JP2020105399A - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、電子部品 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な遮光性を有し、カーボンブラックの分散性、沈降抑制性に優れた硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂と、エポキシ樹脂と、カーボンブラックと、を含む硬化性術組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、電子部品に関する。
近年、スマートフォンやスマートウォッチ等の電子機器の高機能化が進み、近接センサや脈波センサ等として光学センサモジュールを用いた機能センサが内蔵されるようになっている。これらの用途における光学センサモジュールは、発光素子と検出器(受光素子)とが一つのモジュールに組み合わせされたものである。発光素子と検出器との間に設けられた隔壁は、発光素子からの光が直接に検出器に届かないようにするために、遮光性を有するものが用いられる。このような遮光性のために、カーボンブラックを含有させた樹脂が隔壁に用いられている。
また、マイクロLEDを用いたディスプレイにおいては、引き締まった画像を得るために、RGBの各発光素子の周囲にカーボンブラックを含有させた黒色の樹脂を配置することが考えられている。
これらの用途等に用いることが可能な、照明装置における遮光部の樹脂組成物として、5ppm以上のカーボンブラックを含有させた樹脂が特許文献1に記載されている。
特開2018−107041号公報
十分な遮光性を得るためにカーボンブラックを樹脂組成物に配合させると、カーボンブラックが凝集し易く、分散性が悪く、樹脂内で沈降することがあり、長期安定性が悪く、経時的に色目が薄くなることがあった。
そこで本発明の目的は、十分な遮光性を有し、カーボンブラックの分散性、沈降抑制性に優れた硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および電子部品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂と、エポキシ樹脂と、カーボンブラックとを含み、無機フィラーを含まない硬化性樹脂組成物が、カーボンブラックの分散性を向上させ、沈降抑制性に優れ、さらに十分な遮光性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の硬化性樹脂組成物は、ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂と、エポキシ樹脂と、カーボンブラックと、を含み、無機フィラーを含まないことを特徴とするものである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに、硬化剤として、フェノール性水酸基を有する化合物、活性エステル基を有する化合物、シアネートエステル基を有する化合物およびマレイミド基を有する化合物の少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。
本発明のドライフィルムは、前記硬化性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするものである。
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物、または、前記ドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とするものである。
本発明の電子部品は、前記硬化物を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、遮光性に優れるカーボンブラックを含む樹脂組成物において、カーボンブラックの分散性、沈降抑制性に優れ、十分な遮光性を有する硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、電子部品を提供することができる。
本発明の硬化性樹脂組成が用いられる光学センサモジュールの模式図である。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品を、より具体的に説明する。
<硬化性樹脂組成物>
本発明の硬化性樹脂組成物は、ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂と、エポキシ樹脂と、カーボンブラックと、を含み、無機フィラーを含まないことを特徴とするものである。
ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂を含むことにより、硬化性樹脂組成物は、カーボンブラックのストラクチャーが大きくなるのを抑制し、カーボンブラックの分散性および沈降を抑制することができる。したがって、光学センサモジュールにおけるは発光素子と検出器との間の隔壁のように、発光素子からの光を遮蔽するのに十分な量のカーボンブラックを含有させても、カーボンブラックの凝集を抑制して、樹脂組成物中で分散させることができる。さらに、無機フィラーを含まないことにより、透過率が0.5%未満(膜厚:40μm)の十分な遮光性を有する硬化物を得ることができる。
また、ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂を含むことにより、硬化性樹脂組成物は、基板上にドライフィルム等の態様で形成されたときの反りが小さい。
以下、硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
[ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂]
ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂のガラス転移点は、−40〜20℃であることが好ましく、−15〜15℃であることがより好ましく、−5〜15℃であることが特に好ましい。−5〜15℃であると、硬化物の反りを良好に抑制することができる。
また、前記高分子樹脂の重量平均分子量は高いほどカーボンブラックの沈降防止効果が大きいことから、10万以上であることが好ましく、20万以上であることがより好ましい。上限値としては、例えば、100万以下であり、50万以下であることが好ましい。
高分子樹脂としては、ブタジエン骨格、アミド骨格、イミド骨格、アセタール骨格、カーボネート骨格、エステル骨格、ウレタン骨格、アクリル骨格及びシロキサン骨格から選択される1種以上の骨格を有する高分子樹脂などが挙げられる。例えば、ブタジエン骨格を有する高分子樹脂(日本曹達社製「G−1000」、「G−3000」、「GI−1000」、「GI−3000」、出光石油化学社製「R−45EPI」、ダイセル化学工業社製「PB3600」、「エポフレンドAT501」、クレイバレー社製「Ricon130」、「Ricon142」、「Ricon150」、「Ricon657」、「Ricon130MA」)、ブタジエン骨格とポリイミド骨格を有する高分子樹脂(特開2006−37083号公報記載のもの)、アクリル骨格を有する高分子樹脂(ナガセケムテックス社製「SG−P3」、「SG−600LB」、「SG−280」、「SG−790」、「SG−K2」、根上工業社製「SN−50」、「AS−3000E」、「ME−2000」)などが挙げられる。
前記高分子樹脂としては、硬化物の平坦性の観点からガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上のアクリル共重合体であることが好ましい。また、カーボンブラックの分散性と組成物の沈降を抑制する観点から、ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が10万〜100万のアクリル共重合体であることが好ましく、ガラス転移点が−5〜15℃かつ重量平均分子量が20万〜50万のアクリル共重合体であることが好ましい。
前記アクリル酸エステル共重合体は、官能基を有していてもよく、官能基としては例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミド基等が挙げられる。
前記アクリル酸エステル共重合体は、エポキシ基を有することが好ましく、エポキシ基およびアミド基を有することがさらに好ましい。エポキシ基を有することにより、硬化物の反りを抑制することができる。
前記アクリル酸エステル共重合体としては、ナガセケムテックス社製のテイサンレジンSG−70L、SG−708−6、WS−023 EK30、SG−P3、SG−80H、SG−280 EK23、SG−600TEA、SG−790が挙げられる。前記アクリル酸エステル共重合体は合成して得てもよく、合成方法としては、例えば、特開2016−102200号公報記載の合成方法が挙げられる。
前記高分子樹脂は、1種を単独または2種類以上を組合せて用いることができる。前記高分子樹脂の配合量は、組成物の固形分全量基準で0.5〜10質量%であることが好ましく、1.0〜7.0質量%であることがより好ましく、2.0〜7.0質量%であることがさらに好ましく、4.0〜7.0質量%であることが特に好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)法(ポリスチレン標準)により、下記測定装置、測定条件にて測定できる。
測定装置:Waters製「Waters 2695」
検出器:Waters製「Waters2414」、RI(示差屈折率計)
カラム:Waters製「HSPgel Column,HR MB−L,3μm,6mm×150mm」×2+Waters製「HSPgel Column,HR1,3μm,6mm×150mm」×2
測定条件:
カラム温度:40℃
RI検出器設定温度:35℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5mL/分
サンプル量:10μL
サンプル濃度:0.7質量%
[エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂であり、従来公知のものをいずれも使用できる。分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ樹脂、分子中にエポキシ基を3個以上有する多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、水素添加されたエポキシ樹脂であってもよい。前記エポキシ樹脂として、例えば、固形エポキシ樹脂および液状エポキシ樹脂のいずれか少なくとも1種を含むことができる。固形エポキシ樹脂および液状エポキシ樹脂は、それぞれ1種を単独で、または2種類以上を組合せて用いることができる。また、前記エポキシ樹脂として、半固形エポキシ樹脂や結晶化エポキシ樹脂を含有してもよい。本明細書において、固形エポキシ樹脂とは40℃で固体状であるエポキシ樹脂をいい、半固形エポキシ樹脂とは20℃で固体状であり、40℃で液状であるエポキシ樹脂をいい、液状エポキシ樹脂とは20℃で液状のエポキシ樹脂をいう。液状の判定は、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)の別紙第2の「液状の確認方法」に準じて行う。例えば、特開2016−079384の段落23〜25に記載の方法にて行なう。また、結晶性エポキシ樹脂とは、結晶性の強いエポキシ樹脂を意味し、融点以下の温度では、高分子鎖が規則正しく配列し、固形樹脂でありながらも、溶融時には液状樹脂並みの低粘度となる熱硬化性のエポキシ樹脂をいう。
