WO2020044647A1

WO2020044647A1 - フードロック装置の組み付け構造

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Publication number: WO2020044647A1
Application number: PCT/JP2019/015309
Authority: WO
Inventors: 正盛廣瀬; 悟三宅
Original assignee: 豊田鉄工株式会社
Priority date: 2018-08-31
Filing date: 2019-04-08
Publication date: 2020-03-05
Also published as: EP3845440A1; EP3845440A4; US20210324665A1; CN112601694A; CN112601694B

Abstract

フードロック装置の組み付け構造が提供される。フードロック装置は、車両本体に設けられた組み付け部に固定されるように構成されるとともに、車両のフードの内面に突設されたフードストライカーとの係合を通じてフードを閉状態でロックするように構成される。フードロック装置の組み付け構造は、組み付け部とフードロック装置とが車幅方向に相対移動可能な態様で、嵌合力を利用してフードロック装置を組み付け部に仮組みするように構成された少なくとも１つの仮組み部を有する。

Description

フードロック装置の組み付け構造

　本開示は、フードロック装置の組み付け構造に関するものである。

　自動車などの車両に、エンジンルームを開閉するフードと、同フードを閉状態でロックするフードロック装置とを設けることが多用されている。フードロック装置は、車両前部の上縁に設けられている。例えば、フードロック装置は、ラジエータコアサポートのアッパーの上縁に設けられている。フードロック装置は、フード下面に突設されたフック状のフードストライカーを引っ掛けて係止するようになっている。

　ここで、フードロック装置による適正なロックを実現するために、同フードロック装置の組み付け位置を調整することが提案されている（例えば特許文献１）。
　特許文献１では、フードロック装置の固定用のブラケットが、ラジエータコアサポートに溶接（接合）されている。そして、ラジエータコアサポートに対するブラケットの接合位置を調節することによって、フードロック装置の位置調整がなされる。

　この特許文献１では、フードロック装置を組み付ける作業が例えば以下のように行われる。先ず、フードロック装置にフードストライカーが適正に係合するように、ラジエータコアサポートに対するフードロック装置（詳しくは、ブラケット）の位置が調整される。そして、このブラケットが作業者によって把持される等して同ブラケットが位置調整された状態のままで保持されるとともに、ブラケットがラジエータコアサポートにスポット溶接によって固定される。その後、フードロック装置がブラケットを介してラジエータコアサポートに固定される。このようにフードロック装置をラジエータコアサポートに組み付けることにより、同フードロック装置によってフードを閉状態でロックすることが可能になる。

特開２０１２－１２６３０９号公報

　上述したフードロック装置の組み付け構造では、同フードロック装置の組み付けにかかる一連の作業が煩雑な作業になってしまう。
　本開示の目的は、組み付け作業を容易に行うことのできるフードロック装置の組み付け構造を提供することにある。

　本開示の一態様によれば、フードロック装置の組み付け構造が提供される。前記フードロック装置は、車両本体に設けられた組み付け部に固定されるように構成されるとともに、車両のフードの内面に突設されたフードストライカーとの係合を通じて前記フードを閉状態でロックするように構成される。前記フードロック装置の前記組み付け構造は、前記組み付け部と前記フードロック装置とが車幅方向に相対移動可能な態様で、嵌合力を利用して前記フードロック装置を前記組み付け部に仮組みするように構成された少なくとも１つの仮組み部を有する。

第１実施形態のフードロック装置の組み付け構造が適用される車両の正面図。第１実施形態のフードロック装置およびその周辺の正面図。第１実施形態のフードロック装置およびその周辺の分解斜視図。第１実施形態にかかる固定部およびその周辺の側断面図。第１実施形態のフードロック装置の位置調整時におけるフードロック装置のベースとフードストライカーとの位置関係の一例を示す正面図。第２実施形態のフードロック装置およびその周辺の斜視図。第２実施形態にかかる固定部およびその周辺の側断面図。第３実施形態のフードロック装置およびその周辺の斜視図。第３実施形態にかかる固定部およびその周辺の側断面図。第４実施形態のフードロック装置およびその周辺の斜視図。第４実施形態の係合片およびその周辺の平面図。第４実施形態のフードロック装置およびその周辺の分解斜視図。第４実施形態にかかる固定部およびその周辺の側断面図。第５実施形態のフードロック装置およびその周辺の斜視図。第５実施形態のフードロック装置およびその周辺の分解斜視図。第５実施形態にかかる固定部およびその周辺の側断面図。第６実施形態のフードロック装置およびその周辺の分解斜視図。第６実施形態のフードロック装置およびその周辺の斜視図。第７実施形態のフードロック装置およびその周辺の分解斜視図。第７実施形態のフードロック装置およびその周辺の斜視図。第８実施形態のフードロック装置およびその周辺の斜視図。第８実施形態のフードロック装置およびその周辺の分解斜視図。（ａ）および（ｂ）第８実施形態にかかるポケット部およびその周辺の平断面図。第９実施形態のフードロック装置およびその周辺の正面図。第９実施形態のフードロック装置およびその周辺の分解斜視図。第９実施形態の左側嵌合凸部およびその周辺を拡大して示す斜視図。第９実施形態の嵌合凸部およびその周辺を拡大して示す側断面図。第９実施形態のフードロック装置の位置調整時におけるフードロック装置のベースとフードストライカーとの位置関係の一例を示す正面図。第１０実施形態のフードロック装置およびその周辺の正面図。第１０実施形態の右側嵌合凸部およびその周辺を拡大して示す斜視図。第１１実施形態の右側嵌合凸部およびその周辺を拡大して示す斜視図。第１１実施形態のフードロック装置およびその周辺の分解斜視図。

　（第１実施形態）
　以下、第１実施形態にかかるフードロック装置の組み付け構造について図１～図５を参照して説明する。すなわち、第１実施形態にかかる、フードロック装置を含む組み付けシステムについて図１～図５を参照して説明する。以降の説明において、車幅方向、車両上下方向、車両前後方向、車両右側および車両左側、車両上方側および車両下方側は、フードロック装置が車両に取り付けられた状態での向きを意味する。

　図１に示すように、車両１０にはエンジンルーム１１を開閉するフード１２が取り付けられている。フード１２は、エンジンルーム１１後部の上縁に、ヒンジ（図示略）を介して揺動可能に支持されている。フード１２の内面にはフードストライカー１３が突設されている。フードストライカー１３は、上記フード１２が閉じられた状態で車両前後方向（以下、単に前後方向）に延びるとともにＵ字状で下方に突出するフック部１３Ａを有している。

　車両１０の前部には、略四角枠状をなすラジエータコアサポート１４が設けられている。ラジエータコアサポート１４の上部を構成するアッパー２０は合成樹脂材料によって形成されており、同ラジエータコアサポート１４におけるアッパー２０以外の部分は金属材料によって形成されている。

　図１および図２に示すように、アッパー２０の前面にはフードロック装置３０が固定されている。フード１２が閉じられたときに、フードストライカー１３のフック部１３Ａがフードロック装置３０の内部に進入し、フードロック装置３０がフック部１３Ａを引っ掛かけて係止する。このようにフードストライカー１３をフードロック装置３０に係止することにより、フード１２が閉状態でロックされる。

　以下、フードロック装置３０の具体構造について説明する。
　図２にフードロック装置３０を正面視で示す。図２および図３に示すように、フードロック装置３０は、正面視で略五角形状のベース３１を有している。ベース３１は、金属板を曲げ加工することによって形成されており、上下方向に延びるとともに同ベース３１の上端で開口するように切り欠かかれた部分（切り欠き部３１Ａ）を有している。切り欠き部３１Ａは、対向する内面の間隔が車両上方（以下、単に上方）に向かうに連れて広くなる形状になっている。フード１２を閉じる際には、図２中に黒塗りの矢印で示すように、フードストライカー１３のフック部１３Ａが、上端の開口から切り欠き部３１Ａの内部に進入するようになる。

　図２に示すように、フードロック装置３０はラッチ３２を有している。ラッチ３２は、前後方向に延びる直線Ｌ１を中心に回転可能な状態でベース３１に支持されており、正面視で時計回り方向に常時付勢されている。このラッチ３２は、外縁で開口するように切り欠かれた部分（切り欠き部３２Ａ）を有している。

　フード１２が開かれた状態（開状態）では、正面視でラッチ３２の切り欠き部３２Ａの開口端が上記ベース３１の切り欠き部３１Ａ内に位置している。この開状態においてフードロック装置３０は、フード１２の閉じ操作に際してフードストライカー１３のフック部１３Ａがベース３１の切り欠き部３１Ａに進入したときに、同フック部１３Ａがラッチ３２の切り欠き部３２Ａ内に進入する状態になっている。そして、フード１２が閉じられると、フードストライカー１３のフック部１３Ａがラッチ３２の切り欠き部３２Ａ内に進入し、これに伴って同ラッチ３２が正面視で反時計回り方向に回転するようになる。その結果、正面視でラッチ３２の切り欠き部３２Ａの開口端がベース３１の切り欠き部３１Ａの外部に位置した状態（図２に示す状態）になる。そのため、フード１２が閉じられた状態（閉状態）では、フードストライカー１３のフック部１３Ａが、正面視でベース３１の切り欠き部３１Ａの内面とラッチ３２の切り欠き部３２Ａの内面とによって囲まれた部分に嵌まった状態（図２に示す状態）になる。そして、こうした閉状態では、ラッチ３２の回転が規制されるようになっている。このようにしてフード１２は閉状態でロックされる。

　図２および図３に示すように、フードロック装置３０はキャッチ３３を有している。キャッチ３３は、前後方向に延びる直線Ｌ２（図２）を中心に回転可能な状態でベース３１に支持されており、正面視で時計回り方向に常時付勢されている。

　キャッチ３３は、回転中心Ｌ２の車両右側（以下、単に右側）に配置されるとともに、上下方向に延びるアーム部３４を有している。このアーム部３４の上端には、車両左側（以下、単に左側）に向けて鉤状に曲がった部分であるフック部３４Ａが設けられている。このフック部３４Ａの上端面３４Ｂは、同フック部３４Ａの突端（図２の右端）に向かうに連れて下方側の位置になるように傾斜した傾斜面になっている。

　また、キャッチ３３は、回転中心Ｌ２の左側に配置されて上下方向に延びるレバー部３５を有している。このレバー部３５はフード１２を開く際に上方に操作される操作部材であり、このレバー部３５が操作されると、キャッチ３３が正面視で反時計回り方向に回転する。

　レバー部３５が操作されていないときには、アーム部３４のフック部３４Ａが正面視でベース３１の切り欠き部３１Ａの上部開口を塞いだ状態（図２に示す状態）になる。フード１２が閉じ操作されると、アーム部３４のフック部３４Ａの上端面３４Ｂにフードストライカー１３のフック部１３Ａが当接するようになる。このときフードストライカー１３のフック部１３Ａによって右側に押し退けられるようにして、アーム部３４（フック部３４Ａ）が正面視で反時計回り方向に回転する。そして、フードストライカー１３のフック部１３Ａがベース３１の切り欠き部３１Ａ内に進入するようになる。

