JP6360393B2 - グロープラグ - Google Patents

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Description

本発明は、グロープラグに関する。
グロープラグは、圧縮着火方式による内燃機関(例えばディーゼルエンジン等)の補助熱源として用いられるヒータである。グロープラグは、通常、シース管(チューブ)内にコイル状の発熱体を収納した構造を有する。シース管の先端は、溶融部によって閉塞される。溶融部は、シース管と発熱体とが溶接されることによって形成される。このように溶接で形成される溶融部の組成は、シース管と発熱体との組成に依存する(例えば特許文献1)。
特許第4288850号公報
グロープラグに通電をすると、グロープラグの表面にクロムが含まれていればCr、アルミニウムが含まれていればAlの酸化膜が、溶融部の表面に生成する。酸化膜は、バルクを酸化から保護することで、耐久性を向上させる。ここでいうバルクとは、酸化膜よりも内部に位置する部位を指す。
酸化膜は溶融部の表面に存在するので、燃焼室において燃焼が発生する度に、酸化膜に熱応力が発生する。この熱応力によって、酸化膜がバルクから剥離することがある。酸化膜が剥離すると、バルクが露出する。露出したバルクの表層は、酸化膜に変化する。新たに発生した酸化膜も、熱応力によって剥離することがある。このようにして酸化膜の剥離が発生する度に、その部位は薄くなる。この現象を、本願では酸化消耗と呼ぶ。
一方で、発熱体とシース管との少なくとも何れかに鉄が含まれていれば、溶融部にも鉄が含まれることになる。上記のように溶融部の酸化消耗が進行して、鉄が偏在している部位が露出すると、その部位ではクロムやアルミニウムの酸化膜の生成が不十分になる。この結果、上記のバルクの保護が実現されず、短時間で酸化が進行してしまう。
さらに、上記のように燃焼室において燃焼が発生する度に、熱膨張係数が異なる部位の境界において熱応力が発生する。溶融部は、シース管および発熱体それぞれと組成が異なるので、シース管および発熱体それぞれと熱膨張係数も異なる。よって、溶融部とシース管との境界、溶融部と発熱体との境界それぞれにおいて、熱応力が発生する。この熱応力は、クラックを引き起こす場合がある。
上記に鑑み、本願発明は、耐酸化性を向上させると共にクラックを抑制し、グロープラグの耐久性を向上させることを課題とする。
本発明は、先述した課題を解決するためのものであり、以下の形態として実現できる。
(1)本発明の一形態によれば、この鉄基合金によって形成され、通電によって発熱する発熱体と;ニッケル基合金によって形成されており、前記発熱体の外周に配置され、軸線に沿って延びる筒状のシース管と;前記シース管と前記発熱体との溶接によって形成され、前記シース管の先端を閉塞する溶融部とを備えるグロープラグが提供される。このグロープラグは;前記軸線を含む断面において、前記溶融部のうち前記溶融部の表面から0.5mm以下の範囲を、加速電圧が20kV、プローブ電流が2.5×10−8A、ビーム照射径が10μm、測定間隔が10μmの条件でのEPMA(WDS:波長分散型X線分光法)による分析によって測定した測定点のうち、鉄の含有率が最も高い測定点における鉄の含有率が20質量%以上60質量%以下であることを特徴とする。この形態によれば、測定対象範囲において鉄の最大含有率が60質量%以下であり、溶融部における鉄の偏在が抑制されているので、耐酸化性が向上する。加えて、鉄の最大含有率が60質量%以下なので、ニッケル基合金によって形成されたシース管に対し、鉄の含有率の差が大きくなり過ぎない。よって、シース管との熱膨張差が小さくなり、シース管との境界におけるクラックが抑制される。さらに、鉄の最大含有率が20質量%以上なので、鉄基合金によって形成された発熱体に対し、鉄の含有率の差が大きくなり過ぎない。よって、発熱体との熱膨張差が小さくなり、発熱体との境界におけるクラックが抑制される。
(2)上記形態において;前記測定点のうち最も鉄の含有率が高い測定点は、前記溶融部の表面から0.03mm以上内側に位置してもよい。この形態によれば、測定点のうち最も鉄の含有率が高い測定点が、溶融部の表面から0.03mm以上内側に位置するので、表面から0.03mm未満の範囲において、耐酸化性が向上する。この範囲は表面から近いので、雰囲気中の酸素が進入しやすい。よって、この範囲の耐酸化性を向上させることは、特に有意義である。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現できる。例えば、グロープラグの製造方法や、グロープラグ以外のシースヒータとして実現できる。
