JP3226997B2 - ポリカルバミン酸エステル化合物の熱分解方法 - Google Patents

ポリカルバミン酸エステル化合物の熱分解方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカルバミン酸エス
テル化合物の熱分解によって対応するポリイソシアナー
ト化合物と有機ヒドロキシル化合物とを連続的に製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カルバミン酸エステル化合物の熱分解に
よってイソシアナートとヒドロキシル化合物が得られる
ことは古くから知られており(例えば、“Berchte der
Deutechen Chemischen Gesellschaft ”3 (1870)H.Schi
ff, p.635);“Berchte der Deutechen Chemischen Ges
ellschaft ”3 (1870)A.W.Hoffmann p.653 )、その基
本反応は次の式によって例示される。
【0003】 R(NHCOOR' )n →R(NCO)n +nR' OH または (R' NHCOO)n R→nR' NCO+R(OH)n (ただし、R はn 価の有機残基、R'は一価の有機残基、
n は1以上の整数を表す。)上記の一般式で表される熱
分解反応は可逆的であり、その平衡は低温側で左辺のカ
ルバミン酸エステルに偏っているが、高温ではイソシア
ナートとヒドロキシル化合物側が有利となる。
【0004】このようにカルバミン酸エステルの熱分解
反応は高温下で行われるなど反応条件が厳しく種々の不
可逆的な副反応を併発する。副反応としては前記のH.Sc
hiffの文献やE.Dyer及びG.C.Wrightの研究(J.Am.Chem.S
oc.,81,(1959) p.2138) などに示されるように、例えば
置換された尿素類、ビュレット類、ウレトジオン類、カ
ルボジイミド類、イソシアヌレート類などの生成を挙げ
ることが出来る。これら副反応のため目的とするイソシ
アナートの収率、選択率の低下を招くのみならず、特に
ポリイソシアナートの製造においては高分子量物の生成
を引き起こし、場合によってはポリマー状固形物の析出
による反応器の閉塞など長期操業を困難にする事態を招
くこととなる。
【0005】好ましくない副反応の大部分は高温側で、
また反応時間が長く生成したイソシアナートが反応混合
物の各成分と接触している時間が長くなるにつれて、増
大する傾向にある。カルバミン酸エステルの熱分解にお
ける不所望な副生物の生成を抑制し良好なイソシアナー
ト収率を得ることに関して、これまでも種々の方法が提
案されてきた。
【0006】その一つとして触媒を用いて熱的負荷を小
さくする方法があり、例えば米国特許第 2713591号明細
書、米国特許第 2692275号明細書、米国特許第 2727020
号明細書、および特開昭54-88201号公報には塩基性触媒
の存在下にカルバミン酸エステルを熱分解することによ
るイソシアナートの製造方法が記載されている。しかし
ながら、これら塩基性触媒を使用した場合、固体状副生
物の生成量が増加し、イソシアナートの収率はそれほど
高くならないことが報告されており(J.Appl.Pol.Sci.,
16,(1972)(米))F.W.Abbate et.al.p.1213) 、好ましい
ものとは言えない。
【0007】また、種々の金属化合物を触媒として用い
る熱分解方法も多数提案されている。特開昭51-19721号
公報では重金属化合物が、特開昭52-19624号公報および
特開昭56- 166160号公報ではIb,IIb,IIIa,
IVa,IVb,Vb,VIII族の金属化合物が、特
開昭56-79657号公報および特開昭57-21356号公報ではル
イス酸である塩化亜鉛が、米国特許第4290968 号明細書
および第4369141 号明細書ではそれぞれアルミニウムと
鉄のアセチルアセトナートが、特開昭58- 128354号公報
ではタリウム、スズ、アンチモン、ジルコニウムの化合
物が均一系熱分解触媒として、それぞれ有効に作用して
いるとの記載がある。
【0008】また固体触媒としては、特開昭56-65856号
公報、特開昭56-65857号公報および特開昭56-65858号公
報において、表面富有の金属状の亜鉛、アルミニウム、
チタン、鉄、クロム、コバルト及びニッケルの使用が記
載されている。さらに特開昭57- 158747号公報におい
て、種々の金属の酸化物および/または硫化物を、また
特開昭57- 158746号公報では種々の金属の炭化物および
/または窒化物を固体触媒として用いる方法が提案され
ている。しかしながら、例えば、高分子加工、(34
(1985)平塚、横山、p502) や岩田著「ポリウ
