JP2016003817A - グロープラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱コイルの損傷を抑え、グロープラグの耐久性を向上させる。
【解決手段】グロープラグ(10)は、シースチューブ(810)と発熱コイル(820)とを備えるヒータ素子(800)を有し、シースチューブ(810)における縮径部(865)の先端と発熱コイルの先端とが溶接されている。シースチューブ(810)のストレート部(860)の外径は、4.3mm以下である。シースチューブ(810)の外表面では、シースチューブ(810)と発熱コイル(820)とが溶融して形成された溶融部(850)の外周全体が、縮径部(865)に含まれる。溶融部(850)および発熱コイル(820)を、軸線方向に垂直な仮想平面に対して軸線方向に投影したときに、溶融部(850)が投影された領域に、発熱コイル(820)の投影像の全体が存在する。
【選択図】図3

Description

本発明は、グロープラグに関するものである。
グロープラグが備えるヒータとして、先端部が閉塞した円筒状のシースチューブと、シースチューブ内に配置されて通電により発熱する発熱コイルと、を備えるヒータ素子が知られている。ヒータ素子では、一般に、発熱コイルの先端部が、シースチューブの内表面の先端部に溶接されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−330249号公報
グロープラグでは、高い耐久性が要求される。グロープラグにおいて、例えば経時的な劣化が進行して発熱コイルが損傷すると、発熱コイルの断線が引き起こされる可能性がある。このような発熱コイルの損傷の原因としては、発熱コイルの特定部位が局所的に他の部位よりも高温になることで、当該特定部位が熱により損傷することが考えられる。また、発熱コイルの先端部において、シースチューブの内表面との間の溶接強度が不十分であれば、発熱コイルの先端部が損傷し易くなると考えられる。特に、シースチューブの外径が4.3mm以下の比較的小径のグロープラグにおいて、発熱コイルの損傷が発生しやすい傾向があった。したがって、発熱コイルの損傷を抑え、グロープラグの耐久性を向上させることが望まれていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、自身の外径が軸線方向にわたって一定である筒状に形成されたストレート部と、該ストレート部よりも前記軸線方向の先端側に該ストレート部に連続して形成されると共に、自身の外径が前記軸線方向の先端側に向かって縮径しつつ閉じた先端を有する縮径部と、を有するシースチューブと、該シースチューブ内に収納される螺旋状の発熱コイルと、を備えるヒータ素子を有するグロープラグであって、前記シースチューブにおける前記縮径部の前記先端と前記発熱コイルの先端とが溶接されているグロープラグが提供される。このグロープラグは、前記シースチューブの前記ストレート部の外径が4.3mm以下であり、前記シースチューブの外表面では、前記シースチューブと前記発熱コイルとが溶融して形成された溶融部の外周全体が、前記縮径部に含まれ;前記溶融部および前記発熱コイルを、前記軸線方向に垂直な仮想平面に対して前記軸線方向に投影したときに、前記溶融部が投影された領域に、前記発熱コイルの投影像の全体が存在する。
この形態のグロープラグによれば、シースチューブの内表面と発熱コイルとの接合強度を確保しつつ、ヒータ素子の先端が過度に昇温することを抑制し、グロープラグの耐久性を向上させることができる。
(2)上記形態のグロープラグにおいて、前記発熱コイルの先端から一巻きまでの部分における後端よりも先端側に、前記溶融部全体が存在することとしてもよい。この形態のグロープラグによれば、発熱コイルの先端近傍における局所的な過熱を抑える効果を高めることができる。
(3)上記形態のグロープラグでは、前記シースチューブにおける前記軸線方向の中心線を含む任意の断面において、前記シースチューブの外表線における前記溶融部の外周の位置は、前記シースチューブの内表線における前記溶融部の外周の位置よりも、前記中心線から離間していることとしてもよい。この形態のグロープラグによれば、グロープラグの組み付け工程において、ヒータ素子の損傷を抑えることができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、グロープラグの製造方法、グロープラグ用ヒータ素子、およびヒータ素子の製造方法などの形態で実現することが可能である。
グロープラグを示す説明図である。 ヒータ素子の詳細な構成を示す説明図である。 ヒータ素子の先端部の構造を拡大して示す説明図である。 グロープラグの製造方法を示す工程図である。 ヒータ素子の概略構成を表わす断面図である。 ヒータ素子の概略構成を表わす断面図である。 ヒータ素子の先端部の構造を拡大して示す説明図である。 各サンプルにおける距離D2と評価結果とをまとめて示す説明図である。 各サンプルにおける距離D2と評価結果とをまとめて示す説明図である。
A.第1の実施形態:
(A−1)グロープラグの全体構成:
図1は、本発明の第1の実施形態としてのグロープラグ10を示す説明図である。本実施形態のグロープラグ10は、ディーゼルエンジンを始めとする内燃機関の始動時等における着火を補助する熱源として機能する。図1に示すように、グロープラグ10は、主な構成要素として、通電によって発熱するヒータ素子800と、主体金具500と、中軸200と、を備える。図1では、グロープラグ10の軸線Oから紙面右側に外観構成を図示し、軸線Oから紙面左側に断面構成を図示した。なお、本明細書では、グロープラグ10において軸線Oに沿ってヒータ素子800側を「先端側」と呼び、中軸200側を「後端側」と呼ぶ。
