JP7025620B2 - 全固体リチウム電池用電極積層体の製造方法、全固体リチウム電池用電極複合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
前記積層体を600℃~1300℃で焼結することにより、前記ガーネット型酸化物を含む固体電解質層と、電極活物質を含む電極層の積層体を形成する工程と、
を含む、全固体リチウム電池用電極積層体の製造方法を提供する。
本発明で用いる固体電解質粒子1は、LiとLaと、Zr、Nb及びTaからなる群より選ばれた1種以上の元素を含むリチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物を含むコア部3と、前記コア部の表面を被覆する、リチウムリン酸塩を含む被覆層5と、を有することを特徴とする。
これらのガーネット型酸化物の例としては、Li7La3Zr2O12、Li5La3Nb2O12、Li6La2BaTa2O12を挙げることができる。
これらのガーネット型酸化物は、リチウムイオン伝導性を持つため、リチウムイオン二次電池の固体電解質として使用できる。また、ガーネット型酸化物は、結晶格子にゆがみが生じていてもよい。また、ガーネット型酸化物にAlを含むと、リチウムイオン伝導性がより高い結晶相である立方晶系の結晶構造が安定化するため好ましい。また、焼結体の製造方法で使用されるガーネット型酸化物は、焼結前にガーネット型酸化物が生成されていることが好ましい。
本発明の固体電解質粒子は、前記リチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物又はその前駆体の粒子と、リチウムリン酸塩又はその前駆体との混合物を作成する工程と、前記混合物を焼成する工程と、により得ることができる。
なお、ガーネット型酸化物の前駆体とは、焼成、焼結などの加熱によりガーネット型酸化物になる材料のことである。リチウムリン酸塩の前駆体とは、焼成、焼結などの加熱によりリチウムリン酸塩になる材料のことである。
前記焼成工程の焼成温度が、600℃~1300℃であることが好ましく、600℃~1200℃であることがより好ましく、700~1150℃であることがさらに好ましい。また、焼成中の雰囲気は、空気雰囲気、窒素などの不活性雰囲気、酸素などの高酸化性雰囲気、水素などの還元性雰囲気のいずれも使用することができる。また、焼成温度の保持時間は、焼成温度などに応じて適宜変更することができるが、現実的には24時間以下が好ましい。なお、焼成温度の保持時間は、1時間以下の短時間であってもよく、さらには保持時間を0分とし、焼成温度到達後すぐに加熱を停止してもよい。冷却方法も特に限定されないが、自然放冷(炉内放冷)してもよいし、自然放冷よりも急速に冷却してもよく、冷却中にある温度で保持してもよい。なお、焼成工程において、攪拌しながら加熱して焼成することのできる回転式の釜を用いてもよい。
前記リチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物又はその前駆体を製造する方法は、特に限定されないが、以下に記載の固相法、ゾルゲル法、同時沈殿法(共沈法)などを用いることできる。本発明では特に、安価な原料を用いて微細な粉体が得られるため、同時沈殿法を用いることが好ましい。
同時沈殿法は、沈殿に微細な粉体が生成するため、同時沈殿法を経て得られたガーネット型酸化物粉末を焼結すると、固相法に比べて緻密な焼結体が得られる。本発明で好適に使用することができる同時沈殿法について、以下詳しく説明する。
本発明に係る、ガーネット型酸化物の製造方法は、ランタンと、ジルコニウム、ニオブ又はタンタルとを含む水溶液を調製する水溶液調製工程と、水溶液調製工程で得た上記水溶液と塩基性水溶液とを混合することにより、ランタンの酸化物及び/又は水酸化物と、ジルコニウム、ニオブ又はタンタルの酸化物及び/又は水酸化物とを沈殿させて沈殿物を得る同時沈殿処理工程と、同時沈殿処理工程で得た沈殿物と、リチウム化合物とを混合して前駆体を得る工程とを含むものであり、前駆体を焼成する仮焼工程を含んでも良い。
水溶液調製工程では、ランタンと、ジルコニウム、ニオブ又はタンタルとを含む水溶液を調製する。水溶液中には、例えば、La3+とZr4+が含まれる。また、ランタンやジルコニウム等は、水、アンモニア、酸化物イオン、水酸化物イオンや後述の対アニオン等を配位子として、錯体を形成していてもよい。
