JP6794665B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
即ち、<1>に係る発明は、
導電性基体と前記導電性基体上に設けられ単位面積あたりの静電容量が2.5×10−11F/cm2以上2.5×10−10F/cm2以下である下引層と前記下引層上に設けられた感光層とを有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像が表面に転写される中間転写体と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段であって、一次転写電流値が80μA以上160μA以下である一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、
を備える画像形成装置である。
前記下引層は、結着樹脂と、金属酸化物粒子と、電子受容性化合物と、を含有する<1>に記載の画像形成装置である。
前記金属酸化物粒子は、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、及び酸化亜鉛粒子から選ばれる少なくとも1種を含む<2>に記載の画像形成装置である。
前記金属酸化物粒子の体積平均一次粒径は、100nm以下である<2>又は<3>に記載の画像形成装置である。
前記金属酸化物粒子は、1種以上のカップリング剤で処理されたものである<2>〜<4>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
前記カップリング剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、及びアルミニウム系カップリング剤から選択される少なくとも1種を含む<5>に記載の画像形成装置である。
前記電子受容性化合物は、アントラキノン骨格を有する電子受容性化合物である<2>〜<6>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
前記アントラキノン骨格を有する電子受容性化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である<7>に記載の画像形成装置である。
前記下引層の厚みが15μm以上35μm以下である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
記録媒体搬送速度が400mm/s以上600mm/s以下である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像が表面に転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を備える。
上記の電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する)は、導電性基体と、導電性基体上に設けられた下引層と、下引層上に設けられた感光層と、を有する。そして、下引層における単位面積あたりの静電容量が2.5×10−11F/cm2以上2.5×10−10F/cm2以下である。
また、上記の一次転写手段における一次転写電流値は80μA以上160μA以下である。
一方、一次転写における転写不良を抑制する方法として、一次転写電流値を大きくすることで転写電流の不足を解消する方法が考えられる。しかし、一次転写電流値を大きくすると、一次転写の工程において一次転写手段に印加された転写電圧によって転写電流が感光体に流入し、次の画像形成において前画像の履歴が残る残像現象(ゴースト)が発生しやすくなる。
例えば、いわゆるタンデム型の多色画像形成装置においては、各色のトナー像に対応する画像形成ユニットをそれぞれ有しており、各画像形成ユニットにおける感光体上に形成されたトナー像が、順次1つの中間転写体上に重なって転写されていく。このとき、1色目のトナー像が一次転写される際には、上記のように、画像部にトナー像が存在することにより、画像部と非画像部との間に抵抗差(1色目の抵抗差)が生じ、画像部と非画像部との抵抗差に起因するゴーストが生じる場合がある。
一方、2色目以降のトナー像の一次転写は、すでに1色目のトナー像が転写された後の中間転写体に対して行われるため、複数色のトナー像が重なる場合がある。そして、複数色のトナー像が重なる領域(以下「多重色領域」ともいう)が存在すると、多重色領域では一次転写時に感光体と一次転写手段との間に存在するトナー像が厚いため、多重色領域と非画像部との間に、1色目の抵抗差よりも大きな抵抗差が生じる。そのため、2色目以降のトナー像に対応する画像形成ユニットでは、ゴーストの中でも特に、多重色領域と非画像部との抵抗差に起因するゴースト(多重色ゴースト)が発生しやすいと考えられる。
なお、タンデム型の多色画像形成装置に限らず、例えばロータリー型の多色画像形成装置においても、多重色領域が存在すれば、多重色領域と非画像部との間に大きな抵抗差が生じるため、同様に多重色ゴーストが発生し得ると考えられる。
具体的には、下引層における単位面積あたりの静電容量を従来よりも小さい上記範囲とすることで、下引層が電荷を溜めにくくなり、一次転写の工程において一次転写手段から感光体に転写電流が流入しても、流入した電荷が導電性基体側に流れやすくなる。その上、流入した電荷と逆極性の電荷も下引層内を移動しやすいため、前記流入した電荷と前記逆極性の電荷とが打ち消しあい、消滅しやすい。その結果、次の画像形成が始まる時点で、感光体に蓄積されている電荷量が少なくなると考えられる。そのため、次の画像形成において、特定の領域のみに多くの電荷が蓄積していることに起因する帯電不良が起こりにくいため、ゴーストが生じにくくなると推測される。
