JP2001040182A - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置

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JP2001040182A
JP2001040182A JP21206799A JP21206799A JP2001040182A JP 2001040182 A JP2001040182 A JP 2001040182A JP 21206799 A JP21206799 A JP 21206799A JP 21206799 A JP21206799 A JP 21206799A JP 2001040182 A JP2001040182 A JP 2001040182A
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epoxy resin
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semiconductor
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JP21206799A
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English (en)
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Kazumasa Igarashi
一雅 五十嵐
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Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】半導体素子の高周波化が進む状況のなかで、高
周波化に対応した比誘電率が低減され、かつ流動性にも
優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。 【解決手段】エポキシ樹脂およびフェノール樹脂ととも
に下記の(C)成分を含有する半導体封止用エポキシ樹
脂組成物であって、上記(C)成分の含有割合が、エポ
キシ樹脂組成物全体中10〜80重量%の範囲に設定さ
れている半導体封止用エポキシ樹脂組成物である。 (C)微細無機質粒子で表面が被覆されたフッ素樹脂粒
子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、比誘電率が著しく
低減された低誘電率の半導体封止用エポキシ樹脂組成物
およびそれを用いて半導体素子が樹脂封止された半導体
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、トランジスター,IC,LS
I等の半導体素子を、エポキシ樹脂組成物等の封止材料
を用いてトランスファー成形により樹脂モールドしてな
る樹脂封止型の半導体装置は、信頼性、量産性および低
価格等の点で優れていることからセラミック封止型半導
体装置とともに広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、近年、マイ
クロプロセッサ等の半導体素子の高機能化、高性能化が
図られており、これに基づき動作周波数が一段と上昇す
る傾向にある。また、情報通信関連分野のなかでも、携
帯電話、PHS等の小型電子装置においてはその周波数
帯域に関してギガヘルツに近い周波数帯域が使用される
ようになってきており、さらに2桁のギガヘルツ帯域を
使用する通信も開発が進められているのが現状である。
【0004】このように、半導体の高周波数化が進むな
かで、高信頼性が要求される半導体装置に関しては、現
在、高周波特性に優れたセラミック封止型の半導体装置
が多く採用されている。しかしながら、一方では、上記
のように量産性や各種信頼性に優れた低価格の樹脂封止
型の半導体装置の採用が考えられているのが実状であ
る。このことから、樹脂封止型半導体装置に用いられる
モールド用の低誘電率のエポキシ樹脂組成物の開発が要
求されている。さらに、このような低誘電率を備えると
ともに、成形時の流動性にも優れ、成形時に問題の生じ
ない封止材となるエポキシ樹脂組成物の開発が望まれて
いる。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、半導体素子の高周波化が進む状況のなかで、高
周波化に対応した比誘電率が低減され、かつ流動性にも
優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用
いて樹脂封止された半導体装置の提供をその目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、下記の(A)〜(C)成分を含有する半
