JP6795886B2 - グロープラグ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関の補助熱源として用いられるグロープラグ及びその製造方法に関する。
グロープラグは、圧縮着火方式によるディーゼルエンジン等の内燃機関の補助熱源として用いられる。グロープラグは、通常、先端が閉じて基端部が開いた有底筒状のチューブと、この内部に前記チューブの軸線方向に沿って配置され、通電により発熱する抵抗発熱体とを有する。抵抗発熱体の先端部はチューブの先端部に接続され、抵抗発熱体の基端部は、チューブの基端側に延びる中軸部材に接続されている。この中軸部材を介して通電されることにより抵抗発熱体が発熱する。チューブの内部はマグネシア粉末等の絶縁粉末で満たされ、抵抗発熱体の外周面とチューブの内周面とが絶縁されている。
グロープラグにおけるチューブは、通常、耐熱性及び耐酸化性に優れる導電材料により形成される。導電材料として、例えば特許文献1には、ステンレスやNi基合金等が開示されている(特許文献1の0021欄)。また、チューブとコイルとは、通常、プラズマ溶接により接合される。例えば特許文献1には、チューブの一端部に形成された穴部に抵抗発熱体であるコイルを挿入した状態で、穴部の外側からプラズマ溶接を施すことによりチューブとコイルとを溶融させ、チューブの一端部を閉塞し、コイルとチューブとを電気的に接続することが開示されている(特許文献1の0036欄等)。
特開2001−330249号公報
ところで、近年、グロープラグの使用温度の高温化が求められる等グロープラグの使用環境は益々厳しくなる傾向にある。そのため、グロープラグの耐久性の向上が求められている。グロープラグの耐久性を向上させる方法の一つとして、グロープラグにおけるチューブを耐久性に優れた材料により形成することが考えられる。そこで、発明者は、チューブを構成する材料について種々の検討を行ったところ、チューブを特定の材料で構成すると耐酸化性を向上させることができることを見出した。しかしながら、この特定の材料でチューブを構成すると、チューブと他の部材とをプラズマアーク溶接により接合した部分、例えばチューブと抵抗発熱体であるコイルとの接合部に微小なクラックが形成され易くなることが分かった。チューブとコイルとの接合部に微小なクラックが形成されていると、グロープラグは冷熱サイクルの厳しい環境下で使用されるので、微小なクラックが進展し、最終的にコイルが脱落するおそれがあり、グロープラグの寿命が低下してしまう。
この発明は、チューブの耐酸化性を確保しつつ、チューブ先端部における部材同士の接合部にクラックが形成されるのを抑制することにより長寿命なグロープラグを提供すること、及び、長寿命なグロープラグを提供できるグロープラグの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
[1] 軸線方向に延びると共に先端に開口部を有する筒状のチューブと、
前記開口部を閉塞する栓体と、
前記チューブ内に配設されると共に、先端が前記栓体に接合された抵抗発熱体と
を有するヒータを備えるグロープラグにおいて、
前記チューブ及び前記栓体の少なくとも一方は、Ni又はFeを主成分とし、Tiを含む特定合金により構成され、
前記チューブと前記栓体とは、両部材を構成する金属が相互拡散された第1接合部を有し、かつ、前記栓体が前記特定合金により構成されているとき、前記栓体と前記抵抗発熱体とは、両部材を構成する金属が相互拡散された第2接合部を有することを特徴とするグロープラグである。
前記[1]の好ましい態様は、次の通りである。
[2] 前記特定合金がさらにYを含むことを特徴とする前記[1]に記載のグロープラグである。
[3] 前記特定合金がさらにZr、Hf、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含むことを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のグロープラグである。

[4] 前記チューブ及び前記栓体は、それぞれ前記特定合金により構成されていることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のグロープラグである。
前記[1]〜[4]の好ましい態様は、次の通りである。
] 前記第1接合部、及び前記第2接合部は、拡散層を有することを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のグロープラグである。
] 前記特定合金は、Al及びSiを含み、Alの含有量を質量%でX、Siの含有量を質量%でYとした場合、X+2×Y≧2.5を満たすことを特徴とする前記[1]〜前記[]のいずれか一項に記載のグロープラグである。
] 前記特定合金は、前記希土類元素がNdであることを特徴とする前記[3]〜[6]のいずれか一項に記載のグロープラグである。
前記別の課題を解決するための手段は、
] 軸線方向に延びると共に先端に開口部を有する筒状のチューブと、
前記開口部を閉塞する栓体と、
前記チューブ内に配設されると共に、先端が前記栓体に接合された抵抗発熱体と
を有するヒータを備えるグロープラグの製造方法において、
前記チューブ及び前記栓体の少なくとも一方は、Ni又はFeを主成分とし、Tiを含む特定合金により構成され、
前記チューブと前記栓体とは拡散接合により接合され、かつ、前記栓体が前記特定合金により構成されているとき、前記栓体と前記抵抗発熱体とは拡散接合により接合されていることを特徴とするグロープラグの製造方法である。
前記[8]の好ましい態様は、次の通りである。
[9] 前記拡散接合は、抵抗溶接であることを特徴とする前記[8]に記載のグロープラグの製造方法である。
[10] 前記拡散接合は、摩擦撹拌接合であることを特徴とする前記[8]に記載のグロープラグの製造方法である。