レタン樹脂ハンドブック」( (1987)日刊工業社
刊、p90〜98)に示されているようにカルバミン酸
エステルの熱分解反応に触媒活性を示す多くの金属及び
金属化合物がアロファネート化、ビュレット生成やヌレ
ート化などの副反応に対しても触媒作用を示すことはよ
く知られており、触媒の使用だけでカルバミン酸エステ
ルの熱分解における不所望な副生物の生成を抑制し良好
なイソシアナート収率を得ることには限界がある。
【0009】別の方法として、不活性な溶媒中で熱分解
する方法も提案されている。例えば特開昭51-13745号公
報、特開昭51-19721号公報および特開昭51-29445号公報
には炭化水素、エーテル、エステル、ケトンなどの不活
性溶剤を使用した熱分解方法が開示されている。不活性
溶剤に加え触媒やキャリヤー剤を用いているにも拘ら
ず、充分な塔頂収率は得られず、工業的には満足できる
ものとは言い難い。
【0010】上記の触媒や溶媒の使用にも拘らず、工業
的に実施可能な良好なイソシアナート収率を得ることが
困難な理由としては以下の点に問題があったからと考え
られる。カルバミン酸エステルの熱分解は平衡反応であ
るため、反応を完結させるためには生成したイソシアナ
ートおよび/またはヒドロキシル化合物を気相に抜き出
し平衡を生成側へずらしてやることが必要である。
【0011】ところが、前出の先行技術においては撹拌
槽型反応器を用いて熱分解を実施しているため、生成し
たイソシアナート、ヒドロキシル化合物の気相への抜き
出しを効率よく行うことが出来ず、いたずらに反応時間
をかけ不必要に副反応を進行させることとなり、高収率
でイソシアナートを得ることが困難となっているのであ
る。例えば、触媒を使用して熱分解の反応の速度を高め
ても、液深効果により生成物の気相への抜き出しが悪化
し、反応が平衡により進行しにくくなって収率が不十分
となったり、反応時間が長くなり活性なNCO基が様々
な副反応を起こすなど触媒による改良効果が小さなもの
になってしまうのである。
【0012】つまり、カルバミン酸エステルを熱分解し
てイソシアナートを高収率で得るためには生成物の気相
への抜き出しを効率的に行い、できるだけ速やかに反応
を終了させる反応形式を適用しなければならない。この
様な観点から、特開昭 50-117745号公報では、充填材を
詰め350 〜550 ℃加熱された反応器に粉末状のカルバミ
ン酸エステルを大量のイナートガスとともにフィード
し、反応器内の充填材表面で融解し、流下しながら熱分
解し、生成したガス成分をイナートガスに同伴させ短時
間の内にガス成分を分解ゾーンより取り出すことを特徴
とする技術の開示がなされている。しかしながら、大量
のイナートガスを使用することは工業的には極めて不利
であり、またこの様に大量のガスを短時間の内に加熱冷
却することは技術的困難をともなう。
【0013】さらに、特公平 2-11581号公報では不活性
有機溶媒をもちいない多官能性N−モノ置換カルバミン
酸エステル即ちポリウレタンの連続的熱分解法において
可動性金属ブレードを備えた高速撹拌器を備えた薄膜蒸
発器を用いることを特徴とする技術の開示がなされてい
る。しかしながら、この方法においてもイソシアナート
の収率は低く、さらに可動性金属ブレードを有する高速
撹拌器を備えた薄膜蒸発器という極めて高価な装置を用
い、しかも表面積当り時間当りの収量が低く、これを工
業的規模で用いた場合装置が大型化することなど、工業
的規模での実施を考えた場合満足できるものとは言い難
い。
【0014】また、特開平4ー 26665号公報では、(a) 主
としてカルバミン酸エステルを液相にて相当するイソシ
アナートと有機ヒドロキシル化合物とに熱分解する反応
部と、(b) 主としてカルバミン酸エステルの熱分解によ
り生成したイソシアナートおよび有機ヒドロキシル化合
物のうち少なくとも一成分を液相より気化せしめる蒸発
部とを有し、液相成分を反応部と蒸発部の間を循環させ
ることを特徴とするカルバミン酸エステルの熱分解方法
が開示されている。この方法によれば、不純物のきわめ
て少ないカルバミン酸エステルを熱分解した場合には高
収率、高選択率で目的とするイソシアナートが得られ、
しかも長期運転時のポリマーの付着がほとんどなく実施
できる。
【0015】一方、これまでカルバミン酸の芳香族エス
テルの製造方法としては、ニトロ化合物、ニトロソ化合
物、アゾ化合物、アゾキシ化合物などと一酸化炭素とか
ら還元的に合成する方法(例えば特開昭54-415601 号公
報など)や、第一級アミン、一酸化炭素および酸化剤と
から酸化的に合成する方法(例えば特開昭55-120551号
公報など)、ジフェニルカーボネートとアミンとから合
成する方法(J.Pol.Sci.Polymer Chem.ED、17(1979) p83
