≪重合性組成物≫
重合性組成物は、重合性基含有成分を含む。また、重合性組成物は、ケイ素含有樹脂(A)と、重合開始剤(C)と、フィラー(D)と、を含む。
重合性組成物は、重合性基含有成分と、重合開始剤(C)とを含む。このため、重合性組成物は、露光により硬化する硬化性を備える。
また、重合性組成物は、後述するようにアルカリ可溶性を発現するケイ素含有樹脂(A)を含む。したがって、重合性組成物からなる塗布膜を位置選択的に露光すると、硬化していない未露光部はアルカリ性の現像液に可溶である。
さらに、後述する特定のフィラー(D)を含む感光性組成物を用いる場合、一般的に、フォトリソグラフィー法によってパターン化された機能性膜を形成する際の現像時に、未露光部において残渣が発生しやすい。
しかし、所定の構造のケイ素含有樹脂(A)と、特定のフィラー(D)とを組み合わせて含む重合性組成物を用いると、現像時の未露光部における残渣の発生が抑制される。
以下、重合性組成物における、必須又は任意の成分について説明する。
<ケイ素含有樹脂(A)>
重合性組成物は、ケイ素含有樹脂(A)を必須に含む。かかるケイ素含有樹脂(A)は、後述するシルセスキオキサン樹脂(A1)、ポリシラン−ポシロキサン樹脂(A−I)、樹脂混合物(A−II)、及びポリシラン構造含有樹脂(A−III)からなる群より選択される少なくとも1つを含む。
・シルセスキオキサン樹脂(A1)
シルセスキオキサン樹脂(A1)は、式(a1a−I)で表されるカルボキシ基含有基を有するシルセスキオキサン樹脂である。シルセスキオキサン樹脂(A1)は、重合性組成物においてアルカリ可溶性樹脂としての作用を奏する。
このため、重合性組成物は、露光された場合に重合性基含有成分の重合反応によってアルカリ性の現像液に対して不溶化する一方で、未露光の状態ではアルカリ性の現像液に対して可溶である。
ケイ素含有樹脂(A)が、シルセスキオキサン樹脂(A1)を含む場合、ケイ素含有樹脂(A)における、シルセスキオキサン樹脂(A1)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、重合性組成物の現像性の点からは、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
シルセスキオキサン化合物の一般的な構造としては、かご型、不完全かご型、ラダー型、ランダム型等がよく知られている。シルセスキオキサン樹脂(A1)の構造は、特に限定されず、かご型、不完全かご型、ラダー型、ランダム型等、従来知られるいずれの構造であってもよい。
シルセスキオキサン樹脂(A1)は、下記式(a1a):
(式(a1a)中、R
a1は、下記式(a1a−I):
−X
a−B
a−Y
a−COOH・・・(a1a−I)
で表される基であり、
X
aが、単結合、炭素原子数1〜6のアルキレン基、炭素原子数6〜12のアリーレン基、又は−R
a6−NH−R
a7−で表される基であり、
R
a6及びR
a7が、それぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキレン基であり、
Y
aが、2価の環式有機基、又は炭素原子数1〜20の鎖状脂肪族炭化水素基であり、
B
aが、−NH−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、又は−NH−CO−NH−であり、
X
a及びY
aは、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、及びエポキシ基含有有機基からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい。)
で表される構成単位を有する。
例えば、シルセスキオキサン樹脂(A1)は、下記式、(a1a−1)、又は(a1a−2)で表される構成単位を、式(a1a)で表される構成単位以外に含み得る。
下記式、(a1a−1)、又は(a1a−2)で表される構成単位においてR
a0が有機基である場合に、当該有機基は、芳香族基、アミド結合、及びウレタン結合から選択される1種以上を含んでいてもよい。
(式(a1a−1)及び(a1a−2)中、R
a0は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基である。)
式(a1a−1)及び(a1a−2)中のRa0が有機基である場合、その炭素原子数は特に限定されないが、例えば1〜50が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜20が特に好ましい。有機基の構造は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であっても、これらの構造を組み合わせた構造であってもよい。有機基は、1以上の不飽和結合を有していてもよい。有機基はヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子としては、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子等が挙げられる。
有機基の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基等が挙げられる。
これらの基が有してもよい置換基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルチオ基、ベンゾイル基、フェノキシカルボニル基、ベンゾイルオキシ基、炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、ナフチル基、ナフトキシ基、ナフトイル基、ナフトキシカルボニル基、ナフトイルオキシ基、炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の炭素原子数1〜20の有機基で置換されたアミノ基、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
式(a1a)において、Ra1は下記式(a1a−I):
−Xa−Ba−Ya−COOH・・・(a1a−I)
で表される基である。
式(a1a−I)において、Xaは、単結合、炭素原子数1〜6のアルキレン基、炭素原子数6〜12のアリーレン基、又は−Ra6−NH−Ra7−で表される基である。
Ra6及びRa7は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキレン基である。
Yaは、2価の環式有機基、又は炭素原子数1〜20の鎖状脂肪族炭化水素基である。
Baは、−NH−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、又は−NH−CO−NH−である。
Xa及びYaは、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、及びエポキシ基含有有機基からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい。
Xaにおける炭素原子数1〜6のアルキレン基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
Xaにおけるアリーレン基の炭素原子数は、6〜12であり、6〜10が好ましい。
アリーレン基の好適な具体例としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン2,6−ジイル基、ビフェニル−4,4’−ジイル基等が挙げられる。
−Ra6−NH−Ra7−としては、具体的には、例えば、−CH2−NH−CH2−、−(CH2)2−NH−(CH2)2−、−(CH2)3−NH−(CH2)3−、−CH2−NH−(CH2)2−、−(CH2)2−NH−CH2−、−(CH2)2−NH−(CH2)3−、−(CH2)3−NH−(CH2)2−、−CH2−NH−(CH2)3−、−(CH2)3−NH−CH2−等が挙げられる。
Yaにおける2価の環式有機基は、芳香族環から2つの水素原子を除いた基であってもよく、脂肪族環から2つの水素原子を除いた基であってもよい。
Yaが、芳香族環を含む2価基である場合は、2価の環式有機基としては、炭素原子数1又は2の置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10の芳香族環から2つの水素原子を除いた基が好ましい。炭素原子数6〜10の芳香族環の好適な例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、メチルベンゼン環、ジメチルベンゼン環等が挙げられる。
Yaが、脂肪族環を含む2価基である場合、2価の環式有機基としては、炭素原子数5〜16の脂肪族環から2つの水素原子を除いた基が好ましい。炭素原子数5〜16の脂肪族環の好適な例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、ジシクロペンタジエン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、キュバン環、バスケタン環等が挙げられることができる。
Yaが、炭素原子数1〜20の鎖状脂肪族炭化水素基である場合、当該鎖状脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。
炭素原子数1〜20の鎖状脂肪族炭化水素基の好適な例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ビニレン基、(2−オクテニル)エチレン基、(2,4,6−トリメチル−2−ノネニル)エチレン基等のアルキレン基、二重結合を有するアルキレン基又は炭素原子数1〜9の分岐鎖を有するアルキレン基を挙げることができる。
式(a1a−I)において、Xa及びYaは、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、及びエポキシ基含有有機基からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい。
また、シルセスキオキサン樹脂(A1)は、Xa及びYaの少なくとも一方が、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、及びエポキシ基含有有機基からなる群より選択される1以上の基で置換されているシルセスキオキサン樹脂(A1−1)であるのが好ましい。この場合、シルセスキオキサン樹脂(A1−1)が、シルセスキオキサン樹脂(A1)及び重合性基含有成分の双方として作用し、重合性組成物の構成成分の種類を過度に増やすことなく、所望する性能を重合性組成物に付与することができる。
シルセスキオキサン樹脂(A1−1)は、式(a1a)で表される構成単位以外の、その他の構成単位を含んでいてもよい。
その他の構成単位は特に限定されないが、その他の構成単位としては下記式(a2b):
(式(a2b)中、R
a3は、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、又は炭素原子数7〜12のアラルキル基を表す。)
で表される構成単位が好ましい。
Ra3がアルキル基である場合、例えば、メチル基、エチル基、及びn−プロピル基が好ましい。Ra3がアリール基、又はアラルキル基である場合、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基が好ましい。
シルセスキオキサン樹脂(A1−1)における、Xa及びYaの少なくとも一方が、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、及びエポキシ基含有有機基からなる群より選択される1以上の基で置換されており、かつ式(a1a)で表される構成単位の割合は、特に限定されず、10〜100モル%であり、30〜70モル%が好ましい。
シルセスキオキサン樹脂(A1)は、式(a1a)で表される構成単位とともに、下記式(a2a):
(式(a2a)中、R
a2は、下記式(a1a−II):
−Z
a−A
a・・・(a1a−II)
で表される基であり、
Z
aが、単結合、炭素原子数1〜6のアルキレン基、又は炭素原子数6〜12のアリーレン基であり、
A
aが、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、又はエポキシ基含有有機基である。)
で表される構成単位を有するシルセスキオキサン樹脂(A1−2)であるのも好ましい。かかるシルセスキオキサン樹脂(A1−2)も、アルカリ可溶性樹脂として作用する一方で、重合性基含有成分として好ましく使用できる。
式(a1a−II)において、Zaが炭素原子数1〜6のアルキレン基である場合の好適な例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
Zaにおけるアリーレン基の炭素原子数は、6〜12であり、6〜10が好ましい。
アリーレン基の好適な具体例としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン2,6−ジイル基、ビフェニル−4,4’−ジイル基等が挙げられる。
式(a1a−II)において、Aaは、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、又はエポキシ基含有有機基である。エポキシ基含有有機基としては特に限定されないが、例えば、オキシラニル基、グリシジル基、及びグリシジルオキシ基等が挙げられる。
シルセスキオキサン樹脂(A1−2)は重合性基を有する式(a2a)で表される構成単位を含む。このため、シルセスキオキサン樹脂(A1−2)における式(a1a)で表される構成単位において、Xa及びYaは、必ずしも(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、及びエポキシ基含有有機基からなる群より選択される1以上の基で置換されている必要はない。式(a1a)で表される構成単を与える化合物の合成や入手が容易である点からは、式(a1a)におけるXa及びYaは、かかる重合性基で置換されていないのが好ましい。
シルセスキオキサン樹脂(A1−2)に含まれる式(a1a)で表される構成単位における、式(a1a−I)で表される基の具体例としては、例えば、Xa、Ba、Yaが下表1に示される組み合わせである基が挙げられる。表1中のYaは、二つの結合手を有するが、そのうちの1つでカルボキシ基と結合し、他の1つでBaと結合する。表1中のBaについても同様にXa、Yaと結合する。
シルセスキオキサン樹脂(A1−2)に含まれる式(a2a)で表される構成単位における、式(a2a−II)で表される基の具体例としては、例えば、Za、及びAaが下表2に示される組み合わせである基が挙げられる。
シルセスキオキサン樹脂(A1−2)は、式(a1a)で表される構成単位と、式(a2a)で表される構成単位と以外の、その他の構成単位を含んでいてもよい。
