JP5301035B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

この発明は、スパークプラグに関し、さらに詳しくは、例えば、抵抗溶接により接地電極が主体金具の端部に大きな溶接強度で結合されてなる内燃機関用のスパークプラグに関する。
自動車エンジン等の内燃機関に使用されるスパークプラグは、通常、内燃機関の燃焼室に配置される中心電極と、この中心電極と火花放電間隙を介して対向するように配置された接地電極とを備えている。このようなスパークプラグは、内燃機関の燃焼室内で前記火花放電間隙で火花放電させることによって、燃焼室内に供給された燃料を燃焼させる。スパークプラグの各電極は高温に達する燃焼室に配置されているので、通常、耐熱性等に優れたNi基合金等で形成されている。
このようなスパークプラグは、通常、主体金具の端部に接地電極が電気抵抗溶接されて成るが、十分な溶接強度で接地電極を主体金具に電気抵抗溶接することができないことがあり、火花放電間隙を調整する際又はスパークプラグの製造後若しくは使用中に、接地電極と主体金具との溶接部が破断・損傷することがある。例えば、特許文献1の0046欄には、「ビッカース硬度が220以上のものでは、曲げ加工性が悪く、曲げ加工時に溶接界面から剥離または破断が発生した。このように、接地電極の耐折損性と曲げ加工性とを両立させることは困難であるため、従来の接合方法では、高硬度の接地電極を適切にハウジングに接合することはできない。」と記載されている。
そのため、主体金具と接地電極との溶接状態及び溶接方法等がいくつか提案されている。例えば、接地電極をハウジングに接合する前に予め曲げ加工する方法(特許文献1参照。)、接地電極をハウジングに沈み込ませて溶接面積を増加し溶接強度を高めたスパークプラグ(特許文献2参照。)、主体金具に関する寸法、又は、接地電極の取付角度を規定して溶接強度を確保したスパークプラグ(特許文献3参照。)等が挙げられる。
特開2003−229231号公報 特開2005−251727号公報 特開2005−228562号公報
ところで、スパークプラグは火花放電間隙で火花放電するから、スパークプラグの各電極には、耐熱性に加えて耐火花消耗性等も要求される。耐火花消耗性を向上させると目される材料としては、例えば、Ni含有率が高いNi基合金等が挙げられる。このようなNi基合金で形成された接地電極は高い耐火花消耗性を発揮することができるが、その一方で、Ni含有率がそれほど高くないNi基合金等に比べるとより一層溶接しにくく、接地電極と主体金具とを電気抵抗溶接するには接地電極と主体金具とに大電流を流す等の対策が採られることがある。しかし、このような対策を採っても、十分な溶接強度で接地電極を主体金具に電気抵抗溶接することができない場合があった。
この発明は、接地電極が強固に電気抵抗溶接されて成るスパークプラグを提供することを目的とする。
発明者らは、広範なNi含有率を有する各Ni基合金で形成された接地電極と主体金具との溶接状態について種々検討したところ、溶接強度が小さいのは、電気抵抗溶接される接地電極近傍の、電気抵抗溶接時の熱によって主体金具の硬度が高くなる領域が原因であることを突き止めた。その理由として、発明者らは、この硬度の高い領域には高硬度化による熱残留応力が生じ、及び/又は、電気抵抗溶接時に高硬度化によって体積が膨張して接地電極と主体金具との溶接界面に残留引張り応力等の残留応力が生じているためではないかと推測した。さらに、残留応力歪に金属溶存水素が凝集して硬度の高い領域が脆化し、また、硬度の高い領域と電気抵抗溶接する前の硬度が変化していない領域との界面にも残留応力が生じているためではないかとも推測した。
さらに、発明者らは、接地電極と主体金具とを電気抵抗溶接すると、接地電極と主体金具とに大電流を流すことから主体金具に硬度の高い領域が必然的に形成されてしまうものの、その硬度の高い領域を小さくすれば、接地電極と主体金具とを十分な溶接強度で電気抵抗溶接することができるものと推測した。
発明者らは、前記発見及び予想に基づく前記硬度の高い領域についての更なる検討の結果、スパークプラグにおいて、電気抵抗溶接時の荷重方向における長さが所定の範囲内となるように硬度の高い領域が主体金具に形成されていると、従来のNi基合金だけでなく、たとえNi含有率が高いNi基合金で接地電極が形成されていても、接地電極と主体金具との高い溶接強度が発現していることを見出した。特に、発明者らは、ビッカース硬度が3×10Hv以上5×10Hv以下の範囲内にある高硬度領域の前記長さが0.3mm以上0.8mm以下の範囲内にあると、接地電極と主体金具との高い溶接強度が発現することを見出した。
したがって、前記課題を解決するための手段は、
(1) 筒状の主体金具と、前記主体金具の端部に電気抵抗溶接された接地電極とを備えて成るスパークプラグであって、
前記主体金具は、前記端部にビッカース硬度が3×10Hv以上5×10Hv以下の範囲内にある高硬度領域を有し、かつ、
前記高硬度領域は、前記スパークプラグの軸線と前記接地電極の軸線とを含む平面で切断した断面において、前記接地電極側の溶接界面から前記主体金具側の溶接界面までの、電気抵抗溶接時の荷重方向における長さdが0.3mm以上0.8mm以下の範囲内にあることを特徴とするスパークプラグである。
このスパークプラグにおける好適な態様として、以下の態様が挙げられる。
(2) 前記長さdが0.4mm以上0.6mm以下の範囲内にある。
(3) 前記(1)又は(2)に係るスパークプラグにおいて、前記高硬度領域が針状のマルテンサイト組織を少なくとも含む。
(4) 前記(1)〜(3)のいずれか一つに係るスパークプラグにおいて、前記接地電極は、一種類の電極材料により形成される単一構造、或いは、前記電極材料により形成される外層と、当該外層により内包され、かつ当該外層よりも熱伝導率の高い内層とにより形成される層構造である。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれか一つに係るスパークプラグにおいて、前記電極材料は、室温における比抵抗値が7μΩ・cm以上20μΩ・cm以下の範囲内にある。
(6) 前記(1)〜(5)のいずれか一つに係るスパークプラグにおいて、前記電極材料は、1000℃における比抵抗値が48μΩ・cm以上60μΩ・cmの範囲内にある。
(7) 前記(1)〜(6)のいずれか一つに係るスパークプラグにおいて、
前記電極材料は、Niを96質量%以上含有し、
Yと希土類元素とからなる群より選択される少なくとも1種を合計で0.05質量%以上0.45質量%以下、Mnを0.05質量%以上、及びTiとVとNbとからなる群より選択される少なくとも1種を合計で0.01質量%以上含有し、かつMnの含有量(b)とTi、V、及びNbの合計含有量(a)との比(a/b)が0.02以上0.40以下である。
(8) 前記(1)〜(7)のいずれか一つに係るスパークプラグにおいて、前記電極材料は、前記Niと、前記Y及び前記希土類元素の少なくとも1種との金属間化合物を有する。
この発明は、主体金具の端部にビッカース硬度が3×10Hv以上5×10Hv以下の範囲内の高硬度領域を有し、かつ、この高硬度領域は、スパークプラグの軸線と接地電極の軸線とを含む平面で切断した断面において、接地電極側の溶接界面から主体金具側の溶接界面までの、電気抵抗溶接時の荷重方向における長さdが0.3mm以上0.8mm以下、特に0.4mm以上0.6mm以下の範囲にあるので、接地電極が主体金具に強固に電気抵抗溶接されて成るスパークプラグを提供することができる。
