JP6754999B2 - 樹脂組成物、低誘電率樹脂シート、プリプレグ、金属箔張り積層板、高周波回路基板および多層配線基板 - Google Patents

樹脂組成物、低誘電率樹脂シート、プリプレグ、金属箔張り積層板、高周波回路基板および多層配線基板 Download PDF

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Description

本発明は、高周波回路基板の絶縁材料等に好適に用いられる樹脂組成物、並びにそれを用いた低誘電率樹脂シート、プリプレグ、金属箔張り積層板、高周波回路基板および多層配線基板に関する。
近年、携帯電話、無線LAN、移動体間通信等の電波を用いた通信機器の発達により、情報の大容量化に伴い、通信信号の高周波化、通信機器の小型化が進んでいる。これら高周波帯域(ミリ波)で使用される通信機器の高周波回路基板には、優れた誘電特性(低誘電率(ε)および低誘電正接(tanδ))が要求される。
従来、高周波帯域で使用される通信機器の高周波回路基板には、高周波特性(低誘電率、低誘電正接特性)、ハンダ耐熱性等の観点から、フッ素樹脂、ビスマレイミド・トリアジン(BT)レジン、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂などをベースとした基材が主に使用されている。
このような高周波回路基板は、ガラスクロスにフッ素樹脂等を含浸、乾燥させてプリプレグを作製した後、プリプレグとフッ素樹脂シート等の樹脂シートとを複数枚重ね合わせ、最表面に銅箔を積層して、プレスにより高温加圧成形を行い、次いでサブトラクティブ法により銅箔を回路パターンに形成することで、製造される。
スルーホールへの銅メッキの密着性を向上させるためには、フッ化水素酸のような特殊な酸でスルーホール内の表面処理をしなければならず、工程が複雑である。さらに、この表面処理はバッチ処理となり、高コスト、低生産性であり、更に成型温度が非常に高い。そのため、高周波回路基板を製造しにくいという問題がある。
一方、特許文献1には、樹脂の特性が損なわれない上、誘電率が低い性質を有する樹脂組成物として、特定のエポキシ樹脂、特定のフェノール樹脂および特定の粒子径のポリテトラフルオロエチレンフィラーを含有する樹脂組成物が開示されている。
特開2013−79326号公報
しかしながら、この樹脂組成物を硬化させて得られた基板でも、誘電特性が十分ではなかった。
このような状況下、高周波回路基板に要求される誘電特性を保持しつつ、簡単に成形が可能で加工性(生産性)の良い誘電材料が求められている。
本発明の課題は、誘電特性に優れた高周波回路基板とすることができ、かつ加工性に優れた樹脂組成物、並びにそれを用いた低誘電率樹脂シート、プリプレグ、金属箔張り積層板、高周波回路基板および多層配線基板を提供することである。
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、フッ素樹脂フィラーとを含む樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂が、液状エポキシ樹脂と環状脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂を少なくとも含有し、前記フッ素樹脂フィラーの含有量が、前記樹脂組成物の固形分に対して、50〜85質量%である。
本発明の低誘電率樹脂シートは、前記樹脂組成物のシート状の半硬化物である。
本発明のプリプレグは、織布及び/あるいは不織布と、前記織布及び/あるいは不織布中に充填され、かつ前記織布及び/あるいは不織布の表面を被覆する、前記樹脂組成物の半硬化物と、を備える。
本発明の金属箔張り積層板は、前記低誘電率樹脂シートの硬化物及び前記プリプレグの硬化物から選ばれる少なくとも1つからなる絶縁層と、前記絶縁層の片面または両面に配置された金属箔と、を備える。
本発明の高周波回路基板は、前記金属箔張り積層板の前記金属箔が回路パターンに形成された回路である。
本発明の多層配線基板は、内層回路を有するコア基板の片面または両面に、層間絶縁層及び回路層が交互に積層された多層配線基板であって、前記層間絶縁層は、前記低誘電率樹脂シートの硬化物及び前記プリプレグの硬化物から選ばれる少なくとも1つからなる。
本発明によれば、誘電特性に優れた高周波回路基板とすることができ、かつ加工性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
<樹脂組成物>
樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、フッ素樹脂フィラーとを含み、フッ素樹脂フィラーの含有量は、樹脂組成物の固形分に対して、50〜85質量%である。この樹脂組成物は、誘電特性に優れるフッ素樹脂フィラーを含み、フッ素樹脂フィラーの含有量が上記範囲内であるので、この樹脂組成物の硬化物は誘電特性に優れる。さらに、この樹脂組成物の硬化物は、フッ化水素酸などの特殊な酸を用いなくとも、標準的な酸によって溶解され得るので、加工性に優れる。そのため、樹脂組成物は、高周波回路基板の絶縁材料等に好適に用いられる。ここで、固形分とは、樹脂組成物のうちの溶剤以外のすべての成分をいう。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、プリント配線板用の各種基板材料を形成するために用いられるエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。特に誘電特性に優れるエポキシ樹脂を用いることが望ましい。
