JP6312723B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

この発明は、スパークプラグに関する。特に、この発明は、高温環境下において接地電極の表面温度が上昇することを抑制した接地電極を備えるスパークプラグに関する。
自動車エンジン等の内燃機関に、スパークプラグが用いられている。近年、内燃機関が高性能化し、内燃機関の燃焼室内の環境が益々過酷になる傾向にある。このような過酷な環境下で使用される電極において生じる様々な問題を解決するための電極材料が提案されている。
例えば、特許文献1には、電極母材に貴金属チップを接合してなるスパークプラグにおいて、電極母材は、Crが10〜20重量%、Alが1.5〜5.5重量%添加され、且つCrの添加量をAlの添加量の3倍以上としたものであって、大気中にて300℃以下から1000℃以上への温度変化が100回以上行われるものであって、この温度変化による1000℃以上の総時間が1時間以上であるような環境下に、電極母材をさらした時、電極母材において表面にCrの酸化物が形成され、このCrの酸化物よりも内部にAlの酸化物が形成されることが記載されている。特許文献1に記載の発明によると、Crの酸化物が電極母材の表面に安定して存在するので、電極母材の内部への酸化が進行しないことが開示されている(特許文献1の0011欄)。また、Crの酸化物及びAlの酸化物は、高温環境下での使用に伴って形成されていくので、電極母材の加工性に問題がなく、また、貴金属チップの組成を変えることがないから、貴金属チップの火花消耗性を確保することができることが開示されている(特許文献1の0014欄)。
特許文献2には、電極材料の表面上に存在する酸化物層と電極材料の電気抵抗とを同様にすることにより、燃焼室が高温で過酷な条件下にあっても安定かつ耐消耗性を有する電極材料が提供されることが開示されている(特許文献2の0007欄等)。
特許文献3には、「Cr:13〜19%(以下、%は重量%をいう。)、Fe:6〜10%、Nb、Re、Rh、Taの中から少なくとも1種類以上でその合計が0.5%を超え2.5%未満含有する残部Niからなるスパークプラグ用電極材料」(特許文献3の請求項1)が記載されている。特許文献3における電極材料は、Cr、Fe、Nb等を所定量含有するので、スパークプラグが高温雰囲気に曝されると電極表面が酸化されて、多元素複合型の多孔質酸化膜が形成される。その後、多孔質酸化膜内で選択酸化が始まり、スパークプラグ電極の表面にCrの緻密な保護酸化膜が形成され、これによって電極の耐高温酸化性が高められ、電極の耐久性を向上させることが開示されている(特許文献3の0006欄〜0008欄)。
特許第4375568号公報 特開2013−508557号公報 特開2004−247112号公報
ところで、内燃機関の高性能化に伴って燃焼室内の温度は益々高温化し、接地電極の表面温度が1000℃以上になる場合がある。接地電極の表面温度が高くなり過ぎると、放電により火花が発生する前に接地電極が火種となって燃料に着火する異常燃焼の発生、及び接地電極が溶融する温度に達することによる接地電極の溶損といった不具合が生じることがある。
この発明は、高温環境下において接地電極の表面温度が上昇することを抑制することにより、異常燃焼の発生及び接地電極の溶損を抑制した接地電極を備えるスパークプラグを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
[1] 軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
前記軸孔内の先端側に設けられた中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
前記主体金具の先端側端部に固定された基端部及び前記中心電極との間に間隙を介して対向する先端部を有する接地電極と、
を備えるスパークプラグであって、
前記接地電極は、Niを主成分とし、Crの含有率が14質量%以上33質量%以下であり、かつAlの含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下である母材と、
