JP6937276B2 - フードロック装置の組み付け構造 - Google Patents

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Description

本発明は、フードロック装置の組み付け構造に関するものである。
自動車などの車両に、エンジンルームを開閉するフードや、同フードを閉状態でロックするフードロック装置を設けることが多用されている。フードロック装置は、車両前部(例えばラジエータコアサポートのアッパー)の上縁に設けられており、フード下面に突設されたフック状のフードストライカーを引っ掛けて係止するようになっている。
ここで、フードロック装置による適正なロックを実現するために、同フードロック装置の組み付け位置を調整することが提案されている(例えば特許文献1)。
特許文献1では、フードロック装置の固定用のブラケットが、ラジエータコアサポートに溶接(接合)されている。そして、ラジエータコアサポートに対するブラケットの接合位置を調節することによって、フードロック装置の位置調整がなされる。
この特許文献1では、フードロック装置を組み付ける作業が例えば以下のように行われる。先ず、フードロック装置にフードストライカーが適正に係合するように、ラジエータコアサポートに対するフードロック装置(詳しくは、ブラケット)の位置が調整される。そして、このブラケットが作業者によって把持される等して同ブラケットが位置調整された状態のままで保持されるとともに、ブラケットがラジエータコアサポートにスポット溶接によって固定される。その後、フードロック装置がブラケットを介してラジエータコアサポートに固定される。このようにフードロック装置を組み付けることにより、同フードロック装置によってフードを閉状態でロックすることが可能になる。
特開2012−126309号公報
上述したフードロック装置の組み付け構造では、同フードロック装置の組み付けにかかる一連の作業が煩雑な作業になってしまう。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、組み付け作業を容易に行うことのできるフードロック装置の組み付け構造を提供することにある。
上記課題を解決するためのフードロック装置の組み付け構造は、車両本体の組み付け部に固定されるとともに、フードの内面に突設されたフードストライカーとの係合を通じて前記フードを閉状態でロックするフードロック装置の組み付け構造において、前記フードロック装置および前記組み付け部の一方に設けられて、車幅方向に延びる嵌合孔と、前記フードロック装置および前記組み付け部の他方に設けられて、前記一方側に突出し、車幅方向に移動可能な態様で前記嵌合孔に挿入されて嵌合する嵌合凸部と、を備える。
上記構成によれば、嵌合孔に嵌合凸部を嵌めるといった簡単な作業を通じて、車両本体の組み付け部にフードロック装置を仮組みすることができる。これにより、フードロック装置が組み付け部に固定される前に、同フードロック装置が組み付け部によって支持された状態にすることができる。しかも、この仮組み状態において、フードロック装置を組み付け部に対して相対移動させるといった作業を通じて、同フードロック装置の車幅方向の位置を調節することもできる。このように上記構成によれば、フードロック装置を仮組みする作業と位置調整する作業とを容易に行うことができるため、フードロック装置の組み付け作業を容易に行うことができる。
本発明によれば、フードロック装置の組み付け作業を容易に行うことができる。
第1実施形態のフードロック装置の組み付け構造が適用される車両の正面図。 同フードロック装置およびその周辺の正面図。 同フードロック装置およびその周辺の分解斜視図。 第1実施形態の左側嵌合凸部およびその周辺を拡大して示す斜視図。 第1実施形態の嵌合凸部およびその周辺を拡大して示す側断面図。 位置調整時におけるフードロック装置のベースとフードストライカーとの位置関係の一例を示す正面図。 第2実施形態のフードロック装置およびその周辺の正面図。 第2実施形態の右側嵌合凸部およびその周辺を拡大して示す斜視図。 第3実施形態の右側嵌合凸部およびその周辺を拡大して示す斜視図。 第3実施形態のフードロック装置およびその周辺の分解斜視図。
(第1実施形態)
以下、フードロック装置の組み付け構造の第1実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
