JP7376346B2 - 硬化性組成物、硬化物、(メタ)アクリル樹脂、及び化合物 - Google Patents

硬化性組成物、硬化物、(メタ)アクリル樹脂、及び化合物 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性組成物と、当該組成物の硬化物と、前述の硬化性組成物として特定の感光性組成物を用いるパターン化された硬化膜の製造方法と、前述の硬化性組成物の成分として好適に使用される(メタ)アクリル樹脂と、前述の硬化性組成物の成分又は前述の(メタ)アクリル樹脂の原料として好適に使用される特定の構造を有する化合物と、前述の化合物の製造方法とに関する。
脂環式エポキシ基を有する(メタ)アタリレート(脂環式エポキシ基を有する不飽和カルボン酸エステル化合物)は、一般にコーティング、インキ、接着剤、シーラント等の分野において有用な化合物であり、特に脂環式構造とともにエポキシ基を含有する(メタ)アタリレートから得られる重合体や硬化物は、耐候性に優れ、屋外での使用に適した特性を有する。これは、一般に、脂環式構造中に存在するエポキシ基の開環反応性や、(メタ)アタリレート構造中のラジカル重合性二重結合の反応性等によって、該重合体や硬化物が所定の性能を発揮するためである。
現在、分子中にエポキシ基を有する不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、グリシジルメタタリレート、1-メチル-1,2-エポキシエチルメタタリレート等の末端エポキシ基含有(メタ)アタリレート;3,4-エポキシシクロへキシルメチルアタリレート、3,4-エポキシシクロへキシルメチルメタクリレート等の脂環式エポキシ基を有する(メタ)アタリレート等が知られている。また、特許文献1には、分子中にエポキシ基を有するβ-ヒドロキシアクリレート化合物が開示されている。
また、特許文献2には、感放射線性樹脂として用いた場合に、溶剤溶解性に優れるとともに、透明性、耐熱性、耐エッチング性、平坦性及び現像性を有する高性能の皮膜を形成でき、且つ保存安定性が高い樹脂組成物の提供を目的として3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン骨格含有不飽和カルボン酸エステルが開示されている。
特開昭61-263968号公報 国際公開第2006-059564号
種々の画像表示装置用のディスプレイパネルにおけるインシュレータ等の膜について、比誘電率が低いことが望まれる。しかし、特許文献1や特許文献2に記載されるような硬化性組成物の硬化物の比誘電率が高い。このため、特許文献1や特許文献2に記載されるような硬化性組成物を、ディスプレイパネルを構成する膜を製膜するための材料として適用しにくかった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、比誘電率の低い硬化物を与える硬化性組成物と、当該組成物の硬化物と、前述の硬化性組成物として特定の感光性組成物を用いるパターン化された硬化膜の製造方法と、前述の硬化性組成物の成分として好適に使用される(メタ)アクリル樹脂と、前述の硬化性組成物の成分又は前述の(メタ)アクリル樹脂の原料として好適に使用される特定の構造を有する化合物と、前述の化合物の製造方法とを提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の構造の、(メタ)アクリロイル基を有する脂環式エポキシ化合物、及び/又は当該脂環式エポキシ化合物に由来する構成単位を有する(メタ)アクリル樹脂を硬化性組成物の硬化性成分として使用することにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のモノを提供する。
本発明の第1の態様は、下記式(1)で表される化合物、及び/又は下記式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂(A1)を含む硬化性組成物である。
Figure 0007376346000001
(式(1)中、環Aは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環Bは、環A及びCと縮合し、環B内を橋架けする架橋基を含む脂環を表し、環Cは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、Rは(メタ)アクリロイル基を表し、Rは、トリヒドロカルビルシリル基を表し、環A、環B及び環Cは置換基を有していてもいなくてもよい。)
本発明の第2の態様は、第1の態様にかかる硬化性組成物を加熱、及び/又は露光により硬化させた硬化物である。
本発明の第3の態様は、第1の態様にかかる硬化性組成物を加熱、及び/又は露光する、硬化物の製造方法である。
本発明の第4の態様は、
第1の態様にかかる硬化性組成物であって、感光性硬化剤を含む硬化性組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成することと、
塗布膜に対して、位置選択的に露光を行うことと、
露光された塗布膜を、現像液により現像して塗布膜をパターニングすることと、
パターニングされた塗布膜を、加熱することと、を含む、
パターニングされた硬化膜の製造方法である。
本発明の第5の態様は、下記式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂である。
Figure 0007376346000002
(式(1)中、環Aは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環Bは、環A及びCと縮合し、環B内を橋架けする架橋基を含む脂環を表し、環Cは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、Rは(メタ)アクリロイル基を表し、Rは、トリヒドロカルビルシリル基を表し、環A、環B及び環Cは置換基を有していてもいなくてもよい。)
本発明の第5の態様は、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 0007376346000003
(式(1)中、環Aは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環Bは、環A及びCと縮合し、環B内を橋架けする架橋基を含む脂環を表し、環Cは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、Rは(メタ)アクリロイル基を表し、Rは、トリヒドロカルビルシリル基を表し、環A、環B及び環Cは置換基を有していてもいなくてもよい。)
本発明の第6の態様は
下記式(M1)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸とを反応させて、下記式(M2)で表される化合物を生成させることと、
下記式(M2)で表される化合物が有する水酸基を、トリヒドロカルビルシリル化することと、
を含む、第5の態様にかかる化合物の製造方法である。
Figure 0007376346000004
(式(M1)中、環Aは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環Bは、環A及びCと縮合し、環B内を橋架けする架橋基を含む脂環を表し、環Cは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環A、環B及び環Cは置換基を有していてもいなくてもよい。)
Figure 0007376346000005
(式(M2)中、環A、環B、及び環Cは、式(M1)中のこれらと同様であり、Rは(メタ)アクリロイル基を表す。)
本発明によれば、誘電率の低い硬化物を形成し得る硬化性組成物と、当該組成物の硬化物と、前述の硬化性組成物として特定の感光性組成物を用いるパターン化された硬化膜の製造方法と、前述の硬化性組成物の成分として好適に使用される(メタ)アクリル樹脂と、前述の硬化性組成物の成分又は前述の(メタ)アクリル樹脂の原料として好適に使用される特定の構造を有する化合物と、前述の化合物の製造方法とを提供することができる。
≪硬化性組成物≫
硬化性組成物は、下記式(1)で表される化合物、及び/又は下記式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂(A1)を含む。
Figure 0007376346000006
(式(1)中、環Aは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環Bは、環A及びCと縮合し、環B内を橋架けする架橋基を含む脂環を表し、環Cは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、Rは(メタ)アクリロイル基を表し、Rは、トリヒドロカルビルシリル基を表し、環A、環B及び環Cは置換基を有していてもいなくてもよい。)
本出願の明細書及び特許請求の範囲において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの双方を意味する。本出願の明細書及び特許請求の範囲において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの双方を意味する。本出願の明細書及び特許請求の範囲において、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの双方を意味する。
上記の硬化性組成物は、エポキシ化合物である式(1)で表される化合物、及び/又は式(1)で表される化合物に由来するエポキシ基を有する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂を含むため、エポキシ基の関わる反応により硬化し得る。
硬化性組成物を硬化させる方法は特に限定されない。必要に応じて感熱性硬化剤が加えられた硬化性組成物は、加熱により硬化し得る。また、感光性硬化剤が加えられた硬化性組成物は、露光により硬化し得る。
さらに、硬化性組成物は、光重合性化合物と光重合開始剤とを含んでいてもよい。エポキシ化合物である式(1)で表される化合物、及び/又は式(1)で表される化合物に由来するエポキシ基を有する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂と、光重合性化合物及び光重合開始剤とを含む硬化性組成物は、露光のみ又は露光と加熱との組み合わせにより硬化し得る。
以下、式(1)で表される化合物と、式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂と、硬化性組成物の好ましい態様とについて説明する。なお、硬化性組成物は、式(1)で表される化合物、及び/又は式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂を含む組成物であれば、後述する組成物になんら限定されない。
〔式(1)で表される化合物〕
式(1)中、環Aは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環である。環Bは、環A及びCと縮合し、環B内を橋架けする架橋基を含む脂環である。環Cは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環である。環A、B及びCは置換基を有していてもいなくてもよい。
環Aは、環Bと同様の環A内を橋架けする架橋基を含んでいてもいなくてもよい。式(1)で表される化合物の合成が容易である点から、環Aとしては6員脂環が好ましい。
環Cは、環Bと同様の環C内を橋架けする架橋基を含んでいてもいなくてもよい。式(1)で表される化合物の合成が容易である点から、環Cとしては5員脂環が好ましい。製造時のエポキシ基開環反応の選択性の観点から5員脂環が好ましい。
環Bは、環B内を橋架けする架橋基を有することにより耐熱性に寄与し得る。
環Bとしては、上記架橋基を含む5員以上8員以下の脂環が挙げられる。環Bとしては、上記架橋基を含む6又は7員環の脂環が好ましく、上記架橋基を含む6員環の脂環がより好ましい。
環B内を橋架けする上記架橋基としては、炭素原子数1以上5以下の2価の基が挙げられる。架橋基の炭素原子数は、1以上3以下がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。上記架橋基としては、アルキレン基、エーテル結合(-O-)、チオエーテル結合(-S-)、カルボニル基(-CO-)又はそれらの少なくとも2つを組み合わせた2価の基が好ましく、アルキレン基、エーテル結合、チオエーテル結合又はそれらの少なくとも2つを組み合わせた2価の基がより好ましく、アルキレン基、エーテル結合又はチオエーテル結合が特に好ましく、アルキレン基が最も好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有していてもよい炭素原子数1以上5以下のアルキレン基が挙げられる。アルキレン基の炭素原子数は、1以上3以下がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基が好ましく、メチレン基又はエチレン基がより好ましい。
上記アルキレン基が有していてもよい置換基、環A、B及びCが有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子又は炭化水素基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。
炭化水素基としては、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基が挙げられる。炭化水素基の好適な例としては、アルキル基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基が挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、及びn-デシル基等が挙げられる。これらのアルキル基の中では、炭素原子数1以上4以下のアルキル基である、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が好ましい。
アルキル基は、置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、当該置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記環Bとしては、下記式(2)で表される環が好ましい。
Figure 0007376346000007
(式(2)中、Lは前記架橋基を表し、前記架橋基が、アルキレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、ケト基又はそれらの少なくとも2つを組み合わせた2価の基であり、RびR、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表し、*は環Aとの結合手を表し、**は環Cとの結合手を表す。)
Lに係る上記架橋基の具体例及び好ましい例としては上述の通りである。
及びRとしてのハロゲン原子及び炭化水素基の具体例及び好ましい例としては、「上記アルキレン基が有していてもよい置換基、環A、B及びCが有していてもよい置換基」として上述したハロゲン原子又は炭化水素基の具体例及び好ましい例が挙げられる。R及びRとしては、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
式(1)中、Rは、ケイ素原子に3つの炭化水素基が結合した基であるトリヒドロカルビルシリル基である。
トリヒドロカルビルシリル基中の3つの炭化水素基は、同一であっても、異なっていてもよい。式(1)で表される化合物を製造する際に、トリヒドロカルビルシリル基を導入するためのシラン化合物の合成や入手が容易であることから、トリヒドロカルビルシリル基中の3つの炭化水素基は、同一であるのが好ましい。
トリヒドロカルビルシリル基において、ケイ素原子に結合する炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても、芳香族炭化水素基であっても、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とを組み合わせた基であってもよい。
トリヒドロカルビルシリル基において、ケイ素原子に結合する炭化水素基が脂肪族炭化水素基である場合、当該脂肪族炭化水素基は、1以上の不飽和結合を含んでいてもよい。
トリヒドロカルビルシリル基において、ケイ素原子に結合する炭化水素基が脂肪族炭化水素基である場合、当該脂肪族炭化水素基の構造は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であっても、これらの構造の組み合わせであってもよい。
トリヒドロカルビルシリル基において、ケイ素原子に結合する炭化水素基の炭素原子数は、式(1)で表される化合物の分子量及びエポキシ当量が過度に大きくならないことから、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましい。
トリヒドロカルビルシリル基中の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基が好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、及びn-デシル基等が挙げられる。これらのアルキル基の中では、炭素原子数1以上4以下のアルキル基である、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が好ましい。
シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフタレン-1-イル基、及びナフタレン-2-イル基が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、及びフェネチル基が挙げられる。
以上説明したトリヒドロカルビルシリル基の好ましい具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ-n-プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ-n-ブチルシリル基、トリ-イソブチルシリル基、トリ-sec-ブチルシリル基、トリ-tert-ブチルシリル基、エチルジメチルシリル基、n-プロピルジメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、n-ブチルジメチルシリル基、イソブチルジメチルシリル基、sec-ブチルジメチルシリル基、及びtert-ブチルジメチルシリル基が挙げられる。
上記式(1)で表される化合物が、下記式(3)又は(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007376346000008
(式(3)及び式(4)中、環Bは、環B内を橋架けする上記架橋基を含む脂環を表し、Rは(メタ)アクリロイル基を表し、Rは、トリヒドロカルビルシリル基を表し、R11は、単結合又は-CHR15-で表される2価の基を表し、R11が単結合である場合、R12及びR13、又はR13及びR14が、互いに結合してオキシラン環(エポキシ基)を形成し、R11が-CHR15-で表される2価の基である場合、R12及びR13、R13及びR14、又はR14及びR15が、互いに結合してオキシラン環を形成し、R12~R15のうちオキシラン環を形成していない基は、水素原子を表す。)
式(3)及び式(4)中、環Bの具体例及び好ましい例としては、式(1)における環Bの具体例及び好ましい例と同様の脂環が挙げられる。環Bが式(2)で表される環であるのが好ましい。
11としては、-CHR15-で表される2価の基が好ましく、R11が-CHR15-で表される2価の基であり、R12及びR13、R13及びR14、又はR14及びR15が、互いに結合してオキシラン環を形成し、R12~R15のうちオキシラン環を形成していない基は、水素原子を表すことがより好ましい。
式(1)で表される化合物の製造方法は、特に限定されない。好ましい製造方法としては、
下記式(M1)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸とを反応させて、下記式(M2)で表される化合物を生成させることと、
下記式(M2)で表される化合物が有する水酸基を、トリヒドロカルビルシリル化することと、
を含む方法が挙げられる。
Figure 0007376346000009
(式(M1)中、環Aは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環Bは、環A及びCと縮合し、環B内を橋架けする架橋基を含む脂環を表し、環Cは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環A、環B及び環Cは置換基を有していてもいなくてもよい。)
Figure 0007376346000010
(式(M2)中、環A、環B、及び環Cは、式(M1)中のこれらと同様であり、Rは(メタ)アクリロイル基を表す。)
式(M1)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸との反応は、酸性条件下及び塩基性条件下のいずれの条件下で行われてもよく、塩基性条件下で行われるのが好ましい。塩基性条件下は、不活性溶剤中で塩基性条件下にしてもよいし、塩基性溶媒(例えば、ピリジン等)により塩基性条件下にしてもよい。具体的には、例えば、トリエチルアミン等のアルキルアミン等を用いた塩基性条件下において反応を行うことができる。
また、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドのような第四級アンモニウムハライド等の相間移動触媒の存在下、式(M1)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸との上記反応を行ってもよい。
反応温度としては-50℃以上溶媒の沸点以下程度が好ましく、室温以上100℃以下がさらに好ましい。
また、式(M1)で表される化合物と(メタ)アクリル酸との割合(モル比)としては特に制限はないが80/20~20/80であることが好ましく、70/30~30/70であることがより好ましい。