その他の構成単位としては特に限定されないが、前述の式(a2b)で表される構成単位が好ましい。
シルセスキオキサン樹脂(A1−2)における、式(a2a)で表される構成単位の割合は、特に限定されないが、5〜90モル%であり、10モル%以上〜70モル%が好ましく、20モル%以上〜60モル%が好ましい。
また、シルセスキオキサン樹脂(A1−2)における、式(a1a)で表される構成単位の割合は、特に限定されないが、5〜90モル%であり、10モル%以上〜70モル%が好ましく、20モル%以上〜60モル%が好ましい。
ケイ素含有樹脂(A)は、上記式(a2a)で表される構成単位を有し、かつシルセスキオキサン樹脂(A1)に該当しないシルセスキオキサン樹脂(A2)を含んでいてもよい。シルセスキオキサン樹脂(A2)は、式(a2a)で表される構成単位を有するため、重合性基を含む。このため、シルセスキオキサン樹脂(A2)を重合性基含有成分として好適に使用できる。
シルセスキオキサン樹脂(A2)は、式(a2a)で表される構成単位のみからなってもよく、式(a2a)で表される構成単位と、その他の構成単位とからなってもよい。その他の構成単位は特に限定されないが、前述の式(a2b)で表される構成単位が好ましい。
シルセスキオキサン樹脂(A2)における、式(a2a)で表される構成単位の割合は、特に限定されないが、5〜100モル%であり、10モル%以上〜70モル%が好ましく、20モル%以上〜60モル%が好ましい。30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上が特に好ましい。
ケイ素含有樹脂(A)が、シルセスキオキサン樹脂(A1)又はシルセスキオキサン樹脂(A2)となる場合の重量平均分子量Mwとしては、1000〜100000が通常得られる範囲であり、好ましくは、1000〜50000であり、より好ましくは1500〜20000である。
次に、ポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A−I)、樹脂混合物(A−II)及びポリシラン構造含有樹脂(A−III)について説明する。
ポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A―I)は、ポリシラン構造(I−1)とポリシロキサン構造(I−2)とを有するポリシラン−ポリシロキサン樹脂である。
樹脂混合物(A−II)は、ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂と、ポリシロキサン構造(II−2)を有する樹脂との混合物である。
ポリシラン構造含有樹脂(A−III)は、ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂である。
上記ポリシロキサン構造(I−2)及び(II−2)は、それぞれ独立に、下記式(A−1−1)〜(A−1−4)で表されるケイ素化合物よりなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物の加水分解縮合構造を含むことが好ましい。
R1R2R3SiX1 (A−1−1)
R4R5SiX2 2 (A−1−2)
R6SiX3 3 (A−1−3)
SiX4 4 (A−1−4)
(上記式中、X1〜X4は、それぞれ独立に、加水分解性基であり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子又は有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
X1〜X4で表される加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子又はイソシアネート基(NCO)等が挙げられ、アルコキシ基であることが好ましい。
上記アルコキシ基としては、炭素原子数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。
R1〜R6で表される有機基としては、炭素数1〜30の有機基が挙げられ、アルキル基[メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル基及びt−ブチル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、特に炭素数1〜4のアルキル基等)]、シクロアルキル基(シクロヘキシル基等の炭素原子数5〜8のシクロアルキル基、特に炭素原子数5〜6のシクロアルキル基)、アルケニル基[エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等の炭素原子数2〜10のアルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜6のアルケニル基、特に炭素数2〜4のアルケニル基等)]、シクロアルケニル基[1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素原子数5〜10のシクロアルケニル基(好ましくは炭素原子数5〜8のシクロアルケニル基、特に炭素数5〜7のシクロアルケニル基等)]、アリール基(フェニル、ナフチル基等の炭素原子数6〜10のアリール基、)、アラルキル基[ベンジル、フェネチル基等のC6−10アリール−C1−6アルキル基(C6−10アリール−C1−4アルキル基等)]、アミノ基、N−置換アミノ基(上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基等で置換されたN−モノ又はジ置換アミノ基等)等が挙げられる。上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を構成するアリール基等は、1又は複数の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、上記例示のアルキル基(特に炭素原子数1〜6のアルキル基等)、上記例示のアルコキシ基等が挙げられる。このような置換基を有する有機基としては、例えば、トリル、キシレニル、エチルフェニル、メチルナフチル基等のC1−6アルキル−C6−10アリール基(好ましくはモノ、ジ又はトリC1−4アルキル−C6−10アリール基、特にモノ又はジC1−4アルキルフェニル基等);メトキシフェニル、エトキシフェニル、メトキシナフチル基等のC1−10アルコキシC6−10アリール基(好ましくはC1−6アルコキシC6−10アリール基、特にC1−4アルコキシフェニル基等)等が挙げられる。
上記式(A−1−1)〜(A−1−4)で表されるケイ素化合物としては、トリクロロシラン、トリブロモシラン、及びトリフルオロシラン等のトリハロシラン;テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、及びテトラフルオロシラン等のテトラハロシラン;メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、メチルトリフルオロシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリブロモシラン、エチルトリフルオロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−プロピルトリブロモシラン、n−プロピルトリフルオロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、イソプロピルトリブロモシラン、イソプロピルトリフルオロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、n−ブチルトリブロモシラン、n−ブチルトリフルオロシラン、イソブチルトリクロロシラン、イソブチルトリブロモシラン、イソブチルトリフルオロシラン、sec−ブチルトリクロロシラン、sec−ブチルトリブロモシラン、sec−ブチルトリフルオロシラン、tert−ブチルトリクロロシラン、tert−ブチルトリブロモシラン、及びtert−ブチルトリフルオロシラン等のアルキルトリハロシラン;フェニルトリクロロシラン、フェニルトリブロモシラン、及びフェニルトリフルオロシラン等のフェニルトリハロシラン;ジクロロジメチルシラン、ジブロモジメチルシラン、ジフルオロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジブロモジエチルシラン、ジフルオロジエチルシラン、ジクロロジ−n−プロピルシラン、ジブロモジ−n−プロピルシラン、ジフルオロジ−n−プロピルシラン、ジクロロジイソプロピルシラン、ジブロモジイソプロピルシラン、ジフルオロジイソプロピルシラン、ジクロロジ−n−ブチルシラン、ジブロモジ−n−ブチルシラン、ジフルオロジ−n−ブチルシラン、ジクロロジ−n−ブチルシラン、ジブロモジ−n−ブチルシラン、ジフルオロジ−n−ブチルシラン、ジクロロジイソブチルシラン、ジブロモジイソブチルシラン、ジフルオロジイソブチルシラン、ジクロロジ−sec−ブチルシラン、ジブロモジ−sec−ブチルシラン、ジフルオロジ−sec−ブチルシラン、ジクロロジ−tert−ブチルシラン、ジクロロジ−tert−ブチルシラン、及びジクロロジ−tert−ブチルシラン等のジアルキルジハロシラン;ジクロロジフェニルシラン、ジブロモジフェニルシラン、及びジフルオロジフェニルシラン等のジフェニルジハロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、アニシルトリメトキシシラン、アニシルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン、エチルトリイソシアネートシラン、プロピルトリイソシアネートシラン、ブチルトリイソシアネートシラン、ジメチルジイソシアネート、ジエチルジイソシアネート、ジプロピルジイソシアネート、ジブチルジイソシアネート、トリメチルイソシアネートシラン、トリエチルイソシアネートシラン、トリプロピルイソシアネートシラン、トリブチルイソシアネートシラン等が挙げられる。
また、上記式(A−1−3)で表されるケイ素化合物は、上記式(a1a)又は(a2a)で表される構成単位を誘導するケイ素化合物であってもよいが、この場合、樹脂混合物(A−II)におけるポリシロキサン構造(II−2)を有する樹脂は、上記シルセスキオキサン樹脂(A1)又はシルセスキオキサン樹脂(A2)と同様である。
上記式(A−1−1)〜(A−1−4)で表されるケイ素化合物よりなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物の加水分解縮合反応の条件としては、加水分解縮合反応が進行する限り特に制限はないが、公知の条件を使用することができ、その際に、触媒を使用してもよく、上記触媒としては、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、塩酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸を挙げることができる。また、反応条件としては、例えば、1〜10時間、25〜100℃を用いることができる。
上記ポリシラン構造(I−1)及び(II−1)は、それぞれ独立に、下記式(A−2−1)及び(A−2−2)で表されるポリシラン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種に由来する構造を含むことが好ましい。
(R
7R
8R
9Si)
a1(R
10R
11Si)
a2(R
12Si)
a3(Si)
a4・・・(A−2−1)
(上記式中、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基又は有機基である。a1、a2、a3及びa4は、それぞれ独立に、モル分率であり、a1+a2+a3+a4=1、0≦a1≦1、0≦a2≦1、0≦a3≦1及び0≦a4≦1である。)
(上記式(A−2−2)中、R
a1及びR
a2は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基又は有機基を表す。nは3〜20の整数を表す。)
R
7〜R
6、R
a1及びR
a2で表される有機基としては、R
1〜R
6で表される有機基として前述した具体例及び好ましい例と同様のものが挙げられる。
R
7〜R
12、R
a1及びR
a2で表される有機基としては、例えば、特開2003−261681号公報段落0031に記載の方法により任意の有機基を導入し得る。
(ポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A−I))
ポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A−I)はポリシラン構造(I−1)とポリシロキサン構造(I−2)とを有する。
ポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A−I)としては、ポリシラン構造(I−1)とポリシロキサン構造(I−2)とが酸素原子(エーテル結合(−O−))を介して連結したポリシラン−ポリシロキサン樹脂であることが好ましい。
ポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A−I)は、ポリシラン構造中のSi−Si結合及びポリシロキサン構造中のSi−O結合に対して、ポリシラン構造のポリシロキサン構造との連結部分(例えば、エーテル結合)の結合が比較的不安定であり、アルカリ現像液の作用により分解しやすい。これにより、重合性組成物がポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A−I)を含有する場合、アルカリ現像性に優れる。
ポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A−I)としては、下記式(H1)及び(H2)で表される構造からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
(上記式(H1)及び(H2)中、A
1は、それぞれ独立に、下記式(HA1)で表される構造のうちの少なくとも1種を含み、かつ最も左の構造を少なくとも1つ含むポリシロキサン構造を表す。
―A
2O―は、それぞれ独立に、下記式(HA2)で表される構造のうちのいずれかである連結基を表す。なお、上記式(H1)中、―OA
2―は、下記式(HA1)における主鎖―SiO―の結合順が逆になった―OSi―構造を表す。Psiはポリシラン構造(I−1)を表す。)
(上記式(HA1)及び(HA2)中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立に、水素原子又は有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
R
1〜R
6で表される有機基の具体例及び好ましい例としては前述の通りである。