この発明は、前記高硬度領域に針状のマルテンサイト組織が含まれていると、接地電極と主体金具とがよりいっそう大きな溶接強度で接合されることとなり、故障等の少ないスパークプラグを提供することができる。
この発明は、接地電極を形成する電極材料の室温における比抵抗値が7μΩ・cm以上20μΩ・cm以下の範囲内にあると、接地電極と主体金具とがよりいっそう大きな溶接強度で接合されることとなり、溶接部分が高強度になったスパークプラグを、提供することができる。なお、前記比抵抗値が小さすぎると、電気抵抗溶接がしにくくて接地電極と主体金具との溶接強度が小さくなることがあり、一方、前記比抵抗値があまり大きすぎると、高硬度領域が大きくなりすぎかえって前記溶接強度が低下することがある。
この発明は、接地電極を形成する電極材料の1000℃における比抵抗値が48μΩ・cm以上60μΩ・cm以下の範囲内にあると、抵抗溶接における電極自体の消耗が少なく、溶接品質が安定化して大きな溶接強度で接地電極と主体金具とが接合されたスパークプラグを、提供することができる。
この発明における前記接地電極としては、Ni基合金等一種類の電極材料により形成される単一構造の接地電極だけでなく、前記電極材料により形成される外層と、この外層により内包され、かつこの外層よりも熱伝導率の高い材料すなわち比抵抗値が低い材料により形成される内層とから形成される層構造の接地電極も適用できる。この層構造としては、2層に限らず、内層により内包され、内層とは別の材料により形成される少なくとも1つの層乃至芯部がさらに形成されることにより、3層又は4層以上の層構造の接地電極であってもよい。
本発明における接地電極と主体金具との溶接は電気抵抗溶接によって接合されるが、接地電極の電極取りはその外周をチャックすることで行なわれる。従って、溶接時に流れる電流は接地電極の外周部を主に流れることになる。また、内層を形成する材料(以下において芯材と称することもある。)としてはCuもしくはCu合金や純Niが用いられることが好ましいが、外層より熱伝導率が高い為、溶接(接合)の駆動力となる接触抵抗加熱が瞬時に放熱されてしまう。つまり芯材は溶接力に寄与しないこととなる。以上のことから、内部に芯材を有した接地電極の場合には、内層より熱伝導率の低い外層の物性が溶接強度に影響を及ぼす。その物性因子としては、上述した因子に同じく、前記接地電極の外層の、室温における比抵抗値及び1000℃における比抵抗値が挙げられる。この発明は、前記接地電極の外層の室温における比抵抗値が7μΩ・cm以上20μΩ・cm以下の範囲内にあること、前記接地電極の外層の1000℃における比抵抗値が48μΩ・cm以上60μΩ・cm以下の範囲内にあることにより、抵抗溶接における電極自体の消耗が少なく、溶接品質が安定化して大きな溶接強度で接地電極と主体金具とが接合されたスパークプラグを、提供することができる。
この発明は、前記電極材料が、Niを96質量%以上含有し、
Yと希土類元素とからなる群より選択される少なくとも1種を合計で0.05質量%以上0.45質量%以下、Mnを0.05質量%以上、及びTiとVとNbとからなる群より選択される少なくとも1種を合計で0.01質量%以上含有し、かつMnの含有量(b)とTi、V、及びNbの合計含有量(a)との比(a/b)が0.02以上0.40以下であることにより、高硬度領域における長さdを0.3mm以上0.8mm以下の範囲内に容易に調整することができ、溶接強度の大きなスパークプラグを、提供することができる。
この発明は、前記電極材料が、前記Niと、前記Y及び前記希土類元素の少なくとも1種との金属間化合物を有していると、十分な量の金属間化合物を接地電極の粒界に析出させることができるので、粒成長を抑制することができ、粒成長の抑制は接地電極の強度、ひいては主体金具との溶接強度をより一層高めることができる。結局、この発明によると、高温にさらされても接地電極と主体金具とを溶接してなる溶接部の劣化が少なくて溶接強度の大きなスパークプラグを、提供することができる。
図1は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグを示す説明図であり、図1(a)はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグの一部断面全体説明図であり、図1(b)はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグの主要部分を示す断面説明図である。 図2は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグを、その軸線と接地電極の軸線とを含む平面で切断した断面を示す一部拡大断面図である。 図3は、この発明に係るスパークプラグの別の一実施例であるスパークプラグの一部断面全体説明図である。 図4は、この発明に係るスパークプラグの別の一実施例であるスパークプラグを、その軸線と接地電極の軸線とを含む平面で切断した断面を示す一部拡大断面図である。 図5は、この発明に係るスパークプラグのさらに別の一実施例であるスパークプラグを、その軸線と接地電極の軸線とを含む平面で切断した断面を示す一部拡大断面図である。
この発明に係るスパークプラグは、筒状の主体金具と、この主体金具の端部に電気抵抗溶接された接地電極とを備えて成る。この発明に係るスパークプラグは、このような構造を有するスパークプラグであれば、その他の構造は特に限定されず、公知の種々の構造を採ることができる。
この発明の一実施例であるスパークプラグを図1及び図2に示す。このスパークプラグ1は、図1及び図2に示されるように、略棒状の中心電極2と、中心電極2の外周に設けられた略円筒状の絶縁体3と、絶縁体3を保持する円筒状の主体金具4と、一端が中心電極2の先端面と火花放電間隙Gを介して対向するように配置されると共に他端が主体金具4の端部に設けられた接地電極6とを備えている。このスパークプラグ1において、便宜上、主体金具4における接地電極6が設けられる一方の端部側(例えば、図1(a)における紙面下方側)を先端方向と称し、他方の端部側(例えば、図1(a)における紙面上方側)を後端方向と称する。
前記主体金具4は、図1に示されるように、円筒状を成しており、絶縁体3を内装することにより絶縁体3を保持するように形成されている。主体金具4における先端方向の外周面にはネジ部9が形成されており、このネジ部9を利用して図示しない内燃機関のシリンダヘッドにスパークプラグ1が装着される。主体金具4は、導電性の鉄鋼材料、例えば、低炭素鋼により形成されることができる。
前記絶縁体3は、図1及び図2に示されるように、主体金具4の内周部に例えば滑石(タルク)10及びパッキン11を介して保持されており、絶縁体3の軸線方向に沿って中心電極2を保持する軸孔を有している。絶縁体3は、その先端方向の端部が主体金具4の先端面から突出した状態で、主体金具4に固着されている。絶縁体3は、熱を伝えにくい材料で形成されていればよく、このような材料として、例えば、アルミナを主体とするセラミック焼結体が挙げられる。
