JP2019032151A - グロープラグ - Google Patents

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紘文 岡田
Hirofumi Okada
紘文 岡田
誠 江尻
Makoto Ejiri
誠 江尻
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【課題】急速昇温性を確保しつつ発熱コイルの耐久性を向上できるグロープラグを提供すること。【解決手段】グロープラグは、軸線に沿って延びる金属製のチューブと、Wを主成分としチューブの先端部に自身の先端側の埋設部が埋め込まれる発熱コイルと、を備える。発熱コイルは、埋設部の少なくとも一部を成し、埋設部からチューブの内側まで連続的に形成された螺旋部を備える。軸線を含む断面上に現出する発熱コイルにおいて、埋設部における螺旋部の断面積の総計である第1合計値を埋設部における螺旋部の切断面の数で除した第1平均値は、チューブの内側における螺旋部の断面積の総計である第2合計値をチューブの内側における螺旋部の切断面の数で除した第2平均値よりも小さい。【選択図】図3

Description

本発明はグロープラグに関し、特に発熱温度を高温化できるグロープラグに関するものである。
グロープラグは、圧縮着火方式によるディーゼルエンジン等の内燃機関の補助熱源として用いられる。グロープラグは、内燃機関の始動性を向上させるため、短時間で所定温度まで昇温させる性能(以下「急速昇温性」と称す)が要求される。また、グロープラグは、内燃機関の規制が厳格化される中、発熱温度の高温化も求められている。特許文献1には、金属製のチューブの先端部に発熱コイルの先端側の部分を埋め込んだグロープラグにおいて、発熱温度の高温化を図るため、高融点のWを主成分とする発熱コイルを用いる技術が開示されている。
国際公開第2014/206847号
しかしながら上述した従来の技術では、発熱コイルが発熱すると、発熱コイルやチューブの熱膨張によって発熱コイルに応力が作用する。その応力に抗して発熱コイルを破断し難くするために線径を太くすると、発熱コイルの先端側の部分が埋め込まれたチューブの先端部の体積が大きくなる。その結果、チューブの熱容量が大きくなり、急速昇温性が低下するという問題点がある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、急速昇温性を確保しつつ発熱コイルの耐久性を向上できるグロープラグを提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明のグロープラグは、軸線に沿って延び、軸線方向の先端が閉じた金属製のチューブと、チューブの内側に配置され、Wを主成分とし、チューブの先端部に自身の先端側の埋設部が埋め込まれる発熱コイルと、を備える。発熱コイルは、埋設部の少なくとも一部を成し、埋設部からチューブの内側まで連続的に形成された螺旋部を備える。軸線を含む断面上に現出する発熱コイルにおいて、埋設部における螺旋部の断面積の総計である第1合計値を埋設部における螺旋部の切断面の数で除した第1平均値は、チューブの内側における螺旋部の断面積の総計である第2合計値をチューブの内側における螺旋部の切断面の数で除した第2平均値よりも小さい。
請求項1記載のグロープラグによれば、軸線を含む断面上に現出する発熱コイルにおいて、埋設部における螺旋部の断面積の総計である第1合計値を埋設部における螺旋部の切断面の数で除した第1平均値は、チューブの内側における螺旋部の断面積の総計である第2合計値をチューブの内側における螺旋部の切断面の数で除した第2平均値よりも小さい。即ち、埋設部の線径はチューブの内側における螺旋部の線径より細いので、チューブの内側における螺旋部の線径の太さを確保できる。その結果、発熱コイルを破断し難くできるので、耐久性を向上できる。また、チューブの内側における螺旋部の線径に比べて埋設部の線径が細いので、チューブの内側における螺旋部の線径と埋設部の線径とが同じ場合に比べて、埋設部が埋め込まれるチューブの先端部の体積を小さくできる。その結果、チューブの熱容量を小さくできるので、急速昇温性を確保できる。
請求項2記載のグロープラグによれば、埋設部とチューブの先端部とが互いに溶融した溶融部が形成される。軸線を含む断面上に現出する発熱コイルにおいて、溶融部の断面積の合計を第1合計値に加えた値を、埋設部における螺旋部の切断面の数で除した第3平均値は、第2平均値よりも小さい。即ち、チューブの先端部から溶融部が露出しないように埋設部を先端部に埋め込んだときも、埋設部の線径がチューブの内側における螺旋部の線径と同じ場合に比べて、先端部の体積を小さくできる。埋設部および溶融部を先端部に埋め込むことにより、溶融部が露出することによる埋設部の酸化を防止できるので、請求項1の効果に加え、埋設部の酸化による耐久性の低下を抑制できる。
請求項3記載のグロープラグによれば、軸線を含む断面上に現出する発熱コイルにおいて、チューブの内側における螺旋部の各々の断面積は、第1平均値に対して1.3倍以下である。これにより、請求項1又は2に記載の効果に加え、チューブの内側における螺旋部の破断を防ぎ、耐久性を向上できる。
請求項4記載のグロープラグによれば、チューブの先端部は、内側に向かって凸状をなす凸部を有する。軸線を含む断面上に現出する発熱コイルにおいて、チューブの内側における螺旋部のうち、凸部の周囲に少なくとも一部が配置される部位である第1螺旋部の断面積の総計である第3合計値を第1螺旋部の切断面の数で除した第4平均値は、第2合計値から第3合計値を減じた値を、チューブの内側における螺旋部の切断面の数から第1螺旋部の切断面の数を減じた値で除した第5平均値よりも小さい。
