≪感光性樹脂組成物≫
本明細書において、「感光性樹脂組成物」は、特に別の記載をしない限り、一般に、ネガ型感光性樹脂組成物及びポジ型感光性樹脂組成物を含む。
<式(1)で表される化合物>
本発明の感光性樹脂組成物は、下記式(1)で表される化合物を含有する感光性樹脂組成物である。以下ではまず、式(1)で表される化合物について説明し、次いで、感光性樹脂組成物について説明する。
(式(1)中、R
1は水素原子又はアルキル基であり、R
2は置換基を有してもよい芳香族基であり、R
3は置換基を有してもよいアルキレン基であり、R
4は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基であり、nは0〜3の整数である。)
式(1)中、R1は水素原子又はアルキル基である。R1がアルキル基である場合、当該アルキル基は、直鎖アルキル基であっても、分岐鎖アルキル基であってもよい。当該アルキル基の炭素原子数は特に限定されないが、1〜20が好ましく、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
R1として好適なアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチル−n−ヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基が挙げられる。
式(1)中、R2は、置換基を有してもよい芳香族基である。置換基を有してもよい芳香族基は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基でもよく、置換基を有してもよい芳香族複素環基でもよい。
芳香族炭化水素基の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。芳香族炭化水素基は、単環式の芳香族基であってもよく、2以上の芳香族炭化水素基が縮合して形成されたものであってもよく、2以上の芳香族炭化水素基が単結合により結合して形成されたものであってもよい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アンスリル基、フェナンスレニル基が好ましい。
芳香族複素環基の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。芳香族複素環基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。芳香族複素環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、及びベンゾイミダゾリル基が好ましい。
フェニル基、多環芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、及び有機基が挙げられる。フェニル基、多環芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基が複数の置換基を有する場合、当該複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
芳香族基が有する置換基が有機基である場合、当該有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基等が挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
芳香族基が隣接する炭素原子上に置換基を有する場合、隣接する炭素原子上に結合する2つの置換基はそれが結合して環状構造を形成してもよい。環状構造としては、脂肪族炭化水素環や、ヘテロ原子を含む脂肪族環が挙げられる。
芳香族基が有する置換基が有機基である場合に、当該有機基に含まれる結合は本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、有機基は、酸素原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子を含む結合を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含む結合の具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
有機基が有してもよいヘテロ原子を含む結合としては、式(1)で表される化合物の耐熱性の観点から、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、アミノ結合(−NR−:Rは水素原子又は1価の有機基を示す)ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は1価の有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
有機基が炭化水素基以外の置換基である場合、炭化水素基以外の置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。炭化水素基以外の置換基の具体例としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアルミ基、モノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
フェニル基、多環芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基が有する置換基としては、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアリール基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のアリールオキシ基、炭素原子数1〜12のアリールアミノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
R2としては、式(1)で表される化合物を安価且つ容易に合成でき、イミダゾール化合物の水や有機溶剤に対する溶解性が良好であることから、それぞれ置換基を有してもよいフェニル基、フリル基、チエニル基が好ましい。
式(1)中、R3は、置換基を有してもよいアルキレン基である。アルキレン基が有していてもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。アルキレン基が有していてもよい置換基の具体例としては、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子等が挙げられる。アルキレン基は、直鎖アルキレン基であっても、分岐鎖アルキレン基であってもよく、直鎖アルキレン基が好ましい。アルキレン基の炭素原子数は特に限定されないが、1〜20が好ましく、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。なお、アルキレン基の炭素原子数には、アルキレン基に結合する置換基の炭素原子を含まない。
アルキレン基に結合する置換基としてのアルコキシ基は、直鎖アルコキシ基であっても、分岐鎖アルコキシ基であってもよい。置換基としてのアルコキシ基の炭素原子数は特に限定されないが、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
アルキレン基に結合する置換基としてのアミノ基は、モノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基であってもよい。モノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基に含まれるアルキル基は、直鎖アルキル基であっても分岐鎖アルキル基であってもよい。モノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基に含まれるアルキル基の炭素原子数は特に限定されないが、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
R3として好適なアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、n−プロパン−1,3−ジイル基、n−プロパン−2,2−ジイル基、n−ブタン−1,4−ジイル基、n−ペンタン−1,5−ジイル基、n−ヘキサン−1,6−ジイル基、n−ヘプタン−1,7−ジイル基、n−オクタン−1,8−ジイル基、n−ノナン−1,9−ジイル基、n−デカン−1,10−ジイル基、n−ウンデカン−1,11−ジイル基、n−ドデカン−1,12−ジイル基、n−トリデカン−1,13−ジイル基、n−テトラデカン−1,14−ジイル基、n−ペンタデカン−1,15−ジイル基、n−ヘキサデカン−1,16−ジイル基、n−ヘプタデカン−1,17−ジイル基、n−オクタデカン−1,18−ジイル基、n−ノナデカン−1,19−ジイル基、及びn−イコサン−1,20−ジイル基が挙げられる。
R4は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基であり、nは0〜3の整数である。nが2〜3の整数である場合、複数のR4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
R4が有機基である場合、当該有機基は、R2について、芳香族基が置換基として有していてもよい有機基と同様である。
R4が有機基である場合、有機基としては、アルキル基、芳香族炭化水素基、及び芳香族複素環基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基がより好ましい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アンスリル基、及びフェナンスレニル基が好ましく、フェニル基、及びナフチル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。芳香族複素環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、及びベンゾイミダゾリル基が好ましく、フリル基、及びチエニル基がより好ましい。
R4がアルキル基である場合、アルキル基のイミダゾール環上での結合位置は、2位、4位、5位のいずれも好ましく、2位がより好ましい。R4が芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基である場合、これらの基のイミダゾール上での結合位置は、2位が好ましい。
上記式(1)で表される化合物の中では、安価且つ容易に合成可能であり、水や有機溶剤に対する溶解性に優れる点から、下記式(1−1)で表される化合物が好ましく、式(1−1)で表され、R3がメチレン基である化合物がより好ましい。
(式(1−1)中、R
1、R
3、R
4、及びnは、式(1)と同様であり、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基であり、ただし、R
5、R
6、R
7、R
8、及びR
9のうち少なくとも1つは水素原子以外の基である。)
R5、R6、R7、R8、及びR9が有機基である場合、当該有機基は、式(1)におけるR2が置換基として有する有機基と同様である。R5、R6、R7、及びR8は、イミダゾール化合物の溶媒に対する溶解性の点から水素原子であるのが好ましい。
中でも、R5、R6、R7、R8、及びR9のうち少なくとも1つは、下記置換基であることが好ましく、R9が下記置換基であるのが特に好ましい。R9が下記置換基である場合、R5、R6、R7、及びR8は水素原子であるのが好ましい。
−O−R10
(R10は水素原子又は有機基である。)
R10が有機基である場合、当該有機基は、式(1)におけるR2が置換基として有する有機基と同様である。R10としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記式(1−1)で表される化合物の中では、下記式(1−1−1)で表される化合物が好ましい。
(式(1−1−1)において、R
1、R
4、及びnは、式(1)と同様であり、R
11、R
12、R
13、R
14、及びR
15は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基であり、ただし、R
11、R
12、R
13、R
14、及びR
15のうち少なくとも1つは水素原子以外の基である。)
式(1−1−1)で表される化合物の中でも、R11、R12、R13、R14、及びR15のうち少なくとも1つが、前述の−O−R10で表される基であることが好ましく、R15が−O−R10で表される基であるのが特に好ましい。R15が−O−R10で表される基である場合、R11、R12、R13、及びR14は水素原子であるのが好ましい。
上記式(1)で表される化合物の合成方法は特に限定されない。例えば、下記式(I)で表されるハロゲン含有カルボン酸誘導体と、下記式(II)で表されるイミダゾール化合物とを、常法に従って反応させてイミダゾリル化を行うことによって、上記式(1)で表される化合物を合成することができる。
(式(I)及び式(II)中、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、式(1)と同様である。式(I)において、Halはハロゲン原子である。)
また、イミダゾール化合物が、式(1)で表され、且つR3がメチレン基である化合物である場合、すなわち、イミダゾール化合物が下記式(1−1)で表される化合物である場合、以下に説明するMichael付加反応による方法によっても、イミダゾール化合物を合成することができる。
(式(1−2)中、R
1、R
2、R
4及びnは、式(1)と同様である。)
具体的には、例えば、下記式(III)で表される3−置換アクリル酸誘導体と、上記式(II)で表されるイミダゾール化合物とを溶媒中で混合してMichael付加反応を生じさせることによって、上記式(1−2)で表されるイミダゾール化合物が得られる。
(式(III)中、R
1、R
2、R
4及びnは、式(1)と同様である。)
また、下記式(IV)で表される、イミダゾリル基を含む3−置換アクリル酸誘導体を、水を含む溶媒中に加えることによって、下記式(1−3)で表されるイミダゾール化合物が得られる。
(式(IV)及び式(1−3)中、R
2、R
4及びnは、式(1)と同様である。)
この場合、上記式(IV)で表される3−置換アクリル酸誘導体の加水分解により、上記式(II)で表されるイミダゾール化合物と、下記式(V)で表される3−置換アクリル酸とが生成する。そして、下記式(V)で表される3−置換アクリル酸と、上記式(II)で表されるイミダゾール化合物との間でMichael付加反応が生じ、上記式(1−3)で表されるイミダゾール化合物が生成する。
式(1)で表される化合物の好適な具体例としては、以下のものが挙げられる。
このような上記式(1)で表される化合物は、有機溶剤への溶解性が良好であり、また、感光性樹脂組成物に含有させた際に良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
なお、この化合物は、後述する実施例のようにして合成することが可能である。
<感光性樹脂組成物>
本発明に係る感光性樹脂組成物としては、従来公知の感光性樹脂組成物に上記式(1)で表される化合物を添加したものを、特に制限されずに用いることができる。以下、本発明に係る感光性樹脂組成物の具体例について詳細に説明する。
なお、以下の具体例に限定されるものではないが、感光性樹脂組成物は、上記式(1)で表される化合物、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤又は感光剤、及び有機溶剤を有することが好ましい。必要に応じて光重合性モノマーを用いてもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシ基、フェノール水酸基、又はスルホ基(−SO3H)等のアルカリ可溶性基を有する従来公知の樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性基を有する樹脂の骨格は特に限定されず、例えば、カルド構造を有する樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、(ヒドロキシ)スチレン系樹脂、又はポリシロキサン若しくはポリシラン等のケイ素含有樹脂等が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、カルド構造を有する樹脂、フェノール性水酸基を有する樹脂、ポリイミド樹脂、及びエポキシ樹脂よりなる群から選択される樹脂を含有することが好ましい。光重合開始剤又は感光剤、有機溶剤、光重合性モノマーの詳細についても、後述する第1〜7の態様の感光性樹脂組成物において説明する。
(1)第1の態様の感光性樹脂組成物
第1の態様の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、上記式(1)で表される化合物、及び有機溶剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物である。
第1の態様の感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されず、従来公知のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。このアルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和基を有するものであってもよく、エチレン性不飽和基を有さないものであってもよい。
なお、本明細書においてアルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物を、さらに多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂を用いることができる。
その中でも、下記式(a−1)で表される樹脂が好ましい。この式(a−1)で表される樹脂は、それ自体が、光硬化性が高い点で好ましい。
上記式(a−1)中、Xaは、下記式(a−2)で表される基を示す。
上記式(a−2)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Ra2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Waは、単結合又は下記式(a−3)で表される基を示す。
また、上記式(a−1)中、Yaは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、Zaは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、mは、0〜20の整数を示す。
また、エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等を用いることもできる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとの両方を意味する。
一方、エチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂としては、不飽和カルボン酸と脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物と脂環式基含有不飽和化合物とを少なくとも共重合させて得られる樹脂を用いることができる。
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−オキサテトラシクロ−[6.2.1.02,7 03,5]ウンデカニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルが好ましい。これらのエポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
脂環式基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。具体的に、脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。
上記式中、Ra3は水素原子又はメチル基を示し、Ra4は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra5は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。Ra4としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra5としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
このアルカリ可溶性樹脂中における上記不飽和カルボン酸に由来する構成単位の割合は、3〜25質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。また、上記エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、71〜95質量%であることが好ましく、75〜90質量%であることがより好ましい。また、上記脂環式基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、1〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、得られる樹脂のアルカリ溶解性を適度なものとしながら、感光性樹脂組成物の基板への密着性、感光性樹脂組成物の硬化後の強度を高めることができる。
アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、第1の態様の感光性樹脂組成物の固形分に対して5〜80質量%であることが好ましく、15〜50質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
第1の態様の感光性樹脂組成物における光重合性モノマーとしては、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光重合性モノマーの含有量は、第1の態様の感光性樹脂組成物の固形分に対して1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
第1の態様の感光性樹脂組成物における光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。また好ましくは、後述するオキシムエステル化合物を用いてもよい。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
好適なオキシムエステル化合物としては、下記式(d11)で表される化合物が挙げられる。
上記式(d11)中、RD13は、炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。x1は、0又は1である。RD14は、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。RD15は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
RD13が炭素原子数1〜10のアルキル基である場合、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。