同時沈殿処理工程では、水溶液調製工程で得た水溶液と塩基性水溶液とを混合することにより、ランタン酸化物及び/又は水酸化物と、ジルコニウム、ニオブ又はタンタルの酸化物及び/又は水酸化物とを沈殿させて沈殿物を得る。水溶液調製工程で得た水溶液と塩基性水溶液とを混合する方法としては、特に限定されず、例えば、水溶液調製工程で得た水溶液を塩基性水溶液に滴下又は噴霧する方法が挙げられる。
本発明の、前記リチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物を含む全固体リチウム電池用固体電解質焼結体は、本発明の固体電解質粒子を所定形状の成型体に形成する成型工程と、前記成型体を焼結する焼結工程と、を経て得られる。
固体電解質粒子の成型工程では、固体電解質粒子の粉末に圧力をかけて所定の形状に成型することが好ましい。固体電解質粒子の粉末は、金型に入れて、ペレット状などの所定形状に成型されるか、シート状に成型される。成型圧力は、金型では例えば、100~1000MPaの範囲とすることができる。
焼結工程における、成型後の加熱方法は特に限定されず、例えば、抵抗加熱、マイクロ波加熱などを適用することができる。また、成型工程と焼結工程を同時に行う、通電焼結法や放電プラズマ焼結法等の公知の焼結方法を適用することもできる。焼結工程では、焼結温度が高い方が緻密な焼結体が得られる。焼結温度は1300℃以下、好ましくは1150℃以下である。なお、焼結温度は、600℃以上であることが好ましく、700℃以上であることがより好ましい。また、焼結中の雰囲気は、空気雰囲気、窒素などの不活性雰囲気、酸素などの高酸化性雰囲気、水素などの還元性雰囲気のいずれも使用することができる。
本発明の全固体リチウム電池用電極積層体は、本発明の固体電解質粒子を含む層と、リチウムを吸蔵放出する電極活物質又はその前駆体を含む層との積層体を形成する積層工程と、前記積層体を焼結することにより、前記リチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物を含む固体電解質層と電極層の積層体を形成する焼結工程と、を経て得られる。すなわち、固体電解質層と電極層の積層体が、一体焼結により得られる。
積層工程では、固体電解質粒子1を含むスラリー又はペーストを、基材上に塗布・乾燥して層33を形成し、さらに、電極活物質又はその前駆体37を含むスラリー又はペーストを塗布・乾燥して層35を形成し、基材を剥離した後に、加熱によりバインダーを除去して、積層体を成型する方法(逐次塗工法)が挙げられる。なお、電極活物質又はその前駆体37を含む層35を先に形成した後に、固体電解質粒子1を含む層33を形成してもよい。あるいは、固体電解質粒子1を含む層33と、電極活物質又はその前駆体37を含む層35とを、それぞれ別個に作製し、少なくともどちらか一方を剥離してもう一方と貼り合せ、圧力及び/又は熱を加えて両者を密着させる方法(圧着法)もある。スラリー又はペーストには、アクリル樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)、PVB(ポリビニルブチラール)等のバインダーを含むことができる。
焼結工程においては、前述の焼結体の焼結工程と同様に行うことができるが、電極活物質が分解してしまうことを防ぐために、1300℃以下で焼結することがより好ましい。
本発明の全固体リチウム電池用電極複合体は、本発明の固体電解質粒子と、リチウムを吸蔵放出する電極活物質又はその前駆体を混合する混合工程と、得られた混合体を焼結することにより、前記リチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物を含む固体電解質と電極活物質の複合体を形成する焼結工程と、を経て得られる。
焼結工程においては、前述の焼結体の焼結工程と同様に行うことができるが、電極活物質が分解してしまうことを防ぐために、1300℃以下で焼結することがより好ましい。
本発明の全固体リチウム電池の第一の形態は、図6(a)に示すように、リチウムを吸蔵・放出する正極活物質65を有する正極層63と、リチウムを吸蔵・放出する負極活物質69を有する負極層67と、正極層63と負極層67との間に介在しリチウムイオンを伝導するセパレータ層66と、を備えており、このセパレータ層66に本発明の固体電解質焼結体21を用いるものである。また、本発明の電極積層体41を用いる場合、電極積層体41が負極層と固体電解質層の積層体の場合、対極となる正極層を積層し、積層体電極が正極層と固体電解質層の積層体の場合、対極となる負極層を積層し、全固体リチウム電池を形成することができる。更には、逐次塗工法や圧着法などを応用し、正極活物質又はその前駆体を含む層と負極活物質又はその前駆体を含む層の間に固体電解質粒子1を含む層を挟んだ積層体を形成し、この積層体を焼結することで、正極活物質を含む正極層63と、ガーネット型酸化物を含むセパレータ層66と、負極活物質を含む負極層67の積層体である全固体リチウム電池61を得ることもできる。