導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記(C)成
分の含有割合が、エポキシ樹脂組成物全体中10〜80
重量%の範囲に設定されている半導体封止用エポキシ樹
脂組成物を第1の要旨とする。 (A)エポキシ樹脂。 (B)フェノール樹脂。 (C)微細無機質粒子で表面が被覆されたフッ素樹脂粒
子。
【0007】また、本発明は、上記半導体封止用エポキ
シ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体
装置を第2の要旨とする。
【0008】本発明者は、まず、高周波特性に優れた樹
脂封止型の半導体装置を得るために、樹脂封止に用いら
れるエポキシ樹脂組成物を中心に検討を行った。そし
て、エポキシ樹脂組成物硬化体の比誘電率の低減を目的
に研究を重ねた結果、エポキシ樹脂組成物の配合成分と
してフッ素樹脂粉末を用い、しかもこれを特定の割合で
配合すると、上記比誘電率の低減という目的が達成され
ることを突き止めた。すなわち、従来から、特開昭55
−5928号公報、特開昭58−68955号公報およ
び特開昭59−149038号公報等にみられるよう
に、半導体封止用エポキシ樹脂組成物の配合成分として
フッ素樹脂粉末を用いることは提案されているが、従来
のエポキシ樹脂組成物ではいずれもそのフッ素樹脂粉末
の配合量は本発明の目的および課題とは異なるものであ
ることから、配合量は極少量であって従来のような使用
量では本発明の目的を達成することは全く不可能であ
り、本発明はこのような従来のものとは全く異なる観点
から検討を重ねた結果見出されたものである。
【0009】そして、上記観点から本発明者は、特定量
のフッ素樹脂粉末を含有する半導体封止用のエポキシ樹
脂組成物をすでに提案している(特願平10−7082
8号)。しかしながら、例えば、トランスファー成形に
て半導体装置を製造する際に、キャビティ数の多い大面
積の成形金型を用いて成形する場合、使用するフッ素樹
脂粉末によっては、エポキシ樹脂組成物の溶融時の流動
性が不足あるいは不充分であり、場合によっては未充填
のキャビティが発生する等の問題が発生した。このよう
な問題を解決するために、本発明者はさらに鋭意検討を
重ねた結果、フッ素樹脂粉末の粒子表面を微細な無機質
粒子で被覆した特殊なフッ素樹脂粒子からなる粉末を用
いると、エポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性が大幅に
改善され流動性に優れたものが得られることを見出し本
発明に到達した。すなわち、上記フッ素樹脂粉末の粒子
表面を微細無機質粒子で被覆したフッ素樹脂粒子体を用
いることにより、フッ素樹脂粒子の粗面表面がより緻密
化されると考えられ、またフッ素樹脂粒子の表面細孔が
塞がれることで比表面積が低下し、粒子が受ける流動時
の粘性が低下すると考えられる。
【0010】そして、上記(C)成分であるフッ素樹脂
粒子のなかでもポリテトラフルオロエチレンは融点が3
20〜330℃と他のフッ素樹脂に比べて耐熱性が高
く、しかも他のフッ素樹脂と比較すると溶融粘度が極め
て高いため、形状安定性に優れ、エポキシ樹脂組成物の
充填剤として特に好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0012】本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物
は、エポキシ樹脂(A成分)と、フェノール樹脂(B成
分)と、特殊なフッ素樹脂粒子(C成分)とを用いて得
られるものであって、通常、粉末状もしくはそれを打錠
したタブレット状になっている。または、上記エポキシ
樹脂組成物を溶融混練した後、略円柱状の顆粒体に成形
した顆粒状になっている。
【0013】上記エポキシ樹脂(A成分)としては、常
温(25℃)で固体であれば特に限定するものではなく
従来公知の各種エポキシ樹脂が用いられ、例えば、ジシ
クロペンタジエン型,クレゾールノボラック型,フェノ
ールノボラック型,ビスフェノール型,ビフェニル型等
の各種のエポキシ樹脂を用いることができる。これらエ
ポキシ樹脂は単独で用いてもよいし2種以上併用しても
よい。そして、これらエポキシ樹脂のなかでも、溶融粘
度が小さく、無機質充填剤の配合後に低溶融粘度となる
という観点から、3,3′,5,5′−テトラメチルビ
フェニルジグリシジルエーテル等の結晶性ビフェニル型
エポキシ樹脂を用いることが好ましく、このようなビフ
ェニル型エポキシ樹脂としては、エポキシ当量150〜
230g/eq、融点60〜160℃のものが好適に用
いられる。
【0014】上記フェノール樹脂(B成分)は、上記エ
ポキシ樹脂(A成分)の硬化剤として作用するものであ
り、特に限定するものではなく、フェノールノボラック
樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型
ノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂およびフェ
ノールアラルキル樹脂等があげられる。これらフェノー
ル樹脂は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよ
い。そして、これらフェノール樹脂のなかでも、低溶融
粘度のものを用いることが好ましい。特に、水酸基当量
が100〜250g/eq、軟化点が60〜110℃の
ものを用いることが好ましい。そして、上記エポキシ樹
脂(A成分)としてビフェニル型エポキシ樹脂を用いる
場合にはフェノール樹脂(B成分)としてフェノールア
ラルキル樹脂を用いることが好ましい。また、上記エポ
キシ樹脂(A成分)としてクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂を用いる場合はフェノールノボラック樹脂を用
いることが好ましい。
【0015】上記エポキシ樹脂(A成分)とフェノール
樹脂(B成分)の配合割合は、エポキシ樹脂中のエポキ
シ基1当量に対して、フェノール樹脂中の水酸基当量を
0.5〜1.6の範囲となるよう設定することが好まし
い。より好ましくは0.8〜1.2の範囲に設定するこ
とである。
【0016】つぎに、上記A成分およびB成分とともに
用いられる特殊なフッ素樹脂粒子(C成分)は、コアと
なるフッ素樹脂粒子の表面に微細無機質粒子が被覆され
たものである。このフッ素樹脂粒子としては、最大粒径
が200μm以下で、しかも融点が100℃以上のもの
が好適に用いられる。特に好ましくは融点が200℃以
上である。また、上記最大粒径とともに、平均粒径が1
〜50μmの範囲のものを用いることが好ましく、特に
好ましくは平均粒径が5〜40μmの範囲である。な
お、上記最大粒径および平均粒径は、例えば、レーザー
回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することがで
きる。そして、例えば、平均粒径が1μm未満のものを
熱処理して平均粒径が上記範囲となるまで融着凝集させ
た二次粒子体をコアとなるフッ素樹脂粒子として用いら
れる。
【0017】そして、上記コアとなるフッ素樹脂粒子と
しては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テ
トラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシコポリ
マー(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレンコポリマー(FEP)、ポリクロロトリ
フルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチ
レン−エチレンコポリマー(ETFE)等のフッ素樹脂
粒子があげられる。なかでも、フッ素含有率が大きい上
記PTFE粒子は、融点が320〜330℃と他のフッ
素樹脂に比べて耐熱性が高く、しかも他のフッ素樹脂と
比較すると溶融粘度が極めて高いため、高温での形状安
定性という観点からも特に好ましい。
【0018】上記コアとなるフッ素樹脂粒子表面に被覆
される微細無機質粒子としては、例えば、シリカ微粉末
やアルミナ微粉末等があげられる。特に、シリカ粉末が
好ましく用いられ、なかでも球状シリカ微粉末、摩砕処
理シリカ微粉末、破砕状シリカ微粉末等が好ましい。そ
して、上記フッ素樹脂粒子表面の被覆に用いられる微細
無機質粒子としては、粒子径が微細であるという観点か
ら、一次粒子の平均粒径が1〜1000nmの上記シリ
カ微粉末が好適に用いられ、特に一次粒子の平均粒径が
10〜500nmの上記シリカ微粉末が好適である。
【0019】上記微細無機質粒子を用いてフッ素樹脂粒
子表面を被覆してなる、微細無機質粒子で表面が被覆さ
れたフッ素樹脂粒子(C成分)は、例えば、つぎのよう
にして製造される。すなわち、フッ素樹脂粒子と微細無
機質粒子を投入し、圧縮、摩擦、剪断力等の機械的衝撃
力を利用した機械的処理による複合化粒子処理方法、加
熱処理による複合化粒子処理方法等、従来公知の複合化
方法を用いてフッ素樹脂粉末表面を被覆して特殊なフッ
素樹脂粒子が製造される。
【0020】上記機械的処理による複合化粒子処理方法
について詳しく述べる。すなわち、高速回転するロータ
ー、ステーターおよび循環回路を有する表面処理装置
に、上記フッ素樹脂粒子の粉末と微細無機質粒子の粉末
とを投入する。この装置内に投入された粒子は、粉末同
士の相互作用も含めて圧縮、摩擦、剪断力等の主に衝撃
力による機械的作用を繰り返し受けて、複合化粒子処理
が行われる。
【0021】一方、上記加熱処理による複合化粒子処理
方法について詳しく述べる。すなわち、フッ素樹脂粒子
に摩擦帯電により微細無機質粒子を付着させた粒子を熱
