JP2017083103A - グロープラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】グロープラグにおいて、高温環境下での耐酸化性の確保と、高温環境下でのチューブと発熱コイルとの短絡の抑制と、を両立する。【解決手段】グロープラグは、閉塞した筒状のチューブと、チューブの内部に設けられるとともに、自身の先端がチューブの先端に電気的に接続され、通電によって発熱する発熱部材コイルと、チューブの内面と発熱部材コイルとの間に充填されたMgOを主成分とする絶縁材と、を備える。チューブを形成する合金は、50重量%以上のNiと、18重量%以上30重量%以下のCrと、Alと、YとZrとから選ばれた少なくとも一種の成分と、を含む。Alの含有量は、1重量%以下であり、YとZrとから選ばれた少なくとも一種の成分の含有量の合計は、0.01重量%以上0.3重量%以下である。【選択図】図1

Description

本明細書は、内燃機関等に利用されるグロープラグに関する。
従来から、内燃機関の始動補助などのために利用されるグロープラグとして、シースヒータを用いるグロープラグが知られている。シースヒータとしては、先端が閉塞した筒状のチューブと、チューブ内に設けられ、通電によって発熱する発熱コイルと、チューブの内面と発熱コイルとの間に充填されたマグネシア(MgO)と、を備える構成が知られている(例えば、特許文献2)。
特許文献1には、グロープラグのチューブの材料として、36から39重量%のニッケルと、20から23重量%のクロムと、鉄と、を主要な成分とし、0から0.5重量%のアルミニウムを含む合金が開示されている。
特許文献2には、グロープラグのチューブの材料として、50重量%を超えるニッケルと、クロムと、鉄と、を主要な成分とし、少量のアルミニウムを含む合金(具体的には、Ni−23Cr−14Fe−0.3Al−0.5Mn−0.2Si)が開示されている。
特表2014−522450号公報 国際公開第2011/162074号公報
しかしながら、近年、エミッションの低減や燃費向上のために、内燃機関の燃焼室内の更なる高温化が求められており、グロープラグについても更なる高温環境下での動作が求められている。動作時の温度が高くなるほど、酸化反応が進行しやすいので、チューブの材料には、より高い耐酸化性が求められる。このため、特許文献1に開示された合金では、耐酸化性に優れたニッケルの含有量が比較的少ないために、相対的に、耐酸化性に劣る鉄の含有量を多くなるので、高温環境下での耐酸化性を確保することは困難である。これに対して、特許文献2に開示された合金では、耐酸化性に優れたニッケルの含有量が50重量%を超えているので、特許文献1に開示された合金と比較して耐酸化性に優れている。
ここで、動作温度が高くなると、チューブに含まれるアルミニウムによってチューブ内に充填されたマグネシアが還元されやすくなる。チューブ内のマグネシアが還元されると、導電性のマグネシウムがチューブ内に生成されて、チューブと発熱コイルとの短絡を引き起こす可能性がある。このために、動作時の温度が高くなるほど、耐酸化性に加えて、アルミニウムによるマグネシアの還元を抑制することが求められる。
特許文献2に開示された合金では、アルミニウムの含有量が比較的少ないために、アルミニウムによるマグネシアの還元を抑制して、チューブと発熱コイルとの短絡を抑制することは可能かもしれないが、耐酸化性を十分に確保できない可能性があった。具体的には、特許文献2に開示された合金では、耐酸化性に優れたニッケルの含有量は50%を超えているものの、アルミニウムの含有量が比較的少ないために、アルミの酸化被膜が合金の表面に形成されにくくなる。この結果、高温環境下での耐酸化性を確保することは困難であった。
本明細書は、グロープラグにおいて、高温環境下での耐酸化性の確保と、高温環境下でのチューブと発熱コイルとの短絡の抑制と、を両立できる技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]先端が閉塞した筒状のチューブと、
前記チューブの内部に設けられるとともに、自身の先端が前記チューブの先端に電気的に接続され、通電によって発熱する発熱コイルと、前記チューブの内面と前記発熱コイルとの間に充填されたマグネシア(MgO)を主成分とする絶縁材と、を備えるグロープラグであって、
前記チューブを形成する合金は、
50重量%以上のニッケル(Ni)と、
18重量%以上30重量%以下のクロム(Cr)と、
アルミニウム(Al)と、
イットリウム(Y)とジルコニウム(Zr)とから選ばれた少なくとも一種の成分と、
を含み、
アルミニウム(Al)の含有量は、1重量%以下であり、
イットリウム(Y)とジルコニウム(Zr)とから選ばれた少なくとも一種の成分の含有量の合計は、0.01重量%以上0.3重量%以下であることを特徴とする、グロープラグ。
上記構成によれば、チューブを形成する合金は、50重量%以上のニッケルを含むので、ニッケルが50重量%未満である合金、例えば、鉄(Fe)を主成分とするFeベースの合金と比較して、耐酸化性に優れている。さらに、この合金は、18重量%以上30重量%以下のクロムを含んでいるので、酸化クロム(Cr)の被膜が十分に合金の表面に形成され、耐酸化性を向上できる。さらに、この合金は、アルミニウムの含有量が、1重量%以下に押さえられているので、マグネシアの還元を抑制できる。この結果、チューブと発熱コイルとが短絡する不具合を抑制することができる。
