JP7045161B2 - グロープラグ - Google Patents

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Description

本発明はグロープラグに関し、特に発熱温度を高温化できるグロープラグに関するものである。
グロープラグは、圧縮着火方式によるディーゼルエンジン等の内燃機関の補助熱源として用いられる。グロープラグは、内燃機関の規制の厳格化に伴い、発熱温度の高温化が求められている。特許文献1には、Wを主成分とする耐熱性に優れる発熱コイルと、発熱コイルが内側に配置されると共に発熱コイルの先端が接続された金属製のチューブと、を備え、チューブ内に絶縁粉末が封入されたグロープラグが開示されている。このようなグロープラグは、製造工程において、絶縁粉末が封入されたチューブにスウェージング加工を施してチューブを絞り、絶縁粉末の充填のばらつきを少なくする。
特開2017-83158号公報
しかし、上記従来の技術では、スウェージング加工のときに、Wを主成分とする硬い発熱コイルが、絶縁粉末の圧力で損傷を受けないようにするため、絞り比(加工前のチューブの側面の直径/加工後のチューブの側面の直径)をあまり大きくできない。そのため、スウェージングで絞られるチューブの側面と、ほとんど絞られないチューブの先端と、の境界付近に段差ができやすい。このような段差には応力集中が生じ易く、熱膨張収縮による疲労などによって境界付近に亀裂が生じる可能性がある。そして、チューブに生じた亀裂を起点に酸化消耗が局所的に進行し、チューブに貫通孔が形成されると、チューブ内に配置された発熱コイルの酸化が進行する。そうすると、発熱コイルの断面積が減少して抵抗値が上昇し、過熱によって発熱コイルが断線するおそれがある。従って、チューブの局所的な消耗を防ぐ技術が望まれている。
本発明は上記の要求に応えるためになされたものであり、チューブの局所的な消耗を防いで発熱コイルの耐久性を向上できるグロープラグを提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明のグロープラグは、軸線に沿って延び先端が閉じた金属製のチューブと、チューブの内側に配置され、Wを主成分とし、自身の先端がチューブに接続される発熱コイルと、チューブ内に封入された絶縁粉末と、を備えている。チューブは、筒状の母材部と、母材部の先端側に形成され発熱コイルの先端が埋め込まれて溶接により溶融されてなる溶融部と、を備え、チューブの外表面は、母材部と溶融部との境界が、凹みの深さが最大となるように境界へ近づくにつれて凹む。軸線を含む断面において、チューブの外表面と境界との交点を通る母材部の外表面の接線と、チューブの外表面と境界との交点を通る溶融部の外表面の接線と、のなす角は146°以上である。
請求項1記載のグロープラグによれば、チューブは、筒状の母材部の先端側に、発熱コイルの先端が埋め込まれて溶接により溶融されてなる溶融部が形成される。このようなグロープラグでは、チューブの外表面は、母材部と溶融部との境界が最大となるように、境界へ近づくにつれて凹むことになる。そこで、軸線を含む断面において、チューブの外表面と境界との交点を通る母材部の外表面の接線と、チューブの外表面と境界との交点を通る溶融部の外表面の接線と、のなす角を146°以上とすることで、母材部と溶融部との境界に生じる応力集中を緩和できる。その結果、母材部と溶融部との境界に亀裂を生じ難くできるので、チューブの局所的な酸化消耗を防ぐことができる。よって、発熱コイルの耐久性を向上できる。
請求項2記載のグロープラグによれば、チューブの外表面は、少なくとも母材部と溶融部との境界にシリコン酸化膜が形成されている。上記のとおり、母材部と溶融部との境界に生じる応力集中は緩和されるので、境界に形成された緻密で安定なシリコン酸化膜が破壊され難くできる。その結果、請求項1の効果に加え、シリコン酸化膜によって母材部と溶融部との境界の酸化消耗を抑制できる。
