JP4264991B2 - 熱硬化性樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリエステル等の熱硬化性樹脂および無機質充填材からなる熱硬化性樹脂組成物、特にボイドが少なく、半導体パッケージの耐半田クラック性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて封止された半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱硬化性樹脂組成物の低熱膨張率化、寸法安定化、高弾性率化、耐半田クラック性向上などを目的として、無機質充填材分率をできるだけ高める検討がおこなわれている。特にLSI保護の目的で用いられるエポキシ樹脂封止材料においては、耐半田クラック性を向上するために、樹脂組成物の硬化物の吸水率を下げる必要があり、そのために無機充填材を高充填化する必要がある。
例えば、高充填用フィラーとして粒子形が球状のシリカが開発され、LSI保護の目的で用いられるエポキシ樹脂封止材料に好適に利用されている。しかし、球状フィラーを用いた場合、破砕形のシリカを用いた場合より流動性を維持したまま、高充填が実現できる一方で、衝撃強度の低下をきたす問題を生じていた。
【0003】
また、粒径の異なる粒子を組み合わせる方法も開示されている(特公平5−38767号公報、特公平5−54865号公報)。これは、適度な粒度分布を有するシリカ粒子を用いて、粒径の大きな粒子(以下大粒子と称する)が充填された隙間を粒径の小さな粒子(以下小粒子と称する)が埋める形で高充填を実現させようというもので、これも高充填には効果があるので利用されているが、小粒子同士の凝集により分散性が低下し、成形時樹脂組成物の熱溶融流動性が低下したり、成形パッケージ中にボイドが発生する問題が生じる。流動性を向上させるために大粒子をアミノシラン系カップリング剤で表面処理し、小粒子をエポキシシラン系カップリング剤で処理する方法が開示されているが(特開平5−32867号公報)、フィラーの処理に工数を要する事からコスト面で用途に制限がある。また、前記公報の実施例の中でシリカとアルミナを用いた系が述べられているが、これはそれぞれの粒子を表面処理することにより流動性を上げるもので、本発明とは異なるものである。
【0004】
一方、熱伝導性を向上させる目的で、アルミナを用いる方法が開示されている(特開平8−283448号公報)が、熱伝導性を向上させる目的では、添加するアルミナの量を15〜60vol%用いる必要があり、目的、配合量の点で本発明の意図するところではない。
また、白色度を上げる目的で、酸化チタン(チタンホワイト)を用いる方法が提唱されている(特開平8−245755号公報)が、白色度を上げる目的では、添加する酸化チタンの量を多く用いる必要があり、目的、配合量の点で本発明の意図するところではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、粉体混合時の作業性を向上し、大粒子と小粒子とを組み合わせたフィラー高充填熱硬化性樹脂組成物中のフィラー分散性を簡易な方法で最適な状態に調整することにより、成形パッケージ内のボイドを低減し、さらに流動性に優れ、曲げ特性等の機械的強度が高く、良好な高靱性、熱衝撃性、成形加工性を有するフィラー高充填熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
特に、本発明は、内部ボイドが少なく、且つ耐半田クラック性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて封止された半導体装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、第1の発明はエポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、(A)全樹脂組成物に対し、平均粒径が1〜100μmのシリカ粒子を65〜94重量%、(B)該シリカ100重量部に対し、平均粒径が10nm〜0.6μmで等電位点が6以上の粒子を0.01〜2.0重量部含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物である。第2の発明はエポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、(A)全樹脂組成物に対し、平均粒径が1〜100μmのシリカ粒子を65〜94重量%、(B)該シリカ100重量部に対し、HLB値が10以上の界面活性剤を0.01〜5.0重量部含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物である。
【0007】