エポキシ樹脂はその製造工程の違いから大きく、グリシジルエーテル型(大半のエポキシ樹脂はこれに属する)、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型、脂環式の4つに分類される。また分子量により常温で液状のエポキシ樹脂と固形のエポキシ樹脂があるが、エポキシ樹脂の基本骨格を使用して基本骨格型エポキシ樹脂と記載する場合が一般的である。例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂では液状もあれば固形も存在する。
従って、ここでは骨格の名称を本発明に用いられるエポキシ樹脂の呼び名として記載する。例として、ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂(具体例:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)などである。
更に上記の呼び名では取り扱えない複雑な骨格をもつエポキシ樹脂もあり、個別に以下に記載する。トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のグリシジルエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
また、上記列挙した以外にも、各種のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式(オレフィン酸化型)エポキシ樹脂、リン変性エポキシ樹脂などが挙げられる。
エポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、硬化性に優れるという点では、1分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を使用することが好ましい。
エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは14〜49質量%、より好ましくは14〜30質量%である。エポキシ樹脂の含有量が上記範囲内であれば、エポキシ樹脂の特性が損なわれない樹脂組成物の硬化物とすることができる。
特に、液状エポキシ樹脂と環状脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂を用いることが誘電特性に効果的である。環状脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂としては、例えばジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が挙げられる。
(フッ素樹脂フィラー)
フッ素樹脂フィラーとしては、誘電特性に優れるものであればよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィラー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)フィラー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)フィラー、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)フィラー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)フィラーなどが挙げられ、なかでもPTFEフィラーが好ましい。PTFEフィラーの一例では、測定周波数1MHzにおいて、誘電率が2.1であり、誘電正接が0.0003以下である。この誘電率及び誘電正接は、ASTM D150に準拠して測定した数値である。
フッ素樹脂フィラーの含有量は、樹脂組成物の固形分に対して、50〜85質量%であり、好ましくは50〜80質量%、より好ましくは55〜80質量%である。フッ素樹脂フィラーの含有量が50質量%未満であると、低誘電率化に高い効果を発揮しないおそれがある。一方、フッ素樹脂フィラーの含有量が85質量%を超えると、エポキシ樹脂の特性が損なわれるおそれがある。すなわち、樹脂組成物には、フッ素樹脂フィラーが高充填されているので、樹脂組成物の硬化物は誘電特性に優れる。そのため、この樹脂組成物の硬化物を高周波回路基板の絶縁材料として用いれば、誘電特性に優れた高周波回路基板とすることができる。しかも、フッ素樹脂フィラーの含有量に関係なく、エポキシ樹脂の硬化剤として標準的に用いられる硬化剤を使用すれば、標準的な成型条件で高周波回路基板を作製することができる。
フッ素樹脂フィラーの平均粒径は、後述する樹脂シートの厚みなどに応じて適宜調整すればよく、好ましくは0.3〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。フッ素樹脂フィラーの平均粒径が上記範囲内であれば、樹脂組成物の硬化物を使用した高周波回路基板を用いてビルドアップ多層回路基板を作製する際に回路の埋め込み性が悪くなったり、回路の上にフッ素樹脂フィラーに由来する突起ができ、絶縁層の厚みムラが生じるなどの不具合が発生しにくい。さらに、フッ素樹脂フィラーの比表面積が異常に大きくなることがないため、例えば、樹脂組成物の半硬化物である樹脂シートを加熱溶融すれば、成型し易い粘度に低下してくれるために、成型性が良好となる。なお、後述するように、樹脂組成物がシリカフィラーをさらに含む場合には、フッ素樹脂フィラーの平均粒径は、1〜5μmであることが好ましい。但し、フッ素樹脂フィラーの平均粒径は、フッ素樹脂フィラーの粒径とシリカフィラーの粒径との最適化をすることで、この範囲から外れる場合もある。
