JP6757468B2 - イソシアネートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イソシアネートの製造方法に関する。
本願は、2017年5月15日に日本に出願された特願2017−096776号、特願2017−096766号、特願2017−096767号、特願2017−096768号、特願2017−096769号、特願2017−096770号、特願2017−096771号、特願2017−096772号、特願2017−096773号、特願2017−096774号、特願2017−096775号及び特願2017−096781号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
イソシアネートは、ポリウレタンフォーム、塗料、接着剤等の製造原料として広く用いられている。イソシアネートの主な工業的製造方法は、アミン化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン法)であり、全世界の生産量のほぼ全量がホスゲン法により生産されている。しかしながら、ホスゲン法には多くの問題がある。
第1に、原料としてホスゲンを大量に使用することである。ホスゲンは極めて毒性が高く、従業者への暴露を防ぐためにその取扱いには特別の注意を要し、廃棄物を除去するための特別の装置が必要である。
第2に、ホスゲン法においては、腐食性の高い塩化水素が大量に副生するため、塩化水素を除去するためのプロセスが必要となる。さらに、製造されたイソシアネートには多くの場合、加水分解性塩素が含有されることになる。このため、ホスゲン法で製造されたイソシアネートを使用すると、ポリウレタン製品の耐候性、耐熱性に悪影響を及ぼす場合がある。
このような背景から、ホスゲンを使用しないイソシアネート化合物の製造方法が望まれている。ホスゲンを使用しないイソシアネート化合物の製造方法の一つとして、カルバミン酸エステルの熱分解による方法が提案されている。カルバミン酸エステルの熱分解によってイソシアネートとヒドロキシ化合物が得られることは公知である(例えば、非特許文献1参照)。その基本反応は下記式によって例示される。
Figure 0006757468
式中、Rは、a価の有機残基を表し、R’は、1価の有機残基を表し、aは、1以上の整数を表す。
特許文献1には、フラスコ中、不活性溶媒存在下でカルバメートを熱分解してイソシアネートを製造する方法が開示されている。
一方、カルバミン酸エステルの熱分解反応において、カルバミン酸エステルの好ましくない熱変性反応や、該熱分解によって生成するイソシアネートの縮合反応など、種々の不可逆な副反応を併発しやすい。副反応としては、尿素結合を形成する反応や、カルボジイミド類を生成する反応や、イソシアヌレート類を生成する反応が挙げられる(非特許文献1、2参照)。
これらの副反応は、目的とするイソシアネートの収率や選択率の低下を招くばかりでなく、特にイソシアネートの製造においては、ポリマー状固形物が析出し、反応器を閉塞させるなど長期操業が困難となる場合があった。
日本国特許出願公開2003−252846号公報
Berchte der Deutechen ChemischenGesellschaft,第3巻,653頁,1870年 Journal of American Chemical Society,第81巻,2138頁,1959年
しかしながら、上記特許文献1の方法では、反応器にカルバメートを供給して、生成するイソシアネートを抜出しながら熱分解をおこなう方法を開示するが、副反応によって生成する高沸点成分を抜き出す機構がないために、長時間に亘って連続的にイソシアネートを製造することは困難である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、副反応を抑制し、連続的にイソシアネートを製造するイソシアネートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は下記の[1]〜[12]を提供する。
[1] カルバメートの熱分解によってイソシアネートを製造する方法であって、
カルバメートと、ポリイソシアネート化合物とを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液を、熱分解反応器に連続的に導入して、カルバメートの熱分解反応をおこなう工程と、
前記ポリイソシアネート化合物よりも標準沸点が低い低沸点分解生成物を、前記反応器から気体状で連続的に抜き出す低沸点分解生成物回収工程と、
前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を高沸点成分として反応器から連続的に抜き出す高沸点成分回収工程と、を有する、イソシアネートの製造方法。
[2] 前記混合液が不活性溶媒を含み、
前記低沸点分解生成物回収工程において、前記不活性溶媒を、前記ポリイソシアネート化合物よりも低沸点の分解生成物と共に、前記反応器から気体状で連続的に抜き出し、
前記不活性溶媒は、熱分解反応条件下において実質的に不活性であり、かつ、その沸点が、熱分解によって生成するイソシアネートとヒドロキシ化合物の、それぞれの沸点の間にある、[1]に記載のイソシアネートの製造方法。
[3] 前記カルバメートが、下記式(20)で表されるカルバメートである[1]又は[2]に記載の方法。
Figure 0006757468
前記式(20)中、cは1以上の整数を表し、Rはc価の有機基を表し、Rはヒドロキシ化合物から1つのヒドロキシ基を除いた残基を表し、前記式(20)中の複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
[4] 前記熱分解反応器が管型反応器である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5] 前記熱分解反応器から気体状で取り出される低沸点分解生成物がイソシアネート化合物を含み、該低沸点分解生成物が気体状で蒸留塔に供給され、該蒸留塔にてイソシアネートを分離する工程を更に含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6] 前記熱分解反応を行う工程は、
前記混合液を、縦型の管型反応器からなる第1反応器に連続的に導入し、第1反応器内部を流下させながら第1の分解反応を実施し、第1反応器の下部より前記液相成分を得る液相成分製造工程と、
前記液相成分を、槽型反応器からなる第2反応器に導入し、第2の分解反応を実施することによって、カルバメートをイソシアネートとヒドロキシ化合物とに分解する分解工程とを含み、
前記低沸点分解生成物回収工程において、前記低沸点分解生成物を、前記第1反応器、または前記第1反応器及び前記第2反応器の両方から気体状で連続的に取り出し、
前記高沸点成分物回収工程において、前記液相成分が、前記低沸点分解生成物の標準沸点よりも標準沸点が高い高沸点分解生成物を含み、前記高沸点分解生成物を前記第2反応器から前記ポリイソシアネート化合物と共に連続的に取り出し、
前記イソシアネートは、前記低沸点分解生成物と、前記高沸点分解生成物に含まれており、
前記第1の反応器の温度と前記第2の反応器の温度の差が50℃以内である、ことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の製造方法。
[7] 前記低沸点分解生成物回収工程において、不活性溶媒の蒸気が前記低沸点分解生成物と共に、前記第1反応器、または前記第1反応器及び前記第2反応器の両方から気体状で連続的に取り出され、
次いで、該連続的に取り出された気体成分を、前記不活性溶媒の蒸気の1部または全部を凝縮させるが、前記低沸点分解生成物の1部または全部を凝縮させない温度に保たれた部分凝縮器に導入することによって、前記低沸点分解生成物を主成分とする気体状成分と、前記不活性溶媒を主成分とする液状成分とに分離し、液状成分の1部または全部を第1反応器、または第1反応器と第2反応器の両方に戻すリサイクル工程を更に有する、[6]に記載のイソシアネートの製造方法。
[8] 前記第1反応器として、固体充填材及び固体触媒のいずれか一方または両方を内部に充填した管型反応器を使用する、[6]又は[7]に記載のイソシアネートの製造方法。
[9] 前記第1反応器として、内部にトレイを設置した管型反応器を使用する、[6]又は[7]に記載のイソシアネートの製造方法。
[10] 前記第1反応器として、内部にトレイを設置し、かつ固体充填材及び固体触媒のいずれか一方または両方を充填した管型反応器を使用する、[6]又は[7]に記載のイソシアネートの製造方法。
[11] 前記第2反応器から生じる気体成分を、前記第1反応器の下部から導入する、[6]〜[10]のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
[12] 熱分解反応条件下で、実質的に不活性であり、かつ気体状態の搬送剤を前記第1反応器及び前記第2反応器のいずれか一方または両方の下部から導入し、気体成分を反応器上部より搬出させる、[6]〜[11]のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
[13] 前記搬送剤を、前記第2反応器の液中に導入する、[6]〜[12]のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
本発明によれば、副反応を抑制し、連続的にイソシアネートを製造するイソシアネートの製造方法を提供することができる。
実施例1等で使用する熱分解反応器を示す。 実施例81等で使用する熱分解反応器を示す。 実施例161等で使用する熱分解反応器を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の本実施形態に限定するものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
<イソシアネートの製造方法>
本実施形態は、カルバメートを熱分解して、イソシアネートを製造する方法である。
本実施形態のイソシアネートの製造方法は、
カルバメートとポリイソシアネート化合物とを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液を、熱分解反応器に連続的に導入して、カルバメートの熱分解反応をおこなう工程と、
前記ポリイソシアネート化合物よりも低沸点の分解生成物を、前記反応器から気体状で連続的に抜き出す低沸点分解生成物回収工程と、
前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を反応器から連続的に抜き出す高沸点成分回収工程と、を有する。
<イソシアネート>
本実施形態により製造されるイソシアネートとは、IUPAC(The International Union of Pure and Applied Chemistry)で定められた Nomenclature(IUPAC Nomenclature of Organic Chemistry)記載の規則C−8に定められる“イソシアネート(isocyanates)”の項の「The isocyanic acid tautomer, HN=C=O,of cyanic acid, HOC=N and its hydrocarbyl derivatives:RN=C=O.」のうち、後半部の「its hydrocarbonyl derivatives:RN=C=O」に相当する化合物であり、好ましくは、下記式(2)で表される化合物である。
Figure 0006757468
式(2)中、cは1以上の整数を表し、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜4、より更に好ましくは2又は3である。Rはc価の有機基を表す。
式(2)において、Rは、好ましくは炭素原子数3〜85の有機基であり、より好ましくは炭素原子数3〜30の有機基である。
は、好ましくは、脂肪族基、芳香族基、又は、脂肪族基と芳香族基とが結合してなる基を表す。具体的なRとしては、環式炭化水素基(単環式炭化水素基、縮合多環式炭化水素基、架橋環式炭化水素基、スピロ炭化水素基、環集合炭化水素基、側鎖のある環式炭化水素基炭化水素基)、ヘテロ環基、ヘテロ環式スピロ基、ヘテロ架橋環基等の環式基、非環式炭化水素基、非環式炭化水素基と1種以上の環式基とが結合した基、及び、前記基が特定の非金属原子(炭素、酸素、窒素、硫黄又はケイ素)と共有結合している基が挙げられる。
特定の非金属原子と共有結合しているとは、例えば、前記基が、下記式(3)〜(15)で表されるいずれかの基と共有結合で結合している状態である。
Figure 0006757468
中でも、Rとしては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、あるいは、単一種のまたは複数種の脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基がエーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を介して結合した基が好ましく、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、あるいは、単一種のまたは複数種の脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基がエステル結合を介して結合した基がより好ましい。また、該Rを構成する炭素原子の数は1〜30が好ましい。
本実施形態の方法で製造されるイソシアネートとしては、製造の容易性や取り扱いの容易性を考慮すると、好ましくは、前記式(2)においてcが2〜5の整数、より好ましくはcが2または3であって、より更に好ましくはcが3である。前記式(3)〜(5)、(7)、(9)、(11)又は(12)で表される結合様式を有するイソシアネートが好ましく、式(7)、(9)又は(12)で表される結合様式を有するイソシアネートがより好ましい。
前記式(2)においてcが1である単官能イソシアネート化合物としては、例えば、炭素数1〜30の脂肪族イソシアネート、炭素数6〜30の脂環族イソシアネート、炭素数6〜30の、芳香族基を含有するイソシアネートが挙げられる。
また、前記式(2)において、cが1である単官能イソシアネート化合物として、後述する式(A−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するイソシアネートであって、イソシアネート基を1個有するイソシアネートであってもよい。
前記式(2)においてcが2である2官能のジイソシアネート化合物としては、例えば、炭素数4〜30の脂肪族ジイソシアネート、炭素数8〜30の脂環族ジイソシアネート、炭素数8〜30の芳香族基を含有するジイソシアネートが挙げられる。
炭素数4〜30の脂肪族ジイソシアネートとしては、具体的には、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナト−2−メチルブタン、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ジイソシアナト−2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、リジンエチルエステルジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数8〜30の脂環族ジイソシアネートとしては、具体的には、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートが挙げられる。
炭素数8〜30の芳香族基を含有するジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートが挙げられる。
なお、前記した化合物に構造異性体が存在する場合は、その構造異性体も前記例に含まれる。
また、前記式(2)においてcが2である2官能のジイソシアネート化合物として、後述する式(A−1)または式(A−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するイソシアネートであって、イソシアネート基を2個有するイソシアネートであってもよい。
前記式(2)においてcが3である3官能のイソシアネートとしては、下記式(16)で表されるイソシアネートが好ましい。
Figure 0006757468
前記式(16)中、複数存在するYは、各々独立に、単結合、或いは、エステル結合、エーテル結合及びアミド結合からなる群から選ばれる結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基を表し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜12の1価の炭化水素基を表す。
前記式(16)において、Rとしては、好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜10の脂肪族基、炭素原子数6〜10の芳香族基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基等の脂肪族基、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基等の芳香族基が挙げられる。
前記式(16)において、Yとしては、好ましくは、単結合、或いは、炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基が挙げられる。
前記式(16)で表されるより具体的なイソシアネート化合物としては、前記式(16)においてYが炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基である化合物、下記式(17)または式(18)または式(19)で表される化合物、後述する式(A−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するイソシアネートであって、イソシアネート基を3個有するイソシアネートであってもよい。
前記式(16)においてYが炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、及び/又は、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基である化合物としては、1,2,3−プロパントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)−2,4,7−トリメチルオクタン、1,5−ジイソシアナト−3−(イソシアナトメチル)ペンタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,4,7−トリイソシアナトヘプタン、1,2,2−トリイソシアナトブタン、1,2,6−トリイソシアナトヘキサン、1−イソシアナト−2,2−ビス(イソシアナトメチル)ブタン、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,7−ジイソシアナト−4−(3−イソシアナトプロピル)ヘプタン、1,3−ジイソシアナト−2−(イソシアナトメチル)−2−メチルプロパン、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、1,3,5−トリイソシアナト−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−イソシアナトプロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−イソシアナトプロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−イソシアナトメチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−イソシアナト−1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス(イソシアネートベンゼン)等を挙げることができる。
Figure 0006757468
前記式(17)中、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、d及びiは各々独立に1〜4の整数を表し、e、f、hは各々独立に0〜5の整数を表し、j、k、lは各々独立に0又は1を表し、j、k、lの和は1〜3である。
前記式(17)で表される化合物の具体例としては、e=3、f=h=0、j=l=0、k=1、Rがエチレン基である、2−イソシアナトエチル−2,5−ジイソシアナトペンタノエート、e=4、f=h=0、j=l=0、k=1、Rがエチレン基である、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、d=2、e=1、f=h=0、j=k=1、l=0、Rがエチレン基である、ビス(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトブタンジオエート、d=2、Rがエチレン基、e=2、f=h=0、j=k=1、l=0である、ビス(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトペンタンジオエート、d=i=2、Rがエチレン基、j=k=l=1、e=3、f=2、h=0である、トリス(2−イソシアナトエチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート等が挙げられる。
中でも、下記一般式(I)で表される脂肪族イソシアネートを製造する方法であることが好ましい。
Figure 0006757468
前記一般式(I)中、Rはアルキレン基を表す。
前記一般式(I)の中の基の定義において、アルキレン基は、好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状アルキレン基を表し、好ましくは、炭素数2〜4の直鎖状又は分枝状アルキレン基を表し、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、中でもエチレン基が好ましい。
Figure 0006757468
前記式(18)中、X’は炭素原子数1〜4の炭化水素基を表し、m、n、qはそれぞれ1以上の整数を表し、m、n、qの和は3〜99であり、pは0〜3の整数を表す。
本実施形態で製造されるイソシアネート化合物は、下記式(19)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 0006757468
前記式(19)中、X〜Xは各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜12の1価の炭化水素基を表し、Y〜Yは各々独立にエステル結合及び/又はエーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基又は単結合を表す。
前記式(19)において、X〜Xは、好ましくは、前記式(16)のRで定義した基であり、より好ましくは水素原子である。
〜Yは、好ましくは、単結合あるいは炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基であり、より好ましくは、単結合あるいは炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基である。
また、3官能のイソシアネートとして、3分子の前記2官能のイソシアネートが、イソシアヌレート環構造やビウレット結合等を介して3量体化した化合物であってもよい。
前記式(19)で表される化合物の具体例としては、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、1,3,5−トリイソシアナト−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−イソシアナトプロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−イソシアナトプロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−イソシアナトメチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−イソシアナト−1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス(イソシアネートベンゼン)等が挙げられる。
また、本実施形態のイソシアネートとして、下記式(A−1)又は(A−2)で表される化合物であってもよい。
Figure 0006757468
前記式中、Rxaは、イソシアネート基、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい、炭素数1以上の脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基を表す。