グロープラグの外観図および断面図。 シースヒータの断面図。 シース管と発熱コイルとの溶接前における先端付近の断面図。 溶融部の断面図。 成分分析の対象部位を示す図。 成分分析の手順を示すフローチャート。 定量分析におけるビーム照射径とステップとを示す図。 鉄の最大含有率と、酸化消耗と、クラックの有無との関係を示す図。 溶接前における先端付近の断面図(変形例)。 溶接前における先端付近の断面図(変形例)。
図1は、グロープラグ10を示す。図1は、軸線Oから紙面右側に外観構成を示し、軸線Oから紙面左側に断面構成を示す。グロープラグ10は、ディーゼルエンジンの始動時における点火を補助する熱源として機能する。
グロープラグ10は、中軸部材200と、主体金具500と、通電によって発熱するシースヒータ800とを備える。これらの部材は、グロープラグ10の軸線Oに沿って組み付けられている。なお、本明細書では、グロープラグ10におけるシースヒータ800側を「先端側」と呼び、その反対側を「後端側」と呼ぶ。
主体金具500は、炭素鋼を筒状に成形した部材である。主体金具500は、先端側の端部においてシースヒータ800を保持する。主体金具500は、後端側の端部において絶縁部材410とオーリング460とを介して中軸部材200を保持する。絶縁部材410は、絶縁部材410の後端に接するリング300が中軸部材200に加締められることで、軸線O方向の位置が固定される。絶縁部材410によって、主体金具500の後端側が絶縁される。主体金具500は、絶縁部材410からシースヒータ800に至る中軸部材200の部位を内包する。主体金具500は、軸孔510と、工具係合部520と、雄ねじ部540とを備える。
軸孔510は、軸線Oに沿って形成された貫通孔であり、中軸部材200よりも大きな径を有する。軸孔510に中軸部材200が位置決めされた状態で、軸孔510と中軸部材200との間には、両者を電気的に絶縁する空隙が形成される。軸孔510の先端側には、シースヒータ800が圧入されて接合されている。雄ねじ部540は、内燃機関(図示しない)に形成された雌ねじに嵌り合う。工具係合部520は、グロープラグ10の取り付けと取り外しとに用いられる工具(図示しない)に係合する。
中軸部材200は、導電材料で円柱状に成形されている。中軸部材200は、主体金具500の軸孔510に挿入された状態で軸線Oに沿って組み付けられる。中軸部材200は、先端側に形成された中軸部材先端部210と、後端側に設けられた接続部290とを備える。中軸部材先端部210は、シースヒータ800の内部に挿入される。接続部290は、主体金具500から突出した雄ねじである。接続部290には、係合部材100が嵌り合う。
図2は、シースヒータ800の詳細な構成を示す断面図である。シースヒータ800は、シース管810と、発熱体としての発熱コイル820と、制御コイル830と、絶縁粉末840と、溶融部850とを備える。
溶融部850は、シース管810の先端を閉塞する。溶融部850の表面811は、外側に向けて丸く形成されている。溶融部850は、後述するように、発熱コイル820とシース管810とが溶融した状態で混ざり合い、その後、固まって形成された部位である。よって、溶融部850の組成は、後述する発熱コイル820とシース管810との組成に依存する。
シース管810は、ニッケル基合金によって形成される。本実施形態においては、シース管810を形成するニッケル基合金として、インコネル601(INCONELは登録商標)が採用されている。インコネル601の組成は、例えば、アルミニウムが1.3質量%、クロムが23.8質量%、鉄が15.1質量%、ニッケルが60質量%である。シース管810は、軸線O方向に延びる筒状部材であり、発熱コイル820と、制御コイル830と、絶縁粉末840とを内包する。
シース管810のシース管後端部819は、シース管810の後端側において開口した端部である。シース管後端部819からシース管810の内部に中軸部材200の中軸部材先端部210が配置されている。シース管810は、パッキン600と絶縁粉末840とによって、中軸部材200から電気的に絶縁される。パッキン600は、中軸部材200とシース管810との間に挟まれた絶縁部材である。シース管810は、主体金具500とは電気的に接続されている。
