JP2019199428A - イソシアネートの製造方法 - Google Patents
イソシアネートの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019199428A JP2019199428A JP2018094169A JP2018094169A JP2019199428A JP 2019199428 A JP2019199428 A JP 2019199428A JP 2018094169 A JP2018094169 A JP 2018094169A JP 2018094169 A JP2018094169 A JP 2018094169A JP 2019199428 A JP2019199428 A JP 2019199428A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- isocyanate
- compound
- carbamate
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Ceased
Links
- 0 CC(C(**)=O)NC(O*)=O Chemical compound CC(C(**)=O)NC(O*)=O 0.000 description 4
Images
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
Description
第2に、ホスゲン法においては、腐食性の高い塩化水素が大量に副生するため、塩化水素を除去するためのプロセスが必要となる。さらに、製造されたイソシアネートには多くの場合、加水分解性塩素が含有されることになる。このため、ホスゲン法で製造されたイソシアネートを使用すると、ポリウレタン製品の耐候性、耐熱性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、上記特許文献2の方法では、カルバメートの熱分解によって生成するイソシアネートを低沸点分解生成物として連続的に抜き出すものの、生成するイソシアネートとヒドロキシ化合物との反応によって生じるカルバメートは反応器底部に落下し、反応器底部にて副反応によって高沸点成分を生じるために、イソシアネートの収率が低下する傾向がある。
本発明の第1態様に係るイソシアネートの製造方法は、カルバメートの熱分解によってイソシアネートを製造する方法であって、カルバメートと、下記一般式(4)で表される化合物及び該化合物のカルボン酸付加体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)とを含む混合液を、熱分解反応器に連続的に導入して、カルバメートの熱分解反応を行う熱分解工程と、前記化合物(A)よりも標準沸点が低い低沸点分解生成物を、前記熱分解反応器から気体状で連続的に抜き出す低沸点分解生成物回収工程と、前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を高沸点成分として前記熱分解反応器から連続的に抜き出す高沸点成分回収工程と、を含む方法である。
上記第1態様に係るイソシアネートの製造方法において、前記カルバメートが、下記式(2)で表される化合物であってもよい。
上記第1態様に係るイソシアネートの製造方法において、前記熱分解反応器が管型反応器であってもよい。
上記第1態様に係るイソシアネートの製造方法において、前記低沸点分解生成物が前記イソシアネートを含み、前記低沸点分解生成物が気体状で蒸留塔に供給され、前記蒸留塔にて前記イソシアネートを分離する分離工程を更に含んでもよい。
上記第1態様に係るイソシアネートの製造方法において、熱分解反応条件下で、実質的に不活性であり、且つ、気体状態の搬送剤を前記熱分解反応器に導入し、気体状成分を前記熱分解反応器より搬出させてもよい。
本実施形態のイソシアネートの製造方法は、カルバメートを熱分解して、イソシアネートを製造する方法である。
本実施形態のイソシアネートの製造方法は、熱分解工程と、低沸点分解生成物回収工程と、高沸点成分回収工程とを含む方法である。
熱分解工程では、カルバメートと、下記一般式(4)で表される化合物及び該化合物のカルボン酸付加体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)とを含む混合液を、熱分解反応器に連続的に導入して、カルバメートの熱分解反応を行う。
低沸点分解生成物回収工程では、前記化合物(A)よりも標準沸点が低い低沸点分解生成物を、前記熱分解反応器から気体状で連続的に抜き出す。
高沸点成分回収工程では、前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を高沸点成分として前記熱分解反応器から連続的に抜き出す。
以下、各工程について、それぞれ説明する。
本工程は、カルバメートと、化合物(A)とを含む混合液を熱分解反応器に連続的に導入して熱分解反応を付することによって、イソシアネートを得る工程である。この熱分解反応は、カルバメートからイソシアネートとヒドロキシ化合物(好ましくは、芳香族ヒドロキシ化合物)とを生成させる反応である。本工程は、液相で行うことが好ましい。
また、混合液は、不活性溶媒を更に含んでもよい。不活性溶媒は、熱分解反応条件下において実質的に不活性であり、且つ、その標準沸点が、化合物(A)の標準沸点よりも低く、熱分解によって生成するイソシアネート及びヒドロキシ化合物の標準沸点の間にある。すなわち、混合液中において、各成分の標準沸点は、ヒドロキシ化合物、不活性溶媒、イソシアネート、及び化合物(A)の順に高くなる。
なお、本明細書において、「実質的に不活性」とは、カルバメートの熱分解が行われる条件下において、カルバメート、及び、熱分解生成物であるイソシアネート、ヒドロキシ化合物と反応しない、若しくは、反応した場合でもカルバメートの熱分解に対して大きな影響を及ぼさないという意味である。
本工程で使用されるカルバメートは、後述する製造方法により得られるカルバメートであることが好ましい。
また、本工程で使用される不活性溶媒及び化合物(A)についても後述する。
カルバメートの含有量が上記下限値以上であることにより、イソシアネートの空時収率がより向上し、工業的に実施する場合には有利となる傾向がある。また、上記上限値以下であることにより、熱分解時に副反応がより抑制される傾向にある。
反応温度を一定にするために、上記熱分解反応器に公知の冷却装置及び加熱装置を設置してもよい。
反応時間(滞留時間)に、特に制限はなく、通常0.001時間以上100時間以下が好ましく、0.005時間以上50時間以下がより好ましく、0.01時間以上10時間以下がさらに好ましい。
これらの他にも、例えば、蒸留塔、多段蒸留塔、多管式反応器、内部に支持体を備えた反応器、強制循環反応器、落膜蒸発器及び落滴蒸発器のいずれかを含む反応器を用いる方式、並びに、これらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。
化合物(A)よりも低い標準沸点を有する低沸点分解生成物を素早く反応系から除去する観点からは、充填塔又は管型反応器が好ましく、管型反応器がより好ましく、管型薄膜蒸発器、管型流下膜蒸発器等の管型反応器を用いる方法がさらに好ましい。また、これら反応器の内部構造としては、生成する低沸点分解生成物を気相にすみやかに移動させられる気−液接触面積の大きな構造が好ましい。
