JP5030696B2 - 静電潜像担持体、並びに該静電潜像担持体を用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

静電潜像担持体、並びに該静電潜像担持体を用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ Download PDF

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本発明は長期にわたり高い耐摩耗性を維持することができ、静電潜像のコントラストが高く、高階調性を有し、さらに地肌汚れを抑えた高画質な画像形成を長期間にわたり実現した電子写真静電潜像担持体に関する。
また、それらの長寿命、高性能静電潜像担持体を使用した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
従来、電子写真感光体用の光導電性素材として、Se、CdS、ZnO等の無機材料に対し、感度、熱安定性、毒性等に優位性を有する有機光導電性材料を用いた電子写真感光体の開発が盛んに行なわれており、多くの複写機およびプリンタにおいては、有機光導電性材料を用いた電子写真感光体が搭載されるに至っている。この有機光導電性材料を用いた電子写真感光体の感光層を形成する場合、電荷発生層上に電荷輸送層を積層した機能分離型のものが感度、耐久性に優れるため広く用いられている。
一般に、プリンタや複写機、ファクシミリといった画像形成装置では、帯電−露光−現像−転写−定着という一連のプロセスで画像形成が行われるが、近年、電子写真複写機の高速化、高耐久化が進む中、感光体に対して長期繰り返し使用に際しても高画質を保つことができる信頼性が強く要求されている。特に超高速な複写機ではコピーボリュームが多いことから、感光体交換で停止する回数が多いことが生産性を大きく低下させる原因となっている。また、カラー機においては、4色の現像システムを並列に並べたタンデム方式が広く採用されており、複写機全体の大型化を防ぐために従来よりも小径感光体が用いられていることから、マシンの高速化に対して感光体の更なる高耐久化が求められている。
耐久性に関して感光体由来の異常画像の一つに、ネガ・ポジ現像が主流である現在の作像システムにおいては地肌汚れが挙げられる。地肌汚れの発生原因としては、感光層の電気的な絶縁破壊、支持体からのキャリア(電荷)注入、感光体の暗減衰増大、感光層における熱キャリア生成などが挙げられる。
これに対し、過去には導電性支持体と感光層の間に下引き層や中間層を設ける技術が提案されてきた。例えば、特許文献1には硝酸セルロース系樹脂中間層、特許文献2にはナイロン系樹脂中間層、特許文献3にはマレイン酸系樹脂中間層、及び、特許文献4にはポリビニルアルコール樹脂中間層がそれぞれ開示されている。
しかしながら、これらの樹脂単独(単層)の中間層は電気抵抗が高いため、残留電位を生じネガ・ポジ現像においては画像濃度低下を生じる。
また、不純物等に起因するイオン伝導性を示すことから、低温低湿下では中間層の電気抵抗が特に高くなるため、残留電位が著しく上昇する。このため、中間層を薄膜化する必要があり、繰り返し使用後の特性において帯電性が不十分になる欠点があった。
これらの問題点を解消するため、中間層の電気抵抗を制御する技術として、導電性添加物を中間層バルクに添加する方法が提案された。例えば、特許文献5にはカーボン又はカルコゲン系物質を硬化性樹脂に分散した中間層、特許文献6には四級アンモニウム塩を添加してイソシアネート系硬化剤を用いた熱重合体中間層、特許文献7には抵抗調節剤を添加した樹脂中間層、及び、特許文献8には有機金属化合物を添加した樹脂中間層が開示されている。
しかしながら、これら樹脂中間層単体では、近年のレーザ光のようなコヒーレント光を使用した画像形成装置においては、モアレ画像を生じるという問題点を有している。
更にはモアレ防止と中間層の電気抵抗を同時に制御する目的で、中間層にフィラーを含有した感光体が提案された。例えば、特許文献9にはアルミニウム又はスズの酸化物を分散した樹脂中間層、特許文献10には導電性粒子を分散した樹脂中間層、特許文献11にはマグネタイトを分散した中間層、特許文献12には酸化チタンと酸化スズを分散した樹脂中間層、及び、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18には、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等のホウ化物、窒化物、フッ化物、酸化物の粉体を分散した樹脂の中間層が開示されている。
これらのようなフィラーを分散させた中間層は、分散したフィラーにより中間層の電位特性を発現させるために、中間層中のフィラー量を大きくする(即ち、樹脂量を減らす)必要がある。
このため、樹脂量の低下に伴い導電性支持体との接着性が低下し、支持体と中間層の間において剥離を生じやすくなるという問題点を有し、特に支持体がフレキシブルなベルト状構造のものであるとこの問題は顕著である。
また、特許文献19、特許文献20には金属アンチモン酸塩の微粒子、または、五酸化アンチモンと金属酸化物とが結合してなる複酸化物の微粒子を分散した熱硬化性樹脂の中間層が開示されている。
これらの文献には、前記中間層以外の中間層は必要ない旨の記載があるが、該微粒子の屈折率が比較的樹脂に近いため、塗膜の透明性が高く、モアレ防止性能が不十分であることから、実際の画像形成装置に搭載した場合には、書き込み光源の入射角や波長によって、モアレ画像が発生する場合があった。
このような問題点を解決するために、中間層を積層化する考え方が提案された。積層化の構成は2つのタイプに大別され、1つは導電性支持体上にフィラー分散した樹脂層(フィラー分散層)およびフィラーを分散しない樹脂層を順に積層したものであり(図1参照)、もう1つは導電性支持体上にフィラーを分散しない樹脂層およびフィラーを分散した樹脂層を順に設けたものである(図2参照)。
前者の構成を詳しく述べると、上述したような支持体の欠陥をカバーするため、導電性支持体上に抵抗の低いフィラーを分散した導電性の層を設け、その上に前記樹脂層を設けたものである。これらは例えば特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27等に記載されている。これらは本質的に下層である導電層が導電性支持体における電極の役割を果たすため、樹脂中間層単独の構成と上述した感光体の静電的な欠点は変わらないが、導電層がフィラー分散膜で構成されるため、この層による書き込み光の散乱によりモアレ防止機能を有する。
このような構成の場合、下層が導電層であるため、感光体帯電時には感光体表面に帯電された極性とは逆極性の電荷が下層(導電層)と上層(樹脂中間層)との界面まで到達することにより、感光体の動作が成立する。しかしながら、導電層の抵抗がそれほど低くない場合、電極からの電荷注入が十分に行われず、繰り返し使用時に下層が抵抗成分となって残留電位を非常に上昇させてしまう。特に、この構成の目的の1つである導電性支持体の欠陥のカバーを行うためには下層を十分に厚くする(10μm以上)ことが必須であり、この問題は顕著である。
一方、後者の構成としては、導電性支持体上に正孔ブロッキング性の樹脂単独層を設け、その上に抵抗の低いフィラーもしくは導電性のフィラーを分散した樹脂層を設けたものである。これらは、例えば、特許文献28、特許文献29等に記載されている。こちらの構成においては、前者の構成と同様に正孔のブロッキング機能を有するため、地汚れに対して有効に作用する。
また、フィラー分散膜が上層に存在するため、前者の構成と比較して残留電位の蓄積性は低い。この構成においては、上述のように導電性支持体から感光層への電荷(正孔)注入を防止できるため、ネガ・ポジ現像における地汚れ現象はかなり軽減できる。また、電荷ブロッキング層を下層に配置することで、繰り返し使用における残留電位の上昇も、上層に配置する場合に比べて低減できる。
これら中間層に用いられる樹脂材料には、幾つかの機能が必要である。(1)電荷発生層や電荷輸送層を含む感光層を中間層上に湿式成膜法により塗工した場合、それらに使用される溶媒に容易に溶解あるいは変形しないための耐溶媒性を有すること、(2)電気的なバリアー性の確保あるいは上層の塗工性に影響がないように、塗膜欠陥のない均一な成膜性が求められること、(3)導電性支持体との接着性が良好である必要があること、等が挙げられる。このため、好適な樹脂材料としては、ポリアミド、中でもN−アルコキシメチル化ポリアミドが挙げられる。例えば、特許文献30には下引き層にアルコキシメチル化度が5〜30%のアルコキシメチル化共重合ナイロンを含有させる方法、特許文献31には、中間層に無機顔料と結着樹脂として架橋したN−アルコキシメチル化ポリアミドを含有させる方法、特許文献32には中間層にλ−アミノ−n−ラウリン酸を主成分とするN−アルコキシメチル化ポリアミド共重合体を含有させる方法、及び、特許文献33には中間層にある構造を有する単位成分を有するポリアミド樹脂を含有させる方法が開示されている。
このように、下引き層もしくは中間層にこれらのN−アルコキシメチル化ナイロンを含有させる方法は公知であり、導電性支持体からの電荷の注入性を抑制し地汚れ抑制効果を高めることに対しては有効な方法であることが知られている。
しかしながら、上記のように下引き層を複数設けたり、N−アルコキシメチル化ナイロンを下引き層もしくは中間層に含有させたこれらの感光体は、地汚れ抑制には有効であるものの、残留電位上昇に与える影響は少なくない。特に、繰り返し使用による残留電位の上昇は深刻であり、それにより必ずしも画質安定性が向上するとは言い難く、大きな課題となっている。
また、吸湿性が高い樹脂を用いた場合には湿度によって下引き層あるいは中間層の抵抗が変化し、低温低湿環境においては著しい残留電位上昇を引き起こしたり、高温高湿環境においては帯電低下により地汚れが発生しやすくなったりするなど環境依存性が大きくなる傾向が見られていた。この課題に対して特許文献34には下引き層がN−アルコキシメチル化ナイロン樹脂よりなり、樹脂中に含有される不純物Na、Ca及びP原子の元素濃度が各々10ppm以下とする方法、及び、特許文献35には、分子量1000以下の成分が10ppm以下であるN−メトキシメチル化ナイロン6を含有させる方法が開示されている。これらは、N−アルコキシメチル化ナイロン樹脂中に含まれる不純物を除去することによって上記静電的な不具合を解消する技術である。
しかし、特許文献34に記載の方法では、高温高湿下での繰り返し使用時においては画像欠陥を防ぐものの、低温低湿下では下引き層の抵抗が高くなり、残留電位の上昇は避けられないものであった。
また、特許文献35の方法においても常温下での長期安定性には優れているが、高温高湿下、あるいは、低温低湿下において帯電性低下および残留電位の上昇による地汚れ、濃度低下等の不具合が見られた。
また、特許文献36、特許文献37、特許文献38には、表面層に導電性微粒子を含有させ、耐摩耗性の向上と共に残留電位低減させることが提案されている。しかし、前記文献記載のものは、導電性支持体からの電荷注入性を考慮するものではない。
以上のように、高温高湿から低温低湿環境にわたって、安定して高性能な静電特性を示し、支持体からの電荷の注入をブロックする機能を発揮することで、高画質な画像形成を長期間にわたり実現する技術は未だ確立されていなかった。
特開昭47−6341号公報 特開昭60−66258号公報 特開昭52−10138号公報 特開昭58−105155号公報 特開昭51−65942号公報 特開昭52−82238号公報 特開昭55−1130451号公報 特開昭58−93062号公報 特開昭58−58556号公報 特開昭60−111255号公報 特開昭59−17557号公報 特開昭60−32054号公報 特開昭64−68762号公報 特開昭64−68763号公報 特開昭64−73352号公報 特開昭64−73353号公報 特開平1−118848号公報 特開平1−118849号公報 特開2001−005206号公報 特開2002−062675号公報 特開平4−170552号公報 特開平6−208238号公報 特開平6−222600号公報 特開平8−184979号公報 特開平9−43886号公報 特開平9−190005号公報 特開平9−288367号公報 特開平5−80572号公報 特開平6−19174号公報 特開平9−265202号公報 特開2002−107984号公報 特許第3086965号公報 特許第3226110号公報 特許第2718044号公報 特開平6−93129号公報 2006−276806号公報 特開2006−330086号公報 特開2007−251155号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高温高湿から低温低湿環境にわたって安定して、残留電位を抑え、高コントラストな静電潜像を形成することができ、さらに支持体からの電荷の注入をブロックする機能によって地肌汚れを大幅に低減し、優れた耐久性と高品質の画像形成を長期間にわたり安定して行うことができる高耐久な静電潜像担持体、並びに該静電潜像担持体を用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
本発明者らは導電性支持体上に少なくとも電荷ブロッキング層、中間層、感光層の順に積層されてなる電子写真静電潜像担持体であって、該電荷ブロッキング層がバインダー樹脂と次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種の導電性微粒子を含有し、該中間層が、バインダー樹脂と少なくとも前記導電性微粒子とは異なる1種類の金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする静電潜像担持体を用いることで、前記課題が達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、上記課題は本発明の(1)「導電性支持体上に少なくとも電荷ブロッキング層、中間層、感光層の順に積層されてなる電子写真静電潜像担持体であって、該電荷ブロッキング層と中間層はそれぞれが少なくともバインダー樹脂と金属酸化物微粒子とを含み、該電荷ブロッキング層に含まれる金属酸化物微粒子は次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種の導電性微粒子であり、該導電性微粒子は、アンチモン酸亜鉛(ZnSb )を含むものであり、かつ該電荷ブロッキング層中の金属酸化物微粒子の容積比(容積比=含有微粒子の総容積/樹脂容積)を(C1)とし、該中間層に含まれる金属酸化物微粒子の容積比を(C2)とした場合、C1≦C2の関係を満たすことを特徴とする静電潜像担持体」、
(2)「前記電荷ブロッキング層のバインダー樹脂の少なくとも1種がアルコール可溶性ポリアミド樹脂であることを特徴とする前記第(1)項に記載の静電潜像担持体」、
)「前記電荷ブロッキング層は、該導電性微粒子を0.5〜60質量%含有するものであることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の静電潜像担持体」、
)「前記中間層に含まれる金属酸化物微粒子が、平均一次粒径の大きい酸化チタン(T1)と平均一次粒径の小さい酸化チタン(T2)との平均粒径の異なる2種類の酸化チタンであり、前記平均一次粒径の大きい酸化チタン(T1)の平均粒径を(D1)とし、前記平均一次粒径の小さい酸化チタン(T2)の平均粒径を(D2)とした場合、0.2<(D2/D1)≦0.5の関係を満たすことを特徴とする前記第(1)項乃至第()項のいずれか1に記載の静電潜像担持体」、
)「前記中間層のバインダー樹脂の少なくとも1種類が熱硬化性樹脂であることを特徴とする前記第(1)項乃至第()項のいずれか1に記載の静電潜像担持体」、
)「前記感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化した架橋層からなることを特徴とする前記第(1)項乃至第()項のいずれか1に記載の静電潜像担持体」、
)「静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記静電潜像担持体が、前記第(1)項乃至第()項のいずれかに記載の静電潜像担持体であることを特徴とする画像形成装置」、
)「前記静電潜像形成手段は、帯電器と、露光器とを有し、該帯電器が静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電する前記第(7)項に記載の画像形成装置」、
)「静電潜像担持体表面に潤滑性付与剤を塗布する潤滑性付与剤塗布手段を有する前記第(7)項または前記第(8)項に記載の画像形成装置」、
10)「静電潜像形成手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段の少なくとも1つと、前記第(1)項乃至前記第()項のいずれかに記載の静電潜像担持体とを具備してなることを特徴とするプロセスカートリッジ」により解決される。

本発明の静電潜像担持体は、導電性支持体上に少なくとも電荷ブロッキング層、中間層、感光層の順に積層され、該電荷ブロッキング層がバインダー樹脂と次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種の導電性微粒子を含有し、該中間層が、バインダー樹脂と少なくとも前記導電性微粒子とは異なる1種類の金属酸化物微粒子を含有してなる。
少なくとも導電性支持体上に電荷ブロッキング層、中間層、感光層を順に積層してなる静電潜像担持体は、前述の通り、正孔のブロッキング機能を有するため、地肌汚れ現象をかなり軽減でき、繰返使用における残留電位上昇も比較的軽減できる。しかしながら、樹脂単独層より形成される電荷ブロッキング層では、やはり体積抵抗が大きく、残留電位上昇の要因となってしまうため、より薄膜にする必要があるが、薄膜化は、塗膜欠陥のない均一な成膜が困難であるなどの不具合が生じやすかった。
