JP2020075854A - 表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法、改質金属酸化物微粒子の製造方法、表面修飾金属酸化物微粒子、及び金属酸化物微粒子分散液 - Google Patents

表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法、改質金属酸化物微粒子の製造方法、表面修飾金属酸化物微粒子、及び金属酸化物微粒子分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】種々の組成の分散液中での分散安定性に優れる表面修飾金属酸化物微粒子を製造できる表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法と、前述の表面修飾金属酸化物微粒子の製造において、表面修飾の対象である金属酸化物微粒子の製造方法として好適な改質金属酸化物微粒子の製造方法と、前述の方法で製造され得る表面修飾金属酸化物微粒子と、及び前述の表面修飾金属酸化物微粒子を含む金属酸化物微粒子分散液とを提供すること。【解決手段】金属酸化物微粒子の表面の少なくとも一部を、環式であってもよいアミノ基で置換された特定の構造のカルボン酸化合物及び/又はそのカルボキシレートを用いて被覆することを含む方法により、表面修飾金属酸化物微粒子を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法、前述の表面修飾金属酸化物微粒子の製造において、表面修飾の対象である金属酸化物微粒子の製造方法として好適な改質金属酸化物微粒子の製造方法、表面修飾金属酸化物微粒子、及び前述の表面修飾金属酸化物微粒子を含む金属酸化物微粒子分散液に関する。
光学材料、及び電子部品材料や、例えば研磨剤のような種々の物品の加工に用いられ材料として、金属酸化物微粒子が広く使用されている。かかる金属酸化物微粒子は、輸送、計量、取り扱い等が容易であることから分散液として使用されることが多い。しかし、未処理の金属酸化物微粒子を、有機溶媒のような分散媒中に分散させる場合、金属酸化物微粒子が凝集しやすい問題がある。分散媒中で金属酸化物微粒子が凝集すると、金属酸化物微粒子が有する機能を発揮しにくい。このため、金属酸化物微粒子に、有機溶媒等の分散媒に対する良好な分散安定性を付与するために、金属酸化物微粒子の表面処理方法が提案されている。
かかる表面処理方法として、金属酸化物微粒子の表面の少なくとも一部を、芳香族構造を有するカルボン酸化合物で被覆する方法が提案されている(特許文献1)。
特開2015−017026号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法で表面処理された金属酸化物微粒子の分散安定性にはさらなる改良の余地があった。また、特許文献1に記載の方法で表面処理された金属酸化物微粒子は、分散液に含まれる成分の種類によっては凝集しやすい場合があった。
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであって、種々の組成の分散液中での分散安定性に優れる表面修飾金属酸化物微粒子を製造できる表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法と、前述の表面修飾金属酸化物微粒子の製造において、表面修飾の対象である改質金属酸化物微粒子の製造方法として好適な金属酸化物微粒子の製造方法と、前述の方法で製造され得る表面修飾金属酸化物微粒子と、及び前述の表面修飾金属酸化物微粒子を含む金属酸化物微粒子分散液とを提供することを目的とする。
本発明者らは、金属酸化物微粒子の表面の少なくとも一部を、環式であってもよいアミノ基で置換された特定の構造のカルボン酸化合物及び/又はそのカルボキシレートを用いて被覆することを含む方法により、表面修飾金属酸化物微粒子を製造することにより、上記の課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明の第1の態様は、金属酸化物微粒子の表面の少なくとも一部を、下記式(1):
Figure 2020075854
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は1価の有機基であり、RとRとが互いに結合して環を形成してもよく、前記環は、環構成元素としてN、S、及びOからなる群より選択される元素を1つ以上含んでいてもよく、Rは、1価の有機基であり、Rは、メチレン基、又は単結合である。)
で表されるカルボン酸化合物及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートで被覆することを含む、表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法である。
本発明の第2の態様は、アミド構造を有する化合物を含有する溶液又は懸濁液中で金属酸化物微粒子を調製するか、アミド構造を有する化合物を含む分散媒の存在下で金属酸化物微粒子を分散させることを含む、改質金属酸化物微粒子の製造方法である。
本発明の第3の態様は、表面の少なくとも一部が、下記式(1):
Figure 2020075854
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は1価の有機基であり、RとRとが互いに結合して環を形成してもよく、前記環は、環構成元素としてN、S、及びOからなる群より選択される元素を1つ以上含んでいてもよく、Rは、1価の有機基であり、Rは、メチレン基、又は単結合である。)
で表されるカルボン酸化合物及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートで被覆された、表面修飾金属酸化物微粒子である。
本発明の第4の態様は、金属酸化物(A)として、第3の態様にかかる表面修飾金属酸化物微粒子を含む、金属酸化物微粒子分散液である。
本発明によれば、分散液中での分散安定性に優れる表面修飾金属酸化物微粒子を製造できる表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法と、前述の表面修飾金属酸化物微粒子の製造において、表面修飾の対象である金属酸化物微粒子の製造方法として好適な改質金属酸化物微粒子の製造方法と、前述の方法で製造され得る表面修飾金属酸化物微粒子と、及び前述の表面修飾金属酸化物微粒子を含む金属酸化物微粒子分散液とを提供することができる。
≪表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法≫
表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法は、
金属酸化物微粒子の表面の少なくとも一部を、下記式(1):
Figure 2020075854
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は1価の有機基であり、RとRとが互いに結合して環を形成してもよく、前記環は、環構成元素としてN、S、及びOからなる群より選択される元素を1つ以上含んでいてもよく、Rは、1価の有機基であり、Rは、メチレン基、又は単結合である。)
で表されるカルボン酸化合物及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートで被覆することを含む、方法である。
なお、カルボキシレートは、金属酸化物微粒子の表面に結合又は付着し得る、式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボン酸アニオン、又は式(1)で表されるカルボン酸化合物の塩である。なお、金属酸化物微粒子の表面への結合又は付着については、例えば、X線光電子分光装置(XPS)等で確認することができる。
式(1)で表されるカルボン酸化合物の塩において、カルボン酸アニオンに対する対カチオンは、無機カチオンであっても有機カチオンであってもよく、無機カチオンが好ましい。対カチオンは、1価のカチオンであっても、2価以上の多価カチオンであってもよい。
無機カチオンとしては、特に限定されないが、ナトリウムイオンやカリウムイオン等のアルカリ金属カチオンや、金属酸化物微粒子に含まれる金属元素に由来するカチオン等が好ましい。
金属酸化物微粒子に含まれ得る、好ましい金属元素については後述する。
上記の方法で製造される式(1)で表されるカルボン酸化合物及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートで被覆された表面修飾金属酸化物微粒子は、種々の液中で良好な分散安定性を示す。上記の方法で製造される表面修飾金属酸化物微粒子は、分散液の組成によらず、分散液中で安定に分散し、特に、フルオレン骨格を有するような芳香族環を有する化合物を含有する液中でも、良好な分散安定性を示す。
<金属酸化物微粒子>
金属酸化物微粒子としては、従来より種々の目的で使用されている種々の金属酸化物微粒子を特に限定なく用いることができる。例えば、ZrO微粒子のような金属酸化物は、高屈折材料において、高屈折率を達成させるためのフィラーとして使用されている。
金属酸化物微粒子の形状は特に限定されない。金属酸化物微粒子の形状としては、球状、粒状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、板状、及び薄片状等が挙げられ、球状、粒状、柱状等が好ましい。
金属酸化物微粒子を構成する金属酸化物の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。金属酸化物微粒子は、単一の金属酸化物からなる微粒子であってもよく、2種以上の金属酸化物からなる微粒子であってもよい。
また、式(1)で表されるカルボン酸化合物等による被覆処理には、1種の金属酸化物微粒子を単独で用いてもよく、2種以上の金属酸化物微粒子を組み合わせて用いてもよい。
金属酸化物微粒子を構成する金属としては、例えば、Ag、Cu、In、Sn、Ti、Hf、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。高屈折率の金属酸化物を提供できるという観点からは、上記の金属元素の中でも、Ti、Al、Zr、Zn、Sn及びCeよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、Zrが特に好ましい。
金属酸化物微粒子を構成する金属酸化物の好適な例としては、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化インジウム(In)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化ランタン(La)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、及び酸化マグネシウム(MgO)等の単一金属酸化物;ITO、及びATO等の金属酸化物の固溶体;チタン酸バリウム(BaTiO)、灰チタン石(CaTiO)、及びスピネル(MgAl)等の複合金属酸化物が挙げられる。
金属酸化物微粒子の平均粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で、特に限定されない。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、例えば,50nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましく、5nm以下が特に好ましい。金属酸化物の微粒子の平均粒子径の下限は、例えば、1nm以上であり、2nm以上であってもよい。
金属酸化物微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法を用いて測定される体積平均粒子径である。
金属酸化物微粒子の、累積粒度体積分布において、累積値99.99%における粒子径は、高屈折率化の点で、例えば50nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、20nm以下がさらに好ましい。下限値は特にないが、例えば5nm以上である。金属酸化物微粒子の粒度分布(累積粒度体積分布)も動的光散乱法を用いて測定される。
<カルボン酸化合物>
前述の金属酸化物微粒子の表面の被覆には、下記式(1)で表されるカルボン酸化合物及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートが使用される。
なお、式(1)で表されるカルボン酸化合物、又は当該カルボン酸化合物に由来するカルボキシレートに、2以上の複数の光学異性体が存在する場合、いずれの光学異性体も、金属酸化物微粒子の表面の被覆に用いることができる。また、複数の光学異性体の混合物を金属酸化物微粒子の表面の被覆に用いることができる。
Figure 2020075854
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は1価の有機基であり、RとRとが互いに結合して環を形成してもよく、前記環は、環構成元素としてN、S、及びOからなる群より選択される元素を1つ以上含んでいてもよく、Rは、1価の有機基であり、Rは、メチレン基、又は単結合である。)
以下、便宜上、式(1)で表されるカルボン酸化合物についてのみ説明するが、式(1)で表されるカルボン酸化合物に由来するカルボキシレートも、式(1)で表されるカルボン酸化合物と同様に被覆に用いることができる。
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基である。1価の有機基としては、特に限定されない。1価の有機基は、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい脂肪族複素環基、及び置換基を有してもよい芳香族基等であってもよい。
及びRが1価の有機基である場合、当該有機基の炭素原子数は、1以上40以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、1以上20以下がさらにより好ましく、1以上10以下が特に好ましい。
また、RとRとは、互いに結合して環を形成してもよい。
及びRとしては、R及びRが、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香族基であるのか、RとRとが結合して環を形成しているのが好ましい。
及びRがアルキル基である場合、当該アルキル基は鎖中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、スルフィド結合、及びジスルフィド結合等を有してもよい。
及びRとしてのアルキル基の炭素原子数は1以上40以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、1以上20以下がさらにより好ましく、1以上10以下が特に好ましく、1以上5以下が最も好ましい。
及びRとしてのアルキル基が有していてもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。アルキル基が有していてもよい置換基の具体例としては、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子等が挙げられる。アルキレン基は、直鎖アルキル基であっても、分岐鎖アルキル基であってもよく、直鎖アルキル基が好ましい。
及びRとしてのアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチル−n−ヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基が挙げられる。
及びRとしての置換基を有してもよい芳香族基は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基でもよく、置換基を有してもよい芳香族複素環基でもよい。
芳香族炭化水素基の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。芳香族炭化水素基は、単環式の芳香族基であってもよく、2以上の芳香族炭化水素基が縮合して形成されたものであってもよく、2以上の芳香族炭化水素基が単結合により結合して形成されたものであってもよい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アンスリル基、フェナンスレニル基が好ましい。
芳香族複素環基の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。芳香族複素環基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。芳香族複素環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、及びベンゾイミダゾリル基が好ましい。
フェニル基、多環芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、及び有機基が挙げられる。フェニル基、多環芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基が複数の置換基を有する場合、当該複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
芳香族基が有する置換基が有機基である場合、当該有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基等が挙げられる。この有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、及びこれらの構造の組み合わせのいずれでもよい。この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
芳香族基が隣接する炭素原子上に置換基を有する場合、隣接する炭素原子上に結合する2つの置換基はそれが結合して環状構造を形成してもよい。環状構造としては、脂肪族炭化水素環や、ヘテロ原子を含む脂肪族環が挙げられる。
芳香族基が有する置換基が有機基である場合に、当該有機基に含まれる結合は本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、有機基は、酸素原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子を含む結合を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含む結合の具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
有機基が有してもよいヘテロ原子を含む結合としては、式(1)で表されるカルボン酸化合物の耐熱性の観点から、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、アミノ結合(−NR−:Rは水素原子又は1価の有機基を示す)ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は1価の有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
有機基が炭化水素基以外の置換基である場合、炭化水素基以外の置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。炭化水素基以外の置換基の具体例としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアルミ基、モノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
フェニル基、多環芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基が有する置換基としては、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、炭素原子数1以上12以下のアリール基、炭素原子数1以上12以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上12以下のアリールオキシ基、炭素原子数1以上12以下のアリールアミノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
とRとは、互いに結合して環を形成してもよい。RとRとが結合して形成される環は、含窒素複素環である。当該含窒素環は、環構成元素としてN、S、及びOからなる群より選択される元素を1つ以上含む。
当該含窒素環は、単環でも多環でもよく、単環が好ましい。また、当該含窒素複素環は、脂肪族環であっても、芳香族環であっても、1以上の脂肪族単環と1以上の芳香族単環とが縮合した縮合多環であってもよい。
とRとが結合して形成される含窒素複素環の好適な例としては、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、インドール、ベンゾイミダゾール、プリン、フェノキサジン、及びフェノチアジンが挙げられる。これらの中では、ピロリジン、ピロール、イミダゾール、及びピラゾールが好ましく、イミダゾールがより好ましい。
つまり、式(1)において、RとRとが結合してイミダゾール環を形成するのが好ましい。RとRとが結合して形成されたイミダゾール環を有するカルボン酸化合物は、金属酸化物微粒子を被覆する際の、被覆による効果に優れる。
とRとが結合して形成される含窒素複素環は、置換基を有していてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、及び有機基が挙げられる。含窒素複素環上の置換基の数は特に限定されない。
含窒素複素環上に複数の置換基が存在する場合、複数の置換基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
含窒素複素環が有する置換基が有機基である場合、当該有機基は、R及びRが置換基を有してもよい芳香族基である場合の、置換基としての有機基と同様である。
含窒素複素環が有する置換基が有機基である場合、有機基としては、アルキル基、芳香族炭化水素基、及び芳香族複素環基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上8以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基がより好ましい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アンスリル基、及びフェナンスレニル基が好ましく、フェニル基、及びナフチル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。芳香族複素環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、及びベンゾイミダゾリル基が好ましく、フリル基、及びチエニル基がより好ましい。
式(1)中、Rは、1価の有機基である。Rとしての1価の有機基としては、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、及び、N、S、O、P、及びハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族基が好ましい。
が1価の有機基である場合、当該有機基の炭素原子数は、1以上40以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、1以上20以下がさらにより好ましく、1以上10以下が特に好ましい。
としての置換基を有してもよい芳香族基は、R及びRとしての置換基を有してもよい芳香族基と同様である。
は、単結合、又はメチレン基である。Rがメチレン基である場合、式(1)で表される化合物としては、被覆による所望する効果を得やすい点で、下記式(1−1)で表されるカルボン酸化合物が好ましい。
Figure 2020075854
(式(1−1)中、Rは置換基を有してもよい芳香族基であり、Rは、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基であり、nは0以上3以下の整数である。)
が単結合である場合、式(1)で表される化合物としては、式(1)に包含される構造を有する各種アミノ酸が好ましい。このようなアミノ酸は、入手が容易である。また、このようなアミノ酸を用いて金属酸化物微粒子を被覆すると、被覆による所望する効果を得やすい。アミノ酸は、L体であっても、D体であってもよく、L体とD体の混合物であってもよい。
アミノ酸の好ましい例としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、オルニチン、シトルリン、及びテアニンが挙げられる。
また、アミノ酸が有するカルボニル基に隣接する炭素原子上のアミノ基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、フェニル基、及びアセチル基等の有機基で置換されていてもよい。このような置換アミノ基を有するカルボン酸化合物は、N−モノ置換カルボン酸化合物であっても、N,N−ジ置換カルボン酸化合物であってもよい。
上記式(1−1)中の、Rは、式(1)について前述した通りである。式(1−1)中のRとしては、置換基を有してもよい芳香族基が好ましい。
また、式(1−1)中のRが有機基である場合、当該有機基は、R及びRが置換基を有してもよい芳香族基である場合の、置換基としての有機基と同様である。nが2又は3である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
上記式(1−1)で表されるカルボン酸化合物の中では、安価且つ容易に合成可能である点から、下記式(1−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020075854
(式(1−2)中、R及びnは、式(1−1)と同じであり、R、R、R、R、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基である。ただし、R、R、R、R、及びR10のうち少なくとも1つは水素原子以外の基である。R、R、R、R、及びR10のうち少なくとも2つが結合して環状構造を形成してもよい。RはRと結合して環状構造を形成してもよい。)
式(1−2)中、R、R、R、R、及びR10が有機基である場合、当該有機基は、式(1)におけるR及びRが置換基として有する有機基と同様である。R、R、R、及びRは、カルボン酸化合物の溶媒に対する溶解性の点から水素原子であるのが好ましい。
中でも、R、R、R、R、及びR10のうち少なくとも1つは、下記置換基であることが好ましく、R10が下記置換基であるのが特に好ましい。R10が下記置換基である場合、R、R、R、及びRは水素原子であるのが好ましい。
−O−R11
(R11は水素原子又は有機基である。)
11が有機基である場合、当該有機基は、式(1)におけるR及びRが置換基として有する有機基と同様である。R11としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
式(1)で表される、式(1)中のRがメチレン基であるカルボン酸化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2020075854
<表面修飾方法>
表面修飾方法は、金属酸化物微粒子と、前述の式(1)で表されるカルボン酸化合物、及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートとを接触させることができる方法であれば特に限定されない。
通常、分散媒中で、金属酸化物微粒子と、被覆材である前述の式(1)で表されるカルボン酸化合物、及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートとを撹拌、混合することにより、表面修飾が行われる。
表面修飾時の温度は、金属酸化物微粒子や、被覆材に加熱による劣化や分解が生じない温度であれば特に限定されない。
また、表面修飾時の撹拌、混合時間も特に限定されない。
表面修飾に使用される式(1)で表されるカルボン酸化合物、及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートの量は、金属酸化物微粒子100質量部に対して、0.01質量部以上100質量部以下が好ましく、0.1質量部以上50質量部以下がより好ましく、1質量部以上20質量部以下がさらに好ましく、6質量部以上20質量部以下がさらにより好ましい。
表面修飾時に使用され得る分散媒としては、金属酸化物微粒子を分散させることができ、式(1)で表されるカルボン酸化合物、及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートが可溶である限り特に限定されない。
分散媒は、水であっても、有機溶媒であっても、有機溶媒の水溶液であってもよく、有機溶媒が好ましい。
分散媒として使用できる有機溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタンメチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
分散媒の使用量は特に限定されず、典型的には、金属酸化物微粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5000質量部以下が好ましく、50質量部以上1000質量部以下がより好ましく、100質量部以上500質量部以下がさらに好ましい。
上記のカルボン酸化合物及び/又はカルボキシレートによる被覆は、アミド構造を有する化合物を含有する溶液又は懸濁液中で調製されたか、アミド構造を有する化合物を含む分散媒の存在下に分散された改質金属酸化物微粒子に対して行われるのが好ましい。
かかる方法により改質金属酸化物微粒子を製造する場合、金属酸化物微粒子の表面の官能基にアミド構造を有する化合物が何らかの作用を及ぼすと思われる。その結果、上記方法により製造された改質金属酸化物微粒子を、前述の表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法における表面修飾の対象粒子として適用すると、改質金属酸化物微粒子の表面に対する前述のカルボン酸化合物及び/又はそのカルボキシレートによる被覆処理が良好に行われ、表面修飾金属酸化物微粒子の分散液中での分散安定性が特に良好であると考えられる。
アミド構造を有する化合物を含有する溶液又は懸濁液中で金属酸化物微粒子を調製する方法と、金属酸化物微粒子をアミド構造を有する化合物を含む分散媒の存在下に分散させる方法とは、アミド構造を有する化合物が、揮散したり熱分解したりしない条件で金属酸化物微粒子を製造する方法であれば特に限定されない。式(1)で表されるカルボン酸化合物、及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートをアミド構造を有する化合物を含む溶媒に溶解させた溶液を用いて金属酸化物微粒子を調整してもよい。
アミド構造を有する化合物の使用量は、所望する効果が得られる限りにおいて特に限定されない。
アミド構造を有する化合物の使用量は特に限定されず、典型的には、製造される金属酸化物微粒子、又は分散される金属酸化物微粒子100質量部に対して、10質量部以上5000質量部以下が好ましく、20質量部以上1000質量部以下がより好ましく、50質量部以上500質量部以下がさらに好ましい。
アミド構造を有する化合物におけるアミド構造とは、−(C=O)−N<で表される構造である。
アミド構造を有する化合物の好ましい例としては、下式(S01)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020075854
(式(S01)中、Rs01及びRs02は、それぞれ独立に炭素原子数1以上3以下のアルキル基であり、Rs03は下式(S01−1)又は下式(S01−2):
Figure 2020075854
で表される基である。
式(S01−1)中、Rs04は、水素原子又は水酸基であり、Rs05及びRs06は、それぞれ独立に炭素原子数1以上3以下のアルキル基である。式(S01−2)中、Rs07及びRs08は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基である。)
式(S01)で表される化合物のうち、Rs03が式(S01−1)で表される基である場合の具体例としては、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、N−エチル,N,2−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジエチル−2−メチルプロピオンアミド、N,N,2−トリメチル−2−ヒドロキシプロピオンアミド、N−エチル−N,2−ジメチル−2−ヒドロキシプロピオンアミド、及びN,N−ジエチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミド等が挙げられる。
式(S01)で表される化合物のうち、Ra026が式(S01−2)で表される基である場合の具体例としては、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、N,N,N’,N’−テトラエチルウレア等が挙げられる。
式(S01)で表される化合物のうち、特に好ましいものとしては、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレアが好ましい。
アミド構造を有する化合物について、式(S01)で表される化合物以外の好ましい例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
アミド構造を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、前述の式(1)で表されるカルボン酸化合物、及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートにより表面修飾される対象となる金属酸化物微粒子は、他の被覆剤を含む被覆型金属酸化物微粒子であってもよい。被覆型金属酸化物微粒子は、市販品(被覆型金属酸化物微粒子又はその被覆型金属酸化物微粒子を含む分散液)を用いてもよいし、公知の方法を用いて得てもよい。
他の被覆剤としては、
・炭素原子数4以上20以下の直鎖状カルボン酸(直鎖状脂肪族カルボン酸、好ましくは直鎖状飽和脂肪族カルボン酸等)、分枝鎖状カルボン酸(分岐鎖状脂肪族カルボン酸)、環状カルボン酸(脂環式カルボン酸、好ましくは不飽和二重結合を有さない脂環式カルボン酸等)のカルボン酸基を有する炭化水素類が好ましく採用される。例えば酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸等の直鎖状カルボン酸;ピバリン酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,2−ジメチル吉草酸、2,2−ジエチル酪酸、3,3−ジエチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、4−メチルオクタン酸、ネオデカン酸等の分枝鎖状カルボン酸;ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の環状カルボン酸等
・フルオレン構造、アントラセン構造、ジベンゾチオフェン構造、カルバゾール構造、スチルベン構造、ビフェニル構造、ビスフェノール構造及びナフタレン構造からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造を有する芳香族構造を有するカルボン酸化合物
・さらに(メタ)アクリロイル構造を有する上記芳香族構造を有するカルボン酸化合物
・後述のシラン化合物(i)〜(iii)で挙げた化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のモノビニルトリアルコキシシラン;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルモノアルキルジアルコキシシラン;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルトリアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等の非脂環式エポキシフルオレニリデン基含有アルキルトリ(又はジ)アルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等の非脂環式エポキシ基含有アルキルモノアルキルジアルコキシシラン;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルジエトキシシラン等の脂環式エポキシ基含有アルキルトリ(又はジ)アルコキシシラン;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等の脂環式エポキシ基含有アルキルモノアルキルジアルコキシシラン;〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリメトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシラン等のオキセタニル基含有アルキルトリアルコキシシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトアルキルトリアルコキシシラン;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトアルキルモノアルキルジアルコキシシラン;n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]−トリメトキシシラン、メトキシトリ(エチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン、1−ヘキセニルトリメトキシシラン、1−オクテニルトリメトキシシラン等その他の鎖状トリアルコキシシラン;等の加水分解縮合性ケイ素化合物;
等が挙げられ、1種でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る表面修飾金属酸化物微粒子が他の被覆剤を含む場合、当該表面修飾金属酸化物微粒子における、式(1)で表されるカルボン酸化合物、及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートと他の被覆剤の表面修飾(被覆)量の質量比は、分散性向上の点で、式(1)で表されるカルボン酸化合物、及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレート/他の被覆剤として、例えば、1/99〜99/1であり、好ましくは50/50〜99/1、さらに好ましくは70/30〜97/3、特に好ましくは80/20〜95/5であってもよい。
上記の方法により表面修飾された金属酸化物微粒子は、分散媒に分散された状態、乾固、又は遠沈等の方法により分散媒から分離された状態で種々の用途の用いられる。
≪改質金属酸化物微粒子の製造方法≫
改質金属酸化物微粒子の製造方法は、アミド構造を有する化合物を含有する溶液又は懸濁液中で金属酸化物微粒子を調製するか、アミド構造を有する化合物を含む分散媒の存在下で金属酸化物微粒子を分散させることを含む方法である。なお、改質の対象となる(原料の)金属酸化物微粒子は、式(1)で表されるカルボン酸化合物、及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレート以外の他の被覆剤を含む被覆型金属酸化物微粒子であってもよい。被覆型金属酸化物微粒子は、市販品(被覆型金属酸化物微粒子又はその被覆型金属酸化物微粒子を含む分散液)を用いてもよいし、公知の方法を用いて得てもよい。
前述の通り、上記方法により製造された改質金属酸化物微粒子を、前述の表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法における表面修飾の対象粒子として適用すると、表面修飾金属酸化物微粒子の分散液中での分散安定性が特に良好であると考えられる。
このため、上記の改質金属酸化物微粒子の製造方法は、前述の表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法における、表面修飾の対象である金属酸化物微粒子の製造方法として好ましい。
また、上記方法により製造された改質金属酸化物微粒子は、表面修飾されていない状態でも、有機溶媒等への分散安定性が向上する傾向にある。
アミド構造を有する化合物を含有する溶液又は懸濁液中で金属酸化物微粒子を調製する方法と、アミド構造を有する化合物を含む分散媒の存在下で金属酸化物微粒子を分散させる方法とは、前述の通りである。
≪金属酸化物微粒子分散液≫
金属酸化物微粒子分散液は、金属酸化物(A)を含む。金属酸化物(A)は、微粒子状である。金属酸化物微粒子分散液は、金属酸化物(A)として、前述の表面修飾金属酸化物微粒子を含む。
金属酸化物(A)における、前述の表面修飾金属酸化物微粒子の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。表面修飾金属酸化物微粒子の含有量は、金属酸化物(A)の質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
金属酸化物微粒子分散液は、溶融した樹脂等に金属酸化物(A)が分散した分散液であってもよく、溶媒中に金属酸化物(A)が分散した分散液であってもよく、種々の添加成分が溶媒中に溶解した液に金属酸化物(A)が分散した分散液であってもよい。
かかる金属酸化物微粒子分散液が、金属酸化物(A)として、前述の表面修飾金属酸化物微粒子を含むことによって、金属酸化物微粒子分散液は、分散安定性に優れる。このため、金属酸化物微粒子分散液は、種々の用途において好適に使用される。
金属酸化物微粒子分散液の用途は特に限定されない。金属酸化物微粒子分散液の用途としては、例えば、研磨液、封止用組成物、及び高屈折率膜形成用組成物等が挙げられる。
金属酸化物微粒子分散液を封止用途や、成膜用途等に用いる場合には、金属酸化物微粒子分散液が基材成分(B)を含有するのが好ましい。
金属酸化物微粒子分散液が基材成分(B)を含む場合、金属酸化物(A)とを含む場合、金属酸化物微粒子分散液中の金属酸化物(A)の量は、金属酸化物微粒子分散液の用途を考慮して適宜定められる。
金属酸化物微粒子分散液が基材成分(B)を含む場合、金属酸化物(A)の量は、金属酸化物微粒子分散液中の基材成分(B)100質量部に対して、0.1質量部以上200質量部以下が好ましく、1質量部以上150質量部以下がより好ましく、3質量部以上100質量部以下が特に好ましい。
金属酸化物(A)の量の上限は、基材成分(B)100質量部に対して、80質量部以下であっても、50質量部以下であっても、30質量部以下であってもよい。
金属酸化物(A)の量の下限は、基材成分(B)100質量部に対して、5質量部以上であっても、10質量部以上であっても、20質量部以上であってもよい。
<基材成分(B)>
基材成分(B)は、金属酸化物微粒子分散液に、そのままで溶融加工法等の周知の方法で所望する形状の物品を製造可能な賦形性か、露光、加熱、水との反応等の処理により所望する形状の物品を製造可能な賦形性を付与する成分である。
基材成分(B)は、金属酸化物微粒子分散液に所望する賦形性を与えることができる材料であれば特に限定されない。
基材成分(B)としては、典型的には高分子化合物からなる樹脂材料、加熱により架橋して高分子化合物を生じたり、加熱により分子内環化等の化学変性が生じたりすることにより硬化する熱硬化性材料、露光により硬化し得る光重合性の化合物、組成物中や雰囲気中の水分により加水分縮合する加水分解縮合性のシラン化合物等が用いられる。
加水分解縮合性のシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物等が挙げられる。加水分解縮合性シラン化合物は、これらのシラン化合物の部分加水分解縮合物であってもよい。
また、金属酸化物微粒子分散液は、高屈折率の物品、特に高屈折率膜を形成しやすい点で、基材成分(B)として、下記式(b−01):
Figure 2020075854
(式(b−01)中、W01及びW02は、それぞれ独立に、下記式(b−02):
Figure 2020075854
で表される基であり、
式(b−02)中、環Z01は芳香族炭化水素環を示し、X01は単結合又は−S−で示される基を示し、R01は単結合、炭素原子数1以上4以下のアルキレン基、又は炭素原子数が1以上4以下であるアルキレンオキシ基を示し、R01がアルキレンオキシ基である場合、アルキレンオキシ基中の酸素原子が環Z01と結合し、R01は1価炭化水素基、水酸基、−OR4Aで示される基、−SR4Bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4Cで示される基、−N(R4Dで示される基、スルホ基、又は1価炭化水素基、−OR4Aで示される基、−SR4Bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4Cで示される基、若しくは−N(R4Dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4Bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4Cで示される基、−N(R4Dで示される基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基を示し、R4A〜R4Dは独立に1価炭化水素基を示し、Mは0以上の整数を示し、R03は、水素原子、ビニル基、チイラン−2−イルメチル基、グリシジル基、又は(メタ)アクリロイル基であり、
01とW02との双方がR03として水素原子を有することはなく、
環Y01及び環Y02は同一の又は異なる芳香族炭化水素環を示し、R00は単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、−O−で示される基、−NH−で示される基、又は−S−で示される基を示し、R3A及びR3Bは独立にシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基を示し、N1及びN2は独立に0〜4の整数を示す。)
で表される化合物を含むのも好ましい。
上記式(b−01)で表される化合物は、必要に応じて硬化剤と組み合わせて使用されることによって、熱硬化又は光硬化し得る。
上記式(b−02)において、環Z01としては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Z01は、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましく、ナフタレン環であるのがより好ましい。なお、式(b−01)中のW01及びW02は、それぞれ独立に、上記式(b−02)で表される基であるため、W01及びW02は、それぞれ環Z01を含む。W01に含まれる環Z01とW02に含まれる環Z01とは、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよいが、いずれの環もナフタレン環であることが特に好ましい。
また、W01及びW02の両方が直結する炭素原子にX01を介して結合する環Z01の置換位置は、特に限定されない。例えば、環Z01がナフタレン環の場合、上記炭素原子に結合する環Z01に対応する基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基等であってもよい。
上記式(b−02)において、X01は、独立に単結合又は−S−で示される基を示し、典型的には単結合である。
上記式(b−02)において、R01としては、例えば、単結合;メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基等の炭素原子数が1以上4以下であるアルキレン基;メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等の炭素原子数が1以上4以下であるアルキレンオキシ基が挙げられ、単結合;C2−4アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基等のC2−3アルキレン基);C2−4アルキレンオキシ基(特に、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等のC2−3アルキレン基)が好ましく、単結合がより好ましい。なお、R01がアルキレンオキシ基である場合、アルキレンオキシ基中の酸素原子が環Z01と結合する。また、式(b−01)中のW01及びW02は、それぞれ独立に、下記式(b−02)で表される基であるため、W01及びW02は、それぞれ2価の基であるR01を含む。W01に含まれるR01とW02に含まれるR01とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(b−02)において、R02としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、より好ましくはC1−6アルキル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基等のC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、より好ましくはC5−6シクロアルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のC6−14アリール基、好ましくはC6−10アリール基、より好ましくはC6−8アリール基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等のC6−10アリール−C1−4アルキル基等)等の1価炭化水素基;水酸基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のC1−12アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、より好ましくはC1−6アルコキシ基等)、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等のC5−10シクロアルコキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等のC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)等の−OR4Aで示される基[式中、R4Aは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のC1−12アルキルチオ基、好ましくはC1−8アルキルチオ基、より好ましくはC1−6アルキルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(シクロヘキシルチオ基等のC5−10シクロアルキルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等のC6−10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基)等の−SR4Bで示される基[式中、R4Bは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アシル基(アセチル基等のC1−6アシル基等);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等のC1−4アルコキシ−カルボニル基等);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等);ニトロ基;シアノ基;メルカプト基;カルボキシル基;アミノ基;カルバモイル基;アルキルアミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基等のC1−12アルキルアミノ基、好ましくはC1−8アルキルアミノ基、より好ましくはC1−6アルキルアミノ基等)、シクロアルキルアミノ基(シクロヘキシルアミノ基等のC5−10シクロアルキルアミノ基等)、アリールアミノ基(フェニルアミノ基等のC6−10アリールアミノ基)、アラルキルアミノ基(例えば、ベンジルアミノ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルアミノ基)等の−NHR4Cで示される基[式中、R4Cは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等のジ(C1−12アルキル)アミノ基、好ましくはジ(C1−8アルキル)アミノ基、より好ましくはジ(C1−6アルキル)アミノ基等)、ジシクロアルキルアミノ基(ジシクロヘキシルアミノ基等のジ(C5−10シクロアルキル)アミノ基等)、ジアリールアミノ基(ジフェニルアミノ基等のジ(C6−10アリール)アミノ基)、ジアラルキルアミノ基(例えば、ジベンジルアミノ基等のジ(C6−10アリール−C1−4アルキル)アミノ基)等の−N(R4Dで示される基[式中、R4Dは独立に1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];(メタ)アクリロイルオキシ基;スルホ基;上記の1価炭化水素基、−OR4Aで示される基、−SR4Bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4Cで示される基、若しくは−N(R4Dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が上記の1価炭化水素基、水酸基、−OR4Aで示される基、−SR4Bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4Cで示される基、−N(R4Dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基[例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基等のC1−4アルコキシC6−10アリール基)、アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等のC1−4アルコキシ−カルボニルC6−10アリール基等)]等が挙げられる。
これらのうち、代表的には、R02は、1価炭化水素基、−OR4Aで示される基、−SR4Bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、−NHR4Cで示される基、−N(R4Dで示される基等であってもよい。
好ましいR02としては、1価炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)等]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基等)等が挙げられる。特に、R02は、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)等]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)等]等の1価炭化水素基(特に、アルキル基)であるのが好ましい。
なお、Mが2以上の整数である場合、複数のR02は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、W01に含まれるR02とWに含まれるR02とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(b−02)において、R02の数Mは、環Z01の種類に応じて選択でき、例えば、0以上4以下、好ましくは0以上3以下、より好ましくは0以上2以下であってもよい。なお、W01におけるMとW02におけるMとは、同一でも異なっていてもよい。
上記式(b−02)において、R03は、水素原子、ビニル基、チイラン−2−イルメチル基、グリシジル基、又は(メタ)アクリロイル基である。なお、W01とW02との双方がR03として水素原子を有することはない。
ビニルオキシ基、チイラン−2−イルメチル基、及びグリシジル基は、いずれもカチオン重合性の官能基である。従って、式(b−01)で表される化合物であって、R03として、ビニル基、チイラン−2−イルメチル基、又はグリシジル基を有する化合物はカチオン重合性の化合物である。
他方、式(b−01)で表される化合物であって、R03として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物はラジカル重合性の化合物である。
01に含まれるR03とW02に含まれるR03とは、双方が水素原子でない限りにおいて、同一であってもよく、異なっていてもよい。W01に含まれるR03とW02に含まれるR03とは、双方が、ビニル基、チイラン−2−イルメチル基、又はグリシジル基であるのが好ましく、双方が、ビニル基、チイラン−2−イルメチル基、及びグリシジル基からなる群より選択される同一の基であるのがより好ましい。
また、W01に含まれるR03とW02に含まれるR03とは、双方が、(メタ)アクリロイル基であるのも好ましい。
03としては、式(b−01)で表される化合物の合成や入手が容易であることから、ビニル基、グリシジル基、又は(メタ)アクリロイル基が好ましい。
なお、成分の種類を少なくしつつ、硬化性の金属酸化物微粒子分散液を調製できることから、式(b−01)で表される化合物は、ビニル基、チイラン−2−イルメチル基、及びグリシジル基から選択される基のみを反応性基として有するか、(メタ)アクリロイル基のみを反応性基として有するのが好ましい。
上記式(b−01)において、環Y01及び環Y02としては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Y01及び環Y02は、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましく、ベンゼン環であるのがより好ましい。なお、環Y01及び環Y02は、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよい。
上記式(b−01)において、R00は単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、−O−で示される基、−NH−で示される基、又は−S−で示される基を示し、典型的には単結合である。ここで、置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、1価炭化水素基[例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等のC1−6アルキル基)、アリール基(フェニル基等のC6−10アリール基)等]等が挙げられ、ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、珪素原子等が挙げられる。
上記式(b−01)において、R3A及びR3Bとしては、通常、非反応性置換基、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、1価炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基等のC6−10アリール基)等]等が挙げられ、シアノ基又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等のC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)等が例示できる。なお、N1が2以上の整数である場合、R3Aは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、N2が2以上の整数である場合、R3Bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。さらに、R3AとR3Bとが同一であってもよく、異なっていてもよい。また、環Y01及び環Y02に対するR3A及びR3Bの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数N1及びN2は、0又は1、特に0である。なお、N1及びN2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(b−01)で表される化合物は、優れた光学的特性及び熱的特性を保持しつつ、カチオン重合性の官能基を有するため、高い反応性を有する。特に、環Y01及び環Y02がベンゼン環であり、R00が単結合である場合、上記式(b−01)で表される化合物は、フルオレン骨格を有し、光学的特性及び熱的特性にさらに優れる。
さらに、上記式(b−01)で表される化合物は、高い硬度を有する硬化物を与え、金属酸化物微粒子分散液中の基材成分(B)として好ましい。
上記式(b−01)で表される化合物のうち、特に好ましい具体例としては、9,9−ビス[4−[2−(グリシジルオキシ)エトキシ]フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−[2−(グリシジルオキシ)エチル]フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(グリシジルオキシ)−3−メチルフェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(グリシジルオキシ)−3,5−ジメチルフェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス(6‐グリシジルオキシナフタレン−1−イル)−9H−フルオレン及び9,9−ビス(5‐グリシジルオキシナフタレン−2−イル)−9H−フルオレン等のエポキシ基含有フルオレン化合物;並びに下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
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以上説明した式(b−01)で表される化合物の中では、以下の化合物が特に好ましい。
Figure 2020075854
〔樹脂材料〕
基材成分(B)のうち、樹脂材料の例としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等)、FR−AS樹脂、FR−ABS樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミドビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾチアゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、シリコーン樹脂、BT樹脂、ポリメチルペンテン、超高分子量ポリエチレン、FR−ポリプロピレン、(メタ)アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート等)、及びポリスチレン等が挙げられる。
樹脂材料を基材成分(B)として用いる場合、樹脂材料に対して、前述の表面修飾金属酸化物微粒子を含む金属酸化物(A)が所定量配合された金属酸化物微粒子分散液を、従来知られる方法により膜等に成形することにより、膜等の形態の種々の物品が製造される。金属酸化物微粒子分散液を用いて製造される物品の形態としては、膜が好ましい。
なお、金属酸化物微粒子分散液は、融液であっても、溶液であってもよい。
製膜方法としては、Tダイ法(キャスト法)、インフレーション法、プレス法等の溶融加工法や、溶液を用いるキャスト法、インクジェット法、スピンコート法等が挙げられる。
キャスト法、インクジェット法、スピンコート法では、樹脂材料と金属酸化物(A)とを含む液を基板上に塗布又は流涎して膜を形成した後、必要に応じて、当該膜から加熱等の方法により溶媒を除去することにより金属酸化物含有膜が形成される。
金属酸化物微粒子分散液を用いて得られた金属酸化物含有膜には、必要に応じて一軸延伸や二軸延伸等の延伸処理が施されてもよい。
基材成分(B)として上記の樹脂材料を用いる場合、金属酸化物微粒子分散液は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、可塑剤、金属酸化物(A)以外の充填材、及び強化材等の添加剤を含んでいてもよい。
また、金属酸化物微粒子分散液がキャスト用の組成物である場合、金属酸化物微粒子分散液は溶剤を含んでいてもよい。溶剤の種類は、樹脂材料の種類に応じて、適宜選択される。
〔熱硬化性材料〕
熱硬化性材料としては、従来から広く用いられている種々の熱硬化性樹脂の前駆体材料が挙げられる。熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂等が挙げられる。
また、加熱により、分子内での芳香環形成反応、及び/又は分子間での架橋反応を生じさせる樹脂も熱硬化性材料として好適に使用される。以下、加熱により、分子内での芳香環形成反応、及び/又は分子間での架橋反応を生じさせる樹脂を、前駆体樹脂とも称する。
これらの中では、耐熱性、耐化学薬品性、機械的特性等に優れる金属酸化物含有膜を特に形成しやすいことから、エポキシ樹脂前駆体と、前駆体樹脂とが特に好ましい。
以下、熱硬化性材料について、基材成分(B)として特に好適な前駆体材料について説明する。
(エポキシ樹脂前駆体)
エポキシ樹脂前駆体としては、従来から広く知られる種々のエポキシ化合物を用いることができる。金属酸化物微粒子分散液において、必要に応じて、硬化剤や硬化促進剤と、エポキシ樹脂前駆体とを組み合わせて用いることにより、金属酸化物微粒子分散液を熱硬化性の組成物とすることができる。なお、金属酸化物微粒子分散液において、感光性の硬化剤と、エポキシ樹脂前駆体とを組み合わせて用いることにより、金属酸化物微粒子分散液を光硬化し得る感光性組成物とすることもできる。
エポキシ樹脂前駆体としてのエポキシ化合物の分子量は特に限定されない。エポキシ化合物の中では、耐熱性、耐化学薬品性、機械的特性等に優れる金属酸化物含有膜を形成しやすいことから、分子内に2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物が好ましい。エポキシ樹脂前駆体は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
多官能エポキシ化合物は、2官能以上のエポキシ化合物であれば特に限定されない。多官能エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;1,3−ジグリシジル−5−メチル−5−エチルヒダントイン等のヒダントイン型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ化合物はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。
市販されている多官能エポキシ化合物としては、例えばジャパンエポキシレジン社製のJERコート828、1001、801N、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、DIC社製のエピクロン830、EXA835LV、HP4032D、HP820、株式会社ADEKA製のEP4100シリーズ、EP4000シリーズ、EPUシリーズ、ダイセル社製のセロキサイドシリーズ(2021、2021P、2083、2085、3000等)、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、新日鐵化学社製のYDシリーズ、YDFシリーズ、YDCNシリーズ、YDBシリーズ、フェノキシ樹脂(ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルで両末端にエポキシ基を有する;YPシリーズ等)、ナガセケムテックス社製のデナコールシリーズ、共栄社化学社製のエポライトシリーズ等が挙げられるがこれらに限定されない。
また、脂環式エポキシ化合物も、高硬度の硬化物を与える点で多官能エポキシ化合物として好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、及びエポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、トリシクロデセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂や、下記式(a01−1)〜(a01−5)で表される化合物が挙げられる。
これらの脂環式エポキシ化合物の具体例の中では、高硬度の硬化物を与えることから、下記式(a01−1)〜(a01−5)で表される脂環式エポキシ化合物が好ましい。
Figure 2020075854
(式(a01−1)中、Z01は単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。Ra01〜Ra018は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。)
連結基Z01としては、例えば、2価の炭化水素基、−O−、−O−CO−、−S−、−SO−、−SO−、−CBr−、−C(CBr−、−C(CF−、及び−Ra019−O−CO−からなる群より選択される2価の基及びこれらが複数個結合した基等を挙げることができる。
連結基Zである2価の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数が1以上18以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基等を挙げることができる。炭素原子数が1以上18以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等を挙げることができる。上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等を挙げることができる。