本発明において、平均粒径とは、体積累積平均径(D50)を意味する。平均粒径の測定には、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置MT−3300(日機装(株)製)を用いることができる。
フッ素樹脂フィラーは、平均粒径が異なる2種のフッ素樹脂フィラーからなるのが好ましい。すなわち、平均粒径が大きい第1フッ素樹脂フィラーと、平均粒径が小さい第2フッ素樹脂フィラーとを併用するのが好ましい。これにより、第1フッ素樹脂フィラーおよび第2フッ素樹脂フィラーを併用しない場合に比べて、樹脂組成物にフッ素樹脂フィラーを高充填することができる。
第1フッ素樹脂フィラーの平均粒径は、好ましくは3〜10μm、より好ましくは3〜5μmである。第2フッ素樹脂フィラーの平均粒径は、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.3〜1μmである。第1フッ素樹脂フィラーの混合割合は、フッ素樹脂フィラーの総質量に対して、好ましくは60〜90質量%、より好ましくは65〜85質量%である。
(硬化剤)
硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させることができるものであれば特に制限されず、例えば、エステル型硬化剤、アミン系硬化剤、尿素系硬化剤、酸無水物系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤、フェノール性化合物系硬化剤等を用いることが出来る。なかでも、特に、エステル型硬化剤を用いることにより極性基を減らした硬化物とすることにより、誘電特性でも特に低誘電性正接化に効果的であり、例えば活性エステル型硬化剤が用いられる。硬化剤として、エステル型硬化剤を用いる場合は、エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂とジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とを用いることによって、さらに低誘電正接化を向上することが出来る。
硬化剤が、潜在性硬化剤及びアミン系硬化剤から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。ここで、潜在性硬化剤とは、窒素環を有する化合物で、エポキシ樹脂とのみ(促進剤等を含まない)混合した配合物の反応による発熱温度のピーク(DSC=示差走査熱量試験器等を用いた測定による)が80〜250℃の範囲内に存在するものである。潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、ヒドラジド系化合物、尿素誘導体、イミダゾール誘導体などが挙げられる。
また、アミン系硬化剤は、少量の添加であっても硬化剤として効果を発揮させやすく、例えばカルボン酸ヒドラジド、ジエチレントリアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
尿素系硬化剤としては、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素等が挙げられる。酸無水物系硬化剤としては、無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水ヘキサヒドロフタール酸等が挙げられる。芳香族アミン系硬化剤としては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン酸等が挙げられる。フェノール性化合物系硬化剤としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ピロガロール等が挙げられる。
これらの中でも、低温(たとえば、約70℃以下)で反応性が低く、高温(たとえば、約100℃以上)で高い反応性が得られる潜在性硬化剤を必須成分として含む硬化剤を用いると、後述する樹脂シートやプリプレグの保存期間が長い等の利点が得られるので好ましい。硬化剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
特に、硬化剤は、少量の添加でも硬化剤として十分に機能する、潜在性硬化剤及びアミン系硬化剤から選ばれる少なくとも1種以上であるのが好ましい。これにより、少量の硬化剤に対してエポキシ樹脂の含有割合を高くすることができる。そのため、エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂などを用いた場合には、樹脂シートの性状を良好にするために、エポキシ樹脂を最適に配合し易くなり、樹脂組成物の硬化物の高耐熱性や強靭性とのバランス設計が容易となる。潜在性硬化剤とアミン系硬化剤とを併用する場合は、ジシアンジアミド、芳香族アミン系、イミダゾール等が挙げられる。