ここで、本発明の静電潜像担持体は、該電荷ブロッキング層に次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種の導電性微粒子を含有せしめることで、電荷ブロッキング層を適度に低抵抗化し、比較的厚膜で、より欠陥の少ない電荷ブロッキング層を形成することができ、その結果、残留電位の上昇を抑制しつつ、地肌汚れを大幅に改善することができた。さらに、本発明に用いているMSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される導電性微粒子は、電子伝導性酸化物であり、湿度依存性が小さいため、上記効果が高温高湿環境から低温低湿環境まであらゆる環境下においても有効に発現する。
また、本発明の中間層は、バインダー樹脂と金属酸化物微粒子を含有し、電荷ブロッキング層の上に積層され、かつ前記電荷ブロッキング層中の金属酸化物微粒子の容積比(容積比=含有微粒子の総容積/樹脂容積)を(C1)とし、該中間層に含まれる金属酸化物微粒子の容積比を(C2)とした場合、C1≦C2の関係を満たすことを特徴とする。該中間層を電荷ブロッキング層と感光層の間に設けることで、主にモアレを防止したり、電荷ブロッキング層からの電荷注入を防止したりする機能を有する。
前述のモアレとは、レーザ光のようなコヒーレント光による書き込みを行う際に感光層内部での光干渉によって、干渉縞が画像に形成される画像欠陥の一種である。基本的に、入射されたレーザ光をこの中間層によって光散乱させることによりモアレを防止する。
また、本発明の中間層は、繰返し使用時の残留電位を低減する効果が見られる。その理由についてははっきりとはわかっていないが、本発明の中間層は、金属酸化物微粒子を含有しているため、露光によって感光層に発生した電荷を感光層から受け取ったり、さらに中間層を通過した電荷を電荷ブロッキング層中の導電性微粒子に受け渡したりする、電荷移動サイトとして働き、感光層−中間層間、中間層−電荷ブロッキング層間の界面での電荷トラップが少なくなるためではないかと考えられる。さらに、前述の金属酸化物微粒子の含有量比がC1<C2の関係となることで、導電性支持体からの電荷をブロックする電荷ブロッキング層の機能を保持しつつ、中間層−電荷ブロッキング層間の界面において、各層に含まれる金属酸化物微粒子間の接点を通して、中間層から電荷ブロッキング層への電荷の移動がよりスムーズに行われることが考えられる。
これらの効果の結果、高温高湿から低温低湿環境のあらゆる環境下においても安定して、残留電位を抑え、高コントラストな静電潜像を形成することができ、さらに支持体からの電荷の注入をブロックする機能によって地肌汚れを大幅に低減し、優れた耐久性と高品質の画像形成を長期間にわたり安定して行うことができる高耐久な静電潜像担持体が提供される。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有してなり、前記静電潜像担持体が、本発明の前記静電潜像担持体である。その結果、高温高湿から低温低湿までのあらゆる環境下において、長期間にわたって良好な画像を安定に形成することができる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、トナーで前記静電潜像を現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含んでなり、前記静電潜像担持体が、本発明の前記静電潜像担持体である。その結果、高温高湿から低温低湿までのあらゆる環境下において、長期間にわたって良好な画像を安定に形成することができる。
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像形成手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段の少なくとも1つと、本発明の前記静電潜像担持体とを具備してなる。その結果、利便性に優れ、高温高湿から低温低湿までのあらゆる環境下において、長期間にわたって良好な画像を安定に形成することができる。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、高温高湿から低温低湿までのあらゆる環境下において、高階調性を有し、地肌汚れを抑えた良好な画像を長期間にわたって安定して出力することができる静電潜像担持体、及び該静電潜像担持体を用いた画像形成方法、該感光体を搭載した画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することができる。
(静電潜像担持体)
本発明の静電潜像担持体は、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷ブロッキング層、中間層、感光層を有してなり、必要に応じて保護層等、その他の層を有してなる。
本発明の静電潜像担持体は、導電性支持体上に少なくとも電荷ブロッキング層、モアレ防止層、感光層の順に積層されてなる電子写真感光体において、該電荷ブロッキング層がバインダー樹脂と次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種の導電性微粒子を含有してなる。
前記静電潜像担持体は、第一の形態では、支持体上に電荷ブロッキング層、中間層、単層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、その他の層を有してなる。
また、前記静電潜像担持体は、第二の形態では、支持体と、該支持体上に電荷ブロッキング層、中間層、電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有する積層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、その他の層を有してなる。なお、前記第二形態では、電荷発生層、及び電荷輸送層は逆に積層しても構わない。
前記単層型感光層では、最表面層としては感光層、又は該感光層上に形成された保護層が該当する。前記積層型感光層では、最表面層としては、電荷輸送層、又は該電荷輸送層上に形成された保護層が該当する。
ここで、図3は、本発明の静電潜像担持体の模式断面図であり、支持体201上に電荷ブロッキング層203を設け、その上に中間層204を積層し、さらにその上に感光層202を設けた構成のものである。
また、図4及び図5は、各々本発明の他の静電潜像担持体の層構成例を示すものであり、図4は、感光層が電荷発生層(CGL)205と、電荷輸送層(CTL)206より構成される機能分離型タイプのものである。図5は、電荷輸送層206の上に保護層207を積層したタイプのものである。
なお、本発明の静電潜像担持体は、支持体201上に電荷ブロッキング層203、中間層204、感光層202を少なくとも有していれば、上記のその他の層、及び感光層のタイプは任意に組み合わされていても構わない。
(支持体)
本発明の電潜像担持体における支持体は、導電性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
支持体としては、導電体または導電処理をした絶縁体が好適であり、例えば、Al、Ni、Fe、Cu、Au等の金属、またはそれらの合金;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の金属、あるいはIn、SnO等の導電材料の薄膜を形成したもの;樹脂中にカーボンブラック、グラファイト、Al、Cu、Ni等の金属粉、導電性ガラス粉などを均一に分散させ、樹脂に導電性を付与した樹脂基体、導電処理をした紙などが挙げられる。
支持体の形状、大きさとしては特に制約はなく、板状、ドラム状あるいはベルト状のいずれのものも使用できる。ベルト状の支持体を用いると、内部に駆動ローラ、従動ローラを設ける必要があるなど装置が複雑化したり、大型化する反面、レイアウトの自由度が増すなどのメリットがある。
しかし、保護層を形成する場合は、保護層の可撓性が不足して、表面にクラックとよばれる亀裂が入る可能性があり、それが原因で粒状の地肌汚れが発生することが考えられる。このため、支持体としては剛性の高いドラム状のものが好適である。
(電荷ブロッキング層)
次に、電荷ブロッキング層について述べる。本発明の電荷ブロッキング層は、バインダー樹脂と次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種の導電性微粒子を含有することを特徴とする。
導電性粒子としては、次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種を含むものであり、前記金属元素Mとしては、Zn、In、Sn、Ti、Zrなどが挙げられ、Zn、Inが特に好ましい。
前記x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。前記導電性微粒子がZnxSbyOzの場合には、1:1.6〜2.4:5〜7である。前記導電性微粒子がInxSbyOzの場合には、1:0.02〜1.25:1.55〜4.63である。
本発明の電荷ブロッキング層は、MSbで表される導電性微粒子に加えて、他の導電性微粒子を併せて用いることもできる。その他の導電性微粒子としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレスなどの金属粉体、またはこれらの金属を樹脂粒子の表面に蒸着したものなどが挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
前記MSb(ただし、Mは金属元素を表す。x、y、及びzは各元素のモル比を表す)で表される導電性微粒子としては、例えば、特許第3221132号公報に開示されているアンチモン酸亜鉛(ZnSb)、特許第3198494号公報に開示されているアンチモン酸インジウム(InSbO)、などが挙げられる。
前記アンチモン酸亜鉛としては、例えば、導電性ゾル(セルナックスシリーズ、日産化学工業社製)として上市されており、コロイド状に溶媒に分散された状態で容易に入手可能である。
また、粉体として入手される導電性微粒子を分散する方法としては、既存の分散方法を用いることができるが、例えば、マイクロフルイダイザー(MFI社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)、などの高速液衝突分散方法が好適である。
電荷ブロッキング層に含まれる導電性微粒子の体積抵抗を(Rv1)とすると、
10Ω・cm≦Rv1≦2000Ω・cmであることが好ましく、300Ω・cm≦Rv1≦1000Ω・cmであることがより好ましい。
体積抵抗が5Ω・cmより小さいと、電荷ブロッキング層中に含有できる導電性微粒子の量が少なくなってしまい、中間層との界面において、中間層中の金属酸化物微粒子との接点が少なくなってしまい、スムーズな電荷の移動が行われなくなり、残留電位上昇の要因となる場合がある。ここで、電荷ブロッキング層中の含有量を増やすことは、導電性支持体からの電荷をブロックするという機能が損なわれるので、現実性が低い。また、体積抵抗が2000Ω・cmより大きいと、電荷ブロッキング層の電荷通過の妨げとなり、やはり残留電位上昇の要因となってしまう場合がある。
これらの導電性微粒子は、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記導電性微粒子の体積平均粒径は、0.01〜1μmが好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましく、さらに0.05〜0.1μmが好ましい。
体積平均粒径が0.01μm未満であると、電荷ブロッキング層中に含まれる導電性微粒子の粒子間距離が小さくなり、体積抵抗が小さくなりすぎて、電荷ブロッキング性能が低下してしまう場合がある。
また、塗工液中で凝集して、粒径の不均一な二次粒子を形成しやすくなり、結果として、より大きな粒子として層中に局在化し、局所的な電荷注入を引き起こし、非露光部の帯電電位低下による異常画像、即ち露光部現像方式(ネガポジ方式)では、粒状地肌汚れとなり、非露光部現像方式(ポジポジ方式)では、白斑点の異常画像となってしまうことがある。
一方、前記導電性微粒子の体積平均粒径が1μmを超えると、塗膜に対する導電性微粒子が大きすぎて、電荷ブロッキング層中の電荷注入サイトとなってしまい、上記異常画像を引き起こすことが懸念される。
導電性粒子は必要に応じて公知の材料や手段により表面処理を行ってもよい。
前記導電性微粒子の電荷ブロッキング層における含有量は、0.5〜60質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、さらに20〜30質量%が好ましい。前記含有量が0.5質量%未満であると、体積抵抗の低抵抗化が不十分となり、繰返し使用時の残留電位上昇抑制効果が小さくなってしまうことが考えられ、60質量%を超えると、他電荷ブロッキング層の体積抵抗が小さくなりすぎて、電荷ブロッキング性能が低下してしまうことが考えられる。
電荷ブロッキング層に用いるバインダー樹脂としては、従来公知のどのような樹脂を用いてもよいが、その上に中間層を溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが好ましい。また、電荷の注入を抑制させる必要があるため、特に絶縁性を有するバインダー樹脂が用いられる。バインダー樹脂の一例としては、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂例えば、活性水素(−OH基、−NH2基、−NH基等の水素)を複数個含有する化合物とイソシアネート基を複数個含有する化合物及び/又はエポキシ基を複数個含有する化合物とを熱重合させた熱硬化性樹脂等も使用できる。
この場合活性水素を複数個含有する化合物としては、例えばポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ヒドロキシエチルメタアクリレート基等の活性水素を含有するアクリル系樹脂等があげられる。イソシアネート基を複数個含有する化合物としては、たとえば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等とこれらのプレポリマー等が挙げられ、エポキシ基を複数有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等があげられる。また、オイルフリーアルキド樹脂とアミノ樹脂、例えば、ブチル化メラミン樹脂等を熱重合させた熱硬化性樹脂、さらにまた、不飽和結合を有するポリウレタン、不飽和ポリエステル等の不飽和結合を有する樹脂と、チオキサントン系化合物、メチルベンジルフォルメート等の光重合開始剤との組合せ等の光硬化性樹脂もバインダー樹脂として使用できる。
本発明においては、これらの樹脂の中でもポリアミドが好ましく、その中でも特にN−メトキシメチル化ナイロンが最も好ましい。ポリアミド樹脂は、電荷の注入を抑制する効果が高い上に残留電位に与える影響が比較的少ない。また、これらのポリアミド樹脂は、アルコール可溶性の樹脂であって、ケトン系溶媒には不溶性を示し、また浸積塗工においても均一な薄膜を形成することができ、塗工性に優れている。
しかし、一般にアルコール可溶性のポリアミド系樹脂は湿度依存性が大きく、それにより低湿環境下では抵抗が高くなり残留電位上昇が、高湿環境下では抵抗が低くなり、帯電低下が引き起こされるなど、環境依存性が大きいという課題があった。しかしながら、ポリアミド樹脂の中でもN−メトキシメチル化ナイロンは、環境依存性が大幅に低減され、画像形成装置の使用環境が変化しても常に安定した画質を維持することが可能であるため、最も好適に用いられる。
N−メトキシメチル化ナイロンにおけるアルコキシメチル基の置換率は、特に限定されるものではないが、15mol%以上であることが吸湿性をある程度抑え、アルコール親和性に優れ、環境安定性の面で好ましい。置換率は25mol%以上であることがより好ましくい。また、アミド置換基(N−メトキシメチル化度)が増加するにつれて、アルコール性溶媒親和性は増すが、主鎖周りのバルク側鎖基の影響が強くなって主鎖の弛緩状態や主鎖−主鎖間の配位状態等が変化するためか、吸湿性も増し、また結晶性が低下し、したがって融点が低下し、機械的強度が低下するので、置換率は、35mol%以下であることが好ましく、33mol%以下であることがより好ましい。
本発明においては、N−メトキシメチル化ナイロンを使用する場合、架橋剤や酸触媒を添加することも可能である。架橋剤としては従来公知のメラミン樹脂、イソシアネート樹脂等市販されている材料を用いることが可能であり、触媒としては酸性触媒が用いられ、酒石酸等の汎用触媒を用いることが可能である。但し、酸触媒の添加によって電荷ブロッキング層の絶縁性が低下し、地汚れ抑制効果が低減される恐れがあるため、添加量はごく微量にする必要がある。添加量としては樹脂に対して5wt%以下が好ましい。また、場合によっては他のバインダー樹脂を混合させることも可能である。混合可能なバインダー樹脂としては、アルコール可溶性を示すポリアミド樹脂が用いられ、液の経時安定性が高まる場合がある。
また、前述のMSb(ただし、Mは金属元素を表す。x、y、及びzは各元素のモル比を表す)で表される導電性微粒子、アンチモン酸亜鉛、アンチモン酸インジウムはアルコールに対して特に分散性が良好なため、アルコール可溶性ポリアミド樹脂をバインダーとすることで、電荷ブロッキング層形成用塗工液の溶媒をアルコール系にすることができ、その結果、塗工液中でほとんど凝集することなく、安定した分散状態が維持される。
塗工溶媒としては、一般の有機溶剤を使用できるが、ポリアミド系樹脂の場合にはアルコール可溶性であることによりアルコール系溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等もしくはそれらの混合溶媒が用いられる。
上記電荷ブロッキング層は、従来公知の浸漬塗工法、スプレーコート、リングコート、ビードコート、ノズルコート法などにより塗布される。塗布後は、加熱乾燥することによって膜形成が完了されるが、硬化させる場合には必要に応じて加熱あるいは光照射等の硬化処理を行うこともできる。
上記電荷ブロッキング層の膜厚は、0.2μm以上5.0μm未満、好ましくは0.5μm以上3.0μm以下が適当である。この電荷ブロッキング層の膜厚がそれ以上に厚くなると、帯電と露光の繰返しによって、残留電位の上昇が発生しやすくなり、また、膜厚が薄すぎると地汚れ抑制効果が乏しくなる。
(中間層)