これにより、第1螺旋部の単位長さ当たりの抵抗値を第1螺旋部以外の螺旋部の単位長さ当たりの抵抗値よりも大きくできる。先端部は、先端部よりも後端側のチューブに比べて熱容量が大きいが、先端部の近くに位置する第1螺旋部の抵抗値を大きくすることにより第1螺旋部の発熱量を大きくできるので、先端部の温度を上昇させ易くできる。よって、請求項1から3のいずれかの効果に加え、急速昇温性を向上できる。
請求項5記載のグロープラグによれば、軸線を含む断面上に現出する発熱コイルにおいて、チューブの内側における螺旋部のうち、チューブの先端から後端側へ向かって3mmまでの間に少なくとも一部が位置する第2螺旋部の断面積の総計である第4合計値を第2螺旋部の切断面の数で除した第6平均値は、第2合計値から第4合計値を減じた値を、チューブの内側における螺旋部の切断面の数から第2螺旋部の切断面の数を減じた値で除した第7平均値よりも小さい。これにより、第2螺旋部の単位長さ当たりの抵抗値を第2螺旋部以外の螺旋部の単位長さ当たりの抵抗値よりも大きくできるので、請求項4と同様の効果がある。
第1実施の形態におけるグロープラグの片側断面図である。 一部を拡大したグロープラグの断面図である。 グロープラグの軸線を含む断面図である。 第2実施の形態におけるグロープラグの軸線を含む断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は第1実施の形態におけるグロープラグ10の軸線Oを境にした片側断面図であり、図2は一部を拡大したグロープラグ10の断面図である。図1及び図2では、軸線Oに沿って延びる中軸20及び発熱コイル50等は側面図が示されている。図1及び図2では、紙面下側をグロープラグ10の先端側、紙面上側をグロープラグ10の後端側という(図3及び図4においても同じ)。
図1に示すようにグロープラグ10は中軸20、主体金具30、チューブ40及び発熱コイル50を備えている。これらの部材はグロープラグ10の軸線Oに沿って組み付けられている。グロープラグ10は、ディーゼルエンジンを始めとする内燃機関(図示せず)の始動時などに用いられる補助熱源である。
中軸20は円柱形状の金属製の導体であり、発熱コイル50に電力を供給するための部材である。中軸20は先端に発熱コイル50が電気的に接続されている。中軸20は、後端が主体金具30から突出した状態で主体金具30に挿入されている。
中軸20は、本実施の形態では、後端に雄ねじからなる接続部21が形成されている。中軸20は、後端に、先端側から順に絶縁ゴム製のOリング22、合成樹脂製の筒状部材である絶縁体23、金属製の筒状部材であるリング24、金属製のナット25が組み付けられている。接続部21は、バッテリ等の電源から電力を供給するケーブルのコネクタ(図示せず)が接続される部位である。ナット25は、接続されたコネクタ(図示せず)を固定するための部材である。
主体金具30は炭素鋼等により形成される略円筒形状の部材である。主体金具30は、軸線Oに沿って軸孔31が貫通し、外周面にねじ部32が形成されている。主体金具30は、ねじ部32より後端側に工具係合部33が形成されている。軸孔31は中軸20が挿入される貫通孔である。軸孔31の内径は中軸20の外径より大きいので、中軸20と軸孔31との間に空隙が形成される。ねじ部32は、内燃機関(図示せず)に嵌まり合う雄ねじである。工具係合部33は、ねじ部32を内燃機関のねじ穴(図示せず)に嵌めたり外したりするときに用いる工具(図示せず)が関わり合う形状(例えば六角形)をなす部位である。
主体金具30は、軸孔31の後端側において、Oリング22及び絶縁体23を介して中軸20を保持する。絶縁体23にリング24が接した状態で中軸20にリング24が加締められることで、絶縁体23は軸方向の位置が固定される。絶縁体23によって主体金具30の後端側とリング24とが絶縁される。主体金具30は、軸孔31の先端側にチューブ40が固定されている。
チューブ40は先端が閉じた金属製の筒状体である。チューブ40の後端側が軸孔31に圧入されることで、チューブ40は主体金具30に固定される。チューブ40の材料は、例えばニッケル基合金、ステンレス鋼などの耐熱合金が挙げられる。
チューブ40は、先端側から順に、先端部41、第1部42、第2部43及び第3部44が連接されている。先端部41は、第1部42から第3部44によるチューブ40の中空部分の先端を閉塞する。第1部42及び第3部44は、それぞれ先端から後端に亘って外径が同一に設定されている。第1部42の外径は第3部44の外径よりも小さい。第2部43は、第1部42と第3部44とを連絡する部分であり、外周面がテーパ状に形成されている。
チューブ40の第3部44に中軸20の先端側が挿入されている。第3部44の内径は中軸20の外径より大きいので、中軸20と第3部44との間に空隙が形成される。シール材45は、中軸20の先端側と第3部44との間に挟まれた円筒形状の絶縁部材である。シール材45は中軸20とチューブ40との間隔を維持し、中軸20とチューブ40との間を密閉する。発熱コイル50は軸線Oに沿ってチューブ40に収容されている。絶縁粉末60はチューブ40に充填されている。
図2に示すように発熱コイル50は、螺旋状に巻かれた螺旋部51と、螺旋部51の先端に連接される直線部52と、を備えている。直線部52は、発熱コイル50の端末に形成されている。直線部52は、軸線Oを含む平面に交わる螺旋部51とは異なり、軸線Oを含む平面上に位置する。