5)、第一級アミン、尿素、及びヒドロキシ化合物とから
合成する方法(例えば特開昭 55-145655号公報、特開平
2-759号公報)などが以前より知られている。
【0016】いずれの方法においても該カルバミン酸エ
ステルをほぼ100%の収率で得ることは困難であり、
通常その反応粗製物中には尿素結合(-NHCONH-) 、尿素
末端(-NHCONH2)などの-NCO基と結合しうる活性水素を有
する高沸副生物が共存している。これら副生物が多量に
共存したまま該カルバミン酸エステルを熱分解すると、
生成したポリイソシアネートが活性水素を有する高沸副
生物と化合するため、収率が低下するばかりか、ポリマ
ー状物固形物の発生し付着が起こる。それ故に、特開平
4- 26665号公報において提案された方法を用いてもこれ
ら高沸副生物を含有したカルバミン酸エステルを熱分解
する場合にはポリマーの付着が避けられず、長期安定操
業の面からは満足のいくものとは言い難い。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、不純
物を含むポリカルバミン酸エステルを熱分解した場合で
も先行技術にみられる種々の問題点がなく、高収率でポ
リイソシアナートを長期間安定に製造できる方法を提供
することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、不純物を
含むポリカルバミン酸エステル熱分解について鋭意検
討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本
発明は、尿素とポリアミン化合物とフェノールとから製
造されるポリカルバミン酸エステル化合物を熱分解し、
対応するポリイソシアナート化合物とフェノールとを得
る方法において、イオンの含有量をポリカルバミン酸
エステル化合物に対し0.5〜50ppmに調節するこ
とを特徴とするポリカルバミン酸エステル化合物の熱分
解方法に係わる。
【0019】イオンは熱分解の触媒として公知のもの
であるが、イオンの使用量を調節することにより、前
述の活性水素を有する高沸副生物を含むポリカルバミン
酸エステルの熱分解においても、イオンの持つ副反応
に対応する触媒効果を低減し、工業的に安定にポリイソ
シアナートを製造するプロセスを提供できる。
【0020】本発明におけるイオン濃度をポリカルバ
ミン酸エステルに対し0.5〜50ppmに調節すると
いう意味は、鉄イオン濃度が高い時には積極的に除去す
ることを含むものである。
【0021】イオン濃度が、ポリカルバミン酸エステ
ルに対して50ppmを越える場合には、前述の副反応
などにより熱分解の選択率が低下するばかりでなく、不
溶解性のポリマーが生成し熱分解装置の伝熱面への付着
による伝熱効率の低下、配管の閉息などを引き起こし、
長時間にわたる安定な装置の運転が不能となる。
【0022】例えば、参考例にも示すが、尿素とポリア
ミン化合物とフェノールから、工業的に使用される金属
材質(例えばSUS 304 )の装置を使用し製造したポリカ
ルバミン酸エステル中には、ポリカルバミン酸エステル
に対し500ppmの鉄イオンと40ppmのニッケル
イオンが含まれており、このものをそのまま熱分解した
場合には、たとえ溶剤を用いても不溶解性のポリマーの
発生が著しく反応装置の汚れ、配管の閉息などを引き起
こすため長期的に安定な運転を確保する事は不能であ
る。
【0023】また、イオン濃度が、ポリカルバミン酸
エステルに対して0.5ppmよりも少ない場合には、
熱分解反応は遅く装置の大型化が必要となる。このよう
に金属材質を使用した工業装置で得られるポリカルバミ
ン酸エステルには、使用した金属材質から溶解した金属
イオンが必ず含まれており、その量は金属材質の種類、
反応原料、反応温度、滞留時間などの環境要因によって
定まる。
【0024】金属イオン濃度を調節する方法としては、
溶出してきた金属イオン濃度が高い場合には、晶析、イ
オン交換樹脂による除去、キレート樹脂による除去など
の手段により低減させる方法がとられる。また、溶出し
た金属イオンの量が少ないとき(化学装置に一般的に用
いられる鉄、鉄系金属合金、ステンレス系合金を材質と
した装置を使用した場合には、鉄イオン濃度が少なすぎ
ることは、ほとんど無い)には、これらの金属化合物を
添加する方法がとられる。添加する金属化合物として
は、熱分解反応系で溶解しているものが好ましく、例え
ば酢酸塩、ナフテン酸塩などの有機酸塩、塩化物、アセ
チルアセトン錯体などが用いられる。
【0025】本発明において原料として用いられるポリ
カルバミン酸エステルは、分解によって生成してくるイ
ソシアナートとヒドロキシル化合物のそれぞれの沸点が
反応条件下において5℃以上異なるようなN−モノ置換