主体金具500は、炭素鋼を筒状に成形した部材である。主体金具500は、先端側の端部においてヒータ素子800を保持する。主体金具500は、後端側の端部において絶縁部材410とオーリング460とを介して中軸200を保持する。絶縁部材410は、絶縁部材410の後端に接するリング300が中軸200に加締められることで、軸線O方向の位置が固定される。この絶縁部材410によって、主体金具500と中軸200との間が電気的に絶縁される。主体金具500は、絶縁部材410からヒータ素子800に至る中軸200の部位を内包する。主体金具500は、工具係合部520と、雄ネジ部540とを備え、内部に軸孔510が形成されている。
軸孔510は、軸線Oに沿って形成された貫通孔であり、中軸200の外径よりも大きな内径を有する。軸孔510に中軸200が位置決めされた状態で、軸孔510と中軸200との間には、両者を電気的に絶縁する空隙が形成される。軸孔510の先端側には、ヒータ素子800が圧入されて接合されている。雄ネジ部540は、内燃機関(図示しない)に形成された雌ネジに嵌り合う。工具係合部520は、グロープラグ10の取り付けと取り外しとに用いられる工具(図示しない)に係合する。
中軸200は、導電材料を円柱状に成形した部材である。中軸200は、主体金具500の軸孔510に挿入された状態で軸線Oに沿って組み付けられる。中軸200は、先端側に形成された中軸先端部210と、後端側に設けられた接続部290とを備える。中軸先端部210は、ヒータ素子800の内部に挿入される。接続部290は、主体金具500から突出している。接続部290には、係合部材100が嵌り合う。
(A−2)ヒータ素子の構成:
図2は、ヒータ素子800の詳細な構成を示す説明図である。ヒータ素子800は、シースチューブ810と、発熱体としての発熱コイル820と、制御コイル830と、絶縁粉末840とを備える。図2では、シースチューブ810は断面を示し、発熱コイル820および制御コイル830は外観を示している。
シースチューブ810は、軸線O方向に延び、先端が閉塞した筒状部材であり、例えばステンレス鋼により形成される。シースチューブ810の内部には、発熱コイル820と、制御コイル830と、絶縁粉末840とが配置されている。シースチューブ810は、シース管先端部811とシース管後端部819とを備える。シース管先端部811は、シースチューブ810の先端側において、先端側に向かって次第に縮径しつつ外側に向けて丸く形成された部分の端部である。シース管後端部819は、シースチューブ810の後端側において開口した端部である。シース管後端部819からシースチューブ810の内部に中軸200の先端側が挿入されている。シースチューブ810は、パッキン600と絶縁粉末840とによって、中軸200から電気的に絶縁される。パッキン600は、中軸200とシースチューブ810との間に挟まれた絶縁部材である。シースチューブ810は、主体金具500と電気的に接続されている。シースチューブ810は、横断面(軸線Oに垂直な断面)における外径が軸線O方向にわたって一定であるストレート部860と、ストレート部860よりも先端側に、ストレート部860に連続して次第に縮径するように形成されて、シース管先端部811を含む縮径部865と、を備える。
発熱コイル820は、導電性材料で形成された螺旋状のコイルである。発熱コイル820は、シースチューブ810の内側に軸線O方向に沿って配置され、通電によって発熱する。発熱コイル820は、先端側の端部である発熱コイル先端部821と、後端側の端部である発熱コイル後端部829とを備える。発熱コイル820の先端部分がシースチューブ810に溶接されることにより、シースチューブ810の先端付近には溶融部850が形成され、発熱コイル820はシースチューブ810と電気的に接続される。発熱コイル先端部821は、発熱コイル820と溶融部850との境界に相当する。
制御コイル830は、発熱コイル820の後端側に配置され、発熱コイル820を形成する材料よりも電気比抵抗の温度係数が大きい導電材料(例えば、コバルトやニッケルを主成分とする合金)で形成された螺旋状のコイルである。制御コイル830は、発熱コイル820に供給される電力を制御する。制御コイル830は、先端側の端部である制御コイル先端部831と、後端側の端部である制御コイル後端部839とを備える。制御コイル先端部831は、発熱コイル820の発熱コイル後端部829に溶接されることによって、発熱コイル820と電気的に接続される。制御コイル後端部839は、中軸200の中軸先端部210に接合されることによって中軸200と電気的に接続される。
絶縁粉末840は、電気絶縁性を有する粉末である。絶縁粉末840としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)の粉末が用いられる。絶縁粉末840は、シースチューブ810の内側に充填され、シースチューブ810と、発熱コイル820と、制御コイル830と、中軸200との各隙間を電気的に絶縁する。
(A−3)ヒータ素子の先端部の構成:
図3は、ヒータ素子800の先端部の構造を拡大して示す説明図である。図3(A)は、ヒータ素子800(シースチューブ810)における軸線O方向の中心線を含む断面を表わす断面図である。なお、本実施形態では、ヒータ素子800の中心線は、グロープラグ10の軸線Oに一致している。図3(B)は、ヒータ素子800を先端側から後端側に向かって軸線O方向に沿って見た様子を表わす下面図である。図3(B)に示すように、本実施形態では、下面図における溶融部850の形状は、略円形となっている。
既述したように、シースチューブ810は、ストレート部860と縮径部865とを備えている。図3(A)に示す断面では、シースチューブ810の外表面を表わす部分(以後、外表線と呼ぶ)において、ストレート部860と縮径部865との境界を、点Aで表わしている。また、図3(A)では、シースチューブ810の外表線上において、溶融部850の外周に対応する位置(シースチューブ810の母材部分と溶融部850との境界)を点Bで表わしている。さらに図3(A)では、シースチューブ810の内表面を表わす部分(以後、内表線と呼ぶ)において、溶融部850の外周に対応する位置(シースチューブ810の母材部分と溶融部850との境界)を、点Cで表わしている。なお、図3(A)では、溶融部850の外径をD1としている。
本実施形態のヒータ素子800では、シースチューブ810の外表面において、溶融部850の外周全体が、縮径部865に含まれている。したがって、図3(A)では、シースチューブ810の外表線上において、点Aよりも点Bの方が先端側に位置している。また、図3(B)の下面図では、溶融部850の外周全体が、シースチューブ810の外周よりも内側に存在している。ここで、図3(A)では、軸線O方向に対する点Aの位置を破線β1で示し、軸線O方向に対する点Bの位置を破線β2で示し、軸線O方向における点Aと点Bとの間の距離を、D2としている。
また、本実施形態のヒータ素子800では、溶融部850および発熱コイル820を、軸線O方向に垂直な仮想平面に対して軸線O方向に投影したときに、溶融部850が投影された領域に、発熱コイル820の投影像の全体が存在している。図3(A)では、発熱コイル820を軸線O方向に投影したときの発熱コイル820の外周に対応する位置を、破線α1で示している。また、図3(A)では、溶融部850を軸線O方向に投影したときの溶融部850の外周に対応する位置を、破線α3で示している。図3(B)においても同様に、発熱コイル820の外周に対応する位置を、破線α1で示している。図3(A)では、破線α1は破線α3よりも軸線O寄りに位置しており、図3(B)では、破線α1は溶融部850の外周よりも内側に位置している。なお、図3(A)の断面図において、破線α1の少なくとも一部が破線α3と重なる形状であってもよく、図3(B)の下面図において、破線α1の少なくとも一部が溶融部850の外周と重なる形状であってもよい。
また、本実施形態のヒータ素子800では、軸線O方向に対する位置関係を比較すると、「発熱コイル先端部821から一巻きまでの部分における後端」よりも先端側に、溶融部850全体が存在している。図3(A)では、「発熱コイル先端部821から一巻きまでの部分における後端」の、軸線O方向に対する位置を、破線β3で示している。図3(A)に示すように、溶融部850全体が、破線β3よりも先端側に存在する。
なお、発熱コイル先端部821から一巻きまでの部分とは、上記発熱コイル先端部821から後端側へと旋回しながら延びる発熱コイル820において、発熱コイル先端部821と軸線O方向に最初に重なる位置をいう。上記発熱コイル先端部821の位置、および、発熱コイル先端部821から一巻きまでの部分における後端の位置など、発熱コイル820の形状に係る情報は、例えば、ヒータ素子800をX線CT観察することにより、非破壊内部観察することにより知ることができる。
また、本実施形態のヒータ素子800では、シースチューブ810における軸線O方向の中心線を含む任意の断面において、シースチューブ810の外表線における溶融部850の外周の位置は、シースチューブの内表線における溶融部850の外周の位置よりも、中心線から離間している。図3(A)に示す破線α3は、既述したように、シースチューブ810の外表線における溶融部850の外周の位置である点Bを通過して、軸線Oに平行な破線である。また、図3(A)に示す破線α2は、シースチューブ810の内表線における溶融部850の外周の位置である点Cを通過して、軸線Oに平行な破線である。図3(A)に示すように、破線α3は、破線α2よりも軸線O(軸線O方向の中心線)から離間している。
なお、シースチューブ810において、ストレート部860と縮径部865との境界(図3(A)における点Aの位置)は、以下のように特定することができる。すなわち、点Aを特定するには、まず、シースチューブ810を、図3(A)に示す向きで投影機を用いて50倍に拡大し、シースチューブ810の先端から軸線方向に0.05mm間隔でシースチューブ810の外径(チューブ径)を測定する。そして、[(先端から軸線O方向にXmmの位置のチューブ径)−(先端から軸線O方向に(X−0.05)mmの位置のチューブ径)]が最初に0.02mm以下になった位置Xにおけるシースチューブ810の外周上の点を、点Aとする。
また、シースチューブ810において、母材部分と溶融部850とでは金属組織が異なるため、シースチューブ810の外表線上における両者の境界である点B(溶融部850の外周)は、ヒータ素子800の外観を観察することにより非破壊的に特定可能である。ただし、より厳密に点Bを特定するためには、以下の方法を採用すればよい。具体的には、まず、試料(ヒータ素子800)を樹脂に埋め込み、シースチューブ810の軸線O方向の中心線に沿って切断する。ここで、中心線に沿って切断するには、シースチューブ810の外径の半分の位置で切断すればよい。そして、試料を飽和シュウ酸水溶液に浸して、5Vにて5秒間電解エッチングを行なった後、溶融部850を観察して点Bを特定すればよい。溶融部850の観察は、測定機能付き観察装置(測定顕微鏡)を用い、100倍の倍率で観察すればよい。あるいは、試料の測定画像を100倍に拡大して観察してもよい。
