JP7454394B2 - ドライフィルム、硬化物、電子部品、および、ドライフィルムの製造方法 - Google Patents

ドライフィルム、硬化物、電子部品、および、ドライフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ドライフィルム、硬化物、電子部品、および、ドライフィルムの製造方法に関する。
近年、多層プリント配線板として、内層回路板の導体層上に樹脂絶縁層と導体層を交互に積み上げていくビルドアップ方式により製造してなるものが注目されている。例えば、回路形成された内層回路板に硬化性樹脂組成物を塗布し、加熱硬化した後、レーザー加工により開口部を形成し、デスミア液により樹脂絶縁層表面に凸凹状の粗化面を形成し、導体層をめっきにより形成してなる多層プリント配線板が提案されている。また、回路形成された内層回路板に硬化性樹脂組成物のドライフィルムをラミネートし、加熱硬化した後、上記と同様に導体層を形成してなる多層プリント配線板も提案されている。
樹脂絶縁層を形成する硬化性樹脂組成物として、従来、エポキシ樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物が用いられており、通常、硬化物に様々な特性を付与するために、種々の硬化剤がエポキシ樹脂と併用されている(例えば、特許文献1)。近年、高速通信の採用、即ち、高周波化に伴い、伝送損失が増加傾向にあり、このような電子部品形成用の熱硬化性樹脂組成物の硬化物には、伝送損失を抑制できる低誘電正接化も要求されている。
特開2009-40919号公報
特許文献1に記載のように、低誘電正接化のために、硬化剤として活性エステル基を有する化合物を配合することが考えられる。しかしながら、より一層の低誘電正接化を図るために、活性エステル基を有する化合物の配合量を増量すると、デスミア処理の薬液によるダメージで熱硬化後の硬化物がはがれてしまうという問題があった。
また、ドライフィルムの製造時に例えば離形PETフィルム等のキャリアフィルム上に熱硬化性樹脂組成物を塗布した場合に、活性エステル基を有する化合物の増量によってはじきが発生し、塗布後の両端部に生じたヒケによって両端部が厚くなるためドライフィルムの巻取りが困難であり、ドライフィルムの形態で製品を提供することが難しかった。
そこで本発明の目的は、活性エステル基を有する化合物の配合割合が高いにもかかわらず、ヒケを抑制することができ、デスミア耐性に優れた硬化物を形成できる樹脂層を有するドライフィルム、該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、該硬化物を有する電子部品、および、該ドライフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記を鑑みさらに鋭意検討した結果、活性エステル基を有する化合物を含まないか少量含むエポキシ樹脂組成物の樹脂層をキャリアフィルムに塗布して樹脂層を形成し、その上に活性エステル基を有する化合物の配合割合が高いエポキシ樹脂組成物を塗布して樹脂層を形成することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のドライフィルムは、キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成された樹脂層(A)と、前記樹脂層(A)の上に形成された樹脂層(B)とを有するドライフィルムであって、前記樹脂層(A)はエポキシ樹脂を含み、活性エステル基を有する化合物を含まないか、または、活性エステル基を有する化合物を前記樹脂層(A)に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ当量に対する活性エステル基を有する化合物の活性エステル当量の比が1.0以下の割合で含み、前記樹脂層(B)はエポキシ樹脂と活性エステル基を有する化合物を含み、前記樹脂層(B)に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ当量に対する活性エステル基を有する化合物の活性エステル当量の比が1.0を超えることを特徴とするものである。
本発明のドライフィルムは、前記樹脂層(A)と前記樹脂層(B)の厚み比が3:7~0.2:9.8であることが好ましい。
本発明の硬化物は、前記ドライフィルムの樹脂層(A)と樹脂層(B)を硬化して得られることを特徴とするものである。
本発明の電子部品は、前記硬化物を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、活性エステル基を有する化合物の配合割合が高いにもかかわらず、ヒケを抑制することができ、デスミア耐性に優れた硬化物を形成できる樹脂層を有するドライフィルム、該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、該硬化物を有する電子部品、および、該ドライフィルムの製造方法を提供することができる。
本発明のドライフィルムの一実施形態を示した概略断面図である。 本発明のドライフィルムの樹脂層(A)、(B)を基材上にラミネートした一実施形態を示した概略断面図である。