この発明によると、軸線方向に延びると共に先端に開口部を有する筒状のチューブと、 前記開口部を閉塞する栓体と、前記チューブ内に配設されると共に、先端が前記栓体に接合された抵抗発熱体とを有するヒータを備えるグロープラグにおいて、前記チューブ及び前記栓体の少なくとも一方が、Ni又はFeを主成分とし、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む特定合金により構成されているので、優れた耐酸化性を有する。また、前記チューブと前記栓体とは、両部材を構成する金属が相互拡散された第1接合部を有し、かつ、前記栓体が前記特定合金により構成されているとき、前記栓体と前記抵抗発熱体とは、両部材を構成する金属が相互拡散された第2接合部を有するので、前記チューブと前記栓体との第1接合部及び前記栓体と前記抵抗発熱体との第2接合部に、クラックが形成されるのを抑制することができる。したがって、この発明によると、チューブの耐酸化性を確保しつつ、チューブ先端部における部材同士の接合部(第1接合部、第2接合部)にクラックが形成されるのを抑制することにより長寿命なグロープラグを提供することができる。
また、軸線方向に延びると共に先端が閉塞した筒状のチューブと、前記チューブ内に配設されると共に、先端が前記チューブの先端に接合された抵抗発熱体とを有するヒータを備えるグロープラグにおいて、前記チューブが、Ni又はFeを主成分とし、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む特定合金により構成されているので、優れた耐酸化性を有する。また、前記抵抗発熱体と前記チューブとは、両部材を構成する金属が相互拡散された第3接合部を有するので、前記チューブと前記抵抗発熱体との第3接合部に、クラックが形成されるのを抑制することができる。したがって、この発明によると、チューブの耐酸化性を確保しつつ、前記チューブと前記抵抗発熱体との接合部(第3接合部)にクラックが形成されるのを抑制することにより長寿命なグロープラグを提供することができる。
また、軸線方向に延びると共に先端に開口部を有する筒状のチューブと、前記開口部を閉塞する栓体と、前記チューブ内に配設されると共に、先端が前記栓体に接合された抵抗発熱体とを有するヒータを備えるグロープラグの製造方法において、前記チューブ及び前記栓体の少なくとも一方は、Ni又はFeを主成分とし、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む特定合金により構成されているので、優れた耐酸化性を有する。また、前記チューブと前記栓体とは拡散接合により接合され、かつ、前記栓体が前記特定合金により構成されているとき、前記栓体と前記抵抗発熱体とは拡散接合により接合されていることで、両部材を構成する金属が相互拡散された第1接合部、第2接合部を形成することができ、これにより、前記チューブと前記栓体との第1接合部及び前記栓体と前記抵抗発熱体との第2接合部に、クラックが形成されるのを抑制することができる。したがって、この発明によると、チューブの耐酸化性を確保しつつ、チューブ先端部における部材同士の接合部(第1接合部、第2接合部)にクラックが形成されるのを抑制することにより長寿命なグロープラグを提供できるグロープラグの製造方法を提供することができる。
さらに、軸線方向に延びると共に先端が閉塞した筒状のチューブと、前記チューブ内に配設されると共に、先端が前記チューブの先端に接合された抵抗発熱体とを有するヒータを備えるグロープラグの製造方法において、前記チューブは、Ni又はFeを主成分とし、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む特定合金により構成されているので、優れた耐酸化性を有する。また、前記チューブと前記抵抗発熱体とは拡散接合により接合されているので、両部材を構成する金属が相互拡散された第3接合部を形成することができ、これにより、前記チューブと前記抵抗発熱体との第3接合部に、クラックが形成されるのを抑制することができる。したがって、この発明によると、チューブの耐酸化性を確保しつつ、前記チューブと前記抵抗発熱体との接合部(第3接合部)にクラックが形成されるのを抑制することにより長寿命なグロープラグを提供できるグロープラグの製造方法を提供することができる。
図1は、この発明に係るグロープラグの一実施形態であるグロープラグの一部断面全体説明図である。 図2は、図1に示すグロープラグにおけるヒータを拡大して示した要部一部断面説明図である。 図3は、この発明に係るグロープラグの別の一実施形態であるグロープラグの要部一部断面説明図である。 図4は、表1に示すサンプルについて、Alの含有量XとSiの含有量Yとの関係を示す図である。
(第1の実施形態)
この発明に係るグロープラグの一実施形態であるグロープラグを図1に示す。図1はこの発明に係るグロープラグの一実施形態であるグロープラグの一部断面全体説明図である。なお、図1では、紙面下方すなわち後述するヒータが配置されている側を軸線Oの先端方向、紙面上方を軸線Oの後端方向として説明する。
このグロープラグ10は、図1に示されるように、中軸部材200と、主体金具500と、通電によって発熱するヒータ800とを備える。これらの部材は、グロープラグ10の軸線Oに沿って組み付けられている。
主体金具500は、炭素鋼等により形成され、略円筒状を有する。主体金具500は、軸線O方向に延びる軸孔510を有する。主体金具500は、軸孔510の先端側の端部において、ヒータ800を保持する。主体金具500は、軸孔510の後端側の端部において、絶縁部材410とO−リング460とを介して、中軸部材200を保持する。絶縁部材410は、絶縁部材410の後端に接するリング300が中軸部材200に加締められることで、軸線O方向の位置が固定される。主体金具500の後端側が絶縁部材410によって絶縁される。主体金具500は中軸部材200の一部を内包し、軸孔510と中軸部材200との間には、両者を電気的に絶縁する空隙が形成されている。主体金具500は、工具係合部520と、雄ネジ部540とを備える。工具係合部520は、主体金具500の外周面に形成され、トルクレンチ等の工具が係合される。雄ネジ部540は、工具係合部520より先端側の主体金具500の外周面に形成され、グロープラグ10をディーゼルエンジン等の内燃機関のエンジンヘッドに取り付ける際に、エンジンヘッドの取付け孔に螺合される。