前記母材の表面にあり、前記母材よりもCrの含有率が小さく、前記母材よりもNiの含有率が大きく、かつ5μm以上の厚みを有するCr欠乏層と、
前記Cr欠乏層の表面にあり、前記母材よりもCrの含有率が大きく、かつ15μm以下の厚みを有する高Cr層と、
を有することを特徴とするスパークプラグである。
前記[1]の好ましい態様は、以下の通りである。
[2] 前記Cr欠乏層の厚みは、10μm以上15μm以下である。
[3] 前記[1]又は[2]に記載のスパークプラグにおいて、前記母材は、Alの含有率が0.3質量%以上1.0質量%以下、Siの含有率が0.5質量%以上1.3質量%以下、及びFeの含有率が6.0質量%以上14質量%以下である。
この発明における接地電極は、Niを主成分とし、Crの含有率が14質量%以上33質量%以下であり、かつAlの含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下である母材を有する。接地電極がこのような組成を有する電極材料のみにより形成されている場合、純Niで形成される電極材料に比べて耐腐食性に優れる一方で熱伝導性に劣り、接地電極の温度が高くなり易い。しかしながら、この発明における接地電極は、前記組成を有する母材の外表面に母材よりもCrの含有率が大きく、かつ15μm以下の厚みを有する高Cr層が存在するので、外部からの熱を遮断し、外部からの受熱による温度上昇を抑制することができる。また、高Cr層と母材との間に母材よりもCrの含有率が小さく、母材よりもNiの含有率が大きく、かつ5μm以上の厚みを有するCr欠乏層が存在し、母材よりも良好な熱伝導性を有すると考えられることから、高Cr層が受熱した熱を速やかに母材に熱伝導することができ、接地電極の表面における温度上昇を抑制することができる。したがって、この発明によると、高温環境下において接地電極の表面温度が上昇することを抑制することができる。これにより、放電により火花が発生する前に接地電極が火種となって燃料に着火する異常燃焼や接地電極が溶融する温度に達することによる接地電極の溶損を抑制した接地電極を備えるスパークプラグを提供することができる。
図1は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグの一部断面全体説明図である。 図2は、図1に示すスパークプラグの接地電極近傍を拡大して示す断面説明図である。 図3は、接地電極における母材の組成、Cr欠乏層及び高Cr層の厚みの測定方法を説明するための説明図である。 図4は、接地電極の切断面をライン分析したときの距離とカウント数との関係を示すグラフである。
図1はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグ1の一部断面全体説明図である。なお、図1では紙面下方すなわち後述する接地電極が配置されている側を軸線Oの先端方向、紙面上方を軸線Oの後端方向として説明する。
このスパークプラグ1は、図1に示されるように、軸線O方向に沿って延びる軸孔2を有する略円筒形状の絶縁体3と、前記軸孔2内の先端側に設けられた略棒状の中心電極4と、前記軸孔2内の後端側に設けられた端子金具5と、前記軸孔2内の前記中心電極4と前記端子金具5との間に配置された接続部6と、前記絶縁体3の外周に設けられ、前記軸線O方向先端側から後端側に延びる略円筒形状の主体金具7と、前記主体金具7の先端側端部に固定された基端部及び前記中心電極4との間に間隙Gを介して対向する先端部を有する接地電極8とを備える。
絶縁体3は、後端側胴部11と、大径部12と、先端側胴部13、脚長部14とを備えている。後端側胴部11は、端子金具5を収容し、端子金具5と主体金具7とを絶縁する。大径部12は、該後端側胴部11よりも先端側に配置され、径方向外向きに突出している。先端側胴部13は、該大径部12の先端側に配置され、大径部12より小さい外径を有し、接続部6を収容する。脚長部14は、該先端側胴部13の先端側に配置され、先端側胴部13より小さい外径を有し、中心電極4を収容する。絶縁体3は、先端側端部が主体金具7の先端側端部から突出した状態で、主体金具7に固定されている。絶縁体3は、機械的強度、熱的強度、電気絶縁性を有する材料で形成される。