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成された樹脂層(A)と、前記樹脂層(A)の上に形成された樹脂層(B)とを有するドライフィルムであって、前記樹脂層(A)はエポキシ樹脂を含み、活性エステル基を有する化合物を含まないか、または、活性エステル基を有する化合物を前記樹脂層(A)に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ当量に対する活性エステル当量の比が1.0以下の割合で含み、前記樹脂層(B)はエポキシ樹脂と活性エステル基を有する化合物を含み、前記樹脂層(B)に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ当量に対する活性エステル当量の比が1.0を超えることを特徴とするものである。
図1は、本発明のドライフィルムの一実施形態を示した概略断面図である。ドライフィルム1は、キャリアフィルム2、樹脂層(A)、樹脂層(B)の順に積層されている。
本発明においては、活性エステル当量が少ないエポキシ樹脂組成物の樹脂層の上に、活性エステル当量が多いエポキシ樹脂組成物を塗布することによって、ヒケの発生を抑制することができる。また、図2に示すように、活性エステル当量が多いエポキシ樹脂組成物の樹脂層(B)が回路配線4を有する基材3と接するように、即ち、活性エステル当量が少ないエポキシ樹脂組成物の樹脂層(A)が外側になるように、本発明のドライフィルムをラミネートすることによって、開口部を形成した後にデスミア処理をしても、活性エステル当量が多いエポキシ樹脂組成物の樹脂層(B)のはがれを防止することができる。
本発明のドライフィルムにおいて、樹脂層(A)および(B)のエポキシ樹脂のエポキシ当量に対する活性エステル基を有する化合物の活性エステル当量の比(以下、「エポキシ当量に対する活性エステル当量の比」とも略称する)は、樹脂層中の当量の比率であり、活性エステル基を有する化合物の活性エステル基の総量/エポキシ樹脂のエポキシ基の総量(当量比)により求めることができる。
以下、本発明のドライフィルムについて詳述する。
[樹脂層(A)]
本発明のドライフィルムが有する樹脂層(A)は、エポキシ樹脂を含み、エポキシ当量に対する活性エステル当量の比が0~1.0である。樹脂層(A)は活性エステル基を有する化合物を含んでいても、含んでいなくてもよい。樹脂層(A)は、エポキシ樹脂を含み、エポキシ当量に対する活性エステル当量の比が0~1.0である樹脂組成物を塗布、乾燥させることによって得ることができる。ここで、樹脂層(A)を形成するための樹脂組成物は、長期保存後の塗工安定性の観点から、固形分全量に対する活性エステル基を有する化合物の含有量が5質量%以上であることが好ましい。言い換えると、活性エステル基を有する化合物の含有量が樹脂層(A)の固形分全量に対し5質量%以上であることが好ましい。
また、樹脂層(A)は、エポキシ当量に対する活性エステル当量の比が0.4~1.0であることが好ましい。
樹脂層(A)の厚さは、誘電特性と低CTEの観点からは薄い方が好ましく、樹脂層(B)の厚さに対する比は、(A):(B)=3:7~0.2:9.8が好ましい。
樹脂層(A)の厚さは、特に限定されず、用途に合わせて適宜選択すればよいが、例えば1μm~3μmが好ましい。
樹脂層(A)には、必要に応じてフェノール性水酸基を有する化合物を配合してもよい。フェノール性水酸基を有する化合物を配合する場合、エポキシ樹脂のエポキシ基の総量と、フェノール性水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基の総量との比率が、フェノール性水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基/エポキシ樹脂のエポキシ基(当量比)=0.05~1.2となるような割合で配合することが好ましい。上記範囲内とすることで、熱硬化後の硬化膜表面のデスミア工程による粗面ムラを抑制することができる。
樹脂層(A)には、必要に応じて高分子樹脂を配合してもよい。高分子樹脂を配合する場合、高分子樹脂の配合量は、樹脂層あたり、0.5~10質量%の割合である。高分子樹脂の配合量を上記範囲内とすることで、均一な粗化面状態を得ることができる。
[樹脂層(B)]
本発明のドライフィルムが有する樹脂層(B)は、エポキシ樹脂と活性エステル基を有する化合物を含み、前記樹脂層(B)のエポキシ当量に対する活性エステル当量の比が1.0を超えるものである。このような当量比とすることで、優れた低誘電正接特性が得られ、高Tgの硬化物を形成することができる。樹脂層(B)は、エポキシ樹脂と活性エステル基を有する化合物を含み、エポキシ当量に対する活性エステル当量の比が1.0を超える樹脂組成物を塗布、乾燥させることによって得ることができる。
樹脂層(B)のエポキシ当量に対する活性エステル当量の比は、好ましくは1.5~10であり、より好ましくは2.0~7.0である。
樹脂層(B)の厚さは、特に限定されず、用途に合わせて適宜選択すればよいが、例えば7μm~30μmが好ましい。
樹脂層(B)には、必要に応じてフェノール性水酸基を有する化合物を配合してもよい。フェノール性水酸基を有する化合物を配合する場合、エポキシ樹脂のエポキシ基の総量と、フェノール性水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基の総量との比率が、フェノール性水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基/エポキシ樹脂のエポキシ基(当量比)=0.05~0.5となるような割合で配合することが好ましい。上記範囲内とすることで、熱硬化後の塗膜の脆さを補うことができる。