第3の発明はエポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、(A)全樹脂組成物に対し、平均粒径が1〜100μmのシリカ粒子を65〜94重量%、(B)該シリカ100重量部に対し、平均粒径が10nm〜0.6μmで等電位点が6以上の粒子を0.01〜2.0重量部、及びHLB値が10以上の界面活性剤を0.01〜5.0重量部含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物である。さらに第4の発明はエポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤を含む上記発明のいずれかの熱硬化性樹脂組成物を用いて封止してなることを特徴とする半導体装置である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるシリカ粒子は、結晶シリカ、溶融シリカのいずれでも良く、また形状も球状、異形のいずれでも利用できる。また樹脂成分との密着強度向上を目的として表面に凹凸を施したり、有機表面処理剤、特にシランカップリング剤等で表面処理されたものも利用できる。
シリカゾルも適用できるが、水酸基が多量に存在するため、例えば樹脂としてエポキシが、また硬化剤として酸無水物が選ばれた場合には酸無水物の開環反応が、あるいはイソシア基を利用する硬化系の場合にはイソシア基との直接反応が生じうるので注意が必要である。シリカ粒子は必要に応じて大粒子と小粒子を組み合わせたものを用いても良く、その全シリカ粒子の平均粒径は1〜100μm、好ましくは5〜20μmである。シリカ粒子の平均粒径が1μmを下回ると、シリカ同士の凝集が生じ100μmを上回ると金型ゲートでの詰まりや樹脂流動不均一による成形外観不良等が生じる。
【0009】
又、シリカの配合量としては、熱衝撃性向上の点、特に半導体封止材用途においては耐半田クラック性向上の点から、全熱硬化性樹脂組成物中に65〜94重量%が好ましい。65重量%未満だと、低熱膨張性、樹脂組成物の粘度が低くなり、熱衝撃性、特に半導体封止材用途では耐半田クラック性が不十分である。94重量%を越えると、高粘度化してしまい、半導体封止用途においては、成形時にダイパッド、及び金線ワイヤーのずれ等の不具合が生じるので好ましくない。
【0010】
本発明で利用される等電位点が6以上の粒子としては、特に制限されないが、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゲータイト、レピドクロサイトなどが挙げられ、好ましくは、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、さらに好ましくは、アルミナである。アルミナは、水酸化アルミニウムの焼成温度等により、α-アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、ρ−アルミナ、活性アルミナ等様々なものがあるが、特に制限されなく、場合によっては、適度な温度、300〜1200℃で水酸化アルミニウムを焼成したものでも良い。これら粒子は、シリカの場合と同じく組成、形状に特に制限はない。等電位点が6未満だとシリカの等電位点が1.8〜2.5であることから、樹脂中でシリカと同一の表面電荷を持つ確率が高くなり、静電相互作用によると考えられる最適な凝集分散状態の形成ができなくなり、ボイド低減、熱衝撃強度などの特性向上は発現しない。
なお、ここで言う等電位点とは、水中での表面電位をpHを変えて測定したときに電位が0となるpH値を言う。これは、電気泳動法等を用いることにより測定できる。
【0011】
また、表面に水酸基を過剰に含むと、硬化反応に影響を与えるので調整が必要である。等電位点が6以上の粒子の平均粒径は10nm〜10μm、好ましくは10nm〜5μm、さらに好ましくは10nm〜0.5μm、最も好ましくは、10nm〜100nmである。等電位点が6以上の粒子の平均粒径が10nmを下回ると凝集性が強く、熱硬化性樹脂組成物への均一分散が困難となる。10μmを上回ると、機械的強度、衝撃強度の向上、ボイド低減、溶融粘度低下の効果が不十分となる。
【0012】
シリカと等電位点が6以上の粒子との重量比は、シリカ100重量部に対し等電位点が6以上の粒子0.01〜5.0重量部、好ましくは、0.01〜2.0重量部、さらに好ましくは、0.01〜1.0重量部である。0.01重量部を下回ると均一混練が困難な為、機械的強度、衝撃強度の向上、ボイド低減、溶融粘度低下への効果が不十分となり、逆に5.0重量部を上回って添加してもこれらの効果は増加しない。また、等電位点が6以上の粒子中に含まれるハロゲン含有量が多いと、半導体封止材の様な用途への適用が困難となることから、必要に応じて、抽出処理によりハロゲンを除去した等電位点が6以上の粒子を使用するのが好ましい。なお、最適な重量比は、両者の粒径比と表面電荷密度により変化するが、樹脂および硬化剤との相互作用にも影響を受けることから、実験的に決定することが好ましい。
【0013】
フィラーとして、熱伝導性を向上させる目的でアルミナ、あるいはアルミナとシリカとの混合物が用いられる場合があるが、本発明の目的とは異なるものであり本発明の重量比では、熱伝導性の向上にたいして大きな効果は認められない。
【0014】
本発明で用いられる界面活性剤は、微粒のシリカ、等電位点が6以上の粒子が、最適な分散状態を形成することにより、機械的強度、衝撃強度の向上、ボイド低減、溶融粘度低下等の効果を発現させるために用いられる。界面活性剤種としては、カチオン系あるいはアニオン系の活性剤を制限するものではないが、半導体封止のように、極性基による金属イオンの搬入や、誘電率の温度、周波数依存性に厳しい要求のある用途では非イオン系が好ましく、中でも、HLBが10以上の非イオン系界面活性剤が好ましい。
