≪透明絶縁膜形成用組成物≫
本発明の透明絶縁膜形成用組成物(以下、膜形成用組成物とも記す)は、基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素の、単体、酸化物、キレート化合物、塩、及び合金からなる群より選択される1種以上を(A)充填材として含む。また、本発明の透明絶縁膜形成用組成物は、厚さ2μmの試料を用いて測定を行う場合に波長400nmの光の透過率が90%以上である膜を形成可能なものである。
(A)充填材を含む透明膜では、光の波長が短いほど吸収が大きくなる傾向がある。このため、透明絶縁膜形成用組成物を用いて形成される透明絶縁膜の透過率が、波長400nmで90%以上であれば、透明絶縁膜は可視光の波長域において十分に高い透明性を有する。このような理由から、波長400nmにおける光の透過率を、透明絶縁膜の透明性の指標としている。
以下、透明絶縁膜形成用組成物に含まれる(A)充填材について説明する。
〔(A)充填材〕
(A)充填材は、基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素の、単体、酸化物、キレート化合物、塩、及び合金からなる群より選択される。基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素とは、原子番号57〜86の元素である。このような元素は、具体的には、La(57)、Ce(58)、Pr(59)、Nd(60)、Pm(61)、Sm(62)、Eu(63)、Gd(64)、Tb(65)、Dy(66)、Ho(67)、Er(68)、Tm(69)、Yb(70)、Lu(71)、Hf(72)、Ta(73)、W(74)、Re(75)、Os(76)、Ir(77)、Pt(78)、Au(79)、Hg(80)、Tl(81)、Pb(82)、Bi(83)、Po(84)、At(85)、及びRn(86)である。括弧内の数は、各元素の原子番号を表す。これらの元素は、電子密度が高い。このため、これらの元素の、単体、酸化物、キレート化合物、塩、及び合金は誘電率が高い。また、このような元素の、単体、酸化物、キレート化合物、塩、及び合金は、膜形成用組成物を用いて形成される膜において、膜を構成するマトリックス中に分散された状態で、可視光の透過を阻害しない。このため、上述の(A)充填材を含む膜形成用組成物を用いて形成される透明絶縁膜は、誘電率が高く、透明性に優れる。
単体、酸化物、キレート化合物、塩、及び合金に含まれる、基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素としては、(A)充填材の誘電率が高い点から、5d軌道に収容される電子数が5d軌道が半閉殻となる電子数以下である元素、又は4f軌道に収容される電子数が4f軌道が半閉殻となる電子数以下である元素が好ましい。このような好ましい元素の具体例は、La(57)、Ce(58)、Pr(59)、Nd(60)、Pm(61)、Sm(62)、Eu(63)、Gd(64)、Lu(71)、Hf(72)、Ta(73)、W(74)、及びRe(75)である。これらの元素の中では、La(57)、Ce(58)、Gd(64)、Lu(71)、及びHf(72)がより好ましい。
(A)充填材が酸化物である場合、酸化物に含まれる、基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素の原子価は特に制限されない。
(A)充填材が、基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素と、キレートを形成する配位子としては、ピリジン、トリフェニルホスフィン、一酸化炭素、エチレンジアミン、ビピリジン、カテコール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が挙げられる。
(A)充填材が、基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素の塩である場合、塩は、無機酸の塩であっても、有機酸の塩であってもよい。好ましい塩としては、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、及び安息香酸塩等が挙げられる。塩を構成する、基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素の原子価は特に制限されない。
(A)充填材が合金である場合、合金に含まれる金属(元素)の組み合わせは特に限定されない。また、合金中に含まれる複数の金属(元素)の混合比率も特に限定されない。
基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素の、単体、酸化物、キレート化合物、塩、及び合金の中では、組成物中で安定であることや、膜形成用組成物を用いて透明性に優れる膜を形成しやすいことから、酸化物が好ましい。
基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素の酸化物の好適な具体例としては、La2O3、CeO2、Nd2O3、Gd2O3、Ho2O3、Lu2O3、HfO2、及びTa2O5が挙げられる。
(A)充填材の形状は特に限定されない。(A)充填材の粒子径は、一次粒子径としては1〜200μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。二次粒子径としては10〜1000μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。
膜形成用組成物中の、(A)充填材の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。膜形成用組成物中の(A)充填材の含有量は、典型的には、膜形成用組成物中の固形分の質量に対して、1〜80質量%が好ましく、1〜70質量%がより好ましく、3〜60質量%が特に好ましい。膜形成用組成物にこのような範囲の量の(A)充填材を配合すると、融点率の高い透明絶縁膜を形成しやすく、製膜性に優れる膜形成用組成物を得やすい。
膜形成用組成物は、上記の(A)充填材を含む組成物であって、膜形成可能な組成物である。このため、膜形成用組成物は、(A)充填材に加えて、膜におけるマトリックスを形成するための材料を含む。このようなマトリックスを形成するための材料は、膜形成用組成物を用いて所定の透明性を備える膜を形成できるものであれば特に限定されない。このような材料の例としては、硬化性物質、熱可塑性樹脂、及び溶剤に可溶な樹脂等が挙げられる。硬化性物質は、通常、硬化剤や重合開始剤とともに用いられる。硬化性物質が、熱や光により自己硬化可能である場合には、必ずしも、硬化剤や重合開始剤は必要ない。
膜形成用組成物には、必要に応じて各種の添加剤を加えてもよい。具体的には、溶剤、増感剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、密着増強剤、及び界面活性剤等が例示される。これらの添加剤の使用量は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、添加剤の種類に応じて適宜決定される。
以上説明した、(A)充填材と、膜におけるマトリックスを形成するための材料とを含む膜形成用組成物の好適な具体例としては、(A)充填材、(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物、及び(C)酸発生剤を含む膜形成用組成物、及び(A)充填材及び(B2)樹脂を含む膜形成用組成物が挙げられる。(B2)樹脂は、透明である必要があるため、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリチオエーテル、及びエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体からなる群より選択される1種以上が使用されるのが好ましい。
<脂環式エポキシ化合物を含む透明絶縁膜形成用組成物>
以下、(A)充填材、(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物、及び(C)酸発生剤を含む膜形成用組成物に含まれる成分について説明する。なお、(A)充填材については、説明を割愛する。
〔(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物〕
(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物を(C)酸発生剤から発生する酸の作用で硬化させると、透明性の高い硬化物が得られる。(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物の硬化物中に前述の特定の(A)充填材を分散させると、透明性を損なうことなく硬化物の誘電率を高めることができる。このため、(A)充填材、(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物、及び(C)酸発生剤を含む膜形成用組成物を用いると、透明性に優れ、誘電率の高い、透明絶縁膜を形成することができる。(B1)脂環式エポキシ化合物の分子量は、100〜800が好ましく、500以下がより好ましい。膜形成用組成性物の固形分中の(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物の含有量と(C)酸発生剤の含有量との合計は、20〜99質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらに好ましい。
脂環式エポキシ化合物の具体例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、及びエポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシルや、下記式(1)で表される脂環式エポキシ化合物が挙げられる。これらの脂環式エポキシ化合物の具体例の中では、透明性に優れ、高硬度の硬化物を与えることから、下記式(1)で表される脂環式エポキシ化合物が好ましい。
(式(1)中、Xは単結合、−O−、−O−CO−、−S−、−SO−、−SO
2−、−CH
2−、−C(CH
3)
2−、−CBr
2−、−C(CBr
3)
2−、−C(CF
3)
2−、及び−R
19−O−CO−からなる群より選択される2価の基であり、R
19は炭素数1〜8のアルキレン基であり、R
1〜R
18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。)
式(1)中、R19は、炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基又はエチレン基であるのが好ましい。
R1〜R18が有機基である場合、有機基は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともにハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられる。