一方で、アルミニウムの含有量が1重量%以下に押さえられていることによって、合金の表面に形成されるアルミナ(Al)の被膜が減少するので、耐酸化性が低下し得るが、この合金は、イットリウムとジルコニウムとから選ばれた少なくとも一種の成分を、合計で0.01重量%以上0.3重量%以下だけ含んでいる。この結果、合金の表面に形成されるアルミナの被膜が減少することによる耐酸化性の低下分を補って、十分な耐酸化性を確保することができる。
このような合金を用いてチューブが形成されているので、このグロープラグは、高温環境下での耐酸化性の確保と、高温環境下でのチューブと発熱コイルとの短絡の抑制と、を両立できる。
[適用例2]適用例1に記載のグロープラグであって、
前記チューブを形成する前記合金は、さらに、
ケイ素(Si)とチタン(Ti)とマンガン(Mn)とから選ばれた少なくとも一種の成分を含み、
ケイ素(Si)とチタン(Ti)とマンガン(Mn)とから選ばれた少なくとも一種の成分の含有量の合計は、0.2重量%以上1.5重量%以下であることを特徴とする、グロープラグ。
ケイ素(Si)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)は、アルミニウム(Al)と異なり、酸化物の生成自由エネルギーが高温でもマグネシウムより大きいので、マグネシア(MgO)を還元し難い。さらに、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)は、酸化物の生成自由エネルギーがクロム(Cr)およびニッケル(Ni)より小さいので、少量の添加で合金の表面に酸化被膜(例えば、シリカ、酸化チタン、酸化マンガン)を形成できる。したがって、上記構成のグロープラグによれば、マグネシア(MgO)の還元を引き起こすことなく、さらに、チューブの耐酸化性を向上できる。また、合金の成形性が低下することもないので、チューブを容易に成形できる。
[適用例3]適用例1または2に記載のグロープラグであって、
前記チューブを形成する前記合金は、さらに、5重量%以上20重量%以下の鉄(Fe)を含むことを特徴とする、グロープラグ。
こうすれば、チューブの耐酸化性を低下させることなく、チューブの成形性を向上できる。
なお、本明細書に開示の技術は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、シースヒータ、シースヒータのチューブ、シースヒータのチューブ用の合金等の態様で実現することができる。
本発明の一実施形態としてのグロープラグを示す断面図である。 ヒータ部材800の先端近傍の拡大図である。
A.実施形態:
A1.グロープラグの構成:
本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態としてのグロープラグを示す断面図である。グロープラグ10は、図示しない内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン)の始動補助等のための熱源として機能する。具体的には、図示された軸線CLは、グロープラグ10の中心軸を示している。軸線CLと平行な方向を「軸線方向」とも呼ぶ。図中の第1方向D1と第2方向D2とは、軸線CLと平行であり、第2方向D2は、第1方向D1と反対の方向である。後述するように、通電によって発熱するヒータ部材800は、グロープラグ10の第1方向D1側の端部を形成している。以下、このような第1方向D1側を「先端側」とも呼び、第2方向D2側を「後端側」とも呼ぶ。また、グロープラグ10の種々の部材の第1方向D1側の端を「先端」とも呼び、第2方向D2側の端を「後端」とも呼ぶ。
グロープラグ10は、主体金具20と、中軸30と、Oリング50と、絶縁部材60と、端子部材80と、ヒータ部材800と、を含んでいる。
主体金具20は、軸線CLに沿って延びる貫通孔20xを有する筒状の部材であり、例えば、炭素鋼などの導電性の金属材料を用いて形成されている。主体金具20は、第2方向D2側の端部に形成された工具係合部28と、工具係合部28よりも第1方向D1側に設けられた雄ネジ部22と、雄ネジ部22よりも第1方向D1側の部分を形成する胴体部21と、を有している。工具係合部28は、グロープラグ10の脱着時に、図示しない工具と係合する部分である。雄ネジ部22は、図示しない内燃機関の取付孔の雌ネジに螺合するためのネジ山を含んでいる。
中軸30は、丸棒状の部材であり、例えば、ステンレス鋼などの導電性の金属材料を用いて形成されている。中軸30は、主体金具20の内部、すなわち、貫通孔20xに配置されている。中軸30の後端部319は、主体金具20の第2方向D2側の開口OP2から第2方向D2に向かって突出している。中軸30の先端側の部分は、後述するチューブ810の軸孔AHに挿入されている。
Oリング50は、環状の部材であり、ゴムなどの絶縁性の弾性材料を用いて形成されている。Oリング50は、主体金具20の開口OP2の近傍において、中軸30の外周面と、貫通孔20xを形成する主体金具20の内周面と、の間に、配置されている。
絶縁部材60は、樹脂などの絶縁性の材料を用いて形成されている。絶縁部材60は、筒状部62と、筒状部62の第2方向D2側に設けられたフランジ部68と、を有している。筒状部62は、主体金具20の開口OP2から、貫通孔20xに挿入されており、筒状部62の先端は、Oリング50に接触している。筒状部62に形成された貫通孔には、中軸30が挿通されている。フランジ部68は、主体金具20の後端面に接触している。Oリング50と絶縁部材60とによって、中軸30の後端側の部分が、主体金具20に対して固定されるとともに、中軸30と、主体金具20と、の間が電気的に絶縁される。