【0015】
HLBが10以上の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(以下、ポリオキシエチレンをPOEと略す)、POEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、POE脂肪酸エステル類、POEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類、テトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油誘導体、POEミツロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。さらにシリコーン系界面活性剤として、ジメチルポリシロキサン、ポリエチレングリコール類、ジメチルポリシロキサンポリエチレン類、ジメチルポリシロキサンポリエチレングリコール共重合体類、ジメチルポリシロキサン・メチル(ポリム、カラオキシエチレン)シロキサン共重合体類等が挙げられる。本発明ではこれら非イオン性活性剤の中から1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
ここで用いられるHLB値は、以下のようにして算出された値で、
HLB=20×Mn/M
M:界面活性剤の分子量
Mn:親水基部分の分子量
HLBが10以上、好ましくは14以上、さらに好ましくは16以上の界面活性剤が有効に働き、添加量も少なくて済む。この系においてHLBが10未満であると、最適な分散状態を形成することができず、機械的強度、衝撃強度の向上、ボイド低減、溶融粘度低下等の十分な効果は発現できない。
シリカと界面活性剤との重量比は、シリカ100重量部に対し界面活性剤0.01〜5.0重量部、好ましくは、0.01〜2.0重量部、さらに好ましくは、0.01〜1.0重量部である。0.01重量部を下回ると均一混練が困難な為、機械的強度、衝撃強度の向上、ボイド低減、溶融粘度低下への効果が不十分となり、逆に5.0重量部を上回って添加してもこれらの効果は増加しない。
【0017】
ただし、シリコーン系界面活性剤においては、フィラーに親和性の高い特殊な官能基や側鎖を含む界面活性剤の場合は、オキシエチレン鎖や水酸基等の親水性基の量が少なくHLBが低くても、そのフィラーへ親和する部分がそのかわりとして働き、以上のHLB範囲が拡大されることがある。
界面活性剤自体に、吸水性がある場合は、成形後の吸水により熱衝撃特性が悪化することがあるので、吸水性の低い又は吸水性の無い界面活性剤を用いるのが好ましい。また、分子量が低すぎると成形温度で、揮発する可能性があることから、成形温度範囲で揮発しない、比較的高い分子量を有する界面活性剤を用いるのが好ましい。
【0018】
また、本発明において、等電位点が6以上の粒子と界面活性剤を併用しても良い。その混合比は、特に制限されるものではなく、シリカと等電位点が6以上の粒子、界面活性剤の重量比は、シリカ100重量部に対し等電位点が6以上の粒子と界面活性剤がそれぞれ0.01〜5.0重量部、好ましくは、0.01〜2.0重量部、さらに好ましくは、0.01〜1.0重量部である。それぞれの添加量が0.01重量部を下回ると均一混練が困難な為、機械的強度、衝撃強度の向上、ボイド低減、溶融粘度低下への効果が不十分となり、逆に5.0重量部を上回って添加してもこれらの効果は増加しない。
【0019】
本発明で言う熱硬化性樹脂組成物とは、熱硬化性樹脂単独、および他の物質との反応または混合物を意味する。
熱硬化性樹脂としては、利用された無機フィラー等と好ましくない相互作用を生じないもの、又は、相互作用の小さいものであればいずれも利用できる。例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレンフォルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、トリアジン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等が例示される。また、これらの樹脂の変性物あるいはエラストマー等、他の樹脂との複合物も利用することができる。本発明は、ガラス転移温度が高く、無機フィラー高充填で利用されるものであれば、通常熱可塑性樹脂に類別される樹脂についても適応することができる。
【0020】
そのような樹脂としては、ポリフェニレン、ポリオキシレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィドなどが例示される。半導体封止用として本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーが挙げられるが、特に限定するものではない。好ましいものとしては、例えば、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、及びジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。特に好適に用いられるものとして、ビフェニル型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ当量、融点、軟化点等に関しては特に限定するものではない。