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。有機基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が特に好ましい。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−n−プロペニル基(アリル基)、1−n−ブテニル基、2−n−ブテニル基、及び3−n−ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基の具体例は、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、及びパーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、及び4−ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;2−クロロフェニルメチル基、3−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、2−ブロモフェニルメチル基、3−ブロモフェニルメチル基、4−ブロモフェニルメチル基、2−フルオロフェニルメチル基、3−フルオロフェニルメチル基、4−フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基である。
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例は、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、及び4−ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、2,6−ジヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、及び3,5−ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2−ヒドロキシフェニルメチル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、及び4−ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−n−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1−n−ブテニルオキシ基、2−n−ブテニルオキシ基、及び3−n−ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、ビフェニル−4−イルオキシ基、ビフェニル−3−イルオキシ基、ビフェニル−2−イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α−ナフチルメチルオキシ基、β−ナフチルメチルオキシ基、α−ナフチルエチルオキシ基、及びβ−ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロピルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロピルオキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、3−エトキシ−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、4−エトキシ−n−ブチル基、及び4−n−プロピルオキシ−n−ブチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−プロピルオキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロピルオキシエトキシ基、3−メトキシ−n−プロピルオキシ基、3−エトキシ−n−プロピルオキシ基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピルオキシ基、4−メトキシ−n−ブチルオキシ基、4−エトキシ−n−ブチルオキシ基、及び4−n−プロピルオキシ−n−ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、及び4−メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、及び4−メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α−ナフトイル基、及びβ−ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、及びn−デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α−ナフトキシカルボニル基、及びβ−ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基、α−ナフトイルオキシ基、及びβ−ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基である。
R1〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、及び炭素数1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される基が好ましく、特に膜形成用組成物を用いて得られる透明絶縁膜の硬度の観点からR1〜R18が全て水素原子であるのがより好ましい。
式(1)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては以下の化合物1及び2が挙げられる。
膜形成用組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物とともに、(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物以外のエポキシ化合物を含んでいてもよい。(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物ともに使用できるエポキシ化合物の例は、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、5−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、及びビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂;トリシクロデセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の芳香族エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂である。
膜形成用組成物が(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物の他のエポキシ化合物を含む場合、膜形成用組成物中のエポキシ化合物中の総質量に対する式(1)で表されるエポキシ化合物の量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
〔(C)酸発生剤〕
酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤、又は加熱により酸を発生する熱酸発生剤が好適に使用される。
光酸発生剤としては、以下に説明する、第一〜第五の態様の酸発生剤が好ましい。以下、光酸発生剤のうち好適なものについて、第一から第五の態様として説明する。
光酸発生剤における第一の態様としては、下記式(c1)で表される化合物が挙げられる。
上記式(c1)中、X1cは、原子価gの硫黄原子又はヨウ素原子を表し、gは1又は2である。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。R1cは、X1cに結合している有機基であり、炭素数6〜30のアリール基、炭素数4〜30の複素環基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、又は炭素数2〜30のアルキニル基を表し、R1cは、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールチオカルボニル、アシロキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリール、複素環、アリールオキシ、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキレンオキシ、アミノ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。R1cの個数はg+h(g−1)+1であり、R1cはそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。また、2個以上のR1cが互いに直接、又は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NH−、−NR2c−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、若しくはフェニレン基を介して結合し、X1cを含む環構造を形成してもよい。R2cは炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。
上記式(c2)中、X4cは炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数8〜20の複素環化合物の2価の基を表し、X4cは炭素数1〜8のアルキル、炭素数1〜8のアルコキシ、炭素数6〜10のアリール、ヒドロキシ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。X5cは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NH−、−NR2c−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、又はフェニレン基を表す。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。h+1個のX4c及びh個のX5cはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R2cは前述の定義と同じである。
X3c−はオニウムの対イオンであり、下記式(c17)で表されるアルキルフルオロリン酸アニオン又は下記式(c18)で表されるボレートアニオンが挙げられる。
上記式(c17)中、R3cは、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基を表す。R3cがフッ素原子で置換されたアルキル基である場合、アルキル基中の水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましい。jはその個数を示し、1〜5の整数である。j個のR3cはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(c18)中、R4c〜R7cは、それぞれ独立にフッ素原子又はフェニル基を表し、該フェニル基の水素原子の一部又は全部は、フッ素原子及びトリフルオロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