記録媒体搬送速度は、400mm/s以上600mm/s以下が好ましく、460mm/s以上600mm/s以下がより好ましく、500mm/s以上600mm/s以下がさらに好ましい。
感光体の直径は、24mm以上84mm以下が好ましく、30mm以上84mm以下がより好ましく、40mm以上84mm以下がさらに好ましい。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。
電子写真感光体7としては、導電性基体と、導電性基体上に設けられた下引層と、下引層上に設けられた感光層と、を有する構成の感光体が適用される。
なお、感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とを有する機能分離型の感光層(以下「機能分離型感光層」ともいう)であってもよいし、単層型の感光層(以下「単層型感光層」ともいう)であってもよい。感光層が機能分離型感光層である場合、電荷発生層に電荷発生材料を含み、電荷輸送層に電荷輸送材料を含む。
図2は、電子写真感光体7の層構成の一例として示した電子写真感光体7Aの模式断面図である。図2に示す電子写真感光体7Aは、導電性基体1上に、下引層3、電荷発生層4、及び電荷輸送層5がこの順序で積層された構造を有する。そして、電荷発生層4及び電荷輸送層5が機能分離型感光層6を構成している。
なお、電子写真感光体7Aは、必要に応じてその他の層を設けてもよい。必要に応じて設けられる層としては、例えば、電荷輸送層5上に更に設けられる保護層等が挙げられる。
なお、電子写真感光体7Bは、必要に応じてその他の層を設けてもよい。必要に応じて設けられる層としては、例えば、単層型感光層2上に更に設けられる保護層等が挙げられる。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
下引層は、導電性基体と感光層との間に設けられ、単位面積あたりの静電容量が2.5×10−11F/cm2以上2.5×10−10F/cm2以下である層である。
前述のように、下引層における単位面積あたりの静電容量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも大きい場合に比べてゴーストが抑制される。また、下引層における単位面積あたりの静電容量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも小さい場合に比べて感光体の良好な電気特性が得られやすくなる。
また、下引層における単位面積あたりの静電容量は、ゴースト抑制の観点から、2.5×10−11F/cm2以上1.5×10−10F/cm2が好ましく、5.0×10−11F/cm2以上1.5×10−10F/cm2がより好ましい。
例えば、電子写真感光体の各層を構成する導電性有機膜の等価回路としては、一般的に、抵抗(抵抗値:R)とコンデンサー(静電容量:C)との並列回路が適用される。抵抗値R、及び静電容量Cが不明な並列回路において、抵抗値Rと静電容量Cとを解析・算出する方法として、コール・コールプロット(Cole・Cole Plot)解析が挙げられる。
コール・コールプロット解析とは、抵抗値R及び静電容量Cが不明の並列回路(例えば、導電性有機膜)の両端に電極を取り付け、両電極間に、周波数を変化させながら交流電圧を印加し、印加させた電圧と得られた電流の位相関係を解析する方法である。この方法により、上記並列回路の抵抗値R及び静電容量Cを求め、静電容量Cの値と取り付けた電極の面積の値とから、単位面積あたりの静電容量を求める。
測定条件としては、例えば、DCバイアス(直流印加電圧):0V、AC(交流印加電圧):±1V、周波数:1Hz以上100Hz以下の範囲が挙げられる。
得られた測定結果から、コール・コールプロット解析により上記静電容量Cが求められ、対向電極の電極面積S(cm2)で除することにより、下引層における単位面積あたりの静電容量が算出される。
まず、測定対象となる感光体を準備する。次に、例えば、下引層を被覆している電荷発生層、及び電荷輸送層等の感光層をアセトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等の溶剤を用いて除去し、下引層を露出させる。そして、露出された下引層上に真空蒸着法やスパッタ法等の手段により金電極を装着して、測定用試料とする。そして、この測定用試料について測定を行い、単位面積あたりの静電容量を求める。
金属酸化物粒子を分散させた下引層形成用塗布液の塗膜を形成して下引層を形成する場合、形成された下引層の膜中に、例えば、金属酸化物粒子の一次粒子とともに、一次粒子が凝集した二次粒子が存在することがある。二次粒子の金属酸化物粒子は、一次粒子に比べて粒径が大きく、この二次粒子の存在によって電荷が移動する経路が形成されやすい。そのため、例えば、金属酸化物粒子の分散度を調整して、二次粒子の金属酸化物粒子を制御することによって、下引層の単位面積当たりの静電容量が制御される。
具体的には、金属酸化物粒子の分散度が低い場合(すなわち金属酸化物粒子の分散粒径が大きい場合)、下引層中での電荷の移動度が高くなり、単位面積当たりの静電容量が低下し易くなる。一方、金属酸化物粒子の分散度が高い場合(すなわち金属酸化物粒子の分散粒径が小さい場合)、下引層中での電荷の移動度が低くなり、単位面積当たりの静電容量が増大し易くなる傾向がある。
なお、分散度を調整する方法は、例えば、下引層形成用塗布液を形成する際における金属酸化物粒子の分散時間等によって調整する方法が挙げられる。
さらに、金属酸化物粒子としてアミノ基を有するシランカップリング剤により表面処理した酸化亜鉛粒子を用い、結着樹脂としてアセタール樹脂を用いた場合、例えば、金属酸化物粒子の表面処理量を多くすると金属酸化物粒子の分散度が下がることで下引層の静電容量が下がり、金属酸化物粒子の表面処理量を少なくすると金属酸化物粒子の分散度が上がることで下引層の静電容量が上がる傾向がある。