[エポキシ樹脂]
樹脂層(A)および(B)が含有するエポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂であり、従来公知のものをいずれも使用できる。分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ樹脂、分子中にエポキシ基を多数有する多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、水素添加された2官能エポキシ樹脂であってもよい。また、エポキシ樹脂は、固形エポキシ樹脂、半固形エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂の何れであってもよい。本明細書において、固形エポキシ樹脂とは40℃で固体状であるエポキシ樹脂をいい、半固形エポキシ樹脂とは20℃で固体状であり、40℃で液状であるエポキシ樹脂をいい、液状エポキシ樹脂とは20℃で液状のエポキシ樹脂をいう。液状の判定は、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)の別紙第2の「液状の確認方法」に準じて行う。例えば、特開2016-079384の段落23~25に記載の方法にて行なう。エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固形エポキシ樹脂としては、DIC社製EPICLON HP-4700(ナフタレン型エポキシ樹脂)、日本化薬社製NC-7000(ナフタレン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のナフタレン型エポキシ樹脂;日本化薬社製EPPN-502H(トリスフェノールエポキシ樹脂)等のフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物(トリスフェノール型エポキシ樹脂);DIC社製EPICLON HP-7200H(ジシクロペンタジエン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のジシクロペンタジエンアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC-3000H(ビフェニル骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC-3000L等のビフェニル/フェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製EPICLON N660、EPICLON N690、日本化薬社製EOCN-104S等のノボラック型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製YX-4000等のビフェニル型エポキシ樹脂;日鉄ケミカル&マテリアル社製FX-289BEK75、FX-1225EK75等のリン含有エポキシ樹脂;日産化学社製TEPIC等のトリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
半固形エポキシ樹脂としては、DIC社製EPICLON 860、EPICLON 900-IM、EPICLON EXA―4816、EPICLON EXA-4822、日鉄ケミカル&マテリアル社製エポトートYD-134、三菱ケミカル社製jER834、jER872等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;DIC社製EPICLON HP-4032等のナフタレン型エポキシ樹脂;DIC社製EPICLON N-740等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
[活性エステル基を有する化合物]
樹脂層(A)が含有してもよく、また、樹脂層(B)が含有する活性エステル基を有する化合物は、一分子中に2個以上の活性エステル基を有する化合物であることが好ましい。活性エステル基を有する化合物は、一般に、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物との縮合反応によって得ることができる。中でも、ヒドロキシ化合物としてフェノール化合物またはナフトール化合物を用いて得られる活性エステル基を有する化合物が好ましい。フェノール化合物またはナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。また、活性エステル基を有する化合物としては、ナフタレンジオールアルキル/安息香酸型でもよい。活性エステル基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。活性エステル基を有する化合物としては、α-ナフトール、β-ナフトールおよびジシクロペンタジエン骨格のいずれかを有するものが好ましい。特に好ましくは、ジシクロペンタジエン骨格を有するものであり、高い耐熱性を得ることができる。