上記式(c1)で表される化合物中のオニウムイオンとしては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム、2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、オクタデシルメチルフェナシルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウム、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、又は4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、等が挙げられる。
上記式(c1)で表される化合物中のオニウムイオンのうち、好ましいオニウムイオンとしては下記式(c19)で表されるスルホニウムイオンが挙げられる。
上記式(c19)中、R8cはそれぞれ独立に水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアリール、アリールカルボニル、からなる群より選ばれる基を表す。X2cは、上記式(c1)中のX2cと同じ意味を表す。
上記式(c19)で表されるスルホニウムイオンの具体例としては、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウムが挙げられる。
上記式(c17)で表されるアルキルフルオロリン酸アニオンにおいて、R3cはフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、好ましい炭素数は1〜8、さらに好ましい炭素数は1〜4である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル等の直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐アルキル基;さらにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基等が挙げられ、アルキル基の水素原子がフッ素原子に置換された割合は、通常、80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%である。フッ素原子の置換率が80%未満である場合には、上記式(c1)で表されるオニウムアルキルフルオロリン酸塩の酸強度が低下する。
特に好ましいR3cは、炭素数が1〜4、且つフッ素原子の置換率が100%の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基であり、具体例としては、CF3、CF3CF2、(CF3)2CF、CF3CF2CF2、CF3CF2CF2CF2、(CF3)2CFCF2、CF3CF2(CF3)CF、(CF3)3Cが挙げられる。R3cの個数jは、1〜5の整数であり、好ましくは2〜4、特に好ましくは2又は3である。
好ましいアルキルフルオロリン酸アニオンの具体例としては、[(CH3CH2)2PF4]−、[(CH3CH2)3PF3]−、[((CH3)2CH)2PF4]−、[((CH3)2CH)3PF3]−、[(CH3CH2CH2)2PF4]−、[(CH3CH2CH2)3PF3]−、[((CH3)2CHCH2)2PF4]−、[((CH3)2CHCH2)3PF3]−、[(CH3CH2CH2CH2)2PF4]−、又は[(CH3CH2CH2)3PF3]−、[(CF3CF2)2PF4]−、[(CF3CF2)3PF3]−、[((CF3)2CF)2PF4]−、[((CF3)2CF)3PF3]−、[(CF3CF2CF2)2PF4]−、[(CF3CF2CF2)3PF3]−、[((CF3)2CFCF2)2PF4]−、[((CF3)2CFCF2)3PF3]−、[(CF3CF2CF2CF2)2PF4]−、又は[(CF3CF2CF2)3PF3]−が挙げられ、これらのうち、[(CH3CH2)3PF3]−、[(CH3CH2CH2)3PF3]−、[((CH3)2CH)3PF3]−、[((CH3)2CH)2PF4]−、[((CH3)2CHCH2)3PF3]−、又は[((CH3)2CHCH2)2PF4]−、[(CF3CF2)3PF3]−、[(CF3CF2CF2)3PF3]−、[((CF3)2CF)3PF3]−、[((CF3)2CF)2PF4]−、[((CF3)2CFCF2)3PF3]−、又は[((CF3)2CFCF2)2PF4]−が特に好ましい。
上記式(c18)で表されるボレートアニオンの好ましい具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C6F5)4]−)、テトラキス[(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート([B(C6H4CF3)4]−)、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C6F5)2BF2]−)、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C6F5)BF3]−)、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート([B(C6H3F2)4]−)等が挙げられる。これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C6F5)4]−)が特に好ましい。
光酸発生剤における第二の態様としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物、並びにトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の下記式(c3)で表されるハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
上記式(c3)中、R9c、R10c、R11cは、それぞれ独立にハロゲン化アルキル基を表す。
また、光酸発生剤における第三の態様としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、並びにオキシムスルホネート基を含有する下記式(c4)で表される化合物が挙げられる。
上記式(c4)中、R12cは、1価、2価、又は3価の有機基を表し、R13cは、置換若しくは未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、又は芳香族性化合物基を表し、nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
上記式(c4)中、芳香族性化合物基とは、芳香族化合物に特有な物理的・化学的性質を示す化合物の基を示し、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基や、フリル基、チエニル基等のヘテロアリール基が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等を1個以上有していてもよい。また、R13cは、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。特に、R12cが芳香族性化合物基であり、R13cが炭素数1〜4のアルキル基である化合物が好ましい。
上記式(c4)で表される酸発生剤としては、n=1のとき、R12cがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基のいずれかであって、R13cがメチル基の化合物、具体的にはα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリル、〔2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロキシチオフェン−3−イリデン〕(o−トリル)アセトニトリル等が挙げられる。n=2のとき、上記式(c4)で表される光酸発生剤としては、具体的には下記式で表される光酸発生剤が挙げられる。
また、光酸発生剤における第四の態様としては、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩が挙げられる。この「ナフタレン環を有する」とは、ナフタレンに由来する構造を有することを意味し、少なくとも2つの環の構造と、それらの芳香族性が維持されていることを意味する。このナフタレン環は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。ナフタレン環に由来する構造は、1価基(遊離原子価が1つ)であっても、2価基(遊離原子価が2つ)以上であってもよいが、1価基であることが望ましい(ただし、このとき、上記置換基と結合する部分を除いて遊離原子価を数えるものとする)。ナフタレン環の数は1〜3が好ましい。
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のカチオン部としては、下記式(c5)で表される構造が好ましい。
上記式(c5)中、R14c、R15c、R16cのうち少なくとも1つは下記式(c6)で表される基を表し、残りは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、水酸基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表す。あるいは、R14c、R15c、R16cのうちの1つが下記式(c6)で表される基であり、残りの2つはそれぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。
上記式(c6)中、R17c、R18cは、それぞれ独立に水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、R19cは、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表す。l及びmは、それぞれ独立に0〜2の整数を表し、l+mは3以下である。ただし、R17cが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。また、R18cが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
上記R14c、R15c、R16cのうち上記式(c6)で表される基の数は、化合物の安定性の点から好ましくは1つであり、残りは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。この場合、上記2つのアルキレン基は、硫黄原子を含めて3〜9員環を構成する。環を構成する原子(硫黄原子を含む)の数は、好ましくは5〜6である。
