づつ存在
するBamHI切断点で連結した場合、結合向きが互に逆向
きの二種類の組換え体プラスミドが得られるが、いずれ
を保有する大腸菌K−12株亜株C600株もカナマイシンの
最小生育阻止濃度は50μg/mlであり、プラスミド非保有
のC600株のそれは1.6μg/mlであることからカナマイシ
ン耐性遺伝子が発現することは明白である。
pUB110の有用性をコリネバクテリウム属およびブレビバ
クテリウム属菌種に適用せしめたベクタープラスミドの
例として、pUB110をpCG11に連結和合させて得られるpCB
110をあげることができる。
pCB110は具体的には次のようにして取得できる。
pCG11を保有するコリネバクテリウム・グルタミクムLA1
03の培養菌体から濃縮分離されるpCG11プラスミドDNAを
BglIIで、pUB110を保有するバチルス・サチルスの培養
菌体から常法により濃縮分離されるpUB110をBamHIで消
化し直鎖状化する。BglIIとBamHIの切断特異性に基づい
て両プラスミド分子の両端は同一の単鎖配列をもつの
で、両消化DNAを混合し、T4ファージDNAリガーゼを作用
させると同一接着末端どうしが結合した種々の混成体が
生成する。次いで、このDNA混合物を用いてコリネバク
テリウム・グルタミクムLA103のプロトプラストを形質
転換する。形質転換株はpUB110由来のカナマイシン耐性
形質転の獲得に基づいて、pCE54を得たときと同じよう
に選択できる。カナマイシン耐性形質転換株の中にはス
ペクチノマイシン耐性形質を同時に獲得しているものが
ある。
こうして得られるカナマイシン、スペクチノマイシン二
重耐性株の保有するプラスミドDNAの構造は、各種制限
酵素消化断片をアガロースゲル電気泳動で解析して知る
ことができる。形質転換株の一株から分離されたプラス
ミドがpCB101である。第2図にpCB101の作製工程と制限
酵素切断地図を示した。これより明らかなようにpCB101
はpCG11のBglII切断部位とpUB110のBamHI切断部位が連
結した複合プラスミドである。別の形質転換株からpCG1
1に対するpUB110の結合向きがpCB101とは逆向きの複合
プラスミドを取得できる。いずれの複合プラスミドも前
記と同様にコリネバクテリウム・グルタミクムLA103を
再形質転換すると、カナマイシンあるいはスペクチノマ
イシンで選択される形質転換株は非選択マーカーである
他方の薬剤耐性形質をも獲得しており、さらに各種制限
酵素切断部位で特徴づけられる供与プラスミドDNAと同
一のプラスミドを保有することが確かめられる。
pCB101を保有するコリネバクテリウム・グルタミクムLA
103とプラスミド非保有同一菌のカナマイシンに対する
最小生育阻止濃度を前記と同様に測定した結果を第1表
に併記した。これより明らかなように、pCB101保有株は
pCG11由来スペクチノマイシン耐性遺伝子だけでなく、p
UB110由来のカナマイシン耐性遺伝子の発現により、両
薬剤に対する耐性形質が付与されている。従って、pCB1
01はコリネバクテリウム属およびブレビバクテリウム属
菌種における二種類の選択マーカーを所持するベクター
となるばかりでなく、pUB110のカナマイシン耐性遺伝子
内にBglII切断部位があることが判明しているので〔Gry
czan,T.et al.:J.Bacteriol,141,246(1980)参照〕、
カナマイシン耐性遺伝子の挿入不活性化により、これら
菌種を宿主としたDNA断片のクローン化を効率的に行う
ことを容易ならしめることができる。
pEthr1 以上のように、コリネバクテリウム属またはブレビバク
テリウム属菌種のプラスミドに大腸菌内で発現できるプ
ラスミド由来の薬剤耐性遺伝子をベクターマーカーとし
て付与することによって有用化せしめることができる
が、薬剤耐性遺伝子に限らず、大腸菌内で発現できる微
生物の染色体由来の遺伝子、例えば代謝機能に係わる遺
伝子を挿入付与しても有用ベクタープラスミドを作製で
きる。ベクターマーカーの利点は組み換え体保有株の選
別を容易ならしめることにあるので、特定の形質を欠損
した変異株を宿主菌にすれば、それに対応する野生型遺
伝子を有するプラスミドもマーカーを保有する有用なベ
クターとなり得る。
微生物染色体由来の遺伝子を組み込んだコリネバクテリ
ウム属およびブレビバクテリウム属菌種のマーカー保有
プラスミドは、前記と同様に公知の試験管内組み換え技
術を駆使して取得できる。このような組み換え体は微生
物から抽出した染色体DNAあるいはすでに大腸菌ベクタ
ーにクローン化されたDNA断片とコリネバクテリウム属
またはブレビバクテリウム属菌種のプラスミドを試験管
内で組み換えた後、特定の形質を欠損したコリネバクテ
リウム属またはブレビバクテリウム属菌種の変異株を形
質転換し、欠損形質が相補された形質転換菌を選択する
ことによって得られる。特定の形質を欠損した変異株は
通常用いられる変異操作を施して造成することができ
る。
その一例として、大腸菌のスレオニンオペロンを含むDN