端子部材80は、キャップ状の部材であり、例えば、ニッケルやニッケル合金などの導電性の金属材料を用いて形成されている。端子部材80は、主体金具20よりも後端側に配置されている。なお、上記の絶縁部材60のフランジ部68は、端子部材80と、主体金具20と、の間に配置され、端子部材80と主体金具20との間を絶縁している。端子部材80には、中軸30の後端部319が挿入されている。端子部材80が加締められることによって、端子部材80が後端部319に固定されている。これにより、端子部材80と中軸30とは、電気的に接続されている。
ヒータ部材800は、主体金具20の先端部(具体的には、第1方向D1側の開口OP1)に、圧入されている。ヒータ部材800は、本実施形態では、通電によって発熱する発熱コイル820を含む、いわゆるシースヒータである。ヒータ部材800の第2方向D2側の一部は、貫通孔20xの先端側の開口OP1から、貫通孔20x内に、圧入されている。ヒータ部材800は、発熱コイル820、および、制御コイル830と、絶縁粉末840と、パッキン850と、それらの部材820、830、840、850を収容するチューブ810と、を含む。
チューブ810は、詳細は後述する導電性のNiベース合金を用いて形成されている。チューブ810は、例えば、軸線CLに沿って延びる軸孔AHを有し、軸線CLに沿って延びる円筒形状に成形されている。チューブ810の先端部(「先端部811」と呼ぶ)は、閉塞しており、チューブ810の後端部(「後端部819」と呼ぶ)は、開口している。
発熱コイル820は、螺旋状に形成された細線であり、本実施形態では、タングステンを用いて形成されている。発熱コイル820は、チューブ810の内部、具体的には、チューブ810の軸孔AHの先端側に、配置されている。発熱コイル820の先端部821は、チューブ810の先端部811に、溶接またはロウ付によって接合されており、電気的に接続されている。
制御コイル830は、螺旋状に形成された細線であり、本実施形態では、制御コイル830は、鉄とクロムとアルミニウム(Fe−Cr−Al)の合金を用いて、形成されている。なお、本明細書において、電気比抵抗の温度係数とは、常温(摂氏20度)と、昇温後の規定温度(昇温によって到達することが想定されている温度。例えば、摂氏1100度以上の温度)との間の電気比抵抗の差を、温度差で除した商である。制御コイル830は、チューブ810の内部、具体的には、チューブ810の軸孔AHにおける発熱コイル820より後端側に、配置されている。制御コイル830の先端部831は、発熱コイル820の後端部829に、溶接またはロウ付によって接合されており、電気的に接続されている。制御コイル830の後端部839は、チューブ810の軸孔AH内に挿入された中軸30の先端部321に、巻き付けられたうえで溶接によって接合されており、電気的に接続されている。
絶縁粉末840は、マグネシア(MgO、酸化マグネシウムとも呼ぶ)の粉末であり、チューブ810の内部、すなわち、チューブ810の軸孔AHに充填されている。換言すれば、絶縁粉末840は、チューブ810の内面(内周面)と、コイル820、830および中軸30との間に充填されている。
パッキン850は、リング状に形成された部材であり、フッ素ゴムなどの絶縁性の弾性材料を用いて形成されている。パッキン850は、チューブ810の後端部819と中軸30との間に配置されている。
パッキン850と絶縁粉末840とは、チューブ810と中軸30との間を、軸線CLを囲む全周に亘って、電気的に絶縁している。また、絶縁粉末840は、発熱コイル820と制御コイル830と中軸30とチューブ810との間の意図しない短絡を、抑制している。
図2は、ヒータ部材800の先端近傍の拡大図である。具体的には、図1に領域Xとして示す部位を拡大して示す断面図である。このグロープラグ10は、内燃機関のエミッションの低減や燃費向上のために、比較的高温での動作が想定されている。具体的には、チューブ810の先端近傍の表面温度の最大値は、摂氏1000度以上であることが好ましく、摂氏1100度以上であることがさらに好ましく、摂氏1200度以上であることが特に好ましい。発熱コイル820の温度は、チューブ810の表面温度より摂氏300度以上高くなるので、発熱コイル820の温度は、摂氏1300〜1500度に達する。このような高温環境下では、酸化反応が進行しやすいので、チューブ810の材料には、高い耐酸化性が求められる。さらに、このような高温環境下では、チューブ810内に重点されたマグネシアの還元反応が進行しやすい。チューブ810内のマグネシアが還元されると、導電性のマグネシウムがチューブ810内に生成される。このマグネシウムによって、チューブ810と発熱コイル820とが、先端部821とは異なる位置で導通する、いわゆる短絡が引き起こされ得る。このような短絡が発生すると、グロープラグ10は、本来の性能を発揮することができない。
チューブ810の表面と発熱コイル820と温度差を小さくして、発熱コイル820の温度を低く抑えるために、チューブ810の内面と、発熱コイル820と、の間隔は、比較的狭くされている。例えば、本実施形態において、チューブ810の内面と、発熱コイル820と、の間隔が、最小値ΔNtとなる位置は、図2に示すように、チューブ810の先端の閉塞した部分に、近い位置になる。本実施形態では、最小値ΔNtは、0.5mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがさらに好ましく、0.2mm以下であることが特に好ましい。
このように、特に、チューブ810の内面と発熱コイル820との間隔が狭い部位では、マグネシアの還元によりわずかなマグネシウムが生成されるだけで、上述した短絡が引き起こされ得る。
A2.製造方法