グロープラグの片側断面図である。 一部を拡大したグロープラグの断面図である。 チューブの先端付近の断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるグロープラグ10の軸線Oを境にした片側断面図であり、図2は一部を拡大したグロープラグ10の断面図である。図1及び図2では、軸線Oに沿って延びる中軸20及び発熱コイル60等は側面図が示されている。図1及び図2では、紙面下側をグロープラグ10の先端側、紙面上側をグロープラグ10の後端側という。
図1に示すようにグロープラグ10は中軸20、主体金具30、チューブ40及び発熱コイル60を備えている。これらの部材はグロープラグ10の軸線Oに沿って組み付けられている。グロープラグ10は、ディーゼルエンジンを始めとする内燃機関(図示せず)の始動時などに用いられる補助熱源である。
中軸20は円柱形状の金属製の導体であり、発熱コイル60に電力を供給するための部材である。中軸20は先端に発熱コイル60が電気的に接続されている。中軸20は、後端が主体金具30から突出した状態で主体金具30に挿入されている。
中軸20は、本実施の形態では、後端に雄ねじからなる接続部21が形成されている。中軸20は、後端に、先端側から順に絶縁ゴム製のOリング22、合成樹脂製の筒状部材である絶縁体23、金属製の筒状部材であるリング24、金属製のナット25が組み付けられている。接続部21は、バッテリ等の電源から電力を供給するケーブルのコネクタ(図示せず)が接続される部位である。ナット25は、接続されたコネクタ(図示せず)を固定するための部材である。
主体金具30は炭素鋼等により形成される略円筒形状の部材である。主体金具30は、軸線Oに沿って軸孔31が貫通し、外周面にねじ部32が形成されている。主体金具30は、ねじ部32より後端側に工具係合部33が形成されている。軸孔31は中軸20が挿入される貫通孔である。軸孔31の内径は中軸20の外径より大きいので、中軸20と軸孔31との間に空隙が形成される。ねじ部32は、内燃機関(図示せず)に嵌まり合う雄ねじである。工具係合部33は、ねじ部32を内燃機関のねじ穴(図示せず)に嵌めたり外したりするときに用いる工具(図示せず)が関わり合う形状(例えば六角形)をなす部位である。
主体金具30は、軸孔31の後端側において、Oリング22及び絶縁体23を介して中軸20を保持する。絶縁体23にリング24が接した状態で中軸20にリング24が加締められることで、絶縁体23は軸方向の位置が固定される。絶縁体23によって主体金具30の後端側とリング24とが絶縁される。主体金具30は、軸孔31の先端側にチューブ40が固定されている。
チューブ40は先端41が閉じた金属製の筒状体である。チューブ40の後端側が主体金具30の軸孔31に圧入されることで、チューブ40は主体金具30に固定される。チューブ40は、筒状の母材部42と、母材部42の先端側に形成された溶融部46と、を備えている。母材部42の材料は、例えばニッケル基合金、ステンレス鋼などの耐熱合金が挙げられる。
本実施形態では、母材部42は、50wt%以上のNi、18~30wt%のCr、1wt%以下のAlを含有するニッケル基合金で作られている。このニッケル基合金は、さらにY及びZrから選ばれる少なくとも1種の成分を含んでいる。Y及びZrから選ばれる成分(合計量)の合金に対する含有量は0.01~0.3wt%である。これにより、製造時の加工性を確保しつつ母材部42の耐酸化性を向上できる。母材部42は、さらにSiを含んでいる。Siの合金に対する含有量は0.2~1.5wt%である。これにより、母材部42の外表面に安定な酸化皮膜が形成されるので、母材部42の耐酸化性をさらに向上できる。
母材部42は、先端側から順に、第1部43、第2部44及び第3部45が連接されている。第1部43及び第3部45は、それぞれ先端から後端に亘って外径が同一に設定されている。第1部43の外径は第3部45の外径よりも小さい。第2部44は、第1部43と第3部45とを連絡する部分であり、外周面がテーパ状に形成されている。