　一方、フード１２を開く際にはキャッチ３３のレバー部３５が上方に操作される。これにより、キャッチ３３が正面視で反時計回り方向に回転して、アーム部３４のフック部３４Ａが正面視でベース３１の切り欠き部３１Ａと重ならない位置に移動する。その結果、キャッチ３３のフック部３４Ａによって遮られることなく、ベース３１の切り欠き部３１Ａ内からフードストライカー１３のフック部１３Ａを脱出させることが可能になるため、フード１２を開状態にすることが可能になる。

　以下、フードロック装置３０をアッパー２０に組み付けるための構造について説明する。
　フードロック装置３０は、アッパー２０に固定される部分である３つの固定部３６，３７，３８を有している。具体的には、ベース３１の右側部には右側に突出する右側固定部３６が設けられており、ベース３１の左側部には左側に突出する左側固定部３７が設けられており、ベース３１の下部には下方に突出する下側固定部３８が設けられている。これら固定部３６，３７，３８の各々は、上下方向および車幅方向に延びる略平板状をなすとともに、車幅方向に延びる長穴状の挿通孔３９を有している。また、右側固定部３６および左側固定部３７の各々は、対応する先端部分を除き、一定の幅を有し、車幅方向において直線状に延びている。第１実施形態では、これら右側固定部３６および左側固定部３７が、一対の係合片に挟持される係合部に相当する。

　アッパー２０には、雌ねじを有するブラインドナット２２が３つ設けられている。３つのブラインドナット２２は、上記フードロック装置３０の固定部３６，３７，３８の挿通孔３９にそれぞれ対応する。フードロック装置３０をアッパー２０に固定する際には、３本のボルト１５（図３）が固定部３６，３７，３８の挿通孔３９にそれぞれ挿通されるとともに、３つのブラインドナット２２にそれぞれ螺合される。これにより、フードロック装置３０がアッパー２０に締結固定される。

　図２～図４に示すように、アッパー２０の前面における上記右側固定部３６に対応する位置には、一対の右側係合片２３が、同右側固定部３６を間に挟むように立設されている。また、アッパー２０の前面における上記左側固定部３７に対応する位置には、一対の左側係合片２４が、同左側固定部３７を間に挟むように立設されている。一対の右側係合片２３は、前後方向および車幅方向に延びる略平板状で、上下方向に間隔を置いて平行に延びている。一対の左側係合片２４は、前後方向および車幅方向に延びる略平板状で、上下方向に間隔を置いて平行に延びている。一対の右側係合片２３のうち、上方側の係合片２３よりも下方側の係合片２３が厚くなっている。一対の左側係合片２４のうち、上方側の係合片２４よりも下方側の係合片２４が厚くなっている。一対の右側係合片２３の基端部分における上下方向の間隔は右側固定部３６の上下方向の長さと略同一になっている。また、一対の左側係合片２４の基端部分における上下方向の間隔は左側固定部３７の上下方向の長さと略同一になっている。一対の右側係合片２３の並び方向における一対の右側係合片２３の各々の外方側の面には複数のリブ２５が一体形成されている。一対の左側係合片２４の並び方向における一対の左側係合片２４の各々の外方側の面には複数のリブ２５が一体形成されている。複数のリブ２５の各々は、前後方向および上下方向に延びる。

　一対の右側係合片２３はそれぞれ対向面を有し、これら対向面が互いに対向している。一対の左側係合片２４はそれぞれ対向面を有し、これら対向面が互いに対向している。上方側の右側係合片２３の対向面、下方側の右側係合片２３の対向面、上方側の左側係合片２４の対向面、および下方側の左側係合片２４の対向面の各々には、車幅方向に延びる凸部である引っ掛け部２６が設けられている。図４に示すように、引っ掛け部２６は各係合片２３，２４の対向面の先端側領域に設けられ、各係合片２３，２４の対向面の基端側領域とそれに対応する引っ掛け部２６との間には段差が存在する。また、引っ掛け部２６の突端面２６Ａは傾斜面になっている。具体的には、引っ掛け部２６の基端部から先端部に向かうに連れて同引っ掛け部２６の突出量が小さくなる。よって、互いに対向する２つの引っ掛け部２６の間隔は、引っ掛け部２６の基端部から先端部に向かうに連れて大きくなる。

　なお第１実施形態では、右側固定部３６、右側係合片２３、左側固定部３７、および左側係合片２４が、嵌合力を利用してフードロック装置３０をアッパー２０に仮組みする仮組み部に相当する。

　以下、フードロック装置３０のアッパー２０への組み付けにかかる一連の作業について、その作用効果とともに詳細に説明する。
　フードロック装置３０をアッパー２０に組み付ける際には、先ず、アッパー２０前面の右側係合片２３にフードロック装置３０の右側固定部３６が嵌められるとともに、アッパー２０前面の左側係合片２４にフードロック装置３０の左側固定部３７が嵌められる。詳しくは、図４に示すように、一対の係合片２３，２４を押し開くように弾性変形させつつ、一対の右側係合片２３の間に右側固定部３６が押し込まれ、一対の左側係合片２４の間に左側固定部３７が押し込まれる。このとき図４中に白抜きの矢印で示すように、上方側の係合片２３，２４が上方に曲がるように弾性変形するとともに下方側の係合片２３，２４が下方に曲がるように弾性変形するようになる。そして、固定部３６，３７が係合片２３，２４の引っ掛け部２６を通過すると、係合片２３，２４が弾性変形から復元して、係合片２３，２４の引っ掛け部２６が固定部３６，３７の前面における外縁に引っ掛かる。これにより、一対の係合片２３，２４によって固定部３６，３７が挟持された状態になる。すなわち、右側固定部３６が一対の右側係合片２３の間から外れて脱落したり、左側固定部３７が一対の左側係合片２４の間から外れて脱落したりすることが抑えられる状態になる。

　このように第１実施形態によれば、右側固定部３６を一対の右側係合片２３の間に嵌め、左側固定部３７を一対の左側係合片２４の間に嵌めるといった簡単な作業を通じて、フードロック装置３０をアッパー２０に仮組みすることができる。

　第１実施形態では、一対の右側係合片２３のうち、上方側の係合片２３よりも下方側の係合片２３が厚くなっている。一対の左側係合片２４のうち、上方側の係合片２４よりも下方側の係合片２４が厚くなっている。これにより、上方側の係合片２３，２４を薄くして変形し易くすることができるため、右側固定部３６を一対の右側係合片２３の間に嵌め、左側固定部３７を一対の左側係合片２４の間に嵌める作業をスムーズに行うことができる。また、下方側の係合片２３，２４を厚くして比較的変形し難くすることができるため、下方側の係合片２３，２４によって固定部３６，３７を適正に支持することができる。

　また第１実施形態では、フードロック装置３０の右側の部分に一対の右側係合片２３と右側固定部３６とが設けられており、フードロック装置３０の左側の部分に一対の左側係合片２４と左側固定部３７とが設けられている。そのため、フードロック装置３０がアッパー２０に仮組みされたときに、同フードロック装置３０の両側部がアッパー２０に支持されるようになる。したがって、フードロック装置３０をアッパー２０によって安定した状態で支持することができる。

　なお、このようにしてフードロック装置３０をアッパー２０に仮組みした状態で、アッパー２０を、車両１０の組み立てを行う組立工場に納品するべく搬送したり、組立工場内における次工程の作業場に搬送したりすることが想定される。第１実施形態によれば、フードロック装置３０の各固定部３６，３７とアッパー２０の対応する一対の係合片２３，２４との係合を通じて、フードロック装置３０がアッパー２０に取り付けられている。そのため、フードロック装置３０を仮組みした状態でのアッパー２０の搬送に際して、同フードロック装置３０がアッパー２０から外れて脱落することが抑えられるようになる。

　また第１実施形態では、一対の右側係合片２３の基端側領域における上下方向の間隔が右側固定部３６の上下方向の長さと略同一になっており、一対の左側係合片２４の基端側領域における上下方向の間隔が左側固定部３７の上下方向の長さと略同一になっている。そのため、フードロック装置３０がアッパー２０に仮組みされているとき、同フードロック装置３０はアッパー２０に対して車幅方向にスライド移動可能になっている。

　なお第１実施形態では、一対の右側係合片２３の間から右側固定部３６の脱落を抑えることと、一対の左側係合片２４の間から左側固定部３７の脱落を抑えることと、係合片２３，２４に対する固定部３６，３７の相対移動を許容することとが満たされるように、係合片２３，２４および固定部３６，３７の形状が定められている。

　次に、アッパー２０に組み付けられたフードロック装置３０の位置である、フードロック装置３０の組み付け位置の調整が行われる。具体的には、車両１０に固定されたアッパー２０にフードロック装置３０を仮組みした状態で、フード１２が閉じられる。

　この場合には先ず、フードストライカー１３のフック部１３Ａがキャッチ３３のフック部３４Ａの上端面３４Ｂに突き当たる。フック部３４Ａの上端面３４Ｂは、突端に向かうに連れて下方に向かって延びる傾斜面になっている。そのため、フードストライカー１３のフック部１３Ａが上端面３４Ｂに突き当たるとき、フードストライカー１３のフック部１３Ａによる押圧によって、キャッチ３３は正面視で反時計回り方向に回動するようになる。これにより、フードストライカー１３のフック部１３Ａは、キャッチ３３のフック部３４Ａを押し退けるようにして、ベース３１の切り欠き部３１Ａの内部に進入するようになる。

　図５は、フードロック装置３０の仮組み位置が左側（図５の右側）にずれている場合における同フードロック装置３０のベース３１とフードストライカー１３のフック部１３Ａとの位置関係を示している。図５に示すように、この場合には、フードストライカー１３のフック部１３Ａがベース３１の切り欠き部３１Ａの内面のうちの右側（図５の左側）の面に当接するようになる。ここで、上述したようにフードロック装置３０は、アッパー２０に仮組みされている状態であっても、同アッパー２０に対して車幅方向に移動可能になっている。そのため、フードストライカー１３のフック部１３Ａが切り欠き部３１Ａの内面（詳しくは、右側の面）に当接することによって切り欠き部３１Ａの内面が押圧されると、図５中に黒塗りの矢印で示すように、フードロック装置３０がアッパー２０に対して右側に相対移動するようになる。一方、フードロック装置３０の仮組み位置が右側にずれている場合には、フードストライカー１３のフック部１３Ａが切り欠き部３１Ａの内面のうちの左側の内面に当接して同内面が押圧されて、同フードロック装置３０がアッパー２０に対して左側に移動するようになる。他方、フードロック装置３０の仮組み位置が許容範囲内である場合には、フード１２を閉じたときに、フードロック装置３０はアッパー２０に対して相対移動しない。

　このように、フードロック装置３０をアッパー２０に仮組みした状態でフード１２を閉じることにより、同フードロック装置３０の車幅方向の位置が、上記ベース３１の切り欠き部３１Ａへの上記フードストライカー１３のフック部１３Ａのスムーズな進入を妨げることのない位置になる。