また、例えば、金属酸化物粒子の含有量を多くすると結着樹脂量が少なくなることで下引層の静電容量が下がり、金属酸化物粒子の含有量を少なくすると結着樹脂量が多くなることで下引層の静電容量が上がる傾向がある。
また、例えば、電子受容性化合物の含有量を多くすると下引層の静電容量が下がり、電子受容性化合物の含有量を少なくすると下引層の静電容量が上がる傾向がある。
以下、下引層の一例として、結着樹脂と金属酸化物粒子と電子受容性化合物とを含有する層について、材料、製造方法、及び特性等を説明する。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等が挙げられ、その中でも、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、及び酸化亜鉛粒子から選ばれる少なくとも1種が好ましく、酸化亜鉛粒子がより好ましい。
金属酸化物粒子の体積平均一次粒径が上記範囲であることにより、上記範囲よりも小さい場合に比べて、金属酸化物粒子の表面積が大きすぎることによる分散液中での偏在が抑制される。また、金属酸化物粒子の体積平均一次粒径が上記範囲であることにより、上記範囲よりも大きい場合に比べて、二次粒子又はそれ以上の高次粒子の粒径が大きくなりすぎることによる下引層内での偏在が抑制される。なお、上記下引層内での偏在が起こると、下引層内で金属酸化物粒子の存在する部分と存在しない部分とで構成された海島構造が形成され、ハーフトーン濃度のムラ等の画像欠陥が発生することがある。
また、金属酸化物粒子の体積平均一次粒径は、下引層における単位面積当たりの静電容量を前記範囲に調整する観点から、40nm以上100nm以下が好ましく、40nm以上80nm以下がより好ましい。
下引層は、電子写真プロセス速度に対応した周波数で適切なインピーダンスを得ることが好ましく、その観点で、金属酸化物粒子の体積抵抗率が上記範囲であることが好ましい。すなわち、金属酸化物粒子の体積抵抗率が上記範囲であることにより、上記範囲よりも低い場合に比べて、インピーダンスの粒子含有量依存性の傾きが小さくなり、インピーダンスの制御困難性が抑制されやすくなる。また、金属酸化物粒子の体積抵抗率が上記範囲であることにより、上記範囲よりも高い場合に比べて、残留電位の上昇が抑制されやすくなる。
また、金属酸化物粒子の体積抵抗率は、下引層における単位面積当たりの静電容量を前記範囲に調整する観点から、106Ω・cm以上1011Ω・cm以下が好ましく、108Ω・cm以上1011Ω・cm以下がより好ましい。
まず、層中から金属酸化物粒子を分離する。そして、20cm2の電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象となる分離した金属酸化物粒子を1mm以上3mm以下程度の厚さになるように載せ、金属酸化物粒子層を形成する。この上に前記同様の20cm2の電極板を載せ金属酸化物粒子層を挟み込む。金属酸化物粒子間の空隙をなくすため、金属酸化物粒子層上に載せた電極板の上に4kgの荷重をかけてから金属酸化物粒子層の厚み(cm)を測定する。金属酸化物粒子層上下の両電極には、エレクトロメーター及び高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が予め定められた値となるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、金属酸化物粒子の体積抵抗率(Ω・cm)を計算する。金属酸化物粒子の体積抵抗率(Ω・cm)の計算式は、下式に示す通りである。
なお、式中、ρは金属酸化物粒子の体積抵抗率(Ω・cm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、I0は印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lは金属酸化物粒子層の厚み(cm)をそれぞれ表す。本評価では印加電圧が1000Vの時の体積抵抗率を用いた。
・式:ρ=E×20/(I−I0)/L
なお、上記BET比表面積は、BET式比表面積測定器(島津製作所製:フローソープII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
なお、金属酸化物粒子は、表面処理の異なるものを2種以上混合して用いてもよく、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
電子受容性化合物は、下引層中に金属酸化物粒子と共に分散して含まれていてもよいし、金属酸化物粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。電子受容性化合物が金属酸化物粒子の表面に付着した状態で含まれる場合、電子受容性化合物は、金属酸化物粒子の表面と化学反応する材料、又は金属酸化物粒子の表面に吸着する材料であることが好ましく、金属酸化物粒子の表面に選択的に存在し得る。
なお、電子受容性化合物は、これら骨格に、酸性基(例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基等)、アリール基、アミノ基等の置換基で置換された化合物であってもよい。
R11及びR12が表す炭素数1以上10以下のアルコキシ基(アルコキシル基)としては、直鎖状、又は分枝状のいずれでもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。炭素数1以上10以下のアルコキシ基としては、好ましくは1以上8以下のアルコキシル基、より好ましくは1以上6以下のアルコキシル基である。