【0021】
他の物質とは、樹脂の硬化剤、硬化促進剤、顔料、充填材、および可塑剤、安定剤、滑剤、光安定剤など、必要に応じて用いられる各種添加剤を意味する。硬化剤、硬化促進剤は、樹脂に応じて選ばれる。半導体封止用として本発明に用いられるフェノール樹脂硬化剤としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーが挙げられるが、特に限定するものではない。好ましいものとしては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型フェノール樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。これらの水酸基当量、融点、軟化点等に関しては特に限定するものではない。
【0022】
半導体封止用として本発明に用いられる硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基の硬化反応を促進させるものなら良く、一般に封止材料に使用されているものを利用することができる。例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレート、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール、テトラフェニルホスフォニウム・テトラナフトイックボレート等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
【0023】
顔料は特に制限されるものではなく、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、フタロシアニン系有機顔料、ジアゾ系イエロー、キナクリドン系赤色顔料等が例示される。充填材としては、シリカを主成分とするが、必要に応じ他の成分を混合しても良い。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、ヘキサブロムベンゼン等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤等の種々の添加剤を配合しても差し支えない。
【0024】
樹脂組成物を製造するに際し、特に制限はなく、例えば原料のドライブレンド、エクストルーダーによる熱溶融混練のような一般的な方法が利用できる。
例えば、半導体封止用途においては、上記熱硬化性樹脂組成物、及びその他の添加剤等をミキサーを用いて常温混合し、ロール、押出機等の混練機で混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明の樹脂組成物を用いて、半導体等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形すればよい。
【0025】
微小粒径アルミナの添加効果について、詳細な機構は明らかではないが、シリカ表面の電荷とアルミナ表面の電荷が系の中で逆の符号を持ち、シリカ同士、アルミナ同士の局所的な凝集を互いに防ぐとともに、静電相互作用により全体として最適な分散状態、具体的には成形品内でネットワーク構造を形成していると推定される。このネットワーク構造の形成により、ボイドの成長が抑えられボイド発生率が低減するとともに、熱衝撃強度、半導体封止材としては、耐半田クラック性が向上したと考えられる。
【0026】
HLBが10以上の界面活性剤の添加効果についても、詳細な機構は明らかではないが、界面活性剤の立体障害効果等により、シリカ同士、アルミナ同士の局所的な凝集を互いに防ぐとともに、全体として最適な分散状態、具体的には成形品内でネットワーク構造を形成していると推定される。このネットワーク構造の形成により、ボイドの成長が抑えられボイド発生率が低減するとともに、熱衝撃強度、半導体封止材としては、耐半田クラック性が向上したと考えられる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を説明するが、これは単なる例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
上記組成物をミキサーを用いて常温混合し、熱ロール及びニーダーで溶融混練し、冷却後粉砕し樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0028】
評価方法
スパイラルフロー:EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で測定した。単位はcm。
曲げ強度:低圧トランスファー成形機を用いて、175℃、圧力70kg/cm2、硬化時間2分でテストピース(10×80×4mm)を成形し、175℃、8時間の後硬化を行い、3本のテストピースを得た。テンシロン曲げ強さ測定機(オリエンテック(株)・製ABM/UTC−100)を用いて、JIS−K6911に準じて、スパン100mm、負荷速度10mm/分、25℃で測定した。単位はkgf/mm。