制御コイル830は、発熱コイル820を形成する材料よりも電気比抵抗の温度係数が大きい導電材料で形成されたコイルである。この導電材料としては、ニッケルが好ましく、この他、例えば、コバルトとニッケルとの何れかを主成分として含む合金でもよい。制御コイル830は、シース管810の内側に設けられ、発熱コイル820に供給される電力を制御する。制御コイル830は、先端側の端部である制御コイル先端部831と、後端側の端部である制御コイル後端部839とを備える。制御コイル先端部831は、発熱コイル820の発熱コイル後端部829に溶接されることによって、発熱コイル820と電気的に接続される。制御コイル後端部839は、中軸部材200の中軸部材先端部210に接合されることによって中軸部材200と電気的に接続される。
絶縁粉末840は、電気絶縁性を有する粉末である。絶縁粉末840としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)の粉末が用いられる。絶縁粉末840は、シース管810の内側に充填され、シース管810と、発熱コイル820と、制御コイル830と、中軸部材200との各隙間を電気的に絶縁する。
発熱コイル820は、鉄基合金で形成されたコイルである。本実施形態においては、発熱コイル820を形成する鉄基合金として、パイロマックス(登録商標)が採用されている。パイロマックスの組成は、例えば、アルミニウムが7.5質量%、クロムが26質量%、鉄が66.5質量%である。発熱コイル820は、シース管810の内側に軸線O方向に沿って配置され、通電によって発熱する。発熱コイル820は、先端側の端部である発熱コイル先端部821と、後端側の端部である発熱コイル後端部829とを備える。発熱コイル先端部821は、溶融部850に接続されることによって、シース管810と電気的に接続される。
図3は、シース管810と発熱コイル820との溶接前における先端付近の断面図である。シース管810は、発熱コイル820と溶接される前においては、先端が開口している。発熱コイル820は、溶接の前において、その開口端から突き出るように配置される。発熱コイル820のうち、シース管の開口端から突き出た部位は、他の部位と同様、密巻きに形成されている。この配置で、シース管810と発熱コイル820とが溶接されることによって、先端付近は、図2に示された形状になる。本実施形態における溶接は、アーク溶接によって実現する。
図3に示されたシース管810の壁厚T、発熱コイル820の線径φC、及び発熱コイル820の突き出し長さPを調整することによって、溶融部850の鉄の最大含有率(後述)を制御できる。突き出し長さPとは、図3に示すように、軸線O方向の長さであって、溶接前におけるシース管810の先端面から、溶接前における発熱コイル820の先端面までの長さのことである。本実施形態では、壁厚Tは0.4mm以上0.8mm以下の値が採用され、線径φCは0.2mm以上0.5mm以下の値が採用される。これらの数値範囲内において、例えば、壁厚Tとして0.5mm、線径φCとして0.4mmの値が採用される。溶融部850の鉄の最大含有率を制御するために、上記の値の調整に加え、アーク溶接における溶接電力も調整される。
図4は、シース管810と発熱コイル820との溶接後における溶融部850付近の断面図である。図4に示された断面は、軸線Oを含む断面であって、発熱コイル先端部821と溶融部850との境界を含む断面である。
溶融部850は、図4においてハッチングで示されている。シース管810と溶融部850との境界は、次のように決定する。図4における軸線Oの左側において、シース管810と溶融部850との界面上の最先端側の点A、最後端側の点Bをとり、点Aと点Bとを通過する直線Wを引く。軸線Oの左側とは、軸線OをXY平面におけるY軸とした場合に、先端側をY軸の正の向き、後端側をY軸の負の向きとしたとき、X軸の負の向きに相当する。シース管810と溶融部850との界面は、例えば、断面を鏡面仕上げした後、シュウ酸二水和物による電解エッチングを行い、拡大した画像に基づき目視で決定する。
同様に、図4における軸線Oの右側において、シース管810と溶融部850との界面上の最先端側の点C、最後端側の点Dをとり、点Cと点Dとを通過する直線Yを引く。このようにして引いた直線Wと直線Yとを、シース管810と溶融部850との境界として決定する。
図5は、溶融部850付近の断面図であり、溶融部850の成分分析の対象部位を示す図である。この対象部位は、図5においてハッチングで示されている。図5に示された断面は、図4と同様、軸線Oを含む断面であって、発熱コイル先端部821と溶融部850との境界を含む断面である。