また、上記アルキレン基が有していてもよい置換基としては、酸素原子(この場合、アルキレン基を構成する炭素原子とともにカルボニル基を形成する)、水酸基等が挙げられる。
また、フェニル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
これらのカチオン部として好適なものとしては、下記式(c7)、(c8)で表されるもの等を挙げることができ、特に下記式(c8)で表される構造が好ましい。
このようなカチオン部としては、ヨードニウム塩であってもスルホニウム塩であってもよいが、酸発生効率等の点からスルホニウム塩が望ましい。
従って、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のアニオン部として好適なものとしては、スルホニウム塩を形成可能なアニオンが望ましい。
このような酸発生剤のアニオン部としては、水素原子の一部又は全部がフッ素化されたフルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンである。
フルオロアルキルスルホン酸イオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状でも分岐状でも環状でもよく、発生する酸の嵩高さとその拡散距離から、炭素数1〜10であることが好ましい。特に、分岐状や環状のものは拡散距離が短いため好ましい。また、安価に合成可能なことから、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等を好ましいものとして挙げることができる。
アリールスルホン酸イオンにおけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であって、アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。特に、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。好ましいものの具体例として、フェニル基、トルエンスルホニル基、エチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基等を挙げることができる。
上記フルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンにおいて、水素原子の一部又は全部がフッ素化されている場合のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。このようなものとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネート、パーフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロベンゼンスルホネート等が挙げられる。
これらの中でも、好ましいアニオン部として、下記式(c9)で表されるものが挙げられる。
上記式(c9)において、R
20cは、下記式(c10)、(c11)で表される基や、下記式(c12)で表される基である。
上記式(c10)中、xは1〜4の整数を表す。また、上記式(c11)中、R21cは、水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表し、yは1〜3の整数を表す。これらの中でも、安全性の観点からトリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートが好ましい。
また、アニオン部としては、下記式(c13)、(c14)で表される窒素を含有するものを用いることもできる。
上記式(c13)、(c14)中、Xcは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは3〜5、最も好ましくは炭素数3である。また、Yc、Zcは、それぞれ独立に少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
Xcのアルキレン基の炭素数、又はYc、Zcのアルキル基の炭素数が小さいほど有機溶剤への溶解性も良好であるため好ましい。
また、Xcのアルキレン基又はYc、Zcのアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。該アルキレン基又はアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、より好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩として好ましいものとしては、下記式(c15)、(c16)で表される化合物が挙げられる。
また、光酸発生剤における第五の態様としては、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、ニトロベンジルトシラート、ジニトロベンジルトシラート、ニトロベンジルスルホナート、ニトロベンジルカルボナート、ジニトロベンジルカルボナート等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールトリメシラート、ピロガロールトリトシラート、ベンジルトシラート、ベンジルスルホナート、N−メチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−トリクロロメチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−フェニルスルホニルオキシマレイミド、N−メチルスルホニルオキシフタルイミド等のスルホン酸エステル類;N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシナフタルイミド等のトリフルオロメタンスルホン酸エステル類;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等のオニウム塩類;ベンゾイントシラート、α−メチルベンゾイントシラート等のベンゾイントシラート類;その他のジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、フェニルジアゾニウム塩、ベンジルカルボナート等が挙げられる。
熱酸発生剤の好適な例としては、有機スルホン酸のオキシムエステル化合物、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシラート、2−ニトロベンジルトシラート、その他の有機スルホン酸のアルキルエステル等が挙げられる。また、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩等も熱酸発生剤として適宜使用することが可能である。これらの中では、加熱されない状態での安定性に優れることから、有機スルホン酸のオキシムエステル化合物が好ましい。
膜形成用組成物中の酸発生剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。膜形成用組成物中の酸発生剤の含有量は、膜形成用組成物中のエポキシ化合物の総量100質量に対して、0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜30質量部がより好ましく、1〜20質量部が特に好ましい。
≪樹脂を含む透明絶縁膜形成用組成物≫
以下、(A)充填材、(B2)樹脂を含む膜形成用組成物に含まれる成分について説明する。なお、(A)充填材については、説明を割愛する。
〔(B2)樹脂〕
膜形成用組成物を用いて透明絶縁膜を製膜可能である必要があるため、樹脂を含む膜形成用組成物は、透明性と製膜性との観点から(B2)樹脂として、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリチオエーテル、及びエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体からなる群より選択される1種以上が使用される。膜形成用組成性物の固形分中の(B2)樹脂の含有量は、20〜99質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらに好ましい。
上記の樹脂の中では、製膜性に優れる点や、単量体の選択によって樹脂の特性を調整しやすいこと等から、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体が好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物;酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、及びアリルオキシエタノールのようなアリル化合物;ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、及びビニルアントラニルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、及びナフトエ酸ビニルのようなビニルエステル;スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、及び4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレンのようなスチレン又はスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンのようなオレフィンが挙げられる。
後述するように、(A)充填材と、(B2)樹脂とを含む膜形成用組成物に、(D)光重合性化合物と、(E)光重合開始剤とを含有させることで、膜形成用組成物に感光性を付与することができる。特に、(B2)樹脂がアルカリ可溶性の樹脂である場合、(A)充填材と、(B2)樹脂と、(D)光重合性化合物と、(E)光重合開始剤とを、透明絶縁膜を形成する対象となる基材に塗布した後に、塗布膜に対して、選択的露光と、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液のようなアルカリ現像液を用いる現像とを行うことで、パターニングされた透明絶縁膜を形成することができる。このため、膜形成用組成物を感光性組成部とする場合、(B2)樹脂は、アルカリ可溶性であるのが好ましい。アルカリ可溶性及び透明性の点で、感光性の膜形成用組成物に含有させる(B2)樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体であって、不飽和カルボン酸に由来する単位を含む樹脂が好ましい。
不飽和カルボン酸の例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として使用されるエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体に含まれる、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂が所望するアルカリ可溶性を有する限り特に限定されない。アルカリ可溶性樹脂として使用される樹脂中の、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂の質量に対して、5〜25質量%が好ましく、8〜16質量%がより好ましい。