チューブ40の第3部45に中軸20の先端側が挿入されている。第3部45の内径は中軸20の外径より大きいので、中軸20と第3部45との間に空隙が形成される。シール材26は、中軸20の先端側と第3部45との間に挟まれた円筒形状の絶縁部材である。シール材26は中軸20とチューブ40との間隔を維持し、中軸20とチューブ40との間を密閉する。発熱コイル60は軸線Oに沿ってチューブ40に収容されている。絶縁粉末70はチューブ40内に封入されている。
図2に示すようにチューブ40は、母材部42の先端側が溶融部46によって閉鎖されている。溶融部46は、母材部42の先端側に溶接を施した際に、溶接中に溶融して凝固した部分である。発熱コイル60の先端61は、溶融部46が凝固するときに、溶融部46に埋め込まれる。チューブ40の外表面48は、母材部42と溶融部46との境界47に近づくにつれて凹む。チューブ40の外表面48の凹み47a(図3参照)の深さは、境界47が最大となる。母材部42にSiが含まれているので、チューブ40の外表面48は、母材部42、溶融部46及び境界47にシリコン酸化膜49が形成される。
なお、チューブ40の母材部42と溶融部46との境界47は、母材部42の金属組織と溶融部46の金属組織との違いによって表出するものである。具体的には、溶融部46には、柱状晶(デンドライト)の金属組織が含まれている一方、母材部42には、溶融部46の金属組織とは異なる、例えば繊維状組織、鍛造組織等が含まれている。なお、柱状晶、繊維状組織、鍛造組織であるか否かの判断は、切断面をしゅう酸溶液中で電解エッチングする(JIS G0571:2003)等の処理をした後、エッチング面を観察する公知の金属組織観察により行うことができる。
発熱コイル60は、Wを主成分とする線材によって形成されている。Wを主成分とは、発熱コイル60を形成する線材の質量に対するWの含有量が50wt%以上であることをいう。本実施の形態では、発熱コイル60は、後端側に比べて先端側の発熱量を増やすため、先端側のピッチが後端側のピッチに比べて小さくされる。発熱コイル60は、先端61が溶融部46に埋め込まれてチューブ40に接続され、後端が溶接によって後端コイル62に接続されている。発熱コイル60と後端コイル62との間に、溶接で溶けて溶接金属が固まった接合部63が形成されている。
後端コイル62は接合部63を介して発熱コイル60と直列に接続される部材である。後端コイル62は、発熱コイル60の抵抗比R1より小さい抵抗比R2をもつ導電材料で形成されている。発熱コイル60及び後端コイル62は、後端コイル62の20℃における抵抗値Rが、発熱コイル60の20℃における抵抗値Rよりも大きい値に設定されている。発熱コイル60の抵抗比R1とは、発熱コイル60の20℃での抵抗値に対する1000℃での抵抗値の比であり、後端コイル62の抵抗比R2とは、後端コイル62の20℃での抵抗値に対する1000℃での抵抗値の比である。
後端コイル62の材料としては、例えばFeCrAl合金、NiCr合金などが挙げられる。後端コイル62は軸線Oに沿ってチューブ40(第1部43から第3部45)に収容されており、後端が溶接により中軸20の先端に接合されている。中軸20は後端コイル62及び発熱コイル60を介してチューブ40と電気的に接続されている。
絶縁粉末70は電気絶縁性を有し、且つ、高温下で熱伝導性を有する粉末である。絶縁粉末70は、発熱コイル60及び後端コイル62とチューブ40との間、中軸20とチューブ40との間、発熱コイル60及び後端コイル62の内側に充填される。絶縁粉末70は、発熱コイル60からチューブ40へ熱を移動させる機能、発熱コイル60及び後端コイル62とチューブ40との短絡を防ぐ機能、発熱コイル60及び後端コイル62を振動し難くして断線を防ぐ機能がある。絶縁粉末70としては、例えばMgO、Al等の酸化物粉末が挙げられる。MgO、Al等の酸化物粉末に加え、CaO,ZrO及びSiO,Si等の粉末を添加できる。