Xは酸素原子または第2級アミノ基(−NH−)を表すが、好ましくは酸素原子を表す。
は炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子をあらわす。
cは2又は3を表す。
前記式(A−1)において、Rxaは、好ましくはアミノ酸から−NHCOOH基を除いた構造であり、より好ましくは炭素数1〜15の脂肪族基または炭素数6〜15の芳香族基である。
前記式(A−1)で表される化合物の好ましい例として下記式で表される化合物が挙げられる。
なお、α-アミノ酸では、α炭素へのアミノ基やカルボキシル基などの結合様式が立体的に2通り可能であり、それぞれ、D型、L型の光学異性体として区別される。本実施形態で使用されるアミノ酸(およびアミノ酸骨核を有する化合物)は、D型、L型でもよく、その混合物やラセミ体であってもよい。工業的に安価に入手できる多くのアミノ酸は、発酵で生産されるアミノ酸で、L型であることがほとんどであるが、それらは好ましく使用できる。本明細書中では、立体配置を示していないが、D型、L型のいずれかを示している。
Figure 0006757468
前記式中、Rはメチル基であることが好ましい。
Figure 0006757468
前記式中、Xは、各々、前記式(A−1)で定義した基を表し、
yaは、イソシアネート基、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい、炭素数1以上の脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基、または水素原子を表し、
vaは、イソシアネート基を含んでもよい炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子を表し、
dは1〜4のいずれかの整数を表す。
前記式(A−2)において、Ryaは、下記式(i−1)〜(ii−1)および下記式(iii−1)〜(iv−1)で表される基からなる群から選ばれる基を含んでもよい炭素数1〜15の脂肪族基、前記式(i−1)〜(ii−1)および下記式(iii−1)〜(iv−1)で表される基からなる群から選ばれる基を含んでもよい炭素数6〜15の芳香族基、脂肪族基と芳香族基とが結合した、前記式(i−1)〜(ii−1)および下記式(iii−1)〜(iv−1)で表される基からなる群から選ばれる基を含んでもよい炭素数7〜15の基、下記式(IV−1)〜(V−1)で表される基、水素原子のいずれかである。
Figure 0006757468
前記式(i−1)〜(iv−1)において、窒素原子、硫黄原子が結合する原子は炭素原子である。
Figure 0006757468
前記式(IV−1)において、e11は0〜5のいずれかの整数を表し、Rは下記式(I−1)、(II−1)又は(III−1)で示される基、あるいは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、
前記式(V−1)において、e12は0〜5のいずれかの整数を表し、Rは炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基を表す。
Figure 0006757468
前記式中、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、hは1〜9のいずれかの整数を表し、jは0〜9のいずれかの整数を表す。
前記式(IV−1)において、Rは前記式(I−1)で示される基が好ましい。
本実施形態におけるイソシアネートとして、下記式で表される化合物も挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、Rva及びRyaは前記式(A−2)で定義した基を表す。Rvaはイソシアネート基を含んでもよい炭素数1〜6の脂肪族基が好ましい。Ryaは、イソシアネート基を含んでもよい炭素数1〜6の脂肪族基であることが好ましい。
以下、各工程についてそれぞれ説明する。
[混合液を調製する工程]
本工程は、カルバメートと、ポリイソシアネート化合物とを含む混合液を調製する工程である。本実施形態において材料として使用するカルバメートは、後述する、炭酸エステルと、アミン化合物とを反応させることにより製造する、炭酸エステルに由来するカルバメートを使用することが好ましい。本工程において使用する不活性溶媒、ポリイソシアネート化合物についても後述する。
本実施形態において、ポリイソシアネート化合物とカルバメートとの組成は、カルバメートが、混合液の総質量に対して、1質量%以上90質量%以下となるように調製し、3質量%以上70質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましく、10質量%以上50質量%以下がより更に好ましい。
カルバメートの量が上記下限値以上であると、イソシアネートの空時収率がより向上し、工業的に実施する場合には有利となる傾向がある。また、上記上限値以下であると、熱分解時に副反応がより抑制される傾向にある。
一方、前記混合液におけるポリイソシアネート化合物は、混合液の総質量に対して、10質量%以上99質量%以下となるように調製し、20質量%以上80質量%以下が好ましく、20質量%以上70質量%以下がより好ましい。
前記混合液は、不活性溶媒を含有することも好ましい。該不活性溶媒を含有することで、カルバメートの熱分解反応によって生成するイソシアネートとヒドロキシ化合物とが再結合しカルバメートを生成する反応を抑制する効果を奏する。
不活性溶媒を含有する場合、前記混合液中の不活性溶媒は、混合液の総質量に対して、1質量%以上80質量%以下となるように調製し、3質量%以上70質量%以下が好ましく、5質量%以上60質量%以下がより好ましい。
[熱分解反応をおこなう工程]
本工程は、前記カルバメートを熱分解反応器に連続的に導入して熱分解反応に付すことによってイソシアネートを得る工程であり、カルバメートから、イソシアネートとヒドロキシ化合物(好ましくは芳香族ヒドロキシ化合物)を生成させる反応である。本工程は液相で行うことが好ましい。
反応温度は、通常100℃〜350℃の範囲である。反応速度を高めるためには高温が好ましいが、カルバミン酸エステルおよび/または生成物であるイソシアネートによる副反応をより抑制する観点から、150℃〜300℃の範囲が好ましい。
反応温度を一定にするために、上記反応器に公知の冷却装置、加熱装置を設置してもよい。
また、反応圧力は、用いる化合物の種類や反応温度によって異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常1〜1×10Pa(絶対圧)の範囲で行われる。
反応時間(滞留時間)に、特に制限はなく、通常0.001〜100時間が好ましく、0.005〜50時間がより好ましく、0.01〜10時間が特に好ましい。
該熱分解反応器の形式に、特に制限はないが、気相成分を効率よく回収するために、公知の蒸留装置を使用することが好ましく、蒸発缶、連続多段蒸留塔、充填塔、薄膜蒸発器および流下膜蒸発器からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応器から構成されることがより好ましい。
これらの他にも、例えば、蒸留塔、多段蒸留塔、多管式反応器、内部に支持体を備えた反応器、強制循環反応器、落膜蒸発器、落滴蒸発器のいずれかを含む反応器を用いる方式、およびこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。
前記ポリイソシアネート化合物よりも低い標準沸点を有する低沸点分解生成物を素早く反応系から連続的に抜き出す観点からは、充填塔、管型反応器が好ましく、管型反応器がより好ましく、管型薄膜蒸発器、管型流下膜蒸発器等の反応器を用いる方法がより更に好ましく、生成する低沸点分解成分を気相にすみやかに移動させられる気−液接触面積の大きな構造がより好ましい。
充填塔を用いる場合、固体充填材としては、蒸留塔や吸収塔に一般的に使用されている充填材を適宜使用できる。本実施形態においては、例えば、ラシヒリング、レッシングリング、スパイラルリング、ボールリング、インターロックスサドル、ステッドマンパッキング、マクマホンパッキング、ディクソンパッキング、ヘリックスパッキング、コイルパッキング、ヒートパイプパッキング、等が好ましいものとしてあげられる。
充填材の材質は、磁製、金属製等特に限定されない。本実施形態においては、熱伝導性の高い材質でできた充填材が好ましい。
後述するカルバメート製造工程で使用されるカルバメート化反応器の種類と、前記熱分解反応器の種類は、同一であっても異なっていてもよい。
熱分解反応器およびラインの材質は、該カルバミン酸エステルや生成物であるヒドロキシ化合物(芳香族ヒドロキシ化合物)、イソシアネート等に悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316、SUS316L等が安価であり、好ましく使用できる。
本工程において、触媒は必ずしも必要ではないが、反応温度を低下させたり、反応を早期に完結させるために、触媒を使用することは何ら問題ない。触媒はカルバメートの質量に対して0.01〜30質量%、より好ましくは0.5〜20質量%で使用される。
触媒としては、例えば、ルイス酸およびルイス酸を生成する遷移金属化合物、有機スズ化合物、銅族金属、亜鉛、鉄族金属の化合物、具体的には、AlXa 、TiXa 、TiXa 、VOXa 、VXa 、ZnXa 、FeXa 、SnXa (式中、Xaは、ハロゲン、アセトキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基である)で表されるルイス酸およびルイス酸を生成する遷移金属化合物; (CHSnOCOCH、(C)SnOCOC、BuSnOCOCH、PhSnOCOCH、BuSn(OCOCH、BuSn(OCOC1123、PhSnOCH、(CSnOPh、BuSn(OCH、BuSn(OC、BuSn(OPh)、PhSn(CH、(CSnOH、PhSnOH、BuSnO、(C17SnO、BuSnCl、BuSnO(OH)等で表される有機スズ化合物;CuCl、CuCl、CuBr、CuBr、CuI、CuI、Cu(OAc)、Cu(acac)、オレフィン酸銅、BuCu、(CHO)Cu、AgNO、AgBr、ピクリン酸銀、AgCClO等の銅族金属の化合物;Zn(acac)等の亜鉛の化合物;Fe(C10)(CO)、Fe(CO)、Fe(C)(CO)、Co(メシチレン)(PEtPh)、CoC(CO)、フェロセン等の鉄族金属の化合物等が挙げられる。(Buはブチル基、Phはフェニル基、acacはアセチルアセトンキレート配位子を表す。)1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミンなどのアミン類も使用に適する。中でもジラウリン酸ジブチルスズ、オクチル酸鉛、スタナオクトエートなどの有機金属触媒が好ましい。これらの化合物は単独でも二種類以上の混合物として使用してもよい。
[低沸点分解生成物回収工程(第1回収工程)]
本工程は、カルバメートの熱分解反応によって生成する低沸点の分解生成物を、不活性溶媒を用いる場合は不活性溶媒と共に、熱分解反応器から気体状で連続的に抜き出す工程である。ここでいう低沸点の分解生成物とは、カルバメートの熱分解反応によって生成するイソシアネートおよびヒドロキシ化合物のうち、熱分解反応器に供給されるポリイソシアネート化合物よりも標準沸点が低い化合物を指す。好ましくは、ヒドロキシ化合物及びイソシアネートの少なくとも一方、より好ましくはヒドロキシ化合物とイソシアネートの両方である。
これらの成分を気体状態で回収するために、使用する化合物やカルバメートの熱分解によって生成する化合物に応じて、該工程をおこなうための温度、圧力等の条件を設定することが好ましい。
また、低沸点分解生成物の回収を速やかにおこなうために、搬送剤を導入することもできる。このような搬送剤としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、炭酸ガス、メタン、エタン、プロパン等の不活性ガス、又は炭化水素ガス類等を用いることができる。これらの中でも、窒素などの不活性ガスを好ましく用いることができる。
同様な効果を奏するものとして、低沸点の有機溶媒類、例えばジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン等の低級炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類を用いることができる。これらの搬送剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの搬送剤は、予め加熱して用いることが好ましい。
熱分解反応器より回収された気体状の低沸点分解生成物と不活性溶媒は、そのままの状態で冷却器に導入し、一部および/または全部を液状で回収しても良い。また、気体状態で、または、冷却器に導入して液状とした状態で蒸留塔に供給して精製分離をおこなってもよい。
[高沸点成分回収工程(第2回収工程)]
高沸点成分回収工程では、前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を反応器から連続的に抜き出し回収する。上記した低沸点分解生成物回収工程で、熱分解反応器に供給されるポリイソシアネート化合物よりも標準沸点が低い化合物と不活性溶媒を気体状態で回収したことから、本工程で回収される高沸点成分は、前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分であり、熱分解反応に供給されるポリイソシアネート化合物と標準沸点が同じか、標準沸点が高い成分であると解される。高沸点成分には、カルバメートの熱分解によって生成するイソシアネートとカルバメートによる副反応生成物、前記イソシアネートによる副反応生成物、カルバメートによる副反応生成物、これらの副反応生成物がさらに反応して生成する化合物等が含まれる場合が多い。これらの化合物は上記した低沸点分解生成物回収工程で気体状態で回収されない場合が多い一方、反応器の表面に付着して閉塞等を引き起こす原因となる場合が多く、熱分解反応に供給されるポリイソシアネート化合物とともに熱分解反応器から液相成分として連続的に回収することによって反応器表面への付着を防止する効果を奏する。
以上に示した、熱分解反応をおこなう工程、低沸点分解生成物回収工程、高沸点成分回収工程は、複数の装置を用いて各工程を個別におこなっても良いし、1つの装置を用いて同時におこなっても良い。
<複数の反応器を用いる場合の例示>
上で示した方法だけでなく、例えば、次に示すような方法で実施することもができる。なお、以下の例では、カルバメートと不活性溶媒とポリイソシアネート化合物とからなる混合液を使用する場合を記載しているが、不活性溶媒を用いない場合でも同様である。
前記熱分解反応を行う工程は、
前記混合液を、縦型の管型反応器からなる第1反応器に連続的に導入し、第1反応器内部を流下させながら第1の分解反応を実施し、第1反応器の下部より前記液相成分を得る液相成分製造工程と、
前記液相成分を、槽型反応器からなる第2反応器に導入し、第2の分解反応を実施することによって、前記液相成分に含まれるカルバメートをイソシアネートとヒドロキシ化合物とに分解する分解工程とを含むことが好ましい。
[液相成分製造工程]
ポリイソシアネート化合物とカルバメートを含む混合液は、縦型の管型反応器からなる第1反応器の上部から連続的に導入し、反応器内部を流下させながら第1の分解反応を実施し、反応器の下部より液相成分(反応混合物)を得る。本実施形態においては、導入する前に第1反応器を反応温度以下の温度に予熱することが好ましい。
前記混合液は、不活性溶媒を更に含むことが好ましい。前記混合液は、溶液または溶融状態で反応器に導入することが好ましく、懸濁状態で導入してもよい。
本実施形態において、第1反応器として用いることができる管型反応器は、熱分解反応時に内部温度を140℃以上380℃以下の間の適当な温度に維持できるものであれば特に限定されない。
また、管型反応器の断面形状も特に限定されず、円形のものが好ましい。
管型反応器の長さは、カルバメートの種類、濃度、分解反応温度、圧力、充填材の有無、充填材の種類、トレイの有無、トレイの種類、その他の反応条件等によって適宜調整すればよい。
一例をあげると、管型反応器の長さは、50cm以上15m以下が好ましく、1m以上7m以下がより好ましい。断面が円形の場合には、その直径は1cm以上3m以下が好ましく、2cm以上50cm以下がより好ましい。
本実施形態においては、管型反応器は、固体充填材及び固体触媒のいずれか一方または両方を内部に充填した管型反応器であることが好ましい。
固体充填材としては、上記[熱分解反応をおこなう工程]で示した固体充填材を使用することができる。
充填された固体充填材は、流下する液状成分の表面積を増加させ、滞留時間を増加させる効果を奏する。また、分解反応熱を液状成分に与える良好な媒体となる。
固体触媒を充填する場合は、均一系触媒と異なり、反応液との分離操作をする必要がないため、工業的に実施する観点から好ましい。
これらの固体触媒は、分解温度を低下させたり、反応温度を高めるために有効である。特に熱伝導性の良好なものは、熱分解反応熱を供給する観点から好ましい。
このような固体触媒としては、特開昭57−158746号公報、特開昭57−158747号公報、特開昭57−158748号公報及び特開昭57−159751号公報に記載された触媒を好適に用いることができる。
例えば、希土類元素、アンチモン、ビスマスの単体およびこれらの元素の酸化物、硫化物及び塩類;ホウ素単体及びホウ素化合物、周期律表の銅族、亜鉛族、アルミニウム族、炭素族、チタン族の金属およびこれらの金属の酸化物及び硫化物、周期律表の炭素を除く炭素族、チタン族、バナジウム族、クロム族元素の炭化物及び窒化物等が好ましい。
本実施形態においては、前記第1反応器は、液分配器及び液再分配器のいずれか一方または両方が配置された充填式管型反応器であることが好ましい。
液分配器は、充填材層の上部に設置されており、充填層に液を均一に分布させるものである。液分配器の形状は特に限定されない。例えば、通常の充填塔の使用されているようなリング型分配器、せき流型分配器、とい型分配器、オリフィス型分配器が挙げられる。
液再分配器は、充填層中を液成分が流下していく間に偏流することを防止できる。液再分配器を使用すると、液の均一分布に役立つばかりでなく、反応液の滞留時間分布巾を狭くすることができる。反応液の滞留時間分布巾を狭くすると、未分解のカルバメートが残存することなく、生成したイソシアネートの副反応によるポリマー状副生物の生成を抑制でき、高品質のイソシアネートを得ることができる。このような液再分配器は、充填材の適当な充填高さごとに設けられることが好ましい。液再分配器の材質及び形状は特に限定されない。
本実施形態において、第1反応器は、前記管型反応器の内部にトレイが設置されていることが好ましい。このトレイは、通常の棚段式蒸留装置等に用いられている段を意味し、例えば泡鐘トレイ、ユニフラックストレイ、多孔板トレイ、バッフルトレイ等を示す。このようなトレイは、充填式反応管に設置される液再分配器と同様な効果を有し、反応液の滞留時間分布巾を狭くすることができる。
本実施形態において、第1反応器として内部にトレイが設置され、かつ固体充填材及び固体触媒のいずれか一方または両方が充填された管型反応器を使用することが好ましい。
第1反応器の温度は、カルバメートを分解させる温度であれば特に限定されず、一例を挙げると、140℃以上380℃以下の範囲内の適当な温度(T1℃)に保持される。用いるカルバメートの種類にもよるが、160℃以上350℃以下が好ましく、180℃以上330℃以下がより好ましい。
分解反応速度を上げるためには、高温であることが好ましいが、副反応を抑制する観点からは低温が好ましい。使用するカルバメートの種類によって、温度を適宜調整すればよい。反応管の温度分布は、上部から下部まで均一であってもよく、温度勾配をつけてもよい。
第1反応器内の圧力は、前記反応温度がポリイソシアネート化合物の標準沸点以下となるように調整することが好ましく、かつ、分解生成物であるイソシアネートまたはヒドロキシ化合物のうちのいずれかの低沸点成分が反応温度において気化する圧力とすることが好ましい。
第1反応器における平均滞留時間は、0.5分間以上150分間以下が好ましく、1分間以上90分間以下がより好ましく、10分間以上30分間以下がより更に好ましい。
管型の第1反応器の上部から連続的に導入されたカルバメートと不活性溶媒とポリイソシアネート化合物とからなる混合液は、第1反応器内を流下しながらイソシアネートとヒドロキシ化合物に分解される(第1の分解反応)。第1の分解反応後、得られた低沸点分解生成物と不活性溶媒は気化し、第1反応器の上部より気体状で連続的に取り出す、低沸点分解生成物回収工程(後述)を同時におこなうことができる。第1反応器の上部より取り出される気体の中に、ポリイソシアネート化合物の一部が含まれていても良い。
低沸点分解生成物は、ポリイソシアネート化合物の標準沸点よりも低い標準沸点を有し、好ましくはヒドロキシ化合物とイソシアネートの少なくとも一方であり、より好ましくはヒドロキシ化合物とイソシアネートの両方である。
前記混合液中に含まれていた大部分のカルバメートが、この第1反応器の内部でイソシアネートとヒドロキシル化合物に分解されるが、一部のカルバメートが未反応のまま液相成分中に残存しても良い。
管型の第1反応器で、未分解のカルバメートまたは/及び未分解のカルバメート基を有するイソシアネート化合物等を完全に分解しようとすると、反応温度をより高温にしたり、滞留時間をより長くする必要がある。しかしながら、このように反応条件をより厳しくすると、副反応が起こりやすくなり、ポリマー状の副生物が生成することがある。このため、管型の第1反応器でのカルバメートの完全分解は行わず、残存するカルバメート等を、高沸点生成物(ポリイソシアネート化合物と同じ、またはポリイソシアネート化合物よりも高い標準沸点を有する)及びポリイソシアネート化合物と共に液相成分として、第1反応器の下部より液状で連続的に取り出すことも好ましい。
なお、本願明細書において、反応器(反応管)の上部及び下部とは、それぞれ反応器の管の上端より約1/3までの部分、管の下端より約1/3までの部分を意味するものとする。
[分解工程]
前記第1反応器の下部より液状で取り出された液相成分(反応混合物)は、第1反応器に接続され、槽型反応器からなる第2反応器に導入される。この第2反応器において、カルバメートはイソシアネートとヒドロキシ化合物にさらに分解(第2の分解反応)される。第2反応器に導入される液相成分中に、第1反応器で得られた低沸点分解生成物や不活性溶媒が含まれていても良い。
前記第2反応器の温度は、第1反応器内での分解度合やカルバメートの種類によって適宜調整すればよいが、カルバメートが分解する温度で、かつ第1反応器の温度(T1℃)との差が50℃以内となる、すなわち、(T1−50)℃以上(T1+50)℃以下の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、第2反応器の温度は、(T1−20)℃以上(T1+30)℃以下の範囲である。
[低沸点分解生成物回収工程(第1回収工程)]
前記液相成分製造工程において生成した低沸点分解生成物(ポリイソシアネート化合物よりも低い標準沸点を有し、好ましくはヒドロキシ化合物および/またはイソシアネートである)と不活性溶媒は気化し、第1反応器の上部より気体状で連続的に取り出す。第1反応器の上部より取り出される気体成分は、ポリイソシアネート化合物の一部を含んでいても良い。
第2反応器で生成した低沸点分解生成物も、第2反応器の上部より気体状で連続的に取り出す。この場合も、第2反応器の上部より取り出される気体は、ポリイソシアネート化合物の一部を含んでいてもよい。
第2反応器より取り出される気体成分は、第2反応器の上部より第1反応器の下部に導入することが好ましい。この場合、第1反応器の下部に導入される気体成分に、低沸点分解生成物以外にポリイソシアネート化合物が含まれることが好ましい。
また、第2反応器は1槽でもよく、2槽以上の多段槽としてもよい。
このように第1反応器及び第2反応器で製造された気体状の低沸点分解生成物は、そのままの状態で冷却器に導入し液状で回収してもよいし、溶媒と分離して回収してもよいし、蒸留塔に供給して蒸留精製してもよい。
[高沸点成分回収工程(第2回収工程)]
上記の低沸点分解生成物回収工程で回収されなかった高沸点成分は、不活性溶媒および/またはポリイソシアネート化合物と共に第2反応器から連続的に取り出すことにより、高沸点成分を連続的に得ることができる。高沸点成分がイソシアネートを含み、該イソシアネートを蒸留によって分離する場合には、可能な限り低温で行うことが好ましく、150℃以下で行うことがより好ましい。
[リサイクル工程]