中軸部材200は、導電材料で形成され、円柱形状を有する。中軸部材200は、主体金具500に挿入された状態で軸線Oに沿って配置される。中軸部材200は、先端側に設けられた中軸部材先端部210と、後端側に設けられた接続部290とを備える。中軸部材先端部210は、ヒータ800の内部に配置されている。接続部290は、主体金具500から突出して、その外周面は雄ネジが形成されている。接続部290には、係合部材100が嵌合されている。係合部材100には、バッテリ等の電源から電力の供給されるコネクタ付きケーブルが接続される。
図2は、図1に示すグロープラグにおけるヒータを拡大して示した要部一部断面説明図である。ヒータ800は、先端に開口部860を有する筒状のチューブ810と、開口部860を閉塞する栓体850と、抵抗発熱体としての発熱コイル820と、制御コイル830と、絶縁粉末840とを備える。
チューブ810は、軸線O方向に延びる筒状を有する。チューブ810は、発熱コイル820と、制御コイル830と、絶縁粉末840とを内包する。チューブ810は、先端に開口部860と後端にチューブ後端部819とを備える。開口部860は、チューブ810の先端側において、開口した端部である。開口部860の大きさ及び形状は特に限定されない。開口部860の大きさは、軸線O方向に筒状に延びるチューブ810の内径と同じ内径を有していてもよいし、チューブ810が先端に向かって縮径する先窄まり状に形成され、軸線O方向に筒状に延びるチューブ810の内径よりも小さい内径を有していてもよい。開口部860には、栓体850が嵌め合わされて、開口した穴を塞いでいる。チューブ後端部819は、チューブ810の後端側において開口した端部である。チューブ810の内部には中軸部材200がその後端側がチューブ後端部819から突出した状態で配置されている。チューブ810は、パッキン600と絶縁粉末840とによって、中軸部材200から電気的に絶縁される。パッキン600は、中軸部材200とチューブ810との間に挟まれた絶縁部材である。チューブ810は、主体金具500と電気的に接続されている。チューブ810は、Niを主成分とするNi合金又はFeを主成分とするFe合金により構成される。チューブ810と栓体850との少なくとも一方は、Ni合金又はFe合金である後述する特定合金により構成される。チューブ810は、耐酸化性に優れる点で、後述する特定合金により構成されるのが好ましい。
栓体850は、前記開口部860を閉塞する。栓体850の大きさ及び形状は、開口部860の大きさ及び形状に対応し、栓体850を開口部860に嵌め合わせることができる大きさ及び形状を有する。栓体850は、容易に開口部860から脱落しない形状を有するのが好ましい。例えば、図2に示すように、開口部860が円筒体の内周面を形成する場合には、栓体850は、この内周面に接触する外周面を有する円盤体とこの円盤体の後端に設けられた鍔とを有する形状を挙げることができる。栓体850の形状としては、この他にも、先端に向かって縮径する円錐台形状、円盤体の後端に軸線Oの径方向に突出する突起部を有する形状等を挙げることができる。栓体850は、Niを主成分とするNi合金又はFeを主成分とするFe合金により構成される。チューブ810と栓体850との少なくとも一方は、Ni合金又はFe合金である後述する特定合金により構成される。栓体850は、耐酸化性に優れる点で、後述する特定合金により構成されるのが好ましい。栓体850は、チューブ810と同じ材料により構成されてもよいし、異なる材料により構成されてもよい。
発熱コイル820は、導電材料で形成されたコイルである。この導電材料としては、例えば、Fe、Cr等を主成分とする合金が挙げられる。このような合金として、例えば、カンタル(登録商標)及びパイロマックス(登録商標)等のFe−Cr−Al合金等が挙げられる。発熱コイル820は、通電によって発熱する。発熱コイル820は、チューブ810の内部に軸線O方向に沿って配設される。発熱コイル820は、先端側の端部である発熱コイル先端部821と、後端側の端部である発熱コイル後端部829とを備える。発熱コイル先端部821は、栓体850に接合されて栓体850と電気的に接続される。
制御コイル830は、発熱コイル820を形成する材料よりも電気比抵抗の温度係数が大きい導電材料で形成されたコイルである。この導電材料としては、Coを主成分とするCo合金、Niを主成分とするNi合金等が挙げられる。制御コイル830は、発熱コイル820に供給される電力を制御する。制御コイル830は、チューブ810の内部に軸線O方向に沿って配設される。制御コイル830は、先端側の端部である制御コイル先端部831と、後端側の端部である制御コイル後端部839とを備える。制御コイル先端部831は、発熱コイル820の発熱コイル後端部829に溶接されることによって、発熱コイル820と電気的に接続される。制御コイル後端部839は、中軸部材200の中軸部材先端部210に接合されることによって中軸部材200と電気的に接続される。
絶縁粉末840は、電気絶縁性を有する粉末である。絶縁粉末840としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)の粉末が挙げられる。絶縁粉末840は、チューブ810の内部に充填され、チューブ810の内周面と、発熱コイル820、制御コイル830、及び中軸部材200それぞれの外周面とを電気的に絶縁する。
チューブ810及び栓体850の少なくとも一方は、以下に説明する特定合金により構成される。特定合金は、Ni又はFeを主成分とし、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む。前記主成分とは、特定合金を構成する成分のうち最も質量の多い成分のことをいう。特定合金は、耐酸化性に優れる。したがって、チューブ810及び栓体850の両方が特定合金により構成されるのが好ましい。特定合金は、耐酸化性に優れるので、チューブ810及び栓体850の少なくとも一方が特定合金により構成されることにより、より温度の高い厳しい環境下で使用されても長寿命なグロープラグ10を提供することができる。Ni及びFeは、耐熱性及び耐酸化性に優れた金属である。また、特定合金が、Ni又はFeに加えて、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含むと、純Ni及び純Fe、並びにTi、Zr、Hf、Y、及び希土類元素を含まないNi合金及びFe合金に比べて耐酸化性が向上する。