螺旋部51の一部および直線部52は、チューブ40の先端部41に埋め込まれる埋設部53を構成する。直線部52だけでなく、螺旋部51の一部が先端部41に埋め込まれるので、埋設部53と先端部41との接合信頼性を向上できる。埋設部53が先端部41に埋め込まれて接合されることにより、螺旋部51は、埋設部53からチューブ40(本実施の形態では第1部42)の内側まで配置される。
発熱コイル50は、Wを主成分とする線材を巻いて連続的に形成される。Wを主成分とは、発熱コイル50を形成する線材の質量に対するWの含有量が50wt%以上であることをいう。本実施の形態では、発熱コイル50は、後端側に比べて先端側の発熱量を増やすため、先端側のピッチが後端側のピッチに比べて小さくされる。発熱コイル50は、後端が溶接によって後端コイル54に接合されている。発熱コイル50と後端コイル54との間に、溶接で溶けて溶接金属が固まった接合部55が形成されている。
後端コイル54は接合部55を介して発熱コイル50と直列に接続される部材である。後端コイル54は、発熱コイル50の抵抗比R1より小さい抵抗比R2をもつ導電材料で形成されている。発熱コイル50及び後端コイル54は、後端コイル54の20℃における抵抗値Rが、発熱コイル50の20℃における抵抗値Rよりも大きい値に設定されている。発熱コイル50の抵抗比R1とは、発熱コイル50の20℃での抵抗値に対する1000℃での抵抗値の比であり、後端コイル54の抵抗比R2とは、後端コイル54の20℃での抵抗値に対する1000℃での抵抗値の比である。
後端コイル54の材料としては、例えばFeCrAl合金、NiCr合金などが挙げられる。後端コイル54は軸線Oに沿ってチューブ40(第1部42から第3部44)に収容されており、後端が溶接により中軸20の先端に接合されている。中軸20は後端コイル54及び発熱コイル50を介してチューブ40と電気的に接続されている。
絶縁粉末60は電気絶縁性を有し、且つ、高温下で熱伝導性を有する粉末である。絶縁粉末60は、発熱コイル50及び後端コイル54とチューブ40との間、中軸20とチューブ40との間、発熱コイル50及び後端コイル54の内側に充填される。絶縁粉末60は、発熱コイル50からチューブ40へ熱を移動させる機能、発熱コイル50及び後端コイル54とチューブ40との短絡を防ぐ機能、発熱コイル50及び後端コイル54を振動し難くして断線を防ぐ機能がある。絶縁粉末60としては、例えばMgO、Al等の酸化物粉末が挙げられる。MgO、Al等の酸化物粉末に加え、CaO,ZrO及びSiO,Si等の粉末を添加できる。
グロープラグ10は、例えば、次のようにして製造される。まず、所定の組成を有する抵抗発熱線をコイル状に加工し、発熱コイル50及び後端コイル54をそれぞれ製造する。次に、発熱コイル50と後端コイル54との端部同士を溶接して接合部55を設け、後端コイル54を中軸20の先端に接合する。一方、所定の組成を有する金属鋼管(素管)をチューブ40の最終寸法よりも大径に形成し、かつ、その先端を他の部分よりも減径させて、先端が開口した先窄まり状のチューブ前駆体を製造する。
次いで、チューブ前駆体の内部に中軸20と一体となった発熱コイル50及び後端コイル54を挿入し、チューブ前駆体の先窄まり状の開口部の内側に発熱コイル50の先端を配置する。チューブ前駆体の開口部を溶融し、チューブ前駆体の先端部分を閉塞して先端部41を形成しつつ、発熱コイル50の先端部分を先端部41に溶接し、発熱コイル50の先端部分を先端部41に埋め込む。これにより、チューブ40(素管)の内部に発熱コイル50及び後端コイル54が収容されたヒータ前駆体を形成する。
次に、ヒータ前駆体のチューブ40内に絶縁粉末60を充填した後、チューブ40の後端の開口部と中軸20との間にシール材45を挿入して、チューブ40を封止する。次いで、チューブ40が所定の外径になるまでチューブ40にスウェージング加工を施す。チューブ40(素管)にスウェージング加工を施してチューブ40を絞ることにより、絶縁粉末60の充填密度を上げつつ充填のばらつきを少なくできる。これにより、絶縁粉末60を介して発熱コイル50からチューブ40への熱伝導性を向上できる。
次に、スウェージング加工後のチューブ40を主体金具30の軸孔31に圧入固定し、中軸20の後端から主体金具30と中軸20との間にOリング22及び絶縁体23を嵌め込む。リング24で中軸20を加締めてグロープラグ10を得る。
グロープラグ10は、接続部21と主体金具30との間に電圧Vが印加されると、発熱コイル50の抵抗値R及び後端コイル54の抵抗値Rの和R+Rで電圧Vを除した電流Iが、発熱コイル50及び後端コイル54に流れる。単位時間当たりの発熱コイル50の発熱量はR・Iであり、単位時間当たりの後端コイル54の発熱量はR・Iである。
発熱コイル50及び後端コイル54は、後端コイル54の20℃における抵抗値Rが、発熱コイル50の20℃における抵抗値Rよりも大きい値に設定されているので、常温において発熱コイル50に流れる電流I(突入電流)を確保し、発熱コイル50を発熱させることができる。後端コイル54は発熱コイル50の抵抗比R1よりも小さい抵抗比R2をもつので、発熱コイル50の発熱による温度上昇に伴い、発熱コイル50の抵抗値Rが後端コイル54の抵抗値Rよりも大きくなる。その結果、発熱コイル50の単位時間当たりの発熱量R・Iを、後端コイル54の単位時間当たりの発熱量R・Iより大きくできる。発熱コイル50はWを主成分とする高融点金属により形成されているので、発熱コイル50の発熱温度を高温化できる。
