JP6688094B2 - グロープラグ - Google Patents
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Description
すると、この中軸に接続されているヒータコイルが、軸線方向に引き伸ばされるなど形態変化が生じ、これに伴ってその昇温特性が変化し、グロープラグの温度特性(所定駆動条件で到達する最高温度や昇温特性など)が変化することがあった。
さらに具体的には、例えば、中軸の被保持部の外周面に、全周にわたり径方向に突出する環状凸部及び全周にわたり径方向に凹入する環状凹部の少なくともいずれかを、一又は複数設けた形態が挙げられる。
また、中軸の被保持部の外周面に、綾目ローレット、斜めローレット、または、溝が周方向に延びる平目ローレットを施した形態のものも挙げられる。中軸の被保持部を、雄ねじ状の螺旋溝を設けた形態としたものも挙げられる。そのほか、中軸の被保持部の外周面に、半球状や三角錐、四角錐状の凸部を散点状に設けた形態のもの、中軸の被保持部の外周面に、半球状や三角錐、四角錐状の凹部を散点状に設けた形態のもの、中軸の被保持部の外周面に、半球状などの凸部及び凹部を散点状に設けたものも挙げられる。
更に好ましくは、5倍以上とするとよい。これにより、中軸の軸線方向の移動を、凹凸によってさらに確実に抑制することができる。
なお、被保持部における中軸の直径には、被保持部の直ぐ基端側に隣り合う凹凸が設けられていない部位の直径を代用して考えることもできる。
なお、各ローレットは、被保持部に転造で形成すると、容易に形成できるが切削等によることもできる。
なお、雄ねじ状の螺旋溝は、被保持部に転造で形成すると、容易に形成できる。
なお、各環状凸部あるいは環状凹部は、被保持部に切削あるいは転造で形成すると、容易に形成できる。
D/30≦f≦D/5 …(1)
図示しないディーゼルエンジン(内燃機関)に用いる本実施形態のグロープラグ2について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、グロープラグ2の全体を示す縦断面図であり、図2は、グロープラグ2のうち、先端部分を拡大して示す部分拡大断面図である。なお、図1及び図2において、グロープラグ2の軸線AXに沿う軸線方向DXのうち、ヒータ部10が配置された側(図中、下側)を軸線方向先端側XS(以下、単に先端側XSともいう)とし、これと反対側(図中、上側)を軸線方向基端側XK(以下、単に基端側XKともいう)として説明する。
図1に示すように、グロープラグ2は、ヒータ部10と、このヒータ部10の一部を、自身の先端(ハウジング先端31)から突出させて内部に保持する筒状のハウジング30とを備える。このうち、金属からなるハウジング30は、その外周面に、グロープラグ2をエンジン本体(図示しない)に取付ける際、このエンジン本体の取付孔内の雌ねじ部に螺合する雄ネジ部35と、トルクレンチ等の工具を係合させるための、断面が六角形状の工具係合部36とが形成されている(図1参照)。
なお、シースチューブ21の材質としては、ステンレス鋼材のほか、ニッケル基合金(例えば、インコネル(商標名))を用いることもできる。
また、制御コイル13は、発熱コイル12の材質よりも抵抗温度係数の大きいコバルト−ニッケル合金からなる発熱線を螺旋状に巻回したものである。この制御コイル13も、その巻線軸がシースチューブ21の軸線AXに一致して配置される。
従って、ヒータコイル11に通電すると、制御コイル13は、自身の発熱及び発熱コイル12からの受熱により昇温する。すると制御コイル13自身の電気抵抗値が増大するので、ヒータコイル11(制御コイル13自身及び発熱コイル12)を流れる電流が制限される。これにより、グロープラグ2(ヒータコイル11)の昇温特性は、通電初期に急速昇温した後、以降は制御コイル13の働きにより供給電力が抑制されて昇温が抑えられる。つまり、本実施形態のグロープラグ2では、制御コイル13の存在により、急速昇温性を高めつつ、発熱コイル12の過昇温(オーバーシュート)が生じにくくなるように構成されている。