固体充填材の材質は、磁製、金属製等特に限定されない。中でも、固体充填材の材質としては、熱伝導性の高い材質が好ましい。
触媒の使用量は、カルバメートの質量に対して0.01質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
触媒としては、例えば、ルイス酸及びルイス酸を生成する遷移金属化合物、有機スズ化合物、銅族金属を含む化合物、鉛を含む化合物、亜鉛を含む化合物、鉄族金属を含む化合物、アミン類等が挙げられる。
ルイス酸及びルイス酸を生成する遷移金属化合物として具体的には、例えば、AlX3、TiX3、TiX4、VOX3、VX5、ZnX2、FeX3、SnX4等が挙げられる。ここで、「X」は、ハロゲン、アセトキシ基、アルコキシ基又はアリーロキシ基である。
有機スズ化合物として具体的には、例えば、(CH3)3SnOCOCH3、(C2H5)SnOCOC6H5、Bu3SnOCOCH3、Ph3SnOCOCH3、Bu2Sn(OCOCH3)2、Bu2Sn(OCOC11H23)2(ジラウリン酸ジブチルスズ)、Ph3SnOCH3、(C2H5)3SnOPh、Bu2Sn(OCH3)2、Bu2Sn(OC2H5)2、Bu2Sn(OPh)2、Ph2Sn(CH3)2、(C2H5)3SnOH、PhSnOH、Bu2SnO、(C8H17)2SnO、Bu2SnCl2、BuSnO(OH)、オクチル酸スズ等が挙げられる。ここで、「Bu」はブチル基、「Ph」はフェニル基である。
銅族金属を含む化合物として具体的には、例えば、CuCl、CuCl2、CuBr、CuBr2、CuI、CuI2、Cu(OAc)2、Cu(acac)2、オレフィン酸銅、Bu2Cu、(CH3O)2Cu、AgNO3、AgBr、ピクリン酸銀、AgC6H6ClO4等が挙げられる。ここで、「acac」はアセチルアセトンキレート配位子である。
鉛を含む化合物として具体的には、例えば、オクチル酸鉛等が挙げられる。
亜鉛を含む化合物として具体的には、例えば、Zn(acac)2等が挙げられる。
鉄族金属を含む化合物として具体的には、例えば、Fe(C10H8)(CO)5、Fe(CO)5、Fe(C4H6)(CO)3、Co(メシチレン)2(PEt2Ph2)、CoC5F5(CO)7、フェロセン等が挙げられる。
アミン類として具体的には、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
中でも、触媒としては、ジラウリン酸ジブチルスズ、オクチル酸鉛又はオクチル酸スズが好ましい。これらの触媒は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本工程は、カルバメートの熱分解反応によって生成する低沸点分解生成物を熱分解反応器から気体状で連続的に抜き出す工程である。ここでいう「低沸点分解生成物」とは、カルバメートの熱分解反応によって生成するイソシアネート及びヒドロキシ化合物のうち、化合物(A)よりも標準沸点が低い化合物を指す。低沸点分解生成物としては、ヒドロキシ化合物及びイソシアネートのうち少なくとも一方が好ましく、ヒドロキシ化合物及びイソシアネートが好ましい。また、混合液が不活性溶媒を含む場合には、本工程において、低沸点分解生成物と不活性溶媒とを熱分解反応器から気体状で連続的に抜き出す。
このような搬送剤として具体的には、例えば、不活性ガス、炭化水素ガス類等が挙げられる。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、炭酸ガス、メタン、エタン、プロパン等が挙げられる。中でも、搬送剤としては、窒素等の不活性ガスが好ましい。
同様な効果を奏するものとして、低沸点の有機溶媒類を用いてもよい。低沸点の有機溶媒類としては、例えば、ハロゲン化炭化水素類、低級炭化水素類、エーテル類等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素類としては、例えば、ジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられる。低級炭化水素類としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
これらの搬送剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの搬送剤は、予め加熱して用いることが好ましい。
本工程では、前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を高沸点成分として反応器から連続的に抜き出し回収する。上記低沸点分解生成物回収工程で、熱分解反応器に供給される化合物(A)よりも標準沸点が低い低沸点分解生成物、又は、低沸点分解生成物及び不活性溶媒が気体状で回収される。そのため、本工程で回収される高沸点成分は、前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分であり、熱分解反応に供給される化合物(A)と標準沸点が同じか、化合物(A)よりも標準沸点が高い成分であると解される。高沸点成分には、カルバメートの熱分解によって生成するイソシアネートとカルバメートとによる副反応生成物、イソシアネートによる副反応生成物、カルバメートによる副反応生成物、これらの副反応生成物がさらに反応して生成する化合物等が含まれる場合が多い。これらの化合物は上記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されない場合が多い一方、反応器の表面に付着して閉塞等を引き起こす原因となる場合が多い。そのため、熱分解反応に供給される化合物(A)とともに熱分解反応器から液相成分として連続的に回収することによって、反応器表面への付着を防止する効果を奏する。
本実施形態のイソシアネートの製造方法は、上記熱分解工程、上記低沸点分解生成物回収工程及び上記高沸点成分回収工程に加えて、例えば、分離工程、カルバメート製造工程等を更に含んでもよい。
分離工程では、上記低沸点分解生成物回収工程で回収された低沸点分解生成物に含まれるイソシアネートを分離精製する。具体的には、上記低沸点分解生成物回収工程で回収された低沸点分解生成物を気体状で、蒸留塔に供給し、イソシアネートと、ヒドロキシ化合物とを分離し、高精製度のイソシアネートを得る。蒸留条件、蒸留装置等は、イソシアネート及びヒドロキシ化合物等の種類等に応じて、公知の条件及び装置から適宜選択することができる。
熱分解工程で使用されるカルバメートは、以下に示す方法を用いて製造することが好ましい。また、得られるイソシアネートの品質や収率の観点から、低沸点分解生成物としてヒドロキシル化合物を、高沸点分解生成物としてイソシアネートを与えるアミノ酸エステル由来のカルバメートであることが好ましい。
触媒を使用する場合には、反応を短時間で完結でき、反応温度を低くすることができる。
塩基性化合物としては、無機塩基であってもよく、有機塩基であってもよい。無機塩基としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、アミン、フォスファゼン等が挙げられる。中でも、塩基性化合物としては、アミンが好ましく、脂肪族アミンがより好ましく、第2級脂肪族アミン又は第3級脂肪族アミンがさらに好ましい。
以下、本実施形態の製造方法において用いられる各原料及び反応生成物について説明する。
