JP6849115B2 - モールドアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物、半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

モールドアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物、半導体装置及びその製造方法 Download PDF

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本開示は、封止用エポキシ樹脂組成物、半導体装置、及びその製造方法に関する。
電子機器の小型・薄型化による高密度実装の要求が、近年、急激に増加している。このため、半導体パッケージは、従来のピン挿入型に代わり、高密度実装に適した表面実装型が主流になっている。この表面実装型の半導体パッケージは、リードをプリント基板等に直接はんだ付けして製造される。加熱方法としては、赤外線リフロー、ベーパーフェーズリフロー、はんだディップなどがあり、いずれかの加熱方法によってパッケージ全体を加熱して半導体素子がプリント基板等に実装される。
表面実装後には、半導体素子表面の保護し、半導体素子と基板との間の接続信頼性を確保するために、半導体素子と基板との間の空間へのアンダーフィル材の充填が行われている。
アンダーフィル材の充填による片面樹脂封止型パッケージでは、その形状が片面封止であるために、封止樹脂及び基板等のパッケージ構成部材間の線膨張係数の差、及び弾性率の差等に起因して発生する熱応力のために反りが発生する。その結果、搬送性の問題、リフロー工程時の実装信頼性の低下といった現象が生じる。
このような現象を抑制するため、封止樹脂及び基板等のパッケージ構成部材間の線膨張係数の差、及び、弾性率の差等により発生する熱応力を低減することが要望されている。例えば、特許文献1では、信頼性向上のため、半導体素子、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、被着体の三者間の熱応答挙動の差を緩和することが提案されている。
特開2014−210880号公報
最近の半導体パッケージでは、封止樹脂層の厚みが薄いパッケージが増えつつある。半導体装置の小型化・薄型化には半導体素子の厚さを薄くすればよいが、半導体素子の薄型化が進むにつれて、半導体素子に対する熱応答挙動の影響(反り及び膨張等)が大きくなってくる。これは、一般的に基板等の熱膨張係数の方が半導体素子の値よりも大きいことに起因する。特に、半導体素子と基板とを接続するはんだバンプ等の接続部材には半導体素子及び基板の熱応答挙動の相違に起因する応力が集中しやすく、場合によっては接合部に破断が生じることがある。
半導体素子の上部側に封止樹脂層が形成されているパッケージ形態において、常温時に上方に反り(以下、「cry反り」という)が発生し、リフロー温度時に下方に反る(以下、「smile反り」という)現象が生じる。このような現象を抑制するため、成形温度から常温までの封止樹脂の熱収縮率(線膨張係数:CTE1)を大きく維持しつつ、リフロー温度時の弾性率を増加させることで基板によるcry反りを抑制することが考えられる。
本発明は、成形温度から常温までの熱収縮率(線膨張係数:CTE1)が大きく、且つリフロー工程時に高い弾性率を有する硬化物を形成することが可能な封止用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、上記封止用エポキシ樹脂組成物を用いることによって、反りの発生が抑制された半導体装置、及びそのような半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、一つの側面において、(A)エポキシ樹脂、(B)アリル基を有するフェノールノボラック樹脂、及び(C)無機充填材を含む封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。この封止用エポキシ樹脂組成物は、成形温度から常温までの熱収縮率(線膨張係数:CTE1)が大きく、且つリフロー工程時に高い弾性率を有する硬化物を形成することができる。これによって、半導体装置の製造に用いられたときに、半導体素子と基板との熱応答挙動の差を緩和することができる。したがって、半導体素子、バンプ等の金属、及び基板を一体成形して半導体装置を製造したときに、反りの発生を十分に抑制することができる。その結果、リフロー工程時におけるパッケージの信頼性を向上させることができる。
(B)アリル基を有するフェノールノボラック樹脂は、下記一般式(i)で示される構造を有することが好ましい。
Figure 0006849115
上記一般式(i)中、nは0以上の整数を示す。
(B)アリル基を有するフェノールノボラック樹脂のアリル基はオルト位にあることが好ましい。(B)アリル基を有するフェノールノボラック樹脂の含有量は3〜15質量%であることが好ましい。(C)無機充填材はシリカを含むことが好ましい。
本発明は、別の側面において、上述の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止されている素子を備える半導体装置を提供する。この半導体装置における封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物は、成形温度から常温までの熱収縮率(線膨張係数:CTE1)が大きく、且つリフロー工程時に高い弾性率を有する。このため、反りの発生が十分に低減されている。素子としては、例えば半導体素子が挙げられる。
本発明は、さらに別の側面において、上述の封止用エポキシ樹脂組成物を用いて封止する工程を有する、半導体装置の製造方法を提供する。封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物は、成形温度から常温までの熱収縮率(線膨張係数:CTE1)が大きく、且つリフロー工程時に高い弾性率を有する。このため、反りの発生が十分に低減された半導体装置を製造することができる。
本発明によれば、成形温度から常温までの熱収縮率(線膨張係数:CTE1)が大きく、且つリフロー工程時に高い弾性率を有する硬化物を形成することが可能な封止用エポキシ樹脂組成物が提供される。また、上記封止用エポキシ樹脂組成物を用いることによって、反りの発生が抑制された半導体装置、及びそのような半導体装置の製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<封止用エポキシ樹脂組成物>
本実施形態の封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)アリル基を有するフェノールノボラック樹脂、及び(C)無機充填剤を少なくとも含む。封止用エポキシ樹脂組成物は粉末状であってもよい。(B)アリル基を有するフェノールノボラック樹脂は、一般的なフェノールノボラック樹脂と比較して、高粘度である一方で、軟化点は低温である。
本実施形態の封止用エポキシ樹脂組成物は、常温及び常圧下において固体である。その形状に制限はなく、粉状、粒状、又はタブレット状等、如何なる形状でもよい。本実施形態の封止用エポキシ樹脂組成物は、フリップチップ実装に用いたとき、アンダーフィル材として要求される高い充填性を有する。したがって、ボイド等の成形不良を低減できることから、その工業的価値は大きい。本実施形態の封止用エポキシ樹脂組成物は、ファインピッチなバンプを有し、入出力数(バンプ数)の多いフリップチップ実装型半導体装置の封止に好適である。
本明細書において、常温とは20℃であり、常圧とは大気圧である。以下に、封止用エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)エポキシ樹脂>
