JP7169076B2 - 熱硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、電子部品 - Google Patents
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Description
インダクタは、主にセラミック材料と導電性材料により製造されていたが、近年ではセラミック材料に代えて有機材料を用いたものも提案されている。例えば、特許文献1では、熱硬化性樹脂材料とシリカなどの無機フィラーを含む樹脂組成物を用いてなるインダクタを提案している。
プリント配線板としては、内層回路板の導体層上に樹脂絶縁層と導体層を交互に積み上げていくビルドアップ方式の製造技術により得られる多層プリント配線板が注目されている。例えば、回路形成された内層回路板にエポキシ樹脂組成物を塗布し、加熱硬化した後、粗化剤により表面に凸凹状の粗化面を形成し、導体層をめっきにより形成する多層プリント配線板が提案されている。また、回路形成された内層回路板にエポキシ樹脂組成物のドライフィルムをラミネートし、加熱硬化した後、導体層を形成する多層プリント配線板が提案されている。このような多層プリント配線板の絶縁層に用いるドライフィルムとして、特許文献2では、熱硬化性樹脂と、フィラーと、いずれも沸点が100℃以上であり、かつ、沸点が5℃以上異なる2種の溶剤とを含有する樹脂層を有するものを提案している。
これらのような電子部品においては、近年では、高周波領域で通信する場合に、電気信号の遅延や損失の問題が生じるようになってきたことから、絶縁材料(硬化物)の誘電率(Dk)を低くすることが求められてきている。一方で、クラック発生の抑制等の観点から、硬化物の線熱膨張係数(CTE)を低減することも求められている。
また、インダクタやプリント配線板等の絶縁層を形成する際に、ドライフィルムを用いる場合があるが、ドライフィルムの保存安定性についてはいまだ改善の余地があった。
一方で、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミン系化合物を比較的多く配合すると、ゲル化しやすくなり、ドライフィルムの保存安定性が低下した。
(一般式(1)中、R1~R4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、または、-ORfであり、前記Rfは、少なくともフッ素原子を含むアルキル基である。ただし、前記R1~R4が全てフッ素原子である場合を除く)。
また、本発明の組成物は、特定の硬化剤を含むので、特にドライフィルムの保存安定性を改善することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂を含む。(A)エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂であり、従来公知のものをいずれも使用できる。分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ樹脂、分子中にエポキシ基を多数有する多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、水素添加された2官能エポキシ樹脂であってもよい。また、(A)エポキシ樹脂は、固形エポキシ樹脂、半固形エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂の何れであってもよい。本明細書において、固形エポキシ樹脂とは40℃で固体状であるエポキシ樹脂をいい、半固形エポキシ樹脂とは20℃で固体状であり、40℃で液状であるエポキシ樹脂をいい、液状エポキシ樹脂とは20℃で液状のエポキシ樹脂をいう。液状の判定は、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)の別紙第2の「液状の確認方法」に準じて行う。例えば、特開2016-079384の段落23~25に記載の方法にて行なう。エポキシ樹脂の中でも、半固形エポキシ樹脂を含むことが好ましく、ドライフィルム化した場合に保存安定性が良好となる。エポキシ樹脂として、半固形エポキシ樹脂を含むと、液状エポキシ樹脂を含む場合よりも沈降と凝集の抑制に効果がある。
半固形状エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。半固形状エポキシ樹脂を含むことにより、硬化物のガラス転移温度(Tg)が高く、CTEが低くなり、クラック耐性に優れる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(B)硬化剤として、フェノール性水酸基を有する化合物、活性エステル基を有する化合物、シアネートエステル基を有する化合物およびマレイミド基を有する化合物の少なくともいずれか1種を含む。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、フィラー成分として(C)シリカを含有する。シリカは、熱硬化性組成物の硬化物の硬化収縮を抑制し、より低CTEとなり、また、密着性、硬度などの特性を向上させる。シリカは球状粒子であることが好ましい。シリカの平均粒子径(メディアン径、D50)は、0.01~10μmであることが好ましく、スリット加工性の観点から0.01~3μmであることが好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径は、一次粒子の粒径だけでなく、二次粒子(凝集体)の粒径も含めた平均粒子径である。平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。レーザー回折法による測定装置としては、日機装社製Nanotrac waveなどが挙げられる。