シースチューブ810の内表線上における溶融部850の外周に対応する位置である点Cも、点Bと同様に、シースチューブ810の軸線O方向の中心線を含む断面において電解エッチングを行なって観察することにより特定できる。
また、軸線O方向における点Aと点Bとの間の距離D2は、以下のようにして求めればよい。すなわち、既述したように点Aを特定する際に、軸線O方向におけるシース管先端部811と点Aとの距離を求める。また、既述したように電解エッチングにより点Bを特定する際に、軸線O方向におけるシース管先端部811と点Bとの距離を求める。そして、上記したシース管先端部811と点Aとの距離と、シース管先端部811と点Bとの距離と、の差を算出することにより、距離D2が得られる。
(A−4)グロープラグの製造方法:
図4は、本実施形態のグロープラグ10の製造方法を示す工程図である。グロープラグ10を製造する際には、まず、シースチューブ810を用意する(ステップS100)。その後、シースチューブ810内に発熱コイル820等を配置して、ヒータ素子800を組み立てる(ステップS110)。
ステップS100で用意するシースチューブ810は、先端に開口を有しつつ、この開口に向かって次第に縮径する形状に成形されている。このようなシースチューブ810は、例えば、板材を筒状に丸めてアーク溶接したり、板材を深絞りすることにより円筒形部材を作製し、得られた円筒形部材の先端側に絞り加工を施すことにより得られる。
シースチューブ810の先端に発熱コイル820を溶接する際には、シースチューブ810内に、中軸200と一体化された制御コイル830および発熱コイル820を挿入し、発熱コイル820の先端部分とシースチューブ810の先端部分とを溶接する。溶接は、例えばアーク溶接とすることができる。本実施形態では、溶接時の溶接電流値を制御することにより、シースチューブ810に形成される溶融部850の形状(シースチューブ810の外表面における溶融部850の形状)を調節している。溶接の後、シースチューブ810の内側に絶縁粉末840を充填して、ヒータ素子800の組み立てを完了する。
ヒータ素子800の組み立て後、ヒータ素子800に対してスウェージング加工を施す(ステップS120)。スウェージング加工とは、ヒータ素子800に対して打撃力を加えてヒータ素子800を縮径させ、シースチューブ810内に充填した絶縁粉末840を緻密化させる加工である。スウェージング加工のために用いるスウェージング装置は、ヒータ素子800の外周に沿って放射状に配置される複数のスウェージングダイスを備え、これらのスウェージングダイスを用いて、ヒータ素子800の径方向内側に向かう打撃力を加える。本実施形態では、既述したように、ステップS110におけるシースチューブ810と発熱コイル820との溶接時に、溶接電流値を所定の電流値に制御している。そのため、スウェージング加工後には、溶融部850全体が縮径部865内に存在するヒータ素子800が得られる。ヒータ素子800の縮径部865は、スウェージング加工を施す前から、スウェージングにより縮径された後のヒータ素子800の外径よりも外径が小さかった部位に相当する。
スウェージング加工後、ヒータ素子800と、主体金具500とを含む部材を組み付けて(ステップS130)、グロープラグ10が完成する。具体的には、中軸200が一体化されたヒータ素子800を主体金具500の軸孔510に圧入して固定すると共に、主体金具500の後端部分において、オーリング460や絶縁部材410を中軸200に嵌め込み、係合部材100を主体金具500の後端に設けられた中軸200の接続部290に締め付ける。また、ステップS130では、グロープラグ10に対してエージング処理が施される。具体的には、組み立てられたグロープラグ10に通電することによって、ヒータ素子800を発熱させて、ヒータ素子800の外表面に酸化膜を形成させる。
以上のように構成された本実施形態のグロープラグ10によれば、シースチューブ810の外表面において、溶融部850の外周全体が、縮径部865に含まれている。そのため、グロープラグ10において、ヒータ素子800の先端が過度に昇温することを抑制し、グロープラグ10の耐久性を向上させることができる。その理由を、以下に説明する。
図5は、本実施形態とは異なり、シースチューブ810の外表面において、溶融部850が、縮径部865だけでなくストレート部860にまで広がって形成されたヒータ素子1800の概略構成を表わす断面図である。図5は、図3と同様にヒータ素子1800の軸線O方向の中心線を通る断面を表わしており、実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。図5では、シースチューブ810の外表面における点A(ストレート部860と縮径部865との境界)よりも、点B(溶融部850の外周)の方が後端側に位置している。
図5のヒータ素子1800のような形状は、例えば、図4のステップS110で、比較的大きな溶接電流にて発熱コイル820をシースチューブ810に溶接した場合に得られる。このように、スウェージング後のヒータ素子の外径よりも大きな外径を有する溶融部が形成された場合には、スウェージングの際に、溶融部850が形成された部位にも打撃力が加えられ、ストレート部860にも溶融部850が存在することになる。
