JP4774778B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

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本発明は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
IC、LSI、トランジスター等の半導体素子の封止には金属缶、セラミック、エポキシ樹脂組成物等が用いられている。中でもエポキシ樹脂組成物のトランスファー成形は低コスト且つ大量生産に適しており広く用いられている。また、信頼性の点でもエポキシ樹脂や硬化剤であるフェノール樹脂の改良により、耐湿性の向上や、半田リフローへの対応などが図られてきた。
しかし、近年の電子機器の高機能化、高速化に伴い、その発熱量が増大傾向にある。そのため封止用エポキシ樹脂組成物(以下封止材という)に対しても高熱伝導性の要求が高まっており、それを構成する無機充填材においても様々な検討が進められている。これまで高熱伝導が要求される電子機器には無機充填材としては結晶シリカ,或いはアルミナを含有する封止材が用いられてきた。しかし、結晶シリカ、アルミナは溶融シリカに比べ熱膨張係数が大きく、封止材の硬化物の熱膨張係数を上げてしまう。
又、グラフィックス用デバイス、プロセッサー用デバイス等、高速動作が必要なデバイスでは樹脂基板を用いたエリア実装パッケージが使われているが、このパッケージにおいてもロングワイヤーに対するワイヤースウィ−プという問題があり、この対応に加え、封止材に対して高熱伝導化の要求が強くなっており、アルミナを用いた高熱伝導樹脂への適用が検討されている。
しかし、封止材に用いる上記アルミナの熱膨張係数の問題によりエリア実装パッケージでの反りが大きくなり実装できない問題が発生している。加えてアルミナはその表面状態がシリカと異なるため流動性が低下する傾向がありワイヤースウィープへの対応として封止材の高流動化も同時に必要である。低熱膨張化に対する技術としてはアルミナの粒度を整え高充填化による熱膨張係数の低減を狙った技術が公開(特許文献1、2)されているが、特許文献1では流動性が十分ではなく、熱膨張係数の記載も無く、特許文献2では流動性が十分ではなく、低熱膨張との両立が困難である。
特開平07−118506号公報 特開平04−018445号公報
本発明は、高熱伝導性であり、且つワイヤースウィープ、及びエリア実装パッケージ封止後の反りが良好なトランスファーモールド用エポキシ樹脂組成物を提供するものであり、またこれを用いた半導体装置を提供するものである。
このような目的は、以下の[1]〜[3]に記載の本発明により達成される。
[1] (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、並びに(D)球状アルミナ及び球状シリカを含有する無機充填材を必須成分としてなる半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、前記球状アルミナが、(d1)平均粒径40μm以上70μm以下である第1の球状アルミナ、及び(d2)平均粒径10μm以上15μm以下である第2の球状アルミナを含み、前記球状シリカが、(d3)平均粒径4μm以上8μm以下である第1の球状シリカ、(d4)平均粒径0.05μm以上〜1.0μm以下である第2の球状シリカを含むものであり、(d3)+(d4)の合計量が全無機充填材に対して17%以上23%以下であり、(d3)/(d4)の比率が(d3)/(d4)=1/8以上5/4以下であり、無機充填剤量が全樹脂組成物中85〜95重量%であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
[2] さらに(C)硬化促進剤を含むものである[1]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置。
本発明に従うと、高熱伝導性であり、且つワイヤースウィープ、及びエリア実装パッケージ封止後の反りが良好で高流動のため成形性が良い半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得ることが出来るため、高速動作で高熱伝導が要求される半導体装置に好適に用いることができる。
本発明に用いるエポキシ樹脂は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造は特に限定するものではない。例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有する)等を用いることが出来る。上記、エポキシではビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好適に用いられるが、これらに限定するものではない。前記エポキシは1種単独でも2種類以上混合して用いても良い。
本発明に用いる硬化剤は、エポキシ樹脂と反応して硬化させるものであれば特に限定されず、それらの具体例としては、例えばフェノール樹脂、ビスフェノールAなどのビスフェノール化合物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物およびメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミンなどが挙げられこれらを単独で用いても、2種以上の硬化剤を併用しても良い。