以上例示した単量体から選択される1種以上の単量体の重合体である、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレン等が好ましい。これらの中では、透明性、製膜性、硬度のような機械的特性のバランスがよいことから、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体が好ましい。以下、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体について説明する。
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の調製に用いられる、(メタ)アクリル酸エステルは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、公知の(メタ)アクリル酸エステルから適宜選択される。
(メタ)アクリル酸エステルの好適な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステル;脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの詳細については後述する。
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、膜形成用組成物を用いて形成される透明絶縁膜の基材への密着性や機械的強度が優れる点から、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂が好ましい。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルであっても、後述するような、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、芳香族基を含んでいてもよい。芳香族基を構成する芳香環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。芳香族基を有し、且つエポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、4−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、及び2−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
膜形成用組成物を用いて形成される膜の透明性の観点から、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸は、芳香族基を含まないものが好ましい。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、エポキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート等のような、エステル基(−O−CO−)中のオキシ基(−O−)に鎖状脂肪族エポキシ基が結合する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルが有する鎖状脂肪族エポキシ基は、鎖中に1又は複数のオキシ基(−O−)を含んでいてもよい。鎖状脂肪族エポキシ基の炭素数は、特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜10が特に好ましい。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、5−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体における、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有量は、樹脂の重量に対して、1〜95質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、膜形成用組成物を用いて透明性に優れる透明絶縁膜を形成しやすいことから、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂も好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を有する基は、脂環式炭化水素基を有する基であっても、脂環式エポキシ基を有する基であってもよい。脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルのうち、脂環式炭化水素基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記式(b2−1)〜(b2−8)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(b2−3)〜(b2−8)で表される化合物が好ましく、下記式(b2−3)又は(b2−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Rb1は水素原子又はメチル基を示し、Rb2は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rb3は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。Rb2としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rb3としては、メチル基、エチル基が好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルのうち、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば下記式(b3−1)〜(b3−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、膜形成用樹脂組成物の現像性を適度なものとするためには、下記式(b3−1)〜(b3−6)で表される化合物が好ましく、下記式(b3−1)〜(b3−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Rb4は水素原子又はメチル基を示し、Rb5は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rb6は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。Rb5としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rb6としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH2−Ph−CH2−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体が、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂である場合、樹脂中の脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。
また、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂が好ましい。このような樹脂は、透明絶縁膜が形成される基材に対する密着性に優れる。また、このような樹脂を用いる場合、樹脂に含まれるカルボキシル基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることが可能である。このため、このような樹脂を含む膜形成用組成物を用いると、膜を加熱する方法等を用いて、カルボキシル基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることによって、形成された透明絶縁膜の硬度のような機械的物性を向上させることができる。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂が好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
〔(D)光重合性化合物〕
(A)充填材と、(B2)樹脂とを含む膜形成用組成物に、(D)光重合性化合物と、(E)光重合開始剤とを含有させ、膜形成用組成物に感光性を付与することもできる。特に、(B2)樹脂がアルカリ可溶性の樹脂である場合、(A)充填材と、(B2)樹脂と、(D)光重合性化合物と、(E)光重合開始剤とを、透明絶縁膜を形成する対象となる基材に塗布した後に、塗布膜に対して、選択的露光と、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液のようなアルカリ現像液とを行うことで、パターニングされた透明絶縁膜を形成することができる。
(D)光重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を好ましく用いることができる。このエチレン性不飽和基を有する化合物には、単官能化合物と多官能化合物とがある。
単官能化合物としては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物、トリアクリルホルマール、2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールトリアクリレート、及び2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールジアクリレート等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのエチレン性不飽和基を有する化合物の中でも、強度と、基材への密着性とに優れる硬化物を与える感放射線性樹脂組成物が得られる点から、3官能以上の多官能モノマーが好ましい。
(D)光重合性化合物の含有量は、膜形成用組成物の固形分に対して5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。膜形成用組成物中の(D)光重合性化合物の含有量を上記の範囲とすることにより、膜形成用組成物の感度、現像性、及び解像性のバランスをとりやすい傾向がある。
〔(E)光重合開始剤〕
(D)光重合性化合物とともに使用される(E)光重合開始剤は、従来から(D)光重合性化合物用の重合開始剤として使用されている種々の光重合開始剤を用いることができる。
好適な(E)光重合開始剤の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE01」、「IRGACURE 369」、「IRGACURE 651」、「IRGACURE 907」(商品名:BASF製)、「NCI−831」(商品名:ADEKA製)等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、上記の他に、下記式(E1)で表されるオキシムエステル化合物や、下記式(E2)で表されるオキシムエステル化合物も、(E)光重合開始剤として好適に使用される。