反応液中の式(M1)で表される化合物及び(メタ)アクリル酸の濃度の合計としては、通常、0.001モル/L以上6モル/L以下であり、好ましくは0.005モル/L以上4モル/L以下、さらに好ましくは0.01モル/L以上3モル/L以下であってもよい。
第四級アンモニウム塩の使用量は、式(M1)で表される化合物に対して、0.001モル倍以上5モル倍以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.005モル倍以上1モル倍以下の範囲、さらに好ましくは0.01モル倍以上0.1モル倍以下の範囲である。
上記反応に、溶剤を用いてもよい。用い得る溶剤としては種々用いることができるが、例えば、アセトニトリル等のニトリル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤から選ばれる1種以上を用いることができる。
式(M2)で表される化合物が有する水酸基を、トリヒドロカルビルシリル化する方法は特に限定されない。
トリヒドロカルビルシリル化方法としては、式(M2)で表される化合物と、トリヒドロカルビルシリル基の種類に応じたシリル化剤とを反応させる方法が挙げられる。シリル化剤としては、例えば、トリヒドロカルビルモノクロロシランやトリヒドロカルビルモノブロモシラン等のトリヒドロカルビルモノハロシランや、トリヒドロカルビルモノメトキシシラン、トリヒドロカルビルモノエトキシシラン等のトリヒドロカルビルモノアルコキシシランが挙げられる。
トリヒドロカルビルモノハロシランの好ましい例としては、トリメチルモノクロロシラン、トリエチルモノクロロシラン、トリ-n-プロピルモノクロロシラン、トリイソプロピルモノクロロシラン、トリ-n-ブチルモノクロロシラン、トリ-イソブチルモノクロロシラン、トリ-sec-ブチルモノクロロシラン、トリ-tert-ブチルモノクロロシラン、エチルジメチルモノクロロシラン、n-プロピルジメチルモノクロロシラン、イソプロピルジメチルモノクロロシラン、n-ブチルジメチルモノクロロシラン、イソブチルジメチルモノクロロシラン、sec-ブチルジメチルモノクロロシラン、及びtert-ブチルジメチルモノクロロシラン等のトリアルキルモノクロロシラン;
トリメチルモノブロモシラン、トリエチルモノブロモシラン、トリ-n-プロピルモノブロモシラン、トリイソプロピルモノブロモシラン、トリ-n-ブチルモノブロモシラン、トリ-イソブチルモノブロモシラン、トリ-sec-ブチルモノブロモシラン、トリ-tert-ブチルモノブロモシラン、エチルジメチルモノブロモシラン、n-プロピルジメチルモノブロモシラン、イソプロピルジメチルモノブロモシラン、n-ブチルジメチルモノブロモシラン、イソブチルジメチルモノブロモシラン、sec-ブチルジメチルモノブロモシラン、及びtert-ブチルジメチルモノブロモシラン等のトリアルキルモノブロモシラン;
トリメチルモノメトキシシラン、トリエチルモノメトキシシラン、トリ-n-プロピルモノメトキシシラン、トリイソプロピルモノメトキシシラン、トリ-n-ブチルモノメトキシシラン、トリ-イソブチルモノメトキシシラン、トリ-sec-ブチルモノメトキシシラン、トリ-tert-ブチルモノメトキシシラン、エチルジメチルモノメトキシシラン、n-プロピルジメチルモノメトキシシラン、イソプロピルジメチルモノメトキシシラン、n-ブチルジメチルモノメトキシシラン、イソブチルジメチルモノメトキシシラン、sec-ブチルジメチルモノメトキシシラン、及びtert-ブチルジメチルモノメトキシシラン等のトリアルキルモノメトキシシラン;
トリメチルモノエトキシシラン、トリエチルモノエトキシシラン、トリ-n-プロピルモノエトキシシラン、トリイソプロピルモノエトキシシラン、トリ-n-ブチルモノエトキシシラン、トリ-イソブチルモノエトキシシラン、トリ-sec-ブチルモノエトキシシラン、トリ-tert-ブチルモノエトキシシラン、エチルジメチルモノエトキシシラン、n-プロピルジメチルモノエトキシシラン、イソプロピルジメチルモノエトキシシラン、n-ブチルジメチルモノエトキシシラン、イソブチルジメチルモノエトキシシラン、sec-ブチルジメチルモノエトキシシラン、及びtert-ブチルジメチルモノエトキシシラン等のトリアルキルモノエトキシシランが挙げられる。
式(M2)で表される化合物と、シリル化剤との反応におけるシリル化剤の使用量は、式(M2)で表される化合物のモル数に対して、等モル以上が好ましく、1.2倍モル以上がより好ましく、1.5倍モル以上がさらに好ましく、2.0倍モル以上が特に好ましい。シリル化剤の使用量の上限は特にないが、コストの点から、式(M2)で表される化合物のモル数に対して、5.0倍モル以下が好ましく、3.0倍モル以下がより好ましい。
式(M2)で表される化合物と、シリル化剤との反応は、通常、有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等のシリル化剤と反応し得る官能基を持たない有機溶媒が使用される。
有機溶媒の具体例としては、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ブロモプロパン、ブロモブタン、ブロモペンタン、ブロモヘキサン、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、及びヨウ化プロピル等のハロゲン化アルキル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサノン等のケトン類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンジン、ケロシン、トルエン、キシレン、メシチレン、及びベンゼン等の炭化水素類が挙げられる。
式(M2)で表される化合物と、シリル化剤との反応時の温度は、シリル化反応が良好に進行する限り特に限定されない。反応温度は、例えば、-20℃以上100℃以下が好ましく、-10℃以上80℃以下がより好ましく、0℃以上50℃以下がさらに好ましい。
反応時間は、シリル化反応が良好に進行する限り特に限定されない。反応時間は、例えば、5分以上12時間以下であり、10分以上6時間以下が好ましい。
シリル化剤が、トリヒドロカルビルモノハロシランである場合、シリル化反応時にハロゲン化水素が副生する。副生するハロゲン化水素を捕捉するために、反応液には、トリエチルアミン、ピリジン、及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン等の塩基を加えてもよい。塩基を加える場合、シリル化剤の等モルよりも多い添加量とすることが好ましく、塩基性条件下でシリル化反応が進行するように反応液のpHを調整することが好ましい。
以上のようにして製造された、式(1)で表される化合物は、好ましくは、常法に従って反応液から回収され、必要に応じて精製された後、硬化性組成物の成分、又は、下記の(メタ)アクリル樹脂(A1)の原料として使用される。
〔式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂(A1)〕
前述の式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂(A1)は、エポキシ基を有するため、硬化性組成物における硬化性の成分として有用である。
上記の(メタ)アクリル樹脂(A1)は、式(1)で表される化合物の単独重合体であってもよく、式(1)で表される化合物と、式(1)で表される化合物以外の他の単量体との共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル樹脂(A1)を含む硬化性組成物の硬化性の観点から、(メタ)アクリル樹脂(A1)における、式(1)で表される化合物に由来する構成単位の含有量は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。(メタ)アクリル樹脂(A1)における、式(1)で表される化合物に由来する構成単位の含有量の上限は特に限定されないが、95質量%以下であってよく、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってよい。
他の単量体としては、不飽和カルボン酸、エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、及びマレイミド類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。硬化性組成物の保存安定性や、組成物を用いて形成される硬化物のアルカリ等に対する耐薬品性の点からは、(メタ)アクリル樹脂(A1)は、不飽和カルボン酸に由来する単位を含まないのが好ましい。
他方で、硬化性組成物を、アルカリ現像液により現像し得るネガ型の感光性組成物とする場合、(メタ)アクリル樹脂(A1)がアルカリ可溶性基を有する構成単位を有するのが好ましい。アルカリ可溶性基としては特に限定されず、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、及びフェノール性水酸基等が挙げられる。
硬化性組成物の経時安定性の点から、アルカリ可溶性基としてはカルボキシ基が好ましい。つまり、(メタ)アクリル樹脂(A1)が不飽和カルボン酸に由来する単位を含むのが好ましい。
不飽和カルボン酸の例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸が好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(A1)が、不飽和カルボン酸に由来する構成単位を含む場合、(メタ)アクリル樹脂(A1)における不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量は、3質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。
エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、tert-オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステルの中では、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記式(a1-1)~(a1-8)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(a1-3)~(a1-8)で表される化合物が好ましく、下記式(a1-3)又は(a1-4)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0007376346000011
Figure 0007376346000012
上記式中、RA1は水素原子又はメチル基を示し、RA2は単結合又は炭素原子数1以上6以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、RA3は水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基を示す。RA2としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。RA3としては、メチル基、エチル基が好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(A1)が、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含む場合、(メタ)アクリル樹脂(A1)における脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量は、3質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上30質量%以下がより好ましく、7質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N-アリール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-アリール(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル-N-メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物の例としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1-メチル-2,2-ジメチルプロピルビニルエーテル、2-エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル-2,4-ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル-β-フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4-メトキシ-3-メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2-ブロモ-4-トリフルオロメチルスチレン、4-フルオロ-3-トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
硬化性組成物の硬化物の比誘電率の低さの点からは、(メタ)アクリル樹脂(A1)におけるスチレン類に由来する構成単位の量は少ないほど好ましく、(メタ)アクリル樹脂(A1)がスチレン類に由来する構成単位を含まないのがより好ましい。
マレイミド類としては、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-n-プロピルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-n-ブチルマレイミド、N-n-ペンチルマレイミド、N-n-ヘキシルマレイミド等の炭素原子数1~10のアルキル基でN置換されたマレイミド;N-シクロペンチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-シクロヘプチルマレイミド等の炭素原子数3以上20以下の脂環式基でN置換されたマレイミド:N-フェニルマレイミド、N-α-ナフチルマレイミド、N-β-ナフチルマレイミド等の炭素原子数6以上20以下のアリール基でN置換されたN-アリールマレイミド;N-ベンジルマレイミド、N-フェネチルマレイミド等の炭素原子数7以上20以下のアラルキル基でN置換されたN-アラルキルマレイミドが挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂(A1)の重量平均分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量として、3,000以上30,000以下が好ましく、5,000以上15,000以下がより好ましい。
〔硬化性組成物の好ましい態様〕
以下硬化性組成物の好ましい態様について、第1の硬化性組成物、及び第2の硬化性組成物について説明する。なお、式(1)で表される化合物、及び/又は式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂(A1)を含む硬化性組成物は、以下説明する、第1の硬化性組成物、及び第2の硬化性組成物には限定されない。
(第1の硬化性組成物)
第1の硬化性組成物は、式(1)で表される化合物、及び/又は式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂(A1)と、硬化剤とを含む硬化性組成物である。
第1の硬化性組成物は、エポキシ化合物として、式(1)で表される化合物、及び/又は(メタ)アクリル樹脂(A1)を含む。第1の硬化性組成物は、エポキシ化合物である、式(1)で表される化合物、及び/又は式(1)で表される化合物を硬化させる硬化剤を含む。硬化剤としては、感光性硬化剤であっても、感熱性硬化剤であっても、両者の組み合わせであってもよい。
第1の硬化性組成物が感光性硬化剤を含む場合、フォトリソグラフィー法を適用することにより、第1の硬化性組成物の硬化物からなる硬化膜のパターニングが可能である。例えば、第1の硬化性組成物の塗布膜に対して位置選択的に露光する場合、露光された箇所のみが硬化し、露光されていない箇所は有機溶媒等に可溶なままであるためである。つまり、位置選択的な露光の後に、有機溶媒等を現像液として用いて現像を行うことにより、硬化膜のパターニングが可能である。
第1の硬化性組成物は、式(1)で表される化合物、及び(メタ)アクリル樹脂(A1)に該当しないエポキシ化合物、及び/又はオキセタン化合物を含んでいてもよい。
式(1)で表される化合物、及び/又は(メタ)アクリル樹脂(A1)とともに使用され得るエポキシ化合物及び/又はオキセタン化合物の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
硬化物の比誘電率が低い点から、第1の硬化性組成物における、エポキシ化合物の質量とオキセタン化合物の質量との合計に対する、式(1)で表される化合物の質量と、(メタ)アクリル樹脂(A1)の質量との合計の割合は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がさらにより好ましく、100質量%が特に好ましい。
硬化剤は、従来からエポキシ化合物、又はオキセタン化合物用の硬化剤として使用されている化合物であれば特に限定されない。以下、好ましい硬化剤について説明する。
・オニウム塩(D1)
オニウム塩(D1)は、エポキシ化合物、又はオキセタン化合物等とともに使用することができ、光又は熱の作用により、エポキシ化合物、又はオキセタン化合物等の硬化を促進させる。
オニウム塩としては、例えば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩等が挙げられる。これらの中では、入手の容易性や、良好な硬化の点から、スルホニウム塩、及びヨードニウム塩が好ましい。
以下、オニウム塩(D1)の好ましい例について説明する。
オニウム塩(D1)の好ましい一例としては、下記式(D-I)で表されるスルホニウム塩(以下、「スルホニウム塩(Q)」とも記す。)が挙げられる。
Figure 0007376346000013
(式(D-I)中、RD1及びRD2は独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は下記式(D-II)で表される基を示し、RD1及びRD2は相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成してもよく、RD3は下記式(D-III)で表される基又は下記式(D-IV)で表される基を示し、AD1はS、O、又はSeを示し、Xは1価のアニオンを示し、但し、RD1及びRD2は、同時に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基ではない。)
Figure 0007376346000014
(式(D-II)中、環ZD1は芳香族炭化水素環を示し、RD4はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、アルキルチオ基、チエニル基、チエニルカルボニル基、フラニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニル基、セレノフェニルカルボニル基、複素環式脂肪族炭化水素基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示し、m1は0以上の整数を示す。)
Figure 0007376346000015
(式(D-III)中、RD5はヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基又は下記式(D-V)で表される基を示し、RD6はヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は下記式(D-VI)で表される基を示し、AD2は単結合、S、O、スルフィニル基、又はカルボニル基を示し、n1は0又は1を示す。)
Figure 0007376346000016
(式(D-IV)中、RD7及びRD8は独立に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基又は下記式(D-V)で表される基を示し、RD9及びRD10は独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は上記式(D-II)で表される基を示し、RD9及びRD10は相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成してもよく、AD3は単結合、S、O、スルフィニル基、又はカルボニル基を示し、Xは前記の通りであり、n2は0又は1を示し、但し、RD9及びRD10は、同時に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基ではない。)
Figure 0007376346000017
(式(D-V)中、環ZD2は芳香族炭化水素環を示し、RD11はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示し、m2は0以上の整数を示す。)
Figure 0007376346000018
(式(D-VI)中、環ZD3は芳香族炭化水素環を示し、RD12はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示し、m3は0以上の整数を示す。)
(スルホニウム塩(Q))
以下、スルホニウム塩(Q)について説明する。スルホニウム塩(Q)は、上記式(D-I)中のベンゼン環において、AD1が結合する炭素原子に対してオルト位の炭素原子にメチル基が結合していることを特徴とする。スルホニウム塩(Q)は、上記の位置にメチル基を有するため、従来のスルホニウム塩と比較して、紫外線等の活性エネルギー線に対する感度が高い。
上記式(D-I)において、RD1及びRD2のいずれもが上記式(D-II)で表される基であることが好ましい。RD1及びRD2は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(D-I)において、RD1及びRD2が相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成する場合、形成される環を構成する原子数は、硫黄原子を含めて3以上10以下が好ましく、5以上7以下がより好ましい。形成される環は多環でもよく、環構成原子数が5以上7以下である単環が縮合した多環が好ましい。