半固形エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。半固形エポキシ樹脂を含むことにより、硬化物のガラス転移温度(Tg)が高く、CTEが低くなり、クラック耐性に優れる。
半固形エポキシ樹脂としては、DIC社製エピクロン860、エピクロン900−IM、エピクロンEXA―4816、エピクロンEXA−4822、旭チバ社製アラルダイトAER280、東都化成社製エポトートYD−134、三菱ケミカル社製jER834、jER872、住友化学工業社製ELA−134等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンHP−4032等のナフタレン型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンN−740等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
結晶性エポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル構造、スルフィド構造、フェニレン構造、ナフタレン構造等を有する結晶性エポキシ樹脂を用いることができる。ビフェニルタイプのエポキシ樹脂は、例えば、三菱ケミカル社製jER YX4000、jER YX4000H、jER YL6121H、jER YL6640、jER YL6677として提供されており、ジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂は、例えば、東都化成社製エポトートYSLV−120TEとして提供されており、フェニレン型エポキシ樹脂は、例えば、東都化成社製エポトートYDC−1312として提供されており、ナフタレン型エポキシ樹脂は、例えば、DIC社製EPICLON HP−4032、EPICLON HP−4032D、EPICLON HP−4700として提供されている。また、結晶性エポキシ樹脂として東都化成社製エポトートYSLV−90C、日産化成工業社製TEPIC−S(トリグリシジルイソシアヌレート)を用いることもできる。
固形エポキシ樹脂としては、DIC社製HP−4700(ナフタレン型エポキシ樹脂)、DIC社製EXA4700(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、日本化薬社製NC−7000(ナフタレン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のナフタレン型エポキシ樹脂;日本化薬社製EPPN−502H(トリスフェノールエポキシ樹脂)等のフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物(トリスフェノール型エポキシ樹脂);DIC社製エピクロンHP−7200H(ジシクロペンタジエン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のジシクロペンタジエンアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000H(ビフェニル骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000L等のビフェニル/フェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンN660、エピクロンN690、N770、日本化薬社製EOCN−104S等のノボラック型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学社製TX0712等のリン含有エポキシ樹脂;日産化学工業社製TEPIC等のトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。固形エポキシ樹脂を含むことで、硬化物のガラス転移温度が高くなり耐熱性に優れる。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。液状エポキシ樹脂を含むことで、ドライフィルムの可とう性に優れる。
エポキシ樹脂の配合量は、合計で、組成物の固形分全量基準で10〜75質量%であることが好ましい。上記範囲内であると、硬化物の耐熱性や可撓性やクラック耐性に優れる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ樹脂以外の硬化性樹脂成分を含有してもよく、例えば、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。
[カーボンブラック]
カーボンブラックは、樹脂中で分散することで遮光性が得られる。カーボンブラックは、一般に黒色の着色剤の用途に使用されているカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックの1種又は2種以上を用いることができる。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。さらに、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブを使用してもよい。
カーボンブラックを樹脂組成物に配合する際は、カーボンブラック粉末を加えてもよいし、カーボンブラック分散液を加えてもよい。
カーボンブラックの粒子径は10nm以上500nm以下であるのが好ましく、10nm以上300nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。なお、粒子径は、平均粒子径のことを言い、電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径である。