電子受容性化合物の含有量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも小さい場合に比べて、電子受容性化合物のアクセプターとしての効果が得られやすい。また、電子受容性化合物の含有量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも大きい場合に比べて、金属酸化物粒子同士の凝集を引き起こして下引層内に金属酸化物粒子が偏在しすぎることが起こりにくく、金属酸化物粒子が偏在しすぎることによる残留電位の上昇、黒点の発生、ハーフトーン濃度ムラ等が起こりにくい。
また、電子受容性化合物の含有量は、下引層における単位面積当たりの静電容量を前記範囲に調整する観点から、下引層中の全固形分に対して、0.5質量%以上2.0質量%以上が好ましく、0.5質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように金属酸化物粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
cm及びcnは、各々独立に、0、1又は2を表す。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基、イソウンデシル基、sec−ウンデシル基、tert−ウンデシル基、ネオウンデシル基、イソドデシル基、sec−ドデシル基、tert−ドデシル基、ネオドデシル基、イソトリデシル基、sec−トリデシル基、tert−トリデシル基、ネオトリデシル基、イソテトラデシル基、sec−テトラデシル基、tert−テトラデシル基、ネオテトラデシル基、1−イソブチル−4−エチルオクチル基、イソペンタデシル基、sec−ペンタデシル基、tert−ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、イソヘキサデシル基、sec−ヘキサデシル基、tert−ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、1−メチルペンタデシル基、イソヘプタデシル基、sec−ヘプタデシル基、tert−ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、イソオクタデシル基、sec−オクタデシル基、tert−オクタデシル基、ネオオクタデシル基、イソノナデシル基、sec−ノナデシル基、tert−ノナデシル基、ネオノナデシル基、1−メチルオクチル基、イソイコシル基、sec−イコシル基、tert−イコシル基、ネオイコシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
直鎖状のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−イコシルオキシ基等が挙げられる。
分岐状のアルコキシ基として具体的には、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、tert−ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec−デシルオキシ基、tert−デシルオキシ基、イソウンデシルオキシ基、sec−ウンデシルオキシ基、tert−ウンデシルオキシ基、ネオウンデシルオキシ基、イソドデシルオキシ基、sec−ドデシルオキシ基、tert−ドデシルオキシ基、ネオドデシルオキシ基、イソトリデシルオキシ基、sec−トリデシルオキシ基、tert−トリデシルオキシ基、ネオトリデシルオキシ基、イソテトラデシルオキシ基、sec−テトラデシルオキシ基、tert−テトラデシルオキシ基、ネオテトラデシルオキシ基、1−イソブチル−4−エチルオクチルオキシ基、イソペンタデシルオキシ基、sec−ペンタデシルオキシ基、tert−ペンタデシルオキシ基、ネオペンタデシルオキシ基、イソヘキサデシルオキシ基、sec−ヘキサデシルオキシ基、tert−ヘキサデシルオキシ基、ネオヘキサデシルオキシ基、1−メチルペンタデシルオキシ基、イソヘプタデシルオキシ基、sec−ヘプタデシルオキシ基、tert−ヘプタデシルオキシ基、ネオヘプタデシルオキシ基、イソオクタデシルオキシ基、sec−オクタデシルオキシ基、tert−オクタデシルオキシ基、ネオオクタデシルオキシ基、イソノナデシルオキシ基、sec−ノナデシルオキシ基、tert−ノナデシルオキシ基、ネオノナデシルオキシ基、1−メチルオクチルオキシ基、イソイコシルオキシ基、sec−イコシルオキシ基、tert−イコシルオキシ基、ネオイコシルオキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニリル基などが挙げられる。
これらの中でも、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
ここで、炭化水素環構造として具体的には、例えば、シクロアルカン環構造、シクロアルケン環構造、シクロアルカンポリエン環構造等が挙げられる。
つまり、ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)は、下記構造式(CT1A)で示される電荷輸送材料(例示化合物(CT1−3))であることがより好ましい。
・−CH3:メチル基
・−OCH3:メトキシ基
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
直鎖状のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