上記式(D-I)において、RD1及びRD2が、ともにフェニル基であるのが好ましい。
上記式(D-I)において、RD3は上記式(D-III)で表される基であることが好ましい。
上記式(D-I)において、AD1は、S又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記式(D-II)において、RD4は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルキルカルボニル基、又はチエニルカルボニル基であることがより好ましい。
上記式(D-II)において、m1は、環ZD1の種類に応じて選択でき、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
上記式(D-III)において、RD5は、アルキレン基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキレン基;又は上記式(D-V)で表される基であることが好ましく、上記式(D-V)で表される基であることがより好ましい。
上記式(D-III)において、RD6は、アルキル基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキル基;又は上記式(D-VI)で表される基であることが好ましく、上記式(D-VI)で表される基であることがより好ましい。
上記式(D-III)において、AD2はS又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記式(D-III)において、n1は0であることが好ましい。
上記式(D-IV)において、RD7及びRD8は独立に、アルキレン基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキレン基;又は上記式(D-V)で表される基であることが好ましく、上記式(D-V)で表される基であることより好ましい。RD7及びRD8は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(D-IV)において、RD9及びRD10のいずれもが上記式(D-II)で表される基であることが好ましい。RD9及びRD10は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(D-IV)において、RD9及びRD10が相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成する場合、形成される環を構成する原子数は、硫黄原子を含めて3以上10以下が好ましく、5以上7以下がより好ましい。形成される環は多環でもよく、環構成原子数が5以上7以下である単環が縮合した多環が好ましい。
上記式(D-IV)において、AD3は、S又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記式(D-IV)において、n2は0であることが好ましい。
上記式(D-V)において、RD11は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基であることがより好ましい。
上記式(D-V)において、m2は、環ZD2の種類に応じて選択でき、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
上記式(D-VI)において、RD12は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルキルカルボニル基、又はチエニルカルボニル基であることがより好ましい。
上記式(D-VI)において、m3は、環ZD3の種類に応じて選択でき、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
上記式(D-I)において、Xは1価のアニオンである。Xとしては、1価の多原子アニオンが好適に挙げられ、MY 、(Rf)PF6-b 、Rx1 BY4-c 、Rx1 GaY4-c 、Rx2SO 、(Rx2SO、又は(Rx2SOで表されるアニオンがより好ましい。また、Xは、ハロゲンアニオンでもよく、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
Mは、リン原子、ホウ素原子、又はアンチモン原子を表す。
Yはハロゲン原子(フッ素原子が好ましい。)を表す。
Rfは、水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基(炭素原子数1以上8以下のアルキル基が好ましい。)を表す。フッ素置換によりRfとするアルキル基としては、直鎖アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びオクチル等)、分岐鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチル等)及びシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)等が挙げられる。Rfにおいてこれらのアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換されている割合は、もとのアルキル基が有していた水素原子のモル数に基づいて、80モル%以上が好ましく、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。フッ素原子による置換割合がこれら好ましい範囲にあると、スルホニウム塩(Q)の光感応性がさらに良好となる。特に好ましいRfとしては、CF-、CFCF 、(CFCF、CFCFCF 、CFCFCFCF 、(CFCFCF 、CFCF(CF)CF及び(CFが挙げられる。b個のRfは、相互に独立であり、従って、互いに同一でも異なっていてもよい。
Pはリン原子、Fはフッ素原子を表す。
x1は、水素原子の一部が少なくとも1個の元素又は電子求引基で置換されたフェニル基を表す。そのような1個の元素の例としては、ハロゲン原子が含まれ、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。電子求引基としては、トリフルオロメチル基、ニトロ基及びシアノ基等が挙げられる。これらのうち、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基が好ましい。c個のRx1は相互に独立であり、従って、互いに同一でも異なっていてもよい。
Bはホウ素原子、Gaはガリウム原子を表す。
x2は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のフルオロアルキル基又は炭素原子数6以上20以下のアリール基を表し、アルキル基及びフルオロアルキル基は直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよく、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基は無置換であっても、置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基(例えば、上記式(D-II)~(D-VI)に関する後述の説明中で例示するものが挙げられる。)、ニトロ基等が挙げられる。
また、Rx2で表されるアルキル基、フルオロアルキル基又はアリール基における炭素鎖は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。特に、Rx2で表されるアルキル基又はフルオロアルキル基における炭素鎖は、2価の官能基(例えば、エーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、アミノ結合、アミド結合、イミド結合、スルホニル結合、スルホニルアミド結合、スルホニルイミド結合、ウレタン結合等)を有していてもよい。
x2で表されるアルキル基、フルオロアルキル基又はアリール基が上記置換基、ヘテロ原子、又は官能基を有する場合、上記置換基、ヘテロ原子、又は官能基の個数は、1個であっても2個以上であってもよい。
Sは硫黄原子、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Nは窒素原子を表す。
aは4以上6以下の整数を表す。
bは、1以上5以下の整数が好ましく、さらに好ましくは2以上4以下の整数、特に好ましくは2又は3である。
cは、1以上4以下の整数が好ましく、さらに好ましくは4である。
MY で表されるアニオンとしては、SbF 、PF 又はBF で表されるアニオン等が挙げられる。
(Rf)PF6-b で表されるアニオンとしては、(CFCFPF 、(CFCFPF 、((CFCF)PF 、((CFCF)PF 、(CFCFCFPF 、(CFCFCFPF 、((CFCFCFPF 、((CFCFCFPF 、(CFCFCFCFPF 又は(CFCFCFCFPF で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(CFCFPF 、(CFCFCFPF 、((CFCF)PF 、((CFCF)PF 、((CFCFCFPF 又は((CFCFCFPF で表されるアニオンが好ましい。
x1 BY4-c で表されるアニオンとしては、好ましくは、
x1 BY4-c
(式中、Rx1は水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子又は電子求引基で置換されたフェニル基を示し、Yはハロゲン原子を示し、cは1以上4以下の整数を示す。)
であり、例えば、(C、((CF、(CF、(CBF 、CBF 又は(Cで表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(C又は((CFで表されるアニオンが好ましい。
x1 GaY4-c で表されるアニオンとしては、(CGa、((CFGa、(CFGa、(CGaF 、CGaF 又は(CGaで表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(CGa又は((CFGaで表されるアニオンが好ましい。
x2SO で表されるアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロフェニルスルホン酸アニオン、p-トルエンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、エタンスルホン酸アニオン、プロパンスルホン酸アニオン及びブタンスルホン酸アニオン等が挙げられる。これらのうち、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ブタンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン又はp-トルエンスルホン酸アニオンが好ましい。
(Rx2SOで表されるアニオンとしては、(CFSO、(CSO、(CSO又は(CSOで表されるアニオン等が挙げられる。
(Rx2SOで表されるアニオンとしては、(CFSO、(CSO、(CSO又は(CSOで表されるアニオン等が挙げられる。
一価の多原子アニオンとしては、MY 、(Rf)PF6-b 、Rx1 BY4-c 、Rx1 GaY4-c 、Rx2SO 、(Rx2SO又は(Rx2SOで表されるアニオン以外に、過ハロゲン酸イオン(ClO 、BrO 等)、ハロゲン化スルホン酸イオン(FSO 、ClSO 等)、硫酸イオン(CHSO 、CFSO 、HSO 等)、炭酸イオン(HCO 、CHCO 等)、アルミン酸イオン(AlCl 、AlF 等)、ヘキサフルオロビスマス酸イオン(BiF )、カルボン酸イオン(CHCOO、CFCOO、CCOO、CHCOO、CCOO、CFCOO等)、アリールホウ酸イオン(B(C 、CHCHCHCHB(C 等)、チオシアン酸イオン(SCN)及び硝酸イオン(NO )等が使用できる。
これらのXのうち、カチオン重合性能の点では、MY 、(Rf)PF6-b 、Rx1 BY4-c 、Rx1 GaY4-c 及び(Rx2SOで表されるアニオンが好ましく、SbF 、PF 、(CFCFPF 、(C、((CF、(CGa、((CFGa及び(CFSOがより好ましく、Rx1 BY4-c がさらに好ましい。
上記式(D-II)、(D-V)、及び(D-VI)において、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8-20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10-16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。芳香族炭化水素環は、ベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
上記式(D-I)~(D-VI)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
上記式(D-I)~(D-VI)において、アルキル基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖アルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、及びn-オクタデシル等)、炭素原子数3以上18以下の分岐鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、イソヘキシル、及びイソオクタデシル等)、並びに炭素原子数3以上18以下のシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及び4-デシルシクロヘキシル等)等が挙げられる。特に、上記式(D-I)、(D-II)、及び(D-IV)~(D-VI)において、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基とは、アルキル基及びハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、上記の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、又はシクロアルキル基における少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子で置換した基(モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル等)等が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基のうち、RD1、RD2、RD9、又はRD10については、トリフルオロメチル基が特に好ましく、RD4、RD6、RD11、又はRD12については、メチル基が特に好ましい。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルコキシ基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、及びオクタデシルオキシ等)等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルキルカルボニル基におけるアルキル基としては、上述の炭素原子数1以上18以下の直鎖アルキル基、炭素原子数3以上18以下の分岐鎖アルキル基又は炭素原子数3以上18以下のシクロアルキル基が挙げられ、アルキルカルボニル基としては、炭素原子数2以上18以下の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキルカルボニル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、2-メチルプロピオニル、ヘプタノイル、2-メチルブタノイル、3-メチルブタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、シクロペンタノイル基、及びシクロヘキサノイル基等)等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールカルボニル基としては、炭素原子数7以上11以下のアリールカルボニル基(ベンゾイル及びナフトイル等)等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数2以上19以下の直鎖又は分岐鎖アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル、及びオクタデシルオキシカルボニル等)等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数7以上11以下のアリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル及びナフトキシカルボニル等)等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールチオカルボニル基としては、炭素原子数7以上11以下のアリールチオカルボニル基(フェニルチオカルボニル及びナフトキシチオカルボニル等)等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アシロキシ基としては、炭素原子数2以上19以下の直鎖又は分岐鎖アシロキシ基(アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec-ブチルカルボニルオキシ、tert-ブチルカルボニルオキシ、オクチルカルボニルオキシ、テトラデシルカルボニルオキシ、及びオクタデシルカルボニルオキシ等)等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールチオ基としては、炭素原子数6以上20以下のアリールチオ基(フェニルチオ、2-メチルフェニルチオ、3-メチルフェニルチオ、4-メチルフェニルチオ、2-クロロフェニルチオ、3-クロロフェニルチオ、4-クロロフェニルチオ、2-ブロモフェニルチオ、3-ブロモフェニルチオ、4-ブロモフェニルチオ、2-フルオロフェニルチオ、3-フルオロフェニルチオ、4-フルオロフェニルチオ、2-ヒドロキシフェニルチオ、4-ヒドロキシフェニルチオ、2-メトキシフェニルチオ、4-メトキシフェニルチオ、1-ナフチルチオ、2-ナフチルチオ、4-[4-(フェニルチオ)ベンゾイル]フェニルチオ、4-[4-(フェニルチオ)フェノキシ]フェニルチオ、4-[4-(フェニルチオ)フェニル]フェニルチオ、4-(フェニルチオ)フェニルチオ、4-ベンゾイルフェニルチオ、4-ベンゾイル-2-クロロフェニルチオ、4-ベンゾイル-3-クロロフェニルチオ、4-ベンゾイル-3-メチルチオフェニルチオ、4-ベンゾイル-2-メチルチオフェニルチオ、4-(4-メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4-(2-メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4-(p-メチルベンゾイル)フェニルチオ、4-(p-エチルベンゾイル)フェニルチオ4-(p-イソプロピルベンゾイル)フェニルチオ、及び4-(p-tert-ブチルベンゾイル)フェニルチオ等)等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルキルチオ基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert-ペンチルチオ、オクチルチオ、デシルチオ、ドデシルチオ、及びイソオクタデシルチオ等)等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基(フェニル、トリル、ジメチルフェニル、及びナフチル等)等が挙げられる。
上記式(D-II)において、複素環式脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数2以上20以下(好ましくは4以上20以下)の複素環式炭化水素基(ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、等)等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、複素環式炭化水素基としては、炭素原子数4以上20以下の複素環式炭化水素基(チエニル、フラニル、セレノフェニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、クロマニル、イソクロマニル、ジベンゾチエニル、キサントニル、チオキサントニル、及びジベンゾフラニル等)等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールオキシ基としては、炭素原子数6以上10以下のアリールオキシ基(フェノキシ及びナフチルオキシ等)等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルキルスルフィニル基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖スルフィニル基(メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec-ブチルスルフィニル、tert-ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、ネオペンチルスルフィニル、tert-ペンチルスルフィニル、オクチルスルフィニル、及びイソオクタデシルスルフィニル等)等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールスルフィニル基としては、炭素原子数6以上10以下のアリールスルフィニル基(フェニルスルフィニル、トリルスルフィニル、及びナフチルスルフィニル等)等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルキルスルホニル基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、tert-ペンチルスルホニル、オクチルスルホニル、及びオクタデシルスルホニル等)等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールスルホニル基としては、炭素原子数6以上10以下のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル、トリルスルホニル(トシル基)、及びナフチルスルホニル等)等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基としては、HO(AO)-(式中、AOは独立にエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基を表し、qは1以上5以下の整数を表す。)で表されるヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、置換されていてよいアミノ基としては、アミノ基(-NH)及び炭素原子数1以上15以下の置換アミノ基(メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、n-プロピルアミノ、メチル-n-プロピルアミノ、エチル-n-プロピルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、イソプロピルメチルアミノ、イソプロピルエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、メチルフェニルアミノ、エチルフェニルアミノ、n-プロピルフェニルアミノ、及びイソプロピルフェニルアミノ等)等が挙げられる。