Psiで表されるポリシラン構造(I−1)としては、Si原子数3〜40のポリシラン構造が挙げられ、Si原子数5〜30のポリシラン構造であることが好ましい。
Psiで表されるポリシラン構造(I−1)としては、下記式(HB1)で表されるポリシラン構造のうち1種類以上を含むものであることが好ましい。
(上記式(HB1)中、R
10、R
11及びR
12は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基又は有機基を表す。*は結合手を表す。)
Psiで表されるポリシラン構造(I−1)としては、製造プロセスにおける加工の際に重合性組成物膜を除去する場合又は重合性組成物にリソグラフィー性能を付与した場合に、重合性組成物膜の除去が容易になる点で、下記式(HB1−1)で表されるポリシラン構造を含むことがより好ましい。
(上記式(HB1−1)中、*、R
10及びR
11は式(HB1)と同義である。)
R
10〜R
12で表される有機基の具体例及び好ましい例としてはR
1〜R
6で表される有機基の具体例及び好ましい例として前述したものと同様である。
上記式(H1)で表される構造の1つの具体例としては下記式(H3)で表される構造が挙げられる。
(上記式(H3)中、A
1、―A
2O―、―OA
2―及びPsiは、式(H1)と同義である。)
ポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A−I)の質量平均分子量(Mw)としては、本発明の目的を阻害しない限り特に制限はないが、500〜20000が好ましく、1000〜10000がより好ましく、2000〜8000がさらに好ましい。
本明細書において質量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値である。
(ポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A−I)の製造方法)
上記式(A−1−1)〜(A−1−4)で表されるケイ素化合物よりなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物並びに上記ケイ素化合物の加水分解物、縮合物及び加水分解縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種と、ポリシラン構造を有する樹脂とを加水分解縮合反応させることによりポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A−I)を製造することができる。
製造に用いられる上記ポリシラン構造を有する樹脂としては、上記式(A−2−1)及び(A−2−2)で表されるポリシラン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記加水分解縮合反応条件としては、加水分解縮合反応が進行する限り特に制限はないが、例えば、無機酸、脂肪族スルホン酸、及び芳香族スルホン酸から選ばれる1種類以上の化合物を酸触媒として用いて行うことができる。このとき使用される酸触媒としては、例えばフッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等を挙げることができる。触媒の使用量は、上記式(A−1−1)〜(A−1−4)で表されるケイ素化合物1モルに対して10−6〜10モルが好ましく、より好ましくは10−5〜5モル、さらに好ましくは10−4〜1モルである。
上記式(A−1−1)〜(A−1−4)で表されるケイ素化合物を加水分解縮合するときの水の量は、上記式(A−1−1)〜(A−1−4)で表されるケイ素化合物が有する加水分解性基1モル当たり0.01〜100モルが好ましく、より好ましくは0.05〜50モル、さらに好ましくは0.1〜30モルを添加する。
反応温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは5〜80℃である。
触媒水溶液に加えることのできる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、及びこれらの混合物等が好ましい。
これらの溶剤の中でより好ましいものは水溶性のものである。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。この中で特に好ましいのは、沸点が100℃以下のものである。
また、上記有機溶剤として、後述するヒドロキシ基及びアセトキシ基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を有するテルペン化合物、並びに環状骨格含アセテート化合物(ただし、上記テルペン化合物は除く。)よりなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を好ましく用いることができる。
なお、有機溶剤の使用量は、上記式(A−1−1)〜(A−1−4)で表されるケイ素化合物1モルに対して0〜1,000mLが好ましく、特に0〜500mLが好ましい。
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、加水分解縮合反応で生成したアルコールを減圧除去し、反応混合物水溶液を得てもよい。
上記式(A−2−1)又は(A−2−2)で表されるポリシラン化合物は、種々のポリシランの製造方法を適用又は応用することにより調製できる。
例えば、(a)マグネシウムを還元剤としてハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「マグネシウム還元法」、WO98/29476号公報、特開2003−277507号公報に記載の方法等)、(b)金属ナトリウム等のアルカリ金属を用いてトルエン溶媒中のジアルキルジハロシランあるいはジハロテトラアルキルジシランを100℃以上の温度で強力に撹拌し、還元的にカップリングさせる方法[J.Am.Chem.Soc.,103(1981)7352]、(c)ビフェニル等でマスクしたジシレンをアニオン重合させる方法(特開平1−23063号公報)、(d)環状シラン類を開環重合させる方法(特開平5−170913号公報)、(e)ヒドロシラン類を遷移金属錯体触媒により脱水素縮重合させる方法(特公平7−17753号公報)、(f)ジハロシラン類を室温以下の温度で電極還元してポリシランを製造する方法(特開平7−309953号公報)等が挙げられ、マグネシウム還元法であることが好ましい。
上記式(A−2−1)又は(A−2−2)で表されるポリシラン化合物としては、大阪ガスケミカル製のオグソールSI−10−10(ポリメチルフェニルシラン)、SI−10−20(ポリメチルフェニルシラン)、SI−20−10(ポリフェニルシラン)、SI−20−10改(ポリフェニルシラン)、SI−30−10(環状ポリジフェニルシラン)等の市販品を用いることもできる。また、これらを下記塩基性条件下で反応させて低分子量化したものを用いてもよい。
(樹脂混合物(A−II))
前述の通り、樹脂混合物(A−II)は、ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂と、ポリシロキサン構造(II−2)を有する樹脂との混合物である。以下、ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂と、ポリシロキサン構造(II−2)を有する樹脂とについて説明する。
((ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂))
ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂としては、Si原子数3〜40のポリシラン構造を有する樹脂が挙げられ、Si原子数5〜30のポリシラン構造を有する樹脂であることが好ましい。
ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂としては、上記式(HB1)で表されるポリシラン構造のうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、上記式(HB1−1)で表されるポリシラン構造を含むことがより好ましい。
ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂は、上記式(A−2−1)及び(A−2−2)で表されるポリシラン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂が、上記式(a1a−II)で表される置換基を有する場合、ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂を重合性基含有成分(後述の(5)の重合性基含有樹脂の場合に該当)として好適に使用できる。
ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、本発明の目的を阻害しない限り特に制限はないが、500〜20000が好ましく、1000〜10000がより好ましく、2000〜5000がさらに好ましい。
((ポリシロキサン構造(II−2)を有する樹脂))
ポリシロキサン構造(II−2)を有する樹脂は、上記式(A−1−1)〜(A−1−4)で表されるケイ素化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む混合物の加水分解縮合構造を有することが好ましく、上記式(HA1)で表されるポリシロキサン構造のうちの少なくとも1種を含むことがより好ましい。
ポリシロキサン構造(II−2)を有する樹脂は、上記式(A−1−1)〜(A−1−4)で表されるケイ素化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む混合物の加水分解縮合反応により製造することができる。
ポリシロキサン構造(II−2)を有する樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、本発明の目的を阻害しない限り特に制限はないが、500〜20000が好ましく、1000〜10000がより好ましい。
ケイ素含有樹脂(A)が、樹脂混合物(A−II)の場合、ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂の、ポリシロキサン構造(II−2)を有する樹脂に対する混合比は、本発明の効果が損なわれない限り特に制限はないが、0.01質量倍〜5質量倍が好ましく、0.05質量倍〜1質量倍がより好ましい。
(ポリシラン構造含有樹脂(A−III))
ポリシラン構造含有樹脂(A−III)は、ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂であり樹脂混合物(A−II)における、ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂と同様である。
ケイ素含有樹脂(A)が、ポリシラン構造含有樹脂(A−III)である場合、ポリシラン構造(II−1)を有する樹脂は、塩基性条件下で処理(例えば、精製処理)された、ポリシラン構造を有する樹脂であるか、又は上記式(a1a−I)で表される置換基を有していることが好ましい。
塩基性条件下での処理について、使用する塩基としては塩基性を呈する化合物であれば種々用いることができるが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム等のアルキル金属類、Cr、Ga、Fe(Fe(II)、Fe(III))、Cd、Co、Ni、Sn、Pb、Cu(Cu(II)、Cu(I))、Ag、Pd、Pt、Au等の金属(又は金属イオン)で構成される金属ハロゲン化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等の有機塩基類を用いることができる。反応温度は−50℃〜溶媒の沸点程度が好ましく、室温〜100℃がさらに好ましい。
また、ケイ素含有樹脂(A)が、ポリシラン構造含有樹脂(A−III)を含む場合、ケイ素含有樹脂(A)として、さらに、シルセスキオキサン樹脂(A1)及び/又はポリシラン−ポリシロキサン樹脂(A―I)を組み合わせることが好ましい。
また、ケイ素含有樹脂(A)が、ポリシラン構造含有樹脂(A−III)を含む場合、重合成分として(4)多官能重合性モノマー(B)と組み合わせて用いることが好ましい。
重合性組成物におけるケイ素含有樹脂(A)の含有量は、重合性組成物における固形分全体に対して20〜97質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、40〜80質量%がさらに好ましい。
かかる範囲の量のケイ素含有樹脂(A)を用いることにより、未露光部における残渣の発生を抑制しやすく、良好な現像性を確保しやすい。
<多官能重合性モノマー(B1)>
重合性組成物は、重合性基含有成分として多官能重合性モノマー(B1)を含んでいてもよい。多官能重合性モノマーは、重合性基として、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、又はエポキシ基含有有機基を有する化合物である。
多官能重合性モノマー(B1)の好適な例としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、又はビニル基を有する不飽和化合物(B1−1)と、エポキシ基含有有機基を有するエポキシ化合物(B1−2)が挙げられる。
これらの多官能重合性モノマー(B1)の中でも、重合性組成物の基板への密着性、重合性組成物の硬化後の強度を高める傾向にある点から、3官能以上の多官能重合性モノマーが好ましく、4官能以上の多官能重合性モノマーがより好ましく、5官能以上の多官能重合性モノマーがさらに好ましい。
不飽和化合物(B1−1)としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物)、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのエチレン性不飽和基を有する不飽和化合物(B1−1)の中でも、重合性組成物の基板への密着性、重合性組成物の硬化後の強度を高める傾向にある点から、3官能以上の不飽和化合物が好ましく、4官能以上の不飽和化合物がより好ましく、5官能以上の不飽和化合物がさらに好ましい。
エポキシ化合物(B1−2)の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂が挙げられる。
重合性組成物が多官能重合性モノマー(B1)を含む場合の、多官能重合性モノマー(B1)の含有量は、重合性組成物の固形分全体の質量に対して1〜80質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。また、ケイ素含有樹脂(A)100質量部に対して、多官能重合性モノマー(B1)を10〜200質量部とすることが好ましく、20〜120質量部の範囲がより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