グロープラグ10は、例えば、次のようにして製造される。まず、所定の組成を有する抵抗発熱線をコイル状に加工し、発熱コイル60及び後端コイル62をそれぞれ製造する。次に、発熱コイル60と後端コイル62との端部同士を溶接して接合部63を設け、後端コイル62を中軸20の先端に接合する。一方、所定の組成を有する金属鋼管(素管)をチューブ40の最終寸法よりも大径に形成し、かつ、その先端を他の部分よりも減径させて、先端が開口した先窄まり状のチューブ前駆体を製造する。
次いで、チューブ前駆体の内部に中軸20と一体となった発熱コイル60及び後端コイル62を挿入し、チューブ前駆体の先窄まり状の開口部の内側に発熱コイル60の先端を配置する。チューブ前駆体の開口部を溶融し、チューブ前駆体の先端部分を閉鎖する溶融部46を形成しつつ、発熱コイル60の先端61を溶融部46に埋め込む。これにより、チューブ40(素管)の内部に発熱コイル60及び後端コイル62が収容されたヒータ前駆体を形成する。
次に、ヒータ前駆体のチューブ40内に絶縁粉末70を充填した後、チューブ40の後端の開口部と中軸20との間にシール材26を挿入して、チューブ40を封止する。次いで、チューブ40が所定の外径になるまでチューブ40にスウェージング加工を施す。チューブ40(素管)にスウェージング加工を施してチューブ40を絞ることにより、絶縁粉末70の充填密度を上げつつ充填のばらつきを少なくできる。これにより、絶縁粉末70を介して発熱コイル60からチューブ40への熱伝導性を向上できる。
次に、スウェージング加工後のチューブ40を主体金具30の軸孔31に圧入固定し、中軸20の後端から主体金具30と中軸20との間にOリング22及び絶縁体23を嵌め込む。リング24で中軸20を加締めてグロープラグ10を得る。
グロープラグ10は、接続部21と主体金具30との間に電圧Vが印加されると、発熱コイル60の抵抗値R及び後端コイル62の抵抗値Rの和R+Rで電圧Vを除した電流Iが、発熱コイル60及び後端コイル62に流れる。単位時間当たりの発熱コイル60の発熱量はR・Iであり、単位時間当たりの後端コイル62の発熱量はR・Iである。
発熱コイル60及び後端コイル62は、後端コイル62の20℃における抵抗値Rが、発熱コイル60の20℃における抵抗値Rよりも大きい値に設定されているので、常温において発熱コイル60に流れる電流I(突入電流)を確保し、発熱コイル60を発熱させることができる。後端コイル62は発熱コイル60の抵抗比R1よりも小さい抵抗比R2をもつので、発熱コイル60の発熱による温度上昇に伴い、発熱コイル60の抵抗値Rが後端コイル62の抵抗値Rよりも大きくなる。その結果、発熱コイル60の単位時間当たりの発熱量R・Iを、後端コイル62の単位時間当たりの発熱量R・Iより大きくできる。発熱コイル60はWを主成分とする高融点金属により形成されているので、発熱コイル60の発熱温度を高温化できる。
図3はチューブ40の先端41付近の軸線Oを含む断面図である。上述のようにチューブ40は、発熱コイル60を収容し絶縁粉末70が封入された状態で、スウェージング加工によって絞られる。その結果、スウェージング加工により母材部42は径方向の外側から押圧され、母材部42が縮径する。そうすると、絶縁粉末70に囲まれた発熱コイル60は径方向に圧縮されるので、発熱コイル60のコイル平均径は縮小する。
しかし、発熱コイル60の体積は一定なので、発熱コイル60のコイル平均径が縮小する分だけ発熱コイル60の線材の直径は拡大する。絞り比(加工前の母材部42の直径/加工後の母材部42の直径)が過大になって発熱コイル60に加わる圧力が大きくなり過ぎると、Wを主成分とする発熱コイル60は展延性が乏しいので、直径が拡大した線材が縮れて(損傷を受けて)破断し易くなる。スウェージング加工のときに発熱コイル60が損傷を受けないようにするため、絞り比はあまり大きくできないので、母材部42の直径よりも直径の小さい溶融部46は縮径され難い。その結果、チューブ40の外表面48(図2参照)のうち母材部42と溶融部46との境界47は塑性変形が与えられずに、凹み47aが形成される。