第1反応器の上部、または第1反応器と第2反応器のそれぞれの上部より連続的に抜き出した低沸点分解生成物と、不活性溶媒蒸気からなる気体成分を、不活性溶媒および/またはポリイソシアネート化合物の蒸気の一部分、大部分又は全部を凝縮させるが、低沸点分解生成物(好ましくはヒドロキシ化合物)の大部分又は全部を凝縮させない温度に保たれた部分凝縮器に導入することによって、大部分又は全部の気体状の低沸点分解生成物と、不活性溶媒を主成分とする液状成分とに分離し、液状成分の一部又は全部を第1反応器、または第1反応器と第2反応器のそれぞれに戻す方法としてもよい。
この方式は、副反応を抑制するために特に効果的である。また、第2反応器の上部より抜き出した低沸点分解生成物と不活性溶媒蒸気からなる気体成分は、反応管の下部より第1反応器に導入することが好ましい。
[搬送剤の導入]
第1反応器及び第2反応器において生成する低沸点分解生成物を反応器から速やかに抜き出すために、第1反応器及び第2反応器のいずれか一方または両方の下部から搬送剤を導入することも好ましい。搬送剤は予熱されて反応器に導入されることが好ましい。
反応器及び部分凝縮器のいずれか一方又は両方から抜き出した搬送剤と低沸点分解生成物、溶媒蒸気を含む気体成分は、部分凝縮等の方法によって、それぞれの成分に分離され、搬送剤は循環再使用できる。
一実施形態においては、この搬送剤を第2反応器の液中に導入し、生成した低沸点分解生成物及び溶媒蒸気と共に第1反応器の下部に導入することが好ましい。
このような搬送剤としては、熱分解反応条件下で実質的に不活性で、かつ気体状態であることが好ましい。
このような搬送剤としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、炭酸ガス、メタン、エタン、プロパン等の不活性ガス、又は炭化水素ガス類等を用いることができ、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスがより好ましい。
同様な効果を奏するものとして、低沸点の有機溶媒類、例えばジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン等の低級炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類を用いることができる。これらの搬送剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
〔カルバメート製造工程〕
本実施形態において、原料として用いることができるカルバメートは、下記のカルバメート製造工程により製造することが好ましい。
カルバメート製造工程は、炭酸エステルと、アミン化合物とを反応させ、炭酸エステルに由来するカルバメートと、炭酸エステルに由来するヒドロキシ化合物と、炭酸エステルと、を含有する反応混合物を得る工程である。
炭酸エステルとアミン化合物との反応は、反応溶媒中でおこなってもよく、例えば、ヘキサン(各異性体)、ヘプタン(各異性体)、オクタン(各異性体)、ノナン(各異性体)、デカン(各異性体)などのアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)、エチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン(各異性体)、ジブチルベンゼン(各異性体)、ナフタレン等の芳香族炭化水素及びアルキル置換芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、ブタノール(各異性体)、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)、ヘプタノール(各異性体)、オクタノール(各異性体)、ノナノール(各異性体)等のアルコール類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(各異性体)、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン(各異性体)、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のハロゲンもしくはニトロ基によって置換された芳香族化合物類;ジフェニル、置換ジフェニル、ジフェニルメタン、ターフェニル、アントラセン、ジベンジルトルエン(各異性体)等の多環炭化水素化合物類;フェノール、メチルフェノール(各異性体)、エチルフェノール(各異性体)、ブチルフェノール(各異性体)、ペンチルフェノール(各異性体)、ジメチルフェノール(各異性体)、ジエチルフェノール(各異性体)、ジブチルフェノール(各異性体)、ジペンチルフェノール(各異性体)等の芳香族ヒドロキシ化合物類;シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ベンジルブチルフタレート等のエステル類;ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド等のエーテル類及びチオエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類等を反応溶媒として好適に使用する。これらの中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましく用いられる。
これらの溶媒は単独でも2種類以上の混合物として使用することもできる。アミン化合物のアミノ基に対して過剰量使用される炭酸エステルも、該反応における溶媒として好適に使用される。
また、反応溶媒として芳香族ヒドロキシ化合物存在下で行われることも好ましい。
該芳香族ヒドロキシ化合物としては、該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する芳香族炭化水素環に直接結合するヒドロキシル基を1つ有する化合物が好ましい。本実施形態に用いることができる芳香族ヒドロキシ化合物の具体例については後述する。
アミン化合物は、カルバメートの製造を行う反応器に液体の状態で供給されることが好ましい。
本実施形態においては、アミン化合物の供給が、アルコール、水、または炭酸エステルとの混合物として行われることが好ましい。
炭酸エステルとアミン化合物との反応条件は,反応させる化合物によって異なるが、アミン化合物のアミノ基に対して炭酸エステルを化学量論比で、1以上が好ましく、1〜1000倍の範囲がより好ましい。反応速度を高め、反応を早期に完結させるためには、炭酸エステルはアミン化合物のアミノ基に対して過剰量が好ましく、反応器の大きさを考慮すれば、1.1〜50倍の範囲が好ましく、1.5〜10倍の範囲がより好ましい。
芳香族ヒドロキシ化合物の使用量は、アミン化合物のアミノ基に対して、芳香族ヒドロキシ化合物を化学量論比で、1〜100倍の範囲が好ましく、1.2〜50倍がより好ましく、1.5〜10倍が特に好ましい。
反応温度は、通常、0℃〜150℃の範囲が好ましい。反応速度を高めるためには高温が好ましいが、一方で、高温では好ましくない反応も起こる場合があるので、10℃〜100℃の範囲がより好ましい。反応温度を一定にするために、上記反応器に公知の冷却装置、加熱装置を設置してもよい。
また、反応圧力は、用いる化合物の種類や反応温度によって異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常20〜1×10Paの範囲で行われる。反応時間(連続法の場合は滞留時間)に、特に制限はなく通常0.001〜50時間が好ましく、0.01〜20時間がより好ましく、0.1〜10時間が特に好ましい。また、反応液を採取し、例えば、液体クロマトグラフィーによって所望する量のカルバメートが生成していることを確認して反応を終了することもできる。
本実施形態においては、炭酸エステルとアミン化合物の反応において、触媒を使用してもよく、使用しなくてもよい。触媒を使用しない場合には、触媒に由来する金属成分の影響によるカルバメートの熱変性を防止できる。
触媒を使用する場合には、反応を短時間で完結でき、反応温度を低くすることができる。
触媒を使用する場合には、例えば、スズ、鉛、銅、チタン等の有機金属化合物や無機金属化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属のアルコラートであって、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムのメチラート、エチラート、ブチラート(各異性体)等の塩基性触媒等を使用することができる。
特に、使用する化合物が無機酸または有機酸との塩を形成している場合には、塩基性化合物を用いることも好ましい。
塩基性化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物等の無機塩基等の無期塩基、アンモニア、アミン、フォスファゼン等の有機塩基が用いられ、中でも、アミンが好ましく、脂肪族アミンの場合は第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンがより好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンもしくはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミン及びアルキルアルコールアミンの各具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン(トリアミルアミン)、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリエチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、例えば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。また、脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
また、アミンとして芳香族アミンを用いてもよい。芳香族アミンとしては、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる
塩基性化合物の使用量は、使用する化合物によって適宜選択されるが、アミノ酸アルキルエステル無機酸塩のアミノ基に対して塩基性化合物を化学量論比で、0.001倍以上用いることが好ましく、0.01〜100倍の範囲が好ましい。
炭酸エステルとアミン化合物との反応において使用される反応器は、公知の槽型反応器、塔型反応器、蒸留塔が使用でき、反応器およびラインの材質は、出発物質や反応物質に悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316,SUS316L等が安価であり、好ましく使用できる。
{カルバメート}
上記の方法によって、カルバメートと、余剰の炭酸エステルと、炭酸エステルに由来するヒドロキシ化合物を含有する反応混合物が得られる。
上記の方法により得られるカルバメートは、下記式(20)で表されるカルバメートであることが好ましい。
Figure 0006757468
式(20)中、cは前記式(2)で定義した数を表し、Rは前記式(2)で定義した基を表し、Rはヒドロキシ化合物から1つのヒドロキシ基を除いた残基を表す。また、式(20)中の複数のRは、各々、同一であっても異なっていてもよい。
なお、前記式(20)で表されるカルバメートは、後述される〔カルバメート製造工程〕で製造されるカルバメートだけでなく、本実施形態で使用するカルバメートをも表す。
前記式(20)において、Rは、好ましくは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は、炭素数6〜20の芳香族基である。
が炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基の場合、該炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。直鎖状アルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられる。これらの中でも、エチル基、n−ブチル基、イソペンチル基が好ましい。
また、脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、具体的にはシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、具体的には、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソノルボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。中でもシクロヘキシル基が好ましい。
上記式(20)のRとしては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基も好ましく、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基がより好ましい。Rが、炭素数21以上の芳香族炭化水素基である炭酸ジアリールを用いることもできるが、カルバミン酸エステルの熱分解反応によって生成するイソシアネートとの分離を容易にするという観点から、Rを構成する炭素数は20以下が好ましい。
このようなRの例としては、フェニル基、メチルフェニル基(各異性体)、エチルフェニル基(各異性体)、プロピルフェニル基(各異性体)、ブチルフェニル基(各異性体)、ペンチルフェニル基(各異性体)、ヘキシルフェニル基(各異性体)、ジメチルフェニル基(各異性体)、メチルエチルフェニル基(各異性体)、メチルプロピルフェニル基(各異性体)、メチルブチルフェニル基(各異性体)、メチルペンチルフェニル基(各異性体)、ジエチルフェニル基(各異性体)、エチルプロピルフェニル基(各異性体)、エチルブチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルフェニル基(各異性体)、トリメチルフェニル基(各異性体)、トリエチルフェニル基(各異性体)、ナフチル基(各異性体)等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)フェニル基、4−(α、α−ジメチルベンジル)フェニル基、4−フェノキシフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基が好ましい。
前記式(20)において、Rは、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、あるいは、単一種のまたは複数種の脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基がエーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を介して結合した基が好ましく、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、あるいは、単一種のまたは複数種の脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基がエステル結合を介して結合した基がより好ましい。
該Rを構成する炭素原子の数は1〜30が好ましい。
が脂肪族炭化水素基である場合、Rの炭素原子数は好ましくは3〜85、より好ましくは3〜30、さらに好ましくは5〜13である。Rの脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。直鎖状アルキル基としては、炭素数が1〜15であることが好ましく、3〜10がより好ましく、5または6がさらに好ましい。分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜15であることが好ましく、8〜13がより好ましい。
具体的な1価のR基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基等が挙げられる。
具体的な2価のR基としては、メチレン基、エチレン基、n−トリメチレン基、n−テトラメチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基等が挙げられる。中でも、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基が好ましい。
具体的な3価のR基としては、オクタメチレンジイル−4−メチル基が好ましい。
が脂環式炭化水素基である場合、Rの炭素原子数は好ましくは5〜85、より好ましくは5〜30、さらに好ましくは8〜13である。また、脂環式炭化水素基は多環式であってもよく、単環式であってもよい。脂環式炭化水素基としては2価の基が好ましく、具体的には、シクロヘキサン−1,2−ジメチレン基、3,5,5−トリメチル−3−メチル−1−イル基、4,4’−ジシクロヘキシルメチル基が好ましい。
が芳香族炭化水素基である場合、Rの炭素原子数は好ましくは6〜20、より好ましくは7〜13である。又、芳香族炭化水素基は多環式であってもよく、単環式であってもよい。芳香族炭化水素基としては2価の基が好ましく、具体的には、トルエン−2,4−ジイル基、ベンゼン−1,2−ジメチレン基、4,4’−ジフェニルメチル基が好ましい。
が脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基がエーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を介して結合した基である場合、下記式(20−1)で表される基が好ましい。
Figure 0006757468
前記式(20−0)中、R20はc価の基を表し、*はカルバメート基との結合部位を表す。
1価のR20としては下記式(20−1)又は式(20−2)で表される基、2価のR20としては下記式(20−3)、式(20−4)、式(20−5)又は式(20−6)で表される基、3価のR20としては下記式(20−7)、式(20−8)又は式(20−9)で表される基、4価のR20としては下記式(20−10)、式(20−11)、式(20−12)又は式(20−13)で表される基が好ましい。
Figure 0006757468
Figure 0006757468
Figure 0006757468
前記式において、X211、X221、X231、X241、X251、X261、X271、X281、X291、X2001、X2101、X2201、X2301は、各々独立して、酸素原子または第2級アミノ基(―NH−)を表すが、好ましくは酸素原子である。
前記式(20−1)において、R211は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい1価の有機基を表し、より好ましくは、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい、炭素数1〜15の脂肪族基又は炭素数6〜15の芳香族基である。前記芳香族基は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、及び/又は、炭素数1〜6のアルコキシ基等で置換されていてもよい。
炭素数6〜15の芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フラニル基、ベンゾジオキソリル基等が挙げられる。
また、前記式(20−1)において、R212は、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を表す。
前記式(20−1)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、*はカルバメート基との結合部位を表す。
前記式(20−2)において、R221は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい1価の有機基を表し、より好ましくは、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい、炭素数1〜15の脂肪族基又は炭素数6〜15の芳香族基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜15の不飽和炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜5のアルケニル基、さらに好ましくはイソプロペニル基である。
また、前記式(20−2)において、R222は、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基を表し、好ましくは炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、さらに好ましくはエチレン基である。
前記式(20−2)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、*はカルバメート基との結合部位を表す。
前記式(20−3)において、R231は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい2価の有機基を表し、より好ましくは、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい、炭素数1〜15の脂肪族基又は炭素数6〜15の芳香族基である。
また、前記式(20−3)において、R232はR212と同じ基である。
前記式(20−3)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、*はカルバメート基との結合部位を表す
前記式(20−4)において、R241は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい1価の有機基を表し、より好ましくは、チオエーテル結合(−S−)を含んでもよく、炭素数6〜15の芳香族基で置換されていてもよい、炭素数1〜15の脂肪族基、あるいは、炭素数6〜15の芳香族基を表す。前記芳香族基としては、フェニル基、イミダゾリル基、またはインドリル基等を表す。
また、前記式(20−4)において、R242は、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基、より好ましくはエチレン基である。
前記式(20−4)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、*はカルバメート基との結合部位を表す
前記式(20−5)において、R251は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい1価の有機基を表し、より好ましくは、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい、炭素数1〜15の脂肪族基又は炭素数6〜15の芳香族基であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基である。
また、前記式(20−5)において、R252はR212と同じ基を表す。
前記式(20−5)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、*はカルバメート基との結合部位を表す
前記式(20−6)において、R261はR211と同じ基を表し、好ましくはエステル結合(−COO−)を含む炭素数2〜10のアルキレン基を表す。
また、前記式(20−6)において、R262は2価の基であって炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
前記式(20−6)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、*はカルバメート基との結合部位を表す
前記式(20−7)において、R271は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい3価の有機基を表し、より好ましくは、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい、炭素数1〜15の脂肪族基又は炭素数6〜15の芳香族基であり、より好ましくは、炭素数6の芳香族炭化水素基である。
また、前記式(20−7)において、R272はR212と同じ基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
前記式(20−7)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、*はカルバメート基との結合部位を表す
前記式(20−8)において、R281は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい1価の有機基を表し、好ましくは、エステル結合(−COO−)を含んでもよい、炭素数1〜15の脂肪族基を表す。
282は、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