a019は、炭素原子数1以上8以下のアルキレン基であり、メチレン基又はエチレン基であるのが好ましい。
Figure 2020075854
(式(a01−2)中、Ra01〜Ra018は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。Ra02及びRa010は、互いに結合してもよい。Ra013及びRa016は互いに結合して環を形成してもよい。ma1は、0又は1である。)
上記式(a01−2)で表される脂環式エポキシ化合物としては、上記式(a01−2)におけるma1が0である化合物に該当する、下記式(a01−2−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020075854
(式(a01−2−1)中、Ra01〜Ra012は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。Ra02及びRa010は互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 2020075854
(式(a01−3)中、Ra01〜Ra010は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。Ra02及びRa08は、互いに結合してもよい。)
Figure 2020075854
(式(a01−4)中、Ra01〜Ra012は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。Ra02及びRa010は、互いに結合してもよい。)
Figure 2020075854
(式(a01−5)中、Ra01〜Ra012は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。)
式(a01−1)〜(a01−5)中、Ra01〜Ra018が有機基である場合、有機基は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともにハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられる。
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。有機基の炭素原子数は1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上5以下が特に好ましい。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−n−プロペニル基(アリル基)、1−n−ブテニル基、2−n−ブテニル基、及び3−n−ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基の具体例は、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、及びパーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、及び4−ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;2−クロロフェニルメチル基、3−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、2−ブロモフェニルメチル基、3−ブロモフェニルメチル基、4−ブロモフェニルメチル基、2−フルオロフェニルメチル基、3−フルオロフェニルメチル基、4−フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基である。
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例は、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、及び4−ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、2,6−ジヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、及び3,5−ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2−ヒドロキシフェニルメチル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、及び4−ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−n−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1−n−ブテニルオキシ基、2−n−ブテニルオキシ基、及び3−n−ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、ビフェニル−4−イルオキシ基、ビフェニル−3−イルオキシ基、ビフェニル−2−イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α−ナフチルメチルオキシ基、β−ナフチルメチルオキシ基、α−ナフチルエチルオキシ基、及びβ−ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロポキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、3−エトキシ−n−プロピル基、3−n−プロポキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、4−エトキシ−n−ブチル基、及び4−n−プロポキシ−n−ブチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−プロポキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロポキシエトキシ基、3−メトキシ−n−プロポキシ基、3−エトキシ−n−プロポキシ基、3−n−プロポキシ−n−プロポキシ基、4−メトキシ−n−ブチルオキシ基、4−エトキシ−n−ブチルオキシ基、及び4−n−プロポキシ−n−ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、及び4−メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、及び4−メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α−ナフトイル基、及びβ−ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、及びn−デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α−ナフトキシカルボニル基、及びβ−ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基、α−ナフトイルオキシ基、及びβ−ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基である。
a01〜Ra018は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上5以下のアルコキシ基からなる群より選択される基が好ましく、特に機械的特性に優れる硬化膜を形成しやすいことから、Ra01〜Ra018が全て水素原子であるのがより好ましい。
式(a01−2)〜(a01−5)中、Ra01〜Ra018は、式(a01−1)におけるRa01〜Ra018と同様である。式(a01−2)及び式(a01−4)において、Ra02及びRa010が、互いに結合する場合、式(a01−2)において、Ra013及びRa016が、互いに結合する場合、及び式(a01−3)において、Ra02及びRa08が、互いに結合する場合に形成される2価の基としては、例えば、−CH−、−C(CH−が挙げられる。
式(a01−1)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、下記式(a01−1a)、式(a01−1b)、及び式(a01−1c)で表される脂環式エポキシ化合物や、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン[=2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン]等を挙げることができる。
Figure 2020075854
式(a01−2)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、下記式(a01−2a)及び下記式(a01−2b)で表される脂環式エポキシ化合物が挙げられる。
Figure 2020075854
式(a01−3)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、Sスピロ[3−オキサトリシクロ[3.2.1.02,4]オクタン−6,2’−オキシラン]等が挙げられる。
式(a01−4)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、4−ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジペンテンジオキシド、リモネンジオキシド、1−メチルー4−(3−メチルオキシラン−2−イル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等が挙げられる。
式(a01−5)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
さらに、下記式(a1−I)で表される化合物をエポキシ樹脂前駆体として好適に使用し得る。
Figure 2020075854
(式(a1−I)中、Xa1、Xa2、及びXa3は、それぞれ独立に、水素原子、又はエポキシ基を含んでいてもよい有機基であり、Xa1、Xa2、及びXa3が有するエポキシ基の総数が2以上である。)
上記式(a1−I)で表される化合物としては、下記式(a1−II)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020075854
(式(a1−II)中、Ra20〜Ra22は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、アリーレン基、−O−、−C(=O)−、−NH−及びこれらの組み合わせからなる基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。E〜Eは、エポキシ基、オキセタニル基、エチレン性不飽和基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、チオール基、カルボキシ基、水酸基及びコハク酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の置換基又は水素原子である。ただし、E〜Eのうち少なくとも2つは、エポキシ基及びオキセタニル基からなる群より選択される少なくとも1種である。)
式(a1−II)中、Ra20とE、Ra21とE、及びRa22とEで示される基は、例えば、少なくとも2つが、それぞれ、下記式(a1−IIa)で表される基であることが好ましく、いずれもが、それぞれ、下記式(a1−IIa)で表される基であることがより好ましい。1つの化合物に結合する複数の式(a1−IIa)で表される基は、同じ基であることが好ましい。
−L−C (a1−IIa)
(式(a1−IIa)中、Lは直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、アリーレン基、−O−、−C(=O)−、−NH−及びこれらの組み合わせからなる基であり、Cはエポキシ基である。式(a1−IIa)中、LとCとが結合して環状構造を形成していてもよい。)
式(a1−IIa)中、Lとしての直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基としては、炭素原子数1以上10以下であるアルキレン基が好ましく、また、Lとしてのアリーレン基としては、炭素原子数5以上10以下であるアリーレン基が好ましい。式(a1−IIa)中、Lは、直鎖状の炭素原子数が1以上3以下であるアルキレン基、フェニレン基、−O−、−C(=O)−、−NH−及びこれらの組み合わせからなる基であることが好ましく、メチレン基等の直鎖状の炭素原子数が1以上3以下であるアルキレン基及びフェニレン基の少なくとも1種、又は、これらと、−O−、−C(=O)−及びNH−の少なくとも1種との組み合わせからなる基が好ましい。
式(a1−IIa)中、LとCとが結合して環状構造を形成している場合としては、例えば、分岐鎖状のアルキレン基とエポキシ基とが結合して環状構造(脂環構造のエポキシ基を有する構造)を形成している場合、下記式(a1−IIb)〜(a1−IId)で表される有機基が挙げられる。
Figure 2020075854
(式(a1−IIb)中、Ra23は、水素原子又はメチル基である。)
以下、式(a1−II)で表される化合物の例としてオキシラニル基、又は脂環式エポキシ基を有するエポキシ化合物の例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2020075854
Figure 2020075854
また、分子内に2以上のグリシジル基を有するシロキサン化合物(以下、単に「シロキサン化合物」とも記す。)をエポキシ樹脂前駆体として好適に使用し得る。
シロキサン化合物は、シロキサン結合(Si−O−Si)により構成されたシロキサン骨格と、2以上のグリシジル基とを分子内に有する化合物である。
シロキサン化合物におけるシロキサン骨格としては、例えば、環状シロキサン骨格やかご型やラダー型のポリシルセスキオキサン骨格を挙げることができる。
シロキサン化合物としては、なかでも、下記式(a1−III)で表される環状シロキサン骨格を有する化合物(以下、「環状シロキサン」という場合がある)が好ましい。
Figure 2020075854
式(a1−III)中、Ra24、及びRa25は、エポキシ基を含有する1価の基又はアルキル基を示す。ただし、式(a1−III)で表される化合物におけるx1個のRa24及びx1個のRa25のうち、少なくとも2個はエポキシ基を含有する1価の基である。また、式(a1−III)中のx1は3以上の整数を示す。尚、式(a1−III)で表される化合物におけるRa24、Ra25は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、複数のRa24は同一であってもよいし、異なっていてもよい。複数のRa25も同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数が1以上18以下である(好ましくは炭素原子数1以上6以下、特に好ましくは炭素原子数1以上3以下)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。
式(a1−III)中のx1は3以上の整数を示し、なかでも、硬化膜を形成する際の架橋反応性に優れる点で3以上6以下の整数が好ましい。
シロキサン化合物が分子内に有するエポキシ基の数は2個以上であり、硬化膜を形成する際の架橋反応性に優れる点から2個以上6個以下が好ましく、特に好ましくは2個以上4個以下である。
上記エポキシ基を含有する1価の基としては、脂環式エポキシ基、及び−D−O−Ra26で表されるグリシジルエーテル基[Dはアルキレン基を示し、Ra26はグリシジル基を示す]が好ましく、脂環式エポキシ基がより好ましく、下記式(a1−IIIa)又は下記式(a1−IIIb)で表される脂環式エポキシ基がさらに好ましい。上記D(アルキレン基)としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等の炭素原子数が1以上18以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基等を挙げることができる。
Figure 2020075854
(上記式(a1−IIIa)及び式(a1−IIIb)中、D及びDは、それぞれ独立にアルキレン基を表し、msは0以上2以下の整数を表す。)
金属酸化物微粒子分散液は、エポキシ樹脂前駆体として、式(a1−III)で表されるシロキサン化合物以外にも、脂環式エポキシ基含有環状シロキサン、特開2008−248169号公報に記載の脂環式エポキシ基含有シリコーン樹脂、及び特開2008−19422号公報に記載の1分子中に少なくとも2個のエポキシ官能性基を有するオルガノポリシルセスキオキサン樹脂等のシロキサン骨格を有する化合物を含有していてもよい。
シロキサン化合物としては、より具体的には、下記式で表される、分子内に2以上のグリシジル基を有する環状シロキサン等を挙げることができる。また、シロキサン化合物としては、例えば、商品名「X−40−2670」、「X−40−2701」、「X−40−2728」、「X−40−2738」、「X−40−2740」(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
Figure 2020075854
Figure 2020075854
[前駆体樹脂]
基材成分(B)としては、加熱により、分子内での芳香環形成反応、及び/又は分子間での架橋反応を生じさせる樹脂である前駆体樹脂が好ましい。また、焼成により硬化物を与える前駆体樹脂も基材成分(B)として好ましい。
分子内での芳香環形成反応によれば、樹脂を構成する分子鎖の構造が剛直化し、耐熱性及び機械的特性に優れる金属酸化物含有膜を形成できる。分子内での芳香環形成反応のうち好ましい反応としては、例えば、下式(I)〜(VI)で示される反応が挙げられる。なお、下式中の反応は芳香環形成反応の一例にすぎず、基材成分(B)として使用される、加熱により分子内での芳香環形成反応を生じさせる樹脂の構造は、下式中に示される前駆体ポリマーの構造に限定されない。
Figure 2020075854
(分子中に、水酸基、カルボン酸無水物基、カルボキシ基、及びエポキシ基から選択される基を有する樹脂)
分子間での架橋反応によれば、樹脂を構成する分子鎖が相互に架橋され、三次元架橋構造が形成される。このため、加熱により架橋反応を生じさせる、分子中に、水酸基、カルボン酸無水物基、カルボキシ基、及びエポキシ基から選択される基を有する樹脂を基材成分(B)として用いると、耐熱性及び機械的特性に優れる金属酸化物含有膜が得られる。
水酸基を有する樹脂を用いる場合、脱水縮合剤の作用により、樹脂に含まれる分子間に水酸基間の脱水縮合による架橋が生じる。また、水酸基は、活性水素原子を含み反応性に富むため、種々の架橋剤と反応することで、架橋された樹脂を含む硬化物を与える。
カルボン酸無水物基を有する樹脂を用いる場合、酸無水物基の加水分解により生じるカルボキシ基同士が、脱水縮合剤の作用によって脱水縮合して架橋する。また、酸無水物基自体も反応性に富むため、例えば、2以上の水酸基を有するポリオール、2以上のアミノ基を有するポリアミン等の架橋剤を用いることにより、架橋された樹脂を含む硬化物を与える。
カルボキシ基を有する樹脂を用いる場合、脱水縮合剤の作用によって、樹脂に含まれる分子間にカルボキシ基間の脱水縮合による架橋が生じる。また、イソシアネート基のようにカルボキシ基と反応し得る官能基を有する架橋剤を用いて、架橋されることも可能である。
エポキシ基を有する樹脂を用いる場合、必要に応じて周知の硬化促進剤等を用いることにより、樹脂に含まれる分子間にエポキシ基間の重付加反応による架橋が生じる。
分子中に水酸基を有する樹脂としては、例えばノボラック樹脂が挙げられる。ノボラック樹脂としては、特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、ホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒド等の縮合剤を0.5モル以上1.0モル以下の割合で、酸性触媒下で縮合反応させることにより得られる樹脂が好ましい。
フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、アルキルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(アルキル多価フェノール類に含まれるアルキル基の炭素原子数は1以上4以下である)、α−ナフトール、β−ナフトール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
フェノール類の中でも、m−クレゾール及びp−クレゾールが好ましく、m−クレゾールとp−クレゾールとを併用することがより好ましい。両者の配合比率を調整することによって、フォトレジストとしての感度、耐熱性等の諸特性を調節することができる。m−クレゾールとp−クレゾールの配合比率は特に限定されないが、m−クレゾール/p−クレゾール=3/7以上8/2以下(質量比)が好ましい。m−クレゾールの比率が上記下限値未満になると感度が低下する場合があり、上記上限値を超えると耐熱性が低下する場合がある。
ノボラック樹脂の製造に使用される酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸類、蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類、酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸性触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算によるノボラック樹脂の質量平均分子量は、1000以上50000以下が好ましい。
分子中にカルボン酸無水物基を有する樹脂としては、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、及びイタコン酸無水物から選択される1種以上の単量体を含む、不飽和二重結合を有する単量体の混合物を重合させて得られる共重合体が好ましい。このような重合体としては、スチレン−マレイン酸共重合体が好ましい。
分子中にカルボキシ基を有する樹脂としては、前述の分子中にカルボン酸無水物基を有する樹脂中の酸無水物基を加水分解して得られる樹脂や、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、及びイタコン酸から選択される1種以上の単量体を含む、不飽和二重結合を有する単量体の混合物を重合させて得られる共重合体が好ましい。
分子中にエポキシ基を有するエポキシ基含有樹脂については、詳細に後述する。
このような加熱により分子内での芳香環形成反応や、分子間での架橋反応を生じさせる化合物の中では、耐熱性に優れる金属酸化物含有膜を形成しやすいことから、ポリアミック酸、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリベンゾチアゾール前駆体、ポリベンゾイミダゾール前駆体、スチレン−マレイン酸共重合体、及びエポキシ基含有樹脂が好ましい。
〔ポリイミド樹脂前駆体〕
ポリイミド樹脂前駆体としては、ポリアミック酸が挙げられ、基材成分(B)としてポリアミック酸を含む金属酸化物微粒子分散液を製膜した後、必要に応じてイミド化剤の存在下に形成された膜を加熱すると、ポリイミド樹脂を含む耐熱性に優れる金属酸化物含有膜が形成される。
ポリアミック酸の分子量は、質量平均分子量として、5,000以上30,000以下であるのが好ましく、10,000以上20,000以下であるのがより好ましい。かかる範囲内の質量平均分子量のポリアミック酸を用いる場合、耐熱性に優れる金属酸化物含有膜を形成しやすい。
好適なポリアミック酸としては、例えば、下式(A1)で表される構成単位からなるポリアミック酸が挙げられる。
Figure 2020075854
(式(A1)中、Ra020は4価の有機基であり、Ra021は2価の有機基であり、nは式(A1)で表される構成単位の繰り返し数である。)
式(A1)中、Ra020及びRa021の炭素原子数は2以上50以下が好ましく、2以上30以下がより好ましい。Ra020及びRa021は、それぞれ、脂肪族基であっても、芳香族基であっても、これらの構造を組み合わせた基であってもよい。4価の芳香族基は、後述のRa022と同様である。Ra020及びRa021は、炭素原子、及び水素原子の他に、ハロゲン原子、酸素原子、及び硫黄原子を含んでいてもよい。Ra020及びRa021が酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を含む場合、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子は、含窒素複素環基、−CONH−、−NH−、−N=N−、−CH=N−、−COO−、−O−、−CO−、−SO−、−SO−、−S−、及び−S−S−から選択される基として、Ra020及びRa021に含まれてもよく、−O−、−CO−、−SO−、−SO−、−S−、及び−S−S−から選択される基として、Ra020及びRa021に含まれるのがより好ましい。
ポリアミック酸は、通常、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させることにより調製される。以下、ポリアミック酸の調製に用いられる、テトラカルボン酸二無水物成分、ジアミン成分、及びポリアミック酸の製造方法について説明する。
(テトラカルボン酸二無水物成分)
ポリアミック酸の合成原料となるテトラカルボン酸二無水物成分は、ジアミン成分と反応することによりポリアミック酸を形成可能なものであれば特に限定されない。テトラカルボン酸二無水物成分は、従来からポリアミック酸の合成原料として使用されているテトラカルボン酸二無水物から適宜選択することができる。テトラカルボン酸二無水物成分は、芳香族テトラカルボン酸二無水物であっても、脂肪族テトラカルボン酸二無水物であってもよく、例えば、下記式(a1−01)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられ、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。テトラカルボン酸二無水物成分は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2020075854
(式(a1−01)中、Ra020は式(A1)のRa020と同様である。)
芳香族テトラカルボン酸二無水物の好適な具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、及び3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及びピロメリット酸二無水物が好ましい。
(ジアミン成分)
ポリアミック酸の合成原料となるジアミン成分は、テトラカルボン酸二無水物成分と反応することによりポリアミック酸を形成可能なものであれば特に限定されない。ジアミン成分は、従来からポリアミック酸の合成原料として使用されているジアミンから適宜選択することができ、例えば、下記式(a1−02)で表されるジアミン成分や、後述のYを与えるジアミンが挙げられる。ジアミン成分は、芳香族ジアミンであっても、脂肪族ジアミンであってもよいが、芳香族ジアミンが好ましい。ジアミン成分は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2020075854
(式(a1−02)中、Ra021は式(A1)のRa021と同様である。)
芳香族ジアミンの好適な具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−9H−フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)−9H−フルオレン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエタン−1,1−ジイル)]ジアニリン等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
(ポリアミック酸の製造方法)
以上説明した、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを、両者を溶解させることができる溶媒中で反応させることにより、ポリアミック酸が得られる。ポリアミック酸を合成する際の、テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分の使用量は特に限定されない。テトラカルボン酸二無水物成分1モルに対して、ジアミン成分を0.50モル以上1.50モル以下用いるのが好ましく、0.60モル以上1.30モル以下用いるのがより好ましく、0.70モル以上1.20モル以下用いるのが特に好ましい。
ポリアミック酸の合成に用いることができる溶媒としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及びγ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性有機溶媒や、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート等のグリコールエーテル類が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、N,N,N’,N’−テトラメチルウレアを用いるのが好ましい。
ポリアミック酸を合成する際の溶媒の使用量は、所望の分子量のポリアミック酸を合成できれば特に限定されない。典型的には、溶媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物成分の量とジアミン成分の量との合計100質量部に対して、100質量部以上4000質量部以下が好ましく、150質量部以上2000質量部以下がより好ましい。
テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させる際の温度は、反応が良好に進行する限り特に限定されない。典型的には、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分との反応温度は、−5℃以上150℃以下が好ましく、0℃以上120℃以下がより好ましく、0℃以上70℃以下が特に好ましい。また、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させる時間は、反応温度によっても異なるが、典型的には、1時間以上50時間以下が好ましく、2時間以上40時間以下がより好ましく、5時間以上30時間以下が特に好ましい。
以上の方法によれば、ポリアミック酸の溶液又はペーストが得られる。かかる溶液又はペーストをそのまま金属酸化物微粒子分散液の調製に用いてもよい。また、ポリアミック酸の溶液又はペーストから溶媒除去して得られる固体状のポリアミック酸を金属酸化物微粒子分散液の調製に用いてもよい。
〔ポリベンゾオキサゾール前駆体〕
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、典型的には、芳香族ジアミンジオールと、特定の構造のジカルボニル化合物とを反応させて製造される。以下、芳香族ジアミンジオールと、ジカルボニル化合物と、ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成に用いられる溶剤と、ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法とについて説明する。
(芳香族ジアミンジオール)
芳香族ジアミンジオールとしては、従来よりポリベンゾオキサゾールの合成に使用されているものを特に制限なく使用することができる。芳香族ジアミンジオールとしては、下式(a02)で表される化合物を用いるのが好ましい。芳香族ジアミンジオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2020075854
(式(a02)中、Ra022は1以上の芳香環を含む4価の有機基であり、式(a02)で表される芳香族ジアミンジオールに含まれる2組のアミノ基と水酸基との組み合わせに関して、それぞれの組み合わせでは、アミノ基と水酸基とは、Ra022に含まれる芳香環上の隣接する2つの炭素原子に結合している。)
式(a02)中、Ra022は、1以上の芳香環を含む4価の有機基であり、その炭素原子数は6以上50以下が好ましく、6以上30以下がより好ましい。Ra022は、芳香族基であってもよく、2以上の芳香族基が、脂肪族炭化水素基及びハロゲン化脂肪族炭化水素基や、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等のヘテロ原子を含む結合を介して結合された基であってもよい。Ra022に含まれる、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等のヘテロ原子を含む結合としては、−CONH−、−NH−、−N=N−、−CH=N−、−COO−、−O−、−CO−、−SO−、−SO−、−S−、及び−S−S−等が挙げられ、−O−、−CO−、−SO−、−SO−、−S−、及び−S−S−が好ましい。
a022に含まれる芳香環は、芳香族複素環であってもよい。Ra022中のアミノ基及び水酸基と結合する芳香環はベンゼン環であるのが好ましい。Ra022中のアミノ基及び水酸基と結合する環が2以上の環を含む縮合環である場合、当該縮合環中のアミノ基及び水酸基と結合する環はベンゼン環であるのが好ましい。
a022の好適な例としては、下記式(a02−1)〜(a02−9)で表される基が挙げられる。
Figure 2020075854
(式(a02−1)中、X01は、炭素原子数1〜10のアルキレン基、炭素原子数1〜10のフッ素化アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−COO−、−CONH−、及び単結合からなる群より選択される1種である。式(a02−2)〜(a02−5)中、Y01は、それぞれ、同一でも異なっていてもよく、−CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、及び単結合からなる群より選択される1種である。)
上記式(a02−1)〜(a02−9)で表される基は、芳香環上に1又は複数の置換基を有していてもよい。置換基の好適な例としては、フッ素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルキル基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルコキシ基が好ましい。置換基がフッ素化アルキル基又はフッ素化アルコキシ基である場合、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシ基であるのが好ましい。
上記式(a02)で表される化合物の具体例としては、2,4−ジアミノ−1,5−ベンゼンジオール、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジオール、2,5−ジアミノ−3−フルオロ−1,4−ベンゼンジオール、2,5−ジアミノ−3,6−ジフルオロ−1,4−ベンゼンジオール、2,6−ジアミノ−1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジアミノ−2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジアミノ−3,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,3’−ジアミノ−3,2’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジトリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−6,6’−ジトリフルオロメチルビフェニル、2,3’−ジアミノ−3,2’−ジヒドロキシ−6,6’−ジトリフルオロメチルビフェニル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジトリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジトリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−ジトリフルオロメチルビフェニル、2,3’−ジアミノ−3,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジトリフルオロメチルビフェニル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジトリフルオロメチルビフェニル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)メタン、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジトリフルオロメチルジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシジフェニルジフルオロメタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)ジフルオロメタン、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジトリフルオロメチルジフェニルジフルオロメタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)エーテル、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジトリフルオロメチルジフェニルエーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシジフェニルケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)ケトン、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジトリフルオロメチルジフェニルケトン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−アミノ−3’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2−(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)−2−(4’−アミノ−3’−ヒドロキシ−6’−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−アミノ−3’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)−2−(4’−アミノ−3’−ヒドロキシ−6’−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)スルホン、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジトリフルオロメチルジフェニルスルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)スルフィド、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ジトリフルオロメチルジフェニルスルフィド、(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)4−アミノ−3−ヒドロキシフェニルベンゾエート、(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)3−アミノ4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)4−アミノ−3−ヒドロキシフェニルベンゾエート、(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)3−アミノ−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、N−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)4−アミノ−3−ヒドロキシベンズアミド、N−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)3−アミノ4−ヒドロキシフェニルベンズアミド、N−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)4−アミノ−3−ヒドロキシフェニルベンズアミド、N−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)3−アミノ−4−ヒドロキシフェニルベンズアミド、2,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、2,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、ジ[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]エーテル、ジ[4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]エーテル、2,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、2,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、2,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,8−ジアミノ−3,7−ジヒドロキシジベンゾフラン、2,8−ジアミノ−3,7−ジヒドロキシフルオレン、2,6−ジアミノ−3,7−ジヒドロキシキサンテン、9,9−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが挙げられる。
これらの中では、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが好ましい。
(ジカルボニル化合物)
ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成原料としては、以上説明した芳香族ジアミンジオールとともに、下式(a03)で表されるジカルボニル化合物を用いる。前述の芳香族ジアミンジオールと、下式(a03)で表されるジカルボニル化合物とを縮合させることにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体が得られる。
Figure 2020075854
(式(a03)中、Ra023は2価の有機基であり、Aは水素原子又はハロゲン原子を表す。)
式(a03)中のRa023は、芳香族基であってもよく、脂肪族基であってもよく、芳香族基と脂肪族基とを組み合わせた基であってもよい。得られるポリベンゾオキサゾール樹脂の耐熱性、機械的特性、耐薬品性等が良好である点から、Ra023は、芳香族基及び/又は脂環式基を含む基であるのが好ましい。Ra023に含まれる芳香族基は、芳香族炭化水素基であってもよく、芳香族複素環基であってもよい。
a023は、炭素原子、及び水素原子の他に、ハロゲン原子、酸素原子、及び硫黄原子を含んでいてもよい。Ra023が酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を含む場合、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子は、含窒素複素環基、−CONH−、−NH−、−N=N−、−CH=N−、−COO−、−O−、−CO−、−SO−、−SO−、−S−、及び−S−S−から選択される基として、Ra023に含まれてもよく、−O−、−CO−、−SO−、−SO−、−S−、及び−S−S−から選択される基として、Ra023に含まれるのがより好ましい。
式(a03)中、2つのAの一方が水素原子であり、他方がハロゲン原子であってもよいが、2つのAがともに水素原子であるか、2つのAがともにハロゲン原子であるのが好ましい。Aがハロゲン原子である場合、Aとして塩素、臭素、及びヨウ素が好ましく、塩素がより好ましい。
式(a03)で表されるジカルボニル化合物として、2つのAがともに水素原子であるジアルデヒド化合物を用いる場合、下式(A2)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体が製造される。
Figure 2020075854
(式(A2)中、Ra022及びRa023は、式(a02)及び式(a03)と同様であり、nは式(A2)で表される単位の繰り返し数である。)
式(a03)で表されるジカルボニル化合物として、2つのAがともにハロゲン原子であるジカルボン酸ジハライドを用いる場合、下式(A3)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体が製造される。
Figure 2020075854
(式(A3)中、Ra022及びRa023は、式(a02)及び式(a03)と同様であり、nは式(A3)で表される単位の繰り返し数である。)
以下、ジカルボニル化合物として好適な化合物である、ジアルデヒド化合物と、ジカルボン酸ジハライドとについて説明する。
(ジアルデヒド化合物)
ポリベンゾオキサゾール前駆体の原料として用いるジアルデヒド化合物は、下式(a02−I)で表される化合物である。ジアルデヒド化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2020075854
(式(a2−I)中、Ra023は、式(a03)と同様である。)
式(a2−I)中のRa203として好適な芳香族基又は芳香環含有基としては、以下の基が挙げられる。
Figure 2020075854
(上記式中、X02は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、炭素原子数1以上10以下のフッ素化アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−COO−、−CONH−、及び単結合からなる群より選択される1種である。X02が複数である場合、複数のX02は同一でも異なっていてもよい。Y02は、それぞれ、同一でも異なっていてもよく、−CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、及び単結合からなる群より選択される1種である。p及びqは、それぞれ0〜3の整数である。)
式(a2−I)中のRa023として好適な脂環式基又は脂環含有基としては、以下の基が挙げられる。
Figure 2020075854
(上記式中、X02は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、炭素原子数1以上10以下のフッ素化アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−COO−、−CONH−、及び単結合からなる群より選択される1種である。X02が複数である場合、複数のXは同一でも異なっていてもよい。Y02は、それぞれ、同一でも異なっていてもよく、−CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、及び単結合からなる群より選択される1種である。Zは、−CH−、−CHCH−、及び−CH=CH−からなる群より選択される1種である。pは、それぞれ0〜3の整数である。)
上記のRa023として好適な基に含まれる芳香環又は脂環は、その環上に1又は複数の置換基を有していてもよい。置換基の好適な例としては、フッ素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルキル基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルコキシ基が好ましい。置換基がフッ素化アルキル基又はフッ素化アルコキシ基である場合、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシ基であるのが好ましい。
式(a2−I)で表されるジアルデヒド化合物が芳香族ジアルデヒドである場合、その好適な例としては、ベンゼンジアルデヒド類、ピリジンジアルデヒド類、ピラジンジアルデヒド類、ピリミジンジアルデヒド類、ナフタレンジアルデヒド類、ビフェニルジアルデヒド類、ジフェニルエーテルジアルデヒド類、ジフェニルスルホンジアルデヒド類、ジフェニルスルフィドジアルデヒド類、ビス(ホルミルフェノキシ)ベンゼン類、[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスベンズアルデヒド類、2,2−ビス[4−(ホルミルフェノキシ)フェニル]プロパン類、ビス[4−(ホルミルフェノキシ)フェニル]スルフィド類、ビス[4−(ホルミルフェノキシ)フェニル]スルホン類、及び含フルオレンジアルデヒドが挙げられる。
ベンゼンジアルデヒド類の具体例としては、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、3−フルオロフタルアルデヒド、4−フルオロフタルアルデヒド、2−フルオロイソフタルアルデヒド、4−フルオロイソフタルアルデヒド、5−フルオロイソフタルアルデヒド、2−フルオロテレフタルアルデヒド、3−トリフルオロメチルフタルアルデヒド、4−トリフルオロメチルフタルアルデヒド、2−トリフルオロメチルイソフタルアルデヒド、4−トリフルオロメチルイソフタルアルデヒド、5−トリフルオロメチルイソフタルアルデヒド、2−トリフルオロメチルテレフタルアルデヒド、3,4,5,6−テトラフルオロフタルアルデヒド、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタルアルデヒド、及び2,3,5,6−テトラフルオロテレフタルアルデヒド等が挙げられる。
ピリジンジアルデヒド類の具体例としては、ピリジン−2,3−ジアルデヒド、ピリジン−3,4−ジアルデヒド、及びピリジン−3,5−ジアルデヒド等が挙げられる。
ピラジンジアルデヒド類の具体例としては、ピラジン−2,3−ジアルデヒド、ピラジン−2,5−ジアルデヒド、及びピラジン−2,6−ジアルデヒド等が挙げられる。
ピリミジンジアルデヒド類の具体例としては、ピリミジン−2,4−ジアルデヒド、ピリミジン−4,5−ジアルデヒド、及びピリミジン−4,6−ジアルデヒド等が挙げられる。
ナフタレンジアルデヒド類の具体例としては、ナフタレン−1,5−ジアルデヒド、ナフタレン−1,6−ジアルデヒド、ナフタレン−2,6−ジアルデヒド、ナフタレン−3,7−ジアルデヒド、2,3,4,6,7,8−ヘキサフルオロナフタレン−1,5−ジアルデヒド、2,3,4,5,6,8−ヘキサフルオロナフタレン−1,6−ジアルデヒド、1,3,4,5,7,8−ヘキサフルオロナフタレン−2,6−ジアルデヒド、1−トリフルオロメチルナフタレン−2,6−ジアルデヒド、1,5−ビス(トリフルオロメチル)ナフタレン−2,6−ジアルデヒド、1−トリフルオロメチルナフタレン−3,7−ジアルデヒド、1,5−ビス(トリフルオロメチル)ナフタレン−3,7−ジアルデヒド、1−トリフルオロメチル−2,4,5,6,8−ペンタフルオロナフタレン−3,7−ジアルデヒド、1−ビス(トリフルオロメチル)メトキシ−2,4,5,6,8−ペンタフルオロナフタレン−3,7−ジアルデヒド、1,5−ビス(トリフルオロメチル)−2,4,6,8−テトラフルオロナフタレン−3,7−ジアルデヒド、及び1,5−ビス[ビス(トリフルオロメチル)メトキシ]−2,4,6,8−テトラフルオロナフタレン−3,7−ジアルデヒド等が挙げられる。
ビフェニルジアルデヒド類の具体例としては、ビフェニル−2,2’−ジアルデヒド、ビフェニル−2,4’−ジアルデヒド、ビフェニル−3,3’−ジアルデヒド、ビフェニル−4,4’−ジアルデヒド、6,6’−ジフルオロビフェニル−3,4’−ジアルデヒド、6,6’−ジフルオロビフェニル−2,4’−ジアルデヒド、6,6’−ジフルオロビフェニル−3,3’−ジアルデヒド、6,6’−ジフルオロビフェニル−3,4’−ジアルデヒド、6,6’−ジフルオロビフェニル−4,4’−ジアルデヒド、6,6’−ジトリフルオロメチルビフェニル−2,2’−ジアルデヒド、6,6’−ジトリフルオロメチルビフェニル−2,4’−ジアルデヒド、6,6’−ジトリフルオロメチルビフェニル−3,3’−ジアルデヒド、6,6’−ジトリフルオロメチルビフェニル−3,4’−ジアルデヒド、及び6,6’−ジトリフルオロメチルビフェニル−4,4’−ジアルデヒド等が挙げられる。
ジフェニルエーテルジアルデヒド類の具体例としては、ジフェニルエーテル−2,4’−ジアルデヒド、ジフェニルエーテル−3,3’−ジアルデヒド、ジフェニルエーテル−3,4’−ジアルデヒド、及びジフェニルエーテル−4,4’−ジアルデヒド等が挙げられる。
ジフェニルスルホンジアルデヒド類の具体例としては、ジフェニルスルホン−3,3’−ジアルデヒド、ジフェニルスルホン−3,4’−ジアルデヒド、及びジフェニルスルホン−4,4’−ジアルデヒド等が挙げられる。
ジフェニルスルフィドジアルデヒド類の具体例としては、ジフェニルスルフィド−3,3’−ジアルデヒド、ジフェニルスルフィド−3,4’−ジアルデヒド、及びジフェニルスルフィド−4,4’−ジアルデヒド等が挙げられる。
ジフェニルケトンジアルデヒド類の具体例としては、ジフェニルケトン−3,3’−ジアルデヒド、ジフェニルケトン−3,4’−ジアルデヒド、及びジフェニルケトン−4,4’−ジアルデヒド等が挙げられる。
ビス(ホルミルフェノキシ)ベンゼン類の具体例としては、ベンゼン1,3−ビス(3−ホルミルフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ホルミルフェノキシ)ベンゼン、及び1,4−ビス(4−ホルミルフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。
[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスベンズアルデヒド類の具体例としては、3,3’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスベンズアルデヒド、3,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスベンズアルデヒド、及び4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスベンズアルデヒド等が挙げられる。
2,2−ビス[4−(ホルミルフェノキシ)フェニル]プロパン類の具体例としては、2,2−ビス[4−(2−ホルミルフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−ホルミルフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−ホルミルフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−ホルミルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、及び2,2−ビス[4−(4−ホルミルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
ビス[4−(ホルミルフェノキシ)フェニル]スルフィド類の具体例としては、ビス[4−(3−ホルミルフェノキシ)フェニル]スルフィド、及びビス[4−(4−ホルミルフェノキシ)フェニル]スルフィド等が挙げられる。
ビス[4−(ホルミルフェノキシ)フェニル]スルホン類の具体例としては、ビス[4−(3−ホルミルフェノキシ)フェニル]スルホン、及びビス[4−(4−ホルミルフェノキシ)フェニル]スルホン等が挙げられる。
含フルオレンジアルデヒドの具体例としては、フルオレン−2,6−ジアルデヒド、フルオレン−2,7−ジアルデヒド、ジベンゾフラン−3,7−ジアルデヒド、9,9−ビス(4−ホルミルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ホルミルフェニル)フルオレン、及び9−(3−ホルミルフェニル)−9−(4’−ホルミルフェニル)フルオレン等が挙げられる。
また、下式で表される、ジフェニルアルカンジアルデヒド又はジフェニルフルオロアルカンジアルデヒドも、芳香族ジアルデヒド化合物として好適に使用できる。
Figure 2020075854
さらに、下記式で表されるイミド結合を有する化合物も、芳香族ジアルデヒド化合物として好適に使用することができる。
Figure 2020075854
式(a2−I)で表されるジカルボニル化合物が脂環式基を含む脂環式ジアルデヒドである場合、その好適な例としては、シクロヘキサン−1,4−ジアルデヒド、シクロヘキサン−1,3−ジアルデヒド、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジアルデヒド、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,5−ジアルデヒド、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,5−ジアルデヒド、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジアルデヒド、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジアルデヒド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3,4−ジアルデヒド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−4−エン−8,9−ジアルデヒド、ペルヒドロナフタレン−2,3−ジアルデヒド、ペルヒドロナフタレン−1,4−ジアルデヒド、ペルヒドロナフタレン−1,6−ジアルデヒド、ペルヒドロ−1,4−メタノナフタレン−2,3−ジアルデヒド、ペルヒドロ−1,4−メタノナフタレン−2,7−ジアルデヒド、ペルヒドロ−1,4−メタノナフタレン−7,8−ジアルデヒド、ペルヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジアルデヒド、ペルヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,7−ジアルデヒド、ペルヒドロ−1,4:5,8:9,10−トリメタノアントラセン−2,3−ジアルデヒド、ビシクロヘキシル−4,4’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルエーテル−3,4’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルメタン−3,4’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルジフルオロメタン−3,3’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルジフルオロメタン−3,4’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルジフルオロメタン−4,4’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルホン−3,3’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルホン−3,4’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルホン−4,4’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルフィド−3,3’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルフィド−3,4’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルフィド−4,4’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルケトン−3,3’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルケトン−3,4’−ジアルデヒド、ジシクロヘキシルケトン−4,4’−ジアルデヒド、2,2−ビス(3−ホルミルシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ホルミルシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(3−ホルミルシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ホルミルシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−ホルミルシクロヘキシル)ベンゼン、1,4−ビス(3−ホルミルシクロヘキシル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ホルミルシクロヘキシル)ベンゼン、3,3’−[1,4−シクロヘキシレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスシクロヘキサンカルバルデヒド、3,4’−[1,4−シクロヘキシレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスシクロヘキサンカルバルデヒド、4,4’−[1,4−シクロヘキシレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスシクロヘキサンカルバルデヒド、2,2−ビス[4−(3−ホルミルシクロヘキシル)シクロヘキシル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−ホルミルシクロヘキシル)シクロヘキシル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−ホルミルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−ホルミルフェノキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−ホルミルシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルフィド、ビス[4−(4−ホルミルシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルフィド、ビス[4−(3−ホルミルシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルホン、ビス[4−(4−ホルミルシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルホン、2,2’−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6’−ジアルデヒド、2,2’−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6,6’−ジアルデヒド、及び1,3−ジホルミルアダマンタン等が挙げられる。
以上説明したジアルデヒド化合物の中では、合成や入手が容易であることや、耐熱性及び機械的性質に優れるポリベンゾオキサゾール樹脂を与えるポリベンゾオキサゾール前駆体を得やすいことから、イソフタルアルデヒドが好ましい。
(ジカルボン酸ジハライド)
ポリベンゾオキサゾール前駆体の原料として用いるジカルボン酸ジハライドは、下式(a2−II)で表される化合物である。ジカルボン酸ジハライドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2020075854
(式(a2−II)中、Ra023は、式(a03)と同様であり、Halはハロゲン原子である。)
式(a2−II)中、Halとしては、塩素、臭素、及びヨウ素が好ましく、塩素がより好ましい。
式(a2−II)で表される化合物として好適な化合物としては、ジアルデヒド化合物の好適な例として前述した化合物が有する2つのアルデヒド基を、ハロカルボニル基、好ましくはクロロカルボニル基に置換した化合物が挙げられる。
以上説明したジカルボン酸ジハライドの中では、合成や入手が容易であることや、耐熱性及び機械的性質に優れるポリベンゾオキサゾール樹脂を与えるポリベンゾオキサゾール前駆体を得やすいことから、テレフタル酸二クロライドが好ましい。
(溶剤)
ポリイミド樹脂前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体の調製に用いる溶剤は特に限定されず、従来からポリイミド樹脂前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体の調製に使用されていた溶剤から適宜選択できる。ポリイミド樹脂前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体の調製に用いる溶剤としては、前述の式(S01)で表される化合物を含む溶剤を用いるのが好ましい。
前述の式(S01)で表される化合物を含む溶剤を用いてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する場合、ポリベンゾオキサゾール前駆体を低温で熱処理する場合でも、ポリベンゾオキサゾール前駆体を加熱する際の樹脂の着色による透明性の低下を抑制しつつ、引張伸度のような機械的特性や耐薬品性に優れるポリベンゾオキサゾール樹脂を製造できる。
また、前述の式(S01)で表される化合物を含む溶剤を用いて合成されたポリベンゾオキサゾール前駆体を加熱してポリベンゾオキサゾール樹脂を製造する場合、ポリベンゾオキサゾール樹脂の表面での、膨れ、割れ、発泡等の欠陥の発生を抑制できる。このため、式(S01)で表される化合物を含む溶剤を用いて合成されたポリベンゾオキサゾール前駆体を含む膜を加熱してポリベンゾオキサゾール樹脂のフィルムを製造する場合、割れ、ブリスター、ピンホール等の欠陥がなく外観に優れるフィルムを製造しやすい。
式(S01)で表される化合物の好適な例については前述の通りである。
式(S01)で表される化合物のうち、特に好ましいものとしては、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレアが好ましい。N,N,2−トリメチルプロピオンアミドの大気圧下での沸点は175℃であって、N,N,N’,N’−テトラメチルウレアの大気圧下での沸点は177℃である。このように、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレアは、芳香族ジアミンジオール、ジカルボニル化合物、及び生成するポリベンゾオキサゾール前駆体を溶解可能な溶媒の中では比較的沸点が低い。このため、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレアから選択される少なくとも1種を含む溶剤を用いて合成されたポリベンゾオキサゾール前駆体を用いてポリベンゾオキサゾール樹脂を形成すると、ポリベンゾオキサゾール前駆体を加熱する際に、生成するポリベンゾオキサゾール樹脂中に溶剤が残存しにくく、得られるポリベンゾオキサゾール樹脂の引張伸度の低下等を招きにくい。
さらに、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレアは、EU(欧州連合)でのREACH規則において、有害性が懸念される物質であるSVHC(Substance of Very High Concern、高懸念物質)に指定されていないように、有害性が低い物質である点でも有用である。
ポリベンゾオキサゾール前駆体の調製に用いる溶剤が式(S01)で表される化合物を含む場合、溶剤中の式(S01)で表される化合物の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%であるのが最も好ましい。
溶剤が式(S01)で表される化合物を含む場合に、式(S01)で表される化合物とともに使用することができる有機溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素極性溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、及びイソホロン等のケトン類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、及び酢酸−n−ブチル等のエステル類;ジオキサン、及びテトラヒドロフラン等の環状エーテル類;エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネート等の環状エステル類;トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類が挙げられる。
(ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法)
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、前述の芳香族ジアミンジオールと、ジカルボニル化合物とを、溶剤中で、周知の方法に従って反応させることによって製造される。以下ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法の代表的な例として、ジカルボニル化合物がジアルデヒド化合物である場合の製造方法と、ジカルボニル化合物がジカルボン酸ハライドである場合の製造方法とについて説明する。
・芳香族ジアミンジオールとジアルデヒド化合物との反応