A断片をコリネバクテリウム属菌種のプラスミドに連結
した誘導体プラスミドがコリネバクテリウム・グルタミ
クムのホモセリン(あるいはメチオニンとスレオニン)
要求性変異株を宿主菌として有用ベクターとなることを
例示する。この組み合わせで大腸菌のスレオニンオペロ
ンが選択マーカーとなり得るのは、宿主菌のホモセリン
デヒドロゲナーゼの欠損によるホモセリン要求性を大腸
菌スレオニンオペロンにコードされた大腸菌のホモセリ
ンデヒドロゲナーゼ遺伝子が相補することに基づいてい
る。大腸菌のスレオニンオペロンを含有するプラスミド
pEthr1について以下に説明する。
大腸菌のスレオニンオペロンを含むDNA断片は大腸菌の
宿主ベクター系を用いて予めクローン化することができ
る。野生型スレオニンオペロンを有する大腸菌から抽出
した染色体DNAと大腸菌ベクタープラスミドpGA22を制限
酵素HingIIで消化した後、T4ファージリガーゼを作用さ
せる。この混成液を用いて公知の方法により大腸菌K−
12株亜株GT−3(ホモセリン・ジアミノピメリン酸要求
性)を形質転換し、カナマイシンとジアミノピメリン酸
を含む最小培地上で生育する形質転換株を選択する。出
現した形質転換株の保有するプラスミドはその培養菌体
から常法により分離でき、ついで各種制限酵素で処理し
て生成するDNA断片をアガロースゲル電気泳動で解析す
ることにより、その構造を知ることができる。こうして
得られたプラスミドの一つが第3図に示す構造のpGH2で
ある。すでに大腸菌スレオニンオペロンを含むDNA断片
はクローン化されており、制限酵素切断部位も位置づけ
られている〔Cossart,P.et al:Molec.Gen.Genet.,175,
39(1979)参照〕。pGH2はそれに合致するDNA断片を有
しており、スレオニンオペロンを含むことが確かであ
る。
pEthr1はpGH2とpCG11の組み換え体として取得できる。
常法により、pGH2をBamHIで、pCG11をBglIIで消化した
後、混合してT4リガーゼを作用させる。次にこのDNA混
成液を用いて前記と同様な方法によりコリネバクテリウ
ム・グルタミクムLA201(L−22由来ホモセリン・ロイ
シン要求性)プロトプラストを形質転換する。受容菌プ
ロトプラストを非選択的に再生培地上で正常細胞に復帰
増殖させた後、かき集め、ロイシンを補充した最小培地
に塗布し生育するコロニーを分離する。こうして得られ
たホモセリン非要求株の中にはpGH2由来のカナマイシン
耐性形質およびpCG11由来のスペクチノマイシン耐性形
質を同時に獲得しているものがある。これらの形質転換
株の一株から得られたプラスミドがpEthr1である。各種
制限酵素消化とアガロースゲル電気泳動による解析に基
づいて作成されたpEthr1の制限酵素切断地図とその作製
工程を第3図に示す。pEthr1はpGH2のスレオニンオペロ
ンを含むBamHI切断片がpCG11に組み込まれたプラスミド
であることが明らかである。別の形質転換株からはpCG1
1に対するスレオニンオペロン含有BamHI切断片がpEthr1
とは逆向きのプラスミドが取得される。いずれの組み換
え体プラスミドを用いて再形質転換してもコリネバクテ
リウム・グルタミクムLA201はカナマイシンおよびスペ
クチノマイシン耐性形質と関連して、ホモセリン要求性
が相補され、それらの形質転換株は各種制限酵素切断部
位で特徴づけられる供与プラスミドを保有することが確
められる。従って、pEthr1はコリネバクテリウム・グル
タミクムLA201を宿主とした場合、大腸菌のスレオニン
オペロン上にあるホモセリンデヒドロゲナーゼ遺伝子を
選択マーカーとすることができ、DNA断片のクローン化
を容易ならしめるプラスミドとなり得る。
以上のようにして作製される選択マーカーを保有したコ
リネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属菌種の
プラスミドをベクターとして用いることにより、コリネ
バクテリウム属またはブレビバクテリウム属菌種を宿主
として所望の遺伝子を含むDNA断片をクローン化するこ
とができる。クローン化は前記と同様な公知の組み換え
DNA技法により供給DNAとベクタープラスミドを試験管内
で組み換えた後、コリネバクテリウム属またはブレビバ
クテリウム属菌種を形質転換することにより行うことが
できる。就中、ベクターマーカーとして付与された導入
遺伝子内に存在する制限酵素切断部位で組み換えた場合
には、挿入不活化に基づく形質転換株の表現形質を判定
することにより組み換え体保有株の選択を容易にする。
本明細書に記載されたプラスミドpCE54、pCG11、pCB101
およびpEthr1は、コリネバクテリウム・グルタミクムLA
103あるいはLA201株を宿主として、米国アメリカン・タ
イプ・カルチヤー・コレクションに寄託されている。
ATCC番号は第2表に示したとおりである。
例示した3つのプラスミドにおいて、大腸菌遺伝子ある
いは、大腸菌内で発現できる遺伝子は単にコリネバクテ