<重合性基含有樹脂(B2)>
重合性組成物は、重合性基含有成分として、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、及びエポキシ基含有有機基からなる群より選択される1以上の基を有し、かつシルセスキオキサン樹脂(A1)、シルセスキオキサン樹脂(A2)、及び多官能重合性モノマー(B1)のいずれにも該当しない重合性基含有樹脂(B2)を含んでいてもよい。
なお、重合性基含有樹脂(B2)は、多官能重合性モノマー(B1)と併用されてもよい。
重合性基含有樹脂(B2)の好適な例としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、又はビニル基を有する不飽和樹脂(B2−1)と、エポキシ基含有有機基を有するエポキシ基含有樹脂(B2−2)が挙げられる。
以下、不飽和樹脂(B2−1)と、エポキシ基含有樹脂(B2−2)とについて説明する。
[不飽和樹脂(B2−1)]
不飽和樹脂(B2−1)は、(メタ)アクリロイルオキシ基、又はビニル基を有する樹脂であれば特に限定されない。不飽和受理(B2−1)の好適な例としては、後述するエポキシ基含有樹脂(B2−2)が有するエポキシ基の少なくとも一部に、不飽和カルボン酸を反応させた樹脂が挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。
また、下記式(b−1)で表されるカルド構造を有する樹脂(カルド樹脂とも記す。)も不飽和樹脂(B2−1)として好ましい。
式(b−1)中、Xbは、下記式(b−2)で表される基を示す。m1は0〜20の整数を示す。
上記式(b−2)中、Rb1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Rb2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Rb3は、それぞれ独立に直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、m2は、0又は1を示し、Wbは、下記式(b−3)で表される基を示す。
式(b−2)中、Rb3としては、炭素原子数1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基が特に好ましく、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、及びプロパン1,3−ジイル基が最も好ましい。
式(b−3)中の環Abは、芳香族環と縮合していてもよく置換基を有していてもよい脂肪族環を示す。脂肪族環は、脂肪族炭化水素環であっても、脂肪族複素環であってもよい。
脂肪族環としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられる。
具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが挙げられる。
脂肪族環に縮合してもよい芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族複素環でもよく、芳香族炭化水素環が好ましい。具体的にはベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい。
式(b−3)で表される2価基の好適な例としては、下記の基が挙げられる。
式(b−1)中の2価基X
bは、残基Z
bを与えるテトラカルボン酸二無水物と、下式(b−2a)で表されるジオール化合物とを反応させることにより、カルド樹脂中に導入される。
式(b−2a)中、Rb1、Rb2、Rb3、及びm2は、式(b−2)について説明した通りである。式(b−2a)中の環Abについては、式(b−3)について説明した通りである。
式(b−2a)で表されるジオール化合物は、例えば、以下の方法により製造し得る。
まず、下記式(b−2b)で表されるジオール化合物が有するフェノール性水酸基中の水素原子を、必要に応じて、常法に従って、−R
b3−OHで表される基に置換した後、エピクロルヒドリン等を用いてグリシジル化して、下記式(b−2c)で表されるエポキシ化合物を得る。
次いで、式(b−2c)で表されるエポキシ化合物を、アクリル酸又はメタアクリル酸と反応させることにより、式(b−2a)で表されるジオール化合物が得られる。
式(b−2b)及び式(b−2c)中、R
b1、R
b3、及びm2は、式(b−2)について説明した通りである。式(b−2b)及び式(b−2c)中の環A
bについては、式(b−3)について説明した通りである。
なお、式(b−2a)で表されるジオール化合物の製造方法は、上記の方法に限定されない。
式(b−2b)で表されるジオール化合物の好適な例としては、以下のジオール化合物が挙げられる。
上記式(b−1)中、Rb0は水素原子又は−CO−Yb−COOHで表される基である。ここで、Ybは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記式(b−1)中、Zbは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、その他脂環骨格含有テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(b−1)中、m1は、0〜20の整数を示す。
カルド樹脂の重量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、1500〜30000であることがより好ましく、2000〜10000であることがさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
[エポキシ基含有樹脂(B2−2)]
エポキシ基含有樹脂(B2−2)は、エポキシ基を有する単量体又はエポキシ基を有する単量体を含む単量体混合物を重合させて得られる重合体であってもよい。エポキシ基含有樹脂は、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等の反応性を有する官能基を有する重合体に対して、例えばエピクロルヒドリンのようなエポキシ基を有する化合物を用いてエポキシ基を導入したものであってもよい。入手、調製、重合体中のエポキシ基の量の調整等が容易であることから、エポキシ基を有する重合体としては、エポキシ基を有する単量体又はエポキシ基を有する単量体を含む単量体混合物を重合させて得られる重合体が好ましい。
エポキシ基含有樹脂(B2−2)の好ましい一例としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、及びビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の芳香族エポキシ樹脂が挙げられる。
また、エポキシ基含有樹脂(B2−2)の中では、調製が容易であったり、形成される膜の物性の調整が容易であったりすることから、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体か、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体が好ましい。
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであっても、後述するような、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。また、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、芳香族基を含んでいてもよい。エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの中では、鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルや、脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
芳香族基を含み、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、4−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、及び2−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの例としては、エポキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート等のような、エステル基(−O−CO−)中のオキシ基(−O−)に鎖状脂肪族エポキシ基が結合する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルが有する鎖状脂肪族エポキシ基は、鎖中に1又は複数のオキシ基(−O−)を含んでいてもよい。鎖状脂肪族エポキシ基の炭素原子数は、特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜10が特に好ましい。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、5−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば下記式(b1−1)〜(b1−15)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、下記式(b1−1)〜(b1−5)で表される化合物が好ましく、下記式(a1−1)〜(a1−3)で表される化合物がより好ましい。また、これら各化合物に関し、脂環に対するエステル基の酸素原子の結合部位はここで示されているものに限られず、一部位置異性体を含んでいてもよい。
上記式中、Rb7は水素原子又はメチル基を示し、Rb8は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rb9は炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を示し、t0は0〜10の整数を示す。Rb8としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rb9としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基が好ましい。
エポキシ基を有する重合体としては、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、及びエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体のいずれも用いることができるが、エポキシ基を有する重合体中の、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%であるのが最も好ましい。
エポキシ基を有する重合体が、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体である場合、他の単量体としては、不飽和カルボン酸、エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。重合性組成物の保存安定性や、重合性組成物を用いて形成される膜のアルカリ等に対する耐薬品性の点からは、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体は、不飽和カルボン酸に由来する構成単位を含まないのが好ましい。
不飽和カルボン酸の例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。
エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステルの中では、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記式(b2−1)〜(b2−8)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(b2−3)〜(b2−8)で表される化合物が好ましく、下記式(b2−3)又は(b2−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Rb10は水素原子又はメチル基を示し、Rb11は単結合又は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rb12は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。Rb11としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rb12としては、メチル基、エチル基が好ましい。
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物の例としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
エポキシ基含有樹脂(B2−2)の分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量として、3,000〜30,000が好ましく、5,000〜15,000がより好ましい。
重合性組成物が重合性基含有樹脂(B2)を含む場合の、重合性基含有樹脂(B2)の含有量は、重合性組成物の固形分全体の質量に対して1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
また、多官能重合性モノマー(B1)と、重合性基含有樹脂(B2)とを併用する場合、両者の含有量の合計は、重合性組成物の固形分全体の質量に対して1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
<重合開始剤(C)>
重合開始剤(C)は、重合性組成物中の重合性基含有成分の重合反応を進行させることができれば特に限定されない。典型的には、種々の感光性組成物において光重合開始剤として使用されている化合物を特に制限なく使用することができる。