【0029】
内部ボイド:低圧トランスファー成形機を用いて、175℃、圧力70kg/cm2、硬化時間2分で144pQFP(20×20×1.4mm)を成形し、175℃、8時間の後硬化を行い、パッケージ上部から超音波探傷機を用いて内部ボイドを観察した。1つのパッケージ当たりの内部ボイド数を示す。
耐半田クラック性:低圧トランスファー成形機を用いて、175℃、圧力70kg/cm2、硬化時間2分で80pQFP(20×14×1.5mm)を成形し、175℃、8時間の後硬化を行い、3個のパッケージを得た。85℃、相対湿度85%で168時間吸湿させた後、240℃のIRリフロー処理を10秒で1回行い、パッケージ外部に生じたクラックは目視で観察し、パッケージ内部に生じたクラックは超音波探傷機で観察した。クラックの生じた不良のパッケージがn個であるとき、n/3と表示した。
【0030】
実施例2〜12、比較例1〜6
表1、表2の処方に従って配合し、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、実施例1と同様にして評価した。結果を表1、表2に示す。
以下に、使用したフィラー、界面活性剤を列挙する。
アルミナ(住友化学(株)製:平均粒径0.46μm、等電位点pH=約8)
アルミナ(住友化学(株)製:平均粒径11μm、等電位点pH=約8)
酸化チタン(日本アエロジル(株)製:平均粒径21nm、等電位点pH=約7)
酸化亜鉛(堺化学工業(株)製:平均粒径10nm、等電位点pH=約9)
界面活性剤1(三洋化成工業(株)製:イオネットS−85(HLB=1.8))
界面活性剤2(三洋化成工業(株)製:イオネットS−20(HLB=8.6)
界面活性剤3(三洋化成工業(株)製:イオネットT−20C(HLB=16.7))
水酸化アルミ焼成フィラーは以下のようにして作製した。
水酸化アルミ(昭和電工(株)製:平均粒径0.6μm)を100℃、約2時間焼成。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
本発明に従えば、
1:樹脂組成物のボイドが低減する。
2:ヒートサイクル、耐半田クラック性等の熱衝撃特性が向上する。
3:その他、樹脂組成物の製造時に粉末類の配合混練工程において装置壁面への付着が少なく、作業効率にも改善効果が認められた。
特に、ボイドが少なく、耐半田クラック性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得ることができる。
Claims (7)
- エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、(A)全樹脂組成物に対し、平均粒径が1〜100μmのシリカ粒子を65〜94重量%、(B)該シリカ100重量部に対し、平均粒径が10nm〜0.6μmで等電位点が6以上の粒子を0.01〜2.0重量部含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
- エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、(A)全樹脂組成物に対し、平均粒径が1〜100μmのシリカ粒子を65〜94重量%、(B)該シリカ100重量部に対し、HLB値が10以上の界面活性剤を0.01〜5.0重量部含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
- エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、 (A)全樹脂組成物に対し、平均粒径が1〜100μmのシリカ粒子を65〜94重量%、(B)該シリカ100重量部に対し、平均粒径が10nm〜0.6μmで等電位点が6以上の粒子を0.01〜2.0重量部、及びHLB値が10以上の界面活性剤を0.01〜5.0重量部含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
- 平均粒径が10nm〜0.6μmで等電位点が6以上の粒子がアルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛である請求項1又は3記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 平均粒径が10nm〜0.6μmで等電位点が6以上の粒子が水酸化アルミニウムを300〜1200℃で焼成してなるフィラーである請求項1又は3記載の熱硬化性樹脂組成物。
- HLB値が10以上の界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項2又は3記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1から6記載のいずれかの熱硬化性樹脂組成物を用いて封止してなることを特徴とする半導体装置。
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