特定合金がNiを主成分として含む場合には、Niを50質量%以上80質量%以下含むのが好ましく、60質量%以上70質量%以下含むのがより好ましい。特定合金がNiを主成分以外の成分として含む場合には、10質量%以上30質量%以下含むのが好ましく、15質量%以上25質量%以下含むのがより好ましい。特定合金がFeを主成分として含む場合には、Feを45質量%以上65質量%以下含むのが好ましく、50質量%以上60質量%以下含むのがより好ましい。特定合金がFeを主成分以外の成分として含む場合には、5質量%以上20質量%以下含むのが好ましく、7質量%以上15質量%以下含むのがより好ましい。特定合金がNi又はFeを前記範囲で含むと、耐熱性及び耐酸化性により一層優れる。
特定合金は、Ni又はFeに加えて、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を次の質量割合で含むのが好ましい。すなわち、特定合金は、Tiを0.1質量%以上0.5質量%以下、Zrを0.1質量%以上0.2質量%以下、Hfを0.1質量%以上0.3質量%以下、Yを0.1質量%以上0.2質量%以下、及び希土類元素を0.1質量%以上0.3質量%以下含むのが好ましい。特定合金は、前記元素の中でもZr、Hf、Y、及びNdからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含むのがより好ましい。
特定合金は、Al及びSiを含むのが好ましい。また、Alの含有量を質量%でX、Siの含有量を質量%でYとした場合、以下の式(1)を満たすように、Al及びSiを含むのがより好ましい。
X+2×Y≧2.5 ・・・式(1)
特定合金が、式(1)を満たすようにAl及びSiを含むと、耐酸化性により一層優れる。
特定合金は、Crを含むのが好ましく、Crを8質量%以上30質量%以下含むのが好ましく、Crを20質量%以上26質量%以下含むのがより好ましい。Ni又はFeを主成分とする特定合金に、Crが含まれ、特に前記範囲の割合で含まれていると、高温下において、特定合金の表面にCrの酸化物の被膜が形成されるので、耐酸化性により一層優れる。特定合金は、Ni又はFeに加えてCrが含まれている場合に、Ti、Al、及びSiからなる群より選択される少なくとも一種の元素が含まれていると、特定合金の表面に形成されるCrの酸化物の被膜の下に、さらにTi、Al、及びSiの酸化物の被膜が形成されるので、耐酸化性により一層優れる。特定合金は、Ni又はFeに加えてCrが含まれている場合に、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素が含まれていると、特定合金の表面に形成されるCrの酸化物の被膜の密着性が向上するので、耐酸化性により一層優れる。
特定合金は、Ni又はFeを主成分として含み、さらに、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含み、所望により、Al、Si、Cr、Mn、C等の元素を含む。前記特定合金は、これら各成分と不可避不純物とを、これらの合計が100質量%になるように含む。不可避不純物としては、P、S等が挙げられる。不可避不純物の含有量は少ない方が好ましいが、本願発明の目的を達成することができる範囲内で含んでいてもよく、前述した各成分の合計質量を100質量部としたときに、前述した不可避不純物の合計割合は0.2質量%以下であるのが好ましい。
チューブ810及び栓体850に含まれる各成分の含有率は、次のようにして求めることができる。以下においては、チューブ810に含まれる各成分の含有率の測定手順を例に挙げて説明する。第1のステップとして、電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)に付属された波長分散型X線分光器(WDS:Wavelength Dispersive X-ray Spectrometer)を用いてチューブ810における定性分析を実施する。この分析によって、チューブ810に含まれる元素を特定し、最大質量%の元素を主成分とする。
第1のステップでは、まず、ヒータ800を樹脂で固めて、軸線Oを含む断面で切断して切断面を露出させる。切断面を鏡面仕上げし、研磨面とする。チューブ810の研磨面において、チューブ810と栓体850との境界付近を除く任意の5箇所の測定点で成分分析を行い、得られた測定値の算術平均をチューブ810に含まれる各成分の含有率とする。
第2のステップとして、EPMAの測定条件を決定する。この決定は、分析精度を高めるために実施される。測定条件は、第1のステップで特定した主成分の検出において、X線の大量入射による数え落としが起こらないビーム電流量で、測定カウント数が1万カウント以上得られることが満たされるように決定される。
第3のステップとして、上記5箇所の測定点において第1のステップで特定した元素を第2のステップで決定した条件で定量分析する。測定条件は、例えば、次のようにする。加速電圧は20kV、プローブ電流2.5×10−8A、ビームの照射径10μmで主ピークを10秒、バックグラウンドを高角側、低角側それぞれ5秒ずつ取り込む。正味の強度から各元素のCPS(Count Per Second)を得て、同条件で分析した比較試料(ASTIMEX社製標準試料)のCPSを用いてZAF法によって定量計算を実施する。この比較試料は、元素含有率が予め分析されている。ZAFとは、原子番号効果(Z effect)と、吸収効果(Absorption effect)と、蛍光励起効果(Fluorescence excitation effect)とに基づく頭字語である。