前記式(20−8)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、*はカルバメート基との結合部位を表す
前記式(20−9)において、R291はR211と同じ基を表す。
また、前記式(20−9)において、R292は、3価の基である、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基を表す。
前記式(20−10)において、R2001は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい4価の有機基を表し、より好ましくは、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい、炭素数1〜15の脂肪族基又は炭素数6〜15の芳香族基である。
また、前記式(20−10)において、R2002はR212と同じ基を表す。
前記式(20−11)において、R2101は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい1価の有機基を表し、好ましくは、チオエーテル結合(−S−)を含んでもよい、炭素数1〜15の脂肪族基を表し、チオエーテル結合(−S−)を含む炭素数1〜6の脂肪族基を表す。
また、前記式(20−11)において、R2102は、4価の基であって、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子を表し、好ましくは炭素数5〜10の脂肪族飽和炭化水素基である。
前記式(20−11)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、*はカルバメート基との結合部位を表す
前記式(20−12)において、R2201はR231と同じ基を表し、R2202はR242と同じ基を表す。
前記式(20−13)において、R2301はエーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を含んでもよい1価の有機基を表し、好ましくは、炭素数1〜15の脂肪族基を表し、より好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
2302は炭素数1〜15の脂肪族基又は炭素数6〜15の芳香族基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
前記式(20−13)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、*はカルバメート基との結合部位を表す
前記式(20)においてcが1である単官能カルバメートとしては、例えば、式(20)のRが炭素数1〜30の脂肪族カルバメート、式(20)のRが式(20)のRが炭素数6〜30の脂環族カルバメート、炭素数6〜30の、芳香族基を含有するカルバメートが挙げられる。
また、前記式(20)においてcが1である単官能カルバメートとして、後述する式(B−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するカルバメートであって、カルバメート基を1個有するイソシアネートであってもよく、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチルメタクリレートであってもよい。
前記式(20)においてcが2である2官能のカルバメートとしては、例えば、炭素数4〜30の脂肪族ジカルバメート、炭素数8〜30の脂環族ジカルバメート、炭素数8〜30の芳香族基を含有するジカルバメートが好ましく使用される。
炭素数4〜30の脂肪族ジカルバメートとしては、具体的には、1,4−テトラメチレンジ(カルバミン酸メチルエステル)、1,5−ペンタメチレンジ(カルバミン酸メチルエステル)、1,4−ジ(カルバミン酸メチルエステル)2−メチルブタン、1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸メチルエステル)、1,6−ジ(カルバミン酸メチルエステル)2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸メチルエステル)、リジンメチルエステルジ(カルバミン酸メチルエステル)、リジンエチルエステルジ(カルバミン酸メチルエステル)、1,4−テトラメチレンジ(カルバミン酸エチルエステル)、1,5−ペンタメチレンジ(カルバミン酸エチルエステル)、1,4−ジ(カルバミン酸エチルエステル)2−エチルブタン、1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸エチルエステル)、1,6−ジ(カルバミン酸エチルエステル)2,5−ジエチルヘキサン、2,2,4−トリエチル1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸エチルエステル)、リジンエチルエステルジ(カルバミン酸エチルエステル)、リジンエチルエステルジ(カルバミン酸エチルエステル)、1,4−テトラメチレンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、1,5−ペンタメチレンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、1,4−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)2−ブチルブタン、1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、1,6−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)2,5−ジブチルヘキサン、2,2,4−トリブチル1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、リジンブチルエステルジ(カルバミン酸ブチルエステル)、リジンブチルエステルジ(カルバミン酸ブチルエステル)、1,4−テトラメチレンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、1,5−ペンタメチレンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、1,4−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)2−フェニルブタン、1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、1,6−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)2,5−ジフェニルヘキサン、2,2,4−トリフェニル1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、リジンフェニルエステルジ(カルバミン酸フェニルエステル)、リジンフェニルエステルジ(カルバミン酸フェニルエステル)、1,4−テトラメチレンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、1,5−ペンタメチレンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、1,4−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)2−ジメチルフェニルブタン、1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、1,6−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)2,5−ジジメチルフェニルヘキサン、2,2,4−トリジメチルフェニル1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、リジンジメチルフェニルエステルジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、リジンジメチルフェニルエステルジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、1,4−テトラメチレンジ(カルバミン酸ジブチルフェニルエステル)、1,5−ペンタメチレンジ(カルバミン酸ジブチルフェニルエステル)、1,4−ジ(カルバミン酸ジブチルフェニルエステル)2−ジブチルフェニルブタン、1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸ジブチルフェニルエステル)、1,6−ジ(カルバミン酸ジブチルフェニルエステル)2,5−ジジブチルフェニルヘキサン、2,2,4−トリジブチルフェニル1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸ジブチルフェニルエステル)、リジンジブチルフェニルエステルジ(カルバミン酸ジブチルフェニルエステル)、リジンジブチルフェニルエステルジ(カルバミン酸ジブチルフェニルエステル)、3−(フェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸フェニルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジシクロヘキシル)−ビスカルバミン酸ジフェニルエステル、シクロヘキサン−1,2−ジイルビス(メチレン)ジカルバミン酸ジフェニル、1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸(3−メチルブチル)エステル)、シクロヘキサン−1,2−ジイルビス(メチレン)ジカルバミン酸ジ(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)、3−((2,6−ジメチルフェノキシ)カルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(2,6−ジメチルフェニル)エステル、シクロヘキサン−1,2−ジイルビス(メチレン)ジカルバミン酸ジ(4−フェノキシフェニル)等が挙げられる。
中でも、1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、1,5−ペンタメチレンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、3−(フェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸フェニルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジシクロヘキシル)−ビスカルバミン酸ジフェニルエステル、シクロヘキサン−1,2−ジイルビス(メチレン)ジカルバミン酸ジフェニル、1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸エチルエステル)、1,6−ヘキサメチレンジ(カルバミン酸(3−メチルブチル)エステル)、1,5−ペンタメチレンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、シクロヘキサン−1,2−ジイルビス(メチレン)ジカルバミン酸ジ(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)、3−((2,6−ジメチルフェノキシ)カルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(2,6−ジメチルフェニル)エステル、シクロヘキサン−1,2−ジイルビス(メチレン)ジカルバミン酸ジ(4−フェノキシフェニル)が好ましい。
炭素数8〜30の脂環族ジカルバメートとしては、具体的には、イソホロンジ(カルバミン酸メチルエステル)、1,3−ビス((カルバミン酸メチルエステル)メチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジ(カルバミン酸メチルエステル)、水添テトラメチルキシリレンジ(カルバミン酸メチルエステル)、ノルボルネンジ(カルバミン酸メチルエステル)、イソホロンジ(カルバミン酸エチルエステル)、1,3−ビス((カルバミン酸エチルエステル)エチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジ(カルバミン酸エチルエステル)、水添テトラエチルキシリレンジ(カルバミン酸エチルエステル)、ノルボルネンジ(カルバミン酸エチルエステル)、イソホロンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、1,3−ビス((カルバミン酸ブチルエステル)ブチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、水添テトラブチルキシリレンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、ノルボルネンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、イソホロンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、1,3−ビス((カルバミン酸フェニルエステル)フェニル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、水添テトラフェニルキシリレンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、ノルボルネンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、イソホロンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、1,3−ビス((カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ジメチルフェニル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、水添テトラジメチルフェニルキシリレンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、ノルボルネンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)等が挙げられる。
炭素数8〜30の芳香族基を含有するジカルバメートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジ(カルバミン酸メチルエステル)、2,6−トリレンジ(カルバミン酸メチルエステル)、キシリレンジ(カルバミン酸メチルエステル)、テトラメチルキシリレンジ(カルバミン酸メチルエステル)、ナフタレンジ(カルバミン酸メチルエステル)、4,4’−ジフェニルメタンジ(カルバミン酸エチルエステル)、2,6−トリレンジ(カルバミン酸エチルエステル)、キシリレンジ(カルバミン酸エチルエステル)、テトラエチルキシリレンジ(カルバミン酸エチルエステル)、ナフタレンジ(カルバミン酸エチルエステル)、4,4’−ジフェニルメタンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、2,6−トリレンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、キシリレンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、テトラブチルキシリレンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、ナフタレンジ(カルバミン酸ブチルエステル)、4,4’−ジフェニルメタンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、2,6−トリレンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、キシリレンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、テトラフェニルキシリレンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、ナフタレンジ(カルバミン酸フェニルエステル)、4,4’−ジジメチルフェニルメタンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、2,6−トリレンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、キシリレンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、テトラジメチルフェニルキシリレンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、ナフタレンジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジフェニルエステル、ベンゼン−1,2−ジイルビス(メチレン)ジカルバミン酸ジフェニル)、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジフェニルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジエチルエステル、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジシクロヘキシルエステル等が挙げられる。
中でも、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジフェニルエステル、ベンゼン−1,2−ジイルビス(メチレン)ジカルバミン酸ジフェニル)、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジフェニルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジエチルエステル、トルエン−2,4−ジカルバミン酸ジシクロヘキシルエステルが好ましい。
なお、前記した化合物に構造異性体が存在する場合は、その構造異性体も前記例に含まれる。
また、前記式(20)においてcが2である2官能のジカルバメートとして、後述する式(B−1)または式(B−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するカルバメートであって、カルバメート基を2個有するカルバメートであってもよい。
前記式(20)においてcが3である3官能のカルバメートとしては、下記式(21)で表されるカルバメートが好ましく使用される。
Figure 0006757468
前記式(21)中、複数存在するYは、各々独立に、単結合、或いは、エステル結合及び/又はエーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基を表し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜12の1価の炭化水素基を表し、Rは前記式(20)で定義した基を表す。
前記式(21)において、Rとしては、好ましくは、炭素原子数1〜10の脂肪族基、炭素原子数6〜10の芳香族基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基等の脂肪族基、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基等の芳香族基が挙げられる。
前記式(21)において、Yとしては、好ましくは、炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基が挙げられる。
前記式(21)で表されるより具体的なカルバメートとしては、前記式(21)においてYが炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基である化合物、下記式(22)または式(23)または式(24)で表される化合物、後述する式(B−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するカルバメートであって、カルバメート基を3個有するカルバメートが好ましい。
前記式(21)においてYが炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基である化合物としては、1,8−ジ(カルバミン酸メチルエステル)4−(カルバミン酸メチルエステル)メチルオクタン、1,3,6−トリ(カルバミン酸メチルエステル)ヘキサン、1,8−ジ(カルバミン酸メチルエステル)4−((カルバミン酸メチルエステル)メチル)−2,4,7−トリメチルオクタン、1,5−ジ(カルバミン酸メチルエステル)3−((カルバミン酸メチルエステル)メチル)ペンタン、1,6,11−トリ(カルバミン酸メチルエステル)ンデカン、1,4,7−トリ(カルバミン酸メチルエステル)ヘプタン、1,2,2−トリ(カルバミン酸メチルエステル)ブタン、1,2,6−トリ(カルバミン酸メチルエステル)ヘキサン、1−(カルバミン酸メチルエステル)2,2−ビス((カルバミン酸メチルエステル)メチル)ブタン、1,3,5−トリ(カルバミン酸メチルエステル)シクロヘキサン、1,7−ジ(カルバミン酸メチルエステル)4−(3−(カルバミン酸メチルエステル)プロピル)ヘプタン、1,3−ジ(カルバミン酸メチルエステル)2−((カルバミン酸メチルエステル)メチル)−2−メチルプロパン、1,3,5−トリ(カルバミン酸メチルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸メチルエステル)2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸メチルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸メチルエステル)プロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸メチルエステル)メチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸メチルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸メチルエステル)ベンゼン)、1,8−ジ(カルバミン酸エチルエステル)4−(カルバミン酸エチルエステル)エチルオクタン、1,3,6−トリ(カルバミン酸エチルエステル)ヘキサン、1,8−ジ(カルバミン酸エチルエステル)4−((カルバミン酸エチルエステル)エチル)−2,4,7−トリエチルオクタン、1,5−ジ(カルバミン酸エチルエステル)3−((カルバミン酸エチルエステル)エチル)ペンタン、1,6,11−トリ(カルバミン酸エチルエステル)ンデカン、1,4,7−トリ(カルバミン酸エチルエステル)ヘプタン、1,2,2−トリ(カルバミン酸エチルエステル)ブタン、1,2,6−トリ(カルバミン酸エチルエステル)ヘキサン、1−(カルバミン酸エチルエステル)2,2−ビス((カルバミン酸エチルエステル)エチル)ブタン、1,3,5−トリ(カルバミン酸エチルエステル)シクロヘキサン、1,7−ジ(カルバミン酸エチルエステル)4−(3−(カルバミン酸エチルエステル)プロピル)ヘプタン、1,3−ジ(カルバミン酸エチルエステル)2−((カルバミン酸エチルエステル)エチル)−2−エチルプロパン、1,3,5−トリ(カルバミン酸エチルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸エチルエステル)2−エチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸エチルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸エチルエステル)プロパン−2−イル)−2−エチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸エチルエステル)エチル)−2−エチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸エチルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸エチルエステル)ベンゼン)、1,8−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)4−(カルバミン酸ブチルエステル)ブチルオクタン、1,3,6−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)ヘキサン、1,8−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