図3はグロープラグ10の軸線Oを含む断面図である。図3では、軸線Oを含む断面上に現出する発熱コイル50は図示されているが、後端コイル54の1巻き目よりも後端側の部分の図示が省略されている。図3に示すようにグロープラグ10は、先端部41の内部に、埋設部53と先端部41とが互いに溶融した溶融部56が形成されている。
埋設部53は、発熱コイル50のうち外周が完全に先端部41に囲まれた部分のことをいう。従って、螺旋部51のうち先端部41に一部が接触し残部が絶縁粉末60に接触する螺旋部51aは、埋設部53に含まれない。
発熱コイル50はWを主成分とするので、チューブ40の材料に比べて融点が高い。そのため、埋設部53は先端部41内に残存し、埋設部53と先端部41とが互いに溶融した溶融部56が形成される。発熱コイル50の組成や溶接の入力エネルギーにもよるが、溶融部56の厚さは10μm以下である。溶融部56は、埋設部53と先端部41とが接触する部分に存在し、例えばEPMAを用いたWDS分析により検出できる。
発熱コイル50は、グロープラグ10の軸線Oを含む断面上に切断面が現出する。発熱コイル50の切断面は、SEM等の顕微鏡を用いて観察される。発熱コイル50の切断面の断面積は、画像解析ソフト(例えばSoft Imaging System GmbH社製Analysis Five)を用い、視野内の画像を2値化処理して算出できる。
グロープラグ10の軸線Oを含む断面上に現出する発熱コイル50において、埋設部53における螺旋部51の断面積の総計である第1合計値(A)を、埋設部53における螺旋部51の切断面の数(B)で除した第1平均値(A/B)と、チューブ40の内側における螺旋部51の断面積の総計である第2合計値(C)を、チューブ40の内側における螺旋部51の切断面の数(D)で除した第2平均値(C/D)と、を比較すると、第1平均値(A/B)は第2平均値(C/D)よりも小さい。
第1合計値(A)は、埋設部53における螺旋部51のうち、先端部41に囲まれた螺旋部51の断面積の総計である。先端部41に一部が接触し残部が絶縁粉末60に接触する螺旋部51aは埋設部53に含まれないので、螺旋部51aの断面積は第1合計値に含まれない。また、埋設部53のうち直線部52の断面積も第1合計値に含まれない。螺旋部51を構成する線材の線長方向(長手方向)に略垂直な平面で切断された切断面の断面積を求めるためである。
埋設部53における螺旋部51の切断面の数(B)は、先端部41に囲まれた螺旋部51の切断面の数である。本実施の形態ではB=1である。第1平均値(A/B)は、先端部41に囲まれた螺旋部51のB個の平均の断面積である。
第2合計値(C)は、チューブ40(第1部42)の内側における螺旋部51のうち、絶縁粉末60に接触する螺旋部51の断面積の総計である。第1部42の内側における螺旋部51のうち、先端部41に一部が接触し残部が絶縁粉末60に接触する螺旋部51aの断面積は、第2合計値に含まれる。チューブ40の内側に存在する後端コイル54の切断面の断面積は、第2合計値に含まれない。螺旋部51を構成する線材の線長方向(長手方向)に略垂直な平面で切断された切断面の断面積を求めるためである。
チューブ40の内側における螺旋部51の切断面の数(D)は、絶縁粉末60に接触する螺旋部51の切断面の数である。本実施の形態ではD=22である。第2平均値(C/D)は、絶縁粉末60に接触する螺旋部51のD個の切断面の平均の断面積である。
第1平均値(単位はmm)を第2平均値(単位はmm)より小さくすることは、絶縁粉末60に接触する螺旋部51の線径を、先端部41に囲まれた螺旋部51の線径より太くすることに等しい。これにより、チューブ40の内側における(絶縁粉末60に接触する)螺旋部51の線径の太さを確保できるので、発熱コイル50やチューブ40の熱膨張によって発熱コイル50に作用する応力に抗して、発熱コイル50を破断し難くできる。よって、発熱コイル50の耐久性を向上できる。
また、絶縁粉末60に接触する螺旋部51の線径に比べて先端部41に囲まれた螺旋部51の線径が細いので、絶縁粉末60に接触する螺旋部51の線径と先端部41に囲まれた螺旋部51の線径とが同じ太さの場合に比べて、埋設部53が埋め込まれる先端部41の体積を小さくできる。その結果、チューブ40の熱容量を小さくできるので、急速昇温性を確保できる。よって、所望する温度(例えば1000℃)までチューブ40の発熱温度を急速に昇温できる。
なお、第1平均値(mm)及び第2平均値(mm)は、小数点第4位を四捨五入した値を比較する。小数点第4位を四捨五入した第1平均値(mm)と第2平均値(mm)との間に差がなければ、急速昇温性や発熱コイル50の耐久性に有意差がないからである。
ここで、発熱コイル50は先端側のピッチが後端側のピッチに比べて小さいので、発熱コイル50の先端側の発熱量を発熱コイル50の後端側の発熱量よりも大きくできる。従って、発熱コイル50の先端側を囲む第1部42の一部(先端側の部分)を急速に昇温できる。また、チューブ40は第1部42の外径が第3部44の外径よりも小さいので、チューブ40の全体が第3部44の外径と同一径の場合に比べて、チューブ40の先端部41付近(第1部42及び先端部41)の熱容量を小さくできる。よって、急速昇温性を確保し易くできる。
さらに、第1部42よりも外径の大きいチューブ40の第3部44が主体金具30に圧入されるので、主体金具30の内径を第1部42の外径に応じて小さくしなくても良い。また、中軸20の先端は第3部44に挿入されるので、中軸20の直径を第3部44の内径に応じて小さくしなくても良い。即ち、中軸20の外径や主体金具30の内径を第1部42の外径と無関係に設定できるので、中軸20や主体金具30の設計の自由度を確保できる。