接続部6は、軸孔2内の中心電極4と端子金具5との間に配置され、中心電極4及び端子金具5を軸孔2内に固定すると共にこれらを電気的に接続する。
主体金具7は、略円筒形状を有しており、絶縁体3を内装することにより絶縁体3を保持する。主体金具7における先端方向の外周面にはネジ部24が設けられている。このネジ部24を利用して図示しない内燃機関のシリンダヘッドにスパークプラグ1が装着される。主体金具7は、ネジ部24の後端側にフランジ状のガスシール部25を有し、ガスシール部25の後端側にスパナやレンチ等の工具を係合させるための工具係合部26、工具係合部26の後端側に加締め部27を有する。主体金具7は、導電性の鉄鋼材料、例えば、低炭素鋼により形成されることができる。
端子金具5は、絶縁体3の後端側からその一部が露出した状態で軸孔2内に挿入されて接続部6により固定されている。端子金具5は、低炭素鋼等の金属材料により形成されることができる。
中心電極4は、接続部6に接する後端部28と、前記後端部28から先端側に延びる棒状部29とを有する。中心電極4は、その先端が絶縁体3の先端から突出した状態で絶縁体3の軸孔2内に固定されている。中心電極4における後端部28と棒状部29とは、Ni合金等の中心電極4に使用される公知の材料で形成されることができる。中心電極4は、2層構造であり、Ni合金等により形成される外層と、外層を形成するNi合金等よりも熱伝導率の高い材料により形成され、該外層の内部の軸心部に同心に埋め込まれるように形成されてなる芯部とにより形成される。芯部を形成する材料としては、例えば、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、純Ni等を挙げることができる。なお、中心電極4は、単層構造でNi合金等により形成されてもよい。中心電極4は、棒状部29の先端面にチップを有していてもよい。チップを形成する材料としては、Pt合金及びIr合金等を挙げることができる。チップは、例えば、抵抗溶接及び/又はレーザ溶接等により棒状部29に接合される。
次に、この発明の特徴部分である接地電極について説明する。
図2に示すように、接地電極8は、例えば、略角柱形状を有し、基端部15が主体金具7の先端側端部に固定され、途中で略L字状に屈曲され、先端部16が中心電極4の先端面33との間に間隙Gを介して対向するように設けられている。この実施形態における間隙Gは、中心電極4の先端面33と前記先端面33に対向する接地電極8の側面との最短距離である。この間隙Gは、通常、0.3〜1.5mmに設定される。なお、接地電極8は、中心電極4の先端面33に対向する面にチップを有していてもよい。チップが設けられている場合には、中心電極4の先端面33とチップの先端面との距離が間隙Gとなる。チップを形成する材料としては、Pt合金及びIr合金等を挙げることができる。チップは、例えば、抵抗溶接及び/又はレーザ溶接等により接地電極8の先端部16に接合される。
接地電極8は、母材41と母材41の表面を被覆するCr欠乏層42とCr欠乏層42の表面を被覆する高Cr層43とを有する。
母材41は、Niを主成分とし、Crの含有率が14質量%以上33質量%以下であり、かつAlの含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下である金属である。Niの含有率は、65質量%以上85.7質量%以下であるのが好ましい。接地電極がこのような組成を有する金属材料のみにより形成されている場合、酸素雰囲気で高温環境である燃焼室内では、接地電極の表面にCrの酸化膜が形成されるので腐食を抑制することができる一方で、Niの含有率が高いNi合金に比べて熱伝導性が劣るので、接地電極の表面温度が高くなり易い。そのため、放電により火花が発生する前に接地電極が火種となって燃料に着火する異常燃焼の発生、及び接地電極が溶融する温度に達することによる接地電極の溶損といった不具合が発生し易い。一方、この接地電極8は、このような不具合が発生し易い組成を有する母材41の表面にCr欠乏層42と高Cr層43とをこの順に有するので、高温環境下において接地電極8の表面温度が上昇することを抑制することができ、それによって異常燃焼の発生及び接地電極の溶損を抑制することができる。