ポリカルバミン酸エステルであればどのようなものでも
よい。この様なポリカルバミン酸エステルは一般式1で
示される化合物である。
【0026】 R(NHCOOR')n (式 1、但しnは2〜4の整数を表す) ここで、Rはn価(nは2〜4の整数)の飽和または不
飽和の脂肪酸基および脂環族基、芳香族基、アラルキル
基から選ばれる有機基を表し、R'はフェニル基を表
す。また、これらの有機基はイソシアナート基と反応し
ない他の置換基、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シア
ノ基、アシル基、アシロキシ基、カルバモイル基などを
含んでいてもよいし、また、イソシアナート基自身を含
んでいてもよい。また、イソシアナート基と反応しない
ニ価の官能基、例えばエーテル基、チオエーテル基、カ
ルボニル基、カルボキシル基、スルホン基などを含んで
いてもよい。
【0027】この様なポリカルバミン酸エステルとして
は、例えばo-、m-またはp-フェニレンジカルバミン酸な
どのフェニレンジカルバミン酸ジエステル類;2,4-また
は2,6-トリレンジカルバミン酸などのトリレンジカルバ
ミン酸ジエステル類;2,2'-、2,4'-または4,4'-メチレン
ビスフェニレンジカルバミン酸などのメチレンビスフェ
ニレンジカルバミン酸ジエステル類;
【0028】
【化1】
【0029】で示されるポリメリック芳香族カルバミン
酸エステル類;
【0030】
【化2】
【0031】で示される芳香族カルバミン酸のエステル
類;1,4-、1,5-、1,6-または2,6-ナフチレンカルバミン
酸などのナフチレンカルバミン酸エステル類;エチレン
ジカルバミン酸、トリメチレンジカルバミン酸、テトラ
メチレンジカルバミン酸、ペンタメチレンジカルバミン
酸、ヘキサメチレンジカルバミン酸、2,2,4-または2,4,
4-トリメチルヘキサメチレンジカルバミン酸などのアル
キレンジカルバミン酸エステル類;メチルシクロヘキサ
ン-2,4または2,6-ジカルバミン酸、3-カルバミン酸メチ
ル-3,5,5,-トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸など
の脂環族ジカルバミン酸ジエステル類;キシリレンジカ
ルバミン酸などのアラルキルジカルバミン酸ジエステル
類があげられる。
【0032】これらのポリカルバミン酸エステルは単一
のものでもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
また、これらのポリカルバミン酸エステルは必ずしも高
純度のものでなくてもよく、ポリカルバミン酸エステル
の製造時に副生する尿素結合、尿素末端、アミン末端な
どのイソシアナート基と結合しうる、カルバミン酸エス
テル以外の、活性水素を含む官能基を有する高沸点化合
物を含有していてもかまわない。
【0033】ただし、これらの活性水素を有する高沸点
副生物の量が多いとポリイソシアナートの選択率は低下
する傾向にありその含量は原料ポリカルバミン酸エステ
ルに対して5%以下が好ましい。特に、上記の活性水素
を含む高沸点化合物と鉄などの金属イオンとを不純物と
して多量に含有するポリカルバミン酸エステルを熱分解
する場合には、選択率の低下および不溶解成分の生成の
割合が著しく、選択率の低下および不溶解成分の生成に
ついては、上記の活性水素を有する高沸点化合物量と鉄
などの金属イオン含量との相乗的な効果が存在する。こ
のため、上記の活性水素を有する高沸点化合物を含有す
るポリカルバミン酸エステルを熱分解する際には、鉄な
どの金属イオン濃度を低めに調節する必要がある。
【0034】反応温度は原料のポリカルバミン酸エステ
ルが分解される温度であればどの様な温度でもよいが、
通常は140 〜380 ℃の範囲内の適当な温度に保持され
る。より好ましくは160 〜350 ℃の範囲で、さらにより
好ましいのは180 〜300 ℃の範囲である。分解速度をあ
げるためにはできるだけ高温が望ましいが、副反応を抑
制するためには低温が好ましいので、それぞれのポリカ
ルバミン酸エステルに応じて適当な温度が採用されるべ
きである。
【0035】反応圧力は前記の反応温度で分解生成物で
あるポリイソシアナートまたはヒドロキシル化合物の内
の少なくとも一つが気化する圧力でなければならなく、
好ましくは好ましからざる副反応を防止するためポリイ
ソシアナートが充分に気化する圧力の範囲である。ま
た、溶媒を用いた場合にはその溶剤が沸騰しないような
圧力を選択する必要がある。
【0036】通常、ポリイソシアナートは高沸点のもの
が多く、工業的に実施可能な程度の減圧下で行われる。
例えば、1mmHgから300mmHgの圧力範囲で実施され
る。本発明を実施する場合、その反応時間は反応条件や