上記のグロープラグ10は、種々の方法で製造可能である。ヒータ部材800を作成する場合、製造者は、例えば、後述する合金製の金属板を深絞り加工を用いて筒状に成形することによって、チューブ810を作成する。製造者は、発熱コイル820と制御コイル830との溶接と、制御コイル830と中軸30との溶接と、を行って、発熱コイル820と制御コイル830と中軸30とを一体化する。製造者は、中軸30と一体化された制御コイル830および発熱コイル820を、チューブ810の内側に配置する。その後、製造者は、チューブ810の先端部811と発熱コイル820とを溶接する。例えば、チューブ810の外からのアーク溶接によって、チューブ810の先端部811と発熱コイル820の先端部821とが接合される。その後、製造者は、チューブ810の内側に絶縁粉末840を充填し、絶縁粉末840が充填されたチューブ810の後端側に、パッキン850を嵌め込む。
チューブ810の後端側にパッキン850を嵌め込んだ後、製造者は、チャックおよび回転ダイスを備えるスウェージング装置を用いて、ヒータ部材800に対してスウェージング加工を施すことによって、ヒータ部材800の径を調整する。スウェージング加工では、製造者は、ヒータ部材800に固定された中軸30をチャックに把持した後、チャックを移動させることによってヒータ部材800を軸線CLに沿って移動させながら、回転ダイスによってチューブ810の周囲に打撃を加える。これによって、ヒータ部材800の径は、所定の径に調整され、ヒータ部材800が完成される。
製造者は、完成したヒータ部材800を用いて、グロープラグ10を組み立てる。具体的には、製造者は、中軸30が固定されたヒータ部材800を、主体金具20の貫通孔20xに圧入することによって固定する。そして、製造者は、主体金具20の後端側の開口OP2に、Oリング50と絶縁部材60とを嵌め込む。そして、製造者は、端子部材80を加締めることによって、端子部材80を中軸30の後端部319に固定する。以上により、グロープラグ10が完成する。
A3.チューブ810の材料
チューブ810を形成する材料について説明する。チューブ810の材料は、50重量%以上のニッケル(Ni)を含む、いわゆるNiベースの合金である。この合金は、添加物として、18重量%以上30重量%以下のクロム(Cr)と、アルミニウム(Al)と、を含んでいる。アルミニウム(Al)の含有量は、1重量%以下である。この合金は、さらに、添加物として、イットリウム(Y)とジルコニウム(Zr)とから選ばれた少なくとも一種の成分と、を含んでいる。イットリウム(Y)とジルコニウム(Zr)とから選ばれた少なくとも一種の成分の含有量の合計は、0.01重量%以上0.3重量%以下である。
この合金を用いて、チューブ810を形成することによって、グロープラグ10は、高温環境下でのチューブ810の耐酸化性の確保と、高温環境下でのチューブ810と発熱との短絡の抑制と、を両立できる。
具体的には、チューブ810の材料は、50重量%以上のニッケルを含む、いわゆるNiベースの合金であるので、例えば、ニッケルが50重量%未満である合金、例えば、鉄(Fe)を主成分とするFeベースの合金と比較して、耐酸化性に優れている。例えば、Feベースの合金を採用すれば、ベースの合金の耐酸化性が不十分であるので、添加物を制御したとしても、十分な耐酸化性を得られない。
また、この合金は、18重量%以上のクロムを含んでいるので、酸化クロム(Cr)の被膜が十分に合金の表面に形成される。したがって、合金の耐酸化性を向上できる。
また、公知のエリンガム図(図示省略)に示されるように、比較的低温では、アルミナの標準生成自由エネルギー(ΔG)は、マグネシアのΔGより、十分に大きい。しかし、高温になるに連れて、アルミナとマグネシアのΔGの差は、小さくなり、非常に高温な環境下では、アルミナのΔGは、マグネシアのΔGより小さくなる。したがって、高温になるほど、アルミによってマグネシアが還元されやすくなる。この合金は、アルミニウムの含有量は、1重量%以下に押さえられているので、マグネシアの還元を抑制できる。この結果、マグネシアの還元によって生成される導電性のマグネシウムを介して、チューブ810と発熱とが短絡する不具合を抑制することができる。
一方で、アルミニウムの含有量が1重量%以下に押さえられていることによって、合金の表面に形成されるアルミナ(Al)の被膜が減少するので、耐酸化性が低下してしまう。この合金は、イットリウムとジルコニウムとから選ばれた少なくとも一種の成分を、合計で0.01重量%以上含んでいる。この結果、合金の表面に形成されるアルミナの被膜が減少することによる耐酸化性の低下分を補って、十分な耐酸化性を確保することができる。この理由は以下のように考えられる。イットリウムやジルコニウムは、合金の表面と、該表面に形成される酸化皮膜(アルミナや酸化クロム)と、の界面に集まりやすく、該界面にて、合金と酸化被膜との結合する楔として機能する。このために、イットリウムやジルコニウムを、ごく少量添加することで、合金と酸化被膜との結合が強化されて、合金の耐酸化性を向上することができる。
なお、耐酸化性の観点から、アルミナの被膜が少量でも形成されることが好ましいために、アルミニウムは、1重量%以下の範囲で、少量含まれることが好ましい。例えば、アルミニウムの含有量は、0.5重量%以上1重量%以下であることが、特に好ましい。
以上の説明から解るように、この合金を用いて、チューブ810を形成することによって、高温環境下での耐酸化性の確保と、高温環境下でのチューブ810と発熱との短絡の抑制と、を両立できる。
また、この合金において、クロムの含有量は、30重量%以下であるので、合金が過度に硬化されることもない。したがって、チューブ810の製造時の加工性が低下することもなく、チューブ810を容易に成形できる。