特定合金で形成された部材と他の部材とは、拡散接合により接合されている。すなわち、チューブ810と栓体850との少なくとも一方は特定合金により構成されるので、チューブ810と栓体850とは拡散接合により接合されている。栓体850が特定合金により構成されるとき、栓体850と発熱コイル820とは拡散接合により接合されている。栓体850が特定合金により構成されないとき、栓体850と発熱コイル820とは拡散接合により接合されていてもよいし、プラズマアーク溶接及びレーザ溶接等の拡散接合以外の接合方法により接合されていてもよい。拡散接合により、チューブ810と栓体850とは、両部材を構成する金属が相互拡散された第1接合部851を有し、また、栓体850と発熱コイル820とは、両部材を構成する金属が相互拡散された第2接合部852を有する。このように、特定合金で形成された部材と他の部材とが拡散接合により接合されることにより、特定合金で形成された部材と他の部材とが、両部材を構成する金属が相互拡散された接合部(第1接合部851、第2接合部852)を形成することができ、その結果、接合部にクラックが形成されるのを抑制することができる。したがって、チューブ810及び栓体850の少なくとも一方が特定合金で構成されることによりチューブの耐酸化性を確保することができ、また、特定合金で形成された部材と他の部材とが拡散接合により接合されていることにより、特定合金で形成された部材と他の部材とが、両部材を構成する金属が相互拡散された接合部を形成することができ、チューブ810先端部における部材同士の接合部にクラックが形成されるのを抑制することができ、その結果として長寿命なグロープラグを提供することができる。
特定合金で形成された部材と他の部材とが拡散接合により接合されていると、接合部にクラックが形成されるのを抑制できるのは、次の理由によると考えられる。発明者が、チューブ810と栓体850とを特定合金で形成し、両者をプラズマアーク溶接により接合したところ、チューブ810と栓体850との接合部に多数の微小なクラックが形成されているのが観察された。特定合金に含まれるTi、Zr、Hf、Y、及び希土類元素等の成分は、非常に酸化し易い。したがって、特定合金に含まれるこれらの成分は、プラズマアーク溶接を行う際に形成される溶融部が対流することにより空気に触れて酸化物となり易い。この酸化物が溶融部の対流によって溶融部の内部に取り込まれ、冷却によって溶融部の内部で凝固する。酸化物は金属に比べて熱膨張率が小さいので、溶融部の冷却時に溶融部の内部に取り込まれた酸化物とその周囲の金属との間の熱膨張率の差により応力が発生し、これによって多数の微小なクラックが形成されると考えられる。このようなメカニズムによって接合部に多数の微小なクラックが形成されると考えられることから、特定合金で形成された部材と他の部材とを接合する際に、溶融部が形成されない接合方法及び一部に溶融部が形成される場合であっても溶融部の対流が生じない接合方法で接合することにより、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素等の成分が酸化するのを抑制して、クラックが形成されるのを抑制することができると考えられる。
特定合金で形成された部材と他の部材とが、溶融部が形成されない接合方法及び一部に溶融部が形成される場合であっても溶融部の対流が生じない接合方法として、例えば、拡散接合を挙げることができる。拡散接合としては、抵抗溶接、摩擦撹拌接合、及び熱圧着等を挙げることができる。抵抗溶接は、接合する部材間に大電流を流し、発生する抵抗熱によって加熱し、圧力を加えて行う接合方法である。摩擦撹拌接合は、接合する部材の接合面において、接合用ツールを押圧しながら回転させることにより摩擦熱を発生させて、この摩擦熱により接合部分を軟化させ、その部分を撹拌することにより部材同士を接合する接合方法である。熱圧着は、接合する部材を、部材の融点以下の適切な温度で圧力を加えつつ密着させて、塑性変形を起こさせて行う接合方法である。
特定合金で形成された部材と他の部材とが、両部材を構成する金属が相互拡散された接合部(第1接合部851、第2接合部852)を有することは、前述したチューブ810及び栓体850に含まれる各成分の含有率を測定するときと同様にして切断面を露出させて、接合部の切断面を鏡面仕上げして得られた研磨面をEPMAに付属されたWDSにより元素分析をすること、及び鏡面仕上げした後にシュウ酸二水和物による電解エッチングを行って得られた研磨面を金属顕微鏡で観察すること等により確認することができる。プラズマアーク溶接やレーザ溶接等のように、部材同士を接合する際に溶融部が形成されて接合部を形成する場合、接合部を金属顕微鏡で観察すると、部材の溶融液が凝固した後に形成される特有の結晶組織、例えばデンドライト組織等が接合部の領域全体に観察されたり、部材同士が混合したマーブル状の溶融合金層が接合部の領域全体に観察されたりすることがある。一方、特定合金で形成された部材と他の部材とが、両部材を構成する金属が相互拡散された接合部を有する場合(拡散接合により接合部が接合される場合)、接合する部材同士は、部材の融点以下の温度で接合されているので、接合部を金属顕微鏡で観察した場合、接合部の一部にデンドライト組織等の結晶組織や部材同士が混合したマーブル状の溶融合金層が観察されたりすることはあっても、接合部の領域全体にデンドライト組織等の結晶組織や部材同士が混合したマーブル状の溶融合金層が観察されたりすることはない。また、拡散接合により接合部が接合される場合、部材同士の界面に数十μm〜数百μm程度の幅を有する拡散層が形成される。拡散層は、一方の部材から他方の部材へと原子が拡散することにより形成される層である。拡散層の切断面を鏡面仕上げして得られた研磨面をEPMAに付属のWDSによりマッピング分析をすると、一方の部材に多く含まれる元素が他方の部材に拡散し、両者の界面において、一方の部材から他方の部材に向かって、特定の元素の含有量が次第に減少しているのが認められる。また、抵抗溶接及び熱圧着のように、接合する部材同士に圧力を加えて塑性変形を起こさせることにより部材同士を接合している場合には、部材同士が塑性変形して密着しているのが観察される。
グロープラグ10は、例えば、次のようにして製造される。
まず、所定の組成を有する抵抗発熱線をコイル状に加工し、発熱コイル820及び制御コイル830をそれぞれ製造する。次いで、発熱コイル820と制御コイル830との端部同士をプラズマアーク溶接等により接合し、コイル部材とする。次いで、コイル部材のうち制御コイル830側を中軸部材200の先端部に接合する。