これらの硬化剤の中でも特にフェノール樹脂を用いることが好ましい。本発明に用いるフェノール樹脂は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではない。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有する)、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合量は、全エポキシ樹脂のエポキシ基数と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基数の比が0.8〜1.3であることが好ましく、この範囲を外れると、エポキシ樹脂組成物の硬化性の低下、或いは硬化物のガラス転移温度の低下、耐湿信頼性の低下等が生じる可能性があり、好ましくない。
本発明には必要により硬化促進剤を用いてもよい。本発明に用いる硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に使用するものを使用することができる。例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、2−メチルイミダゾール、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
また本発明で用いられる硬化促進剤として、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物を使用することもできる。ホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−p−メチルフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィンなどが挙げられる。キノン化合物としては1,4−ベンゾキノン、メチル−1,4−ベンゾキノン、メトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノンなどが挙げられる。これらホスフィン化合物とキノン化合物との付加物のうち、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物が好ましい。ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の製造方法としては特に制限はないが、例えば、原料として用いられるホスフィン化合物とキノン化合物とを両者が溶解する有機溶媒中で付加反応させて単離すればよい。ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いる無機充填材としては、球状アルミナと球状シリカの混合物を用いる。高熱伝導性、低熱膨張性を両立するために熱伝導率の寄与が大きい大粒子を球状アルミナ、熱伝導率の寄与が低い細かい粒子を球状シリカで構成する。球状アルミナの粒径は熱伝導率と流動性の両立のため、(d1)40μm以上70μm以下である第1の球状アルミナ、(d2)平均粒径10μm以上15μm以下である第2の球状アルミナを併用する。一方、球状シリカは無機充填材の流動性を向上させるために配合する。上記球状アルミナに対して用いる球状シリカは、(d3)平均粒径4μm以上8μm以下である第1のの球状シリカ、(d4)平均粒径0.05μm以上〜1.0μm以下である第2の球状シリカを含むものである。(d3)+(d4)の合計量は全無機充填材に対して17%以上23%以下である。(d3)+(d4)の合計量が上限値を超えると熱伝導率が十分ではなく、下限値を下回ると熱膨張係数が大きくなってしまい、好ましくない。(d3)/(d4)の比率は1/8以上5/4以下である。(d3)/(d4)が下限値を下回っても、上限値を上回っても流動性が低下するため好ましくない。無機充填材は全樹脂組成物に対して85〜95重量%用いる。下限値を下回ると十分な熱伝導率、耐半田リフロー性が得られず、上限値を上回ると流動が十分に得られないため好ましくない。本発明に用いる無機充填材はシランカップリング剤等のカップリング剤によって処理されていてもかまわない。本発明に用いる球状アルミナ(d1)、(d2)及び球状シリカ(d3)、(d4)の平均粒径は、レーザー式粒度分布計((株)島津製作所製、SALD−7000)等を用いて測定することができるものである。
本発明に用いる無機充填材は、球状シリカと球状アルミナを含むものであるが、球状シリカと球状アルミナはその表面状態が大きく異なるため、混合品における粒度分布の最適値はシリカ単体、又はアルミナ単体での最適値とは異なり、本願発明の構成により初めて達成できるものである。
本発明に用いる無機充填材としては、上記アルミナとシリカの混合物以外にバリ止め等の目的で他の粒径、形状のシリカ及び又はアルミナを適宜添加することができる。又、シリカ、アルミナ以外の無機充填材を併用することができる。併用することができるものとしては、例えば、上記以外の溶融シリカ、上記以外のアルミナ、結晶シリカ、タルク、窒化珪素、窒化アルミ等が挙げられるが、これに限定するものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機充填材を必須成分とし、これに硬化促進剤を加えてもよいものであるが、更にこれ以外に、カーボンブラック等の着色剤、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤、ゴム等の低応力添加剤、臭素化エポキシ樹脂や三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム等の難燃剤等、種々の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、ミキサー等を用いて原料を充分に均一に混合した後、更に熱ロール又はニーダー等の混練機で溶融混練し、冷却、粉砕しパウダー状にする。更に得られたパウダーを加圧してタブレット化する。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の各種の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