図1に示すように、車両10にはエンジンルーム11を開閉するフード12が取り付けられている。フード12は、エンジンルーム11後部の上縁に、ヒンジ(図示略)を介して揺動可能に支持されている。フード12の内面にはフードストライカー13が突設されている。フードストライカー13は、上記フード12が閉じられた状態で車両前後方向(以下、単に前後方向)に延びるとともにコの字状で下方に突出するフック部13Aを有している。
車両10の前部には、略四角枠状をなすラジエータコアサポート14が設けられている。ラジエータコアサポート14の上部を構成するアッパー20は合成樹脂材料によって形成されており、同ラジエータコアサポート14におけるアッパー20以外の部分は金属材料によって形成されている。
図1および図2に示すように、アッパー20の前面にはフードロック装置30が固定されている。フードロック装置30は、フード12が閉じられたときに、内部に進入するフードストライカー13のフック部13Aを引っ掛かけて係止する構造になっている。このようにフードストライカー13をフードロック装置30に係止することにより、フード12が閉状態でロックされる。
以下、フードロック装置30の具体構造について説明する。
図2および図3に示すように、フードロック装置30は、正面視(図2に示す状態)で略五角形状のベース31を有している。ベース31は、金属板を曲げ加工することによって形成されており、上下方向に延びるとともに同ベース31の上端で開口するように切り欠かかれた部分(切り欠き部31A)を有している。切り欠き部31Aは、対向する内面の間隔が車両上方(以下、単に上方)に向かうに連れて広くなる形状になっている。フード12を閉じる際には、図2中に黒塗りの矢印で示すように、フードストライカー13のフック部13Aが、上端の開口から切り欠き部31Aの内部に進入するようになる。
図2に示すように、フードロック装置30はラッチ32を有している。ラッチ32は、前後方向に延びる直線L1を中心に回転可能な状態でベース31に支持されており、正面視で時計回り方向に常時付勢されている。このラッチ32は、外縁で開口するように切り欠かれた部分(切り欠き部32A)を有している。
フード12が開かれた状態(開状態)では、正面視でラッチ32の切り欠き部32Aの開口端が上記ベース31の切り欠き部31A内に位置している。この開状態においてフードロック装置30は、フード12の閉じ操作に際してフードストライカー13のフック部13Aがベース31の切り欠き部31Aに進入したときに、同フック部13Aがラッチ32の切り欠き部32A内に進入する状態になっている。そして、フード12が閉じられると、フードストライカー13のフック部13Aがラッチ32の切り欠き部32A内に進入し、これに伴って同ラッチ32が正面視で反時計回り方向に回転するようになる。その結果、正面視でラッチ32の切り欠き部32Aの開口端がベース31の切り欠き部31Aの外部に位置した状態(図2に示す状態)になる。そのため、フード12が閉じられた状態(閉状態)では、フードストライカー13のフック部13Aが、正面視でベース31の切り欠き部31Aの内面とラッチ32の切り欠き部32Aの内面とによって囲まれた部分に嵌まった状態(図2に示す状態)になる。そして、こうした閉状態では、ラッチ32の回転が規制されるようになっている。このようにしてフード12は閉状態でロックされる。
図2および図3に示すように、フードロック装置30はキャッチ33を有している。キャッチ33は、前後方向に延びる直線L2(図2)を中心に回転可能な状態でベース31に支持されており、正面視で時計回り方向に常時付勢されている。
キャッチ33は、その回転中心L2の車両右側(以下、単に右側)に配置されるとともに、上下方向に延びるアーム部34を有している。このアーム部34の上端には、車両左側(以下、単に左側)に向けて鉤状に曲がった部分であるフック部34Aが設けられている。このフック部34Aの上端面34Bは、同フック部34Aの突端(図2の右端)に向かうに連れて下方側の位置になるように傾斜した傾斜面になっている。
また、キャッチ33は、その回転中心L2の左側(図2の右側)に配置されて上下方向に延びるレバー部35を有している。このレバー部35はフード12を開く際に上方に操作される操作部材であり、このレバー部35が操作されると、キャッチ33が正面視で反時計回り方向に回転する。
レバー部35が操作されていないときには、アーム部34のフック部34Aが正面視でベース31の切り欠き部31Aの上部開口を塞いだ状態(図2に示す状態)になる。フード12が閉じ操作されると、アーム部34のフック部34Aの上端面34Bにフードストライカー13のフック部13Aが当接するようになる。このときフードストライカー13のフック部13Aによって右側に押し退けられるようにして、アーム部34(フック部34A)が正面視で反時計回り方向に回転する。そして、フードストライカー13のフック部13Aがベース31の切り欠き部31A内に進入するようになる。