次いで、所定の組成を有する金属板から、例えば図2に示すように、一方の端部に鍔を有する円盤状の栓部材を切り出す。この栓部材の鍔を有する面の中央付近に発熱コイル820の先端を配置して、栓部材の中心と発熱コイル820の螺旋状に巻回された導線の中心軸線とが一致するようにして両者を接合し、鋲部材とする。栓部材が前述した特定合金により構成されている場合には、栓部材と発熱コイル820とを拡散接合により接合する。特定合金により構成される栓部材と発熱コイル820とを拡散接合により接合すると、これらの接合部にクラックが形成されるのを抑制することができる。栓部材が特定合金により構成されていない場合には、栓部材と発熱コイル820との接合方法は特に限定されず、拡散接合、プラズマアーク溶接、及びレーザ溶接等により接合する。
一方、金属管をチューブ810の最終寸法よりも大径に形成し、かつ、その先端部を他の部分よりも減径させて、先窄まり状のチューブ前駆体を製造する。
チューブ前駆体の後端側から、栓部材とコイル部材とが一体となった鋲部材を挿入し、チューブ前駆体の先窄まり状の先端開口部に栓部材を嵌め合わせる。チューブ前駆体及び栓部材の少なくとも一方は前述した特定合金により構成されるので、チューブ前駆体と栓部材とを拡散接合により接合する。少なくとも一方が特定合金により構成される、チューブ前駆体と栓部材とを拡散接合により接合すると、これらの接合部にクラックが形成されるのを抑制することができる。このようにして、チューブ前駆体の先端開口部を閉塞し、内部にコイル部材が収容されたヒータ前駆体を形成する。
次いで、ヒータ前駆体のチューブ前駆体内にMgO粉末等の絶縁粉末410を充填する。さらに、チューブ前駆体の後端開口部にパッキン600を挿入して、チューブ前駆体を封止する。さらに、チューブ前駆体にスウェージング加工を施し、所定の外径を有するヒータ800を形成する。
このように形成されたヒータ800は、主体金具500の軸孔510に圧入固定されると共に、主体金具500の後端部分において、O−リング460及び絶縁部材410が嵌め込まれ、リング300で中軸部材200を加締めて、グロープラグ10が完成する。
(第2の実施形態)
この発明に係るグロープラグの別の一実施形態であるグロープラグを図3に示す。図3は、この発明に係るグロープラグの別の一実施形態であるグロープラグにおけるヒータを拡大して示した要部一部断面説明図である。なお、図3では、紙面下方すなわち後述するヒータが配置されている側を軸線Oの先端方向、紙面上方を軸線Oの後端方向として説明する。
このグロープラグ11は、図3に示されるように、チューブ910が、先端が閉塞した筒状を有し、チューブ910の先端に発熱コイル920が接合されたヒータ900を備えていること以外は、図2に示されるグロープラグ10と同様の構成を有する。したがって、以下においては、図2に示されるグロープラグ10とは異なる構成を中心に説明する。
ヒータ900は、軸線O方向に延びると共に先端が閉塞した筒状のチューブ910と、チューブ910内に配設されると共に、先端がチューブ910の先端に接合された抵抗発熱体としての発熱コイル920と、チューブ910内に配設されると共に、発熱コイル920と電気的に接続された制御コイル930と、チューブ910の内部に充填された絶縁粉末940とを備える。
発熱コイル920は、図2に示す発熱コイル820と同様の導電材料で形成される。発熱コイル920は、チューブ910の内部に軸線O方向に沿って配設される。発熱コイル920は、先端側の端部である発熱コイル先端部921と、後端側の端部である発熱コイル後端部929とを備える。発熱コイル先端部921は、チューブ910の先端内周面に接合されてチューブ910と電気的に接続される。
制御コイル930は、図2に示す制御コイル830と同様の導電材料で形成される。制御コイル930は、チューブ910の内部に軸線O方向に沿って配設される。制御コイル930は、先端側の端部である制御コイル先端部931と、後端側の端部である制御コイル後端部939とを備える。制御コイル先端部831は、発熱コイル920の発熱コイル後端部929に溶接されることによって、発熱コイル920と電気的に接続される。制御コイル後端部939は、中軸部材201の中軸部材先端部211に接合されることによって中軸部材201と電気的に接続される。
チューブ910は、軸線O方向に延び、先端が閉塞した有底筒状を有する。チューブ910は、発熱コイル920と、制御コイル930と、絶縁粉末940とを内包する。チューブ910は、チューブ先端部911とチューブ後端部919とを備える。チューブ先端部911は、チューブ910の先端側において、外側に向けて丸く形成された端部である。チューブ後端部919は、チューブ910の後端側において開口した端部である。チューブ910の内部には中軸部材201がその後端側がチューブ後端部919から突出した状態で配置されている。チューブ910は、パッキン601と絶縁粉末940とによって、中軸部材201から電気的に絶縁される。パッキン601は、中軸部材201とチューブ910との間に挟まれた絶縁部材である。チューブ910は、主体金具501と電気的に接続されている。
チューブ910は、前述した特定合金により構成される。特定合金は耐酸化性に優れるので、チューブ910が特定合金により構成されることにより、より温度の高い厳しい環境下で使用されても長寿命なグロープラグを提供することができる。
チューブ910と発熱コイル920とは拡散接合により接合されている。これにより、チューブ910と発熱コイル920とは、両部材を構成する金属が相互拡散された第3接合部912を有する。このように、チューブ910と発熱コイル920とが拡散接合により接合されていることにより、チューブ910と発熱コイル920とが、両部材を構成する金属が相互拡散された第3接合部912を形成することができ、その結果、接合部にクラックが形成されるのを抑制することができる。したがって、チューブ910が特定合金で構成されることによりチューブ910の耐酸化性を確保することができ、また、特定合金で構成されたチューブ910と発熱コイル920とが拡散接合により接合されていることにより、チューブ910と発熱コイル920とが、両部材を構成する金属が相互拡散された第3接合部912を形成することができ、チューブ910と発熱コイル920との接合部にクラックが形成されるのを抑制することができ、その結果として長寿命なグロープラグを提供することができる。
グロープラグ11は、例えば、次のようにして製造される。以下においては、図2に示されるグロープラグ10とは製造方法が異なる工程を中心に説明する。