次に、本発明の中間層について説明する。本発明の中間層は、バインダー樹脂と金属酸化物微粒子を含有し、電荷ブロッキング層の上に積層され、かつ前記電荷ブロッキング層中の金属酸化物微粒子の容積比(容積比=含有微粒子の総容積/樹脂容積)を(C1)とし、該中間層に含まれる金属酸化物微粒子の容積比を(C2)とした場合、C1≦C2の関係を満たすことを特徴とし、該中間層を電荷ブロッキング層と感光層の間に設けることで、主にモアレを防止したり、電荷ブロッキング層からの電荷注入を防止したりする機能を有する。
前述のモアレとは、レーザ光のようなコヒーレント光による書き込みを行う際に感光層内部での光干渉によって、干渉縞が画像に形成される画像欠陥の一種である。基本的に、入射されたレーザ光をこの中間層によって光散乱させることによりモアレ発生を防止するため、屈折率の大きな材料を含有させる必要がある。モアレを防止する上では、金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化チタン、フッ化カルシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化錫などが良好に用いられる。
上記金属酸化物微粒子の中でも、酸化錫や電荷ブロッキング層に含有させるMSb等の導電性微粒子を用いると、残留電位を抑える効果がより大きくなるが、地肌汚れの影響が増大する恐れがある。残留電位と地汚れに対する影響を最小限にし、かつモアレ防止効果に優れる顔料としては、酸化チタンが最も好適である。
本発明に用いられる金属酸化物微粒子は、残留電位上昇を軽減する上で、高純度のものが好ましい。純度としては99.0%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましい。 前記金属酸化物微粒子の平均一次粒径としては、0.01μm〜0.8μmが好ましく、0.05μm〜0.5μmがより好ましく、さらに0.05μm〜0.3μmが好ましい。但し、平均一次粒径が0.1μm以下の金属酸化物微粒子のみを用いた場合には、地肌汚れの低減に対し有効であるが、モアレ防止効果が低下する傾向があり、一方、平均一次粒径が0.5μmよりも大きな金属酸化物のみを用いた場合には、モアレ防止効果に優れるものの、地肌汚れの抑制効果がやや低減する傾向が見られる。この場合、異なる平均一次粒径を有する金属酸化物微粒子を混合して用いることによって、地肌汚れの低減とモアレの低減を両立できる場合があり、また残留電位の低減にも効果が見られる場合があり有効である。
本発明においては、平均一次粒径の異なる2種以上の金属酸化物微粒子を混合させる場合、最も大きな平均一次粒径を有する金属酸化物微粒子の平均一次粒径をD1、最も小さな平均一次粒径を有する金属酸化物微粒子の平均一次粒径をD2としたとき、0.2<(D2/D1)≦0.5の関係を満たすことが好ましい。これにより、モアレ防止効果と地汚れ抑制効果を両立することが可能となる。
また、この場合、最も小さな平均一次粒径を有する金属酸化物微粒子の平均一次粒径D2は、0.05μm<D2<0.20μmであることが好ましい。これにより、地汚れ抑制効果が十分に発揮される。
また、これらの平均一次粒径が異なる2種以上の金属酸化物微粒子の混合比は、最も大きな平均一次粒径を有する金属酸化物微粒子の含有量をT1、最も小さな平均一次粒径を有する金属酸化物微粒子の含有量をT2としたとき、重量で0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8の関係を満たすことが好ましい。これよりも小さい場合には、地汚れ抑制効果が低下する恐れがあり、これよりも大きいとモアレ防止効果が低下する恐れがある。
これらの金属酸化物微粒子を含有する中間層に用いられるバインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、ポリアミド、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂及びメラミン樹脂からなるアルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、硬化型樹脂は、硬化されていることによって中間層の上に感光層が塗工される際に有機溶剤による溶出の影響が極めて少ないことから、最も好ましく用いられる。上記硬化型樹脂の中でも、残留電位や環境安定性の面から、アルキッド−メラミン樹脂が好適である。
ここで、電荷ブロッキング層がない場合、主剤と硬化剤の比率が適当でないと、熱硬化による体積収縮が大きくなり、塗膜欠陥が発生しやすくなり、電荷のリークを引き起こし、黒斑点や地汚れの発生を促すことがあったが、本発明の静電潜像担持体は、導電性支持体と中間層の間に電荷ブロッキング層を有していることから、塗膜欠陥による電荷のリークに対する余裕度は飛躍的に高くなっている。
ところで、熱硬化性樹脂としてアルキッド−メラミン樹脂を用いた場合、硬化剤の含有比率が増加するに伴い、残留電位上昇が大きくなる傾向が見られる。本発明において、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の含有比率は重量比で1/1乃至4/1の範囲内であることが好ましい。これにより、塗膜欠陥の発生もなく、また残留電位上昇の影響を軽減することが可能となる。
金属酸化物とバインダー樹脂の含有比率は、用いる金属酸化物の種類や層構成、また電荷ブロッキング層の構成、膜厚等によって調整する必要があるが、地汚れと残留電位の両立を図る上で、電荷ブロッキング層中の金属酸化物微粒子の含有比率よりも大きくする必要がある。すなわち、電荷ブロッキング層中の金属酸化物微粒子の容積比(容積比=含有微粒子の総容積/樹脂容積)を(C1)とし、該中間層に含まれる金属酸化物微粒子の容積比を(C2)とした場合、C1≦C2の関係を満たす必要がある。
本発明の中間層は、金属酸化物微粒子を含有しており、これが、露光によって感光層に発生した電荷を感光層から受け取ったり、さらに中間層を通過する電荷を電荷ブロッキング層中の導電性微粒子に受け渡したりする、電荷移動サイトとして働き、感光層−中間層間、中間層−電荷ブロッキング層間の界面での電荷トラップが少なくなると考えられる。さらに、前述の金属酸化物微粒子の容積比がC1<C2の関係となることで、導電性支持体からの電荷をブロックする電荷ブロッキング層の機能を保持しつつ、中間層−電荷ブロッキング層間の界面において、各層に含まれる金属酸化物微粒子間の接点を通して、中間層から電荷ブロッキング層への電荷の移動がよりスムーズに行われることが考えられる。これらの効果によって、本発明の中間層と電荷ブロッキング層の構成の電子写真静電潜像担持体は、繰返し使用時の残留電位を低減するものと考えられる。
ここで、C1>C2となるような層構成のうち、C1を大きくした場合、電荷ブロッキング層の体積抵抗が低下し、電荷をブロックする機能が著しく低下してしまうことになり、これにより、帯電性の低下や、電荷リークによる異常画像が発生することが懸念される。次にC2を小さくした場合、中間層中の金属酸化物微粒子と、電荷ブロッキング層中の導電性微粒子との接点が非常に少なくなってしまい、中間層−電荷ブロッキング層間の電荷移動がスムーズに行われず、残留電位上昇の要因となってしまう。
さらに、中間層中の金属酸化物とバインダー樹脂の容積比としては、1/1乃至3/1の範囲が好ましい。両者の容積比が1/1未満である場合には、モアレ防止能が低下するだけでなく、繰り返し使用における残留電位の上昇が増大する恐れがある。一方、容積比が3/1以上の領域ではバインダー樹脂における結着能が低下するだけでなく、塗膜表面性が悪化し、上層の成膜性に悪影響を与える場合がある。この影響は感光層が積層タイプで構成され、上層に電荷発生層のような薄層を形成する場合には、電荷発生層の膜厚の均一性が低下することにより局所的な帯電低下が起こり、地汚れ抑制効果が低下する恐れがある。更に、両者の容積比が3/1以上の場合には、無機顔料表面のバインダー樹脂による被覆率が低下し、電荷発生物質と直接接触することで、地汚れに対して悪影響を与える場合がある。
金属酸化物を含有する中間層の膜厚は、用いる金属酸化物の種類や含有比率等によって調整する必要があるが、金属酸化物に酸化チタンを用いた場合には地汚れと残留電位との両立を図る上で、1〜15μm、好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは3〜7μmが適当である。膜厚が1μm未満ではモアレ防止効果が低下したり、疲労による帯電低下が増加する場合があり、必要以上に厚くなると残留電位の上昇を引き起こす恐れがある。
金属酸化物微粒子を溶剤及びバインダー樹脂と共に従来公知の方法、例えばボールミル、サンドミル、アトライター等により分散することにより中間層塗工液を得ることができる。バインダー樹脂は分散前に添加しても分散後に樹脂溶液として添加しても良い。また、必要に応じて硬化(架橋)に必要な薬剤、溶剤、添加剤、硬化促進剤等を加えることも可能であり有効である。これらの塗工液を用い、従来公知の方法、例えば浸漬塗工法、スプレーコート、リングコート、ビードコート、ノズルコート法などを用いて導電性基体上に形成される。塗布後は乾燥や加熱、必要に応じて光照射等の硬化処理により乾燥あるいは硬化させることにより作製できる。
[感光層]
次に、本発明の静電潜像担持体を構成する複層型感光層および単層型感光層について説明する。
<複層型感光層>
複層型感光層は、支持体側から電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)が、通常この順に積層されて形成される。
〔電荷発生層〕
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含有し、バインダー樹脂やさらに必要に応じてその他の成分を含んでなる。
電荷発生物質としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無機系材料と有機系材料とのいずれかを用いることができる。
無機系材料としては限定するものではないが、例えば、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、などが挙げられる。
前記有機系材料としては限定するものではないが、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタンまたはトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンまたはナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
電荷発生層のバインダー樹脂としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、必要に応じて電荷輸送物質を添加してもよい。また、電荷発生層のバインダー樹脂として、上述のバインダー樹脂の他に、高分子電荷輸送物質を添加することもできる。
前記電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法と、溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法としては、グロー放電重合法、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、加速イオンインジェクション法等が挙げられる。
この真空薄膜作製法は、上述した無機系材料または有機系材料を良好に形成することができる。
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、電荷発生層形成用塗工液を用いて、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などの慣用されている方法を用いて行うことができる。
電荷発生層形成用塗工液に用いられる有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、沸点が40℃〜80℃のテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、メタノール、エタノールは、塗工後の乾燥が容易であることから特に好適である。
電荷発生層形成用塗工液は、上記有機溶媒中に前記電荷発生物質と、バインダー樹脂を分散、溶解して製造することができる。有機顔料を有機溶媒に分散する方法としては、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、振動ミルなどの分散メディアを用いた分散方法や、高速液衝突分散方法などが挙げられる。
電荷発生層の厚みに応じて、電子写真特性、特に光感度が変化し、一般的に厚みが厚いほど光感度が高くなる。従って、前記電荷発生層の厚みは、要求される画像形成装置の仕様(スペック)に応じて好適な範囲に設定することが好ましく、電子写真方式の感光体として要求される感度を得るためには、通常、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
〔電荷輸送層〕
電荷輸送層は、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一方、高分子電荷輸送物質としては、以下のような構造を有するものが挙げられる。
(a)カルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
また、高分子電荷輸送物質としては、上記以外にも例えば、トリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリウレタン樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエステル樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂、などが挙げられる。前記高分子電荷輸送物質としては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報、等に記載の化合物が挙げられる。
また、電子供与性基を有する重合体としては、上記重合体だけでなく、公知の単量体との共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー、さらには例えば、特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることもできる。
電荷輸送層のバインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
電荷輸送層は、上記電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成することができる。電荷輸送層には、さらに必要に応じて、前記電荷輸送物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
電荷輸送層の厚みは、5〜100μmが好ましく、近年の高画質化の要求から、電荷輸送層を薄膜化することが図られており、1200dpi以上の高画質化を達成するためには、5〜30μmがより好ましい。
次に、単層型感光層について説明する。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂、さらに必要に応じてその他の成分を含んでなる。
キャスティング法により単層感光層を設ける場合、かかる単層感光層は、例えば、少なくとも、電荷発生物質と、熱硬化性バインダー樹脂と、架橋性官能基を有する電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成することができる。また、かかる単層感光層には、必要により可塑剤を添加することもできる。
前記単層型感光層の厚みは、5〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。前記膜厚が5μm未満であると帯電性が低下することがあり、100μmを超えると感度の低下をもたらすことがある。
<最表面層>
本発明の静電潜像担持体は、感光層の最表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化した架橋層からなる感光層を有することで、高耐久性を有し、かつ長期間にわたり高品質な画像を出力できる静電潜像担持体が達成されるため好ましい。
本発明に好適に用いられる架橋表面層の構成材料について説明する。
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。
これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表わされる官能基が挙げられる。
Figure 0005030696

〔ただし、式中、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表わす。〕
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。

(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表わされる官能基が挙げられる。
Figure 0005030696