芳香族ジアミンジオールとジアルデヒド化合物との反応はシッフ塩基の形成反応であり、周知の方法に従って行うことができる。反応温度は特に限定されないが、通常、20℃以上200℃以下が好ましく、20℃以上160℃以下がより好ましく、100℃以上160℃以下が特に好ましい。
芳香族ジアミンジオールとジアルデヒド化合物との反応は、溶剤にエントレーナーを添加し、還流脱水しながら行われてもよい。エントレーナーとしては、特に限定されず、水と共沸混合物を形成し、室温にて水と二相系を形成する有機溶剤から適宜選択される。エントレーナーの好適な例としては、酢酸イソブチル、酢酸アリル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、及びプロピオン酸イソブチル等のエステル;ジクロロメチルエーテル、及びエチルイソアミルエーテル等のエーテル類;エチルプロピルケトン等のケトン類;トルエン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
芳香族ジアミンジオールとジアルデヒド化合物との反応時間は特に限定されないが、典型的には2時間以上72時間以下程度が好ましい。
ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する際の、ジアルデヒド化合物の使用量は、芳香族ジアミンジオール1モルに対して、0.5モル以上1.5モル以下が好ましく、0.7モル以上1.3モル以下がより好ましい。
溶剤の使用量は、芳香族ジアミンジオールとジアルデヒド化合物との反応が良好に進行する限り特に限定されない。典型的には、芳香族ジアミンジオールの質量と、ジアルデヒド化合物の質量との合計に対して、1倍以上40倍以下、好ましくは1.5倍以上20倍以下の質量の溶剤が使用される。
芳香族ジアミンジオールとジアルデヒド化合物との反応は、生成するポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量が、好ましくは1000以上20000以下、より好ましくは1200以上5000となるまで行われる。
・芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとの反応
芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとを反応させる反応温度は特に限定されないが、通常、−20℃以上150℃以下が好ましく、−10℃以上150℃以下がより好ましく、−5℃以上70℃以下が特に好ましい。芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとの反応ではハロゲン化水素が副生する。かかるハロゲン化水素を中和するために、トリエチルアミン、ピリジン、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン等の有機塩基や、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を、反応液中に少量加えてもよい。
芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとの反応時間は特に限定されないが、典型的には2時間以上72時間以下程度が好ましい。
ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する際の、ジカルボン酸ジハライドの使用量は、芳香族ジアミンジオール1モルに対して、0.5モル以上1.5モル以下が好ましく、0.7モル以上1.3モル以下がより好ましい。
溶剤の使用量は、芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとの反応が良好に進行する限り特に限定されない。典型的には、芳香族ジアミンジオールの質量と、ジカルボン酸ジハライドの質量との合計に対して、1倍以上40倍以下、好ましくは1.5倍以上20倍以下の質量の溶剤が使用される。
芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとの反応は、生成するポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量が、好ましくは1000以上20000以下、より好ましくは1200以上5000以下となるまで行われる。
以上説明した方法により、ポリベンゾオキサゾール前駆体の溶液が得られる。ポリベンゾオキサゾール前駆体を基材成分(B)として含む金属酸化物微粒子分散液を調製する際には、ポリベンゾオキサゾール前駆体の溶液をそのまま用いてもよい。また、減圧下に、ポリベンゾオキサゾール前駆体のポリベンゾオキサゾール樹脂への変換が生じない程度の低温で、ポリベンゾオキサゾール前駆体の溶液から溶剤の少なくとも一部を除去して得られる、ポリベンゾオキサゾール前駆体のペースト又は固体を、金属酸化物微粒子分散液の調製に用いることもできる。
〔ポリベンゾチアゾール前駆体〕
ポリベンゾチアゾール前駆体は、典型的には、芳香族ジアミンジチオールと、特定の構造のジカルボニル化合物とを反応させて製造される。芳香族ジアミンジチオールとしては、ポリベンゾオキサール前駆体の合成に使用される芳香族ジアミンジオールの水酸基がメルカプト基に置換された化合物を用いることができる。ジカルボニル化合物としては、ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成に使用されるものと同様のものを使用することができる。
芳香族ジアミンジチオールとジカルボニル化合物とを反応させてポリベンゾチアゾール前駆体を合成する際の、反応方法、反応条件等は、芳香族ジアミンジオールとジカルボニル化合物とを反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する場合と同様である。
〔ポリベンゾイミダゾール前駆体〕
ポリベンゾイミダゾール前駆体は、典型的には、芳香族テトラアミンと、ジカルボン酸ジハライドとを反応させて製造される。芳香族テトラアミンとしては、ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成に使用される芳香族ジアミンジオールの水酸基がアミノ基に置換された化合物を用いることができる。ジカルボン酸ジハライドとしては、ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成に使用されるものと同様のものを使用することができる。
芳香族テトラアミンとジカルボン酸ジハライドとを反応させてポリベンゾイミダゾール前駆体を合成する際の、反応方法、反応条件等は、芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとを反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する場合と同様である。
〔スチレン−マレイン酸共重合体〕
スチレン−マレイン酸共重合体の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。スチレン−マレイン酸共重合体における、スチレン/マレイン酸の共重合比率(質量比)は、1/9以上9/1以下が好ましく、2/8以上8/1以下がより好ましく、1/1以上8/1以下が特に好ましい。スチレン−マレイン酸共重合体の分子量は特に限定されないが、ポリスチレン換算の質量平均分子量として、1000以上100000以下であるのが好ましく、5000以上12000以下であるのがより好ましい。
〔エポキシ基含有樹脂〕
エポキシ基含有樹脂を基材成分(B)として用いると、必要に応じて硬化剤や硬化促進剤の存在下に、所望する形状に成形された金属酸化物微粒子分散液を加熱することで、エポキシ基含有樹脂が有するエポキシ基同士が架橋される。その結果、耐熱性や機械的特性に優れる硬化物が得られる。エポキシ基含有樹脂は、エポキシ基を有する分子から構成される樹脂であれば特に限定されない。
エポキシ基含有樹脂は、エポキシ基を有する単量体又はエポキシ基を有する単量体を含む単量体混合物を重合させて得られる重合体であってもよい。エポキシ基含有樹脂は、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等の反応性を有する官能基を有する重合体に対して、例えばエピクロルヒドリンのようなエポキシ基を有する化合物を用いてエポキシ基を導入したものであってもよい。入手、調製、重合体中のエポキシ基の量の調整等が容易であることから、エポキシ基を有する重合体としては、エポキシ基を有する単量体又はエポキシ基を有する単量体を含む単量体混合物を重合させて得られる重合体が好ましい。
エポキシ基含有樹脂の好ましい一例としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、及びビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の芳香族エポキシ樹脂が挙げられる。
また、エポキシ基含有樹脂の中では、調製が容易であったり、金属酸化物含有膜の物性の調整が容易であったりすることから、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体か、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体が好ましい。
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであっても、後述するような、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。また、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、芳香族基を含んでいてもよい。エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの中では、鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルや、脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、パターニング特性の観点では、脂環式エポキシ基における環構造に多環式構造を含む脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルがさらに好ましい。
芳香族基を含み、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、4−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、及び2−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの例としては、エポキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート等のような、エステル基(−O−CO−)中のオキシ基(−O−)に鎖状脂肪族エポキシ基が結合する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルが有する鎖状脂肪族エポキシ基は、鎖中に1又は複数のオキシ基(−O−)を含んでいてもよい。鎖状脂肪族エポキシ基の炭素原子数は、特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上15以下がより好ましく、3以上10以下が特に好ましい。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、5−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば下記式(a05−1)〜(a05−15)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、下記式(a05−1)〜(a05−5)で表される化合物が好ましく、下記式(a05−1)〜(a05−2)で表される化合物がより好ましい。また、これら各化合物に関し、脂環に対するエステル基の酸素原子の結合部位はここで示されている位置に限られず、一部位置異性体を含んでいてもよい。
Figure 2020075854
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上記式中、Ra032は水素原子又はメチル基を示し、Ra033は炭素原子数1以上6以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra034は炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基を示し、tは0以上10以下の整数を示す。Ra033としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra034としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基が好ましい。
エポキシ基を有する重合体としては、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、及びエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体のいずれも用いることができるが、エポキシ基を有する重合体中の、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有量は、例えば、1質量%以上100質量%以下であり、10質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上80質量%以下がより好ましく、50質量%以上75質量%以下が特に好ましい。
エポキシ基を有する重合体が、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体である場合、他の単量体としては、不飽和カルボン酸、エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。金属酸化物微粒子分散液の保存安定性や、金属酸化物微粒子分散液を用いて形成される膜等の物品のアルカリ等に対する耐薬品性の点からは、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体は、不飽和カルボン酸に由来する単位を含まないのが好ましい。
不飽和カルボン酸の例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。
エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステルの中では、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記式(a06−1)〜(a06−8)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(a06−3)〜(a06−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a06−3)又は(a06−4)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2020075854
Figure 2020075854
上記式中、Ra035は水素原子又はメチル基を示し、Ra036は単結合又は炭素原子数1以上6以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra037は水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基を示す。Ra036としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra037としては、メチル基、エチル基が好ましい。
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物の例としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
エポキシ基含有樹脂の分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、ポリスチレン換算の質量平均分子量として、3,000以上30,000以下が好ましく、5,000以上15,000以下がより好ましい。
〔焼成により硬化膜を生成させる樹脂〕
前述の通り、焼成により硬化膜を生成させる樹脂も、基材成分(B)としての前駆体樹脂として好ましい。焼成により硬化膜を生成させる樹脂としては、例えば、ケイ素含有樹脂が挙げられる。ケイ素含有樹脂の好ましい例としては、シロキサン樹脂、及びポリシランから選択される1種以上が挙げられる。これらのケイ素含有樹脂を含む金属酸化物微粒子分散液を塗布することでケイ素含有樹脂を含む金属酸化物含有膜が得られる。
ケイ素含有樹脂組成物である金属酸化物微粒子分散液については、詳細に後述する。
基材成分(B)として上記の熱硬化性材料又は焼成により硬化膜を生成させる樹脂を用いる場合、金属酸化物微粒子分散液は、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、脱水縮合剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、可塑剤、充填材、及び強化材等の添加剤を含んでいてもよい。
また、製膜を容易にするため、金属酸化物微粒子分散液は溶剤を含むのが好ましい。溶剤の種類は、熱硬化性材料の種類に応じて、適宜選択される。
金属酸化物微粒子分散液としては、以上説明した、非熱硬化性の樹脂を基材成分(B)として含む非感エネルギー性の組成物や、熱硬化性材料を基材成分(B)として含む感熱性の組成物以外に、所謂フォトレジスト組成物として知られる感光性組成物も好ましい。
良好に分散された金属酸化物(A)を含み、且つ、耐熱性や耐薬品性に優れた金属酸化物(A)を含む膜等の物品を形成しやすいことから、金属酸化物微粒子分散液は、感熱性、及び/又は感光性を備える感エネルギー性組成物であるのが好ましい。
従来知られる種々の感エネルギー性組成物に、所望する量の前述の金属酸化物(A)を加えることにより、感エネルギー性の組成物である金属酸化物微粒子分散液が得られる。
従来知られる感エネルギー性組成物には、種々の熱硬化性又は光硬化性の化合物や、アルカリ可溶性樹脂、露光されることでアルカリに対する溶解性が高まる樹脂等が基材成分(B)として含まれる。
感光性の金属酸化物微粒子分散液は、露光により現像液に対して不溶化するネガ型の感光性組成物であってもよく、露光により現像液に対して可溶化するポジ型の感光性組成物であってもよい。
以下、好適な感エネルギー性組成物と、焼成により硬化膜を生成させる樹脂を含む組成物の好適な例であるケイ素含有樹脂組成物と、について説明する。
(1)第1の態様の感エネルギー性組成物
第1の態様の感エネルギー性組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、及び光重合開始剤とともに、金属酸化物(A)、及び有機溶剤を含有するネガ型感光性組成物である。
第1の態様の感エネルギー性組成物では、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物とが基材成分(B)に該当する。
第1の態様の感エネルギー性組成物は、後述するようにアルカリ可溶性樹脂として、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル等を重合して得られる(メタ)アクリル樹脂を含む場合がある。
例えば、特許文献1に記載されるような被覆処理を施された金属酸化物微粒子を(メタ)アクリル樹脂を含む組成物に配合する場合、金属酸化物微粒子が良好に分散しない場合がある。
しかし、前述の、表面の少なくとも一部が式(1)で表されるカルボン酸化合物及び/又は当該カルボン酸化合物に由来するカルボキシレートにより被覆された表面修飾金属酸化物微粒子は、(メタ)アクリル樹脂を含む組成物中でも安定に分散しやすい。
第1の態様の感エネルギー性組成物におけるアルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されず、従来公知のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。このアルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和基を有してもよく、エチレン性不飽和基を有さなくてもよい。
なお、本明細書においてアルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解する樹脂をいう。
エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物を、さらに多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂を用いることができる。
その中でも、下記式(a−1)で表される樹脂が好ましい。この式(a−1)で表される樹脂は、それ自体が、光硬化性が高い点で好ましい。
Figure 2020075854
上記式(a−1)中、Xは、下記式(a−2)で表される基を示す。
Figure 2020075854
上記式(a−2)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上6以下の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Ra2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Wは、単結合又は下記式(a−3)で表される基を示す。
Figure 2020075854
上記式(a−1)中、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
上記式(a−1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
上記式(a−1)中、mは、0以上20以下の整数を示す。
エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等を用いることもできる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとの両方を意味する。
一方、エチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂としては、不飽和カルボン酸と、他の不飽和化合物とを共重合させて得られる樹脂を用いることができる。他の不飽和化合物としては、エポキシ基含有不飽和化合物、及び脂環式基含有不飽和化合物から選択される少なくとも1種を用いるのが好ましい。
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物と、脂環式基を有するエポキシ基含有不飽和化合物とが挙げられる。
脂環式基を有するエポキシ基含有不飽和化合物としては、前述の式(a05−1)〜(a05−15)で表される化合物が挙げられる。
脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、5−グリシジルオキシ−n−ペンチル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルが好ましい。
これらのエポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
脂環式基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。具体的に、脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば前述の式(a06−1)〜(a06−8)で表される化合物が挙げられる。
不飽和カルボン酸に対して、上記以外の他の化合物をさらに重合させるのも好ましい。このような他の化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、マレイミド類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
他の化合物に関して、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、及びスチレン類についての好適な例は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体について説明した、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、及びスチレン類についての好適例と同様である。
他の化合物としての(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
他の化合物としてのマレイミド類としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド等の炭素原子数1以上10以下のアルキル基でN置換されたマレイミド;N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド等の炭素原子数3以上20以下の脂環式基でN置換されたマレイミド:N−フェニルマレイミド、N−α−ナフチルマレイミド、N−β−ナフチルマレイミド等の炭素原子数6以上20以下のアリール基でN置換されたN−アリールマレイミド;N−ベンジルマレイミド、N−フェネチルマレイミド等の炭素原子数7以上20以下のアラルキル基でN置換されたN−アラルキルマレイミドが挙げられる。
また、不飽和カルボン酸に由来する構成単位とともに、後述する光重合性化合物との重合可能部位を有する構成単位とを少なくとも有する共重合体、又は不飽和カルボン酸に由来する構成単位と、エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位と、後述する光重合性化合物との重合可能部位を有する構成単位とを少なくとも有する共重合体も、アルカリ可溶性樹脂として好適に使用することができる。
これらのアルカリ可溶性樹脂を用いる場合、機械的に強度に優れ、基板への密着性に優れる金属酸化物含有膜を形成することができる。
上記の光重合性化合物との重合可能部位を有する構成単位を有する共重合体は、上述の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、及びマレイミド類等に由来する1種以上の構成単位をさらに有していてもよい。
光重合性化合物との重合可能部位を有する構成単位は、光重合性化合物との重合可能部位としてエチレン性不飽和基を有するのが好ましい。このような構成単位を有する共重合体は、不飽和カルボン酸の単独重合体に含まれるカルボキシ基の少なくとも一部と、エポキシ基含有不飽和化合物とを反応させることにより、調製することができる。
また、不飽和カルボン酸に由来する構成単位と、エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位とを有する共重合体におけるエポキシ基の少なくとも一部と、不飽和カルボン酸とを反応させることでも、光重合性化合物との重合可能部位を有する構成単位を有する共重合体を調製することができる。
このアルカリ可溶性樹脂中における上記不飽和カルボン酸に由来する構成単位の割合は、3質量%以上25質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。また、上記エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、30質量%以上95質量%以下であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。また、上記脂環式基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、得られる樹脂のアルカリ溶解性を適度なものとしながら、第1の態様の感エネルギー性組成物の硬化物の基板への密着性、第1の態様の感エネルギー性組成物の硬化後の強度を高めることができる。
アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、1000以上40000以下であることが好ましく、2000以上30000以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、第1の態様の感光性組成物の固形分に対して5質量%以上80質量%以下であることが好ましく、15質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
第1の態様の感エネルギー性組成物における光重合性化合物としては、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光重合性化合物の含有量は、第1の態様の感エネルギー性組成物の固形分に対して1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
第1の態様の感エネルギー性組成物における光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)、(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)[4−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−2−メチルフェニル]メタノンO−アセチルオキシム、2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、オキシムエステル系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。オキシム系の光重合開始剤の中で、特に好ましいものとしては、O−アセチル−1−[6−(2−メチルベンゾイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンオキシム、エタノン,1−[9−エチル−6−(ピロール−2−イルカルボニル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)、及び1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]が挙げられる。
光重合開始剤としては、また、下記式(c1)で表されるオキシムエステル化合物を用いることも好ましい。
Figure 2020075854
(Rc1は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、
n1は0以上4以下の整数であり、
n2は0、又は1であり、
c2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、
c3は、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。)
式(c1)中、Rc1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rc1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。n1が2以上4以下の整数である場合、Rc1は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素原子数には、置換基がさらに有する置換基の炭素原子数を含まない。
c1がアルキル基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rc1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
c1がアルコキシ基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rc1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
c1がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、炭素原子数3以上10以下が好ましく、炭素原子数3以上6以下がより好ましい。Rc1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
c1が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rc1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
c1がアルコキシカルボニル基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rc1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
c1がフェニルアルキル基である場合、炭素原子数7以上20以下が好ましく、炭素原子数7以上10以下がより好ましい。またRc1がナフチルアルキル基である場合、炭素原子数11以上20以下が好ましく、炭素原子数11以上14以下がより好ましい。Rc1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rc1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
c1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rc1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
c1が1、又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
c1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
c1の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
c1がフェニル基に結合する位置は、Rc1が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がよりに好ましい。また、n1は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0、又は1が特に好ましい。
c2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、Rc2が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよい。
c2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
c2がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1、又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rc1と同様である。
c2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
c2の中では、感度に優れる光重合開始剤を得やすい点から、下記式(c2)、又は(c3)で表される基が好ましく、下記式(c2)で表される基がより好ましく、下記式(c2)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
Figure 2020075854
(Rc4は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、n3は、0以上4以下の整数である。)
Figure 2020075854
(Rc5及びRc6は、それぞれ、1価の有機基である。)
式(c2)におけるRc4が有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(c2)においてRc4が有機基である場合の好適な例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
c4の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(c2)において、n3は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。n3が1である場合、Rc4の結合する位置は、Rc4が結合するフェニル基が酸素原子又は硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
式(c3)におけるRc5は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rc5の好適な例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
c5の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
式(c3)におけるRc6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc6として好適な基の具体例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc6として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2−メチルフェニル基が特に好ましい。
c4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(c1)におけるRc3は、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。Rc3としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(c1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記のPI−1〜PI−42が挙げられる。
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
また、下記式(c4)で表されるオキシムエステル化合物も、光重合開始剤として好ましい。
Figure 2020075854
(Rc7は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、Rc8及びRc9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、Rc8とRc9とは相互に結合して環を形成してもよく、Rc10は1価の有機基であり、Rc11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n4は0以上4以下の整数であり、n5は0又は1である。)
ここで、式(c4)のオキシムエステル化合物を製造するためのオキシム化合物としては、下式(c5)で表される化合物が好適である。
Figure 2020075854
(Rc7、Rc8、Rc9、Rc10、n4、及びn5は、式(c4)と同様である。)
式(c4)及び(c5)中、Rc7は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。Rc7は、式(c4)中のフルオレン環上で、−(CO)n5−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(c4)中、Rc7のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(c4)で表される化合物が1以上のRc7を有する場合、式(c4)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRc7のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。Rc7が複数である場合、複数のRc7は同一であっても異なっていてもよい。
c7が有機基である場合、Rc7は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rc7が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
c7がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc7がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc7がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc7がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
c7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc7がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc7がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
c7がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。Rc7がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc7がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
c7が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc7が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc7が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
c7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc7がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
c7がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、Rc7がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。Rc7がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rc7がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc7が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc7は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
c7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Rc7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
c7がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rc7がヘテロシクリル基である場合と同様である。
c7が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc7と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
c7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上説明した基の中でも、Rc7としては、ニトロ基、又はRc12−CO−で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。Rc12は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc12として好適な基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc12として、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、Rc7が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、Rc7が水素原子であり且つRc10が後述の式(c4a)又は(c4b)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
式(c4)中、Rc8及びRc9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rc8とRc9とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rc8及びRc9として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rc8及びRc9が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
c8及びRc9が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rc8及びRc9が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc8及びRc9がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
c8及びRc9が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rc7がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rc7がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rc7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1以上20以下であり、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
c8及びRc9が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rc8及びRc9が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rc8及びRc9が鎖状アルキル基である場合と同様である。
c8及びRc9が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
c8及びRc9が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上10以下がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
c8及びRc9がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
c8とRc9とは相互に結合して環を形成してもよい。Rc8とRc9とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rc8とRc9とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
c8とRc9とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したRc8及びRc9の中でも好適な基の例としては、式−A−Aで表される基が挙げられる。式中、Aは直鎖アルキレン基であり、Aは、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である。
の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Aがアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Aがハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。Aがハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Aが環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rc8及びRc9が置換基として有する環状有機基と同様である。Aがアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rc8及びRc9が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
c8及びRc9の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニル−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニル−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニル−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニル−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロロエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、4−クロロ−n−ブチル基、5−クロロ−n−ペンチル基、6−クロロ−n−ヘキシル基、7−クロロ−n−ヘプチル基、8−クロロ−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
c8及びRc9として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
c10の好適な有機基の例としては、Rc7と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、Rc7について説明した基と同様である。また、Rc10としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rc7に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
有機基の中でも、Rc10としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、Rc10としては、−A−CO−O−Aで表される基も好ましい。Aは、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。Aは、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Aがアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。
の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。Aの好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
−A−CO−O−Aで表される基の好適な具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロピルオキシカルボニルエチル基、2−n−ブチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フェノキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ブチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ペンチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ヘキシルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−ベンジルオキシカルボニル−n−プロピル基、及び3−フェノキシカルボニル−n−プロピル基等が挙げられる。
以上、Rc10について説明したが、Rc10としては、下記式(c4a)又は(c4b)で表される基が好ましい。
Figure 2020075854
(式(c4a)及び(c4b)中、Rc13及びRc14はそれぞれ有機基であり、n6は0以上4以下の整数であり、Rc13及びRc14がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、Rc13とRc14とが互いに結合して環を形成してもよく、n7は1以下8以下の整数であり、n8は1以上5以下の整数であり、n9は0以上(n8+3)以下の整数であり、Rc15は有機基である。)
式(c4a)中のRc13及びRc14についての有機基の例は、Rc7と同様である。Rc13としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rc13がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1以下10以上が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、Rc13はメチル基であるのが最も好ましい。Rc13とRc14とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(c4a)で表される基であって、Rc13とRc14とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(c4a)中、n6は0以上4以下の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(c4b)中、Rc15は有機基である。有機基としては、Rc7について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Rc15としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(c4b)中、n8は1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(c4b)中、n9は0以上(n8+3)以下であり、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(c4b)中、n7は1以上8以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(c4)中、Rc11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rc11がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Rc7がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(c4)中、Rc11としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(c4)で表される化合物は、前述の式(c5)で表される化合物に含まれるオキシム基(>C=N−OH)を、>C=N−O−CORc11で表されるオキシムエステル基に変換する工程を含む方法により製造される。Rc11は、式(c4)中のRc11と同様である。
オキシム基(>C=N−OH)の、>C=N−O−CORc11で表されるオキシムエステル基への変換は、前述の式(c5)で表される化合物と、アシル化剤とを反応させることにより行われる。
−CORc11で表されるアシル基を与えるアシル化剤としては、(Rc11CO)Oで表される酸無水物や、Rc11COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
式(c4)で表される化合物の好適な具体例としては、以下のPI−43〜PI−83が挙げられる。
Figure 2020075854
Figure 2020075854
光重合開始剤の含有量は、第1の態様の感エネルギー性組成物の固形分100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
金属酸化物微粒子分散液としての第1の態様の感エネルギー性組成物は、上記の通り、金属酸化物(A)を含有する。このため、第1の態様の感エネルギー性組成物を用いて、金属酸化物(A)を含有するパターンを形成することができる。
第1の態様の感エネルギー性組成物は、さらに、着色剤を含有していてもよい。
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されている顔料を用いることが好ましい。
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
また、着色剤を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低い。
また、カーボンブラックの色調を調整するために、補助顔料として上記の有機顔料を適宜添加してもよい。
また、着色剤を感光性組成物において均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤としてカーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
また、無機顔料及び有機顔料は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10質量部以上80質量部以下の範囲で用いることが好ましく、20質量部以上40質量部以下の範囲で用いることがより好ましい。
着色剤の含有量は、第1の態様の感エネルギー性組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、第1の態様の感エネルギー性組成物の固形分100質量部に対して、5質量部以上70質量部以下が好ましく、25質量部以上60質量部以下がより好ましい。
なお、着色剤は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた分散液とした後、感光性組成物に添加することが好ましい。
第1の態様の感エネルギー性組成物における有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタンメチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、前述の式(S01)で表される溶剤等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記有機溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテート、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、前述の式(S01)で表される溶剤等のアミド類は、上記アルカリ可溶性樹脂、上記光重合性化合物、及び上記光重合開始剤に対して優れた溶解性を示すため好ましい。
有機溶剤の含有量は、第1の態様の感エネルギー性組成物の固形分濃度が1質量%以上50質量%以下である量が好ましく、5質量%以上30質量%以下である量がより好ましい。
(2)第2の態様の感エネルギー性組成物
第2の態様の感エネルギー性組成物は、ポジ型感光性組成物である。第2の態様の感エネルギー性組成物が、化学増幅型ポジ型感光性組成物の場合、当該化学増幅型ポジ型感光性組成物は、金属酸化物(A)と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する酸発生剤(以下、光酸発生剤とも記す。)と、基材成分(B)である酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(以下、感光性樹脂とも記す。)とを含有する。ポジ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂、酸拡散抑制剤、及び有機溶剤等の成分を含んでいてもよい。他の第2の態様の感エネルギー性組成物としては、キノンジアジド基含有化合物とノボラックフェノール樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂(例えば後述のノボラック樹脂(C1)又はポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)若しくはフェノール性水酸基を有するアクリル樹脂(C3)等)を含むポジ型感光性組成物が挙げられる。
第2の態様の感エネルギー性組成物を用いて形成されるレジストパターンの膜厚は特に限定されない。第2の態様の感エネルギー性組成物は厚膜のレジストパターンの形成に好ましく使用される。第2の態様の感エネルギー性組成物を用いて形成されるレジストパターンの膜厚は、特に限定されず、具体的には、0.1μm以上が好ましく、1μm以上150μm以下がより好ましく、10μm以上120μm以下が特に好ましく、特に好ましくは20μm以上80μm以下が最も好ましい。
以下、第2の態様の感エネルギー性組成物が含む、必須又は任意の成分と、感光性樹脂組成物の製造方法とについて説明する。
光酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物であり、光により直接又は間接的に酸を発生する化合物であれば特に限定されない。
以下、第2の態様の感エネルギー性組成物において好適に使用される光酸発生剤の好適な例について説明する。
好適な光酸発生剤の第1の例としては、下記式(a1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020075854
上記式(a1)中、X1aは、原子価gの硫黄原子又はヨウ素原子を表し、gは1又は2である。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。R1aは、X1aに結合している有機基であり、炭素原子数6以上30以下のアリール基、炭素原子数4以上30以下の複素環基、炭素原子数1以上30以下のアルキル基、炭素原子数2以上30以下のアルケニル基、又は炭素原子数2以上30以下のアルキニル基を表し、R1aは、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールチオカルボニル、アシロキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリール、複素環、アリールオキシ、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキレンオキシ、アミノ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。R1aの個数はg+h(g−1)+1であり、R1aはそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。また、2個以上のR1aが互いに直接、又は−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−NR2a−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素原子数1以上3以下のアルキレン基、若しくはフェニレン基を介して結合し、X1aを含む環構造を形成してもよい。R2aは炭素原子数1以上5以下のアルキル基又は炭素原子数6以上10以下のアリール基である。
2aは下記式(a2)で表される構造である。
Figure 2020075854
上記式(a2)中、X4aは炭素原子数1以上8以下のアルキレン基、炭素原子数6以上20以下のアリーレン基、又は炭素原子数8以上20以下の複素環化合物の2価の基を表し、X4aは炭素原子数1以上8以下のアルキル、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ、炭素原子数6以上10以下のアリール、ヒドロキシ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。X5aは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−NR2a−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素原子数1以上3以下のアルキレン基、又はフェニレン基を表す。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。h+1個のX4a及びh個のX5aはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R2aは前述の定義と同じである。
3a−はオニウムの対イオンであり、下記式(a17)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオン又は下記式(a18)で表されるボレートアニオンが挙げられる。
Figure 2020075854
上記式(a17)中、R3aは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。jはその個数を示し、1以上5以下の整数である。j個のR3aはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2020075854
上記式(a18)中、R4a〜R7aは、それぞれ独立にフッ素原子又はフェニル基を表し、該フェニル基の水素原子の一部又は全部は、フッ素原子及びトリフルオロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
上記式(a1)で表される化合物中のオニウムイオンとしては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム、2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、オクタデシルメチルフェナシルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウム、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、又は4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、等が挙げられる。
上記式(a1)で表される化合物中のオニウムイオンのうち、好ましいオニウムイオンとしては下記式(a19)で表されるスルホニウムイオンが挙げられる。
Figure 2020075854
上記式(a19)中、R8aはそれぞれ独立に水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアリール、アリールカルボニル、からなる群より選ばれる基を表す。X2aは、上記式(a1)中のX2aと同じ意味を表す。
上記式(a19)で表されるスルホニウムイオンの具体例としては、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウムが挙げられる。
上記式(a17)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンにおいて、R3aはフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、好ましい炭素原子数は1以上8以下、さらに好ましい炭素原子数は1以上4以下である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル等の直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐アルキル基;さらにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクヘキシル等のシクロアルキル基等が挙げられ、アルキル基の水素原子がフッ素原子に置換された割合は、通常、80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%である。フッ素原子の置換率が80%未満である場合には、上記式(a1)で表されるオニウムフッ素化アルキルフルオロリン酸塩の酸強度が低下する。
特に好ましいR3aは、炭素原子数が1以上4以下、且つフッ素原子の置換率が100%の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基であり、具体例としては、CF、CFCF、(CFCF、CFCFCF、CFCFCFCF、(CFCFCF、CFCF(CF)CF、(CFCが挙げられる。R3aの個数jは、1以上5以下の整数であり、好ましくは2以上4以下、特に好ましくは2又は3である。
好ましいフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンの具体例としては、[(CFCFPF、[(CFCFPF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[(CFCFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCFCFPF、[((CFCFCFPF、[(CFCFCFCFPF、又は[(CFCFCFPFが挙げられ、これらのうち、[(CFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[((CFCFCFPF、又は[((CFCFCFPFが特に好ましい。