分岐状のアルコキシ基として具体的には、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、tert−ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec−デシルオキシ基、tert−デシルオキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
これらの中でも、アリール基としては、フェニル基が好ましい。
具体的には、ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)は、下記構造式(CT2A)で示される電荷輸送材料(例示化合物(CT2−2))であることが特に好ましい。
・−CH3:メチル基
・−C2H5:エチル基
・−OCH3:メトキシ基
・−OC2H5:エトキシ基
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
フッ素含有樹脂粒子としては、例えば、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及びそれらの共重合体の粒子の中から1種又は2種以上を選択するのが望ましい。これらの中でも、フッ素含有樹脂粒子としては、特に、4フッ化エチレン樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子が望ましい。
なお、この個数平均一次粒径は、感光層(電荷輸送層)から試料片を得て、これをSEM(走査型電子顕微鏡)により例えば倍率5000倍以上で観察し、一次粒子状態のフッ素樹脂粒子の最大径を測定し、これを50個の粒子について行った平均値とする。なお、SEMとして日本電子製JSM−6700Fを使用し、加速電圧5kVの二次電子画像を観察する。
フッ素含有分散剤は、例えば、電荷輸送層形成用塗布液中における上記フッ素含有樹脂粒子の分散安定剤として用いる。
フッ素含有分散剤としては、例えば、フッ化アルキル基を有する重合性化合物を単独重合又は共重合した重合体(以下「フッ化アルキル基含有重合体」とも称する)が挙げられる。
フッ化アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アククリレートが挙げられる。
フッ素原子を有さないモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレートが挙げられる。
フッ素含有分散剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される値である。GPCによる分子量測定は、例えば、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120を用い、東ソー製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行い、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作製した分子量校正曲線を使用して算出する。
なお、フッ化アルキル基含有共重合体は、1種を単独でまたは2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤として、その代表的なものは、例えば、電子写真感光体の内部または表面に存在する酸化性物質に対して、光、熱、放電などの条件下で酸素の作用を防止または抑制する性質を有する物質が挙げられる。
酸化防止剤としては、ラジカル重合禁止剤、過酸化物分解剤等が挙げられる。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ジアリルアミン系酸化防止剤、ジアリルジアミン系酸化防止剤、ハイドロキノン系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤が挙げられる。過酸化物分解剤としては、有機硫黄系(例えばチオエーテル系)酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤が挙げられる。
これの中でも、酸化防止剤としては、ラジカル重合禁止剤がよく、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤としては、一分子中に、酸化防止作用を持つ異なる骨格を2つ以上有する酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール骨格とヒンダードアミン骨格とを有する酸化防止剤等)であってもよい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、ヒンダードフェノール環を有する化合物である。
1)ヒンダードフェノール環を1つ有する酸化防止剤、
2)ヒンダードフェノール環を2つ以上4つ以下有し、且つ直鎖又は分岐状の2価以上4価以下の脂肪族炭化水素基からなる連結基、又は2価以上4価以下の脂肪族炭化水素基の炭素−炭素の結合間に、エステル結合(−C(=O)O−)及びエーテル結合(−O−)の少なくとも一方が介在した連結基で、2つ以上4つ以下のヒンダードフェノール環が連結された酸化防止剤、
3)2つ以上4つ以下のヒンダードフェノール環と、一つのベンゼン環(未置換、又はアルキル基等で置換された置換ベンゼン環)又はイソシアヌレート環とを有し、2つ以上4つ以下のヒンダードフェノール環が、各々、ベンゼン環又はイソシアヌレート環とアルキレン基を介して連結された酸化防止剤、