上記式(D-III)及び(D-IV)において、アルキレン基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルキレン基(メチレン基、1,2-エチレン基、1,1-エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、2-エチルヘキサン-1,6-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、及びヘキサデカン-1,16-ジイル基等)等が挙げられる。
上記式(D-I)で表されるスルホニウム塩(Q)のカチオン部の具体例としては、以下のものが挙げられる。上記式(D-I)で表されるスルホニウム塩(Q)のアニオン部の具体例としては、上記Xの説明で挙げたもの等、従来公知のものを挙げることができる。上記式(D-I)で表されるスルホニウム塩(Q)は上記スキームに従って合成することができ、必要に応じさらに塩交換することにより、カチオン部を所望のアニオン部と組み合わせることができ、特に、Rx1 BY4-c (式中、Rx1は水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子又は電子求引基で置換されたフェニル基を示し、Yはハロゲン原子を示し、cは1以上4以下の整数を示す。)で表されるアニオンとの組み合わせが好ましい。
Figure 0007376346000019
上記の好ましいカチオン部の群の中では、下記式で表されるカチオン部がより好ましい。
Figure 0007376346000020
硬化性組成物におけるオニウム塩(D1)の含有量は、硬化性組成物の硬化が良好に進行する限り特に限定されない。硬化性組成物を良好に硬化させやすい点から、硬化性組成物におけるオニウム塩(D1)の含有量は、典型的には、エポキシ化合物、及び/又はオキセタン化合物等のオニウム塩(D1)により硬化する材料100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以上であり、0.01質量部以上30質量部以下が好ましく、0.01質量部以上20質量部以下がより好ましく、0.05質量部以上15質量部以下がさらに好ましく、1質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
・エポキシ化合物又はオキセタン化合物用硬化剤(D2)
エポキシ化合物又はオキセタン化合物用硬化剤(D2)(以下、硬化剤(D2)とも記す。)は、上記のオニウム塩(D1)以外の硬化剤であって、従来公知の硬化剤から適宜選択することができる。硬化剤(D2)は、エポキシ化合物又はオキセタン化合物とともに使用されることで、加熱による硬化に寄与する。
硬化剤(D2)としては、例えば、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、多価アミン系硬化剤、触媒型硬化剤が挙げられる。
フェノール系硬化剤、及び酸無水物系硬化剤の使用量は、硬化性組成物中のエポキシ化合物及びオキセタン化合物の合計量100質量部に対して、1質量部以上200質量部以下が好ましく、50質量部以上150質量部以下がより好ましく、80質量部以上120質量部以下が特に好ましい。フェノール系硬化剤、及び酸無水物系硬化剤は、それぞれ単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
多価アミン系硬化剤の使用量は、硬化性組成物のエポキシ化合物及びオキセタン化合物の合計量100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下が好ましく、0.5質量部以上30質量部以下がより好ましく、1質量部15質量部が特に好ましい。これらの多価アミン系硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
触媒型硬化剤の使用量は、硬化性組成物のエポキシ化合物及びオキセタン化合物の合計量100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が好ましく、1質量部以上80質量部以下がより好ましく、1質量部以上50質量部以下が特に好ましい。これらの触媒型硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
・熱により塩基成分を発生する硬化剤(D3)
熱により塩基成分を発生する硬化剤(D3)としては、従来から熱塩基発生剤として使用されている化合物を特に限定なく用いることができる。
例えば、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オンを、熱により塩基成分を発生する効果剤として用いることができる。なお、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オンは光の作用によっても塩基を発生させる。
また、加熱により下式(d1)で表されるイミダゾール化合物を発生させる化合物(以下、熱イミダゾール発生剤とも記す)も、硬化剤として好ましく使用される。
Figure 0007376346000021
(式(d1)中、Rd1、Rd2、及びRd3は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、スルホナト基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。)
d1、Rd2、及びRd3における有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
d1及びRd2は、それらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合をさらに含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。
d1、Rd2、及びRd3の有機基に含まれる結合は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、有機基は、酸素原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子を含む結合を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含む結合の具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(-N=C(-Rd0)-、-C(=NRd0)-:Rd0は水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
d1、Rd2、及びRd3の有機基が有してもよいヘテロ原子を含む結合としては、イミダゾール化合物の耐熱性の観点から、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(-N=C(-Rd0)-、-C(=NRd0)-:Rd0は水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
d1、Rd2、及びRd3の有機基が炭化水素基以外の置換基である場合、Rd1、Rd2、及びRd3は本発明の効果が損なわれない限り特に限定されない。Rd1、Rd2、及びRd3の具体例としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
d1、Rd2、及びRd3としては、水素原子、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、炭素原子数6以上12以下のアリール基、炭素原子数1以上12以下のアルコキシ基、及びハロゲン原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
熱イミダゾール発生剤は、加熱により上記式(d1)で表されるイミダゾール化合物を発生させることができる化合物であれば特に限定されない。従来から種々の組成物に配合されている、熱の作用によりアミンを発生する化合物(熱塩基発生剤)について、加熱時に発生するアミンに由来する骨格を、上記式(d1)で表されるイミダゾール化合物に由来する骨格に置換することにより、熱イミダゾール発生剤として使用される化合物が得られる。
好適な熱イミダゾール発生剤としては、下記式(d2):
Figure 0007376346000022
(式(d2)中、Rd1、Rd2、及びRd3は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。Rd4及びRd5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
式(d2)において、Rd1、Rd2、及びRd3は、式(d1)について説明したものと同様である。
式(d2)において、Rd4及びRd5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。
d4及びRd5における有機基としては、Rd1、Rd2、及びRd3について例示したものが挙げられる。この有機基は、Rd1、Rd2、及びRd3の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
以上の中でも、Rd4及びRd5としては、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルケニル基、炭素原子数7以上16以下のアリールオキシアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、シアノ基を有する炭素原子数2以上11以下のアルキル基、水酸基を有する炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上11以下のアミド基、炭素原子数1以上10以下のアルキルチオ基、炭素原子数1以上10以下のアシル基、炭素原子数2以上11以下のエステル基(-COOR、-OCOR:Rは炭化水素基を示す)、炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基であることが好ましい。より好ましくは、Rd4及びRd5の両方が水素原子であるか、又はRd4がメチル基であり、Rd5が水素原子である。
式(d2)において、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。
d6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10における有機基としては、Rd1、Rd2、及びRd3において例示したものが挙げられる。この有機基は、Rd1及びRd2の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
d6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。例えば、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それらの2つ以上が結合して、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成してもよい。
以上の中でも、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10としては、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルケニル基、炭素原子数7以上16以下のアリールオキシアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、シアノ基を有する炭素原子数2以上11以下のアルキル基、水酸基を有する炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上11以下のアミド基、炭素原子数1以上10以下のアルキルチオ基、炭素原子数1以上10以下のアシル基、炭素原子数2以上11以下のエステル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基、ニトロ基であることが好ましい。
また、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10としては、それらの2つ以上が結合して、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も好ましい。
上記式(d2)で表される化合物の中では、下記式(d3):
Figure 0007376346000023
(式(d3)中、Rd1、Rd2、及びRd3は、式(d1)及び(d2)と同義である。Rd4~Rd9は式(d2)と同義である。Rd11は、水素原子又は有機基を示す。Rd6及びRd7が水酸基となることはない。Rd6、Rd7、Rd8、及びRd9は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
で表される化合物が好ましい。
式(d3)で表される化合物は、置換基-O-Rd11を有するため、有機溶媒に対する溶解性に優れる。
式(d3)において、Rd11は、水素原子又は有機基である。Rd11が有機基である場合、有機基としては、Rd1、Rd2、及びRd3において例示したものが挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。Rd11としては、水素原子、炭素原子数1以上12以下のアルキル基若しくはアルコキシアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基がより好ましい。
熱イミダゾール発生剤として特に好適な化合物の具体例を以下に示す。
Figure 0007376346000024
・有機溶剤(S)
硬化性組成物は、典型的には、塗布性の調整の目的等で有機溶剤(S)を含んでいてもよい。有機溶剤(S)としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤(S)の使用量は、硬化性組成物の用途に応じて適宜決定し得る。有機溶剤(S)の使用量としては、一例として、硬化性組成物の固形分濃度が1質量%以上50質量%以下の範囲である量が挙げられる。
・その他の成分
硬化性組成物には、必要に応じて、上記の成分以外のその他の各種の添加剤を含んでいてもよい。具体的には、分散助剤、充填剤、フィラー、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が例示される。
(第2の硬化性組成物)
第2の硬化性組成物は、前述の(メタ)アクリル樹脂(A1)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)とを含む。第2の硬化性組成物は、(メタ)アクリル樹脂(A1)として、アルカリ可溶性基を有する構成単位を含む樹脂を含有する。
第2の硬化性組成物は、光重合性モノマー(B)と光重合開始剤(C)とを含むことにより露光により硬化する。他方で、露光されていない状態の第2の硬化性組成物は、アルカリ可溶性基を有する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂(A1)を含有するため、アルカリ現像液に対して可溶である。このため、第2の硬化性組成物を用いる場合、ネガ型のフォトマスクを用いるフォトリソグラフィー法にようる硬化膜のパターニングが可能である。
第2の硬化性組成物は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂(A1)を含むため、加熱によっても硬化し得る。第2の硬化性組成物は、エポキシ化合物用の硬化剤を含んでいなくてもよい。(メタ)アクリル樹脂が有する、フェノール性水酸基やカルボキシ基等のアルカリ可溶性基の作用により、エポキシ基の硬化反応が進行するためである。
以下、第2の硬化性組成物が含んでいてもよい、必須又は任意の成分について説明する。
・(メタ)アクリル樹脂(A1)
アルカリ可溶性基を有する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂(A1)については、前述の通りである。
・その他の樹脂
第2の硬化性組成物は、(メタ)アクリル樹脂(A1)以外のその他の樹脂として、種々のアルカリ可溶性樹脂を含んでいてもよい。
硬化物の比誘電率の低さから、第2の硬化性組成物において、(メタ)アクリル樹脂(A1)の質量と、その他の樹脂の質量との合計に対する、(メタ)アクリル樹脂(A1)の質量の比率は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がさらにより好ましく、100質量%が特に好ましい。
以下、その他の樹脂として好適なアルカリ可溶性樹脂について説明する。
好適なアルカリ可溶性樹脂としては、カルド構造を有する樹脂(a-1)(以下、「カルド樹脂(a-1)」とも記す。)が挙げられる。
カルド構造を有する樹脂(a-1)としては、その構造中にカルド構造を有し、所定のアルカリ可溶性を有する樹脂を用いることができる。カルド構造とは、第1の環状構造を構成している1つの環炭素原子に、第2の環状構造と第3の環状構造とが結合した構造をいう。なお、第2の環状構造と、第3の環状構造とは、同一の構造であっても異なった構造であってもよい。
カルド構造の代表的な例としては、フルオレン環の9位の炭素原子に2つの芳香環(例えばベンゼン環)が結合した構造が挙げられる。
カルド樹脂(a-1)としては、特に限定されず、従来公知の樹脂を用いることができる。その中でも、下記式(a-1)で表される樹脂が好ましい。
Figure 0007376346000025
式(a-1)中、Xは、下記式(a-2)で表される基を示す。t1は0以上20以下の整数を示す。
Figure 0007376346000026
上記式(a-2)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上6以下の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Ra2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Ra3は、それぞれ独立に直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、t2は、0又は1を示し、Wは、下記式(a-3)で表される基を示す。
Figure 0007376346000027
式(a-2)中、Ra3としては、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基が特に好ましく、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、及びプロパン1,3-ジイル基が最も好ましい。
式(a-3)中の環Aは、芳香族環と縮合していてもよく置換基を有していてもよい脂肪族環を示す。脂肪族環は、脂肪族炭化水素環であっても、脂肪族複素環であってもよい。
脂肪族環としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられる。
具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが挙げられる。
脂肪族環に縮合してもよい芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族複素環でもよく、芳香族炭化水素環が好ましい。具体的にはベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい。
式(a-3)で表される2価基の好適な例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 0007376346000028
式(a-1)中の2価基Xは、残基Zを与えるテトラカルボン酸二無水物と、下式(a-2a)で表されるジオール化合物とを反応させることにより、カルド樹脂(a-1)中に導入される。
Figure 0007376346000029
式(a-2a)中、Ra1、Ra2、Ra3、及びt2は、式(a-2)について説明した通りである。式(a-2a)中の環Aについては、式(a-3)について説明した通りである。
式(a-2a)で表されるジオール化合物は、例えば、以下の方法により製造し得る。
まず、下記式(a-2b)で表されるジオール化合物が有するフェノール性水酸基中の水素原子を、必要に応じて、常法に従って、-Ra3-OHで表される基に置換した後、エピクロルヒドリン等を用いてグリシジル化して、下記式(a-2c)で表されるエポキシ化合物を得る。
次いで、式(a-2c)で表されるエポキシ化合物を、アクリル酸又はメタクリル酸と反応させることにより、式(a-2a)で表されるジオール化合物が得られる。
式(a-2b)及び式(a-2c)中、Ra1、Ra3、及びt2は、式(a-2)について説明した通りである。式(a-2b)及び式(a-2c)中の環Aについては、式(a-3)について説明した通りである。
なお、式(a-2a)で表されるジオール化合物の製造方法は、上記の方法に限定されない。