また、この合金において、イットリウムとジルコニウムとから選ばれた少なくとも一種の成分の合計は、0.3重量%以下である。ここで、イットリウムやジルコニウムは、ニッケルに微量しか固溶しない。そのため、ニッケルに対するイットリウムやジルコニウムの含有量が多すぎると、これらを主成分とする析出物が生成されてしまい、加工時に、これらの析出物を起点としたクラックが形成されるおそれがある。イットリウムとジルコニウムとから選ばれた少なくとも一種の成分の合計は、0.3重量%以下であれば、このようなクラックが形成されることもなく、チューブ810を容易に成形できる。
チューブ810を形成する合金は、さらに、ケイ素(Si)とチタン(Ti)とマンガン(Mn)とから選ばれた少なくとも一種の成分を含むことが好ましい。そして、ケイ素とチタンとマンガンとから選ばれた少なくとも一種の成分の含有量の合計は、0.2重量%以上1.5重量%以下であることが、好ましい。
ケイ素、チタン、マンガンは、アルミニウムと異なり、高温環境下でも、酸化物のΔGが高温でもマグネシウムより十分に大きいので、マグネシアを還元し難い。さらに、ケイ素、チタン、マンガンは、酸化物のΔGがクロムより小さいので、少量の添加で合金の表面に酸化被膜(例えば、シリカ、酸化チタン、酸化マンガン)を形成できる。したがって、さらに、ケイ素とチタンとマンガンとから選ばれた少なくとも一種の成分を、合計で0.2重量%以上含む合金を用いて、チューブ810を形成すれば、マグネシアの還元を引き起こすことなく、さらに、チューブ810の耐酸化性を向上できる。
また、ケイ素とチタンとマンガンとから選ばれた少なくとも一種の成分の合計が、1.5重量%を超えると、これらの元素による固溶強化によって、合金が過度に硬化する可能性がある。ケイ素とチタンとマンガンとから選ばれた少なくとも一種の成分の合計を、1.5重量%以下とすれば、合金が過度に硬化されることもないので、チューブ810の製造時の加工性が低下することもなく、チューブ810を容易に成形できる。
チューブ810を形成する合金は、さらに、5重量%以上20重量%以下の鉄(Fe)を含むことが好ましい。
鉄は、延性がニッケルより高く加工性が高い。したがって、さらに、鉄を5重量%以上含む合金を用いれば、合金の成形性を向上できるので、チューブ810を容易に成形できる。また、鉄の含有量は、20重量%以下とすれば、合金の耐酸化性を低下させることもない。したがって、チューブ810の耐酸化性を低下させることなく、合金の成形性を向上できるので、チューブをより容易に成形できる。
A4.評価試験:
グロープラグのサンプルを用いて、絶縁性、耐酸化性、加工性を評価する評価試験が実行された。評価試験では、表1に示すように、39種類のグロープラグのサンプル1〜39を作成した。各サンプルにおいて、チューブ810を形成する材料(合金)以外の構成は、上述したグロープラグ10のとおりであり、共通である。例えば、以下の事項は、各サンプル間で共通である。
絶縁粉末840の材料:MgO
発熱の材料:タングステン
制御コイル830:Fe−22重量%Cr−5重量%Al
チューブ810の内面と発熱コイルとの間隔の最小値ΔNt:0.2mm以下
なお、各サンプルについて、チューブ810は、厚さ0.6mmの板材を、外径5.15mm、軸線方向の長さ40mmに、深絞り加工することによって形成された(スウェージング加工前)。そして、スウェージング加工前のチューブ810を用いて、上述したスウェージング加工を含む行程を行うことで、各サンプルのヒータ部材800が製造された。
Figure 2017083103
39種類のサンプル1〜39では、チューブ810に用いられた合金が異なる。各サンプルに用いられた材料は、表1に示す添加元素(Fe、Cr、Al、Si、Mn、Ti、Y、Zr)の少なくとも一部を、表1に示す含有量(単位は、重量%)だけ含み、残りはニッケルで構成されたニッケルベース合金である。39種類のサンプル1〜39では、表1に示すように、添加元素の少なくとも一部の種類または含有量がそれぞれ異なる。39種類のサンプル1〜39のいずれにおいても、ニッケルの含有量は、50重量%以上である。
具体的には、サンプル1〜33、35〜39では、合金は、鉄を含んでおり、サンプル34では、合金は、鉄を含んでいない。鉄を含んでいるサンプル1〜33、35〜39では、鉄の含有量は、2重量%、5重量%、10重量%、14重量%、20重量%、25重量%のいずれかとされている。
全てのサンプル1〜39にて、合金は、クロムを含んでおり、クロムの含有量は、15重量%、18重量%、23重量%、30重量%、33重量%のいずれかとされている。
全てのサンプルサンプル1〜39にて、合金は、アルミを含んでおり、アルミの含有量は、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、1.1重量%、1.5重量%、2.5重量%のいずれかとされている。
全てのサンプル1〜39にて、合金は、ケイ素、マンガン、チタンのいずれかを含んでいる。ケイ素を含むサンプル1〜27、34〜39では、ケイ素の含有量は、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%、1.5重量%、2重量%のいずれかとされている。マンガンを含むサンプル28〜30では、マンガンの含有量は、0.2重量%、1.5重量%、2重量%のいずれかとされている。チタンを含むサンプル31〜33では、チタンの含有量は、0.2重量%、1.5重量%、2重量%のいずれかとされている。
サンプル1、5〜8では、合金は、イットリウムおよびジルコニウムのいずれも含んでいない。サンプル2〜4、9〜39は、イットリウムおよびジルコニウムの少なくとも一方を含んでいる。イットリウムを含むサンプル2〜4、9〜16、23〜39では、イットリウムの含有量は、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.3重量%、0.4重量%のいずれかとされている。ジルコニウムを含むサンプル2〜4、17〜24では、ジルコニウムの含有量は、0.01重量%、0.1重量%、0.3重量%、0.4重量%のいずれかとされている。