　その後、フードロック装置３０がアッパー２０に固定される。具体的には、３本の固定用のボルト１５（図３）が、フードロック装置３０の固定部３６，３７，３８の挿通孔３９にそれぞれ挿通されるとともに、アッパー２０のブラインドナット２２にそれぞれ螺合される。これにより、フードロック装置３０がアッパー２０に締結固定される。なお第１実施形態では、ボルト１５によるフードロック装置３０の締結固定を、フード１２を閉状態でロックした状態のままで行うことが可能になっている。

　第１実施形態によれば、アッパー２０の一対の右側係合片２３の間に右側固定部３６を嵌め、アッパー２０の一対の左側係合片２４の間に左側固定部３７を嵌めるといった作業を通じて同フードロック装置３０をアッパー２０に仮組みすることができる。これにより、フードロック装置３０がアッパー２０に固定される前に、同フードロック装置３０がアッパー２０によって支持された状態にすることができる。しかも、この仮組み状態において、フードロック装置３０をアッパー２０に対して相対移動させるといった作業を通じて、同フードロック装置３０の車幅方向の位置を調節することもできる。このように第１実施形態によれば、フードロック装置３０を仮組みする作業と位置調整する作業とを容易に行うことができるため、フードロック装置３０の組み付け作業を容易に行うことができる。

　第１実施形態では、ラジエータコアサポート１４のアッパー２０が合成樹脂材料によって形成されている。一般に、合成樹脂製のアッパー２０は、金属製のアッパーと比較して、製造誤差が大きくなり易い。そのため、そうした合成樹脂製のアッパー２０にフードロック装置３０が固定される第１実施形態の組み付け構造では、同フードロック装置３０とフードストライカー１３との相対位置のずれが生じる可能性がある。第１実施形態によれば、合成樹脂製のアッパー２０にフードロック装置３０が固定される組み付け構造において、フードロック装置３０の車幅方向の位置調節を行いつつ、同フードロック装置３０の組み付け作業を容易に行うことができる。

　以上説明したように、第１実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
　（１）フードロック装置３０をアッパー２０に仮組みする作業とフードロック装置３０を位置調整する作業とを容易に行うことができるため、フードロック装置３０の組み付け作業を容易に行うことができる。

　（２）フードロック装置３０がアッパー２０に仮組みされたときに、同フードロック装置３０の両側部がアッパー２０によって支持されるため、フードロック装置３０をアッパー２０によって安定した状態で支持することができる。

　（３）右側固定部３６を一対の右側係合片２３の間に嵌め、左側固定部３７を一対の左側係合片２４の間に嵌めるといった簡単な作業を通じて、アッパー２０とフードロック装置３０とが車幅方向に相対移動可能な態様で同フードロック装置３０をアッパー２０に仮組みすることができる。

　（４）合成樹脂製のアッパー２０にフードロック装置３０が固定される組み付け構造において、フードロック装置３０の車幅方向の位置調節を行いつつ、同フードロック装置３０の組み付け作業を容易に行うことができる。

　（第２実施形態）
　以下、第２実施形態にかかるフードロック装置の組み付け構造について、第１実施形態との相違点を中心に、図６および図７を参照して説明する。なお以下では、第１実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。

　第２実施形態と第１実施形態とはアッパーの係合片の形状のみが異なる。
　以下、第２実施形態の係合片の形状について説明する。
　図６および図７に示すように、アッパー４０の前面における上記右側固定部３６に対応する位置には、同右側固定部３６を間に挟むように一対の右側係合片４１が立設されている。また、アッパー４０の前面における上記左側固定部３７に対応する位置には、同左側固定部３７を間に挟むように一対の左側係合片４５が立設されている。

　一対の右側係合片４１は、前後方向および車幅方向に延びる板状をなすとともに、上下方向に間隔を置いて平行に延びている。一対の左側係合片４５は、前後方向および車幅方向に延びる板状をなすとともに、上下方向に間隔を置いて平行に延びている。また、一対の右側係合片４１および一対の左側係合片４５の各々は、車幅方向から見て断面Ｓ字状で延びている。すなわち、一対の右側係合片４１の基端側領域（図７の左側の領域）における間隔が一対の右側係合片４１の先端側領域（図７の右側の領域）における間隔よりも広くなっている。同様に、一対の左側係合片４５の基端側領域における間隔が一対の左側係合片４５の先端側領域における間隔よりも広くなっている。

　一対の右側係合片４１の先端部における間隔は右側固定部３６の上下方向の長さと略同一になっており、一対の左側係合片４５の先端部における間隔は左側固定部３７の上下方向の長さと略同一になっている。一対の右側係合片４１のうち、上方側の係合片４１よりも下方側の係合片４１が厚くなっている。一対の左側係合片４５のうち、上方側の係合片４５よりも下方側の係合片４５が厚くなっている。また、一対の右側係合片４１の並び方向における一対の右側係合片４１の各々の外方側の面には複数のリブ４６が一体形成されている。一対の左側係合片４５の並び方向における一対の左側係合片４５の各々の外方側の面には複数のリブ４６が一体形成されている。複数のリブ４６の各々は、前後方向および上下方向に延びる。

　また、一対の右側係合片４１の対向面、および一対の左側係合片４５の対向面にはそれぞれ、車幅方向に延びる凸部（引っ掛け部４７）が設けられている。図７に示すように、引っ掛け部４７は各係合片４１，４５の対向面の先端側領域に設けられ、各係合片４１，４５の対向面の基端側領域とそれに対応する引っ掛け部４７との間には段差が存在する。また、各引っ掛け部４７の突端面４７Ａは先端に向かうに連れて同引っ掛け部４７の突出量が小さくなるように傾斜した傾斜面になっている。

　なお第２実施形態では、右側固定部３６、右側係合片４１、左側固定部３７、および左側係合片４５が、嵌合力を利用してフードロック装置３０をアッパー４０に仮組みする仮組み部に相当する。

　以上説明した第２実施形態によれば、先の（１）～（４）に記載した効果と同様の効果に加えて、以下の（５）に記載する作用効果が得られるようになる。
　（５）第２実施形態では、一対の右側係合片４１および一対の左側係合片４５は、車幅方向から見て断面Ｓ字状である。そのため、係合片が平板状である場合と比較して、係合片４１，４５における撓む部分を長くすることができ、それら係合片４１，４５を撓み易くすることができる。したがって、フードロック装置３０をアッパー４０に仮組みするに際して、一対の係合片４１，４５を押し開くようにして一対の右側係合片４１の間に右側固定部３６を嵌め、一対の左側係合片４５の間に左側固定部３７を嵌める作業をスムーズに行うことができる。

　（第３実施形態）
　以下、第３実施形態にかかるフードロック装置の組み付け構造について、第１実施形態との相違点を中心に、図８および図９を参照して説明する。なお以下では、第１実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。

　第３実施形態と第１実施形態とは、フードロック装置の右側固定部および左側固定部の形状が異なる。
　以下、第３実施形態の右側固定部および左側固定部の形状について説明する。

　図８および図９に示すように、フードロック装置５０のベース３１の右側部には右側に突出する右側固定部５１が設けられており、ベース３１の左側部には左側に突出する左側固定部５２が設けられている。右側固定部５１および左側固定部５２は、車幅方向に延びる板状をなしている。詳しくは、右側固定部５１および左側固定部５２は、上下方向に平板状で延びるベース壁５３と、同ベース壁５３の上端から前方に向けて立設される上壁５４と、ベース壁５３の下端から前方に向けて立設される下壁５５とが一体に形成された形状をなしている。右側固定部５１及び左側固定部５２の各々において、対応するベース壁５３と対応する上壁５４との境界部分と、対応するベース壁５３と対応する下壁５５との境界部分とは、湾曲した形状になっている。すなわち、各固定部５１，５２は、アッパー２０に近い端面（図９の左側の端面）を有し、各固定部５１，５２の端面における上方側の部分と下方側の部分とが、同アッパー２０から離間するように湾曲した面になっている。各固定部５１，５２の端面は、フードロック装置５０をアッパー２０に仮組みするときにアッパー２０に対向する。

　なお第３実施形態では、右側固定部５１、右側係合片２３、左側固定部５２、および左側係合片２４が、嵌合力を利用してフードロック装置５０をアッパー２０に仮組みする仮組み部に相当する。

　以上説明した第３実施形態によれば、先の（１）～（４）に記載した効果と同様の効果に加えて、以下の（６）に記載する作用効果が得られるようになる。
　（６）フードロック装置５０を仮組みする際には、一対の係合片２３，２４を押し開くように弾性変形させつつ、一対の右側係合片２３の間に右側固定部５１が押し込まれ、一対の左側係合片２４の間に左側固定部５２が押し込まれる。このとき図９中に白抜きの矢印で示すように、上方側の係合片２３，２４が上方に曲がるように弾性変形するとともに下方側の係合片２３，２４が下方に曲がるように弾性変形するようになる。第３実施形態では、固定部５１，５２の各々におけるアッパー２０に近い端面における上方側の部分と下方側の部分とが、同アッパー２０から離間するように湾曲した面になっている。そのため、このとき一対の係合片２３，２４の内面（詳しくは、引っ掛け部２６の突端面２６Ａ）には固定部５１，５２の上下端の湾曲面が当接するようになる。これにより、固定部５１，５２の上端および下端が係合片２３，２４の内面に引っ掛かり難くなるため、一対の右側係合片２３の間に右側固定部５１を嵌め、一対の左側係合片２４の間に左側固定部５２を嵌める作業をスムーズに行うことができる。

　（第４実施形態）
　以下、第４実施形態にかかるフードロック装置の組み付け構造について、第１実施形態との相違点を中心に、図１０～図１３を参照して説明する。なお以下では、第１実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。

　第４実施形態と第１実施形態とは、フードロック装置の右側固定部および左側固定部の形状とアッパーの係合片の形状とが異なる。
　以下、第４実施形態の固定部および係合片の形状について説明する。

　ここでは先ず、第４実施形態の右側固定部および左側固定部について説明する。
　図１０～図１３に示すように、フードロック装置６０のベース３１の右側部には右側に突出する右側固定部６１が設けられており、ベース３１の左側部には左側に突出する左側固定部６２が設けられている。右側固定部６１および左側固定部６２は、車幅方向に延びる板状をなしている。詳しくは、右側固定部６１および左側固定部６２は、上下方向に延びる平板状のベース壁６３と、同ベース壁６３の上端から後方に向けて立設される上部アーム６４と、ベース壁６３の下端から後方に向けて立設される下部アーム６５とを有している。上部アーム６４および下部アーム６５は、車幅方向および前後方向に延びる板状をなして平行に延びている。上部アーム６４および下部アーム６５の各々には、車幅方向に延びる長穴状の貫通孔（係合孔６６）が設けられている。

　次に、第４実施形態のアッパー７０の右側係合片７１および左側係合片７２、ならびにその周辺構造について説明する。
　アッパー７０における上記右側固定部６１の各アーム６４，６５に対応する位置には、それぞれ、車幅方向に延びる貫通孔（スリット７３）が形成されている。また、アッパー７０における上記左側固定部６２の各アーム６４，６５に対応する位置にも、それぞれ、車幅方向に延びる貫通孔（スリット７３）が形成されている。各スリット７３の幅は対応するアーム６４，６５の厚さよりも若干大きくなっており、各スリット７３の長さは対応するアーム６４，６５の車幅方向における長さよりも長くなっている。そして、フードロック装置６０をアッパー７０に組み付ける際には、これらスリット７３の各々に対応するアーム６４，６５が挿入される。