リウム・グルタミクムのプラスミッドに連結した形で導
入されており、コリネバクテリウム・グルタミクムで発
現させるための特殊な操作は、施していない。また、遺
伝子を含むDNA断片を、コリネバクテリウム・グルタミ
クムのプラスミドに対して、いずれの向きに連結して
も、コリネバクテリウム・グルタミクム内で発現するこ
とから、コリネバクテリウム・グルタミクムは、導入さ
れた遺伝子の転写・翻訳の開始点を正確に認識し、転写
・翻訳を遂行できる機能をもつことが明白である。周知
のように、全ての大腸菌遺伝子は、正確に転写・翻訳が
開始されるために必要な、塩基配列のレベルで類似性の
ある部位を有していることを考慮すると、コリネバクテ
リウム・グルタミクムは、例示した遺伝子以外の大腸菌
遺伝子の転写・翻訳開始点をも認識して発現しうること
が容易に推察される。従って、本発明のプラスミドマー
カーとして導入できる遺伝子は、大腸菌内で発現できる
遺伝子全般を適用することができる。
本発明の有用性は、コリネバクテリウム属またはブレビ
バクテリウム属菌種のマーカー保有ベクタープラスミド
を取得できる点にあるので、マーカーとして導入する遺
伝子が、発現できる形で、コリネバクテリウム属また
は、ブレビバクテリウム属菌種のプラスミドに連結され
れば目的が達成される。それゆえ、本明細書で使用した
遺伝子の場合も、コリネバクテリウム・グルタミクムの
プラスミドへの導入は、例示した連結法に限定されるも
のではない。なお、コリネバクテリウム属またはブレビ
バクテリウム属菌種で、自律複製能を有するどのような
プラスミドを用いても、大腸菌内で発現できる遺伝子を
付与し、マーカー保有プラスミドに仕立てることができ
るので、コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウ
ム属菌種のプラスミドは、本明細書に例示したものに限
定されないのは言うまでもない。
グルタミン酸高生産能を有するいわゆるグルタミン酸生
産菌は、主な菌学的性質を同じくしているにもかかわら
ず、産業上の重要性から、各研究者により、種々の菌名
が付されており、属名までも、コリネバクテリウム属あ
るいはブレビバクテリウム属など、様々である。しかし
ながら、これらの菌群は、細胞壁のアミノ酸構成やDNA
の塩基組成が画一的であることから、同一の菌種である
ことが指摘されていた。さらに、最近、これらの菌種間
には、70〜80%以上のDNAの相同性があることが明らか
にされ、非常に近縁な微生物であることが明白である。
〔Komatsu Y.:Report of the Fermentative Research I
nstitute,No.55,1(1980)およびSuzuki,K.,Kaneko,T.,
and Komagata,K.:Int.J Syat.Bacteriol.,31,131(198
1)参照〕。本明細書では、組み換えDNA実験に使用でき
る宿主が規制されているため、本発明のプラスミドの有
用性は、コリネバクテリウム・グルタミクムL−22の誘
導体を宿主として示したが、上記の事実を踏えれば、グ
ルタミン酸生産菌全般に、そのまま適用できることが容
易に類推される。当該プラスミドがこれら菌種において
有用ベクターとなるには、DNAの相同性など宿主菌の性
質における若干の相違は問題でなく、これら菌種が当該
プラスミドの自律複製と、導入遺伝子の発現を可能なら
しめる機能を有していればよい。しかるに、これらの菌
種がこの両機能を共有していることは、本発明者らが、
先に特許出願(特願昭56−58186)した、コリネバクテ
リウム・グルタミクム225−250から分離され、ストレプ
トマイシンおよび/またはスペクチノマイシン耐性遺伝
子を有するプラスミドpCG4が、コリネバクテリウム属お
よび、ブレビバクテリウム属菌種など、グルタミン酸生
産菌内で同じく複製でき、また、その耐性遺伝子が発現
される(特願昭56−58187)ことから明らかである。従
って、本発明の有用プラスミドを適用し得る宿主菌とし
ては、コリネバクテリウム・グルタミクムに限らず、コ
リネバクテリウム属およびブレビバクテリウム属菌種を
含むグルタミン酸生産菌全てが包括される。
以下に本発明の実施例を示す。
実施例1.pCE54の作製 (1)pCG2とpGA22の分離 pCG1を保有するコリネバクテリウム・グルタミクム225
−218株(FERM−P5954,ATCC31832)をNB培地(粉末ブイ
ヨン20g、酵母エキス5gを水1に含みDH7.2に調整した
培地)で30℃にて18時間振盪培養した種培養5mlを400ml
半合成培地SSM〔グルコース20g,(NH42SO410g,尿素3
g,酵母エキス1g、KH2PO41g、MgCl2・6H20.4g,FeSO4・7H
2O10mg,MnSO4・4〜6H2O0.2mg,ZnSO4・7H2O0.9mg,CuSO4
・5H2O0.4mg,Na2B4O7・10H2O0.09mg(NH46MO7O24・4H
2O0.04mg,ビオチン30μg,サイアミン塩酸塩1mgを水1