(A)エポキシ樹脂としては、封止用エポキシ樹脂組成物に一般的に使用されているもので特に制限はない。例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂(トリフェニルメタン型エポキシ樹脂)をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類と、α−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものが挙げられる。
また、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換若しくは非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル、又はスチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂(ナフタレン型エポキシ樹脂)、フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂が挙げられる。
これらのうちの1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。これらのエポキシ樹脂のうち、信頼性・成形性の点から、ビフェニル型エポキシ樹脂、又は、低級アルキル基をフェニル環に付加したような低吸湿型のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ当量150〜250g/eqであり、軟化点又は融点が50〜130℃のものが好適である。
充填性及び耐リフロー性の観点からは、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂及び硫黄原子含有エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールF型エポキシ樹脂比率を高くすることがより好ましい。硬化性の観点からは、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からは、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からは、ナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましく、これらのエポキシ樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、例えば下記一般式(I)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。スチルベン型エポキシ樹脂としては、例えば下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。硫黄原子含有エポキシ樹脂としては、例えば下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 0006849115
一般式(I)中、R〜Rは、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示す。複数あるR〜Rのそれぞれは同一であってもよく異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。
Figure 0006849115
一般式(II)中、R〜Rは水素原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアラルキル基を示す。複数あるR〜Rのそれぞれは同一であってもよく異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。
Figure 0006849115
一般式(III)中、R〜Rは水素原子、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜5の一価の炭化水素基を示す。複数あるR〜Rのそれぞれは同一であってもよく異なっていてもよい。nは0〜10の整数を示す。
Figure 0006849115
一般式(IV)中、R〜Rは水素原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、又は、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。複数あるR〜Rのそれぞれは同一であってもよく異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。
置換若しくは非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基としては、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、及び置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリル基が挙げられる。
置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、及びイソブチル基等が挙げられる。置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、及びブトキシ基等が挙げられる。
上記一般式(I)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂としては、例えば、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂、及び、エピクロルヒドリンと4,4’−ビフェノール又は4,4’−(3,3’,5,5’−テトラメチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂が挙げられる。これらのなかでも、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルを主成分として含有するエポキシ樹脂が好ましい。
上記一般式(II)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、R、R、R及びRがメチル基で、R、R、R及びRが水素原子であり、n=0を主成分とする商品名YSLV−80XY(新日鐵化学株式会社製)が市販品として入手可能である。
上記一般式(III)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂は、原料であるスチルベン系フェノール類とエピクロルヒドリンとを塩基性物質存在下で反応させて得ることができる。この原料であるスチルベン系フェノール類としては、例えば3−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−トリメチルスチルベン、3−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5’,6−トリメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−6,6’−ジメチルスチルベンが挙げられる。これらのなかでも3−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−トリメチルスチルベン及び4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベンが好ましい。これらのスチルベン型フェノール類は、1種を単独で含んでもよく、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