無機フィラーとして、(C)シリカを高充填することによって、より低CTEかつ高弾性率の硬化物を得ることができる。(C)シリカは、酸化アルミニウム(アルミナ)よりも比重が小さいので、沈降の防止性に優れる。
一方、酸化アルミニウム(アルミナ)を高充填することによって、放熱特性に優れた硬化物を得ることができる。また、酸化アルミニウムは比重が大きいので、硬化物中の無機充填材の体積含有率(vol%)が小さくなり、シリカを使用する場合よりもレーザー加工性に優れる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、有機フィラーとして、(D)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および、テトラフルオロエチレンと下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和化合物との共重合体の少なくともいずれか1種を含む。
また、テフロンファインパウダー(例えば、三井・デュポン社製の6-J、62-J、6C-J、640-J、TLP10F-1、MP1300-J)をジェットミルなどの気流式微粉砕機を用い、平均粒子径数μmサイズに微粉砕したものを用いてもよい。
なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、さらに、ネオフロンFEPのNP101、102、NP20、NP30(フッ化メチル基構造を有するポリテトラフルオロエチレン)やネオフロンPVDFのVP825(CF2とCH2が交互に結合した直鎖状構造をもつフッ化ビニリデン重合体)などのフッ素樹脂を含んでいてもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、得られる硬化膜の機械的強度を向上させるために、さらに熱可塑性樹脂を含有することができる。熱可塑性樹脂は、溶剤に可溶であることが好ましい。溶剤に可溶である場合、ドライフィルム化した場合に柔軟性が向上し、クラックの発生や粉落ちを抑制できる。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂や、エピクロルヒドリンと各種2官能フェノール化合物の縮合物であるフェノキシ樹脂或いはその骨格に存在するヒドロキシエーテル部の水酸基を各種酸無水物や酸クロリドを使用してエステル化したフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ブロック共重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。耐熱性の観点からフェノキシ樹脂が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じてゴム状粒子を含有することができる。このようなゴム状粒子としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプロピレンゴム、ウレタン変性ポリブタジエンゴム、エポキシ変性ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基または水酸基で変性したアクリロニトリルブタジエンゴム、およびそれらの架橋ゴム粒子、コアシェル型ゴム粒子等が挙げられ、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのゴム状粒子は、得られる硬化膜の柔軟性を向上させたり、クラック耐性が向上したり、酸化剤による表面粗化処理を可能とし、銅箔等との密着強度を向上させるために添加される。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤は、熱硬化反応を促進させるものであり、密着性、耐薬品性、耐熱性等の特性をより一層向上させるために使用される。このような硬化促進剤の具体例としては、イミダゾールおよびその誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、m-キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-キシリル-S-トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N-ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、ヘキサ(N-メチル)メラミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m-アミノフェノール等のアミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス-2-シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ-n-ブチル(2,5-ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;前記多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6-トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート等の光カチオン重合触媒;スチレン-無水マレイン酸樹脂;フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物、金属触媒等の従来公知の硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤の中でも、BHAST耐性が得られることから、ホスホニウム塩類が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、増感剤を含有することができる。