リチウムイオン電池の電極は正極と負極との空隙に浸透している電解液がリチウムイオンの伝導経路として機能しているが、全固体電池は電解液を用いないため、電極は活物質と固体電解質を混合させた複合体にすることが好ましい。
この固体電解質として前記リチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物を用いた場合、電極活物質と反応し、不純物が生成する。この不純物が抵抗層となり、電極の性能を劣化させる。本発明のリチウムリン酸塩を含む被覆層を有する固体電解質粒子を用いることで、電極活物質との反応を抑制し、全固体リチウム電池用電極複合体を作製することができる。
[固体電解質粒子の作成]
(同時沈殿工程)
硝酸ランタン六水和物を水に溶解して得た溶液と、オキシ硝酸ジルコニウム二水和物を2mol/L硝酸に溶解し得た溶液、硝酸アルミニウム九水和物を水に溶解し得た溶液を混合し、La濃度0.319mmol/g、Zr濃度0.213mmol/g、Al濃度0.021mmol/gの水溶液を調製した。この水溶液は透明であり、室温で放置しても沈殿を生成しなかった。この溶液540gを28質量%アンモニア水300g中に噴霧すると沈殿が生成した。沈殿を分離し、水で洗浄し、200℃で乾燥し、機械的に解砕した。粉末X線回折測定(CuKα線を用いた。他の粉末X線回折測定でも同様。)を行ったところ、図7に示すように、La(OH)3のブロードなピークが観測された。
上記工程で得られた粉末に、濃度4mol/Lの水酸化リチウム水溶液を、Li:La=7:3(モル比)となるように加え、混合した。その後、濃度85質量%のリン酸と濃度4mol/Lの水酸化リチウム水溶液を、LLZとLi3PO4を95:5(質量比)となるように加え、混合した。これを200℃で乾燥し、乾燥体を得た。粉末X線回折測定を行ったところ、図8に示すように、La(OH)3とLiOH・H2OとLi4P2O7のピークが検出された。
上記工程で得られた乾燥体をイソプロピルアルコール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で3時間、混合・粉砕を行った。粉末をボールとイソプロピルアルコールから分離し、乾燥させた後、アルミナ製の焼成ボートにいれ、700℃で保持時間5時間にて窒素雰囲気で焼成し、固体電解質粒子を得た。粉末X線回折測定を行ったところ、図9に示すように、ガーネット酸化物であるLLZ(Li7La3Zr2O12)とLi3PO4のピークのみが観測された。また、得られた固体電解質粒子を走査型電子顕微鏡で観察した結果、個数平均粒子径は、2μmであった。
(同時沈殿処理工程)
塩化ランタン7水和物を水に溶解させて得た溶液を四塩化チタン水溶液と混合し、La濃度0.50mmol/g、Ti濃度2.60mmol/g、Cl濃度8.23mmol/gの水溶液を調製した。この際のLa/Ti比は0.192(モル比)であった。この水溶液は透明であり、室温で放置しても沈殿を生成しなかった。この水溶液350gを28質量%アンモニア水500g中に噴霧すると沈殿が生成した。沈殿を分離し、水で洗浄し、200℃で乾燥し、機械的に解砕した。
上記沈殿9.31gを耐圧容器に入れ、4mol/L水酸化リチウム水溶液39.58mL(水酸化リチウム0.158mol相当)を加えた。上記耐圧容器を密封し、120℃に設定した恒温槽で12時間加熱して水熱処理を行った。さらに、酢酸6.17mLを添加し、180℃で12時間水熱処理を行った。放冷後、沈殿を分離し、水で洗浄した後、200℃で乾燥させることで固体状の負極複合体前駆体を得た。
得られた前駆体について粉末X線回折測定を行ったところ、(Li2TiO3)1.333[ICDD番号01-075-0614]に比定されるLiとTiの複合塩の回折線が検出された。
上記工程で得られた固体電解質粒子と負極複合体前駆体粒子(チタン酸リチウムとチタン酸ランタンリチウムの前駆体)を直径13mmの金型成形に、それぞれ厚さ1mmの層となるように、740MPaにて加圧成形した。この成形体を窒素雰囲気で1150℃保持時間なしで焼結した。得られた焼結体を粉砕し、粉末X線回折測定を行い、固体電解質と負極の反応性を評価した。