(ただし、式中、Yは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR2基(R2は、水素原子、置換又は無置換のメチル基、エチル基等のアルキル基、置換又は無置換のベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR3R4(R3およびR4は、水素原子、置換又は無置換のメチル基、エチル基等のアルキル基、置換又は無置換のベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わし、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記式1のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表わす。ただし、Y、X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX1,X2,Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、架橋表面層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋表面層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、HPA、EO、PO等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。また、架橋表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋表面層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では架橋表面層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%以上では電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される耐摩耗性や電気特性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が効果が高い。さらに、下記一般式(I)又は(II)で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 0005030696
Figure 0005030696
(一般式(I)及び(II)中、R10は水素原子、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR11(R11は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアラルキル基又は置換又は無置換のアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR12R13(R12及びR13は水素原子、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアラルキル基又は置換又は無置換のアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。X10は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
以下に、一般式(I)、(II)における置換基の具体例を示す。
前記一般式(I)、(II)において、R10の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
R10の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基は以下(1)〜(8)に示す置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基。好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR14)。R14は(2)で示されたアルキル基と同様である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アルールオキシ基のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基又はアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
Figure 0005030696

(式中、R15及びR16は各々独立に水素原子、前記(2)で示したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R15及びR16は共同で環を形成してもよい)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar1、Ar2で表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基が挙げられる。
前記X10は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基が挙げられ、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基が挙げられ、これらの環状アルキレン基は、置換基として、フッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、−CH2CH2O−基、−CH2CH2CH2O−基、−(OCH2CH2)h−O−基、又は−(OCH2CH2CH2)i−O−基等が挙げられる。
但し上記式中のh,iはそれぞれ1〜4の整数を表わす。
また、アルキレンエーテル基のアルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
Figure 0005030696
で表わされ、
R17は水素、アルキル基(前記(2)で示されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(III)の構造の化合物が挙げられる。
Figure 0005030696

(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子又はメチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、同一又は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 0005030696
を表わす。)
上記一般式(III)で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明により形成される架橋表面層は、クラック等の発生がなくかつ電気特性に優れる。その理由は、本発明で用いる上記一般式(I)及び(II)特に(III)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
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本発明の2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
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本発明の3官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
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また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、架橋表面層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋表面層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では架橋表面層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%を超えると電荷輸送構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明に好適に用いられる架橋製表面層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、架橋表面層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
また、本発明の表面層は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために架橋表面層中に重合開始剤を使用してもよい。
また、本発明の表面層は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために架橋表面層中に重合開始剤を使用してもよい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
更に、本発明の塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
本発明の架橋表面層は、少なくとも電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を塗布、硬化することにより形成される。かかる塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
本発明においては、かかる塗工液を塗布後、外部から光エネルギーを与え硬化させ、架橋表面層を形成するものである。光のエネルギーとしては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。また、ラジカル重合による架橋反応は温度によってその反応性が大きく影響を受け、光照射時の感光体表面温度は20℃以上170℃以下に維持することが好ましい。感光体表面温度制御手段は、前述の温度範囲を維持できれば何れの方法でも良いが、熱媒体を用いて温度を制御する方法が好ましい。
発明の架橋表面層形成材料を用いた場合において、塗工方法について例示すると、例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3から3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20重量%添加し、さらに上記のように導電性微粒子、溶媒を加えて塗工液を調製する。例えば、架橋表面層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、架橋表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
硬化し、作製された表面架橋層は、有機溶媒に対して、不溶であることが好ましい。硬化が充分でない膜は、有機溶媒に対して、可溶であり、且つ架橋密度が低いため、機械的耐久性も低くなる。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布、指触乾燥を経て、光照射して硬化させる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、例えば700mW/cmのUV光を照射する場合、例えば硬化に際し、ドラムを回転して全ての面を均一に2分程度照射する。このとき熱媒体等を用いて、表面温度が高くなりすぎないように制御する。
硬化終了後は、残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体を得る。
本発明の最表層の厚みは、0.5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは、1〜40μmであり、さらに好ましくは2〜20μmである。
0.5μmより薄いと、摩耗による消失や傷などに対する余裕度が小さすぎて、十分な耐久性を確保できないことが多い。一方、50μmよりも厚いと、残留電位の上昇などの不具合を発生させてしまう場合がある。従って、摩耗や傷に対する余裕度の確保と残留電位の発生が少なくなるような好適な膜厚で最表層を形成する必要がある。
本発明の静電潜像担持体、いわゆる感光体においては、必要に応じて前記支持体上や各種層間に、接着性等を向上させるために中間層を設けてもよい。中間層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に溶剤を含む溶液を用いて上層を塗布形成することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
中間層の樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
次に、本発明の画像形成装置と画像形成方法について説明する。
すなわち、本発明の画像形成装置は、導電性支持体と、該支持体上に少なくとも電荷ブロッキング層、モアレ防止層、感光層の順に積層されてなる静電潜像担持体において、該電荷ブロッキング層がバインダー樹脂と次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種の導電性微粒子を含有することを特徴とする静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、静電潜像をトナーを用いて可視像とする現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、転写像を定着させる定着手段とを少なくともすることを特徴とする。
本発明の画像形成装置には、必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有することができる。
クリーニング手段としては、例えば、静電潜像担持体表面に当接し、該静電潜像担持体表面に残留するトナーを除去するように構成するものが好ましく用いられる。
また、本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、静電潜像形成工程は静電潜像形成手段により行うことができ、現像工程は現像手段により行うことができ、転写工程は転写手段により行うことができ、定着工程は定着手段により行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
すなわち、本発明の画像形成方法は、導電性支持体と、該支持体上に少なくとも電荷ブロッキング層、モアレ防止層、感光層の順に積層されてなる静電潜像担持体において、該電荷ブロッキング層がバインダー樹脂と次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種の導電性微粒子を含有することを特徴とする静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、静電潜像をトナーを用いて可視像とする現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする。
さらに必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含むことができる。
以下、各工程と手段について詳しく説明する。
〈静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段〉
上記静電潜像形成工程は、帯電された静電潜像担持体上に露光により静電潜像を形成する工程であり、静電潜像担持体として本発明の静電潜像担持体が用いられる。静電潜像形成手段は、帯電器と露光器とを有する。
帯電は、例えば、帯電器を用いて静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。用いられる帯電器としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、導電性または半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、ローラ端部にギャップテープ等のギャップを付与する手段を設け、該ギャップテープを介して静電潜像担持体に非接触に近接配置された帯電器などが挙げられる。
帯電部材の形状としてはローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態に合わせて選択可能である。磁気ブラシの場合には、例えば、Zn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成して帯電部材とする。あるいは、ブラシの場合には、例えば、ファーブラシの材質として、カーボン、硫化銅、金属または金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることにより帯電部材とする。
帯電器としては、接触式の帯電器、あるいはギャップを付与する手段によって非接触に近接配置される帯電器を用いることが、帯電器からのオゾン発生を低減した画像形成装置とすることができる点から好ましい。特に、帯電器が静電潜像担持体に接触または非接触状態で配置され、直流及び交流電圧の重畳印加により静電潜像担持体表面を帯電するように構成されるものが好ましい。
そして、帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものであれば、帯電ムラが低減されたり、帯電ローラの汚れに起因する帯電不良などに対する余裕度が大きく、メンテナンスフリーで用いることができるという大きなメリットがあり、特に好ましい。
前記露光は、例えば、露光器を用いて静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
露光器としては、帯電器により帯電された静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
〈現像工程及び現像手段〉
現像工程は、露光により形成された静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する工程である。なお、ここでいう「トナー」は、後述するトナー及び現像剤を含む。
すなわち、可視像の形成は現像手段により行われ、静電潜像をトナーあるいは現像剤を用いて現像することにより行うことができる。
現像手段としては、トナーあるいは現像剤を用いて現像することができる限り特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナーあるいは現像剤を収容し、静電潜像に該トナーあるいは現像剤を接触または非接触で付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
上記現像器は、乾式現像方式あるいは湿式現像方式のいずれでもよく、また、単色用現像器あるいは多色用現像器のいずれであってもよい。例えば、トナーあるいは現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるものなどが好適に挙げられる。
現像器内では、例えば、後述するトナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって感光体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて感光体の表面にトナーによる可視像が形成される。