本実施形態の製造方法で用いられるカルバメートは、下記一般式(2)で表されるカルバメート(以下、「カルバメート(2)」と称する場合がある)が好ましい。なお、ここでいう「カルバメート」は、上記「カルバメート製造工程」により得られるカルバメートに限定されず、本実施形態の製造方法に使用することができる、あらゆるカルバメートを包含する。
一般式(2)中、製造の容易性や取り扱いの容易性を考慮すると、n21は、1以上5以下の整数が好ましく、2又は3がより好ましく、3がさらに好ましい。
一般式(2)中、R21としては、炭素数3以上85以下の有機基が好ましく、炭素数3以上30以下の有機基がより好ましい。R21における有機基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合してなる基である。具体的なR21としては、例えば、環式炭化水素基、非環式炭化水素基、非環式炭化水素基と1種以上の環式基とが結合した基、及び、これらの基が特定の非金属原子と共有結合している基等が挙げられる。前記環式基としては、例えば、環式炭化水素基、ヘテロ環基、ヘテロ環式スピロ基、ヘテロ架橋環基等が挙げられる。前記環式炭化水素基としては、例えば、単環式炭化水素基、縮合多環式炭化水素基、架橋環式炭化水素基、スピロ炭化水素基、環集合炭化水素基、側鎖のある環式炭化水素基等が挙げられる。前記非金属原子としては、例えば、炭素、酸素、窒素、硫黄、ケイ素等が挙げられる。
一般式(2)中、R22としては、ヒドロキシ化合物から1つのヒドロキシ基を除いた残基であり、炭素数1以上20以下の1価の脂肪族炭化水素基、又は、炭素数6以上20以下の1価の芳香族炭化水素基が好ましい。炭素数1以上20以下の1価の脂肪族炭化水素基及び炭素数6以上20以下の1価の芳香族炭化水素基は置換基を有してもよい。
鎖状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、直鎖状のアルキル基、分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。直鎖状のアルキル基の炭素数は1以上5以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。直鎖状のアルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。分岐鎖状のアルキル基の炭素数は3以上10以下が好ましく、3以上5以下がより好ましい。分岐鎖状のアルキル基として具体的には、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基(すなわち、脂環式炭化水素基)としては、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基として具体的には、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基として具体的には、例えば、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
カルバメート(2)において、n21が1である1官能のカルバメート(すなわち、一分子中に1個のカルバメート基を有する化合物)である場合、好ましいカルバメート(2)としては、例えば、下記一般式(2−1a)で表されるカルバメート(以下、「カルバメート(2−1a)」と称する場合がある)、下記一般式(2−1b)で表されるカルバメート(以下、「カルバメート(2−1b)」と称する場合がある)が挙げられる。
なお、これらの化合物は、好ましいカルバメート(2)の一例に過ぎず、好ましいカルバメート(2)はこれに限定されない。
α−アミノ酸では、α炭素へのアミノ基やカルボキシル基等の結合様式が立体的に2通り可能で、それぞれ、D型、L型の光学異性体として区別される。上記カルバメート(2−1b)の製造に使用されるアミノ酸(及びアミノ酸骨核を有する化合物)は、D型でもよく、L型でもよく、その混合物やラセミ体であってもよい。工業的に安価に入手できる多くのアミノ酸は、発酵で生産されるアミノ酸で、L型であることがほとんどであるが、それらは好ましく使用できる。本明細書中では、立体配置を示していないが、D型及びL型のいずれかを示している。
R211は炭素数3以上85以下の炭化水素基である。R211における炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。R211における炭化水素基としては、上記R21において例示された炭化水素基と同様のものが挙げられる。
R214及びR215における炭素数1以上10以下の1価の脂肪族炭化水素基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基等が挙げられる。R214及びR215における炭素数6以上10以下の1価の芳香族炭化水素基として具体的には、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基等が挙げられる。また、R214における炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基及び炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基は、硫黄原子、酸素原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。なお、硫黄原子又は酸素原子を含む場合には、炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基及び炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基を構成する炭素原子が酸素原子又は酸素原子に置換されている。
X211は酸素原子又は第2級アミノ基(−NH−)である。X211が酸素原子である場合、隣り合うカルボニル基とエステル結合を形成する。また、X211が第2級アミノ基(−NH−)である場合、隣り合うカルボニル基とアミド結合を形成する。
好ましいカルバメート(2−1b)としては、例えば、下記式(2−1b−1)〜(21b−4)で表される化合物等が挙げられる。
カルバメート(2)において、n21が2である2官能のカルバメート(すなわち、一分子中に2個のカルバメート基を有する化合物)である場合、好ましいカルバメート(2)としては、例えば、下記一般式(2−2a)で表されるカルバメート(以下、「カルバメート(2−2a)」と称する場合がある)、下記一般式(2−2b)で表されるカルバメート(以下、「カルバメート(2−2b)」と称する場合がある)、下記一般式(2−2c)で表されるカルバメート(以下、「カルバメート(2−2c)」と称する場合がある)、下記一般式(2−2d)で表されるカルバメート(以下、「カルバメート(2−2d)」と称する場合がある)等が挙げられる。
なお、これらの化合物は、好ましいカルバメート(2)の一例に過ぎず、好ましいカルバメート(2)はこれに限定されない。
R225における炭素数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。R225における炭素数6以上10以下の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレン−ジイル基等が挙げられる。