実施例1の焼成工程を、1150℃で保持時間2時間に変更した以外は同様にして、固体電解質粒子を得た。粉末X線回折測定を行ったところ、図10に示すように、ガーネット酸化物であるLLZ(Li7La3Zr2O12)とLi3PO4と、La2Zr2O7のピークが観測された。また、得られた固体電解質粒子を走査型電子顕微鏡で観察した結果、個数平均粒子径は、7μmであった。
得られた固体電解質粒子を用いて、実施例1と同様に積層焼結工程を行った。
後述の比較例1で得られた仮焼体に対して、Li3PO4を、仮焼体:Li3PO4=9:1となるように加え、イソプロピルアルコール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で12時間、混合・粉砕を行った。得られた粉末をボールとイソプロピルアルコールから分離し、200℃にて乾燥し、混合粉体を得た。得られた混合粉体をアルミナ製の焼成ボートに入れ、窒素雰囲気で700℃5時間、ついで1150℃で保持時間5時間にて焼成し、固体電解質粒子を得た。粉末X線回折測定を行ったところ、図11に示すように、ガーネット酸化物であるLLZ(Li7La3Zr2O12)とLi3PO4と、La2Zr2O7のピークが観測された。また、得られた固体電解質粒子を走査型電子顕微鏡で観察した結果、個数平均粒子径は、9μmであった。
得られた固体電解質粒子を用いて、実施例1と同様に積層焼結工程を行った。
(仮焼工程)
同時沈殿工程にて得られた粉末に、Li:La:Zr:Al=7.0:3:2:0.2となるように4N水酸化リチウム水溶液を添加混合し、懸濁液を得た。この懸濁液を120℃で乾燥し粉末を得た。この粉末をイソプロピルアルコール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で3時間、混合・粉砕を行った。粉末をボールとイソプロピルアルコールから分離し、乾燥させた後、アルミナ製の焼成ボートにいれ、700℃5時間窒素雰囲気で焼成し、仮焼体を得た。粉末X線回折測定を行ったところ、図12に示すように、ガーネット酸化物であるLLZ(Li7La3Zr2O12)のピークのみが観測されたことから、仮焼体は単相のガーネット型酸化物であった。
上記工程で得られた仮焼体と負極複合体前駆体粒子(チタン酸リチウムとチタン酸ランタンリチウムの前駆体)を直径13mmの金型成形により、740MPaにて加圧成形した。この成形体を窒素雰囲気で1150℃保持時間なしで焼結した。得られた焼結体を粉砕し、粉末X線回折測定を行い、固体電解質と負極の反応性を評価した。
(混合工程)
比較例1で得られた仮焼体に対して、Li3PO4を、仮焼体:Li3PO4=9:1となるように加え、イソプロピルアルコール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で12時間、混合・粉砕を行った。得られた粉末をボールとイソプロピルアルコールから分離し、200℃にて乾燥し、混合粉体を得た。
得られた混合粉体を用い、比較例1と同様に積層焼結工程を行った。
(混合工程)
比較例1で得られた仮焼体に、濃度85質量%のリン酸と濃度4mol/Lの水酸化リチウム水溶液を、LLZとLi3PO4を95:5(質量比)となるように加え混合した。これを200℃で乾燥し、混合乾燥体を得た。粉末X線回折測定を行ったところ、図13に示すように、LLZとLa(OH)3とLi2CO3とLi4P2O7のピークが検出された。
得られた混合乾燥体を用い、比較例2と同様に積層焼結工程を行った。
実施例及び比較例において得られた積層焼結体を粉砕し、粉末X線回折測定を行った。実施例及び比較例の積層焼結後のXRDパターンを図14に、ピーク強度比を表1に示す。粉末X線回折測定の結果から、ピーク強度比(Li4Ti5O12/Li2Ti3O7)とピーク強度比(La2Zr2O7/LLZ)を求めた。それぞれ、Li4Ti5O12の(400)面に由来するピークの強度と、Li2Ti3O7の(110)面に由来するピークの強度の比であり、La2Zr2O7の(222)面に由来するピークの強度と、LLZの(420)面に由来するピークの強度の比である。Li2Ti3O7とLi4Ti5O12では後者がLiリッチなチタン酸リチウムであることから、ピーク強度比が大きくなるほど、LLZから負極へのLiの移動が生じたと考えられる。また、La2Zr2O7とLLZの強度比からもLiの移動が示唆される。即ち、これらのピーク強度比は、値が大きければ、固体電解質と負極の間でリチウムが移動して互いの目的物質であるLi2Ti3O7とLLZが分解して少なくなっていることを意味し、値が小さいことが好ましい。