評価試験では、グロープラグ10の各サンプルの加熱と冷却とのサイクルを10000回繰り返す冷熱試験を行った。具体的には、1回のサイクルでは、チューブ810が室温(摂氏約25度)の状態で、グロープラグ10のサンプルへの通電をオンにすることによって、チューブ810の表面温度が2秒以内に摂氏1000度に到達するように、サンプルを加熱した。その後、チューブ810の表面温度を摂氏1050度に3分間維持した後に、サンプルへの通電をオフにすることによって、チューブ810の表面温度が室温になるまで、サンプルを冷却した。
冷熱試験後の各サンプルのヒータ部材800において、チューブ810と発熱コイル820との短絡が生じているかを確認した。具体的には、各サンプルの端子部材80と主体金具20との間の抵抗値が測定された。そして、抵抗値が、試験前と比較して基準値を下回っている場合には、チューブ810と発熱コイル820との短絡が生じていると判断し、抵抗値が、試験前と比較して基準値を下回っていない場合に、当該短絡が生じていないと判断した。
そして、短絡が生じていないサンプルの絶縁性の評価を「A」とし、短絡が生じているサンプルの絶縁性の評価を「C」とした。
さらに、冷熱試験後の各サンプルのヒータ部材800において、チューブ810の劣化の程度を調べた。具体的には、先端から軸線方向に所定長さL1だけ離れた位置(図2参照)におけるチューブ810の外径を、冷熱試験の前後で比較して、冷熱試験による外径の減少量を測定した。所定長さL1は、5mmとされた。そして、測定された外径の減少量に基づいて、チューブ810の肉厚の減少率が計算された。
そして、チューブ810の肉厚の減少率が10%未満であるサンプルの耐酸化性の評価を「A」とし、10%以上15%未満であるサンプルの耐酸化性の評価を「B」とし、15%以上であるサンプルの耐酸化性の評価を「C」とした。
さらに、評価試験では、各サンプルの合金で形成された厚さ0.6mmの板材を、外径5.15mm、軸線方向の長さ40mmのチューブ810に成形する深絞り加工を100回行った。これによって、サンプルごとに、スウェージング加工前のチューブ810を100個ずつ作成した。そして、各サンプルの100個のチューブ810について、深絞り加工による割れ(クラック)の有無を、目視で調べた。
そして、100個のチューブ810の全てについて、割れがなかったサンプルの加工性の評価を「A」とし、1個以上の割れが認められたサンプルの加工性の評価を「B」とした。
さらに、絶縁性、耐酸化性、加工性の3つの評価について、「A」を2点、「B」を1点、「C」を0点として、合計点を算出した。そして、合計点が6点のサンプルの総合評価を「A」とし、合計点が5点のサンプルの総合評価を「B」とし、合計点が4点以下のサンプルの総合評価を「C」とした。
評価試験の結果は、表1に示すとおりである。アルミニウムの含有量が、1重量%を超えるサンプル1〜5の絶縁性の評価は、いずれも「C」であった。アルミニウムによるマグネシアの還元が発生して、チューブ810と発熱コイル820との短絡が発生したと考えられる。アルミニウムの含有量が、1重量%以下であるサンプル6〜39の絶縁性の評価は、いずれも「A」であった。アルミニウムによるマグネシアの還元が発生せず、チューブ810と発熱コイル820との短絡が発生していない、と考えられる。
なお、アルミニウムの含有量が、1重量%を超えるサンプル1〜5の耐酸化性の評価は、イットリウムおよびジルコニウムの添加の有無とは無関係に、いずれも「B」であった。これは、アルミナの被膜が十分に形成されるために、イットリウムおよびジルコニウムの添加の有無に、関わらずに、耐酸化性が確保されていると考えられる。
アルミニウムの含有量が、1重量%以下であるサンプル6〜39のうち、イットリウムおよびジルコニアのいずれも含まないサンプル6〜8の耐酸化性の評価は、いずれも「C」であった。これは、アルミニウムの含有量が少ないために、アルミナの被膜が十分に形成されず、かつ、イットリウムまたはジルコニアによる合金表面と酸化被膜(例えば、アルミナや酸化クロム)との間の結合の強化もされていないためである、と考えられる。
アルミニウムの含有量が、1重量%以下であるサンプル6〜39のうち、イットリウムおよびジルコニアの少なくとも一方を、合計で0.01重量%以上含むサンプル9〜39の耐酸化性の評価は、サンプル10を除いて、いずれも「B」または「A」であった。これは、アルミニウムの含有量が少ないために、アルミナの被膜が十分に形成されていないが、これに起因する耐酸化性の低下が、イットリウムまたはジルコニアによる合金表面と酸化被膜との間の結合の強化によって、補われているためである、と考えられる。このために、これらのサンプル9〜39では、サンプル10を除いて、耐酸化性が低下していない。
これらのサンプル9〜39のうち、サンプル10は、耐酸化性の評価は、「C」であった。これは、イットリウムおよびジルコニアの少なくとも一方を、合計で0.01重量%以上含むとしても、クロムの含有量が15重量%であるために、酸化クロムの被膜が十分に形成されないためであると考えられる。
以上の結果から、チューブ810の形成に用いられる50重量%以上のニッケルベース合金は、以下の(1)〜(3)を満たすことが、耐酸化性の確保と、絶縁性の確保(短絡の防止)と、を両立する観点から好ましいことが、確認できた。
(1)18重量%以上のクロム(Cr)を含むこと