ここで、凹み47aには熱膨張収縮による応力集中が生じ易く、熱膨張収縮による疲労などによって境界47付近に亀裂が生じる可能性がある。チューブ40に生じた亀裂を起点に酸化消耗が局所的に進行し、チューブ40に貫通孔が形成されると、発熱コイル60の酸化が進行する。そうすると、発熱コイル60の断面積が減少して抵抗値が上昇し、過熱によって発熱コイル60が断線するおそれがある。
また、チューブ40の表面に形成されたシリコン酸化膜49(図2参照)は境界47にも存在する。安定なシリコン酸化膜49は、チューブ40の酸化消耗を抑制する。しかし、熱膨張収縮による応力集中が凹み47aに生じると、境界47を覆うシリコン酸化膜49が破壊され易い。破壊されたシリコン酸化膜49が剥がれると、剥がれた部分の酸化消耗が局所的に進行する。シリコン酸化膜49の形成・剥離が繰り返され、酸化消耗が局所的に進行すると、最終的に貫通孔が形成され発熱コイル60の断線に至る。
チューブ40の局所的な酸化消耗を防ぎ、発熱コイル60の耐久性を高めるため、グロープラグ10は、軸線Oを含む断面(図3参照)において、チューブ40の外表面48(図2参照)と境界47との交点52を通る母材部42の外表面51の接線54と、交点52を通る溶融部46の外表面50の接線53と、のなす角θが146°以上に設定されている。これにより、母材部42と溶融部46との境界47に生じる応力集中を緩和し、境界47に亀裂を生じ難くできる。よって、チューブ40の局所的な酸化消耗を防ぎ、発熱コイル60の耐久性を向上できる。
さらに、境界47に形成された緻密で安定なシリコン酸化膜49(図2参照)が破壊され難くできるので、シリコン酸化膜49によって境界47の酸化消耗を抑制できる。従って、シリコン酸化膜49が外表面48(図2参照)に形成されるチューブ40をもつグロープラグ10に好適である。
次に接線53,54の求め方について説明する。接線53,54を求めるには、初めに、軸線Oを含む平面でチューブ40を切断した研磨面を顕微鏡で観察した画像、又は、X線非破壊検査装置(透視装置)によって軸線Oと垂直な方向に透視した画像を取得する。
次いで、画像解析ソフトを用いて、チューブ40(溶融部46)の先端41に軸線Oが交わる点55をとり、交点52と点55とを結ぶ線分56を引く。次に、線分56の中点57を通り軸線Oに垂直な直線と溶融部46の外表面50との交点58をとる。交点52から交点58まで外表面50(曲線)を21等分して20個の点(以下「A群」と称す)をとる。同様に、母材部42の外表面51の変曲点59をとり、交点52から変曲点59まで外表面51(曲線)を21等分して20個の点(以下「B群」と称す)をとる。
A群およびB群の40個の点、交点52,58及び変曲点59を合わせた43点のうち任意の点を原点として、全ての点を平面上の直交座標系にプロットする。次いで、A群および交点52,58の多項式近似によって、外表面50に近似する多項式の1変数関数f(x)を求める。関数f(x)を微分して導関数を求め、これに交点52のX座標を代入して接線53の傾きaを求める。交点52の座標を接線53が通ることを利用して切片bを求めると、交点52を通る関数f(x)の接線53の方程式y=ax+bが得られる。
同様に、B群、交点52及び変曲点59の多項式近似によって、外表面51に近似する多項式の1変数関数g(x)を求める。関数g(x)を微分して導関数を求め、これに交点52のX座標を代入して接線54の傾きcを求める。交点52の座標を接線54が通ることを利用して切片dを求めると、交点52を通る関数g(x)の接線54の方程式y=cx+dが得られる。このようにして接線53,54が特定されるので、接線53,54のなす角θが求められる。