前記中心電極2は、図1及び図2に示されるように、外材7と、外材7の内部の軸心部に同心的に埋め込まれるように形成されてなる内材8とにより形成されている。中心電極2は、その先端方向の端部が絶縁体3の先端開口部から突出した状態で絶縁体3の軸孔に固定されており、主体金具4に対して絶縁保持されている。この端部は、図1(b)及び図2に示されるように、絶縁体3の先端開口部から円錐台の周側面のように縮径、次いで円筒体状に形成されている。この中心電極2は、公知の材料で形成されてもよく、接地電極6を形成する電極材料で形成されてもよい。中心電極2が公知の材料で形成される場合は、例えば、外材7が公知のNi合金等で形成され、内材8が銅(Cu)又は銀(Ag)等の熱伝導性に優れた金属材料により形成される。
前記接地電極6は、例えば、中間で曲げられることにより全体として略L字に形成された角柱体に形成されてなり、図1及び図2に示されるように、一端が主体金具4の先端面41に電気抵抗溶接され、他端が中心電極2の軸線方向に位置するように、その形状及び構造が設計されている。接地電極6がこのように設計されることによって、接地電極6の他端が中心電極2と火花放電間隙Gを介して対向するように配置されている。火花放電間隙Gは、中心電極2の先端面と接地電極6の表面との間の間隙であり、この火花放電間隙Gは、通常、0.3mm以上1.5mm以下の範囲内に設定される。
なお、図1及び図2に示される接地電極6は、一種類の電極材料により形成されて成る単一構造を有するが、図5に示されるように、外層63と、この外層63により内包され、かつ、この外層63よりも熱伝導率の高い内層64とにより形成される2層構造であってもよい。また、図示はしないが、接地電極は、さらに内層の内部に芯部を有する3層構造であってもよく、4層以上の層構造であってもよい。外層63は、公知の材料により形成されてもよいが、前述したように、外層63の物性が溶接強度に影響を及ぼすことから、後述する接地電極6を形成する電極材料で形成されるのが好ましい。内層64は、外層63よりも熱伝導率が高い材料で形成され、例えば、Cu、Cu合金等により形成されるとよい。接地電極が3層構造の場合には、内層の内部にある芯部は、純Niにより形成されるとよい。また、図5に示す接地電極6’’は、内層64が接地電極6’’の基端部から先端付近まで延在し、次第に縮径されているが、内層64の存在する領域は、要求される性能によって適宜設定される。
主体金具4は、図2に示されるように、接地電極6が電気抵抗溶接された端部に高硬度領域42を有している。この高硬度領域42は、電気抵抗溶接時に接地電極6と主体金具4とに流される電流により発熱した熱で主体金具4の前記端部近傍が加熱されることによって、主体金具4が固相変態して硬度が高くなった領域である。高硬度領域42は、通常、電気抵抗溶接すると溶接部近傍に形成される。
このスパークプラグ1は、前記したように、主体金具4の軸線方向に荷重をかけた状態で接地電極6が主体金具4の端面41に電気抵抗溶接されているから、高硬度領域42は、図2に示されるように、電気抵抗溶接する際に発生する熱の拡散方向、例えば、主体金具4の軸線方向に延びるように形成される。なお、図2に示される接地電極6は主体金具4の端面に抵抗溶接されてなるが、この発明においては、図4に示されるように、主体金具の端部における周側面に接地電極が抵抗溶接により接合されていてもよい。この場合、主体金具の端部における外側周側面及び端面において開口すると共に主体金具の中心軸線に平行に形成された装着用溝に接地電極を装着し、この接地電極に対して、主体金具の中心軸線に直交する方向に向う加圧力を加えつつ電気抵抗溶接をすることにより、主体金具の端部における周側面に、接地電極を、装着することができる。
主体金具の端面又は端部における外側周側面のいずれに接地電極が形成されていようと、主体金具における高硬度領域は、接地電極と主体金具との溶接界面すなわち接地電極側の溶接界面、及び、高硬度領域と電気抵抗溶接によっても硬度が変化しない領域との界面すなわち主体金具の内部に形成されている溶接界面で囲まれる領域として現われる。
図2に示されるスパークプラグ1にあっては、スパークプラグ1の軸線1cと接地電極6の軸線6cとを含む平面で切断した断面における高硬度領域42は、接地電極6側の溶接界面61と主体金具4側の溶接界面43とで囲まれる領域として現われている。
この溶接界面61と溶接界面43とは、接地電極6と主体金具4との溶接部の断面をエッチング処理してからその断面を金属顕微鏡で観察することにより、見分けることができる。
この高硬度領域42は、3×10Hv以上5×10Hv以下の範囲内にあるビッカース硬度を有する。ビッカース硬度は、JIS Z2244に規定された微小ビッカース硬さ試験方法に準拠して、測定対象部に対面角α=136°の正四角錐の圧子を490mNの荷重で押し込んで測定したときの値である。
高硬度領域42は、図2に示されるように、スパークプラグ1の軸線1cと接地電極6の軸線6cとを含む平面で切断した断面において、接地電極6側の溶接界面61から主体金具4側の溶接界面43までの、電気抵抗溶接時の荷重方向Dに沿う長さdが0.3mm以上0.8mm以下の範囲にある。換言すると、スパークプラグ1は、その軸線1cと接地電極6の軸線6cとを含む平面で切断した断面において、接地電極6側の溶接界面61から主体金具4側の溶接界面43までの、電気抵抗溶接時の荷重方向Dにおける長さdが0.3mm以上0.8mm以下の範囲になる高硬度領域42を、主体金具4の端部に有している。前記長さdが0.3mm未満であると、そもそも接地電極6が主体金具4に電気抵抗溶接されないことがあり、0.8mmを超えると、接地電極6が主体金具4に電気抵抗溶接されても、その溶接強度が小さいことがある。高硬度領域の存在を示す前記長さdは、接地電極6と主体金具4とのより一層強固な溶接強度を発現することができる点で、0.35mm以上0.65mm以下の範囲が好ましく、0.4mm以上0.6mm以下の範囲がより好ましく、0.45mm以上0.55mm以下の範囲が特に好ましい。ここで、前記長さdは、電気抵抗溶接時の荷重方向Dに沿う最大の長さであり、スパークプラグ1においては、前記軸線6c(電気抵抗溶接時の荷重方向Dと一致している。)の延長線上の長さになっている。
前記長さdは、例えば、次のようにして測定される。スパークプラグ1の軸線1cと接地電極6の軸線6cとを含む平面でスパークプラグ1を切断してなる断面(図2参照。)を、例えばエッチング処理してからその断面を金属顕微鏡で観察して撮影する。撮影した断面写真において、接地電極6が電気抵抗溶接されたときの荷重方向Dを、決定する。次いで、この断面写真において、特定された接地電極6側の前記溶接界面61から主体金具4側の前記溶接界面43までの、接地電極における軸線上の長さを計測してその長さを前記長さdとする。
高硬度領域42は、針状のマルテンサイト組織を含有しているのが好ましい。このマルテンサイト組織が存在しても、前記高硬度領域を示す長さdが0.8mmを超えると、接地電極と主体金具との溶接部における溶接強度が低下することがある。また、マルテンサイト組織が存在しても、前記高硬度領域を示す長さdが0.3mm未満であると、接地電極と主体金具との溶接部における溶接強度が低下することがある。前記高硬度領域を示す長さdが0.3mm以上0.8mm以下、好ましくは0.4mm以上0.6mm以下であり、かつマルテンサイト組織がこの領域に存在すると、より一層溶接強度が向上する。