本実施形態では、チューブ40の第1部42の外径はΦ3.5mm以下に設定されている。これにより、内部に発熱コイル50が配置された第1部42の熱容量が過大にならないようにできるので、急速昇温性を確保し易くできる。
また、グロープラグ10の軸線Oを含む断面上に現出する発熱コイル50において、溶融部56の断面積の合計(E)を第1合計値(A)に加えた値(F)を、埋設部53における螺旋部51の切断面の数(B)で除した第3平均値(F/B)は、第2平均値(C/D)よりも小さい。なお、溶融部56の断面積の合計(E)は、埋設部53における螺旋部51のうち、先端部41に囲まれた螺旋部51に形成された溶融部56の断面積の総計である。螺旋部51aは埋設部53に含まれないので、螺旋部51aに形成された溶融部の断面積は、合計(E)に含まれない。また、埋設部53のうち直線部52は螺旋部51に含まれないので、直線部52に形成された溶融部の断面積も合計(E)に含まれない。
これにより、チューブ40の先端部41から溶融部56が露出しないように埋設部53を先端部41に埋め込んだときも、先端部41に囲まれた螺旋部51の線径と絶縁粉末60に囲まれた螺旋部51の線径とが同じ場合に比べて、先端部41の体積を小さくできる。埋設部53及び溶融部56を先端部41に埋め込むことにより、チューブ40の外に溶融部56が露出することによる溶融部56及び埋設部53の酸化を防止できる。よって、急速昇温性を確保しつつ埋設部53の酸化による発熱コイル50の耐久性の低下を抑制できる。
本実施形態では、チューブ40のスウェージング加工を利用して、発熱コイル50の第1平均値(A/B)を第2平均値(C/D)より小さくする。スウェージング加工によりチューブ40の第1部42を径方向の外側から押圧して第1部42を縮径すると、絶縁粉末60に接触する螺旋部51は径方向に圧縮されるので、螺旋部51のコイル平均径は縮小する。しかし、螺旋部51の体積は一定なので、螺旋部51のコイル平均径が縮小する分だけ螺旋部51の線材の直径、即ち軸線Oを含む断面上に現出する螺旋部51(特にピッチが小さい先端側の部分)の断面積を拡大できる。
一方、先端部41に囲まれた螺旋部51(埋設部53の少なくとも一部)は、螺旋部51の内外に存在する先端部41によってコイルの形状が拘束されている。さらに、Wを主成分とする螺旋部51は先端部41に比べて硬度が高いので、先端部41に囲まれた螺旋部51は第1部42のスウェージング加工の影響をほとんど受けない。従って、先端部41に囲まれた螺旋部51の線材の直径、即ち軸線Oを含む断面上に現出する螺旋部51の断面積は、スウェージング加工前後でほとんど変わらない。
従って、螺旋部51のうち先端部41に囲まれた部分と絶縁粉末60に接触する部分との変形し易さの違いを利用して、第1平均値(先端部41に囲まれた螺旋部51の断面積)を第2平均値(絶縁粉末60に接触する螺旋部51の断面積)より小さくすることができる。具体的には、スウェージングの絞り比(加工前の第1部42の直径/加工後の第1部42の直径)を1.08〜1.24に設定することにより、小数点第4位を四捨五入した第1平均値(mm)を第2平均値(mm)より小さくできる。これにより、急速昇温性を確保しつつ発熱コイル50の耐久性を向上できる。
なお、軸線Oを含む断面上に現出する発熱コイル50において、チューブ40の内側における(絶縁粉末60に接触する)螺旋部51の各々の断面積を、第1平均値に対して1.3倍以下にすることが好ましい。スウェージング加工を利用して第1平均値および第2平均値を設定する場合に、絶縁粉末60に接触する螺旋部51の線材が加圧され過ぎないようにできるので、線材が縮れて破断し易くなるのを防止できるからである。
なお、第1平均値および第2平均値を設定する手段は、スウェージングの絞り比を調整する手段に限られない。例えば、螺旋部51のうちチューブ40の内側に配置される部分の線径が、螺旋部51のうち先端部41に埋め込まれる部分の線径より太い発熱コイル50を用いても良い。この場合には、スウェージングの絞り比に関係なく第1平均値を第2平均値より小さくできる。
図4を参照して第2実施の形態について説明する。図4は第2実施の形態におけるグロープラグの軸線Oを含む断面図である。図4ではグロープラグのチューブ70のうち先端側の部分だけが図示されている。チューブ70は、第1実施形態におけるグロープラグ10のチューブ40に代えて配置される。よって、第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
チューブ70はニッケル基合金等の耐熱合金製であり、先端部71の後端側に第1部72が隣接している。第2部43及び第3部44(図2参照)は第1部72の後端側に順に連接されている。先端部71は、絶縁粉末60に接触する界面が、自身の径方向の外側の部位よりも径方向の内側の部位が後端側(図4上側)へ突出する凸状に形成されている。即ち先端部71は、チューブ70の内側に向かって凸状をなす凸部71aを有している。
発熱コイル80は、Wを主成分とする線材が螺旋状に巻かれた螺旋部81を備えている。螺旋部81の後端側に接合部55(図2参照)を介して後端コイル54が接続されている。螺旋部81は、埋設部82、第1部分83,84、第2部分85及び第3部分86からなる。埋設部82は、先端部71に外周が完全に囲まれる部分である。第1部分83,84、第2部分85及び第3部分86は、チューブ70(第1部72)の内側に配置される部分である。埋設部82と先端部71とが溶融してなる溶融部87が、埋設部82に形成される。溶融部87の厚さは10μm以下である。