に含みpH7.2に調製した培地〕に接種して30℃で振盪培
養する。東京光電比色計で660nmにおける吸光度(OD)
を測定し、OD0.2になった時点で培養液中0.5単位/mlの
濃度になるようにペニシリンGを添加する。さらに、30
℃で培養を継続し、OD約0.6になるまで生育させる。
培養液から菌体を集菌し、TES緩衝液〔0.03Mトリス(ヒ
ドロキシメチル)アミノメタン(以下トリスと略す)、
0.005M EDTA,0.05M NaCl:pH8.0〕で洗浄後、リゾチーム
液(25%ショ糖,0.1M NaCl,0.05Mトリス,0.8mg/mlリゾ
チーム:pH8.0)で1.0mlに懸濁し、37℃で4時間反応さ
せる。反応液に5M NaCl2.4ml、0.5M EDTA(pH8.5)0.6m
l、4%ラウリル硫酸ナトリウムと0.7M NaClからなる溶
液4.4mlを順次添加し、緩やかに混和してから氷水中に1
5時間置く。溶菌物全量を遠心管に移し、4℃で60分間6
9,400×gの遠心分離にかけ上澄液を回収する。これに
重量百分率10%相当のポリエチレングリコール(PEG)
6,000(半井化学薬品社製)を加え、静かに混和して溶
解後、氷水中に置く。10時間後、1,500×gで10分間遠
心分離してペレツトを回収する。TES緩衝液5mlを加えて
ペレツトを静かに再溶解してから、1.5mg/mlエチジウム
ブロマイド2.0mlを添加し、これに塩化セシウムを加え
て静かに溶解し、密度をを1.580に合わせる。この溶液
を105,000×g,18℃で48時間超遠心分離にかける。この
密度勾配遠心により共有結合で閉じられた環状のDNA
は、紫外線照射によることによって遠心チューブ中下方
の密度の高いバンドとして見出される。このバンドを注
射器で遠心チューブの側面から抜きとることによってプ
ラスミドpCG2が分離される。次いで、分画液を等容量の
イソプロピルアルコール液〔容量百分率90%イソプロピ
ルアルコール、10%TES緩衝液(この混液中に飽和溶解
量の塩化セシウムを含む)〕で5回処理してエチジウム
ブロマイドを抽出除去し、しかる後に、TES緩衝液に対
して透析する。こうしてpCG2プラスミドDNAを40μg得
る。
pGA22は、本プラスミドを作製したアンらが用いている
方法〔An,G.et al:J.Bactoriol.,140,400(1979)〕に
従い本プラスミドを保有する大腸菌K−12株亜株の培養
菌体から単離する。
(2)pCG2とpGA22の試験管内組換え 上記で調整したpCG2およびpGA22プラスミドDNAを各々2
μg含む制限酵素PatI反応緩衝液(20mMトリス塩酸,10m
M MgCl2,50mM(NH42SO4,0.01ウシ血清アルブミン,pH
7.5)200μlに4単位のPatI(宝酒造社製,6単位/μ
l)を添加し、30℃で60分間反応後、65℃で10分間加温
して反応を停止させる。この反応で両環状プラスミドが
線状化されることは、同一条件で反応した試料を、エチ
ジウムブロマイド0.6μg/mlを含有する水平型0.8%アガ
ロースゲル電気泳動で解析して確認する。
この反応混合物200μlにT4リガーゼ緩衝液(トリス660
mM,MgCl266mM,ジチオスレイトール100mM,pH7.6)40μl,
ATP(5mM)40μl,T4リガーゼ(宝酒造社製,1単位/μ
l)0.2μlおよびH2O120μgを加え12℃で16時間反応
させる。この混合物をTES緩衝液で飽和したフエノール4
00μlで2回抽出し、TES緩衝液に対して透析し、フエ
ノールを除外する。
(3)pCE54の取得 形質転換は受容容菌のプロトプラストを用いて行なう。
コリネバクテリウム・グルタミクムLA103株の種培養をN
B培地に植菌し、30℃で振盪培養する。OD0.6になった時
点で集菌し、該細胞をRCGP培地〔グルコース5g,カザミ
ノ酸5g,酵母エキス2.5g,K2HPO43.5g,KH2PO415g,MgCl2
6H2O0.41g,FeSO4・7H2O10mg,MnSO4・4〜6H2O2mg,ZnSO4
・7H2O0.9mg,(NH46MO7O24・4HO0.04mg,ビチオン30μ
g,サイアミン塩酸塩2mg,コハク酸二ナトリウム135mg,ポ
リビニルピロリドン(分子量10,000)30gを、水1に
含む培地〕に1mg/mlのリゾチームを含む液(pH7.6)に
約109細胞/mlとなるように懸濁し、L型試験管に移して
30℃で5時間緩やかに振盪反応してプロトプラスト化す
る。
このプロトプラスト菌液0.5mlを小試験管にとり、2,500
×gで5分間遠心分離し、TSMC緩衝液〔10mM塩化マグネ
シウム,30mM塩化カルシウム,50mMトリス,400mMショ糖,p
H7.5〕1mlに再懸濁して遠心洗浄後、TSMC緩衝液0.1mlに
再懸濁する。この菌液に2倍高濃度のTSMC緩衝液と上記
リガーゼ反応DNA混合物の1対1混合液100μlを加えて
混和し、次いでTSMC緩衝液中に20%PEG6,000を含む液0.