一方、フード12を開く際にはキャッチ33のレバー部35が上方に操作される。これにより、キャッチ33が正面視で反時計回り方向に回転して、アーム部34のフック部34Aが正面視でベース31の切り欠き部31Aと重ならない位置に移動する。その結果、キャッチ33のフック部34Aによって遮られることなく、ベース31の切り欠き部31A内からフードストライカー13のフック部13Aを脱出させることが可能になるため、フード12を開状態にすることが可能になる。
以下、フードロック装置30をアッパー20に組み付けるための構造について説明する。
フードロック装置30は、アッパー20に固定される部分である3つの固定部36,37,38を有している。具体的には、ベース31の右側部には右側に突出する右側固定部36が設けられており、ベース31の左側部には左側に突出する左側固定部37が設けられており、ベース31の下部には下方に突出する下側固定部38が設けられている。これら固定部36,37,38はいずれも、上下方向および車幅方向に延びる略平板状をなすとともに、車幅方向に延びる長穴状の挿通孔39を有している。また、右側固定部36における上記挿通孔39よりも右側部分と、左側固定部37における上記挿通孔39よりも左側部分とにはそれぞれ、略長方形状の貫通孔(嵌合孔40)が設けられている。
アッパー20における上記フードロック装置30の各固定部36,37,38の挿通孔39に対応する位置には、雌ねじを有するブラインドナット22が設けられている。フードロック装置30をアッパー20に固定する際には、3本のボルト15(図3)が各固定部36,37,38の挿通孔39に挿通されるとともに、各ブラインドナット22に螺合される。これにより、フードロック装置30がアッパー20に締結固定される。
図2〜図4に示すように、アッパー20の前面における上記右側固定部36の嵌合孔40に対向する位置には、右側嵌合凸部23が突設されている。また、アッパー20の前面における上記左側固定部37の嵌合孔40に対向する位置には、左側嵌合凸部24が突設されている。アッパー20にフードロック装置30を組み付ける際には、右側固定部36の嵌合孔40に右側嵌合凸部23が挿入されて嵌められるとともに、左側固定部37の嵌合孔40に左側嵌合凸部24が挿入されて嵌められる。
右側嵌合凸部23および左側嵌合凸部24は同一の構造をなしている。具体的には、各嵌合凸部23,24は、上側において車幅方向および前後方向に延びる頂壁25と、右側において上下方向および前後方向に延びる右壁26と、左側において上下方向および前後方向に延びる左壁27とを有するコの字状をなしている。右壁26の前面および左壁27の前面は、下方側に向かうに連れてアッパー20前面との距離が近くなるように傾斜した傾斜面になっている。
本実施形態では、頂壁25の上面と右壁26の下端との距離や頂壁25の上面と左壁27の下端との距離が、前記嵌合孔40の上下方向の長さと略同一になっている。また、右壁26の右側面と左壁27の左側面との距離は、前記嵌合孔40の車幅方向の長さよりも短くなっている。そのため、各嵌合孔40に各嵌合凸部23,24が嵌められているが、ボルト15による締結固定がなされていない状態(仮組み状態)では、各嵌合凸部23,24は嵌合孔40の内部での上下方向への移動が規制される一方で、車幅方向への移動が許容される。これにより、仮組み状態において、フードロック装置30がアッパー20に対して車幅方向にスライド移動可能になっている。
各嵌合凸部23,24の頂壁25は、車幅方向に間隔を置いた位置に設けられるとともに後端から前方に向けて延びる一対の切り欠き部25Aを有している。頂壁25における一対の切り欠き部25Aに挟まれた部分(バネ部25B)は、その周縁部分に対して上下方向に揺動する態様で弾性変形可能になっている。バネ部25Bの外面(上面)における前後方向の中間部分には、車幅方向に延びる凸部(係合突起25C)が設けられている。図5に示すように、この係合突起25Cは、アッパー20にフードロック装置30が組み付けられると、各固定部36,37の前面における嵌合孔40の内縁に隣接した状態で延びるようになる。なお本実施形態では、バネ部25Bが係合部に相当する。
以下、フードロック装置30のアッパー20への組み付けにかかる一連の作業について、その作用効果とともに詳細に説明する。