重合開始剤(C)として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、O−アセチル−1−[6−(2−メチルベンゾイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンオキシム、(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)[4−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−2−メチルフェニル]メタノンO−アセチルオキシム、2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、オキシム系の重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。オキシム系の重合開始剤の中で、特に好ましいものとしては、O−アセチル−1−[6−(2−メチルベンゾイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンオキシム、エタノン,1−[9−エチル−6−(ピロール−2−イルカルボニル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)、及び2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンが挙げられる。
また、重合性基がエポキシ基含有有機基である場合には、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等の感光性のカチオン重合開始剤を重合開始剤(C)として用いることもできる。
重合開始剤(C)としては、また、下記式(c1)で表されるオキシム系化合物を用いることも好ましい。
(R
c1は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、
n1は0〜4の整数であり、
n2は0、又は1であり、
R
c2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、
R
c3は、水素原子、又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
式(c1)中、Rc1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rc1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。n1が2〜4の整数である場合、Rc1は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素原子数には、置換基がさらに有する置換基の炭素原子数を含まない。
Rc1がアルキル基である場合、炭素原子数1〜20が好ましく、炭素原子数1〜6がより好ましい。また、Rc1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rc1がアルコキシ基である場合、炭素原子数1〜20が好ましく、炭素原子数1〜6がより好ましい。また、Rc1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rc1がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、炭素原子数3〜10が好ましく、炭素原子数3〜6がより好ましい。Rc1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rc1が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素原子数2〜20が好ましく、炭素原子数2〜7がより好ましい。Rc1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rc1がアルコキシカルボニル基である場合、炭素原子数2〜20が好ましく、炭素原子数2〜7がより好ましい。Rc1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rc1がフェニルアルキル基である場合、炭素原子数7〜20が好ましく、炭素原子数7〜10がより好ましい。またRc1がナフチルアルキル基である場合、炭素原子数11〜20が好ましく、炭素原子数11〜14がより好ましい。Rc1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rc1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
Rc1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rc1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
Rc1が1、又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rc1の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、及び炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
Rc1がフェニル基に結合する位置は、Rc1が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がよりに好ましい。また、n1は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1が特に好ましい。
Rc2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、Rc2が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
Rc2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
Rc2がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1、又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rc1と同様である。
Rc2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rc2の中では、感度に優れる重合開始剤を得やすい点から、下記式(c2)、又は(c3)で表される基が好ましく、下記式(c2)で表される基がより好ましく、下記式(c2)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
(R
c4は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、n3は、0〜4の整数である。)
(R
c5及びR
c6は、それぞれ、1価の有機基である。)
式(c2)におけるRc4が有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(c2)においてRc4が有機基である場合の好適な例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
Rc4の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(c2)において、n3は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。n3が1である場合、Rc4の結合する位置は、Rc4が結合するフェニル基が酸素原子又は硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
式(c3)におけるRc5は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rc5の好適な例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
Rc5の中では、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
式(c3)におけるRc6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc6として好適な基の具体例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc6として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2−メチルフェニル基が特に好ましい。
Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(c1)におけるRc3は、水素原子、又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。Rc3としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(c1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記のPI−1〜PI−42が挙げられる。
また、下記式(c4)で表されるオキシムエステル化合物も、重合開始剤(C)として好ましい。
(R
c7は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、R
c8及びR
c9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、R
c8とR
c9とは相互に結合して環を形成してもよく、R
c10は1価の有機基であり、R
c11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n4は0〜4の整数であり、n5は0又は1である。)
ここで、式(c4)のオキシムエステル化合物を製造するためのオキシム化合物としては、下式(c5)で表される化合物が好適である。
(R
c7、R
c8、R
c9、R
c10、n4、及びn5は、式(c4)と同様である。)
式(c4)及び(c5)中、Rc7は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。Rc7は、式(c4)中のフルオレン環上で、−(CO)n5−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(c4)中、Rc7のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(c4)で表される化合物が1以上のRc7を有する場合、式(c4)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRc7のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。Rc7が複数である場合、複数のRc7は同一であっても異なっていてもよい。
Rc7が有機基である場合、Rc7は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rc7が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
Rc7がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rc7がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc7がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc7がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rc7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rc7がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc7がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rc7がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。Rc7がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc7がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rc7が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2〜21が好ましく、2〜7がより好ましい。Rc7が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc7が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rc7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。Rc7がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rc7がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、Rc7がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。Rc7がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rc7がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc7が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc7は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
Rc7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Rc7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
Rc7がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rc7がヘテロシクリル基である場合と同様である。
Rc7が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc7と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上説明した基の中でも、Rc7としては、ニトロ基、又はRc12−CO−で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。Rc12は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc12として好適な基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc12として、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、Rc7が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、Rc7が水素原子でありかつRc10が後述の式(c4a)又は(c4b)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