RD13が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基が有していてもよい置換基の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。RD13が、置換基を有してもよいフェニル基であり、フェニル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が更に好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。また、アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。この場合、フェニル基が有する置換基としては、例えば、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がアルコキシアルキル基である場合、−RD16−O−RD17で表される基が好ましい。RD16は、炭素原子数1〜10の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキレン基である。RD17は、炭素原子数1〜10の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキル基である。RD16の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。RD17の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合、その炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、アルコキシ基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、2−メトキシ−1−メチルエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、その炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、その炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合、その炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合、その炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。またフェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合、その炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、置換基は、フェニル基又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
フェニル基が有する置換基が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例としては、フェニル基が有する置換基について上記したものと同様のものが挙げられる。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、β−ナフトイルアミノ基、及びN−アセチル−N−アセチルオキシアミノ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上、RD13が置換基を有してもよいフェニル基である場合の置換基について説明したが、これらの置換基の中では、アルキル基又はアルコキシアルキル基が好ましい。
RD13が置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の数と、置換基の結合位置とは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。RD13が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、塩基の発生効率に優れる点で、置換基を有してもよいフェニル基は、置換基を有していてもよいo−トリル基であるのが好ましい。
RD13が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カルバゾリル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいフェニルカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフチルカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
RD13が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
カルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、RD13が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
RD13において、カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
RD14は、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。
RD14が置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基である場合、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。
RD14において、アルキル基、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
フェニル基、及びカルバゾリル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基として上記で例示した基に加えて、炭素原子数1〜20のアルキル基が挙げられる。
アルキル基、フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、RD13が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
RD14において、アルキル基、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。アルキル基又はフェニル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(d11)で表される化合物の塩基発生効率の点から、R
D14としては、下記式(d12):
で表される基、及び下記式(d13):
で表される基が好ましい。
式(d12)中、RD18及びRD19は、それぞれ1価の有機基であり、y1は0又は1である。式(d13)中、RD20は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、y2は0〜4の整数である。
式(d12)におけるRD18は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。RD18の好適な例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
RD18の中では、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
式(d12)におけるRD19は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。RD19として好適な基の具体例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。RD19として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基、及び置換基を有してもよいナフチル基がより好ましく、2−メチルフェニル基及びナフチル基が特に好ましい。
RD18又はRD19に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。RD18又はRD19に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。RD18又はRD19に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(d13)におけるRD20が有機基である場合、RD20は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(d13)においてRD20が有機基である場合の好適な例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基が挙げられる。
RD20の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(d13)において、y2は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1であるのが特に好ましい。y2が1である場合、RD20の結合する位置は、RD20が結合するフェニル基が硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
RD15は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基である。置換基を有していてもよいフェニル基である場合、フェニル基が有していてもよい置換基は、RD13が置換基を有していてもよいフェニル基である場合と同様である。RD15としては、メチル基、エチル基、又はフェニル基が好ましく、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
上記式(d11)で表されるオキシムエステル化合物は、x1が0である場合、例えば、以下に説明する方法により合成できる。まず、RD14−CO−RD13で表されるケトン化合物を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して、RD14−(C=N−OH)−RD13で表されるオキシム化合物を得る。次いで、得られたオキシム化合物を、RD15−CO−Hal(Halはハロゲンを示す)で表される酸ハロゲン化物や、(RD15CO)2Oで表される酸無水物によりアシル化して、x1が0である上記式(d11)で表されるオキシムエステル化合物が得られる。
また、上記式(d11)で表されるオキシムエステル化合物は、x1が1である場合、例えば、以下に説明する方法により合成できる。まず、RD14−CO−CH2−RD13で表されるケトン化合物を、塩酸の存在下に亜硝酸エステルと反応させ、RD14−CO−(C=N−OH)−RD13で表されるオキシム化合物を得る。次いで、得られたオキシム化合物を、RD15−CO−Hal(Halはハロゲンを示す)で表される酸ハロゲン化物や、(RD15CO)2Oで表される酸無水物によりアシル化して、x1が1である上記式(d11)で表されるオキシムエステル化合物が得られる。
上記式(d11)で表される化合物としては、下記式(d14)で表される化合物が挙げられる。
上記式(d14)中、x1及びRD14は上記のとおりである。RD21は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、x2は0〜4の整数であり、RD22は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。
上記式(d14)中、RD21は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、有機基である場合、種々の有機基から適宜選択される。RD21の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。x2が2〜4の整数である場合、RD21は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素原子数には、置換基が更に有する置換基の炭素原子数を含まない。
RD21がアルキル基である場合、炭素原子数1〜20が好ましく、炭素原子数1〜6がより好ましい。また、RD21がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。RD21がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、RD21がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
RD21がアルコキシ基である場合、炭素原子数1〜20が好ましく、炭素原子数1〜6がより好ましい。また、RD21がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。RD21がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、RD21がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
RD21がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、炭素原子数3〜10が好ましく、炭素原子数3〜6がより好ましい。RD21がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。RD21がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
RD21が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素原子数2〜20が好ましく、炭素原子数2〜7がより好ましい。RD21が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。RD21が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
RD21がアルコキシカルボニル基である場合、炭素原子数2〜20が好ましく、炭素原子数2〜7がより好ましい。RD21がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
RD21がフェニルアルキル基である場合、炭素原子数7〜20が好ましく、炭素原子数7〜10がより好ましい。またRD21がナフチルアルキル基である場合、炭素原子数11〜20が好ましく、炭素原子数11〜14がより好ましい。RD21がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。RD21がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。RD21が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、RD21は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
RD21がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。RD21がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
RD21が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、RD21と同様である。1又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
RD21に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。RD21に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。RD21に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
RD21の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、及び炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
RD21がフェニル基に結合する位置は、RD21が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がより好ましい。また、x2は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1が特に好ましい。
上記式(d14)におけるRD22は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。RD22としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
オキシムエステル化合物として特に好適な化合物の具体例を以下に示す。
下式(d15)で表される化合物も、オキシムエステル化合物として好適に使用される。
(R
D23は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、R
D24及びR
D25は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、R
D24とR
D25とは相互に結合して環を形成してもよく、R
D26は1価の有機基であり、R
D27は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、x4は0〜4の整数であり、x3は0又は1である。)
式(d15)中、RD23は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。RD23は、式(d15)中のフルオレン環上で、−(CO)x3−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(d15)中、RD23のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(d15)で表される化合物が1以上のRD23を有する場合、式(d15)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRD23のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。RD23が複数である場合、複数のRD23は同一であっても異なっていてもよい。
RD23が有機基である場合、RD23は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。RD23が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
RD23がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、RD23がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。RD23がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、RD23がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
RD23がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、RD23がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。RD23がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、RD23がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
RD23がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。RD23がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。RD23がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
RD23が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2〜21が好ましく、2〜7がより好ましい。RD23が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。RD23が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
RD23がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。RD23がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
RD23がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、RD23がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。RD23がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。RD23がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。RD23が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、RD23は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
RD23がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。RD23がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
RD23がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、RD23がヘテロシクリル基である場合と同様である。
RD23が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、RD23と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
RD23に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。RD23に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。RD23に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上説明した基の中でも、RD23としては、ニトロ基、又はRD28−CO−で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。RD28は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。RD28として好適な基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。RD28として、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、RD23が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり、透明性を要する硬化膜を成膜する場合に好ましい。なお、RD23が水素原子であり且つRD26が後述の式(R4−2)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