まず、発熱コイル920と制御コイル930との端部同士をプラズマアーク溶接等により接合し、コイル部材とする。次いで、コイル部材のうち制御コイル930側を中軸部材201の先端部に接合する。
一方、所定の組成を有する金属管をチューブ910の最終寸法よりも大径に形成し、かつ、その先端が閉じて後端部が開いた有底筒状のチューブ前駆体を製造する。
チューブ前駆体の後端側から、中軸部材201と一体となったコイル部材を挿入し、発熱コイル920の先端部をチューブ前駆体の先端内周面の中央付近に接触するように配置する。チューブ前駆体の軸線と発熱コイル920の螺旋状に巻回された導線の中心軸線とが一致するようにして、チューブ前駆体と発熱コイル920とを抵抗溶接等の拡散接合により接合する。特定合金により構成されるチューブ前駆体と発熱コイル920とを抵抗溶接等の拡散接合により接合すると、これらの接合部にクラックが形成されるのを抑制することができる。このようにして、内部にコイル部材が収容されたヒータ前駆体を形成する。
次いで、前述したグロープラグ10の製造工程と同様の製造工程を経てグロープラグ11が完成する。
本発明に係るグロープラグは、圧縮着火方式によるディーゼルエンジン等の内燃機関の補助熱源として用いられる。グロープラグは、内燃機関の燃焼室を区画形成するヘッドに設けられたネジ穴に雄ネジ部が螺合されて、所定の位置に固定される。このグロープラグは、耐酸化性に優れているから、より温度の高い厳しい環境を有する内燃機関に好適に使用される。
本発明に係るグロープラグは、前述した実施形態に限定されることはなく、本発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施形態のグロープラグ10、11においては、抵抗発熱体としての発熱コイル820、920は、螺旋状に巻回されているが、抵抗発熱体の形状は特に限定されず、軸線O、O方向に沿って延びる棒状であってもよい。
また、チューブの形状は、筒状である限り特に限定されず、軸線O、Oに直交する方向の断面から見て、円形状、楕円形状、多角形状等であってもよい。
また、上述した実施形態のグロープラグ10、11においては、発熱コイル820、920の過昇温を防止するために、発熱コイル820、920と中軸部材200、201との間に制御コイル830、930が介在されているが、発熱コイルと中軸部材とが直接に接合され、制御コイルが省略されていてもよい。
なお、本明細書において、元素記号と元素名とは以下のように対応する。Ni:ニッケル、Fe:鉄、Ti:チタン、Zr:ジルコニウム、Hf:ハフニウム、Y:イットリウム、Nd:ネオジム、Al:アルミニウム、Si:ケイ素、Cr:クロム、Mn:マンガン、Co:コバルト、C:炭素、P:リン、S:硫黄
<グロープラグの製造及び分析>
図1に示すグロープラグ10と同様の構造を有するグロープラグを前述したようにして製造した。チューブ810は、表1に示すようにサンプル毎に異なる金属材料により形成した。栓体850は、Ni−Cr−Fe合金により形成した。発熱コイル820は、Fe−Cr−Al合金により形成した。表2に示すサンプル41〜43については、サンプル22と同じ金属材料を用いて、チューブ810を形成した。サンプル1〜22、43は、抵抗溶接によって、サンプル41はレーザ溶接によって、サンプル42は摩擦撹拌接合によって、チューブ810と栓体850とを接合した。
チューブ810の組成は、グロープラグ10を軸線Oが含まれる断面で切断し、切断面を鏡面仕上げして研磨面とし、この研磨面においてEPMAが備えるWDSを用いて、前述したようにして測定した。
チューブ810と栓体850との接合部について、前記研磨面をさらにシュウ酸二水和物による電解エッチングを行い、金属顕微鏡で観察したところ(200倍)、サンプル1〜22、42、43については、デンドライト組織等の金属の溶融液が凝固した後に形成される特有の結晶組織が観察されなかった。一方、チューブ810と栓体850とをレーザ溶接により接合したサンプル41は、接合部全体にデンドライト組織が観察された。また、サンプル1〜22、42、43については、チューブ810と栓体850との界面に0.5〜2μmの幅を有する拡散層が観察された。この拡散層をEPMAが備えるWDSによりマッピング分析をすると、Ti等の元素の含有量が、例えばチューブ810から栓体850に向かって次第に減少しており、一方の部材から他方の部材へ原子が拡散しているのが分かる。
<耐久性試験>
表1及び表2に示すサンプル1〜22及び41〜43について、ヒータ810の先端から軸線O方向後端側に2mmの位置の表面温度が通電開始から180秒後に1100℃となるようにグロープラグ10に電圧を印加し、その後120秒間放冷を行う通電サイクルを3000サイクル繰り返す耐久性試験を行った。
<耐酸化性の評価>
表1に示すサンプル1〜22について、耐久試験前後のグロープラグ10を軸線Oが含まれる断面で切断し、チューブ810の先端から軸線O方向後端側に2mmの位置におけるチューブ810の厚みを測定した。耐久試験前の厚みをT、耐久性試験後の厚みをTとして、(T−T)/T×100(%)を算出し、これを減肉量とし、以下の基準にしたがって評価した。
×:減肉量が50%以上
△:減肉量が30%以上50%未満
○:減肉量が15%以上30%未満
◎:減肉量が15%未満
Figure 0006795886
表1に示すように、チューブ810が、Ni又はFeを主成分とし、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む特定合金により構成されているサンプル3〜22は、耐久性試験後のチューブ810の減肉量が少なく、評価結果が「△」、「○」、又は「◎」であり、耐酸化性に優れていた。一方、チューブ810が、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素のいずれの元素も含有しない合金により構成されているサンプル1、2は、耐久性試験後のチューブ810の減肉量が多く、評価結果が「×」であり、耐酸化性に劣っていた。これらの結果から、チューブ810がNi又はFeを主成分とし、Ti、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む特定合金により構成されていると、耐酸化性に優れたグロープラグを提供できることが分る。