触媒の使用の有無などにより異なるが、通常反応部にお
ける平均滞留時間で1〜240分、好ましくは3〜15
0分になるように設定される。
【0037】本発明においては溶媒を使用することがよ
り好ましい。溶媒は熱分解条件下で実質的に不活性であ
ればよく、その沸点が生成してくるポリイソシアナート
とヒドロキシル化合物の沸点よりも高いものを選ぶこと
が必要である。また、生成したポリイソシアナートと活
性水素を有する高沸化合物との反応生成物を溶解するよ
うな比較的極性の高い溶媒が好ましい。この様な溶媒と
しては、芳香族および部分水添芳香族の非置換または置
換の炭化水素類またはその混合物類があり、またエーテ
ル、ケトン、およびエステルのようなある種の酸素化合
物、燐酸エステル、亜燐酸エステルのような含燐化合物
あるいはチオエーテル、スルホキシド、スルホンなどの
含硫黄化合物を例示することが出来る。このような溶媒
の例としては、クメン、ジイソプロピルベンゼン、ジブ
チルベンゼン、ナフタレン、低級アルキル置換ナフタレ
ン、ドデシルベンゼンなどの芳香族炭化水素及びアルキ
ル置換芳香族炭化水素類;ジクロルベンゼン、ブロムベ
ンゼン、ジブロムベンゼン、クロルナフタレン、ブロム
ナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレンなどの
ニトロ基・ハロゲン基によって置換された芳香族炭化水
素類;ジフェニル、置換ジフェニル、ジフェニルメタ
ン、ターフェニル、アンスラセン、フェナンスレン、ジ
ベンジルトルエン各種異性体、トリフェニルメタンおよ
びこれらの部分水添物などの多環炭化水素化合物類;ジ
ブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジオク
チルフタレート、ジオクチルアジペートなどのエステル
類;トリブチルホスフェート、トリクレジルホスフェー
ト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイ
トなどの含燐エステル類;ジフェニルエーテル、ジフェ
ニルサルファイドなどのエーテル及びチオエーテル類;
ジフェニルスルホキシドなどのスルホキシド類;ジエチ
ルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホランなどのス
ルホン類;さらにはシリコン油などがあげられる。
【0038】この様な溶媒は、あまり大量に使用すると
ポリイソシアナートの空時収率を悪化させ反応装置の大
型化を招くので通常は原料のカルバミン酸エステルに対
して重量で20倍以下、さらに好ましくは10倍以下の
範囲で用いられる。溶媒の反応系への導入は、ポリカル
バミン酸エステルとの混合物として行っても別個に行っ
ても構わない。
【0039】さらに、熱分解にて生成する低沸点成分を
よりいっそう速やかに追い出す目的で搬送剤を用いるこ
ともできる。この様な搬送剤としては、窒素、アルゴ
ン、ヘリウム、炭酸ガス、メタン、エタン、プロパンな
どの不活性ガス、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベン
ゼンなどの低級炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類があげられ
る。
【0040】また、例えば特開平1-125359号公報、特公
平 2ー11581号公報、特開平1ー125359号公報に開示されて
いるような反応安定剤を併用することも可能である。本
発明に使用される反応装置としては、特殊な装置は必要
ではなく、通常の回分式または連続式の熱分解装置が使
用される。例えば縦型の管状反応器を用いて内部を流下
する際に熱分解し低沸点分解物を反応器の上部から抜き
出し高沸点分解物を反応器下部より別々に回収する方
法、槽型反応器を用いて分解物を気相に抜き出しながら
熱分解する方法およびこれらを組み合わせた方法などが
とられる。
【0041】更に、特開平4- 26665号公報において開示
された、熱分解反応部と蒸発部とを備えた反応装置も使
用できる。更に必要に応じて、これらの熱分解反応器の
上部に蒸留塔および/または部分凝縮器などを設けると
も行われる。本発明の方法で、分解により生成したポリ
イソシアナートが気相成分として得られる場合には、他
の気相成分(例えば、生成したヒドロキシル化合物、ま
た場合によっては、反応溶媒の一部)と当業者に知られ
た方法により、分離される。例えば、気相成分を蒸留塔
に導入して分離する方法、部分凝縮器により分縮分離す
る方法などがあげられる。他方、目的とするポリイソシ
アナートの沸点が高く液相成分として得られるような場
合には抽出、薄膜蒸発などの方法により他の液相成分
(例えば反応溶媒)と分離される。