市販されている活性エステル基を有する化合物としては、ジシクロペンタジエン型のジフェノール化合物、例えば、HPC8000-65T(DIC社製)、HPC8100-65T(DIC社製)、HPC8150-65T(DIC社製)が挙げられる。
(硬化剤)
樹脂層(A)および(B)はそれぞれ、活性エステル基を有する化合物以外の硬化剤を含有してもよい。活性エステル基を有する化合物以外の硬化剤としては、前記フェノール性水酸基を有する化合物の他に、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル基を有する化合物、マレイミド基を有する化合物、脂環式オレフィン重合体等が挙げられる。硬化剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α-ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ザイロック型フェノールノボラック樹脂等の従来公知のものを用いることができる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物の中でも、水酸基当量が100g/eq.以上のものが好ましい。水酸基当量が100g/eq.以上のフェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、ジシクロペンタジエン骨格フェノールノボラック樹脂(GDPシリーズ、群栄化学社製)、ザイロック型フェノールノボラック樹脂(MEH-7800、明和化成社製)、ビフェニルアラルキル型ノボラック樹脂(MEH-7851、明和化成社製)、ナフトールアラルキル型硬化剤(SNシリーズ、日鉄ケミカル&マテリアル社製)、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック樹脂(LA-3018-50P、DIC社製)、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂(LA-705N、DIC社製)などが挙げられる。
(無機フィラー)
樹脂層(A)および(B)はそれぞれ、無機フィラーを含有することができる。無機フィラーを配合することによって、得られる硬化物の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度、絶縁層の周囲にある銅等の導体層と熱強度を合わせることによるクラック耐性等の熱特性を向上させることができる。無機フィラーとしては従来公知の無機フィラーが使用でき、特定のものに限定されないが、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカなどのシリカ、タルク、クレー、ノイブルグ珪土粒子、ベーマイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ジルコン酸カルシウム等の体質顔料や、銅、錫、亜鉛、ニッケル、銀、パラジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、金、白金等の金属粉体が挙げられる。無機フィラーは球状粒子であることが好ましい。中でもシリカが好ましく、樹脂層の硬化物の硬化収縮を抑制し、より低CTEとなり、また、密着性、硬度などの特性を向上させる。無機フィラーの平均粒子径(メディアン径、D50)は、0.01~10μmであることが好ましい。なお、本明細書において、無機フィラーの平均粒子径は、一次粒子の粒径だけでなく、二次粒子(凝集体)の粒径も含めた平均粒子径である。平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。レーザー回折法による測定装置としては、マイクロトラック・ベル社製Nanotrac waveなどが挙げられる。
前記無機フィラーは、表面処理されていてもよい。表面処理としては、カップリング剤による表面処理や、アルミナ処理等の有機基を導入しない表面処理がされていてもよい。無機フィラーの表面処理方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いればよく、硬化性反応基を有する表面処理剤、例えば、硬化性反応基を有機基として有するカップリング剤等で無機フィラーの表面を処理すればよい。
無機フィラーの表面処理は、カップリング剤による表面処理であることが好ましい。カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミネート系およびジルコアルミネート系等のカップリング剤が使用できる。中でもシラン系カップリング剤が好ましい。かかるシラン系カップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N-(2-アミノメチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは併用して使用することができる。これらのシラン系カップリング剤は、予め無機フィラーの表面に吸着あるいは反応により固定化されていることが好ましい。ここで、無機フィラー100質量部に対するカップリング剤の処理量は、例えば、0.1~10質量部である。
硬化性反応基としては熱硬化性反応基が好ましい。熱硬化性反応基としては、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、オキサゾリン基等が挙げられる。中でも、アミノ基およびエポキシ基のいずれか少なくとも1種が好ましい。なお、表面処理された無機フィラーは、熱硬化性反応基に加え、光硬化性反応基を有していてもよい。