)4−((カルバミン酸ブチルエステル)ブチル)−2,4,7−トリブチルオクタン、1,5−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)3−((カルバミン酸ブチルエステル)ブチル)ペンタン、1,6,11−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)ンデカン、1,4,7−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)ヘプタン、1,2,2−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)ブタン、1,2,6−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)ヘキサン、1−(カルバミン酸ブチルエステル)2,2−ビス((カルバミン酸ブチルエステル)ブチル)ブタン、1,3,5−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)シクロヘキサン、1,7−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)4−(3−(カルバミン酸ブチルエステル)プロピル)ヘプタン、1,3−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)2−((カルバミン酸ブチルエステル)ブチル)−2−ブチルプロパン、1,3,5−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)2−ブチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ブチルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ブチルエステル)プロパン−2−イル)−2−ブチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ブチルエステル)ブチル)−2−ブチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸ブチルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸ブチルエステル)ベンゼン)、1,8−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)4−(カルバミン酸フェニルエステル)フェニルオクタン、1,3,6−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)ヘキサン、1,8−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)4−((カルバミン酸フェニルエステル)フェニル)−2,4,7−トリフェニルオクタン、1,5−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)3−((カルバミン酸フェニルエステル)フェニル)ペンタン、1,6,11−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)ンデカン、1,4,7−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)ヘプタン、1,2,2−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)ブタン、1,2,6−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)ヘキサン、1−(カルバミン酸フェニルエステル)2,2−ビス((カルバミン酸フェニルエステル)フェニル)ブタン、1,3,5−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)シクロヘキサン、1,7−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)4−(3−(カルバミン酸フェニルエステル)プロピル)ヘプタン、1,3−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)2−((カルバミン酸フェニルエステル)フェニル)−2−フェニルプロパン、1,3,5−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)2−フェニルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸フェニルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸フェニルエステル)プロパン−2−イル)−2−フェニルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸フェニルエステル)フェニル)−2−フェニルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸フェニルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸フェニルエステル)ベンゼン)、1,8−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)4−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ジメチルフェニルオクタン、1,3,6−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ヘキサン、1,8−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)4−((カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ジメチルフェニル)−2,4,7−トリジメチルフェニルオクタン、1,5−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)3−((カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ジメチルフェニル)ペンタン、1,6,11−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ンデカン、1,4,7−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ヘプタン、1,2,2−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ブタン、1,2,6−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ヘキサン、1−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)2,2−ビス((カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ジメチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)シクロヘキサン、1,7−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)4−(3−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)プロピル)ヘプタン、1,3−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)2−((カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ジメチルフェニル)−2−ジメチルフェニルプロパン、1,3,5−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)2−ジメチルフェニルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)プロパン−2−イル)−2−ジメチルフェニルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ジメチルフェニル)−2−ジメチルフェニルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ベンゼン)、1,8−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)4−(カルバミン酸フェニルエステル)メチルオクタン、1,8−ジ(カルバミン酸(メチルフェニル)エステル)4−(カルバミン酸(メチルフェニル)エステル)メチルオクタン等を挙げることができる。中でも、1,8−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)4−(カルバミン酸フェニルエステル)メチルオクタン、1,8−ジ(カルバミン酸(メチルフェニル)エステル)4−(カルバミン酸(メチルフェニル)エステル)メチルオクタンが好ましい。
Figure 0006757468
前記式(22)中、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状アルキレン基)を表し、d及びiは各々独立に1〜4の整数を表し、e、f、hは各々独立に0〜5の整数を表し、j、k、lは各々独立に0又は1を表し、j、k、lの和は1〜3であり、Rは前記式(20)で定義した基(好ましくはフェニル基)を表す。
前記式(22)で表される化合物の具体例としては、
e=3、f=h=0、j=l=0、k=1、Rがエチレン基である、2−(カルバミン酸エチルエステル)エチル−2,5−ジ(カルバミン酸エチルエステル)ペンタノエート、2−(カルバミン酸メチルエステル)エチル−2,5−ジ(カルバミン酸メチルエステル)ペンタノエート、2−(カルバミン酸ブチルエステル)エチル−2,5−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)ペンタノエート、2−(カルバミン酸フェニルエステル)エチル−2,5−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)ペンタノエート、2−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)エチル−2,5−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ペンタノエート、
e=4、f=h=0、Rがエチレン基、j=l=0、k=1である、2−(カルバミン酸メチルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸メチルエステル)ヘキサノエート、2−(カルバミン酸エチルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸エチルエステル)ヘキサノエート、2−(カルバミン酸ブチルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)ヘキサノエート、2−(カルバミン酸フェニルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)ヘキサノエート、2−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ヘキサノエート、
d=2、Rがエチレン基、e=1、f=h=0、j=k=1、l=0である、ビス(2−(カルバミン酸エチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸エチルエステル)ブタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸メチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸メチルエステル)ブタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸ブチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸ブチルエステル)ブタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸フェニルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸フェニルエステル)ブタンジオエート、
d=2、Rがエチレン基、e=2、f=h=0、j=k=1、l=0である、ビス(2−(カルバミン酸エチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸エチルエステル)ペンタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸メチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸メチルエステル)ペンタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸ブチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸ブチルエステル)ペンタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸フェニル)エチル)−2−(カルバミン酸フェニル)ペンタンジオエート、
d=i=2、Rがエチレン基、j=k=l=1、e=3、f=2、h=0である、トリス(2−(カルバミン酸エチルエステル)エチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート、トリス(2−(カルバミン酸メチルル)エチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート、トリス(2−(カルバミン酸ブチルエステル)エチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート、トリス(2−(カルバミン酸フェニルエステル)エチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート、
等が挙げられる。
その他、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル(フェノキシカルボニル)グルタミネート、ビス(2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル)(フェノキシカルボニル)アスパルテート、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル 2,5−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタノエートが挙げられる。
中でも、下記一般式(II)で表されるカルバメートであることも好ましい。
Figure 0006757468
式中、Rは一般式(I)と同様にアルキレン基を表し、Rは前記式(20)で定義した基を表す。
はフェニル基が好ましい。
Figure 0006757468
前記式(23)中、X’は炭素原子数1〜4の炭化水素基を表し、m、n、qはそれぞれ1以上の整数を表し、m、n、qの和は3〜99であり、pは0〜3の整数を表し、Rは前記式(20)で定義した基を表す。
本実施形態におけるカルバメートとして、下記式(24)で表される化合物も好ましく使用される。
Figure 0006757468
前記式(24)中、X〜Xは各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜12の1価の炭化水素基を表し、Y〜Yは各々独立にエステル結合及び/又はエーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基又は単結合を表し、Rは前記式(20)で定義した基を表す。
前記式(24)において、X〜Xは、好ましくは、前記式(16)のRで定義した基であり、より好ましくは水素原子である。
〜Yは、好ましくは、単結合、あるいは、炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基であり、より好ましくは、単結合あるいは炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基であり、より好ましくは単結合である。
は、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基である。
また、3官能のカルバメートとして、3分子の前記2官能のカルバメートが、イソシアヌレート環構造やビウレット結合等を介して3量体化した化合物を用いることもできる。
前記式(24)で表される化合物の具体例としては、1,3,5−トリ(カルバミン酸メチルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸メチルエステル)2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸メチルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸メチルエステル)プロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸メチルエステル)メチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸メチルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸メチルエステル)ベンゼン)
1,3,5−トリ(カルバミン酸エチルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸エチルエステル)2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸エチルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸エチルエステル)プロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸エチルエステル)メチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸エチルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸エチルエステル)ベンゼン)
1,3,5−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ブチルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ブチルエステル)プロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ブチルエステル)メチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸ブチルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸ブチルエステル)ベンゼン)
1,3,5−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸フェニルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸フェニルエステル)プロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸フェニルエステル)メチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸フェニルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸フェニルエステル)ベンゼン)
1,3,5−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)プロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)メチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ベンゼン)等が挙げられる。
また、多官能のカルバメートとして、下記式(B−1)又は式(B−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0006757468
前記式中、Xは、前記式(A−1)で定義した基を表す。
xbは、カルバメート基、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい、炭素数1以上の脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基を表す。
は前記式(20)で定義した基を表し、好ましくはフェニル基を表す。
は炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子をあらわし、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を表す。
cは2又は3を表す。
前記式(B−1)において、Rxbは好ましくはアミノ酸から−NHCOOH基を除いた構造であり、より好ましくは炭素数1〜15の脂肪族基または炭素数6〜15の芳香族基である。
前記式(B−1)で表される化合物の好ましい例として下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006757468
Figure 0006757468
前記式中、X及びRは前記式(B−1)で定義した基を表す。
ybは、カルバメート基、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい、炭素数1以上の脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基、または水素原子を表す。
vbは、カルバメート基を含んでいてもよい、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子を表す。
dは1〜4のいずれかの整数を表す。
前記式(B−2)において、Rybは、下記式(i−2)〜(ii−2)および下記式(iii−2)〜(iv−2)で表される基からなる群から選ばれる基を含んでもよい炭素数1〜15の脂肪族基、前記式(i−2)〜(ii−2)および下記式(iii−2)〜(iv−2)で表される基からなる群から選ばれる基を含んでもよい炭素数6〜15の芳香族基、脂肪族基と芳香族基とが結合した、前記式(i−2)〜(ii−2)および下記式(iii−2)〜(iv−2)で表される基からなる群から選ばれる基を含んでもよい炭素数7〜15の基、下記式(IV−2)〜(V−2)で表される基、水素原子のいずれかである。
Figure 0006757468
前記式(iii―2)において、Rは前記式(B−2)で定義した基である。
前記式(i−2)〜(iv−2)において、窒素原子、硫黄原子が結合する原子は炭素原子である。
Figure 0006757468
前記式(IV−2)において、e21は0〜5のいずれかの整数を表し、Rは下記式(I−2)、(II−2)、又は(III−2)で示される基、あるいは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、
前記式(V−2)において、e22は0〜5のいずれかの整数を表し、Rは炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基を表す。
Figure 0006757468
前記式中、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、hは1〜9のいずれかの整数を表し、jは0〜9のいずれかの整数を表し、Rは前記式(B−2)で定義した基を表す。
前記式(IV−2)において、Rcは前記式(I−1)で示される基が好ましい。
本実施形態におけるカルバメートとして下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、Ryb、Rvb及びRは前記の通りである。Rybは、カルバメート基を含んでもよい、炭素数1〜6の炭素数1〜6の脂肪族基が好ましく、Rはフェニル基であることが好ましい。