母材41は、Ni、Cr、Al以外の元素として、Si、Fe、Mn、希土類元素等から選択される少なくとも一種の元素を含有してもよい。希土類元素としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuを挙げることができる。母材41はNi、Cr、Al以外の元素として、Si及びFeを含有するのが好ましい。また、母材41は、Niを主成分(含有率が最も大きい成分)とし、Crの含有率が14質量%以上33質量%以下、Alの含有率が0.3質量%以上1.0質量%以下、Siの含有率が0.5質量%以上1.3質量%以下、及びFeの含有率が6.0質量%以上14質量%以下であるのが好ましい。このような組成を有する金属材料のみからなる接地電極は、前述した不具合をより発生し易いので、このような組成を有する母材41の表面にCr欠乏層42と高Cr層43とをこの順に有する接地電極8は、高温環境下において接地電極8の表面温度が上昇することを抑制する効果が高い。
高Cr層43は、接地電極8における外表面にあり、母材41よりもCrの含有率が大きく、かつ15μm以下の厚みを有する層である。高Cr層は、後述するように電極材料を低酸素分圧下で熱処理することにより形成され、電極材料に含まれるCrが外表面に向かって拡散することにより、緻密な高Cr層43が外表面に形成される。高Cr層43は、15μm以下という薄くて緻密な層であるので、外部からの熱を遮断し、外部からの受熱による温度上昇を抑制することができる。高Cr層43の厚みが15μmを超えると、高Cr層が外部からの熱を遮断する効果よりも母材41内部からの放冷を妨げる効果が大きくなり、接地電極8の表面温度が上昇することを抑制することができない。高Cr層の厚みは1.0μm以上であるのが好ましく、5.0μm以上であるのがより好ましく、11.0μm以下であるのが好ましい。高Cr層の厚みが前記範囲内にあると、接地電極8の表面温度が上昇することをより一層抑制することができる。
Cr欠乏層42は、母材41よりもCrの含有率が小さく、母材41よりもNiの含有率が大きく、かつ5μm以上の厚みを有する層である。Cr欠乏層42は、後述するように電極材料を低酸素分圧下で熱処理することにより形成される。この熱処理により、電極材料に含まれるCrが外表面に向かって拡散し、母材41よりもCrの含有率が小さく、かつ母材41よりもNiの含有率が大きい金属の層が母材41と高Cr層43との間に形成される。Cr欠乏層42は、母材41よりもCrの含有率が小さく、Niの含有率が大きいので、母材41より熱伝導性が良好であると考えられる。高Cr層43と母材41との間に良好な熱伝導性を有するCr欠乏層42が存在するので、高Cr層43が受熱した熱を速やかに母材41に熱伝導することができ、その結果、熱引きが良好になり、接地電極8の表面における温度上昇を抑制することができる。Cr欠乏層42の厚みが5μm以下であると、高Cr層43が受熱した熱を速やかに母材41に熱伝導する効果が得られない。Cr欠乏層42の厚みは、10μm以上であるのが好ましく、30μm以下であるのが好ましく15μm以下であるのがより好ましい。Cr欠乏層42の厚みが前記範囲内にあると、接地電極8の表面温度が上昇することをより一層抑制することができる。
母材41の組成、高Cr層43及びCr欠乏層42それぞれのNi及びCrの含有率、厚みは、次のようにして求めることができる。まず、図3に示すように、接地電極8の中心を通り長手方向に沿う面で接地電極8を切断し、切断面40を得る。母材41の組成は、接地電極8の幅方向の中心で接地電極8の先端から基端部15側に2mmの位置で、走査型電子顕微鏡(SEM)に付属されているエネルギー分散型X線分析装置(EDS)にて、点分析を行うことにより、測定する。例えば、Crの含有率は、点分析により検出された全元素の含有量に対するCrの含有量を算出することにより求める。高Cr層43及びCr欠乏層42それぞれのCrの含有率は、前記切断面40において、母材41の組成を点分析した位置から接地電極8の幅方向の縁辺に向かうラインL上における縁辺付近をライン分析することにより、測定する。