【0042】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。本発明は、これら実施例によって限定されるもの
ではない。なお、実施例における測定は以下のとおりに
行った。熱分解原料の分析は、液体クロマトグラフィー
(LC)を用いて行い、熱分解生成物の分析は、ベンジ
ルアルコールなどを用いてイソシアナート基をウレタン
化させた後、液体クロマトグラフィーを用いて行った。
また、ポリイソシアナートの分析はガスクロマトグラフ
ィーも併用した。
【0043】また、金属イオンの分析は資料を灰化後、
プラズマ発光分光分析計(ICP)を用いて行った。ま
た、実施例における測定値は以下のとおり。 (1)金属イオン濃度は、原料BPCHにたいするFe
+Ni+Co+Zn+Sn+Cuの重量比で示した。た
だし、検出限界以下のものは0.01ppmとして計算した。 (2)ウレタン反応率は、PCHIも未反応物として計
算した。 (3)イソシアナート選択率は、(HDI収率)/(ウ
レタン反応率)*100不溶解成分生成率は原料BPC
Hにたいする重量比で示した。 (5)PCH純度は、BPCH/(BPCH+BPCH
U+PCHU+PCHS)で示す。 (6)CoAc2は、酢酸コバルト、 (7)DBTLは、ラウリン酸ジブチル錫を示す。
【0044】(参考例1)ポリカルバミン酸エステルの
製造例 上部に分縮器、下部にリボイラーを備えた充填剤を詰め
た高さ4m,内容積8000mlの充填塔(SUS304
製、充填物:SUS316製ヘリパック)を用い、充填
塔の上部より原料を連続的に供給し、充填塔の下部リボ
イラー部より反応物を連続的に抜きだした。また、下部
リボイラーに熱を供給しフェノール蒸気を4 kg/hrの速
度で発生させ、上部分縮器ではほぼ定量的にこのフェノ
ール蒸気を凝縮させ反応により発生したアンモニアをガ
スとして抜きだした。
【0045】ヘキサメチレンジアミン464g 、尿素6
00g 、フェノール7520g からなる原料を用い、反
応圧力2.0kg/cm2G 、反応温度225℃の条件で原料
混合物を1000g/hrの速度で供給した。反応初期の
1.5時間は非定常状態の為サンプルを廃棄した。定常
状態での原料供給量は、7000g であり、充填塔上部
から約14mol のアンモニアガスがでており、下部リボ
イラーからの抜きだし液量は6750g であった。この
抜きだし液を、ガラス製ロータリーエバポレーターを使
用し減圧下でフェノールを蒸発させ、2200g になる
まで濃縮した。
【0046】濃縮液中には、1133g の1,6-ビス
(フェノキシカルバミノ)ヘキサン(PhOCONH
(CH2 6 NHCOOPh、以下BPCHと略記す
る。)および以下の副生物および金属イオンを含んでい
た。 N,N'-ビス(6-フェノキシカバミノ- ヘキシル)尿素
7g (PhOCONH(CH2 6 NHCONH(CH2
6 NHCOOPh、以下BPCHUと略記する。) N- (6-フェノキシカバミノ- ヘキシル)尿素 8g (PhOCONH(CH2 6 NHCONH2 、以下P
CHUと略記する。) N- (6-フェノキシカバミノ- ヘキシル)サリチルア
ミド 7g (PhOCONH(CH2 6 NHCOPhOH、以下
PCHSと略記する。
【0047】) カルバミン酸フェニル 56g (PhOCONH2 、以下PCと略記する。このものは
熱分解条件下でイソシアン酸とフェノールに分解し反応
にはほとんど影響を与えない。) Fe: 250ppm 、Ni: 20ppm 、Sn: 9ppm 、
Co、Zn、Cuはいずれも検出限界(0.02ppm )
以下であった。その他金属としてCr: 45ppm が検出
された。
【0048】これらの金属イオンは、装置材料であるS
US304の組成と類似しており、装置より溶出してき
たものと推定される。また、錫はフェノールの容器であ
るブリキ缶より溶出したものと推定される。 (参考例2)キレート樹脂を用いた金属イオンの除去 内径40mm長さ600mmのガラス製のカラムを用い、内
部にキレート樹脂(三菱化成社製、商品名ダイヤイオン
CR−10)を600ミリリットル充填した。このカラ
ムを80℃に保温してから、充分な量のフェノールを流
し液を置換した。その後、参考例1で得た濃縮液を30
0ミリリットル/hr の速度でカラムに流した。流出液中
のBPCHおよび副生物の濃度は変化がなかった。ま
た、金属イオンの濃度は下記のとうりであった。
【0049】Fe: 0.1ppm 、その他金属イオンはい
ずれも検出限界以下であった。
【0050】
【実施例1】温度計、撹拌機、溜出管を備えた、500
ミリリットルのガラス製フラスコに熱分解溶媒としてブ
チルベンジルフタレート300g を入れ160℃に予備
加熱した。その後、参考例1で得た濃縮液1g と参考例