(R
E11は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、aは0〜4の整数であり、bは0又は1であり、R
E12は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、R
E13は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
(dは1〜5の整数であり、eは1〜8の整数であり、fは0〜(d+3)の整数であり、R
E21は、置換基を有してもよい炭素数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、R
E22は下記式(E21)〜(E23):
で表される置換基のいずれかであり、R
E23は炭素数1〜11のアルキル基であり、R
E24は置換基を有してもよいアリール基であり、R
E25は水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基であり、R
E26は置換基を有してもよいアリール基である。)
上記の(E)光重合開始剤の例の中では、膜形成用組成物を用いて透明性に優れる透明絶縁膜を形成しやすいことから、下記式(E1)で表されるオキシムエステル化合物、又は下記式(E2)で表されるオキシムエステル化合物が好ましい。以下、式(E1)で表されるオキシムエステル化合物、及び式(E2)で表されるオキシムエステル化合物について順に説明する。
(式(E1)で表されるオキシムエステル化合物)
以下、(E)光重合開始剤として好適な下記式(E1)で表されるオキシムエステル化合物について説明する。
(R
E11は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、aは0〜4の整数であり、bは0又は1であり、R
E12は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、R
E13は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
上記式(E1)中、RE11が1価の有機基である場合、RE11は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。RE11が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。aが2〜4の整数である場合、RE11は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素数には、置換基がさらに有する置換基の炭素数は含まない。
RE11がアルキル基である場合、その炭素数は1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、RE11がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。RE11がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、RE11がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
RE11がアルコキシ基である場合、その炭素数は1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、RE11がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。RE11がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、RE11がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
RE11がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、その炭素数は3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。RE11がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。RE11がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
RE11が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、その炭素数は2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。RE11が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。RE11が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
RE11がアルコキシカルボニル基である場合、その炭素数は2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。RE11がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
RE11がフェニルアルキル基である場合、その炭素数は7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、RE11がナフチルアルキル基である場合、その炭素数は11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。RE11がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。RE11がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。RE11が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、RE11は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
RE11がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。RE11がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
RE11が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、RE11と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
RE11に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。RE11に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。RE11に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
RE11の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であることや、溶媒に対する溶解性が高いこと等から、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、ニトロ基、又は炭素数1〜6のアルキルがより好ましく、ニトロ基、又はメチル基が特に好ましい。
RE11がフェニル基に結合する位置は、RE11が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がより好ましい。また、aは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1が特に好ましい。
RE12は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、RE12が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
RE12において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
RE12がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1、又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、RE11と同様である。
RE12において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
RE12の中では、膜形成用組成物が感度に優れる点から、下記式(E11)、又は(E12)で表される基が好ましく、下記式(E11)で表される基がより好ましく、下記式(E12)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
(R
E14は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、cは、0〜4の整数である。)
(R
E15及びR
E16は、それぞれ、1価の有機基である。)
式(E11)におけるRE14が有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(E11)においてRE14が有機基である場合の好適な例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
RE14の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(E11)において、nは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。nが1である場合、RE14の結合する位置は、RE14が結合するフェニル基が硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
式(E12)におけるRE15は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。RE15の好適な例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
RE15の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
式(E12)におけるRE16は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。RE16として好適な基の具体例としては、炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。RE16として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2−メチルフェニル基が特に好ましい。