マルテンサイト組織は、例えば、針状、球状等の形態をとりうるが、より一層高い溶接強度が発現する点で、針状であるのが好ましい。高硬度領域42に、針状のマルテンサイト組織が存在するか否かは、例えば、高硬度領域42の断面をエッチング処理してからその断面を金属顕微鏡で観察することにより、確認することができる。
この接地電極6の寸法は、特に限定されず、スパークプラグに要求される呼び径に適合し、前記主体金具4に電気抵抗溶接可能な寸法を有していればよい。
主体金具4の端部に接地電極6を抵抗溶接する場合には、接地電極6の端部に主体金具4を押し付けた状態つまり荷重負荷状態にしつつ接地電極6と主体金具4とに通電する。この発明に係るスパークプラグの製造方法における製造条件下では、単一構造の接地電極を形成する電極材料及び層構造の接地電極の外層を形成する電極材料は、室温下における比抵抗値が7μΩ・cm以上20μΩ・cm以下の範囲内にあるのが好ましく、特に8μΩ・cm以上17μΩ・cm以下の範囲内にあるのが好ましい。
前記電極材料の、室温下における比抵抗値が上記範囲内にあると、接地電極と主体金具との溶接部における高硬度領域の広がりを示す長さdが0.3mm以上0.8mm以下である場合には、大きな溶接強度の溶接部が形成される。
溶接強度を大きくすることができる前記高硬度領域をこの発明にて規定する範囲、つまり接地電極側の溶接界面から主体金具側の溶接界面までの長さdを0.3mm以上0.8mm以下にするためには、1000℃における比抵抗値が48μΩ・cm以上60μΩ・cm以下、特に49μΩ・cm以上54μΩ・cm以下である素材で接地電極を形成するのが、好ましい。
前記電極材料は、7μΩ・cm以上20μΩ・cm以下の室温における比抵抗値及び48μΩ・cm以上60μΩ・cm以下の1000℃における比抵抗値を共に有しているのが特によい。
前記室温における比抵抗値及び前記1000℃における比抵抗値は、接地電極を室温に又は1000℃に調整又は加熱し、この温度を維持したままホイートストンブリッジ法によって測定することができる。なお、接地電極が外層と内層とにより形成される場合には、内層を除いた外層のみについて、室温における比抵抗値及び1000℃における比抵抗値を、前述のように測定する。
前記電極材料は、Ni単独で形成されていてもよい。この場合、接地電極は微量の不可避的な不純物を含有していてもよいことはいうまでもない。
接地電極がNiを96質量%以上含有する電極材料により形成される場合に、
Yと希土類元素とからなる群より選択される少なくとも1種を合計で0.05質量%以上0.45質量%以下の割合で、Mnを0.05質量%以上の割合で、特に0.05質量%以上3質量%以下の割合で、及びTiとVとNbとからなる群より選択される少なくとも1種を合計で0.01質量%以上、特に0.01質量%以上0.1質量%以下の割合で含有し、かつMnの含有量(b)とTi、V、及びNbの合計含有量(a)との比(a/b)が0.02以上0.40以下であると、この接地電極は主体金具との溶接強度に加えて耐酸化性等を同時に向上させることができて好ましい。前記希土類元素としては、例えばNd、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLu等が挙げられる。
なお、この発明における電極材料は、前記成分のほかに、Si、Al、及びCrよりなる群から選択される少なくとも1種の金属成分を含有してもよい。これら金属成分の含有量は、Niと、Y及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも1種と、Mnと、TiとVとNbとからなる群より選択される少なくとも1種との合計を100から差し引いた質量%となり、好ましくはSiについては0.15質量%以上1.5質量%以下の範囲の中から選択され、Alについては0.01質量%以上0.1質量%以下の範囲の中から選択され、Crについては0.05質量%以上0.5質量%以下の範囲の中から全体の合計が100質量%になるようにその含有量が決定される。
電極材料に、Si、Al及び/又はCrの少なくとも1種が含まれていると、Mnの酸化被膜がさらに強固になる。したがって、電極材料が、Si、Al、及び/又はCrを含有すると、耐酸化性が向上すると共に、より効果的に腐食様新生異物の発生を抑制することができる。
また、この電極材料は、Cを含んでいてもよい。Cを含む電極材料で形成された接地電極は、高温環境下での電極材料の機械的強度を確保できるので、電極の折損及び変形を防止することができる。電極が高温環境下に曝されたり、電極の熱引きが悪く、電極温度が上昇したりしても、電極の機械的強度を確保できる点で、Cの含有率は0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下であるのがよい。
電極材料がY及び希土類元素を含有する場合には、Y及び希土類元素の合計含有率は、接地電極の質量全体に対して、0.05質量%以上0.45質量%以下である。Y及び希土類元素の合計含有率が前記範囲内にあると、十分な量の金属間化合物が粒界状に析出することで粒成長を抑制し、材料強度が向上するので、主体金具との溶接強度をより一層高めることができる。
好適な電極材料は、少なくとも粒界に、Niと、Y及び希土類元素の少なくとも1種との金属間化合物を有して成る。高温のもとで行われる火花放電に伴う負荷がかかる程に過酷な環境において、電極材料を構成する結晶粒が二次再結晶により粗大化すなわち粒成長する場合があるが、少なくとも粒界に前記金属間化合物が存在すると、結晶粒の粒成長が抑制される。粒成長を抑制することができれば結晶粒の粒径は小さい状態で維持され、これにより粒界の構造を複雑な状態のまま維持することができるため、また、Y及び希土類元素の酸化物が電極材料の粒界に形成されることにより、粒界を伝って外部から酸素等が侵入しても、その侵入深度が深くなることはなく、内部酸化を十分に抑制することができる。したがって、前記金属間化合物が電極材料の少なくとも粒界に存在すると、高い耐酸化性及び耐火花消耗性を発揮する。
前記金属間化合物は、スパークプラグの電極が曝される高温下においても分解等することのない安定な化合物であり、Ni及びYを含む金属間化合物であっても、Ni及び希土類元素を含む金属間化合物であっても、また、Ni、Y及び希土類元素を含む金属間化合物であっても、前記の効果を同様に奏することができる。したがって、なお、前記金属間化合物はNiと、Y及び/又は希土類元素とを含む金属間化合物であれば他の成分を含んでいてもよい。
前記金属間化合物は、接地電極の耐酸化性及び耐火花消耗性を向上させるためには、少なくとも電極の粒界に析出し又は存在していればよく、粒界のみに存在していても、粒界及び粒内に存在していてもよい。これらの金属間化合物の存在は、例えば、接地電極の表面又は任意の断面における、Ni、Y及び希土類化合物の各元素の分散状態(濃度分布)を電子プローブ微少分析(EPMA)により確認することができる。