(2)アルミニウム(Al)を含み、アルミニウム(Al)の含有量は、1重量%以下であること
(3)イットリウム(Y)とジルコニウム(Zr)とから選ばれた少なくとも一種の成分と、を含み、イットリウムとジルコニウムとから選ばれた少なくとも一種の成分の含有量の合計は、0.01重量%以上であること
さらに、上記(1)〜(3)を満たすサンプル9、11〜39であっても、0.3重量%を超えるイットリウムを含むサンプル16、および、0.3重量%を超えるジルコニウムを含むサンプル22は、加工性の評価が「B」であった。また、サンプル9、11〜39のうち、イットリウムとジルコニウムの含有量が合計で0.3重量%以下であるサンプル9、11〜15、17〜21、23〜39は、後述するサンプル14、27、30、33〜35を除いて、加工性の評価が「A」であった。これは、サンプル16、22では、イットリウムまたはジルコニウムの含有量が多いために、合金が硬化したからであると考えられる。
同様に、上記(1)〜(3)を満たすサンプル9、11〜39であっても、30重量%を超えるクロムを含むサンプル14は、加工性の評価が「B」であった。また、サンプル9、11〜39のうち、クロムの含有量が合計で30重量%以下であるサンプル9、11〜13、15〜39は、上述のサンプル16、22、および、後述するサンプル27、30、33〜35を除いて、加工性の評価が「A」であった。これは、サンプル14では、クロムの含有量が多いために、合金が硬化したからであると考えられる。
以上の結果から、加工性の観点を加味すると、チューブ810の形成に用いられる合金は、さらに、以下の(4)、(5)を満たすことが好ましいことが、確認できた。
(4)クロムの含有量は、30重量%以下であること
(5)イットリウムとジルコニウムとから選ばれた少なくとも一種の成分の含有量の合計は、0.3重量%以下であること
さらに、上記(1)〜(3)を満たすサンプル9、11〜39のうち、ケイ素を0.2重量%以上含むサンプル25〜27、34〜39と、マンガンを0.2重量%以上含むサンプル28〜30と、チタンを0.2重量%以上含むサンプル31〜33の耐酸化性の評価は、後述するサンプル39を除いて、いずれも「A」であった。これに対して、上記(1)〜(3)を満たすサンプル9、11〜39のうち、ケイ素、チタン、マンガンの含有量が0.2重量%未満であるサンプル9、11〜24の耐酸化性の評価は、いずれも「B」であった。サンプル31〜38では、ケイ素、マンガン、チタンの酸化被膜が合金の表面に形成されたために、耐酸化性が向上したと考えられる。そして、これらのサンプル25〜38では、絶縁性の評価は、いずれも「A」であり、絶縁性の低下は認められなかった。ケイ素、マンガン、チタンは、マグネシアを還元しないためであると考えられる。なお、ケイ素、マンガン、チタンの役割は、同じであると考えられるために、ケイ素、マンガン、チタンの含有量は、これらの合計値を考慮すれば良いと考えられる。
以上の結果から、耐酸化性の確保と、絶縁性の確保(短絡の防止)と、を両立する観点から、チューブ810の形成に用いられる合金は、上記の(1)〜(3)に加えて、以下の(6)を満たすことが、さらに、好ましいことが、確認できた。
(6)ケイ素(Si)とチタン(Ti)とマンガン(Mn)とから選ばれた少なくとも一種の成分を含み、ケイ素とチタンとマンガンとから選ばれた少なくとも一種の成分の含有量の合計は、0.2重量%以上であること
さらに、上記(1)〜(6)を満たすサンプル25〜39であっても、1.5重量%を超えるケイ素を含むサンプル27、および、1.5重量%を超えるマンガンを含むサンプル30、および、1.5重量%を超えるチタンを含むサンプル33は、加工性の評価が「B」であった。これに対して、サンプル25〜39のうち、ケイ素、マンガン、チタンの含有量が、1.5重量%以下であるサンプル25、26、28、29、31、32、34〜39は、後述するサンプル34、35を除いて、加工性の評価は「A」であった。これは、サンプル27、30、33では、ケイ素またはマンガンまたはチタンの含有量が多いために、合金が硬化したためであると考えられる。
以上の結果から、加工性の観点を加味すると、チューブ810の形成に用いられる合金は、さらに、以下の(7)を満たすことが、さらに、好ましいことが、確認できた。
(7)ケイ素とチタンとマンガンとから選ばれた少なくとも一種の成分の含有量の合計は、1.5重量%以下であること
さらに、上記の(1)〜(7)を満たすサンプル25、26、28、29、31、32、34〜39のうち、鉄の含有量が5重量%未満のサンプル34、35の加工性の評価は「B」であった。これに対して、(1)〜(7)を満たすサンプル25、26、28、29、31、32、34〜39のうち、鉄の含有量が5重量%以上のサンプル25、26、28、29、31、32、36〜39の加工性の評価は「A」であった。これは、鉄の含有量が5重量%以上であれば、合金の延性が向上するために、加工性が向上するためであると考えられる。
さらに、上記の(1)〜(7)を満たすサンプル25、26、28、29、31、32、34〜39のうち、鉄の含有量が20重量%以下のサンプル25、26、28、29、31、32、34〜38の耐酸化性の評価は「A」であった。これに対して、(1)〜(7)を満たすサンプル25、26、28、29、31、32、34〜39のうち、鉄の含有量が20重量%を超えるサンプル39の耐酸化性の評価は「B」であった。これは、鉄の含有量が20重量%を超えると、耐酸化性に劣る鉄の影響で合金の耐酸化性が低下し得るが、鉄の含有量が20重量%未満であれば、耐酸化性の低下は生じないことを示している。
以上の結果から、チューブ810の形成に用いられる合金は、さらに、以下の(8)を満たすことが、さらに、好ましいことが、確認できた。