図5のハッチングによって示されるように、成分分析の対象部位は、溶融部850のうち表面811の付近である。具体的には、表面811から深さ0.5mm以下の範囲(以下「測定対象範囲」という)である。深さとは、溶融部850の内側への距離のことであり、深さの方向は、表面811に対して垂直な方向である。
上記の成分分析は、測定対象範囲を2つに分割し、分割されたそれぞれの範囲について、鉄の最大含有率を求めるものである。2つに分割された範囲とは、表面811からの深さが0mm以上0.03mm未満の範囲(以下「外側範囲」という)と、表面811からの深さが0.03mm以上0.5mm以下の範囲(以下「内側範囲」という)とのことである。
図6は、成分分析の手順を示すフローチャートである。成分分析の手順は、マッピング(ステップS710〜S730)と、定量分析(ステップS740〜S770)とに大きく分けることができる。
まず、EPMA(WDS:波長分散型X線分光器)を用いて、波長分散型X線分光法により、測定対象範囲を分析する(ステップS710)。具体的な条件は次の通りである。分光結晶を鉄のピーク位置に固定し、加速電圧を20kV、プローブ電流を2.5×10−8A、ビーム照射径を10μm、ステップ(測定間隔)を10μm、ポイントを400×400、主ピーク取り込み時間を10ミリ秒以上に設定する。なお、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)とは、電子線マイクロアナライザのことである。WDSは、Wavelength Dispersive X-ray Spectrometerの略である。
次に、測定対象範囲内における各ポイントの鉄の強度を取得し、取得した強度を2次元マップ化する(ステップS720)。
続いて、この2次元マップに基づき、内側範囲と外側範囲とのそれぞれについて、鉄の含有率が最大値を呈するポイントを特定する(ステップS730)。以下、内側範囲において鉄の含有率が最大値を呈するポイントを「最大ポイントM−in」といい、外側範囲において鉄の含有率が最大値を呈するポイントを「最大ポイントM−out」という。
その後、EPMA(WDS)を用いて、溶融部850における定性分析を実施する(ステップS740)。この分析によって、溶融部850に含まれる元素を特定すると共に、最大質量%の元素(以下「第1の成分」という)を特定する。
続いて、EPMA(WDS)の測定条件を決定する(ステップS750)。この決定は、分析精度を高めるために実施される。この条件は、ステップS740で特定した第1の成分の検出において、X線の大量入射による数え落としが起こらないビーム電流量で、測定カウント数が1万カウント以上得られることが満たされるように決定される。
次に、ステップS740で特定した各元素を、ステップS750で決定した条件で定量分析し、各ポイントにおける鉄の含有率を求める(ステップS760)。具体的な条件は次の通りである。加速電圧は20kV、プローブ電流は2.5×10−8A、ビーム照射径は10μmで主ピークを10秒、バックグラウンドを高角側、低角側それぞれ5秒ずつ取り込む。正味の強度から各元素のCPS(Count Per Second)を得て、同条件で分析した比較試料(ASTIMEX社製標準試料)のCPSを用いてZAF法によって定量計算を実施する。この比較試料は、鉄の含有率が予め分析されている。ZAFとは、原子番号効果(Z effect)と、吸収効果(Absorption effect)と、蛍光励起効果(Fluorescence excitation effect)とに基づく頭字語である。この定量計算の際、含有率の合計が100%となるようにノーマライズ(規格化)する。
ステップS760では、図7に示すように最大ポイントM−inを中心として、ステップを10μmとした5×5のポイントを対象に実施すると共に、最大ポイントM−out(図示なし)を中心として、ステップを10μmとした5×5のポイントを対象に実施する。但し、25個(5×5)のポイントのうち、対象としている分析範囲外に位置するポイントについては、分析対象から除外する。例えば、内側範囲の分析における最大ポイントM−inが外側範囲との境界付近に位置する場合、25個のポイントの中でいくつかのポイントが外側範囲に含まれるときがある。このようなときは、外側範囲に含まれるポイントを、内側範囲としての分析対象から除外する。外側範囲を対象とした分析の場合も同様である。