なお、現像器に収容させる現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
〈転写工程及び転写手段〉
転写工程は、可視像を記録媒体に転写する工程である。転写工程としては、中間転写体を用い、中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、可視像を転写帯電器により静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行われ、これは転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
すなわち、現像手段において、複数の静電潜像担持体上にそれぞれ単色複数色のカラートナー画像を形成し、転写手段において、該形成されたカラートナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写を行い、得られた一次転写画像を記録媒体上に一括して二次転写するように構成するのが好ましい。なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例として転写ベルト等が好適に挙げられる。
中間転写体の静止摩擦係数は、0.1〜0.6が好ましく、0.3〜0.5がより好ましい。
また、中間転写体の体積抵抗は数Ωcm以上10Ωcm以下であることが好ましい。体積抵抗を数Ωcm以上10Ωcm以下とすることにより、中間転写体自身の帯電を防ぐとともに、電荷付与手段により付与された電荷が該中間転写体上に残留しにくくなるので、二次転写時の転写ムラを防止できる。また、二次転写時の転写バイアス印加を容易とすることができる。
中間転写体の材質は特に制限はなく、公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、以下のようなものが例示される。
(1)ヤング率(引張弾性率)の高い材料を単層ベルトとして用いたもの:ヤング率の高い材料としては、PC(ポリカーボネート)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PAT(ポリアルキレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PCのブレンド材料、ETFE/PATのブレンド材料、PC/PATのブレンド材料、カーボンブラック分散の熱硬化性ポリイミドなどが挙げられる。これらヤング率の高い単層ベルトは画像形成時の応力に対する変形量が少なく、特にカラー画像形成時にレジズレを生じにくいとの利点を有している。
(2)上記ヤング率の高いベルトを基層とし、その外周上に表面層または中間層を付与した2〜3層構成のベルト:2〜3層構成のベルトは単層ベルトの硬さに起因し発生するライン画像の中抜けを防止し得る性能を有している。
(3)ゴム及びエラストマーを用いたヤング率の比較的低いベルト:これらのベルトは、その柔らかさによりライン画像の中抜けが殆ど生じない利点を有している。また、ベルトの幅を駆動ロール及び張架ロールより大きくし、ロールより突出したベルト耳部の弾力性を利用して蛇行を防止するので、リブや蛇行防止装置を必要とせず低コストを実現できる。
中間転写ベルトは、従来から弗素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等が使用されてきていたが、近年ベルトの全層やベルトの一部を弾性部材にした弾性ベルトが使用されてきている。
すなわち、樹脂ベルトを用いたカラー画像の転写の場合には以下の課題がある。
カラー画像は通常4色の着色トナーで形成され、1枚のカラー画像には、1層から4層までのトナー層が形成されており、トナー層は1次転写(感光体から中間転写ベルトへの転写)や、二次転写(中間転写ベルトからシートへの転写)を通過することで圧力を受けてトナー同士の凝集力が高くなるため、文字の中抜けやベタ部画像のエッジ抜けの現象が発生しやすくなる。樹脂ベルトは硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく文字の中抜け現象が発生しやすくなる。
弾性ベルトの場合には、転写部におけるトナー層、平滑性の悪い用紙に対応して変形する点が着目されて使用される。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するため、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ文字の中抜けの無い、平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることができる。
弾性ベルトに用いられる樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン樹脂、クロロポリスチレン樹脂、ポリ−α−メチルスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(例えば、シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、ポリ塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂などが挙げられる。これらは、1種類あるいは2種類以上の組み合せで使用することができる。
弾性材ゴム、エラストマーとしては、例えば、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えば、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)、などが挙げられる。これらは、1種類あるいは2種類以上の組み合せで使用することができる。
中間転写体の体積抵抗値を調節するための導電剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することがでる。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物などが挙げられる。導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。なお、導電剤は、これらに限定されるものではない。
上記ベルトの表面層に用いられる材料(表層材料)としては、弾性材料による感光体への汚染防止と、転写ベルト表面の表面摩擦抵抗を低減させてトナーの付着力を小さくし、クリーニング性、二次転写性を高めるものが要求される。
例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を用い、これに、表面エネルギーを小さくするとともに潤滑性を高める材料(例えば、フッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等)の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上、または粒径が異なるものを組み合せて分散して使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
前記ベルトの製造方法は限定されるものではなく、例えば、回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、液体塗料を噴霧し膜を形成させるスプレー塗工法、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型,外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け,加硫研磨を行う方法等が挙げられ、複数の製法を組み合せてベルトを製造することが一般的である。
弾性ベルトの伸びを防止する方法として、伸びの少ない芯体樹脂層にゴム層を形成する方法、芯体層に伸びを防止する材料を入れる方法等があるが、特定の製法に限定されるものではない。
伸びを防止する芯体層を構成する材料は、例えば、綿、絹、等の天然繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維,ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維、銅繊維等の金属繊維などが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の組み合せで用いられ、織布状または糸状としたものも用いられる。
糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり当然導電処理を施すこともできる。
前記芯体層を設ける製造方法は特に限定されるものではない、例えば、筒状に織った織布を金型等に被せ、その上に被覆層を設ける方法、筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面あるいは両面に被覆層を設ける方法、糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付け、その上に被覆層を設ける方法等を挙げることができる。
弾性層の厚さは、弾性層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂の発生しやすくなる。また、伸縮量が大きくなることから画像に伸び縮みが大きくなること等から厚すぎる(およそ1mm以上)ことは好ましくない。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
〈定着工程及び定着手段〉
定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置により定着させる工程であり、例えば、転写された可視像がカラーである場合には、各色のトナーに対し記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一括して同時に行ってもよい。
定着装置としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。
加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合せなどが挙げられる。加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて前記定着工程及び定着手段とともに、あるいはこれらに代えて、公知の光定着器を用いてもよい。
適宜選択されて設けられる除電工程は、静電潜像担持体に対して除電バイアスを印加し、除電を行う工程であり、この工程は除電手段により好適に行うことができる。
除電手段としては特に制限はなく、静電潜像担持体に対し、除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができる。好適な除電手段として、例えば、除電ランプ等が挙げられる。
また、適宜選択されて設けられるクリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去する工程であり、この工程はクリーニング手段により好適に行うことができる。
クリーニング手段としては特に制限はなく、静電潜像担持体上に残留する電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することがでる。
好適なクリーニング手段としては、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が挙げられる。
本発明の画像形成装置においては、静電潜像担持体表面に潤滑性付与剤を塗布する潤滑性付与剤塗布手段を有することが好ましい。
潤滑性付与剤としては金属石鹸が好適であり、金属石鹸がステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、適宜選択されて設けられるリサイクル工程は、クリーニング工程により除去されたトナー(例えば、カラートナー)を現像手段にリサイクルさせる工程であり、この工程はリサイクル手段により好適に行うことができる。リサイクル手段としては特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
さらに、適宜選択されて設けられる制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、この工程は制御手段により好適に行うことができる。制御手段としては、前記各手段の動作を制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。制御手段としては、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、本発明の画像形成装置について、さらに図を参照して説明する。
図6は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図6の画像形成装置は、本発明の静電潜像担持体(感光体)を搭載した画像形成装置であり、ドラム状の感光体10、除電ランプ2、帯電チャージャ3、イレーサ4、画像露光部5、現像ユニット6、転写前チャージャ7、レジストローラ8、転写チャージャ110、分離チャージャ111、分離爪112、クリーニング前チャージャ113、クリーニングブラシ114、クリーニングブレード115などから構成されている。
感光体10の形状は、図6のようなドラム状の形状に限定されるものではなく、例えば、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。また、各種チャージャとしては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド ステート チャージャ)、接触配置、またはギャップテープや端部に段差を設けるなどのギャップ付与手段によって静電潜像担持体との間にギャップを有して近接配置される帯電ローラを始めとする公知の手段を用いることができる。
近接配置される帯電ローラは、接触配置される帯電ローラと比較して、帯電ムラが低減されたり、帯電ローラの汚れに起因する帯電不良などに対する余裕度が大きく、メンテナンスフリーで用いることができるという大きなメリットがある反面、印可電圧を高くしなければならない。その結果、感光体表面に対するハザードが非常に高くなり、従来の高分子バインダーを最表面層(電荷輸送層または保護層)とした構成の感光体の場合、摩耗が著しく、感光体寿命が短くなり、コストアップやメンテナンス頻度の増加などの不具合を発生する傾向があった。
また、近接配置された帯電ローラは、直流電圧の印可だけでは放電が不安定になり、画像濃度ムラなどに繋がるため、直流電圧に交流電圧を重畳印可することが望ましい。
本発明の静電潜像担持体(感光体)は、近接配置される帯電手段においても、ほとんど摩耗することがなく安定して帯電が行われる。その上、露光部の残留電位低減、画像ボケ抑制等の要求特性も達成されているため、長期間の繰り返し使用においても、安定して良好な画像を出力することができる。転写手段としては、一般には上記の帯電器が使用できるが、図6に示すような転写チャージャ110と分離チャージャ111とを併用したものが効果的である。
近接配置される帯電ローラは、接触配置される帯電ローラと比較して、帯電ムラが低減されたり、帯電ローラの汚れに起因する帯電不良などに対する余裕度が大きく、メンテナンスフリーで用いることができるという大きなメリットがある反面、印可電圧を高くしなければならない。その結果、感光体表面に対するハザードが非常に高くなり、従来の高分子バインダーを最表面層(電荷輸送層または保護層)とした構成の感光体の場合、摩耗が著しく、感光体寿命が短くなり、コストアップやメンテナンス頻度の増加などの不具合を発生する傾向があった。
また、近接配置された帯電ローラは、直流電圧の印可だけでは放電が不安定になり、画像濃度ムラなどに繋がるため、直流電圧に交流電圧を重畳印可することが望ましい。
また、画像露光部5、除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
上記光源等は、図6に示す各手段からなる工程の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光を照射することができる。
前記現像ユニット6により感光体10上に現像されたトナーは、記録媒体9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体10上にトナーが残存する。このような残存トナーがクリーニングされずに、次の複写プロセスが行われる場合、帯電不良や露光による潜像形成時の不具合が発生してしまう。そのため、一般的にはクリーニング手段を用いて残留トナーを除去する必要がある。クリーニング手段としては、クリーニングブラシ114またはクリーニングブレード115を単独または組み合せて行われることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
クリーニングブレード115としては、摩擦係数の低い弾性体が用いられ、例えば、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマーなどが挙げられ、特に、熱硬化性のウレタン樹脂からなるウレタンエラストマーが、耐摩耗性、耐オゾン性、耐汚染性の観点から好ましい。なお、エラストマーにはゴムも含まれる。
クリーニングブレード115は、硬度(JIS−A)が65〜85度の範囲が好ましい。また、厚さが0.8〜3.0mmで、突き出し量が3〜15mmの範囲にあることが好ましい。その他の条件として当接圧、当接角度、食い込み量等は適宜決定することができる。
静電潜像担持体(感光体)に当接するクリーニング手段は、トナー除去性能は高いが、当然のことながら、感光体に機械的ハザードを与え、感光体表面層の摩耗を引き起こす。
しかし、本発明の感光体は、保護層の耐摩耗性が著しく高いため、表面に当接するクリーニング手段を有する画像形成装置においても、安定して良好な画像を出力することができる。