風気流中に分散供給することにより、溶融させたコアの
フッ素樹脂粒子の表面に微細無機質粒子を固定化するこ
とができる。このようにして複合化粒子処理が行われ
る。
【0022】上記表面が微細無機質粒子で被覆されたフ
ッ素樹脂粒子(C成分)の含有量は、エポキシ樹脂組成
物全体中の10〜80重量%の範囲に設定する必要があ
る。より好ましくは20〜75重量%であり、特に好ま
しくは40〜70重量%である。すなわち、上記特殊な
フッ素樹脂粒子(C成分)の含有量が10重量%を下回
り少な過ぎると、エポキシ樹脂組成物硬化体自身の比誘
電率の低減効果が不充分であり所望の効果が得られず、
80重量%を超え多過ぎると、低圧トランスファー成形
時の溶融粘度が高くなり過ぎて流動性等の低下がみられ
るからである。
【0023】また、通常、半導体封止用エポキシ樹脂組
成物には、上記エポキシ樹脂(A成分)、フェノール樹
脂(B成分)および特殊なフッ素樹脂粒子とともに用い
られる無機質充填剤を用いてもよい。この無機質充填剤
としては、特に限定するものではなく従来公知の各種無
機質充填剤があげられ、例えば、シリカ粉末(溶融シリ
カ粉末や結晶性シリカ粉末等)、炭酸カルシウム粉末、
チタン白、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化
珪素粉末等があげられる。これらは単独でもしくは2種
以上併せて用いられる。なかでも、得られる硬化物の線
膨張係数を低減できるという点から上記シリカ粉末を用
いることが好ましく、上記シリカ粉末のなかでも、球状
シリカ粉末、摩砕処理シリカ粉末、破砕状シリカ粉末が
好ましく用いられ、特に球状溶融シリカを用いることが
好ましい。そして、上記無機質充填剤としては、最大粒
径が100μm以下のものを用いることが好ましく、通
常、下限値は0.1μm程度である。さらに、上記最大
粒径とともに、平均粒径が1〜20μmの範囲のものを
用いることが好ましい。なお、上記最大粒径および平均
粒径は、上記C成分と同様、例えば、レーザー回折散乱
式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0024】上記無機質充填剤の含有量は、エポキシ樹
脂組成物全体の0〜60重量%の範囲内に設定すること
が好ましい。より好ましくは0〜30重量%であり、特
に好ましくは0〜20重量%である。すなわち、無機質
充填剤の含有量が60重量%を超えて多くなると、エポ
キシ樹脂組成物の溶融粘度が高くなることから、充填性
が悪化する傾向がみられるからである。
【0025】なお、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂
組成物には、上記エポキシ樹脂(A成分)、フェノール
樹脂(B成分)、特殊なフッ素樹脂粒子(C成分)およ
び無機質充填剤以外に必要に応じて、硬化促進剤、低応
力化剤、顔料、離型剤、難燃剤、カップリング剤等各種
の添加剤を適宜に配合することができる。
【0026】上記硬化促進剤としては、従来公知のもの
が用いられる。具体的には、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン
等の三級アミン類、2−メチルイミダゾール等のイミダ
ゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホ
スホニウムテトラフェニルボレート等のリン系硬化促進
剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併
せて用いられる。
【0027】上記低応力化剤としては、側鎖エチレング
リコールタイプジメチルシロキサン等のシリコーン化合
物、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等があげれら
る。
【0028】上記顔料としては、カーボンブラック、酸
化チタン等があげられる。また、上記離型剤としては、
ポリエチレンワックス、カルナバワックス、脂肪酸塩等
があげられる。さらに、上記難燃剤としては、ブロム化
エポキシ樹脂等があげられ、これに三酸化アンチモン等
の難燃助剤が用いられる。
【0029】また、上記カップリング剤としては、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン等のシランカップリング剤があげられる。
【0030】本発明の半導体封止用のエポキシ樹脂組成
物は、例えば、つぎのようにして製造することができ
る。すなわち、前記エポキシ樹脂(A成分)、フェノー
ル樹脂(B成分)、無機質充填剤および特殊なフッ素樹
脂粒子(C成分)ならびに必要に応じて他の添加剤を所
定量配合し、熱ロールやエクストルーダー、ニーダー等
を用い充分に溶融分散により混合した後、冷却して粉砕
し、場合によりタブレット状に圧縮成形するという一連
の工程により目的とするエポキシ樹脂組成物を製造する