式(c4)中、Rc8及びRc9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rc8とRc9とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rc8及びRc9として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rc8及びRc9が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
Rc8及びRc9が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。Rc8及びRc9が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc8及びRc9がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rc8及びRc9が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rc7がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rc7がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rc7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1〜20であり、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
Rc8及びRc9が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rc8及びRc9が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rc8及びRc9が鎖状アルキル基である場合と同様である。
Rc8及びRc9が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
Rc8及びRc9が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
Rc8及びRc9がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
Rc8とRc9とは相互に結合して環を形成してもよい。Rc8とRc9とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rc8とRc9とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
Rc8とRc9とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したRc8及びRc9の中でも好適な基の例としては、式−A1−A2で表される基が挙げられる。式中、A1は直鎖アルキレン基であり、A2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
A1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。A2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rc8及びRc9が置換基として有する環状有機基と同様である。A2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rc8及びRc9が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
Rc8及びRc9の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニル−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニル−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニル−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニル−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロロエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、4−クロロ−n−ブチル基、5−クロロ−n−ペンチル基、6−クロロ−n−ヘキシル基、7−クロロ−n−ヘプチル基、8−クロロ−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
Rc8及びRc9として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
Rc10の好適な有機基の例としては、Rc7と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、Rc7について説明したものと同様である。また、Rc10としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rc7に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
有機基の中でも、Rc10としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5〜10が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、Rc10としては、−A3−CO−O−A4で表される基も好ましい。A3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。A4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
A3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
A4の好適な例としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、及び炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。A4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
−A3−CO−O−A4で表される基の好適な具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロピルオキシカルボニルエチル基、2−n−ブチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フェノキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ブチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ペンチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ヘキシルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−ベンジルオキシカルボニル−n−プロピル基、及び3−フェノキシカルボニル−n−プロピル基等が挙げられる。
以上、R
c10について説明したが、R
c10としては、下記式(c4a)又は(c4b)で表される基が好ましい。
(式(c4a)及び(c4b)中、R
c13及びR
c14はそれぞれ有機基であり、n6は0〜4の整数であり、R
c13及びR
8がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
c13とR
c14とが互いに結合して環を形成してもよく、n7は1〜8の整数であり、n8は1〜5の整数であり、n9は0〜(n8+3)の整数であり、R
c15は有機基である。)
式(c4a)中のRc13及びRc14についての有機基の例は、Rc7と同様である。Rc13としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rc13がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、Rc13はメチル基であるのが最も好ましい。Rc13とRc14とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(c4a)で表される基であって、Rc13とRc14とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(c4a)中、n6は0〜4の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(c4b)中、Rc15は有機基である。有機基としては、Rc7について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。Rc15としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(c4b)中、n8は1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(c4b)中、n9は0〜(n8+3)であり、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(c4b)中、n7は1〜8の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(c4)中、Rc11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rc11がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Rc7がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(c4)中、Rc11としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(c4)で表される化合物は、前述の式(c5)で表される化合物に含まれるオキシム基(>C=N−OH)を、>C=N−O−CORc11で表されるオキシムエステル基に変換する工程を含む方法により製造される。Rc11は、式(c4)中のRc11と同様である。
オキシム基(>C=N−OH)の、>C=N−O−CORc11で表されるオキシムエステル基への変換は、前述の式(c5)で表される化合物と、アシル化剤とを反応させることにより行われる。
−CORc11で表されるアシル基を与えるアシル化剤としては、(Rc11CO)2Oで表される酸無水物や、Rc11COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
式(c4)で表される化合物の好適な具体例としては、以下のPI−43〜PI−83が挙げられる。
重合開始剤(C)の含有量は、重合性組成物の固形分全体の質量に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。重合開始剤(C)の含有量を上記の範囲とすることにより、パターン形状の不良が生じにくい重合性組成物を得ることができる。
また、重合開始剤(C)に、光開始助剤を組み合わせてもよい。光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、ペンタエリストールテトラメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピオネート等のチオール化合物等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
<フィラー(D)>
重合性組成物は、フィラー(D)を含む。フィラー(D)は、無機フィラー(D1)、及び塩基性フィラー(D2)からなる群より選択される1種以上を含む。無機フィラー(D1)及び塩基性フィラー(D2)については詳細に後述する。
重合性組成物は、前述の所定の要件を満たすシルセルキオキサン樹脂(A)を含むため、無機フィラー(D1)や塩基性フィラー(D2)を含有していても、フォトリソグラフィー法によるパターニング時の現像後において、未露光部での残渣の発生が抑制される。
[無機フィラー(D1)]
無機フィラー(D1)は、La、Ce、Nd、Gd、Ho、Lu、Hf、及びTaからなる群より選択さえる少なくとも1種の元素の単体、前述の元素の酸化物、前述の元素のキレート化合物、前述の元素の塩、並びに前述の元素の合金からなる群より選択される1種以上である。
上記の元素は、電子密度が高い。このため、上記元素の単体、上記元素の酸化物、上記元素のキレート化合物、上記元素の塩、及び上記元素の合金は誘電率が高い。また、上記元素の単体、上記元素の酸化物、上記元素のキレート化合物、上記元素の塩、及び上記元素の合金は、重合性組成物を用いて形成される膜において、膜を構成するマトリックス中に分散された状態で、可視光の透過を阻害しにくい。
このため、上述の無機フィラー(D1)を含む重合性組成物を用いて形成される膜は、誘電率が高く、透明性に優れる傾向にあり、透明絶縁膜として好適に使用できる。上記元素の単体、上記元素の酸化物、上記元素のキレート化合物、上記元素の塩、及び上記元素の合金の各々は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記元素の酸化物に含まれる上記元素の原子価は特に制限されない。
上記元素のキレート化合物において、上記元素とキレートを形成する配位子としては、ピリジン、トリフェニルホスフィン、一酸化炭素、エチレンジアミン、ビピリジン、カテコール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が挙げられる。
上記元素の塩は、無機酸の塩であっても、有機酸の塩であってもよい。好ましい塩としては、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、及び安息香酸塩等が挙げられる。塩を構成する上記元素の原子価は特に制限されない。
上記元素の合金に含まれる金属(元素)の組み合わせは特に限定されない。また、合金中に含まれる複数の金属(元素)の混合比率も特に限定されない。