式(d15)中、RD24及びRD25は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。RD24とRD25とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、RD24及びRD25として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。RD24及びRD25が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
RD24及びRD25が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。RD24及びRD25が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、RD24及びRD25がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
RD24及びRD25が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、RD23がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、RD23がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。RD23がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1〜20であり、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
RD24及びRD25が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。RD24及びRD25が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、RD24及びRD25が鎖状アルキル基である場合と同様である。
RD24及びRD25が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
RD24及びRD25が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
RD24及びRD25がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
RD24とRD25とは相互に結合して環を形成してもよい。RD24とRD25とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。RD24とRD25とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
RD24とRD25とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したRD24及びRD25の中でも好適な基の例としては、式−AD1−AD2で表される基が挙げられる。式中、AD1は直鎖アルキレン基であり、AD2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
AD1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。AD2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。AD2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。AD2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。AD2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、RD24及びRD25が置換基として有する環状有機基と同様である。AD2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、RD24及びRD25が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
RD24及びRD25の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニ−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニ−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニ−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニ−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニ−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロルエチル基、3−クロル−n−プロピル基、4−クロル−n−ブチル基、5−クロル−n−ペンチル基、6−クロル−n−ヘキシル基、7−クロル−n−ヘプチル基、8−クロル−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
RD24及びRD25として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
RD26の好適な有機基の例としては、RD23と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、RD23について説明したものと同様である。また、RD26としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、RD23に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
有機基の中でも、RD26としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5〜10が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、RD26としては、−AD3−CO−O−AD4で表される基も好ましい。AD3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。AD4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
AD3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。AD3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
AD4の好適な例としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、及び炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。AD4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
−AD3−CO−O−AD4で表される基の好適な具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロピルオキシカルボニルエチル基、2−n−ブチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フェノキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ブチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ペンチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ヘキシルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−ベンジルオキシカルボニル−n−プロピル基、及び3−フェノキシカルボニル−n−プロピル基等が挙げられる。
以上、R
D26について説明したが、R
D26としては、下記式(R4−1)又は(R4−2)で表される基が好ましい。
(式(R4−1)及び(R4−2)中、R
D29及びR
D30はそれぞれ有機基であり、z1は0〜4の整数であり、R
D29及びR
D30がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
D29とR
D30とが互いに結合して環を形成してもよく、z2は1〜8の整数であり、z3は1〜5の整数であり、z4は0〜(r+3)の整数であり、R
9は有機基である。)
式(R4−1)中のRD29及びRD30についての有機基の例は、RD23と同様である。RD29としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。RD29がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、RD29はメチル基であるのが最も好ましい。RD29とRD30とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(R4−1)で表される基であって、RD29とRD30とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(R4−1)中、z1は0〜4の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(R4−2)中、R9は有機基である。有機基としては、RD23について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。R9としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(R4−2)中、z3は1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(R4−2)中、z4は0〜(z3+3)であり、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(R4−2)中、z2は1〜8の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(d15)中、RD27は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。vがアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、RD23がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(d15)中、RD27としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(d15)で表される化合物の製造方法は特に限定されない。式(d15)で表される化合物は、好ましくは、下式(d16)で表される化合物に含まれるオキシム基(=N−OH)を、=N−O−COR
D27で表されるオキシムエステル基に変換する工程を含む方法により製造される。R
D27は、式(d15)中のR
D27と同様である。
(R
D23、R
D24、R
D25、R
D26、x3、及びx4は、式(d15)と同様である。x4は0〜4の整数であり、x3は0又は1である。)
このため、上記式(d16)で表される化合物は、式(d15)で表される化合物の合成用中間体として有用である。
オキシム基(=N−OH)を、=N−O−CORD27で表されるオキシムエステル基に変換する方法は特に限定されない。典型的には、オキシム基中の水酸基に、−CORD27で表されるアシル基を与えるアシル化剤を反応させる方法が挙げられる。アシル化剤としては、(RD27CO)2Oで表される酸無水物や、RD27COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
式(d15)で表される化合物は、x3が0である場合、例えば、下記スキーム1に従って合成することができる。スキーム1では、下記式(d1−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。RD23がニトロ基又は1価の有機基である場合、式(d1−1)で表されるフルオレン誘導体は、9位をRD24及びRD25で置換されたフルオレン誘導体に、周知の方法によって、置換基RD23を導入して得ることができる。9位をRD24及びRD25で置換されたフルオレン誘導体は、例えば、RD24及びRD25がアルキル基である場合、特開平06−234668号公報に記載されるように、アルカリ金属水酸化物の存在下に、非プロトン性極性有機溶媒中で、フルオレンとアルキル化剤とを反応させて得ることができる。また、フルオレンの有機溶媒溶液中に、ハロゲン化アルキルのようなアルキル化剤と、アルカリ金属水酸化物の水溶液と、ヨウ化テトラブチルアンモニウムやカリウムtert−ブトキシドのような相間移動触媒とを添加してアルキル化反応を行うことで、9,9−アルキル置換フルオレンを得ることができる。
式(d1−1)で表されるフルオレン誘導体に、フリーデルクラフツアシル化反応により、−CO−RD26で表されるアシル基を導入し、式(d1−3)で表されるフルオレン誘導体が得られる。−CO−RD26で表されるアシル基を導入するためのアシル化剤は、ハロカルボニル化合物であってもよく、酸無水物であってもよい。アシル化剤としては、式(d1−2)で表されるハロカルボニル化合物が好ましい。式(d1−2)中、Halはハロゲン原子である。フルオレン環上にアシル基が導入される位置は、フリーデルクラフツ反応の条件を適宜変更したり、アシル化される位置の他の位置に保護及び脱保護を施したりする方法で、選択することができる。
次いで、得られる式(d1−3)で表されるフルオレン誘導体中の−CO−RD26で表される基を、−C(=N−OH)−RD26で表される基に変換し、式(d1−4)で表されるオキシム化合物を得る。−CO−RD26で表される基を、−C(=N−OH)−RD26で表される基に変換する方法は特に限定されないが、ヒドロキシルアミンによるオキシム化が好ましい。式(d1−4)のオキシム化合物と、下式(d1−5)で表される酸無水物((RD27CO)2O)、又は下記式(d1−6)で表される酸ハライド(RD27COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(d1−7)で表される化合物を得ることができる。
なお、式(d1−1)、(d1−2)、(d1−3)、(d1−4)、(d1−5)、(d1−6)、及び(d1−7)において、RD23、RD24、RD25、RD26、及びRD27は、式(d15)と同様である。
また、スキーム1において、式(d1−2)、式(d1−3)、及び式(d1−4)それぞれに含まれるRD26は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、式(d1−2)、式(d1−3)、及び式(d1−4)中のRD26は、スキーム1として示される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。RD26が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
式(d15)で表される化合物は、x3が1である場合、例えば、下記スキーム2に従って合成することができる。スキーム2では、下記式(d1−7)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。式(d2−1)で表されるフルオレン誘導体は、スキーム1と同様の方法によって、式(d1−1)で表される化合物に、フリーデルクラフツ反応によって−CO−CH2−RD26で表されるアシル基を導入して得られる。アシル化剤としては、式(d1−8):Hal−CO−CH2−RD26で表されるカルボン酸ハライドが好ましい。次いで、式(d1−7)で表される化合物中の、RD26とカルボニル基との間に存在するメチレン基をオキシム化して、下式(d2−3)で表されるケトオキシム化合物を得る。メチレン基をオキシム化する方法は特に限定されないが、塩酸の存在下に下記式(d2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させる方法が好ましい。次いで、下記式(d2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(d2−4)で表される酸無水物((RD27CO)2O)、又は下記式(d2−5)で表される酸ハライド(RD27COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(d2−6)で表される化合物を得ることができる。なお、下記式(d2−1)、(d2−3)、(d2−4)、(d2−5)、及び(d2−6)において、RD23、RD24、RD25、RD26、及びRD27は、式(d15)と同様である。
また、スキーム2において、式(d1−8)、式(d2−1)、及び式(d2−3)それぞれに含まれるRD26は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、式(d1−8)、式(d2−1)、及び式(d2−3)中のRD26は、スキーム2として示される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。RD26が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
式(d15)で表される化合物の好適な具体例としては、以下のオキシムエステル化合物が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、第1の態様の感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
第1の態様の感光性樹脂組成物は、上記のとおり、上記式(1)で表される化合物を含有する。この化合物は、有機溶剤への溶解性が良好であり、また、感光性樹脂組成物に含有させた際に良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
上記式(1)で表される化合物の含有量は、上記光重合開始剤100質量部に対して0.5〜95質量部であることが好ましく、1〜50質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
第1の態様の感光性樹脂組成物は、さらに、着色剤を含有していてもよい。着色剤を含有することにより、例えば、液晶表示ディスプレイのカラーフィルタ形成用途として好ましく使用される。また、第1の態様の感光性樹脂組成物は、着色剤として遮光剤を含むことにより、例えば、カラーフィルタにおけるブラックマトリクス形成用途として好ましく使用される。
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いることが好ましい。
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
また、着色剤を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低いことから、液晶表示ディスプレイのブラックマトリクスとして使用した場合に電流のリークが少なく、信頼性の高い低消費電力のディスプレイを製造できる。
また、カーボンブラックの色調を調整するために、補助顔料として上記の有機顔料を適宜添加してもよい。
また、着色剤を感光性樹脂組成物において均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤としてカーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
また、無機顔料及び有機顔料は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、20〜40質量部の範囲で用いることがより好ましい。
着色剤の含有量は、第1の態様の感光性樹脂組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、第1の態様の感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して、5〜70質量部が好ましく、25〜60質量部がより好ましい。
特に、第1の態様の感光性樹脂組成物を使用してブラックマトリクスを形成する場合には、ブラックマトリクスの膜厚1μm当たりのOD値が4以上となるように、感光性樹脂組成物における遮光剤の量を調整することが好ましい。ブラックマトリクスにおける膜厚1μm当たりのOD値が4以上あれば、液晶表示ディスプレイのブラックマトリクスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができる。
なお、着色剤は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた分散液とした後、感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
第1の態様の感光性樹脂組成物における有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル部炭酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記有機溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、上記アルカリ可溶性樹脂、上記光重合性モノマー、上記光重合開始剤、及び上記式(1)で表される化合物に対して優れた溶解性を示すとともに、上記着色剤の分散性を良好にすることができるため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。
有機溶剤の含有量は、第1の態様の感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
第1の態様の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。 また、任意の添加剤として、1−(N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノ)メチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−(N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノ)メチル−1H−メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、ジハイドロキシプロピルベンゾトリアゾール、ビスアミノメチルベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体等を単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