Y221及びY222はそれぞれ独立に、炭素数1以上5以下のポリアルキレン鎖である。すなわち、Y221及びY222は、下記一般式(II)で表される2価の基である。
−(CH2)n221− (II)
また、これら化合物は、好ましいカルバメート(2)の一例に過ぎず、好ましいカルバメート(2)はこれに限定されない。
カルバメート(2)において、n21が3である3官能のカルバメート(すなわち、一分子中に3個のカルバメート基を有する化合物)である場合、好ましいカルバメート(2)としては、例えば、下記一般式(2−3a)で表されるカルバメート(以下、「カルバメート(2−3c)」と称する場合がある)、下記一般式(2−3a)で表されるカルバメート(以下、「カルバメート(2−3b)」と称する場合がある)、下記一般式(2−3c)で表されるカルバメート(以下、「カルバメート(2−3c)」と称する場合がある)等が挙げられる。
なお、これらの化合物は、好ましいカルバメート(2)の一例に過ぎず、好ましいカルバメート(2)はこれに限定されない。
R253は炭素数1以上10以下の3価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6以上10以下の3価の芳香族炭化水素基である。
R253における炭素数1以上10以下の3価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メタントリイル基、エタントリイル、プロパントリイル基等が挙げられる。R253における炭素数6以上10以下の3価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基等が挙げられる。
好ましいY251としては、例えば、炭素数1以上20以下の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の2価の芳香族炭化水素基、炭素数2以上20以下であって脂肪族炭化水素基と脂肪族炭化水素基とがエステル基を介して結合した2価の基、炭素数2以上20以下であって脂肪族炭化水素基と脂肪族炭化水素基とがエーテル基を介して結合した2価の基、炭素数7以上20以下であって脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とがエステル基を介して結合した2価の基、炭素数7以上20以下であって脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とがエーテル基を介して結合した2価の基、炭素数14以上20以下であって芳香族炭化水素基と芳香族炭化水素基とがエステル基を介して結合した2価の基、炭素数14以上20以下であって芳香族炭化水素基と芳香族炭化水素基とがエーテル基を介して結合した2価の基が挙げられる。
R257としては、炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基、又は、炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基が好ましい。R257における炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基及び炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基としては、上記R214及びR215において例示されたものと同様のもの等が挙げられる。
・一般式(2−3b−1)中、n257=2
2、2−(カルバミン酸メチルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸メチルエステル)ヘキサノエート(一般式(2−3b−1)中、R259がメチル基)
2−(カルバミン酸エチルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸エチルエステル)ヘキサノエート(一般式(2−3b−1)中、R259がエチル基)
2−(カルバミン酸ブチルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)ヘキサノエート(一般式(2−3b−1)中、R259がブチル基)
2−(カルバミン酸フェニルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)ヘキサノエート(一般式(2−3b−1)中、R259がフェニル基)
2−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ヘキサノエート(一般式(2−3b−1)中、R259がジメチルフェニル基)
本実施形態の製造方法において用いられる不活性溶媒は、反応条件下において実施的に不活性であり、標準沸点が化合物(A)よりも低く、且つ、生成するイソシアネート及びヒドロキシル化合物の標準沸点の間にあるものであれば特に限定されない。
このような不活性溶媒としては、例えば、脂肪族類、脂環族類、置換基を有していてもよい芳香族類、非置換の炭化水素類又はこれらの混合物類等が挙げられる。
また、エーテル、ケトン、エステル等の酸素原子を有していてもよい化合物類であってもよく、チオエーテル、スルホキシド、スルホン等の硫黄原子を有していてもよい化合物類であってもよい。
アルカン類としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカン、エイコサン、スクアラン等が挙げられる。
芳香族炭化水素及びアルキル置換芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、ジイソプロピルベンゼン、ジブチルベンゼン、ナフタレン、低級アルキル置換ナフタレン、ドデシルベンゼン等が挙げられる。
ニトロ基又はハロゲンによって置換された芳香族化合物類としては、例えば、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ブロムベンゼン、ジブロムベンゼン、クロルナフタレン、ブロムナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等が挙げられる。
多環炭化水素化合物類としては、例えば、ジフェニル、置換ジフェニル、ジフェニルメタン、ターフェニル、アントラセン、フェナントレン、ベンジルトルエン、ベンジルトルエンの異性体、トリフェニルメタン等が挙げられる。
脂環族炭化水素類としては、例えば、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトフェノン等が挙げられる。
エステル類としては、例えば、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート等が挙げられる。
エーテル及びチオエーテル類としては、例えば、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド等が挙げられる。
スルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等
スルホン類としては、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホラン等が挙げられる。