チューブ810が、Ni又はFeを主成分とし、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む特定合金により構成されているサンプル4〜8、10〜22は、評価結果が「○」又は「◎」であった。一方、チューブ810が、Tiを含有し、Zr、Hf、Y、及び希土類元素のいずれの元素も含有しない特定合金により構成されているサンプル3、9は、評価結果が「△」であった。これらの結果から、チューブ810がNi又はFeを主成分とし、Zr、Hf、Y、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む特定合金により構成されていると、より一層耐酸化性に優れたグロープラグを提供できることが分かる。
図4は、表1に示すサンプルについて、Alの含有量XとSiの含有量Yとの関係を示す図である。図4では、横軸をAlの含有量X(質量%)、縦軸をSiの含有量Y(質量%)として、評価結果を示す記号を用いて示している。図4に示すように、チューブ810が、Al及びSiを含み、式(1):X+2×Y≧2.5を満たすとき、評価結果はいずれも「◎」であった。これらの結果から、チューブ810が、式(1)を満たす特定合金により構成されていると、より一層耐酸化性に優れたグロープラグを提供できることが分かる。
<接合方法の評価>
表2に示すサンプル41〜43について、耐久性試験後のグロープラグ10を軸線Oが含まれる断面で切断し、チューブ810と栓体850との接合部を鏡面研磨した後、シュウ酸二水和物による電解エッチングを行い、研磨面とした。この研磨面を金属顕微鏡で観察し(100倍)、クラックの有無を調べた。クラックが発見された場合には「×」、クラックが発見されなかった場合には「○」として、結果を表2に示した。
Figure 0006795886
表2に示すように、チューブ810と栓体850とを抵抗溶接で接合したサンプル43及び摩擦撹拌接合で接合したサンプル42は、チューブ810と栓体850との接合部にクラックが発見されなかった。一方、チューブ810と栓体850とをレーザ溶接で接合したサンプル41は、チューブ810と栓体850との接合部にクラックが発見された。これらの結果から、栓体850と特定合金により構成されるチューブ810とをレーザ溶接で接合すると接合部にクラックが形成されるが、抵抗溶接及び摩擦撹拌接合等の拡散接合により接合するとクラックが形成されるのを抑制することができ、長寿命なグロープラグを提供できることが分かる。
10、11 グロープラグ
100 係合部材
200、201 中軸部材
210、211 中軸部材先端部
290 接続部
300 リング
410 絶縁部材
460 O−リング
500、501 主体金具
510、511 軸孔
520 工具係合部
540 雄ネジ部
600、601 パッキン
800、900 ヒータ
810、910 チューブ
911 チューブ先端部
819、919 チューブ後端部
820、920 発熱コイル
830、930 制御コイル
831、931 制御コイル先端部
839、939 制御コイル後端部
840、940 絶縁粉末
850 栓体
851 第1接合部
852 第2接合部
860 開口部
912 第3接合部

Claims (10)

  1. 軸線方向に延びると共に先端に開口部を有する筒状のチューブと、
    前記開口部を閉塞する栓体と、
    前記チューブ内に配設されると共に、先端が前記栓体に接合された抵抗発熱体と
    を有するヒータを備えるグロープラグにおいて、
    前記チューブ及び前記栓体の少なくとも一方は、Ni又はFeを主成分とし、Tiを含む特定合金により構成され、
    前記チューブと前記栓体とは、両部材を構成する金属が相互拡散された第1接合部を有し、かつ、前記栓体が前記特定合金により構成されているとき、前記栓体と前記抵抗発熱体とは、両部材を構成する金属が相互拡散された第2接合部を有することを特徴とするグロープラグ。
  2. 前記特定合金がさらにYを含むことを特徴とする請求項1に記載のグロープラグ。
  3. 前記特定合金がさらにZr、Hf、及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のグロープラグ。
  4. 前記チューブ及び前記栓体は、それぞれ前記特定合金により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のグロープラグ。
  5. 前記第1接合部、及び前記第2接合部は、拡散層を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のグロープラグ。
  6. 前記特定合金は、Al及びSiを含み、Alの含有量を質量%でX、Siの含有量を質量%でYとした場合、X+2×Y≧2.5を満たすことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のグロープラグ。
  7. 前記特定合金は、前記希土類元素がNdであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のグロープラグ。
  8. 軸線方向に延びると共に先端に開口部を有する筒状のチューブと、
    前記開口部を閉塞する栓体と、
    前記チューブ内に配設されると共に、先端が前記栓体に接合された抵抗発熱体と
    を有するヒータを備えるグロープラグの製造方法において、
    前記チューブ及び前記栓体の少なくとも一方は、Ni又はFeを主成分とし、Tiを含む特定合金により構成され、
    前記チューブと前記栓体とは拡散接合により接合され、かつ、前記栓体が前記特定合金により構成されているとき、前記栓体と前記抵抗発熱体とは拡散接合により接合されていることを特徴とするグロープラグの製造方法。
  9. 前記拡散接合は、抵抗溶接であることを特徴とする請求項に記載のグロープラグの製造方法。
  10. 前記拡散接合は、摩擦撹拌接合であることを特徴とする請求項に記載のグロープラグの製造方法。
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