8mlを添加して混合する。3分後、RCGP培地(pH7.2)2m
lを添加し、2,500×gで5分間遠心分離にかけて上澄み
液を除去し、沈降したプロトプラストを1mlのRCGP培地
に懸濁してから、30℃で2時間緩やかに振盪して、遺伝
子を発現せしめる。しかる後に上記プロトプラスト懸濁
液の適当量を、カナマイシン400μg/mlを含むRCGP寒天
培地(RCGP培地に、1.4%寒天を含む培地、pH7.2)に塗
沫し、30℃で6日間培養する。
出現したカナマイシン耐性形質転換株から任意に5株を
選び、カナマイシン12.5μg/mlを含むNB寒天培地上で、
純化した後、400mlNB培地でOD約0.8になるまで生育さ
せ、集菌後、その培養細胞から前記工程(1)でpCG2を
単離したのと同一の方法でプラスミドを単離する。いず
れの形質転換株からも45〜55μgのプラスミドDNAが得
られる。これらのプラスミドDNA0.5μgを用い、各種制
限酵素による単独消化および二種類の制限酵素による二
重消化で生成するDNA断片をアガロースゲル電気泳動で
解析し、分子量およびプラスミド分子中の各制限酵素切
断部位を同定した。制限酵素はHpaI(ベーリンガーマン
ハイム社製),PetI,KpnI,BamHI,EcoRI,SalIおよびXhoI
(PatIからXhoIまでは宝酒造社製)を用いる。分子量は
同一アガロースゲル上で同時に泳動したラムダファージ
DNAの制限酵素HindII消化で生成する分子量既知の各断
片の泳動距離で描かれる標準曲線に基づいて算定する。
5個のプラスミドは全てpCG2とpGA22が和合連結した構
造を示す。そのうち2個は、第1図にpCE54で示した構
造をもっているが、他の3個は結合向きが逆向きである
構造をもっている。
いずれのプラスミドを有する形質転換株とも第1表に記
載したようにpGA22由来のテトラサイクリン,クロラム
フエニコールおよびカナマイシン耐性形質を同時に付与
されている。
これらのプラスミドDNAを用い上記と同様な方法で形質
転換されたコリネバクテリウム・グルタミクムLA103株
は、同じく3種の薬剤耐性形質を付与され、各種制限酵
素の切断様式で判定される供給プラスミドと同一のプラ
スミドを保有している。
実施例2.pCG11の作製 コリネバクテリウム・グルタミクム225−250からpCG4を
分離したのと同一の方法によりコリネバクテリウム・グ
ルタミクム225−57からpCG1を分離する。プラスミドpCG
1を制限酵素BglII(バチルス・グロビギィから分離精製
される制限酵素,宝酒造社製)プラスミドpCG4を制限酵
素BamHI(宝酒造社製)で各々の制限酵素の適正条件に
て完全消化する。両消化DNAを各0.5μgを含むリガーゼ
反応液(最終濃度:66mMトリス−塩酸,6.6mM MgCl2,10mM
ジチオスレイトール,0.5mM ATP,pH7.6)0.2mlに0.1単位
のT4ファージDNAリガーゼ(宝酒造社製)を混和し、4
℃で一晩反応する。この連結反応液を用いて、コリネバ
クテリウム・グルタミクムLA103株のプロトプラストを
形質転換する。
コリネバクテリウム・グルタミクムLA103株のプロトプ
ラストは実施例1と同じようにして調製する。形質転換
操作および形質転換株の選択も実施例1と同様に行う。
形質転換には上記連結反応液0.1mlを使用する。得られ
たスペクチノマイシン耐性株の一株から実施例1と同様
な方法により、プラスミドを単離離し、50μgのプラス
ミドDNAを得る。このプラスミドDNAを用い、各種制限酵
素による単独消化および複数の制限酵素による多重消化
で生成するDNA断片を実施例1と同様なアガロースゲル
電気泳動で解析し、分子量および、プラスミド分子中の
各制限酵素に対する切断部位を決定する。pCG11と命名
したこのプラスミドの制限酵素切断地図を第4図に示
す。
pCG11プラスミドDNAを用いて、前記と同様にコリネバク
テリウム・グルタミクムLA103株を形質転換して得られ
たスペクチノマイシン耐性形質転換菌はpCG11と同一の
各種制限酵素の切断様式で特徴づけられるプラスミドを
保有している。
実施例3pCB101の作製 (1)pCG11とpUB110の分離 pCG11は、本プラスミドを保有するコリネバクテリウム
・グルタミクムLA103/pCG11(ATCC39022)を400mlNB培
地でOD約0.8になるまで生育させ、その培養細胞から、
実施例1(1)でpCG2を単離したのと同一の方法で単離
する。
pUB110は、グリクザンらの方法〔Gryckan,T.J.et al:
J.Bacteriol.,134,318(1978)参照〕により本プラスミ
ドを保有するバチルス・サチルスBR151/pUB110〔Proc.N
atl.Acad、Sci.USA,75,1423(1978)〕の培養菌体から
単離する。
(2)pCG11とpUB110の試験管内組み換え 上記で調製したpCG11プラスミドDNA2μgを含む制限酵
素BglII反応緩衝液(10mMトリス塩酸,7mM MgCl2,60mM N
aCl,7mM2−メルカプトエタノール,pH7.5)100μlに2