なお、フェノール性化合物系硬化剤などの分子量が大きいわりにOH基の少ない硬化剤を用い、樹脂組成物にフッ素樹脂フィラーを高充填して樹脂シートとすると、常温で割れ易くなったり、柔軟性に欠けるなどシート性状に問題が発生し易くなる。しかし、潜在性硬化剤を使用すれば、OH基が少ない場合であっても優れた誘電特性、特に低誘電正接化に効果的である。
樹脂組成物は、硬化促進剤をさらに含んでもよい。硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミンなどの三級アミン類、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(シリカフィラー)
樹脂組成物は、シリカフィラーをさらに含んでもよい。樹脂組成物がシリカフィラーを含む場合、フッ素樹脂フィラーの平均粒径は、シリカフィラーの平均粒径より大きいことが好ましく、好ましくは1〜5μmであり、より好ましくは1〜3μmである。シリカフィラーの平均粒径は、好ましくは0.3〜2μmであり、より好ましくは0.3〜1.0μm、特に好ましくは0.5〜1.0μmである。
このように、シリカフィラーの平均粒径が0.3〜2μm、フッ素樹脂フィラーの平均粒径が1〜5μmであり、フッ素樹脂フィラーの平均粒径がシリカフィラーの平均粒径より大きいことにより、樹脂組成物にフッ素樹脂フィラーを含有させたのみでは発現されにくい、低熱膨張係数、高周波特性、高流動性などの特性を樹脂組成物の硬化物に付与することができる。
樹脂組成物は、難燃助剤、増粘剤、熱膨張係数の制御、積層板の強靱化などの役割を果たす各種のフィラー、エラストマー微粒子などの添加剤をさらに含んでもよい。
フィラーとしては、樹脂組成物の硬化物の誘電率に影響を与える無機フィラーでなければ、水酸化アルミニウムなどの公知のフィラーを用いることができる。樹脂組成物の硬化物の誘電率に影響を与える無機フィラーとしては、硫酸バリウム、アルミナ、窒化アルミニウムなどの高誘電率の無機フィラーや、窒化ボロンなどの誘電率がある程度低い無機フィラーなどが挙げられる。
樹脂組成物は、必要に応じて、熱重合禁止剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の添加剤、着色用顔料などを含んでもよい。
難燃剤としては、特に限定されず、例えば、難燃性が付与されたリン含有エポキシ樹脂などの一般的な難燃剤が挙げられる。
樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、およびフッ素樹脂フィラー、必要に応じて配合される上記の各成分をミキサーやブレンダーなどを用いて均一に混合することにより調製することができる。このとき、必要に応じて溶剤で希釈し、ワニスとして調製してもよい。希釈溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メトキシプロパノールなどが用いられる。
<低誘電率樹脂シート>
低誘電率樹脂シートは、樹脂組成物のシート状の半硬化物である。そのため、低誘電率樹脂シートは、プリプレグのように、その内部にガラスクロスを含まず、凹凸面への充填性が非常に高い。樹脂組成物のシート状の半硬化物とは、樹脂組成物が半硬化状態にあるものをいう。
ここで、半硬化状態とは、いわゆるプリプレグ等でのBステージ状態のことである。すなわち、樹脂組成物を加熱することにより、樹脂組成物の反応を一部行わせた状態であり、室温でベタベタしない程度に硬化した状態のものである。従って、低誘電率樹脂シートは、従来のプリプレグと同様に、積層成形の加熱加圧により一旦溶融した後に硬化する性質を備える。
低誘電率樹脂シートは、硬化状態における誘電率(低誘電率樹脂シートの硬化物の誘電率)が、10GHz帯域で好ましくは3.5以下、より好ましくは2.0〜3.5、さらに好ましくは2.0〜3.0、特に好ましくは2.0〜2.5である。低誘電率樹脂シートの硬化物の誘電率が上記範囲内であれば、情報処理の高速化に要求される信号伝達速度をより高速化することができる。今後更なる高周波化により、50GHz帯域であっても同様の効果が期待できる。
低誘電率樹脂シートは、硬化状態における誘電正接(低誘電率樹脂シートの硬化物の誘電損失)が、10GHz帯域で好ましくは0.001〜0.015、より好ましくは0.001〜0.012である。低誘電率樹脂シートの硬化物の誘電正接が上記範囲内であれば、例えば、高周波数帯を利用する電子機器において、伝送時の損失をより低減することができる。ここで、硬化状態とは、樹脂組成物の重合(架橋)がほぼ完全に進行した状態をいう。低誘電率樹脂シートの硬化物とは、樹脂組成物が硬化状態にあるものをいう。
低誘電率樹脂シートは、硬化状態におけるガラス転移温度(低誘電率樹脂シートの硬化物のガラス転移温度)が、好ましくは150〜230℃、より好ましくは170〜200℃である。
誘電率の測定には、例えば、空洞共振器を用いたマイクロ波共振器法や伝送線路法を用いることができる。誘電正接の測定には、例えば、上記と同じく空洞共振器を用いたマイクロ波共振器法や伝送線路法を用いることができる。本発明において、ガラス転移温度は、実施例に記載の方法と同様にして測定することができる。
低誘電率樹脂シートは、例えば、樹脂組成物を基材フィルムに塗布した後、樹脂組成物を半硬化状態となるまで乾燥させることにより得られる。このため、一度にある程度厚い低誘電率樹脂シートを1回の乾燥工程で作製することができ、非常に効率的に作製することができる。