制御コイル13には、発熱コイル12の材質よりも抵抗温度係数の大きい材質を用いれば良く、コバルト−ニッケル合金のほか、CoまたはNiを主成分とする材質を用いると良い。
なお、本実施形態では、中軸26のうち、コイル接続部26sに隣り合う被保持部26hの全周に、綾目ローレットが施されている(図1及び図2参照)。
本実施形態では、被保持部26hの外周面に綾目等のローレットを設けているので、中軸26に軸線方向DXの力が掛かっても、中軸26が軸線方向DXに移動することによるグロープラグ2の温度特性の変化を確実に抑制できる。
なお、ローレットは、被保持部26hに転造で形成すると、容易に形成することができる。
このため、絶縁粉末28を介して、シースチューブ21に保持される被保持部26hの長さLLが十分大きく確保できており、中軸26に軸線方向DXの力が掛った場合の中軸26の軸線方向DXの移動を、ローレット(凹凸)によって確実に抑制することができる。
まず、別途、中軸26を形成しておき、被保持部26hの外周面に転造による綾目ローレット加工を施して、被保持部26hに綾目ローレット(凹凸)を形成する。
また、別途形成しておいた発熱コイル12と制御コイル13とを、アーク溶接によって、接合した。次いで、中軸26のコイル接続部26sに、制御コイル13の制御コイル基端部13kを被せるように巻き付けた後、これらを溶接した。
簡単に説明すると、中軸26の先端部分にヒータコイル11(発熱コイル12と制御コイル13)を接続したものを、シースチューブ21となる円筒状の部材内に挿通し、アーク溶接によって、円筒状の部材の先端を閉塞して加工前のシースチューブを形成すると共に、この加工前のシースチューブの閉塞した部分とヒータコイル11の先端部11s(発熱コイル先端部12s)とを接合(接続)する。その後、加工前シースチューブ内に絶縁粉末28を充填し、環状のパッキン29でシールしたのち、加工前シースチューブの径方向外側からスウェージング加工を施す。このスウェージング加工により、加工前シースチューブが細径化されてシースチューブ21になると共に、シースチューブ21内で、絶縁粉末28が圧密化される。かくして、シースチューブ21,ヒータコイル11及び中軸26を一体化したヒータ部10ができあがる。
上述の実施形態のグロープラグ2では、中軸26の被保持部26hに、綾目ローレットの凹凸を設けて、被保持部26hを絶縁粉末28に軸線方向DXに係合させた例を示した。
このように本変形形態1では、被保持部126hの外周面に雄ネジ状の螺旋溝を設けているので、中軸126が軸線方向DXに移動することによるグロープラグ102の温度特性の変化を確実に抑制できる。
なお、雄ネジ形状は、被保持部126hに転造で形成すると、容易に形成することができる。
このため、絶縁粉末28を介して、シースチューブ21に保持される被保持部126hの長さLLが十分大きく確保できており、中軸126に軸線方向DXの力が掛った場合の中軸126の軸線方向DXの移動を、雄ネジ形状の螺旋溝(凹凸)によって確実に抑制することができる。
前述の実施形態のグロープラグ2では、中軸26の被保持部26hに、綾目ローレットの凹凸を、変形形態1のグロープラグ102では、中軸126の被保持部126hに、雄ネジ形状の凹凸を設けて、被保持部26h,126hを絶縁粉末28に軸線方向DXに係合させた例をそれぞれ示した。
本実施形態では、被保持部226hの外周面に矩形状の環状溝226mを複数本設けているので、中軸226が軸線方向DXに移動することによるグロープラグ202の温度特性の変化を確実に抑制できる。
このため、絶縁粉末28を介して、シースチューブ21に保持される被保持部226hの長さLLが十分大きく確保できており、中軸226に軸線方向DXの力が掛った場合の中軸226の軸線方向DXの移動を、矩形状の環状溝226m(凹凸)によって確実に抑制することができる。
次いで、本変形形態2のグロープラグ202における、環状溝226mの深さfを変化させた実施例1〜4及び比較例1,2に係るグロープラグを作製した。さらに中軸226の直径DをD=2.4mmとして、環状溝226mの深さfを変化させた実施例5〜8及び比較例3,4に係るグロープラグを作製した。