ここで、発熱コイル60は先端側のピッチが後端側のピッチに比べて小さいので、発熱コイル60の先端側の発熱量を発熱コイル60の後端側の発熱量よりも大きくできる。従って、発熱コイル60の先端側を囲む母材部42の一部(境界47付近)を急速に昇温できる。また、チューブ40は第1部43の外径が第3部45の外径よりも小さいので、チューブ40の全体が第3部45の外径と同一径の場合に比べて、チューブ40の先端41付近(第1部43及び溶融部46)の熱容量を小さくできる。よって、急速昇温性を確保し易くできる。
一方、急速昇温性が確保されることにより、チューブ40の熱膨張収縮による凹み47aへの応力集中が大きくなるが、接線53,54のなす角θが146°以上に設定されるので、凹み47aへの応力集中を緩和できる。よって、急速昇温性を確保しつつ、チューブ40の局所的な酸化消耗を抑制できる。
さらに、第1部43よりも外径の大きいチューブ40の第3部45が主体金具30に圧入されるので、主体金具30の内径を第1部43の外径に応じて小さくしなくても良い。また、中軸20の先端は第3部45に挿入されるので、中軸20の直径を第3部45の内径に応じて小さくしなくても良い。即ち、中軸20の外径や主体金具30の内径を第1部43の外径と無関係に設定できるので、中軸20や主体金具30の設計の自由度を確保できる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<サンプルの作成>
W及び不可避不純物からなる線径Φ0.20mmの発熱コイル60、及び、NiCr合金で作られた線径Φ0.38mmの後端コイル62を準備した。溶接により後端コイル62を発熱コイル60に接合して、後端コイル62及び発熱コイル60が直列に接続されたコイルを作成した。コイルは、4端子法で測定した20℃における抵抗値が0.33Ωになるように線長を調整した。
このコイルをチューブ前駆体(図示せず)に溶接して溶融部46を形成した後、スウェージング加工を施し、図1に示すグロープラグ10と同様の構造を有するグロープラグを前述のとおりに製造した。コイルをチューブ前駆体に溶接する条件を変えて、スウェージング加工後の接線53,54のなす角θの異なるサンプル1~4におけるグロープラグを得た。なお、チューブ40の母材部42(チューブ前駆体)は、化学成分がCr:23wt%,Fe:10wt%,Al:0.5wt%,Si:0.2wt%,Y:0.1wt%,Ni:Bal.からなり、不可避不純物を含むニッケル基合金であった。
<接線のなす角>
サンプル1~4について、まず、X線非破壊検査装置(透視装置)を用いて接線53,54のなす角θ1~θ4を求め、次に、同じサンプルを使って耐久性を評価する試験を行った。各サンプルは、X線非破壊検査装置を用いて、軸線Oに垂直な任意の第1方向、及び、第1方向に垂直な第2方向から透視した。サンプルを第1方向から透視すると、凹み47aは軸線Oの両側の2か所に現出する。同様に、サンプルを第2方向から透視すると、凹み47aは軸線Oの両側の2か所に現出する。
第1方向から透視したときに現れる2か所の凹み47aの接線53,54のなす角(°)をθ1,θ2とし、第2方向から透視したときに現れる2か所の凹み47aの接線53,54のなす角(°)をθ3,θ4とした。即ち、1つのサンプルについて、軸線O回りに等間隔で離間する4か所の接線53,54のなす角θ1~θ4を測定した。なお、接線53,54は上述の方法に従って求めた。
<耐久性の評価>
各サンプルのチューブ40の先端41から軸線O方向に2mm離れたチューブ40の外表面48の位置にPR熱電対を接合し、チューブ40の温度を測定した。なお、PR熱電対の代わりに放射温度計を用いても良い。