カーボンブラックの配合量は、硬化性樹脂組成物の固形分全量基準で、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。カーボンブラックの配合量が0.01質量%以上で十分な遮光性が得られ、10質量%以下でクラックの発生を抑制できる。本発明の硬化性樹脂組成物においては、カーボンブラックの配合量が多いほど当該カーボンブラックの沈降し易いが、前述したガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂を含むことにより、カーボンブラックの沈降が抑制されている。
[無機フィラー]
本発明の硬化性樹脂組成物は、カーボンブラック以外の無機フィラーを含まない。従来公知の無機フィラーとして、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカなどのシリカ、タルク、クレー、ノイブルグ珪土粒子、ベーマイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ジルコン酸カルシウム等の体質顔料や、銅、錫、亜鉛、ニッケル、銀、パラジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、金、白金等の金属粉体が挙げられるが、これらの無機フィラーが硬化性樹脂組成物に含まれていると、硬化性樹脂組成物の硬化物に光を当てた場合に、当該無機フィラーにより光が乱反射して、結果的に遮光性が低下する。したがって、本発明の構成樹脂組成物は、カーボンブラック以外の無機フィラーを含まない。
[硬化剤]
前記硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含有することが好ましい。硬化剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル基を有する化合物、活性エステル基を有する化合物、マレイミド基を有する化合物、脂環式オレフィン重合体等が挙げられる。硬化剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において前記硬化性樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有する化合物、活性エステル基を有する化合物、シアネートエステル基を有する化合物およびマレイミド基を有する化合物の少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。フェノール性水酸基を有する化合物および活性エステル基を有する化合物を使用することにより、低粗度基材や回路との接着性に優れた硬化物を得ることができる。また、シアネートエステルを使用することにより、硬化物のTgが高くなり、耐熱性が向上し、マレイミド基を有する化合物を使用することにより、硬化物のTgが高くなり、耐熱性が向上するとともに、CTEを低減することができる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α−ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ザイロック型フェノールノボラック樹脂等の従来公知のものを用いることができる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物の中でも、水酸基当量が100g/eq.以上のものが好ましい。水酸基当量が100g/eq.以上のフェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、ジシクロペンタジエン骨格フェノールノボラック樹脂(GDPシリーズ、群栄化学社製)、ザイロック型フェノールノボラック樹脂(MEH−7800、明和化成社製)、ビフェニルアラルキル型ノボラック樹脂(MEH−7851、明和化成社製)、ナフトールアラルキル型硬化剤(SNシリーズ、新日鉄住金社製)、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック樹脂(LA−3018−50P、DIC社製)、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂(LA−705N、DIC社製)などが挙げられる。
前記シアネートエステル基を有する化合物は、一分子中に2個以上のシアネートエステル基(−OCN)を有する化合物であることが好ましい。シアネートエステル基を有する化合物は、従来公知のものをいずれも使用することができる。シアネートエステル基を有する化合物としては、例えば、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、アルキルフェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールF型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールS型シアネートエステル樹脂が挙げられる。また、一部がトリアジン化したプレポリマーであってもよい。
市販されているシアネートエステル基を有する化合物としては、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製、PT30S)、ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン社製、BA230S75)、ジシクロペンタジエン構造含有シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製、DT−4000、DT−7000)等が挙げられる。