上記式(a18)で表されるボレートアニオンの好ましい具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C)、テトラキス[(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート([B(CCF)、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(CBF)、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C)BF)、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート([B(C)等が挙げられる。これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C)が特に好ましい。
好適な光酸発生剤の第2の例としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物、並びにトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の下記式(a3)で表されるハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
Figure 2020075854
上記式(a3)中、R9a、R10a、R11aは、それぞれ独立にハロゲン化アルキル基を表す。
好適な光酸発生剤の第3の例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、並びにオキシムスルホネート基を含有する下記式(a4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020075854
上記式(a4)中、R12aは、1価、2価、又は3価の有機基を表し、R13aは、置換若しくは未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、又は芳香族性化合物基を表し、nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
上記式(a4)中、芳香族性化合物基とは、芳香族化合物に特有な物理的・化学的性質を示す化合物の基を示し、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基や、フリル基、チエニル基等のヘテロアリール基が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等を1個以上有していてもよい。また、R13aは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。特に、R12aが芳香族性化合物基であり、R13aが炭素原子数1以上4以下のアルキル基である化合物が好ましい。
上記式(a4)で表される光酸発生剤としては、n=1のとき、R12aがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基のいずれかであって、R13aがメチル基の化合物、具体的にはα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリル、〔2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロキシチオフェン−3−イリデン〕(o−トリル)アセトニトリル等が挙げられる。n=2のとき、上記式(a4)で表される光酸発生剤としては、具体的には下記式で表される光酸発生剤が挙げられる。
Figure 2020075854
好適な光酸発生剤における第4の例としては、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩が挙げられる。この「ナフタレン環を有する」とは、ナフタレンに由来する構造を有することを意味し、少なくとも2つの環の構造と、それらの芳香族性が維持されていることを意味する。このナフタレン環は炭素原子数1以上6以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基、水酸基、炭素原子数1以上6以下の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。ナフタレン環に由来する構造は、1価基(遊離原子価が1つ)であっても、2価基(遊離原子価が2つ)以上であってもよいが、1価基であることが望ましい(ただし、このとき、上記置換基と結合する部分を除いて遊離原子価を数えるものとする)。ナフタレン環の数は1以上3以下が好ましい。
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のカチオン部としては、下記式(a5)で表される構造が好ましい。
Figure 2020075854
上記式(a5)中、R14a、R15a、R16aのうち少なくとも1つは下記式(a6)で表される基を表し、残りは炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表す。あるいは、R14a、R15a、R16aのうちの1つが下記式(a6)で表される基であり、残りの2つはそれぞれ独立に炭素原子数1以上6以下の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。
Figure 2020075854
上記式(a6)中、R17a、R18aは、それぞれ独立に水酸基、炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基、又は炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、R19aは、単結合又は置換基を有していてもよい炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表す。l及びmは、それぞれ独立に0以上2以下の整数を表し、l+mは3以下である。ただし、R17aが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。また、R18aが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
上記R14a、R15a、R16aのうち上記式(a6)で表される基の数は、化合物の安定性の点から好ましくは1つであり、残りは炭素原子数1以上6以下の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。この場合、上記2つのアルキレン基は、硫黄原子を含めて3〜9員環を構成する。環を構成する原子(硫黄原子を含む)の数は、好ましくは5以上6以下である。
また、上記アルキレン基が有していてもよい置換基としては、酸素原子(この場合、アルキレン基を構成する炭素原子とともにカルボニル基を形成する)、水酸基等が挙げられる。
また、フェニル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素原子数1以上6以下の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
これらのカチオン部として好適なものとしては、下記式(a7)、(a8)で表されるもの等を挙げることができ、特に下記式(a8)で表される構造が好ましい。
Figure 2020075854
このようなカチオン部としては、ヨードニウム塩であってもスルホニウム塩であってもよいが、酸発生効率等の点からスルホニウム塩が望ましい。
従って、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のアニオン部として好適なものとしては、スルホニウム塩を形成可能なアニオンが望ましい。
このような光酸発生剤のアニオン部としては、水素原子の一部又は全部がフッ素化されたフルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンである。
フルオロアルキルスルホン酸イオンにおけるアルキル基は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状でも分岐状でも環状でもよく、発生する酸の嵩高さとその拡散距離から、炭素原子数1以上10以下であることが好ましい。特に、分岐状や環状のものは拡散距離が短いため好ましい。また、安価に合成可能なことから、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等を好ましいものとして挙げることができる。
アリールスルホン酸イオンにおけるアリール基は、炭素原子数6以上20以下のアリール基であって、アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。特に、安価に合成可能なことから、炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましい。好ましいものの具体例として、フェニル基、トルエンスルホニル基、エチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基等を挙げることができる。
上記フルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンにおいて、水素原子の一部又は全部がフッ素化されている場合のフッ素化率は、好ましくは10%以上100%以下、より好ましくは50%以上100%以下であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。このようなものとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネート、パーフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロベンゼンスルホネート等が挙げられる。
これらの中でも、好ましいアニオン部として、下記式(a9)で表されるものが挙げられる。
Figure 2020075854
上記式(a9)において、R20aは、下記式(a10)、(a11)、及び(a12)で表される基である。
Figure 2020075854
上記式(a10)中、xは1以上4以下の整数を表す。また、上記式(a11)中、R21aは、水素原子、水酸基、炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表し、yは1以上3以下の整数を表す。これらの中でも、安全性の観点からトリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートが好ましい。
また、アニオン部としては、下記式(a13)、(a14)で表される窒素を含有するものを用いることもできる。
Figure 2020075854
上記式(a13)、(a14)中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素原子数は2以上6以下であり、好ましくは3以上5以下、最も好ましくは炭素原子数3である。また、Y、Zは、それぞれ独立に少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、該アルキル基の炭素原子数は1以上10以下であり、好ましくは1以上7以下、より好ましくは1以上3以下である。
のアルキレン基の炭素原子数、又はY、Zのアルキル基の炭素原子数が小さいほど有機溶剤への溶解性も良好であるため好ましい。
また、Xのアルキレン基又はY、Zのアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。該アルキレン基又はアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70%以上100%以下、より好ましくは90%以上100%以下であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩として好ましいものとしては、下記式(a15)、(a16)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020075854
好適な光酸発生剤における第6の例としては、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシラート、ニトロベンジルスルホナート、ニトロベンジルカルボナート、ジニトロベンジルカルボナート等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールトリメシラート、ピロガロールトリトシラート、ベンジルトシラート、ベンジルスルホナート、N−メチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−トリクロロメチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−フェニルスルホニルオキシマレイミド、N−メチルスルホニルオキシフタルイミド等のスルホン酸エステル類;N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシナフタルイミド等のトリフルオロメタンスルホン酸エステル類;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等のオニウム塩類;ベンゾイントシラート、α−メチルベンゾイントシラート等のベンゾイントシレート類;その他のジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、フェニルジアゾニウム塩、ベンジルカルボナート等が挙げられる。
また、下記式(c−5)で表されるナフタル酸誘導体も光酸発生剤として好ましい。
Figure 2020075854
(式(c−5)中、R22aは、1価の有機基であり、R23a、R24a、R25a、及びR26a、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基であり、R23aとR24aと、R24aとR25aと、又はR25aとR26aとは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。)
22aとしての有機基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。当該有機基は、炭化水素基であってもよく、O、N、S、P、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。また、当該有機基の構造は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であっても、これらの構造の組み合わせであってもよい。
22aとして好適な有機基としては、ハロゲン原子、及び/又はアルキルチオ基で置換されてもよい炭素原子数1以上18以下の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上20以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアルキルアリール基、カンファー−10−イル基、及び下式(c−5a):
−R27a−(O)−R28a−(O)−Y−R29a・・・(c−5a)
(式(c−5a)中、Yは、単結合又は炭素原子数1以上4以下のアルカンジイル基である。R27a及びR28aは、それぞれ、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数2以上6以下のアルカンジイル基、又はハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数6以上20以下のアリーレン基である。R29aは、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1以上18以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下の脂環式炭化水素基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数6以上20以下のアリール基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基である。a及びbは、それぞれ0又は1であり、a及びbの少なくとも一方は1である。)
で表される基が挙げられる。
22aとしての有機基が置換基としてハロゲン原子を有する場合、当該ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子が挙げられる。
22aとしての有機基が、アルキルチオ基で置換された炭素原子数1以上18以下のアルキル基である場合、アルキルチオ基の炭素原子数は1以上18以下であるのがこのましい。
炭素原子数1以上18以下のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、tert−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、イソヘプチルチオ基、tert−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、イソオクチルチオ基、tert−オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、n−ウンデシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−トリデシルチオ基、n−テトラデシルチオ基、n−ペンタデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基、n−ヘプタデシルチオ基、及びn−オクタデシルチオ基が挙げられる。
22aとしての有機基が、ハロゲン原子、及び/又はアルキルチオ基で置換されてもよい炭素原子数1以上18以下の脂肪族炭化水素基である場合、当該脂肪族炭化水素基は、不飽和二重結合を含んでいてもよい。
また、当該脂肪族炭化水素基の構造は特に限定されず、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であっても、これらの構造の組み合わせであってもよい。
22aとしての有機基がアルケニル基である場合の好適な例としては、アリル基、2−メチル−2−プロペニル基が挙げられる。
22aとしての有機基がアルキル基である場合の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘキサン−2−イル基、n−ヘキサン−3−イル基、n−ヘプチル基、n−ヘプタン−2−イル基、n−ヘプタン−3−イル基、イソヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基,n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、及びn−オクタデシル基が挙げられる。
22aとしての有機基が脂環式炭化水素基である場合、当該脂環式炭化水素基の主骨格を構成する脂環式炭化水素の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアダマンタンが挙げられる。脂環式炭化水素基としては、これらの脂環式炭化水素から水素原子を1つ除いた基が好ましい。
22aとしての有機基がハロゲン原子で置換された脂肪族炭化水素基である場合の好適な例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、3−ブロモプロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、トリデカフルオロ−n−ヘキシル基、ヘプタデカフルオロ−n−オクチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,1−ジフルオロ−n−プロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−n−プロピル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル基、2−ノルボルニル−1,1−ジフルオロエチル基、2−ノルボルニルテトラフルオロエチル基、及び3−アダマンチル−1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基が挙げられる。
22aとしての有機基がアルキルチオ基で置換された脂肪族炭化水素基である場合の好適な例としては、2−メチルチオエチル基、4−メチルチオ−n−ブチル基、及び2−n−ブチルチオエチル基が挙げられる。
22aとしての有機基がハロゲン原子及びアルキルチオ基で置換された脂肪族炭化水素基である場合の好適な例としては、3−メチルチオ−1,1,2,2−テトラフルオロ−n−プロピル基が挙げられる。
22aとしての有機基がアリール基である場合の好適な例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基が挙げられる。
22aとしての有機基がハロゲン原子で置換されたアリール基である場合の好適な例としては、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基が挙げられる。
22aとしての有機基がアルキルチオ基で置換されたアリール基である場合の好適な例としては、4−メチルチオフェニル基、4−n−ブチルチオフェニル基、4−n−オクチルチオフェニル基、4−n−ドデシルチオフェニル基が挙げられる。
22aとしての有機基がハロゲン原子及びアルキルチオ基で置換されたアリール基である場合の好適な例としては、1,2,5,6−テトラフルオロ−4−メチルチオフェニル基、1,2,5,6−テトラフルオロ−4−n−ブチルチオフェニル基、1,2,5,6−テトラフルオロ−4−n−ドデシルチオフェニル基が挙げられる。
22aとしての有機基がアラルキル基である場合の好適な例としては、ベンジル基、フェネチル基、2−フェニルプロパン−2−イル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基が挙げられる。
22aとしての有機基がハロゲン原子で置換されたアラルキル基である場合の好適な例としては、ペンタフルオロフェニルメチル基、フェニルジフルオロメチル基、2−フェニルテトラフルオロエチル基、2−(ペンタフルオロフェニル)エチル基が挙げられる。
22aとしての有機基がアルキルチオ基で置換されたアラルキル基である場合の好適な例としては、p−メチルチオベンジル基が挙げられる。
22aとしての有機基がハロゲン原子及びアルキルチオ基で置換されたアラルキル基である場合の好適な例としては、2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルチオフェニル)エチル基が挙げられる。
22aとしての有機基がアルキルアリール基である場合の好適な例としては、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−(2−エチル−n−ヘキシル)フェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル基、2,5−ジ−tert−ペンチルフェニル基、2,5−ジ−tert−オクチルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基が挙げられる。
式(c−5a)で表される基は、エーテル基含有基である。
式(c−5a)において、Yで表される炭素原子数1以上4以下のアルカンジイル基としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基が挙げられる。
式(c−5a)において、R27a又はR28aで表される炭素原子数2以上6以下のアルカンジイル基としては、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ペンタン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−2,3−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘキサン−1,2−ジイル基、ヘキサン−1,3−ジイル基、ヘキサン−1,4−ジイル基、ヘキサン−2,5−ジイル基、ヘキサン−2,4−ジイル基、ヘキサン−3,4−ジイル基が挙げられる。
式(c−5a)において、R27a又はR28aが、ハロゲン原子で置換された炭素原子数2以上6以下のアルカンジイル基である場合、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子が挙げられる。ハロゲン原子で置換されたアルカンジイル基の例としては、テトラフルオロエタン−1,2−ジイル基、1,1−ジフルオロエタン−1,2−ジイル基、1−フルオロエタン−1,2−ジイル基、1,2−ジフルオロエタン−1,2−ジイル基、ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジイル基、1,1,2,2,−テトラフルオロプロパン−1,3−ジイル基、1,1,2,2,−テトラフルオロペンタン−1,5−ジイル基が挙げられる。
式(c−5a)においてR27a又はR28aがアリーレン基である場合の例としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、ビフェニル−4,4’−ジイル基、ジフェニルメタン−4,4’−ジイル基、2,2,−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイル基、ナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−1,3−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,6−ジイル基、ナフタレン−1,7−ジイル基、ナフタレン−1,8−ジイル基、ナフタレン−2,3−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基が挙げられる。
式(c−5a)において、R27a又はR28aが、ハロゲン原子で置換されたアリーレン基である場合、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子が挙げられる。ハロゲン原子で置換されたアリーレン基の例としては、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン基が挙げられる。
式(c−5a)において、R29aで表される分岐を有してもよい炭素原子数1以上18以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘキサン−2−イル基、n−ヘキサン−3−イル基、n−ヘプチル基、n−ヘプタン−2−イル基、n−ヘプタン−3−イル基、イソヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基が挙げられる。
式(c−5a)において、R29aが、ハロゲン原子で置換された炭素原子数1以上18以下のアルキル基である場合、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子が挙げられる。ハロゲン原子で置換されたアルキル基の例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、トリデカフルオロ−n−ヘキシル基、ヘプタデカフルオロ−n−オクチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,1−ジフルオロ−n−プロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロ−n−プロピル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロテトラデシル基が挙げられる。
式(c−5a)において、R29aが、炭素原子数3以上12以下の脂環式炭化水素基である場合、当該脂環式炭化水素基の主骨格を構成する脂環式炭化水素の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアダマンタンが挙げられる。脂環式炭化水素基としては、これらの脂環式炭化水素から水素原子を1つ除いた基が好ましい。
式(c−5a)において、R29aはアリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アラルキル基である場合、これらの基の好適な例は、R22aがこれらの基である場合と同様である。
式(c−5a)で表される基の中でも好適な基は、R27aで表される基のうち硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素原子で置換されている基である。かかる好適な基の炭素原子数は2以上18以下が好ましい。
22aとしては、炭素原子数1以上8以下のパーフルオロアルキル基が好ましい。また、高精細なレジストパターンを形成しやすいことから、カンファー−10−イル基もR22aとして好ましい。
式(c−5)において、R23a〜R26aは、水素原子又は1価の有機基である。また、R23aとR24aと、R24aとR25aと、又はR25aとR26aとは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。例えば、R25aとR26aとが結合してナフタレン環とともに5員環を形成することにより、アセナフテン骨格を形成してもよい。
1価の有機基としては、脂環式炭化水素基、複素環基(ヘテロシクリル基)、又はハロゲン原子で置換されてもよく、分岐を有してもよい炭素原子数4以上18以下のアルコキシ基;ヘテロシクリルオキシ基;脂環式炭化水素基、複素環基(ヘテロシクリル基)、又はハロゲン原子で置換されてもよく、分岐を有してもよい炭素原子数4以上18以下のアルキルチオ基;ヘテロシクリルチオ基;が好ましい。
また、当該アルコキシ基の酸素原子に隣接しない任意の位置のメチレン基が−CO−で置換された基も好ましい。
当該アルコキシ基が−O−CO−結合、又は−O−CO−NH−結合で中断された基も好ましい。なお、−O−CO−結合及び−O−CO−NH−結合の左端が、アルコキシ基中のナフタル酸母核に近い側である。
さらに、脂環式炭化水素基、複素環基、又はハロゲン原子で置換されてもよく、分岐を有してもよい炭素原子数4以上18以下のアルキルチオ基も、R23a〜R26aとして好ましい。
当該アルキルチオ基の硫黄原子に隣接しない任意の位置のメチレン基が−CO−で置換された基も好ましい。
当該アルキルチオ基が−O−CO−結合、又は−O−CO−NH−結合で中断された基も好ましい。なお、−O−CO−結合及び−O−CO−NH−結合の左端が、アルキルチオ基中のナフタル酸母核に近い側である。
23a〜R26aとしては、R23aが有機基であり、R24a〜R26aが水素原子であるか、R24aが有機基であり、R23a、R25a、及びR26aが水素原子であるのが好ましい。また、R23a〜R26aが全て水素原子であってもよい。
23a〜R26aが、無置換のアルコキシ基である場合の例としては、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシル基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基,n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基が挙げられる。
23a〜R26aが、無置換のアルキルチオ基である場合の例としては、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、tert−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、イソヘプチルチオ基、tert−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、イソオクチルチオ基、tert−オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、n−ウンデシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−トリデシルチオ基、n−テトラデシルチオ基、n−ペンタデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基、n−ヘプタデシルチオ基、n−オクタデシルチオ基が挙げられる。
23a〜R26aが脂環式炭化水素基で置換されたアルコキシ基又はアルキルチオ基である場合に、脂環式炭化水素基の主骨格を構成する脂環式炭化水素の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアダマンタンが挙げられる。脂環式炭化水素基としては、これらの脂環式炭化水素から水素原子を1つ除いた基が好ましい。
23a〜R26aが複素環基で置換されたアルコキシ基又はアルキルチオ基である場合、又はR23a〜R26aがヘテロシクリルオキシ基である場合、複素環基又はヘテロシクリルオキシ基の主骨格を構成する複素環の例としては、ピロール、チオフェン、フラン、ピラン、チオピラン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、イソオキサゾリジン、イソチアゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、クロマン、チオクロマン、イソクロマン、イソチオクロマン、インドリン、イソインドリン、ピリンジン、インドリジン、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、ナフチリジン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、カルバゾール、カルボリン、フェナジン、アンチリジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾフロキサン、ナフトイミダゾール、ベンゾトリアゾール、テトラアザインデンが挙げられる。また、これらの複素環のうち共役結合を有する環に水素添加した、飽和複素環も好ましい。
アルコキシ基又はアルキルチオ基を置換する複素環基、又はヘテロシクリルオキシ基に含まれる複素環基としては、上記の複素環から水素原子を1つ除いた基が好ましい。
23a〜R26aが、脂環式炭化水素基を含むアルコキシ基である場合の例としては、シクロペンチルオキシ基、メチルシクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、フルオロシクロヘキシルオキシ基、クロロシクロヘキシルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、メチルシクロヘキシルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、エチルシクロヘキシルオキシ基、シクロヘキシルエチルオキシ基、ジメチルシクロヘキシルオキシ基、メチルシクロヘキシルメチルオキシ基、ノルボルニルメチルオキシ基、トリメチルシクロヘキシルオキシ基、1−シクロヘキシルブチルオキシ基、アダマンチルオキシ基、メンチルオキシ基、n−ブチルシクロヘキシルオキシ基、tert−ブチルシクロヘキシルオキシ基、ボルニルオキシ基、イソボルニルオキシ基、デカヒドロナフチルオキシ基、ジシクロペンタジエノキシ基、1−シクロヘキシルペンチルオキシ基、メチルアダマンチルオキシ基、アダマンチルメチルオキシ基、4−ペンチルシクロヘキシルオキシ基、シクロヘキシルシクロヘキシルオキシ基、アダマンチルエチルオキシ基、ジメチルアダマンチルオキシ基が挙げられる。
23a〜R26aが、ヘテロシクリルオキシ基である場合の例としては、テトラヒドロフラニルオキシ基、フルフリルオキシ基、テトラヒドロフルフリルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、ブチロラクトニルオキシ基、インドリルオキシ基が挙げられる。
23a〜R26aが、脂環式炭化水素基を含むアルキルチオ基である場合の例としては、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロヘキシルメチルチオ基、ノルボルニルチオ基、イソノルボルニルチオ基が挙げられる。
23a〜R26aが、ヘテロシクリルチオ基である場合の例としては、フルフリルチオ基、テトラヒドロフラニルチオ基が挙げられる。
23a〜R26aが、アルコキシ基の酸素原子に隣接しない任意の位置のメチレン基が−CO−で置換された基である場合の例としては、2−ケトブチル−1−オキシ基、2−ケトペンチル−1−オキシ基、2−ケトヘキシル−1−オキシ基、2−ケトヘプチル−1−オキシ基、2−ケトオクチル−1−オキシ基、3−ケトブチル−1−オキシ基、4−ケトペンチル−1−オキシ基、5−ケトヘキシル−1−オキシ基、6−ケトヘプチル−1−オキシ基、7−ケトオクチル−1−オキシ基、3−メチル−2−ケトペンタン−4−オキシ基、2−ケトペンタン−4−オキシ基、2−メチル−2−ケトペンタン−4−オキシ基、3−ケトヘプタン−5−オキシ基、2−アダマンタノン−5−オキシ基が挙げられる。
23a〜R26aが、アルキルチオ基の硫黄原子に隣接しない任意の位置のメチレン基が−CO−で置換された基である場合の例としては、2−ケトブチル−1−チオ基、2−ケトペンチル−1−チオ基、2−ケトヘキシル−1−チオ基、2−ケトヘプチル−1−チオ基、2−ケトオクチル−1−チオ基、3−ケトブチル−1−チオ基、4−ケトペンチル−1−チオ基、5−ケトヘキシル−1−チオ基、6−ケトヘプチル−1−チオ基、7−ケトオクチル−1−チオ基、3−メチル−2−ケトペンタン−4−チオ基、2−ケトペンタン−4−チオ基、2−メチル−2−ケトペンタン−4−チオ基、3−ケトヘプタン−5−チオ基が挙げられる。
式(c−5)で表されるナフタル酸誘導体の好適な例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
また、その他の光酸発生剤としては、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−エチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−(シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−メタンスルホニル−2−メチル−(p−メチルチオ)プロピオフェノン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等のスルホニルカルボニルアルカン類;1−p−トルエンスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−メチルスルホニル−4−フェニル−2−ブタノン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−シクロヘキシルスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−アセチル−1−(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−ベンゼンスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3−メチル−2−ブタノン、2−ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)酢酸シクロヘキシル、2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニル酢酸−tert−ブチル、2−ジアゾ−2−メタンスルホニル酢酸イソプロピル、2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニル酢酸シクロヘキシル、2−ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)酢酸−tert−ブチル等のスルホニルカルボニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸−2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸−2,6−ジニトロベンジル、p−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸−2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールのメタンスルホン酸エステル、ピロガロールのベンゼンスルホン酸エステル、ピロガロールのp−トルエンスルホン酸エステル、ピロガロールのp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、ピロガロールのメシチレンスルホン酸エステル、ピロガロールのベンジルスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのメタンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのベンゼンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのp−トルエンスルホン酸エステル、没食子酸アルキル(アルキル基の炭素原子数は1以上15以下である)のp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのメシチレンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのベンジルスルホン酸エステル等のポリヒドロキシ化合物と脂肪族又は芳香族スルホン酸とのエステル類;等が挙げられる。
これらの光酸発生剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光酸発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、光酸発生剤の含有量は、第2の態様の感光性組成物の全質量に対し、0.1質量%以上10質量%以下とすることが好ましく、0.5質量%以上3質量%以下とすることがより好ましい。光酸発生剤の使用量を上記の範囲とすることにより、良好な感度を備え、均一な溶液であって、保存安定性に優れる第2の態様の感光性組成物を調製しやすい。
酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂としては、特に限定されず、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する任意の樹脂を用いることができる。その中でも、ノボラック樹脂(B1)、ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)、及びアクリル樹脂(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。
[ノボラック樹脂(B1)]
ノボラック樹脂(B1)としては、下記式(b1)で表される構成単位を含む樹脂を使用することができる。
Figure 2020075854
上記式(b1)中、R1bは、酸解離性溶解抑制基を示し、R2b、R3bは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。
上記R1bで表される酸解離性溶解抑制基としては、下記式(b2)、(b3)で表される基、炭素原子数1以上6以下の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、ビニルオキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラフラニル基、又はトリアルキルシリル基であることが好ましい。
Figure 2020075854
上記式(b2)、(b3)中、R4b、R5bは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、R6bは、炭素原子数1以上10以下の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を表し、R7bは、炭素原子数1以上6以下の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を表し、oは0又は1を表す。
上記直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。また、上記環状のアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
ここで、上記式(b2)で表される酸解離性溶解抑制基として、具体的には、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、イソブトキシエチル基、tert−ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基等が挙げられる。また、上記式(b3)で表される酸解離性溶解抑制基として、具体的には、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。また、上記トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリ−tert−ブチルジメチルシリル基等の各アルキル基の炭素原子数が1以上6以下のものが挙げられる。
[ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)]
ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)としては、下記式(b4)で表される構成単位を含む樹脂を使用することができる。
Figure 2020075854
上記式(b4)中、R8bは、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R9bは、酸解離性溶解抑制基を表す。
上記炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、例えば炭素原子数1以上6以下の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、環状のアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記R9bで表される酸解離性溶解抑制基としては、上記式(b2)、(b3)に例示したものと同様の酸解離性溶解抑制基を用いることができる。
さらに、ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)は、物理的、化学的特性を適度にコントロールする目的で他の重合性化合物を構成単位として含むことができる。このような重合性化合物としては、公知のラジカル重合性化合物や、アニオン重合性化合物が挙げられる。また、このような重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシ基及びエステル結合を有するメタクリル酸誘導体類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチル等のジカルボン酸ジエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレン等のビニル基含有芳香族化合物類;酢酸ビニル等のビニル基含有脂肪族化合物類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有重合性化合物類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド結合含有重合性化合物類;等を挙げることができる。
[アクリル樹脂(B3)]
アクリル樹脂(B3)としては、下記式(b5)〜(b7)で表される構成単位を含む樹脂を使用することができる。
Figure 2020075854
上記式(b5)〜(b7)中、R10b、及びR14b〜R19bは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、フッ素原子、又は炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のフッ素化アルキル基を表し、R11b〜R13bは、それぞれ独立に炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のフッ素化アルキル基、又は炭素原子数5以上20以下の脂肪族環式基を表し、R12b及びR13bは互いに結合して、両者が結合している炭素原子とともに炭素原子数5以上20以下の炭化水素環を形成してもよく、Yは、置換基を有していてもよい脂肪族環式基又はアルキル基を表し、pは0以上4以下の整数を表し、qは0又は1を表す。
なお、上記直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。また、フッ素化アルキル基とは、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換された基である。
脂肪族環式基の具体例としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。特に、シクロヘキサン、アダマンタンから1個の水素原子を除いた基(さらに置換基を有していてもよい)が好ましい。
上記R12b及びR13bが互いに結合して炭化水素環を形成しない場合、上記R11b、R12b、及びR13bとしては、高コントラストで、解像度、焦点深度幅等が良好な点から、炭素原子数2以上4以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが好ましい。上記R15b、R16b、R18b、R19bとしては、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
上記R12b及びR13bは、両者が結合している炭素原子とともに炭素原子数5以上20以下の脂肪族環式基を形成してもよい。このような脂肪族環式基の具体例としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。特に、シクロヘキサン、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基(さらに置換基を有していてもよい)が好ましい。
さらに、上記R12b及びR13bが形成する脂肪族環式基が、その環骨格上に置換基を有する場合、当該置換基の例としては、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、酸素原子(=O)等の極性基や、炭素原子数1以上4以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。極性基としては特に酸素原子(=O)が好ましい。
上記Yは、脂肪族環式基又はアルキル基であり、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。特に、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基(さらに置換基を有していてもよい)が好ましい。
さらに、上記Yの脂肪族環式基が、その環骨格上に置換基を有する場合、該置換基の例としては、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、酸素原子(=O)等の極性基や、炭素原子数1以上4以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。極性基としては特に酸素原子(=O)が好ましい。
また、Yがアルキル基である場合、炭素原子数1以上20以下、好ましくは6以上15以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが好ましい。このようなアルキル基は、特にアルコキシアルキル基であることが好ましく、このようなアルコキシアルキル基としては、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基等が挙げられる。
上記式(b5)で表される構成単位の好ましい具体例としては、下記式(b5−1)〜(b5−33)で表される構成単位を挙げることができる。
Figure 2020075854
上記式(b5−1)〜(b5−33)中、R20bは、水素原子又はメチル基を表す。
上記式(b6)で表される構成単位の好ましい具体例としては、下記式(b6−1)〜(b6−25)で表される構成単位を挙げることができる。
Figure 2020075854
上記式(b6−1)〜(b6−25)中、R20bは、水素原子又はメチル基を表す。
上記式(b7)で表される構成単位の好ましい具体例としては、下記式(b7−1)〜(b7−15)で表される構成単位を挙げることができる。
Figure 2020075854
上記式(b7−1)〜(b7−15)中、R20bは、水素原子又はメチル基を表す。
さらに、アクリル樹脂(B3)は、上記式(b5)〜(b7)で表される構成単位に対して、さらにエーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含む共重合体からなる樹脂であることが好ましい。
上記エーテル結合を有する重合性化合物としては、エーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体等のラジカル重合性化合物を例示することができ、具体例としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記エーテル結合を有する重合性化合物は、好ましくは、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートである。これらの重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、アクリル樹脂(B3)には、物理的、化学的特性を適度にコントロールする目的で他の重合性化合物を構成単位として含めることができる。このような重合性化合物としては、公知のラジカル重合性化合物や、アニオン重合性化合物が挙げられる。
このような重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシ基及びエステル結合を有するメタクリル酸誘導体類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチル等のジカルボン酸ジエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレン等のビニル基含有芳香族化合物類;酢酸ビニル等のビニル基含有脂肪族化合物類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有重合性化合物類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド結合含有重合性化合物類;等を挙げることができる。
また、重合性化合物としては、酸非解離性の脂肪族多環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、ビニル基含有芳香族化合物類等を挙げることができる。酸非解離性の脂肪族多環式基としては、特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基等が、工業上入手しやすい等の点で好ましい。これらの脂肪族多環式基は、炭素原子数1以上5以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
酸非解離性の脂肪族多環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、具体的には、下記式(b8−1)〜(b8−5)の構成単位を与える(メタ)アクリル酸エステル類を例示することができる。
Figure 2020075854
上記式(b8−1)〜(b8−5)中、R21bは、水素原子又はメチル基を表す。
上記の感光性樹脂の中でも、アクリル樹脂(B3)を用いることが好ましい。このようなアクリル樹脂(B3)の中でも、上記式(b5)で表される構成単位と、(メタ)アクリル酸から誘導された構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類から誘導された構成単位と、(メタ)アクリル酸アリールエステル類から誘導された構成単位とを有する共重合体であることが好ましい。
このような共重合体としては、下記式(b9)で表される共重合体であることが好ましい。
Figure 2020075854
上記式(b9)中、R22bは、水素原子又はメチル基を表し、R23bは、炭素原子数2以上4以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、Xは、それが結合している炭素原子とともに形成された炭素原子数5以上20以下の炭化水素環を表し、R24bは、炭素原子数1以上6以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシアルキル基を表し、R25bは、炭素原子数6以上12以下のアリール基を表す。
さらに、上記式(b9)で表される共重合体において、s、t、u、vはそれぞれの構成単位のモル比を表し、sは8モル%以上45モル%以下であり、tは10モル%以上65モル%以下であり、uは3モル%以上25モル%以下であり、vは6モル%以上25モル%以下である。
感光性樹脂のポリスチレン換算質量平均分子量は、好ましくは10000以上600000以下であり、より好ましくは20000以上400000以下であり、さらに好ましくは30000以上300000以下である。このような質量平均分子量とすることにより、基板表面との剥離性が低下することなく金属酸化物含有膜の十分な強度を保持しやすい。
また、感光性樹脂は、分散度が1.05以上の樹脂であることが好ましい。ここで、分散度とは、質量平均分子量を数平均分子量で除した値のことである。このような分散度とすることにより、所望とするめっきに対する応力耐性等に優れる金属酸化物含有膜を形成しやすい。
樹脂の含有量は、第2の態様の感エネルギー性組成物の全質量に対して5質量%以上60質量%以下とすることが好ましい。
第2の態様の感エネルギー性組成物は、クラック耐性を向上させるため、さらにアルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂(C1)、ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)、及びアクリル樹脂(C3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
[ノボラック樹脂(C1)]
ノボラック樹脂は、例えばフェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
付加縮合反応時の触媒は、特に限定されないが、例えば酸触媒では、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸等が使用される。
なお、o−クレゾールを使用すること、樹脂中の水酸基の水素原子を他の置換基に置換すること、あるいは嵩高いアルデヒド類を使用することにより、ノボラック樹脂の柔軟性を一層向上させることが可能である。
ノボラック樹脂(C1)の質量平均分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、1000以上50000以下であることが好ましい。
[ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)]
ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)を構成するヒドロキシスチレン系化合物としては、p−ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレン等が挙げられる。
さらに、ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)は、スチレン樹脂との共重合体とすることが好ましい。このようなスチレン樹脂を構成するスチレン系化合物としては、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)の質量平均分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、1000以上50000以下であることが好ましい。
[アクリル樹脂(C3)]
アクリル樹脂(C3)としては、エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位、及びカルボキシ基を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含むこと、又は4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等のフェノール性水酸基を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含むことが好ましい。
上記エーテル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体等を例示することができる。上記エーテル結合を有する重合性化合物は、好ましくは、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレートである。これらの重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カルボキシ基を有する重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシ基及びエステル結合を有する化合物;等を例示することができる。上記カルボキシ基を有する重合性化合物は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。これらの重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル樹脂(C3)の質量平均分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、50000以上800000以下であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、上記感光性樹脂とアルカリ可溶性樹脂との合計を100質量部とした場合、0質量部以上80質量部以下が好ましく、0質量部以上60質量部以下がより好ましい。アルカリ可溶性樹脂の含有量を上記の範囲とすることによりクラック耐性を向上させ、現像時の膜減りを防ぐことができる傾向がある。
第2の態様の感エネルギー性樹脂組成物は、感光性組成物からなる膜の引き置き安定性等の向上のため、さらに酸拡散制御剤を含有することが好ましい。酸拡散制御剤としては、含窒素化合物(D1)が好ましく、さらに必要に応じて、有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(D2)を含有させることができる。
[含窒素化合物(D1)]
含窒素化合物(D1)としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリベンジルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3,−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、8−オキシキノリン、アクリジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、2,4,6−トリ(2−ピリジル)−S−トリアジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
含窒素化合物(D1)は、上記感光性樹脂及びアルカリ可溶性樹脂の合計質量100質量部に対して、通常0質量部以上5質量部以下の範囲で用いられ、0質量部以上3質量部以下の範囲で用いられることが特に好ましい。
[有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(D2)]
有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(D2)のうち、有機カルボン酸としては、具体的には、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が好適であり、特にサリチル酸が好ましい。
リンのオキソ酸又はその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸及びそれらのエステルのような誘導体;ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体;ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体;等が挙げられる。これらの中でも、特にホスホン酸が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(D2)は、上記感光性樹脂及び上記アルカリ可溶性樹脂の合計質量100質量部に対して、通常0質量部以上5質量部以下の範囲で用いられ、0質量部以上3質量部以下の範囲で用いられることが特に好ましい。
また、塩を形成させて安定させるために、有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(D2)は、上記含窒素化合物(D1)と同等量を用いることが好ましい。
第2の態様の感エネルギー性組成物は、有機溶剤を含有する。有機溶剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来よりポジ型の感光性樹脂組成物に使用されている有機溶剤から適宜選択して使用することができる。
有機溶剤の具体例としては、第1の態様の感光性組成物において挙げた溶剤の他、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル、モノフェニルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサン等の環式エーテル類;蟻酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、例えばポジ型感光性樹脂組成物の固形分濃度が2質量%以上55質量%以下となる範囲で適宜調整すればよい。感光性組成物を、スピンコート法等により得られる感光性樹脂層の膜厚が10μm以上となるような厚膜用途で用いる場合、感光性樹脂組成物の固形分濃度が30質量%以上55質量%以下となる範囲で、有機溶剤を用いるのが好ましい。
第2の態様の感エネルギー性組成物は、可塑性を向上させるため、さらにポリビニル樹脂を含有していてもよい。ポリビニル樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリヒドロキシスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニル安息香酸、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルフェノール、及びこれらの共重合体等が挙げられる。ポリビニル樹脂は、ガラス転移点の低さの点から、好ましくはポリビニルメチルエーテルである。
また、第2の態様の感エネルギー性組成物は、感光性組成物を用いて形成される金属酸化物含有膜と基板、特に金属基板との接着性を向上させるため、さらに接着助剤を含有していてもよい。
第2の感エネルギー性組成物は、現像液に対する溶解性の微調整を行うため、酸、酸無水物、又は高沸点溶媒をさらに含有していてもよい。
酸及び酸無水物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、安息香酸、桂皮酸等のモノカルボン酸類;乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ桂皮酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、シリンギン酸等のヒドロキシモノカルボン酸類;シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸類;無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス無水トリメリタート、グリセリントリス無水トリメリタート等の酸無水物;等を挙げることができる。
また、高沸点溶媒の具体例としては、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセタート等を挙げることができる。
第2の態様の感エネルギー性組成物は、感度を向上させるため、増感剤をさらに含有していてもよい。
(3)第3の態様の感エネルギー性組成物
第3の態様の感エネルギー性組成物は、ネガ型感光性組成物である。かかるネガ型感光性組成物は、金属酸化物(A)、基材成分(B)としてのフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、酸架橋性物質、光酸発生剤、及び有機溶剤を含有する。
第3の態様の感エネルギー性組成物におけるフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を用いることができる。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位を少なくとも有する。
ここで「ヒドロキシスチレン」とは、ヒドロキシスチレン、及びヒドロキシスチレンのα位に結合する水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体のヒドロキシスチレン誘導体(モノマー)を含む概念とする。