この電極材料は、Ni、Yと希土類元素とからなる群より選択される少なくとも1種、Mn、及びTiとVとNbとからなる群より選択される少なくとも1種と、所望により、Si、Al、Cr、及び/又はCとを実質的に含有する。これらの各成分は、前述した各成分の含有率の範囲内で、これら各成分と不可避不純物との合計が100質量%になるように含有される。前記成分以外の成分、例えば、S、P、Fe、Cu、B、Zr、Mg、及び/又はCaが微量の不可避不純物として含有されることがある。これらの不可避不純物の含有量は少ない方が好ましいが、本願発明の目的を達成することができる範囲内で含有していてもよく、前述した成分の合計質量を100質量部としたときに、前述した1種類の不可避不純物の割合は0.1質量部以下、含有されるすべて種類の不可避不純物の合計割合は0.2質量部以下であるのがよい。
この電極材料に含まれる各成分の含有率は、次のようにして測定することができる。すなわち、単一構造の接地電極又は層構造の接地電極における外層をこの電極材料により形成した場合に、この接地電極と主体金具及び/又は貴金属チップ等の他の部材、或いは、外層と主体金具、内層、及び/又は貴金属チップ等の他の部材とを溶融接着する際に形成される溶融部を除く部分から試料を採取し(炭素硫黄分析は0.3g以上、ICP発光分析は0.2g以上が望ましい)、Cの含有量は炭素硫黄分析により、その他成分はICP発光分析(inductively coupled plasma emission spectrometry)を行うことにより、分析する。Niについては上記分析測定値の残部として算出する。炭素硫黄分析では、採取した試料を燃焼炉にて熱分解し、非分散赤外線検出することでCの含有量を定量する(炭素硫黄分析装置として、例えば、ホリバ製作所製EMIA-920V)。ICP発光分析では、試料を酸分解法(例えば硝酸)により溶液化し、定性分析の後、検出元素及び指定元素について定量を行う(ICP発光分析装置として、例えば、サーモフィッシャー製iCAP-6500)。いずれの分析も3回の測定値の平均値を算出し、その平均値を電極材料における各成分の含有率とする。
この電極材料は、所定の原料を所定の配合割合で配合して、以下に示すように製造される。製造された電極材料の組成は、原料の組成とはほぼ一致する。したがって、この電極材料に含まれる各成分の含有率は、簡易的な方法として原料の配合割合からも算出することができる。
電極材料は、例えば次のようにして製造することができる。まず、各成分の含有率が前述した範囲となる電極材料を、Niを96質量%以上、Yと希土類元素とからなる群より選択される少なくとも1種を合計で0.05質量%以上0.45質量%以下、Mnを0.05質量%以上3質量%以下、及びTiとVとNbとからなる群より選択される少なくとも1種を合計で0.01質量%以上0.1質量%以下の割合となるように、また所望によりSiを0.15質量%以上1.5質量%以下、Alを0.01質量%以上0.1質量%以下、Crを0.05質量%以上0.5質量%以下、及びCを0.005質量%以上を溶解して調製する。なお、電極材料における、Mnの含有量(b)とTi、V、及びNbの合計含有量(a)との比(a/b)が0.02以上0.4以下となるように調製する。
このようにして調製した電極材料を所定の形状に加工して中心電極2及び/又は接地電極6を作製する。
このスパークプラグ1は、図1及び図2に示されるように、接地電極6の一端部が、主体金具4の軸線方向(スパークプラグ1の軸線1cと一致する方向。)に荷重をかけた状態で、主体金具4の端部における端面41に電気抵抗溶接されて成る。すなわち、接地電極6と主体金具4とは、接地電極6の一端部における端面が主体金具4の軸線方向に荷重をかけた状態で前記端面41に当接されて、電気抵抗溶接されている。
この発明に係るスパークプラグの別の一実施例であるスパークプラグを図3及び図4に示す。このスパークプラグ1’は、図3及び図4に示されるように、主体金具4’の側面に設けられた切欠き44に接地電極6の一端を抵抗溶接により接合されてなる。
前記切欠き44は、主体金具4’の端部である周側面と前記主体金具4’の端面とに開口し、前記接地電極6を挿入することができるように形成される。
より詳しく言うと、スパークプラグ1’は、略棒状の中心電極2と、中心電極2の外周に設けられた略円筒状の絶縁体3と、絶縁体3を内部に保持する円筒状の主体金具4’と、一端が中心電極2の先端面と火花放電間隙Gを介して対向するように配置されると共に他端が主体金具4’の端部に設けられた接地電極6とを備えている。このスパークプラグ1’において、便宜上、主体金具4’における接地電極6が設けられる一方の端部側(例えば、図3における紙面下方側)を先端方向と称し、他方の端部側(例えば、図1における紙面上方側)を後端方向と称する。
スパークプラグ1’における主体金具4’は、図4に明確に示されるように、主体金具4’の端部外周面に、主体金具4’の軸線1’cに沿って延在する長溝状の切欠き44が形成されている。この切欠き44は、接地電極6を電気抵抗溶接する際に、接地電極6が嵌め込まれる凹部であり、接地電極6の寸法よりもわずかに小さな寸法に調整されている。切欠き44は、接地電極6が嵌め込まれてその溶接位置を固定することができれば、その寸法及び形状は特に限定されない。この例において、切欠き44は、主体金具4’の軸線方向に直交する断面形状及び寸法が前記軸線方向のいずれの位置においても同一となっている。
スパークプラグ1’における絶縁体3及び中心電極2は、スパークプラグ1における絶縁体3及び中心電極2と基本的に同様であり、スパークプラグ1’における接地電極6は、その軸線方向の長さが切欠き44に嵌め込まれる分だけ長くなっていること以外は、スパークプラグ1における接地電極6と基本的に同様である。
このスパークプラグ1’は、前記したように、接地電極6の一端が、主体金具4’の切欠き44に嵌め込まれ、主体金具4’の半径方向であってその軸線1’cに向かう方向Dに荷重をかけた状態で、主体金具4’の前記切欠き44に、電気抵抗溶接されて成る。
接地電極6が電気抵抗溶接された主体金具4’は、図4に示されるように、接地電極6が電気抵抗溶接された端部に高硬度領域45を有している。この高硬度領域45は、スパークプラグ1の高硬度領域と同様に、電気抵抗溶接時に接地電極6と主体金具4’とに流される大電流で発熱した熱によって、固相変態して硬度が高くなる領域である。したがって、スパークプラグ1’における高硬度領域45は、スパークプラグ1における高硬度領域42と基本的に同様である。
スパークプラグ1’は、前記したように、主体金具4’の半径方向Dに荷重をかけた状態で、接地電極6が主体金具4’の切欠き44に電気抵抗溶接されているから、高硬度領域45は、図4に示されるように、電気抵抗溶接する際に発生する熱の拡散方向、例えば、主体金具4’の半径方向であってその軸線1’cに向かう方向Dに延びるように形成される。
したがって、高硬度領域45は、接地電極6と主体金具4’との溶接界面すなわち接地電極6側の溶接界面62、及び、高硬度領域42と電気抵抗溶接によって硬度が変化しない領域との界面すなわち主体金具4’側の溶接界面46で囲まれる領域である。スパークプラグ1’の軸線1’cと接地電極6の軸線6cとを含む平面で切断した断面における高硬度領域45は、図4に示されるように、接地電極6側の溶接界面62と主体金具4’側の溶接界面46とで囲まれる領域である。接地電極6側の溶接界面62及び主体金具4’側の溶接界面43は、スパークプラグ1における接地電極6側の溶接界面61及び主体金具4側の溶接界面43と基本的に同様である。