RE14、RE15、又はRE16に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。RE14、RE15、又はRE16に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。RE14、RE15、又はRE16に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(E1)におけるRE13は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。RE13としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。RE13がメチル基である場合、式(E1)で表される化合物からなる光重合開始剤は、特に感度に優れる。
式(E1)で表されるオキシムエステル化合物は、bが0である場合、例えば、下記スキーム1に従って合成することができる。具体的には、下記式(E1−1)で表される芳香族化合物を、下記式(E1−2)で表されるハロカルボニル化合物を用いて、フリーデルクラフツ反応によりアシル化して、下記式(E1−3)で表されるケトン化合物を得、得られたケトン化合物(E1−3)を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して下記式(E1−4)で表されるオキシム化合物を得、次いで式(E1−4)のオキシム化合物と、下記式(E1−5)で表される酸無水物((RE13CO)2O)、又は下記式(E1−6)で表される酸ハライド(RE13COHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記式(E1−7)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記式(E1−2)において、Halはハロゲンであり、下記式(E1−1)、(E1−2)、(E1−3)、(E1−4)、及び(E1−7)において、RE11、RE12、RE13、及びaは、式(E1)と同様である。
式(E1)で表されるオキシムエステル化合物は、bが1である場合、例えば、下記スキーム2に従って合成することができる。具体的には、下記式(E2−1)で表されるケトン化合物に、塩酸の存在下に下記式(E2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させて、下記式(E2−3)で表されるケトオキシム化合物を得、次いで、下記式(E2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(E2−4)で表される酸無水物((RE13CO)2O)、又は下記式(E2−5)で表される酸ハライド(RE13COHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記式(E2−6)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記式(E2−1)、(E2−3)、(E2−4)、(E2−5)、及び(E2−6)において、RE11、RE12、RE13、及びaは、式(E1)と同様である。
また、式(E1)で表されるオキシムエステル化合物は、bが1であり、RE11がメチル基であって、RE11が結合するベンゼン環に結合するメチル基に対して、RE11がパラ位に結合する場合、例えば、下記式(E2−7)で表される化合物を、スキーム1と同様の方法で、オキシム化、及びアシル化することによって合成することもできる。なお、下記式(E2−7)において、RE12は、式(E1)と同様である。
式(E1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記式の化合物が挙げられる。
(式(E2)で表されるオキシムエステル化合物)
以下(E)光重合開始剤として好適な、下記式(E2)で表されるオキシムエステル化合物について説明する。
(dは1〜5の整数であり、eは1〜8の整数であり、fは0〜(d+3)の整数であり、R
E21は、置換基を有してもよい炭素数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、R
E22は下記式(E21)〜(E23):
で表される置換基のいずれかであり、R
E23は炭素数1〜11のアルキル基であり、R
E24は置換基を有してもよいアリール基であり、R
E25は水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基であり、R
E26は置換基を有してもよいアリール基である。)
上記式(E2)中、dは1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。eは1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。
RE21がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、RE21がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
上記式(E2)中、RE21としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
上記式(E2)中、RE23としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基がより好ましい。
上記式(E21)及び(E22)中、RE24であるアリール基が有してもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。上記式(E21)及び(E22)中、RE25がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。
上記式(E21)及び(E22)中、RE24としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、ナフチル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、9−アントラセニル基等が好ましい。
上記式(E21)及び(E22)中、RE25としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル、n−ヘキシル基、フェニル基、3−メチルブチル基、3−メトキシブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、エチル基がより好ましい。
上記式(E23)中、RE26であるアリール基が有してもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。RE26としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、ナフチル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−メトキシフェニル基等が好ましく例示され、これらの中でも、フェニル基がより好ましい。
式(E2)で表されるオキシムエステル化合物の中で特に好ましい具た例としては、下記式の化合物を好ましく例示することができる。
膜形成用組成物中の(E)光重合開始剤の含有量は、膜形成用組成物の固形分の合計100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。上記範囲内の量で(E)光重合開始剤を用いることにより、膜形成用組成物を放射線により十分に硬化させることができ、膜形成用組成物を用いて透明性に優れる透明絶縁膜を形成することができる。
〔(S)溶剤〕
(A)充填材と、(B2)樹脂とを含む膜形成用組成物は、塗布性の改善や、粘度調整のため、(S)有機溶剤(以下、「(S)成分」ともいう。)を含んでいてもよい。
有機溶剤として具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、上述した他のエステル類が好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、上述した他のエステル類がより好ましい。これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(A)充填材と(B2)樹脂とを含む膜形成用組成物中の(S)成分の含有量は、特に限定されない。膜形成用組成物中の(S)成分の含有量は、膜形成用組成物を、透明絶縁膜を形成する対象である基材に塗布可能な範囲内の量で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。膜形成用組成物の固形分濃度は、典型的には、1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
〔その他の成分〕
(A)充填材と(B2)樹脂とを含む膜形成用組成物には、必要に応じて、界面活性剤、密着性向上剤、熱重合禁止剤、消泡剤等の添加剤を含有させることができる。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられ、密着性向上剤としては、従来公知のシランカップリング剤が挙げられ、熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられ、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。
≪透明絶縁膜形成用組成物の製造方法≫
透明絶縁膜形成用組成物の製造方法は特に限定されない。透明絶縁膜形成用組成物は、以上説明した、各成分を、公知の混合装置により均一に混合することにより製造できる。透明絶縁膜形成用組成物が、室温で固体であったり高粘度のゲルであったりする場合には、ニーダーや、二本ロール、及び三本ロールのような溶融混練装置を用いて、各成分を混合してもよい。
≪透明絶縁膜の形成方法≫
以上説明した透明絶縁膜形成用組成物を用いて、透明絶縁膜を形成する対象となる基材の表面に膜形成症組成物の膜を形成した後、膜形成用組成物の組成に応じて、形成された膜を処理することで、透明絶縁膜を形成することができる。膜形成用組成物の膜を基材の表面に形成する方法は、特に限定されない。膜形成用組成物が固体や高粘度のゲルである場合、所定量の膜形成用組成物を基材上に供給した後、膜形成用組成物を加熱しながらプレスする方法で、膜形成用組成物の膜を形成することができる。膜形成用組成物が液体である場合、例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター、スリットコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いる方法により、膜形成用組成物の膜を形成することができる。
膜形成用組成物が、(A)充填材、(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物、及び(C)酸発生剤を含む組成物である場合、膜形成用組成物の膜を、周知のエポキシ樹脂組成物の硬化方法に従って硬化させることで、透明絶縁膜を形成することができる。具体的には、膜形成用組成物の膜中で、酸発生剤より酸を発生させることで透明絶縁膜が形成される。酸を発生させる方法は、酸発生剤の種類に応じて、膜形成用組成物への紫外線又は電子線等の活性エネルギー線のような光の照射と、膜形成用組成物の加熱とから選択される。光の照射により、塗布膜を硬化させる際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が用いられる。