「ヒドロキシスチレン誘導体」は、少なくともベンゼン環とこれに結合する水酸基とが維持されており、例えば、ヒドロキシスチレンのα位に結合する水素原子が、ハロゲン原子、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにヒドロキシスチレンの水酸基が結合したベンゼン環に、さらに炭素原子数1以上5以下のアルキル基が結合したものや、この水酸基が結合したベンゼン環に、さらに1個以上2個以下の水酸基が結合したもの(このとき、水酸基の数の合計は2以上3以下である。)等を包含するものとする。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
なお、「ヒドロキシスチレンのα位」とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
このヒドロキシスチレンに由来する構成単位は、例えば下記式(b−1)で表される。
Figure 2020075854
上記式(b−1)中、Rb1は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基を示し、Rb2は炭素原子数1以上5以下のアルキル基を示し、pは1以上3以下の整数を示し、qは0以上2以下の整数を示す。
b1のアルキル基は、好ましくは炭素原子数1以上5以下である。また、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、工業的にはメチル基が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基としては、上述した炭素原子数1以上5以下のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基である。この中でも、水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。また、直鎖状又は分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等がより好ましく、トリフルオロメチル基(−CF)が最も好ましい。
b1としては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
b2の炭素原子数1以上5以下のアルキル基としては、Rb1の場合と同様の基が挙げられる。
qは0以上2以下の整数である。これらの中でも0又は1であることが好ましく、工業上は特に0であることが好ましい。
b2の置換位置は、qが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、さらに、qが2の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
pは1以上3以下の整数であり、好ましくは1である。
水酸基の置換位置は、pが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよいが、容易に入手可能で低価格であることからパラ位が好ましい。さらに、pが2又は3の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
上記式(b−1)で表される構成単位は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂中、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位の割合は、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を構成する全構成単位に対して60モル%以上100モル%以下であることが好ましく、70モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、80モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましい。上記の範囲内とすることにより、感光性組成物とした際に適度なアルカリ溶解性が得られる。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、スチレンに由来する構成単位をさらに有することが好ましい。
ここで「スチレンに由来する構成単位」とは、スチレン及びスチレン誘導体(但し、ヒドロキシスチレンは含まない。)のエチレン性二重結合が開裂してなる構成単位を包含すると定義される。
「スチレン誘導体」は、スチレンのα位に結合する水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換された誘導体、並びにスチレンのフェニル基の水素原子が、炭素原子数1以上5以下のアルキル基等の置換基に置換されている誘導体等を包含すると定義される。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
なお、「スチレンのα位」とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
このスチレンに由来する構成単位は、例えば下記式(b−2)で表される。式中、Rb1、Rb2、qは上記式(b−1)と同義である。
Figure 2020075854
b1及びRb2としては、上記式(b−1)のRb1及びRb2とそれぞれ同様の基が挙げられる。
qは0以上2以下の整数である。これらの中でも0又は1であることが好ましく、工業上は特に0であることが好ましい。
b2の置換位置は、qが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、さらに、qが2の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
上記式(b−2)で表される構成単位は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂中、スチレンに由来する構成単位の割合は、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を構成する全構成単位に対して40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性組成物とした際に適度なアルカリ溶解性が得られるとともに、他の構成単位とのバランスも良好になる。
なお、ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位やスチレンに由来する構成単位以外の他の構成単位を有していてもよい。より好ましくは、上記ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位のみからなる重合体、あるいはヒドロキシスチレンに由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位とからなる共重合体である。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、1500以上40000以下が好ましく、2000以上8000以下がより好ましい。
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂を用いることもできる。このノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下で付加縮合させることにより得ることができる。
フェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、アルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(アルキル多価フェノール類に含まれるアルキル基の炭素原子数は1以上4以下である);α−ナフトール、β−ナフトール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのフェノール類の中でも、m−クレゾール、p−クレゾールが好ましく、m−クレゾールとp−クレゾールとを併用することがより好ましい。この場合、両者の配合割合を調整することにより、感度等の諸特性を調整することができる。
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類;酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
このようにして得られるノボラック樹脂としては、具体的には、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等が挙げられる。
ノボラック樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、1000以上30000以下が好ましく、3000以上25000以下がより好ましい。
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂等を用いることもできる。
フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、第3の態様の感光性組成物の固形分に対して20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、35質量%以上65質量%以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
第3の態様の感エネルギー性組成物における酸架橋性物質としては、特に限定されず、従来公知の酸架橋性物質を用いることができる。
酸架橋性物質として具体的には、ヒドロキシ基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。これらの酸架橋性物質は、メラミン、尿素、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、スクシニルアミド、エチレン尿素を沸騰水中でホルマリンと反応させてメチロール化、あるいはこれにさらに低級アルコールを反応させてアルコキシル化することにより容易に得られる。実用上は、ニカラックMX−750、ニカラックMW−30、ニカラックMW100LM等のメラミン樹脂、ニカラックMX−290等の尿素樹脂(いずれも三和ケミカル社製)として入手することができる。また、サイメル1123、サイメル1128(三井サイアナッド社製)等のベンゾグアナミン樹脂も市販品として入手することができる。
また、1,3,5−トリス(メトキシメトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメトキシ)ベンゼン等のアルコキシル基を有するベンゼン化合物、2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノール等のヒドロキシ基又はアルコキシル基を有するフェノール化合物等を用いることもできる。
これらの酸架橋性物質は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
酸架橋性物質の含有量は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、10質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性組成物の硬化性、パターニング特性が良好になる。
第3の態様の感エネルギー性組成物における光酸発生剤としては、特に限定されず、従来公知の光酸発生剤を用いることができる。好ましい光酸発生剤としては、第2の感エネルギー性組成物について説明した光酸発生剤が挙げられる。
光酸発生剤の含有量は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に対し0.05質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性組成物の硬化性が良好になる。
第3の態様の感エネルギー性組成物は、上記の通り、金属酸化物(A)を含有する。このため、第3の態様の感エネルギー性組成物を用いて、パターン化された金属酸化物含有膜を形成することができる。
第3の態様の感エネルギー性組成物は、さらに、フェノール性水酸基4個以上を有する分子量2000未満の化合物を含有していてもよい。
このような化合物として具体的には、各種テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノン、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ヘプタヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物の他に、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6‐メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−6−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のヒドロキシアリール系化合物;2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物;分子量2000未満のポリ(o−ヒドロキシスチレン)、ポリ(m−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(α−メチル−p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン)等のポリヒドロキシスチレン系化合物;等が挙げられる。これらのベンゾフェノン系化合物、ヒドロキシアリール系化合物、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物、ポリヒドロキシスチレン系化合物は、水酸基以外の置換基を有していてもよい。
これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
フェノール性水酸基4個以上を有する分子量2000未満の化合物の含有量は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に対し0.5質量部以上5質量部以下であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性組成物をパターニングした際の先細り現象を抑制することができる。
第3の態様の感エネルギー性組成物における有機溶剤としては、第1の態様の感エネルギー性組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第3の態様の感エネルギー性組成物の固形分濃度が1質量%以上50質量%以下である量が好ましく、5質量%以上30質量%以下である量がより好ましい。
第3の態様の感エネルギー性組成物は、第1の態様の感エネルギー性組成物と同様に、必要に応じて、上記の各種添加剤を含有してもよい。
(4)第4の態様の感エネルギー性組成物
第4の態様の感光性組成物は、金属酸化物(A)とともに、エポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂、光酸発生剤、及び有機溶剤を含有するネガ型感光性組成物である。
第4の態様の感光性組成物におけるエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1分子中に1個以上のアルコール性水酸基を有するモノカルボン酸とを反応させて得られる反応物に、さらに多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂を用いることができる。
一分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、例えば、上述のエポキシ樹脂前駆体として挙げたエポキシ化合物、上述のエポキシ基含有樹脂と同様のものが挙げられる。中でも、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビフェニルジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂、共重合型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール、アルキルフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応して得られるノボラック類と、エピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。市販品としては、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1027、EPPN−201、BREN−S(いずれも日本化薬社製);DEN−431、DEN−439(いずれもダウ・ケミカル社製);N−730、N−770、N−865、N−665、N−673、VH−4150(いずれも大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロムビスフェノールA等のビスフェノール類とエピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂や、ビスフェノールAやビスフェノールFのジグリシジルエーテルと上記ビスフェノール類の縮合物とエピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させ得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。市販品としては、エピコート1004、エピコート1002、エピコート4002、エピコート4004(いずれも油化シェルエポキシ社製)等が挙げられる。
トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、トリスフェノールメタンやトリスクレゾールメタンとエピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。市販品としては、EPPN−501、EPPN−502(いずれも日本化薬社製)等が挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂としては、上述の脂環式エポキシ化合物と同様のものが挙げられる。市販品としてはダイセル化学工業社製のセロキサイド2021;三井石油化学工業社製のエポミックVG−3101;油化シェルエポキシ社製のE−1031S、日本曹達社製のEPB−13、EPB−27等が挙げられる。また、共重合型エポキシ樹脂としては、グリシジルメタクリレートとスチレンとα−メチルスチレンとの共重合体である日本油脂社製のCP−50M、CP−50S、あるいはグリシジルメタクリレートとシクロヘキシルマレイミド等との共重合体等が挙げられる。
これらの1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の特に好ましい例としては、例えばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。特に、α−ヒドロキシフェニル−ω−ヒドロポリ(ビフェニルジメチレン−ヒドロキシフェニレン)と1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの重縮合物、及びα−2,3−エポキシプロポキシフェニル−ω−ヒドロポリ{2−(2,3−エポキシプロポキシ)−ベンジリデン−2,3−エポキシプロポキシフェニレン}が好ましい。
1分子中に1個以上のアルコール性水酸基を有するモノカルボン酸としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロールカプロン酸、ヒドロキシピバリン酸等のヒドロキシモノカルボン酸類が挙げられる。これらの中でも、1分子中に1個以上5個以下のアルコール性水酸基を有するモノカルボン酸が好ましい。
多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
上記エポキシ化合物と上記モノカルボン酸との反応は、エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、モノカルボン酸0.1モル以上0.7モル以下が好ましく、0.2モル以上0.5モル以下がより好ましい。この反応では、エポキシ化合物や多塩基酸無水物と反応しない、水酸基やカルボキシ基を持たない、有機溶剤を使用することが好ましい。さらに、反応を促進させるために触媒(例えば、トリフェニルフォスフィン、ベンジルジメチルアミン、トリアルキルアンモニウムクロライド、トリフェニルスチビン等)が使用できる。触媒を使用した場合、特に反応終了後、有機過酸化物等を使用し触媒を不活性化したものは、安定で保存性が良好であり好ましい。反応触媒の使用量は、反応混合物に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、反応温度は60℃以上150℃以下が好ましい。これにより、上記エポキシ化合物と上記モノカルボン酸との反応物を得ることができる。
この反応物と多塩基酸無水物との反応では、最終的に得られるエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂の酸価が50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下となる量の多塩基酸無水物を反応させることが好ましい。反応温度は60℃以上150℃以下が好ましい。このようにしてエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂を得ることができる。
これらのエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂の含有量は、第4の態様の感エネルギー性組成物の固形分に対して30質量%以上80質量%以下であることが好ましく、40質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、塗膜形成能を向上させることができる。
第4の態様の感エネルギー性組成物における光酸発生剤としては、第2の態様の感光性組成物において例示した光酸発生剤が挙げられる。
光酸発生剤の含有量は、第4の態様の感エネルギー性組成物の固形分に対して0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性組成物の硬化性が良好になる。
第4の態様の感エネルギー性組成物は、さらに、耐湿性、耐熱性、密着性等を調整するための改質成分を含有していてもよい。この改質成分は、それ自身が熱や紫外線等により硬化してもよく、熱や紫外線等によりエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂の残存水酸基やカルボキシ基等と反応してもよい。具体的には、1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、メラミン誘導体(例えば、ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキシ化メラミン、縮合ヘキサメトキシメラミン等)、ビスフェノールA系化合物(例えば、テトラメチロールビスフェノールA等)、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、エピコート1009、1031(いずれも油化シェル社製)、エピクロンN−3050、N−7050(いずれも大日本インキ化学工業社製)、DER−642U、DER−673MF(いずれもダウケミカル社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;ST−2004、ST−2007(いずれも東都化成社製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;YDF−2004、YDF−2007(いずれも東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;SR−BBS、SR−TBA−400(いずれも坂本薬品工業社製)、YDB−600、YDB−715(いずれも東都化成社製)等の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂;EPPN−201、EOCN−103、EOCN−1020、BREN(いずれも日本化薬社製)等のノボラック型エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製のエピクロンN−880等のビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製のエピクロンTSR−601やエー・シー・アール社製のR−1415−1等のゴム変性エポキシ樹脂;日本化薬社製のEBPS−200や大日本インキ化学工業社製のエピクロンEXA−1514等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;日本油脂社製のプレンマーDGT等のジグリシジルテレフタレート;日産化学社製のTEPIC等のトリグリシジルイソシアヌレート;油化シェル社製のYX−4000等のビキシレノール型エポキシ樹脂;油化シェル社製のYL−6056等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021等の脂環式エポキシ樹脂;等が挙げられる。
改質成分の含有量は、第4の態様の感エネルギー性組成物の固形分に対して50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
第4の態様の感エネルギー性組成物は、さらに、第1の態様の感エネルギー性組成物と同様に、着色剤を含有してもよい。
第4の態様の感エネルギー性組成物における有機溶剤としては、第1の態様の感光性組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第4の態様の感エネルギー性組成物の固形分濃度が1質量%以上50質量%以下となる量が好ましく、5質量%以上30質量%以下となる量がより好ましい。
(5)第5の態様の感エネルギー性組成物
第5の態様の感エネルギー性組成物は、金属酸化物(A)と、基材成分(B)としての前述の式(b−01)で表される硬化性化合物と、硬化剤とを含む硬化性組成物である。
硬化性化合物は、式(b−01)で表される化合物であり、芳香環を含む縮合多環式骨格を主骨格として有し、且つ、重合性基を有する。
感エネルギー性組成物が式(b−01)で表される化合物のような芳香環を含む化合物を含有する場合、金属酸化物(A)が感エネルギー性組成物中で良好に分散しにくい場合がある。
感エネルギー性組成物中で金属酸化物(A)の凝集等の分散不良が生じる場合、硬化物にクラックが生じる場合がある。しかし、感エネルギー性組成物が、硬化性化合物として式(b−01)で表される化合物とともに、前述の表面修飾金属酸化物微粒子を含む金属酸化物(A)を含む場合、上記のクラックの問題が生じにくい。
以下、第5の態様の感エネルギー性組成物としての硬化性組成物が含む、式(b−01)で表される硬化性化合物以外の、必須、又は任意の成分について説明する。
硬化性化合物は、前述の式(b−01)で表される化合物以外のカチオン重合性の化合物を含んでいてもよい。硬化性化合物における、前述の式(a1)で表される化合物の量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらにより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
硬化性化合物は、式(b−01)で表される化合物以外のカチオン重合性の化合物を含んでいてもよく、例えば、ビニルオキシ基を含むビニルエーテル化合物、エポキシ基を含むエポキシ化合物、エピスルフィド基を含むエピスルフィド化合物、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物が挙げられる。また、硬化物の屈折率の調整の目的等で、上記式(b−01)で表される化合物のW01とW02との双方がR03として水素原子を有する化合物を組み合わせてもよい。当該化合物の式(b−02)における、環Z01、X01、R01、R02、Mは式(b−01)で表される化合物と同様である。
以下、ビニルエーテル化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、及びラジカル重合性化合物について説明する。
(ビニルエーテル化合物)
式(b−01)で表される化合物とともに用いることができるビニルエーテル化合物は、ビニルオキシ基を有し、カチオン重合可能な化合物であれば特に限定されない。
式(b−01)で表される化合物と併用されるビニルエーテル化合物は、芳香族基を含んでいてもよく、芳香族基を含んでいなくてもよい。
硬化物の透明性の点からは、式(b−01)で表される化合物と併用されるビニルエーテル化合物は、芳香族基を含まない脂肪族ビニルエーテル化合物であるのが好ましい。
硬化物の耐熱分解性が良好である点からは、式(b−01)で表される化合物と併用されるビニルエーテル化合物は、芳香族基に結合するビニルオキシ基を有する化合物であるのが好ましい。
式(b−01)で表される化合物とともに用いることができるビニルエーテル化合物の好適な具体例としては、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、N−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテルオクタデシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、及びシクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルビニルフェニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル化合物、4−ビニロキシトルエン、3−ビニロキシトルエン、2−ビニロキシトルエン、1−ビニロキシ−4−クロロベンゼン、1−ビニロキシ−3−クロロベンゼン、1−ビニロキシ−2−クロロベンゼン、1−ビニロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシ−2,4−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシ−3,4−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシ−3,5−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシナフタレン、2−ビニロキシナフタレン、2−ビニロキシフルオレン、3−ビニロキシフルオレン、4−ビニロキシ−1,1’−ビフェニル、3−ビニロキシ−1,1’−ビフェニル、2−ビニロキシ−1,1’−ビフェニル、6−ビニロキシテトラリン、及び5−ビニロキシテトラリン等の芳香族モノビニルエーテル化合物;1,4−ジビニロキシベンゼン、1,3−ジビニロキシベンゼン、1,2−ジビニロキシベンゼン、1,4−ジビニロキシナフタレン、1,3−ジビニロキシナフタレン、1,2−ジビニロキシナフタレン、1,5−ジビニロキシナフタレン、1,6−ジビニロキシナフタレン、1,7−ジビニロキシナフタレン、1,8−ジビニロキシナフタレン、2,3−ジビニロキシナフタレン、2,6−ジビニロキシナフタレン、2,7−ジビニロキシナフタレン、1,2−ジビニロキシフルオレン、3,4−ジビニロキシフルオレン、2,7−ジビニロキシフルオレン、4,4’−ジビニロキシビフェニル、3,3’−ジビニロキシビフェニル、2,2’−ジビニロキシビフェニル、3,4’−ジビニロキシビフェニル、2,3’−ジビニロキシビフェニル、2,4’−ジビニロキシビフェニル、及びビスフェノールAジビニルエーテル等の芳香族ジビニルエーテル化合物が挙げられる。
これらの、ビニルエーテル化合物は、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
(エポキシ化合物)
式(b−01)で表される化合物とともに用いることができるエポキシ化合物の例としては、基材成分(B)について前述した、熱硬化性材料としてのエポキシ樹脂前駆体と同様のエポキシ化合物が挙げられる。
(エピスルフィド化合物)
エピスルフィド化合物の種類は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されない。好ましいエピスルフィド化合物としては、前述のエポキシ化合物について、エポキシ基中の酸素原子を硫黄原子に置換した化合物が挙げられる。
(ラジカル重合性化合物)
ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を用いることができる。このエチレン性不飽和基を有する化合物には、単官能化合物と多官能化合物とがある。
単官能化合物としては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
一方、多官能化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物)、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能化合物や、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのエチレン性不飽和基を有する化合物の中でも、硬化物の基材への密着性、硬化性組成物の硬化後の強度を高める傾向にある点から、3官能以上の多官能化合物が好ましく、4官能以上の多官能化合物がより好ましく、5官能以上の多官能化合物がさらに好ましい。
第5の態様の感エネルギー性組成物における、硬化性化合物の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。第5の態様の感エネルギー性組成物における硬化性化合物の含有量は、溶剤を除く他の成分全体の質量に対して、3質量%以上95質量%以下が好ましく、5質量%以上90質量%以下がより好ましく、10質量%以上85質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上80質量%以下が特に好ましい。
第5の態様の感エネルギー性組成物における金属酸化物(A)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。硬化物についての高屈折率と、良好な屈曲性とを両立させやすい点から、典型的には、硬化性化合物と金属酸化物(A)の質量比が、1:99〜95:5であるのが好ましく、5:95〜90:10であるのがより好ましく、10:90〜85:15であるのがさらにより好ましく、30:70〜80:20であるのが特に好ましい。また溶剤を除いた硬化性組成物の質量に対して、例えば、5質量%以上95質量%以下が好ましく、10質量%以上93質量%以下がより好ましく、15質量%以上90質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上80質量%以下が特に好ましい。
(硬化剤)
硬化性組成物は、硬化促進の観点から硬化剤を含む。硬化剤は単独で用いても複数種を混合して用いてもよい。
上記硬化剤としては、硬化性組成物がカチオン硬化型又はアニオン硬化型である観点から、カチオン重合開始剤、又はアニオン重合開始剤であることが好ましく、カチオン重合開始剤であることがより好ましい。
・オニウム塩(B01)
好ましいカチオン重合開始剤としては、下記式(bi)で表されるアニオン部を有する含ガリウムオニウム塩や、下記式(bii)で表されるアニオン部を有する含ホウ素オニウム塩が挙げられる。
下記式(bi)で表されるアニオン部を有する含ガリウムオニウム塩と、下記式(bii)で表されるアニオン部を有する含ホウ素オニウム塩との総称として、「オニウム塩(B01)」とも記す。
カチオン重合開始剤は、硬化性の観点から、下記式(ai)で表されるアニオン部を有する含ガリウムオニウム塩及び下記式(aii)で表されるアニオン部を有する含ホウ素オニウム塩の両者をを含むのも好ましい。
Figure 2020075854
(式(bi)中、Rb01、Rb02、Rb03及びRb04は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基であり、Rb01、Rb02、Rb03、及びRb04のうちの少なくとも1つが置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。)
Figure 2020075854
(式(bii)中、Rb05、Rb06、Rb07、及びRb08は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基であり、Rb05、Rb06、Rb07、及びRb08のうちの少なくとも1つが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)
式(bi)で表されるアニオン部を有する含ガリウムオニウム塩や、式(bii)で表されるアニオン部を有する含ホウ素オニウム塩について、記式(bi)や式(bii)で表されるアニオンに対する対カチオン(カチオン部)は、硬化性組成物が良好に硬化する限りにおいて特に限定されない。カチオン部としては、下記式(biv):
(Rb09T+1−Rb010+・・・(biv)
(式(biv)中、Rb09は、1価の有機基である。Rb010は、元素周期律表(IUPAC表記法)の15族〜17族で原子価Tの元素である。Tは1以上3以下の整数である。複数のRb09は同一でも異なっていてもよく、複数のRb09が結合してRb010とともに環を形成してもよい。)
式(bi)中のRb01〜Rb04としての炭化水素基又は複素環基の炭素原子数は特に限定されないが、1以上50以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、1以上20以下が特に好ましい。
b01〜Rb04としての炭化水素基の具体例としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及びアラルキル基等が挙げられる。
前述の通り、Rb01〜Rb04のうちの少なくとも1つは置換基を有してもよい芳香族基であり、Rb01〜Rb04の3つ以上が置換基を有してもよい芳香族基であることがより好ましく、Rb01〜Rb04の全てが置換基を有してもよい芳香族基であることが特に好ましい。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基としては、炭素原子数1以上18以下のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3以上18以下のハロゲン化脂肪族環式基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、炭素原子数1以上18以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、炭素原子数2以上19以下の脂肪族アシル基、炭素原子数7以上15以下の芳香族アシル基、炭素原子数2以上19以下の脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数7以上15以下の芳香族アシルオキシ基、炭素原子数1以上18以下のアルキルチオ基、炭素原子数6以上14以下のアリールチオ基、窒素原子に結合する1又は2の水素原子が炭素原子数1以上18以下の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基、及びハロゲン原子が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基が芳香族炭化水素基である場合、当該芳香族炭化水素基は、炭素原子数1以上18以下のアルキル基、炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、及び炭素原子数2以上18以下のアルキニル基からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。
b01〜Rb04としての炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されず,1であっても2以上の複数であってもよい。置換基の数が複数である場合、当該複数の置換基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
b01〜Rb04がアルキル基である場合の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、及び1,1,3,3−テトラメチルブチル基等の分岐鎖アルキル基が挙げられる。
b01〜Rb04がアルケニル基、又はアルキニル基である場合の好適な例としては、アルキル基として好適な上記の基に対応するアルケニル基、及びアルキニル基が挙げられる。
b01〜Rb04が芳香炭化水素基である場合の好適な例としては、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
b01〜Rb04が脂環式炭化水素基である場合の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、及びシクロデシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、及びピナニル基等の架橋式脂肪族環式炭化水素基が挙げられる。
b01〜Rb04がアラルキル基である場合の好適な例としては、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等が挙げられる。
b01〜Rb04が複素環基である場合の好適な例としては、チエニル基、フラニル基、セレノフェニル基、ピラニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、キサンテニル基、チアントレニル基、フェノキサジニル基、フェノキサチイニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、ジベンゾチエニル基、キサントニル基、チオキサントニル基、及びジベンゾフラニル基等が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基の好ましい例としては、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、1,1−ジフルオロ−n−プロピル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、及びパーフルオロ−n−オクチル基等の直鎖ハロゲン化アルキル基;ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘキサクロロイソプロピル基、ヘキサフルオロイソブチル基、及びノナフルオロ−tert−ブチル基等の分岐鎖ハロゲン化アルキル基が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がハロゲン化脂肪族環式基である場合、ハロゲン化脂肪族環式基の好ましい例としては、ペンタフルオロシクロプロピル基、ノナフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシル基、及びパーフルオロアダマンチル基等が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の好ましい例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、及びn−オクタデシルオキシ基等の直鎖アルコキシ基;イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、及び1,1,3,3−テトラメチルブチルオキシ基等の分岐鎖アルコキシ基が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がアリールオキシ基である場合、アリールオキシ基の好ましい例としては、フェノキシ基、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、ビフェニル−4−イルオキシ基、ビフェニル−3−イルオキシ基、ビフェニル−2−イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基が脂肪族アシル基である場合、脂肪族アシル基の好ましい例としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、及びオクタノイル基等が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基が芳香族アシル基である場合、芳香族アシル基の好ましい例としては、ベンゾイル基、α−ナフトイル基、β−ナフトイル基、ビフェニル−4−イルカルボニル基、ビフェニル−3−イルカルボニル基、ビフェニル−2−イルカルボニル基、アントリルカルボニル基、及びフェナントリルカルボニル基等が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基が脂肪族アシルオキシ基である場合、脂肪族アシルオキシ基の好ましい例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、及びオクタノイルオキシ基等が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基が芳香族アシルオキシ基である場合、芳香族アシルオキシ基の好ましい例としては、ベンゾイルオキシ基、α−ナフトイルオキシ基、β−ナフトイルオキシ基、ビフェニル−4−イルカルボニルオキシ基、ビフェニル−3−イルカルボニルオキシ基、ビフェニル−2−イルカルボニルオキシ基、アントリルカルボニルオキシ基、及びフェナントリルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がアルキルチオ基、又はアリールチオ基である場合、アルキルチオ基、又はアリールチオ基の好ましい例としては、前述のアルコキシ基、又はアリールオキシ基として好適な基における酸素原子を硫黄原子に置換した基が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基が炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基である場合、炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基の好適な例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、及びピペリジノ基等が挙げられる。
b01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がハロゲン原子である場合、ハロゲン原子の好適な例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
以上説明した、Rb01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基の中では、式(bi)で表されるアニオン部を有する含ガリウムオニウム塩のカチオン重合開始剤としての活性が高い点で、炭素原子数1以上8以下のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、及びシアノ基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のフッ素化アルキル基がより好ましい。
式(bii)中のRb05〜Rb08としては、式(bi)中のRb01〜Rb04について前述した基と同様の基が挙げられる。
カチオン部である式(biv)中のRb09はRb010に結合している有機基である。Rb09が複数存在する場合の複数のRb09は同一であっても異なってもよい。Rb09としては、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下の芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上18以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、及び置換基を有してもよい炭素原子数2以上18以下のアルキニル基が挙げられる。式(biv)で表されるカチオンをカチオン部として有する感光性硬化剤の場合は、Rb09としては、炭素原子数6以上14以下の芳香族炭化水素基、炭素原子数1以上18以下のアルキル基、炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、及び炭素原子数2以上18以下のアルキニル基が好ましい。
b09としての、芳香族炭化水素基、アラルキル基、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基が有してもよい置換基としては、炭素原子数1以上18以下のアルキル基、炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、炭素原子数2以上18以下のアルキニル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、炭素原子数1以上18以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、炭素原子数2以上19以下の脂肪族アシル基、炭素原子数7以上15以下の芳香族アシル基、炭素原子数2以上19以下の脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数7以上15以下の芳香族アシルオキシ基、炭素原子数1以上18以下のアルキルチオ基、炭素原子数6以上14以下のアリールチオ基、窒素原子に結合する1又は2の水素原子が炭素原子数1以上18以下の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基、及びハロゲン原子が挙げられる。
これらの置換基の好適な例は、式(bi)中のRb01〜Rb04としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基の好適な例と同様である。
式(biv)において、Rb09が複数存在する場合、複数のRb09はRb010とともに環を形成してもよい。複数のRb09と、Rb010とが形成する環は、その間構造中に、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−CO−、−COO−、及び−CONH−からなる群より選択される1以上の結合を含んでいてもよい。
式(biv)中のRb010は、元素周期律表(IUPAC表記法)の15族〜17族で原子価Tの元素である。Tは1以上3以下の整数である。なお、Rb010としての、元素周期律表(IUPAC表記法)の15族〜17族の元素は、硬化性組成物の製造条件下、及び保管条件下、金属酸化物含有膜の形成条件下において、安定に存在し得る元素である。
b010は、有機基Rb09と結合してオニウムイオン[Rb010+]を形成する。元素周期律表(IUPAC表記法)の15族〜17族の元素のうち、Ra10として好ましい元素は、O(酸素)、N(窒素)、P(リン)、S(硫黄)、又はI(ヨウ素)である。対応するオニウムイオンとしては、オキソニウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、及びヨードニウムイオンである。中でも、安定で取り扱いが容易な、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、及びヨードニウムイオンが好ましく、カチオン重合性能や架橋反応性能に優れる点で、スルホニウムイオン、及びヨードニウムイオンがより好ましい。
オキソニウムイオンの具体例としては、トリメチルオキソニウム、ジエチルメチルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、テトラメチレンメチルオキソニウム等のオキソニウム;4−メチルピリリニウム、2,4,6−トリメチルピリリニウム、2,6−ジ−tert−ブチルピリリニウム、2,6−ジフェニルピリリニウム等のピリリニウム;2,4−ジメチルクロメニウム、1,3−ジメチルイソクロメニウム等のクロメニウム、及びイソクロメニウムが挙げられる。
アンモニウムイオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、及びテトラエチルアンモニウム等テトラアルキルアンモニウム;N,N−ジメチルピロリジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、及びN,N−ジエチルピロリジニウム等のピロリジニウム;N,N’−ジメチルイミダゾリニウム、N,N’−ジエチルイミダゾリニウム、N−エチル−N’−メチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、及び1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム等のイミダゾリニウム;N,N’−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム等のテトラヒドロピリミジニウム;N,N’−ジメチルモルホリニウム等のモルホリニウム;N,N’−ジエチルピペリジニウム等のピペリジニウム;N−メチルピリジニウム、N−ベンジルピリジニウム、及びN−フェナシルピリジウム等のピリジニウム;N,N’−ジメチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム;N−メチルキノリウム、N−ベンジルキノリウム、及びN−フェナシルキノリウム等のキノリウム;N−メチルイソキノリウム等のイソキノリウム;ベンジルベンゾチアゾニウム、及びフェナシルベンゾチアゾニウム等のチアゾニウム;ベンジルアクリジウム、及びフェナシルアクリジウム等のアクリジウムが挙げられる。
ホスホニウムイオンの具体例としては、テトラフェニルホスホニウム、テトラ−p−トリルホスホニウム、テトラキス(2−メトキシフェニル)ホスホニウム、テトラキス(3−メトキシフェニル)ホスホニウム、及びテトラキス(4−メトキシフェニル)ホスホニウム等のテトラアリールホスホニウム;トリフェニルベンジルホスホニウム、トリフェニルフェナシルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、及びトリフェニルブチルホスホニウム等のトリアリールホスホニウム;トリエチルベンジルホスホニウム、トリブチルベンジルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、トリエチルフェナシルホスホニウム、及びトリブチルフェナシルホスホニウム等のテトラアルキルホスホニウム等が挙げられる。
スルホニウムイオンの具体例としては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、トリ−o−トリルスルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、1−ナフチルジフェニルスルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、トリ−1−ナフチルスルホニウム、トリ−2−ナフチルスルホニウム、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(p−トリルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−(4−メトキシフェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム、[4−(2−チオキサントニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、ビス{4−[ビス(4−メチルフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、ビス{4−[ビス(4−メトキシフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム、2−[(ジ−p−トリル)スルホニオ]チオキサントン、2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)チオフェニル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルフェニルスルホニウム、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジフェニルスルホニウム、4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジフェニルスルホニウム、5−(4−メトキシフェニル)チアアンスレニウム、5−フェニルチアアンスレニウム、5−トリルチアアンスレニウム、5−(4−エトキシフェニル)チアアンスレニウム、及び5−(2,4,6−トリメチルフェニル)チアアンスレニウム等のトリアリールスルホニウム;ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジフェニル4−ニトロフェナシルスルホニウム、ジフェニルベンジルスルホニウム、及びジフェニルメチルスルホニウム等のジアリールスルホニウム;フェニルメチルベンジルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4−メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニル(2−ナフチルメチル)メチルスルホニウム、2−ナフチルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、フェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−メトキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、2−ナフチルメチルフェナシルスルホニウム、2−ナフチルオクタデシルフェナシルスルホニウム、及び9−アントラセニルメチルフェナシルスルホニウム等のモノアリールスルホニウム;ジメチルフェナシルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ベンジルテトラヒドロチオフェニウム、及びオクタデシルメチルフェナシルスルホニウム等のトリアルキルスルホニウム等が挙げられる。
また、オニウム塩(B01)は、上記式(bi)又は式(bii)で表されるアニオンであるアニオン部と、後述する式(c1)で表されるスルホニウムイオンであるカチオン部とからなるスルホニウム塩を含むことも好ましい。
ヨードニウムイオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウム、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、及び4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム等のヨードニウムイオンが挙げられる。
以上説明した式(b0i)で表されるアニオンの好適な具体例としては、
テトラキス(4−ノナフルオロビフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(1−ヘプタフルオロナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2−ノナフェニルビフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2−ヘプタフルオロナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(7−ノナフルオロアントリル)ガリウムアニオン、
テトラキス(4’−(メトキシ)オクタフルオロビフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2−イソプロポキシ−ヘキサフルオロナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(9,10−ビス(ヘプタフルオロプロピル)ヘプタフルオロアントリル)ガリウムアニオン、
テトラキス(9−ノナフルオロフェナントリル)ガリウムアニオン、
テトラキス(4−[トリ(イソプロピル)シリル]−テトラフルオロフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(9,10−ビス(p−トリル)−ヘプタフルオロフェナントリル)ガリウムアニオン、
テトラキス(4−[ジメチル(tert−ブチル)シリル]−テトラフルオロフェニル)ガリウムアニオン、
モノフェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ガリウムアニオン、及び
モノパーフルオロブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ガリウムアニオン等が挙げられ、より好ましくは、以下のアニオンが挙げられる。
Figure 2020075854
また、式(bii)で表されるアニオン部の好適な具体例としては、
テトラキス(4−ノナフルオロビフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(1−ヘプタフルオロナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2−ノナフェニルビフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2−ヘプタフルオロナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(7−ノナフルオロアントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(4’−(メトキシ)オクタフルオロビフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2,3−ビス(ペンタフルオロエチル)ナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2−イソプロポキシ−ヘキサフルオロナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(9,10−ビス(ヘプタフルオロプロピル)ヘプタフルオロアントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(9−ノナフルオロフェナントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(4−[トリ(イソプロピル)シリル]−テトラフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(9,10−ビス(p−トリル)−ヘプタフルオロフェナントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(4−[ジメチル(tert−ブチル)シリル]−テトラフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
モノフェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン、及び
モノパーフルオロブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン等が挙げられ、より好ましくは、以下のアニオンが挙げられる。
Figure 2020075854
以上説明した式(biv)で表されるカチオン部の好適な具体例としては、
4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、
4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム等のヨードニウムイオン;
[4−(2−チオキサントニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、
2−[(ジ−p−トリル)スルホニオ]チオキサントン、
2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、
4−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)チオフェニル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルフェニルスルホニウム等のチオキサントン骨格含有スルホニウムイオン;
後述の式(biii)で表されるカチオン部;
後述の式(c01)で表されるカチオン部;
その他、以下に示すスルホニウムイオン;が挙げられる。
Figure 2020075854
上述したように、カチオン部が下記式(biii)で表されるカチオン部を有する態様も好ましい。カチオン重合開始剤としてのオニウム塩が、式(biii)で表されるカチオン部を有すると、オニウム塩が、感熱性硬化剤として機能し得る。
Figure 2020075854
(式(biii)中、RB01は、1価の有機基であり、Dは、元素周期律表(IUPAC表記法)の15族〜17族で原子価がuの元素であり、RB02は、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基である。ただし、RB02が置換基を有していてもよいアルキル基の場合、RB01の少なくとも1つは置換基を有していてもよいアルキル基である。uは1以上3以下の整数であり、複数のRB01は同一でも異なっていてもよく、複数のRB01が結合してDとともに環を形成していてもよい。)
式(biii)中のDは、元素周期律表(IUPAC表記法)の15族〜17族で原子価uの元素である。なお、Dは、式(biv)中のRb010と同様である。
Dは、有機基RB01、及びRB02で置換されてもよいベンジル基と結合してオニウムイオンを形成する。元素周期律表(IUPAC表記法)の15族〜17族の元素のうち好ましいのは、S(硫黄)、N(窒素)、I(ヨウ素)、P(リン)である。対応するオニウムイオンとしては、スルホニウムイオン、アンモニウムイオン、ヨードニウムイオン、及びホスホニウムイオンであり、これらは、安定で取り扱いが容易なため好ましい。カチオン重合性能や架橋反応性能に優れる点で、スルホニウムイオン、及びヨードニウムイオンがより好ましい。
式(biii)中、RB01はDに結合している有機基を表し、RB01が複数存在する場合の複数のRB01は同一であっても異なってもよい。RB01としては、炭素原子数6以上14以下の芳香族炭化水素基、炭素原子数1以上18以下のアルキル基、炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、及び炭素原子数2以上18以下のアルキニル基が挙げられる。
B01としての芳香族炭化水素基、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基としては、式(biv)中のRb09について前述したものと同様のものが挙げられる。RB01が芳香族炭化水素基の場合、置換基を有していてもよく、当該置換基としては、水酸基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、式(biii)において、RB01が複数存在する場合、複数のRB01はDとともに環を形成してもよい。複数のRB01と、Dとが形成する環は、その間構造中に、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−CO−、−COO−、及び−CONH−からなる群より選択される以上の結合を含んでいてもよい。
式(biii)中、RB02としてのアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基及びn−オクタデシル基等の炭素原子数1以上18以下の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基及びイソオクタデシル基等の炭素原子数3以上18以下の分枝鎖アルキル基、及び、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及び4−デシルシクロヘキシル基等の炭素原子数3以上18以下のシクロアルキル基等が挙げられる。式(biii)中、RB02が置換基を有していてもよいアルキル基である場合は、前記RB01の少なくとも1つは置換基を有していてもよいアルキル基である。
式(biii)中、RB02としてのアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等の、炭素原子数6以上10以下のアリール基で置換されている炭素原子数1以上4以下のアルキル基等が挙げられる。
式(biii)中、RB02としての置換基を有するアラルキル基の具体例としては、2−メチルベンジル基等の、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下のアリール基で置換されている炭素原子数1以上4以下のアルキル基等が挙げられる。
式(biii)中、RB02は置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、下記式(biii−1)で表されるカチオン部であることがより好ましい。
Figure 2020075854
(式(biii−1)中、RB01、D、uは、前記式(biii)と同様である。RB03は、1価の有機基であり、vは0以上5以下の整数であり、複数のRB03は同一でも異なっていてもよい。)
式(biii−1)中、RB03としての1価の有機基としては、アルキル基が好ましく、式(biii)のRB02で挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。vは0又は1であることが好ましい。
式(biii)又は式(biii−1)で表されるカチオン部の具体例を挙げる。下記具体例におけるD’は、S原子又はSe原子であり、好ましくはS原子である。