図2および図3に示すように、フードロック装置30をアッパー20に組み付ける際には、先ず、右側固定部36の嵌合孔40に右側嵌合凸部23が嵌められるとともに、左側固定部37の嵌合孔40に左側嵌合凸部24が嵌められる。詳しくは、図5中に白抜きの矢印で示すように、バネ部25Bを嵌合凸部23,24の内部に進入させる態様で弾性変形させつつ、各嵌合凸部23,24が嵌合孔40に挿入される。各固定部36,37がバネ部25Bの係合突起25Cを通過した状態でバネ部25Bを弾性変形状態から復元させると、バネ部25Bの係合突起25Cが固定部36,37前面における嵌合孔40の内縁に引っ掛かった状態(図5に示す状態)になる。こうした係合突起25Cおよび嵌合孔40の内縁の係合を通じて、嵌合孔40から嵌合凸部23,24が抜けることが抑えられ、ひいてはアッパー20からフードロック装置30が脱落することが抑えられる。このように本実施形態によれば、嵌合孔40に嵌合凸部23,24を嵌めるといった簡単な作業を通じて、アッパー20にフードロック装置30を仮組みすることができる。
また本実施形態では、フードロック装置30(図2)の右側の部分に右側固定部36(嵌合孔40)と右側嵌合凸部23とが設けられており、フードロック装置30の左側の部分に左側固定部37(嵌合孔40)と左側嵌合凸部24とが設けられている。そのため、フードロック装置30がアッパー20に仮組みされたときに、同フードロック装置30の両側部がアッパー20に支持されるようになる。したがって、フードロック装置30をアッパー20によって安定した状態で支持することができる。
なお、このようにしてフードロック装置30を仮組みした状態のアッパー20を、車両10の組み立てを行う組立工場に納品するべく搬送したり、組立工場内における次工程の作業場に搬送したりすることが想定される。本実施形態によれば、フードロック装置30の各固定部36,37の嵌合孔40とアッパー20の各嵌合凸部23,24との嵌合を通じて、フードロック装置30がアッパー20に取り付けられている。そのため、フードロック装置30を仮組みした状態でのアッパー20の搬送に際して、同フードロック装置30がアッパー20から外れて脱落することが抑えられるようになる。
次に、フードロック装置30の組み付け位置の調整が行われる。具体的には、車両10に固定されたアッパー20にフードロック装置30を仮組みした状態で、フード12が閉じられる。
この場合には先ず、フードストライカー13のフック部13Aがキャッチ33のフック部34Aの上端面34Bに突き当たる。フック部34Aの上端面34Bは、突端に向かうに連れて下方側の位置になるように傾斜した傾斜面になっている。そのため、このときフードストライカー13のフック部13Aによる押圧によって、キャッチ33は正面視で反時計回り方向に回動するようになる。これにより、フードストライカー13のフック部13Aは、キャッチ33のフック部34Aを押し退けるようにして、ベース31の切り欠き部31Aの内部に進入するようになる。
図6は、フードロック装置30の仮組み位置が左側(図6の右側)にずれている場合における同フードロック装置30のベース31とフードストライカー13のフック部13Aとの位置関係を示している。図6に示すように、この場合には、フードストライカー13のフック部13Aがベース31の切り欠き部31Aの内面のうちの右側(図6の左側)の面に当接するようになる。ここで、上述したようにフードロック装置30は、アッパー20に仮組みされている状態であっても、同アッパー20に対して車幅方向に移動可能になっている。そのため、フードストライカー13のフック部13Aが切り欠き部31Aの内面(詳しくは、右側の面)に当接することによって同面が押圧されると、図6中に黒塗りの矢印で示すように、フードロック装置30がアッパー20に対して右側に相対移動するようになる。一方、フードロック装置30の仮組み位置が右側にずれている場合には、フードストライカー13のフック部13Aが切り欠き部31Aの内面のうちの左側の面に当接して同内面が押圧されて、同フードロック装置30がアッパー20に対して左側に移動する。他方、フードロック装置30の仮組み位置が許容範囲内である場合には、フード12を閉じたときに、フードロック装置30はアッパー20に対して相対移動しない。
このように、フードロック装置30を仮組みした状態でフード12を閉じることにより、同フードロック装置30の車幅方向の位置が、上記ベース31の切り欠き部31Aへの上記フードストライカー13のフック部13Aのスムーズな進入を妨げることのない位置になる。