ここで、スウェージングに伴ってヒータ素子に打撃力が加えられると、打撃力がヒータ素子内部に伝えられることにより、絶縁粉末840が緻密化されると共に、発熱コイル820(および制御コイル830)において、外径が小さくなり、線径が太くなり、ピッチが広くなるという変化が生じる。図5のヒータ素子1800では、発熱コイル820の先端側の一部(溶融部850と径方向に重なる部分)は、スウェージングの際に、溶融部850を介して打撃力が加えられる。溶融部850はシースチューブ810の母材部分よりも柔らかいため、溶融部850に打撃力が加えられた場合には、母材部分に比べて溶融部850の方が打撃力を吸収して薄型化する程度が大きくなり、内部の発熱コイル820に伝えられる打撃力が小さくなる。その結果、発熱コイル820において溶融部850と径方向に重なる部分では、外径の縮小、線径が太くなること、およびピッチの拡大が抑えられる。発熱コイル820の線径が太いほど発熱コイル820の抵抗が小さくなって、通電時の発熱が抑えられる。図5のように、発熱コイル820の先端近傍で線径が大きくなることが抑えられると、発熱コイル820の先端付近で局所的に抵抗が大きくなり、通電時の発熱量が局所的に大きくなる。
本実施形態のグロープラグ10では、溶融部850の全体が縮径部865に含まれるため、スウェージング時に発熱コイル820に対して溶融部850を介して打撃力が加えられることが抑えられ、発熱コイル820の先端近傍まで、加えられる打撃力を均一化することができる。そのため、グロープラグ10では、発熱コイル820の先端近傍まで、より均一に線径を太くすることができ、発熱コイル820の先端近傍における局所的な発熱量の増大を抑制できる。このように、発熱コイル820の先端近傍における局所的な過熱を抑制することで、過熱に起因する発熱コイル820の損傷(例えば断線)を抑え、グロープラグ10の耐久性を向上させることができる。
さらに、発熱コイル820の先端近傍における抵抗を抑えて局所的な過熱を抑制可能となることで、発熱コイル820に印加する電圧をより高く設定することが可能になる。そのため、印加電圧をより高くすることによりヒータ素子800の温度をより高くして、グロープラグ10の性能を向上させることが可能になる。
また、ヒータ素子1800のように溶融部850がストレート部860にまで広がって形成されるヒータ素子を製造する際には、スウェージング時に、シースチューブ810の母材部分と溶融部850との界面を含む領域に対して、スウェージングダイスからの打撃力が加えられる。上記界面を含む領域はシースチューブ810の母材部分よりも強度が低いため、スウェージングに起因する損傷を受け易い。本実施形態によれば、スウェージング時にはシースチューブ810の母材部分のみが打撃力を受けるため、スウェージングに起因するシースチューブ810の損傷(例えば、上記界面における割れの発生)を抑えることができる。
さらに、ヒータ素子1800のように、スウェージング時にシースチューブ810の母材部分と溶融部850との界面を含む領域に対して打撃力が加えられる場合には、スウェージング時に上記界面に応力が集中することになる。その結果、発熱コイル820への通電時(グロープラグの使用時)に、例えばシースチューブ810の母材部分と溶融部850との間の熱膨張率の差に起因して、上記界面においてシースチューブ810が損傷し易くなる(例えば割れが生じ易くなる)。本実施形態によれば、スウェージング時にはシースチューブ810の母材部分のみが打撃力を受けるため、シースチューブ810の母材部分と溶融部850との界面における応力発生が抑えられ、発熱コイル820への通電に起因するシースチューブ810の損傷を抑えることができる。
なお、本実施形態では、シースチューブ810と発熱コイル820との溶接時の溶接電流値を所定の電流値に制御したが、スウェージング後のヒータ素子800の外径以下の外径を有する溶融部850を形成可能であれば、いかなる方法で溶接を行なってもよい。
また、本実施形態によれば、溶融部850および発熱コイル820を、軸線O方向に垂直な仮想平面に対して軸線O方向に投影したときに、溶融部850が投影された領域に、発熱コイル820の投影像の全体が存在している。そのため、溶融部850が大きくなりすぎることに起因する既述した不都合を抑えつつ、発熱コイル820とシースチューブ810の接合強度を確保することが可能になる。
一般に、溶接時に形成される溶融部が大きいほど溶接強度が高まる。そのため、従来は、外径が比較的細いシースチューブを用いる場合であっても、外径がより太いシースチューブを用いる場合と同様に溶融部を大きく確保して、シースチューブと発熱コイルとの溶接強度の確保が図られていた。その結果、外径が細いシースチューブを用いて作製したヒータ素子では、従来は、縮径部だけでなくストレート部にまで溶融部が形成されていた。特に、シースチューブの外径が4.3mm以下の比較的小径のグロープラグでは、発熱コイルの損傷が発生しやすい傾向があったが、上記理由により、溶融部の外周全体が縮径部に含まれるヒータ素子は知られていなかった。また、シースチューブと発熱コイルとを溶接した溶融部をより小さくすることにより、グロープラグの耐久性を向上できることは知られていなかった。本実施形態のグロープラグは、外径が4.3mm以下のシースチューブを用いる際に、溶融部850をより小さくして、溶融部850の外周全体を縮径部865に含めることにより、グロープラグ10の耐久性を向上する効果を得ている。また、本実施形態では、溶融部850および発熱コイル820を、軸線O方向に垂直な仮想平面に対して軸線O方向に投影したときに、溶融部850が投影された領域に、発熱コイル820の投影像の全体を存在させて、縮径部865に含まれる範囲で溶融部850を大きく確保することにより、溶融部850における溶接の強度を確保している。