なお、表面処理がされた無機フィラーは、表面処理された状態で樹脂層に含有されていればよく、樹脂組成物に無機フィラーと表面処理剤とを別々に配合して組成物中で無機フィラーが表面処理されてもよいが、予め表面処理した無機フィラーを配合することが好ましい。予め表面処理した無機フィラーを配合することによって、別々に配合した場合に残存しうる表面処理で消費されなかった表面処理剤によるクラック耐性等の低下を防ぐことができる。予め表面処理する場合は、溶剤や樹脂成分に無機フィラーを予備分散した予備分散液を配合することが好ましく、表面処理した無機フィラーを溶剤に予備分散し、該予備分散液を組成物に配合するか、表面未処理の無機フィラーを溶剤に予備分散する際に十分に表面処理した後、該予備分散液を組成物に配合することがより好ましい。
無機フィラーは、粉体または固体状態で樹脂成分等と配合してもよく、溶剤や分散剤と混合してスラリーとした後で熱硬化性樹脂成分等と配合してもよい。
無機フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂層(A)および(B)の無機フィラーの配合量はそれぞれ、樹脂層あたり、10~90質量%であることが好ましく、50~90質量%であることがより好ましく、60~90質量%であることがさらに好ましい。無機フィラーの配合量が10質量%以上の場合、熱膨張を抑制して耐熱性が向上し、一方、90質量%以下の場合、クラックの発生を抑制することができる。
(硬化促進剤)
樹脂層(A)および(B)はそれぞれ、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤は、熱硬化反応を促進させるものであり、密着性、耐薬品性、耐熱性等の特性をより一層向上させるために使用される。このような硬化促進剤の具体例としては、イミダゾールおよびその誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、m-キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-キシリル-S-トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N-ベンジルジメチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルモルホリン、ヘキサ(N-メチル)メラミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m-アミノフェノール等のアミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス-2-シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ-n-ブチル(2,5-ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6-トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート等の光カチオン重合触媒;スチレン-無水マレイン酸樹脂;フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物、金属触媒等の従来公知の硬化促進剤が挙げられる。
硬化促進剤は、1種を単独または2種以上混合して用いることができる。硬化促進剤の使用は必須ではないが、特に硬化を促進したい場合には、エポキシ樹脂100質量部に対して好ましくは0.01~10質量部の範囲で用いることができる。金属触媒の場合、エポキシ樹脂100質量部に対して金属換算で10~550ppmが好ましく、25~200ppmが好ましい。
(高分子樹脂)
樹脂層(A)および(B)はそれぞれ、得られる硬化膜の機械的強度を向上させるために、さらに高分子樹脂を含有することができる。高分子樹脂は、溶剤に可溶であることが好ましい。溶剤に可溶である場合、ドライフィルム化した場合に柔軟性が向上し、クラックの発生や粉落ちを抑制できる。高分子樹脂としては、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂や、エピクロルヒドリンと各種2官能フェノール化合物の縮合物であるフェノキシ樹脂或いはその骨格に存在するヒドロキシエーテル部の水酸基を各種酸無水物や酸クロリドを使用してエステル化したフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ブロック共重合体等が挙げられる。高分子樹脂は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。耐熱性の観点からフェノキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、日鉄ケミカル&マテリアル社製のFX280、FX293、三菱ケミカル社製のYX8100、YX6954、YL6954、YL6974等が挙げられる。また、ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、積水化学社製のエスレックKSシリーズ、ポリアミド樹脂としては、日立化成社製のKS5000シリーズ、日本化薬社製のBPシリーズ、さらに、ポリアミドイミド樹脂としては、日立化成社製のKS9000シリーズ等が挙げられる。