前記活性エステル基を有する化合物は、一分子中に2個以上の活性エステル基を有する化合物であることが好ましい。活性エステル基を有する化合物は、一般に、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物との縮合反応によって得ることができる。中でも、ヒドロキシ化合物としてフェノール化合物またはナフトール化合物を用いて得られる活性エステル基を有する化合物が好ましい。フェノール化合物またはナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。また、活性エステル基を有する化合物としては、ナフタレンジオールアルキル/安息香酸型でもよい。
市販されている活性エステル基を有する化合物としては、ジシクロペンタジエン型のジフェノール化合物、例えば、HPC8000−65T(DIC社製)、HPC8100−65T(DIC社製)、HPC8150−65T(DIC社製)が挙げられる。
前記マレイミド基を有する化合物は、マレイミド骨格を有する化合物であり、従来公知のものをいずれも使用できる。マレイミド基を有する化合物は、2以上のマレイミド骨格を有することが好ましく、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、1,2−ビス(マレイミド)エタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、2,2’−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、およびこれらのオリゴマー、ならびにマレイミド骨格を有するジアミン縮合物のうちの少なくとも何れか1種であることがより好ましい。前記オリゴマーは、上述のマレイミド基を有する化合物のうちのモノマーであるマレイミド基を有する化合物を縮合させることにより得られたオリゴマーである。
市販されているマレイミド基を有する化合物としては、BMI−1000(4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、大和化成工業社製)、BMI−2300(フェニルメタンビスマレイミド、大和化成工業社製)、BMI−3000(m−フェニレンビスマレイミド、大和化成工業社製)、BMI−5100(3,3’−ジメチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、大和化成工業社製)、BMI−7000(4−メチル−1,3,−フェニレンビスマレイミド、大和化成工業社製)、BMI−TMH((1,6−ビスマレイミド−2,2,4−トリメチル)ヘキサン、大和化成工業社製)などが挙げられる。
硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対し20〜100質量部であることが好ましく、25〜90質量部であることがより好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物の具体例としては、熱硬化性樹脂組成物、光硬化性熱硬化性樹脂組成物、光重合開始剤を含有する光硬化性熱硬化性樹脂組成物、光塩基発生剤を含有する光硬化性熱硬化性樹脂組成物、光酸発生剤を含有する光硬化性熱硬化性樹脂組成物、ネガ型光硬化性熱硬化性樹脂組成物およびポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物、アルカリ現像型光硬化性熱硬化性樹脂組成物、溶剤現像型光硬化性熱硬化性樹脂組成物、膨潤剥離型熱硬化性樹脂組成物、溶解剥離型熱硬化性樹脂組成物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下では、一例として、光硬化性成分を含まない熱硬化性樹脂組成物で硬化性樹脂組成物を形成する場合について、上記成分以外に含み得る成分について説明する。
前記硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を含有してもよく、例えば、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。
前記硬化性樹脂組成物は、得られる硬化膜の機械的強度を向上させるために、さらに熱可塑性樹脂を含有することができる。熱可塑性樹脂は、溶剤に可溶であることが好ましい。溶剤に可溶である場合、ドライフィルムの柔軟性が向上し、クラックの発生や粉落ちを抑制できる。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂や、エピクロルヒドリンと各種2官能フェノール化合物の縮合物であるフェノキシ樹脂或いはその骨格に存在するヒドロキシエーテル部の水酸基を各種酸無水物や酸クロリドを使用してエステル化したフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ブロック共重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱可塑性樹脂の配合量は、硬化性樹脂組成物の固形分全量基準で、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。熱可塑性樹脂の配合量が上記範囲内であると、均一な粗化面状態を得られやすい。
さらに、前記硬化性樹脂組成物は、必要に応じてゴム状粒子を含有することができる。このようなゴム状粒子としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプロピレンゴム、ウレタン変性ポリブタジエンゴム、エポキシ変性ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基または水酸基で変性したアクリロニトリルブタジエンゴム、およびそれらの架橋ゴム粒子、コアシェル型ゴム粒子等が挙げられ、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのゴム状粒子は、得られる硬化膜の柔軟性を向上させたり、クラック耐性が向上したり、酸化剤による表面粗化処理を可能とし、銅箔等との密着強度を向上させるために添加される。