図6では省略しているが、本発明の画像形成装置には、感光体表面に潤滑性付与剤を塗布する機構を備えていてもよい。特に、近年、電子写真の高画質化に有利とされている球形トナーの実用化が進んでいるが、球形トナーは、従来の粉砕型のトナーと比較して、ブレードクリーニングが困難であることが知られている。そのため、クリーニングブレードの当接圧を強めたり、硬度の高いウレタンゴムブレードを用いるなどの対策が行われている。
これらの方法はブレードが当接する感光体表面に対するハザードが大きくなる傾向があり、実際、球形トナーを用いると、感光体の表面摩耗量は増加する傾向のあることが分かってきた。
本発明の静電潜像担持体(感光体)は、耐摩耗性が非常に高いため、上記のようなハザードが大きい条件においても、保護層が摩耗することはほとんどないが、対クリーニングブレードの摩擦係数が高いことに起因すると考えられるブレード鳴き、ブレードエッジの摩耗などの不具合を発生させる可能性がある。
この不具合に対しては、感光体表面に潤滑性付与剤塗布手段を備えて潤滑性付与剤を塗布することによって、クリーニングブレードに対する電子写真感光体表面の摩擦係数を長期間にわたって低減することができ、問題を解消することができる。
潤滑性付与剤を塗布する手段を備えたクリーニングユニットの要部概略図を図7に示す。
図7において、潤滑性付与剤116を棒状にした固形物をクリーニングブラシ114に押し当てており、該クリーニングブラシ114が回転する際に潤滑性付与剤を掻き取り、ブラシに付着した潤滑性付与剤が感光体表面に塗布される仕組みとなっている。
潤滑性付与剤は固形である必要はなく、液体や粉体、半練り状でも、感光体表面に塗布することができ、電子写真特性を満たすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
潤滑性付与剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸;カルナウバ、ラノリン、木ろう等のワックス類;シリコーンオイル等の潤滑性オイルなどが挙げられる。これらの中でも、棒状に加工することが比較的容易で、潤滑性付与効果が高い点から、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸カルシウムが特に好ましい。
図7に示す潤滑性付与剤塗布手段をクリーニングユニット117に備えることで、感光体ドラム周りのレイアウト設計が容易になったり、装置を簡略化することができるなどのメリットがある。反面、クリーニングされたトナーに潤滑性付与剤が多量に混入するためトナーリサイクルが難しくなったり、ブラシのクリーニング効率が低下するなどのデメリットが発生する場合もある。また、図7には示していないが、潤滑性付与剤塗布手段を有した塗布ユニットをクリーニングユニットと別に独立して設けることで、上記デメリットを解消することもできる。その場合、塗布ユニットは、クリーニングユニットの下流に設けることが好ましい。さらに、塗布ユニットを複数箇所に設け、それらを同時、または順次働かせることで潤滑性付与剤の塗布効率を高めたり、消費量をコントロールするなどの効果を持たせることができる。
図8は、本発明における画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
図8による画像形成プロセスでは、感光体122が本発明の前記静電潜像担持体であり、感光体は駆動ローラ123により駆動され、帯電チャージャ220による帯電、像露光光源121による像露光、現像(図示せず)、転写チャージャ帯電器125を用いる転写、クリーニングブラシ126によるクリーニング、除電光源127による除電が繰返し行われる。
また、図9は、本発明の電子写真感光体を適用したフルカラー画像形成装置の概略構成図である。図9において、感光体156は本発明の前記静電潜像担持体である。すなわち、感光体156は図中反時計回りに回転駆動されながら、その表面がコロトロンやスコロトロンなどを用いる帯電チャージャ153によって一様帯電せしめられた後、図示しないレーザ光学装置から発せられるレーザ光Lの走査を受けて静電潜像を担持する。この走査はフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報に基づいてなされるため、感光体ドラム156上にはイエロー、マゼンタ、シアンまたはブラックという単色用の静電潜像が形成される。
ドラム状の感光体156の図中左側には、リボルバ現像ユニット250が配設されている。これは、回転するドラム状の筺体の中にイエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、ブラック現像器を有しており、回転によって各現像器を感光体ドラム156に対向する現像位置に順次移動させる。なお、イエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、ブラック現像器は、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーを付着せしめて静電潜像を現像するものである。感光体ドラム156上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の静電潜像が順次形成され、これらはリボルバ現像ユニット250の各現像器によって順次現像されてイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像となる。
前記現像位置よりも感光体156の回転下流側には中間転写ユニットが配設されている。これは、張架ローラ159a、転写手段たる中間転写バイアスローラ157、二次転写バックアップローラ159b、ベルト駆動ローラ159cによって張架している中間転写ベルト158を、ベルト駆動ローラ159cの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめる。感光体ドラム156上で現像されたイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像は、感光体ドラム156と中間転写ベルト158とが接触する中間転写ニップに進入する。そして、中間転写バイアスローラ157からのバイアスの影響を受けながら、中間転写ベルト158上に重ね合わせて中間転写されて、4色重ね合わせトナー像となる。
現像手段において静電潜像担持体上に各単色のカラートナー画像を形成し、転写手段において該カラートナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写を行い、得られた一次転写画像を記録媒体上に一括して二次転写するように構成した、いわゆる中間転写ベルトを用いてトナー像を重ね合わせる中間転写方式は、電子写真感光体と中間転写体との相対的な位置決めが比較的容易でかつ正確に行えるため、色ずれに対して有利であることから、高画質なフルカラー画像を得るには有効な手段であるといえる。
そして、回転に伴って中間転写ニップを通過した感光体156表面は、ドラムクリーニングユニット155によって転写残トナーがクリーニングされる。このクリーニングユニット155は、クリーニングバイアスが印加されるクリーニングローラによって転写残トナーをクリーニングするものであるがファーブラシ、マグファーブラシ等からなるクリーニングブラシや、クリーニングブレードなどを用いるものであってもよい。
転写残トナーがクリーニングされた感光体156表面は、除電ランプ154によって除電せしめられる。除電ランプ154には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などが用いられている。また、上記レーザ光学装置の光源には半導体レーザが用いられている。これら発せられる光については、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターにより、所望の波長域だけを用いるようにしてもよい。
中間転写ユニットの図9中下側には、転写ベルトと転写バイアスローラ、駆動ローラ等各種ローラからなる転写ユニットが配設されており、この図9中左側には、搬送ベルト164、定着ユニット165が配設されている。転写ユニットは、無端移動する転写ベルトは、図示しない移動手段によって、図8中上下方向に移動するようになっていてもよく、少なくとも、中間転写ベルト158上の1色トナー像(イエロートナー像)や、2色または3色重ね合わせトナー像が紙転写バイアスローラ163との対向位置を通過する際には、中間転写ベルト158に接触しない位置まで待避移動する。そして、中間転写ベルト158上の4色重ね合わせトナー像の先端が紙転写バイアスローラ163との対向位置に進入してくる前に、中間転写ベルト158との接触位置まで移動して二次転写ニップを形成する。
一方、図示しない給紙カセットから送られてきた記録媒体160を2つのローラ間に挟み込んでいるレジストローラ対161は、記録媒体160を中間転写ベルト158上の4色重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで上記二次転写ニップに向けて送り込む。中間転写ベルト158上の4色重ね合わせトナー像は、二次転写ニップ内で紙転写バイアスローラ163からの二次転写バイアスの影響を受けて記録媒体160上に一括して二次転写される。この二次転写により、記録媒体160上にはフルカラー画像が形成される。
そして、フルカラー画像が形成された記録媒体160は、転写ベルト162によって紙搬送ベルト164に送られる。搬送ベルト164は、転写ユニットから受け取った記録媒体160を定着装置165内に送り込む。定着装置165は、送り込まれた記録媒体160を加熱ローラとバックアップローラとの当接によって形成された定着ニップに挟み込みながら搬送する。記録媒体160上のフルカラー画像は、加熱ローラからの加熱や、定着ニップ内での加圧力の影響を受けて記録媒体160上に定着せしめられる。
なお、図示を省略しているが、転写ベルト162や搬送ベルト164には、記録媒体Pを吸着させるためのバイアスが印加されている。また、記録媒体160を除電する紙除電チャージャや、各ベルト(中間転写ベルト158、転写ベルト162、搬送ベルト164)を除電する3つのベルト除電チャージャが配設されている。また、中間転写ユニットは、ドラムクリーニングユニット155と同様の構成のベルトクリーニングユニットも備えており、これによって中間転写ベルト158上の転写残トナーをクリーニングする。
本発明における画像形成装置は、前記静電潜像担持体、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段及び定着手段からなる画像形成要素を複数備えタンデム型構成とすることができる。図10にタンデム型構成からなる画像形成装置の一例の概略図を示す。
図10において、複写装置本体150には無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図10中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。
なお、タンデム画像形成装置の複写装置本体150においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図11の一部拡大概略図に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図11中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像器61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
前記カラー画像を現像する各色のカラートナーは、キャリアと混合した状態で現像器中にあり、攪拌スクリュー68によって攪拌され、その際の摩擦によって帯電する。帯電したキャリアとトナーは、回転するマグネットローラー72に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシ65が形成される。この磁気ブラシ65を構成するトナーの一部が、電気的な吸引力によって静電潜像担時体10の表面に移動する。その結果、静電潜像担時体10の表面にトナーによる可視像が形成される。
転写工程の下流には転写残トナーをクリーニングするクリーニングユニット63が設けられている。図11では、ブラシクリーナー76とクリーニングブレード75が搭載されており、クリーニングブレード75は、潜像担時体表面の進行方向に対してカウンター方向に設置されており、これらによって潜像担時体表面の転写残トナーを回収する。
また、回収されたトナーは、リサイクル手段によって再度現像器内に導くこともできる。図11では、クリーニングユニットによって回収されたトナーを、搬送スクリュー79及びリサイクル経路80によって現像器61に導くことでリサイクルを達成している。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ51上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。なお、定着装置25は定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
前記タンデム方式では、各色の潜像形成や現像を並行して行うことができるため、リボルバ式よりも画像形成速度を遙かに高速化させることができる。さらに、図10のプリンタは中間転写方式も採用しており、本発明の電子写真感光体を搭載することで、色ずれの少ない高品質なフルカラー画像を非常に高速に、長期間繰返し、安定して出力することができる。
〔プロセスカートリッジ〕
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像形成手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも一つの手段と、本発明の前記静電潜像担持体とを有してなり、さらに必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してもよい。
現像手段としては、本発明の前記トナーまたは現像剤を収容する現像剤収容器と、現像剤収容器内に収容されたトナーまたは現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを少なくとも有し、さらに担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
ここで、上記プロセスカートリッジは、例えば、図12に示すように、感光体101を内蔵し、帯電器102、露光器103、現像手段104、クリーニング手段107を含み、さらに必要に応じてその他の手段を有してなる。図中、105は記録媒体、108は搬送ローラである。感光体101としては、本発明の前記静電潜像担持体を用いる。また、露光器103には、高解像度で書き込みを行うことのできる光源が用いられ、帯電器102には任意の帯電部材が用いられる。
本発明の画像形成装置としては、前記静電潜像担持体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。また、帯電器、像露光器、現像器、転写または分離器、及びクリーニング器の少なくとも一つを静電潜像担持体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
プロセスカートリッジとすることにより、静電潜像担持体やその他プロセス部材の交換を短時間に、しかも容易に行うことができるようになるので、メンテナンスに要する時間が短縮できてコストダウンにつながる。また、プロセス部材と静電潜像担持体が一体となっているので、相対的な位置の精度向上などの利点もある。
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。本発明に用いた1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成については、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。
(実施例1)
−静電潜像担持体の作製−
メタノール70部、n−ブタノール30部にN−メトキシメチル化ポリアミド樹脂(FR101;鉛市製)5部を加え、50℃前後に加熱攪拌して樹脂を溶解し、N−メトキシメチル化ポリアミド樹脂液を調整した。これに、アンチモン酸亜鉛ゾル(ZnSb;セルナックスCX−Z210IP−F2:日産化学工業製;固形分20質量%、粉体の体積抵抗 680Ω・cm、比重5.6)9部を加え、1分間超音波を照射し、電荷ブロッキング層用塗工液を調製した。アンチモン酸亜鉛とバインダー樹脂の容積比は、0.6/10である。この塗工液の一部を採取し、濃厚系粒径アナライザー FPAR−1000(大塚電子製(前記FPAR−1000は、測定用に特に塗工液を調整することなく、原液のまま測定可能である。))測定用セルに注入し、濃厚系プローブを直接塗工液に浸し測定したところ、塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は0.07μmであった。
こうして得られた電荷ブロッキング層用塗工液を直径30mmの円筒状アルミニウム基体に浸漬塗工法によって塗工し、130℃にて20分間乾燥して、厚み2.0μmの電荷ブロッキング層を形成した。
なお、アンチモン酸亜鉛の体積抵抗は次のようにして測定した。
アンチモン酸亜鉛ゾルを80℃ 12時間乾燥してアンチモン酸亜鉛粉末とし、これを300kg/cmの圧力でペレット状の測定用サンプルに加圧成形し、四探針法抵抗率測定装置(商品名ロレスター、三菱化学(株)製)を用い、印加電圧は100Vとして測定した。
次にアルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、大日本インキ化学工業社製;固形分50%)12部、及びメラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業社製;固形分60%)7部を、メチルエチルケトン70質量部に溶解した。これに酸化チタン粉末(タイペールCR−EL、石原産業社製;平均一次粒径:0.25μm;比重4.2)60部を加え、ボールミルで12時間分散して、中間層形成用塗工液を調製した。酸化チタンとバインダー樹脂の容積比は、14/10である。こうして得られたモアレ防止層形成用塗工液を電荷ブロッキング層の上に浸漬塗工法によって塗工し、130℃にて20分間乾燥して、厚み3.5μmの下引き層を形成した。