低誘電率樹脂シートの硬化物の誘電率を上記範囲内とするには、例えば、フッ素樹脂フィラーの含有量を、樹脂組成物の固形分に対して、50質量%以上とすればよく、フッ素樹脂フィラーの含有量が高いほど、低誘電率樹脂シートの硬化物の誘電率は低くなる。
基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどが挙げられる。この低誘電率樹脂シートは、使用時に基材フィルムから剥がされる。
<プリプレグ>
プリプレグは、織布及び/あるいは不織布(織布及び不織布から選ばれる少なくとも1つ)と、織布及び/あるいは不織布中に充填され、かつ織布及び/あるいは不織布の表面を被覆する、樹脂組成物の半硬化物と、を備える。樹脂組成物の半硬化物とは、織布及び/あるいは不織布中に充填され、かつ織布及び/あるいは不織布の表面を被覆する、樹脂組成物が半硬化状態にあるものをいう。半硬化状態(Bステージ状態)とは、熱硬化性樹脂において効果状態の中間の段階にあるものをいう。
プリプレグは、硬化状態における誘電率(プリプレグの硬化物の誘電率)が、好ましくは2.5〜4.0、より好ましくは2.8〜3.7である。プリプレグは、硬化状態における誘電正接(プリプレグの硬化物の誘電正接)が、好ましくは0.001〜0.010、より好ましくは0.002〜0.006である。プリプレグは、硬化状態におけるガラス転移温度(プリプレグの硬化物のガラス転移温度)が、好ましくは150〜230℃、より好ましくは170〜200℃である。ここで、プリプレグの硬化物とは、織布及び/あるいは不織布中に充填され、かつ織布及び/あるいは不織布の表面を被覆する、樹脂組成物が硬化状態にあるものをいう。
樹脂組成物の含浸量は、織布及び/あるいは不織布と樹脂組成物を合わせた総質量に対して好ましくは50〜75質量%、より好ましくは60〜75質量%である。樹脂組成物の含浸量が上記範囲内であれば、誘電特性に優れたプリプレグの硬化物とすることができる。
プリプレグは、例えば、樹脂組成物を公知の方法により、織布及び/あるいは不織布に含浸した後、樹脂組成物を半硬化状態となるまで乾燥させることで得られる。
プリプレグの硬化物の誘電率は、例えば、フッ素樹脂フィラーの含有量、樹脂組成物の含浸量を調整することなどにより、調整することができる。織布及び/あるいは不織布としては、例えば、無機織布、無機不織布、有機織布、有機不織布が挙げられる。特にガラスクロスや、液晶ポリマー不織布が用いられる。液晶ポリマー不織布としては、例えば、ポリアリレート系ポリマー不織布が挙げられる。ポリアリレート系ポリマー不織布としては、株式会社クラレ製の「ベクルス」などが挙げられる。織布及び不織布を共に用いる場合は、中央部に不織布、最外層に織布をそれぞれ用いることができる。
<金属箔張り積層板>
金属箔張り積層板は、絶縁層と、この絶縁層の片面または両面に配置された金属箔と、を備える。すなわち、金属箔張り積層板の構成は、絶縁層と、この絶縁層の片面に配置された金属箔とからなる2層構成、又は、絶縁層と、この絶縁層の両面に配置された金属箔とからなる3層構成である。
絶縁層は、低誘電率樹脂シートの硬化物及びプリプレグの硬化物から選ばれる少なくとも1つからなり、例えば、低誘電率樹脂シートの硬化物からなる単層体、プリプレグの硬化物からなる単層体、低誘電率樹脂シートの硬化物とプリプレグの硬化物とを交互に積層させた積層体などであってもよい。これにより、低誘電率の金属箔張り積層板とすることができる。
金属箔としては、例えば、銅箔、銀箔、アルミニウム箔、ステンレス箔等が挙げられる。
金属箔張り積層板は、低誘電率樹脂シート及びプリプレグから選ばれる少なくとも1つと金属箔を積層し、公知の方法により樹脂組成物が完全に硬化するように加熱及び加圧を行なうことによって、得られる。金属箔張り積層板は、エポキシ樹脂がベースとなるので、低誘電率の金属箔張り積層板を標準的な成型条件で加工できる。すなわち、真空成型機により、上記層構成の材料をステンレスプレートで挟んで、室温から熱盤温度175℃まで加圧加熱させて90分間硬化させてから冷却して、銅張り積層板を得ることが出来る。特に一般的なエポキシ樹脂の硬化系を使用した樹脂組成物であるので、標準的な成型条件で硬化が起き、200℃以上にもなる高温で成型する必要がない。
<高周波回路基板>
高周波回路基板は、金属箔張り積層板の金属箔が回路パターンに形成された回路である基板である。すなわち、高周波回路基板は、絶縁層と、この絶縁層の片面に配置された回路パターンとからなる2層構成、又は、絶縁層と、この絶縁層の両面に配置された回路パターンとからなる3層構成であり、スルーホールなどが形成されていてもよい。特に低誘電率樹脂シートをコア基板にビルドアッププロセスによって、積み重ねて、ビア形成して多層化することも可能となる。高周波特性の優れた回路基板であるので、携帯電話、無線LAN、移動体間通信等の電話を用いた通信機器など、高周波信号により通信される電子基板として好適に用いられる。