前記式(B−2)で表されるカルバメートとして、具体的には、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル (フェノキシカルボニル)アラニナート、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル (フェノキシカルボニル)アルギニナート、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル N,N−ビス(フェノキシカルボニル)アスパラギナート、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル (フェノキシカルボニル)グリシナート、2−(フェノキシカルボニル)アミノ)エチル (フェノキシカルボニル)ヒスチジナート、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル 3−メチル−2−((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタノエート、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル (フェノキシカルボニル)ロイシナート、2−(フェノキシカルボニル)アミノ)エチル(フェノキシカルボニル)メチオニナート、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル(フェノキシカルボニル)フェニルアラニナート、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル(フェノキシカルボニル)トリプトファナート、2−((フェニルカルボニル)アミノ)エチル(フェノキシカルボニル)バリナート、メチル N2,N6−ビス(フェノキシカルボニル)リジナート、O’1,O1−(エタン−1,2−ジイル)−5,5’−ジメチル−ビス(2−((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタンヂオエート)、ジメチル(フェノキシカルボニル)グルタメート、メチル(フェノキシカルボニル)メチオニナート、メチル(フェノキシカルボニル)グリシナート、メチル(フェノキシカルボニル)フェニルアラニナート、ジメチル(フェノキシカルボニル)アスパルテート、メチル(フェノキシカルボニル)アラニナート、メチル(フェノキシカルボニル)ロイシナート、メチル(フェノキシカルボニル)イソロイシナート、メチル(フェノキシカルボニル)バリナート、エチル−N,N−ビス(フェノキシカルボニル)リジナート、エタン−1,2−ジイル−ビス(2,6−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ヘキサノエート、2,2−ビス(((N2,N6−ビス(フェノキシカルボニル)リジル)オキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル−ビス(2,6−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ヘキサノエート、エチル−2,5−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタノエート、エタン−1,2−ジイル−ビス(2,5−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタノエート)、2,2−ビス(((2,5−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタノイル)オキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル−ビス(2,5−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタノエート)、エチル(フェノキシカルボニル)メチオニナート、1−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル(フェノキシカルボニル)メチオニナート、1−((フェノキシカルボニル)アミノ)プロピル(フェノキシカルボニル)メチオニナート、エタン−1,2−ジイル−ビス(4−(メチルチオ)−2−((フェノキシカルボニル)アミノ)ブタノエート、2,2−ビス((((フェノキシカルボニル)目チオニル)オキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル−ビス(4−メチルチオ)−2−((フェノキシカルボニル)アミノ)ブタノエート)、ジエチル(フェノキシカルボニル)グルタマート、ビス(1−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル)(フェノキシカルボニル)グルタマート、ビス(1−((フェノキシカルボニル)アミノ)プロピル)(フェノキシカルボニル)グルタマート、O’1,O1−(エタン−1,2−ジイル)−5,5’−ビス(1−((フェノキシカルボニル)アミノ)プロピル)ビス(2−((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタンジオエート、O’1,O1−(2,2−ビス(((5−オキソ−2−((フェノキシカルボニル)アミノ)−5−(1−((フェノキシカルボニル)アミノ)プロポキシ)ペンタノイル)オキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル)5,5’−ビス(1−((フェノキシカルボニル)アミノ)プロピル)ビス(2−((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタンジオエート、1−((フェノキシカルボニル)アミノ)プロパン−2−イル−(フェノキシカルボニル)アラニナート、メチル 3−メチル−2−(((4−(2−フェニルプロパン−2−イル)フェノキシ)カルボニル)アミノ)ペンタノエート、ジブチル(フェノキシカルボニル)グルタマート、5−((フェノキシカルボニル)アミノ)ヘキシル3−メチル−2−((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタノエート、2−(((2,6−ジメチルフェノキシ)カルボニル)アミノ)エチル−((2,6−ジメチルフェノキシ)カルボニル)フェニルアラニナート、2−(((4−エチルフェノキシ)カルボニル)アミノ)エチル((4−エチルフェノキシ)カルボニル)トリプトファナート、メチル((4−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェノキシ)カルボニル)バリナート等が挙げられる。
<各材料>
以下、本実施形態に用いる各材料について説明する。
≪不活性溶媒≫
本実施形態に用いることができる不活性溶媒は、反応条件下において実施的に不活性であり、沸点が生成するイソシアネートとヒドロキシル化合物のそれぞれの沸点の間にあるものであれば特に限定されない。
このような熱分解性溶媒としては、脂肪族類、脂環族類、置換基を有していてもよい芳香族類、非置換の炭化水素類又はこれらの混合物類が挙げられる。
また、エーテル、ケトン、エステル等の酸素原子を有していてもよい化合物類であってもよく、チオエーテル、スルホキシド、スルホン等の硫黄原子を有していてもよい化合物類であってもよい。
本実施形態においては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、n−ドデカン、テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカン、エイコサン、スクアラン等のアルカン類及びこれらに相当するケトン類;クロロドデカン等ハロゲンによって置換されたアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、クメン、ジイソプロピルベンゼン、ジブチルベンゼン、トリエチレルベンゼン、ナフタレン、低級アルキル置換ナフタレン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素及びアルキル置換芳香族炭化水素類;クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、メチルベンジルクロリド、ブロムベンゼン、ジブロムベンゼン、クロルナフタレン、ブロムナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のニトロ基又はハロゲンもしくはハロゲンと低級アルキル基によって置換された芳香族化合物類、ジフェニル、置換ジフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルエタン、ターフェニル、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、ベンジルトルエン、ベンジルトルエンの異性体、トリフェニルメタン等の多環芳香族炭化水素化合物類;キサンテン等の複素多環化合物類;シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロドデカン、デカリン等の脂環族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、トリアセチン、フタル酸ジエチル等のエステル類;ジブチルセロソルブ、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール、チオアニソール、エチルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド等のエーテル及びチオエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホラン等のスルホン類;デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン類、シリコン油;トリブチルアミン等のアミン類等が挙げられる。これらの中でも、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、ブロムベンゼン、ジブロムベンゼン、クロルナフタレン、ブロムナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のニトロ基又はハロゲンによって置換された芳香族化合物類が好ましく、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン等ハロゲンによって置換されたベンゼンがより好ましく用いられる。前記「低級」とは炭素数1〜6を意味する。
≪ポリイソシアネート化合物≫
本実施形態で使用するポリイソシアネート化合物としては、イソシアネートを重合して得られるポリイソシアネート化合物が好ましく、中でも、上記式(2)にてcが2であるジイソシアネートを公知の方法で重合し、下記式(A)で示される単位と、下記式(25)〜(29)で表される単位のうち少なくとも1つ以上の単位とを有し、下記式(25)〜(29)のRに結合している基が下記式(B)で表される基または下記式(30)で表される基であるポリイソシアネート化合物が好ましい。なお、ポリイソシアネート化合物を構成する窒素原子は炭素原子と結合している。
Figure 0006757468
前記式(A)、(B)及び(25)〜(30)中、Rは炭素数1〜15の1価の有機基を表し、好ましくは、炭素数1〜15の脂肪族基または炭素数6〜15の芳香族基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から水素原子を1つ除いた残基、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ジメチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メチルプロピルフェニル基、メチルブチルフェニル基、メチルペンチルフェニル基、ジエチルフェニル基、エチルプロピルフェニル基、エチルブチルフェニル基、ジプロピルフェニル基、トリメチルフェニル基、トリエチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
は、各々独立に、前記「イソシアネート」の項で挙げたイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いた残基を表し、工業的な使用等を考慮すると、好ましくは、脂肪族ジイソシアネートおよび/または芳香族ジイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いた残基を表し、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1つのジイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いた残基である。
は、各々独立に、炭素数1〜15の1価の有機基を表し、好ましくは、炭素数1〜15の脂肪族基または炭素数6〜15の芳香族基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から水素原子を1つ除いた残基、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ジメチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メチルプロピルフェニル基、メチルブチルフェニル基、メチルペンチルフェニル基、ジエチルフェニル基、エチルプロピルフェニル基、エチルブチルフェニル基、ジプロピルフェニル基、トリメチルフェニル基、トリエチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる
前記式(28)のR、式(30)のRは、ポリイソシアネート化合物を製造する際に用いる化合物に依存し、例えば、アルコールを使用する場合は前記アルコールからヒドロキシ基(OH基)を除いた残基である場合が多い。
本実施形態のポリイソシアネート化合物は、上記式(25)〜(29)で表される単位からなる群から選ばれる構造を少なくとも1個以上含有し、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個、含有する。ポリイソシアネート化合物が、上記した構造単位をいくつ含有しているかは、H NMR分析等によって含有される構造単位を算出してもよいし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等によって算出される分子量から導出してもよい。また、ポリイソシアネート化合物は、上記式(25)〜(29)で表される単位からなる群から選ばれる構造が同じ個数含まれている化合物からなる単一組成物であってもよく、同個数が異なる複数の化合物からなる複合的な組成物であってもよい。
本実施形態のポリイソシアネート化合物の構造は、使用するイソシアネート化合物、イソシアネート組成物の組成、反応条件等によって異なるが、好ましくは、下記式で表される構造を含む。
Figure 0006757468
前記式中、RとRは、前記式(A)及び(25)〜(30)に記載の通りである。
≪炭酸エステル≫
本実施形態の製造方法に用いる炭酸エステルは、下記式(32)で表わされる化合物が好ましい。
Figure 0006757468
式中、R30は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、又は、炭素数6〜20の芳香族基を表す。
30が炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基の場合、該炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
30の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられる。
また、脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
上記式(32)のR30としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基がより好ましい。R30が、炭素数21以上の芳香族炭化水素基である炭酸ジアリールを用いることもできるが、カルバミン酸エステルの熱分解反応によって生成するイソシアネートとの分離を容易にするという観点から、R30を構成する炭素数は20以下が好ましい。
このようなR30の例としては、フェニル基、メチルフェニル基(各異性体)、エチルフェニル基(各異性体)、プロピルフェニル基(各異性体)、ブチルフェニル基(各異性体)、ペンチルフェニル基(各異性体)、ヘキシルフェニル基(各異性体)、ジメチルフェニル基(各異性体)、メチルエチルフェニル基(各異性体)、メチルプロピルフェニル基(各異性体)、メチルブチルフェニル基(各異性体)、メチルペンチルフェニル基(各異性体)、ジエチルフェニル基(各異性体)、エチルプロピルフェニル基(各異性体)、エチルブチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルフェニル基(各異性体)、トリメチルフェニル基(各異性体)、トリエチルフェニル基(各異性体)、ナフチル基(各異性体)等が挙げられる。
これらの炭酸エステルの中でも、R30が、炭素数6〜8の芳香族炭化水素基である炭酸ジアリールが好ましく、このような炭酸ジアリールとしては、炭酸ジフェニル、炭酸ジ(メチルフェニル)(各異性体)、炭酸ジ(ジエチルフェニル)(各異性体)、炭酸ジ(メチルエチルフェニル)(各異性体)等が挙げられる。
本実施形態においては、上記式(32)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される炭酸ジアリールであることが好ましい。
Figure 0006757468
式中、R30aはそれぞれ独立に、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。
上記式(33)のR30aとしては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基がより好ましく、フェニル基がより更に好ましい。
上記の炭酸エステル又は炭酸ジアリールは、金属原子を、炭酸エステル又は炭酸ジアリールの総質量に対して、0.001質量ppm〜10質量%の範囲で含有することが好ましく、0.001質量ppm〜5質量%の範囲がより好ましく、0.002質量ppm〜3質量%の範囲で含有していることが特に好ましい。
また、該金属原子は、金属イオンとして存在していても、金属原子単体として存在していてもよい。金属原子としては、2価ないし4価の原子価をとりうる金属原子が好ましく、中でも、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、銅、チタンから選ばれる1種もしくは複数種の金属がより好ましい。
上記の炭酸エステル又は炭酸ジアリールの製造方法としては、公知の方法を用いることができる。一例としては、国際公開第2009/139061号に記載されている、スズ−酸素−炭素結合を有する有機スズ化合物と二酸化炭素を反応させて炭酸エステルを製造し、該炭酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物とから炭酸ジアリールを製造する方法を使用することが好ましい。
≪芳香族ヒドロキシ化合物≫
本実施形態において、反応溶媒として使用する芳香族ヒドロキシ化合物としては、フェノール、メチル−フェノール(各異性体)、エチル−フェノール(各異性体)、プロピル−フェノール(各異性体)、ブチル−フェノール(各異性体)、ペンチル−フェノール(各異性体)、ヘキシル−フェノール(各異性体)、ヘプチル−フェノール(各異性体)、オクチル−フェノール(各異性体)、ノニル−フェノール(各異性体)、デシル−フェノール(各異性体)、ドデシル−フェノール(各異性体)、フェニル−フェノール(各異性体)、フェノキシフェノール(各異性体)、クミル−フェノール(各異性体)等のモノ置換フェノール類等を挙げることができる。これらの芳香族ヒドロキシ化合物の中でも、炭酸ジアリールを構成する基ArO(Arは芳香族基であり、Oは酸素原子を表す)に水素原子が付加した化合物ArOHに相当する化合物がより好ましく使用される。これは、炭酸ジアリールとアミン化合物との反応によって得られる反応混合物における化合物の種類を少なくすることができ、分離操作を簡素化することができるためである。
上記炭酸エステル、芳香族ヒドロキシ化合物は、例えば国際公開第2009/139061号に記載の製造装置を用いて製造できる。
≪アミン化合物≫
本実施形態に材料として用いることができるアミン化合物としては、下記式(34)で表されるアミン化合物が好ましい。
Figure 0006757468
式(34)中、c、Rは式(2)で記載の通りである。
式(34)において、Rは、好ましくは炭素原子数3〜85の有機基であり、より好ましくは炭素原子数3〜30の有機基である。
は、脂肪族基、芳香族基、又は、脂肪族基と芳香族基とが結合してなる基を表す。具体的なRとしては、環式炭化水素基(単環式炭化水素基、縮合多環式炭化水素基、架橋環式炭化水素基、スピロ炭化水素基、環集合炭化水素基、側鎖のある環式炭化水素基炭化水素基)、ヘテロ環基、ヘテロ環式スピロ基、ヘテロ架橋環基等の環式基、非環式炭化水素基、非環式炭化水素基と1種以上の環式基とが結合した基、及び、前記基が特定の非金属原子(炭素、酸素、窒素、硫黄又はケイ素)と共有結合している基が挙げられる。
特定の非金属原子と共有結合しているとは、例えば、前記基が、前記式(3)〜(15)で表されるいずれかの基と共有結合で結合している状態である。
本実施形態のアミン組成物において、アミン化合物としては、製造の容易性や取り扱いの容易性を考慮すると、好ましくは、前記式(34)においてcが2〜5の整数、より好ましくはcが2または3であって、より更に好ましくはcが3である。前記式(3)〜(15)で表される結合様式の中でも、式(3)〜(5)、(7)、(9)、(11)、又は(12)で表される結合様式を有するアミン化合物が好ましく、式(7)、(9)又は(12)で表される結合様式を有するアミン化合物がより好ましい。
中でも、Rとしては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、あるいは、単一種のまたは複数種の脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基がエーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、又はアミド結合(−CONH−)を介して結合した基が好ましく、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、あるいは単一種のまたは複数種の脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基がエステル結合を介して結合した基がより好ましい。また、該Rを構成する炭素原子の数は1〜30が好ましい。
前記式(34)においてcが1である単官能アミン化合物としては、例えば、炭素数1〜30の脂肪族アミン化合物、炭素数6〜30の脂環族アミン化合物、炭素数6〜30の、芳香族基を含有するアミン化合物であってもよい。
また、前記式(34)においてcが1である単官能アミン化合物として、後述する式(C−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するアミン化合物であって、アミノ基を1個有するアミン化合物であってもよい。
前記式(34)においてcが2である2官能のジアミン化合物としては、例えば、炭素数4〜30の脂肪族ジアミン、炭素数8〜30の脂環族ジアミン、炭素数8〜30の芳香族基を含有するジアミンであってもよい。
炭素数4〜30の脂肪族ジアミンとしては、具体的には、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,4−ジアミノ−2−メチルブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、リジンメチルエステルジアミン、リジンエチルエステルジアミン等が挙げられる。
炭素数8〜30の脂環族ジアミンとしては、具体的には、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミンメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、水添テトラメチルキシリレンジアミン、ノルボルネンジアミンが挙げられる。
炭素数8〜30の芳香族基を含有するジアミンとしては、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、テトラメチルキシリレンジアミン、ナフタレンジアミンが挙げられる。
なお、前記した化合物に構造異性体が存在する場合は、その構造異性体も前記例に含まれる。