樹脂層(A)および(B)の高分子樹脂の各配合量は、樹脂層あたり、0.5~10質量%の割合である。高分子樹脂の配合量が上記範囲内であると、均一な粗化面状態が得られやすい。
(エラストマー)
樹脂層(A)および(B)はそれぞれ、エラストマーを含有してもよい。エラストマーとしては、ゴム状粒子、および、ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂を用いることが好ましい。
(有機溶剤)
樹脂層(A)および(B)にはそれぞれ、有機溶剤が残存していてもよい。有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、2-メトキシプロパノール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等の他、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラクロロエチレン、テレビン油等が挙げられる。また、丸善石油化学社製スワゾール1000、スワゾール1500、三共化学社製ソルベント#100、ソルベント#150、シェルケミカルズジャパン社製シェルゾールA100、シェルゾールA150、出光興産社製イプゾール100番、イプゾール150番等の有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
残存溶剤量は特に限定されないが、樹脂層(A)および(B)の各残留溶剤量は、樹脂層あたり、0.5~6質量%の割合である。より好ましくは1~5質量%である。
(その他の成分)
樹脂層(A)および(B)にはそれぞれ、さらに必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の従来公知の着色剤、アスベスト、オルベン、ベントン、微紛シリカ等の従来公知の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤、難燃剤、有機フィラー、増感剤、チタネート系、アルミニウム系の従来公知の添加剤類を用いることができる。
[キャリアフィルム]
キャリアフィルムとは、ドライフィルムの樹脂層を支持する役割を有するものであり、樹脂層を形成する際に、熱硬化性樹脂組成物が塗布されるフィルムである。キャリアフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、および、表面処理した紙等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムを好適に使用することができる。キャリアフィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。キャリアフィルムの樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。キャリアフィルムに離形処理が施されている場合、ヒケが生じやすくなるが、本発明においては、樹脂層(A)が上記構成を備えることにより、ヒケの発生を抑制することができる。即ち、本発明のドライフィルムの好適な形態は、キャリアフィルムの離型処理面上に樹脂層(A)と樹脂層(B)を有する構成とも言える。離形処理剤としては、シリコン系化合物、フッ素系化合物、アクリル系化合物などが挙げられる。また、キャリアフィルムの樹脂層を設ける面には、スパッタもしくは極薄銅箔が形成されていてもよい。
(保護フィルム)
本発明のドライフィルムは、必要に応じて、樹脂層上に保護フィルムをラミネートすることができる。保護フィルムとは、ドライフィルムの樹脂層の表面に塵等が付着するのを防止するとともに取扱性を向上させる目的で、樹脂層のキャリアフィルムとは反対の面に設けられる。保護フィルムとしては、例えば、前記キャリアフィルムで例示した熱可塑性樹脂からなるフィルム、および、表面処理した紙等を用いることができるが、これらの中でも、ポリエステルフィルムおよびポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。保護フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。保護フィルムの樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。
本発明のドライフィルムは、必要に応じて、他の樹脂層を設けてもよく、例えば、樹脂層(B)の上に他の樹脂層を設けてもよい。
[ドライフィルムの製造方法]
本発明のドライフィルムの製造方法は、エポキシ樹脂を含み、活性エステル基を有する化合物を含まないか、または、活性エステル基を有する化合物をエポキシ樹脂のエポキシ当量に対する活性エステル当量の比が1.0以下の割合で含む樹脂組成物をキャリアフィルム上に塗布し、樹脂層(a)を形成する工程と、エポキシ樹脂と活性エステル基を有する化合物を含み、エポキシ当量に対する活性エステル当量の比が1.0を超える樹脂組成物を樹脂層(a)の上に塗布し、樹脂層(b)を形成する工程を含むものである。樹脂層(a)は、樹脂層(b)の形成前に乾燥させてもよく、樹脂層(a)を乾燥させる前に樹脂層(b)を形成して、樹脂層(b)と共に乾燥させてもよい。また、キャリアフィルム上に、樹脂層(a)、(b)の順番で積層されるように、同時に樹脂組成物を塗布して樹脂層(a)、(b)を形成し、その後、乾燥させてもよい。樹脂層(a)および(b)を形成するための樹脂組成物は、それぞれ樹脂層(A)および(B)を形成できる樹脂組成物であれば特に限定されず、上記した樹脂層(A)および(B)が含む各種成分を含有する樹脂組成物を用いればよい。