高硬度領域45は、図4に示されるように、スパークプラグ1’の軸線1’cと接地電極6の軸線6cとを含む平面で切断した断面において、接地電極6側の前記溶接界面62から主体金具4’側の前記溶接界面46までの、電気抵抗溶接時の荷重方向Dにおける長さdが0.3mm以上0.8mm以下の範囲内にある。換言すると、スパークプラグ1’は、その軸線1’cと接地電極6の軸線6cとを含む平面で切断した断面において、接地電極6側の溶接界面62から主体金具4’側の溶接界面46までの、電気抵抗溶接時の荷重方向Dにおける長さdが0.3mm以上0.8mm以下の範囲になる高硬度領域45を、主体金具4’の端部に有している。前記長さdが0.3mm未満であると、そもそも接地電極6が主体金具4’に電気抵抗溶接されていないことがあり、0.8mmを超えると、接地電極6が主体金具4’に電気抵抗溶接されても、その溶接強度が小さいことがある。前記長さdは、接地電極6と主体金具4’とのより一層強固な溶接強度を発現することができる点で、0.35mm以上0.65mm以下の範囲が好ましく、0.4mm以上0.6mm以下の範囲がより好ましく、0.45mm以上0.55以下の範囲であるのが特に好ましい。ここで、前記長さdは、電気抵抗溶接時の荷重方向Dに沿う最大の長さであり、スパークプラグ1’においては、切欠き44における軸線6c方向の長さの中央部の荷重方向Dにおける長さとなっている。
前記長さdは、スパークプラグ1の前記長さdと基本的に同様にして、測定される。すなわち、スパークプラグ1と同様にして、スパークプラグ1’の軸線1’cと接地電極6の軸線6cとを含む平面で切断してなる断面(図2参照。)を撮影した断面写真において、前記荷重方向D、前記溶接界面62及び前記溶接界面46を特定し、特定した荷重方向Dにおける前記溶接界面62から前記溶接界面46までの長さを計測し、その最大の長さを前記長さdとする。
この発明に係るスパークプラグの製造方法の一例を以下に説明する。まず、接地電極の製造方法について説明する。
接地電極6は、この発明に係るスパークプラグにおける接地電極を製造することのできる素材から合金材料を調整し、この合金材料を鋳造、焼鈍し、所定の寸法及び形状に成形した線材若しくは棒材等として、作製される。
なお、接地電極6は前記合金材料から連続して作製することもできる。例えば、接地電極は、真空溶解炉を用いて、前記組成を有する合金の溶湯を調製し、真空鋳造等にて各溶湯から鋳塊を調製した後、この鋳塊を、熱間加工、線引き加工等して、所定の形状及び所定の寸法を有する棒体に適宜調整して、作製することができる。なお、前記合金材料の鋳造又は焼鈍を真空中で行うと、金属間化合物を少なくとも粒界に有する接地電極を作製することができる。
外層63の内部に内層64を有する接地電極6’’は次のように作製する。前記合金材料を鋳造後に、丸棒に伸線加工を行い、この丸棒をカップ状に形成して、外層となるカップ体を作製する。一方、外層となる合金材料よりも熱伝導率の高いCu又はCu合金等の材料を鋳造にて丸棒とし、この丸棒を熱間加工及び線引き加工等して、内層となる棒状体を作製する。この棒状体を前記カップ体に挿入し、押し出し加工等の塑性加工後に線引き加工を施して、外層の内部に内層を有する接地電極を作製する。このようにして作製された接地電極は加工によって硬度が高くなっている為、不活性雰囲気中600〜980℃に1時間加熱保持して焼鈍を行う。
なお、接地電極6,6’’は、予め途中で略L字に曲げられて、主体金具に電気抵抗溶接されてもよいし、前述のように作製された棒状の接地電極用金属棒材を主体金具に電気抵抗溶接した後に曲げられて、中心電極2の先端面と火花放電間隙Gを介して対向するようにしてもよい。
以上のようにして得られた、この発明に係るスパークプラグに使用される接地電極6,6’’を形成する電極材料は、室温で7μΩ・cm以上20μΩ・cm以下の比抵抗値を有しているのが、好ましい。前記比抵抗値が小さすぎると、電気抵抗溶接がしにくくて接地電極と主体金具との溶接強度が小さくなることがあり、一方、前記比抵抗値があまり大きすぎると、高硬度領域が大きくなりすぎてかえって前記溶接強度が低下することがある。室温における比抵抗値が比較的小さくても前記範囲内にあると、接地電極と主体金具との電気抵抗溶接によって生じる高硬度領域の前記長さdが前記範囲内になり、接地電極を主体金具に強固に電気抵抗溶接することができる。接地電極の前記比抵抗値は、8μΩ・cm以上17μΩ・cm以下の範囲内にあるのがより好ましく、9μΩ・cm以上11μΩ・cm以下の範囲内にあるのが特に好ましい。
また、前記電極材料は、48μΩ・cm以上60μΩ・cm以下の範囲内の1000℃における比抵抗値を有しているのも、好ましい。前記室温における比抵抗値と同様に、1000℃における比抵抗値が比較的小さくても前記範囲内にあると、接地電極を主体金具に強固に電気抵抗溶接することができる。前記電極材料の前記比抵抗値は、49μΩ・cm以上54μΩ・cm以下の範囲内にあるのがより好ましく、50μΩ・cm以上52μΩ・cm以下の範囲内にあるのが特に好ましい。
前記電極材料は、前記室温における比抵抗値及び1000℃における比抵抗値が共に前記範囲にあるのが特に好ましい。前記室温における比抵抗値及び前記1000℃における比抵抗値は前記測定方法に従って測定することができる。
次いで、所定の形状に塑性加工等によって形成した主体金具の端部に接地電極の一端部を電気抵抗溶接によって接合して、主体金具の端部に接地電極を設ける。接地電極と主体金具との電気抵抗溶接は、接地電極を所定の方向に荷重をかけた状態で、主体金具の端部に電気抵抗溶接する。
具体的には、図1に示されるようなスパークプラグ1の場合は、主体金具4の後端部に金属製支持部材を当接させると共に、図2に示されるように、主体金具4の端面41に接地電極6の一端部を、主体金具4の軸線方向に荷重をかけた状態で、当接させて、電気抵抗溶接機の電極を接地電極6に押し当てて、電気抵抗溶接する。
図4に示されるようなスパークプラグ1’の場合は、図4に示されるような切欠き44に接地電極6の一端部を嵌め込んで、切欠き44の底面に接地電極6の側面を当接させて、主体金具4’の半径方向であってその軸線に向かう方向Dに荷重をかけた状態で、電気抵抗溶接する。この場合には、前記切欠き44は、例えば、フライス盤を用いる切削加工により、接地電極6の一端よりもわずかに小さな寸法に形成される。接地電極6を前記方向Dに荷重をかけると、主体金具4’の端部が変形することもあるので、好ましくは、電気的に接地された金属製支持部材を主体金具4’に挿通して、抵抗溶接機の電極を接地電極6に押し当てて電気抵抗溶接する。
主体金具4と接地電極6との電気抵抗溶接は、例えば、接地電極6の一端部を主体金具4の端部に圧接した状態で、行うことができる。
このようにして荷重を掛けながら電気抵抗溶接すると、前記比抵抗値を有する比較的電気抵抗溶接しにくい合金材料で接地電極6が形成されていても、主体金具4に形成される高硬度領域を小さくして前記長さdを前記範囲内にすることができ、接地電極6を主体金具4に強固な溶接強度で電気抵抗溶接することができる。