第1部分83,84(第1螺旋部)は、先端部71(凸部71a)の最も後端側の部位である後端73よりも少なくとも一部が先端側(図4下側)に位置する。第1螺旋部は、凸部71aの周囲(凸部71aとチューブ70(第1部72)との間)に少なくとも一部が配置される部位である。第1部分83は、先端部71に一部が接触し残りが絶縁粉末60に接触する。絶縁粉末60に接触する部分のある第1部分83は、埋設部82に含まれない。第1部分84は、絶縁粉末60に外周が完全に囲まれる。第1部分83,84は、先端部71の後端73を通り軸線Oに垂直な仮想直線74と交わるか、又は、仮想直線74よりもチューブ70の先端75側に位置する。
第1部分83,84及び第2部分85(第2螺旋部)は、チューブ70(第1部72)の内側に配置される螺旋部81(第1部分83,84、第2部分85及び第3部分86)のうち、チューブ70の先端75から後端側へ向かって3mmまでの間に少なくとも一部が位置する部位である。第1部分83,84及び第2部分85は、チューブ70の先端75から3mm離れた軸線O上の点を通り軸線Oに垂直な仮想直線76と交わるか、又は、仮想直線76よりもチューブ70の先端75側に位置する。第3部分86は仮想直線76よりも後端側に位置する。
第2実施形態では、埋設部82における螺旋部81の断面積の総計である第1合計値(A)を、埋設部82における螺旋部81の切断面の数(B、本実施形態では4)で除した第1平均値(A/B)と、チューブ70(第1部72)の内側における螺旋部81(第1部分83,84、第2部分85及び第3部分86)の断面積の総計である第2合計値(C)を、チューブ70の内側における螺旋部81の切断面の数(D)で除した第2平均値(C/D)と、を比較すると、第1実施形態と同様に、第1平均値(A/B)は第2平均値(C/D)よりも小さい。
また、溶融部87の断面積の合計(E)を第1合計値(A)に加えた値(F)を、埋設部82における螺旋部81の切断面の数(B)で除した第3平均値(F/B)は、第1実施形態と同様に、第2平均値(C/D)よりも小さい。
チューブ70(第1部72)の内側における螺旋部81のうち、凸部71aの周囲に少なくとも一部が配置される第1螺旋部(第1部分83,84)の断面積の総計である第3合計値(G)を第1螺旋部の切断面の数(H、本実施形態では3)で除した第4平均値(G/H)は、第2合計値(C)から第3合計値(G)を減じた値(C−G)を、チューブ70の内側における螺旋部81の切断面の数(D)から第1螺旋部の数(H)を減じた値(D−H)で除した第5平均値((C−G)/(D−H))よりも小さい。
これにより、第1螺旋部(第1部分83,84)の断面積を相対的に小さくできるので、第1螺旋部の単位長さ当たりの抵抗値を第1螺旋部以外の螺旋部81(第2部分85及び第3部分86)の単位長さ当たりの抵抗値よりも大きくできる。先端部71は、チューブ70の第1部72に比べて熱容量が大きいが、先端部71の近くに位置する第1螺旋部の単位長さ当たりの抵抗値を大きくすることにより第1螺旋部の発熱量を大きくできるので、先端部71の温度を上昇させ易くできる。よって、急速昇温性を向上できる。
また、チューブ70(第1部72)の内側における螺旋部81のうち、チューブ70の先端75から後端側へ向かって3mmまでの間に少なくとも一部が位置する第2螺旋部(第1部分83,84及び第2部分85)の断面積の総計である第4合計値(I)を第2螺旋部の切断面の数(J)で除した第6平均値(I/J)は、第2合計値(C)から第4合計値(I)を減じた値(C−I)を、チューブ70の内側における螺旋部81の切断面の数(D)から第2螺旋部(J)の数を減じた値(D−J)で除した第7平均値((C−I)/(D−J))よりも小さい。
これにより、第2螺旋部(第1部分83,84及び第2部分85)の断面積を相対的に小さくできるので、第2螺旋部の単位長さ当たりの抵抗値を第2螺旋部以外の螺旋部81(第3部分86)の単位長さ当たりの抵抗値よりも大きくできる。先端部71は、チューブ70の第1部72に比べて熱容量が大きいが、先端部71の近くに位置する第2螺旋部の単位長さ当たりの抵抗値を大きくすることにより第2螺旋部の発熱量を大きくできるので、先端部71の温度を上昇させ易くできる。よって、急速昇温性を向上できる。
なお、第4平均値から第7平均値を設定する手段は、第1実施形態と同様に、スウェージングの絞り比を調整する手段の他、チューブ70の後端側に配置される部分の線径が、先端部71の近くに配置される部分の線径より太い発熱コイル80を用いても良い。この場合には、スウェージングの絞り比に関係なく、第4平均値を第5平均値より小さくしたり、第5平均値を第6平均値より小さくしたりできる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<サンプルの作成>
W及び不可避不純物からなる種々の線径の発熱コイル50、及び、NiCr合金で作られた線径Φ0.38mmの後端コイル54を準備した。溶接により後端コイル54を発熱コイル50に接合して、後端コイル54及び発熱コイル50が直列に接続された種々のコイルを作成した。コイルは、4端子法で測定した20℃における抵抗値が0.33Ωになるように線長や線径などを調整した。
このコイルを用いて、図1に示すグロープラグ10と同様の構造を有するグロープラグを前述のとおりに製造し、表1に示すサンプル1〜9におけるグロープラグを得た。各サンプルは同じ条件で製造したものを2本準備し、1本は耐久性を評価する試験を行い、もう1本は軸線を含む平面で切断して、切断面に現出する発熱コイル50の断面積を測定した。