本発明のドライフィルムの製造方法において、樹脂組成物のエポキシ当量に対する活性エステル当量の比は、前記樹脂層(A)および(B)のエポキシ当量に対する活性エステル当量の比と同様である。
樹脂組成物の塗布方法は特に限定されず、樹脂組成物を有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、バーコーター、ダイコーター、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布すればよい。また、樹脂組成物の塗布後、通常、50~130℃の温度で1~30分間乾燥して、乾燥塗膜とすることができる。
本発明のドライフィルムを用いたプリント配線板の製造方法としては、従来公知の方法を用いればよい。例えば、保護フィルムを樹脂層(B)の上にさらに積層したドライフィルムの場合、下記のような方法でプリント配線板を製造することができる。ドライフィルムから保護フィルムを剥離し、回路パターンが形成された回路基板に樹脂層(B)が接するように加熱ラミネートした後、熱硬化させる。熱硬化は、オーブン中で硬化、もしくは熱板プレスで硬化させてもよい。回路基板と本発明のドライフィルムをラミネートもしくは熱板プレスする際に、銅箔もしくは回路基板を同時に積層することもできる。回路基板上の所定の位置に対応する位置に、レーザー照射またはドリルでパターンやビアホールを形成し、回路配線を露出させることで、プリント配線板を製造することができる。この際、パターンやビアホール内の回路配線上に除去しきれないで残留した成分(スミア)が存在する場合にはデスミア処理を行う。キャリアフィルムは、ラミネート後に、熱硬化後、レーザー加工後またはデスミア処理後のいずれかに、剥離すればよい。なお、層間回路の接続方法は、カッパーピラーによる接続でもよい。
本発明のドライフィルムは、電子部品、特にプリント配線板の永久保護膜の形成に好ましく用いることができ、中でもソルダーレジスト層、層間絶縁層、フレキシブルプリント配線板のカバーレイの形成に好ましく用いることができる。また、プリント配線板の永久穴埋め、例えば、スルーホールやビアホール等の穴埋めにも好適に用いることができる。また、半導体チップ用の封止材としても用いることができる。本発明のドライフィルムは、活性エステル基を有する化合物を高い含有量で含む硬化物を形成できることができることから、高周波特性が要求される用途に好適に用いることができる。また、本発明のドライフィルムを用いて、配線を貼り合わせることによって配線板を形成してもよい。電子部品としては、プリント配線板以外の用途、例えば、インダクタなど受動部品でもよい。
本発明の硬化物の誘電正接は特に限定されないが、本発明によれば低い誘電正接の硬化物を得ることが可能である。
以下、本発明の実施例、比較例および試験例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、特に断りのない限り全て質量部である。
下記表1、表2に示す処方にて各成分を配合し、3本ロールミルで分散し、A1~A3及びB1~B4の熱硬化性樹脂組成物を得た。
Figure 0007454394000001
*1:液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物;日鉄ケミカル&マテリアル社製;エポキシ当量165g/eq)
*2:固形エポキシ樹脂(ビフェニル/フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製;エポキシ当量272g/eq;軟化点52℃)
*3:活性エステル化合物(DIC社製;活性エステル当量223g/eq)、固形分65質量%、トルエン希釈品
*4:フェノールノボラック樹脂(明和化成社製;水酸基当量106g/eq)
*5:フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製)、固形分30質量%、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン希釈品
*6:3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製)
*7:球状シリカ(アドマテックス社製;平均粒径0.5μm)
*8:2-エチル-4-メチルイミダゾール(四国化成工業社製)
Figure 0007454394000002
<実施例1~4>
(1層目形成)
得られたA1の熱硬化性樹脂組成物を、バーコーターを用いてPETフィルム(離型処理PETフィルム;TN200:厚さ38μm)に塗布し、熱風循環式乾燥炉で90℃10分間乾燥して厚さ3μmの1層目の樹脂層(A)を得た。
(2層目形成)
得られた1層目の樹脂層(A)上に、B1~B4の熱硬化性樹脂組成物をそれぞれ、バーコーターを用いて塗布し熱風循環式乾燥炉で90℃10分間乾燥して厚さ27μmの2層目の樹脂層(B)を作製し、それぞれ実施例1~4の二層構造のドライフィルムを得た。