また、本実施形態では、発熱コイル820において、発熱コイル先端部821から一巻きまでの部分における後端(破線β3の位置)よりも先端側に、溶融部850全体が存在している(図3参照)。そのため、発熱コイル820において、発熱コイル先端部821から一巻きまでの部分以上の範囲にわたって発熱コイル820の線径の拡大が抑制されることが無く、発熱コイル820の先端近傍における局所的な過熱を抑える効果を高めることができる。
ただし、発熱コイル820において、発熱コイル先端部821から一巻きまでの部分における後端(破線β3の位置)よりも先端側に溶融部850全体が存在しないこととしてもよい。溶融部850の外周全体が縮径部865に含まれ、溶融部850および発熱コイル820を、軸線O方向に垂直な仮想平面に対して軸線O方向に投影したときに、溶融部850が投影された領域に、発熱コイル820の投影像の全体が存在しているならば、本願の実施形態に係る既述した効果が得られる。
さらに、本実施形態によれば、シースチューブ810における軸線O方向の中心線を含む任意の断面において、シースチューブ810の外表線における溶融部850の外周の位置(点Bおよび破線α3)は、シースチューブの内表線における溶融部850の外周の位置(点Cおよび破線α2)よりも、中心線から離間している(図3参照)。このような構成とすれば、例えばステップS130の組み付け工程において、中軸200が一体化されたヒータ素子800を主体金具500の軸孔510に圧入して固定する際に、圧入の動作に起因するヒータ素子800の損傷を抑えることができる。
すなわち、本実施形態では、シースチューブ810の母材部分と溶融部850との境界面(図3の断面において点Bと点Cとを結んだ線分により表わされる)は、軸線O方向に対して傾いた角度で形成される。したがって、主体金具500の後端とヒータ素子800の先端を押圧して、軸線O方向に平行な力を加えて上記圧入の動作を行なう際には、傾いた境界面全体で押圧力を受けることができ、境界面近傍におけるシースチューブ810の損傷を抑えることができる。なおここで、シースチューブ810の外表線における溶融部850の外周の位置が、シースチューブの内表線における溶融部850の外周の位置よりも、中心線から離間しているとは、その結果形成される上記境界面が、軸線O方向に対して5°以上傾く(軸線O方向の中心線を含む断面において、線分BCが軸線O方向の中心線に対して5°以上傾く)ことをいう。
図6は、溶融部850に係る形状が本実施形態とは異なるヒータ素子2800の概略構成を表わす断面図である。図6は、図3と同様にヒータ素子2800の軸線O方向の中心線を通る断面を表わしており、実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。ヒータ素子2800では、シースチューブ810における軸線O方向の中心線を含む任意の断面において、シースチューブ810の外表線における溶融部850の外周の位置(点Bおよび破線α3)は、シースチューブの内表線における溶融部850の外周の位置(点Cおよび破線α2)と、同程度に軸線O方向の中心線から離間している(重なっている)。このような形状の溶融部850は、例えば、発熱コイル820の先端部分をシースチューブ810に溶接する際に、極端な飛び火(いわゆる横飛び)が発生したときに形成されることがある。
このような場合には、ステップS130でヒータ素子800を主体金具500の軸孔510に圧入する際に、圧入のための押圧力が、シースチューブ810の母材部分と溶融部850との境界面に平行に加わる。そのため、上記境界面において押圧力により剪断応力が生じ、シースチューブ810が損傷し易くなる。本実施形態によれば、このような不都合を抑えることができる。
ただし、点B(破線α3)が点C(破線α2)よりも中心線から離間しないこととしてもよい。溶融部850の外周全体が縮径部865に含まれ、溶融部850および発熱コイル820を、軸線O方向に垂直な仮想平面に対して軸線O方向に投影したときに、溶融部850が投影された領域に、発熱コイル820の投影像の全体が存在しているならば、本願の実施形態に係る既述した効果が得られる。
なお、本実施形態では、既述したように、溶融部850および発熱コイル820を、軸線O方向に垂直な仮想平面に対して軸線O方向に投影したときに、溶融部850が投影された領域に、発熱コイル820の投影像の全体が存在している。このように、縮径部865において溶融部850が広く形成されることにより、上記圧入の際には、ヒータ素子800を圧入する力を、シースチューブ810の母材部分よりも柔らかい溶融部850のみで受けることが可能になる。そのため、圧入に起因するシースチューブ810の損傷を抑制する効果を高めることができる。
B.第2の実施形態:
第1の実施形態のヒータ素子800では、溶融部850の形状が、軸線Oを中心とする略回転対称の形状になっていた。これに対し、溶接時に飛び火(いわゆる横飛び)が発生して、溶融部850の形状が軸線Oを中心とする回転対称の形状とはならない場合も考えられる。