　アッパー７０の後面における上記右側固定部６１に対応する位置には、一対の右側係合片７１が立設されている。同右側固定部６１の上部アーム６４の上面と下部アーム６５の下面とが、一対の右側係合片７１間に挟まれる。また、アッパー７０の後面における上記左側固定部６２に対応する位置には、一対の左側係合片７２が立設されている。同左側固定部６２の上部アーム６４の上面と下部アーム６５の下面とが、一対の左側係合片７２間に挟まれる。

　一対の右側係合片７１は、前後方向および車幅方向に延びる略平板状をなして平行に延びている。一対の左側係合片７２は、前後方向および車幅方向に延びる略平板状をなして平行に延びている。一対の右側係合片７１の対向面の間隔は、右側固定部６１の上部アーム６４の上面および下部アーム６５の下面の間隔と略同一になっている。また、一対の左側係合片７２の対向面の間隔は、左側固定部６２の上部アーム６４の上面および下部アーム６５の下面の間隔と略同一になっている。一対の右側係合片７１の各々はバネ部７５を有し、バネ部７５は、Ｕ字状で延びる貫通孔７４（図１１）によって３方向（後方側、右側、左側）から囲まれている。一対の左側係合片７２の各々はバネ部７５を有し、Ｕ字状で延びる貫通孔７４によって３方向（後方側、右側、左側）から囲まれている。このバネ部７５は、バネ部７５を囲む周縁部分に対して上下方向に揺動する態様で弾性変形可能になっている。各バネ部７５における前記係合孔６６に対向する位置にはそれぞれ、略半球状で突出する係合突起７６（図１１参照）が設けられている。

　なお第４実施形態では、右側固定部６１、右側係合片７１、左側固定部６２、および左側係合片７２が、嵌合力を利用してフードロック装置６０をアッパー７０に仮組みする仮組み部に相当する。

　以下、フードロック装置６０をアッパー７０に仮組みする作業について、その作用効果とともに詳細に説明する。
　図１３に示すように、フードロック装置６０をアッパー７０に仮組みする際には、右側固定部６１の上部アーム６４および下部アーム６５が、アッパー７０のスリット７３にそれぞれ挿入され、左側固定部６２の上部アーム６４および下部アーム６５が、アッパー７０のスリット７３にそれぞれ挿入される。これにより、図１３中に白抜きの矢印で示すように、一対の係合片７１，７２（詳しくは、そのバネ部７５）を押し開くように弾性変形させつつ、一対の右側係合片７１の間に右側固定部６１が押し込まれ、一対の左側係合片７２の間に左側固定部６２が押し込まれる。このときには上方側の係合片７１，７２のバネ部７５が上方に曲がるように弾性変形するとともに下方側の係合片７１，７２のバネ部７５が下方に曲がるように弾性変形するようになる。そして、各アーム６４，６５の係合孔６６が、対応するバネ部７５の係合突起７６に対応する位置になると、バネ部７５が弾性変形から復元する。これによって、各バネ部７５の係合突起７６が、対応するアーム６４，６５の係合孔６６に嵌まった状態（図１３に示す状態）になる。

　これにより、一対の係合片７１，７２によって固定部６１，６２（詳しくは、アーム６４，６５）が挟持された状態になるとともに、各アーム６４，６５の係合孔６６に対応するバネ部７５の係合突起７６が嵌まった状態になる。したがって、一対の右側係合片７１の間から右側固定部６１の脱落を抑えることと、一対の左側係合片７２の間から左側固定部６２の脱落を抑えることとが可能となる。

　このように第４実施形態によれば、右側固定部６１を一対の右側係合片７１の間に嵌め、左側固定部６２を一対の左側係合片７２の間に嵌めるといった簡単な作業を通じて、フードロック装置６０をアッパー７０に仮組みすることができる。

　図１０および図１２に示すように、第４実施形態では、各スリット７３の長さが、対応するアーム６４，６５の車幅方向の長さよりも長くなっている。このため、各アーム６４，６５が対応するスリット７３内部において車幅方向に相対移動可能になっている。また、各アーム部３４の係合孔６６が車幅方向に延びる長穴状になっている。このため、各バネ部７５の係合突起７６が対応するアーム６４，６５の係合孔６６内において車幅方向において相対移動可能になっている。したがって、このときフードロック装置６０がアッパー７０に仮組みされているとはいえ、同フードロック装置６０はアッパー７０に対して車幅方向にスライド移動可能になっている。

　第４実施形態では、一対の右側係合片７１の間から右側固定部６１の脱落を抑えることと、一対の左側係合片７２の間から左側固定部６２の脱落を抑えることと、係合片７１，７２に対する固定部６１，６２の相対移動を許容することとが満たされるように、係合片７１，７２やスリット７３、固定部６１，６２の形状が定められている。

　また第４実施形態では、固定部６１，６２が、上方側において前後方向に延びる上部アーム６４と、下方側において前後方向に延びる下部アーム６５と、上部アーム６４および下部アーム６５を繋ぐように上下方向に延びるベース壁６３とを有している。また、一対の右側係合片７１が、前後方向および車幅方向に延びる略平板状をなして平行に延びるとともに、右側固定部６１の上部アーム６４の上面と下部アーム６５の下面とを一対の右側係合片７１間に挟むように立設されている。一対の左側係合片７２が、前後方向および車幅方向に延びる略平板状をなして平行に延びるとともに、左側固定部６２の上部アーム６４の上面と下部アーム６５の下面とを一対の左側係合片７２間に挟むように立設されている。そのため、図１３に示すように、固定部６１，６２の外面（詳しくは、上部アーム６４の上面、下部アーム６５の下面）と一対の係合片７１，７２の内面とが面接触する構造にすることができる。これにより、一対の係合片７１，７２によって固定部６１，６２を安定した状態で支持することができる。

　以上説明した第４実施形態によれば、先の（１）～（４）に記載した効果と同様の効果に加えて、以下の（７）に記載する効果が得られるようになる。
　（７）固定部６１，６２の外面と一対の係合片７１，７２の内面とが面接触する構造にすることができるため、一対の係合片７１，７２によって固定部６１，６２を安定した状態で支持することができる。

　（第５実施形態）
　以下、第５実施形態にかかるフードロック装置の組み付け構造について、第１実施形態との相違点を中心に、図１４～図１６を参照して説明する。なお以下では、第１実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。

　第５実施形態と第１実施形態とは、フードロック装置の右側固定部および左側固定部の形状と、アッパーの形状とが異なる。
　以下、第５実施形態の右側固定部および左側固定部の形状やアッパーの形状について説明する。

　ここでは先ず、第５実施形態の右側固定部および左側固定部の形状について説明する。
　図１４～図１６に示すように、フードロック装置８０のベース３１の右側部には右側に突出する右側固定部８１が設けられており、ベース３１の左側部には左側に突出する左側固定部８２が設けられている。

　これら右側固定部８１および左側固定部８２の各々は、車幅方向および上下方向に延びる平板状のベース壁８３と、ベース壁８３の上端に突設される１つの下部アーム８４および２つの上部アーム８５とを有している。下部アーム８４は、ベース壁８３の上端から後方に向けて突設されており、車幅方向および前後方向に延びる板状をしている。下部アーム８４の突端部分は下方に向けて曲がっている。また、下部アーム８４には四角形状の貫通孔（係合孔８４Ａ）が設けられている。上部アーム８５は、ベース壁８３の上端において上記下部アーム８４を上部アーム８５間に挟むように、それぞれ設けられている。これら上部アーム８５はＬ字板状をなしている。詳しくは、上部アーム８５の基端部分は車幅方向および上下方向に延びる板状をなしており、上部アーム８５の先端部分は同基端部分の上端から後方に向けて突出して車幅方向および前後方向に延びる板状をなしている。上部アーム８５の先端部分は、下部アーム８４よりも上方において延びている。上部アーム８５の突端部分は上方に向けて曲がっている。

　次に、第５実施形態のアッパー９０の形状について説明する。
　アッパー９０は、上下方向および車幅方向に延びる板状の立壁部９１と、前後方向および車幅方向に延びる板状をなして同立壁部９１の上端から後方に向けて突設される上壁部９２とを有している。上壁部９２の下面における前記下部アーム８４の係合孔８４Ａに対向する位置には、四角形状の係合突起９２Ａが突設されている。この係合突起９２Ａの車幅方向の長さは、下部アーム８４の係合孔８４Ａの車幅方向の長さよりも短くなっている。

　アッパー９０の立壁部９１における上記右側固定部８１の下部アーム８４に対応する位置には、車幅方向に延びる貫通孔（スリット９３）が設けられている。また、アッパー９０の立壁部９１における上記左側固定部８２の下部アーム８４に対応する位置にも、車幅方向に延びる貫通孔（スリット９３）が設けられている。これらスリット９３は立壁部９１の面に沿って延びている。スリット９３の幅は下部アーム８４の厚さよりも大きくなっており、同スリット９３の長さは下部アーム８４の車幅方向の長さよりも長くなっている。そして、フードロック装置８０をアッパー９０に組み付ける際には、スリット９３に固定部８１，８２の下部アーム８４がそれぞれ挿入される。なお第５実施形態では、上部アーム８５および下部アーム８４が一対の係合片に相当し、上壁部９２が係合部に相当し、右側固定部８１、左側固定部８２、および上壁部９２が、嵌合力を利用してフードロック装置８０をアッパー９０に仮組みする仮組み部に相当する。

　以下、フードロック装置８０をアッパー９０に仮組みする作業について、その作用効果とともに説明する。
　図１６に示すように、フードロック装置８０をアッパー９０に仮組みする際には、各固定部８１，８２の上部アーム８５が上壁部９２の上面に沿って移動する態様で、各固定部８１，８２の下部アーム８４がスリット９３に挿入される。これにより、図１６中に白抜きの矢印で示すように、上部アーム８５および下部アーム８４を押し開くように弾性変形させつつ、２つの上部アーム８５と１つの下部アーム８４との間に上壁部９２が押し込まれる。このときには上部アーム８５が上方に曲がるように弾性変形するとともに下部アーム８４が下方に曲がるように弾性変形するようになる。そして、下部アーム８４の係合孔８４Ａが上壁部９２下面の係合突起７６に対向する位置になると、上壁部９２の係合突起９２Ａが下部アーム８４の係合孔６６に嵌まった状態（図１６に示す状態）になる。これにより、１つの下部アーム８４と２つの上部アーム８５との間に上壁部９２が挟持された状態になるとともに、下部アーム８４の係合孔８４Ａに上壁部９２の係合突起７６が嵌まった状態になる。したがって、固定部８１，８２がアッパー９０（詳しくは、上壁部９２）から外れて脱落することが抑えられる状態になる。

　このように第５実施形態によれば、各アーム８４，８５をアッパー９０（詳しくは、スリット９３および上壁部９２）に嵌めるといった簡単な作業を通じて、フードロック装置８０をアッパー９０に仮組みすることができる。