高周波回路基板は、例えば、サブトラクティブ法により、金属箔張り積層板の金属箔を所望の回路パターンに形成することや、アディティブ法により、低誘電率樹脂シートの硬化物及びプリプレグの硬化物から選ばれる少なくとも1つからなる絶縁体の片面または両面に所望の回路パターンを付加することで、得られる。この際、高周波回路基板の基本の骨格はエポキシ樹脂であるので、スルーホール加工等はエポキシ樹脂に準じた加工性を有する。すなわち、基本の骨格がフッ素樹脂等である場合のように、フッ化水素酸などの特殊な酸でスルーホール内の表面処理をしなければならないことということはなく、標準的な酸を用いることができる。そのため、加工性に優れる。
標準的な酸としては、一般的にデスミア処理に使用される酸であり、例えば、過マンガン酸、濃硫酸やクロム酸などが挙げられる。
<多層回路基板>
多層回路基板は、内層回路を有するコア基板の片面または両面に、層間絶縁層及び回路層が交互に積層されたものである。多層回路基板の層構成は、多層回路基板の使用用途等に応じ、適宜調整すればよい。
コア基板としては、例えば、上述した高周波回路基板、ガラスエポキシ基板、ビスマレイミド−トリアジン(BT)樹脂基板、樹脂付銅箔(RCC)基板等の樹脂基板、窒化アルミニウム基板等のセラミック基板、シリコン基板などが挙げられる。
層間絶縁層は、低誘電率樹脂シートの硬化物及びプリプレグの硬化物から選ばれる少なくとも1つからなり、例えば、低誘電率樹脂シートの硬化物からなる単層体、プリプレグの硬化物からなる単層体、低誘電率樹脂シートの硬化物とプリプレグの硬化物とを交互に積層させた積層体などであってもよい。多層回路基板が層間絶縁層を2層以上有する場合、各層間絶縁層は異なる構成であってもよい。これにより、ビア加工等はエポキシ樹脂に準じた加工性を有するので、加工性に優れる。さらに低誘電率の多層回路基板とすることができる。
回路層は、例えば、金属箔が所望の回路パターンに形成されたものや、金属蒸着されたものなどが挙げられる。回路層に用いられる金属箔としては、例えば、銅箔、銀箔、アルミニウム箔、ステンレス箔等が挙げられる。
多層回路基板は、例えば、ビルドアッププロセスにより得られる。具体的には、コア基板の片面又は両面に低誘電率樹脂シート及びプリプレグから選ばれる少なくとも1つを積層して硬化させて硬化物とした後、写真法や標準的な酸などによりこの硬化物にビア形成し、この硬化物(層間絶縁層)上に回路層を積層する。この層間絶縁層上に再び低誘電率樹脂シート及びプリプレグから選ばれる少なくとも1つを積層して硬化させた後、写真法や標準的な酸などによりビア形成し、回路層を積層することを繰り返すことで得られる。この際、層間絶縁層と回路層との接着力を確保するために、層間絶縁層の表面を過マンガン酸溶液などによりエッチング粗化した後、回路層を積層してもよい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
実施例において、誘電率、誘電正接(誘電損失)およびガラス転移温度の測定方法は下記のとおりである。
<誘電率および誘電正接測定>
(株)関東電子応用開発製の空洞共振「CP461」を用い、2GHzと10Ghzにおける銅張積層板の誘電率及び誘電正接を測定した。
<ガラス転移温度測定>
セイコーインスツルメンツ(株)製の粘弾性スペクトロメータ「DMS100」を用いて、樹脂シートの硬化物のTgを測定した。このとき、曲げモジュールで周波数を10Hzとして動的粘弾性測定(DMA)を行い、昇温速度5℃/分の条件で室温から280℃まで昇温した際のtanαが極大を示す温度をTgとした。
[実施例1]
下記に示すエポキシ樹脂(多官能エポキシ樹脂及びビスフェノールA型液状エポキシ樹脂)、硬化剤、フッ素樹脂フィラー(平均粒径:1.5μm)、溶剤を準備し、これらの原料を、多官能エポキシ樹脂を19質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を10質量部、硬化剤を1質量部、フッ素樹脂フィラーを70質量部、溶剤は、粘度が10000CPSになるように添加して混合して攪拌し、樹脂ワニス(樹脂組成物)を調製した。フッ素樹脂フィラーは、樹脂組成物の固形分に対して、70質量%配合されていた。
各原料の詳細は以下のとおりである。
<エポキシ樹脂>
・多官能エポキシ樹脂(プリンテック社製の「VG3101」、固形分濃度:100質量%)
・ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製の「エピコート828」、固形分濃度:100質量%)
<硬化剤>
・三菱化学社製の「DICY」
<フッ素樹脂フィラー>
・アドマテックス社製の「PTFEフィラー」
<溶剤>
・大伸化学社製の「MEK」、三菱ガス化学社製の「DMF」。
得られた樹脂ワニスを130℃で10分間乾燥してシート化し、半硬化状態の樹脂シートを得た。次いで、得られた樹脂シートを175℃で90分硬化させて、樹脂シートの硬化物を得た。
得られた樹脂シートの硬化物の誘電率、誘電正接およびガラス転移温度(Tg)を測定した。測定結果は以下のとおりである。
誘電率は、2.37(2GHz)、2.40(10GHz)であった。誘電正接は、0.012(2GHz)、0.012(10GHz)であった。Tgは185℃であった。
[実施例2]
下記に示すエポキシ樹脂(多官能エポキシ樹脂及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂)、硬化剤、フッ素樹脂フィラー(平均粒径:3.0μm)、シリカフィラー(平均粒径:1.0μm)、溶剤を準備し、これらの原料を、多官能エポキシ樹脂を13質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を9質量部、硬化剤を1質量部、フッ素樹脂フィラーを58質量部、シリカフィラーを19質量部、溶剤を15000CPSになる程度に含有させて攪拌し、樹脂ワニス(樹脂組成物)を調製した。フッ素樹脂フィラーは、樹脂組成物の固形分に対して、58質量%配合されていた。