電圧を印加してから2秒後のチューブ40の温度(先端41から軸線O方向に2mm離れた位置の温度)が1000℃になるように、各サンプルの接続部21と主体金具30との間に直流電圧を印加した後、チューブ40の温度が1100℃で飽和するように定格電圧を印加した。定格電圧を180秒間印加した後、電圧印加を止め、チューブ40の溶融部46付近を120秒間空冷して、チューブ40の温度を常温に戻した。試験は、これを1サイクルとして複数サイクルを繰り返した。
評価は、試験開始から500時間(約6000サイクル)より前に発熱コイル60が断線して通電できなくなったものを「Bad」、試験開始から500時間経過しても発熱コイル60が断線しなかったものを「Good」とした。評価は表1に記した。
Figure 0007045161000001
表1に示すように、接線53,54のなす角を測定した4か所のうち1か所が146°未満(θ1=145°)であったサンプル1は、評価が「Bad」であった。一方、測定した4か所の接線53,54のなす角が146°以上であったサンプル2~4は、評価が「Good」であった。この実施例によれば、接線53,54のなす角が146°以上になるように、母材部42と溶融部46との境界47に形成される凹み47aの形状を設定することにより、発熱コイル60の耐久性を向上できることが明らかになった。
以上、実施の形態および実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、チューブ40の形状は筒状である限り特に限定されず、軸線Oに直交する断面が円形状、楕円形状、多角形状等であってもよい。また、発熱コイル60の線径や直径、チューブ40の厚さや直径は、発熱コイル60やチューブ40の熱容量などを考慮して適宜設定できる。
実施の形態では、主体金具30に圧入されるチューブ40の第3部45の外径が、チューブ40の溶融部46に隣接する第1部43の外径よりも大きい場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。溶融部46及び境界47付近を除き、チューブ40の全体を同一の外径にすることは当然可能である。
実施の形態では、Wを主成分とする発熱コイル60に、FeCrAl合金、NiCr合金などで形成された後端コイル62が接続される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。後端コイル62の材質は、これに限られるものではなく適宜設定できる。また、後端コイル62を省略して、Wを主成分とする発熱コイル60だけをチューブ40の内部に配置することは当然可能である。
10 グロープラグ
40 チューブ
41 チューブの先端
42 母材部
46 溶融部
47 境界
48 チューブの外表面
49 シリコン酸化膜
50 溶融部の外表面
51 母材部の外表面
52 交点
53,54 接線
60 発熱コイル
61 発熱コイルの先端
70 絶縁粉末
O 軸線
θ 接線のなす角

Claims (2)

  1. 軸線に沿って延び先端が閉じた金属製のチューブと、
    前記チューブの内側に配置され、Wを主成分とし、自身の先端が前記チューブに接続される発熱コイルと、
    前記チューブ内に封入された絶縁粉末と、を備えるグロープラグであって、
    前記チューブは、筒状の母材部と、前記母材部の先端側に形成され前記発熱コイルの前記先端が埋め込まれて溶接により溶融されてなる溶融部と、を備え、
    前記チューブの外表面は、前記母材部と前記溶融部との境界が、凹みの深さが最大となるように前記境界へ近づくにつれて凹み、
    前記軸線を含む断面において、前記外表面と前記境界との交点を通る前記母材部の外表面の接線と前記交点を通る前記溶融部の外表面の接線とのなす角は146°以上であるグロープラグ。
  2. 前記チューブの前記外表面は、少なくとも前記母材部と前記溶融部との前記境界にシリコン酸化膜が形成されている請求項1記載のグロープラグ。
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