単位のBglII(宝酒造社製,6単位/μl)を添加し、37
℃で60分間反応させる。また、pUB110プラスミドDNA2μ
gを含む制限酵素BamHI反応緩衝液(10mMトリス塩酸,7m
M MgCl2,100mM NaCl,2mMメルカプトエタノール,0.01%
ウシ血清アルブミン,pH8.0)100μlに2単位のBamHI
(宝酒造社製,6単位/μl)を添加し、37℃で60分間反
応させる。
両制限酵素消化物を混合し、T4リガーゼ緩衝液40μl,AT
P(5mM)40μl,T4リガーゼ0.2μl、および、H2O120μ
lを加え、12℃で16時間反応させる。この混合物を、TE
S緩衝液で飽和したフェノール400μlで2回抽出し、TE
S緩衝液に対して透析したフェノールを除外する。
(3)pCB101の取得 2倍高濃度のTSMC緩衝液と上記リガーゼ反応混合物の1
対1混合液100μlを供与DNAとして用い、実施例1
(3)と同様な方法で、コリネバクテリウム・グルタミ
クムLA103を形質転換し、カナマイシン耐性株を選択す
る。出現したコロニーをカナマイシン12.5μg/mlおよび
スペクチノマイシン100μg/mlを含むNB寒天培地上にレ
プリカし、30℃で2日培養して生育した二重耐性形質転
換株3株を任意に選び、同一寒天培地上で純化する。こ
の3株を400μlNB培地で、OD約0.8になるまで生育さ
せ、集菌後、その培養細胞から実施例1(1)記載のエ
チジウムブロマイド−セシウムクロライド密度勾配遠心
によりプラスミドを単離する。いずれの形質転換株から
も30〜35μgのプラスミドDNAが得られる。
これらのプラスミドDNAを実施例1(3)と同じように
制限酵素消化とアガロースゲル電気泳動で解析し、分子
量と制限酵素PstI,EcoRI,HincIIおよびBglIIの切断点を
同定する。3株のプラスミドは全てpCG11とpUB110が和
合連結した構造を有し、そのうち二種は第2図にpCB101
で示した構造であるが、他の一種は結合向きが逆向きで
ある。
いずれのプラスミドを有する形質転換株もpCG11由来の
スペクチノマイシン耐性形質とpUB110由来のカナマイシ
ン耐性形質を有している。
これらのプラスミドDNAを用い、コリネバクテリウム・
グルタミクムLA103株を再形質転換した結果、得られた
カナマイシン耐性形質転換株は、スペクチノマイシン耐
性形質を同時に獲得しており、各種制限酵素切断様式で
特徴付けられる供与プラスミドと同一のプラスミドを保
有している。
実施例4.pEthr1の作製 (1)大腸菌スレオニンオペロン含有DNA断片のクロー
ン化。
クローン化は大腸菌の宿主ベクター系にて実施するベク
ターとして用いたpGA22は実施例1(1)と同様に単離
する。供与DNAとなる高分子染色体DNAは大腸菌K12株Hfr
株(ATCC23740)の培養菌体から、スミスのフェノール
抽出法〔Smith,M.G.:Method in Enzymology,12,part A,
545(1967)〕に従って単離する。
pGA22プラスミドDNA4μgを含む制限酵素HindII反応液
(10mMトリス塩酸,7mM MgCl2,60mM NaCl,pH7.5)60μl
に0.4単位のHindII(宝酒造社製,6単位/μl)を添加
し、37℃で30分間反応後、65℃で10分間加温して反応を
停止する。pGA22には2ケ所のHindII切断部位が存在す
るが、同一条件でHindII消化した試料をアガロースゲル
電気泳動で調べた結果、一断片に切断されていることが
確認される。別に、染色体DNA8μgを含む制限酵素Hind
II反応液140μlに4単位のHindIIを添加し、37℃で60
分間反応後、65℃で10分間加温して反応を停止させる。
両消化物を混合し、T4リガーゼ緩衝液40μl,ATP(5mM)
40μl,T4リガーゼ0.3μlおよびH2O120μlを加え、12
℃で16時間反応させる。この混合物をTES緩衝液で飽和
したフェノール400μlで2回抽出し、TES緩衝液に対し
て透析してフェノールを除外する。
このリガーゼ反応混合物を大腸菌K−12株亜株GT−3
〔J.Bacteriol.117,133〜143(1974)〕(ホモセリンお
よびジアミノピメリン酸要求性)の形質転換に供する。
GT−3株のコンピテント・セルは、ダジエルトらの方法
〔Dagert.M.et al:Gane6,23(1979)〕で調製する。即
ち100μg/mlとなるようにジアミノピメリン酸を補った
L培地(バクトトリプトン10g,酵母エキス5g,ブドウ糖1
gおよび塩化ナトリウム5gを水1に含みpH7.2に調整し
た培地)50mlに植菌し、OD0.5になるまで37℃で培養す
る。培養液を氷水で10分間冷却してから遠心集菌する。
冷却した0.1M塩化カルシウム20mlに再懸濁し、0℃に20
分間置く。細胞を再遠心し、0.1M塩化カルシウム0.5ml
に懸濁し、0℃で18時間置く。
塩化カルシウム処理した菌液400μlに前記リガーゼ反
応混合物200μlを添加混合し、0℃に10分間置いてか
ら37℃で5分間加温する。次いでL培地9mlを添加し、3
7℃で2時間振盪培養する。生理食塩水で2回遠心洗滌