また、LLZはLi不足になるとLa2Zr2O7相の強度が強くなる。積層焼結に用いる固体電解質粒子によってははじめからLa2Zr2O7相を含むものや、焼結時にLLZからLiが揮発することが想定されるが、強度比La2Zr2O7(222)/LLZ(420)はLi移動の指標になり、値が大きければLiの移動が大きく、固体電解質と負極複合体が反応したことを示している。
(仮焼工程)
固体電解質粒子の作成における同時沈殿工程で得られた粉末を蒸発皿にいれ、Li:La:Zr:Al=7.0:3:2:0.2となるように4mol/L水酸化リチウム水溶液を添加混合し、懸濁液を得た。この懸濁液を120℃で乾燥し粉末を得た。この粉末をイソプロピルアルコール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で3時間、混合・粉砕を行った。粉末をボールとイソプロピルアルコールから分離し、乾燥させた後、アルミナ製の焼成ボートにいれ、700℃5時間窒素雰囲気で焼成し、仮焼体を得た。CuKα線を用いて粉末X線回折測定を行ったところ、ガーネット酸化物であるLLZ(Li7La3Zr2O12)のピークのみが観測されたことから、仮焼体は単相のガーネット型酸化物であった。
上記工程で得られた仮焼体に対して、Li3PO4を、仮焼体:Li3PO4=9:1となるように加え、イソプロピルアルコール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で12時間、混合・粉砕を行った。得られた粉末をボールとイソプロピルアルコールから分離し、200℃にて乾燥し、焼結前駆体を得た。得られた前駆体を直径13mmの金型成形により、740MPaにて加圧成形した。この成形体を窒素雰囲気で700℃5時間、ついで1150℃5時間焼結し、立方晶系ガーネット型酸化物の結晶粒子を含む焼結体を得た。焼結体の一部を粉砕して粉末X線回折測定を行ったところ、図15に示すように、ガーネット型酸化物であるLLZ(Li7La3Zr2O12)とLi3PO4と、La2Zr2O7のピークが観測された。
これは、焼成中に、ガーネット型酸化物とリチウムリン酸塩は固溶せず、二相に分離するため、焼成中にリチウムリン酸塩がガーネット型酸化物粒子の表面に析出したものと思われる。
3 コア部
5 被覆層
13 リチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物又はその前駆体の粒子
15 リチウムリン酸塩又はその前駆体
17 混合物
19 成型体
21 固体電解質焼結体
23 リチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物
25 リチウムリン酸塩
31 積層体
33 電極活物質又はその前駆体
35 電極積層体
37 固体電解質層
39 電極層
41 電極活物質
51 電極複合体
61 全固体リチウム電池
63 正極層
65 正極活物質
66 セパレータ層
67 負極層
69 負極活物質
71 全固体リチウム電池
73 正極複合体層
75 負極複合体層
Claims (16)
- LiとLaと、Zr、Nb及びTaからなる群から選ばれる1種類以上の元素を含むリチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物を含むコア部と、前記コア部の表面を被覆する、リチウムリン酸塩を含む被覆層と、を有する固体電解質粒子を含む層と、リチウムを吸蔵放出する電極活物質又はその前駆体を含む層との積層体を形成する工程と、
前記積層体を600℃~1300℃で焼結することにより、前記ガーネット型酸化物を含む固体電解質層と、電極活物質を含む電極層の積層体を形成する工程と、
を含む、全固体リチウム電池用電極積層体の製造方法であって、
前記リチウムリン酸塩が、Li3PO4の化学式で表されるリン酸リチウム、Li3-xPO4-yNzで表される化合物(xは0≦x<3を満たし、yは0≦y<4を満たし、zは0<z≦4を満たす)、又は、LiaXbYcPdOeNf(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a~fは、0.5<a<5.0 、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0、0.002<f<2.0の関係を満たす)で表される化合物である、全固体リチウム電池用電極積層体の製造方法。 - 前記電極活物質が、チタンとリチウムを含むスピネル型酸化物及び/又はチタンとリチウムを含むラムズデライト型酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の全固体リチウム電池用電極積層体の製造方法。