中でも、不活性溶媒としては、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ブロムベンゼン、ジブロムベンゼン、クロルナフタレン、ブロムナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のニトロ基又はハロゲンによって置換された芳香族化合物類が好ましく、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン等ハロゲンによって置換されたベンゼンがより好ましい。
本実施形態の製造方法において用いられる化合物(A)は、下記一般式(4)で表される特定のカルボジイミド化合物(以下、「化合物(4)」と称する場合がある)及び化合物(4)のカルボン酸付加体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
化合物(4)における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。炭化水素基の炭素数は、1以上20以下であり、4以上10以下が好ましい。
化合物(4)における1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル基、アルキル−シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基等が挙げられる。
化合物(4)における2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキル−シクロアルキレン基、アリーレン基、これらの基のうち2種以上を組み合わせた基等が挙げられる。
n4は、0以上21以下の整数であり、1以上10以下の整数が好ましい。n4が前記範囲内であれば、比較的低温で液体となりやすい。
化合物(4−1)におけるR411及びR412としては、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル基、アルキル−シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基等が挙げられる。
R411及びR412は、四級アンモニウム塩基を有してもよい。四級アンモニウム塩基としては、下記一般式(I)で表される基が挙げられる。
化合物(4−1)の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
化合物(4−2)におけるR423としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキル−シクロアルキレン基、アリーレン基、これらの基のうち2種以上を組み合わせた基等が挙げられる。
n42は、1以上22以下の整数であり、2以上11以下の整数が好ましい。n42が前記範囲内であれば、比較的低温で液体となりやすい。
化合物(4−2)の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
x、y及びzはそれぞれ独立に、1以上12以下の整数である。
p及びqはそれぞれ独立に、0以上10以下の整数であり、p+qは、1以上20以下の整数である。p及びqは、各ユニットの数を表し、各ユニットの配置は、ランダムであってもよく、ブロックであってもよい。
rは、1以上10以下の整数である。
s、t及びuはそれぞれ独立に、0以上20以下の整数であり、s+t+uは、1以上20以下の整数である。s、t及びuは、各ユニットの数を表し、各ユニットの配置は、ランダムであってもよく、ブロックであってもよい。
Q1及びQ2はそれぞれ独立に、式中の3つの2価の炭化水素基のいずれかであり、3つの2価の炭化水素基における*は、結合手を表す。
vは、1以上10以下の整数である。
wは、1以上6以下の整数である。
化合物(4−2)’は、化合物(4−2)の末端のイソシアネート基の少なくとも一部を、活性水素を有する化合物(フェノール等)によって封止して得られたものである。化合物(4−2)’は、末端にブロックイソシアネート基を有する。
化合物(4−3)は、例えば、カルボジイミド基の数が20以下の化合物(4−2)の末端のイソシアネート基を、カルボジイミド化して得られたものである。
化合物(4−3)におけるR431及びR432としては、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル基、アルキル−シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基等が挙げられる。
化合物(4−3)におけるR433としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキル−シクロアルキレン基、アリーレン基、これらの基のうち2種以上を組み合わせた基等が挙げられる。
n43は、1以上20以下の整数であり、0以上9以下の整数が好ましい。n43が前記範囲内であれば、比較的低温で液体となりやすい。
化合物(4−3)の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
x、y、z、p、q、r、s、t、u、v、w、Q1及びQ2は、化合物(4−2)の具体例におけるx、y、z、p、q、r、s、t、u、v、w、Q1及びQ2と同様である。
Q3及びQ4はそれぞれ独立に、炭素数1以上12以下の1価の炭化水素基であり、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル基、アルキル−シクロアルキル基、アラルキル基及びアリール基からなる群から選ばれる。
カルボン酸付加体は、化合物(4)のカルボジイミド基の少なくとも1つにカルボン酸を付加させて、N−アシルウレア基とした化合物である。
カルボジイミド基へのカルボン酸の付加反応を下記一般式(III)に示す。
カルバメートの製造に用いられる炭酸エステルとしては、下記一般式(3)で表わされる化合物(以下、「化合物(3)」と称する場合がある)が好ましい。
R31における炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基及び炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基としては、上記R22において例示されたものと同様のものが挙げられる。
一般式(3−1)中、R311としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基であり、炭素数6以上12以下の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6以上8以下の芳香族炭化水素基がより好ましい。このようなR811として具体的には、上記R22において炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基として例示されたものと同様のものが挙げられる。
なお、これら化合物は、好ましい炭酸ジアリール(3−1)の一例に過ぎず、好ましい炭酸ジアリール(3−1)はこれに限定されない。
また、該金属原子は、金属イオンとして存在していてもよく、金属原子単体として存在していてもよい。中でも、金属原子としては、2価以上4価以下の原子価をとりうる金属原子が好ましく、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、銅及びチタンからなる群より選ばれる1種以上の金属がより好ましい。