後、12.5μg/ml相当のカナマイシンを添加したM9最小寒
天培地(ブドウ糖2g,NH4Cl1g,Na2HPO46g,KH2PO43g,MgSO
4・7H2O0.1g,CaCl2・2H2O15mg,サイアミン塩酸塩4mgお
よび寒天15gを水1に含み,pH7.2に調整した培地)に
塗布し、37℃で3日培養する。出現した、ただ1つのコ
ロニーはアンピシリン25μg/ml,クロラムフェニコール2
5μg/mlあるいはカナマイシン25μg/mlを含むL寒天培
地上でも生育することが確認される。
この形質転換株の培養菌体から実施例1(1)でpGA22
を単離したのと同一の方法によりプラスミドDNAを単離
する。このプラスミドDNAを用い制限酵素消化とアガロ
ースゲル電気泳動で解析した結果、第3図にpGE2として
示した構造を有している。pGA22に挿入されたDNA断片
は、既にクローン化された大腸菌オペロン含有DNA断片
〔Cossart,p.et al:Molec.Gen,Genet.,175,39(1979)
参照〕と同一の制限酵素切断部位を有してしていること
からpGH2がスレオニンオペロンを含有することが確認さ
れる。
(2)pCG11とpGH2の試験管内組み換え 実施例2(2)と同様にpCG11とpGH2を各々BglIIおよび
BamHIで完全消化する。各プラスミドDNA2μgを含む消
化物を混合し、総容量200μlに対してT4リガーゼ緩衝
液40μl,ATP(5mM)40μl,T4リガーゼ0.2μlおよびH2O
120μlを加え、12℃で16時間反応させる。この混合物
をTES緩衝液で飽和したフェノール400μlで2回抽出
し、TES緩衝液に対して透析してフェノールを除外す
る。
(3)pEthr1の取得 2倍高濃度のTSMC緩衝液と前記リガーゼ反応混合物の1
対1混合液100μlを供与DNAとして用い、実施例1
(3)と同様な方法で、コリネバクテリウム・グルタミ
クムLA201株(LA103の誘導株,ホモセリン,ロイシン要
求株)のプロトプラストを形質転換した後、RCGP寒天培
地に塗沫し、30℃で6日間培養して再生増殖させる。寒
天培地上全面に生育した菌をかき集め、生理食塩水で遠
心洗滌後、ロイシン50μg/mlを補充した最小寒天培地M1
〔ブドウ糖10g,NH4H2PO41g,KCl0.2g,MgSO4・7H2O0.2g,F
eSO4・7H2O10mg,MnSO4・4〜6H2O0.2mg,ZnSO4・7H2O0.9
mg,CuSO4・5H2O0.4mg,Na2B4O7・10H2O0.09mg,(NH46M
O7O24・4H2O0.04mg,ビチオン50μg,p−アミノ安息香酸
2.5mg,サイアミン塩酸塩1mg,寒天16gを水1中に含みp
H7.2に調整した培地〕上に再塗布して30℃で3日培養す
る。出現したコロニーの中からカナマイシン12.5μg/ml
およびスペクチノマイシン100μg/mlを含むNB寒天培地
上で生育できる株が得られる。
任意に選んだ3株を400mlNB培地でOD約0.8になるまで生
育させ、集菌後、その培養細胞から実施例1(1)記載
のエチジウムブロマイド−セシウムクロライド密度勾配
遠心により、プラスミドを単離する。いずれの株からも
40〜55μgのプラスミドDNAが取得される。
これらのプラスミドDNAを実施例1(3)と同じように
制限酵素消化とアガロースゲル電気泳動で解析し、分子
量と制限酵素PatI,EcoRI,およびXhoIの切断点を同定す
る。一株から取られたプラスミドをpEthr1と命名し、そ
の構造を第3図に示す。pEthr1はpCG11にpGH2のスレオ
ニンオペロンを含むBamHI切断片を結合した構造を有す
ることが判明した。残りの2株中、1株はpEthr1と同一
プラスミドを保有しているが、他の一株はpEthr1とはpG
H2のスレオニンオペロン含有BamHI切断片の結合向きが
逆向きに挿入されているプラスミドを保有している。
これらのプラスミドDNAを用いてコリネバクテリウム・
グルタミクムLA103株を前記と同様に再形質転換した結
果、ホモセリン非要求性株が高頻度(再生した生菌あた
り約10-3)で得られ、それらは全てカナマイシンとスペ
クチノマイシン耐性形質を獲得しており、各種制限酵素
切断様式で特徴付けられる供与プラスミドと同一のプラ
スミドを保有している。
実施例5.選択マーカー遺伝子内への挿入不活化を利用し
たDNA断片のクローン化 pCE54をベクターに用い、その有する耐性遺伝子の挿入
不活化に基づいて組換え体プラスミドを簡便に検出でき
るか否かを試験する。供与DNAとして、本発明者らが先
に特許出願(特願昭56−5816)したコリネバクテリウム
・グルタミクム225−250(FERM−P5939,ATCC31830)か
ら、実施例1(1)でpCG2を単離したのと同一の方法で
単離したプラスミドpCG4を使用する。このpCG4は分子量
29キロベースで、EcoRIにより4断片に切断される。
実施例1で得たpCE54および上記のpCG4を各々0.5μgを
含む制限酵素EcoRI反応緩衝液(100mMトリス塩酸、7mM
MgCl2、50mM NaCl、7mM2−メルカプトエタノール、pH7.