Figure 2020075854
式(biii)又は式(biii−1)で表されるカチオン部の対アニオンとしては、後述の式(c01)で表されるカチオン部の対アニオンと同様のものが挙げられるが、好ましくは、式(bi)で表されるアニオン部又は式(bii)で表されるアニオン部であり、式(bi)で表されるアニオン部がより好ましい。
オニウム塩(B01)としては、式(bi)又は式(bII)で表されるアニオンの好適な具体例として示された上記のアニオンと、式(biv)で表される対カチオンの好適な具体例として示された上記のカチオンとからなる塩が好ましい。式(b0iv)で表される対カチオンの好適な具体例は2種以上組み合わせてもよい。
オニウム塩(B01)の含有量は、オニウム塩(B01)、及び後述する他のカチオン重合開始剤(B02)の総量に対して10質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらにより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
かかる範囲内の量のカチオン重合開始剤を用いることにより、屈折率及び黄変耐性に優れ、耐熱性(耐熱分解性)及び基板への密着性も良好である金属酸化物含有膜を形成しやすい。
・オニウム塩(B01)とは異なる他のカチオン重合開始剤(B02)
カチオン重合開始剤は、オニウム塩(B01)とは異なる他のカチオン重合開始剤(B02)(以下、単に「他のカチオン重合開始剤(B02)」ともいう。)を、オニウム塩(B01)とともに、又は単独で含んでいてもいなくてもよい。
硬化性組成物は、オニウム塩(B01)とともに、他のカチオン重合開始剤(B02)を含むことにより、屈折率及び黄変耐性に優れ、耐熱性(耐熱分解性)及び基板への密着性も良好である金属酸化物含有膜を形成しやすい。
他のカチオン重合開始剤(B02)は、熱カチオン重合開始剤(B02−1)であっても、光カチオン重合開始剤(B02−2)であってもよく、光カチオン重合開始剤(B02−2)であることが好ましい。以下、熱カチオン重合開始剤(B02−1)及び光カチオン重合開始剤(B02−2)について説明する。
・熱カチオン重合開始剤(B02−1)
熱カチオン重合開始剤(B02−1)としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、及びジフェニル−p−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。これらは2種以上組み合わせて使用されてもよい。
市販の熱カチオン重合開始剤としては、例えば、AMERICUREシリーズ(アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(アデカ社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)等のジアゾニウム塩型の開始剤;UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、及びWPIシリーズ(和光純薬社製)等のヨードニウム塩型の開始剤;CYRACUREシリーズ(ユニオンカーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サートマー社製)、オプトマーSPシリーズ(アデカ社製)、オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)等のスルホニウム塩型の開始剤等が挙げられる。
熱カチオン重合開始剤(B02−1)は、カチオン部とアニオン部とからなり、上記カチオン部が下記式(c0−I)で表されるカチオンである化合物を含むことが好ましい。かかる熱カチオン重合開始剤(B02−1)を用いることにより、前述の(A)硬化性化合物が良好に硬化し屈折率及び黄変耐性に優れる硬化物を形成でき、また、耐熱性(耐熱分解性)及び基板への密着性も良好である硬化性組成物を得やすい。
Figure 2020075854
(式(c0−I)中、Rc01、Rc02、及びRc03は、それぞれ独立に炭素原子数が1以上6以下であるアルキル基である。)
式(c0−I)において、Rc01、Rc02、及びRc03としてのアルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、及びn−ヘキシル基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Rc01、Rc02、及びRc03が全てメチル基であるのが特に好ましい。
つまり、式(c0−I)で表されるカチオンとしては、下記式(c0−II)で表されるカチオンが好ましい。
Figure 2020075854
式(c0−I)で表されるカチオンへの対アニオンとしては、例えば、AsF 、SbF 、PF 、及び((CB)等が挙げられる。これらの中では、((CB)が好ましい。なお、「C」は、ペンタフルオロフェニル基を表す。
上記式(c0−I)で表されるカチオン部とアニオン部とからなる化合物として、市販品として入手可能な化合物を用いることができる。市販品としては、例えば、CXC−1821(King Industries社製)等が挙げられる。
式(c0−I)で表されるカチオンからなるカチオン部と、アニオン部とからなる化合物の好適な具体例としては、式(c0−II)で表されるカチオンと、AsF とからなる四級アンモニウム塩、式(c0−II)で表されるカチオンと、SbF とからなる四級アンモニウム塩、式(c0−II)で表されるカチオンと、PF とからなる四級アンモニウム塩、及び式(c0−II)で表されるカチオンと、((CB)とからなる四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの中では、式(c0−II)で表されるカチオンと、((CB)とからなる四級アンモニウム塩がより好ましい。
式(c0−I)で表されるカチオンからなるカチオン部と、アニオン部とからなる化合物は、1種を単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
熱カチオン重合開始剤(B02−1)における、上記式(c0−I)で表されるカチオン部とアニオン部とからなる化合物の量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらにより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
第5の態様の感エネルギー性組成物としての硬化性組成物における熱カチオン重合開始剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。硬化性組成物における熱カチオン重合開始剤の含有量は、硬化性化合物を100質量部として0.01質量部以上30質量部以下が好ましく、0.1質量部以上10質量部以下がより好ましく、0.3質量部以上5質量部以下が特に好ましい。
かかる範囲内の量の熱カチオン重合開始剤を用いることにより、耐熱性(耐熱分解性)と、基板等への密着性とが良好である金属酸化物含有膜を形成でき、硬化性が良好である硬化性組成物を得やすい。
・光カチオン重合開始剤(B02−2)
光カチオン重合開始剤(B02−2)としては、カチオン重合性の硬化性組成物を光硬化させるために使用されているオニウム塩(B01)以外の重合開始剤を特に制限なく用いることができる。光カチオン重合開始剤(B02−2)の好適な例としては、ヨードニウム塩と、スルホニウム塩とが挙げられる。
ヨードニウム塩の具体例としては、例えばジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤(B02−2)としては、スルホニウム塩が好ましい。スルホニウム塩の中では、下記式(c01)で表されるカチオンからなるカチオン部と、アニオン部とからなるスルホニウム塩(以下、「スルホニウム塩(Q)」とも記す。また、オニウム塩(B01)が下記式(c01)で表されるカチオンからなるカチオン部を有するスルホニウム塩である場合は、当該スルホニウム塩はオニウム塩(B01)として分類する。)が好ましい。
硬化性組成物が、スルホニウム塩(Q)を含む場合、硬化性組成物の硬化を特に良好に進行させやすい。
Figure 2020075854
(式(c01)中、Rc11及びRc12は独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は下記式(c02)で表される基を示し、Rc11及びRc12は相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成してもよく、Rc13は下記式(c03)で表される基又は下記式(c04)で表される基を示し、Ac1はS、O、又はSeを示し、但し、Rc11及びRc12は、同時に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基ではない。)
Figure 2020075854
(式(c02)中、環Zc1は芳香族炭化水素環を示し、Rc14はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、アルキルチオ基、チエニル基、チエニルカルボニル基、フラニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニル基、セレノフェニルカルボニル基、脂肪族複素環基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示し、m1は0以上の整数を示す。)
Figure 2020075854
(式(c03)中、Rc15はヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基又は下記式(c05)で表される基を示し、Rc16はヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は下記式(c06)で表される基を示し、Ac2は単結合、S、O、スルフィニル基、又はカルボニル基を示し、m2は0又は1を示す。)
Figure 2020075854
(式(c04)中、Rc17及びRc18は独立に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基又は下記式(c05)で表される基を示し、Rc19及びRc20は独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は上記式(c02)で表される基を示し、Rc19及びRc20は相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成してもよく、Ac3は単結合、S、O、スルフィニル基、又はカルボニル基を示し、m3は0又は1を示し、但し、Rc19及びRc20は、同時に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基ではない。)
Figure 2020075854
(式(c05)中、環Zc2は芳香族炭化水素環を示し、Rc21はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示し、m4は0以上の整数を示す。)
Figure 2020075854
(式(c06)中、環Zc3は芳香族炭化水素環を示し、Rc22はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示し、m5は0以上の整数を示す。)
(スルホニウム塩(Q))
以下、スルホニウム塩(Q)について説明する。スルホニウム塩(Q)は、上記式(c01)中のベンゼン環において、Ac1が結合する炭素原子に対してオルト位の炭素原子にメチル基が結合していることを特徴とする。スルホニウム塩(Q)は、上記の位置にメチル基を有するため、従来のスルホニウム塩と比較して、プロトンを発生しやすく、紫外線等の活性エネルギー線に対する感度が高い。
上記式(c01)において、Rc11及びRc12のいずれもが上記式(c02)で表される基であることが好ましい。Rc11及びRc12は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(c01)において、Rc11及びRc12が相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成する場合、形成される環の環構成原子数は、硫黄原子を含めて3以上10以下が好ましく、5以上7以下がより好ましい。形成される環は多環でもよく、5〜7員環が縮合したものであることが好ましい。
上記式(c01)において、Rc11及びRc12が、ともにフェニル基であるのが好ましい。
上記式(c01)において、Rc13は上記式(c03)で表される基であることが好ましい。
上記式(c01)において、Ac1は、S又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記式(c02)において、Rc14は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、置換されていてもよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルキルカルボニル基、又はチエニルカルボニル基であることがより好ましい。
上記式(c02)において、m1は、環Zc1の種類に応じて選択でき、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
上記式(c03)において、Rc15は、アルキレン基;ヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキレン基;又は上記式(c05)で表される基であることが好ましく、上記式(c05)で表される基であることがより好ましい。
上記式(c03)において、Rc16は、アルキル基;ヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキル基;又は上記式(c06)で表される基であることが好ましく、上記式(c06)で表される基であることがより好ましい。
上記式(c03)において、Ac2はS又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記式(c03)において、m2は0であることが好ましい。
上記式(c04)において、Rc17及びRc18は独立に、アルキレン基;ヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキレン基;又は上記式(c05)で表される基であることが好ましく、上記式(c05)で表される基であることがより好ましい。Rc17及びRc18は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(c04)において、Rc19及びRc20のいずれもが上記式(c02)で表される基であることが好ましい。Rc19及びRc20は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(c04)において、Rc19及びRc20が相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成する場合、形成される環の環構成原子数は、硫黄原子を含めて3以上10以下が好ましく、5以上7以下がより好ましい。形成される環は多環でもよく、5〜7員環が縮合したものであることが好ましい。
上記式(c04)において、Ac3は、S又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記式(c04)において、m3は0であることが好ましい。
上記式(c05)において、Rc21は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基であることがより好ましい。
上記式(c05)において、m4は、環Zc2の種類に応じて選択でき、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
上記式(c06)において、Rc22は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、置換されていてもよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルキルカルボニル基、又はチエニルカルボニル基であることがより好ましい。
上記式(c06)において、m5は、環Zc3の種類に応じて選択でき、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
上記式(c01)で表されるカチオンは、通常、1価のアニオンXとともに塩を形成する。Xは、スルホニウム塩(Q)に活性エネルギー(熱、可視光、紫外線、電子線、及びX線等)を照射することにより発生する酸(HX)に対応する1価のアニオンである。Xとしては、1価の多原子アニオンが好適に挙げられ、Ma0 、(Rf)b0PF(6−b0) 、Rx1SO 、(Rx1SO、又は(Rx1SOで表されるアニオンがより好ましい。また、Xは、ハロゲンアニオンでもよく、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
は、リン原子、ホウ素原子、又はアンチモン原子を表す。
Yはハロゲン原子(フッ素原子が好ましい。)を表す。
Rfは、水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基(炭素原子数が1以上8以下であるアルキル基が好ましい。)を表す。フッ素置換によりRfとするアルキル基としては、直鎖アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びオクチル等)、分岐鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル等)及びシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)等が挙げられる。Rfにおいてこれらのアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換されている割合は、もとのアルキル基が有していた水素原子のモル数に基づいて、80モル%以上が好ましく、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。フッ素原子による置換割合がこれら好ましい範囲にあると、スルホニウム塩(Q)の光感応性がさらに良好となる。特に好ましいRfとしては、CF−、CFCF 、(CFCF、CFCFCF 、CFCFCFCF 、(CFCFCF 、CFCF(CF)CF及び(CFが挙げられる。b個のRfは、相互に独立であり、従って、互いに同一でも異なっていてもよい。
Pはリン原子、Fはフッ素原子を表す。
x1は、炭素原子数が1以上20以下であるアルキル基、炭素原子数が1以上20以下であるフルオロアルキル基、又は炭素原子数が6以上20以下であるアリール基を表し、アルキル基及びフルオロアルキル基は直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよく、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基は無置換であっても、置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基(例えば、上記式(c02)〜(c06)に関する後述の説明中で例示するものが挙げられる。)、ニトロ基等が挙げられる。
また、Rx1で表されるアルキル基、フルオロアルキル基又はアリール基における炭素鎖は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。特に、Rx2で表されるアルキル基又はフルオロアルキル基における炭素鎖は、2価の官能基(例えば、エーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、アミノ結合、アミド結合、イミド結合、スルホニル結合、スルホニルアミド結合、スルホニルイミド結合、ウレタン結合等)を有していてもよい。
x1で表されるアルキル基、フルオロアルキル基又はアリール基が上記置換基、ヘテロ原子、又は官能基を有する場合、上記置換基、ヘテロ原子、又は官能基の個数は、1個であっても2個以上であってもよい。
Sは硫黄原子、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Nは窒素原子を表す。
a0は4以上6以下の整数を表す。
b0は、1以上5以下の整数が好ましく、さらに好ましくは2以上4以下の整数、特に好ましくは2又は3である。
で表されるアニオンとしては、SbF 、PF 又はBF で表されるアニオン等が挙げられる。
(Rf)PF6−b で表されるアニオンとしては、(CFCFPF 、(CFCFPF 、((CFCF)PF 、((CFCF)PF 、(CFCFCFPF 、(CFCFCFPF 、((CFCFCFPF 、((CFCFCFPF 、(CFCFCFCFPF 又は(CFCFCFCFPF で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(CFCFPF 、(CFCFCFPF 、((CFCF)PF 、((CFCF)PF 、((CFCFCFPF 又は((CFCFCFPF で表されるアニオンが好ましい。
x1SO で表されるアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロフェニルスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、エタンスルホン酸アニオン、プロパンスルホン酸アニオン及びブタンスルホン酸アニオン等が挙げられる。これらのうち、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ブタンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン又はp−トルエンスルホン酸アニオンが好ましい。
(Rx1SOで表されるアニオンとしては、(CFSO、(CSO、(CSO又は(CSOで表されるアニオン等が挙げられる。
(Rx1SOで表されるアニオンとしては、(CFSO、(CSO、(CSO又は(CSOで表されるアニオン等が挙げられる。
1価の多原子アニオンとしては、MY 、(Rf)PF6−b 、Rx1SO 、(Rx1SO又は(Rx2SOで表されるアニオン以外に、過ハロゲン酸イオン(ClO 、BrO 等)、ハロゲン化スルホン酸イオン(FSO 、ClSO 等)、硫酸イオン(CHSO 、CFSO 、HSO 等)、炭酸イオン(HCO 、CHCO 等)、アルミン酸イオン(AlCl 、AlF 等)、ヘキサフルオロビスマス酸イオン(BiF )、カルボン酸イオン(CHCOO、CFCOO、CCOO、CHCOO、CCOO、CFCOO等)、アリールホウ酸イオン(B(C 、CHCHCHCHB(C 等)、チオシアン酸イオン(SCN)及び硝酸イオン(NO )等が使用できる。
これらのXのうち、カチオン重合性能の点では、MY 、(Rf)PF6−b 、及び(Rx1SOで表されるアニオンが好ましく、SbF 、PF 、(CFCFPF 、及び(CFSOがより好ましい。
上記式(c02)、(c05)、及び(c06)において、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。芳香族炭化水素環は、ベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
上記式(c01)〜(c06)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
上記式(c01)〜(c06)において、アルキル基としては、炭素原子数が1以上18以下である直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、及びn−オクタデシル等)、炭素原子数が3以上18以下である分岐鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル、及びイソオクタデシル等)、並びに炭素原子数が3以上18以下であるシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及び4−デシルシクロヘキシル等)等が挙げられる。特に、上記式(c01)、(c02)、及び(c04)〜(c06)において、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基とは、アルキル基及びハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、上記の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、又はシクロアルキル基における少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子で置換した基(モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル等)等が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基のうち、Rc11、Rc12、Rc19、又はRc20については、トリフルオロメチル基が特に好ましく、Rc14、Rc16、Rc21、又はRc22については、メチル基が特に好ましい。
上記式(c02)〜(c06)において、アルコキシ基としては、炭素原子数が1以上18以下である直鎖又は分岐鎖アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、及びオクタデシルオキシ等)等が挙げられる。
上記式(c02)〜(c06)において、アルキルカルボニル基におけるアルキル基としては、上述の炭素原子数が1以上18以下である直鎖アルキル基、炭素原子数が3以上18以下である分岐鎖アルキル基、又は炭素原子数が3以上18以下であるシクロアルキル基が挙げられ、アルキルカルボニル基としては、炭素原子数が2以上18以下である直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキルカルボニル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、2−メチルプロピオニル、ヘプタノイル、2−メチルブタノイル、3−メチルブタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、シクロペンタノイル基、及びシクロヘキサノイル基等)等が挙げられる。
上記式(c03)〜(c06)において、アリールカルボニル基としては、炭素原子数が7以上11以下であるアリールカルボニル基(ベンゾイル及びナフトイル等)等が挙げられる。
上記式(c02)〜(c06)において、アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2以上19以下である直鎖又は分岐鎖アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、オクチロキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル、及びオクタデシロキシカルボニル等)等が挙げられる。
上記式(c03)〜(c06)において、アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7以上11以下であるアリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル及びナフトキシカルボニル等)等が挙げられる。
上記式(c03)〜(c06)において、アリールチオカルボニル基としては、炭素原子数が7以上11以下であるアリールチオカルボニル基(フェニルチオカルボニル及びナフトキシチオカルボニル等)等が挙げられる。
上記式(c02)〜(c06)において、アシロキシ基としては、炭素原子数が2以上19以下である直鎖又は分岐鎖アシロキシ基(アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ、オクチルカルボニルオキシ、テトラデシルカルボニルオキシ、及びオクタデシルカルボニルオキシ等)等が挙げられる。
上記式(c03)〜(c06)において、アリールチオ基としては、炭素原子数が6以上20以下であるアリールチオ基(フェニルチオ、2−メチルフェニルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メチルフェニルチオ、2−クロロフェニルチオ、3−クロロフェニルチオ、4−クロロフェニルチオ、2−ブロモフェニルチオ、3−ブロモフェニルチオ、4−ブロモフェニルチオ、2−フルオロフェニルチオ、3−フルオロフェニルチオ、4−フルオロフェニルチオ、2−ヒドロキシフェニルチオ、4−ヒドロキシフェニルチオ、2−メトキシフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−[4−(フェニルチオ)ベンゾイル]フェニルチオ、4−[4−(フェニルチオ)フェノキシ]フェニルチオ、4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルチオ、4−(フェニルチオ)フェニルチオ、4−ベンゾイルフェニルチオ、4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ、4−ベンゾイル−3−クロロフェニルチオ、4−ベンゾイル−3−メチルチオフェニルチオ、4−ベンゾイル−2−メチルチオフェニルチオ、4−(4−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4−(2−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4−(p−メチルベンゾイル)フェニルチオ、4−(p−エチルベンゾイル)フェニルチオ4−(p−イソプロピルベンゾイル)フェニルチオ、及び4−(p−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ等)等が挙げられる。
上記式(c02)〜(c06)において、アルキルチオ基としては、炭素原子数が1以上18以下である直鎖又は分岐鎖アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert−ペンチルチオ、オクチルチオ、デシルチオ、ドデシルチオ、及びイソオクタデシルチオ等)等が挙げられる。
上記式(c03)〜(c06)において、アリール基としては、炭素原子数が6以上10以下であるアリール基(フェニル、トリル、ジメチルフェニル、及びナフチル等)等が挙げられる。
上記式(c02)において、脂肪族複素環基としては、炭素原子数が2以上20以下である(好ましくは4以上20以下である)脂肪族複素環基(ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、等)等が挙げられる。
上記式(c03)〜(c06)において、複素環基としては、炭素原子数が4以上20以下である複素環基(チエニル、フラニル、セレノフェニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、クロマニル、イソクロマニル、ジベンゾチエニル、キサントニル、チオキサントニル、及びジベンゾフラニル等)等が挙げられる。
上記式(c03)〜(c06)において、アリールオキシ基としては、炭素原子数が6以上10以下であるアリールオキシ基(フェノキシ及びナフチルオキシ等)等が挙げられる。
上記式(c02)〜(c06)において、アルキルスルフィニル基としては、炭素原子数が1以上18以下である直鎖又は分岐鎖スルフィニル基(メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec−ブチルスルフィニル、tert−ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、ネオペンチルスルフィニル、tert−ペンチルスルフィニル、オクチルスルフィニル、及びイソオクタデシルスルフィニル等)等が挙げられる。
上記式(c03)〜(c06)において、アリールスルフィニル基としては、炭素原子数が6以上10以下であるアリールスルフィニル基(フェニルスルフィニル、トリルスルフィニル、及びナフチルスルフィニル等)等が挙げられる。
上記式(c02)〜(c06)において、アルキルスルホニル基としては、炭素原子数が1以上18以下である直鎖又は分岐鎖アルキルスルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、tert−ペンチルスルホニル、オクチルスルホニル、及びオクタデシルスルホニル等)等が挙げられる。
上記式(c03)〜(c06)において、アリールスルホニル基としては、炭素原子数が6以上10以下であるアリールスルホニル基(フェニルスルホニル、トリルスルホニル(トシル基)、及びナフチルスルホニル等)等が挙げられる。
上記式(c02)〜(c06)において、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基としては、HO(AO)q0−(式中、AOは独立にエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基を表し、q0は1以上5以下の整数を表す。)で表されるヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基等が挙げられる。
上記式(c02)〜(c06)において、置換されていてもよいアミノ基としては、アミノ基(−NH)及び炭素原子数が1以上15以下である置換アミノ基(メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、n−プロピルアミノ、メチル−n−プロピルアミノ、エチル−n−プロピルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、イソプロピルメチルアミノ、イソプロピルエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、メチルフェニルアミノ、エチルフェニルアミノ、n−プロピルフェニルアミノ、及びイソプロピルフェニルアミノ等)等が挙げられる。
上記式(c03)及び(c04)において、アルキレン基としては、炭素原子数が1以上18以下である直鎖又は分岐鎖アルキレン基(メチレン基、1,2−エチレン基、1,1−エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,1−ジイル基、ブタン−2,2−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、2−エチルヘキサン−1,6−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、及びヘキサデカン−1,16−ジイル基等)等が挙げられる。
スルホニウム塩(Q)は、例えば、下記スキームに従って合成することができる。具体的には、下記式(c1−1)で表される1−フルオロ−2−メチル−4−ニトロベンゼンに、水酸化カリウム等の塩基の存在下で、下記式(c1−2)で表される化合物を反応させて、下記式(c1−3)で表されるニトロ化合物を得、次いで、還元鉄の存在下で還元を行って、下記式(c1−4)で表されるアミン化合物を得る。このアミン化合物とMaNO(式中、Maは金属原子、例えば、ナトリウム原子等のアルカリ金属原子を示す。)で表される亜硝酸塩(例えば、亜硝酸ナトリウム)とを反応させてジアゾ化合物を得、次いで、このジアゾ化合物とCuX’(式中、X’は臭素原子等のハロゲン原子を示す。以下、同じ)で表されるハロゲン化第一銅とHX’で表されるハロゲン化水素とを混合し、反応を進行させて、下記式(c1−5)で表されるハロゲン化物を得る。このハロゲン化物及びマグネシウムからグリニャール試薬を調製し、次いで、クロロトリメチルシランの存在下で、このグリニャール試薬と下記式(c1−6)で表されるスルホキシド化合物とを反応させて、下記式(c1−7)で表されるスルホニウム塩を得ることができる。さらに、このスルホニウム塩をMbX”(式中、Mbは金属カチオン、例えば、カリウムイオン等のアルカリ金属カチオンを示し、X”はXで表される1価のアニオン(但し、ハロゲンアニオンを除く。)を示す。)で表される塩と反応させて塩交換を行うことにより、下記式(c1−8)で表されるスルホニウム塩を得ることができる。なお、下記式(c1−2)〜(c−8)において、Rc11〜Rc13及びAc1は、上記式(c01)と同様である。
<スキーム>
Figure 2020075854
スルホニウム塩(Q)のカチオン部である、式(c01)で表されるカチオンの具体例としては、以下のものが挙げられる。スルホニウム塩(Q)のアニオン部の具体例としては、上記Xの説明で挙げたもの等、従来公知のものを挙げることができる。上記式(c01)で表されるカチオン部を含むスルホニウム塩(Q)は上記スキームに従って合成することができ、必要に応じさらに塩交換することにより、カチオン部を所望のアニオン部と組み合わせることができる。
Figure 2020075854
上記の好ましいカチオン部の群の中では、下記式で表されるカチオン部がより好ましい。
Figure 2020075854
他のカチオン重合開始剤(B02)は、上記のスルホニウム塩(Q)とともに、スルホニウム塩(Q)以外のその他の光カチオン重合開始剤を含んでいてもよい。
他のカチオン重合開始剤(B02)におけるスルホニウム塩(Q)の含有量は特に限定されないが、典型的には、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
光カチオン重合開始剤(B02−2)は、上記のスルホニウム塩(Q)とともに、前述のオニウム塩(B01)及びスルホニウム塩(Q)以外の光カチオン重合開始剤をさらに含んでいてもよい。
前述のオニウム塩(B01)及びスルホニウム塩(Q)以外の光カチオン重合開始剤としては、従来からカチオン重合用に使用されている種々のカチオン重合開始剤を特に制限なく使用することができる。
前述のオニウム塩(B01)及びスルホニウム塩(Q)以外の光カチオン重合開始剤としては、前述の通り、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩が好ましく、スルホニウム塩(Q)以外のその他のスルホニウム塩がより好ましい。
硬化性組成物における光カチオン重合開始剤の含有量の総量は、硬化性組成物の硬化が良好に進行する限り特に限定されない。硬化性組成物を良好に硬化させやすい点から、典型的には、硬化性化合物を100質量部として、0.001質量部以上30質量部以下が好ましく、0.01質量部以上10質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下が特に好ましい。
・ラジカル重合開始剤
第5の態様の感エネルギー性組成物において、硬化性化合物が不飽和二重結合を含むラジカル重合性化合物を含む場合、ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、不飽和二重結合を含むラジカル重合性化合物を重合させるために、従来から用いられている、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。かかるラジカル重合開始剤としては、第1の態様の感エネルギー組成物について説明した光重合開始剤を好適に用いることができる。
ラジカル重合開始剤の含有量は、硬化性化合物100質量部に対して0.01質量部以上50質量部以下が好ましく、0.1質量部以上30質量部以下がより好ましく、0.3質量部以上10質量部以下が特に好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量を上記の範囲内とすることにより、硬化性組成物を良好に硬化させやすい。
また、ラジカル重合開始剤に、光開始助剤を組み合わせてもよい。光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、ペンタエリストールテトラメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピオネート等のチオール化合物等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
第5の態様の感エネルギー性組成物としての硬化性組成物は、硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化性組成物が硬化促進剤を含む場合、硬化性組成物の硬化性や硬化後の特性が良好である。
硬化促進剤としては、例えば、ウレア化合物、第三級アミンとその塩、イミダゾール類とその塩、ホスフィン系化合物とその誘導体、カルボン酸金属塩やルイス酸、ブレンステッド酸類とその塩類、テトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
硬化促進剤の好ましい具体例としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、及びトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、及び2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、及びフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、及びN−メチルモルホリンテトラフェニルボレートのテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
以上説明した硬化促進剤の中では、ホスフィン系化合物とその誘導体、及びテトラフェニルボロン塩が好ましい。上記の具体例の中では、トリフェニルホスフィンと、トリフェニルホスフィントリフェニルボランとが好ましい。
硬化促進剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。硬化促進剤の使用量は、硬化剤の質量を1質量部として、0.5質量部以上8質量部以下が好ましく、1.5質量部以上6質量部以下がより好ましく、3質量部以上4.5質量部以下が特に好ましい。
第5の態様の感エネルギー性組成物としての硬化性組成物は、増感剤を含んでいてもよい。硬化性組成物が、光カチオン重合開始剤を含む場合、硬化性組成物が増感剤を含むのが好ましい。増感剤としては、従来より種々のカチオン重合開始剤と併用されている公知の増感剤を特に制限なく用いることができる。
増感剤の具体例としては、アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、及び9,10−ジプロポキシアントラセン等のアントラセン化合物;ピレン;1,2−ベンズアントラセン;ペリレン;テトラセン;コロネン;チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン及び2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン化合物;フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、及びN−フェニルフェノチアジン等のフェノチアジン化合物;キサントン;1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、及び4−メトキシ−1−ナフトール等のナフタレン化合物;ジメトキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等のケトン;N−フェニルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、ポリ−N−ビニルカルバゾール、及びN−グリシジルカルバゾール等のカルバゾール化合物;1,4−ジメトキシクリセン及び1,4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセン等のクリセン化合物;9−ヒドロキシフェナントレン、9−メトキシフェナントレン、9−ヒドロキシ−10−メトキシフェナントレン、及び9−ヒドロキシ−10−エトキシフェナントレン等のフェナントレン化合物が挙げられる。
これらの増感剤は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
増感剤の使用量は特に限定されないが、光カチオン重合開始剤の質量に対して、1質量%以上300質量%以下が好ましく、5質量%以上200質量%以下がより好ましい。かかる範囲内の量の増感剤を用いることにより、所望する増感作用を得やすい。
第5の態様の感エネルギー性組成物としての硬化性組成物には、必要に応じて、界面活性剤、熱重合禁止剤、消泡剤、シランカップリング剤、着色剤(顔料、染料)、樹脂(熱可塑性樹脂、アルカリ可溶性樹脂等)、金属酸化物(A)以外の無機フィラー、有機フィラー等の添加剤を含有させることができる。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられ、熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられ、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。
第5の態様の感エネルギー性組成物としての硬化性組成物は、塗布性や粘度の調整の目的で、溶剤を含むのが好ましい。溶剤としては、典型的には有機溶剤が用いられる。有機溶剤の種類は、硬化性組成物に含まれる成分を、均一に溶解又は分散させることができれば特に限定されない。
溶剤として使用し得る有機溶剤の好適な例としては、第1の態様の感エネルギー性組成物における有機溶剤の好適な例と同様である。
第5の態様の感エネルギー性組成物としての硬化性組成物における、溶剤の使用量は特に限定されない。硬化性組成物の塗布性の点等から、溶剤の使用量は、硬化性組成物全体に対して、例えば30質量%以上99.9質量%以下であり、好ましくは50質量%以上98質量%以下である。また、硬化性組成物の粘度が300mPa・s以下の範囲で調整することが好ましい。硬化性組成物の粘度は、60mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下が特に好ましい。下限は特にないが、0.1mPa・s以上である。
なお、上記の粘度は、E型粘度計を用いて25℃で測定される粘度である。
以上説明した必須又は任意の成分を含む硬化性組成物を用いると、高屈折率の硬化物を形成できるため、硬化性組成物は、従来から種々の用途で使用されている、高屈折材料、高屈折率膜の形成に好ましく使用できる。
例えば、上記の硬化性組成物を用いる場合、屈折率が1.70以上、好ましくは1.72以上、さらに好ましく1.75以上、さらにより好ましくは1.80以上、最も好ましくは1.80以上の硬化物を形成することができる。
硬化性組成物は、タッチパネル等の表示素子における、金属配線等を被覆する透明被膜の形成用に特に好ましく使用される。
上記の硬化性組成物を用いて、透明被膜を形成すると、透明被膜が高屈折率であることによって、金属配線を視認しにくくできる。
また、上記の硬化性組成物を用いて形成される硬化膜は耐屈曲性に優れ、折り曲げても割れにくいため、フレキシブル表示パネルにおいて好適に用いられる。
例えば、上記の硬化性組成物の硬化物からなる厚さ50nmのフィルムを、半径6mm、好ましくは半径2mmの円柱状のステンレス棒に巻き付けた場合に、割れが生じにくい。
(6)第6の態様の感エネルギー性組成物
第6の態様の感エネルギー性組成物は、金属酸化物(A)及び基材成分(B)とともに融点140℃以下のイオン液体を含むカチオン硬化型又はアニオン硬化型の硬化性組成物である。
硬化性組成物が上記のイオン液体を含むことにより、硬化性組成物中において、カチオン重合であるかアニオン重合であるかの依存性低く、均一に硬化反応を促進することができ、その結果、屈折率及び黄変耐性(特に黄変耐性)に優れ、また、耐熱性及び基板への密着性も良好である金属酸化物含有膜を形成することができる。
以下、硬化性組成物が含む、必須、又は任意の成分について説明する。
(硬化性化合物)
硬化性組成物は、屈折率及び黄変耐性の観点、また、耐熱性及び基板への密着性の観点から、N、O、S及びSiよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む官能基を有する硬化性化合物を含むことが好ましい。
N、O、S及びSiよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む官能基を有する硬化性化合物は屈折率が比較的高い傾向にある。
硬化性化合物は、高屈折率の観点から、N、S及びOよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む官能基を有することが好ましく、N及びSよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む官能基を有することがより好ましい。
Nを含む官能基としては、トリアジン環構造、イソシアヌル環構造、カルバゾール基、イミド基、ニトリル基等が挙げられる。Nを含む官能基を有する(A)硬化性化合物としては、トリアジン環を有する重合体、エポキシ樹脂前駆体として前述の式(a1−I)で表される化合物、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリイミド等が挙げられる。トリアジン環を有する重合体は、その構造から、屈折率が比較的高い(1.70以上である)ため、特に好ましい。
Oを含む官能基としては、エポキシ基、イソシアヌル環構造、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
Oを含む官能基を有する硬化性化合物としては、前述の式(b−01)で表される化合物、エポキシ樹脂前駆体として前述のエポキシ化合物等が挙げられる。
Sを含む官能基としては、チイラン基、スルホニル基(−SO−)、チオール基、チオエステル基等が挙げられる。
Sを含む官能基を有する硬化性化合物としては、前述の式(b−01)で表される化合物、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン等が挙げられる。
Siを含む官能基を有する硬化性化合物としては、シロキサン結合(Si−O−Si)により構成されたシロキサン骨格を有するシロキサン化合物等が挙げられる。シロキサン化合物におけるシロキサン骨格としては、例えば、環状シロキサン骨格やかご型やラダー型のポリシルセスキオキサン骨格を挙げることができる。
硬化性化合物は、金属酸化物含有膜の屈折率及び黄変耐性の観点、また、耐熱性及び基板への密着性の観点から、芳香族基、トリアジン環構造、イソシアヌル環構造及び環状シロキサン構造よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記芳香族基としては、屈折率及び黄変耐性の観点、また、耐熱性及び基板への密着性の観点から、カルド構造を形成する芳香族基であることが好ましい。
硬化性化合物は、屈折率及び黄変耐性の観点、また、耐熱性及び基板への密着性の観点から、前述の式(b−01)、トリアジン環構造を有する重合体、エポキシ樹脂前駆体として前述の式(a1−I)で表される化合物、及びエポキシ樹脂前駆体として前述の式((a1−III)で表されるシロキサンエポキシ化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
硬化性化合物が、前述の式(b−01)で表される化合物を含む場合、硬化性化合物における、前述の式(b−01)で表される化合物の量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらにより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
硬化性化合物としてのエポキシ化合物としては、エポキシ樹脂前駆体として前述のエポキシ化合物を用いることができる。
・エピスルフィド化合物
エピスルフィド化合物の種類は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されない。好ましいエピスルフィド化合物としては、前述のエポキシ化合物について、エポキシ基中の酸素原子を硫黄原子に置換した化合物が挙げられる。
・ビニルエーテル化合物
硬化性化合物は、ビニルオキシ基を含むビニルエーテル化合物を含んでいても含んでいなくてもよい。
ビニルエーテル化合物は、ビニルオキシ基を有し、カチオン重合可能な化合物であれば特に限定されない。
ビニルエーテル化合物は、芳香族基を含んでいてもよく、芳香族基を含んでいなくてもよい。
硬化物の耐熱分解性が良好である点からは、ビニルエーテル化合物は、芳香族基に結合するビニルオキシ基を有する化合物であるのが好ましい。
ビニルエーテル化合物の好適な具体例としては、ビニルフェニルエーテル、4−ビニロキシトルエン、3−ビニロキシトルエン、2−ビニロキシトルエン、1−ビニロキシ−4−クロロベンゼン、1−ビニロキシ−3−クロロベンゼン、1−ビニロキシ−2−クロロベンゼン、1−ビニロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシ−2,4−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシ−3,4−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシ−3,5−ジメチルベンゼン、1−ビニロキシナフタレン、2−ビニロキシナフタレン、2−ビニロキシフルオレン、3−ビニロキシフルオレン、4−ビニロキシ−1,1’−ビフェニル、3−ビニロキシ−1,1’−ビフェニル、2−ビニロキシ−1,1’−ビフェニル、6−ビニロキシテトラリン、及び5−ビニロキシテトラリン等の芳香族モノビニルエーテル化合物;1,4−ジビニロキシベンゼン、1,3−ジビニロキシベンゼン、1,2−ジビニロキシベンゼン、1,4−ジビニロキシナフタレン、1,3−ジビニロキシナフタレン、1,2−ジビニロキシナフタレン、1,5−ジビニロキシナフタレン、1,6−ジビニロキシナフタレン、1,7−ジビニロキシナフタレン、1,8−ジビニロキシナフタレン、2,3−ジビニロキシナフタレン、2,6−ジビニロキシナフタレン、2,7−ジビニロキシナフタレン、1,2−ジビニロキシフルオレン、3,4−ジビニロキシフルオレン、2,7−ジビニロキシフルオレン、4,4’−ジビニロキシビフェニル、3,3’−ジビニロキシビフェニル、2,2’−ジビニロキシビフェニル、3,4’−ジビニロキシビフェニル、2,3’−ジビニロキシビフェニル、2,4’−ジビニロキシビフェニル、及びビスフェノールAジビニルエーテル等の芳香族ジビニルエーテル化合物が挙げられる。
これらの、ビニルエーテル化合物は、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
・トリアジン環構造を有する重合体
トリアジン環構造を有する重合体は、以上説明した他の硬化性化合物と混合して用いることが好ましい。
上記したトリアジン環構造を有する重合体(以下単に「トリアジン環含有重合体」ともいう。)の例としては、下記式(t1)〜(t16)で示されるものが挙げられる。
Figure 2020075854
上記式中、Rt0及びRt1は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基を表し、屈折率をより高めるという観点から、ともに水素原子であることが好ましい。Rt2〜Rt4、及びRt6〜Rt9は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素原子数1以上10以下の分岐構造を有していてもよいアルキル基、又は炭素原子数1以上10以下の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、R102及びR103は、互いに独立して炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表す。)
Figure 2020075854
(式中、Rt0〜Rt4、Rt6〜Rt9、R102及びR103は、上記と同じ意味を表す。)
Figure 2020075854
(式中、Rt0〜Rt4、及びRt6〜Rt9は、上記と同じ意味を表す。)
Figure 2020075854
Figure 2020075854
(式中、Rt0〜Rt4、及びRt6〜Rt9は上記と同じ意味を表し、Rt5は水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素原子数1以上10以下の分岐構造を有していてもよいアルキル基、又は炭素原子数1以上10以下の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、R102及びR103は、互いに独立して炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表す。)
Figure 2020075854
(式中、Rt0〜Rt9、R102及びR103は、上記と同じ意味を表す。)
Figure 2020075854
(式中、Rt0〜Rt9は、上記と同じ意味を表す。)
Figure 2020075854
Figure 2020075854
(式中、Rt0〜Rt4、Rt6〜Rt9は上記と同じ意味を表し、R102及びR103は、互いに独立して炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表す。)
Figure 2020075854
(式中、Rt0〜Rt4、Rt6〜Rt9、R102及びR103は、上記と同じ意味を表す。)
Figure 2020075854
(式中、Rt0〜Rt4、Rt6〜Rt9は、上記と同じ意味を表す。)
Figure 2020075854
Figure 2020075854
(式中、Rt0〜Rt9は上記と同じ意味を表し、R102及びR103は、互いに独立して炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表す。)
Figure 2020075854
(式中、Rt0〜Rt9、R102及びR103は、上記と同じ意味を表す。)
Figure 2020075854
(式中、Rt0〜Rt9は、上記と同じ意味を表す。)
Figure 2020075854
トリアジン環含有重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。トリアジン環含有重合体の重量平均分子量(Mw)は、500以上500,000以下が好ましく、500以上100,000以下がより好ましい。本発明の効果の達成が容易である点から、2,000以上が好ましく、より溶解性を高め、得られた溶液の粘度を低下させるという点から、50,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、10,000以下がさらに好ましい。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCという)分析による標準ポリスチレン換算で得られる平均分子量である。
トリアジン環含有重合体は、例えば、国際公開第2010/128661号に開示された手法によって製造することができる。
トリアジン環含有重合体は、少なくとも1つのジアミン末端を有し、このジアミン末端の少なくとも1つが、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基等のカルボニル含有基で封止されていることが好ましい。このように、カルボニル含有基で末端を封止することで、トリアジン環含有重合体の着色を抑制することができる。
アシル基の具体例としては、アセチル基、エチルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
アラルキルオキシカルボニル基の具体例としては、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基の具体例としては、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
これらの中でも、末端封止基としてはアシル基が好ましく、試薬の入手容易性等を考慮するとアクリロイル基、メタクリロイル基、アセチル基がより好ましい。
末端封止方法としては、公知の方法を採用すればよく、例えば、酸ハロゲン化物、酸無水物等で処理すればよい。
この場合、末端封止剤の使用量は、重合反応に使われなかった余剰のジアミノ化合物由来のアミノ基1当量に対し、0.05当量以上10当量以下程度が好ましく、0.1当量以上5当量以下がより好ましく、0.5当量以上2当量以下がより一層好ましい。
上記の硬化性化合物は単独で用いても複数種を混合して用いてもよい。
硬化性組成物における硬化性化合物の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。硬化性組成物における硬化性化合物の含有量は、硬化性組成物の固形分全体を100質量部としたときに、60質量部以上99.9質量部以下が好ましく、75質量部以上99.5質量部以下がより好ましく、90質量部以上99質量部以下が特に好ましい。
(硬化剤)
硬化性組成物は、硬化剤を含むのが好ましい。硬化剤としては、第5の態様の感エネルギー性組成物について説明した硬化剤と同様の硬化剤を用いることができる。
硬化性組成物における硬化剤としてのカチオン重合開始剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。硬化性組成物におけるカチオン重合開始剤の含有量は、前述のオニウム塩(B01)、及び前述の他のカチオン重合開始剤(B02)の総量として、硬化性化合物100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下が好ましく、0.05質量部以上3質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上2質量部以下が特に好ましい。
また、オニウム塩(B01)の含有量は、スルホニウム塩(B01)、及び後述する他のカチオン重合開始剤(B02)の総量に対して10質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらにより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
かかる範囲内の量のカチオン重合開始剤を用いることにより、屈折率及び黄変耐性に優れ、耐熱性(耐熱分解性)及び基板への密着性も良好である金属酸化物含有膜を形成しやすい。
硬化性組成物がアニオン重合し得る場合、硬化剤としてアニオン重合開始剤を用いることもできる。アニオン重合開始剤としては光によるアニオン重合開始剤であっても熱によるアニオン重合開始剤であってもよい。
例えば、前述のエポキシ化合物を、アニオン重合開始剤とともに硬化性組成物に配合する場合、アニオン硬化型の硬化性組成物が得られる。
光によるアニオン重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルメタノール、ベンジルカルバメート及びベンゾインカルバメート等の光活性なカルバメート;O−カルバモイルヒドロキシルアミド、O−カルバモイルオキシム、アロマティックスルホンアミド、アルファーラクタム及びN−(2−アリルエチニル)アミド等のアミド並びにその他のアミド;オキシムエステル化合物、α−アミノアセトフェノン、コバルト錯体等を挙げることができる。このうち、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6−ジアミン、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等が好ましいものとして挙げられる。
上記以外の好適な例としては、式(d2)又は(d3)で表される化合物等の、光(及び/又は熱)の作用により分解してイミダゾール化合物を発生する化合物が挙げられる。
熱によるアニオン重合開始剤としては、従来から使用されている化合物を特に限定なく用いることができ、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンその他、アミン−エポキシアダクト系熱アニオン重合開始剤、アミン−イソシアネート系化合物からなる熱塩基発生剤、又はジシアンジアミド類、ヒドラジン類、若しくは芳香族ジアミン類等のアニオン重合型硬化剤、又は異なる種類の硬化剤からなる複合系のアニオン重合型硬化剤等が挙げられる。アミン−エポキシアダクト系熱アニオン重合開始剤としては、例えば、「アミキュアPN−23」、「アミキュアPN−40」、アミキュアPN−50」、「アミキュアPN−H」(いずれも味の素ファインテクノ社の商品名)、「ハードナーX−3661S」(エー・シー・アール社の商品名)、「ハードナーX−3670S」(エー・シー・アール社の商品名)、「ノバキュアHX−3742」(旭化成社の商品名)、「ノバキュアHX−3721」(旭化成社の商品名)等が挙げられ、また、アミン−イソシアネート系化合物からなる熱塩基発生剤としては、例えば、「フジキュアFXE−1000」(富士化成社の商品名)、「フジキュアFXR−1030」(富士化成社の商品名)等が挙げられる。なお、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンは光の作用によってもアニオン重合開始剤として機能し得る。
硬化性組成物におけるアニオン重合開始剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。硬化性組成物におけるアニオン重合開始剤の含有量は、硬化性化合物100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下が好ましく、0.05質量部以上3質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上2質量部以下が特に好ましい。
(融点140℃以下のイオン液体(以下、単に「イオン液体」ともいう。))
イオン液体は、140℃以下の温度領域で融解しうる塩であり、140℃以下で液体となる安定な塩であることが好ましい。
イオン液体の融点としては、本発明の効果をより確実に達成する観点及び塗工性の観点等から、120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。
硬化性組成物が溶剤を含む場合、本発明の効果をより確実に達成する観点、塗工性及び異物抑制の観点等から、室温(25℃)での当該硬化性組成物中に含まれている溶剤に対するイオン液体の溶解性が、70質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。
また、上記溶解性とは、当該硬化性組成物中に含まれている溶剤100質量部に対し、イオン液体を70質量部、80質量部又は90質量部等混合し、振とう機で5分間処理したときに、目視による沈殿の有無確認により、沈殿が見られない質量をいう。
イオン液体は塩であることによりイオン導電性がよく、融点140℃以下で液体であることにより硬化性組成物中に均一に拡散し得る。また、熱分解温度も比較的高い。よって、硬化性組成物中において、カチオン重合であるかアニオン重合であるかの依存性低く、均一に硬化反応を促進することができ、その結果、屈折率及び黄変耐性(特に黄変耐性)に優れ、また、耐熱性及び基板への密着性も良好である金属酸化物含有膜を形成することができる。
イオン液体は、有機カチオンと、アニオンとから構成されることが好ましい。
イオン液体は、窒素含有有機カチオン、リン含有有機カチオン、又は硫黄含有有機カチオンと、対アニオンとからなるのが好ましく、窒素含有有機カチオン、又はリン含有有機カチオンと、対アニオンとからなるのがより好ましい。
イオン液体を構成する有機カチオンとしては、後述する溶剤との親和性が良好であること等から、アルキル鎖四級アンモニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、グアニジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ホスホニウムカチオン及びスルホニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルキル鎖四級アンモニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、モルホリニウムカチオン、又はホスホニウムカチオンであることがより好ましく、本発明の効果の点で、ピロリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、又はホスホニウムカチオンであることがさらに好ましい。
上記アルキル鎖四級アンモニウムカチオンの具体例としては下記式(L1)で表される四級アンモニウムカチオンが挙げられる。具体的には、例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ジエチルジメチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、オクチルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、メチルトリオクチルアンモニウムカチオン等が挙げられる。
上記ピペリジニウムカチオンの具体例としては下記式(L2)で表されるピペリジニウムカチオンが挙げられる。具体的には、例えば、1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−エチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘプチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピペリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピペリジニウムカチオン等が挙げられる。