カルバメートの製造に用いられるアミン化合物としては、上記カルバメートのカルバメート基がアミノ基に置換されたものが好ましい。すなわち、上記一般式(2)で表されるカルバメート、上記一般式(2−1a)で表されるカルバメート、上記一般式(2−1b)で表されるカルバメート、上記一般式(2−2a)で表されるカルバメート、上記一般式(2−2b)で表されるカルバメート、上記一般式(2−2c)で表されるカルバメート、上記一般式(2−2d)で表されるカルバメート、上記一般式(2−3a)で表されるカルバメート、上記一般式(2−3b)で表されるカルバメート、上記一般式(2−3c)で表されるカルバメート、又は、上記一般式(2−3b−1)で表されるカルバメートにおいて、カルバメート基がアミノ基(−NH2)に置換されたものが好ましい。
本実施形態の製造方法により得られるイソシアネートは、上記カルバメートのカルバメート基がイソシアネート基に置換されたものであり、中でも、上記一般式(2)で表されるカルバメート、上記一般式(2−1a)で表されるカルバメート、上記一般式(2−1b)で表されるカルバメート、上記一般式(2−2a)で表されるカルバメート、上記一般式(2−2b)で表されるカルバメート、上記一般式(2−2c)で表されるカルバメート、上記一般式(2−2d)で表されるカルバメート、上記一般式(2−3a)で表されるカルバメート、上記一般式(2−3b)で表されるカルバメート、上記一般式(2−3c)で表されるカルバメート、又は、上記一般式(2−3b−1)で表されるカルバメートにおいて、カルバメート基がイソシアネート基(−NCO)に置換されたものが好ましい。すなわち、下記一般式(2)’で表される化合物、下記一般式(2−1a)’で表される化合物、下記一般式(2−1b)’で表される化合物、下記一般式(2−2a)’で表される化合物、下記一般式(2−2b)’で表される化合物、下記一般式(2−2c)’で表される化合物、下記一般式(2−2d)’で表される化合物、下記一般式(2−3a)’で表される化合物、下記一般式(2−3b)’で表される化合物、下記一般式(2−3c)’で表される化合物、又は、一般式(2−3b−1)’で表される化合物が好ましい。
一般式(2−1a)’中、R211は、上記一般式(2−1a)におけるR211と同じである。
一般式(2−1b)’中、X211、R214及びR215はそれぞれ、上記一般式(2−1b)におけるX211、R214及びR215と同じである。
一般式(2−2a)’中、R221は、上記一般式(2−2a)におけるR221と同じである。
一般式(2−2b)’中、X221、R224及びR225はそれぞれ、一般式(2−2b)におけるX221、R224及びR225と同じである。
一般式(2−2c)’中、X222、Y221及びR228はそれぞれ、一般式(2−2c)におけるX222、Y221及びR228と同じである。
一般式(2−2d)’中、X223、Y222及びR231はそれぞれ、一般式(2−2d)におけるX223、Y222及びR231と同じである。
一般式(2−3a)’中、X251、R252及びR253はそれぞれ、一般式(2−3a)におけるX251、R252及びR253と同じである。
一般式(2−3b)’中、n251、n252、n253、n254、n255、n256、m251、m252及びm253はそれぞれ、一般式(2−3b)におけるn251、n252、n253、n254、n255、n256、m251、m252及びm253と同じである。
一般式(2−3c)’中、R257及び複数存在するY251はそれぞれ、上記一般式(2−3c)におけるR257及びY251と同じである。
一般式(2−3b−1)’中、n257は上記一般式(2−3b−1)におけるn257と同じである。
内容積100Lのステンレス鋼(SUS316)製の撹拌槽に、キシレン30kg、ヘキサメチレンジイソシアネート50kgを投入し140℃に加熱した。ここに、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.1kgを投入し5時間撹拌した。フェノール1kgを投入しさらに10時間撹拌したのち、キシレン、余剰のヘキサメチレンジイソシアネート、フェノールを留去し、ポリカルボジイミド(化合物(4A))を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による数平均分子量(ポリスチレン換算)は6.0×103であった。
内容積100Lのステンレス鋼(SUS316)製の撹拌槽に、キシレン30kg、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート50kgを投入し140℃に加熱した。ここに、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.1kgを投入し5時間撹拌した。フェノール1kgを投入しさらに10時間撹拌したのち、キシレン、余剰の4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、フェノールを留去し、ポリカルボジイミド(化合物(4B))を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による数平均分子量(ポリスチレン換算)は5.0×103であった。
1.混合液の調製
N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ジカルバミン酸ジフェニルエステル50kgとベンジルトルエン20kgと製造例1で製造した化合物(4A)30kgを、大気圧窒素下で、120℃に加温した撹拌槽で混合し、均一な混合液とした。
「1.」で調製した混合液を図1に示すイソシアネートの製造装置1Aの貯槽101に投入した。熱媒ジャケットを具備する反応器100にベンジルトルエンと化合物(4A)を投入し、熱媒ジャケットを通過する熱媒の温度を270℃とし、内部の圧力を調整しながら、充填層108の上部に具備するライン16、凝縮器115、貯槽103及びライン17を経由してベンジルトルエンが還流する状態を形成させた。
ここに、貯槽101からライン10を経由して反応器100に上記混合液を1kg/hrで供給し、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ジカルバミン酸ジフェニルエステルの熱分解を行った。熱分解で生成したフェノールとベンジルトルエンとを含む混合液を、充填層108の上部に具備するライン16及び凝縮器115を経由して貯槽103に回収した。一方、熱分解で生成した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとベンジルトルエンとを含む混合液を、充填層107の上部に具備するライン14及び凝縮器114を経由して貯槽104に回収した。さらに、反応器100内部における液面が一定となるように、ライン11を経由して反応器100の底部より反応液を抜出し、貯槽102に回収した。貯槽104に回収した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの収率は66%であった。また、上記運転を200日間継続して行うことができた。
1.混合液の調製
下記式(2−3b−1−1)で表される化合物(以下、「化合物(2−3b−1−1)」と称する場合がある)10kgとジベンジルエーテル30kgと製造例2で製造した化合物(4B)60kgを、大気圧窒素下で、120℃に加温した撹拌槽で混合し、均一な混合液とした。