増感剤を配合することによって、レーザー加工性だけでなく、デスミア後の粗度と低Dkにも優れる熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。増感剤としては、例えば、チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物が挙げられる。増感剤は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。レーザー加工性の観点からチオキサントン系化合物が好ましい。
有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、2-メトキシプロパノール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等の他、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラクロロエチレン、テレビン油等が挙げられる。また、丸善石油化学社製スワゾール1000、スワゾール1500、スタンダード石油大阪発売所社製ソルベッソ100、ソルベッソ150、三共化学社製ソルベント#100、ソルベント#150、シェルケミカルズジャパン社製シェルゾールA100、シェルゾールA150、出光興産社製イプゾール100番、イプゾール150番等の有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の従来公知の着色剤、アスベスト、オルベン、ベントン、微紛シリカ等の従来公知の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤、難燃剤、チタネート系、アルミニウム系の従来公知の添加剤類を用いることができる。
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の熱硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥して、乾燥塗膜としての樹脂層を形成することにより、製造することができる。樹脂層上には、必要に応じて、保護フィルムをラミネートすることができる。
下記表中の実施例、参考例および比較例に記載の溶剤を容器に入れ、50℃に加温しながら撹拌し、ついでそれぞれ表中のシリカ、アルミナおよび(D)成分以外の成分を加えた。それらが溶解したことを確認したのちに、シリカ、アルミナおよび(D)成分を加え十分に撹拌をおこなった。その後、3本ロールミルにて混練して熱硬化性樹脂組成物を調整した。なお、表中の数値は、質量部を示す。また、溶剤以外は固形分量を示す。
調整した熱硬化性樹脂組成物を透明な硝子スクリュー管に入れ、30℃に設定した恒温倉庫に24時間保管エージング処理した。熱硬化性樹脂組成物は、スクリュー管の底部から50mm仕込んだ。その後、熱硬化性樹脂組成物を取り出し側面より目視にて観察を行い沈降状態を確認した。評価基準は以下のとおり。
◎:沈降はみられない
〇:組成物の上部より、1mm未満の透明な上澄み液が確認された。
△:組成物の上部より、1mm以上10mm未満程度の透明な上澄み液が確認された。
×:組成物の上部より、10mm以上の透明な上澄み液が確認された。沈降物をグラインドメーターにて確認したところ、凝集粒が確認された。
3本ロールミルにて混錬した熱硬化性樹脂組成物を、コーンプレート型粘度計にて粘度10dPa・s(回転粘度計5rpm、25℃)前後になるようにシクロヘキサノンを加えて調整した。その時、5rpm、30秒値の粘度と合わせて、50rpmの10秒値の粘度を確認し、樹脂とフィラーの相溶性の指標として、次式の算出式に従い、TIの算出を行った。計算式、TI値=(5rpmの粘度)/(50rpmの粘度)。評価基準は以下のとおり。
◎:TI値が1.0~1.2未満。
〇:TI値が1.2以上~1.4未満。
△:TI値が1.4以上。
上記条件でエージング処理した熱硬化性樹脂組成物を、粘度0.5~20dPa・s(回転粘度計5rpm、25℃)になるように溶剤の量を調整して、それぞれバーコーターを用いて、樹脂層の膜厚が乾燥後40μmになるようにキャリアフィルム(PETフィルム;東レ社製ルミラー38R75、厚さ38μm)に塗布した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて樹脂層の残留溶剤が0.5~2.5質量%となるように70~120℃(平均100℃)にて5~10分間乾燥し、キャリアフィルム上に樹脂層を形成した。
作製したドライフィルムを、23℃に設定した恒温倉庫に24時間保管エージング処理した。その後、JISK5600-5-1(ISO1519)に準拠し、BYK-Gardner社製円筒形マンドレル屈曲試験機を用いて、各実施例、参考例および比較例のドライフィルムの割れおよびキャリアフィルムからの剥がれが起こり始めるマンドレルの最小直径から、ドライフィルムの硬度を評価した。評価基準は以下のとおり。
◎:直径φ2mm未満で、割れ、ハガレなし。
〇:直径φ2mm未満で、わずかに樹脂の割れが確認された。
△:直径φ2mm~5mm未満で、樹脂の割れ、粉落ちが確認された。