Figure 0007376346000030
式(a-2b)で表されるジオール化合物の好適な例としては、以下のジオール化合物が挙げられる。
Figure 0007376346000031
上記式(a-1)中、Ra0は水素原子又は-CO-Y-COOHで表される基である。ここで、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(-CO-O-CO-)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
上記式(a-1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、下記式(a-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。中でも、ピロメリット酸二無水物又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、現像プロセスマージンが広い点で、ピロメリット酸二無水物が好ましい。
上記式(a-1)中、t1は、0以上20の整数を示す。
Figure 0007376346000032
(式(a-4)中、Ra4、Ra5、及びRa6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種を示し、t3は、0以上12以下の整数を示す。)
式(a-4)中のRa4として選択され得るアルキル基は、炭素原子数が1以上10以下のアルキル基である。アルキル基の備える炭素原子数をこの範囲に設定することで、得られるカルボン酸エステルの耐熱性を一段と向上させることができる。Ra4がアルキル基である場合、その炭素原子数は、耐熱性に優れるカルド樹脂を得やすい点から、1以上6以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましく、1以上3以下が特に好ましい。
a4がアルキル基である場合、当該アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
式(a-4)中のRa4としては、耐熱性に優れるカルド樹脂を得やすい点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上10以下のアルキル基がより好ましい。式(a-4)中のRa4は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基又はイソプロピル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
式(a-4)中の複数のRa4は、高純度のテトラカルボン酸二無水物の調製が容易であることから、同一の基であるのが好ましい。
式(a-4)中のt3は0以上12以下の整数を示す。t3の値を12以下とすることによって、テトラカルボン酸二無水物の精製を容易にすることができる。
テトラカルボン酸二無水物の精製が容易である点から、t3の上限は5が好ましく、3がより好ましい。
テトラカルボン酸二無水物の化学的安定性の点から、t3の下限は1が好ましく、2がより好ましい。
式(a-4)中のt3は、2又は3が特に好ましい。
式(a-4)中のRa5、及びRa6として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基は、Ra4として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基と同様である。
a5、及びRa6は、テトラカルボン酸二無水物の精製が容易である点から、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上4以下、特に好ましくは1以上3以下)のアルキル基であるのが好ましく、水素原子又はメチル基であるのが特に好ましい。
式(a-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-(メチルノルボルナン)-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロヘキサノン-6’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-(メチルノルボルナン)-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロプロパノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロブタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘプタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロオクタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロノナノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロウンデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロドデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロトリデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロテトラデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-(メチルシクロペンタノン)-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-(メチルシクロヘキサノン)-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
カルド樹脂(a-1)の重量平均分子量は、1000以上40000以下であることが好ましく、1500以上30000以下であることがより好ましく、2000以上10000以下であることがさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、硬化物についての十分な耐熱性と、機械的強度とを得ることができる。
ノボラック樹脂(a-2)も、(メタ)アクリル樹脂(A1)とともに使用されるアルカリ可溶性樹脂として好ましい。
ノボラック樹脂(a-2)としては、従来から感光性組成物に配合されている種々のノボラック樹脂を用いることができる。ノボラック樹脂(a-2)としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる樹脂が好ましい。
ノボラック樹脂(a-2)を作製する際に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール;o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のクレゾール類;2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等のキシレノール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のエチルフェノール類;2-イソプロピルフェノール、3-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、並びにp-tert-ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5-トリメチルフェノール、及び3,4,5-トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、及びフロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、及びアルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(いずれのアルキル基も炭素原子数1以上4以下である。);α-ナフトール;β-ナフトール;ヒドロキシジフェニル;並びにビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのフェノール類の中でも、m-クレゾール及びp-クレゾールが好ましく、m-クレゾールとp-クレゾールとを併用することがより好ましい。この場合、両者の配合割合を調整することにより、硬化性組成物を用いて形成される硬化物の耐熱性等の諸特性を調節することができる。
m-クレゾールとp-クレゾールの配合割合は特に限定されないが、m-クレゾール/p-クレゾールのモル比で、3/7以上8/2以下が好ましい。m-クレゾール及びp-クレゾールをかかる範囲の比率で用いることにより、耐熱性に優れる硬化物を形成可能な硬化性組成物を得やすい。
また、m-クレゾールと、2,3,5-トリメチルフェノールとを併用して製造されるノボラック樹脂も好ましい。かかるノボラック樹脂を用いる場合、ポストベーク時の加熱により過度にフローし難い硬化物を形成できる硬化性組成物を、特に得やすい。
m-クレゾールと2,3,5-トリメチルフェノールの配合割合は特に限定されないが、m-クレゾール/2,3,5-トリメチルフェノールのモル比で、70/30以上95/5以下が好ましい。
ノボラック樹脂(a-2)を作製する際に用いられるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、及びアセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ノボラック樹脂(a-2)を作製する際に用いられる酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、及びパラトルエンスルホン酸等の有機酸類;並びに酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ノボラック樹脂(a-2)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw;以下、単に「重量平均分子量」ともいう。)は、感光性組成物を用いて形成される硬化物の加熱によるフローに対する耐性の観点から、下限値として2000が好ましく、5000がより好ましく、10000が特に好ましく、15000がさらに好ましく、20000が最も好ましく、上限値として50000が好ましく、45000がより好ましく、40000がさらに好ましく、35000が最も好ましい。
ノボラック樹脂(a-2)としては、ポリスチレン換算の重量平均分子量が異なる樹脂を少なくとも2種組み合わせて用いることができる。重量平均分子量が異なる樹脂を組み合わせて用いることにより、感光性組成物の現像性と、感光性組成物を用いて形成される硬化物の耐熱性とのバランスをとることができる。
変性エポキシ樹脂(a-3)も、(メタ)アクリル樹脂(A1)とともに使用されるアルカリ可溶性樹脂として好ましい。
加熱により変形しにくく、高い耐水性を有する硬化物を形成しやすい点から、エポキシ化合物(a-3a)と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)との反応物に、多塩基酸無水物(a-3c)が付加した付加体を含んでいてもよい。かかる付加体について、「変性エポキシ樹脂(a-3)」とも記す。
なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、上記の定義に該当する化合物であって、前述のカルド構造を有する樹脂(a-1)に該当しない化合物を、変性エポキシ樹脂(a-3)とする。
以下、エポキシ化合物(a-3a)、不飽和基含有カルボン酸(a-3b)、及び多塩基酸無水物(a-3c)について説明する。
エポキシ化合物(a-3a)は、エポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、芳香族基を有する芳香族エポキシ化合物であっても、芳香族基を含まない脂肪族エポキシ化合物であってもよく、芳香族基を有する芳香族エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物(a-3a)は、単官能エポキシ化合物であっても、2官能以上の多官能エポキシ化合物であってもよく、多官能エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物(a-3a)の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3-ビス[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]-2-プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂が挙げられる。
また、エポキシ化合物(a-3a)としては、ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物が好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物は、主鎖に下記式(a-3a-1)で表されるビフェニル骨格を少なくとも1つ以上有するのが好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物は、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物であるのが好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物を用いることにより、感度と現像性とのバランスに優れ、基板への密着性に優れた硬化物を形成できる硬化性組成物を得やすい。
Figure 0007376346000033
(式(a-3a-1)中、Ra7は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよいフェニル基であり、jは1以上4以下の整数である。)
a7が炭素原子数1以上12以下のアルキル基である場合、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、及びn-ドデシル基が挙げられる。
a7がハロゲン原子である場合、ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
a7が置換基を有してもよいフェニル基である場合、フェニル基上の置換基の数は特に限定されない。フェニル基上の置換基の数は、0以上5以下であり、0又は1が好ましい。
置換基の例としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上4以下の脂肪族アシル基、ハロゲン原子、シアノ基、及びニトロ基が挙げられる。
上記式(a-3a-1)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ化合物(a-3a)としては特に限定されないが、例えば、下記式(a-3a-2)で表されるエポキシ化合物を挙げることができる。
Figure 0007376346000034
(式(a-3a-2)中、Ra7及びjは、式(a-3a-1)と同様であり、kは括弧内の構成単位の平均繰り返し数であって0以上10以下である。)
式(a-3a-2)で表されるエポキシ化合物の中では、感度と現像性とのバランスに優れる硬化性組成物を特に得やすいことから、下記式(a-3a-3)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007376346000035
(式(a-3a-3)中、kは、式(a-3a-2)と同様である。)
変性エポキシ化合物(a-3)と調製するにあたって、エポキシ化合物(a-3a)と、不飽和基含有カルボン酸(a-3b)とを反応させる。
不飽和基含有カルボン酸(a-3b)としては、分子中にアクリル基やメタクリル基等の反応性の不飽和二重結合を含有するモノカルボン酸が好ましい。このような不飽和基含有カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β-スチリルアクリル酸、β-フルフリルアクリル酸、α-シアノ桂皮酸、桂皮酸等を挙げることができる。また、不飽和基含有カルボン酸(a-3b)は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物(a-3a)と、不飽和基含有カルボン酸(a-3b)とは、公知の方法により反応させることができる。好ましい反応方法としては、例えば、エポキシ化合物(a-3a)と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)とを、トリエチルアミン、ベンジルエチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、又はトリフェニルホスフィン等を触媒として、有機溶媒中、反応温度50℃以上150℃以下で数時間から数十時間反応させる方法が挙げられる。
エポキシ化合物(a-3a)と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)との反応における両者の使用量の比率は、エポキシ化合物(a-3a)のエポキシ当量と、不飽和基含有カルボン酸(a-3b)のカルボン酸当量との比として、通常1:0.5~1:2が好ましく、1:0.8~1:1.25がより好ましく、1:0.9~1:1.1が特に好ましい。
エポキシ化合物(a-3a)の使用量と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)の使用量との比率が、前記の当量比で1:0.5~1:2であると、架橋効率が向上する傾向があり好ましい。
多塩基酸無水物(a-3c)は、2個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸の無水物である。
多塩基酸無水物(a-3c)としては、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3-エチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-エチルテトラヒドロ無水フタル酸、下記式(a-3c-1)で表される化合物、及び下記式(a-3c-2)で表される化合物を挙げることができる。また、多塩基酸無水物(a-3c)は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 0007376346000036
(式(a-3c-2)中、Ra8は、炭素原子数1以上10以下の置換基を有してもよいアルキレン基を示す。)
多塩基酸無水物(a-3c)としては、感度と現像性とのバランスに優れる硬化性組成物を得やすいことから、ベンゼン環を2個以上有する化合物であることが好ましい。また、多塩基酸無水物(a-3c)は、上記式(a-3c-1)で表される化合物、及び上記式(a-3c-2)で表される化合物の少なくとも一方を含むのがより好ましい。
エポキシ化合物(a-3a)と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)とを反応させた後、多塩基酸無水物(a-3c)を反応させる方法は、公知の方法から適宜選択できる。
また、使用量比は、エポキシ化合物(a-3a)と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)との反応後の成分中のOH基のモル数と、多塩基酸無水物(a-3c)の酸無水物基の当量比で、通常1:1~1:0.1であり、好ましくは1:0.8~1:0.2である。上記範囲とすることにより、現像性が良好である硬化性組成物を得やすい。
変性エポキシ樹脂(a-3)の酸価は、樹脂固形分で、10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは、70mgKOH/g以上110mgKOH/g以下である。樹脂の酸価を10mgKOH/g以上にすることにより現像液に対する充分な溶解性が得られ、また、酸価を150mgKOH/g以下にすることにより充分な硬化性を得ることができ、硬化物の表面性を良好にすることができる。
変性エポキシ樹脂(a-3)の重量平均分子量は、1000以上40000以下であることが好ましく、より好ましくは、2000以上30000以下である。重量平均分子量が1000以上であることにより耐熱性、及び強度に優れる硬化物を形成しやすい。また、重量平均分子量が40000以下であることにより現像液に対する十分な溶解性を示す硬化性組成物を得やすい。
(メタ)アクリル樹脂(A1)以外の樹脂である(メタ)アクリル樹脂(a-4)もまたアルカリ可溶性樹脂を構成する成分として使用し得る。
(メタ)アクリル樹脂(a-4)としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、及び/又は(メタ)アクリル酸エステル等の他のモノマーに由来する構成単位を含む樹脂を用いることができる。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、又はメタクリル酸である。(メタ)アクリル酸エステルは、下記式(a-4-1)で表される化合物であって、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。
Figure 0007376346000037
上記式(a-4-1)中、Ra9は、水素原子又はメチル基であり、Ra10は、1価の有機基である。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
a10の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミノ基(-NH、-NHR、-NRR’:R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基を示す)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
また、Ra10としての有機基は、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基等の反応性の官能基を有していてもよい。