「1.」で調製した混合液を図2に示すイソシアネートの製造装置2Aの貯槽201に投入した。蒸留塔210にジベンジルエーテルを投入しリボイラー206の温度を200℃とし、内部の圧力を調整しながら、蒸留塔210の上部に具備するライン23、凝縮器205、貯槽203及びライン24を経由してジベンジルエーテルが還流する状態を形成させた。
ここに、貯槽201からライン20を経由して、あらかじめ250℃に加熱したフォーリングフィルム型反応器200に上記混合液を1kg/hrで供給し、化合物(2−3b−1−1)の熱分解を行った。熱分解で生成したフェノールとリジンエステルトリイソシアネートとジベンジルエーテルを含む気体状成分を、ライン22を経由して蒸留塔210に供給した。一方、副生物を含む化合物(4B)をフォーリングフィルム型反応器底部からライン21を経由して貯槽202に回収した。ライン22を経て回収した気体状成分は蒸留塔210で蒸留分離し、ライン23及び凝縮器205を経由して、フェノールとジベンジルエーテルとを含む混合液を貯槽203に回収した。一方、リジンエチルエステルトリイソシアネートとジベンジルエーテルを含む混合液を、ライン27を経由して貯槽204に回収した。貯槽204に回収したリジンエチルエステルトリイソシアネートの収率は85%であった。また、上記運転を200日間継続して行うことができた。
1.混合液の調製
N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ジカルバミン酸ジフェニルエステル50kgとベンジルトルエン20kgを、大気圧窒素下で、120℃に加温した撹拌槽で混合し、均一な混合液とした。
「1.」で調製した混合液を図1に示すイソシアネートの製造装置1Aの貯槽101に投入し、熱媒ジャケットを具備する反応器100にベンジルトルエンを投入してベンジルトルエンが還流する状態を形成させ、貯槽101からライン10を経由して反応器100に上記混合液を0.4kg/hrで供給した以外は、実施例1の「2.カルバメートの熱分解」と同様の方法で熱分解を行い、熱分解で生成した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとベンジルトルエンとを含む混合液を貯槽104に回収した。貯槽104に回収した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの収率は18%であった。また、上記運転を2日間継続したところ、ライン11が閉塞し運転継続が困難となった。
1.混合液の調製
化合物(2−3b−1−1)10kgとジベンジルエーテル30kgを、大気圧窒素下で、120℃に加温した撹拌槽で混合し、均一な混合液とした。
「1.」で調製した混合液を図2に示すイソシアネートの製造装置2Aの貯槽201に投入し、蒸留塔210にジベンジルエーテルを投入してジベンジルエーテルが還流する状態を形成させ、貯槽201からライン20を経由して、あらかじめ250℃に加熱したフォーリングフィルム型反応器200に上記混合液を0.3kg/hrで供給し、化合物(2−3b−1−1)の熱分解を行った以外は実施例2の「2.カルバメートの熱分解」と同様の方法で熱分解を行い、リジンエステルトリイソシアネートとジジベンジルエーテルとを含む混合液を、ライン27を経由して貯槽204に回収した。貯槽204に回収したリジンエステルトリイソシアネートの収率は26%であった。また、上記運転を2日間継続したところ、ライン21が閉塞し運転継続が困難となった。
101、102、103、104、105:貯槽
106、107、108:充填層
109、110、111、112、116:送液ポンプ
113、114、115:凝縮器
10、11、12、13、14、15、16、17:ライン
1A:イソシアネートの製造装置
200:フォーリングフィルム型反応器
201、202、203、204:貯槽
205:凝縮器
206:リボイラー
207、208、209:送液ポンプ
20、21、22、23、24、25、26、27:ライン
2A:イソシアネートの製造装置
Claims (7)
- カルバメートの熱分解によってイソシアネートを製造する方法であって、
カルバメートと、下記一般式(4)で表される化合物及び該化合物のカルボン酸付加体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)とを含む混合液を、熱分解反応器に連続的に導入して、カルバメートの熱分解反応を行う熱分解工程と、
前記化合物(A)よりも標準沸点が低い低沸点分解生成物を、前記熱分解反応器から気体状で連続的に抜き出す低沸点分解生成物回収工程と、
前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を高沸点成分として前記熱分解反応器から連続的に抜き出す高沸点成分回収工程と、
を含むイソシアネートの製造方法。
- 前記一般式(4)で表される化合物が、下記一般式(4−1)で表される化合物、下記一般式(4−2)で表される化合物、下記一般式(4−2)で表される化合物のイソシアネート基を封止した化合物及び下記一般式(4−3)で表される化合物からなる群より選択される1種以上である請求項1に記載のイソシアネートの製造方法。
- 前記混合液が不活性溶媒を更に含み、
前記低沸点分解生成物回収工程において、前記低沸点分解生成物と前記不活性溶媒とを、前記熱分解反応器から気体状で連続的に抜き出し、
前記不活性溶媒は、熱分解反応条件下において実質的に不活性であり、且つ、その標準沸点が、前記化合物(A)の標準沸点よりも低く、熱分解によって生成するイソシアネート及びヒドロキシ化合物の標準沸点の間にある請求項1又は2に記載のイソシアネートの製造方法。 - 前記熱分解反応器が管型反応器である請求項1〜4のいずれか一項に記載のイソシアネートの製造方法。
- 前記低沸点分解生成物が前記イソシアネートを含み、前記低沸点分解生成物が気体状で蒸留塔に供給され、前記蒸留塔にて前記イソシアネートを分離する分離工程を更に含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のイソシアネートの製造方法。
- 熱分解反応条件下で、実質的に不活性であり、且つ、気体状態の搬送剤を前記熱分解反応器に導入し、気体状成分を前記熱分解反応器より搬出させる請求項1〜6のいずれか一項に記載のイソシアネートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018094169A JP2019199428A (ja) | 2018-05-15 | 2018-05-15 | イソシアネートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018094169A JP2019199428A (ja) | 2018-05-15 | 2018-05-15 | イソシアネートの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019199428A true JP2019199428A (ja) | 2019-11-21 |
Family
ID=68611310