上記ピリミジニウムカチオンの具体例としては、例えば、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン等が挙げられる。
上記ピロリジニウムカチオンの具体例としては下記式(L3)で表されるピロリジニウムカチオンが挙げられ、より具体的には、例えば、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピロリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピロリジニウムカチオン等が挙げられる。
上記イミダゾリウムカチオンの具体例としては下記式(L5)で表されるイミダゾリウムカチオンが挙げられ、より具体的には、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン等が挙げられる。
上記ピリジニウムカチオンの具体例としては下記式(L6)で表されるピリジニウムカチオンが挙げられ、より具体的には、例えば、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン等が挙げられる。
上記ピラゾニウムカチオンの具体例としては、例えば、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン等が挙げられる。
上記ホスホニウムカチオンの具体例としては下記式(L4)で表されるホスホニウムカチオンが挙げられる。具体的には、テトラブチルホスホニウムカチオン、トリブチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルヘキシルホスホニウムカチオン等のテトラアルキルホスホニウムカチオンや、トリエチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン等が挙げられる。
上記スルホニウムカチオンの具体例としては、トリエチルスルホニウムカチオン、ジメチルエチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、エチルメチルプロピルスルホニウムカチオン、ブチルジメチルスルホニウムカチオン、1‐メチルテトラヒドロチオフェニウムオン、1‐エチルテトラヒドロチオフェニウムカチオン、1−プロピルテトラヒドロチオフェニウムカチオン、1−ブチルテトラヒドロチオフェニウムカチオン、又は1−メチル−[1,4]‐チオキソニウムカチオン等が挙げられる。中でも、上記スルホニウムカチオンとしては、テトラヒドロチオフェニウム系又はヘキサヒドロチオピリリウム系の5員環又は6員環等の環状構造を有しているスルホニウムカチオンが好ましく、環状構造中に酸素原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
Figure 2020075854
式(L1)〜(L4)中、RL1〜RL4は、それぞれ独立に、炭素原子数が1以上20以下のアルキル基、又はRL7−O−(CHLn−で表わされるアルコキシアルキル基(RL7は、メチル基、又はエチル基を示し、Lnは1以上4以下の整数を表す。)である。
式(L5)中、RL1〜RL4は、各々独立に、炭素原子数が1以上20以下のアルキル基、RL7−O−(CHLn−で表わされるアルコキシアルキル基(RL7は、メチル基、又はエチル基を示し、Lnは1以上4以下の整数を表す。)、又は水素原子である。
式(L6)中、RL1〜RL6は、各々独立に、炭素原子数が1〜20のアルキル基、RL7−O−(CHLn−で表わされるアルコキシアルキル基(RL7は、メチル基、又はエチル基を示し、Lnは1以上4以下の整数を表す)、水素原子である。
イオン液体(B)を構成するアニオンとしては、有機アニオンであっても、無機アニオンであってもよい。イオン液体(B)の後述する溶剤(S)との親和性が良好であることから、有機アニオンが好ましい。
有機アニオンとして、カルボン酸系アニオン、N−アシルアミノ酸イオン、酸性アミノ酸アニオン、中性アミノ酸アニオン、アルキル硫酸系アニオン、含フッ素化合物系アニオン及びフェノール系アニオンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、カルボン酸系アニオン又はN−アシルアミノ酸イオンであることがより好ましい。
上記カルボン酸系アニオンの具体例としては、酢酸イオン、デカン酸イオン、2−ピロリドン−5−カルボン酸イオン、ギ酸イオン、α−リポ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N−メチル馬尿酸イオン等が挙げられ、中でも、酢酸イオン、2−ピロリドン−5−カルボン酸イオン、ギ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N−メチル馬尿酸イオンが好ましく、酢酸イオン、N−メチル馬尿酸イオン、ギ酸イオンがより好ましい。
上記N−アシルアミノ酸イオンの具体例としては、N−ベンゾイルアラニンイオン、N−アセチルフェニルアラニンイオン、アスパラギン酸イオン、グリシンイオン、N−アセチルグリシンイオン等が挙げられ、中でも、N−ベンゾイルアラニンイオン、N−アセチルフェニルアラニンイオン、N−アセチルグリシンイオンが好ましく、N−アセチルグリシンイオンがより好ましい。
上記酸性アミノ酸アニオンの具体例としては、アスパラギン酸イオン、グルタミン酸イオン等が挙げられ、上記中性アミノ酸アニオンの具体例としては、グリシンイオン、アラニンイオン、フェニルアラニンイオン等が挙げられる。
上記アルキル硫酸系アニオンの具体例としては、メタンスルホン酸イオン等が挙げられ、上記含フッ素化合物系アニオンの具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロホスホン酸イオン、トリフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホン酸イオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン(例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン)、トリフルオロ酢酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等が挙げられ、上記フェノール系アニオンの具体例としては、フェノールイオン、2−メトキシフェノールイオン、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールイオン等が挙げられる。
上記無機アニオンとして、本発明の効果をより確実に達成する観点から、F、Cl、Br、I、BF 、PF 及びN(SOF) からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、BF 、PF 又はN(SOF) であることがより好ましく、BF 又はPF であることがさらに好ましい。
イオン液体は、例えば、国際公開第2014/178254号の段落0045に開示された手法等によって製造することができる。
イオン液体は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
イオン液体の含有量としては、本発明の効果を達成し得る限り特に制限はないが、硬化性化合物100質量部に対して、0.0001質量部以上1質量部以下であることが好ましく、0.001質量部以上1質量部以下であることがより好ましく、0.002質量部以上0.1質量部以下であることがさらに好ましく、0.003質量部以上0.07質量部以下であることが特に好ましい。
(硬化促進剤)
硬化性組成物は、硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化性組成物が硬化促進剤を含む場合、屈折率及び黄変耐性の両立とともに、硬化性組成物の硬化性を向上させ、耐熱性(耐熱分解性)と、基板への密着性とが特に良好である金属酸化物含有膜を形成できる。
硬化促進剤としては、例えば、ウレア化合物、第三級アミンとその塩、イミダゾール類とその塩、ホスフィン系化合物とその誘導体、カルボン酸金属塩やルイス酸、ブレンステッド酸類とその塩類、テトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
硬化促進剤の好ましい具体例としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、及びトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、及び2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、及びフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、及びN−メチルモルホリンテトラフェニルボレートのテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
以上説明した硬化促進剤の中では、ホスフィン系化合物とその誘導体、及びテトラフェニルボロン塩が好ましい。上記の具体例の中では、トリフェニルホスフィンと、トリフェニルホスフィントリフェニルボランとが好ましい。
硬化促進剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。硬化促進剤の使用量は、硬化性化合物100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下が好ましく、0.05質量部以上3質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上2質量部以下が特に好ましい。
(増感剤)
硬化性組成物は、増感剤を含んでいてもよい。硬化性組成物がカチオン重合開始剤を含み、カチオン重合開始剤がスルホニウムカチオン及び/又はヨードニウムカチオンを含む場合、硬化性組成物が増感剤を含むのが好ましい。増感剤としては、従来より種々のカチオン重合開始剤と併用されている公知の増感剤を特に制限なく用いることができる。
増感剤の好適な例は、第5の態様の感エネルギー性組成物について説明した増感剤と同様である。増感剤は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
増感剤の使用量は特に限定されないが、カチオン重合開始剤の質量に対して、1質量%以上300質量%以下が好ましく、5質量%以上200質量%以下がより好ましい。かかる範囲内の量の増感剤を用いることにより、所望する増感作用を得やすい。
(酸化防止剤)
硬化性組成物は、酸化防止剤を含んでいても含んでいなくてもよいが、黄変耐性の観点から、酸化防止剤を含んでいることが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物等が挙げられ、分子量500以上のフェノール化合物、分子量500以上の亜リン酸エステル化合物又は分子量500以上のチオエーテル化合物がより好ましい。また、酸化防止剤は、フェノール化合物が好ましく、分子量500以上のフェノール化合物がより好ましい。
フェノール化合物としては、フェノール系着色防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。特に、フェノール性水酸基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素原子数1〜22の置換又は無置換のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルへキシル基がより好ましい。また、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。
亜リン酸エステル化合物としてはトリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、及び亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
酸化防止剤は、市販品として容易に入手可能であり、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−50F、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−60G、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−330、アデカスタブ PEP−36A、アデカスタブ AO−412S((株)ADEKA)等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、硬化性組成物の溶剤を除く成分のうち、0.01質量%以上20質量%以下が好ましく、0.3質量%以上15質量%以下がより好ましい。着色防止剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(その他の成分)
硬化性組成物には、必要に応じて、界面活性剤、熱重合禁止剤、消泡剤、シランカップリング剤、着色剤(顔料、染料)、樹脂(熱可塑性樹脂、アルカリ可溶性樹脂等)、有機フィラー等の添加剤を含有させることができる。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。
(溶剤)
硬化性組成物は、塗布性や粘度の調整の目的で、溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、典型的には有機溶剤が用いられる。有機溶剤の種類は、硬化性組成物に含まれる成分を、均一に溶解又は分散させることができれば特に限定されない。
溶剤として使用し得る有機溶剤の好適な例は、第1の態様の感エネルギー性組成物における有機溶剤の好適な例と同様である。
硬化性組成物における、溶剤の使用量は特に限定されない。硬化性組成物の塗布性の点等から、溶剤の使用量は、硬化性組成物全体に対して、例えば30質量%以上99.9質量%以下であり、好ましくは50質量%以上98質量%以下である。
(金属酸化物含有膜)
以上説明した第6の態様の感エネルギー性組成物としての硬化性組成物を硬化してなる金属酸化物含有膜は、屈折率及び黄変耐性に優れ、また、耐熱性及び基板への密着性も良好である。
硬化膜の厚さとしては、特に制限はないが、10nm以上50μm以下であることが好ましく、50nm以上30μm以下であることがより好ましく、100nm以上10μm以下であることがさらに好ましく、300nm以上5μm以下であることが特に好ましい。
該硬化膜は、例えば、OLED表示素子用封止材、OLED照明、ハードコート、絶縁膜、反射防止膜、層間絶縁膜、カーボンハードマスク、ディスプレイパネル材料(平坦化膜、カラーフィルタの画素、有機EL用隔壁、スペーサ)、光学部材(レンズ、マイクロレンズ、ウェハレベルレンズ、光ファイバー、光導波路、プリズムシート、ホログラム、高屈折フィルム、再帰反射フィルム)等の種々の用途に好適である。また、硬化膜は柔軟性に優れ割れにくいため、フレキシブル表示パネルやフレキシブル照明において好適に用いられる。
また、硬化膜は、タッチパネル等の表示素子において、金属配線等を被覆する透明被膜として特に好ましく使用される。
(7)ケイ素含有樹脂組成物
前述の通り、焼成により硬化膜を生成させる樹脂も、基材成分(B)としての前駆体樹脂として好ましい。焼成により硬化膜を生成させる樹脂としては、例えば、ケイ素含有樹脂が挙げられる。ケイ素含有樹脂の好ましい例としては、シロキサン樹脂、及びポリシランから選択される1種以上が挙げられる。これらのケイ素含有樹脂を含む金属酸化物微粒子分散液を塗布することでケイ素含有樹脂を含む金属酸化物含有膜が得られる。当該金属酸化物含有膜が焼成されることでシリカ系の金属酸化物含有膜が得られる。
以下、シロキサン樹脂、及びポリシランとについて説明する。
(シロキサン樹脂)
シロキサン樹脂について、後述する溶剤に可溶である樹脂であれば、特に制限はない。
シロキサン樹脂としては、例えば下式(C−a)で表されるシラン化合物から選択される少なくとも1種を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂が好適に使用される。
Y0 (4−n0)Si(OR’)n0・・・(C−a)
式(C−a)において、RY0は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表し、R’はアルキル基又はフェニル基を表し、n0は2以上4以下の整数を表す。Siに複数のRY0が結合している場合、該複数のRY0は同じであっても異なっていてもよい。またSiに結合している複数の(OR’)基は同じであっても異なっていてもよい。
また、RY0としてのアルキル基は、好ましくは炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1以上4以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。
Y0がアリール基、又はアラルキル基である場合、これらの基に含まれるアリール基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。アリール基の好適な例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2020075854
上記式の基の中では、下式の基が好ましい。
Figure 2020075854
上記式中、Ra1は、水素原子;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基等の炭化水素基である。上記式中Ra2は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基である。
Y0がアリール基又はアラルキル基である場合の好適な具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、フルオレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
アリール基又はアラルキル基に含まれるベンゼン環の数は1個以上3個以下が好ましい。ベンゼン環の数が1個以上3個以下であると、シロキサン樹脂の製造性が良好であり、シロキサン樹脂の重合度の上昇により焼成時の揮発が抑制され、シリカフィルムの形成が容易である。アリール基又はアラルキル基は、置換基として水酸基を有していてもよい。
また、R’としてのアルキル基は好ましくは炭素原子数1以上5以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。R’としてのアルキル基の炭素原子数は、特に加水分解速度の点から1又は2が好ましい。
式(C−a)におけるn0が4の場合のシラン化合物(i)は下式(C−b)で表される。
Si(ORY1a1(ORY2b1(ORY3c1(ORY4d1・・・(C−b)
式(C−b)中、RY1、RY2、RY3及びRY4は、それぞれ独立に上記R’と同じアルキル基又はフェニル基を表す。
a1、b1、c1及びd1は、0≦a1≦4、0≦b1≦4、0≦c1≦4、0≦d1≦4であって、且つa1+b1+c1+d1=4の条件を満たす整数である。
式(C−a)におけるn0が3の場合のシラン化合物(ii)は下記式(C−c)で表される。
Y5Si(ORY6e1(ORY7f1(ORY8g1・・・(C−c)
式(C−c)中、RY5は水素原子、上記Rと同じアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。RY6、RY7、及びRY8は、それぞれ独立に上記R’と同じアルキル基又はフェニル基を表す。
e1、f1、及びg1は、0≦e1≦3、0≦f1≦3、0≦g1≦3であって、且つe1+f1+g1=3の条件を満たす整数である。
式(C−a)におけるn0が2の場合のシラン化合物(iii)は下記式(C−d)で表される。
Y9Y10Si(ORY11h1(ORY12i1・・・(C−d)
式(C−d)中、RY9及びRY10は水素原子、上記Rと同じアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。RY11、及びRY12は、それぞれ独立に上記R’と同じアルキル基又はフェニル基を表す。
h1及びi1は、0≦h1≦2、0≦i1≦2であって、且つh1+i1=2の条件を満たす整数である。
シラン化合物(i)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラフェニルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシトリブトキシシラン、モノメトキシトリペンチルオキシシラン、モノメトキシトリフェニルオキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン、トリプロポキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノブトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン、トリエトキシモノプロポキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、トリブトキシモノプロポキシシラン、ジメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジブトキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジブトキシモノエトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシモノエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン等のテトラアルコキシシランが挙げられ、中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
シラン化合物(ii)の具体例としては、
トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリペンチルオキシシラン、トリフェニルオキシシラン、ジメトキシモノエトキシシラン、ジエトキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシルモノメトキシシラン、ジペンチルオキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシモノプロポキシシラン、ジフェニルオキシルモノメトキシシラン、ジフェニルオキシモノエトキシシラン、ジフェニルオキシモノプロポキシシラン、メトキシエトキシプロポキシシラン、モノプロポキシジメトキシシラン、モノプロポキシジエトキシシラン、モノブトキシジメトキシシラン、モノペンチルオキシジエトキシシラン、及びモノフェニルオキシジエトキシシラン等のヒドロシラン化合物;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリペンチルオキシシラン、メチルトリフェニルオキシシラン、メチルモノメトキシジエトキシシラン、メチルモノメトキシジプロポキシシラン、メチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、メチルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びメチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のメチルシラン化合物;
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリペンチルオキシシラン、エチルトリフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシジエトキシシラン、エチルモノメトキシジプロポキシシラン、エチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、エチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、エチルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びエチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のエチルシラン化合物;
プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリペンチルオキシシラン、及びプロピルトリフェニルオキシシラン、プロピルモノメトキシジエトキシシラン、プロピルモノメトキシジプロポキシシラン、プロピルモノメトキシジペンチルオキシシラン、プロピルモノメトキシジフェニルオキシシラン、プロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びプロピルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、等のプロピルシラン化合物;
ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリペンチルオキシシラン、ブチルトリフェニルオキシシラン、ブチルモノメトキシジエトキシシラン、ブチルモノメトキシジブロポキシシラン、ブチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ブチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ブチルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びブチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のブチルシラン化合物;
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリペンチルオキシシラン、フェニルトリフェニルオキシシラン、フェニルモノメトキシジエトキシシラン、フェニルモノメトキシジプロポキシシラン、フェニルモノメトキシジペンチルオキシシラン、フェニルモノメトキシジフェニルオキシシラン、フェニルメトキシエトキシプロポキシシラン、トリメトキシ(2−フェニルエチル)シラン及びフェニルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のフェニルシラン化合物;
ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、ヒドロキシフェニルトリエトキシシラン、ヒドロキシフェニルトリプロポキシシラン、ヒドロキシフェニルトリペンチルオキシシラン、ヒドロキシフェニルトリフェニルオキシシラン、ヒドロキシフェニルモノメトキシジエトキシシラン、ヒドロキシフェニルモノメトキシジプロポキシシラン、ヒドロキシフェニルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ヒドロキシフェニルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ヒドロキシフェニルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びヒドロキシフェニルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のヒドロキシフェニルシラン化合物;
ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリプロポキシシラン、ナフチルトリペンチルオキシシラン、ナフチルトリフェニルオキシシラン、ナフチルモノメトキシジエトキシシラン、ナフチルモノメトキシジプロポキシシラン、ナフチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ナフチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ナフチルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びナフチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のナフチルシラン化合物;
ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリプロポキシシラン、ベンジルトリペンチルオキシシラン、ベンジルトリフェニルオキシシラン、ベンジルモノメトキシジエトキシシラン、ベンジルモノメトキシジプロポキシシラン、ベンジルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ベンジルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ベンジルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びベンジルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のベンジルシラン化合物;
ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、ヒドロキシベンジルトリエトキシシラン、ヒドロキシベンジルトリプロポキシシラン、ヒドロキシベンジルトリペンチルオキシシラン、ヒドロキシベンジルトリフェニルオキシシラン、ヒドロキシベンジルモノメトキシジエトキシシラン、ヒドロキシベンジルモノメトキシジプロポキシシラン、ヒドロキシベンジルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ヒドロキシベンジルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ヒドロキシベンジルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びヒドロキシベンジルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のヒドロキシベンジルシラン化合物;
が挙げられる。
シラン化合物(iii)の具体例としては、
ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジプロポキシシラン、ジペンチルオキシシラン、ジフェニルオキシシラン、メトキシエトキシシラン、メトキシプロポキシシラン、メトキシペンチルオキシシラン、メトキシフェニルオキシシラン、エトキシプロポキシシラン、エトキシペンチルオキシシラン、及びエトキシフェニルオキシシラン等のヒドロシラン化合物;
メチルジメトキシシラン、メチルメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルメトキシプロポキシシラン、メチルメトキシペンチルオキシシラン、メチルエトキシプロポキシシラン、メチルジプロポキシシラン、メチルジペンチルオキシシラン、メチルジフェニルオキシシラン、メチルメトキシフェニルオキシシラン等のメチルヒドロシラン化合物;
エチルジメトキシシラン、エチルメトキシエトキシシラン、エチルジエトキシシラン、エチルメトキシプロポキシシラン、エチルメトキシペンチルオキシシラン、エチルエトキシプロポキシシラン、エチルジプロポキシシラン、エチルジペンチルオキシシラン、エチルジフェニルオキシシラン、エチルメトキシフェニルオキシシラン等のエチルヒドロシラン化合物;
プロピルジメトキシシラン、プロピルメトキシエトキシシラン、プロピルジエトキシシラン、プロピルメトキシプロポキシシラン、プロピルメトキシペンチルオキシシラン、プロピルエトキシプロポキシシラン、プロピルジプロポキシシラン、プロピルジペンチルオキシシラン、プロピルジフェニルオキシシラン、プロピルメトキシフェニルオキシシラン等のプロピルヒドロシラン化合物;
ブチルジメトキシシラン、ブチルメトキシエトキシシラン、ブチルジエトキシシラン、ブチルメトキシプロポキシシラン、ブチルメトキシペンチルオキシシラン、ブチルエトキシプロポキシシラン、ブチルジプロポキシシラン、ブチルジペンチルオキシシラン、ブチルジフェニルオキシシラン、ブチルメトキシフェニルオキシシラン等のブチルヒドロシラン化合物;
フェニルジメトキシシラン、フェニルメトキシエトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルメトキシプロポキシシラン、フェニルメトキシペンチルオキシシラン、フェニルエトキシプロポキシシラン、フェニルジプロポキシシラン、フェニルジペンチルオキシシラン、フェニルジフェニルオキシシラン、フェニルメトキシフェニルオキシシラン等のフェニルヒドロシラン化合物;
ヒドロキシフェニルジメトキシシラン、ヒドロキシフェニルメトキシエトキシシラン、ヒドロキシフェニルジエトキシシラン、ヒドロキシフェニルメトキシプロポキシシラン、ヒドロキシフェニルメトキシペンチルオキシシラン、ヒドロキシフェニルエトキシプロポキシシラン、ヒドロキシフェニルジプロポキシシラン、ヒドロキシフェニルジペンチルオキシシラン、ヒドロキシフェニルジフェニルオキシシラン、ヒドロキシフェニルメトキシフェニルオキシシラン等のヒドロキシフェニルヒドロシラン化合物;
ナフチルジメトキシシラン、ナフチルメトキシエトキシシラン、ナフチルジエトキシシラン、ナフチルメトキシプロポキシシラン、ナフチルメトキシペンチルオキシシラン、ナフチルエトキシプロポキシシラン、ナフチルジプロポキシシラン、ナフチルジペンチルオキシシラン、ナフチルジフェニルオキシシラン、ナフチルメトキシフェニルオキシシラン等のナフチルヒドロシラン化合物;
ベンジルジメトキシシラン、ベンジルメトキシエトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、ベンジルメトキシプロポキシシラン、ベンジルメトキシペンチルオキシシラン、ベンジルエトキシプロポキシシラン、ベンジルジプロポキシシラン、ベンジルジペンチルオキシシラン、ベンジルジフェニルオキシシラン、ベンジルメトキシフェニルオキシシラン等のベンジルヒドロシラン化合物;
ヒドロキシベンジルジメトキシシラン、ヒドロキシベンジルメトキシエトキシシラン、ヒドロキシベンジルジエトキシシラン、ヒドロキシベンジルメトキシプロポキシシラン、ヒドロキシベンジルメトキシペンチルオキシシラン、ヒドロキシベンジルエトキシプロポキシシラン、ヒドロキシベンジルジプロポキシシラン、ヒドロキシベンジルジペンチルオキシシラン、ヒドロキシベンジルジフェニルオキシシラン、ヒドロキシベンジルメトキシフェニルオキシシラン等のヒドロキシベンジルヒドロシラン化合物;
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシエトキシシラン、ジメチルメトキシプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジペンチルオキシシラン、ジメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルエトキシプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン等のジメチルシラン化合物;
ジエチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシエトキシシラン、ジエチルメトキシプロポキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジペンチルオキシシラン、ジエチルジフェニルオキシシラン、ジエチルエトキシプロポキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン等のジエチルシラン化合物;
ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルメトキシエトキシシラン、ジプロピルメトキシプロポキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジペンチルオキシシラン、ジプロピルジフェニルオキシシラン、ジプロピルエトキシプロポキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン等のジプロポキシシラン化合物;
ジブチルジメトキシシラン、ジブチルメトキシエトキシシラン、ジブチルメトキシプロポキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジペンチルオキシシラン、ジブチルジフェニルオキシシラン、ジブチルエトキシプロポキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン等のジブチルシラン化合物;
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルメトキシエトキシシラン、ジフェニルメトキシプロポキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジペンチルオキシシラン、ジフェニルジフェニルオキシシラン、ジフェニルエトキシプロポキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン等のジフェニルシラン化合物;
ジ(ヒドロキシフェニル)ジメトキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)メトキシエトキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)メトキシプロポキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)ジエトキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)ジペンチルオキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)ジフェニルオキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)エトキシプロポキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)ジプロポキシシラン等のジ(ヒドロキシフェニル)シラン化合物;
ジナフチルジメトキシシラン、ジナフチルメトキシエトキシシラン、ジナフチルメトキシプロポキシシラン、ジナフチルジエトキシシラン、ジナフチルジペンチルオキシシラン、ジナフチルジフェニルオキシシラン、ジナフチルエトキシプロポキシシラン、ジナフチルジプロポキシシラン等のジナフチルシラン化合物;
ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルメトキシエトキシシラン、ジベンジルメトキシプロポキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、ジベンジルジペンチルオキシシラン、ジベンジルジフェニルオキシシラン、ジベンジルエトキシプロポキシシラン、ジベンジルジプロポキシシラン等のジベンジルシラン化合物;
ジ(ヒドロキシベンジル)ジメトキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)メトキシエトキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)メトキシプロポキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)ジエトキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)ジペンチルオキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)ジフェニルオキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)エトキシプロポキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)ジプロポキシシラン等のジ(ヒドロキシベンジル)シラン化合物;
メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルメトキシエトキシシラン、メチルエチルメトキシプロポキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジペンチルオキシシラン、メチルエチルジフェニルオキシシラン、メチルエチルエトキシプロポキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン等のメチルエチルシラン化合物;
メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルメトキシエトキシシラン、メチルプロピルメトキシプロポキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルプロピルジペンチルオキシシラン、メチルプロピルジフェニルオキシシラン、メチルプロピルエトキシプロポキシシラン、メチルプロピルジプロポキシシラン等のメチルプロピルシラン化合物;
メチルブチルジメトキシシラン、メチルブチルメトキシエトキシシラン、メチルブチルメトキシプロポキシシラン、メチルブチルジエトキシシラン、メチルブチルジペンチルオキシシラン、メチルブチルジフェニルオキシシラン、メチルブチルエトキシプロポキシシラン、メチルブチルジプロポキシシラン等のメチルブチルシラン化合物;
メチル(フェニル)ジメトキシシラン、メチル(フェニル)メトキシエトキシシラン、メチル(フェニル)メトキシプロポキシシラン、メチル(フェニル)ジエトキシシラン、メチル(フェニル)ジペンチルオキシシラン、メチル(フェニル)ジフェニルオキシシラン、メチル(フェニル)エトキシプロポキシシラン、メチル(フェニル)ジプロポキシシラン等のメチル(フェニル)シラン化合物;
メチル(ヒドロキシフェニル)ジメトキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)メトキシエトキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)メトキシプロポキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)ジエトキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)ジペンチルオキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)ジフェニルオキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)エトキシプロポキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)ジプロポキシシラン等のメチル(ヒドロキシフェニル)シラン化合物;
メチル(ナフチル)ジメトキシシラン、メチル(ナフチル)メトキシエトキシシラン、メチル(ナフチル)メトキシプロポキシシラン、メチル(ナフチル)ジエトキシシラン、メチル(ナフチル)ジペンチルオキシシラン、メチル(ナフチル)ジフェニルオキシシラン、メチル(ナフチル)エトキシプロポキシシラン、メチル(ナフチル)ジプロポキシシラン等のメチル(ナフチル)シラン化合物;
メチル(ベンジル)ジメトキシシラン、メチル(ベンジル)メトキシエトキシシラン、メチル(ベンジル)メトキシプロポキシシラン、メチル(ベンジル)ジエトキシシラン、メチル(ベンジル)ジペンチルオキシシラン、メチル(ベンジル)ジフェニルオキシシラン、メチル(ベンジル)エトキシプロポキシシラン、メチル(ベンジル)ジプロポキシシラン等のメチル(ベンジル)シラン化合物;
メチル(ヒドロキシベンジル)ジメトキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)メトキシエトキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)メトキシプロポキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)ジエトキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)ジペンチルオキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)ジフェニルオキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)エトキシプロポキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)ジプロポキシシラン等のメチル(ヒドロキシベンジル)シラン化合物;
エチルプロピルジメトキシシラン、エチルプロピルメトキシエトキシシラン、エチルプロピルメトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジエトキシシラン、エチルプロピルジペンチルオキシシラン、エチルプロピルジフェニルオキシシラン、エチルプロピルエトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジプロポキシシラン等のエチルプロピルシラン化合物;
エチルブチルジメトキシシラン、エチルブチルメトキシエトキシシラン、エチルブチルメトキシプロポキシシラン、エチルブチルジエトキシシラン、エチルブチルジペンチルオキシシラン、エチルブチルジフェニルオキシシラン、エチルブチルエトキシプロポキシシラン、エチルブチルジプロポキシシラン等のエチルブチルシラン化合物;
エチル(フェニル)ジメトキシシラン、エチル(フェニル)メトキシエトキシシラン、エチル(フェニル)メトキシプロポキシシラン、エチル(フェニル)ジエトキシシラン、エチル(フェニル)ジペンチルオキシシラン、エチル(フェニル)ジフェニルオキシシラン、エチル(フェニル)エトキシプロポキシシラン、エチル(フェニル)ジプロポキシシラン等のエチル(フェニル)シラン化合物;
エチル(ヒドロキシフェニル)ジメトキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)メトキシエトキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)メトキシプロポキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)ジエトキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)ジペンチルオキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)ジフェニルオキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)エトキシプロポキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)ジプロポキシシラン等のエチル(ヒドロキシフェニル)シラン化合物;
エチル(ナフチル)ジメトキシシラン、エチル(ナフチル)メトキシエトキシシラン、エチル(ナフチル)メトキシプロポキシシラン、エチル(ナフチル)ジエトキシシラン、エチル(ナフチル)ジペンチルオキシシラン、エチル(ナフチル)ジフェニルオキシシラン、エチル(ナフチル)エトキシプロポキシシラン、エチル(ナフチル)ジプロポキシシラン等のエチル(ナフチル)シラン化合物;
エチル(ベンジル)ジメトキシシラン、エチル(ベンジル)メトキシエトキシシラン、エチル(ベンジル)メトキシプロポキシシラン、エチル(ベンジル)ジエトキシシラン、エチル(ベンジル)ジペンチルオキシシラン、エチル(ベンジル)ジフェニルオキシシラン、エチル(ベンジル)エトキシプロポキシシラン、エチル(ベンジル)ジプロポキシシラン等のエチル(ベンジル)シラン化合物;
エチル(ヒドロキシベンジル)ジメトキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)メトキシエトキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)メトキシプロポキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)ジエトキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)ジペンチルオキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)ジフェニルオキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)エトキシプロポキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)ジプロポキシシラン等のエチル(ヒドロキシベンジル)シラン化合物;
プロピルブチルジメトキシシラン、プロピルブチルメトキシエトキシシラン、プロピルブチルメトキシプロポキシシラン、プロピルブチルジエトキシシラン、プロピルブチルジペンチルオキシシラン、プロピルブチルジフェニルオキシシラン、プロピルブチルエトキシプロポキシシラン、プロピルブチルジプロポキシシラン等のプロピルブチルシラン化合物;
プロピル(フェニル)ジメトキシシラン、プロピル(フェニル)メトキシエトキシシラン、プロピル(フェニル)メトキシプロポキシシラン、プロピル(フェニル)ジエトキシシラン、プロピル(フェニル)ジペンチルオキシシラン、プロピル(フェニル)ジフェニルオキシシラン、プロピル(フェニル)エトキシプロポキシシラン、プロピル(フェニル)ジプロポキシシラン等のプロピル(フェニル)シラン化合物;
プロピル(ヒドロキシフェニル)ジメトキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)メトキシエトキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)メトキシプロポキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)ジエトキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)ジペンチルオキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)ジフェニルオキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)エトキシプロポキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)ジプロポキシシラン等のプロピル(ヒドロキシフェニル)シラン化合物;
プロピル(ナフチル)ジメトキシシラン、プロピル(ナフチル)メトキシエトキシシラン、プロピル(ナフチル)メトキシプロポキシシラン、プロピル(ナフチル)ジエトキシシラン、プロピル(ナフチル)ジペンチルオキシシラン、プロピル(ナフチル)ジフェニルオキシシラン、プロピル(ナフチル)エトキシプロポキシシラン、プロピル(ナフチル)ジプロポキシシラン等のプロピル(ナフチル)シラン化合物;
プロピル(ベンジル)ジメトキシシラン、プロピル(ベンジル)メトキシエトキシシラン、プロピル(ベンジル)メトキシプロポキシシラン、プロピル(ベンジル)ジエトキシシラン、プロピル(ベンジル)ジペンチルオキシシラン、プロピル(ベンジル)ジフェニルオキシシラン、プロピル(ベンジル)エトキシプロポキシシラン、プロピル(ベンジル)ジプロポキシシラン等のプロピル(ベンジル)シラン化合物;
プロピル(ヒドロキシベンジル)ジメトキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)メトキシエトキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)メトキシプロポキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)ジエトキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)ジペンチルオキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)ジフェニルオキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)エトキシプロポキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)ジプロポキシシラン等のプロピル(ヒドロキシベンジル)シラン化合物;
が挙げられる。
以上説明したシラン化合物を、常法に従って加水分解縮合することによりシロキサン樹脂が得られる。
シロキサン樹脂の質量平均分子量は、300以上30,000以下が好ましく、500以上10,000以下がより好ましい。異なる質量平均分子量のシロキサン樹脂を2種以上混合してもよい。シロキサン樹脂の質量平均分子量がかかる範囲内である場合、製膜性に優れ、平坦な金属酸化物含有膜を形成できる金属酸化物微粒子分散液を得やすい。
以上説明したシラン化合物を加水分解縮合させて得られるシロキサン樹脂の好適な例としては、下記式(C−1−1)で示される構造単位を有するシロキサン樹脂が挙げられる。当該シロキサン樹脂において、ケイ素原子1個に対する炭素原子の数は2個以上である。
Figure 2020075854
(式(C−1−a)中、RZ1はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、RZ2は水素又はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、m0は0又は1である。)
Z1及びRZ2におけるアルキル基、アリール基、又はアラルキル基は、前述の式(C−a)におけるアルキル基、アリール基、又はアラルキル基と同様である。
上記のように、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を有するシロキサン樹脂を用いることにより、耐久性に優れるシリカ系の金属酸化物含有膜を形成でき、微小な空間への充填が容易な金属酸化物微粒子分散液を得やすい。
アルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。このように炭素原子数1以上5以下のアルキル基を有することにより、耐熱性が良好なシリカフィルムを形成しやすい。
アリール基及びアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、フルオレニル基、及びピレニル基等が挙げられる。
アリール基及びアラルキル基としては、具体的には下記の構造を有するものが好ましく挙げられる。
Figure 2020075854
上記式中、RZ3は、水素原子;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基等の炭化水素基であり、RZ4は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基である。なお、上記芳香族炭化水素基は、該芳香族炭化水素基における少なくとも1つの芳香環に、上記RZ3を有していればよく、複数有していてもよい。複数のRZ3を有する場合には、これらのRZ3は同一でもよく、異なっていてもよい。
特に好ましいRZ1としては、下記の構造(R−a)、又は構造(R−b)を有する基が好ましく、特に(R−b)が好ましい。
Figure 2020075854
式(C−1−a)において、m0は0であることが好ましく、その場合にはシロキサン樹脂は、シルセスキオキサン骨格を有する。さらに、シロキサン樹脂は、ラダー型のシルセスキオキサンであることがより好ましい。
さらに、式(C−1−a)で示される構造単位(単位骨格)において、ケイ素原子1個に対して、炭素原子が2個以上15個以下となる原子数比を有していることが好ましい。
シロキサン樹脂は、式(C−1−a)で示される構造単位を2種類以上有していてもよい。また、シロキサン樹脂は、異なる構造単位からなるシロキサン樹脂を混合したものであってもよい。
式(C−1−a)で示される構造単位を2種類以上有するシロキサン樹脂としては、具体的には下記の構造式(C−1−1)〜(C−1−3)で表されるシロキサン樹脂が挙げられる。
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
シロキサン樹脂としては、例えば、下式(C−1−4)で示される構成単位を含有するものであってもよい。
Figure 2020075854
式(C−1−4)中、RY13は、その構造中に(メタ)アクリル基、ビニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する有機基である。(メタ)アクリル基、ビニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基は、Si原子に直接結合していてもよく、連結基を介していてもよい。連結基は、例えば、炭素原子数1以上10以下の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキレン基若しくはアリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基である。連結基は、エーテル結合、アミノ結合、又はアミド結合を有していてもよい。
式(C−1−4)で表される構成単位は、例えば以下の単位が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2020075854
また、RY13がエポキシ基を有する場合、RY13として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基が好適な例として挙げられる。
シロキサン樹脂としては、例えば、下式(C−1−5)で示される構成単位を含有するものであってもよい。
Figure 2020075854
式(C−1−5)中、RY14は、その構造中にカルボキシ基を少なくとも1つ有する有機基である。カルボキシ基は連結基を介してSi原子に結合していることが好ましく、連結基は、例えば、炭素原子数1以上10以下の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキレン基、シクロアルキレン基、若しくはアリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基である。
連結基は、エーテル結合、アミノ結合、アミド結合、又はビニル結合を有していてもよく、アミド結合を有していることが好ましい。RY14は、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下式中*は、式(C−1−5)中のSiと結合する、RY14の結合手の末端を意味する。
Figure 2020075854
ケイ素含有樹脂を基材成分(B)として含む金属酸化物微粒子分散液は後述する硬化剤を含み得る。硬化剤を含む金属酸化物微粒子分散液において、
(i)硬化剤が光又は熱により塩基成分を発生する硬化剤を含む場合、
(ii)金属酸化物微粒子分散液が後述の光重合開始剤や塩基発生剤等を含む場合、又は、
(iii)後述する金属酸化物含有膜の製造方法において露光工程を有する場合、
シロキサン樹脂は式(C−1−4)で示される構成単位を含有することが好ましい。
同様にまた、(iv)後述のその他の成分である光重合開始剤、酸発生剤、若しくは塩基発生剤からなる群の少なくとも1つ(硬化剤に該当するものを除く)を含む場合、シロキサン樹脂は式(C−1−4)で示される構成単位を含有することが好ましい。シロキサン樹脂中の式(C−1−4)で示される構成単位の含有割合は、例えば、10モル%以上80モル%以下である。他の構成単位として、さらに式(C−1−a)で示される構造単位及び/又は(C−1−5)で示される構成単位を含んでいてもよい。また、各式に該当する構成単位を2種以上含んでいてもよい。
後述する金属酸化物含有膜の製造方法において、現像工程を有する場合、シロキサン樹脂は式(C−1−5)で示される構成単位、式(R−a)で表される構造を有する構成単位、及び式(R−b)で表される構造を有する構成単位からなる群より選択される1種以上の構成単位を含有することが好ましい。シロキサン樹脂中の式(C−1−5)で示される構成単位、式(R−a)で表される構造を有する構成単位、及び式(R−b)で表される構造を有する構成単位からなる群より選択される構成単位の含有割合は、例えば、20モル%以上90モル%以下である。この場合、他の構成単位として、さらに式(C−1−a)で示される構造単位及び/又は式(C−1−4)で示される構成単位を含んでいてもよく、(C−1−4)で示される構成単位及び(C−1−5)で示される構成単位を含むシロキサン樹脂であることが好ましい。また、各式に該当する構成単位を2種以上含んでいてもよい。
(ポリシラン)
ポリシランの構造は特に限定されない。ポリシランは直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、網目状であっても、環状であってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状の鎖状構造が好ましい。
ポリシランは、シラノール基及び/又はアルコキシ基を含有していてもよい。
好適なポリシランとしては、例えば、下式(A5)及び(A6)で表される単位の少なくとも1つを必須に含み、下式(A7)、(A8)及び(A9)で表される単位から選択される少なくとも1つの単位を任意に含有するポリシランが挙げられる。かかるポリシランは、シラノール基、又はケイ素原子に結合するアルコキシ基を含有していてもよい。
Figure 2020075854
(式(A5)、(A7)、及び(A8)中、Ra3及びRa4は、水素原子、有機基又はシリル基を表す。Ra5は、水素原子又はアルキル基を表す。Ra5がアルキル基である場合、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましい。)
a3及びRa4について、有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基や、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられる。
これらの基の中では、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基が好ましい。アルキル基、アリール基、及びアラルキル基の好適な例は、前述の式(C−a)中のRY0がアルキル基、アリール基、又はアラルキル基である場合の例と同様である。
a3及びRa4がシリル基である場合、シリル基としては、シリル基、ジシラニル基、トリシラニル基等のSi1−10シラニル基(Si1−6シラニル基等)が挙げられる。
ポリシランは、下記(A10)から(A13)のユニットを含むのが好ましい。
Figure 2020075854
(A10)から(A13)中、Ra3及びRa4は、式(A5)、(A7)、及び(A8)中におけるRa3及びRa4と同様である。a0、b0、及びc0は、それぞれ、2以上1,000以下の整数である。
a0、b0、及びc0は、それぞれ、10以上500以下が好ましく、10以上100以下がより好ましい。各ユニット中の構成単位は、ユニット中に、ランダムに含まれていても、ブロック化された状態で含まれていてもよい。
以上説明したポリシランの中では、それぞれケイ素原子に結合している、アルキル基と、アリール基又はアラルキル基とを組み合わせて含むポリシラン又はアルキル基のみケイ素原子に結合しているポリシランが好ましい。より具体的には、それぞれケイ素原子に結合している、メチル基と、ベンジル基とを組み合わせて含むポリシランや、それぞれケイ素原子に結合している、メチル基と、フェニル基とを組み合わせて含むポリシラン、又はメチル基のみケイ素原子に結合しているポリシランが好ましく使用される。
ポリシランの質量平均分子量は、300以上100,000以下が好ましく、500以上70,000以下がより好ましく、800以上30,000以下がさらに好ましい。異なる質量平均分子量のポリシランを2種以上混合してもよい。
金属酸化物微粒子分散液としてのケイ素含有樹脂組成物中の、ケイ素含有樹脂の含有量は特に限定されず、所望の膜厚に応じて設定すればよい。製膜性の点からは、ケイ素含有樹脂組成物中のケイ素含有樹脂の含有量は、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
(硬化剤)
ケイ素含有樹脂を基材成分(B)として含む金属酸化物微粒子分散液は、ケイ素含有樹脂用の硬化剤を含んでいてもよい。金属酸化物微粒子分散液としてのケイ素含有樹脂組成物が硬化剤を含む場合、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤により、溶解、膨潤、変形したりしにくい、有機溶剤耐性に優れる金属酸化物含有膜を形成しやすい。
ケイ素含有樹脂用の硬化剤の好適な例としては、塩酸、硫酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホ酸等のブレンステッド酸;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DCMU(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素)等の有機アミン類;三塩化リン、三臭化リン、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリプロピル等のPX (式中、Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるリン化合物;オキシ三塩化リン、オキシ三臭化リン、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル等のPOX (式中、Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるリン化合物;五酸化二リン;ポリリン酸やポリリン酸エステル等の、H(HPOOH(式中、xは1以上の整数である。)で表されるリン化合物;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、メトキシジクロロホスフィン等のRD0PX (式中、RD0は水素原子又は炭素原子数1以上30以下の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるリン化合物;亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジクロリド、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジクロリド、ベンジルホスホン酸ジエチル等のRD0POX (式中、RD0は水素原子又は炭素原子数1以上30以下の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるリン化合物;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(p−トリル)ホスフィン、トリス(m−トリル)ホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、1,4−ビスジフェニルホスフィノブタン等の有機リン化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリアミル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリシクロペンチル、ホウ酸トリシクロヘキシル、ホウ酸トリアリル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸エチルジメチル等のBX (式中、Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるホウ素化合物;酸化ホウ素(B);フェニルボロン酸、ジイソプロポキシ(メチル)ボラン、メチルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸等のRD0BX (式中、RD0は水素原子又は炭素原子数1以上30以下の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるホウ素化合物;トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムジシアナミド、n−ブチルトリフェニルホスホニウムジシアナミド等の有機リン化合物の複合体;三フッ化ホウ素等のルイス酸の有機アミン錯体(有機アミンとしては例えばピペリジン);アザビシクロウンデセン、ジアザビシクロウンデセントルエンスルホン酸塩、又はジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩等のアミジン類;が挙げられる。
また、基材成分(B)として上記ポリシランを用いる場合、上記硬化剤に加えて又は単独で、光又は熱により塩基成分を発生する硬化剤を用いることが好ましい。
・熱により塩基成分を発生する硬化剤
熱により塩基成分を発生する硬化剤としては、従来から熱塩基発生剤として使用されている化合物を特に限定なく用いることができる。
例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンを、熱により塩基成分を発生する硬化剤として用いることができる。なお、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンは光の作用によっても塩基を発生させる。
また、加熱により下式(d1)で表されるイミダゾール化合物を発生させる化合物(以下、熱イミダゾール発生剤とも記す)も、硬化剤として好ましく使用される。
Figure 2020075854
(式(d1)中、Rd1、Rd2、及びRd3は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、スルホナト基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。)