ライン分析により接地電極8の外表面すなわち前記切断面40における縁辺付近にCrの含有率が母材41より大きい領域がある場合、これを高Cr層43と称し、それよりも内側にCrの含有率が母材41より小さい領域がある場合、これをCr欠乏層42と称する。Cr欠乏層42における複数箇所において点分析を行い、Niの含有率を測定する。Cr欠乏層42では、Crが外表面に向かって拡散し、母材41よりもCrが減少しているので、通常、Niの含有率は母材41よりも大きい。高Cr層43の厚みは、母材41におけるCrの含有率より大きい領域における前記ラインL上の長さを測定する。Cr欠乏層42の厚みは、母材41におけるCrの含有率より小さい領域における前記ラインL上の長さを測定する。
高Cr層43及びCr欠乏層42は、スパークプラグ1の稼働中に高温になり易い部位における母材41の表面を少なくとも被覆していればよい。例えば、高Cr層43及びCr欠乏層42は、母材41の先端部16の表面を被覆していればよく、母材41における主体金具7に接合されている面以外の全表面を被覆しているのが好ましい。図2に示すように、この実施形態では、高Cr層43及びCr欠乏層42は、母材41における主体金具7に接合されている面以外の全表面を被覆している。少なくとも高温になり易い部位における母材41の表面が高Cr層43及びCr欠乏層42の両方によって被覆されていると、高温になり易い部位の表面が高温になるのを抑制し、異常燃焼の発生及び溶損を抑制することができる。
スパークプラグ1は、例えば次のようにして製造される。まず、この発明の特徴部分である接地電極8の製造方法について説明する。
まず、Niを主成分とし、Crの含有率が14質量%以上33質量%以下であり、かつAlの含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下であるNi合金を準備し、適宜伸線加工を行い所定の形状及び所定の寸法に調整して電極材料を得る。次いで、得られた電極材料をAr等の不活性ガス雰囲気で、酸素分圧が0.01ppm〜0.5ppmの範囲にある低酸素分圧下において、800℃〜1100℃で1時間〜30時間加熱する熱処理を行う。この熱処理によって、電極材料の内部から外表面に向かってCrが拡散し、母材41とCr欠乏層42と高Cr層42とを有する接地電極8を得ることができる。
電極材料に対して熱処理を行った後に、主体金具7に接合する端面等の接地電極8の表面の一部を切削及び切断等して除去することにより、母材41の表面における所望の位置にCr欠乏層42及び高Cr層43を設けることができる。また、Ni合金の組成、熱処理をする際の雰囲気、酸素分圧、温度、時間等を適宜変更することにより、Cr欠乏層42及び高Cr層43の厚みを調整することができる。
次いで、所定の形状に塑性加工等によって形成した主体金具7の端面に、接地電極8の一端部を電気抵抗溶接又はレーザ溶接等によって接合する。次いで、接地電極8が接合された主体金具7にZnめっき又はNiめっきを施す。Znめっき又はNiめっきの後に3価クロメート処理を行ってもよい。
中心電極4は、カップ状に形成したNi合金等からなる外材に、外材より熱伝導率の高いCu合金等からなる内材を挿入し、押し出し加工等の塑性加工にて、外層の内部に芯部を有する中心電極4を形成する。
一方、セラミック等を所定の形状に焼成することによって絶縁体3を作製し、この絶縁体3の軸孔2内に中心電極4を挿設し、接続部6を形成する組成物を前記軸孔2内に予備圧縮しつつ充填する。次いで前記軸孔2内の後端側端部から端子金具5を圧入しつつ前記組成物を圧縮加熱する。こうして前記組成物が焼結して接続部6が形成される。次いで接地電極8が接合された主体金具7に、この中心電極4等が固定された絶縁体3を組み付ける。最後に接地電極8の先端部16を中心電極4側に折り曲げて、接地電極8の先端部16の側面と中心電極4の先端面33とが対向するようにして、スパークプラグ1が製造される。