各種添加剤の添加量は、組成物全体に対して、例えば、0.001質量%〜10質量%の範囲で適宜調整すればよく、好ましくは0.1〜5質量%である。
なお、アルカリ可溶性樹脂がカルボキシル基を有する場合には、アルカリ可溶性樹脂、上記式(1)で表される化合物、及び有機溶媒を含有し、光重合性モノマー及び光重合開始剤を含有しない場合であっても、感光性樹脂組成物として機能する。すなわち、電磁波照射又は加熱によって上記式(1)で表される化合物から塩基が発生すると、この塩基を触媒としてアルカリ可溶性樹脂が脱水縮合する。これにより、現像液への溶解性が低下する。
この場合、さらに光重合開始剤を含有すると、上記式(1)で表される化合物からの塩基の発生が促進されるため好ましい。すなわち、電磁波照射によって光重合開始剤からラジカルが発生すると、このラジカルによって上記式(1)で表される化合物が攻撃され、塩基の発生が促進される。また、上記式(1)で表される化合物から発生した塩基がラジカルを補足することにより、塩基発生反応の平衡が移動し、さらに塩基を発生するようになる。さらに、上記式(1)で表される化合物から発生した塩基とラジカル発生後の化合物とが反応し、塩基発生がさらに促進される。
(2)第2の態様の感光性樹脂組成物
第2の態様の感光性樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、酸架橋性物質、光酸発生剤、上記式(1)で表される化合物、及び有機溶剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物である。
第2の態様の感光性樹脂組成物におけるフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を用いることができる。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位を少なくとも有する。
ここで「ヒドロキシスチレン」とは、ヒドロキシスチレン、及びヒドロキシスチレンのα位に結合する水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体のヒドロキシスチレン誘導体(モノマー)を含む概念とする。
「ヒドロキシスチレン誘導体」は、少なくともベンゼン環とこれに結合する水酸基とが維持されており、例えば、ヒドロキシスチレンのα位に結合する水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにヒドロキシスチレンの水酸基が結合したベンゼン環に、さらに炭素数1〜5のアルキル基が結合したものや、この水酸基が結合したベンゼン環に、さらに1〜2個の水酸基が結合したもの(このとき、水酸基の数の合計は2〜3である。)等を包含するものとする。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
なお、「ヒドロキシスチレンのα位」とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
このヒドロキシスチレンに由来する構成単位は、例えば下記式(b−1)で表される。
上記式(b−1)中、Rb1は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基を示し、Rb2は炭素数1〜5のアルキル基を示し、pは1〜3の整数を示し、qは0〜2の整数を示す。
Rb1のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5である。また、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、工業的にはメチル基が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基としては、上述した炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されたものである。この中でも、水素原子の全部がフッ素原子で置換されたものが好ましい。また、直鎖状又は分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等がより好ましく、トリフルオロメチル基(−CF3)が最も好ましい。
Rb1としては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
Rb2の炭素数1〜5のアルキル基としては、Rb1の場合と同様のものが挙げられる。
qは0〜2の整数である。これらの中でも0又は1であることが好ましく、工業上は特に0であることが好ましい。
Rb2の置換位置は、qが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、さらに、qが2の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
pは1〜3の整数であり、好ましくは1である。
水酸基の置換位置は、pが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよいが、容易に入手可能で低価格であることからパラ位が好ましい。さらに、pが2又は3の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
上記式(b−1)で表される構成単位は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂中、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位の割合は、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を構成する全構成単位に対して60〜100モル%であることが好ましく、70〜100モル%であることがより好ましく、80〜100モル%であることがさらに好ましい。上記の範囲内とすることにより、感光性樹脂組成物とした際に適度なアルカリ溶解性が得られる。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、スチレンに由来する構成単位をさらに有することが好ましい。
ここで「スチレンに由来する構成単位」とは、スチレン及びスチレン誘導体(但し、ヒドロキシスチレンは含まない。)のエチレン性二重結合が開裂してなる構成単位を包含するものとする。
「スチレン誘導体」は、スチレンのα位に結合する水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにスチレンのフェニル基の水素原子が、炭素数1〜5のアルキル基等の置換基に置換されているもの等を包含するものとする。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
なお、「スチレンのα位」とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
このスチレンに由来する構成単位は、例えば下記式(b−2)で表される。式中、Rb1、Rb2、qは上記式(b−1)と同義である。
Rb1及びRb2としては、上記式(b−1)のRb1及びRb2とそれぞれ同様のものが挙げられる。
qは0〜2の整数である。これらの中でも0又は1であることが好ましく、工業上は特に0であることが好ましい。
Rb2の置換位置は、qが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、さらに、qが2の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
上記式(b−2)で表される構成単位は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂中、スチレンに由来する構成単位の割合は、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を構成する全構成単位に対して40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物とした際に適度なアルカリ溶解性が得られるとともに、他の構成単位とのバランスも良好になる。
なお、ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位やスチレンに由来する構成単位以外の他の構成単位を有していてもよい。より好ましくは、上記ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位のみからなる重合体、あるいはヒドロキシスチレンに由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位とからなる共重合体である。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、1500〜40000が好ましく、2000〜8000がより好ましい。
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂を用いることもできる。このノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下で付加縮合させることにより得ることができる。
フェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、アルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(いずれのアルキル基も炭素数1〜4である);α−ナフトール、β−ナフトール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのフェノール類の中でも、m−クレゾール、p−クレゾールが好ましく、m−クレゾールとp−クレゾールとを併用することがより好ましい。この場合、両者の配合割合を調整することにより、感度等の諸特性を調整することができる。
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類;酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
このようにして得られるノボラック樹脂としては、具体的には、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等が挙げられる。
ノボラック樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、1000〜30000が好ましく、3000〜25000がより好ましい。
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂等を用いることもできる。
フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、第2の態様の感光性樹脂組成物の固形分に対して20〜80質量%であることが好ましく、35〜65質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
第2の態様の感光性樹脂組成物における酸架橋性物質としては、特に限定されず、従来公知の酸架橋性物質を用いることができる。
酸架橋性物質として具体的には、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。これらの酸架橋性物質は、メラミン、尿素、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、スクシニルアミド、エチレン尿素を沸騰水中でホルマリンと反応させてメチロール化、あるいはこれにさらに低級アルコールを反応させてアルコキシル化することにより容易に得られる。実用上は、ニカラックMX−750、ニカラックMW−30、ニカラックMW100LM等のメラミン樹脂、ニカラックMX−290等の尿素樹脂(いずれも三和ケミカル社製)として入手することができる。また、サイメル1123、サイメル1128(三井サイアナッド社製)等のベンゾグアナミン樹脂も市販品として入手することができる。
また、1,3,5−トリス(メトキシメトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメトキシ)ベンゼン等のアルコキシル基を有するベンゼン化合物、2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノール等のヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するフェノール化合物等を用いることもできる。
これらの酸架橋性物質は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
酸架橋性物質の含有量は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の硬化性、パターニング特性が良好になる。
第2の態様の感光性樹脂組成物における光酸発生剤としては、特に限定されず、従来公知の光酸発生剤を用いることができる。
光酸発生剤として具体的には、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ハロゲン含有トリアジン化合物、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤(ニトロベンジル誘導体)、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤等が挙げられる。
好ましいスルホニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記式(c−1)で表される化合物が挙げられる。
上記式(c−1)中、Rc1及びRc2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示し、Rc3はハロゲン原子又はアルキル基を有していてもよいp−フェニレン基を示し、Rc4は水素原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいベンゾイル基、又は置換基を有していてもよいポリフェニル基を示し、A−はオニウムイオンの対イオンを示す。
A−として具体的には、SbF6 −、PF6 −、AsF6 −、BF4 −、SbCl6 −、ClO4 −、CF3SO3 −、CH3SO3 −、FSO3 −、F2PO2 −、p−トルエンスルホネート、ノナフロロブタンスルホネート、アダマンタンカルボキシレート、テトラアリールボレート、下記式(c−2)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオン等が挙げられる。
上記式(c−2)中、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を示す。nはその個数であり1〜5の整数を示す。n個のRfはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(c−1)で表される光酸発生剤としては、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(3−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−フルオロ4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3,5,6−テトラメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジクロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(3−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−フルオロ4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3,5,6−テトラメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジクロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムカンファースルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート等が挙げられる。
その他のオニウム塩系酸発生剤としては、上記式(c−1)のカチオン部を、例えば、トリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル−2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等のスルホニウムカチオンや、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオン等のヨードニウムカチオンに置き換えたものが挙げられる。
オキシムスルホネート系酸発生剤としては、[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン](o−トリル)アセトニトリル、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル等が挙げられる。
また、上記以外にも、下記式(c−3)で表される化合物が挙げられる。
上記式(c−3)中、Rc5は1価、2価、又は3価の有機基を示し、Rc6は置換又は未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、又は芳香族性化合物基を示し、rは1〜6の整数を示す。
Rc5としては芳香族性化合物基であることが特に好ましく、このような芳香族性化合物基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基や、フリル基、チエニル基等の複素環基等が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等を1個以上有していてもよい。また、Rc6としては炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。また、rは1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。
上記式(c−3)で表される光酸発生剤としては、r=1のときに、Rc5がフェニル基、メチルフェニル基、及びメトキシフェニル基のうちのいずれかであり、且つRc6がメチル基である化合物が挙げられる。より詳細には、上記式(c−3)で表される光酸発生剤としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、及びα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリルが挙げられる。
上記式(c−3)で表される光酸発生剤としては、r=2のときに、下記式で表される光酸発生剤が挙げられる。
ハロゲン含有トリアジン化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物、並びにトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレ−ト等の下記式(c−4)で表されるハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
上記式(c−4)中、Rc7、Rc8、Rc9はそれぞれ独立に炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を示す。
また、その他の光酸発生剤としては、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−エチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−(シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−メタンスルホニル−2−メチル−(p−メチルチオ)プロピオフェノン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等のスルホニルカルボニルアルカン類;1−p−トルエンスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−メチルスルホニル−4−フェニル−2−ブタノン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−シクロヘキシルスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−アセチル−1−(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−ベンゼンスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3−メチル−2−ブタノン、2−ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)酢酸シクロヘキシル、2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニル酢酸−tert−ブチル、2−ジアゾ−2−メタンスルホニル酢酸イソプロピル、2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニル酢酸シクロヘキシル、2−ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)酢酸−tert−ブチル等のスルホニルカルボニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸−2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸−2,6−ジニトロベンジル、p−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸−2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールのメタンスルホン酸エステル、ピロガロールのベンゼンスルホン酸エステル、ピロガロールのp−トルエンスルホン酸エステル、ピロガロールのp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、ピロガロールのメシチレンスルホン酸エステル、ピロガロールのベンジルスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのメタンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのベンゼンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのp−トルエンスルホン酸エステル、没食子酸アルキル(アルキル基の炭素数は1〜15である)のp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのメシチレンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのベンジルスルホン酸エステル等のポリヒドロキシ化合物と脂肪族又は芳香族スルホン酸とのエステル類;等が挙げられる。