なお、酸化チタン粉末の平均一次粒径は次のようにして算出した。
酸化チタン粉末をメチルエチルケトンに分散し、PETフィルム上に滴下後、溶媒を揮発させる。こうして得られたPET上に塗布された状態の酸化チタン粉末を、FE−SEM (S−4200形走査型電子顕微鏡 日立製作所社製)を用い、加速電圧8kvにおいて10000倍の表面を撮影し、得られたSEM写真を画像処理ソフト(IMAGE Pro Plus)を用いて、任意の酸化チタン一次粒子10個を選択、各粒子の平均直径を解析し、その平均を平均一次粒径とした。
ここで、平均直径とは、例えば、SEM写真内の酸化チタン粒子1個について、投影画像の外周の2点を結び、かつ投影画像の重心を通る径を2°刻みに測定した平均値を表す。(Image−Pro Plus Ver.4.0 リファレンス マニュアル P6-122より)
次に、ポリビニルブチラール樹脂(XYHL、UCC社製)4質量部をシクロヘキサノン150質量部に溶解した。これに下記構造式(A)で表されるビスアゾ顔料10質量部を加え、ボールミルで48時間分散した。次いで、シクロヘキサノン210質量部を加えて3時間分散を行った。これを容器に取り出して、固形分が1.5質量%となるようにシクロヘキサノンで稀釈し、電荷発生層用塗工液を調製した。
得られた電荷発生層用塗工液を前記中間層上に浸漬塗工法にて塗工し、130℃にて20分間乾燥して、厚み0.2μmの電荷発生層を形成した。
Figure 0005030696

次に、テトラヒドロフラン100質量部に、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂10質量部、シリコーンオイル(KF−50、信越化学工業社製)0.002質量部、及び下記構造式(B)で表される電荷輸送物質7質量部を加えて溶解し、電荷輸送層用塗工液を調製した。
得られた電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗工法により塗工し、110℃にて20分間乾燥し、厚み25μmの電荷輸送層を形成し、実施例1の静電潜像担持体を作製した。
Figure 0005030696
(実施例2)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を0.1部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの電荷ブロッキング層用塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は、0.01μmであり、容積比は0.007/10であった。
(実施例3)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を0.25部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの電荷ブロッキング層用塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は、0.02μmであり、容積比は0.02/10であった。
(実施例4)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を2.8部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの電荷ブロッキング層用塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は、0.04μmであり、容積比は0.2/10であった。
(実施例5)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を13.5部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの電荷ブロッキング層用塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は、0.10μmであり、容積比は1/10であった。
(実施例6)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を30.5部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例6の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの電荷ブロッキング層用塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は、0.90μmであり、容積比(C1)は2.2/10であった。
(実施例7)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を46.4部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例7の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの電荷ブロッキング層用塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は、1.30μmであり、容積比(C1)は3.3/10であった。
(実施例8)
−静電潜像担持体の作製−
アンチモン酸亜鉛ゾル(ZnSb;セルナックスCX−Z210IP−F2:日産化学工業製;固形分20質量%)9部に2−ブタノン100部を加え、1分間超音波を照射し、アンチモン酸亜鉛分散液を得た。これにアルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、大日本インキ化学工業社製)6部、及びメラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業社製))3.3部を加え攪拌、溶解し、電荷ブロッキング層用塗工液を調製した。この塗工液の一部を採取し、濃厚系粒径アナライザー FPAR−1000(大塚電子製)測定用セルに注入し、濃厚系プローブで測定したところ、塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は1.10μmであった。こうして得られた電荷ブロッキング層用塗工液を直径30mmの円筒状アルミニウム基体に浸漬塗工法によって塗工し、130℃にて20分間乾燥して、厚み2μmの電荷ブロッキング層を形成した。容積比(C1)は0.9/10であった。。
以下、実施例1と同様にして、中間層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、実施例8の静電潜像担持体を作製した。
(実施例9)
実施例8の電荷ブロッキング層用塗工液において、2−ブタノン100部の代わりに、シクロヘキサノン30部、テトラヒドロフラン70部をこの順序で加え、3分間超音波照射をした以外は実施例8と同様にして、実施例9の静電潜像担持体を形成した。なお、このときの電荷ブロッキング層用塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は、0.70μmであり、容積比(C1)は0.9/10であった。
った。
(実施例10)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、特許第3198494号公報の実施例2に開示されている方法に基づき、アンチモン酸インジウムのメタノールゾル(固形分18質量%)を作製した。
即ち、三酸化アンチモン(三国精錬(株)製)1300gを水5587gに分散させ、次いで35%過酸化水素水953.7gを添加し、90〜100℃に加温し、2時間反応させ、五酸化アンチモンゾルを得た。
前記五酸化アンチモンゾル(比重1.198、Sb25 濃度18.4重量%)600gに水334gを添加、希釈した後、撹拌下に室温で、硝酸インジウム(三津和化学薬品製(試薬特級)In(NO33 ・3H2 O、In23 含有量39.1重量%)230.1gを水280gに溶解した硝酸インジウム水溶液を添加した。次いで90℃まで昇温し、10時間加温した後、28%アンモニア水(試薬一級)219.0gを加えスラリーのpHを7.06に調整し、水酸化インジウムと五酸化アンチモン混合物スラリーを得た。 このスラリーを吸引ろ過し、次いで純粋9000gを用いて注水洗浄を行い、ウェットケーキを得た。このウェットケーキを熱風乾燥機で150℃にて蒸発乾固し乾燥物234.6gを得た。この乾燥物を乳鉢で粉砕し、粉末とした後、アルミナるつぼに入れ、電気炉で720℃4時間焼成し、更に740℃10時間焼成し、191.7gの粉末を得た。
この粉末150gを水348gに分散してアンチモン酸インジウム濃度30重量%とし、ガラスビーズ(ソーダガラス2〜3mmφ)450gを添加し、ボールミルにて240時間粉砕し、分散を行った後、ガラスビーズを分離し、アンチモン酸インジウム水性ゾル873.3gを得た。
前記水性ゾル160gにイソプロピルアミン0.1gを加えてpH調整を行った後、ナス型フラスコに採取し、ロータリーエバポレーターにて減圧でメタノール6リットルをチャージしながら溶媒置換を行い、アンチモン酸インジウムのメタノールゾル151.3gを得た。
アンチモン酸亜鉛ゾル9部の代わりに前記メタノールゾル5部添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例10の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの電荷ブロッキング層用塗工液中のアンチモン酸インジウムの体積平均粒径は、0.10μmであり、容積比(C1)は0.46/10であった。
なお、実施例1のアンチモン酸亜鉛と同様に、アンチモン酸インジウムの体積抵抗を測定したところ、8Ω・cmであった。
(実施例11)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、アンチモン酸亜鉛ゾルの種類をセルナックスCX−Z210IP−F2から、CX−Z210IP(日産化学工業製;固形分20質量%、粉体の体積抵抗 270Ω・cm、比重5.6)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例11の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの電荷ブロッキング層用塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は、0.12μmであり、容積比(C1)は0.6/10であった。
(実施例12)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、アンチモン酸亜鉛ゾルの種類をセルナックスCX−Z210IP−F2 9部を、CX−Z610M−F2(日産化学工業製;固形分60質量%、粉体の体積抵抗 1100Ω・cm、比重5.6)3部に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例12の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの電荷ブロッキング層用塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は、0.09μmであり、容積比(C1)は0.6/10であった。
(実施例13)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、アンチモン酸亜鉛ゾルの種類をセルナックスCX−Z210IP−F2を、CX−Z203IP−F(日産化学工業製;固形分20質量%、粉体の体積抵抗 2100Ω・cm、比重5.6)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例13の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの電荷ブロッキング層用塗工液中のアンチモン酸亜鉛の体積平均粒径は、0.11μmであり、容積比(C1)は0.6/10であった。
(実施例14)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、酸化チタン粉末の添加量を107部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例14の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの中間層の酸化チタン粉末とバインダー樹脂の容積比は、25/10である。
(実施例15)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、酸化チタン粉末の添加量を30部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例15の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの中間層の酸化チタン粉末とバインダー樹脂の容積比は、7/10である。
(実施例16)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、酸化チタン粉末の添加量を150部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例16の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの中間層の酸化チタン粉末とバインダー樹脂の容積比は、36/10である。
(実施例17)
−静電潜像担持体の作製−
まず、実施例1と同様にして円筒状アルミニウム基体上に電荷ブロッキング層を形成した。次にアルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、大日本インキ化学工業社製;固形分50%)12部、及びメラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業社製;固形分60%)7部を、メチルエチルケトン70質量部に溶解した。これに酸化チタン粉末(タイペールCR−EL、石原産業社製;平均一次粒径:0.25μm)45部、酸化チタン粉末(PT−401M、石原産業社製;平均一次粒径:0.07μm)35部を加え、ボールミルで12時間分散して、中間層用塗工液を調製した。無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、16/10、D2/D1=0.28、無機顔料の混合比は0.44である。こうして得られた中間層用塗工液を電荷ブロッキング層の上に浸漬塗工法によって塗工し、130℃にて20分間乾燥して、厚み3.5μmの中間層を形成した。
以下、実施例1と同様にして、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、実施例17の静電潜像担持体を作製した。
(実施例18)
−静電潜像担持体の作製−
実施例17において、酸化チタン粉末(PT−401M)の代わりに、酸化チタン粉末(TTO−55(A)、石原産業社製;平均一次粒径:0.04μm)を加えた以外は実施例17と同様にして、実施例18の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの中間層の無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、16/10、D2/D1=0.16、無機顔料の混合比は0.44である。
(実施例19)
−静電潜像担持体の作製−
実施例17において、酸化チタン粉末(PT−401M)の代わりに、酸化チタン粉末(タイペークA−100、石原産業社製;平均一次粒径:0.15μm)を加えた以外は実施例17と同様にして、実施例19の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの中間層の無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、16/10、D2/D1=0.6、無機顔料の混合比は0.44である。
(実施例20)
−静電潜像担持体の作製−
実施例17において、酸化チタン粉末(PT−401M)の量を10部とした以外は実施例17と同様にして、実施例20の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの中間層の無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、13/10、D2/D1=0.28、無機顔料の混合比は0.18である。
(実施例21)
−静電潜像担持体の作製−
実施例17において、酸化チタン粉末(PT−401M)の量を15部とした以外は実施例17と同様にして、実施例21の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの中間層の無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、14/10、D2/D1=0.28、無機顔料の混合比は0.25である。
(実施例22)
−静電潜像担持体の作製−
実施例17において、酸化チタン粉末(CR−EL)の量を10部とし、酸化チタン粉末(PT−401M)の量を90部とした以外は実施例17と同様にして、実施例22の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの中間層の無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、24/10、D2/D1=0.28、無機顔料の混合比は0.90である。
(実施例23)
−静電潜像担持体の作製−
実施例17において、酸化チタン粉末(CR−EL)の量を30部とし、酸化チタン粉末(PT−401M)の量を70部とした以外は実施例17と同様にして、実施例22の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの中間層の無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、24/10、D2/D1=0.28、無機顔料の混合比は0.70である。