なお、サンプル1〜9におけるグロープラグは、スウェージングの絞り比(加工前の第1部42の直径/加工後の第1部42の直径)を変えて、スウェージング後のチューブ40の第1部42の外径がΦ3.25mm、第3部44の外径がΦ4.00mmとなるようにした。
Figure 2019032151
<発熱コイルの断面積の測定>
発熱コイル50の断面積を測定する各サンプルを、軸線Oを含む平面で切断して、その切断面を顕微鏡で観察した。画像解析ソフトを用いて、先端部41に存在する螺旋部51及び第1部42の内側に存在する螺旋部51の断面積および螺旋部51の切断面の数を測定した。先端部41に存在する螺旋部51の断面積の総計を、その螺旋部51の切断面の数で除して第1平均値を求めた。同様に、第1部42の内側に存在する螺旋部51の断面積の総計を、その螺旋部51の切断面の数で除した第2平均値を求めた。第1平均値および第2平均値(mm)は小数点第4位を四捨五入した。さらに、第1部42の内側に存在する螺旋部51の各々の断面積を第1平均値で除した比を計算し、その比の最大値を求めた。計算結果は表1に記した。
<耐久性の評価>
耐久性を評価する各サンプルのチューブ40の先端から軸線O方向に2mm離れたチューブ40の表面の位置にPR熱電対を接合し、チューブ40の先端部41付近の温度を測定した。なお、PR熱電対の代わりに放射温度計を用いても良い。
電圧を印加してから2秒後のチューブ40の先端部41付近の温度が1000℃になるように、各サンプルの接続部21と主体金具30との間に直流電圧を印加した後、チューブ40の先端部41付近の温度が1100℃で飽和するように定格電圧を印加した。定格電圧を180秒間印加した後、電圧印加を止め、チューブ40の先端部41付近を120秒間空冷して、先端部41付近の温度を常温に戻した。試験は、これを1サイクルとして複数サイクルを繰り返した。
評価は、試験開始から100時間(約1200サイクル)より前にコイル(発熱コイル)が断線したものを「C」、試験開始後100時間から500時間(約6000サイクル)までの間にコイルが断線したものを「B」、試験開始後500時間経過してもコイルが断線しなかったものを「A」とした。評価結果は表1に記した。
サンプル1〜9は、電圧を印加してから2秒後に、チューブ40の先端部41付近の温度が常温から1000℃まで上昇することがわかった。よって、急速昇温性を確保できることが明らかになった。
一方、耐久性では、先端部41に存在する螺旋部51の断面積の総計を切断面の数で除した第1平均値が、第1部42の内側に存在する螺旋部51の断面積の総計を切断面の数で除した第2平均値よりも小さいサンプル2〜6,8は、評価が「A」であった。一方、第1平均値が第2平均値と同じサンプル1,9は、評価が「B」であった。
サンプル1,9は、発熱コイル50やチューブ40の熱膨張に起因する応力により、第1部42の内側に存在する螺旋部51が破断したものと推察される。これに対し、第1平均値が第2平均値よりも小さいサンプル2〜6,8は、発熱コイル50やチューブ40の熱膨張に起因する応力による螺旋部51の破断を防ぎ、急速昇温性を確保しつつ耐久性を向上できたと推察される。
また、第1部42の内側に存在する螺旋部51の各々の断面積を第1平均値で除した比の最大値が1.35のサンプル7は、耐久性の評価が「C」であった。X線透視装置によってサンプル7を観察したところ、発熱コイル50の螺旋部51の半分以上が縮れており、螺旋部51に断面積の狭い部分が局所的に存在することがわかった。サンプル7は、スウェージング加工の絞り比が1.26であることから、螺旋部51に過大な圧力が加わったものと推察される。
この実施例によれば、第1平均値を第2平均値よりも小さくすることにより、急速昇温性を確保しつつ耐久性を向上できることが明らかになった。また、第1部42の内側に存在する螺旋部51の各々の断面積を第1平均値で除した比の最大値を1.3以下、特に1.05〜1.30にすることにより、チューブ40の内側に存在する螺旋部51の破断を防ぎ、耐久性を向上できることが明らかになった。
以上、実施の形態および実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、チューブ40,70の形状は筒状である限り特に限定されず、軸線Oに直交する断面が円形状、楕円形状、多角形状等であってもよい。また、発熱コイル50,80の線径や直径、チューブ40,70の厚さや直径は、発熱コイル50,80やチューブ40,70の熱容量などを考慮して適宜設定できる。
実施形態では、主体金具30に圧入されるチューブ40,70の第3部44の外径が、チューブ40,70の先端部41,71に隣接する第1部42,72の外径よりも大きい場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。先端部41,71を除き、チューブ40,70の全体を同一の外径にすることは当然可能である。
第1実施形態では、発熱コイル50の端末に直線部52が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。直線部52を省略することは当然可能である。同様に、第2実施形態で説明した発熱コイル80(螺旋部81)の端末に直線部を設け、その直線部を先端部71に埋め込むことは当然可能である。なお、発熱コイル50,80の巻き数やピッチは適宜設定できる。同様に、埋設部53,82における螺旋部51,81の巻き数も適宜設定できる。
実施形態では、埋設部53,82に溶融部56,87が形成された場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。発熱コイル50,80の組成や先端部41,71を形成するときの温度等の条件を設定して、溶融部56,87が形成されないようにすることは当然可能である。