その後、フードロック装置30がアッパー20に固定される。具体的には、3本の固定用のボルト15(図3)が、フードロック装置30の各固定部36,37,38の挿通孔39に挿通されるとともに、アッパー20の各ブラインドナット22に螺合される。これにより、フードロック装置30がアッパー20に締結固定される。なお本実施形態では、ボルト15によるフードロック装置30の締結固定を、フード12を閉状態でロックした状態のままで行うことが可能になっている。
本実施形態によれば、フードロック装置30の各固定部36,37の嵌合孔40にアッパー20の各嵌合凸部23,24を嵌めるといった簡単な作業を通じて同フードロック装置30をアッパー20に仮組みすることができる。これにより、フードロック装置30がアッパー20に固定される前に、同フードロック装置30がアッパー20によって支持された状態にすることができる。しかも、この仮組み状態において、フードロック装置30をアッパー20に対して相対移動させるといった作業を通じて、同フードロック装置30の車幅方向の位置を調節することもできる。このように本実施形態によれば、フードロック装置30を仮組みする作業と位置調整する作業とを容易に行うことができるため、フードロック装置30の組み付け作業を容易に行うことができる。
本実施形態では、ラジエータコアサポート14のアッパー20が合成樹脂材料によって形成されている。一般に、合成樹脂製のアッパー20は、金属製のアッパーと比較して、製造誤差が大きくなり易い。そのため、そうした合成樹脂製のアッパー20にフードロック装置30が固定される本実施形態の組み付け構造では、同フードロック装置30とフードストライカー13との相対位置のずれが生じやすいと云える。本実施形態によれば、合成樹脂製のアッパー20にフードロック装置30が固定される組み付け構造において、フードロック装置30の車幅方向の位置調節を行いつつ、同フードロック装置30の組み付け作業を容易に行うことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)フードロック装置30を仮組みする作業と位置調整する作業とを容易に行うことができるため、フードロック装置30の組み付け作業を容易に行うことができる。
(2)フードロック装置30がアッパー20に仮組みされたときに、同フードロック装置30の両側部がアッパー20によって支持されるため、フードロック装置30をアッパー20によって安定した状態で支持することができる。
(3)係合突起25Cを有するバネ部25Bを弾性変形させつつ嵌合凸部23,24を嵌合孔40に挿入することによって、同係合突起25Cと嵌合孔40の内縁とを係合させる態様でフードロック装置30をアッパー20に仮組みすることができる。そして、それら係合突起25Cおよび嵌合孔40の内縁との係合を通じて、嵌合孔40から嵌合凸部23,24が抜けること、ひいてはアッパー20からフードロック装置30が脱落することを抑えることができる。
(4)合成樹脂製のアッパー20にフードロック装置30が固定される組み付け構造において、フードロック装置30の車幅方向の位置調節を行いつつ、同フードロック装置30の組み付け作業を容易に行うことができる。
(第2実施形態)
以下、フードロック装置の組み付け構造の第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に、図7および図8を参照して説明する。なお以下では、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。
本実施形態と第1実施形態とは右側嵌合凸部の形状のみが異なる。
以下、本実施形態の右側嵌合凸部について説明する。
図7および図8に示すように、右側嵌合凸部51は、前後方向に円筒状で延びる円筒部52と、同円筒部52の外周面に設けられた4本のリブ53とを有している。4本のリブ53は円筒部52の外周面の周囲方向において90度間隔で放射状に延びている。これら4本のリブ53のうちの上方に配置されるもの(上部リブ53A)と下方に配置されるもの(下部リブ53B)とは上下方向に延びており、上部リブ53Aの上面と下部リブ53Bの下面との距離が前記嵌合孔40の上下方向の長さと略同一になっている。アッパー50にフードロック装置30を組み付ける際には、前記右側固定部36の嵌合孔40に右側嵌合凸部51が挿入されて嵌められる。
右側固定部36の嵌合孔40に右側嵌合凸部51が嵌められており、且つ前記ボルト15による締結固定がなされていない状態(仮組み状態)では、右側嵌合凸部51は嵌合孔40の内部での上下方向への移動が規制される一方で、車幅方向への移動が許容される。そのため、仮組み状態においては、フードロック装置30がアッパー50に対して車幅方向にスライド移動可能になる。