これらの光酸発生剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光酸発生剤の含有量は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に対し0.05〜30質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の硬化性が良好になる。
第2の態様の感光性樹脂組成物は、上記のとおり、上記式(1)で表される化合物を含有する。この化合物は、有機溶剤への溶解性が良好であり、また、感光性樹脂組成物に含有させた際に良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
上記式(1)で表される化合物の含有量は、上記光酸発生剤100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましく、10〜80質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
第2の態様の感光性樹脂組成物は、さらに、フェノール性水酸基4個以上を有する分子量2000未満の化合物を含有していてもよい。
このような化合物として具体的には、各種テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノン、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ヘプタヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物の他に、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6‐メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−6−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のヒドロキシアリール系化合物;2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物;分子量2000未満のポリ(o−ヒドロキシスチレン)、ポリ(m−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(α−メチル−p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン)等のポリヒドロキシスチレン系化合物;等が挙げられる。これらのベンゾフェノン系化合物、ヒドロキシアリール系化合物、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物、ポリヒドロキシスチレン系化合物は、水酸基以外の置換基を有していてもよい。
これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
フェノール性水酸基4個以上を有する分子量2000未満の化合物の含有量は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に対し0.5〜5質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物をパターニングした際の先細り現象を抑制することができる。
第2の態様の感光性樹脂組成物における有機溶剤としては、第1の態様の感光性樹脂組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第2の態様の感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
第2の態様の感光性樹脂組成物は、第1の態様の感光性樹脂組成物と同様に、必要に応じて、上記の各種添加剤を含有してもよい。
(3)第3の態様の感光性樹脂組成物
第3の態様の感光性樹脂組成物は、感光性ポリイミド前駆体、光重合性モノマー、光重合開始剤、上記式(1)で表される化合物、及び有機溶剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物である。
第3の態様の感光性樹脂組成物における感光性ポリイミド前駆体としては、例えば、下記式(d−1)で表される構成単位を有し、且つ、分子中に酸官能基及び感光性基を有するものを用いることができる。
上記式(d−1)中、XdはXdに結合する2つのアミド基を結ぶ骨格において非共有電子対を有する原子を含有しない4価の有機基を示し、YdはYdに結合する2つのアミド基を結ぶ骨格において非共有電子対を有する原子を含有しない2価の有機基を示し、Rd1及びRd2はそれぞれ独立に水酸基又は1価の有機基を示す。
Xd及びYdの定義において、「2つのアミド基を結ぶ骨格」とは、2つのアミド結合を結ぶ結合の鎖を構成する原子のみからなる骨格をいう。したがって、水素原子やフッ素原子等、末端として存在し、2つのアミド結合を結ぶ結合の鎖を形成しない原子は、上記「骨格」には含まれない。ただし、その骨格中に環(芳香環や脂肪族環)を構成する原子を含む場合は、その環を構成する原子全て上記「骨格」に含まれるものとする。例えば、ベンゼン環やシクロへキシル環を含む場合、そのベンゼン環又はシクロへキシル環自体を構成する6つの炭素原子が、上記「骨格」に含まれるものとする。なお、ベンゼン環やシクロへキシル環上に結合する置換基や水素原子は、ここでいう「骨格」には含まれない。
したがって、骨格上にカルボニル結合が存在する場合は、上記2つのアミド基を結ぶ鎖を構成するのは、カルボニル基中の炭素原子のみであるから、カルボニル基中の酸素原子は上記「骨格」を構成するものとはしない。また、2,2−プロピリデン結合やヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン結合については、中心(2位)に存在する炭素原子のみが骨格を構成するものであり、両端の炭素原子(1位又は3位)は上記「骨格」を構成するものとはしない。「非共有電子対を有する原子」の例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられ、一方、「非共有電子対を有しない原子」としては、炭素原子、珪素原子等が挙げられる。
感光性ポリイミド前駆体において、Xdが上記のように骨格に非共有電子対を有する原子を含有しないものであると、アルカリ現像時の膨潤が少ないため好ましい。Ydも同様の理由により、骨格に非共有電子対を有する原子を含有しないものが好ましい。
また、感光性ポリイミド前駆体において、構成単位中のYdのかわりに、その一部として珪素原子を含有するYd2を有するもの、例えば、シロキサン結合を含むものがあれば、より高い基板密着性を付与することができるため好ましい。この場合、その比率が感光性ポリイミド前駆体を形成する全てのジアミン残基のうちの1〜20モル%であることが好ましい。
上記式(d−1)におけるXd及びYdとしては、炭素数が4〜20のアルキル基、シクロアルキル基や、炭素数が6〜20のベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環、これらの芳香環の2〜10個が単結合、アルキレン基、フッ素化アルキレン基、カルボニル基等を介して結合したものが好ましいものとして挙げられる。また、これらは、芳香環上に、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。なお、これらのXd及びYdの中で、上記骨格を構成する原子に直接結合する原子もまた「非共有電子対を有しない原子」であることが、その効果が高く好ましい。なお、この定義には、カルボニル基のように、骨格を構成する炭素原子に酸素原子が直接結合するものや、骨格を構成する炭素原子にフッ素原子が結合するものは除かれる。さらに、Xd及びYdは、フッ素原子を含まないものであることが好ましい。
感光性ポリイミド前駆体の分子中に含まれる酸官能性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基等が挙げられ、中でもカルボキシル基が好ましい。また、感光性基としては、エチレン性不飽和結合を含む、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等が好ましく、中でもアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基が好ましい。
感光性ポリイミド前駆体において、酸官能性基は、上記式(d−1)の構成単位におけるRd1又はRd1を水酸基としたもの(すなわち、カルボキシル基を形成する)として存在させるか、Ydで示されるジアミン残基中に存在させることが好ましい。また、感光性基は、上記式(d−1)中のRd1若しくはRd2で示される側鎖、又はYdで示されるジアミン残基中、例えば芳香環を有するジアミン残基の芳香環に結合する基として存在させることが好ましい。
Rd1及びRd2において、感光性基を有する1価の有機基としては、下記式で表されるものが挙げられる。
上記式中、Rd3及びRd4はそれぞれ独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、Rd5は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、Rd6は水素原子又はメチル基を示す。
また、Rd1及びRd2において、感光性基を有さない1価の有機基としては、炭素数1〜15のアルコキシ基又はアルキルアミノ基等が挙げられる。
感光性ポリイミド前駆体としては、上記式(d−1)で表される構成単位を50〜100モル%有するものが好ましく、上記式(d−1)で表される構成単位のみを有するか、又は上記式(d−1)で表される構成単位と上記式(d−1)中のYdが珪素原子を含む2価の有機基である構成単位とを有するものがより好ましい。
感光性ポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、及び感光性基を有する化合物を材料として得ることができ、各種の既知の製造法が適用できる。
テトラカルボン酸二無水物としては、Xdを与えるものとして、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、m−ターフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ジアミンとしては、Ydを与えるものとして、例えば、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2',6,6'−テトラメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4’−(又は3,4−、3,3’−、2,4−、2,2’−)ジアミノジフェニルメタン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニリン)、1,5,−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2'−ヘキサフルオロジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3’−ヘキサフルオロジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンジアニリン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4−ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2−ヘキサフルオロジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が好ましいものとして挙げられ、これらのジアミンは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、Ydは、アミノ基を結ぶ骨格に非共有電子対を有する原子を含まない二官能性アミンであれば、酸官能基としてフェノール性水酸基又はカルボキシル基を少なくとも1つ有していてもよい。例えば、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メチレン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ジメチルビフェニル、1,3−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ヒドロキシベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル等が好ましいものとして挙げられる。これらは、ジアミンとともに、単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
さらに、珪素原子を含むY2dを与えるものとして、下記式(d−2)で表されるジアミノポリシロキサン等の脂肪族ジアミンを挙げることができる。
上記式(d−2)中、s、t、uはそれぞれ独立に1〜10の整数を示す。
この脂肪族ジアミンを用いる場合、その配合量は、全ジアミンのうち20モル%以下であることが、現像時の膨潤が少なく、また形成される膜の耐熱性等の点から好ましい。
感光性基を有するポリイミド前駆体とするには、例えば、エチレン性不飽和結合とアミノ基又はその4級化塩の基とを有する化合物が、ポリアミド酸のカルボキシル基とアミノ基又はその4級化塩の基の部分でイオン結合した形を呈するポリイミド前駆体とする方法、エステル結合、アミド結合等の共有結合を介して側鎖にエチレン性不飽和結合を導入する方法等が挙げられる。
これらの中で、特にエステル結合でエチレン性不飽和結合を導入した形の感光性ポリイミド前駆体(ポリアミド酸エステル)が、アルカリ現像に好適である。エステル結合でエチレン性不飽和結合を導入する場合、エチレン性不飽和結合を有する化合物の導入量は、アルカリ溶解性、硬化性、耐熱性等と反応性との両立の点から、ポリアミド酸の有するカルボキシル基の総量に対し85〜25モル%となる量とし、残りをカルボキシル基のまま(すなわち、ポリアミド酸部分エステル)とすることが好ましい。
エステル結合によりエチレン性不飽和結合を導入する化合物の例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、カプロラクトン2−(メタクリロイロキシ)エチルエステル、ジカプロラクトン2−(メタクリロイロキシ)エチルエステル、カプロラクトン2−(アクリロイロキシ)エチルエステル、ジカプロラクトン2−(アクリロイロキシ)エチルエステル等が挙げられる。
感光性ポリイミド前駆体の質量平均分子量は、5000〜80000であることが好ましい。
感光性ポリイミド前駆体の含有量は、第3の態様の感光性樹脂組成物の固形分に対して40〜95質量%であることが好ましく、55〜90質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
第3の態様の感光性樹脂組成物における光重合性モノマーとしては、第1の態様の感光性樹脂組成物において例示した光重合性モノマーが挙げられる。
光重合性モノマーの含有量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましく、5〜40質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
第3の態様の感光性樹脂組成物における光重合開始剤としては、第1の態様の感光性樹脂組成物において例示した光重合性開始剤が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して0.01〜40質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
第3の態様の感光性樹脂組成物は、上記のとおり、上記式(1)で表される化合物を含有する。この化合物は、有機溶剤への溶解性が良好であり、また、感光性樹脂組成物に含有させた際に良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
上記式(1)で表される化合物の含有量は、上記固形分中0.5〜50質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
第3の態様の感光性樹脂組成物における有機溶剤としては、第1の態様の感光性樹脂組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。この中でも、生成するポリイミドを完全に溶解する極性溶剤が好ましい。このような極性溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミド、γ−ブチルラクトン等が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第3の態様の感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
第3の態様の感光性樹脂組成物は、第1の態様の感光性樹脂組成物と同様に、必要に応じて、上記の各種添加剤を含有してもよい。
(4)第4の態様の感光性樹脂組成物
第4の態様の感光性樹脂組成物は、ポリイミド前駆体、上記式(1)で表される化合物、及び有機溶剤を含有する。さらに感光剤を含んでいることが好ましい。
第4の態様の感光性樹脂組成物におけるポリイミド前駆体としては、例えば、下記式(e−1)で表される構成単位を有するポリアミック酸を用いることができる。
上記式(e−1)中、Re1は4価の有機基を示し、Re2は2価の有機基を示し、Re3及びRe4は水素原子又は1価の有機基を示す。
Re3及びRe4が1価の有機基である場合としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及びこれらにエーテル結合を含有したCxH2xOCyH2y+1等で表される構造等が挙げられる。
ポリイミド前駆体としては、Re3及びRe4が水素原子であるようなポリアミック酸が、アルカリ現像性の点から好適に用いられる。
なお、Re1の4価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他にさらなる置換基を有していてもよい。同様に、Re2の2価はアミンと結合するための価数のみを示しているが、他にさらなる置換基を有していてもよい。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンとの反応により得られるが、最終的に得られるポリイミドに優れた耐熱性及び寸法安定性を付与する点から、上記式(e−1)において、Re1又はRe2が芳香族基であることが好ましく、Re1及びRe2が芳香族基であることがより好ましい。このとき、上記式(e−1)のRe1において、当該Re1に結合している4つの基((−CO−)2(−COOH)2)は同一の芳香環に結合していてもよく、異なる芳香環に結合していてもよい。同様に、上記式(e−1)のRe2において、当該Re2に結合している2つの基((−NH−)2)は同一の芳香環に結合していてもよく、異なる芳香環に結合していてもよい。
上記式(e−1)で表されるポリアミック酸は、単一の構成単位からなるものであっても、2種以上の繰り返し単位からなるものであってもよい。
ポリイミド前駆体を製造する方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、(1)酸二無水物とジアミンとから前駆体であるポリアミド酸を合成する手法、(2)酸二無水物に1価のアルコール、アミノ化合物、エポキシ化合物等を反応させ合成した、エステル酸やアミド酸モノマーのカルボン酸に、ジアミノ化合物やその誘導体を反応させてポリイミド前駆体を合成する手法、等が挙げられるがこれに限定されない。
ポリイミド前駆体を得るための反応に適用可能な酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ピリジンテトラカルボン酸二無水物、スルホニルジフタル酸無水物、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらの酸二無水物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリイミド前駆体を得るための反応に適用可能なジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン等の芳香族アミン;1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族アミン;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の脂環式ジアミン;等が挙げられる。また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部又は全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、及びトリフルオロメトキシ基からなる群から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
これらのジアミンは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリイミド前駆体の含有量は、第4の態様の感光性樹脂組成物の固形分に対して50〜99質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、塗膜形成能を向上させることができる。
第4の態様の感光性樹脂組成物は、上記のとおり、上記式(1)で表される化合物を含有する。この化合物は、有機溶剤への溶解性が良好であり、また、感光性樹脂組成物に含有させた際に良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
上記式(1)で表される化合物の含有量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して0.01〜40質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
第4の態様の感光性樹脂組成物における有機溶剤としては、第1の態様の感光性樹脂組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。この中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素類、及びこれらの混合溶剤が好ましい。
有機溶剤の含有量は、第4の態様の感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
第4の態様の感光性樹脂組成物がポジ型感光性樹脂組成物である場合、さらに感光剤として光酸発生剤を含むことが好ましい。光酸発生剤としては、第2の態様の感光性樹脂組成物で上述したものの他、キノンジアジド基含有化合物が挙げられる。キノンジアジド基含有化合物としては、オルトキノンジアジド化合物、ジアゾナフトキノン化合物が挙げられ、例えば、フェノール化合物(フェノール性水酸基含有化合物ともいう)と、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物と、の完全エステル化物や部分エステル化物;オルトキノンジアジドスルホニルクロリドと、ヒドロキシ化合物やアミノ化合物等とを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させるオルトキノンジアジド化合物(中でも、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンと、1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとの反応により得られるエステル化合物が好ましい)等が好ましい。