上記一般式(IV)で示される硫黄原子含有エポキシ樹脂のなかでも、R、R、R及びRが水素原子で、R、R、R及びRがアルキル基であるエポキシ樹脂が好ましく、R、R、R及びRが水素原子で、R及びRがt−ブチル基で、R及びRがメチル基であるエポキシ樹脂がより好ましい。このような化合物としては、商品名YSLV−120TE(新日鐵化学株式会社製)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(I)〜(IV)で示されるエポキシ樹脂は、いずれか1種を単独で含んでもよいし、2種以上を組み合わせて含んでもよい。その含有量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて40質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上とすることがより好ましく、80質量%以上とすることがさらに好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 0006849115
上記一般式(V)中、複数あるRはそれぞれ独立して、水素原子、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示す。nは0〜10の整数を示す。
上記一般式(V)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。なかでも、一般式(V)中のRとしては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一般式(V)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のなかでも、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂を使用する場合、その含有量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、例えば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 0006849115
一般式(VI)中、複数あるRはそれぞれ独立して、水素原子、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、複数あるRはそれぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示す。nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。
上記一般式(VI)中のRとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基等の置換又は非置換の炭素数1〜5の一価の炭化水素基が挙げられる。これらのなかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。
上記式(VI)中のRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、及びメルカプト基置換アルキル基などの置換又は非置換の炭素数1〜5の一価の炭化水素基が挙げられる。これらのなかでもmが0であることが好ましい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を使用する場合、その含有量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
ナフタレン型エポキシ樹脂としては、例えば下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えば下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 0006849115
一般式(VII)中、R〜Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価の炭化水素基を示す。複数あるR〜Rのそれぞれは同一であってもよく異なっていてもよい。pは1又は0で、l、mはそれぞれ0〜11の整数を示す。ここで、(l+m)は1〜11の整数であり、(l+p)は1〜12の整数である。iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。
上記一般式(VII)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
Figure 0006849115
一般式(VIII)中、複数あるRは水素原子又は置換若しくは非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数を示す。
上記一般式(VII)及び(VIII)で示されるエポキシ樹脂は、いずれか1種を単独で含んでもよいし、2種以上を組み合わせて含んでもよいが、その含有量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。
上記のビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、いずれか1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
<(B)アリル基を有するフェノールノボラック樹脂>
上記(A)エポキシ樹脂とともに、封止用エポキシ樹脂組成物に含まれる(B)アリル基を有するフェノールノボラック樹脂(以下、便宜上「(B)アリル化フェノールノボラック樹脂」という場合もある。)は、上記(A)エポキシ樹脂の硬化剤としての作用を有するものであり、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般をいう。
(B)アリル化フェノールノボラック樹脂は、下記一般式(i)で示される構造を有することが好ましい。
Figure 0006849115





上記一般式(i)中、nは0以上の整数を示す。(B)アリル化フェノールノボラック樹脂の水酸基当量は、例えば、140〜200g/eqであり、軟化点は50〜130℃である。
(B)アリル化フェノールノボラック樹脂のアリル基はオルト位にあることが好ましい。(B)アリル基を有するフェノールノボラック樹脂の含有量は、曲げ弾性率を一層高くする観点から、封止用エポキシ樹脂組成物全体に対して、3〜15質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。
上記(A)エポキシ樹脂の硬化剤としては(B)アリル化フェノールノボラック樹脂を単独で含んでいてもよいし、(B)アリル化フェノールノボラック樹脂とは異なるその他フェノール樹脂等と組み合わせて含んでいてもよい。硬化剤全量に対する(B)アリル化フェノールノボラック樹脂の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが好ましい。
その他のフェノール樹脂として例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類、及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジクロペンタジエン型フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のジクロペンタジエン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂が挙げられる。