まず、実施例及び比較例に係る各グロープラグ202(各サンプル数N=30)の作製に先立ち、ハウジング30に圧入する直前の状態のヒータ部10(具体的には、 内部に発熱コイル12、制御コイル13及び中軸26と絶縁粉末28とを収容した加工前シースチューブに、スウェージング加工を行い、シースチューブ21の細径化及び充填した絶縁粉末28の圧密化を行ったもの)をそれぞれ用意する。そして、各ヒータ部10のシースチューブ21をチャックし、シースチューブ21から突出している中軸226(図1,図4参照)に、軸線方向基端側XKに引き抜くように1500Nの荷重をかける。この引き抜き試験の前後での、シースチューブ21のチューブ基端部21kから突出している中軸26の突出寸法の変化を、抜け量(mm)として測定した。なお、グロープラグ(ヒータ部10)の製造途中のスウェージング時に中軸が破断したために、「抜け量」を測定できないサンプルが生じた比較例2,4については、「−」として表示した。
さらに、引き抜き試験を行った各ヒータ部10をハウジング30に圧入する等して、グロープラグ202を作製する。このグロープラグ202について、常温、大気圧の環境下で、エンジンヘッド相当のジグに取り付け、11V×2sec印加後、定格電圧(5V)を28sec印加する通電試験を行い、30sec経過時のヒータ先端から2mm基端側の部位の温度を放射温度計で測定した。各サンプル(N=30)について得た温度のデータから、標準偏差の3倍(3σ)を、「温度ばらつき」とした。さらに、温度ばらつきが「30℃以下」の場合を「○」、温度ばらつきが「31−49℃」の場合を「△」、温度ばらつきが「50℃以上」の場合を「×」とした。なお、グロープラグの製造途中のスウェージング時に中軸が破断したサンプルが発生した比較例2,4については、「温度ばらつき」を測定、評価しないこととして、「−」と表示した。
特に、環状溝226mの深さfを、f≧D/30とした実施例2〜4においては、抜け量が0.35mm以下に大幅に小さくなり、温度ばらつき評価も「○」となった。
特に、環状溝226mの深さfを、f≧D/30以上とした実施例6〜8においては、抜け量が0.40mm以下に大幅に小さくなり、温度ばらつき評価も「○」となった。
実施形態、変形形態1,2では、被保持部26h,126h,226hの全周にわたって、綾目ローレット、雄ネジ形状の螺旋溝、あるいは環状溝を設けた例を示した。
しかし、中軸26等の被保持部26h等は、シースチューブ21等の内部に充填され圧縮された圧粉状態の絶縁粉末28に軸線方向DXに係合する形態であれば良く、例えば、中軸26等に掛かる軸線方向DXの力に抗して、中軸26等の軸線方向DXの移動を抑制できる凹凸を有する形態であれば良い。さらに具体的には、中軸26の被保持部26hの外周面に、軸線方向DXに径方向寸法が変動する凹凸を、少なくとも周方向の一部に設けた形態が挙げられる。具体的には、中軸の被保持部の外周面に、散点状に、半球状や三角錐、四角錐状の凸部を設けた形態のものが挙げられる。また、中軸の被保持部の外周面に、散点状に、半球状や三角錐、四角錐状の凹部を設けた形態のものも挙げられる。更には、中軸の被保持部の外周面に、散点状に、半球状などの凸部と凹部の両方を設けたものも挙げられる。
また、変形形態2では、環状溝226mを設けた例を示したが、環状溝(環状凹部)に代えて、被保持部に、被保持部から径方向外側に向けて環状に突出する複数の環状凸部を設けても、また、複数の環状凸部と複数の環状凹部の両者を設けても良い。
また、実施形態、変形形態1,2では、中軸26等に端子部材43を被せて固定した径チアのグロープラグ2等を示したが、中軸の基端部自身を、外部接続端子を接続する端子部として利用する形態のグロープラグに適用することもできる。
また、ヒータコイル11内に、予め棒状のセラミック材を配置した形態のヒータ部10を有するグロープラグにも適用することができる。
10 ヒータ部
11 ヒータコイル
11s (ヒータコイルの)先端部
11k (ヒータコイルの)基端部