(8)5重量%以上20重量%以下の鉄(Fe)を含むこと
なお、最後に総合評価について説明する。上記(1)〜(5)を少なくとも満たすサンプル9、11〜13、15、17〜21、23〜39の総合評価は、「B」または「A」であった。上記(1)〜(5)のうちの少なくとも1個を満たさないサンプル1〜8、10、14、16、22の総合評価は、「C」であった。
以上から、総合的に見て、上記チューブ810を形成に用いられる合金は、上記(1)〜(5)を満たすことが好ましいことが解った。
さらには、上記(1)〜(5)を少なくとも満たすサンプル9、11〜13、15、17〜21、23〜39のうち、さらに、(6)〜(8)を満たすサンプル25、26、28、29、31、32、36〜38の総合評価は、「A」であった。
以上から、総合的に見て、上記チューブ810を形成に用いられる合金は、さらに、(6)〜(8)を満たすことが、特に好ましいことが解った。例えば、耐酸化性の観点からは、さらに、(6)を満たすことが、特に好ましく、加工性の観点からは、さらに、(7)、(8)のいずれかを満たすことが好ましい。
B.変形例:
(1)グロープラグ10の構成としては、上記実施形態にて説明した構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、発熱コイル820は、タングステンを用いて形成されているが、これに限られない。例えば、発熱コイル820は、タングステンと他の成分(例えば、レニウムやクロム)とを含む合金を用いて形成されても良く、モリブデンまたはモリブデンと他の成分とを含む合金を用いて形成されても良い。
また、制御コイル830は、Fe−Cr−Al合金を用いて、形成されているが、これに限られない。例えば、制御コイル830は、タングステンを用いて形成されても良い。
また、絶縁粉末840は、マグネシアに限らず、マグネシアと他の成分(例えば、他のセラミックス)とを含む材料で形成されても良い。一般的には、絶縁粉末840は、マグネシアを主成分とする絶縁材料で形成されていれば良い。マグネシアを主成分とするとは、絶縁粉末840に占める重量%が最も多い成分がマグネシアであることを意味する。
また、上記実施形態では、制御コイル830と発熱コイル820との2個のコイルを用いているが、これに代えて、制御コイル830は省略され、発熱コイル820が直接的に中軸30に接続されていても良い。
(2)上記実施形態のグロープラグ10の製造方法は、一例であり、種々の製造方法が採用可能である。例えば、ヒータ部材800の製造において、スウェージング加工は、省略されても良い。また、チューブ810は、深絞り加工に限らず、例えば、金属板を丸めてアーク溶接する方法で形成されても良い。
(3)上記実施形態のグロープラグは、内燃機関の始動補助のために利用されるグロープラグに限らず、種々のグロープラグに適用可能である。例えば、排気ガスを昇温するための排気ガスヒータ装置や、触媒やディーゼル粒子フィルタ(DPF: Diesel Particulate Filter)を再活性化するためのバーナーシステムや、冷却水を昇温するためのウォータヒータ装置等の種々の装置に利用されるグロープラグに、上記実施形態のグロープラグを適用可能である。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
10...グロープラグ、20...主体金具、20x...貫通孔、21...胴体部、22...雄ネジ部、28...工具係合部、30...中軸、50...Oリング、60...絶縁部材、62...筒状部、68...フランジ部、80...端子部材、319...後端部、321...先端部、800...ヒータ部材、810...チューブ、811...先端部、819...後端部、820...発熱コイル、821...先端部、829...後端部、830...制御コイル、831...先端部、839...後端部、840...絶縁粉末、850...パッキン

Claims (3)

  1. 先端が閉塞した筒状のチューブと、
    前記チューブの内部に設けられるとともに、自身の先端が前記チューブの先端に電気的に接続され、通電によって発熱する発熱コイルと、前記チューブの内面と前記発熱コイルとの間に充填されたマグネシア(MgO)を主成分とする絶縁材と、を備えるグロープラグであって、
    前記チューブを形成する合金は、
    50重量%以上のニッケル(Ni)と、
    18重量%以上30重量%以下のクロム(Cr)と、
    アルミニウム(Al)と、
    イットリウム(Y)とジルコニウム(Zr)とから選ばれた少なくとも一種の成分と、
    を含み、
    アルミニウム(Al)の含有量は、1重量%以下であり、
    イットリウム(Y)とジルコニウム(Zr)とから選ばれた少なくとも一種の成分の含有量の合計は、0.01重量%以上0.3重量%以下であることを特徴とする、グロープラグ。
  2. 請求項1に記載のグロープラグであって、
    前記チューブを形成する前記合金は、さらに、
    ケイ素(Si)とチタン(Ti)とマンガン(Mn)とから選ばれた少なくとも一種の成分を含み、
    ケイ素(Si)とチタン(Ti)とマンガン(Mn)とから選ばれた少なくとも一種の成分の含有量の合計は、0.2重量%以上1.5重量%以下であることを特徴とする、グロープラグ。
  3. 請求項1または2に記載のグロープラグであって、
    前記チューブを形成する前記合金は、さらに、5重量%以上20重量%以下の鉄(Fe)を含むことを特徴とする、グロープラグ。
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