アクリロイルオキシ基やメタアクリロイルオキシ基等の、不飽和二重結合を有するアシル基は、例えば、エポキシ基を有する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂(a-4)における、エポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和カルボン酸を反応させることにより製造することができる。
エポキシ基の少なくとも一部に、不飽和カルボン酸を反応させた後に、反応により生成した基に多塩基酸無水物を反応させてもよい。
多塩基酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3-エチルテトラヒドロ無水フタル酸、及び4-エチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
具体例としては、グリシジルメタクリレートに由来する構成単位に、アクリル酸を反応させると、下記反応式中に示される、水酸基を有する構成単位が生成する。かかる水酸基を有する構成単位に、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸無水物を反応させることにより、カルボキシ基と不飽和二重結合とを有する、樹脂にアルカリ可溶性を付与する構成単位が生成する。
Figure 0007376346000038
a10としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又は複素環基が好ましく、これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、又は複素環基で置換されていてもよい。また、これらの基がアルキレン部分を含む場合、アルキレン部分は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。
アルキル基が、直鎖状又は分岐鎖状である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上15以下がより好ましく、1以上10以下が特に好ましい。好適なアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基等が挙げられる。
アルキル基が、脂環式基、又は脂環式基を含む基である場合、アルキル基に含まれる好適な脂環式基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等単環の脂環式基や、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、及びテトラシクロドデシル基等の多環の脂環式基が挙げられる。
式(a-4-1)で表される化合物が、エポキシ基を有する鎖状の基をRa10として有する場合の、式(a-4-1)で表される化合物の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類が挙げられる。
また、式(a-4-1)で表される化合物は、脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
式(a-4-1)で表される化合物が脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルである場合の具体例としては、例えば下記式(a-4-1a)~(a-4-1o)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度な範囲内にするためには、下記式(a-4-1a)~(a-4-1e)で表される化合物が好ましく、下記式(a-4-1a)~(a-4-1c)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0007376346000039
Figure 0007376346000040
Figure 0007376346000041
上記式中、Ra20は水素原子又はメチル基を示し、Ra21は炭素原子数1以上6以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra22は炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基を示し、tは0以上10以下の整数を示す。Ra21としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra22としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、-CH-Ph-CH-(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂(a-4)は、(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーをさらに重合させた共重合体であってもよい。(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド類、不飽和カルボン酸類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらのモノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのモノマーの好適な例については、(メタ)アクリル樹脂(A1)に関して説明した通りである。
(メタ)アクリル樹脂(a-4)における、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の量と、他のモノマーに由来する構成単位の量とは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。(メタ)アクリル樹脂(a-4)における、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の量は、(メタ)アクリル樹脂(a-4)の質量に対して、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(a-4)が、不飽和二重結合を有する構成単位を有する場合、(メタ)アクリル樹脂(a-4)における、不飽和二重結合を有する構成単位の量は、1質量%以上50質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、1質量%以上20質量%以下が特に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(a-4)が、上記の範囲内の量の不飽和二重結合を有する構成単位を含むことにより、アクリル系樹脂をレジスト膜内の架橋反応に取り込んで均一化できるため硬化膜の耐熱性、機械特性の向上に有効である。
(メタ)アクリル樹脂(a-4)の重量平均分子量は、2000以上50000以下であることが好ましく、3000以上30000以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、硬化性組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
第2の硬化性組成物における、(メタ)アクリル樹脂(A1)の質量とその他の樹脂の質量との合計は、後述する有機溶剤(S)の質量を除いた硬化性組成物の質量(固形分全体)に対して20質量%以上85質量%以下であることが好ましく、25質量%以上75質量%以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性に優れる硬化性組成物を得やすい。
・光重合性モノマー(B)
第2の硬化性組成物は、光重合性モノマー(B)を含む。光重合性モノマー(B)としては、従来より感光性組成物に配合されている化合物を特に制限なく用いることができる。
単官能光重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能光重合性モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
多官能光重合性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN-メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能光重合性モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの光重合性モノマー(B)の中でも、硬化性組成物の基板への密着性、硬化性組成物の硬化後の強度を高める傾向にある点から、3官能以上の多官能光重合性モノマーが好ましく、4官能以上の多官能モノマーがより好ましく、5官能以上の多官能光重合性モノマーがさらに好ましい。
光重合性モノマー(B)の硬化性組成物中の含有量は、後述する有機溶剤(S)の質量を除いた硬化性組成物の質量(固形分全体)に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
・光重合開始剤(C)
光重合開始剤としては、従来知られる感光性組成物において、不飽和結合を有する光重合性モノマーを硬化させる目的で使用されている化合物を特に限定なく使用することができる。
光重合開始剤(C)として具体的には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤(C)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、硬化性組成物の感度の点では、光重合開始剤(C)として、オキシムエステル化合物が好ましい。
オキシムエステル化合物としては、例えば、下記式(c1)で表されるオキシムエステル化合物が好ましい。
Figure 0007376346000042
上記式(c1)中、Rc11は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上10以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。aは、0又は1である。Rc12は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上10以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。Rc13は、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
c11が置換基を有してもよい炭素原子数1以上10以下のアルキル基である場合、アルキル基が有する置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
炭素原子数1以上10以下のアルキル基が有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
炭素原子数1以上10以下のアルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上5以下がより好ましい。
c11が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基が有していてもよい置換基の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc11が、置換基を有してもよいフェニル基であり、フェニル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下がさらに好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。また、アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。この場合、フェニル基が有する置換基としては、例えば、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がアルコキシアルキル基である場合、-Rc14-O-Rc15で表される基が好ましい。Rc14は、炭素原子数1以上10以下の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキレン基である。Rc15は、炭素原子数1以上10以下の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキル基である。Rc14の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Rc15の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合、その炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、アルコキシ基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、2-メトキシ-1-メチルエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、その炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、その炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合、その炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合、その炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。またフェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合、その炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、置換基は、フェニル基又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
フェニル基が有する置換基が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例としては、フェニル基が有する置換基について上記したものと同様のものが挙げられる。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、β-ナフトイルアミノ基、及びN-アセチル-N-アセチルオキシアミノ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上、Rc11が置換基を有してもよいフェニル基である場合の置換基について説明したが、これらの置換基の中では、アルキル基又はアルコキシアルキル基が好ましい。
c11が置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の数と、置換基の結合位置とは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Rc11が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、塩基の発生効率に優れる点で、置換基を有してもよいフェニル基は、置換基を有していてもよいo-トリル基であるのが好ましい。
c11が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カルバゾリル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいフェニルカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフチルカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
c11が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
カルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rc11が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
c11において、カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン-1-イル基;ピペラジン-1-イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
c12は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上10以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。
c12が置換基を有してもよい炭素原子数1以上10以下のアルキル基である場合、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上5以下がより好ましい。
c12において、アルキル基又はフェニル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
フェニル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基として上記で例示した基に加えて、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が挙げられる。
アルキル基又はフェニル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rc11が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
c12において、アルキル基又はフェニル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン-1-イル基;ピペラジン-1-イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。アルキル基又はフェニル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
c12が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が有する置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カルバゾリル基が有してもよい置換基の好適な例としては、Rc11が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合の置換基の例と同様である。
式(c1)で表される化合物の反応性の点から、Rc12としては、下記式(c2):
Figure 0007376346000043
又は、下記式(c3):
Figure 0007376346000044
で表される基が好ましい。
式(c2)中、Rc16及びRc17は、それぞれ1価の有機基であり、bは0又は1である。式(c3)中、Rc18は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、Ac1はS又はOであり、cは0以上4以下の整数である。
式(c2)におけるRc16は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rc16の好適な例としては、水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
c16の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
式(c2)におけるRc17は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc17として好適な基の具体例としては、水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc17として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基、及び置換基を有してもよいナフチル基がより好ましく、2-メチルフェニル基及びナフチル基が特に好ましい。
c16又はRc17に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc16又はRc17に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc16又はRc17に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(c3)におけるRc18が有機基である場合、Rc18は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(c3)においてRc18が有機基である場合の好適な例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン-1-イル基;ピペラジン-1-イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基;2-メチルフェニルカルボニル基;4-(ピペラジン-1-イル)フェニルカルボニル基;4-(フェニル)フェニルカルボニル基が挙げられる。
c18の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2-メチルフェニルカルボニル基;4-(ピペラジン-1-イル)フェニルカルボニル基;4-(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(c3)において、cは、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0又は1であるのが特に好ましい。cが1である場合、Rc18の結合する位置は、Rc18が結合するフェニル基が硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
c13は、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基である。置換基を有していてもよいフェニル基である場合、フェニル基が有していてもよい置換基は、Rc11が置換基を有していてもよいフェニル基である場合と同様である。Rc13としては、メチル基、エチル基、又はフェニル基が好ましく、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