2で得た流出液99g を加え、10mmHgの圧力、220
℃の温度で2時間反応させた。反応初期にはガス発生が
激しく温度もやや低めであった。発生したガスは溜出管
を通り、冷却器で凝縮し受器に集められた。反応中期か
らフラスコ器壁に微量のゴム状の不溶解物が付着し始め
た。
【0051】反応終了後、フラスコ中の液を移し、更に
テトラヒドロフランで洗浄乾燥し、器壁に付着したもの
などを削り落とし不溶解物の量を求めた。反応成績は以
下の通りであった。 ヘキサメチレン イソシアナート(以下HDIと略記)収量 : 23.6g (92モル%) 未反応BPCH量 : 0.3g(2モル%) 6ーフェノキシカルバミノーヘキシルイソシアナート (以下PCHIと略記) 収量 : 0.6g(4モル%) フェノール収量 :73.6g 不溶解成分量 : 0.01g
【0052】
【実施例2〜4】実施例1と同様な装置を用い同様な方
法で、参考例1で得た濃縮液と、参考例2で得た溜出液
の比を変化させることにより、金属イオン濃度を変えて
反応成績を測定した。BPCHの熱分解−金属イオン濃
度の影響の結果を表1にまとめて示す。
【0053】
【比較例1〜3】実施例1と同様な装置を用い同様な方
法で、参考例1で得た濃縮液と、参考例2で得た溜出液
の比を変化させることにより、金属イオン濃度を変えて
反応成績を測定した。結果を表1にまとめて示す。
【0054】
【表1】
【0055】実施例1〜4および比較例1〜3に示すよ
うに、金属イオン濃度には最適値があることが明らかで
ある。 (参考例3)1000ミリリットルの撹拌槽に参考例2
で得たカラム流出液 440g とメチルイソブチルケト
ン 500g を加え約90℃に撹拌、加温して均一に溶
解させた。その後徐々に冷却し、10℃にまで冷やし結
晶を析出させた。得られた結晶を濾別し、更にメチルイ
ソブチルケトンで洗浄し、真空乾燥し、精製BPCH2
00g を得た。このものの純度は99.5%であり、
0.3%のBPCHUと0.2%のPCHUを含んでい
た。また、金属イオンは、いずれの金属イオンも検出限
界(0.02ppm )以下であった。
【0056】
【実施例5】熱分解原料として、300g のブチルベン
ジルフタレートと参考例3で得た精製BPCH 50g
にトリス−アセチルアセトナト鉄を鉄イオンとして6pp
m vsBPCH になるように添加したものを用い、実施例1
と同様な装置を用い、同様な方法で熱分解反応を行っ
た。純度の影響の反応成績は表2にまとめて示す。
【0057】
【比較例4】実施例5とトリス−アセチルアセトナト鉄
の添加量を鉄イオンとして280ppm vs BPCH に変更し
た以外は同様な検討を行った。純度の影響の反応成績は
表2にまとめて示す。
【0058】
【実施例6】熱分解原料として、濃度50%、純度95
%、金属イオン濃度がいずれも検出限界以下のBPCH
にトリス−アセチルアセトナト鉄添加したものをを原料
として、実施例1と同様な方法で検討を行った。純度の
影響の反応成績は表2にまとめて示す。
【0059】
【比較例5】実施例6と鉄イオンの添加量を変えた以外
は同様な検討を行った。純度の影響の反応成績は表2に
まとめて示す。
【0060】
【表2】
【0061】表2に示したように、熱分解に用いる原料
の純度が低く金属イオン濃度が高い場合には、不溶解成
分の生成は著しく、金属イオン濃度を低く調節する必要
があることは明かである。 (参考例4)参考例1と同じ装置を用い、イソフォロン
ジアミン(3-アミノメチル-3,5,5-トリメチル- シクロ
ヘキシルアミン)682g 、尿素530g 、ブタノール
5920g からなる原料を反応温度200℃、反応圧力
8.5kg/cm2G の条件下で600 g/hr の速度で供給し
た。また、下部リボイラーからはブタノール蒸気を3kg
/hr の速度で発生させ、上部分縮器で発生するアンモニ
アをガスとしてのがし、ブタノールはほぼ定量的に凝縮
させた。
【0062】下部リボイラーから合計で6850g の反
応液を抜き出し、これを3000gにまでガラス製ロー
タリーエバポレーターで濃縮した。濃縮液中には、14
23g の1-ブトキシカルバミノ-3- ブトキシカルバミノ
メチル-3,5,5- トリメチル- シクロヘキサン(収率;9
6%、以下BBTHと略記する。))および以下の副生
物と金属イオンを含んでいた。
【0063】N,N'- ビス(3-ブトキシカルバミノメチ
ル-3,5,5- トリメチル- シクロヘキシル)尿素 25g N-(3-ブトキシカルバミノメチル-3,5,5- トリメチル
- シクロヘキシル)尿素 23g カルバミン酸ブチル 94g Fe:160ppm 、Ni:14ppm 、Co:0.05
ppm 以下、Zn:0.05ppm 以下、Sn:7ppm 、C
u:0.05ppm 以下、その他金属として、Cr:30