図7は、本発明の第2の実施形態のグロープラグが備えるヒータ素子3800の先端部の構造を図3と同様にして示す説明図である。図7(A)は、ヒータ素子3800における軸線O方向の中心線を含む断面を表わす断面図であり、図7(B)は、ヒータ素子3800を先端側から後端側に向かって軸線O方向に沿って見た様子を表わす下面図である。図7(B)では、図7(A)の断面に対応する位置をA−A断面として示している。第2の実施形態において、第1の実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
本実施形態では、図7(B)に示す下面図における溶融部850の形状は、略円形の外周部の一部に欠損部855が形成された形状となっている。これは、発熱コイル820をシースチューブ810に溶接する際に、いわゆる横飛びが生じて、均一に溶融部850が形成されなかったためである。図7(A)では、欠損部855を通過する断面を表わしている。
ヒータ素子3800に形成された溶融部850は、上記のように欠損部855を有しているが、図7(A)(B)に示すように、溶融部850の全体が縮径部865に含まれる。また、図7(A)(B)に示すように、溶融部850および発熱コイル820を、軸線O方向に垂直な仮想平面に対して軸線O方向に投影したときに、溶融部850が投影された領域に、発熱コイル820の投影像の全体が存在する。そのため、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
C.変形例:
・変形例1(シースチューブの変形):
上記各実施形態のグロープラグが備えるシースチューブでは、先端部に縮径部が形成されており、縮径部よりも後端側の部分全体が、軸線O方向にわたって外径が一定であるストレート部であったが、異なる構成としてもよい。例えば、シースチューブにおいて、縮径部の後端側に、外径が互いに異なる複数の部位が形成されていてもよい。この場合であっても、縮径部の後端側に、縮径部に連続して、軸線O方向にわたって外径が一定であるストレート部が形成されていれば、本願構成を適用することにより、各実施形態と同様の効果を奏することができる。
・変形例2(ヒータ素子の変形):
上記各実施形態では、ヒータ素子は、発熱コイル820と制御コイル830とを備えている。これに対して、ヒータ素子には制御コイル830を設けず、通電により発熱するコイルとして単一の発熱コイルのみを設けてもよい。
また、ヒータ素子は、グロープラグ以外、例えば、暖房器具や調理器具などに用いられても良い。
・変形例3(グロープラグの変形):
上記各実施形態のグロープラグは、補助熱源としての機能のみを有しているが、さらに燃焼圧センサ機能を有していても良い。この場合には、ヒータ素子を軸線O方向に移動可能な構造とし、ヒータ素子の変位を検出可能なセンサをグロープラグに具備させることで、燃焼圧センサ機能を実現することができる。
また、上記各実施形態のグロープラグは、内燃機関の始動時等における着火を補助する熱源として用いる他、例えば、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)の再活性バーナーシステムにおいて用いることもできる。
サンプルとして、シースチューブ810の外表面におけるストレート部860と縮径部865との境界(点A)と、溶融部850の外周(点B)との位置関係(距離D2)が異なる種々のグロープラグを作製し、耐久性(断線寿命)および通電後の割れ発生の有無を評価した結果を以下に説明する。
図8、図9は、各サンプルにおける上記距離D2と評価結果とをまとめて示す説明図である。各サンプルを製造する際には、ステップS100において同様の形状に成形されたシースチューブを用意した。また、ステップS110における発熱コイル820の溶接時に、異なる溶接電流値にてシースチューブ810と発熱コイル820との溶接を実施した。ステップS120では、最終的に3.5mmの径になるように各々のサンプルをスウェージングした。上記のように、溶接電流値を制御することにより、ストレート部860と縮径部865との境界(点A)と、溶融部850の外周(点B)との距離D2が異なる複数種類のヒータ素子を作製した。
図8及び図9では、ストレート部860と縮径部865との境界(点A)に対して、溶融部850の外周(点B)の方が後端側に位置する場合には距離D2を正の値で表わし、溶融部850の外周(点B)の方が先端側に位置する場合には距離D2を負の値で表わした。サンプル1および8は、点Aよりも点Bが先端側に存在し、距離D2は−0.05mmである。サンプル2および9は、点Aと点Bが一致し、距離D2は0.00mmである。サンプル3〜7およびサンプル10〜14は、点Aよりも点Bが後端側に存在する。サンプル3および10の距離D2は0.05mmであり、サンプル4および11の距離D2は0.10mmであり、サンプル5および12の距離D2は0.30mmであり、サンプル6および13の距離D2は0.70mmであり、サンプル7および14の距離D2は1.00mmである。
サンプル1〜7は、溶融部850が、軸線Oを中心とする略回転対称の形状に形成されたサンプルであり、点Aと点Bの距離D2は、いずれの断面においても同じ値になる。サンプル8〜14は、発熱コイル820の溶接時にいわゆる横飛びが生じて、溶融部850に欠損部855が形成されたサンプルである。サンプル8〜14において距離D2を特定するための点Bは、溶融部850において横飛びが生じていない領域における溶融部850の外周上の点である。