ゴム状粒子の平均粒子径は0.005〜1μmの範囲が好ましく、0.2〜1μmの範囲がより好ましい。本発明におけるゴム状粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム状粒子を超音波などにより均一に分散させ、日機装社製Nanotrac waveを用いて、ゴム状粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定することができる。
ゴム状粒子の配合量は、硬化性樹脂組成物の固形分全量基準で、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。0.5質量%以上の場合、クラック耐性が得られ、導体パターン等との密着強度を向上できる。10質量%以下の場合、熱膨張係数(CTE)が低下し、ガラス転移温度(Tg)が上昇して硬化特性が向上する。
前記硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤は、熱硬化反応を促進させるものであり、密着性、耐薬品性、耐熱性等の特性をより一層向上させるために使用される。このような硬化促進剤の具体例としては、イミダゾールおよびその誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等のアミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;前記多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート等の光カチオン重合触媒;スチレン−無水マレイン酸樹脂;フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物、金属触媒等の従来公知の硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤の中でも、BHAST耐性が得られることから、ホスホニウム塩類が好ましい。
硬化促進剤は、1種を単独または2種以上混合して用いることができる。硬化促進剤の使用は必須ではないが、特に硬化を促進したい場合には、エポキシ樹脂100質量部に対して好ましくは0.01〜5質量部の範囲で用いることができる。金属触媒の場合、シアネートエステル基を有する化合物100質量部に対して金属換算で10〜550ppmが好ましく、25〜200ppmがより好ましい。
有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、2−メトキシプロパノール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等の他、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラクロロエチレン、テレビン油等が挙げられる。また、丸善石油化学社製スワゾール1000、スワゾール1500、三共化学社製ソルベント#100、ソルベント#150、シェルケミカルズジャパン社製シェルゾールA100、シェルゾールA150、出光興産社製イプゾール100番、イプゾール150番等の有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いることができる。
前記硬化性樹脂組成物中の残留溶剤量は、0.5〜7.0質量%であることが好ましい。残留溶剤が7.0質量%以下であると、熱硬化時の突沸を抑え、表面の平坦性がより良好となる。また、溶融粘度が下がり過ぎて樹脂が流れてしまうことを抑制でき、平坦性が良好となる。残留溶剤が0.5質量%以上であると、ラミネート時の流動性が良好で、平坦性および埋め込み性がより良好となる。
前記硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、ナフタレンブラック等の従来公知の着色剤、アスベスト、オルベン、ベントン、微紛シリカ等の従来公知の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤、難燃剤、チタネート系、アルミニウム系の従来公知の添加剤類を用いることができる。
<用途>
本発明の硬化性樹脂組成物は、遮光性に優れ、カーボンブラックの沈降抑制性に優れることから、光学センサモジュールにおける発光素子と検出器との間に設けられた隔壁に用いることができる。また、マイクロLEDを用いたディスプレイにおけるRGBの各発光素子の周囲に設ける樹脂に用いることができる。さらに、ドライフィルムに用いることができる。
図1に、本発明の硬化性樹脂組成物が用いられる光学センサモジュールの模式図を示す。図中の光学センサモジュール1は、発光素子2と検出器3とを隔壁4で隔てられて備えている。発光素子2は対象物5に向けて発光し、対象物5から反射された光が検出器4で受光される。発光素子2から発光された光が直接に検出器4に届かないように、隔壁4は光を遮断できることが求められる。本発明の硬化性樹脂組成物は、この隔壁4に好適である。もっとも、硬化性樹脂組成物の用途は隔壁4に限られない。
<ドライフィルム>
本発明のドライフィルムは、上述した本発明の硬化性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有するものである。ドライフィルムは、一般に、キャリアフィルムと、樹脂層と、保護フィルムと、を備える。
[キャリアフィルム]