ppm が検出された。
【0064】(参考例5) 参考例2の装置を用い同様な方法で、参考例で得た濃
縮液をキレート樹脂に対する空時速度0.2/hrの流量
でカラムに流した。流出液中のBBTHおよび副生物の
濃度の変化は無かった。また、金属イオン濃度はいずれ
も0.02ppm以下であった。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【実施例13】図1に示したような、反応部として20
0ミリリットルの容積を有する単一管型の反応部1およ
び2と内径19.4mm、高さ4.0mのジャケット付き
の濡れ壁流下膜型の蒸発部3および4(各々蒸発部面積
約0.24m2)、液相の循環に用いられるポンプ5およ
び6、分縮器7および凝縮器8を有する熱分解装置を用
い、反応部1および蒸発部3における液相の温度を22
0℃、圧力を8mmHgとし、また、反応部2および蒸発部
4における液相の温度を230℃、圧力を8mmHgとし、
ポンプ5および6を用いて40リットル/hrの速度で液
相を循環しながら、反応器1の入り口から、参考例1で
得た濃縮液1重量%、参考例2で得たカラム流出液39
重量%、ブチルベンジルフタレート60重量%からなる
混合物を90℃に予熱して、1000g/hrの速度で供給
した。
【0071】熱分解反応により発生したガスは100℃
に調節された分縮器7でHDIを主成分とする液が凝縮
され、40℃に調節された凝縮器8でフェノールを主成
分とする液が凝縮された。また、蒸発部4の下部から
は、熱分解溶剤であるブチルベンジルフタレートおよび
それに溶解した反応物を含む液が横溢して得られた。反
応を200時間継続し、その間に分縮器7で得られたH
DIの量は供給したBPCHにたいして 92モル%で
あった。凝縮器8で得られたフェノール中にHDIが混
入しておりこの量は供給したBPCHにたいして3モル
%であった。
【0072】また、蒸発部4の下部より横溢した液中に
は、反応中間体であるPCHIおよび気化しなかったH
DIが含まれており、この量は両者あわせて、供給して
BPCHにたいして3モル%であった。反応終了後、テ
トラヒドロフランを用いて洗浄を行い、装置を解体して
反応部および蒸発部に付着した不溶解成分の量を測定し
た。不溶解成分の量は供給したBPCHにたいして0.
03重量%であった。
【0073】(参考例12)実施例13と同じ装置をも
ちい、原料の組成を参考例1で得た濃縮液40重量%、
ブチルベンジルフタレート 60重量%に変更した以外
は同じ条件で反応を行った。反応時間が40時間を経過
した頃から、ポンプ5、6のストレーナーに詰まりが頻
繁に発生しストレーナーを交換しながら反応を200時
間継続した。
【0074】分縮器7で得られたHDIの収量は、供給
したBPCHにたいして87モル%であり、凝縮器8に
混入していたHDIの量は2モル%であった。蒸発部4
より横溢した液には反応中間体のPCHIおよび気化し
なかったHDIがあわせて供給したBPCHにたいして
2モル%含まれていた。また、この液中には分子量50
0から5000程度のオリゴマー成分が供給したBPC
Hにたいして6重量%程度溶解していた。
【0075】装置を解体後点検を行ったところ、蒸発部
3および反応部1の付着が著しく、付属する配管は閉息
寸前の状態の部分もあり、これ以上の長時間にわたる運
転は困難そうな状態であった。また、付着量はストレー
ナーに捕捉した量も含めて、供給したBPCHにたいし
て0.6重量%であった。
【0076】
【発明の効果】実施例、比較例を較べても明らかなよう
に、本発明の方法は、従来技術の公知の方法に較べ、高
収率、高選択率で、目的とするイソシアナートが得ら
れ、しかも長期運転時のポリマーの付着も極めて小さ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例13の工程の一例を示す説明図。
【符号の説明】 :反応部 :蒸発部 :ポンプ :分縮器 :凝縮器 A:原料供給口 B:粗HDI取出口 C:フェノール取り出し口 D:真空ポンプにつながる E:熱分解溶剤取り出し口

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 尿素とポリアミン化合物とフェノール
    とから製造されるポリカルバミン酸エステル化合物を熱
    分解し、対応するポリイソシアナート化合物とフェノー
    とを得る方法において、イオンの含有量をポリカル
    バミン酸エステル化合物に対し0.5〜50ppmに調
    節することを特徴とするポリカルバミン酸エステル化合
    物の熱分解方法。
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