各原料の詳細は以下のとおりである。
<エポキシ樹脂>
・多官能エポキシ樹脂(プリンテック社製の「VG3101」、固形分濃度:100質量%)
・ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製の「YX4000H」、固形分濃度:100質量%)
<硬化剤>
・三菱化学社製の「DICY」
<フッ素樹脂フィラー>
・アドマテックス社製の「PTFEフィラー」
<シリカフィラー>
・アドマテックス社製の「SO−E3」
<溶剤>
・大伸化学社製の「MEK」、三菱ガス化学社製の「DMF」。
得られた樹脂ワニスを130℃で10分間乾燥してシート化し、半硬化状態の樹脂シートを得た。次いで、得られた樹脂シートを165℃で90分硬化させて、樹脂シートの硬化物を得た。
得られた樹脂シートの硬化物の誘電率、誘電正接およびガラス転移温度(Tg)を測定した。測定結果は以下のとおりである。
誘電率は、2.67(2GHz)、2.51(10GHz)であった。誘電正接は、0.010(2GHz)、0.010(10GHz)であった。Tgは175℃であった。
[実施例3]
下記に示すエポキシ樹脂(多官能エポキシ樹脂及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂)、硬化剤、平均粒径の異なるフッ素樹脂フィラー(平均粒径:3.0μm及び0.5μm)、シリカフィラー(平均粒径:1.0μm)、溶剤を準備し、これらの原料を、多官能エポキシ樹脂を12質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を8質量部、硬化剤を1質量部、平均粒径:3.0μmのフッ素樹脂フィラーを53質量部、平均粒径:0.5μmのフッ素樹脂フィラーを10質量部、シリカフィラーを16質量部、溶剤は、粘度が10000CPSになるように添加して混合して攪拌し、樹脂ワニス(樹脂組成物)を調製した。フッ素樹脂フィラーは、樹脂組成物の固形分に対して、63質量%配合されていた。
各原料の詳細は以下のとおりである。
<エポキシ樹脂>
・多官能エポキシ樹脂(プリンテック社製の「VG3101」、固形分濃度:100質量%)
・ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製の「YX4000H」、固形分濃度:100質量%)
<硬化剤>
・三菱化学社製の「DICY」
<フッ素樹脂フィラー>
・アドマテックス社製の「PTFEフィラー」(平均粒径:3.0μm及び0.5μm)
<シリカフィラー>
・アドマテックス社製の「SO−E3」
<溶剤>
・大伸化学社製の「MEK」、三菱ガス化学社製の「DMF」。
得られた樹脂ワニスを130℃で10分間乾燥してシート化し、半硬化状態の樹脂シートを得た。次いで、得られた樹脂シートを175℃で90分硬化させて、樹脂シートの硬化物を得た。
得られた樹脂シートの硬化物の誘電率、誘電正接およびガラス転移温度(Tg)を測定した。測定結果は以下のとおりである。
誘電率は、2.40(2GHz)、2.40(10GHz)であった。誘電正接は、0.010(2GHz)、0.010(10GHz)であった。Tgは175℃であった。
[実施例4]
下記に示すエポキシ樹脂(多官能エポキシ樹脂、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及び環状脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂)、硬化剤、平均粒径の異なる2種類のフッ素樹脂フィラー(平均粒径:3.0μm及び0.5μm)、シリカフィラー(平均粒径:1.0μm)、溶剤を準備し、これらの原料を、多官能エポキシ樹脂を1質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を5質量部、環状脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂を9質量部、硬化剤を6質量部、平均粒径3.0μmのフッ素樹脂フィラーを53質量部、平均粒径0.5μmのフッ素樹脂フィラーを10質量部、シリカフィラーを16質量部、溶剤は、粘度が10000CPSになるように添加して混合して攪拌し、樹脂ワニス(樹脂組成物)を調製した。フッ素樹脂フィラーは、樹脂組成物の固形分に対して、63質量%配合されていた。
各原料の詳細は以下のとおりである。
<エポキシ樹脂>
・多官能エポキシ樹脂(プリンテック社製の「VG3101」、固形分濃度:100質量%)
・ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製の「エピコート828」、固形分濃度:100質量%)
・環状脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂 DIC社製の「EPICLON HP−7200」)
<硬化剤>
・活性エステル型硬化剤(DIC社製の「EPICLON HPC−8000−65T」
<フッ素樹脂フィラー>