また、前記式(34)においてcが2である2官能のジアミン化合物として、後述する式(C−1)または式(C−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するアミン化合物であって、アミノ基を2個有するアミン化合物であってもよい。
前記式(34)においてcが3である3官能のアミンとしては、下記式(35)で表されるアミン化合物が好ましく使用される。
Figure 0006757468
前記式(35)中、複数存在するYは、各々独立に、単結合、或いは、エステル結合、エーテル結合及びアミド結合からなる群から選ばれる結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基を表し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜12の1価の炭化水素基を表す。
前記式(35)において、Rとしては、好ましくは、炭素原子数1〜10の脂肪族基、炭素原子数6〜10の芳香族基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基等の脂肪族基、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基等の芳香族基が挙げられる。
前記式(35)において、Yとしては、好ましくは、炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基が挙げられる。
前記式(35)で表されるより具体的なアミン化合物としては、前記式(35)においてYが炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基である化合物、下記式(36)または式(37)または式(38)で表される化合物、後述する式(C−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するアミン化合物であって、アミノ基を3個有するアミン化合物であってもよい。前記式(35)においてYが炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基及び/又は炭素原子数6〜20の2価の芳香族基である化合物としては、1,2,3−プロパントリアミン、1,8−ジアミン4−アミンメチルオクタン、1,3,6−トリアミンヘキサン、1,8−ジアミノ4−(アミノメチル)−2,4,7−トリメチルオクタン、1,5−ジアミノ3−(アミノメチル)ペンタン、1,6,11−トリアミノンデカン、1,4,7−トリアミノヘプタン、1,2,2−トリアミノブタン、1,2,6−トリアミノヘキサン、1−アミノ2,2−ビス(アミノメチル)ブタン、1,3,5−トリアミノシクロヘキサン、1,7−ジアミノ4−(3−アミノプロピル)ヘプタン、1,3−ジアミノ2−(アミノメチル)−2−メチルプロパン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,3,5−トリアミノ2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−アミノプロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−アミノプロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−アミノメチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−アミノ1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス(アミンベンゼン)等を挙げることができる。
Figure 0006757468
前記式(36)中、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状アルキレン基)を表し、d及びiは各々独立に1〜4の整数を表し、e、f、hは各々独立に0〜5の整数を表し、j、k、lは各々独立に0又は1を表し、j、k、lの和は1〜3である。
前記式(36)で表される化合物の具体例としては、e=3、f=h=0、j=l=0、k=1、Rがエチレン基である、2−アミノエチル−2,5−ジアミノペンタノエート、e=4、f=h=0、Rがエチレン基、j=l=0、k=1である、2−アミノエチル−2,6−ジアミノヘキサノエート、d=2、Rがエチレン基、e=1、f=h=0、j=k=1、l=0である、ビス(2−アミノエチル)−2−アミノブタンジオエート、d=2、Rがエチレン基、e=2、f=h=0、j=k=1、l=0である、ビス(2−アミノエチル)−2−アミノペンタンジオエート、d=i=2、Rがエチレン基、j=k=l=1、e=3、f=2、h=0である、トリス(2−アミノエチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート等が挙げられる。
中でも、下記一般式(III)で表される脂肪族アミンであることが好ましい。
Figure 0006757468
前記一般式(III)中、Rは前記一般式(I)と同様にアルキレン基を表す。
Figure 0006757468
前記式(37)中、X’は炭素原子数1〜4の炭化水素基を表し、m、n、qはそれぞれ1以上の整数を表し、m、n、qの和は3〜99であり、pは0〜3の整数を表す。
本実施形態において、アミン化合物としては、下記式(38)で表される化合物も好ましく使用される。
Figure 0006757468
前記式(38)中、X〜Xは各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜12の1価の炭化水素基を表し、Y〜Yは各々独立にエステル結合及び/又はエーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基又は単結合を表す。
前記式(38)において、X〜Xは、好ましくは、前記式(16)のRで定義した基であり、より好ましくは水素原子である。
〜Yは、好ましくは、単結合あるいは炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基であり、より好ましくは、単結合あるいは炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基であり、より更に好ましくは単結合である。
また、3官能のアミンとして、3分子の前記2官能のアミンが、イソシアヌレート環構造やビウレット結合等を介して3量体化した化合物を用いることもできる。
前記式(38)で表される化合物の具体例としては、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,3,5−トリアミノ−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−アミノプロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−アミノプロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−アミノメチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−アミノ1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス(アミンベンゼン)等が挙げられる。
また、アミン化合物として、下記式(C−1)又は式(C−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0006757468
前記式中、Xは、前記式(B−1)で定義した基を表す。
xcは、第1級アミノ基、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい、炭素数1以上の脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基を表す。
は炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子をあらわし、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を表す。
cは2または3を表す。
前記式(C−1)において、Rxcは好ましくはアミノ酸から−NHCOOH基を除いた構造であり、より好ましくは炭素数1〜15の脂肪族基または炭素数6〜15の芳香族基である。
前記式(C−1)で表される化合物の好ましい例として下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006757468
Figure 0006757468
前記式中、Xは前記式(C−1)で定義した基を表す。
ycは、第1級アミノ基、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい、炭素数1以上の脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基、または水素原子を表す。
vcは、第1級アミノ基を含んでもよい、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子をあらわし、
dは1〜4のいずれかの整数を表す。
前記式(C−2)において、Rycは、下記式(i−3)〜(ii−3)および下記式(iii−3)〜(iv−3)で表される基からなる群から選ばれる基を含んでもよい炭素数1〜15の脂肪族基、前記式(i−3)〜(ii−3)および下記式(iii−3)〜(iv−3)で表される基からなる群から選ばれる基を含んでもよい炭素数6〜15の芳香族基、脂肪族基と芳香族基とが結合した、前記式(i−3)〜(ii−3)および下記式(iii−3)〜(iv−3)で表される基からなる群から選ばれる基を含んでもよい炭素数7〜15の基、下記式(IV−3)〜(V−3)で表される基、水素原子のいずれかである。
Figure 0006757468
前記式(i−3)〜(iv−3)において、窒素原子、硫黄原子が結合する原子は炭素原子である。
Figure 0006757468
前記式(IV−3)において、e31は0〜5のいずれかの整数を示し、Rは下記式(I−3)〜(III−3)で示される基、あるいは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、
前記式(V−3)において、e32は0〜5のいずれかの整数を示し、Rは炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基を表す。
Figure 0006757468
前記式中、Rは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、hは1〜9のいずれかの整数を表し、jは0〜9のいずれかの整数を表す。
本実施形態におけるアミン化合物として下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006757468
前記式中、Rvc及びRycは前記の通りであるが、Rvcは、第1級アミノ基を含んでもよい炭素数1〜6の脂肪族基であることが好ましく、Rycは第1級アミノ基を含んでもよい炭素数1〜6の脂肪族基が好ましい。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
<分析方法>
1)NMR分析方法
装置:日本国、日本電子(株)社製JNM−A400 FT−NMRシステム
(1)1Hおよび13C−NMR分析サンプルの調製
サンプル溶液を約0.3g秤量し、重クロロホルム(米国、アルドリッチ社製、99.8%)を約0.7gと内部標準物質としてテトラメチルシラン(日本国、和光純薬工業社製、和光一級)を0.05g加えて均一に混合した溶液をNMR分析サンプルとした。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
2)液体クロマトグラフィー分析方法
装置:日本国、島津社製 LC−10ATシステム
カラム:日本国、東ソー社製 Silica−60カラム 2本直列に接続
展開溶媒:ヘキサン/テトラヒドロフラン=80/20(体積比)の混合液
溶媒流量:2mL/分
カラム温度:35℃
検出器:R.I.(屈折率計)
(1)液体クロマトグラフィー分析サンプル
サンプルを約0.1g秤量し、テトラヒドロフラン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約1gと内部標準物質としてビスフェノールA(日本国、和光純薬工業社製、一級)を約0.02g加えて均一に混合した溶液を、液体クロマトグラフィー分析のサンプルとした。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
3)ガスクロマトグラフィー分析方法
装置:日本国、島津社製 GC−2010
カラム:米国、アジレントテクノロジーズ社製 DB−1
長さ30m、内径0.250mm、膜厚1.00μm
カラム温度:50℃で5分間保持後、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温
200℃で5分間保持後、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温
検出器:FID
(1)ガスクロマトグラフィー分析サンプル
サンプルを約0.05g秤量し、アセトン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約1gと内部標準物質としてトルエン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約0.02g加えて均一に混合した溶液を、ガスクロマトグラフィー分析のサンプルとした。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
4)誘導結合型プラズマ質量分析法
装置:日本国、セイコー電子社製、SPQ−8000
(1)誘導結合型プラズマ質量分析サンプル
試料約0.15gを希硫酸で灰化させた後、希硝酸に溶解した。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
[実施例1]
(混合溶媒調製工程)
公知の手法で得たN,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジフェニルエステル(以下、カルバメート体と称する)10質量%、オルトジクロロベンゼン60質量%、ポリイソシアネート(旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート) グレード:TPA−100)30質量%からなる混合溶媒を得た。
(液相成分製造工程、分解工程、低沸点分解生成物回収工程及び高沸点溶媒回収工程)
上記で得た混合溶媒を図1に示す熱分解反応装置に連続的に導入した。具体的には、まず、原料予熱器1を160℃に予熱し、混合溶媒を原料予熱器1を経由して管型第1反応器2の上部に送り、600g/hrの流量で連続的に導入した。
管型第1反応器2は内径5cmであり、上部に導入された原料混合物を均一に分配するための分配器が設置されており、内部にはステンレススチール製のラシヒリングが充填されてなる充填層が設けられていた。また、充填層には15cm毎に液再分配器が設けられていた。
前記管型第1反応器2の下部から抜き出した液相成分を、300g/hrの流量で、槽型の反応器からなる第2反応器3に連続液に導入した。槽型の反応器からなるこの時、前記第2反応器3の液中には、250℃に予熱した乾燥窒素ガスを搬送剤として200NL/hrで連続的に導入した。
前記管型第1反応器2および前記槽型第2反応器3の温度は共に250℃に保ち、圧力は8kg/cmに保った。
反応液の平均滞留時間は、管型第1反応器2中で20分、槽型第2反応器中で15分であった。
前記槽型第2反応器3から出るフェノールおよびオルトジクロロベンゼンの蒸気は、搬送剤である窒素ガスと共に前記槽型第2反応器3の上部より抜き出し、管型第1反応器2に導入した。
前記管型第1反応器2の上部から出る気体成分は、150℃に保たれた部分凝縮器4を通過させることによって、大部分がオルトジクロロベンゼンからなる液成分と、少量のオルトジクロロベンゼン蒸気を含むフェノール蒸気および窒素ガスからなる気体成分に分離した。
部分凝縮器4によって分離された液成分は、そのまま管型第1反応器2の上部から戻され、気体成分は冷却器に導かれ、少量のオルトジクロロベンゼンを含むフェノールからなる液成分と窒素ガスに連続的に分離した。
また、槽型第2反応器3の下部からは、ヘキサメチレンジイソシアネートを含むオルトジクロロベンゼン・ポリイソシアネート溶液が連続的に抜き出しされた。反応が定常状態になった後、オルトジクロロベンゼン・ポリイソシアネート溶液を分析した結果、未分解のカルバメートおよび反応中間体は存在せず、85%以上の選択率でヘキサメチレンジイソシアネートが生成していることがわかった。この分解反応を200時間連続実施したが、反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、同様な成績で安定してヘキサメチレンジイソシアネートを製造することができた。
[実施例2〜11]
実施例1で使用したカルバメート体を下記表に示す各種カルバメートにしたこと以外は実施例1に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
下記表において、「低沸溶媒」は「不活性溶媒」を意味し、「高沸溶媒」は「ポリイソシアネート化合物」を意味する。
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[参考例1] カルバメートの製造
撹拌機を具備する1Lの4口フラスコを用い、窒素雰囲気下で、炭酸ジフェニル510g(2.4モル)とトリエチルアミン136g(1.35モル)と、リジンβ−アミノエチルエステル三塩酸塩150g(0.34モル)をトルエン中で50℃で8時間反応させた。反応液をサンプリングし、液体クロマトグラフィーで分析したところ、目的とするカルバメートが、リジンβ−アミノエチルエステル三塩酸塩に対して約82モル%で生成していた。
反応液に濃度が1モル/Lの塩酸を加えて撹拌した後、有機層を回収し、次いで、有機層をイオン交換水で洗浄した。
ロータリエバポレーターを用いて有機層からトルエンを留去して得た固体のH−NMR分析をおこなったところ、該固体は、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル−2,6−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ヘキサノエートであった。
[実施例12]
(混合溶媒調製工程)
2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル−2,6−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ヘキサノエート(以下、カルバメートと呼称する場合がある)10質量%、オルトジクロロベンゼン60質量%、ポリイソシアネート(旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート) グレード:TPA−100)30質量%からなる混合溶媒を得た。
(液相成分製造工程、分解工程、低沸点分解生成物回収工程及び高沸点溶媒回収工程)
上記で得た混合溶媒を図1に示す熱分解反応装置に連続的に導入した。具体的には、まず、原料予熱器1を160℃に予熱し、混合溶媒を原料予熱器1を経由して管型第1反応器2の上部に送り、600g/hrの流量で連続的に導入した。
管型第1反応器2は内径5cmであり、上部に導入された原料混合物を均一に分配するための分配器が設置されており、内部にはステンレススチール製のラシヒリングが充填されてなる充填層が設けられていた。また、充填層には15cm毎に液再分配器が設けられていた。
前記管型第1反応器2の下部から抜き出した液相成分を、400g/hrの流量で、槽型の反応器からなる第2反応器3に連続液に導入した。この時、前記第2反応器3の液中には、250℃に予熱した乾燥窒素ガスを搬送剤として200NL/hrで連続的に導入した。
前記管型第1反応器2および前記槽型第2反応器3の温度は共に250℃に保ち、圧力は8kg/cmに保った。
反応液の平均滞留時間は、管型第1反応器2中で20分、槽型第2反応器中で15分であった。
前記槽型第2反応器3から出るフェノールおよびオルトジクロロベンゼンの蒸気は、搬送剤である窒素ガスと共に前記槽型第2反応器3の上部より抜き出し、管型第1反応器2に導入した。
前記管型第1反応器2の上部から出る気体成分は、150℃に保たれた部分凝縮器4を通過させることによって、大部分がオルトジクロロベンゼンからなる液成分と、少量のオルトジクロロベンゼン蒸気を含むフェノール蒸気および窒素ガスからなる気体成分に分離した。
部分凝縮器4によって分離された液成分は、そのまま管型第1反応器2の上部から戻され、気体成分は冷却器に導かれ、少量のオルトジクロロベンゼンを含むフェノールからなる液成分と窒素ガスに連続的に分離した。
また、槽型第2反応器3の下部からは、リジンエステルトリイソシアネートを含むオルトジクロロベンゼン・ポリイソシアネート溶液が連続的に抜き出された。反応が定常状態になった後、オルトジクロロベンゼン・ポリイソシアネート溶液を分析した結果、未分解のカルバメートおよび反応中間体は存在せず、85%以上の選択率でリジンエステルトリイソシアネートが生成していることがわかった。この分解反応を200時間連続実施したが、反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、同様な成績で安定してリジンエステルトリイソシアネートを製造することができた。
[実施例13〜48]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例12に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。なお、アルギニンを使用する場合は公知の方法によりオルニチンに加水分解して使用した。また、グルタミン、アスパラギンを使用する場合は、公知の方法により、それぞれ、グルタミン酸、アスパラギン酸に加水分解して使用した。
[実施例49〜68]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例12に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
[実施例69〜80]
実施例1で使用したリジンアミノエチルエステル塩酸塩のアミノ酸基を下記表に示す各種アミノ酸あるいはアミノ酸誘導体を導入した事、および混合溶媒調製工程で使用したポリイソシアネートを下記表に示したものとした事以外は実施例12に記載した操作を行った。なお、表内に記載のポリイソシアネートとしてはいずれも旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート グレード:TKA−100、24A−100、TLA−100)を用いた。本操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
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[実施例81]
実施例1で実施した調合工程後の工程に代わり、下記の工程とした。
「混合液を調製する工程」で得た混合液を第1の貯槽101に投入した。第1の充填層106、第2の充填層107、及び第3の充填層108からなる熱媒ジャケットを具備する反応器100に、オルトジクロロベンゼン、ポリイソシアネート(旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート) グレード:TPA−100)を投入した。
前記熱媒ジャケットを通過する熱媒の温度を270℃とし、内部の圧力を調整しながら、第3の充填層108の上部に具備する第6のライン16、第3の部分凝縮器115、第3の貯槽103、第4の送液ポンプ112、及び、第7のライン17を経由してオルトジクロロベンゼンが還流する状態を形成させた。同様に、第2の充填層107の上部に具備する第4のライン14、第2の部分凝縮器114、第4の貯槽104、第3の送液ポンプ111、及び、第5のライン15を経由してオルトジクロロベンゼンが還流する状態を形成させた。同様に、第1の充填層106の上部に具備する第2のライン12、第1の部分凝縮器113、第5の貯槽105、第2の送液ポンプ110、及び、第3のライン13を経由してオルトジクロロベンゼンが還流する状態を形成させた。