ことができる。
【0031】このようにして得られたエポキシ樹脂組成
物を用いての半導体素子の封止は、特に限定するもので
はなく、通常の低圧トランスファー成形等の公知のモー
ルド方法により行うことができる。
【0032】このようにして得られる半導体装置は、封
止用樹脂組成物として用いられるエポキシ樹脂組成物中
に、前記特殊なフッ素樹脂粒子(C成分)が含有されて
いるため、このエポキシ樹脂組成物が著しく比誘電率が
低減された低誘電率であり、さらに流動性にも優れてい
ることから、優れた成形性とともに、高周波特性を備え
た半導体装置となる。
【0033】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0034】まず、下記に示す各成分を準備した。
【0035】〔エポキシ樹脂a〕o−クレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂(エポキシ当量195、軟化点75
℃)
【0036】〔エポキシ樹脂b〕3,3′,5,5′−
テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル(エポキ
シ当量192、融点107℃)
【0037】〔フェノール樹脂c〕フェノールノボラッ
ク樹脂(水酸基当量106、軟化点82℃)
【0038】〔フェノール樹脂d〕下記の式(d)で表
されるフェノール樹脂(水酸基当量170、軟化点70
℃)
【化1】
【0039】〔無機質充填剤〕球状溶融シリカ粉末(最
大粒径100μm、平均粒径15μm)
【0040】〔難燃剤〕臭素化フェノールノボラック型
エポキシ樹脂(エポキシ当量280)
【0041】〔難燃助剤〕三酸化アンチモン
【0042】〔硬化促進剤〕トリフェニルホスフィン
【0043】〔離型剤〕カルナバワックス
【0044】〔顔料〕カーボンブラック
【0045】〔シランカップリング剤〕β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
【0046】〔PTFE粉末α〕平均粒径0.3μm、
最大粒径200μm以下、真比重2.2、融点320℃
のPTFEからなる一次粒子を準備し、これを平均粒径
が30μmにまでなるよう熱処理させ融着凝集させるこ
とにより二次粒子となるPTFE粉末を作製した。
【0047】〔PTFE粉末β〕上記融着させたPTF
E粉末α(二次粒子)を母粒子として準備するととも
に、一次粒子の平均粒径が約12nmのシリカ微粉末を
準備した。そして、上記母粒子に対して上記シリカ微粉
末が5重量%となるよう用い、下記に示す機械的処理法
で上記母粒子表面にシリカ微粉末を被覆固定化した複合
構造の粒子を作製した。
【0048】〔機械的処理法〕高速回転するローター、
ステーターおよび循環回路を有する表面処理装置を用い
て、これにPTFE粉末αおよびシリカ微粉末を投入し
回転数7200rpmで3分間運転した後、上記装置よ
り排出してPTFE粉末βを作製した。
【0049】
【実施例1〜8、比較例1〜4】下記の表1〜表2に示
す各原料を同表に示す割合で同時に配合し、110〜1
20℃に熱した熱ロールで5分間溶融混練して、冷却し
た後粉砕して10メッシュパスの粉末状エポキシ樹脂組
成物を得た。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】〔比誘電率の測定〕このようにして得られ
た実施例および比較例の粉末状エポキシ樹脂組成物を用
いて、成形圧力70kg/cm2 、金型温度175℃、
成形時間2分間の条件でトランスファー成形した後、後
硬化を175℃で5時間実施することにより、厚さ3m
m×直径50mmの円盤状硬化体を作製した。そして、
銀ペーストを用い主電極の直径30mm、ガード電極の
直径32mm、対抗電極の直径45mmの銀電極を作製
した後、測定周波数1MHz、温度25℃での条件下、
上記硬化体の静電容量とコンダクタンス値を測定して比
誘電率を算出した。その結果を後記の表3〜表4に示
す。
【0053】〔耐湿性試験〕また、上記各粉末状エポキ
シ樹脂組成物を用いて、42アロイのリードフレームに
市販のエポキシ銀ペーストでダイボンドされた、アルミ
ニウム配線を表面に施したシリコンチップ(TEG:テ
スト エレメント グループ)を、トランスファー成形
(条件:金型温度175±5℃、注入圧力70±5kg
/cm2 )した後、後硬化を175℃で5時間実施する
ことにより、16ピンデュアルインラインパッケージ
(16pinDIP)型樹脂モールドパッケージの半導
体装置を作製した。この半導体装置を、121℃×2気
圧の水蒸気密閉容器中に所定時間(200時間、500
時間、1500時間)放置することにより耐湿性試験を
行った。その結果、シリコンチップ上のアルミニウム配
線抵抗が100Ω以上の場合を不良と評価することと