　第５実施形態では、スリット９３の長さが下部アーム８４の車幅方向の長さよりも長くなっているため、同スリット９３内部において下部アーム８４が車幅方向に相対移動可能になっている。また、下部アーム８４の係合孔８４Ａの車幅方向における長さが上壁部９２の係合突起９２Ａの車幅方向における長さよりも長くなっているため、同下部アーム８４の係合孔８４Ａ内部において上壁部９２の係合突起９２Ａが車幅方向において相対移動可能になっている。そのため、このときフードロック装置８０はアッパー９０に仮組みされているとはいえ、同アッパー９０に対して車幅方向にスライド移動可能になっている。

　第５実施形態では、アッパー９０からの固定部８１，８２の脱落を抑えることと、アッパー９０に対する固定部８１，８２の相対移動を許容することとが満たされるように、アーム８４，８５、スリット９３、および上壁部９２の形状が定められている。

　また第５実施形態では、下部アーム８４の先端部分と、上部アーム８５の先端部分と、上壁部９２とが、いずれも車幅方向および前後方向に延びる板状をなしている。そして、フードロック装置８０がアッパー９０に仮組みされると、下部アーム８４と上部アーム８５との間に上壁部９２が挟み込まれた状態になる。そのため、固定部８１，８２の各アーム８４，８５の内面（詳しくは、上部アーム８５の下面、下部アーム８４の上面）と上壁部９２の外面とが面接触する構造にすることが可能になる。第５実施形態では、下部アーム８４の上面と上壁部９２の下面とが面接触している。これにより、アッパー９０によって各固定部８１，８２を安定した状態で支持することができる。

　以上説明した第５実施形態によれば、先の（１）～（４）に記載した効果と同様の効果に加えて、以下の（８）に記載する作用効果が得られるようになる。
　（８）固定部８１，８２の下部アーム８４の上面とアッパー９０の上壁部９２の下面とが面接触する構造にすることができるため、アッパー９０によって固定部８１，８２を安定した状態で支持することができる。

　（第６実施形態）
　以下、第６実施形態にかかるフードロック装置の組み付け構造について、第１実施形態との相違点を中心に、図１７および図１８を参照して説明する。なお以下では、第１実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。

　第６実施形態と第１実施形態とはアッパーの形状のみが異なる。
　以下、第６実施形態のアッパーの形状について説明する。
　図１７および図１８に示すように、アッパー１００の前面における前記右側固定部３６に対応する位置には、同右側固定部３６を収容する右側ポケット１０１が立設されている。この右側ポケット１０１は、下側において車幅方向および前後方向に延びる板状の底壁１０２と、右側において上下方向および前後方向に延びる板状の右壁１０３と、前側において車幅方向および上下方向に延びる板状の前壁１０４とによって構成されている。

　また、アッパー１００の前面における前記左側固定部３７に対応する位置には、同左側固定部３７を収容する左側ポケット１０５が設けられている。左側ポケット１０５は、下側において車幅方向および前後方向に延びる板状の底壁１０６と、左側において上下方向および前後方向に延びる板状の左壁１０７と、前側において車幅方向および上下方向に延びる板状の前壁１０８とによって構成されている。

　右側ポケット１０１の右壁１０３と左側ポケット１０５の左壁１０７との間隔は、右側固定部３６の右端と左側固定部３７の左端との間隔よりも長くなっている。右側ポケット１０１の前壁１０４と右側ポケット１０１の前壁１０８とにはそれぞれ、略長方形状の貫通孔（挿通孔１０９）が形成されている。これら挿通孔１０９は、アッパー１００のブラインドナット２２の前方にあたる位置に設けられている。また、前壁１０４，１０８各々の挿通孔１０９の周縁は、凹部１０９Ａを形成している。凹部１０９Ａは、同挿通孔１０９の開口を上底とする略四角錘台状である。

　アッパー１００の前面における右側ポケット１０１の上方と左側ポケット１０５の上方とにはそれぞれ、係合突起１００Ａが突設されている。各係合突起１００Ａの下面は車幅方向および前後方向に延びる平面になっており、各係合突起１００Ａの突端面は下方に向かうに連れて同係合突起１００Ａの突出量が大きくなるように傾斜した傾斜面になっている。右側ポケット１０１の底壁１０２と右側ポケット１０１の上方の係合突起１００Ａの下面との間隔は右側固定部３６の上下方向の長さよりも長くなっている。また、左側ポケット１０５の底壁１０６と左側ポケット１０５の上方の係合突起１００Ａの下面との間隔は左側固定部３７の上下方向の長さよりも長くなっている。

　なお第６実施形態では、右側固定部３６、右側ポケット１０１、左側固定部３７、および左側ポケット１０５が、嵌合力を利用してフードロック装置３０をアッパー１００に仮組みする仮組み部に相当する。

　以下、フードロック装置３０をアッパー１００に組み付ける一連の作業について、その作用効果とともに詳細に説明する。
　フードロック装置３０をアッパー１００に仮組みする際には、右側ポケット１０１の内部に上方から右側固定部３６を進入させて、右側ポケット１０１に右側固定部３６が嵌められるとともに、左側ポケット１０５の内部に上方から左側固定部３７を進入させて、左側ポケット１０５に左側固定部３７が嵌められる。

　フードロック装置３０をアッパー１００に仮組みするときには各固定部３６，３７の後面が対応する係合突起１００Ａに当接してしまう。とはいえ、係合突起１００Ａの突端面が下方に向かうほど同係合突起１００Ａの突出量が大きくなるように傾斜した傾斜面になっている。これにより、各固定部３６，３７の後面が対応する係合突起１００Ａに引っ掛かり難い構造になっているため、各固定部３６，３７を対応するポケット１０１，１０５にスムーズに嵌めることができる。

　また、各ポケット１０１，１０５の内部に対応する固定部３６，３７を嵌める際には、ポケット１０１，１０５の前壁１０４，１０８が前方に倒れるように弾性変形するようになる。そして、各固定部３６，３７の上端が対応する係合突起１００Ａを通過すると、対応する前壁１０４，１０８が弾性変形から復元する。これによって、前壁１０４，１０８の内面によって固定部３６、３７が後方に押圧されるようになる。これにより、各固定部３６，３７は、アッパー１００の前面（詳しくは、ブラインドナット２２の前面）と対応するポケット１０１，１０５の内面との間に挟持された状態、すなわち対応するポケット１０１，１０５の内部に嵌まった状態になる。したがって、各固定部３６，３７が対応するポケット１０１，１０５内部から外れて脱落することが抑えられ得る。なお、仮にフードロック装置３０が上方にずれた場合であっても、固定部３６，３７の上端が係合突起１００Ａの下面に突き当たるようになるため、同フードロック装置３０がアッパー１００から脱落することが抑えられる。

　このように第６実施形態によれば、各固定部３６，３７を対応するポケット１０１，１０５の内部に嵌めるといった簡単な作業を通じて、フードロック装置３０をアッパー１００に仮組みすることができる。

　また第６実施形態では、右側ポケット１０１の右壁１０３と左側ポケット１０５の左壁１０７との間隔が右側固定部３６の右端と左側固定部３７の左端との間隔よりも長くなっている。これにより、各ポケット１０１，１０５の内部において固定部３６，３７が車幅方向に相対移動可能になっている。したがって、このときフードロック装置３０がアッパー１００に仮組みされているとはいえ、同フードロック装置３０はアッパー１００に対して車幅方向にスライド移動可能になっている。

　第６実施形態では、ポケット１０１，１０５内からの固定部３６，３７の脱出を抑えることとポケット１０１，１０５に対する固定部３６，３７の相対移動を許容することとが満たされるように、ポケット１０１，１０５および係合突起１００Ａの形状が定められている。

　フードロック装置３０をアッパー１００に組み付ける作業では、次に、車両１０に固定されたアッパー１００にフードロック装置３０を仮組みした状態でフード１２を閉じることによって、フードロック装置３０の組み付け位置の調整が行われる。

　その後、フードロック装置３０がアッパー１００に固定される。詳しくは、固定用のボルトが、フードロック装置３０の下側固定部３８の挿通孔３９に挿通されるとともに、アッパー１００のブラインドナット２２に螺合される。また、別のボルトが、右側ポケット１０１の前壁１０４の挿通孔１０９と右側固定部３６の挿通孔３９とに挿通されるとともに、アッパー１００のブラインドナット２２に挿通される。さらに、別のボルトが、左側ポケット１０５の前壁１０４の挿通孔１０９と左側固定部３７の挿通孔３９とに挿通されるとともに、アッパー１００のブラインドナット２２に挿通される。

　第６実施形態では、各前壁１０４，１０８の挿通孔１０９の周縁が、同挿通孔１０９の開口を上底とする略四角錘台状で窪んだ凹部１０９Ａになっている。そのため、前壁１０４，１０８の挿通孔１０９の各々にボルトを挿通する際に、同ボルトの先端が凹部１０９Ａの内面によって挿通孔１０９の開口に案内されるようになる。したがって、ボルト締結によってフードロック装置３０をアッパー１００に固定する作業を容易に行うことができる。

　以上説明した第６実施形態によれば、先の（１）～（４）に記載した効果と同様の効果が得られるようになる。
　（第７実施形態）
　以下、第７実施形態にかかるフードロック装置の組み付け構造について、第１実施形態との相違点を中心に、図１９および図２０を参照して説明する。なお以下では、第１実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。

　第７実施形態と第１実施形態とはアッパーの形状のみが異なる。
　以下、第７実施形態のアッパーの形状について説明する。
　図１９および図２０に示すように、アッパー１１０の前面におけるフードロック装置３０に対応する位置には、一対の側壁（詳しくは、右側壁１１１および左側壁１１２）と一対の側壁１１１，１１２を繋ぐ前壁１１３とによって構成された門型の係合部１１４が突設されている。なお第７実施形態では、この係合部１１４が、嵌合力を利用してフードロック装置３０をアッパー１１０に仮組みする仮組み部に相当する。

　右側壁１１１は、フードロック装置３０のベース３１よりも右側の位置であって且つ右側固定部３６よりも下方側の位置で前後方向に延びている。また左側壁１１２は、フードロック装置３０のベース３１よりも左側の位置であって且つ左側固定部３７よりも下方側の位置で前後方向に延びている。これら右側壁１１１および左側壁１１２の車幅方向における間隔は、フードロック装置３０のベース３１の車幅方向における長さよりも長くなっている。そのため、フードロック装置３０をアッパー１１０に仮組みするべくアッパー１１０の係合部１１４内に嵌めたときには、ベース３１の外面と両側壁１１１，１１２の各々の内面との間に間隙が形成されるようになる。第７実施形態では、フードロック装置３０をアッパー１１０に仮組みする時においても、上記間隙の分だけ、アッパー１１０に対するフードロック装置３０の車幅方向への相対移動が可能になっている。

　前壁１１３は、両側壁１１１，１１２の突端同士を連結するように車幅方向に延びている。アッパー１１０の係合部１１４にフードロック装置３０が嵌められると、前壁１１３の右側部分の後面と左側部分の後面とがフードロック装置３０のベース３１の前面に接触した状態になる。第７実施形態では、こうした前壁１１３の後面とフードロック装置３０のベース３１の前面との接触を通じて、仮組み時における同フードロック装置３０の前後方向への移動が規制される。