・アドマテックス社製の「PTFEフィラー」(平均粒径:0.5μm、3.0μm)
<シリカフィラー>
・アドマテックス社製の「SO−E3」
<溶剤>
・大伸化学社製の「MEK」、三菱ガス化学社製の「DMF」。
得られた樹脂ワニスを130℃で10分間乾燥してシート化し、半硬化状態の樹脂シートを得た。次いで、得られた樹脂シートを175℃で90分硬化させて、樹脂シートの硬化物を得た。
得られた樹脂シートの硬化物の誘電率、誘電正接およびガラス転移温度(Tg)を測定した。測定結果は以下のとおりである。
誘電率は、2.20(2GHz)、2.15(10GHz)であった。誘電正接は、0.005(2GHz)、0.004(10GHz)であった。Tgは165℃であった。
[比較例1]
多官能エポキシ樹脂を35質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を18質量部、硬化剤を2質量部、フッ素樹脂フィラー(平均粒径0.5μm)を45質量部含有させた他は、実施例1と同様にして、樹脂シートの硬化物を得た。フッ素樹脂フィラーは、樹脂組成物の固形分に対して、45質量%配合されていた。
得られた樹脂シートの硬化物の誘電率、誘電正接およびガラス転移温度(Tg)を測定した。測定結果は以下のとおりである。
誘電率は、3.70(2GHz)、3.70(10GHz)であった。誘電正接は、0.013(2GHz)、0.013(10GHz)であった。Tgは180℃であった。
[比較例2]
多官能エポキシ樹脂を7.6質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を4.0質量部、硬化剤を0.4質量部、フッ素樹脂フィラー(平均粒径1.5μm)を88質量部含有させた他は、実施例1と同様にして、樹脂ワニスを調製した。フッ素樹脂フィラーは、樹脂組成物の固形分に対して、88質量%配合されていた。
得られた樹脂ワニスを実施例1と同様に130℃で10分間乾燥したが、シート状に形成することが出来なかった。また、ガラスクロスに樹脂ワニスを含浸して、シート形状にしようと試みたが、表面に樹脂が乗らずに、非常に凹凸の多いプリプレグが得られた。そのため、評価には至らなかった。

Claims (12)

  1. エポキシ樹脂と、硬化剤と、フッ素樹脂フィラーとを含む樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂が、液状エポキシ樹脂と環状脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂を少なくとも含有し、
    前記フッ素樹脂フィラーの含有量が、前記樹脂組成物の固形分に対して、50〜85質量%であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記フッ素樹脂フィラーはポリテトラフルオロエチレンフィラーであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記フッ素樹脂フィラーが、平均粒径が異なる2種のフッ素樹脂フィラーからなることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 平均粒径が0.3〜2μmのシリカフィラーをさらに含み、
    前記フッ素樹脂フィラーの平均粒径が1〜5μmであり、
    前記フッ素樹脂フィラーの平均粒径が前記シリカフィラーの平均粒径より大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記硬化剤が、エステル型硬化剤であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記硬化剤が、潜在性硬化剤及びアミン系硬化剤から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の樹脂組成物のシート状の半硬化物であることを特徴とする低誘電率樹脂シート。
  8. 硬化状態における誘電率が3.5以下であることを特徴とする請求項に記載の低誘電率樹脂シート。
  9. 織布及び/あるいは不織布と、
    前記織布及び/あるいは不織布中に充填され、かつ前記織布及び/あるいは不織布の表面を被覆する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の樹脂組成物の半硬化物と、を備えることを特徴とするプリプレグ。
  10. 請求項またはに記載の低誘電率樹脂シートの硬化物及び請求項に記載のプリプレグの硬化物から選ばれる少なくとも1つからなる絶縁層と、
    前記絶縁層の片面または両面に配置された金属箔と、を備えることを特徴とする金属箔張り積層板。
  11. 請求項10に記載の金属箔張り積層板の前記金属箔が回路パターンに形成された回路であることを特徴とする高周波回路基板。
  12. 内層回路を有するコア基板の片面または両面に、層間絶縁層及び回路層が交互に積層された多層配線基板であって、
    前記層間絶縁層は、請求項またはに記載の低誘電率樹脂シートの硬化物及び請求項に記載のプリプレグの硬化物から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とする多層配線基板。
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