最後に、内側範囲と外側範囲とのそれぞれについて、鉄の最大含有率を特定する(ステップS770)。具体的には、最大ポイントM−inを中心とした5×5のポイントが呈する鉄の含有率のうち最大の値を、内側範囲における鉄の最大含有率(以下「鉄の内側最大含有率」という)として特定する。そして、最大ポイントM−outを中心とした5×5のポイントが呈する鉄の含有率のうち最大の値を、外側範囲における鉄の最大含有率(以下「鉄の外側最大含有率」という)として特定する。
図8は、鉄の内側最大含有率と、酸化消耗と、クラックの有無との関係を調べた実験結果をテーブルによって示す。No.2〜6の鉄の内側最大含有率(20質量%〜60質量%)は、先述した溶接における調整で実現した。
No.1の鉄の内側最大含有率(10質量%)は、シース管810の鉄の含有率(15.1質量%)よりも低い値なので、先述した調整では実現が難しい。そこで、鉄の含有率が10%未満の材質によってシース管810を形成することで、鉄の内側最大含有率が10質量%になるように調整した。
No.7の鉄の内側最大含有率(70質量%)は、発熱コイル820の鉄の含有率(66.5質量%)よりも高い値なので、先述した調整では実現が難しい。そこで、鉄の含有率が70%を超える材質によって発熱コイル820を形成することで、鉄の内側最大含有率が70質量%になるように調整した。
上記の実験は、熱衝撃を繰り返し負荷する耐久実験である。ここでいう酸化消耗とは、熱衝撃を繰り返し負荷した場合に、表面811が剥落して、溶融部850が薄くなることである。ここでいうクラックとは、溶融部850と発熱コイル820との界面、又は、溶融部850とシース管810との界面において発生する亀裂のことである。
熱衝撃の負荷は、次のように実施した。グロープラグ10に対して、8000サイクルの加熱と冷却とを施した。加熱は、グロープラグ10の表面が1150℃になるように20秒間、実施した。冷却は、冷却開始から1秒後に149℃低下することを条件に、60秒間、実施した。なお、これら実験条件としての数値は、全て例示であり、再現実験の際には、どのように変更してもよい。例えば、冷却開始から1秒後に低下する温度は139〜159℃であってもよいし、加熱時におけるグロープラグ10の表面温度は1140〜1160℃であってもよい。
酸化消耗によって薄くなった分の厚みを消耗量xと表記すると、0mm<x≦0.1mmの場合を評価A、0.1mm<x≦0.15mmの場合を評価B、0.15mm<x≦0.2mmの場合を評価Cと評価した。
図8に示すように、No.2〜6は何れも、鉄の内側最大含有率が20質量%以上であった。また、No.2〜6においては何れも、鉄の内側最大含有率は、鉄の外側最大含有率よりも大きかった。つまり、No.2〜6においては何れも、鉄の内側最大含有率が、測定対象範囲における鉄の最大含有率である。酸化消耗は表面811から進行するため、鉄の含有率が高い部分が外側にあると、酸化消耗が進行した際に鉄の含有率が高い部分が外部に露出しやすくなり、さらに酸化消耗が進行しやすくなってしまう。よって、鉄の外側最大含有率が鉄の内側最大含有率よりも小さい方が、酸化消耗の抑制に有利である。
図8に示されるように、鉄の内側最大含有率が70質量%の場合は、酸化消耗が評価Cであったのに対し、鉄の内側最大含有率が60質量%以下の場合は、酸化消耗が評価B以上であった。よって、鉄の内側最大含有率は60質量%以下が好ましい。つまり、測定対象範囲における鉄の最大含有率は、60質量%以下が好ましい。さらに、鉄の内側最大含有率が20質量%以下の場合、酸化消耗が評価Aであった。よって、鉄の内側最大含有率は20質量%以下が好ましい。つまり、測定対象範囲における鉄の最大含有率は、20質量%以下が好ましい。
図8に示されるように、鉄の内側最大含有率が10質量%(No.1)と70質量%(No7)との場合はクラックが発生したのに対し、鉄の内側最大含有率が20質量%以上60質量%以下の場合(No.2〜6)はクラックが発生しなかった。よって、鉄の内側最大含有率は20質量%以上60質量%以下が好ましい。つまり、測定対象範囲における鉄の最大含有率は、20質量%以上60質量%以下が好ましい。
鉄の内側最大含有率が10質量%の場合、クラックの発生部位は、発熱コイル820との境界であった。これは、溶融部850と発熱コイル820との熱膨張係数の差が大きいからだと考えられる。両者の熱膨張係数の差が大きくなる理由は、鉄の内側最大含有率と、発熱コイル820における鉄の含有率との差が大きいこと、ひいては溶融部850と発熱コイル820との境界付近において、溶融部850と発熱コイル820とで鉄の含有率の差が大きいことだと考えられる。