接地電極と主体金具とに流す電流は、前記単位接触面積当り、0.8kA以上3.0kA以下の範囲内にあるのが好ましい。接地電極と主体金具とに電流を流す時間は、通電時間6サイクル以上50サイクル以内(1サイクル=1/60秒)であるのが好ましい。前記電流値及び電流通電時間のいずれかが前記範囲内であると、前記比抵抗値を有する比較的電気抵抗溶接しにくい合金材料で接地電極が形成されていても、より一層強固な溶接強度で接地電極を主体金具に電気抵抗溶接することができる。
このようにして主体金具に接地電極を設けた後、中心電極を、前記材料で成形した内材を前記材料でカップ状に形成した外材に挿入し、押し出し加工等の塑性加工にて、作製し、セラミック等を所定の形状に焼成することによって絶縁体を作製する。
このようにして作製した中心電極を絶縁体に公知の手法により組み付け、接地電極が設けられた主体金具にこの絶縁体を組み付ける。このようにしてスパークプラグを製造することができる。
この発明に係るスパークプラグは、比較的に電気抵抗溶接しにくい合金材料で接地電極が形成されていても、高い溶接強度で接地電極を強固に主体金具に電気抵抗溶接することにより製造されることができるので、生産性高く製造されたスパークプラグと言える。
この発明に係るスパークプラグは、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、前記スパークプラグ1,1’,1’’は、中心電極2の先端面と接地電極6または6’’における一端の表面とが、中心電極2の軸線方向で、火花放電間隙Gを介して対向するように配置されているが、この発明において、中心電極の側面と接地電極における一端の先端面とが、中心電極の半径方向で、火花放電間隙を介して対向するように配置されていてもよい。この場合に、中心電極の側面に対向する接地電極は単数であっても、複数であってもよい。
また、図1、図3及び図5に示される前記スパークプラグ1,1’,1’’は、中心電極2及び接地電極6または6’’を備えているが、この発明においては、中心電極の先端部、及び/又は、接地電極の表面に、貴金属チップを備えていてもよい。
図3及び図4に示される前記スパークプラグ1’は、主体金具4’に切欠き44が形成されているが、この発明においては、接地電極を主体金具の側面から当接させることができる凹部又は面取り部であれば切欠きに限定されず、主体金具の外周面を切り落としてなる面取り部であってもよい。
(例1)
Niを98.505質量%含有する電極材料により形成され、Yを0.10質量%、Mnを0.14質量%、及びTiを0.02質量%含有し、かつMnの含有量(b)とTiの含有量(a)との比(a/b)が0.14であり、長さ16mm、幅2.8mm、厚さ1.5mmの内層なし接地電極を、前述したように作製した。前記電子プローブ微小分析法により、このようにして作製した接地電極の粒界には、NiとYとを含有する金属間化合物、及び、Niと希土類元素とを含有する金属間化合物が存在していることが確認・同定された。
一方、前述したように外層と内層とを有する内層あり接地電極を作製した。内層あり接地電極の寸法は、長さ16mm、幅2.8mm、厚さ1.5mmであった。外層の組成は内層なし接地電極と同じであり、内層はCuにより形成した。前記電子プローブ微小分析法により、作製した内層あり接地電極における外層の粒界には、NiとYとを含有する金属間化合物、及び、Niと希土類元素とを含有する金属間化合物が存在していることが確認・同定された。なお、内層を有する接地電極は内層よりも内側に純Niからなる芯部があってもよく、内層の内部に芯部を有する接地電極も、以下の実験において内層あり接地電極の場合と同様の結果が得られた。
次いで、所定の形状及び寸法に塑性加工によって低炭素鋼で形成した主体金具4の後端部にCu製支持部材を当接させ、この主体金具4の端面41に主体金具4の軸線方向(軸線6cと平行な方向)に荷重をかけた状態で内層なし接地電極の端面を当接させた。この状態を保持して、抵抗溶接機の電極を内層なし接地電極に押し当てて、電気抵抗溶接した。このとき、内層なし接地電極に通電した電流は2.0kAであり、通電時間は10サイクル(1サイクル=1/60秒)であった。内層あり接地電極についても、同様にして主体金具4に電気抵抗溶接した。
次いで、図1に示されるように、銅からなる円柱状の内材8と、Ni合金でカップ状に成形した外材7とをそれぞれ作製した。このようにして作製した内材8を外材7に挿入し、押し出し加工等の塑性加工にて、内材8と外材7とからなる直径2.5mmの中心電極2を作製した。
次いで、アルミナを主成分とするセラミックを所定の形状に焼成することによって絶縁体3を作製し、中心電極2を絶縁体3に組み付け、さらに、内層なし接地電極又は内層あり接地電極が設けられた主体金具4にこの絶縁体3を組み付けた。このようにして、図1及び図5に示すような複数個のスパークプラグを製造した。
一方、前記主体金具の端部に接地電極を抵抗溶接してなる一体物を、スパークプラグを製造する工程から分けて取り出し、その一体物を、主体金具の軸線と接地電極の軸線とを含む平面で切断した。この切断面におけるビッカース硬度を測定して、高硬度領域の存在を確認し、ビッカース硬度が3×10Hv未満又は5×10Hv超となった境界である主体金具側の溶接界面を特定した。また、前記切断面をエッチング処理してからその断面を金属顕微鏡で撮影した断面写真において、接地電極側の前記溶接界面を前記のようにして特定し、電気抵抗溶接時の荷重方向D(軸線と平行な方向)における接地電極側の前記溶接界面から主体金具側の前記溶接界面までの長さを計測し、その最大の長さを前記長さdとした。この長さdが高硬度領域の範囲を示している。
前記高硬度領域における溶接強度を引張強度で評価した。引張強度は、引張り試験機「オートグラフAG−5000B」(商品名)、株式会社島津製作所製を用いて、測定された。
その引張り強度の測定結果を、記号で表1に示した。表1における内層なし接地電極の記号とその意味を以下に示した。
なお、内層あり接地電極については、接地電極の温度低減がされるため、以下に示す内層なし接地電極における記号に対応する引張強度の閾値より100N/mm低い値である。

○○○:引張強度が550N/mm以上である。溶接強度が極めて高いと評価できる。
○○:引張強度が450N/mm以上550N/mm未満である。溶接強度が高いと評価できる。
○:引張強度が350N/mm以上450N/mm未満である。実用上必要な溶接強度を有していると評価できる。
×:引張強度が350N/mm未満である。実用上必要な溶接強度を有していないと評価できる。
−:接地電極と主体金具4とを電気抵抗溶接できなかった。
Figure 0005301035
表1に示す結果から、ビッカ−ス硬度が300〜500HVである高硬度領域dが0.3〜0.8mmの範囲に形成されていると、実用上問題がないほどに溶接強度が大きいことが、明らかである。
(例2)
例1と同じ組成を有し、しかも表2に示すような室温(25℃)における比抵抗値を有する内層なし接地電極を、例1と同様にして主体金具の端面に抵抗溶接して、溶接部位におけるビッカ−ス硬度が300〜500HVとなっている高硬度領域を有する接地電極と主体金具との一体物を形成した。同様にして、例1と同じ組成を有し、しかも表2に示すような室温(25℃)における比抵抗値を有する外層を備えた内層あり接地電極と主体金具との一体物を形成した。