実施例1
球状アルミナ1[平均粒径52μm] 36重量部
球状アルミナ2[平均粒径14μm] 36重量部
球状シリカ1[平均粒径6μm] 5.94重量部
球状シリカ2[平均粒径0.6μm] 12.06重量部
シランカップリング剤[N-フェニル-γ-アミノフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン] 0.15重量部
ビフェニルエポキシ樹脂[エポキシ当量195g/eq] 5.56重量部
フェノールノボラック樹脂[OH当量105g/eq軟化点80℃]
1.97重量部
アラルキルフェノールノボラック樹脂[水酸基当量175g/eq、軟化点67℃、溶融粘度(150℃)1.4Pa・s] 1.97重量部
硬化促進剤[トリフェニルホスフィン-1,4-ヘ゛ンソ゛キノン] 0.15重量部
カルナバワックス 0.2重量部
カーボンブラック 0.1重量部
をミキサーにて混合し後、熱ロールを用いて、95℃で8分間混練して冷却後粉砕し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を、以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
評価方法
・スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、金型温度175℃、圧力6.9MPa、硬化時間120秒で測定した。単位はcmである。150cm以上を合格とした。
・熱伝導率:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分で直径40mm、厚さ30mmの成形品を成形し、175℃、8時間で後硬化し、得られた成形品の熱伝導率を熱伝導率計(京都電子工業社製QTM−500)で測定した。単位はW/mK。3W/mK以上を合格とした。
・Tg、α1、α2:トランスファー成形機を用い、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間2分で4mm×4mm×15mmの大きさに成形した試験片を175℃、8時間で後硬化し、熱機械分析装置(セイコー電子工業(株)製、TMA100)を用いて測定温度範囲0〜320℃、昇温速度5℃/分で測定した時のチャートより、α1、α2を決定し、その延長線の交点をガラス転移温度(Tg)とした。Tgの単位は℃であり、α1、α2の単位は×10-5/℃である。
・パッケージ反り量:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間90秒で、352pBGA(厚さ0.56mmBT樹脂基板、チップサイズ10mm×10mm×厚さ0.35mm、パッケージサイズ32mm×32mm、封止樹脂の厚さ1.17mm)を成形し、175℃、4時間で後硬化した。室温まで冷却後、パッケージのゲートから対角線方向に、表面粗さ計を用いて高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値をパッケージ反り量とした。単位はμmである。150μm以下を合格とした。
実施例2〜7、比較例1〜7
表1の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得て、実施例1と同様にして評価した。結果を表1及び表2に示す。
Figure 0004774778
Figure 0004774778
実施例1〜7では、流動性(スパイラルフロー)が良好であり、パッケージ反り量が小さく、熱伝導率の良好なエポキシ樹脂組成物が得られた。
これに対し、比較例1では(d3)/(d4)が上限値を超えたため、スパイラルフローが小さく流動性が低下した。
比較例2では(d3)/(d4)が下限値を超えたため、スパイラルフローが小さく流動性が低下した。
比較例3では無機充填材量が上限値を超えたため、スパイラルフローが小さく流動性が低下した。
比較例4では無機充填材量が下限値を超えたため、パッケージ反り量が著しく増大する結果となった。
比較例5〜7では、本発明と異なる粒度分布のアルミナ及びシリカを用いたため、スパイラルフローが小さく流動性が低下した。また、比較例6、7では更にパッケージ反り量が大きくなった。

Claims (3)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、並びに(D)球状アルミナ及び球状シリカを含有する無機充填材を必須成分としてなる半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、前記球状アルミナが、(d1)平均粒径40μm以上70μm以下である第1の球状アルミナ、及び(d2)平均粒径10μm以上15μm以下である第2の球状アルミナを含み、前記球状シリカが、(d3)平均粒径4μm以上μm以下である第1の球状シリカ、(d4)平均粒径0.05μm以上〜0.6μm以下である第2の球状シリカを含むものであり、(d3)+(d4)の合計量が全無機充填材に対して17%以上23%以下、かつ全樹脂組成物100.1重量部中、15.3重量部以上20.7重量部以下であり、(d3)/(d4)の比率が(d3)/(d4)=1/8以上5/4以下であり、無機充填剤量が全樹脂組成物中85〜95重量%であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. さらに(C)硬化促進剤を含むものである請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置。
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