鉄の内側最大含有率が70質量%の場合、クラックの発生部位は、シース管810との境界であった。これは、溶融部850とシース管810との熱膨張係数の差が大きいからだと考えられる。両者の熱膨張係数の差が大きくなる理由は、鉄の内側最大含有率と、シース管810における鉄の含有率との差が大きいこと、ひいては溶融部850とシース管810との境界付近において、溶融部850とシース管810とで鉄の含有率の差が大きいことだと考えられる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、以下のものが例示される。
図9は、他の実施形態として、シース管810と発熱コイル820aとの溶接前の形状を示す。発熱コイル820aは、実施形態における発熱コイル820を代替するものである。発熱コイル820aの先端は、図9に示されるように、軸線Oとほぼ平行に延びるように形成されている。
図10は、さらに他の実施形態として、シース管810と発熱コイル820bとの溶接前の形状を示す。発熱コイル820bは、実施形態における発熱コイル820を代替するものである。発熱コイル820bの先端は、図10に示されるように、軸線Oに対して傾いた方向に延びるように形成されている。この他、溶接前の発熱コイルの形状は、図3,図9,図10に示されたものとは異なる形状であってもよい。
鉄の外側最大含有率は、20質量%以上でもよい。鉄の外側最大含有率が20質量%以上の場合は、鉄の外側最大含有率が、鉄の内側最大含有率と同じでもよいし、鉄の内側最大含有率より高くてもよい。これらの場合においても、鉄の内側最大含有率と鉄の外側最大含有率とで高い方が、20質量%以上60質量%以下であれば、酸化消耗とクラックとの抑制に効果を発揮すると考えられる。
上記のように、鉄の外側最大含有率が20質量%以上であることを許容する場合は、成分分析において、内側範囲と外側範囲とを区別しなくてもよい。つまり、実施形態として説明したステップS730において、測定対象範囲において鉄の強度が最大の位置を1つだけ特定し、ステップS770において、鉄の最大含有率としての値を1つだけ特定してもよい。
測定対象とする断面は、発熱コイル先端部と溶融部との境界を含まなくてもよい。
シース管と溶融部との境界は、他の手法で決定してもよい。例えば、先述したように、鏡面仕上げした断面において、曲線としての境界を目視で決定してもよい。
10…グロープラグ
100…係合部材
200…中軸部材
210…中軸部材先端部
290…接続部
300…リング
410…絶縁部材
460…オーリング
500…主体金具
510…軸孔
520…工具係合部
540…雄ねじ部
600…パッキン
800…シースヒータ
810…シース管
811…表面
819…シース管後端部
820…発熱コイル
820a…発熱コイル
820b…発熱コイル
821…発熱コイル先端部
829…発熱コイル後端部
830…制御コイル
831…制御コイル先端部
839…制御コイル後端部
840…絶縁粉末
850…溶融部
O…軸線
M−out…外側範囲において鉄の含有率が最大であるポイント
M−in…内側範囲において鉄の含有率が最大であるポイント

Claims (2)

  1. 鉄基合金によって形成され、通電によって発熱する発熱体と、
    ニッケル基合金によって形成されており、前記発熱体の外周に配置され、軸線に沿って延びる筒状のシース管と、
    前記シース管と前記発熱体との溶接によって形成され、前記シース管の先端を閉塞する溶融部と
    を備えるグロープラグであって、
    前記軸線を含む断面において、前記溶融部のうち前記溶融部の表面から0.5mm以下の範囲を、加速電圧が20kV、プローブ電流が2.5×10−8A、ビーム照射径が10μm、測定間隔が10μmの条件でのEPMA(WDS:波長分散型X線分光法)による分析によって測定した測定点のうち、鉄の含有率が最も高い測定点における鉄の含有率が20質量%以上60質量%以下であること
    を特徴とするグロープラグ。
  2. 前記測定点のうち最も鉄の含有率が高い測定点は、前記溶融部の表面から0.03mm以上内側に位置すること
    を特徴とする請求項1に記載のグロープラグ。
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