実施形態では、Wを主成分とする発熱コイル50,80に、FeCrAl合金、NiCr合金などで形成された後端コイル54が接続される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。後端コイル54の材質は、これに限られるものではなく適宜設定できる。また、後端コイル54を省略して、Wを主成分とする発熱コイル50,80だけをチューブ40,70の内部に配置することは当然可能である。
第1実施形態も、第2実施形態と同様に、チューブ40(第1部42)の内側における螺旋部51のうち、チューブ40の先端46から後端側へ向かって3mmまでの間に少なくとも一部が位置する第2螺旋部の断面積の総計である第4合計値(I)を第2螺旋部の切断面の数(J)で除した第6平均値(I/J)は、第2合計値(C)から第4合計値(I)を減じた値(C−I)を、チューブ40の内側における螺旋部51の切断面の数(D)から第2螺旋部(J)の数を減じた値(D−J)で除した第7平均値((C−I)/(D−J))よりも小さい。これにより、第2実施形態と同様に急速昇温性を向上できる。
なお、上記実施の形態には以下の発明も開示されている。軸線に沿って延び、軸方向の先端が閉じた金属製のチューブと、前記チューブの内側に配置され、Wを主成分とし、前記チューブの先端部に自身の先端側の埋設部が埋め込まれる発熱コイルと、を備えるグロープラグを製造する方法であって、前記発熱コイルの前記埋設部が前記先端部に埋め込まれた前記チューブに絶縁粉末を充填する充填工程と、前記チューブをスウェージングする加工工程と、を備え、前記加工工程において、加工前の前記チューブの外径を加工後の前記チューブの外径で除した絞り比が1.08〜1.24であるグロープラグの製造方法。
このグロープラグの製造方法によれば、加工工程において絞り比を1.08〜1.24にすることにより、絶縁粉末を介して発熱コイルを径方向に圧縮し、埋設部における発熱コイルの線材の断面積よりもチューブの内側における発熱コイルの線材の断面積を大きくできる。その結果、発熱コイルを破断し難くできるので、耐久性を向上できる。さらに、チューブの内側における発熱コイルの線材の断面積と埋設部における発熱コイルの線材の断面積とが同じ場合に比べて、埋設部が埋め込まれるチューブの先端部の体積を小さくできる。その結果、チューブの熱容量を小さくできるので、急速昇温性を確保できる。
10 グロープラグ
40,70 チューブ
41,71 先端部
46,75 チューブの先端
50,80 発熱コイル
51,81 螺旋部
53,82 埋設部
56,86 溶融部
71a 凸部
83,84 第1部分(第1螺旋部、第2螺旋部)
85 第2部分(第2螺旋部)
O 軸線

Claims (5)

  1. 軸線に沿って延び、軸線方向の先端が閉じた金属製のチューブと、
    前記チューブの内側に配置され、Wを主成分とし、前記チューブの先端部に自身の先端側の埋設部が埋め込まれる発熱コイルと、を備えるグロープラグであって、
    前記発熱コイルは、前記埋設部の少なくとも一部を成し、前記埋設部から前記チューブの内側まで連続的に形成された螺旋部を備え、
    前記軸線を含む断面上に現出する前記発熱コイルにおいて、前記埋設部における前記螺旋部の断面積の総計である第1合計値を前記埋設部における前記螺旋部の切断面の数で除した第1平均値は、前記チューブの内側における前記螺旋部の断面積の総計である第2合計値を前記チューブの内側における前記螺旋部の切断面の数で除した第2平均値よりも小さいグロープラグ。
  2. 前記埋設部と前記チューブの前記先端部とが互いに溶融した溶融部が形成され、
    前記軸線を含む断面上に現出する前記発熱コイルにおいて、前記溶融部の断面積の合計を前記第1合計値に加えた値を、前記埋設部における前記螺旋部の切断面の数で除した第3平均値は、前記第2平均値よりも小さい請求項1記載のグロープラグ。
  3. 前記軸線を含む断面上に現出する前記発熱コイルにおいて、前記チューブの内側における前記螺旋部の各々の断面積は、前記第1平均値に対して1.3倍以下である請求項1又は2に記載のグロープラグ。
  4. 前記チューブの前記先端部は、内側に向かって凸状をなす凸部を有し、
    前記軸線を含む断面上に現出する前記発熱コイルにおいて、前記チューブの内側における前記螺旋部のうち、前記凸部の周囲に少なくとも一部が配置される部位である第1螺旋部の断面積の総計である第3合計値を前記第1螺旋部の切断面の数で除した第4平均値は、前記第2合計値から前記第3合計値を減じた値を、前記チューブの内側における前記螺旋部の切断面の数から前記第1螺旋部の切断面の数を減じた値で除した第5平均値よりも小さい請求項1から3のいずれかに記載のグロープラグ。
  5. 前記軸線を含む断面上に現出する前記発熱コイルにおいて、前記チューブの内側における前記螺旋部のうち、前記チューブの先端から後端側へ向かって3mmまでの間に少なくとも一部が位置する部位である第2螺旋部の断面積の総計である第4合計値を前記第2螺旋部の切断面の数で除した第6平均値は、前記第2合計値から前記第4合計値を減じた値を、前記チューブの内側における前記螺旋部の切断面の数から前記第2螺旋部の切断面の数を減じた値で除した第7平均値よりも小さい請求項1から3のいずれかに記載のグロープラグ。
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