この発明に係るスパークプラグ1は、自動車用の内燃機関例えばガソリンエンジン等の点火栓として使用され、内燃機関の燃焼室を区画形成するヘッド(図示せず)に設けられたネジ穴に前記ネジ部24が螺合されて、所定の位置に固定される。この発明に係るスパークプラグ1は、如何なる内燃機関にも使用することができる。この発明に係るスパークプラグ1は、高温環境下において接地電極8の表面温度の上昇を抑制した接地電極8を備えているので、燃焼室内が高温になり易い内燃機関に特に好適である。
この発明に係るスパークプラグ1は、前述した実施例に限定されることはなく、本発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
(接地電極の作製)
表1及び表2の「母材の組成」の欄に記載の組成と同様の組成を有するNi合金を、適宜伸線加工を行い、縦1.3mm、横2.7mm、長さ13mmを有する角柱形状の電極材料を作製した。試験番号1及び21は、これを接地電極として、下記の加熱試験を行った。試験番号2、3、6〜12、24〜31は、得られた電極材料を、Arガス雰囲気で酸素分圧0.02ppmの低酸素分圧下において、800℃〜1000℃の温度範囲で1時間〜30時間保持する熱処理を行い、接地電極を作製した。試験番号4及び22は、水素雰囲気で酸素分圧0.02ppmの低酸素分圧下において、1000℃で1時間保持する熱処理を行い、接地電極を作製した。試験番号5及び23は、真空中で酸素分圧0.02ppmの低酸素分圧下において、1000℃で1時間保持する熱処理を行い、接地電極を作製した。
(母材の組成、Cr欠乏層及び高Cr層の厚みの測定)
接地電極における母材、高Cr層、及びCr欠乏層の組成は、SEM(日本電子株式会社製)に付属されたEDSを用いて、測定した。まず、図3に示すように、作製した接地電極8の中心を通り、長手方向に沿う面で接地電極を切断し、切断面40を得た。
母材41の組成は、切断面40において、接地電極8の幅方向の中心で接地電極8の長手方向の端縁から内側に2mmの位置で、加速電圧20kV、スポット径70μmで点分析を行うことにより、測定した。結果を表1及び表2に示す。表1及び表2において、例えば、「Ni−23Cr−1.5Al」は、Crの含有率が23質量%であり、Alの含有率が1.5質量%であり、残部がNiであることを示す。
次いで、この切断面40において、母材41の組成を点分析した位置から接地電極8の幅方向の縁辺に向かうラインL上における接地電極8の縁辺付近をライン分析した。試験番号29についてライン分析した結果を図4に示す。図4に示すように、接地電極8の外表面すなわち切断面40における縁辺付近にCrの含有率が母材41より大きい領域(高Cr層43)があり、それよりも内部にCrの含有率が母材41より小さい領域(Cr欠乏層42)があった。Crの含有率が母材41よりも小さい領域をCr欠乏層42とみなして、この領域における3箇所において点分析を行い、Niの含有率を測定したところ、いずれの箇所においてもNiの含有率は母材41のNiの含有率よりも大きかった(図4に示す「%」は「質量%」である)。試験番号2〜12及び22〜31のいずれについても、ライン分析の結果、母材41の表面にCr欠乏層42と高Cr層43とがあった。
高Cr層42の厚みは、母材41よりもCrの含有率が大きい領域におけるラインL上の長さを測定した。
Cr欠乏層42の厚みは、母材41よりもCrの含有率が小さい領域におけるラインL上の長さを測定した。
(加熱試験)
作製した接地電極を、バーナで2分間加熱し、接地電極の表面温度を熱電対で測定した。試験番号1及び21の接地電極の表面温度が一定になったときの温度(T)を基準として、試験番号2〜12及び22〜31の接地電極の表面温度が一定になったときの温度(T)との差ΔT(=T−T)を、表1及び表2に示した。
試験番号2〜12については、加熱試験において、基準となる試験番号1の接地電極の表面温度との差ΔTによって、以下の基準にしたがって評価した。結果を表1に示す。
◎:温度差ΔTが−20℃以上
○:温度差ΔTが−20℃より大きく、−10℃以下
×:温度差ΔTが−10℃より大きい
試験番号22〜31については、加熱試験において、基準となる試験番号21の接地電極の表面温度との差ΔTによって、以下の基準にしたがって評価した。結果を表2に示す。