　アッパー１１０は、フードロック装置３０の下方において前後方向および車幅方向に延びる板状の底壁部１１５を有している。この底壁部１１５の配設位置は、フードロック装置３０が正規の位置に組み付けられたときに同フードロック装置３０の下側固定部３８の端部が当接するようになる位置になっている。第７実施形態では、フードロック装置３０をアッパー１１０に仮組みするに際して同フードロック装置３０の下側固定部３８をアッパー１１０の底壁部１１５に当接させることにより、フードロック装置３０の上下方向の位置が定められる。

　第７実施形態では、フードロック装置３０をアッパー１１０に仮組みする作業が、係合部１１４の内部に上方からフードロック装置３０を挿入するといったように行われる。
　この仮組みにかかる作業に際しては、フードロック装置３０の下側固定部３８の端部をアッパー１１０の底壁部１１５に当接させるといった容易な作業によって、フードロック装置３０の上下方向の位置を定めることができる。また、フードロック装置３０がアッパー１１０に仮組みされると、前壁１１３の後面とフードロック装置３０のベース３１の前面とが接触するようになるため、その接触を通じて同フードロック装置３０の前後方向への移動が規制されるようになる。さらに、両側壁１１１，１１２の車幅方向における間隔がフードロック装置３０のベース３１の車幅方向における長さよりも大きくなっている。そのため、フードロック装置３０をアッパー１１０に仮組みする時においても、上記ベース３１の外面と両側壁１１１，１１２の各々の内面との間に形成される間隙の分だけ、アッパー１１０に対するフードロック装置３０の車幅方向への相対移動が可能になる。

　第７実施形態では、係合部１１４内からのフードロック装置３０の脱出を抑えることと、係合部１１４に対するフードロック装置３０の相対移動を許容することとが満たされるように、係合部１１４の形状が定められている。

　このように第７実施形態によれば、フードロック装置３０を上方から係合部１１４の内部に進入させて、係合部１１４の内部に嵌めるといった簡単な作業を通じて、フードロック装置３０をアッパー１１０に仮組みすることができる。

　以上説明した第７実施形態によれば、先の（１）～（４）に記載した効果と同様の効果が得られるようになる。
　（第８実施形態）
　以下、第８実施形態にかかるフードロック装置の組み付け構造について、第１実施形態との相違点を中心に、図２１～図２３を参照して説明する。なお以下では、第１実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。

　第８実施形態と第１実施形態とは、フードロック装置の右側固定部および左側固定部の形状とアッパーの形状とが異なる。
　以下、第８実施形態の右側固定部および左側固定部やアッパーの形状について説明する。

　ここでは先ず、第８実施形態の右側固定部および左側固定部について説明する。
　図２１～図２３に示すように、フードロック装置１２０は、右側固定部３６の下端から下方に向けて突出する態様で同右側固定部３６に一体形成された右側係合片１２１を備えている。またフードロック装置１２０は、左側固定部３７の下端から下方に向けて突出する態様で同左側固定部３７に一体形成された左側係合片１２２を備えている。これら係合片１２１，１２２は、車幅方向および上下方向に延びる略矩形平板状をなしている。また各係合片１２１，１２２の前面には、粗面加工（第８実施形態ではローレット加工）が施されている。

　次に、第８実施形態のアッパー１３０の形状について説明する。
　アッパー１３０の前面には、右側係合片１２１を収容する右側ポケット部１３１と、左側係合片１２２を収容する左側ポケット部１３２とが突設されている。各ポケット部１３１，１３２は、底壁１３３、右壁１３４、左壁１３５、および前壁１３６によって構成される。底壁１３３の各々は対応するポケット部１３１，１３２の下側において車幅方向および前後方向に延びる板状をなしており、右壁１３４の各々は対応するポケット部１３１，１３２の右側において上下方向および前後方向に延びる板状をなしている。また、左壁１３５の各々は対応するポケット部１３１，１３２の左側において上下方向および前後方向に延びる板状をなしており、前壁１３６の各々は対応するポケット部１３１，１３２の前側において車幅方向および上下方向に延びる板状をなしている。

　以下、フードロック装置１２０をアッパー１３０に仮組みする作業について、その作用効果とともに説明する。
　フードロック装置１２０をアッパー１３０に仮組みする際には、右側固定部３６と一体の右側係合片１２１を上方から右側ポケット部１３１の内部に進入させて嵌め、左側固定部３７と一体の左側係合片１２２を上方から左側ポケット部１３２の内部に進入させて嵌める。

　これにより、フードロック装置１２０の後面（詳しくは、右側固定部３６の後面、左側固定部３７の後面、および下側固定部３８の後面）がそれぞれアッパー１３０のブラインドナット２２の前面に押し付けられた状態になる。また、フードロック装置１２０の前面（詳しくは、右側係合片１２１の前面、および左側係合片１２２の前面）がポケット部１３１，１３２の前壁１３６の後面に押し付けられた状態になる。そのため、このときにはフードロック装置１２０が、アッパー１３０の前面（ブラインドナット２２の前面）とポケット部１３１，１３２の前壁１３６の後面との間に挟持された状態になる。

　したがって、係合片１２１，１２２がポケット部１３１，１３２から脱出すること、ひいてはフードロック装置１２０がアッパー１３０から脱落することが抑えられるようになる。また第８実施形態では、図２３（ａ）および図２３（ｂ）に示すように、係合片１２１，１２２の前面、すなわちポケット部１３１，１３２の前壁１３６の後面に接触する面に粗面加工が施されている。これにより、係合片１２１，１２２の前面が平滑な面になっている場合と比較して、係合片１２１，１２２がポケット部１３１，１３２から脱出し難い構造になっている。

　このように第８実施形態によれば、各固定部３６，３７と一体の係合片１２１，１２２を上方から対応するポケット部１３１，１３２内に進入させて嵌めるといった簡単な作業を通じて、フードロック装置１２０をアッパー１３０に仮組みすることができる。

　なお第８実施形態では、右側係合片１２１、右側ポケット部１３１、左側係合片１２２、および左側ポケット部１３２が、嵌合力を利用してフードロック装置１２０をアッパー１３０に仮組みする仮組み部に相当する。

　また第８実施形態では、各ポケット部１３１，１３２における右壁１３４と左壁１３５との間隔が、対応する係合片１２１，１２２の車幅方向の長さよりも長くなっている。これにより、ポケット部１３１，１３２の内部において係合片１２１，１２２が車幅方向に相対移動可能になっている。そのため、このときフードロック装置１２０がアッパー１３０に仮組みされているとはいえ、同フードロック装置１２０はアッパー１３０に対して車幅方向にスライド移動可能になっている。

　第８実施形態では、ポケット部１３１，１３２内からの係合片１２１，１２２の脱出を抑えることとポケット部１３１，１３２内における係合片１２１，１２２の移動を許容することとが共に満たされるように、係合片１２１，１２２およびポケット部１３１，１３２の形状が定められている。

　以上説明した第８実施形態によれば、先の（１）～（４）に記載した効果と同様の効果が得られるようになる。
　（第９実施形態）
　以下、第９実施形態にかかるフードロック装置の組み付け構造について、第１実施形態との相違点を中心に、図２４～図２８を参照して説明する。なお以下では、第１実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。

　以下、フードロック装置３０をアッパー２０に組み付けるための構造について説明する。
　フードロック装置３０は、アッパー２０に固定される部分である３つの固定部３６，３７，３８を有している。具体的には、ベース３１の右側部には右側に突出する右側固定部３６が設けられており、ベース３１の左側部には左側に突出する左側固定部３７が設けられており、ベース３１の下部には下方に突出する下側固定部３８が設けられている。これら固定部３６，３７，３８はいずれも、上下方向および車幅方向に延びる略平板状をなすとともに、車幅方向に延びる長穴状の挿通孔３９を有している。また、右側固定部３６における上記挿通孔３９よりも右側部分と、左側固定部３７における上記挿通孔３９よりも左側部分とにはそれぞれ、略長方形状の貫通孔（嵌合孔４０Ｘ）が設けられている。

　アッパー２０には、雌ねじを有するブラインドナット２２が３つ設けられている。３つのブラインドナット２２は、上記フードロック装置３０の固定部３６，３７，３８の挿通孔３９にそれぞれ対応する。フードロック装置３０をアッパー２０に固定する際には、３本のボルト１５（図２５）が固定部３６，３７，３８の挿通孔３９にそれぞれ挿通されるとともに、ブラインドナット２２にそれぞれ螺合される。これにより、フードロック装置３０がアッパー２０に締結固定される。

　図２４～図２６に示すように、アッパー２０の前面における上記右側固定部３６の嵌合孔４０Ｘに対向する位置には、右側嵌合凸部２３Ｘが突設されている。また、アッパー２０の前面における上記左側固定部３７の嵌合孔４０Ｘに対向する位置には、左側嵌合凸部２４Ｘが突設されている。アッパー２０にフードロック装置３０を組み付ける際には、右側固定部３６の嵌合孔４０Ｘに右側嵌合凸部２３Ｘが挿入されて嵌められるとともに、左側固定部３７の嵌合孔４０Ｘに左側嵌合凸部２４Ｘが挿入されて嵌められる。

　右側嵌合凸部２３Ｘおよび左側嵌合凸部２４Ｘは同一の構造をなしている。具体的には、各嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘは、上側において車幅方向および前後方向に延びる頂壁２５Ｘと、右側において上下方向および前後方向に延びる右壁２６Ｘと、左側において上下方向および前後方向に延びる左壁２７Ｘとを有するＵ字状をなしている。右壁２６Ｘの前面および左壁２７Ｘの前面は、下方側に向かうに連れてアッパー２０前面との距離が近くなるように傾斜した傾斜面になっている。

　第９実施形態では、頂壁２５Ｘの上面と右壁２６Ｘの下端との距離、および、頂壁２５Ｘの上面と左壁２７Ｘの下端との距離が、前記嵌合孔４０Ｘの上下方向の長さと略同一になっている。また、右壁２６Ｘの右側面と左壁２７Ｘの左側面との距離は、前記嵌合孔４０Ｘの車幅方向の長さよりも短くなっている。そのため、各嵌合孔４０Ｘに対応する嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘが嵌められているが、ボルト１５による締結固定がなされていない状態（仮組み状態）では、各嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘは対応する嵌合孔４０Ｘの内部での上下方向への移動が規制される一方で、車幅方向への移動が許容される。これにより、仮組み状態において、フードロック装置３０がアッパー２０に対して車幅方向にスライド移動可能になっている。

　右側嵌合凸部２３Ｘの頂壁２５Ｘと、左側嵌合凸部２４Ｘの頂壁２５Ｘとは、車幅方向に間隔を置いた位置に設けられる。各頂壁２５Ｘは、後端から前方に向けて延びる一対の切り欠き部２５Ａを有している。頂壁２５Ｘにおける一対の切り欠き部２５Ａに挟まれた部分は、バネ部２５Ｂと称される。バネ部２５Ｂは、バネ部２５Ｂを囲む周縁部分に対して上下方向に揺動する態様で弾性変形可能になっている。バネ部２５Ｂの外面（上面）における前後方向の中間部分には、車幅方向に延びる凸部（係合突起２５Ｃ）が設けられている。図２７に示すように、各係合突起２５Ｃは、アッパー２０にフードロック装置３０が組み付けられると、対応する固定部３６，３７の前面における嵌合孔４０Ｘの内縁（開口縁）に隣接した状態で延びるようになる。なお第９実施形態では、バネ部２５Ｂが係合部に相当する。