上記式(c1)で表される化合物の中でも好適な化合物としては、下記式(c4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007376346000045
上記式(c4)中、a、Rc12、及びRc13は上記の通りである。Rc19は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、dは0以上4以下の整数である。
上記式(c4)中、Rc19は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、有機基である場合、種々の有機基から適宜選択される。Rc19の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。sが2以上4以下の整数である場合、Rc19は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素原子数には、置換基がさらに有する置換基の炭素原子数を含まない。
c19がアルキル基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rc19がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc19がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc19がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
c19がアルコキシ基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rc19がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc19がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc19がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
c19がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、炭素原子数3以上10以下が好ましく、炭素原子数3以上6以下がより好ましい。Rc19がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc19がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
c19が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rc19が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc19が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
c19がアルコキシカルボニル基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rc19がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
c19がフェニルアルキル基である場合、炭素原子数7以上20以下が好ましく、炭素原子数7以上10以下がより好ましい。またRc19がナフチルアルキル基である場合、炭素原子数11以上20以下が好ましく、炭素原子数11以上14以下がより好ましい。Rc19がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。Rc19がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc19が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc19は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
c19がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rc19がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
c19が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc19と同様である。1又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
c19に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc19に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc19に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
c19の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
c19がフェニル基に結合する位置は、Rc19が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がより好ましい。また、dは、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0又は1が特に好ましい。
上記式(c4)におけるRc13は、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基である。Rc13の具体例は、式(c1)について前述した通りである。式(c4)中のRc13としては、メチル基、エチル基、及びフェニル基が好ましく、メチル基、及びフェニル基がより好ましい。
オキシムエステル化合物のうち、式(c1)に含まれるが式(c4)に含まれない化合物の、好適な例としては以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007376346000046
また、オキシムエステル化合物として特に好適である式(c4)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記式の化合物が挙げられる。
Figure 0007376346000047
Figure 0007376346000048
Figure 0007376346000049
Figure 0007376346000050
Figure 0007376346000051
Figure 0007376346000052
Figure 0007376346000053
また、硬化性組成物の感度、及び硬化物の透明性の点から、オキシムエステル化合物として下記式(1)で表されるオキシムエステル化合物が特に好ましい。
Figure 0007376346000054
(式(1)中、Rc1は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、Rc2及びRc3は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、Rc2とRc3とは相互に結合して環を形成してもよく、Rc4は1価の有機基であり、Rc5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n1は0以上4以下の整数であり、n2は0又は1である。)
式(1)中、Rc1は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。Rc1は、式(1)中のフルオレン環上で、-(CO)n2-で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(1)中、Rc1のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(1)で表される化合物が1以上のRc1を有する場合、式(1)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRc1のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。Rc1が複数である場合、複数のRc1は同一であっても異なっていてもよい。
c1が有機基である場合、Rc1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rc1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。
c1がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
c1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
c1がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。Rc1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
c1が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
c1がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
c1がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、Rc1がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。Rc1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。Rc1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
c1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合環を構成する単環の環数は3以下とする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Rc1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
c1がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rc1がヘテロシクリル基である場合と同様である。
c1が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
c1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上説明した基の中でも、Rc1としては、ニトロ基、又はRc10-CO-で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。Rc10は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc10として好適な基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc10として、これらの基の中では、2-メチルフェニル基、チオフェン-2-イル基、及びα-ナフチル基が特に好ましい。
また、Rc1が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、Rc1が水素原子であり且つRc4が後述の式(1a)又は(1b)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
式(1)中、Rc2及びRc3は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rc2とRc3とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rc2及びRc3として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rc2及びRc3が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
c2及びRc3が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rc2及びRc3が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc2及びRc3がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
c2及びRc3が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rc1がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rc1がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rc1がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1以上20以下であり、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
c2及びRc3が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rc2及びRc3が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rc2及びRc3が鎖状アルキル基である場合と同様である。
c2及びRc3が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素-炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
c2及びRc3が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上10以下がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
c2及びRc3がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合環を構成する単環の環数は3以下とする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
c2とRc3とは相互に結合して環を形成してもよい。Rc2とRc3とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rc2とRc3とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環又は6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
c2とRc3とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したRc2及びRc3の中でも好適な基の例としては、式-A01-A02で表される基が挙げられる。式中、A01は直鎖アルキレン基であり、A02は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
01の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。A02がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。A02がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。A02がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A02が環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rc2及びRc3が置換基として有する環状有機基と同様である。A02がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rc2及びRc3が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
c2及びRc3の好適な具体例としては、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、及びn-オクチル基等のアルキル基;2-メトキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピル基、4-メトキシ-n-ブチル基、5-メトキシ-n-ペンチル基、6-メトキシ-n-ヘキシル基、7-メトキシ-n-ヘプチル基、8-メトキシ-n-オクチル基、2-エトキシエチル基、3-エトキシ-n-プロピル基、4-エトキシ-n-ブチル基、5-エトキシ-n-ペンチル基、6-エトキシ-n-ヘキシル基、7-エトキシ-n-ヘプチル基、及び8-エトキシ-n-オクチル基等のアルコキシアルキル基;2-シアノエチル基、3-シアノ-n-プロピル基、4-シアノ-n-ブチル基、5-シアノ-n-ペンチル基、6-シアノ-n-ヘキシル基、7-シアノ-n-ヘプチル基、及び8-シアノ-n-オクチル基等のシアノアルキル基;2-フェニルエチル基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、5-フェニル-n-ペンチル基、6-フェニル-n-ヘキシル基、7-フェニル-n-ヘプチル基、及び8-フェニル-n-オクチル基等のフェニルアルキル基;2-シクロヘキシルエチル基、3-シクロヘキシル-n-プロピル基、4-シクロヘキシル-n-ブチル基、5-シクロヘキシル-n-ペンチル基、6-シクロヘキシル-n-ヘキシル基、7-シクロヘキシル-n-ヘプチル基、8-シクロヘキシル-n-オクチル基、2-シクロペンチルエチル基、3-シクロペンチル-n-プロピル基、4-シクロペンチル-n-ブチル基、5-シクロペンチル-n-ペンチル基、6-シクロペンチル-n-ヘキシル基、7-シクロペンチル-n-ヘプチル基、及び8-シクロペンチル-n-オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2-メトキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、4-メトキシカルボニル-n-ブチル基、5-メトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-メトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-メトキシカルボニル-n-ヘプチル基、8-メトキシカルボニル-n-オクチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、4-エトキシカルボニル-n-ブチル基、5-エトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-エトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-エトキシカルボニル-n-ヘプチル基、及び8-エトキシカルボニル-n-オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2-クロロエチル基、3-クロロ-n-プロピル基、4-クロロ-n-ブチル基、5-クロロ-n-ペンチル基、6-クロロ-n-ヘキシル基、7-クロロ-n-ヘプチル基、8-クロロ-n-オクチル基、2-ブロモエチル基、3-ブロモ-n-プロピル基、4-ブロモ-n-ブチル基、5-ブロモ-n-ペンチル基、6-ブロモ-n-ヘキシル基、7-ブロモ-n-ヘプチル基、8-ブロモ-n-オクチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
c2及びRc3として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、2-メトキシエチル基、2-シアノエチル基、2-フェニルエチル基、2-シクロヘキシルエチル基、2-メトキシカルボニルエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基である。
c4の好適な有機基の例としては、Rc1と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、Rc1について説明したものと同様である。また、Rc4としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rc1に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
有機基の中でも、Rc4としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2-メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2-(4-クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、Rc4としては、-A03-CO-O-A04で表される基も好ましい。A03は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。A04は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
03がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A03がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。
04の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。A04の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、及びβ-ナフチルメチル基等が挙げられる。