- 前記電極活物質又はその前駆体を含む層に、さらに、固体電解質又はその前駆体を含み、
前記電極層が、電極活物質と固体電解質を含む電極複合体層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の全固体リチウム電池用電極積層体の製造方法。 - 前記電極複合体層に含まれる固体電解質がリチウムとランタンとチタンを含むペロブスカイト型酸化物であることを特徴とする請求項3に記載の全固体リチウム電池用電極積層体の製造方法。
- 前記積層体を形成する工程において、
前記固体電解質粒子を含むスラリー又はペーストを、リチウムを吸蔵放出する電極活物質又はその前駆体を含む層に塗布して積層体を形成することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の全固体リチウム電池用電極積層体の製造方法。 - 前記積層体を形成する工程において、
電極活物質またはその前駆体粒子を含むスラリー又はペーストを基材に塗布して得られたシートと、前記固体電解質粒子を含むスラリー又はペーストを基材に塗布して得られたシートを積層して積層体を形成することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の全固体リチウム電池用電極積層体の製造方法。 - 負極活物質またはその前駆体粒子を含むスラリー又はペーストを基材に塗布して得られたシートと、LiとLaと、Zr、Nb及びTaからなる群から選ばれる1種類以上の元素を含むリチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物を含むコア部と、前記コア部の表面を被覆する、リチウムリン酸塩を含む被覆層と、を有する固体電解質粒子を含むスラリー又はペーストを基材に塗布して得られたシートと、正極活物質またはその前駆体粒子を含むスラリー又はペーストを基材に塗布して得られたシートとを順に積層して積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼結することにより、正極活物質を含む正極層と、前記ガーネット型酸化物を含むセパレータ層と、負極活物質を含む負極層の積層体を形成する工程と、
を含む、全固体リチウム電池の製造方法であって、
前記リチウムリン酸塩が、Li3PO4の化学式で表されるリン酸リチウム、Li3-xPO4-yNzで表される化合物(xは0≦x<3を満たし、yは0≦y<4を満たし、zは0<z≦4を満たす)、又は、LiaXbYcPdOeNf(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a~fは、0.5<a<5.0 、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0、0.002<f<2.0の関係を満たす)で表される化合物である、全固体リチウム電池の製造方法。 - LiとLaと、Zr、Nb及びTaからなる群から選ばれる1種類以上の元素を含むリチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物を含むコア部と、前記コア部の表面を被覆する、リチウムリン酸塩を含む被覆層と、を有する固体電解質粒子と、リチウムを吸蔵放出する電極活物質粒子とを含む全固体リチウム電池用電極複合体であって、
前記リチウムリン酸塩が、Li3PO4の化学式で表されるリン酸リチウム、Li3-xPO4-yNzで表される化合物(xは0≦x<3を満たし、yは0≦y<4を満たし、zは0<z≦4を満たす)、又は、LiaXbYcPdOeNf(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a~fは、0.5<a<5.0 、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0、0.002<f<2.0の関係を満たす)で表される化合物である、全固体リチウム電池用電極複合体。 - LiとLaと、Zr、Nb及びTaからなる群から選ばれる1種類以上の元素を含むリチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物を含むコア部と、前記コア部の表面を被覆する、リチウムリン酸塩を含む被覆層と、を有する固体電解質粒子と、リチウムを吸蔵放出する電極活物質又はその前駆体との混合物を作成する混合工程と、