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018094169A Ceased JP2019199428A (ja) | 2018-05-15 | 2018-05-15 | イソシアネートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019199428A (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5466623A (en) * | 1977-10-19 | 1979-05-29 | Bayer Ag | Manufacture of isocyanate |
JPS58194849A (ja) * | 1982-04-27 | 1983-11-12 | バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト | カルバミン酸エステルの連続的熱分解法 |
JPS60231640A (ja) * | 1984-05-02 | 1985-11-18 | Asahi Chem Ind Co Ltd | イソシアナ−トの連続的製法 |
US20110178329A1 (en) * | 2010-01-19 | 2011-07-21 | Basf Se | Process for preparing isocyanates by thermal dissociation of carbamates |
JP2012233014A (ja) * | 2007-01-11 | 2012-11-29 | Asahi Kasei Chemicals Corp | イソシアネートの製造方法 |
-
2018
- 2018-05-15 JP JP2018094169A patent/JP2019199428A/ja not_active Ceased
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5466623A (en) * | 1977-10-19 | 1979-05-29 | Bayer Ag | Manufacture of isocyanate |
JPS58194849A (ja) * | 1982-04-27 | 1983-11-12 | バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト | カルバミン酸エステルの連続的熱分解法 |
JPS60231640A (ja) * | 1984-05-02 | 1985-11-18 | Asahi Chem Ind Co Ltd | イソシアナ−トの連続的製法 |
JP2012233014A (ja) * | 2007-01-11 | 2012-11-29 | Asahi Kasei Chemicals Corp | イソシアネートの製造方法 |
US20110178329A1 (en) * | 2010-01-19 | 2011-07-21 | Basf Se | Process for preparing isocyanates by thermal dissociation of carbamates |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4290970A (en) | Process for the manufacture of aromatic di- and/or polyisocyanates | |
JP4171530B2 (ja) | ケイ素含有イソシアネート化合物の製造方法 | |
JPH035386B2 (ja) | ||
JP4298995B2 (ja) | カルバメートの製造方法およびイソシアネートの製造方法 | |
US8455695B2 (en) | Process for the production of aliphatic isocyanates | |
JP2019199422A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP2019199420A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP6757468B2 (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP2019199431A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP2019199418A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP2019199428A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP7165509B2 (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP3226997B2 (ja) | ポリカルバミン酸エステル化合物の熱分解方法 | |
JP2019199419A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP2019199417A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP7165508B2 (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP2019199430A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP2019199425A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP2019199421A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
JP2019199423A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
CN112020493B (zh) | 氨基甲酸酯的制造方法和异氰酸酯的制造方法 | |
JP3674642B2 (ja) | イソシアネート類の製造法 | |
JP2019199427A (ja) | イソシアネートの製造方法 | |
EP0161550B1 (en) | Process for producing an aliphatic isocyanate | |
WO2021100131A1 (ja) | イソシアネートの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210514 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220607 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220808 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20221115 |
|
A045 | Written measure of dismissal of application [lapsed due to lack of payment] |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045 Effective date: 20230328 |