この高硬度領域の範囲を示す長さdと溶接強度との関係を表2に示した。表2における溶接強度を示す記号の意味は、例1におけるのと同じである。
Figure 0005301035
表2に示すように、室温で比抵抗値が7〜20μΩ・cmの範囲内にある内層なし接地電極、若しくは室温で比抵抗値が7〜20μΩ・cmの範囲内にある外層を有する内層あり接地電極を主体金具の端面に抵抗溶接してなる一体物におけるその溶接部におけるビッカース硬度が300〜500Hvである高硬度領域を示すdが0.3〜0.8mmの範囲内にあると、溶接強度が大きいことが、明らかである。
(例3)
例1と同じ組成を有し、しかも表3に示すような1000℃における比抵抗値を有する内層なし接地電極を、例1と同様にして主体金具の端面に抵抗溶接して、溶接部位におけるビッカ−ス硬度が300〜500HVとなっている高硬度領域を有する接地電極と主体金具との一体物を形成した。同様にして、例1と同じ組成を有し、しかも表3に示すような1000℃における比抵抗値を有する外層を有する内層あり接地電極と主体金具との一体物を形成した。
この高硬度領域の範囲を示す長さdと溶接強度との関係を表3に示した。表3における溶接強度を示す記号の意味は、例1におけるのと同じである。
Figure 0005301035
表3に示すように、1000℃における比抵抗値が48〜60μΩ・cmの範囲内にある内層なし接地電極、若しくは1000℃における比抵抗値が48〜60μΩ・cmの範囲内にある外層を有する内層あり接地電極を主体金具の端面に抵抗溶接してなる一体物におけるその溶接部におけるビッカース硬度が300〜500Hvである高硬度領域を示すdが0.3〜0.8mmの範囲内にあると、溶接強度が大きいことが、明らかである。
また、内層なし接地電極と主体金具との一体物における抵抗溶接部位における高硬度領域の存在を例1と同様にして確認し、高硬度領域である溶接部位における引張強度を例1におけるのと同様にして測定した。また、溶接部位の断面をエッチング処理してからその断面を金属顕微鏡で観察することにより、溶接部位におけるマルテンサイト組織を確認した。高硬度領域におけるマルテンサイト組織の有無と溶接強度を反映する引張強度との関係を表4に示した。
Figure 0005301035
表4における溶接強度に関する記号とその評価とは、前記例1におけるものと同じである。表中の「有」はマルテンサイト組織の存在が認められたことを示し、「無」はマルテンサイト組織の存在が認められないことを示す。
表4に示すように、マルテンサイト組織が0.3〜0.8mmの領域にある高硬度領域に存在すると接地電極と主体金具との一体物は、溶接強度の大きいことが明らかである。つまり高硬度領域を示す長さdが0.8mmを超えるとマルテンサイト組織が存在しても溶接強度が低下し、一方高硬度領域を示す長さdが0.3mm未満であると接地電極と主体金具とを電気抵抗溶接できず、マルテンサイト組織も存在しなかった。なお、内層あり接地電極を用いた場合も、内層なし接地電極の結果と同様の評価が得られた。
(例4〜18)
表5に示す組成の電極材料で例1におけるのと同様にして、長さ16mm、幅2.8mm、厚さ1.5mmの内層なし接地電極と内層あり接地電極とを作製した。この接地電極を用いて例1と同様にしてこの発明に係るスパークプラグを製作した。このスパークプラグの部品である主体金具の高硬度領域における溶接強度を例1と同様にして引張強度で評価した。評価結果を表5に示した。
Figure 0005301035
表5に示されるように、前記端部にビッカース硬度が3×10Hv以上5×10Hv以下の範囲内にある高硬度領域を有し、かつ、前記高硬度領域は、前記スパークプラグの軸線と前記接地電極の軸線とを含む平面で切断した断面において、前記接地電極側の溶接界面から前記主体金具側の溶接界面までの、電気抵抗溶接時の荷重方向における長さdが0.3mm以上0.8mm以下の範囲内にある主体金具を有するスパークプラグはいずれも溶接強度が「○○」又は「○○○」と評価された。
また、Niを96質量%以上含有する電極材料により形成され、Yを合計で0.05質量%以上0.45質量%以下、Mnを0.05質量%以上、及びTiを0.01質量%以上含有し、かつMnの含有量(b)とTiの含有量(a)との比(a/b)が0.02以上0.40以下である接地電極を有するスパークプラグは溶接強度が「○○○」と評価された。
1、1’、1’’ スパークプラグ
2 中心電極
4 主体金具
41 端面
42、45 高硬度領域
43、46 溶接界面
44 切欠き
6、6’’ 接地電極
61、62 溶接界面
63 外層
64 内層

Claims (8)

  1. 筒状の主体金具と、前記主体金具の端部に電気抵抗溶接された接地電極とを備えて成るスパークプラグであって、
    前記主体金具は、前記端部にビッカース硬度が3×10Hv以上5×10Hv以下の範囲内にある高硬度領域を有し、かつ、
    前記高硬度領域は、前記スパークプラグの軸線と前記接地電極の軸線とを含む平面で切断した断面において、前記接地電極側の溶接界面から前記主体金具側の溶接界面までの、電気抵抗溶接時の荷重方向における長さdが0.3mm以上0.8mm以下の範囲内にあることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記長さdが0.4mm以上0.6mm以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記高硬度領域は、針状のマルテンサイト組織を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記接地電極は、一種類の電極材料により形成される単一構造、或いは、前記電極材料により形成される外層と、当該外層により内包され、かつ当該外層よりも熱伝導率の高い内層とにより形成される層構造であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  5. 前記電極材料は、室温における比抵抗値が7μΩ・cm以上20μΩ・cm以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  6. 前記電極材料は、1000℃における比抵抗値が48μΩ・cm以上60μΩ・cm以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  7. 前記電極材料は、Niを96質量%以上含有し、
    Yと希土類元素とからなる群より選択される少なくとも1種を合計で0.05質量%以上0.45質量%以下、Mnを0.05質量%以上、及びTiとVとNbとからなる群より選択される少なくとも1種を合計で0.01質量%以上含有し、かつMnの含有量(b)とTi、V、及びNbの合計含有量(a)との比(a/b)が0.02以上0.40以下であることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  8. 前記電極材料は、前記Niと、前記Y及び前記希土類元素の少なくとも1種との金属間化合物を有して成ることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載のスパークプラグ。
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