前記混合物を焼結する工程と、
を含むことを特徴とする、全固体リチウム電池用電極複合体の製造方法であって、
前記リチウムリン酸塩が、Li3PO4の化学式で表されるリン酸リチウム、Li3-xPO4-yNzで表される化合物(xは0≦x<3を満たし、yは0≦y<4を満たし、zは0<z≦4を満たす)、又は、LiaXbYcPdOeNf(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a~fは、0.5<a<5.0 、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0、0.002<f<2.0の関係を満たす)で表される化合物である、全固体リチウム電池用電極複合体の製造方法。 - LiとLaと、Zr、Nb及びTaからなる群から選ばれる1種類以上の元素を含むリチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物を含むコア部と、
前記コア部の表面を被覆する、リチウムリン酸塩を含む被覆層と、を有する固体電解質粒子の製造方法であって、
前記ガーネット型酸化物又はその前駆体の粒子と、リチウムリン酸塩又はその前駆体との混合物を作成する工程と、
前記混合物を600℃~1300℃で焼成する工程と、
を含むことを特徴とする、固体電解質粒子の製造方法であって、
前記リチウムリン酸塩が、Li3-xPO4-yで(0≦x<3、0≦y<4)表される化合物、Li3-xPO4-yNzで表される化合物(xは0≦x<3を満たし、yは0≦y<4を満たし、zは0<z≦4を満たす)、又は、LiaXbYcPdOeNf(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a~fは、0.5<a<5.0 、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0、0.002<f<2.0の関係を満たす)で表される化合物である、固体電解質粒子の製造方法。 - 前記混合物が、前記ガーネット型酸化物の前駆体と、リチウムリン酸塩となる前駆体との混合物であることを特徴とする請求項10に記載の固体電解質粒子の製造方法。
- 前記混合物が、前記ガーネット型酸化物の粒子と、リチウムリン酸塩の粒子との混合物であることを特徴とする請求項10に記載の固体電解質粒子の製造方法。
- 前記混合物に、ケイ酸リチウム又はその前駆体を含むことを特徴とする、請求項10~12のいずれか1項に記載の固体電解質粒子の製造方法。
- Laと、Zr、Nb及びTaからなる群から選ばれる1種類以上の元素を含む水溶液を調製する水溶液調製工程と、
前記水溶液と塩基性水溶液とを混合することにより、沈殿物を得る同時沈殿処理工程と、
前記沈殿物とリチウム化合物と混合する工程と、により、
前記ガーネット型酸化物の前駆体を得ることを特徴とする請求項11に記載の固体電解質粒子の製造方法。 - 前記水溶液調製工程において、LaとZrとAlを含む水溶液を調製し、
前記ガーネット型酸化物がLiとLaとZrとAlを含むことを特徴とする請求項14に記載の固体電解質粒子の製造方法。 - LiとLaと、Zr、Nb及びTaからなる群から選ばれる1種類以上の元素を含むリチウムイオン伝導性ガーネット型酸化物を含むコア部と、前記コア部の表面を被覆する、リチウムリン酸塩を含む被覆層と、を有する固体電解質粒子を所定形状の成型体に成型する工程と、
前記成型体を600℃~1300℃で焼結する工程と、
を含む、前記ガーネット型酸化物を含む全固体リチウム電池用固体電解質焼結体の製造方法であって、
前記リチウムリン酸塩が、Li3PO4の化学式で表されるリン酸リチウム、Li3-xPO4-yNzで表される化合物(xは0≦x<3を満たし、yは0≦y<4を満たし、zは0<z≦4を満たす)、又は、LiaXbYcPdOeNf(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a~fは、0.5<a<5.0 、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0、0.002<f<2.0の関係を満たす)で表される化合物である、全固体リチウム電池用固体電解質焼結体の製造方法。
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