×:直径5mm以上で樹脂の割れ、粉落ちが確認された。
作製したドライフィルムを、電解銅箔の光沢面(GTS-MP-18、古河サーキットフォイル社製)上に、真空ラミネーターMVLP-500(名機製作所製)を用い、ドライフィルムを貼り合せた。条件は、温度80~110℃、圧力0.5MPaにて行った。その後、キャリアフィルムを剥離後、熱風循環式乾燥炉にて樹脂層を硬化させた。条件は、100℃×30min+185℃×60minにておこなった。続いて、得られた硬化物を銅箔より剥がした。その後、硬化物から測定サイズ(3mm×10mmのサイズ)にサンプルを切り出し、セイコーインスツル社製のTMA6100を用いて、測定を行った。TMA測定は、試験加重5gにて、サンプルを10℃/分の昇温速度で室温より280℃まで昇温し、その後、室温まで空冷し、連続して2回測定した。2回目における30℃から100℃の平均の熱膨張係数(CTE(α1))として評価した(単位はppm)。また、2回目の昇温工程の変極点をTgとして評価した(単位は℃)。
銅厚15μmで回路が形成されている板厚0.4mmの両面プリント配線板を用意し、メック社CZ-8100を使用して、前処理を行った。その後、作製したドライフィルムを、回路基板上へ2チャンバー式真空ラミネーターCVP-600(ニチゴーモートン社製)を用い、ドライフィルムを貼り合せた。条件は、ラミネート、プレスそれぞれ、温度80~110℃、圧力0.5MPaにて行った。ついで、キャリアフィルムを剥離し、その後熱風循環式乾燥炉にて樹脂層を硬化させた。条件は、100℃×30min+190℃×60minにておこなった。得られた基板について、アトテックジャパン社製の粗化液(スウェリング・ディップ・セキュリガンスP(膨潤)、コンセントレート・コンパクトCP(酸化)、リダクションソリューション・セキュリガントP(中和))を用いて、膨潤60℃×5分、酸化80℃×20分、中和40℃×5分の順で処理を行った。その後、デスミア処理されたプリント配線板について、レーザー顕微鏡VK-8500(キーエンス社製、測定倍率2000倍、Z軸方向測定ピッチ10nm)により、それぞれの表面粗度Raを測定した。Ra値は、全測定範囲の10点の平均値とした。評価基準は以下のとおり。
◎:Raが150nm未満。
〇:Raが150nm以上、250nm未満。
×:Raが250nm以上。
××:基板へドライフィルムをラミネートできず、評価に至らず。
プリント配線板に形成された硬化膜に、CO2レーザー加工機(日立ビアメカニクス社製)を用いて、トップ径65μm、ボトム径50μmになるようにビア形成を行い、下記に従いレーザー加工性を評価した。ビアの形成条件は以下の通りである。ビアのボトムサイズをレーザー顕微鏡にて測長を行った。ついで、アトテックジャパン社製の粗化液(スウェリング・ディップ・セキュリガンスP(膨潤)、コンセントレート・コンパクトCP(酸化)、リダクションソリューション・セキュリガントP(中和))を用いて、膨潤60℃×5分、酸化80℃×20分、中和40℃×5分の順で処理を行った。得られた基板について、ビアのボトムサイズをレーザー顕微鏡にて、ビア壁面の状態観察をSEMにて観察した。評価基準は以下のとおり。
アパチャー(マスク径):3.1mm/パルス幅:20μsec/出力:2W/周波数:
5kHz/バーストモード
◎◎:ショット数2回にて、狙い加工径との差が±2μm未満。ビア底スミアなし。
◎:ショット数3回にて、狙い加工径との差が±2μm未満。ビア底スミアなし。
〇:ショット数3回にて、狙い加工径との差が±2μm以上~±5μm未満。ビア底スミアなし。
△:ショット数3回にて、狙い加工径との差が±2μm以上~±5μm未満。ビア底黒いスミアが確認された。
×:ショット数3回にて、狙い加工径との差が±5μm以上。ビア底スミアなし。
××:基板へドライフィルムをラミネートできず、評価に至らず。
レーザー加工後の基板について、<デスミア後粗度>に記載の方法にてビア底のクリーニングを行った。次いで、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理の順に処理を行い、レーザービアが形成された樹脂層上に銅厚み25μm、ビア部分をフィルドするように銅めっき処理を施した。次いで熱風循環式乾燥炉にて190℃で60分間硬化を行い、完全硬化させた銅めっき処理を施した試験基板を得た。得られた試験用基板を-65℃で30分、150℃で30分を1サイクルとして熱履歴を加えた。2000サイクル経過後、ビア底や壁面の状態を光学顕微鏡により観察するために、ビア中心部分を精密切断機で裁断、研磨し断面状態の観察を行った。評価基準は以下のとおり。観察ビア数は100穴とした。
◎:ビア底を起点に、硬化物内部へのクラック発生率1%以上~5%未満。
〇:ビア底を起点に、硬化物内部へのクラック発生率5%以上~10%未満。
△:ビア底を起点に、硬化物内部へのクラック発生率10%以上~20%未満。
××:基板へドライフィルムをラミネートできず、評価に至らず。
作製したドライフィルムを、電解銅箔の光沢面(GTS-MP-18、古河サーキットフォイル社製)上に、真空ラミネーターMVLP-500(名機製作所製)を用い、ドライフィルムを貼り合せた。条件は、温度80~110℃、圧力0.5MPaにて行った。その後、キャリアフィルムを剥離後、熱風循環式乾燥炉にて樹脂層を硬化させた。条件は、100℃×30min+190℃×60minにて行った。続いて、得られた硬化物を銅箔より剥がし、実施例、参考例および比較例に記載の硬化物を得た。その後、測定サイズにサンプルを切り出し、SPDR法にてそれぞれの誘電率と誘電正接の測定を行った。条件は、周波数10GHz、温度は23度にておこなった。評価基準は以下のとおり。