本実施形態によっても、先の(1)〜(4)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
以下、フードロック装置の組み付け構造の第3実施形態について、第1および第2実施形態との相違点を中心に、図9および図10を参照して説明する。なお以下では、第1および第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。
本実施形態と第1および第2実施形態とは右側嵌合凸部および左側嵌合凸部の形状のみが異なる。
以下、本実施形態の右側嵌合凸部および左側嵌合凸部の形状について説明する。
図9および図10に示すように、右側嵌合凸部61および左側嵌合凸部62は同一の構造をなしている。各嵌合凸部61,62は、下側において前後方向および車幅方向に延びる板状をなす下壁63と、前側において上下方向および車幅方向に延びる板状をなす前壁64と、上側において前後方向および車幅方向に延びる板状をなす上壁65とを有している。下壁63はアッパー60の前面に突設されている。前壁64は下壁63の前端から上方に向けて突設されている。上壁65は前壁64の上端から後方に向けて突設されている。
下壁63の下面と上壁65の上面との上下方向における距離は嵌合孔40の上下方向の長さよりも短くなっている。これにより、各嵌合凸部61,62は嵌合孔40に挿入可能になっている。また、前壁64の後端とアッパー60前面との間には間隙が形成されており、この間隙の前後方向の長さは各固定部36,37の厚さと略同一になっている。
アッパー60にフードロック装置30を組み付ける際には、上記右側固定部36の嵌合孔40に右側嵌合凸部61が挿入されて嵌められるとともに、上記左側固定部37の嵌合孔40に左側嵌合凸部62が挿入されて嵌められる。
詳しくは、先ず、右側固定部36の嵌合孔40に右側嵌合凸部61が挿入されるとともに、左側固定部37の嵌合孔40に左側嵌合凸部62が挿入される。その後、各固定部36,37における上壁65の後面とアッパー60の前面との間に各固定部36,37を進入させる態様で、フードロック装置30がアッパー60に対して下方に相対移動される。これにより、嵌合孔40の内面における上方側の面が嵌合凸部61,62の下壁63の上面に当接した状態になるとともに、各固定部36,37における嵌合孔40よりも上方側の部分が上壁65の後面とアッパー60の前面との間に嵌まった状態(図9)になる。
本実施形態では、こうした右側嵌合凸部61と右側固定部36の嵌合孔40との嵌合や左側嵌合凸部62と左側固定部37の嵌合孔40との嵌合を通じて、嵌合孔40から各嵌合凸部61,62が抜けることが抑えられる。これにより、アッパー60からフードロック装置30が脱落することが抑えられる。このように本実施形態によれば、各固定部36,37の嵌合孔40に嵌合凸部61,62を嵌めるといった簡単な作業を通じて、アッパー60にフードロック装置30を仮組みすることができる。
また本実施形態では、嵌合凸部61,62の車幅方向における長さが、固定部36,37の嵌合孔40の車幅方向における長さよりも短くなっている。これにより、仮組み状態において、各嵌合凸部61,62は各固定部36,37の嵌合孔40の内部での上下方向への移動が規制される一方で、車幅方向への移動が許容されるようになっている。したがって、仮組み状態において、フードロック装置30がアッパー60に対して車幅方向にスライド移動可能になっている。
本実施形態によっても、先の(1)〜(4)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・第1実施形態において、各固定部36,37の嵌合孔40からアッパー20前面の各嵌合凸部23,24が抜けることを抑えるための構成として、バネ部25Bおよび係合突起25C以外の構成を設けるようにしてもよい。こうした構成の一例としては、嵌合凸部23,24における上面の基端と下面の基端とにそれぞれアッパー20前面に沿って延びる溝(嵌合溝)を設ける構成を挙げることができる。この場合には、嵌合凸部23,24の上面と下面との上下方向における距離が嵌合孔40の上下方向における長さよりも若干長いことが好ましい。また、この場合には嵌合凸部23,24の上部における嵌合溝の底面と下部における嵌合溝の底面との上下方向における距離が嵌合孔40の上下方向における長さと略同一になっていることが好ましい。こうした構成によれば、嵌合孔40の内縁が嵌合溝に嵌まるようになる位置まで嵌合凸部23,24を嵌合孔40に押し込むことにより、嵌合凸部23,24の嵌合溝に嵌合孔40の内縁を嵌めることができるため、嵌合孔40から嵌合凸部23,24が抜けることを抑えることができる。