点Aおよび点Bの位置の特定方法は、既述したとおりである。なお、点Bの特定は、外観を観察することにより非破壊的に特定した。また、各サンプルについて、溶融部850および発熱コイル820を、軸線O方向に垂直な仮想平面に対して軸線O方向に投影したときに、溶融部850が投影された領域に発熱コイル820の投影像の全体が存在していることは、X線CT観察により非破壊内部観察を行なって確認した。
<試験条件>
各グロープラグに電圧を印加する動作を繰り返し行ない、断線寿命および割れ発生の有無を評価した。各グロープラグに電圧を印加する動作は、1000℃2秒、1100℃180秒、風冷120秒を1サイクルとして行なった。上記グロープラグの温度は、ヒータ素子の先端から2mmの位置における温度である。
2秒で1000℃にするための印加電圧は、以下のように設定した。サンプル1〜7については、各サンプルと同じ条件で作製したグロープラグを用いて、ヒータ素子の先端から2mmの位置にR熱電対を配置し、2秒で1000℃に昇温させるために要する印加電圧の大きさを予め調べた。サンプル8〜14については、それぞれ、サンプル1〜7と同じ値を設定した。
1100℃で180秒間維持するための印加電圧は、以下のように設定した。サンプル1〜7については、各サンプルと同じ条件で作製したグロープラグを用いて、ヒータ素子の先端から2mmの位置にR熱電対を配置し、1000℃に達した後に、1100℃に維持するために要する印加電圧の大きさを予め調べた。サンプル8、10〜14については、それぞれ、サンプル1、3〜7と同じ値を設定した。
<評価方法>
断線寿命は、発熱コイル820が断線するまでのサイクル数によって評価した。発熱コイル820の断線は、発熱コイル820の抵抗値が無限大になることにより判断できるが、ここでは、グロープラグに流れる電流をサイクルごとに検出して、電流値が予め設定した基準値を下回った時に断線したと判断した。図8および図9では、「◎」「○」「△」「×」により評価結果を示した。「◎」は、断線することなく10000サイクルを超えて電圧印加試験を継続できたことを示す。「○」は、断線までのサイクル数が、8000サイクルより大きく10000サイクル以下であることを示す。「△」は、断線までのサイクル数が、5000サイクルより大きく8000サイクル以下であることを示す。「×」は、断線までのサイクル数が5000サイクル以下であることを示す。
割れ発生の有無は、発熱コイル820が断線したとき、あるいは、10000サイクル未満では断線しなかったサンプルについては10000サイクル終了後に、ヒータ素子の外観を目視で観察することにより判定した。
図8および図9に示すように、サンプル1,2,8,9、すなわち、溶融部850の全体が縮径部865に含まれる場合(距離D2が0以下である場合)には、10000サイクルを超える断線寿命を示すと共に、10000サイクルを超えて電圧印加を継続しても、割れが発生しなかった。よって、極めて良好な耐久性を有することが確認された。なお、距離D2の値が大きくなるほど、断線寿命が短くなり、割れが発生しやすい傾向が認められた。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…グロープラグ
100…係合部材
200…中軸
210…中軸先端部
290…接続部
300…リング
410…絶縁部材
460…オーリング
500…主体金具
510…軸孔
520…工具係合部
540…雄ネジ部
600…パッキン
800,1800,2800,3800…ヒータ素子
810…シースチューブ
811…シース管先端部
819…シース管後端部
820…発熱コイル
821…発熱コイル先端部
829…発熱コイル後端部
830…制御コイル
831…制御コイル先端部
839…制御コイル後端部
840…絶縁粉末
850…溶融部
855…欠損部
860…ストレート部
865…縮径部

Claims (3)

  1. 自身の外径が軸線方向にわたって一定である筒状に形成されたストレート部と、該ストレート部よりも前記軸線方向の先端側に該ストレート部に連続して形成されると共に、自身の外径が前記軸線方向の先端側に向かって縮径しつつ閉じた先端を有する縮径部と、を有するシースチューブと、該シースチューブ内に収納される螺旋状の発熱コイルと、を備えるヒータ素子を有するグロープラグであって、前記シースチューブにおける前記縮径部の前記先端と前記発熱コイルの先端とが溶接されているグロープラグにおいて、
    前記シースチューブの前記ストレート部の外径が4.3mm以下であり、
    前記シースチューブの外表面では、前記シースチューブと前記発熱コイルとが溶融して形成された溶融部の外周全体が、前記縮径部に含まれ、
    前記溶融部および前記発熱コイルを、前記軸線方向に垂直な仮想平面に対して前記軸線方向に投影したときに、前記溶融部が投影された領域に、前記発熱コイルの投影像の全体が存在することを特徴とする
    グロープラグ。
  2. 請求項1に記載のグロープラグであって、
    前記発熱コイルの先端から一巻きまでの部分における後端よりも先端側に、前記溶融部全体が存在することを特徴とする
    グロープラグ。
  3. 請求項1または2に記載のグロープラグであって、
    前記シースチューブにおける前記軸線方向の中心線を含む任意の断面において、前記シースチューブの外表線における前記溶融部の外周の位置は、前記シースチューブの内表線における前記溶融部の外周の位置よりも、前記中心線から離間していることを特徴とする
    グロープラグ。
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