等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤は、ヒンダードアミン骨格を有する酸化防止剤である。 ヒンダードアミン骨格としては、例えば、アルキル基で置換されたピペリジル骨格が挙げられる。具体的には、ヒンダードアミン骨格としては、窒素原子に対してオルト位置の炭素原子と結合する2つ水素原子が各々アルキル基で置換されたテトラアルキルピペリジル骨格が挙げられる。なお、このテトラアルキルピペリジル骨格は、窒素原子と結合する水素原子が、アルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよい。
チオエーテル系酸化防止剤の市販品としては、例えば、スミライザーTPS、スミライザーTP−D(以上、住友化学社製)が挙げられる。ホスファイト系酸化防止剤として、マーク2112、マークPEP−8、マークPEP−24G、マークPEP−36、マーク329K、マークHP−10(以上、アデカ社製)等が挙げられる。
有機硫黄系およびリン酸系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われ、フェノール系又はアミン系等の1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果が得られる。
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
なお、本実施形態では、一次転写電流値を80μA以上160μA以下とする。一次転写電流値が上記範囲であることにより、上記範囲よりも小さい場合に比べて転写不良が抑制される。また、一次転写電流値が上記範囲であることにより、上記範囲よりも大きい場合に比べてゴーストが抑制される。
一次転写電流値は、転写不良の抑制及びゴーストの抑制を両立する観点から、80μA以上120μA以下が好ましい。
なお、図示しない二次転写装置については、中間転写体50上のトナー像を記録媒体に転写するものであること以外は、上記転写装置40と同様の構成が適用される。
図4に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
〔感光体1〕
(下引層の形成)
金属酸化物粒子として酸化亜鉛(体積平均一次粒径:70nm、テイカ社製、BET比表面積:15m2/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学工業製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
電荷発生材料としてCuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料15質量部、結着樹脂として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:VMCH、株式会社NUC製)10質量部、及び溶媒としてn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層形成用塗布液を得た。電荷発生層形成用塗布液の塗布温度24℃における粘度は1.8mPa・sであった。この電荷発生層形成用塗布液を前記下引層上に浸漬塗布法にて塗布速度65mm/minで浸漬塗布し、150℃で5分間乾燥して厚さ0.1μmの電荷発生層を得た。
フッ素含有樹脂粒子として4フッ化エチレン樹脂粒子8質量部(個数平均一次粒径:0.2μm)と、フッ素含有分散剤としてGF400(東亜合成社製:フッ化アルキル基を持つメタクリレートを少なくとも重合成分とした界面活性剤)0.01質量部と、をテトラヒドロフラン4質量部及びトルエン1質量部とともに20℃の液温に保ち、48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液Aを得た。
この混合溶解液B液に前記4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液A液を加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を6回繰り返した液に、エーテル変性シリコーンオイル(商品名:KP340:信越化学工業製)を5ppm添加し、十分に撹拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に32μmの厚さで塗布して143℃で40分間乾燥して電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体を得た。このようにして得た電子写真感光体を感光体1とした。
得られた感光体の下引層における単位面積あたりの静電容量を前述の方法で測定した結果を表1に示す。
感光体1の下引層の形成において、用いた金属酸化物粒子を酸化亜鉛(体積平均一次粒径:70nm、テイカ社製、BET比表面積:19m2/g)に変え、シランカップリング剤(KBM603、信越化学工業製)の添加量を0.75質量部に変えた以外は、感光体1と同様にして、感光体2を作製した。
得られた感光体の下引層における単位面積あたりの静電容量を前述の方法で測定した結果を表1に示す。
感光体1の下引層の形成において、用いた金属酸化物粒子を酸化亜鉛(体積平均一次粒径:70nm、テイカ社製、BET比表面積:19m2/g)に変え、下引層形成用塗布液の調整における前記分散時間を8時間に変えた以外は、感光体1と同様にして、感光体3を作製した。
得られた感光体の下引層における単位面積あたりの静電容量を前述の方法で測定した結果を表1に示す。
感光体1の下引層の形成において、シランカップリング剤(KBM603、信越化学工業製)の添加量を0.75質量部に変え、下引層形成用塗布液の調整における前記分散時間を6時間に変えた以外は、感光体1と同様にして、感光体4を作製した。
得られた感光体の下引層における単位面積あたりの静電容量を前述の方法で測定した結果を表1に示す。