5)50μlに2単位のEcoRI(宝酒造社製、4単位/ml)
を添加し、37℃で60分間反応後、65℃で10分間加温して
反応を停止させる。この反応混合物にT4リガーゼ緩衝液
10ml、ATP(5mM)10μl、T4リガーゼ0.2μlおよび水3
0μlを加え、12℃で16時間反応させる。この混合物をT
ES緩衝液で飽和したフェノール100μlで2回抽出し、T
ES緩衝液に対して透析してフェノールを除外する。
2倍高濃度のTSMC緩衝液と上記リガーゼ反応混合物の1
対1混合液100μlを用い、実施例1(3)と同様な方
法でコリネバクテリウム・グルタミクムLA103を形質転
換し、カナマイシン耐性株を選択する。出現したコロニ
ーを無作為に50個とり、クロラムフェニコール、テトラ
サイクリンおよびカナマイシンを各々6.25、1.6および1
2.5μg/ml含むNB寒天培地にレプリカし、30℃で3日培
養して感受性を調べる。50株中11株はテトラサイクリン
とカナマイシン耐性であるが、クロラムフェニコールに
感受性である。このうち10株の保有するプラスミドを実
施例1(1)記載のエチジウム・ブロマイド・セシウム
クロライド密度勾配遠心により単離する。
これらのプラスミドDNAをEcoRIで消化し、アガロースゲ
ル電気泳動に供する。総てのプラスミドは、pCE54より
も分子量が大きく、その増大分はpCG4のBcoRI消化で生
成する4断片のいずれか一つに相当しており、pCE54の
クロラムフェニコール耐性遺伝子内に存在するEcoRI切
断部位に、これらのDNA断片が挿入された組換え体プラ
スミドであることが確認される。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図はpCE54,pCB101およびpEthr1の制限酵素
切断地図とそれらの作製工程を示す。破線で示したBglI
I/BamHIは両制限酵素切断で生じる同一接着末端での連
結部位である。制限酵素切断地図作製に用いた制限酵素
は、pCE54においてはPatI,KpnI,BamHI,HpaI,EcoRI,SalI
およびXhoI,pCB101においてはPatI,EcoRI,HincIIおよび
BglII,pEthr1においてはPatI,EcoRIおよびXhoIである。
各プラスミドの分子量はキロペース(Kb)で表示されて
いる。 第4図はpCG11の制限酵素地図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:185) (C12N 15/65 C12R 1:07) (C12N 15/65 C12R 1:44) (C12N 1/21 C12R 1:15) (C12N 1/21 C12R 1:13) (56)参考文献 特開 昭54−41392(JP,A) 特開 昭56−160997(JP,A) 特開 昭56−148295(JP,A) 特開 昭56−148296(JP,A) 高木康敬等著「遺伝子操作実験法」株式 会社講談社(1981,7,1,第3刷発行) P.116ー120 Antimicrobial Agen ts and Chemotherapy 18,「5」(1980)P.814ー821

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エッシェリヒア属、バチルス属またはスタ
    フィロコッカス属に属する微生物に由来し、テトラサイ
    クリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ストレ
    プトマイシンおよびスペクチノマイシンから選ばれる1
    種または2種以上の抗生物質に対する耐性遺伝子を含む
    DNA断片をコリネタイプのプラスミドに組み込んだ組換
    え体プラスミドで、かつコリネバクテリウム属またはブ
    レビバクテリウム属に属する微生物において自律複製
    し、該耐性遺伝子の発現に基づいてその存在を識別しう
    るベクタープラスミド。
  2. 【請求項2】該ベクタープラスミドが、分子量が14.5キ
    ロベースで、かつ下記の制限酵素切断地図で特徴づけら
    れるpCE54と名づけられた組換え体プラスミドである特
    許請求の範囲第1項記載のベクタープラスミド。
  3. 【請求項3】該ベクタープラスミドが、分子量が11.3キ
    ロベースで、かつ下記の制限酵素切断地図で特徴づけら
    れるpCB101と名づけられた組換え体プラスミドである特
    許請求の範囲第1項記載のベクタープラスミド。
  4. 【請求項4】該ベクタープラスミドが、分子量が15.6キ
    ロベースで、かつ下記の制限酵素切断地図で特徴づけら
    れるpEthrlと名づけられた組換え体プラスミドである特
    許請求の範囲第1項記載のベクタープラスミド。
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