キャリアフィルムとは、ドライフィルムの樹脂層を支持する役割を有するものであり、該樹脂層を形成する際に、硬化性樹脂組成物が塗布されるフィルムである。キャリアフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、および、表面処理した紙等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムを好適に使用することができる。キャリアフィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10〜150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。キャリアフィルムの樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。また、キャリアフィルムの樹脂層を設ける面には、スパッタもしくは極薄銅箔が形成されていてもよい。
[保護フィルム]
保護フィルムとは、ドライフィルムの樹脂層の表面に塵等が付着するのを防止するとともに取扱性を向上させる目的で、樹脂層のキャリアフィルムとは反対の面に設けられる。本発明においては、保護フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いることが好ましい。2軸延伸ポリプロピレンフィルムであることにより、樹脂層への積層後の冷却収縮を少なくすることができる。もっとも、保護フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレンフィルムに限定されるものではない。保護フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10〜100μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。保護フィルムの樹脂層を設ける面には、エンボス加工やコロナ処理、微粘着処理等の密着性を向上させる処理や、離型処理が施されていることが好ましい。
本発明のドライフィルムは、電子部品、特にプリント配線板の永久保護膜の形成に好ましく用いることができ、中でもソルダーレジスト層、層間絶縁層、フレキシブルプリント配線板のカバーレイの形成に好ましく用いることができる。本発明のドライフィルムを用いて、配線を貼り合わせることによって配線板を形成してもよい。また、半導体チップ用の封止材としても用いることができる。
ドライフィルの樹脂層の厚さは特に限定されず、例えば、厚さが1〜200μmであればよい。本発明においては厚みが大きい場合により平坦性に優れることから、例えば、厚さが30μm以上、さらには50μm以上、またさらには100μm以上でも好適に用いることができる。なお、本発明のドライフィルムの樹脂層を複数重ねあわせて厚さが200μmを超える樹脂層を形成してもよい。その場合、ロールラミネーターや真空ラミネーターを用いればよい。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物、又は本発明のドライフィルムの硬化物を用いた電子部品として、上述した光学センサモジュールの他に、例えばプリント配線板がある。かかるプリント配線板の製造方法としては、従来公知の方法を用いればよい。例えば、樹脂層が熱硬化性樹脂組成物からなる場合であって、キャリアフィルムと保護フィルムとの間に樹脂層が挟まれたドライフィルムの場合、下記のような方法でプリント配線板を製造することができる。ドライフィルムからキャリアフィルムまたは保護フィルムのどちらかを剥離し、回路パターンが形成された回路基板に加熱ラミネートした後、熱硬化させる。熱硬化は、オーブン中で硬化、もしくは熱板プレスで硬化させてもよい。回路が形成された基材と本発明のドライフィルムをラミネートもしくは熱板プレスする際に、銅箔もしくは回路形成された基材を同時に積層することもできる。回路パターンが形成された基材上の所定の位置に対応する位置に、レーザー照射またはドリルでパターンやビアホールを形成し、回路配線を露出させることで、プリント配線板を製造することができる。この際、パターンやビアホール内の回路配線上に除去しきれないで残留した成分(スミア)が存在する場合にはデスミア処理を行う。キャリアフィルムまたは保護フィルムのうち残った方は、ラミネート後、熱硬化後、レーザー加工後またはデスミア処理後のいずれかに、剥離すればよい。なお、層間回路の接続方法は、カッパーピラーによる接続でもよい。
以下、本発明の実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
<硬化性樹脂組成物の調製>
実施例および比較例に記載の溶剤を容器に入れ、溶剤が揮発しないように50℃に加温しながら撹拌し、ついでそれぞれ樹脂およびカップリング剤を加えた。樹脂が溶解したことを確認したのちに、実施例に記載のカーボンを加え十分に撹拌をおこなった。その後、3本ロールミルにて混練して硬化性樹脂組成物を調製した。なお、表中の数値は、特に%の記載がない限り質量部を示し、また、溶剤以外は固形分量を示す。
<分散性>
調製した硬化性樹脂組成物を、JIS K5600−2−5分散度の方法に準拠し、0−50μmのグラインドゲージを用いて分散度の確認を行った。評価基準は下記通り。
◎:5粒値で判断した分散度が25μm未満。
〇:5粒値で判断した分散度が25μm以上40μm未満。
×:5粒値で判断した分散度が40μm以上。
―:樹脂成分のみのため未評価。
<インキの沈降>
調製した硬化性樹脂組成物を透明な硝子スクリュー管に入れ、23℃に設定した恒温槽に12時間保管エージング処理した。硬化性樹脂組成物は、スクリュー管の底部から50mm仕込んだ。エージング後、硬化性樹脂組成物を取り出し側面より目視にて観察を行い硬化性樹脂組成物の沈降状態を確認した。判断基準は以下の通り。
◎:沈降はみられない。
〇:組成物の上部より、1mm未満の透明な上澄み液が確認された。
×:組成物の上部より、20mm以上の透明な上澄み液が確認された。
―:樹脂成分のみのため未評価。
<ドライフィルムの作製>