d1、Rd2、及びRd3における有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
d1及びRd2は、それらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合をさらに含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。
d1、Rd2、及びRd3の有機基に含まれる結合は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、有機基は、酸素原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子を含む結合を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含む結合の具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−Rd0)−、−C(=NRd0)−:Rd0は水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
d1、Rd2、及びRd3の有機基が有してもよいヘテロ原子を含む結合としては、イミダゾール化合物の耐熱性の観点から、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−Rd0)−、−C(=NRd0)−:Rd0は水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
d1、Rd2、及びRd3の有機基が炭化水素基以外の置換基である場合、Rd1、Rd2、及びRd3は本発明の効果が損なわれない限り特に限定されない。Rd1、Rd2、及びRd3の具体例としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
d1、Rd2、及びRd3としては、水素原子、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、炭素原子数6以上12以下のアリール基、炭素原子数1以上12以下のアルコキシ基、及びハロゲン原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
熱イミダゾール発生剤は、加熱により上記式(d1)で表されるイミダゾール化合物を発生させることができる化合物であれば特に限定されない。従来から種々の組成物に配合されている、熱の作用によりアミンを発生する化合物(熱塩基発生剤)について、加熱時に発生するアミンに由来する骨格を、上記式(d1)で表されるイミダゾール化合物に由来する骨格に置換することにより、熱イミダゾール発生剤として使用される化合物が得られる。
好適な熱イミダゾール発生剤としては、下記式(d2):
Figure 2020075854
(式(d2)中、Rd1、Rd2、及びRd3は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。Rd4及びRd5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
式(d2)において、Rd1、Rd2、及びRd3は、式(d1)について説明したものと同様である。
式(d2)において、Rd4及びRd5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。
d4及びRd5における有機基としては、Rd1、Rd2、及びRd3について例示したものが挙げられる。この有機基は、Rd1、Rd2、及びRd3の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
以上の中でも、Rd4及びRd5としては、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルケニル基、炭素原子数7以上16以下のアリールオキシアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、シアノ基を有する炭素原子数2以上11以下のアルキル基、水酸基を有する炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上11以下のアミド基、炭素原子数1以上10以下のアルキルチオ基、炭素原子数1以上10以下のアシル基、炭素原子数2以上11以下のエステル基(−COOR、−OCOR:Rは炭化水素基を示す)、炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基であることが好ましい。より好ましくは、Rd4及びRd5の両方が水素原子であるか、又はRd4がメチル基であり、Rd5が水素原子である。
式(d2)において、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。
d6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10における有機基としては、Rd1、Rd2、及びRd3において例示したものが挙げられる。この有機基は、Rd1及びRd2の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
d6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。例えば、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それらの2つ以上が結合して、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成してもよい。
以上の中でも、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10としては、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルケニル基、炭素原子数7以上16以下のアリールオキシアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、シアノ基を有する炭素原子数2以上11以下のアルキル基、水酸基を有する炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上11以下のアミド基、炭素原子数1以上10以下のアルキルチオ基、炭素原子数1以上10以下のアシル基、炭素原子数2以上11以下のエステル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基、ニトロ基であることが好ましい。
また、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10としては、それらの2つ以上が結合して、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も好ましい。
上記式(d2)で表される化合物の中では、下記式(d3):
Figure 2020075854
(式(d3)中、Rd1、Rd2、及びRd3は、式(d1)及び(d2)と同義である。Rd4〜Rd9は式(d2)と同義である。Rd11は、水素原子又は有機基を示す。Rd6及びRd7が水酸基となることはない。Rd6、Rd7、Rd8、及びRd9は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
で表される化合物が好ましい。
式(d3)で表される化合物は、置換基−O−Rd11を有するため、有機溶媒に対する溶解性に優れる。
式(d3)において、Rd11は、水素原子又は有機基である。Rd11が有機基である場合、有機基としては、Rd1、Rd2、及びRd3において例示したものが挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。Rd11としては、水素原子、炭素原子数1以上12以下のアルキル基若しくはアルコキシアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基がより好ましい。
熱イミダゾール発生剤として特に好適な化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2020075854
なお、式(d2)又は(d3)で表される化合物は加熱の他光の作用によっても分解してイミダゾール化合物を発生し得る。
・オキシムエステル化合物
オキシムエステル化合物は、光の作用により分解して塩基を発生する。オキシムエステル化合物の好適な例は、第1の態様の感エネルギー性組成物について説明したオキシムエステル化合物の好適な例と同様である。
ケイ素含有樹脂組成物は、異なる分類又は種類の硬化剤を2種以上含んでいてもよい。
ケイ素含有樹脂組成物の、硬化剤の含有量は、典型的には、ケイ素含有樹脂組成物の固形分の質量に対して、0.01質量%以上40質量%以下が好ましく、0.1質量%以上20質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
(イオン液体)
ケイ素含有樹脂組成物は、イオン液体を含んでいてもよい。ケイ素含有樹脂組成物がイオン液体を含むことにより、ケイ素含有樹脂組成物中での金属酸化物(A)の分散安定性がさらに向上し得る。
イオン液体としては、第6の態様の感エネルギー性組成物について説明したイオン液体を好適に用いることができる。イオン液体は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
イオン液体の含有量としては、本発明の効果を達成し得る限り特に制限はない。
イオン液体の含有量は、ケイ素含有樹脂組成物において金属酸化物(A)100質量部に対して、10質量部以上500質量部以下が好ましく、90質量部以上400質量部以下がより好ましく、100質量部以上300質量部以下がさらに好ましい。
(溶剤)
ケイ素含有樹脂組成物は、通常、溶剤を含む。溶剤は、環式骨格を有し、且つ水素原子及び炭素原子以外のヘテロ原子を含む化合物である溶剤(S1)を含むのが好ましい。つまり、溶剤(S1)は、非炭化水素溶媒である。溶剤(S1)が含んでいてもよいヘテロ原子としては、N、O、S、及びP等が挙げられる。
溶剤が、溶剤(S1)を含むことによって、金属酸化物(A)の分散安定性をさらに向上し得る。
例えば、溶剤(S1)が有する環式骨格が、金属酸化物(A)に対する凝集阻害の効果を奏していると推測される。
溶剤(S1)が有する環式骨格としては、脂環式骨格が好ましい。ここで、芳香族性を示さない環式骨格を脂環式骨格とする。また、溶剤(S1)が、テトラリン環のように芳香族環骨格と脂環式骨格との双方を有する場合、溶剤(S1)が脂環式骨格を有するとする。
理由は定かではないが、平面的な立体構造を有する芳香族環骨格よりも、脂環式骨格がある程度かさ高いことが、金属酸化物(A)の分散安定化に良好に寄与すると推測される。
溶剤(S1)は、エステル結合(−CO−O−)、アミド結合(−CO−NH−)、カーボネート結合(−O−CO−O−)、ウレイド結合(−NH−CO−NH−)、及びウレタン結合(−O−CO−NH−)からなる群より選択される1種以上の結合を有するのが好ましい。
本願明細書において、単にエステル結合、及びアミド結合と記載する場合、それぞれ「カルボン酸エステル結合」、及び「カルボン酸アミド結合」を意味する。
アミド結合、ウレイド結合、及びウレタン結合において、窒素原子には有機基が結合していてもよい。有機基の種類は特に限定されない。有機基としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、メチル基及びエチル基がさらに好ましい。
溶剤(S1)がこれらの結合を含む場合、ケイ素含有樹脂をケイ素含有樹脂組成物中に良好に溶解させやすい。
溶剤(S1)の好ましい例としては、アニソール、フェネトール、プロピルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、クレジルメチルエーテル、エチルベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、及びピリダジン等の芳香族溶媒;シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及び1,3−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式アルコール;シクロヘキシルメチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、及びジオキサン等の脂環式エーテル類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘキサノン、1,4−シクロペンタンジオン、及び1,3−シクロペンタンジオン等の脂環式ケトン類;β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、及びε−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトン類;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及びN,N−ジメチルプロピレン尿素等の環状アミド類又は環状尿素類;炭酸エチレン、及び炭酸プロピレン等の環状カーボネート類等が挙げられる。
また、溶剤(S1)としては、カルボン酸のシクロアルキルエステルが好ましい。カルボン酸のシクロアルキルエステルとしては、下式(s1):
Figure 2020075854
(式(s1)中、Rs1は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基であり、Rs2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基であり、pは1以上6以下の整数であり、qは0以上(p+1)以下の整数である。)
で表される、カルボン酸のシクロアルキルエステルが好ましい。
式(s1)中のRs1としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基が挙げられ、メチル基が好ましい。
式(s1)中のRs2としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、及びn−ヘキシル基が挙げられる。Rs2としてのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、及びn−ブチル基が好ましく、メチル基、及びエチル基がより好ましい。
式(s1)で表されるカルボン酸シクロアルキルエステルの好適な例としては、シクロプロピルアセテート、シクロブチルアセテート、シクロペンチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、シクロヘプチルアセテート、シクロオクチルアセテート、シクロプロピルプロピオネート、シクロブチルプロピオネート、シクロペンチルプロピオネート、シクロヘキシルプロピオネート、シクロヘプチルプロピオネート、及びシクロオクチルプロピオネートが挙げられる。これらの中では、入手が容易であり、好ましい沸点を有することから、シクロペンチルアセテート、及びシクロヘキシルアセテートが好ましい。
以上説明した溶剤(S1)の中では、式(s1)で表されるカルボン酸シクロアルキルエステルが好ましく、シクロペンチルアセテート、及びシクロヘキシルアセテートが特に好ましい。
溶剤についての、溶剤(S1)以外の好適な例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、又はジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物;前記多価アルコール類又は前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル、又はモノフェニルエーテル等のエーテル誘導体;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤;N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−エチルピロリドン等の窒素含有有機溶媒;が挙げられる。これらの溶剤は、2種以上組み合わせて使用してもよい。
溶剤(S1)以外の他の溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、及びブタノールが好ましい。
溶剤が、溶剤(S1)を含む場合、溶剤中の溶剤(S1)の含有量は30質量%以上が好ましく、45質量%以上99.99質量%以下がより好ましく、50質量%以上99質量%以下がさらに好ましい。
ケイ素含有樹脂組成物が基材成分(B)としてポリシランを含む場合、金属酸化物含有膜のクラックを抑制する点で、ケイ素含有樹脂組成物の水分量は、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましく、0.3質量%未満が特に好ましい。なお、ケイ素含有樹脂組成物の水分量はカールフィッシャー測定法により、測定することができる。
ケイ素含有樹脂組成物の水分は、溶剤に由来する場合が多い。このため、ケイ素含有樹脂組成物の水分量が上記の量となるように、溶剤が脱水されているのが好ましい。
溶剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。製膜性の点から、溶剤は、ケイ素含有樹脂組成物の固形分濃度が、好ましくは1質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上40質量%以下であるように用いられる。
(その他の成分)
ケイ素含有樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、シリカ系の膜形成用のケイ素含有樹脂組成物に従来から添加されている種々の添加剤を含んでいてもよい。
かかる添加剤の例としては、塩基発生剤、触媒、増感剤、シランカップリング剤、密着増強剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、粘度調整剤、樹脂、ゴム粒子、及び着色剤等が挙げられる。
なお、ケイ素含有樹脂組成物が樹脂としてアルカリ可溶性樹脂を含む場合、ケイ素含有樹脂組成物にアルカリ現像性が付与される。
また、ケイ素含有樹脂組成物がゴム粒子を含む場合、形成される金属酸化物含有膜に弾性が付与され、金属酸化物含有膜の脆さを解消しやすい。
また、ケイ素含有樹脂組成物は、ニトロキシドラジカルとして安定に存在し得る化合物であるニトロキシ化合物を含むのが好ましい。
ケイ素含有樹脂組成物がニトロキシ化合物を含むと、シリカ系の金属酸化物含有膜を形成する際の焼成温度が、例えば250℃以下(例えば200℃以上250℃以下の範囲)の低い温度であっても、金属酸化物含有膜の残渣(焼成により生成するシリカ由来の不純物)を低減できるので好ましい。金属酸化物含有膜中の残渣が少ないと、金属酸化物含有膜が高温雰囲気や減圧雰囲気におかれる場合でも、金属酸化物含有膜からの、残渣そのものや残渣の分解物に由来するガス発生が抑制される。
ニトロキシ化合物の好適な具体例としては、例えば、ジ−tert−ブチルニトロキシド、ジ−1,1−ジメチルプロピルニトロキシド、ジ−1,2−ジメチルプロピルニトロキシド、ジ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド、及び下記式の化合物が挙げられる。
下記式においてRN1は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよい芳香族基、又は置換基を有してもよい脂環式基を表す。
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
さらに好ましいニトロキシ化合物としては、低い温度での焼成でも特に残渣を低減しやすいことから、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、4−メタクリル酸−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、4−アクリル酸−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン1−オキシル フリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、4−(2−クロロアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルベンゾアート フリーラジカル、4−イソチオシアナト−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、4−(2−ヨードアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、及び4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカルが挙げられる。
ニトロキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ケイ素含有樹脂組成物におけるニトロキシ化合物の含有量は微量であってよい。ケイ素含有樹脂組成物中のニトロキシ化合物の含有量は、低い温度での焼成でも残渣を低減しやすいことから、ケイ素含有樹脂組成物の溶剤以外の成分の質量の合計に対して、0.005質量%以上が好ましく、0.009質量%以上がより好ましい。
また、ケイ素含有樹脂組成物中のニトロキシ化合物の含有量は、ケイ素含有樹脂組成物の溶剤以外の成分の質量の合計に対して、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
ケイ素含有樹脂組成物は、酸化防止剤を含むのが好ましい。ケイ素含有樹脂組成物が酸化防止剤を含むと、金属酸化物含有膜の金属酸化物(A)の種類に応じて得られる種々の効果の低下を抑制しやすい。
酸化防止剤は、リン系、硫黄系及びフェノール系酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
リン系酸化防止剤の種類は、特別に限定されず、具体的には、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、オクタデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシルオキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル及びホスホン酸等を挙げることができる。
リン系酸化防止剤のうち、金属酸化物含有膜の耐熱性及び耐熱変色防止の側面で、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、及び6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が好ましい。
リン系酸化防止剤の市販品としては、Irgafos 168(BASF社製)、Sumilizer GP(住友化学社製)等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の種類は、特に限定されず、具体的には、2,2−ビス({[3−(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)−1,3−プロパンジイル−ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオネート]、2−メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2−メルカプトベンズイミダゾール等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤のうち、金属酸化物含有膜の耐熱性及び耐熱変色防止の側面で、2,2−ビス({3−(ドデシルチオ)プロピオニル}オキシ)メチル)1,3−プロパンジイル−ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオネート]、2−メルカプトベンズイミダゾール等が好ましい。
硫黄系酸化防止剤の市販品としては、Irganox 1035(BASF社製)等を挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤の種類は、特に限定されず、具体的には、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエトキシ]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−イソシアヌレート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びテトラキス[メチレン−3−(3,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]メタン等を挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤のうち、金属酸化物含有膜の耐熱性及び耐熱変色防止の側面で、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエトキシ]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−イソシアヌレート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン及び2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール等が好ましい。
フェノール系酸化防止剤の市販品としては、Irganox 1010(BASF社製)、ADK STAB AO−80(ADEKA社製)等を挙げることができる。
酸化防止剤の含有量は、ケイ素含有樹脂組成物の固形分の総質量中、例えば0.01質量%以上30質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上8質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上5質量%以下である。上記範囲内とすることで金属酸化物含有膜の金属酸化物(A)の種類に応じて得られる種々の効果の低下を抑制することができる。また、ケイ素含有樹脂組成物を用いて印刷法等によりパターニングする場合に、形成されたパターンの剥離を抑制しやすい。
上記の第1〜第6の態様の感エネルギー性組成物に代表される感光性又は感熱性の金属酸化物微粒子分散液や、ケイ素含有樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、充填剤、密着性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、増粘剤等が挙げられる。
増感剤としては、第5の態様の感エネルギー性組成物について例示した化合物が挙げられる。増感剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
増感剤の含有量は、各組成物が光酸発生剤を含む場合は、光酸発生剤に対してモル比で0.1以上6以下であることが好ましく、0.2以上4以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、各組成物の感度、硬化性が良好になる。
充填剤としては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、雲母等の公知の充填剤が挙げられる。
充填剤の含有量は、各組成物の固形分に対して60質量%以下であることが好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
界面活性剤としては、BM−1000、BM−1100(いずれもBMケミー社製)、メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183(いずれも大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−135、フロラードFC−170C、フロラードFC−430、フロラードFC−431(いずれも住友スリーエム社製)、サーフロンS−112、サーフロンS−113、サーフロンS−131、サーフロンS−141、サーフロンS−145(いずれも旭硝子社製)、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428(いずれも東レシリコーン社製)等の市販のフッ素系界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
増粘剤としては、超微粉シリカ、モンモリロナイト等が挙げられる。
消泡剤及び/又はレベリング剤としては、シリコーン系高分子、フッ素系高分子等が挙げられる。
密着性付与剤としては、シランカップリング剤等挙げられる。
また、第1〜第6の態様の感光性組成物、又はケイ素含有樹脂組成物は、任意の添加剤として、1−(N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノ)メチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−(N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノ)メチル−1H−メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、ジハイドロキシプロピルベンゾトリアゾール、ビスアミノメチルベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体等を単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
金属酸化物微粒子分散液が含有していてもよい上記各種添加剤の添加量は、特に記載した場合を除き、組成物全体に対して、例えば、0.001質量%上10質量%以下の範囲で適宜調整すればよく、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
≪金属酸化物微粒子分散液の調製方法>
金属酸化物微粒子分散液は、上記の各成分を撹拌機で混合することにより調製される。金属酸化物(A)としての表面修飾金属酸化物微粒子は、分散媒に分散された状態で金属酸化物微粒子分散液に配合されてもよく、分散媒を含まないか殆ど含まない状態で金属酸化物微粒子分散液に配合されてもよい。
なお、調製された金属酸化物微粒子分散液が均一になるよう、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
≪金属酸化物含有膜の製造方法≫
以上説明した、金属酸化物(A)を含む金属酸化物微粒子分散液を用いることにより、金属酸化物含有膜を形成することができる。
金属酸化物微粒子分散液が、基材成分(B)として、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等)、FR−AS樹脂、FR−ABS樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミドビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾチアゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、シリコーン樹脂、BT樹脂、ポリメチルペンテン、超高分子量ポリエチレン、FR−ポリプロピレン、(メタ)アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート等)、及びポリスチレン等の樹脂材料を含む場合について、金属酸化物含有膜の形成方法について前述の通りである。
金属酸化物微粒子分散液が、熱硬化性材料を基材成分(B)として含む場合には、金属酸化物微粒子分散液を、塗布等の方法により膜化した後、形成された膜を、硬化性材料の種類に応じた温度に加熱して硬化させることによって、金属酸化物含有膜を形成することができる。
金属酸化物微粒子分散液が、前述の種々の感光性組成物である場合、典型的には、
金属酸化物微粒子分散液を基板上に塗布して塗布膜を形成することと、
塗布膜を露光することと、を含む方法により金属酸化物含有膜が製造される。
より具体的には、まず、適切な塗布方法により、塗膜を形成する。例えば、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ、インクジェット等の非接触型塗布装置を用いて基板上に金属酸化物微粒子分散液を塗布し、乾燥させることにより、塗布膜を形成することができる。
乾燥方法は特に限定されず、例えば、(1)ホットプレートにて80℃以上120℃以下、好ましくは90℃以上100℃以下の温度にて60秒以上120秒以下の間、プリベークを行う方法、(2)室温にて数時間以上数日以下の間放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分間以上数時間以下の間入れて溶剤を除去する方法等が挙げられる。
次いで、塗布膜に対して、位置選択的に電磁波を照射し、露光する。金属酸化物微粒子分散が露光により硬化するネガ型の感光性組成物である場合、塗布膜の全面に対して露光を行ってもよい。
露光を位置選択的に行う場合、電磁波は、ポジ型又はネガ型のマスクを介して照射してもよく、直接照射してもよい。露光量は、金属酸化物微粒子分散の組成によっても異なるが、例えば5mJ/cm以上500mJ/cm以下程度が好ましい。
露光が塗布膜に対して全面的に行われた場合、露光された塗布膜をそのまま金属酸化物含有膜として用いることができる。
露光が位置選択的に行われた場合、露光後の塗布膜を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングされた金属酸化物含有膜が得られる。
現像方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系の現像液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
現像後のパターン化された金属酸化物含有膜に対しては、200℃以上250℃以下程度でポストベークを行うことが好ましい。
金属酸化物微粒子分散が基材成分(B)としてケイ素含有樹脂を含むケイ素含有樹脂組成物である場合、金属酸化物含有膜を製造するために、金属酸化物微粒子分散としてのケイ素含有樹脂組成物の塗布膜が焼成される。
この場合、基板の材質は、焼成に耐えられる材質であれば特に限定されない。基板の材質の好適な例としては、金属、シリコン、ガラス等の無機材料や、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の耐熱性の材料が挙げられる。基板の厚さは特に限定されず、基板は、フィルムやシートであってもよい。
塗布膜を備える基板は、次いで焼成される。焼成方法は特に限定されないが、典型的には電気炉等を用いて焼成が行われる。焼成温度は、典型的には300℃以上が好ましく、350℃以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、1000℃以下である。ケイ素含有樹脂組成物が前述の硬化剤及び/又はニトロキシ化合物を含む場合、焼成温度の下限値を200℃に下げてもシリカフィルムである金属酸化物含有膜中の残渣(シリカフィルム由来の不純物)を低減できる。焼成雰囲気は特に限定されず、窒素雰囲気又はアルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲下、真空下、又は減圧下であってもよい。大気下であってもよいし、酸素濃度を適宜コントロールしてもよい。
上記の方法により形成される金属酸化物含有膜は、金属酸化物微粒子分散液の組成に応じた金属酸化膜物含有膜の性能に応じて、光学素子等における高屈折率膜や、電子素子におけるパッシベーション膜等の用途において好適に用いられる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されない。
〔実施例1〕
2−エチルヘキサン酸のジルコニウム塩のミネラルスピリット溶液(第一希元素化学工業社製、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム塩濃度44質量%)782質量部と、純水268質量部とをを混合した。
得られた混合液を、オートクレーブ内に仕込んだ。オートクレーブ内を窒素ガス雰囲気とした後、撹拌しながら混合液を180℃まで加熱し、同温度で16時間撹拌し続けた。
撹拌終了後、オートクレーブ内の固形物を、ろ過により回収した。回収された固形物をアセトンで洗浄した後、乾燥させた。乾燥後の固形物100質量部を、トルエン800mL中に分散させた後、白濁した溶液が形成された。白濁した溶液を、ろ紙(No.5C)でろ過し、粗大な粒子を除去した。ロータリーエバポレータにより、ろ液からトルエンを十分に留去させて、乾燥した白色の酸化ジルコニウム微粒子を得た。
得られた酸化ジルコニウム微粒子100質量部と、被覆剤としての下記式のカルボン酸化合物(CA1)10質量部とを、メチルエチルケトン100質量部に加えた後、メチルエチルケトン中の酸化ジルコニウム微粒子を10分間撹拌して、酸化ジルコニウム微粒子の表面を、下記式のカルボン酸化合物で被覆した。
撹拌後の液から、ロータリーエバポレーターによりメチルエチルケトンを十分に留去させて、酸化ジルコニウムを回収した。回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。また、XPSにより、窒素(N1s電子)について、原料(CA1)の観測結果、CA1被覆処理前の酸化ジルコニウム微粒子の観測結果、及びCA1被覆処理後の酸化ジルコニウム微粒子の観測結果をそれぞれ比較した場合に、被覆処理後の酸化ジルコニウム微粒子に原料CA1とは異なる窒素(N1s電子)由来のピークが観測されることによっても、酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
Figure 2020075854
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、以下の方法により、分散安定性を評価した。
<有機溶媒中での分散安定性評価>
水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウム50質量部を、100質量部のメチルエチルケトン(MEK)中に均一に分散させて、分散安定性評価用の金属酸化物微粒子分散液を得た。
得られた金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。引き続き60日間(計90日間)常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子の凝集が目視にて観察された。
<(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価>
下記式の3元共重合体である(メタ)アクリル樹脂70質量部とい、下記式の2元共重合体であある(メタ)アクリル樹脂30質量部と、下記式で表される硬化剤(ナフタル酸誘導体)5質量部と、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウム45質量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート700質量部中に溶解・分散させて、分散安定性評価用の金属酸化物微粒子分散液を得た。酸化ジルコニウムの使用量は、固形分中30質量%である。
なお、下記式中、各構成単位の右下の数字は、樹脂中の各構成単位の含有量(質量%)である。
Figure 2020075854
Figure 2020075854
Figure 2020075854
得られた金属酸化物微粒子分散液を、30日常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
<硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価>
硬化性化合物として、下記式で表される化合物を用いた。
Figure 2020075854
硬化剤として、光カチオン重合開始剤である、下記式で表される化合物を用いた。
Figure 2020075854
上記の硬化性化合物69.95質量部と、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウム30質量部と、上記の硬化剤0.35質量部とを、固形分濃度が20質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解・分散させて、分散安定性評価用の金属酸化物微粒子含有分散液を得た。
得られた金属酸化物微粒子分散液を、30日常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
〔実施例2〕
メチルエチルケトンをプロピレングリコールモノメチルエーテルに変更することの他は、実施例1と同様に、カルボン酸化合物(CA1)を用いて酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。実施例1と同様に、回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。
有機溶媒中での分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであったが、引き続き60日間(計90日間)常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子の凝集が目視にて観察された。
(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価と、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価とでは、ともに、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
〔実施例3〕
乾燥した白色の酸化ジルコニウム微粒子50質量部を、濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液50質量部と混合した後、得られた混合液と、カルボン酸化合物(CA1)10質量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテル50質量部に加えた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル中の酸化ジルコニウム微粒子を10分間撹拌して、酸化ジルコニウム微粒子の表面を、カルボン酸化合物(CA1)で被覆した。
撹拌後の液から、ロータリーエバポレーターによりプロピレングリコールモノメチルエーテルと水とを十分に留去させて、酸化ジルコニウムを回収した。回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。
有機溶媒中での分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであったが、引き続き60日間(計90日間)常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子の凝集が目視にて観察された。
(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価と、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価とでは、ともに、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
〔実施例4〕
乾燥した白色の酸化ジルコニウム微粒子50質量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテル50質量部と混合した後、カルボン酸化合物(CA1)3質量部をN,N,N’,N’−テトラメチルウレア(TMU)30質量部に事前に溶解した混合液を加えた。酸化ジルコニウム微粒子を10分間撹拌して、酸化ジルコニウム微粒子の表面を、カルボン酸化合物(CA1)で被覆した。
撹拌後の液から、ロータリーエバポレーターによりプロピレングリコールモノメチルエーテルとN,N,N’,N’−テトラメチルウレアとを十分に留去させて、酸化ジルコニウムを回収した。回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。
有機溶媒中での分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を90日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価と、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価とのいずれでも、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
実施例1〜3と、実施例4との比較から、アミド構造を有する化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルウレアの存在下に、カルボン酸化合物(CA1)による被覆を行うことにより有機溶媒中での酸化ジルコニウム微粒子の分散安定性が向上したことが分かる。
〔実施例5〕
カルボン酸化合物(CA1)を、濃度5質量%のN,N,N’,N’−テトラメチルウレア溶液として用いることの他は、実施例2と同様に、カルボン酸化合物(CA1)を用いて酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。実施例1と同様に、回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。
有機溶媒中での分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を90日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価と、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価とのいずれでも、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
実施例1〜3と、実施例5との比較から、アミド構造を有する化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルウレアの存在下に、カルボン酸化合物(CA1)による被覆を行うことにより有機溶媒中での酸化ジルコニウム微粒子の分散安定性が向上したことが分かる。
〔比較例1〕
カルボン酸化合物(CA1)を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに変えることの他は、実施例1と同様に、酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。
回収された被覆処理後の酸化ジルコニウムは、ウエット感のあるべたついた固体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。なお、有機溶媒中での分散安定性評価は割愛した。
その結果、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価では、金属酸化物微粒子分散液を、2時間常温静置した段階で酸化ジルコニウム微粒子の凝集が観察され、(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を、1日間常温静置した段階で酸化ジルコニウム微粒子の凝集が観察された。
〔比較例2〕
カルボン酸化合物(CA1)を、フタル酸モノ2−アクリロイルオキシエチルエステルに変えることの他は、実施例1と同様に、酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。
回収された被覆処理後の酸化ジルコニウムは、ウエット感のあるべたついた固体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。なお、有機溶媒中での分散安定性評価は割愛した。
その結果、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価では、金属酸化物微粒子分散液を、6時間常温静置した段階で酸化ジルコニウム微粒子の凝集が観察され、(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を、1日間常温静置した段階で酸化ジルコニウム微粒子の凝集が観察された。
〔比較例3〕
カルボン酸化合物(CA1)を、コハク酸モノ2−アクリロイルオキシエチルエステルに変えることの他は、実施例1と同様に、酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。その結果、被覆処理中の混合液がゲル化してしまい、被覆処理後の酸化ジルコニウムを回収することができなかった。
〔実施例6〕
カルボン酸化合物(CA1)により被覆する酸化ジルコニウムを、比較例1で得られたウエット感のあるべたついた固体状の酸化ジルコニウムに変更することの他は、実施例2と同様に、酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。実施例1と同様に、回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。
有機溶媒中での分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであったが、引き続き60日間(計90日間)常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子の凝集が目視にて観察された。
(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価と、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価とでは、ともに、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
〔実施例7〕
カルボン酸化合物(CA1)により被覆する酸化ジルコニウムを、比較例1で得られたウエット感のあるべたついた固体状の酸化ジルコニウムに変更することの他は、実施例4と同様に、酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。実施例1と同様に、回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。
有機溶媒中での分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を90日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価と、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価とのいずれでも、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
実施例1〜3、及び実施例6と、実施例7との比較から、アミド構造を有する化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルウレアの存在下に、カルボン酸化合物(CA1)による被覆を行うことにより有機溶媒中での酸化ジルコニウム微粒子の分散安定性が向上したことが分かる。
〔実施例8〕
カルボン酸化合物(CA1)を、カルボン酸化合物としてのL−アルギニン(CA2)に変更することの他は、実施例1と同様に、酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。実施例1と同様に、回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
Figure 2020075854
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。
有機溶媒中での分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであったが、引き続き60日間(計90日間)常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子の凝集が目視にて観察された。
(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価と、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価とでは、ともに、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
〔実施例9〕
カルボン酸化合物(CA1)を、カルボン酸化合物としてのL−アルギニン(CA2)に変更することの他は、実施例2と同様に、酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。実施例1と同様に、回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。
有機溶媒中での分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであったが、引き続き60日間(計90日間)常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子の凝集が目視にて観察された。
(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価と、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価とでは、ともに、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
〔実施例10〕
カルボン酸化合物(CA1)を、カルボン酸化合物としてのL−アルギニン(CA2)に変更することの他は、実施例3と同様に、酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。実施例1と同様に、回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。
有機溶媒中での分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を、30日間静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであったが、引き続き60日間(計90日間)常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子の凝集が目視にて観察された。
(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価と、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価とでは、ともに、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
〔実施例11〕
カルボン酸化合物(CA1)を、カルボン酸化合物としてのL−アルギニン(CA2)に変更することの他は、実施例4と同様に、酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。実施例1と同様に、回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。
有機溶媒中での分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を90日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価と、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価とのいずれでも、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
実施例1〜3、及び実施例10と、実施例11との比較から、アミド構造を有する化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルウレアの存在下に、カルボン酸化合物(CA2)による被覆を行うことにより有機溶媒中での酸化ジルコニウム微粒子の分散安定性が向上したことが分かる。
〔実施例12〕
カルボン酸化合物(CA1)を、カルボン酸化合物としてのL−アルギニン(CA2)に変更することの他は、実施例5と同様に、酸化ジルコニウム微粒子の被覆処理を行った。実施例1と同様に、回収された酸化ジルコニウムは、水あめ状の粘稠な液体であった。性状の変化から酸化ジルコニウムの表面に被覆剤が付着していることが分かる。
得られた、水あめ状の表面修飾された酸化ジルコニウムを用いて、実施例1と同様に、分散安定性を評価した。
有機溶媒中での分散安定性評価では、金属酸化物微粒子分散液を90日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
(メタ)アクリル樹脂含有組成物中ので分散安定性評価と、硬化性の芳香族化合物を含有する組成物中での分散安定評価とのいずれでも、金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置しても、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
実施例1〜3、及び実施例10と、実施例12との比較から、アミド構造を有する化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルウレアの存在下に、カルボン酸化合物(CA2)による被覆を行うことにより有機溶媒中での酸化ジルコニウム微粒子の分散安定性が向上したことが分かる。
〔実施例13〕
実施例5と同様に被覆処理して得られたカルボン酸化合物(CA1)が付着した酸化ジルコニウム50質量部と、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート40質量%及びグリシジルメタクリレート60質量%の共重合体18質量部とを、メチルイソブチルケトン50質量部中に分散させて、金属酸化物微粒子分散液を得た。
上記の共重合体の重量平均分子量は、6000であった。
得られた金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
〔実施例14〕
共重合体を、4−オキサテトラシクロ−[6.2.1.02,73,5]ウンデカニルアクリレート72質量%と、メタクリル酸18質量%と、トリシクロデシルメタクリレート10質量%との共重合体に変更することの他は、実施例13と同様にして金属酸化物微粒子分散液を得た。
上記の共重合体の重量平均分子量は10000であった。
得られた金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
〔実施例15〕
さらに、感光剤である4−[2−[4−[1,1ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニル]プロパン−2−イル]フェノールの1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(3モル体)2質量部を加えることと、メチルイソブチルケトンにより希釈して金属酸化物微粒子分散液の固形分濃度を20質量%に調整することとの他は、実施例13と同様にして金属酸化物微粒子分散液を得た。得られた金属酸化物微粒子分散液は、ポジ型感光性組成物として使用し得る。
得られた金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
得られた金属酸化物微粒子分散液をガラス基板にスピンコーターを用いて塗布した。塗布膜に対して110℃で120秒間プリベークを行った後、塗布膜に対して、紫外線硬化機を用いて、ライン幅20μm、スペース幅20μmのラインアンドスペースパターン用のマスクを介して、ブロードバンド光を露光した。露光された塗布膜に対して26℃にてアルカリ現像液中で現像処理を行った。現像液としては、濃度0.825質量%のNaOH・NaCO混合水溶液を用いた。純水でのリンス洗浄を経て、露光された塗布膜中の不要部分を除去した。その後、現像された塗布膜に対して、230℃にて20分間ポストベークを行うことにより、パターン化された塗布膜を形成した。
〔実施例16〕
さらに、光重合性化合物である、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート9質量を加えることと、4−[2−[4−[1,1ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニル]プロパン−2−イル]フェノールの1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(3モル体)2質量部を、光重合開始剤である下記構造の化合物2質量部に変えることとの他は、実施例15と同様にして金属酸化物微粒子分散液を得た。得られた金属酸化物微粒子分散液は、ネガ型感光性組成物として使用し得る。
得られた金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
Figure 2020075854
得られた金属酸化物微粒子分散液をガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した。塗布膜に対して、90℃で120秒間プリベークを行って、膜厚1.0μmの塗布膜を形成した。次いで、塗布膜に対して、紫外線硬化機を用いて、ライン幅20μm、スペース幅20μmのラインアンドスペースパターン用のマスクを介して、ブロードバンド光を露光した。露光された塗布膜を、23℃の濃度2.38質量%のTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液で現像し、不要部分を除去した。その後、現像された塗布膜に対して、230℃にて20分間ポストベークを行うことにより、パターン化された硬化膜を形成した。
〔実施例17〕
光重合開始剤を、下記構造の化合物に変更することの他は、実施例16と同様にして金属酸化物微粒子分散液を得た。得られた金属酸化物微粒子分散液は、ネガ型感光性組成物として使用し得る。
得られた金属酸化物微粒子分散液を、30日間常温静置したところ、酸化ジルコニウム微粒子は安定に分散したままであった。
また、得られた金属酸化物微粒子分散液を用いて、実施例16と同様にして、フォトリソグラフィー法によりパターン化された硬化膜形成したところ、実施例16と同様に、良好にパターン化された硬化膜を形成できた。
Figure 2020075854

Claims (14)

  1. 金属酸化物微粒子の表面の少なくとも一部を、下記式(1):
    Figure 2020075854
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は1価の有機基であり、RとRとが互いに結合して環を形成してもよく、前記環は、環構成元素としてN、S、及びOからなる群より選択される元素を1つ以上含んでいてもよく、Rは、1価の有機基であり、Rは、メチレン基、又は単結合である。)
    で表されるカルボン酸化合物及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートで被覆することを含む、表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法。
  2. 前記カルボン酸化合物及び/又は前記カルボキシレートによる被覆が、アミド構造を有する化合物を含有する溶液又は懸濁液中で調製されたか、アミド構造を有する化合物を含む分散媒の存在下に分散された改質金属酸化物微粒子に対して行われる、請求項1に記載の表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法。
  3. 前記式(1)において、前記Rと前記Rとが互いに結合してイミダゾール環を形成する、請求項1又は2に記載の表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法。
  4. 前記金属酸化物微粒子が、Ag、Cu、In、Sn、Ti、Hf、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法。
  5. アミド構造を有する化合物を含有する溶液又は懸濁液中で金属酸化物微粒子を調製するか、アミド構造を有する化合物を含む分散媒の存在下で金属酸化物微粒子を分散させることを含む、改質金属酸化物微粒子の製造方法。
  6. 前記金属酸化物微粒子が、Ag、Cu、In、Sn、Ti、Hf、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む、請求項5に記載の改質金属酸化物微粒子の製造方法。
  7. 下記式(1):
    Figure 2020075854
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は1価の有機基であり、RとRとが互いに結合して環を形成してもよく、前記環は、環構成元素としてN、S、及びOからなる群より選択される元素を1つ以上含んでいてもよく、Rは、1価の有機基であり、Rは、メチレン基、又は単結合である。)
    で表されるカルボン酸化合物及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートによって被覆処理される前記改質金属酸化物微粒子を製造する、請求項5又は6に記載の改質金属酸化物微粒子の製造方法。
  8. 前記式(1)において、前記Rと前記Rとが互いに結合してイミダゾール環を形成する、請求項7に記載の改質金属酸化物微粒子の製造方法。
  9. 表面の少なくとも一部が、下記式(1):
    Figure 2020075854
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は1価の有機基であり、RとRとが互いに結合して環を形成してもよく、前記環は、環構成元素としてN、S、及びOからなる群より選択される元素を1つ以上含んでいてもよく、Rは、1価の有機基であり、Rは、メチレン基、又は単結合である。)
    で表されるカルボン酸化合物及び/又は式(1)で表されるカルボン酸化合物由来のカルボキシレートで被覆された、表面修飾金属酸化物微粒子。
  10. 前記式(1)において、前記Rと前記Rとが互いに結合してイミダゾール環を形成する、請求項9に記載の表面修飾金属酸化物微粒子。
  11. Ag、Cu、In、Sn、Ti、Hf、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む、請求項9又は10に記載の表面修飾金属酸化物微粒子。
  12. 金属酸化物(A)として、請求項9〜11のいずれか1項に記載の表面修飾金属酸化物微粒子を含む、金属酸化物微粒子分散液。
  13. 基材成分(B)を含有する、請求項12に記載の記載の金属酸化物微粒子分散液。
  14. 前記基材成分(B)として、下記式(b−01):
    Figure 2020075854
    (式(b−01)中、W01及びW02は、それぞれ独立に、下記式(b−02):
    Figure 2020075854
    で表される基であり、
    式(b−02)中、環Z01は芳香族炭化水素環を示し、X01は単結合又は−S−で示される基を示し、R01は単結合、炭素原子数1以上4以下のアルキレン基、又は炭素原子数が1以上4以下であるアルキレンオキシ基を示し、R01がアルキレンオキシ基である場合、アルキレンオキシ基中の酸素原子が環Z01と結合し、R01は1価炭化水素基、水酸基、−OR4Aで示される基、−SR4Bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4Cで示される基、−N(R4Dで示される基、スルホ基、又は1価炭化水素基、−OR4Aで示される基、−SR4Bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4Cで示される基、若しくは−N(R4Dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4Bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4Cで示される基、−N(R4Dで示される基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基を示し、R4A〜R4Dは独立に1価炭化水素基を示し、Mは0以上の整数を示し、R03は、水素原子、ビニル基、チイラン−2−イルメチル基、グリシジル基、又は(メタ)アクリロイル基であり、
    01とW02との双方がR03として水素原子を有することはなく、
    環Y01及び環Y02は同一の又は異なる芳香族炭化水素環を示し、R00は単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、−O−で示される基、−NH−で示される基、又は−S−で示される基を示し、R3A及びR3Bは独立にシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基を示し、N1及びN2は独立に0〜4の整数を示す。)
    で表される化合物を含む、請求項13に記載の金属酸化物微粒子分散液。
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