※1層目の樹脂層(A)(3μm)+2層目の樹脂層(B)(27μm)=30μm
<実施例5~8>
1層目の樹脂層(A)の形成にA2の熱硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1~4と同様の方法で2層のドライフィルムを作製し、それぞれ実施例5~8の二層構造の樹脂層のドライフィルムを得た。
<実施例9~12>
1層目の樹脂層(A)の形成にA3の熱硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1~4と同様の方法で2層のドライフィルムを作製し、それぞれ実施例9~12の二層構造のドライフィルムを得た。
<比較例1~4>
B1~B4の熱硬化性樹脂組成物をそれぞれ、バーコーターを用いてPETフィルム(離型処理PETフィルム;TN200:厚さ38μm)に塗布し熱風循環式乾燥炉で90℃10分間乾燥して厚さ27μmの樹脂層(B)を作製し、比較例1~4の単層構造の樹脂層のドライフィルムを作製した。
<塗工安定性>
3本ロールミルによる分散で得られたA1~3の熱硬化性樹脂組成物を25℃の恒温槽へ放置し、6、12、24、36時間後の粘度(25℃、5rpm、30sec.の値)をコーンプレート型粘度計(TVE-35H 東機産業製)で測定した。その後、PETフィルムに塗布することができるかどうかを評価した。
評価基準
◎:36時間後、粘度変化が5%未満であり、PETフィルムに塗布することができる。
〇:24時間後、粘度変化が5%未満であり、PETフィルムに塗布することができる。
△:12時間後、粘度変化が5%未満であり、PETフィルムに塗布することができる。
×:12時間後、粘度変化が5%以上であり、PETフィルムに塗布することができない。
<はじきの確認>
各実施例および比較例のドライフィルムの製造において、それぞれバーコーターで各熱硬化性樹脂組成物を塗布後に両端部からのヒケの長さを金属製の定規で計測した。
評価基準
◎:ヒケ無
〇:ヒケ5mm未満
×:ヒケ5mm以上
<デスミア耐性>
真空加圧ラミネーターMVLP-500(名機社製)を用いて、銅張積層板の銅上に、各実施例および比較例のドライフィルムの樹脂層(B)側が接着するように、5kgf/cm、120℃、1分、4hPaの条件にて加熱ラミネートし、その後、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃で60分間加熱し、樹脂層を硬化させて、硬化膜を得た。
得られた硬化膜に下記に示す一般的なデスミア処理を施した。初めに膨潤液(アトテックジャパン社製スエリングディップ・セキュリガントP及び48%水酸化ナトリウムの混合液)に60℃で5分間浸漬した。次に粗化液(アトテックジャパン社製 コンセントレートコンパクトCP及び48%水酸化ナトリウムの混合液)に80℃で20分浸漬し、最後に中和液(アトテックジャパン社製 リダクションセキュリガントP500 及び96%硫酸)に40℃で5分浸漬した。デスミア処理後の硬化膜の状態を目視にて確認した。評価基準
〇:硬化膜のはがれ無し
×:硬化膜のはがれ有り
Figure 0007454394000003
上記結果から、実施例1~12の樹脂層(A)と樹脂層(B)の2層構造の樹脂層のドライフィルムは、はじきの無い良好な塗膜形成が可能であった。また、デスミア後の硬化膜の剥がれもなかった。
一方で比較例1~4の樹脂層(B)のみの単層構造の樹脂層のドライフィルムは、はじきがみられ、比較例2~4のドライフィルムは、デスミア後の状態も悪かった。
A 樹脂層(A)
B 樹脂層(B)
1 ドライフィルム
2 キャリアフィルム
3 基材
4 回路配線

Claims (4)

  1. キャリアフィルムと、
    前記キャリアフィルム上に形成された樹脂層(A)と、
    前記樹脂層(A)の上に形成された樹脂層(B)とを有するドライフィルムであって、
    前記樹脂層(A)はエポキシ樹脂を含み、活性エステル基を有する化合物を含まないか、または、活性エステル基を有する化合物を前記樹脂層(A)に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ当量に対する活性エステル基を有する化合物の活性エステル当量の比が1.0以下の割合で含み、
    前記樹脂層(B)はエポキシ樹脂と活性エステル基を有する化合物を含み、前記樹脂層(B)に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ当量に対する活性エステル基を有する化合物の活性エステル当量の比が1.5以上であることを特徴とするドライフィルム。
  2. 前記樹脂層(A)と前記樹脂層(B)の厚み比が3:7~0.2:9.8であることを特徴とする請求項1記載のドライフィルム。
  3. 請求項1または2記載のドライフィルムの樹脂層(A)と樹脂層(B)を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
  4. 請求項3記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。
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