上記元素の単体、上記元素の酸化物、上記元素のキレート化合物、上記元素の塩、及び上記元素の合金の中では、組成物中で安定であることや、重合性組成物を用いて透明性に優れる膜を形成しやすいことから、酸化物が好ましい。上記元素の酸化物の好適な具体例としては、La2O3、CeO2、Nd2O3、Gd2O3、Ho2O3、Lu2O3、HfO2、及びTa2O5が挙げられる。
無機フィラー(D1)の形状は特に限定されない。無機フィラー(D1)の平均粒子径は、200nm以下が好ましく、より好ましくは150nm以下であり、特に好ましくは100nm以下である。無機フィラー(D1)の平均粒子径が200nm以下であると、分散液中において無機フィラー(D1)が沈殿しにくく、液状の形態の重合性組成物を得やすい。また、無機フィラー(D1)の平均粒子径の下限は、特に限定されず、好ましくは40nm以上であり、より好ましくは45nm以上である。無機フィラー(D1)の平均粒子径の下限が40nm以上であると、無機フィラー(D1)の表面がコーティングされやすくなり、重合性組成物を用いて得られる膜は、誘電率が低下しにくく、リーク電流が発生しにくく、また、無機フィラー(D1)は凝集しにくい。
なお、本明細書において、平均粒子径とは、動的光散乱測定法(DLS)で測定された体積平均粒子径をいう。
重合性組成物中の無機フィラー(D1)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。重合性組成物中の無機フィラー(D1)の含有量は、典型的には、ケイ素含有樹脂(A)100質量部に対して5〜60質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましく、15〜40質量部が特に好ましい。
[塩基性フィラー(D2)]
塩基性フィラー(D2)は、塩基性フィラー、及び塩基性ポリマーから選択される一種以上である。
以下、塩基性フィラーと、塩基性ポリマーとについて順に説明する。
(塩基性フィラー)
塩基性フィラーは、その表面が塩基性を呈する材料からなる、粉状、板状、又は短繊維状のフィラーである。塩基性フィラーは、有機フィラーであっても、無機フィラーであってもよい。塩基性フィラーの形状は、特に限定されず、粉末状であっても、板状であっても、短繊維状であってもよい。
塩基性フィラーのサイズは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、目的のパターンサイズ等に合わせて適宜選択すればよい。塩基性フィラーのサイズとしては、球状の場合、平均直径として、1nm〜1500nmが好ましく、2〜800nmがより好ましく、10nm〜100nmがさらに好ましい。板状、又は短繊維状の場合、平均長さとして、5nm〜1500nmが好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。また、繊維状の場合、フィラー平均長さ(L1)とフィラーの平均断面径(L2)との比率である平均アスペクト比(L1/L2)は特に限定されず、1.5〜1000が好ましく、2〜100がより好ましい。
塩基フィラーの例としては、塩基性の金属炭酸塩、塩基性の金属水酸化物、タルク、マイカ、セメント粉末、塩基性の活性アルミナ、ハイドロタルサイト、後述する塩基性ポリマーの粉末等が挙げられる。塩基性の金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。塩基性の金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
また、塩基フィラーとしては、その表面が塩基性の材料で被覆されたフィラーや、その表面に塩基性の材料を付着せしめたフィラーであってもよい。塩基性の材料により処理されるフィラーの表面の性状は特に限定されず、酸性であっても、塩基性であっても、中性であってもよい。
塩基性の材料により処理されるフィラーとしては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ムライト、スピネル、酸化亜鉛等の金属酸化物の粉体;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の粉体;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩の粉末;マイカ、タルク、ガラス短繊維、カーボン短繊維、チタン酸カリウムウィスカ、チタン酸バリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、酸化チタンウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ等の板状又は短繊維状のフィラー;有機樹脂の粉末;鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、銀、スズ、白金及び金等の金属粒子の粉体等が挙げられる。
フィラーの表面処理に使用される塩基性の材料としては、アンモニア、有機アミン、含窒素塩基性基を含むシランカップリング剤、塩基性の含窒素環状化合物等が挙げられる。これらの中では、無機フィラーの表面に化学的に結合しやすいことから、含窒素塩基性基を含むシランカップリング剤が好ましい。このようなシランカップリング剤の好適な例としては、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランや、γ−アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
また、塩基性の材料によるフィラーの処理は、後述する塩基性ポリマーや、塩基性ポリマーを含む樹脂混合物等による被覆処理であってもよい。例えば、低級アンモニウム配位子によりある程度安定化した金属粒子を合成した後に塩基性ポリマーにより配位子を交換する方法や、アンモニウム基を有する塩基性ポリマーの溶液中で、上記金属の金属イオンを直接還元することにより金属粒子に塩基性ポリマーを付着又は配位させた複合体を形成してもよい。また、塩基性ポリマーと、フィラーとを含む均一な組成物を、粉砕等の方法により微粒子化させた粉体も、塩基性フィラーとして用いることが出来る。
(塩基性ポリマー)
塩基性ポリマーとしては、従来から知られる種々の塩基性ポリマーを用いることが出来る。塩基性ポリマーの好適な例としては、ポリピロール、ポリアニリン、及びポリアニレンビニレン、及びこれらの樹脂の誘導体等が挙げられる。
ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジ−n−ブチルアミノエチル基、及びN−エチル−N−フェニルアミノエチル基等の塩基性の官能基を有する(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、ビニルピペリジン、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、及びN−ビニルラクタム(N−ビニルピロリドン等)等の塩基性の不飽和単量体に由来する構成単位を含む、不飽和結合を有する単量体の単独重合体又は共重合体も、塩基性ポリマーとして好ましい。
このような塩基性の単独重合体又は共重合体としては、アクリル樹脂、及びスチレンアクリル樹脂等が好ましい。
カルボン酸のアルカリ金属塩のような塩基性を示すカルボン酸塩基を有する樹脂も、塩基性ポリマーとして挙げられる。このような樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸に由来する構成単位を含む樹脂や、ビニル酢酸単位を含む樹脂の側鎖のカルボキシ基が、塩基性のカルボン酸塩基に変換された樹脂が挙げられる。
また、塩基性ポリマーは、直鎖状の主鎖を有するポリマーに限定されない。塩基性ポリマーとしては、網目状ポリマーや、樹状に分岐した所謂デンドリマー構造を有するポリマーを用いることもできる。塩基性ポリマーがデンドリマー構造を有する場合、塩基性の官能基はポリマーの最外層に存在するのが好ましい。
デンドリマー構造を有するポリマーの好適な例としては、下式(d1)で表されるポリマーが挙げられる。
式中、R
d1は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。R
d2、及びR
d3はそれぞれ独立に、塩基性基又は末端に塩基性基を有する有機基である。tは2〜100000の整数である。
式(d1)中、A
d1は、下式(d2)で表される2価基である。
式(d2)中、Ad2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30のアルキレン基を表す。また、Yd1、Yd2、Yd3及びYd4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、又はシアノ基を表す。
式(d1)中、Rd2、及びRd3に含まれる塩基性基としては、アンモニウム塩基、ピリジニル基等の塩基性の複素環基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基等が挙げられる。
アンモニウム塩基としては、−N+Rd4Rd5Rd6・Z−で表される基が好ましい。Rd4、Rd5、及びRd6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、又は−(CH2CH2O)u−Rd7で表される基である。なお、uは、2〜100の整数であり、Rd7は、水素原子又はメチル基である。Rd4、Rd5、及びRd6のうちの任意の二つは、互いに結合して環を形成してもよい。
Z−は陰イオンであり、ハロゲン原子、PF6−、BF4−又はパーフルオロアルカンスルホナートが好ましい。
1又は2の有機基で置換されたアミノ基としては、アルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基が好ましい。アルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基に含まれるアルキル基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び炭素原子数1〜10のヒドロキシアルキル基が好ましい。
炭素原子又Ad1と、Rd2又はRd3に含まれる塩基性基とを連結する基としては、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30のアルキレン基、−O−CO−*、−S−CO−*、−S−CS−*等が挙げられる。なお、*が付された結合手は、Rd2又はRd3に含まれる塩基性基と結合する結合手である。
式(d1)中のA
d1としては、下記構造の2価基が好ましい。
つまり、式(d1)で表される化合物としては、下式(d3)で表される化合物が好ましい。
上記式(d3)中、Rd1、Rd2、Rd3、及びtについては式(d1)と同様である。
塩基性ポリマーは、重合性組成物に均一に溶解してもよく、重合性組成物中に均一に分散してもよい。
重合性組成物中の塩基性フィラー(D2)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。重合性組成物中の塩基性フィラー(D2)の含有量は、典型的には、ケイ素含有樹脂(A)100質量部に対して0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜10質量部が特に好ましい。また、重合性組成物中の固形分全体に対し、1〜30質量%であることが好ましく、1.5〜25質量%がより好ましい。
<有機溶剤(S)>
重合性組成物は、塗布性の調整やフィラー(D)の分散等の目的で、通常(S)有機溶剤を含むのが好ましい。かかる有機溶剤(S)としては、従来から種々の感光性組成物に配合されている有機溶剤を特に制限なく用いることができる。
有機溶剤(S)の好適な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
また、有機溶剤(S)は含窒素有機溶媒を含んでいてもよい。特に、重合性組成物が塩基性フィラー(D2)を含む場合、有機溶剤(S)として含窒素有機溶剤を含むのが好ましい。
この場合、重合性組成物中での塩基性フィラー及び/又は塩基性ポリマーの凝集や分散不良を抑制でき、これにより、重合性組成物を用いて断面や表面が平滑な膜を形成しやすい。
含窒素有機溶媒は、窒素原子を含んでいれば、極性溶媒でも非極性溶媒でもよい。含窒素有機溶媒としては、含窒素極性有機溶媒が好ましい。
含窒素極性有機溶媒の例としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等の複素環式極性有機溶媒等が挙げられる。なお、含窒素有機溶媒、含窒素極性有機溶媒ともに、これらの例に限定されない。また、含窒素有機溶媒は、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
含窒素極性有機溶媒としては下式(S1)で表される化合物が好ましい。
(式(S1)中、R
s1及びR
s2は、それぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキル基であり、R
s3は下式(S1−1)又は下式(S1−2):
で表される基である。式(S1−1)中、R
s4は、水素原子又は水酸基であり、R
s5及びR
s6は、それぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキル基である。式(S1−2)中、R
s7及びR
s8は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1〜3のアルキル基である。)
式(S1)で表される化合物のうち、Rs3が式(S1−1)で表される基である場合の具体例としては、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、N−エチル,N,2−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジエチル−2−メチルプロピオンアミド、N,N,2−トリメチル−2−ヒドロキシプロピオンアミド、N−エチル−N,2−ジメチル−2−ヒドロキシプロピオンアミド、及びN,N−ジエチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミド等が挙げられる。
式(S1)で表される化合物のうち、Rs3が式(S1−2)で表される基である場合の具体例としては、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、N,N,N’,N’−テトラエチルウレア等が挙げられる。
式(S1)で表される化合物のうち、種々の材料を良好に溶解させるとともに、重合性組成物中での塩基性フィラー及び/又は塩基性ポリマーの凝集を抑制しやすいことから、特に好ましいものとしては、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレアが挙げられる。