◎:温度差ΔTが−40℃以上
○:温度差ΔTが−40℃より大きく、−20℃以下
×:温度差ΔTが−20℃より大きい
Figure 0006312723
Figure 0006312723
表1及び表2に示すように、本発明の範囲内にある試験番号2、3、6〜11、24〜31の接地電極は、評価結果が「○」又は「◎」であり、Cr欠乏層及び高Cr層を有さない試験番号1及び21の接地電極に比べて、接地電極の表面温度の上昇を抑制しているのに対し、本発明の範囲外にある試験番号4、5、12、22、23の接地電極は、評価結果が「×」であり、Cr欠乏層及び高Cr層を有さない試験番号1及び21の接地電極の表面温度と同等か、或いは高くなった。
表1に示すように、Cr欠乏層の厚みが5μm以上10μm未満、15μmを超え30μm以下の範囲にある試験番号2、3、6、7、10、11の接地電極は、評価結果が「○」であるのに対し、Cr欠乏層の厚みが10μm以上15μm以下の範囲にある試験番号8及び9の接地電極は、評価結果が「◎」であり、Cr欠乏層の厚みが10μm以上15μm以下の範囲にあると接地電極の表面温度の上昇をより一層抑制できた。
NiとCrとAlとを含む試験番号1の接地電極に比べて、さらにSiとFeとを含む試験番号21の接地電極は、表面温度が高かった。
表2に示すように、母材がNi、Cr、及びAlのみを含む母材を有する試験番号1〜12の接地電極と同様に、Ni、Cr、及びAl以外の元素を含む母材を有する試験番号21〜31の接地電極も、Cr欠乏層の厚みが10μm以上15μm以下の範囲にある試験番号26、29〜31の接地電極は、評価結果が「◎」であるのに対し、Cr欠乏層の厚みが5μm以上10μm未満の範囲にある試験番号24、25、27、28の接地電極は、評価結果が「○」であり、Cr欠乏層の厚みが10μm以上15μm以下の範囲にあると表面温度の上昇をより一層抑制できた。
1 スパークプラグ
2 軸孔
3 絶縁体
4 中心電極
5 端子金具
6 接続部
7 主体金具
8 接地電極
11 後端側胴部
12 大径部
13 先端側胴部
14 脚長部
15 基端部
16 先端部
24 ネジ部
25 ガスシール部
26 工具係合部
27 加締め部
28 後端部
29 棒状部
33 先端面
40 切断面
41 母材
42 Cr欠乏層
43 高Cr層
G 間隙

Claims (3)

  1. 軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
    前記軸孔内の先端側に設けられた中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
    前記主体金具の先端側端部に固定された基端部及び前記中心電極との間に間隙を介して対向する先端部を有する接地電極と、
    を備えるスパークプラグであって、
    前記接地電極は、Niを主成分とし、Crの含有率が14質量%以上33質量%以下であり、かつAlの含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下である母材と、
    前記母材の表面にあり、前記母材よりもCrの含有率が小さく、前記母材よりもNiの含有率が大きく、かつ5μm以上の厚みを有するCr欠乏層と、
    前記Cr欠乏層の表面にあり、前記母材よりもCrの含有率が大きく、かつ15μm以下の厚みを有する高Cr層と、
    を有することを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記Cr欠乏層の厚みは、10μm以上15μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記母材は、Alの含有率が0.3質量%以上1.0質量%以下、Siの含有率が0.5質量%以上1.3質量%以下、及びFeの含有率が6.0質量%以上14質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
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