その他必要に応じ、熱架橋剤、ケイ素含有化合物、非重合性バインダーポリマー、溶剤、エラストマー、溶解促進剤、溶解阻害剤、界面活性剤又はレベリング剤、熱酸発生剤等のその他の成分を含有することができる。
熱架橋剤は、現像後の加熱処理する工程において架橋又は重合する化合物である以外に特に制限はないが、分子内にメチロール基、アルコキシメチル基、エポキシ基又はビニルエーテル基を有する化合物であることが好ましい。例えば、1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3,5−ベンゼントリメタノール、4,4−ビフェニルジメタノール、2,6−ピリジンジメタノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジアルコキシメチルフェノール)等のメチロール基を有する化合物;1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,3’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸メチル、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメトキシメチルフェノール)等のアルコキシメチル基を有する化合物;ヘキサメチロールメラミン、ヘキサブタノールメラミン等のメチロールメラミン化合物、ヘキサメトキシメラミン等のアルコキシメラミン化合物、テトラメトキシメチルグリコールウリル等のアルコキシメチルグリコールウリル化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、ジメチロールエチレンウレア等のメチロールウレア化合物;ジシアノアニリン、ジシアノフェノール、シアノフェニルスルホン酸等からのシアノ化合物;1,4−フェニレンジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート等のイソシアナート化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、イソシアヌル酸トリグリシジル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂型エポキシ樹脂等のエポキシ基含有化合物;N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−メチレンジマレイミド等のマレイミド化合物等が挙げられるがこれらに限定されない。これら熱架橋剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ケイ素含有化合物は、ケイ素含有樹脂、ケイ素含有樹脂前駆体、及びシランカップリング剤等が挙げられ、シランカップリング剤が好ましく、1−(2ピリジル)−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]尿素、1−(3ピリジル)−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素等のウレイド基含有シランカップリング剤がより好ましい。
第4の態様の感光性樹脂組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合、さらに感光剤として光塩基発生剤を含むことが好ましい。光塩基発生剤としては、特に限定されないが、第1の態様の感光性樹脂組成物で上述したオキシムエステル化合物と同様のものが好適に挙げられる。
ネガ型感光性樹脂組成物は、その他必要に応じ、上記ポジ型感光性樹脂組成物と同様のその他の成分を含有させることができる。
第4の態様の感光性樹脂組成物における、上記式(1)で表される化合物以外の各成分の割合については以下のとおりである。
ポリイミド前駆体の含有量は、感光性組成物の固形分全体に対して50質量%以上であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。
感光剤の含有量は、感度等の点から、ポリイミド前駆体100質量部に対して3〜50質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。
熱架橋剤を含む場合の含有量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して1〜50質量部が好ましい。
シラン化合物を含む場合の含有量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して0.1〜20質量部とすることが好ましく、1〜10質量部とすることがさらに好ましい。
感光性樹脂組成物の固形分濃度は、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは、1〜20質量%であり、さらに好ましくは、5〜15質量%である。
第4の態様の感光性樹脂組成物は、第1の態様の感光性樹脂組成物と同様に、必要に応じて、上記の各種添加剤を含有してもよい。
(5)第5の態様の感光性樹脂組成物
第5の態様の感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、上記式(1)で表される化合物、及び有機溶剤を含有する。
第5の態様の感光性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから誘導されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとから誘導されるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂や4官能型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。
市販されているエポキシ樹脂製品としては、例えばジャパンエポキシレジン社製のJERコート828、1001、801N、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、DIC社製のエピクロン830、EXA835LV、HP4032D、HP820、株式会社ADEKA製のEP4100シリーズ、EP4000シリーズ、EPUシリーズ、ダイセル社製のセロキサイドシリーズ(2021、2021P、2083、2085、3000等)、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、新日鐵化学社製のYDシリーズ、YDFシリーズ、YDCNシリーズ、YDBシリーズ、フェノキシ樹脂(ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルで両末端にエポキシ基を有する;YPシリーズ等)、ナガセケムテックス社製のデナコールシリーズ、共栄社化学社製のエポライトシリーズ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらのエポキシ樹脂は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂の含有量は、第5の態様の感光性樹脂組成物の固形分に対して55〜99質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、塗膜形成能を向上させることができる。
第5の態様の感光性樹脂組成物は、上記のとおり、上記式(1)で表される化合物を含有する。この化合物は、有機溶剤への溶解性が良好であり、また、感光性樹脂組成物に含有させた際に良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
上記式(5)で表される化合物の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
第5の態様の感光性樹脂組成物における有機溶剤としては、第1の態様の感光性樹脂組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。この中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素類、及びこれらの混合溶剤が好ましい。
有機溶剤の含有量は、第5の態様の感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
第5の態様の感光性樹脂組成物は、第1の態様の感光性樹脂組成物と同様に、必要に応じて、上記の各種添加剤を含有してもよい。
尚、後述の第6の態様におけるエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂は、全てのエポキシ基が「アルコール性水酸基を有するモノカルボン酸」及び「多塩基酸無水物」との反応によって消費されているとは限らず、通常、残存するエポキシ基を有する点で、第5の態様の感光性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂にも該当する。この点で、第5の態様の感光性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂として、第6の態様の感光性樹脂組成物におけるエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂を用いることができる場合もある。本明細書において、第5の態様の感光性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂のうち、第6の態様の感光性樹脂組成物におけるエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂以外のものを非カルボン酸変性エポキシ樹脂ということがある。
(6)第6の態様の感光性樹脂組成物
第6の態様の感光性樹脂組成物は、エポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂、光酸発生剤、上記式(1)で表される化合物、及び有機溶剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物である。
第6の態様の感光性樹脂組成物におけるエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1分子中に1個以上のアルコール性水酸基を有するモノカルボン酸とを反応させて得られる反応物に、さらに多塩基酸無水物を反応させて得られるものを用いることができる。
一分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビフェニルジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂、共重合型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール、アルキルフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応して得られるノボラック類と、エピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるもの等が挙げられる。市販品としては、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1027、EPPN−201、BREN−S(いずれも日本化薬社製);DEN−431、DEN−439(いずれもダウ・ケミカル社製);N−730、N−770、N−865、N−665、N−673、VH−4150(いずれも大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロムビスフェノールA等のビスフェノール類とエピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものや、ビスフェノールAやビスフェノールFのジグリシジルエーテルと上記ビスフェノール類の縮合物とエピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させ得られるもの等が挙げられる。市販品としては、エピコート1004、エピコート1002、エピコート4002、エピコート4004(いずれも油化シェルエポキシ社製)等が挙げられる。
トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、トリスフェノールメタンやトリスクレゾールメタンとエピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるもの等が挙げられる。市販品としては、EPPN−501、EPPN−502(いずれも日本化薬社製)等が挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂としては、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021;三井石油化学工業社製のエポミックVG−3101;油化シェルエポキシ社製のE−1031S、日本曹達社製のEPB−13、EPB−27等が挙げられる。また、共重合型エポキシ樹脂としては、グリシジルメタクリレートとスチレンとα−メチルスチレンとの共重合体である日本油脂社製のCP−50M、CP−50S、あるいはグリシジルメタクリレートとシクロヘキシルマレイミド等との共重合体等が挙げられる。
これらの1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のうち特に好ましいものとしては、例えばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。特に、α−ヒドロキシフェニル−ω−ヒドロポリ(ビフェニルジメチレン−ヒドロキシフェニレン)と1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの重縮合物、及びα−2,3−エポキシプロポキシフェニル−ω−ヒドロポリ{2−(2,3−エポキシプロポキシ)−ベンジリデン−2,3−エポキシプロポキシフェニレン}が好ましい。
1分子中に1個以上のアルコール性水酸基を有するモノカルボン酸としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロールカプロン酸酸、ヒドロキシピバリン酸等のヒドロキシモノカルボン酸類が挙げられる。これらの中でも、1分子中に1〜5個のアルコール性水酸基を有するモノカルボン酸が好ましい。
多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
上記エポキシ化合物と上記モノカルボン酸との反応は、エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、モノカルボン酸0.1〜0.7モルが好ましく、0.2〜0.5モルがより好ましい。この反応では、エポキシ化合物や多塩基酸無水物と反応しない、水酸基やカルボキシル基を持たない、有機溶剤を使用することが好ましい。さらに、反応を促進させるために触媒(例えば、トリフェニルフォスフィン、ベンジルジメチルアミン、トリアルキルアンモニウムクロライド、トリフェニルスチビン等)が使用できる。触媒を使用した場合、特に反応終了後、有機過酸化物等を使用し触媒を不活性化したものは、安定で保存性が良好であり好ましい。反応触媒の使用量は、反応混合物に対して0.1〜10重量%が好ましく、反応温度は60〜150℃が好ましい。これにより、上記エポキシ化合物と上記モノカルボン酸との反応物を得ることができる。
この反応物と多塩基酸無水物との反応では、最終的に得られるエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂の酸価が50〜150mgKOH/gとなる量の多塩基酸無水物を反応させることが好ましい。反応温度は60〜150℃が好ましい。このようにしてエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂を得ることができる。
これらのエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂の含有量は、第6の態様の感光性樹脂組成物の固形分に対して30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、塗膜形成能を向上させることができる。
第6の態様の感光性樹脂組成物における光酸発生剤としては、第2の態様の感光性樹脂組成物において例示した光酸発生剤が挙げられる。
光酸発生剤の含有量は、第6の態様の感光性樹脂組成物の固形分に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の硬化性が良好になる。
第6の態様の感光性樹脂組成物は、上記のとおり、上記式(1)で表される化合物を含有する。この化合物は、有機溶剤への溶解性が良好であり、また、感光性樹脂組成物に含有させた際に良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
上記式(1)で表される化合物の含有量は、上記光酸発生剤100質量部に対して1〜500質量部であることが好ましく、50〜300質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
第6の態様の感光性樹脂組成物は、さらに、増感剤を含有していてもよい。増感剤としては、例えば9位及び10位にアルコキシ基を有するアントラセン化合物(9,10−ジアルコキシ−アントラセン誘導体)が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。9,10−ジアルコキシ−アントラセン誘導体は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、スルホン酸アルキルエステル基、カルボン酸アルキルエステル基等が挙げられる。スルホン酸アルキルエステル基やカルボン酸アルキルエステル基におけるアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。これらの置換基の置換位置は2位が好ましい。
9,10−ジアルコキシ−アントラセン誘導体としては、例えば、9,10−ジメトキシ−アントラセン、9,10−ジエトキシ−アントラセン、9,10−ジプロポキシ−アントラセン、9,10−ジメトキシ−2−エチル−アントラセン、9,10−ジエトキシ−2−エチル−アントラセン、9,10−ジプロポキシ−2−エチル−アントラセン、9,10−ジメトキシ−2−クロロ−アントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル,9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル,9,10−ジメトキシアントラセン−2−カルボン酸メチルエステル等が挙げられる。
これらの化合物は、アントラキノン誘導体を、アルカリ水溶液中において、亜鉛末、ハイドロサルファイト、パラジウム−カーボン、ソジウムボロハイドライド等の還元剤で処理を行い、9,10−ジヒドロキシアントラセン誘導体とした後、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の硫酸エステル、トルエンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸エチル、トルエンスルホン酸プロピル、トルエンスルホン酸モノエチレングリコールエステル等のトルエンスルホン酸エステル、あるいはベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル等のベンゼンスルホン酸エステルで9,10位をアルコキシ化することにより得られる。
これらの増感剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
増感剤の含有量は、上記光酸発生剤に対してモル比で0.1〜6であることが好ましく、0.2〜4であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の感度、硬化性が良好になる。
第6の態様の感光性樹脂組成物は、さらに、耐湿性、耐熱性、密着性等を調整するための改質成分を含有していてもよい。この改質成分は、それ自身が熱や紫外線等により硬化するものであってもよく、熱や紫外線等によりエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂の残存水酸基やカルボキシル基等と反応するものであってもよい。具体的には、1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、メラミン誘導体(例えば、ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキシ化メラミン、縮合ヘキサメトキシメラミン等)、ビスフェノールA系化合物(例えば、テトラメチロールビスフェノールA等)、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、エピコート1009、1031(いずれも油化シェル社製)、エピクロンN−3050、N−7050(いずれも大日本インキ化学工業社製)、DER−642U、DER−673MF(いずれもダウケミカル社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;ST−2004、ST−2007(いずれも東都化成社製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;YDF−2004、YDF−2007(いずれも東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;SR−BBS、SR−TBA−400(いずれも坂本薬品工業社製)、YDB−600、YDB−715(いずれも東都化成社製)等の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂;EPPN−201、EOCN−103、EOCN−1020、BREN(いずれも日本化薬社製)等のノボラック型エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製のエピクロンN−880等のビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製のエピクロンTSR−601やエー・シー・アール社製のR−1415−1等のゴム変性エポキシ樹脂;日本化薬社製のEBPS−200や大日本インキ化学工業社製のエピクロンEXA−1514等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;日本油脂社製のプレンマーDGT等のジグリシジルテレフタレート;日産化学社製のTEPIC等のトリグリシジルイソシアヌレート;油化シェル社製のYX−4000等のビキシレノール型エポキシ樹脂;油化シェル社製のYL−6056等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021等の脂環式エポキシ樹脂;等が挙げられる。