-A03-CO-O-A04で表される基の好適な具体例としては、2-メトキシカルボニルエチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、2-n-プロピルオキシカルボニルエチル基、2-n-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ペンチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2-ベンジルオキシカルボニルエチル基、2-フェノキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-プロピルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ペンチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ヘキシルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-ベンジルオキシカルボニル-n-プロピル基、及び3-フェノキシカルボニル-n-プロピル基等が挙げられる。
以上、Rc4について説明したが、Rc4としては、下記式(1a)又は下記式(1b)で表される基が好ましい。
Figure 0007376346000055
(式(1a)及び式(1b)中、Rc7及びRc8はそれぞれ有機基であり、n3は0以上4以下の整数であり、Rc7及びRc8がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、Rc7とRc8とが互いに結合して環を形成してもよく、n4は1以上8以下の整数であり、n5は1以上5以下の整数であり、n6は0以上(n5+3)以下の整数であり、Rc9は有機基である。)
式(1a)中のRc7及びRc8についての有機基の例は、Rc1と同様である。Rc7としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rc7がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、Rc7はメチル基であるのが最も好ましい。Rc7とRc8とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(1a)で表される基であって、Rc7とRc8とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン-1-イル基や、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-5-イル基等が挙げられる。上記式(1a)中、n3は0以上4以下の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(1b)中、Rc9は有機基である。有機基としては、Rc1について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Rc9としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(1b)中、n5は1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(1b)中、n6は0以上(n5+3)以下であり、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(1b)中、n4は1以上8以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(1)中、Rc5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rc5がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Rc1がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(1)中、Rc5としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(1)で表される化合物の好適な具体例としては、以下のPI-43~PI-83が挙げられる。
Figure 0007376346000056
Figure 0007376346000057
光重合開始剤(C)の含有量は、後述する溶媒(S)の質量を除いた硬化性組成物の質量(固形分全体)に対して0.5質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましい。光重合開始剤(C)の含有量を上記の範囲とすることにより、硬化性が良好である硬化性組成物を得ることができる。
光重合開始剤(C)に、光開始助剤を組み合わせてもよい。光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンゾチアゾール、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸メチル、ペンタエリストールテトラメルカプトアセテート、3-メルカプトプロピオネート等のチオール化合物等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
・有機溶剤(S)
第2の硬化性組成物は、典型的には、塗布性の調整の目的等で有機溶剤(S)を含んでいてもよい。有機溶剤(S)としては、第1の硬化性組成物について説明した有機溶剤と同様の有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤(S)の使用量は、硬化性組成物の用途に応じて適宜決定し得る。有機溶剤(S)の使用量としては、一例として、硬化性組成物の固形分濃度が1質量%以上50質量%以下の範囲である量が挙げられる。
・その他の成分
硬化性組成物には、必要に応じて、上記の成分以外のその他の各種の添加剤を含んでいてもよい。具体的には、分散助剤、充填剤、フィラー、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が例示される。
≪硬化物、及び硬化物の製造方法≫
前述の硬化性組成物を加熱、及び/又は露光することにより硬化物を製造し得る。硬化物を製造する際に、加熱、露光、及び加熱と露光との双方のいずれを行うかは、硬化物組成物の組成を考慮して適宜決定される。前述の硬化性組成物の硬化物は、低い比誘電率を示すため、種々の画像表示装置用のディスプレイパネルにおけるインシュレータ等の膜の材料として好適に使用される。
硬化物の比誘電率は、周波数0.1MHzにて測定された値として、3.5以下が好ましく、3.4以下がより好ましく、3.3以下がさらに好ましい。
比誘電率の測定方法としては、水銀プローブ法が好ましく適用される。水銀プローブ法による比誘電率測定を行うことができる装置としては、一例として、SSM-495(日本セミラボ社製)が挙げられる。
比誘電率の測定方法の好ましい一例としては、以下の1)~4)の工程により膜状の硬化物を形成した後、形成された硬化物に対して、水銀プローブ法による比誘電率測定を行う方法が挙げられる。
1)シリコンウエハ上に硬化組成物を塗布して塗布膜を形成する。
2)形成された塗布膜を、100℃で120秒間加熱する。
3)硬化性組成物が光重合開始剤、又は感光性硬化剤を含む場合、塗布膜を任意に1kJ/cmの露光量で露光する。
4)必要に応じて露光された塗布膜を、230℃で20分間加熱する。
硬化物の形状は特に限定されないが、膜形状であるのが好ましい。硬化物が膜である場合、その厚さは、10nm以上30000nm以下が好ましく、50nm以上1500nm以下がより好ましく、100nm以上1000nm以下がさらに好ましい。
硬化物の形状が膜形状である場合、基板上に塗布された硬化性組成物の塗布膜に対して、加熱、及び/又は露光を行うのが好ましい。塗布方法は特に限定されず、例えば、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて塗布する方法が挙げられる。
上記塗布後の塗布膜は乾燥(プリベーク)されるのが好ましい。乾燥方法は、特に限定されず、例えば、(1)ホットプレートにて80℃以上120℃以下、好ましくは90℃以上100℃以下の温度にて60秒間以上120秒間以下乾燥させる方法、(2)室温にて数時間~数日間放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分間~数時間入れて溶剤を除去する方法等が挙げられる。
なお、乾燥と同時に、硬化性組成物の硬化が進行してもよい。
硬化性組成物を加熱して硬化物を形成する場合、加熱温度、及び加熱時間は、硬化が良好に進行し、硬化物に熱劣化や熱分解が生じない限り特に限定されない。加熱温度は、例えば、80℃以上300℃以下が好ましく、100℃以上280℃以下がより好ましく、120℃以上250℃以下がさらに好ましい。加熱時間は、例えば、10秒以上12時間以下が好ましく、1分以上6時間以下がより好ましく、2分以上3時間以下がより好ましい。
硬化性組成物を露光して硬化物を形成する場合、露光条件は、硬化が良好に進行する限り特に限定されない。露光は、例えば、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射することにより行われる。照射するエネルギー線量は特に制限はないが、例えば10mJ/cm以上2000mJ/cm以下が挙げられる。
≪パターニングされた硬化膜の製造方法≫
硬化性組成物として、感光性硬化剤を含む前述の第1の硬化性組成物や、前述の第2の硬化性組成物を用いる場合、フォトリソグラフィー法を適用することによりパターニングされた硬化膜を形成することができる。
具体的には、
感光性硬化剤を含む前述の第1の硬化性組成物、又は前述の第2の硬化性組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成することと、
塗布膜に対して、位置選択的に露光を行うことと、
露光された塗布膜を、現像液により現像して前記塗布膜をパターニングすることと、
パターニングされた塗布膜を、加熱することと、を含む、方法によりパターニングされた硬化膜が製造される。
パターニングされた硬化膜について、その膜厚は、硬化膜について前述した通りである。
上記のパターニングされた硬化膜の製造方法において、塗布方法は、硬化膜の製造方法について前述した通りである。露光条件は、硬化膜の製造方法について前述した通りである。位置選択的な露光は、例えば、ネガ型のフォトマスクを介して行われる。露光後の加熱条件については、硬化膜の製造方法について前述した熱硬化の条件を適用できる。
現像方法は特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、硬化性組成物が含んでいてもよい有機溶剤(S)や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系の現像液や、例えば、濃度0.02質量%以上10質量%以下で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等を含む塩基性の水溶液が挙げられる。
硬化性組成物が、感光性硬化剤を含む第1の硬化性組成物である場合、硬化性組成物が含んでいてもよい有機溶剤(S)が好ましい。
硬化性組成物が第2の硬化性組成物である場合、現像液としてはアルカリ現像液が好ましい。アルカリ現像液としては、例えば、濃度0.05質量%以上10質量%以下、好ましくは濃度0.05質量%以上3質量%以下のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されない。
〔実施例1〕
冷却管、温度計、空気吹き込み管を取り付けた300mLのガラス製三口フラスコに、下記式で表されるジエポキシ化合物14.51g(50mmol)、アクリル酸3.60g(50mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.23g(1mmol)、ジブチルヒドロキシトルエン0.055g(0.25mmol)、トリエチルアミンを20.23mL(200mmol)、及びトルエン100mLを入れ、空気を挿入しながら、70℃で加熱撹拌し、24時間反応させた。
Figure 0007376346000058
反応後、室温まで冷却し、蒸留水100mLで3回洗浄した。トルエン層を分離し、トルエン留去後、酢酸エチル及びヘキサン(体積比4:6)を展開液としたシリカゲルカラムにより精製した。
無色透明で粘稠液体の下記式で表される中間体1を14.13g得た(収率78%)。
Figure 0007376346000059
次いで、上記の処方に従って得られた中間体1を2g(7mmmol)と、ジクロロメタン210gと、トリエチルアミン2.3gとを、内部を窒素雰囲気に置換された容量300mLの三口フラスコに仕込んで溶解させた。
その後、トリメチルモノクロロシラン1.8g(15.6mmol)を、室温で、フラスコ内に少量ずつ滴下した。滴下終了後、フラスコ内の反応液を、室温で2時間撹拌した。
反応終了後、反応液を水で洗浄した後、有機層と水層とに分離させ、有機層を回収した。回収された有機層から、ロータリーエバポレーターを用いてジクロロメタンを留去させた後、残渣を凍結乾燥させて、下記構造の化合物1を得た。なお、取得された構造の化合物が下記構造であることは、GC-MS測定の結果から確認された。
Figure 0007376346000060
〔実施例2〕
容量100mLのガラス製三口フラスコの内部を、窒素雰囲気に置換した後、フラスコの内温を80℃にした。次いで、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(MEDG)5.18gをフラスコ内に加えた。
別途、容量100mLのガラス製サンプル瓶に、メタクリル酸1.5g(17.42mmol)と、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート0.93g(4.23mmol)と、実施例1で得た化合物1を9.22g(25.43mmol)と、重合開始剤としてのジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)2.05gと、MEDG20.22gを加えて、重合溶液を調製した。
得られた重合溶液を、80℃で2時間かけて三口フラスコに滴下した後、80℃で2時間撹拌を継続して、重合反応を継続させた。
その結果、構成単位比率(メタクリル酸/トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート/化合物1)が質量比で13/9/78の(メタ)アクリル樹脂(樹脂P1)のMEDG溶液(濃度30質量%)を得た。
得られた(メタ)アクリル樹脂について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)が9000であった。
〔実施例3、比較例1、及び比較例2〕
実施例3において、前述の化合物1をエポキシ化合物として用いた。比較例1では、下記構造の化合物2をエポキシ化合物として用いた。比較例2では、前述の中間体1をエポキシ化合物として用いた。
Figure 0007376346000061
実施例3、比較例1、及び比較例2において、下記構造のスルホニウムカチオンと、(Cとからなるスルホニウム塩を感光性硬化剤として用いた。
Figure 0007376346000062
エポキシ化合物99質量部と、感光性硬化剤1質量部とを、有機溶剤に固形分濃度20質量%となるように溶解させて、実施例3、比較例1、及び比較例2の硬化性組成物を得た。実施例3では、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを用いた。比較例1、及び比較例2では、有機溶剤としてN,N,N’,N’-テトラメチルウレアを用いた。得られた硬化性組成物を用いて形成された硬化膜について、以下の処方に従って比誘電率を測定した。
<比誘電率測定>
シリコンウエハ上に、硬化性組成物をスピンナーにより塗布して塗布膜を形成した。形成された塗布膜を100℃で120秒間加熱した後、露光装置(ORC 1J、オーク製作所製)を用いて、露光量1000mJ/cmにて塗布膜に対して全面露光を行った。さらに230℃で20分間塗布膜を加熱して、膜厚1μmの硬化膜を形成した。
形成された硬化膜に対して、測定周波数0.1MHzにてSSM-495(日本セミラボ社製)を用いて、硬化膜の比誘電率を測定した。
その結果、実施例3の硬化性組成物を用いて得た硬化膜の比誘電率は3.5であり、比較例1の硬化性組成物を用いて得た硬化膜の比誘電率は4.29であり、比較例2の硬化性組成物を用いて得た硬化膜の比誘電率は3.91であった。
上記の測定結果から、式(1)で表される化合物に該当する化合物1を含む硬化性組成物が、比誘電率の低い硬化物を与えることが分かる。

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表される化合物、及び/又は下記式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂(A1)、並びに硬化剤を含む硬化性組成物。
    Figure 0007376346000063
    (式(1)中、環Aは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環Bは、環A及びCと縮合し、環B内を橋架けする架橋基を含む脂環を表し、環Cは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、Rは(メタ)アクリロイル基を表し、Rは、トリヒドロカルビルシリル基を表し、環A、環B及び環Cは置換基を有していてもいなくてもよい。)
  2. 前記環Bが、下記式(2)で表される環である、請求項1に記載の硬化性組成物。
    Figure 0007376346000064
    (式(2)中、Lは前記架橋基を表し、前記架橋基が、アルキレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、ケト基又はそれらの少なくとも2つを組み合わせた2価の基であり、 及びR はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表し、*は環Aとの結合手を表し、**は環Cとの結合手を表す。)
  3. 前記式(1)で表される化合物が、下記式(3)又は式(4)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
    Figure 0007376346000065
    (式(3)及び式(4)中、環Bは、前記架橋基を含む脂環を表し、Rは(メタ)アクリロイル基を表し、Rは、トリヒドロカルビルシリル基を表し、R11は、単結合又は-CHR15-で表される2価の基を表し、R11が単結合である場合、R12及びR13、又はR13及びR14が、互いに結合してオキシラン環を形成し、R11が-CHR15-で表される2価の基である場合、R12及びR13、R13及びR14、又はR14及びR15が、互いに結合してオキシラン環を形成し、R12~R15のうちオキシラン環を形成していない基は、水素原子を表す。)
  4. 前記硬化剤が感光性硬化剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の前記硬化性組成物を加熱、及び/又は露光により硬化させた硬化物。
  6. 水銀プローブ法により、周波数0.1MHzにて測定される、比誘電率が3.5以下である、請求項5に記載の硬化物。
  7. 請求項1~4のいずれか1項に記載の前記硬化性組成物を加熱、及び/又は露光する、硬化物の製造方法。
  8. 請求項4に記載の前記硬化性組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成することと、
    前記塗布膜に対して、位置選択的に露光を行うことと、
    露光された前記塗布膜を、現像液により現像して前記塗布膜をパターニングすることと、
    パターニングされた前記塗布膜を、加熱することと、を含む、
    パターニングされた硬化膜の製造方法。
  9. 下記式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル樹脂。
    Figure 0007376346000066
    (式(1)中、環Aは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環Bは、環A及びCと縮合し、環B内を橋架けする架橋基を含む脂環を表し、環Cは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、Rは(メタ)アクリロイル基を表し、Rは、トリヒドロカルビルシリル基を表し、環A、環B及び環Cは置換基を有していてもいなくてもよい。)
  10. 前記式(1)で表される化合物に由来する構成単位の含有量が50質量%以上である、請求項9に記載の(メタ)アクリル樹脂。
  11. さらに、アルカリ可溶性基を有する構成単位を含む、請求項9又は10に記載の(メタ)アクリル樹脂。
  12. 下記式(1)で表される化合物。
    Figure 0007376346000067
    (式(1)中、環Aは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環Bは、環A及びCと縮合し、環B内を橋架けする架橋基を含む脂環を表し、環Cは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、Rは(メタ)アクリロイル基を表し、Rは、トリヒドロカルビルシリル基を表し、環A、環B及び環Cは置換基を有していてもいなくてもよい。)
  13. 下記式(M1)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸とを反応させて、下記式(M2)で表される化合物を生成させることと、
    下記式(M2)で表される化合物が有する水酸基を、トリヒドロカルビルシリル化することと、
    を含む、請求項12に記載の化合物の製造方法。
    Figure 0007376346000068
    (式(M1)中、環Aは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環Bは、環A及びCと縮合し、環B内を橋架けする架橋基を含む脂環を表し、環Cは、環Bと縮合する5又は6員脂環を含む環を表し、環A、環B及び環Cは置換基を有していてもいなくてもよい。)
    Figure 0007376346000069
    (式(M2)中、環A、環B、及び環Cは、式(M1)中のこれらと同様であり、Rは(メタ)アクリロイル基を表す。)
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