有機溶剤(S)中の、含窒素有機溶媒の含有量は、例えば、5〜100質量%であり、フィラー(D)が塩基性フィラー(D2)を含む場合、50〜100質量%が好ましく、60〜90質量%がより好ましい。
また、溶剤として、ヒドロキシ基及びアセトキシ基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を有するテルペン化合物、並びに環状骨格含アセテート化合物(ただし、上記テルペン化合物は除く。)からなる群より選択される少なくとも1つの溶剤を用いてもよい。
(ヒドロキシ基及びアセトキシ基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を有するテルペン化合物)
ヒドロキシ基及びアセトキシ基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を有するテルペン化合物としては、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、4−(アセチルオキシ)−α,α,4−トリメチルシクロヘキサンメタノールアセタート、2−[1−メチル−1−(4−メチル−3−シクロヘキセン−1−イル)エトキシ]エタノール等が好ましく挙げられる。
ターピネオールは、以下のα−、β−、γ−の異性体が存在し、日本香料薬品(株)や、日本テルペン化学(株)から上市されている。
また、ジヒドロターピネオールは、以下の2つの化合物(1−ヒドロキシ−p−メンタン、及び、8−ヒドロキシ−p−メンタン)が存在し、日本テルペン化学(株)からジヒドロターピネオール、テルソルブDTO−210として上市されている。
4−(アセチルオキシ)−α,α,4−トリメチルシクロヘキサンメタノールアセタートは、下記式C−3で表される化合物であるが、式C−1で表される化合物、及び、式C−2で表される化合物との混合物として、例えば、日本テルペン化学(株)からテルソルブTHA−90、テルソルブTHA−70として上市されている。
2−[1−メチル−1−(4−メチル−3−シクロヘキセン−1−イル)エトキシ]エタノールは、下記式で表される化合物であり、例えば、日本テルペン化学(株)からテルソルブTOE−100として上市されている。
これらの中でも、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、テルソルブTHA−90、テルソルブTHA−70、テルソルブTOE−100が好ましく、ジヒドロターピネオール、テルソルブTHA−90、テルソルブTHA−70がより好ましく、テルソルブTHA−90、テルソルブTHA−70がさらに好ましい。
上記テルペン化合物としては、単独で用いても2種以上を混合して使用してもよい。
(環状骨格含アセテート化合物)
環状骨格含アセテート化合物(ただし、上記テルペン化合物は除く。)としては、本発明の効果を損なわない環状骨格を有するアセテート系溶剤である限り特に制限はないが、下記式(S1)で表されるシクロアルキルアセテートであることが好ましい。
(式(S1)中、R
s1は、それぞれ独立に、アルキル基であり、pは1〜6の整数であり、qは0〜(p+1)の整数である。)
R
s1で表されるアルキル基としては炭素原子数1〜3のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられる。
式(S1)で表されるシクロアルキルアセテートの具体例としては、シクロプロピルアセテート、シクロブチルアセテート、シクロペンチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、シクロヘプチルアセテート、及びシクロオクチルアセテートが挙げられる。
これらの中では、入手容易性等の観点から、シクロオクチルアセテートが好ましい。
上記環状骨格含アセテート化合物としては、単独で用いても2種以上を混合して使用してもよい。
有機溶剤(S)の含有量は、特に限定されず、重合性組成物により形成される膜の膜厚等に応じて適宜設定される。有機溶剤(S)は、典型的には、重合性組成物の固形分濃度が1〜50質量%、好ましく5〜30質量%であるような量使用される。
<その他の成分>
重合性組成物には、以上説明した成分の他、必要に応じて、界面活性剤、光塩基発生剤、光酸発生剤、密着性向上剤、着色剤、熱重合禁止剤、消泡剤、硬化促進剤等の添加剤を含有させることができる。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。
<重合性組成物の調製方法>
重合性組成物の調製方法は、所定の成分を均一に混合できる方法であれば特に限定されない。例えば、重合性組成物は、上記各成分を3本ロールミル、ボールミル、サンドミル等の撹拌機で混合(分散・混練)し、必要に応じて5μmメンブランフィルタ等のフィルタでろ過して調製することができる。
≪硬化膜の製造方法≫
硬化膜の製造方法は、前述の重合性組成物からなる膜を硬化させることができる方法であれば特に限定されない。典型的には、パターン化された硬化膜を製造するのが好ましい。
好適な方法の具体例としては、
前述の重合性組成物を用いて基材上に塗布膜を形成することと、
塗布膜を位置選択的に露光することと、
露光された塗布膜を現像することと、
を含む方法が挙げられる。
基材としては、特に限定されず、ガラス基板、シリコン基板等の種々の基板を特に制限なく用いることができる。
例えば、重合性組成物が前述の無機フィラー(D1)を含む場合、基材としては、ITO膜基板等の透明電導膜基板が好ましく使用される。
重合性組成物を基材上に塗布する方法としては、例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター、スリットコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いる方法が挙げられる。
塗布された重合性組成物は、必要に応じて乾燥され、塗布膜を構成する。乾燥方法は、特に限定されず、例えば、(1)ホットプレートにて80〜120℃、好ましくは90〜100℃の温度にて60〜120秒間乾燥させる方法、(2)室温にて数時間〜数日間放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分間〜数時間入れて溶剤を除去する方法等が挙げられる。
次いで塗布膜に対する露光が行われる。露光は、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して行われる。露光は、例えば、ネガ型のマスクを介して露光を行う方法等により、位置選択的に行われる。照射するエネルギー線量は、重合性組成物の組成によっても異なるが、例えば40〜300mJ/cm2程度が好ましい。
塗布膜が位置選択的に露光された後、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液は、重合性組成物の組成に応じて適宜選択される。現像液としては、アルカリ水溶液が好ましく使用される。アルカリ水溶液は、無機塩基の水溶液であっても有機塩基の水溶液であってもよい。好適な現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の塩基性の水溶液が挙げられ、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液が特に好ましい。
現像後のパターン化された硬化膜に対して加熱(ベーク)を行うのが好ましい。ベーク温度は、パターン化された硬化膜に熱分解や過度の変形が生じない限り特に限定されないが、180〜280℃が好ましく、190〜260℃がより好ましい。
以上の操作を経て、所望の形状にパターン化された重合性組成物の硬化膜が得られる。
上記の方法による硬化膜では、前述の重合性組成物を用いているため、アルカリ水溶液による現像時に未露光部において残渣が生じにくい。
≪透明絶縁膜及び表示装置≫
特に無機フィラー(D1)を含む重合性組成物を用いると、上記の方法で透明絶縁膜を形成することができる。また、このようにして形成される透明絶縁膜は、透明性に優れ、誘電率が高いため、種々の方式の表示装置を製造する際に、好適に使用される。このようにして形成される透明絶縁膜は、これらの利点から、従来、液晶ディスプレイのような表示装置において使用されている、窒化ケイ素からなる透明絶縁膜の代替材料として期待される。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔調製例1〕
まず、容量500mLの四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂235g(エポキシ当量235)とテトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90℃〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全に溶解させた。ここで溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、ビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g、及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110℃〜115℃で4時間反応させた。酸無水物の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、カルド構造を有する樹脂4(質量平均分子量:3400)を得た。酸無水物の消失はIRスペクトルにより確認した。
〔実施例1〜4、及び比較例1〜5〕
実施例1〜4において、アルカリ可溶性樹脂として以下のシルセスキオキサン樹脂1を用いた。
・シルセスキオキサン樹脂1:モノマー組成として、2−(3−(トリエトキシシリルプロピル)カルバモイル)シクロヘキサンカルボン酸(40モル%)、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(40モル%)、及びフェニルトリメトキシシラン(20モル%)を含むシルセスキオキサン樹脂。
比較例1〜4において、下記式で表される構造単位I〜IVからなり、各構成単位の量が各単位についての括弧の右下の値(質量%)であるアクリル樹脂である樹脂2をアルカリ可溶性樹脂として用いた。
比較例5において、調製例1で得たカルド構造を有する樹脂である樹脂4をアルカリ可溶性樹脂として用いた。
実施例1〜3、及び比較例1〜3において、無機フィラーとしてCeO2(平均粒子径50nm)を用いた。
また、実施例4、比較例4、及び比較例5において、塩基性フィラーとして塩基性アルミナ微粒子(平均粒子径700nm)を用いた。
実施例、及び比較例において、多官能重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を用いた。
実施例、及び比較例において、重合開始剤として以下の化合物を用いた。
それぞれ表1に記載の量の各材料を、実施例1〜3、及び比較例1〜3においてはPGMEA中に固形分濃度が12質量%となるように、また実施例4、比較例4、及び比較例5においては、N,N,N’,N’−テトラメチルウレアとPGMEAの混合溶媒(質量比80;20)中に、固形分濃度が16質量%となるように均一に混合して、実施例1〜4、及び比較例1〜5の重合性組成物を得た。
得られた重合性組成物を用いて以下の評価を行った。評価結果を表1に記す。
〔未露光部残渣と、リーク電流の評価〕
各実施例及び比較例の重合性組成物をガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、90℃120秒のベークを行い、膜厚1μmの塗布膜を得た。
得られた塗布膜に対して、ライン幅3μmのラインパターンを形成できるマスクを介して、実施例1〜3及び比較例1〜3では露光量30mJ/cm2で、実施例4、比較例4、及び比較例5では露光量300mJ/cm2で、露光を行った。
露光後の塗布膜を、温度23℃の濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像した。
現像後の塗布膜を、230℃で20分間ベークして、ライン状にパターン化された硬化膜を得た。
未露光部(非パターン部)を、顕微鏡観察して未露光部残渣を評価した。現像後残渣がほとんど確認されない場合を○と判定し、現像後残渣が確認される場合を×と判定した。
また、誘電率測定装置SSM495(日本SSM製)によりリーク電流の測定を行った。リーク電流の値が1.0×E−8以下である場合を○、1.0×E−9以下である場合を◎と判定した。リーク電流の値が1.0×E−8超である場合を×と判定した。
なお、無機フィラー又は塩基性フィラーに由来する残渣は、リーク電流値上昇の一因である。
<ガス発生評価>
10cm×10cmのガラス基板上に重合性組成物を塗布した後、90℃で120秒間乾燥して塗布膜を形成した。
次いで、塗布膜に高圧水銀ランプを使用した露光機を用いて、露光量50mJ/cm2で全面露光を行った。
露光された塗布膜に対して、230℃で30分間ポストベークを行い、膜厚2μmの硬化膜を得た。
形成された硬化膜を試料に用いて、パージ&トラップサンプラー(加熱脱着装置)を取り付けたガスクロマトグラフィー質量分析法(P&T−GC/MS)により発生ガス量を評価した。測定とガスの定量は下記(i)〜(iii)の手順に沿って行った。
(i)ガス発生と二次吸着管への捕集
一次トラップ管に硬化膜1mgを入れ、加熱脱着装置(Perkin Elmer製:Tarbo Matrix ATD)を用いて、230℃で10分間加熱し、脱離したガスを二次トラップ管に吸着させた。
(ii)GC/MS分析
二次トラップ管を250℃で1分間加熱し、脱離したガスをGC/MS(Agilent Technologies社製:7890B(GC)、5977AMSD(MS))にて分析した。
(iii)定量分析
樹脂組成物のPT−GC/MS分析で得られたチャートの各ピーク面積から定量を行った。具体的に、検出されたアウトガスのピークの合計エリア%を評価値として定めた。
得られた評価値(合計エリア%)に基づいて、下記の基準に従って発生ガス量を評価した。
○:評価値の値が5.0E9未満。
×:評価値の値が5.0E9以上。
表1から、所定の構造のケイ素含有樹脂(A)を含む実施例の重合性組成物であれば、重合性組成物が、特定の種類の無機フィラー(D1)や塩基性フィラー(D2)を含んでいても、アルカリ水溶液による現像時の残渣の発生が抑制されることが分かる。
あらに、所定の構造のケイ素含有樹脂(A)を含む重合性組成物を用いて形成された硬化膜からは、アウトガスの発生が少ないことが分かる。
他方、所定の構造のケイ素含有樹脂に変えて、他の構造のアルカリ可溶性樹脂を含む重合性組成物を用いると、アルカリ水溶液による現像時に残渣が発生しやすく、硬化膜からアウトガスが発生しやすいことが分かる。