改質成分の含有量は、第6の態様の感光性樹脂組成物の固形分に対して50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
第6の態様の感光性樹脂組成物は、さらに、密着性、硬度等の特性を向上させるため、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、雲母等の公知の充填剤を含有していてもよい。
充填剤の含有量は、第6の態様の感光性樹脂組成物の固形分に対して60質量%以下であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
第6の態様の感光性樹脂組成物は、さらに、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤、超微粉シリカ、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系高分子、フッ素系高分子等の消泡剤及び/又はレベリング剤、シランカップリング剤等の密着性付与剤等の添加剤を含有していてもよい。
第6の態様の感光性樹脂組成物における有機溶剤としては、第1の態様の感光性樹脂組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第6の態様の感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
第6の態様の感光性樹脂組成物は、第1の態様の感光性樹脂組成物と同様に、必要に応じて、上記の各種添加剤を含有してもよい。
<感光性樹脂組成物の調製方法>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記の各成分を撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製された感光性樹脂組成物が均一なものとなるよう、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
≪パターン形成方法≫
本発明に係るパターン形成方法は、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、該塗膜又は成形体に対して所定パターン状に電磁波を照射し、現像するものである。
より具体的には、まず、適切な塗布方法又は成形方法により、塗膜又は成形体を形成する。例えば、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて基板上に感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させることにより、塗膜を形成することができる。乾燥方法は特に限定されず、例えば、(1)ホットプレートにて80〜120℃、好ましくは90〜100℃の温度にて60〜120秒間、プリベークを行う方法、(2)室温にて数時間〜数日間放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分間〜数時間入れて溶剤を除去する方法等が挙げられる。
次いで、塗膜又は成形体に対して所定パターン状に電磁波を照射し、露光する。電磁波は、ポジ型又はネガ型のマスクを介して照射してもよく、直接照射してもよい。露光量は、感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば5〜500mJ/cm2程度が好ましい。
次いで、露光後の塗膜又は成形体を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
現像後のパターンに対しては、200〜250℃程度でポストベークを行うことが好ましい。
≪硬化膜、絶縁膜、カラーフィルタ、表示装置≫
本発明に係る硬化膜、絶縁膜、及びカラーフィルタは、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて形成されたものである。
例えば、着色剤を含有しない感光性樹脂組成物を用いて塗膜を形成し、該塗膜に対して電磁波を照射及び/又は加熱することにより、透明な硬化膜や絶縁膜を得ることができる。このような硬化膜、絶縁膜は、例えば液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等の平坦化膜として、あるいは層間絶縁膜として用いられる。
なお、この硬化膜、絶縁膜は、パターン化されたものであってもよい。上記のように、塗膜に対して所定パターン状に電磁波を照射し、現像することにより、パターン化された硬化膜、絶縁膜を得ることができる。パターン化された硬化膜は、例えば液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等のスペーサ、隔壁として用いられる。
また、着色剤を含有する感光性樹脂組成物(特に第1の態様の感光性樹脂組成物)を用いて塗膜を形成し、該塗膜に対して所定パターン状に電磁波を照射し、現像することにより、例えば液晶表示ディスプレイのカラーフィルタの画素やブラックマトリクスを形成することもできる。
本発明に係る表示装置は、このような硬化膜、絶縁膜、カラーフィルタを備えるものである。表示装置としては、液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
<上記式(1)で表される化合物及び比較化合物>
上記式(1)で表される化合物としては、下記式で表される化合物1〜2を準備した。この化合物1〜2の合成法を下記に示す。また、比較のため、下記式で表される比較化合物1〜3を準備した。
[化合物1の合成法]
まず、下記式の構造の桂皮酸誘導体30gをメタノール200gに溶解させた後、メタノール中に水酸化カリウム7gを添加した。次いで、メタノール溶液を40℃で撹拌した。メタノールを留去し、残渣を水200gに懸濁させた。得られた懸濁液にテトラヒドロフラン200gを混合、撹拌し、水相を分液した。氷冷下、塩酸4gを添加、撹拌した後に酢酸エチル100gを混合、撹拌した。混合液を静置した後、油相を分取した。油相から目的物を晶析させ、析出物を回収して、上記構造のイミダゾール化合物(化合物1)を得た。
上記構造のイミダゾール化合物(化合物1)の1H−NMRの測定結果は以下のとおりである。
1H−NMR(DMSO):11.724(s,1H),7.838(s,1H),7.340(d,2H,J=4.3Hz),7.321(d,1H,J=7.2Hz),6.893(d,2H,J=4.3Hz),6.876(d,1H,J=6.1Hz),5.695(dd,1H,J=4.3J,3.2J),3.720(s,3H),3.250(m,2H)
[化合物2の合成法]
化合物2として下記構造のイミダゾール化合物を合成した。
具体的には、原料化合物を下記式の構造の桂皮酸誘導体に変更することの他は、化合物1の合成法と同様にして上記構造のイミダゾール化合物(化合物2)を得た。
<感光性樹脂組成物の調製>
[実施例1]
以下の各成分を混合し、3−メトキシブチルアセテート(MA)/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)/シクロヘキサノン(AN)=60/20/20(質量比)の混合溶剤に溶解して、固形分濃度15質量%のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
・アルカリ可溶性樹脂
樹脂(A−1)(固形分55%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)・・・310質量部
・光重合性モノマー
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)・・・65質量部
・光重合開始剤
「OXE−02」(商品名:BASF社製)・・・15質量部
・上記式(1)で表される化合物
上記化合物1・・・5質量部
・着色剤
カーボン分散液「CFブラック」(商品名:御国色素社製 固形分25% 溶剤:3−メトキシブチルアセテート)・・・1200質量部
上記樹脂(A−1)の合成法は下記のとおりである。
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(a−4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂(A−1)を得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
なお、この樹脂(A−1)は、上記式(a−1)で表される化合物に相当する。
[実施例2、比較例1〜4]
化合物1の代わりにそれぞれ上記化合物2、比較化合物1〜3を用いた、若しくは化合物1を用いなかったほかは、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[評価]
実施例1〜2、比較例1〜4のネガ型感光性樹脂組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、90℃で120秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を照射した。露光量は、20,40,60,120mJ/cm2の4段階とした。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
同様に、2,5,10,20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、露光ギャップ50μmにて、塗膜に紫外線を照射した。露光量は10mJ/cm2とした。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
形成されたラインパターンについて、OD測定装置D−200II(グレタグマクベス社製)を使用して、膜厚1μm当たりのOD値を測定した。
また、ラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン直進性を評価した。パターン直進性は、ラインのエッジにがたつきがないものを「良好」、がたつきがあるものを「不良」として評価した。
また、ラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン密着性を評価した。パターン密着性は、基板から剥がれずラインパターンが形成されたものを「良好」、基板から剥がれてラインパターンが形成されなかったものを「なし」として評価した。
さらに、現像後の未露光部における残渣の有無について評価した。
結果を下記表1〜4に示す。
表1,2から分かるように、上記式(1)で表される化合物1又は2を含有する実施例1〜2のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、20mJ/cm2という低露光量であっても、直進性に優れたラインパターンを形成することができた。また、10mJ/cm2という低露光量であっても、2μmのラインパターンが基板に密着した。さらに、実施例1〜2のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、現像残渣も存在しなかった。
これに対して、比較化合物1〜3を含有する比較例1〜3のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、表3,4から分かるように、パターン直進性、パターン密着性のいずれも、実施例1〜2より劣っており、良好な微小パターニング特性が得られなかった。
特に、比較例2のネガ型感光性樹脂組成物に含有される比較化合物2は、密着増強剤として知られているアミン系シランカップリング剤であるが、10mJ/cm2という低露光量では、20μmのラインパターンも基板に密着しなかった。
また、比較例3の感光性樹脂組成物に含有される比較化合物3は、ベンゼン環のオルト位に水酸基が結合したものであるが、20mJ/cm2という低露光量では直進性に劣るラインパターンしか形成することができなかった。また、10mJ/cm2という低露光量では、10μm以上のラインパターンしか基板に密着しなかった。
[実施例3]
以下の各成分を混合し、3−メトキシブチルアセテート(MA)/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)/シクロヘキサノン(AN)=60/20/20(質量比)の混合溶剤に溶解して、固形分濃度15質量%のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
・アルカリ可溶性樹脂
樹脂(A−2)(グリシジルメタクリレート/メタクリル酸/トリシクロデシルメタクリレート=72/18/10(質量比)、質量平均分子量14000)・・・66質量部
・光重合性モノマー
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)・・・33質量部
・光重合開始剤
「OXE−02」(商品名:BASF社製)・・・2質量部
・上記式(1)で表される化合物
上記化合物1・・・1質量部
[実施例4、比較例5〜7]
化合物1の代わりにそれぞれ上記化合物2、比較化合物1〜3を用いたほかは、実施例3と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[評価]
実施例3〜4、比較例5〜7のネガ型感光性樹脂組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、90℃で120秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を照射した。露光量は、20,40,60,120mJ/cm2の4段階とした。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
同様に、5,10,20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、露光ギャップ50μmにて、塗膜に紫外線を照射した。露光量は20mJ/cm2とした。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
形成されたラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン直進性を評価した。パターン直進性は、ラインのエッジにがたつきがないものを「良好」、がたつきがあるものを「不良」として評価した。
また、ラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン密着性を評価した。パターン密着性は、基板から剥がれずラインパターンが形成されたものを「良好」、基板から剥がれてラインパターンが形成されなかったものを「なし」として評価した。
さらに、現像後の未露光部における残渣の有無について評価した。
結果を下記表5〜8に示す。
表5,6から分かるように、上記式(1)で表される化合物1又は2を含有する実施例3〜4のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、20mJ/cm2という低露光量であっても、直進性に優れたラインパターンを形成することができた。また、20mJ/cm2という低露光量であっても、5μmのラインパターンが基板に密着した。さらに、実施例3〜4のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、現像残渣も存在しなかった。
これに対して、比較化合物1〜3を含有する比較例5〜7のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、表7,8から分かるように、パターン直進性、パターン密着性のいずれも、実施例3〜4より劣っており、良好な微小パターニング特性が得られなかった。
特に、比較例6のネガ型感光性樹脂組成物に含有される比較化合物2は、密着増強剤として知られているアミン系シランカップリング剤であるが、20mJ/cm2という低露光量では、20μmのラインパターンも基板に密着しなかった。
また、比較例7のネガ型感光性樹脂組成物に含有される比較化合物3は、ベンゼン環のオルト位に水酸基が結合したものであるが、20mJ/cm2という低露光量では直進性に劣るラインパターンしか形成することができなかった。また、20mJ/cm2という低露光量では、10μm又は20μm以上のラインパターンしか基板に密着しなかった。
[実施例5]
ポリp−ヒドロキシスチレン(質量平均分子量2500)50質量部、p−ヒドロキシスチレン/スチレン=85/15(モル比)の共重合体(質量平均分子量2500)50質量部、及びメラミン樹脂であるニカラックMW−100LM(三和ケミカル社製)15質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート247質量部に溶解し、これに光酸発生剤としてのα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル15質量部及び2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン3.0質量部を溶解し、さらに上記化合物1を固形分中3質量%となるように添加し、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[実施例6]
上記化合物1を固形分中8質量%となるように添加したほかは、実施例5と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[実施例7]
上記化合物1の代わりに上記化合物2を用いたほかは、実施例5と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[実施例8]
上記化合物2を固形分中8質量%となるように添加したほかは、実施例7と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[比較例8]
上記化合物1を添加しなかったほかは、実施例5と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[評価]
実施例5〜8、比較例8のネガ型感光性樹脂組成物を、スピンナーを用いて6インチシリコン基板上に塗布し、ホットプレート上で110℃にて90秒間乾燥することにより、膜厚3.0μmの塗膜を形成した。次いで、縮小投影露光装置(製品名:NSR−2005i10D、ニコン社製)を用いて、0.55,0.60,0.65,0.70μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜にi線光を選択的に照射した。露光量は100mJ/cm2とした。露光後の塗膜を110℃にて90秒間加熱した後、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で65秒間現像処理し、30秒間水でリンスした後、乾燥した。
形成されたラインパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、パターン密着性を評価した。パターン密着性は、ラインが完全に再現されているものを「良好」、全剥がれや一部剥がれ、欠けが生じているものを「不良」として評価した。
また、ラインパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、パターン形状を評価した。パターン形状は、基板に対して垂直な矩形のパターンが形成されているものを「良好」、パターン上部の先細り現象や側面の波打ち現象が生じているものを「不良」として評価した。
さらに、現像後の未露光部における残渣の有無について評価した。
結果を下記表9,10に示す。
表9、10から分かるように、上記式(1)で表される化合物1又は2を添加した実施例5〜8のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、100mJ/cm2という低露光量であっても、0.55μmのラインパターンが基板に密着し、しかもパターン形状にも優れていた。さらに、実施例5〜8のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、現像残渣も存在しなかった。
これに対して、上記式(1)で表される化合物を添加していない比較例8のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、パターン密着性、パターン形状のいずれも、実施例5〜8より劣っており、良好な微小パターニング特性が得られなかった。
[実施例9]
撹拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた三口フラスコに感光性ポリイミド前駆体35.0gとN−メチルピロリドン50.0gとp−メトキシフェノール0.1g(0.08mmol)とを撹拌混合し溶解させた。次いで、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール2.0g(0.03mmol)、2−メルカプトベンゾオキサゾール1.0g(0.66mmol)、及びエチルミヒラーズケトン0.2g(0.06mmol)の感光剤と、付加重合性化合物として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 7.0g(3.1mmol)を加え、さらに上記化合物1を固形分中3質量%となるように添加し、室温下にて一昼夜撹拌溶解後、フィルタ濾過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
上記感光性ポリイミド前駆体の合成法は下記のとおりである。
乾燥窒素下に100mlの乾燥N−メチルピロリドン中の15.27g(0.070mol)のピロメリット酸二無水物の撹拌溶液に1.30g(0.010mol)の2−ヒドロキシエチルメタクリレートを加えた。溶液を室温で1時間、35℃で1時間撹拌した後、室温まで冷却した。この反応溶液を100mlの乾燥N−メチルピロリドン中の8.49g(0.040mol)の3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル及び0.25g(0.001mol)の1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンの溶液の撹拌溶液に1時間に亘り滴下添加し、室温で一夜撹拌した。その後、100mlの乾燥N−メチルピロリドン中の26.82g(0.130mol)のN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドの溶液を30分間に亘り、反応溶液に撹拌しながら滴下添加した。この反応溶液に対し、45.55g(0.35mol)の2−ヒドロキシエチルメタクリレートを加え、50℃で5時間、室温で一夜撹拌した。この反応混合物を50mlのアセトンで希釈し、吸引濾過により不要物を除いた濾液を2.0リットルのイオン交換水にて激しく撹拌しながら処理した。析出した固形物をイオン交換水で洗浄し、さらにメタノールで洗浄し、濾過フィルタ上で吸引乾燥し、室温にて水分含有率が1.0質量%より少なくなるまで減圧乾燥し、感光性ポリイミド前駆体を得た。
[実施例10]
上記化合物1を固形分中8質量%となるように添加したほかは、実施例9と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[実施例11]
上記化合物1の代わりに上記化合物2を用いたほかは、実施例9と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[実施例12]