また、マスクを介して露光を行う等の方法で、膜形成用組成物の膜に対する露光を選択的に行う場合、露光された膜を、有機溶剤等を用いて現像することで、パターン化された透明絶縁膜を形成することができる。
膜形成用組成物が、(A)充填材、(B2)、及び(S)溶剤を含む組成物である場合、上記のような方法で、塗布により膜形成用組成物の膜を形成した後、加熱により、膜から(S)溶剤を除去することで透明絶縁膜を形成することができる。
膜形成用組成物が固体や高粘度のゲルであって、溶剤を含まないものである場合、上記のように膜形成用組成物を加熱しながらプレスする方法で膜形成用組成物の膜を形成した後、形成された膜を冷却することで、透明絶縁膜を形成することができる。
また、膜形成用組成物が、(A)充填材、(B2)樹脂、(D)光重合性化合物、(E)光重合開始剤を含み、(B2)樹脂がアルカリ可溶性樹脂である場合、透明絶縁膜を形成する対象となる基材上に膜形成用組成物の膜を形成した後、マスクを介して露光を行う等の方法で、膜形成用組成物の膜に対する露光を選択的に行った後、アルカリ現像液による現像を行うことで、パターン化された透明絶縁膜を形成することができる。
露光は、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、極紫外線(EUV)、真空紫外線(VUV)、電子線、X線、軟X線等の放射線を照射して行われる。露光量は膜形成用組成物の組成によっても異なるが、例えば10〜600mJ/cm2程度が好ましい。
現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
以上説明するように、本発明の透明絶縁膜形成用組成物を用いると、塗布、プレス、露光のような、簡易な方法で透明絶縁膜を形成することができる。また、このようにして形成される透明絶縁膜は、透明性に優れ、誘電率が高いため、種々の方式の表示装置を製造する際に、好適に使用される。このようにして形成される透明絶縁膜は、これらの利点から、従来、液晶ディスプレイのような表示装置において使用されている、窒化ケイ素からなる透明絶縁膜の代替材料として期待される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜8、及び比較例1〜3]
実施例1〜8、及び比較例1〜3では脂環式エポキシ化合物として以下の化合物1を用いた。
実施例1〜8、及び比較例1〜3では酸発生剤として、光酸発生剤である下記式の化合物を用いた。
脂環式エポキシ化合物50質量部と、光酸発生剤1.5質量部と、表1又は2に記載の種類の充填材48.5質量部とを室温で30分間撹拌して、実施例1〜8、及び比較例1〜3の膜形成用組成物を得た。
以下の方法に従って、実施例及び比較例で得た膜形成用組成物を用いて形成した透明絶縁膜の、透過率、誘電率、及び鉛筆硬度を評価した。これらの評価結果を表1又は2に記す。
<透過率>
各実施例及び比較例の膜形成用組成物をガラス基板上にスピンコートした。次いで、ガラス基板上の膜形成用組成物の塗布膜をホットプレート上で80℃120秒加熱乾燥させた後、ブロードバンド光で塗布膜を露光して、膜厚2μmの硬化膜を形成させた。
分光測定器(MCPD−3000、大塚電子株式会社製)を用いて、測定波長範囲400nmで、得られた透明絶縁膜の透過率の測定を行った。
透過率について、95%以上を◎と判定し、90%以上95%未満を○と判定し、90%未満を×と判定した
<誘電率>
Siウェハー(結晶面方向(100)N型、抵抗率0.01〜0.03Ω・cm、信越半導体株式会社製)を基板として用いた。各実施例及び比較例の膜形成用組成物を基板にスピンコートして塗布膜を形成し、透過率の測定方法と同様にして塗布膜を硬化させて、膜厚0.9μmの透明絶縁膜を形成した。形成された透明絶縁膜の比誘電率を、周波数0.1MHzの条件下で、誘電率測定装置(SSM−495、日本セミラボ株式会社製)を用いて測定した。
誘電率(比誘電率)について、10以上を◎と判定し、7以上10未満を○と判定し、7未満を×と判定した。
<鉛筆硬度>
透過率の測定と同様にして形成された透明絶縁膜について、JIS K5600に準じて、8H鉛筆を用いて、荷重1kg、45度法、測定距離30mmの条件で、5回の硬度試験を行い、荷重印加後の傷の有無を観察した。
5回の試験中3回以上傷が付かなかった場合を○と判定し、3回以上傷が付いた場合を×と判定した。
実施例1〜8によれば、基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素の酸化物からなる(A)充填材と、(B1)脂環式エポキシ基を有する化合物と、(C)酸発生剤とを含む、膜形成用組成物であれば、高透過率と高誘電率とを兼ね備える透明絶縁膜を形成可能であることが分かる。
比較例1及び2によれば、BaTiO3やTiO2のような充填材を用いると、誘電率の高い絶縁膜を形成することはできても、絶縁膜の透明性が著しく損なわれることが分かる。比較例3によれば、ZrO2のような充填材を用いると、透明性に優れる絶縁膜を形成することはできても、誘電率の高い絶縁膜を形成できないことが分かる。
[実施例9〜16、及び比較例4〜6]
実施例9〜16、及び比較例4〜6では、下記式で表される構造単位I〜IVからなる樹脂を用いた。下記式において、各構成単位のモル比率(I/II/III/IV)は、14/11/40/35である。実施例9〜16、及び比較例4〜6で用いた樹脂の質量平均分子量は12,000である。
光重合性化合物としては、2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールトリアクリレート、及び2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールジアクリレートの混合物である、M315(東亞合成株式会社製)を用いた。
光重合開始剤としては、IRGACURE OXE01(BASF社製)を用いた。
表3又は4に記載の種類の充填材24.25質量部と、上記の樹脂15質量部と、上記の光重合性化合物7質量部と、上記の光重合開始剤0.5質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15質量部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル35質量部とを混合して均一な溶液とし、実施例9〜16、及び比較例4〜6の膜形成用組成物を調製した。
実施例9〜16、及び比較例4〜6の膜形成用組成物を用いて形成された透明絶縁膜の、透過率、誘電率、鉛筆硬度、及びリーク電流について、下記方法に従って評価した。これらの評価結果を表3又は4に記す。
<透過率>
各実施例及び比較例の膜形成用組成物をガラス基板上にスピンコートした。次いで、ガラス基板上の膜形成用組成物の塗布膜をホットプレート上で80℃300秒加熱乾燥させた後、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光量20mJ/cm2で塗布膜を露光して、膜厚2μmの硬化膜を形成させた。
分光測定器(MCPD−3000、大塚電子株式会社製)を用いて、測定波長範囲400nmで、得られた透明絶縁膜の透過率の測定を行った。
透過率について、95%以上を◎と判定し、90%以上95%未満を○と判定し、90%未満を×と判定した
<誘電率>
Siウェハー(結晶面方向(100)N型、抵抗率0.01〜0.03Ω・cm、信越半導体株式会社製)を基板として用いた。各実施例及び比較例の膜形成用組成物を基板にスピンコートして塗布膜を形成し、透過率の測定方法と同様にして塗布膜を硬化させて、膜厚0.9μmの透明絶縁膜を形成した。形成された透明絶縁膜の比誘電率を、周波数0.1MHzの条件下で、誘電率測定装置(SSM−495、日本セミラボ株式会社製)を用いて測定した。
誘電率(比誘電率)について、10以上を◎と判定し、7以上10未満を○と判定し、7未満を×と判定した。
<鉛筆硬度>
透過率の測定と同様にして形成された透明絶縁膜について、JIS K5600に準じて、8H鉛筆を用いて、荷重1kg、45度法、測定距離30mmの条件で、5回の硬度試験を行い、荷重印加後の傷の有無を観察した。
5回の試験中3回以上傷が付かなかった場合を○と判定し、3回以上傷が付いた場合を×と判定した。
<リーク電流>
Siウェハー(結晶面方向(100)N型、抵抗率0.01〜0.03Ω・cm、信越半導体株式会社製)の表面に、誘電率の測定と同様の方法で、各実施例及び比較例の膜形成用組成物を用いて膜厚0.9μmの透明絶縁膜を形成した。形成された絶縁膜に対して、30ボルトの電圧を印加してリーク電流を計測した。リーク電流値が1.0×10−9A/cm2以下である場合を◎と判定し、リーク電流値が1.0×10−9A/cm2超1.0×10−7A/cm2以下である場合を○と判定し、リーク電流値が1.0×10−7A/cm2超1.0×10−6A/cm2以下である場合を△と判定した。
実施例9〜16によれば、基底状態において4f軌道又は5d軌道に電子を収容する元素の酸化物からなる(A)充填材と、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルの共重合体体である(B2)樹脂とを含む、膜形成用組成物であれば、高透過率と高誘電率とを兼ね備え、リーク電流の少ない透明絶縁膜を形成可能であることが分かる。
比較例4及び5によれば、BaTiO3やTiO2のような充填材を用いると、誘電率が高く、リーク電流の少ない絶縁膜を形成することはできても、絶縁膜の透明性が著しく損なわれることが分かる。比較例6によれば、ZrO2のような充填材を用いると、透明性に優れる絶縁膜を形成することはできても、誘電率の高い絶縁膜を形成できないことが分かる。
[実施例17〜19]
膜形成用組成物の調製に用いた樹脂の構造単位I〜IVの比率を、実施例9で用いた樹脂についての比率から、下記表5に記載の比率に変更することの他は、実施例9と同様にして、実施例17〜19の膜形成用組成物を調製した。実施例17〜19の膜形成用組成物を用いて形成された透明絶縁膜の、透過率、誘電率、鉛筆硬度、及びリーク電流について、実施例9と同様の方法で評価した。これらの評価結果を表5に記す。
実施例17〜19によれば、実施例9で用いた樹脂と、構造単位の構成比率が異なる樹脂を含有する膜形成用組成物を用いる場合でも、実施例9の膜形成用組成物と同様に、高透過率と高誘電率とを兼ね備え、リーク電流の少ない透明絶縁膜を形成可能であることが分かる。
実施例17及び18によれば、膜形成用組成物に含まれる樹脂が、構造単位IIIのような脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を、例えば50〜80質量%程度の多量含有する場合、膜形成用組成物を用いてリーク電流が特に少ない高品質な透明絶縁膜を形成できることが分かる。