　以下、フードロック装置３０のアッパー２０への組み付けにかかる一連の作業について、その作用効果とともに詳細に説明する。
　図２４および図２５に示すように、フードロック装置３０をアッパー２０に組み付ける際には、先ず、右側固定部３６の嵌合孔４０Ｘに右側嵌合凸部２３Ｘが嵌められるとともに、左側固定部３７の嵌合孔４０Ｘに左側嵌合凸部２４Ｘが嵌められる。詳しくは、図２７中に白抜きの矢印で示すように、バネ部２５Ｂを嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘの内部に進入させる態様で弾性変形させつつ、各嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘが対応する嵌合孔４０Ｘに挿入される。各固定部３６，３７が対応するバネ部２５Ｂの係合突起２５Ｃを通過した後、各バネ部２５Ｂを弾性変形状態から復元させる。これによって、各バネ部２５Ｂの係合突起２５Ｃが、対応する固定部３６，３７前面における嵌合孔４０Ｘの内縁に引っ掛かった状態（図２７に示す状態）になる。すなわち、各係合突起２５Ｃが、対応する嵌合孔４０Ｘの内縁に係合する。これによって、嵌合孔４０Ｘから嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘが抜けることが抑えられ、ひいてはアッパー２０からフードロック装置３０が脱落することが抑えられる。このように第９実施形態によれば、嵌合孔４０Ｘに嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘを嵌めるといった簡単な作業を通じて、アッパー２０にフードロック装置３０を仮組みすることができる。

　また第９実施形態では、フードロック装置３０（図２４）の右側の部分に右側固定部３６（嵌合孔４０Ｘ）が設けられている。右側固定部３６に対応して、アッパー２０には右側嵌合凸部２３Ｘが設けられている。フードロック装置３０の左側の部分に左側固定部３７（嵌合孔４０Ｘ）が設けられている。左側固定部３７に対応して、アッパー２０には左側嵌合凸部２４Ｘが設けられている。そのため、フードロック装置３０がアッパー２０に仮組みされたときに、同フードロック装置３０の両側部がアッパー２０に支持されるようになる。したがって、フードロック装置３０をアッパー２０によって安定した状態で支持することができる。

　なお、このようにしてフードロック装置３０を仮組みした状態のアッパー２０を、車両１０の組み立てを行う組立工場に納品するべく搬送したり、組立工場内における次工程の作業場に搬送したりすることが想定される。第９実施形態によれば、各固定部３６，３７の嵌合孔４０Ｘと対応する嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘとの嵌合を通じて、フードロック装置３０がアッパー２０に取り付けられている。そのため、フードロック装置３０を仮組みした状態でのアッパー２０の搬送に際して、同フードロック装置３０がアッパー２０から外れて脱落することが抑えられるようになる。

　次に、フードロック装置３０の組み付け位置の調整が行われる。具体的には、車両１０に固定されたアッパー２０にフードロック装置３０を仮組みした状態で、フード１２が閉じられる。

　図２８は、フードロック装置３０の仮組み位置が左側（図２８の右側）にずれている場合における同フードロック装置３０のベース３１とフードストライカー１３のフック部１３Ａとの位置関係を示している。図２８に示すように、この場合には、フードストライカー１３のフック部１３Ａがベース３１の切り欠き部３１Ａの内面のうちの右側（図２８の左側）の面に当接するようになる。ここで、上述したようにフードロック装置３０は、アッパー２０に仮組みされている状態であっても、同アッパー２０に対して車幅方向に移動可能になっている。そのため、フードストライカー１３のフック部１３Ａが切り欠き部３１Ａの内面（詳しくは、右側の面）に当接することによって切り欠き部３１Ａの内面が押圧されると、図２８中に黒塗りの矢印で示すように、フードロック装置３０がアッパー２０に対して右側に相対移動するようになる。一方、フードロック装置３０の仮組み位置が右側にずれている場合には、フードストライカー１３のフック部１３Ａが切り欠き部３１Ａの内面のうちの左側の内面に当接して同内面が押圧されて、同フードロック装置３０がアッパー２０に対して左側に移動する。他方、フードロック装置３０の仮組み位置が許容範囲内である場合には、フード１２を閉じたときに、フードロック装置３０はアッパー２０に対して相対移動しない。

　このように、フードロック装置３０をアッパー２０仮組みした状態でフード１２を閉じることにより、同フードロック装置３０の車幅方向の位置が、上記ベース３１の切り欠き部３１Ａへの上記フードストライカー１３のフック部１３Ａのスムーズな進入を妨げることのない位置になる。

　その後、フードロック装置３０がアッパー２０に固定される。具体的には、３本の固定用のボルト１５（図２５）が、フードロック装置３０の固定部３６，３７，３８の挿通孔３９にそれぞれ挿通されるとともに、アッパー２０のブラインドナット２２にそれぞれ螺合される。これにより、フードロック装置３０がアッパー２０に締結固定される。なお第９実施形態では、ボルト１５によるフードロック装置３０の締結固定を、フード１２を閉状態でロックした状態のままで行うことが可能になっている。

　第９実施形態によれば、フードロック装置３０の各固定部３６，３７の嵌合孔４０Ｘにアッパー２０の対応する嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘを嵌めるといった簡単な作業を通じて同フードロック装置３０をアッパー２０に仮組みすることができる。これにより、フードロック装置３０がアッパー２０に固定される前に、同フードロック装置３０がアッパー２０によって支持された状態にすることができる。しかも、この仮組み状態において、フードロック装置３０をアッパー２０に対して相対移動させるといった作業を通じて、同フードロック装置３０の車幅方向の位置を調節することもできる。このように第９実施形態によれば、フードロック装置３０を仮組みする作業と位置調整する作業とを容易に行うことができるため、フードロック装置３０の組み付け作業を容易に行うことができる。

　第９実施形態では、ラジエータコアサポート１４のアッパー２０が合成樹脂材料によって形成されている。一般に、合成樹脂製のアッパー２０は、金属製のアッパーと比較して、製造誤差が大きくなり易い。そのため、そうした合成樹脂製のアッパー２０にフードロック装置３０が固定される第９実施形態の組み付け構造では、同フードロック装置３０とフードストライカー１３との相対位置のずれが生じる可能性がある。第９実施形態によれば、合成樹脂製のアッパー２０にフードロック装置３０が固定される組み付け構造において、フードロック装置３０の車幅方向の位置調節を行いつつ、同フードロック装置３０の組み付け作業を容易に行うことができる。

　以上説明したように、第９実施形態によれば、先の（１）、（２）、および（４）に記載した効果と同様の効果に加え、以下に記載する効果が得られるようになる。
　（９）係合突起２５Ｃを有するバネ部２５Ｂを弾性変形させつつ嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘをそれぞれ嵌合孔４０Ｘに挿入する。これによって、係合突起２５Ｃと嵌合孔４０Ｘの内縁とを係合させる態様でフードロック装置３０をアッパー２０に仮組みすることができる。そして、それら係合突起２５Ｃおよび嵌合孔４０Ｘの内縁との係合を通じて、嵌合孔４０Ｘから嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘが抜けること、ひいてはアッパー２０からフードロック装置３０が脱落することを抑えることができる。

　（第１０実施形態）
　以下、第１０実施形態にかかるフードロック装置の組み付け構造について、第９実施形態との相違点を中心に、図２９および図３０を参照して説明する。なお以下では、第９実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。

　第１０実施形態と第９実施形態とは右側嵌合凸部の形状のみが異なる。
　以下、第１０実施形態の右側嵌合凸部について説明する。
　図２９および図３０に示すように、右側嵌合凸部５１Ｘは、前後方向に円筒状で延びる円筒部５２Ｘと、同円筒部５２Ｘの外周面に設けられた４本のリブ５３Ｘとを有している。４本のリブ５３Ｘは、円筒部５２Ｘの外周面の周囲方向において９０度間隔で配置され、放射状に延びている。これら４本のリブ５３Ｘのうち、上方に配置されるリブ５３Ｘは上部リブ５３Ａと称され、下方に配置されるリブ５３Ｘは下部リブ５３Ｂと称される。上部リブ５３Ａおよび下部リブ５３Ｂは上下方向に延びており、上部リブ５３Ａの上面と下部リブ５３Ｂの下面との距離が前記嵌合孔４０Ｘの上下方向の長さと略同一になっている。アッパー５０Ｘにフードロック装置３０を組み付ける際には、前記右側固定部３６の嵌合孔４０Ｘに右側嵌合凸部５１Ｘが挿入されて嵌められる。

　右側固定部３６の嵌合孔４０Ｘに右側嵌合凸部５１Ｘが嵌められており、且つ前記ボルト１５による締結固定がなされていない状態（仮組み状態）では、右側嵌合凸部５１Ｘは嵌合孔４０Ｘの内部での上下方向への移動が規制される一方で、車幅方向への移動が許容される。そのため、仮組み状態においては、フードロック装置３０がアッパー５０Ｘに対して車幅方向にスライド移動可能になる。

　第１０実施形態によっても、先の（１）、（２）、（４）、および（９）に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
　（第１１実施形態）
　以下、第１１実施形態にかかるフードロック装置の組み付け構造について、第９および第１０実施形態との相違点を中心に、図３１および図３２を参照して説明する。なお以下では、第９および第１０実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、同構成についての詳細な説明は省略する。

　第１１実施形態と第９および第１０実施形態とは右側嵌合凸部および左側嵌合凸部の形状のみが異なる。
　以下、第１１実施形態の右側嵌合凸部および左側嵌合凸部の形状について説明する。

　図３１および図３２に示すように、右側嵌合凸部６１Ｘおよび左側嵌合凸部６２Ｘは同一の構造をなしている。各嵌合凸部６１Ｘ，６２Ｘは、下側において前後方向および車幅方向に延びる板状をなす下壁６３Ｘと、前側において上下方向および車幅方向に延びる板状をなす前壁６４Ｘと、上側において前後方向および車幅方向に延びる板状をなす上壁６５Ｘとを有している。下壁６３Ｘはアッパー６０Ｘの前面に突設されている。前壁６４Ｘは下壁６３Ｘの前端から上方に向けて突設されている。上壁６５Ｘは前壁６４Ｘの上端から後方に向けて突設されている。

　下壁６３Ｘの下面と上壁６５Ｘの上面との上下方向における距離は嵌合孔４０Ｘの上下方向の長さよりも短くなっている。これにより、各嵌合凸部６１Ｘ，６２Ｘは対応する嵌合孔４０Ｘに挿入可能になっている。また、前壁６４Ｘの後端とアッパー６０Ｘ前面との間には間隙が形成されている。上壁６５Ｘの後面とアッパー６０Ｘ前面との間の間隙の前後方向の長さは固定部３６，３７の厚さと略同一になっている。