(Dk)
◎:誘電率Dk3.1未満。
〇:誘電率Dk3.1以上3.5未満。
×:誘電率Dk3.5以上。
(Df)
◎:誘電正接Df0.01以下。
〇:誘電正接Df0.01超0.02以下。
×:誘電正接Df0.02超える。
*2:DIC社製エピクロンN-740,フェノールノボラック型エポキシ樹脂,エポキシ当量182g/eq、半固形
*3:日本化薬社製NC-3000H、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、エポキシ当量290g/eq
*4:ロンザジャパン社製プリマセットPT-30、ノボラック型シアネート樹脂、シアネート当量124g/eq、固形
*5:DIC社製エピクロンHPC-8000、活性エステル樹脂、活性当量223g/eq、固形
*6:DIC社製LA-3018、ATN含有クレゾールノボラック樹脂、水酸基当量151g/eq、固形
*7:明和化成社製HF-1M、フェノールノボラック樹脂、水酸基当量106g/eq
*8:大和化成工業製BMI-2300、フェニルメタンビスマレイミド、マレイミド当量187g/eq、固形
*9:新日鉄住金化学社製FX-293、フェノキシ樹脂、重量平均分子量40,000~50,000、Tg158℃
*10:積水化学社製KS-10 H30、ポリビニルアセタール、KS-10をシクロヘキサノンで溶解、固形分30%
*11:四国化成社製2PHZ、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール
*12:東京化成工業社製CO(II)コバルト(II)アセチルアセトナート、粉末
*13:保土ヶ谷化学社製EAB、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン
*14:ダイキン工業社製ルブロンL-2、PTFE、平均粒子径(D50)=3.5μm
*15:ダイキン工業社製ネオフロンAP230、テトラフルオロエチレン(C2F4)とパーフルオロアルキルビニルエーテル(CF2CF(ORf))の共重合体、微粉砕品(平均粒子径(D50)=3μm)
*16:アドマテックス社製、ナノシリカコーティングPTFE、平均粒子径(D50)=3μm
*17:旭硝子社製JBA-001(ETFE、テトラフルオロエチレン(C2F4)とエチレン(C2H4)の共重合体)、平均粒子径(D50)=2~3μm
*18:旭硝子社製JBA-001スラリー(JBA-001のシクロヘキサノン溶液、固形分20質量%)、平均粒子径(D50)=2~3μm
*19:アドマテックス社製SO-C2、球状シリカ、平均粒子径(D50)=0.5μm(粒子径分布測定におけるピーク値と同じ。)
*20:アドマテックス社製SO-C1、球状シリカ、平均粒子径(D50)=200nm(粒子径分布測定におけるピーク値と同じ。)
*21:アドマテックス社製YA050SV2、ビニルシランKBM-1003にて1質量%で処理された球状シリカ、平均粒子径(D50)=50nm(粒子径分布測定におけるピーク値と同じ。)
*22:龍森社製MUF-1BV、球状シリカ、平均粒子径(D50)=3μm(粒子径分布測定におけるピーク値と同じ。)
*23:アドマテックス社製SO-C5、球状シリカ、平均粒子径(D50)=1.5μm(粒子径分布測定におけるピーク値と同じ。)
*24:デンカ社製ASFP-20、アルミナ、平均粒子径(D50)=0.3μm(粒子径分布測定におけるピーク値と同じ。)
*25:信越シリコーン社製KBM-403、エポキシシランカップリング剤
*26:メチルエチルケトン
12 樹脂層
13 キャリアフィルム
14 保護フィルム
Claims (7)
- (A)エポキシ樹脂と、
(B)硬化剤と、
(C)球状シリカを含む無機フィラーと、
(D)テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体を含む有機フィラーと、を含み、
前記(B)硬化剤として、フェノール性水酸基を有する化合物と、活性エステル基を有する化合物、シアネートエステル基を有する化合物およびマレイミド基を有する化合物の少なくともいずれか1種とを含み、
前記(C)無機フィラーの含有量が、組成物の固形分全量に対して、60~90質量%であり、
前記(D)有機フィラーの含有量が、組成物の固形分全量に対して、1~20質量%であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。 - 前記(D)成分が、シリカおよびシランカップリング剤で処理されたものであることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記球状シリカを、組成物の固形分全量に対し50質量%以上含むことを特徴とする請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記(C)無機フィラーが、アルミナを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1~4のいずれか一項記載の熱硬化性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物、または、請求項5記載のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
- 請求項6記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。
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