上記化合物2を固形分中8質量%となるように添加したほかは、実施例11と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[比較例9]
上記化合物1を添加しなかったほかは、実施例9と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[評価]
実施例9〜12、比較例9のネガ型感光性樹脂組成物を、6インチシリコン基板上にスピンコートした後に乾燥して、5.0±1.0μmの塗膜を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:MPA−600FA、キヤノン社製)を用いて、6.0,6.5,7.0,8.0μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を照射した。露光量は500mJ/cm2とした。次いで、1時間遮光箱内にて放置した後、ホットプレートにて120℃で60秒間加熱した。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、未露光部分が除去されるのに要する現像時間の1.2倍の時間にてパドル現像し、水でリンスした後、乾燥した。
形成されたラインパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、パターン密着性を評価した。パターン密着性は、ラインが完全に再現されているものを「良好」、全剥がれや一部剥がれ、欠けが生じているものを「不良」として評価した。
また、ラインパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、パターン形状を評価した。パターン形状は、基板に対して垂直な矩形のパターンが形成されているものを「良好」、パターン上部の先細り現象や側面の波打ち現象が生じているものを「不良」として評価した。
さらに、現像後の未露光部における残渣の有無について評価した。
結果を下記表11,12に示す。
表11,12から分かるように、上記式(1)で表される化合物1又は2を添加した実施例9〜12のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、6.0μmのラインパターンが基板に密着し、しかもパターン形状にも優れていた。さらに、実施例9〜12のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、現像残渣も存在しなかった。
これに対して、上記式(1)で表される化合物を添加していない比較例9のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、パターン密着性、パターン形状のいずれも、実施例9〜12より劣っており、良好な微小パターニング特性が得られなかった。
[実施例13]
100質量部のポリイミド前駆体、15質量部の上記化合物1、及び843質量部のN−メチル−2−ピロリドンを混合し、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
上記ポリイミド前駆体の合成法は下記のとおりである。
ジ(4−アミノフェニル)エーテル10.0g(50mmol)を300mLの3つ口フラスコに投入し、105.4mLの脱水されたN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解させ、窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物14.7g(50mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、質量平均分子量10000のポリアミド酸(ポリイミド前駆体)を白色固体として定量的に得た。
[実施例14、比較例10〜11]
上記化合物1の代わりにそれぞれ上記化合物2、比較化合物2,3を用いたほかは、実施例13と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[評価]
実施例13〜14、比較例10〜11のネガ型感光性樹脂組成物を、クロムめっきされたガラス基板上に最終膜厚4μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で10分間乾燥させて塗膜を得た。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:MPA−600FA、キヤノン社製)を用いて、20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を照射した。露光量は、200,300,400,500mJ/cm2の5段階とした。露光後の塗膜を、140℃のホットプレート上で10分間加熱(露光後加熱)した後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液とイソプロパノールとを9:1の体積比で混合した現像液に浸漬して現像し、350℃で1時間ポストベークを行ってイミド化することにより、ラインパターンを形成した。
形成されたラインパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、パターン形成性を評価した。パターン形成性は、ラインが完全に再現されているものを「良好」、全剥がれや一部剥がれ、欠けが生じているものを「不良」として評価した。
また、ラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン直進性を評価した。パターン直進性は、ラインのエッジにがたつきがないものを「良好」、がたつきがあるものを「不良」として評価した。
さらに、現像後の未露光部における残渣の有無について評価した。
結果を下記表13,14に示す。
表13,14から分かるように、上記式(1)で表される化合物1又は2を含有する実施例13〜14のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、200mJ/cm2という低露光量でパターン形状に優れ、300mJ/cm2という低露光量で直進性に優れた20μmのラインパターンを形成することができた。さらに、実施例13〜14のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、現像残渣も存在しなかった。
これに対して、上記式(1)で表される化合物を含有していない比較例10〜11のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、パターン形成性、パターン直進性のいずれも、実施例13〜14より劣っており、良好な微小パターニング特性が得られなかった。
[実施例15]
100質量部のエポキシ樹脂(YP50EK35(フェノキシ樹脂)、35質量%メチルエチルケトン溶液、新日鐵化学社製)及び10質量部の上記化合物1を混合し、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[実施例16、比較例12〜13]
上記化合物1の代わりにそれぞれ上記化合物2、比較化合物2,3を用いたほかは、実施例15と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[評価]
実施例15〜16、比較例12〜13のネガ型感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に最終膜厚0.5μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で15分間乾燥させて塗膜を得た。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:MPA−600FA、キヤノン社製)を用いて、20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を照射した。露光量は、70,80,90,100mJ/cm2の5段階とした。露光後の塗膜を、150℃のホットプレート上で30分間加熱(露光後加熱)した後、イソプロパノールとクロロホルムとを4:1の体積比での混合した現像液に浸漬して現像し、ラインパターンを形成した。
形成されたラインパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、パターン形成性を評価した。パターン形成性は、ラインが完全に再現されているものを「良好」、全剥がれや一部剥がれ、欠けが生じているものを「不良」として評価した。
また、ラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン直進性を評価した。パターン直進性は、ラインのエッジにがたつきがないものを「良好」、がたつきがあるものを「不良」として評価した。
さらに、現像後の未露光部における残渣の有無について評価した。
結果を下記表15,16に示す。
表15,16から分かるように、上記式(1)で表される化合物1又は2を含有する実施例15〜16のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、露光後加熱を行わなくても、70mJ/cm2という低露光量でパターン形状に優れ、80mJ/cm2という露光量で、直進性に優れた20μmのラインパターンを形成することができた。さらに、実施例15〜16のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、現像残渣も存在しなかった。
これに対して、上記式(1)で表される化合物を含有していない比較例12〜13のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、パターン形成性、パターン直進性のいずれも、実施例15〜16より劣っており、良好な微小パターニング特性が得られなかった。
[実施例17]
以下の各成分(質量部は固形分換算)を3本ロールミルで混練し、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
・エポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂
樹脂(F−1)・・・58.3質量部
・光酸発生剤
「PCI−220」(商品名:日本化薬社製)・・・4.2質量部
・上記式(1)で表される化合物
上記化合物1・・・4質量部
・増感剤
2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン・・・0.4質量部
・改質成分
「YX−4000」(商品名:油化シェルエポキシ社製、エポキシ化合物)・・・25.1質量部
「Cymel300」(商品名:日本サイテック社製、メラミン樹脂)・・・11.7質量部
・充填剤
「Silbond 800EST」(商品名:白石カルシウム社製、表面処理球状シリカ)・・・25.0質量部
「B−30」(商品名:堺化学工業社製、硫酸バリウム)・・・25.0質量部
「SG−2000」(商品名:日本タルク社製、タルク)・・・5.8質量部
・添加剤
「Heliogen Green」(商品名:山本通産社製、顔料)・・・1.4質量部
「BYK−354」(商品名:ビックケミー社製、レベリング剤)・・・1.6質量部
「BYK−057」(商品名:ビックケミー社製、消泡剤)・・・1.6質量部
上記樹脂(F−1)の合成法は下記のとおりである。
ビフェニルジメチレン−ヒドロキシフェニレンとエピクロルヒドリンとの反応で得られたエポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000PL、エポキシ当量274、軟化点57.3℃)211.2g、ジメチロールプロピオン酸72.4g、カルビトールアセテート 70.9g、トリフェニルフォスフィン0.71gを仕込み、100℃に加熱し、反応液の酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応時間は24時間であった。次いで、この反応液にパークミルH80(日本油脂社製、過酸化物)を0.51g仕込み、約2時間撹拌して、反応触媒であるトリフェニルフォスフィンを酸化させ不活性化させた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸66.4g、カルビトールアセテート117.6gを仕込み、95℃で4時間反応させ、樹脂(F−1)を得た。樹脂(F−1)の酸価は70mgKOH/gであった。
[実施例18]
上記化合物1の代わりにそれぞれ上記化合物2を用いたほかは、実施例17と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[比較例14]
上記化合物1を配合しなかったほかは、実施例17と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[比較例15]
樹脂(F−1)の配合量を57.9質量部とし、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセンの配合量を0.8質量部とし、「Cymel300」の配合量を11.6質量部としたほかは、比較例14と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[比較例16]
樹脂(F−1)の配合量を57.0質量部とし、「PCI−220」の配合量を4.1質量部とし、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセンの配合量を2.1質量部とし、「Cymel300」の配合量を11.4質量部としたほかは、比較例14と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
[評価]
実施例17〜18、比較例14〜16のネガ型感光性樹脂組成物を、スクリーン印刷法により、100メッシュのステンレススクリーンを用いて25μmの厚さになるように、パターン形成されている銅張積層板に全面塗布し、塗膜を80℃の熱風乾燥器で30分間乾燥させた。次いで、40μm、45μm、50μm、60μmのラインパターンの形成された石英マスクを塗膜に密着させ、紫外線露光装置(製品名:EXM−1066、オーク製作所社製)を用いて、塗膜に紫外線を照射した。露光量は500mJ/cm2とした。次いで、熱風乾燥器で露光後ベーク処理を行った後、25℃の1%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2kg/cm2のスプレー圧で現像し、未露光部分を溶解除去した。その後、150℃の熱風乾燥器で60分間加熱硬化を行った。
形成されたラインパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、パターン密着性を評価した。パターン密着性は、ラインが完全に再現されているものを「良好」、全剥がれや一部剥がれ、欠けが生じているものを「不良」として評価した。
また、ラインパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、パターン形状を評価した。パターン形状は、矩形形状であり、テーパーや現像による食い込みがないものを「良好」、テーパーや現像による食い込みがあるものを「不良」として評価した。
さらに、現像後の未露光部における残渣の有無について評価した。
結果を下記表17,18に示す。
表17,18から分かるように、上記式(1)で表される化合物1又は2を含有する実施例17〜18のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、40μmのラインパターンが基板に密着し、しかもパターン形状にも優れていた。さらに、実施例17〜18のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、現像残渣も存在しなかった。
これに対して、上記式(1)で表される化合物を配合していない比較例15〜16のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、パターン密着性、パターン形状のいずれも、実施例17〜18より劣っており、良好な微小パターニング特性が得られなかった。
[実施例19]
以下の各成分を混合し、メチルエチルジグリコール/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=40/60(質量比)の混合溶剤に溶解して、固形分濃度15質量%のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
・アルカリ可溶性樹脂
樹脂(A−3)(4−オキサテトラシクロ−[6.2.1.0
2,7 0
3,5]ウンデカニル(メタ)アクリレート/メタクリル酸/トリシクロデシルメタクリレート=72/18/10(質量比)、質量平均分子量14000)・・・66質量部
・光重合性モノマー
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)・・・34質量部
・光重合開始剤
開始剤1(下記合成例1〜3により合成される、下記式で表されるオキシムエステル化合物1)・・・6質量部
・上記式(1)で表される化合物
上記化合物1・・・10質量部
・添加剤
カルボキシベンゾトリアゾール・・・ 1質量部
〔合成例1〕
(9,9−ジ−n−プロピルフルオレンの合成)
フルオレン6.64g(40mmol)を27mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。得られた溶液に、カリウムtert−ブトキシド0.12g(1.1mmol)、1−ブロモプロパン12.30g(100mmol)、及び濃度50質量%の水酸化ナトリウム水溶液27mLを、窒素雰囲気下で徐々に添加した。得られた混合物を、80℃で3時間撹拌して反応を行った。反応後の混合物に、酢酸エチル33g及び水33gを加えた後、有機層と水層とに分液した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、ロータリーエバポレーターを用いて有機層から溶媒を除去して、9,9−ジ−n−プロピルフルオレン8.32g(収率83%)を得た。
〔合成例2〕
9,9−ジ−n−プロピルフルオレン4.10g(16.37mmol)と、(2−メチルフェニル)酢酸塩化物3.04g(18.00mmol)とを、塩化アルミニウム2.62gの存在下に、ジクロロメタン溶媒、50ml中で、氷冷下で1時間反応させた。反応混合物を氷水にあけ、有機層を分液した。回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。残渣を酢酸エチル/ヘキサン=1/2の溶離液でシリカゲルカラム精製して、2−(2−メチルフェニル)アセチル−9,9−ジ−n−プロピルフルオレン5.95g(15.55mmol)を得た。2−(2−メチルフェニル)アセチル−9,9−ジ−n−プロピルフルオレン5.95g(15.55mmol)と、濃塩酸1.60g(15.55mmol)とを、亜硝酸イソブチル2.42g(23.33mmol)の存在下に、ジメチルホルムアミド溶媒25ml中で、氷冷下で3時間反応させた。反応液をエバポレートし、残渣に酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートして、下記構造の2−[2−メチルフェニル(ヒドロキシイミノ)アセチル]−9,9−ジ−n−プロピルフルオレン4.80g(11.67mmol)を得た。
2−[2−メチルフェニル(ヒドロキシイミノ)アセチル]−9,9−ジ−n−プロピルフルオレンの1H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
1H−NMR(600MHz,CDCl3,ppm):8.60(bs,1H),8.15(d,1H),8.14(s,1H),7.76−8.00(m,2H),7.26−7.53(m,7H),2.35(s,3H),1.98−2.01(m,4H),0.63−0.67(m,10H)
〔合成例3〕
2−[2−メチルフェニル(ヒドロキシイミノ)アセチル]−9,9−ジ−n−プロピルフルオレン4.80g(11.67mmol)と、無水酢酸1.43g(13.42mmol)と、トリエチルアミン1.36g(13.42mmol)と、ジメチルホルムアミド溶媒45.00mlとを混合し、35℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、反応液に酢酸エチルを加え、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。残渣を酢酸エチル/ヘキサン=2/1の溶離液でシリカゲルカラム精製して、オキシムエステル化合物1である、4.76g(10.50mmol、収率72%)を得た。
オキシムエステル化合物1の1H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
1H−NMR(600MHz,CDCl3,ppm):8.25(d,1H),8.22(s,1H),7.83(d,1H),7.81(dd,1H),7.33−7.40(m,3H),7.26−7.33(m,4H),2.35(s,3H),2.14(s,3H),1.95−2.07(m,4H),0.63−0.66(m,10H)
[評価]
実施例18のネガ型感光性樹脂組成物を、銅基板上にスピンコーターを用いて塗布し、90℃で120秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を照射した。露光量は、20,40,60,120mJ/cm2の4段階とした。露光後の塗膜を、23℃の2.38質量%TMAH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
同様に、5,10,20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、露光ギャップ50μmにて、塗膜に紫外線を照射した。露光量は20mJ/cm2とした。露光後の塗膜を、23℃の2.38質量%TMAH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
形成されたラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン直進性を評価した。パターン直進性は、ラインのエッジにがたつきがないものを「良好」、がたつきがあるものを「不良」として評価した。
また、ラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン密着性を評価した。パターン密着性は、基板から剥がれずラインパターンが形成されたものを「良好」、基板から剥がれてラインパターンが形成されなかったものを「なし」として評価した。
さらに、現像後の未露光部における残渣の有無について評価した。
結果を下記表19〜20に示す。
表19から分かるように、銅基板上に、上記式(1)で表される化合物1を含有する実施例19のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、20mJ/cm2という低露光量であっても、直進性に優れたラインパターンを形成することができた。また、20mJ/cm2という低露光量であっても、5μmのラインパターンが基板に密着した。さらに、実施例19のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、現像残渣も存在しなかった。