ここに、第1の貯槽101から第1のライン10及び第5の送液ポンプ116を経由して反応器100に上記混合液を500g/hrで供給し、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジフェニルエステルの熱分解をおこなった。熱分解で生成したフェノールとオルトジクロロベンゼンを含む混合液を、第3の充填層108の上部に具備する第6のライン16、第3の部分凝縮器115を経由して第3の貯槽103に回収した。同時に、熱分解で生成したヘキサメチレンジイソシアネートとオルトジクロロベンゼンとを含む混合液を、第2の充填層107の上部に具備する第4のライン14、第2の部分凝縮器114を経由して第4の貯槽104に回収した。同時に、熱分解で生成したヘキサメチレンジイソシアネートとオルトジクロロベンゼンとを含む混合液を、第1の充填層106の上部に具備する第2のライン12、第1の部分凝縮器113を経由して第5の貯槽105に回収した。一方、反応器100内部における液面が一定となるように、第8のライン11及び第1の送液ポンプを経由して反応器100の底部よりポリイソシアネートを含む反応液を抜出し、第2の貯槽102に回収した。第4の貯槽104に回収したヘキサメチレンジイソシアネートの収率は58%であった。また、上記運転を200時間継続しておこなうことができた。
[実施例82〜91]
実施例81で使用したカルバメート体を下記表に示す各種カルバメートにしたこと以外は実施例81に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
[実施例92〜128]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例81に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。なお、アルギニンを使用する場合は公知の方法によりオルニチンに加水分解して使用した。また、グルタミン、アスパラギンを使用する場合は、公知の方法により、それぞれ、グルタミン酸、アスパラギン酸に加水分解して使用した。
[実施例129〜148]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例92と同じ方法で操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
[実施例149〜160]
実施例92で使用したリジンアミノエチルエステル塩酸塩のアミノ酸基を下記表に示す各種アミノ酸あるいはアミノ酸誘導体を導入した事、および混合溶媒調製工程で使用したポリイソシアネートを下記表に示したものとした事以外は実施例92に記載した操作を行った。なお、表内に記載のポリイソシアネートとしてはいずれも旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート グレード:TKA−100、24A−100、TLA−100)を用いた。本操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
Figure 0006757468
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[実施例161]
実施例81で実施した調合工程後の工程に代わり、下記の工程とした。
(カルバメートの熱分解)
上述の「混合液を調製する工程」で得た混合液を第10の貯槽201に投入した。充填塔210にオルトジクロロベンゼンを投入し、リボイラー206の温度を200℃とし、第15のライン25、第7の送液ポンプ208、及び第16らのラインを経由して、オルトジクロロベンゼンを循環させた。同時に、充填等210の内部の圧力を調整しながら、充填塔210の上部に具備する第13のライン23、第4の部分凝縮器205、第12の貯槽203、第8の送液ポンプ209、及び第14のライン24を経由してオルトジクロロベンゼンが還流する状態を形成させた。
ここに、第10の貯槽201から第10のライン20及び第6の送液ポンプ207を経由して、あらかじめ250℃に加熱したフォーリングフィルム型反応器200に上記混合液を500g/hrで供給し、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジフェニルエステルの熱分解をおこなった。熱分解で生成したフェノールとヘキサメチレンジイソシアネートとオルトジクロロベンゼンを含む気体を、第12のライン22を経由して充填塔210に供給した。一方、副生物を含むポリイソシアネートをフォーリングフィルム型反応器200の底部から第11のライン21を経由して第11の貯槽202に回収した。第12のライン22を経て回収した気体成分は充填塔210で蒸留分離し、第13のライン23、第4の部分凝縮器205を経由して、フェノールとオルトジクロロベンゼンを含む混合液を第12の貯槽203に回収した。一方、ヘキサメチレンジイソシアネートとオルトジクロロベンゼンと少量のポリイソシアネートを含む混合液を、第17のライン27を経由して第13の貯槽204に回収した。第13の貯槽204に回収したヘキサメチレンジイソシアネートの収率は88%であった。また、上記運転を200時間継続しておこなうことができた。
[実施例162〜171]
実施例161で使用したカルバメート体を下記表に示す各種カルバメートにしたこと以外は実施例161に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
[実施例172〜208]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた事以外は実施例161に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。なお、アルギニンを使用する場合は公知の方法によりオルニチンに加水分解して使用した。また、グルタミン、アスパラギンを使用する場合は、公知の方法により、それぞれ、グルタミン酸、アスパラギン酸に加水分解して使用した。
[実施例209〜228]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例172と同じ方法で操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
[実施例229〜240]
実施例172で使用したリジンアミノエチルエステル塩酸塩のアミノ酸基を下記表に示す各種アミノ酸あるいはアミノ酸誘導体を導入した事、および混合溶媒調製工程で使用したポリイソシアネートを下記表に示したものとした事以外は実施例172に記載した操作を行った。なお、表内に記載のポリイソシアネートとしてはいずれも旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート グレード:TKA−100、24A−100、TLA−100)を用いた。
本操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
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[比較例1]
実施例1で使用したポリイソシアネートを使用しなかった事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約1時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、ヘキサメチレンジイソシアネートの選択率は62%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに3時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
[比較例2]
実施例1で使用したポリイソシアネートの代わりにβ-フェネチルアルコールを使用した事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約1時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン・β-フェネチルアルコール溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、ヘキサメチレンジイソシアネートの選択率は64%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに2時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
[比較例3]
実施例1で使用したポリイソシアネートの代わりにフタル酸を使用した事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約1時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン・フタル酸溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、ヘキサメチレンジイソシアネートの選択率は54%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに2時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
[比較例4]
実施例1で管型第一反応器2と部分凝縮器4の流路を閉止した事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約5時間運転したが、ヘキサメチレンジイソシアネートの選択率は12%であり、反応が効率的に進まなかった。経時的にポリマー状副生物が増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに4時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
[比較例5]
実施例1で使用したカルバメートを公知の方法で合成したオクチルカルバメートを用い、ポリイソシアネートを使用しなかった事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約1時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、オクチルイソシアネートの選択率は50%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに5時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
[比較例6]
実施例1で使用したカルバメートを公知の方法で合成したオクチルカルバメートを用い、ポリイソシアネートの代わりにβ-フェネチルアルコールを使用した事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約5時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン・β-フェネチルアルコール溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、オクチルイソシアネートの選択率は52%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに5時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
[比較例7]
実施例1で使用したカルバメートを公知の方法で合成したオクチルカルバメートを用い、ポリイソシアネートの代わりにフタル酸を使用した事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約5時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン・フタル酸溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、オクチルイソシアネートの選択率は42%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに5時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
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[参考例2]
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えたガラス製四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート1000gを入れ、フラスコ内の空気を窒素で置換し撹拌しながら70℃に加熱した。反応液の屈折率測定により、ヘキサメチレンジイソシアネートの転化率が20%になるまで触媒(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を徐々に添加し、20%になった時点で85%リン酸水溶液を0.5g添加して反応を停止した。このとき、転化率20%を達成するために必要な触媒量は、反応に用いたヘキサメチレンジイソシアネートに対して220質量ppmであった。
反応後、反応液を濾過し、流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目160℃(27Pa)、2回目150℃(13Pa)で未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを除去し、ヘキサメチレンジイソシアネートの重合体であるイソシアヌレート化合物を得た。
[参考例3]
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えたガラス製四つ口フラスコに、トルエンジイソシアネート(異性体混合物)1000gを入れ、フラスコ内の空気を窒素で置換し撹拌しながら70℃に加熱した。反応液の屈折率測定により、トルエンジイソシアネートの転化率が20%になるまで触媒(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を徐々に添加し、20%になった時点で85%リン酸水溶液を0.5g添加して反応を停止した。
反応後、反応液を濾過し、流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目160℃(27Pa)、2回目150℃(13Pa)で未反応のトルエンジイソシアネートを除去し、トルエンジイソシアネートの重合体であるイソシアヌレート化合物を得た。
[参考例4]
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えたガラス製四つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(異性体混合物)1000gを入れ、フラスコ内の空気を窒素で置換し撹拌しながら70℃に加熱した。反応液の屈折率測定により、イソホロンジイソシアネートの転化率が20%になるまで触媒(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を徐々に添加し、20%になった時点で85%リン酸水溶液を0.5g添加して反応を停止した。
反応後、反応液を濾過し、流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目180℃(10Pa)、2回目170℃(10Pa)で未反応のイソホロンジイソシアネートを除去し、イソホロンジイソシアネートの重合体であるイソシアヌレート化合物を得た。
[実施例241〜243]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例1に記載した操作を行い、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得た。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
[実施例244〜245]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例81に記載した操作を行い、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得た。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
[実施例246〜251]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例161に記載した操作を行い、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得た。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
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[実施例252〜254、261〜267、271〜274、及び279〜320]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた事以外は実施例161に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
[実施例255〜257、268〜270、及び275〜278]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた事以外は実施例12に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
[実施例258〜260]
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた事以外は実施例81に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
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上記結果に示したとおり、本発明を適用した場合には、実施例1の結果の通り、副生成物の発生が見られず、連続的に安定してリジンエステルトリイソシアネートを製造することができた。これに対し、本発明を適用しない場合には、比較例1の結果の通り、副生成物が発生し、連続的な製造が困難であった。
本発明によれば、副反応を抑制し、連続的にイソシアネートを製造するイソシアネートの製造方法を提供することができる。
1:原料予熱器、2:管型第一反応器、3:槽型第二反応器、4:部分凝縮器、10:第1のライン、11、第8のライン、12:第2のライン、13:第3のライン、14:第4のライン、15:第5のライン、16:第6のライン、17:第7のライン、20:第10のライン、21:第11のライン、22:第12のライン、23:第13のライン、24:第14のライン、25:第15のライン、26:第16のライン、27:第17のライン、100:反応器、101:第1の貯槽、102:第2の貯槽、103:第3の貯槽、104:第4の貯槽、105:第5の貯槽、106:第1の充填層、107:第2の充填層、108:第3の充填層、109:第1の送液ポンプ、110:第2の送液ポンプ、111:第3の送液ポンプ、112:第4の送液ポンプ、113:第1の部分凝縮器、114:第2の部分凝縮器、115:第3の部分凝縮器、116:第5の送液ポンプ、200:フォーリングフィルム型反応器、201:第10の貯槽、202:第11の貯槽、203:第12の貯槽、204:第13の貯槽、205:第4の部分凝縮器、206:リボイラー、207:第6の送液ポンプ、208:第7の送液ポンプ、209:第8の送液ポンプ、210:充填塔

Claims (12)

  1. カルバメートの熱分解によってイソシアネートを製造する方法であって、
    カルバメートと、ポリイソシアネート化合物とを含む混合液を調製する工程と、
    前記混合液を、熱分解反応器に連続的に導入して、カルバメートの熱分解反応をおこなう工程と、
    前記ポリイソシアネート化合物よりも標準沸点が低い低沸点分解生成物を、前記反応器から気体状で連続的に抜き出す低沸点分解生成物回収工程と、
    前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を高沸点成分として反応器から連続的に抜き出す高沸点成分回収工程と、を有する、イソシアネートの製造方法において、
    前記混合液が不活性溶媒を含み、
    前記低沸点分解生成物回収工程において、前記不活性溶媒を、前記ポリイソシアネート化合物よりも低沸点の分解生成物と共に、前記反応器から気体状で連続的に抜き出し、
    前記不活性溶媒は、熱分解反応条件下において実質的に不活性であり、かつ、その沸点が、熱分解によって生成するイソシアネートとヒドロキシ化合物の、それぞれの沸点の間にあるイソシアネートの製造方法
  2. 前記カルバメートが、下記式(20)で表されるカルバメートである請求項1に記載のイソシアネートの製造方法。
    Figure 0006757468
    前記式(20)中、cは1以上の整数を表し、Rはc価の有機基を表し、Rはヒドロキシ化合物から1つのヒドロキシ基を除いた残基を表し、前記式(20)中の複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
  3. 前記熱分解反応器が管型反応器である、請求項1または2に記載のイソシアネートの製造方法。
  4. 前記熱分解反応器から気体状で取り出される低沸点分解生成物がイソシアネート化合物を含み、該低沸点分解生成物が気体状で蒸留塔に供給され、該蒸留塔にてイソシアネートを分離する工程を更に含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
  5. 前記熱分解反応を行う工程は、
    前記混合液を、縦型の管型反応器からなる第1反応器に連続的に導入し、第1反応器内部を流下させながら第1の分解反応を実施し、第1反応器の下部より前記液相成分を得る液相成分製造工程と、
    前記液相成分を、槽型反応器からなる第2反応器に導入し、第2の分解反応を実施することによって、カルバメートをイソシアネートとヒドロキシ化合物とに分解する分解工程とを含み、
    前記低沸点分解生成物回収工程において、前記低沸点分解生成物を、前記第1反応器、または前記第1反応器及び前記第2反応器の両方から気体状で連続的に取り出し、
    前記高沸点成分回収工程において、前記液相成分が、前記低沸点分解生成物の標準沸点よりも標準沸点が高い高沸点分解生成物を含み、前記高沸点分解生成物を前記第2反応器から前記ポリイソシアネート化合物と共に連続的に取り出し、
    前記イソシアネートは、前記低沸点分解生成物と、前記高沸点分解生成物に含まれており、
    前記第1の反応器の温度と前記第2の反応器の温度の差が50℃以内である、ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
  6. 前記低沸点分解生成物回収工程において、不活性溶媒の蒸気が前記低沸点分解生成物と共に、前記第1反応器、または前記第1反応器及び前記第2反応器の両方から気体状で連続的に取り出され、
    次いで、該連続的に取り出された気体成分を、前記不活性溶媒の蒸気の1部または全部を凝縮させるが、前記低沸点分解生成物の1部または全部を凝縮させない温度に保たれた部分凝縮器に導入することによって、前記低沸点分解生成物を主成分とする気体状成分と、前記不活性溶媒を主成分とする液状成分とに分離し、液状成分の1部または全部を第1反応器、または第1反応器と第2反応器の両方に戻すリサイクル工程を更に有する、請求項に記載のイソシアネートの製造方法。
  7. 前記第1反応器として、固体充填材及び固体触媒のいずれか一方または両方を内部に充填した管型反応器を使用する、請求項又はに記載のイソシアネートの製造方法。
  8. 前記第1反応器として、内部にトレイを設置した管型反応器を使用する、請求項又はに記載のイソシアネートの製造方法。
  9. 前記第1反応器として、内部にトレイを設置し、かつ固体充填材及び固体触媒のいずれか一方または両方を充填した管型反応器を使用する、請求項又はに記載のイソシアネートの製造方法。
  10. 前記第2反応器から生じる気体成分を、前記第1反応器の下部から導入する、請求項のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
  11. 熱分解反応条件下で、実質的に不活性であり、かつ気体状態の搬送剤を前記第1反応器及び前記第2反応器のいずれか一方または両方の下部から導入し、気体成分を反応器上部より搬出させる、請求項10のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
  12. 前記搬送剤を、前記第2反応器の液中に導入する、請求項11のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
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