(実施例24)
−静電潜像担持体の作製−
実施例17と同様にして円筒状アルミニウム基体上に電荷輸送層まで形成した。ただし、電荷輸送層の膜厚は17μmとした。
次に、テトラヒドロフラン180部にトリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬製;分子量:382、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)10部、光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;商品名イルガキュア184 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1部、例示化合物No.54の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部を溶解し、架橋表面層用塗工液を調製し、前記電荷輸送層上にスプレー塗工法によって塗工し、メタルハライドランプ:160W/cm、照射強度;500mW/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行ない、更に130℃で20分加熱乾燥を加え8.0μmの架橋表面層を形成し、実施例24の静電潜像担持体を作製した。
Figure 0005030696
(実施例25)
−静電潜像担持体の作製−
実施例24において、架橋表面層塗工液中の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、例示化合物No.360とした以外は実施例24と同様にして、実施例25の静電潜像担持体を作製した。
Figure 0005030696
(実施例26)
−静電潜像担持体の作製−
実施例24において、架橋表面層塗工液中の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、例示化合物No.379とした以外は実施例24と同様にして、実施例26の静電潜像担持体を作製した。
Figure 0005030696
(実施例27)
−静電潜像担持体の作製−
実施例24において、架橋表面層塗工液中の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、例示化合物No.53とした以外は実施例24と同様にして、実施例27の静電潜像担持体を作製した。
Figure 0005030696
(実施例28)
−静電潜像担持体の作製−
実施例24において、架橋表面層塗工液中の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、例示化合物No.142とした以外は実施例24と同様にして、実施例28の静電潜像担持体を作製した。
Figure 0005030696
(実施例29)
−静電潜像担持体の作製−
実施例24において、架橋表面層塗工液中の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを、下記物質とした以外は実施例24と同様にして、実施例29の静電潜像担持体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−60、日本化薬製)
分子量:1263、官能基数:6官能、分子量/官能基数=211
(実施例30)
−静電潜像担持体の作製−
実施例24において、架橋表面層塗工液中の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを、下記物質とした以外は実施例24と同様にして、実施例305の静電潜像担持体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製)
分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325
比較例1
実施例1において、電荷ブロッキング層にアンチモン酸亜鉛ゾルを加えなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の静電潜像担持体を作製した
比較例2
実施例1において、中間層に酸化チタン粉末を加えなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の静電潜像担持体を作製した
比較例3
実施例1において、電荷ブロッキング層に、アンチモン酸亜鉛ゾル9部を加えるかわりに、アルミナ微粒子(AA03:住友化学製) 1.8部を加えた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の静電潜像担持体を作製した
比較例4
実施例1において、電荷ブロッキング層に、アンチモン酸亜鉛ゾル9部を加えるかわりに、シリカ微粒子(KMPX100:信越化学製) 1.8部を加えた以外は、実施例1と同様にして、比較例4の静電潜像担持体を作製した
比較例5
実施例1において、電荷ブロッキング層に、アンチモン酸亜鉛ゾル9部を加えるかわりに、酸化スズコロイド(サンコロイドHIT301M1、日産化学工業社製、固形分30質量%)6部を加えた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の静電潜像担持体を作製した
比較例6
実施例1において、酸化チタン粉末(CR−EL)の量を2部とした以外は実施例1と同様にして、比較例6の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの中間層の無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、0.5/10、D2/D1=0.28、無機顔料の混合比は0.90である。
比較例7
実施例1において、電荷ブロッキング層のアンチモン酸亜鉛ゾルの量を110部、中間層の酸化チタン粉末(CR−EL)の量を30部とした以外は実施例1と同様にして、比較例7の静電潜像担持体を作製した。なお、このときの電荷ブロッキング層の導電性微粒子とバインダー樹脂の容積比は、8/10、中間層の無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、7/10である。
比較例8〜12
比較例1〜5のそれぞれの静電潜像担持体において、電荷輸送層の膜厚を17μmとし、その上に実施例24と同様の架橋表面層を形成して、比較例8〜12の静電潜像担持体を作製した。
<露光後電位(VL)測定>
露光後電位測定は、作製した静電潜像担持体を、現像スリーブ部に表面電位計(トレック社製 モデル344)のプローブが設置されるように改造した現像ユニットを搭載したフルカラープリンター(IPSiO CX8200:株式会社リコー製)の改造機に搭載し、さらに、非露光部電位(VD)が−700Vになるように帯電器の電圧を調節した後、1200dpi全面ベタ画像相当の書き込みを行った時の現像スリーブ部での表面電位を測定して、露光後電位(VL)とした。
また、高温高湿(27℃80%RH)、低温低湿(10℃15%RH)環境下で、非露光部電位(VD)が−700Vになるように帯電器の電圧を調節した後、波長660nmのレーザ露光によって、600dpi相当、A4サイズ、画像面積率6%となるテスト画像を連続で出力するランニング試験(試験用紙;NBSリコー製MyPaper)をそれぞれ1万枚行い、ランニング試験後のVLを評価した。
<画像評価>
上記ランニング試験1万枚を行った後、以下のようにして画像評価を行った。
1200dpiのテストパターンを出力し、地肌汚れ、画像濃度などを評価した。
さらに、600dpi 1by1のハーフトーン画像を出力し、モアレを評価した。
<耐摩耗性の評価>
上記で得られた各静電潜像担持体を、フルカラープリンター(IPSiO CX8200:株式会社リコー製)の改造機[(1)クリーニングブレード当接圧を4倍にして感光体の摩耗に対して負荷を加えた。]に搭載した。
上記改造プリンターを用いて、非露光部電位(VD)が−700Vになるように帯電器の電圧を調節した後、波長660nmのレーザ露光によって、600dpi相当、A4サイズ、画像面積率6%となるテスト画像を連続で出力するランニング試験(試験用紙;NBSリコー製MyPaper)を10万枚行い、該ランニング試験前後の感光層の厚みを渦電流式膜厚計(フィッシャースコープMMS、フィッシャー社製)を用いて測定し、両者の差から摩耗量を測定した。
実施例1〜23、比較例1〜7の感光体を用いて高温高湿環境下、低温低湿環境下のランニング試験を実施し、ランニング後のVL測定、画像評価を行った結果を表4に示す。
Figure 0005030696


画像評価について
○:良好
△:やや異常が見られるが、実使用上は問題ないレベル
×:異常画像が顕著で、実使用問題となるレベル
上記の通り、実施例1〜23の感光体を用いた場合、わずかな地肌汚れ、低温低湿で若干画像濃度が低いものが見られたが、概ね良好であった。それに対し、比較例の感光体を用いた場合、比較例1は低温低湿環境下で、比較例2は高温高湿環境下においても画像濃度低下が著しく、比較例3,4、5、7は地肌汚れが顕著で、比較例6はモアレ画像が著しく、いずれも実使用は不可能と思われるものであった。
次に、実施例17、24〜30、比較例1、8〜12の感光体を用いて高温高湿環境下、低温低湿環境下のランニング試験を実施し、ランニング後のVL測定、画像評価を行った結果を表5に示す。
Figure 0005030696
※実施例17、比較例1は、いずれも最表層の摩耗が著しく、約4万枚ランニング時に放電破壊による粒状の黒点異常画像が多数発生したので、評価を中止した。
画像評価について
○:良好
△:やや異常が見られるが、実使用上は問題ないレベル
×:異常画像が顕著で、実使用問題となるレベル
上記の通り、実施例24〜30の感光体を用いた場合、摩耗量が非常に小さく、さらにランニング試験後の画像も比較的良好であった。それに対し、比較例の感光体を用いた場合、比較例1は実施例8と同様に最表層の摩耗が著しく、4万枚で試験を中止してしまった。また、比較例8、8及び10は、画像濃度低下が著しく、比較例11及び12は、地肌汚れが顕著となってしまった。
(他の実施例)
本発明の画像形成装置において、ステアリン酸亜鉛を溶融、固化したマルスバーをクリーニングブラシにばねで押し当てるように当接させ、クリーニングブラシを介して感光体表面にステアリン酸亜鉛を塗布する機構を設けたプロセスカートリッジに、実施例1〜15の静電潜像担持体を搭載し、ランニング試験を実施したところ、ほぼすべての感光体で摩耗量が大幅に低減した。また、ステアリン酸亜鉛の代わりに、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムを用いたマルスバーを用いたランニング試験の結果も、同様に良好であった。
すなわち、本発明は、高温高湿から低温低湿環境にわたって安定して、残留電位を抑え、高コントラストな静電潜像を形成することができ、さらに支持体からの電荷の注入をブロックする機能によって地肌汚れを大幅に低減することができる高耐久な静電潜像担持体、並びに該静電潜像担持体を用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジを提供することができる。
図1は、従来の静電潜像担持体の層構成の一例を示す模式断面図である。 図2は、従来の静電潜像担持体の層構成の他の一例を示す模式断面図である。 図3は、本発明の静電潜像担持体の層構成の一例を示す模式断面図である。 図4は、本発明の静電潜像担持体の層構成の他の一例を示す模式断面図である。 図5は、本発明の静電潜像担持体の層構成の他の一例を示す模式断面図である。 図6は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 図7は、本発明の画像形成装置に用いられる潤滑剤塗布機構の一例を示す概略構成図である。 図8は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図9は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図10は、本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)により本発明の画像形成方法を実施する一例を示す概略説明図である。 図11は、図10に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。 図12は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
符号の説明
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 感光体
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 定電流源
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
60 帯電器
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
65 磁気ブラシ
68 攪拌スクリュー
75 クリーニングブレード
76 ブラシクリーナー
79 搬送スクリュー
80 リサイクル経路
101 感光体
102 帯電器
103 露光器
104 像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 搬送ローラ
110 転写チャージャ
111 分離チャージャ
112 分離爪
113 クリーニング前チャージャ
114 クリーニングブラシ
115 クリーニングブレード
116 潤滑性付与剤
117 クリーニングユニット
120 タンデム型現像器
121 像露光光源
122 感光体
123 駆動ローラ
125 転写チャージャ
126 クリーニングブラシ
127 除電光源
128 ローラ
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
153 帯電チャージャ
154 除電ランプ
155 ドラムクリーニングユニット
156 静電潜像担持体
157 中間転写バイアスローラ
158 中間転写ベルト
159a 張架ローラ
159b 二次転写バックアップローラ
159c ベルト駆動ローラ
160 記録媒体
161 レジストローラ
162 転写ベルト
163 紙転写バイアスローラ
164 搬送ベルト
165 定着ユニット
200 給紙テーブル
201 支持体
202 感光層
203 電荷ブロッキング層
204 モアレ防止層
205 電荷発生層
206 電荷輸送層
207 保護層
220 帯電チャージャ
250 リボルバ現像ユニット
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (10)

  1. 導電性支持体上に少なくとも電荷ブロッキング層、中間層、感光層の順に積層されてなる電子写真静電潜像担持体であって、該電荷ブロッキング層と中間層はそれぞれが少なくともバインダー樹脂と金属酸化物微粒子とを含み、該電荷ブロッキング層に含まれる金属酸化物微粒子は次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種の導電性微粒子であり、該導電性微粒子は、アンチモン酸亜鉛(ZnSb )を含むものであり、かつ該電荷ブロッキング層中の金属酸化物微粒子の容積比(容積比=含有微粒子の総容積/樹脂容積)を(C1)とし、該中間層に含まれる金属酸化物微粒子の容積比を(C2)とした場合、C1≦C2の関係を満たすことを特徴とする静電潜像担持体。
  2. 前記電荷ブロッキング層のバインダー樹脂の少なくとも1種がアルコール可溶性ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像担持体。
  3. 前記電荷ブロッキング層は、該導電性微粒子を0.5〜60質量%含有するものである請求項1または2に記載の静電潜像担持体。
  4. 前記中間層に含まれる金属酸化物微粒子が、平均一次粒径の大きい酸化チタン(T1)と平均一次粒径の小さい酸化チタン(T2)との平均粒径の異なる2種類の酸化チタンであり、前記平均一次粒径の大きい酸化チタン(T1)の平均粒径を(D1)とし、前記平均一次粒径の小さい酸化チタン(T2)の平均粒径を(D2)とした場合、0.2<(D2/D1)≦0.5の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電潜像担持体。
  5. 前記中間層のバインダー樹脂の少なくとも1種類が熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の静電潜像担持体。
  6. 前記感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化した架橋層からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の静電潜像担持体。
  7. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記静電潜像担持体が、請求項1乃至のいずれかに記載の静電潜像担持体であることを特徴とする画像形成装置。
  8. 前記静電潜像形成手段は、帯電器と、露光器とを有し、該帯電器が静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電する請求項に記載の画像形成装置。
  9. 静電潜像担持体表面に潤滑性付与剤を塗布する潤滑性付与剤塗布手段を有する請求項7または8に記載の画像形成装置。
  10. 静電潜像形成手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段の少なくとも1つと、請求項1乃至のいずれかに記載の静電潜像担持体とを具備してなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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