調製した硬化性樹脂組成物を、粘度0.5〜20dPa・s(回転粘度計5rpm、25℃)になるように溶剤の量を調整して、それぞれバーコーターを用いて、樹脂層の膜厚が乾燥後40μmになるようにキャリアフィルム(PETフィルム;東洋紡TN−200,厚さ38μm、大きさ30cm×30cm)に塗布した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて樹脂層の残留溶剤が0.5〜2.5質量%となるように70〜120℃(平均100℃)にて5〜10分間乾燥し、キャリアフィルム上に樹脂層を形成した。ついで、作製したドライフィルムの表面に80℃の温度に設定したロールラミネーターを用いてOPP(アルファンFG−201、フィッシュアイレス、王子エフテック)の張りあわせを行い3層構造のドライフィルムを作製した。
<透過率>
得られた3層構造のドライフィルムの保護フィルムを剥がし、厚み1mmのスライドグラス上に、真空ラミネーターMVLP−500(名機製作所製)を用い張りあわせた。条件は、ラミネート温度80〜110℃、圧力0.5MPaにて行った。ついで、キャリアフィルムを剥離し、熱風循環式乾燥炉にて100℃×30min+200℃×60min材料を硬化させた。得られた硬化物について、紫外可視近赤外分光光度計V−700(日本分光製)を用い、380nm〜780nmでの透過率を測定した。評価基準は以下のとおり。
◎:全波長領域で、透過率0.1%未満
〇:全波長領域で、透過率0.1%以上0.5%未満
×:全波長領域で、透過率0.5%以上
<基板の反り>
銅厚12μm、板厚0.1mmの銅べた基板(MCL−E−770G、日立化成工業製、サイズ10×10cm)を、電解銅めっき(アトテック社、めっき後の表面粗さ100nm以下)処理して銅厚を合計で20μmにした。ついで、前処理としてCZ−8101(1μmエッチング、メック社製)を行った。その後、OPPを剥離したドライフィルムを、基板上の片面に、2チャンバー式真空ラミネーターCVP−600(ニチゴーモートン製)を用い張りあわせた。条件は、ラミネート、プレスそれぞれ、温度80〜110℃、圧力0.5MPaにて行った。ついで、キャリアフィルムを剥離し、熱風循環式乾燥炉にて100℃×30min+200℃×60min材料を硬化させた。
ついで、ピーク温度280℃、275℃以上での曝露時間10秒以上に設定したリフロー処理5サイクルを行い、基板の4隅の反り状態(反り形状は、全てスマイル)をノギスにて計測した。評価基準は以下のとおり。
〇:反りなし
△:4隅のうち、1番反りの大きい部分の反り量が3mm以上
×:4隅のうち、1番反りの大きい部分の反り量が30mm以上
表1に、各成分の配合割合と評価結果を示す。
Figure 2020105399
表1中の注釈*1〜13は、次のとおりである。
*1:三菱ケミカル社製jER828、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量189g/eq、液状
*2:日本化薬社製NC−3000H、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、エポキシ当量290g/eq、
*3:ロンザジャパン社製プリマセットPT−30、ノボラック型シアネート樹脂、シアネート当量124g/eq、固形
*4:DIC社製エピクロンHPC−8000、活性エステル樹脂、活性当量223g/eq、固形
*5:明和化成社製HF−1M、フェノールノボラック樹脂、水酸基当量106g/eq、
*6:四国化成社製2E4MZ、2−エチル−4−メチルイミダゾール
*7:東京化成工業社製CO(II)コバルト(II)アセチルアセトナート、粉末
*8:ナガセケムテックス社製テイサンレジンSG−80H MEKカット品、固形分18質量%、アクリル酸エステル共重合樹脂(官能基:エポキシ基、アミド基)
*9:三菱ケミカル社製カーボンブラック粉末MA77(平均粒径23μm)
*10:三菱ケミカル社製カーボンブラック粉末MA77の20%溶液PMA分散(平均粒径23μm)
*11:トーヨーカラー社製カーボンナノファイバー5%溶液
*12:信越シリコーン社製KBM−403、エポキシシランカップリング剤
*13:メチルエチルケトン
上記表1に示す結果から、実施例の硬化性樹脂組成物の場合、分散性、カーボンブラックの沈降抑制性、光透過抑制性、基板の反り抑制性に優れていることが分かる。
また、上記結果についてはスピンコーターを用い40μmの膜厚の硬化物をスライドグラス上に形成した場合やスクリーン印刷法を用い40μmの膜厚の硬化物を基板上に形成した場合も同様の結果が得られ、硬化物の形成方法に依存しないことが確認できた。
1 光学センサモジュール
2 発光素子
3 検出器
4 隔壁
5 対象物

Claims (5)

  1. ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂と、
    エポキシ樹脂と、
    カーボンブラックと、
    を含み、無機フィラーを含まないことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. さらに、硬化剤として、フェノール性水酸基を有する化合物、活性エステル基を有する化合物、シアネートエステル基を有する化合物およびマレイミド基を有する化合物の少なくともいずれか1種を含むことを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
  4. 請求項1若しくは2記載の硬化性樹脂組成物、または、請求項3記載のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
  5. 請求項4記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。
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