11t (発熱コイルと制御コイルの)接続部
12 発熱コイル
12s 発熱コイル先端部
12k 発熱コイル基端部
13 制御コイル
13s 制御コイル先端部
13k 制御コイル基端部
21 シースチューブ
21s チューブ先端部
21k チューブ基端部
26,126,226 中軸
26s,12s,226s (中軸の)コイル接続部
26h,126h,226h (中軸の)被保持部
26k,126k,226k (中軸の)基端部
226m 環状溝(環状凹部)
28 絶縁粉末
29 パッキン
30 ハウジング
31 (ハウジングの)ハウジング先端
32 (ハウジングの)ハウジング基端
35 雄ネジ部
36 工具係合部
41 Oリング
42 絶縁ブッシュ
43 端子部材
AX (グロープラグ、ヒータコイルの)軸線
DX 軸線方向
XK 軸線方向基端側
XS 軸線方向先端側
Claims (4)
- 金属からなり、軸線に沿う軸線方向に延びるヒータコイルと、
上記ヒータコイルの上記軸線方向基端側に位置し、上記軸線方向に延びる棒状で金属製の中軸であって、
上記軸線方向先端に位置し、上記ヒータコイルと接続するコイル接続部を有する
中軸と、
金属からなり、上記中軸のうち上記軸線方向先端側の部位及び上記ヒータコイルを包囲する上記軸線方向先端側が閉じた有底筒状のシースチューブと、
上記シースチューブ内に充填された絶縁粉末と、を有する
グロープラグであって、
上記中軸のうち、上記コイル接続部の上記軸線方向基端側に隣り合って位置し、上記絶縁粉末に包囲された被保持部は、上記絶縁粉末に上記軸線方向に係合する形態とされ、上記絶縁粉末を介して上記シースチューブに保持されてなり、
前記被保持部は、その外周面に、綾目ローレット、斜めローレット、または、溝が周方向に延びる平目ローレットを設けた形態である
グロープラグ。 - 金属からなり、軸線に沿う軸線方向に延びるヒータコイルと、
上記ヒータコイルの上記軸線方向基端側に位置し、上記軸線方向に延びる棒状で金属製の中軸であって、
上記軸線方向先端に位置し、上記ヒータコイルと接続するコイル接続部を有する
中軸と、
金属からなり、上記中軸のうち上記軸線方向先端側の部位及び上記ヒータコイルを包囲する上記軸線方向先端側が閉じた有底筒状のシースチューブと、
上記シースチューブ内に充填された絶縁粉末と、を有する
グロープラグであって、
上記中軸のうち、上記コイル接続部の上記軸線方向基端側に隣り合って位置し、上記絶縁粉末に包囲された被保持部は、上記絶縁粉末に上記軸線方向に係合する形態とされ、上記絶縁粉末を介して上記シースチューブに保持されてなり、
前記被保持部は、その外周面に、雄ねじ状の螺旋溝を設けた形態である
グロープラグ。 - 金属からなり、軸線に沿う軸線方向に延びるヒータコイルと、
上記ヒータコイルの上記軸線方向基端側に位置し、上記軸線方向に延びる棒状で金属製の中軸であって、
上記軸線方向先端に位置し、上記ヒータコイルと接続するコイル接続部を有する
中軸と、
金属からなり、上記中軸のうち上記軸線方向先端側の部位及び上記ヒータコイルを包囲する上記軸線方向先端側が閉じた有底筒状のシースチューブと、
上記シースチューブ内に充填された絶縁粉末と、を有する
グロープラグであって、
上記中軸のうち、上記コイル接続部の上記軸線方向基端側に隣り合って位置し、上記絶縁粉末に包囲された被保持部は、上記絶縁粉末に上記軸線方向に係合する形態とされ、上記絶縁粉末を介して上記シースチューブに保持されてなり、
前記被保持部は、その外周面に、全周にわたり径方向に突出する環状凸部及び全周にわたり径方向に凹入する環状凹部の少なくともいずれかを、複数設けた形態である
グロープラグ。 - 請求項3に記載のグロープラグであって、
前記被保持部は、
前記環状凸部または前記環状凹部により、全周にわたり環状溝が形成されてなり、
上記環状溝は、溝の深さをf(mm)、前記中軸の前記被保持部における直径をD(mm)としたとき、下記式(1)を満たす形態である
グロープラグ。
D/30≦f≦D/5 …(1)
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