し、耐湿性試験に投入した全パッケージ数(20個)に
対する不良パッケージ数を計数した。その結果を後記の
表3〜表4に示す。
【0054】〔スパイラルフロー値の測定〕さらに、上
記各粉末状エポキシ樹脂組成物を用いて流動性の評価を
行った。すなわち、まず、粉末状エポキシ樹脂組成物を
用いてタブレット状(直径24.5mm×20mm)に
予備成形した。このタブレットを予め規定温度(175
±5℃)に加熱した渦巻き状のスパイラルフロー用金型
のポットの奥まで挿入し、型締めして型締め圧力を21
0±10kg/cm2 まで上げた。つぎに、型締め圧力
が210±10kg/cm2 に達した時点でプランジャ
ーでエポキシ樹脂組成物を注入し、注入圧力70±5k
g/cm2 に到達した後、1分50秒間注入圧力をかけ
た。ついで、トランスファー成形機のプランジャー圧力
を抜き、さらに型締め圧を抜いて金型を開けた。そし
て、成形物の渦巻き長さを最小2.5mmまで測定して
スパイラルフロー値とした(EMMI 1−66に準ず
る)。その結果を下記の表3〜表4に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】上記表3〜表4の結果、全ての実施例品は
スパイラルフロー値に関して問題なく優れた値であり、
流動性に関して改善効果を奏することは明らかである。
さらに、実施例品の比誘電率も低く、耐湿性試験結果も
良好であり、比誘電率が低く耐湿性信頼性に優れたもの
が得られたことがわかる。
【0058】これに対して、PTFE粉末を配合しなか
った比較例1〜2品は耐湿性試験に関しては問題なく耐
湿信頼性に優れたものであったが、比誘電率が高く、さ
らにスパイラルフロー用金型内での薄バリが多発した。
また、PTFE粉末βの含有量が10重量%未満である
比較例3品では耐湿信頼性には優れていたが、比誘電率
の低減効果が認められず、比誘電率が高かった。そし
て、比較例4品では比誘電率が著しく低減されていると
予想されるものの、スパイラルフロー値が極端に低く、
硬化体および半導体パッケージを成形することすらでき
なかった。
【0059】
【発明の効果】以上のように、本発明は、その表面を微
細無機質粒子で被覆された特殊なフッ素樹脂粒子(C成
分)を特定の割合で含有する半導体封止用エポキシ樹脂
組成物である。このため、著しく比誘電率が低減された
低誘電率を有し、しかも高流動性を兼ね備えたものであ
る。したがって、この半導体封止用エポキシ樹脂組成物
を用いて樹脂封止された半導体装置は、優れた耐湿信頼
性と成形性を備えたものであるととに、高周波化に対応
した高周波特性にも優れたものである。
【0060】そして、上記フッ素樹脂粒子のなかでもポ
リテトラフルオロエチレンは融点が320〜330℃と
他のフッ素樹脂に比べて耐熱性が高く、しかも他のフッ
素樹脂と比較すると溶融粘度が極めて高いため、形状安
定性に優れ、エポキシ樹脂組成物の充填剤として特に好
適である。
【0061】このようなことから、本発明の半導体装置
は、従来からの特長である、各種信頼性、量産性に優
れ、低価格であるという点に加えて、高周波化に対応し
た樹脂封止型半導体装置であり、従来のセラミック封止
型半導体装置に代わる優れたものであるといえる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BD123 BD153 BD163 CC04X CC06X CD02W CD04W CD05W CD06W DE137 DE147 DE237 DF017 DJ007 DJ016 DJ017 FA086 FB266 FD090 FD130 FD14X FD150 FD160 GJ02 GQ05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)〜(C)成分を含有する半
    導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記(C)成
    分の含有割合が、エポキシ樹脂組成物全体中10〜80
    重量%の範囲に設定されていることを特徴とする半導体
    封止用エポキシ樹脂組成物。 (A)エポキシ樹脂。 (B)フェノール樹脂。 (C)微細無機質粒子で表面が被覆されたフッ素樹脂粒
    子。
  2. 【請求項2】 上記(C)成分であるフッ素樹脂粒子
    が、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1記載の
    半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の半導体封止用エ
    ポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半
    導体装置。
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