　アッパー６０Ｘにフードロック装置３０を組み付ける際には、上記右側固定部３６の嵌合孔４０Ｘに右側嵌合凸部６１Ｘが挿入されて嵌められるとともに、上記左側固定部３７の嵌合孔４０Ｘに左側嵌合凸部６２Ｘが挿入されて嵌められる。

　詳しくは、先ず、右側固定部３６の嵌合孔４０Ｘに右側嵌合凸部６１Ｘが挿入されるとともに、左側固定部３７の嵌合孔４０Ｘに左側嵌合凸部６２Ｘが挿入される。その後、各固定部３６，３７における上壁６５Ｘの後面とアッパー６０Ｘの前面との間に各固定部３６，３７を進入させる。すなわち、フードロック装置３０がアッパー６０Ｘに対して下方に相対移動される。これにより、各嵌合孔４０Ｘの内面における上方側の面が対応する嵌合凸部６１Ｘ，６２Ｘの下壁６３Ｘの上面に当接した状態になるとともに、各固定部３６，３７における対応する嵌合孔４０Ｘよりも上方側の部分が上壁６５Ｘの後面とアッパー６０Ｘの前面との間に嵌まった状態（図３１）になる。

　第１１実施形態では、こうした右側嵌合凸部６１Ｘと右側固定部３６の嵌合孔４０Ｘとの嵌合、および、左側嵌合凸部６２Ｘと左側固定部３７の嵌合孔４０Ｘとの嵌合を通じて、各嵌合孔４０Ｘから対応する嵌合凸部６１Ｘ，６２Ｘが抜けることが抑えられる。これにより、アッパー６０Ｘからフードロック装置３０が脱落することが抑えられる。このように第１１実施形態によれば、各固定部３６，３７の嵌合孔４０Ｘに対応する嵌合凸部６１Ｘ，６２Ｘを嵌めるといった簡単な作業を通じて、アッパー６０Ｘにフードロック装置３０を仮組みすることができる。

　また第１１実施形態では、各嵌合凸部６１Ｘ，６２Ｘの車幅方向における長さが、対応する固定部３６，３７の嵌合孔４０Ｘの車幅方向における長さよりも短くなっている。これにより、仮組み状態において、各嵌合凸部６１Ｘ，６２Ｘは対応する固定部３６，３７の嵌合孔４０Ｘの内部での上下方向への移動が規制される一方で、車幅方向への移動が許容されるようになっている。したがって、仮組み状態において、フードロック装置３０がアッパー６０Ｘに対して車幅方向にスライド移動可能になっている。

　第１１実施形態によっても、先の（１）、（２）、（４）、および（９）に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
　（他の実施形態）
　なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。

　・各実施形態において、フードロック装置の位置調整を任意の作業を通じて行ってもよい。すなわち、フードロック装置の位置調整を、アッパーにフードロック装置を仮組みした状態でフードを閉じることを通じて行うことは例示に過ぎない。例えば、フードストライカーとフードロック装置との相対位置を目視で確認しながら同フードロック装置を作業者が手で移動させてもよい。

　・第２実施形態において、車幅方向から見た、一対の右側係合片４１および一対の左側係合片４５の各々の断面形状は、波形状であってもよいし、クランク形状であってもよいし、矩形波形状であってもよい。こうした構成によっても、係合片が平板状である場合と比較して、係合片４１，４５における撓む部分を長くすることができ、それら係合片４１，４５を撓み易くすることができる。

　・第１～第３実施形態における一対の右側係合片および一対の左側係合片において、上方側の係合片の厚さと下方側の係合片の厚さとを同一にしたり、上方側の係合片よりも下方側の係合片を薄くしたりしてもよい。

　・第１～第６実施形態、および第８実施形態のいずれかにおいて、フードロック装置の右側および左側の一方のみに仮組み部を設けるようにしてもよい。例えば、フードロック装置の一方側にのみ仮組み部を設けた場合、フードロック装置の他方側に、フードロック装置（詳しくは、固定部）を下方から支持する支持部を設けてもよい。こうした構成によれば、フードロック装置の仮組み時において、フードロック装置の自重またはフード閉時の衝撃によって、フードロック装置のうち仮組み部が設けられない部分が下方に下がるように同フードロック装置が傾くことが抑えられるようになる。

　・例えば、フードロック装置の右側に第１実施形態の仮組み部を設けるとともに左側に第２実施形態の仮組み部を設けてもよい。第１～第６実施形態、および第８～１１実施形態のうちの互いに異なる２つの仮組み部を組み合わせてもよい。

　・第９実施形態において、各固定部３６，３７の嵌合孔４０Ｘから対応する嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘが抜けることを抑えるための構成は適宜変更してもよい。すなわち、各嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘは、バネ部２５Ｂおよび係合突起２５Ｃ以外の構成を有していてもよい。こうした構成の一例としては、嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘにおける上面の基端と下面の基端とにそれぞれアッパー２０前面に沿って延びる溝（嵌合溝）を設ける構成を挙げることができる。この場合には、嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘの上面と下面との上下方向における距離が嵌合孔４０Ｘの上下方向における長さよりも若干長くてもよい。また、この場合には嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘの上部における嵌合溝の底面と、下部における嵌合溝の底面との上下方向における距離が嵌合孔４０Ｘの上下方向における長さと略同一になっていてもよい。こうした構成によれば、嵌合孔４０Ｘの内縁が嵌合溝に嵌まるようになる位置まで嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘを嵌合孔４０Ｘに押し込むことにより、嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘの嵌合溝に嵌合孔４０Ｘの内縁を嵌めることができるため、嵌合孔４０Ｘから嵌合凸部２３Ｘ，２４Ｘが抜けることを抑えることができる。

　・第９実施形態において、アッパーの右側および左側の一方のみに嵌合凸部（右側嵌合凸部２３Ｘまたは左側嵌合凸部２４Ｘ）を設け、フードロック装置の右側および左側の一方のみに嵌合孔（右側固定部３６の嵌合孔４０Ｘまたは左側固定部３７の嵌合孔４０Ｘ）を設けるようにしてもよい。すなわち、右側固定部３６の嵌合孔４０Ｘおよび左側固定部３７の嵌合孔４０Ｘのうちの一方は省略されてもよい。この場合には、フードロック装置における嵌合孔が設けられない部分に、フードロック装置（詳しくは、固定部）を下方から支持する支持部を設けてもよい。こうした構成によれば、フードロック装置の仮組み時において、フードロック装置の自重またはフード閉時の衝撃によって、フードロック装置における仮組み部が設けられない部分が下方に下がるように同フードロック装置が傾くことが抑えられるようになる。

　・第１０実施形態において、右側嵌合凸部５１Ｘの上面と下面との上下方向における間隔を右側固定部３６の嵌合孔４０Ｘの上下方向における長さと略同一にし、かつ、右側嵌合凸部５１Ｘの形状を任意に変更し得る。そうした右側嵌合凸部としては例えば、前後方向において円筒状で延びるものや、断面Ｉ字状で延びるもの、断面円形状で延びるもの、断面十字状で延びるもの、断面Ｈ字状で延びるものなどを採用することができる。

　・各実施形態において、車幅方向に延びる嵌合孔をアッパーに形成するとともに、アッパーに向かって突出して車幅方向に移動可能な態様で上記嵌合孔に嵌合する嵌合凸部をフードロック装置の固定部に形成するようにしてもよい。

　・上記各実施形態の組み付け構造は、ラジエータコアサポートのアッパーに介設部材（専用のブラケットなど）を介して固定されるフードロック装置にも適用することができる。この場合には、介設部材が組み付け部に相当する。

　・金属製のアッパーに固定されるフードロック装置にも、上記各実施形態の組み付け構造は適用可能である。
　・上記各実施形態の組み付け構造は、車両本体におけるラジエータコアサポート以外の部分（例えば、クロスメンバ）に固定されるフードロック装置にも適用することができる。すなわち、組み付け部は、車両本体または車両本体を構成する複数の構成要素のうちの１つに設けられてもよい。

Claims

　フードロック装置の組み付け構造であって、前記フードロック装置は、車両本体に設けられた組み付け部に固定されるように構成されるとともに、車両のフードの内面に突設されたフードストライカーとの係合を通じて前記フードを閉状態でロックするように構成され、
　前記組み付け部と前記フードロック装置とが車幅方向に相対移動可能な態様で、嵌合力を利用して前記フードロック装置を前記組み付け部に仮組みするように構成された少なくとも１つの仮組み部を有する
フードロック装置の組み付け構造。
　前記少なくとも１つの仮組み部は２つの仮組み部のうちの１つであり、前記２つの仮組み部は、前記フードロック装置における車両右側の部分と車両左側の部分とにそれぞれ設けられる
請求項１に記載のフードロック装置の組み付け構造。
　前記少なくとも１つの仮組み部は、
　前記組み付け部および前記フードロック装置の一方である第１部材に突設されるとともに、車両上下方向に間隔を置いた位置で車幅方向に延びる一対の係合片と、
　前記組み付け部および前記フードロック装置の他方である第２部材に設けられるとともに車幅方向に延びる係合部であって、前記一対の係合片に挟持されるように構成された前記係合部と、を有する
請求項１または２に記載のフードロック装置の組み付け構造。
　前記係合部は、前記フードロック装置を前記組み付け部に仮組みするときに前記第１部材に対向する端面を有し、
　前記係合部の前記端面は、車両上方側および車両下方側において、前記第１部材から離間するように湾曲した面を有している
請求項３に記載のフードロック装置の組み付け構造。
　前記係合片は、車幅方向から見て断面Ｓ字状である
請求項３または４に記載のフードロック装置の組み付け構造。
　前記係合部は、車両上方側において車両前後方向に延びる上壁と、車両下方側において車両前後方向に延びる下壁と、前記上壁および前記下壁を繋ぐように車両上下方向に延びるベース壁と、を有する
請求項３～５のいずれか一項に記載のフードロック装置の組み付け構造。
　前記少なくとも１つの仮組み部は、
　前記フードロック装置および前記組み付け部の一方である第１部材に設けられて、車幅方向に延びる嵌合孔と、
　前記フードロック装置および前記組み付け部の他方である第２部材に設けられて、前記第１部材に向かって突出する嵌合凸部と、を有し、
　前記組み付け部と前記フードロック装置とが車幅方向に相対移動可能な態様で、前記嵌合凸部が前記嵌合孔に嵌合する
請求項１に記載のフードロック装置の組み付け構造。
　前記少なくとも１つの仮組み部は２つの仮組み部のうちの１つであり、前記２つの仮組み部は、前記フードロック装置における車両右側の部分と車両左側の部分とにそれぞれ設けられる
請求項７に記載のフードロック装置の組み付け構造。
　前記嵌合凸部は、弾性変形を伴いながら前記嵌合凸部の内部に進入するように構成された係合部を有し、
　前記嵌合凸部が前記嵌合孔に嵌合するとき、前記係合部は、前記嵌合孔から突出するとともに前記嵌合孔の開口縁に係合する
請求項７または８に記載のフードロック装置の組み付け構造。
　前記組み付け部は、合成樹脂製のラジエータコアサポートである
請求項１～９のいずれか一項に記載のフードロック装置の組み付け構造。