感光体1の下引層の形成において、下引層形成用塗布液の調整における前記分散時間を12時間に変えた以外は、感光体1と同様にして、感光体C1を作製した。
感光体1の下引層の形成において、用いた金属酸化物粒子を酸化亜鉛(体積平均一次粒径:70nm、テイカ社製、BET比表面積:19m2/g)に変え、シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)の添加量を0.75質量部に変え、下引層形成用塗布液の調整における前記分散時間を9時間に変えた以外は、感光体1と同様にして、感光体C3を作製した。
〔転写不良に起因する画像欠陥(画像濃度不良)の評価〕
表1に示す感光体を、画像形成装置(富士ゼロックス社製:複写機Versant80Press)に搭載し、一次転写電流値が表1に示す値になるように転写電圧を設定し、プロセス速度:525mm/sec、温度10℃、湿度15%の環境下で、画像密度10%〜90%のA3画像を10枚形成し、10枚目の画像について階調性を評価した。
具体的には、A3用紙に画像密度10%〜90%の範囲で10%刻みの画像を形成し、以下の基準で階調性の評価を行った。なお、画像濃度は、X−Rite社製、X−Rite404を用いて測定を行った。評価基準は以下の通りであり、結果を表1に示す。
G1(○):狙い画像濃度と形成された実際の画像濃度の差が10%未満
G2(△):狙い画像濃度と形成された実際の画像濃度の差が10%以上30%未満
G3(×):狙い画像濃度とプリントされた実際の画像濃度の差が30%以上
表1に示す感光体を、画像形成装置(富士ゼロックス社製:複写機Versant80Press)に搭載し、一次転写電流値が表1に示す値になるように転写電圧を設定し、プロセス速度:525mm/sec、温度20℃、湿度50%の環境下で、下記画像(ゴーストチャート)を10枚形成し、10枚目の画像を目視で確認し、下記評価基準によりゴーストの評価を行った。
なお、「ゴーストチャート」とは、具体的には、A3用紙に、感光体サイクルピッチで1サイクル目に画像濃度100%のクロス画像、2サイクル目に画像濃度0%の白画像、3サイクル目に画像濃50%のハーフトーン画像を形成した一枚の画像である。このゴーストチャートの10枚目におけるハーフトーン画像(3サイクル目の画像)上の濃度ムラを目視で観察した。
G1(○):発生しない又は識別困難
G2(△):よく観察してようやく識別できる程度に発生するが、許容範囲内である
G3(×):明らかに識別できる程度に発生し、許容範囲を超える
Claims (10)
- 導電性基体と前記導電性基体上に設けられ単位面積あたりの静電容量が2.5×10−11F/cm2以上2.5×10−10F/cm2以下である下引層と前記下引層上に設けられた感光層とを有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像が表面に転写される中間転写体と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段であって、一次転写電流値が80μA以上160μA以下である一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、
を備え、
前記下引層は、結着樹脂と、金属酸化物粒子と、電子受容性化合物と、を含有する画像形成装置。 - 前記下引層中の全固形分に対する前記金属酸化物粒子の含有量は、30質量%以上である請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記金属酸化物粒子は、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、及び酸化亜鉛粒子から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記金属酸化物粒子の体積平均一次粒径は、100nm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記金属酸化物粒子は、1種以上のカップリング剤で処理されたものである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記カップリング剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、及びアルミニウム系カップリング剤から選択される少なくとも1種を含む請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記電子受容性化合物は、アントラキノン骨格を有する電子受容性化合物である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記アントラキノン骨格を有する電子受容性化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である請求項7に記載の画像形成装置。
(一般式(1)中、n1及びn2は、各々独立に0以上3以下の整数を表す。但し、n1及びn2の少なくとも一方は、各々独立に1以上3以下の整数を表す。m1及びm2は、各々独立に0又は1の整数を示す。R11及びR12は、各々独立に炭素数1以上10以下のアルキル基、又は炭素数1以上10以下のアルコキシ基を表す。) - 前記下引層の厚みが15μm以上35μm以下である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 記録媒体搬送速度が400mm/s以上600mm/s以下である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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