・第1実施形態において、フードロック装置の右側および左側の一方のみに嵌合凸部(右側嵌合凸部23または左側嵌合凸部24)と嵌合孔(右側固定部36の嵌合孔40または左側固定部37の嵌合孔40)とを設けるようにしてもよい。この場合には、フードロック装置の両側方における嵌合凸部と嵌合孔とが設けられない側の部分に、フードロック装置の固定部を下方から支持する支持部を設ける等、フードロック装置の固定部を支持するための支持部材を設けることが好ましい。こうした構成によれば、フードロック装置の仮組み時において、自重やフード閉時の衝撃によって、フードロック装置の両側方における仮組み部が設けられない側の部分が下方に下がるように同フードロック装置が傾くことが抑えられるようになる。
・第2実施形態において、右側嵌合凸部51の上面と下面との上下方向における間隔が右側固定部36の嵌合孔40の上下方向における長さと略同一になるのであれば、右側嵌合凸部51の形状は任意に変更することができる。そうした右側嵌合凸部としては例えば、前後方向において円筒状で延びるものや、断面I字状で延びるもの、断面円形状で延びるもの、断面十字状で延びるもの、断面H字状で延びるものなどを採用することができる。
・各実施形態において、車幅方向に延びる嵌合孔をアッパーに形成するとともに、アッパー側に突出して車幅方向に移動可能な態様で上記嵌合孔に嵌合する嵌合凸部をフードロック装置の固定部に形成するようにしてもよい。
・各実施形態において、フードロック装置の位置調整を、アッパーにフードロック装置を仮組みした状態でフードを閉じることによって行うことに限らず、任意の作業で行うことができる。例えば、フードストライカーとフードロック装置との相対位置を目視で確認しながら同フードロック装置を作業者が手で移動させるといったように、フードロック装置の位置調整を行うようにしてもよい。
・上記各実施形態の組み付け構造は、ラジエータコアサポートのアッパーに介設部材(専用のブラケットなど)を介して固定されるフードロック装置にも適用することができる。この場合には、介設部材が組み付け部に相当する。
・金属製のアッパーに固定されるフードロック装置にも、上記各実施形態の組み付け構造は適用可能である。
・上記各実施形態の組み付け構造は、車両本体におけるラジエータコアサポート以外の部分(例えば、クロスメンバ)に固定されるフードロック装置にも適用することができる。
10…車両、11…エンジンルーム、12…フード、13…フードストライカー、13A…フック部、14…ラジエータコアサポート、15…ボルト、20…アッパー、22…ブラインドナット、23…右側嵌合凸部、24…左側嵌合凸部、25…頂壁、25A…切り欠き部、25B…バネ部、25C…係合突起、26…右壁、27…左壁、30…フードロック装置、31…ベース、31A…切り欠き部、32…ラッチ、32A…切り欠き部、33…キャッチ、34…アーム部、34A…フック部、34B…上端面、35…レバー部、36…右側固定部、37…左側固定部、38…下側固定部、39…挿通孔、40…嵌合孔、50…アッパー、51…右側嵌合凸部、52…円筒部、53…リブ、53A…上部リブ、53B…下部リブ、60…アッパー、61…右側嵌合凸部、62…左側嵌合凸部、63…下壁、64…前壁、65…上壁。

Claims (3)

  1. 車両本体の組み付け部に固定されるとともに、フードの内面に突設されたフードストライカーとの係合を通じて前記フードを閉状態でロックするフードロック装置の組み付け構造において、
    前記フードロック装置および前記組み付け部の一方に設けられて、車幅方向に延びる嵌合孔と、
    前記フードロック装置および前記組み付け部の他方に設けられて、前記一方側に突出し、車幅方向に移動可能な態様で前記嵌合孔に挿入されて嵌合する嵌合凸部と、
    前記嵌合凸部の外面における前記一方よりも同嵌合凸部の先端側の位置から突出するとともに前記嵌合孔の内縁に係合して、前記嵌合凸部の内部に進入する態様で弾性変形させることの可能な係合部と、を備える
    ことを特徴とするフードロック装置の組み付け構造。
  2. 前記嵌合孔および前記嵌合凸部は、前記フードロック装置における車両右側の部分と車両左側の部分とにそれぞれ設けられる
    請求項1に記載のフードロック装置の組み付け構造。
  3. 前記組み付け部は、合成樹脂製のラジエータコアサポートである
    請求項1または2に記載のフードロック装置の組み付け構造。
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