さらに、(B)アリル化フェノールノボラック樹脂と共に含まれるフェノールノボラック樹脂は、難燃性の観点からは、ビフェニル型フェノール樹脂が好ましく、耐リフロー性及び硬化性の観点からは、アラルキル型フェノール樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からは、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂が好ましく、耐熱性、低膨張率及び低そり性の観点からは、トリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましく、硬化性の観点からは、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。上述の特性のいずれかを向上する観点から、これらのフェノール樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
ビフェニル型フェノール樹脂としては、例えば下記一般式(IX)で示されるフェノール樹脂が挙げられる。
Figure 0006849115
一般式(IX)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアラルキル基を示す。複数あるR〜Rのそれぞれは同一であってもよく異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。
上記一般式(IX)中のR〜Rは、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリル基、及び、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、より好ましくは水素原子及びメチル基から選ばれる。
上記一般式(IX)で示されるビフェニル型フェノール樹脂としては、例えばR〜Rが全て水素原子である化合物が挙げられる。なかでも溶融粘度の観点から、nが1以上の縮合体を50質量%以上含む縮合体の混合物が好ましい。このような化合物としては、商品名MEH−7851(明和化成株式会社製)が市販品として入手可能である。
ビフェニル型フェノール樹脂を使用する場合、その含有量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
アラルキル型フェノール樹脂としては、例えばフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂が挙げられる。これらのなかでも、下記一般式(X)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が好ましく、一般式(X)中のRが水素原子で、nの平均値が0〜8であるフェノール・アラルキル樹脂がより好ましい。具体例としては、p−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂、及びm−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂が挙げられる。これらのアラルキル型フェノール樹脂を用いる場合、その含有量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30〜70質量%であることが好ましく、50〜60質量%であることがより好ましい。
Figure 0006849115
一般式(X)中、Rは、水素原子、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、例えば下記一般式(XI)で示されるフェノール樹脂が挙げられる。
Figure 0006849115
一般式(XI)中、複数あるRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、複数あるRはそれぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示す。nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を含有する場合、その含有量は、その性能を発揮するために、硬化剤全量に対して30〜70質量%であることが好ましく、50〜60質量%以上であることがより好ましい。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、例えば下記一般式(XII)で示されるフェノール樹脂が挙げられる。
Figure 0006849115
一般式(XII)中、複数あるRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数を示す。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂を含有する場合、その含有量は、その性能を発揮するために、硬化剤全量に対して30〜70質量%であることが好ましく、50〜60質量%であることがより好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、及びナフトールノボラック樹脂が挙げられる。これらのなかでもフェノールノボラック樹脂が好ましい。(B)アリル化フェノールノボラック樹脂とは異なるノボラック型フェノール樹脂を含有する場合、その含有量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30〜70質量%であることが好ましく、50〜60質量%であることがより好ましい。
上記のビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂は、いずれか1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。フェノール樹脂の含有量は、硬化剤全量に対して合わせて60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
(B)アリル化フェノールノボラック樹脂の150℃における溶融粘度は、充填性の観点から2ポイズ以下が好ましく、1ポイズ以下がより好ましい。ここで、溶融粘度とはICIコーンプレート粘度計で測定した粘度を示す。
(A)エポキシ樹脂と(B)アリル化フェノールノボラック樹脂との当量比、すなわち、エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対するアリル化フェノールノボラック樹脂中の水酸基数の比(アリル化フェノールノボラック樹脂中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2であることが好ましく、0.6〜1.3であることがより好ましい。成形性及び耐リフロー性に優れる封止用エポキシ樹脂組成物を得るためには、0.8〜1.2であることがさらに好ましい。
<(C)無機充填材>
上記(A)エポキシ樹脂と(B)アリル化フェノールノボラック樹脂とともに封止用エポキシ樹脂組成物に含まれる(C)無機充填材としては、シリカ粉末又はアルミナ粉末が挙げられる。シリカ粉末としては、溶融シリカ粉末及び結晶性シリカ粉末等が挙げられる。これら無機充填材は1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。上記シリカ粉末の中でも溶融シリカ粉末を含むことが、高充填性、高流動性という点から特に好ましい。上記溶融シリカ粉末としては、球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末が挙げられるが、流動性という観点から、球状溶融シリカ粉末を含むことが好ましい。また、熱伝導性が要求される場合はアルミナ粉末を含むことが好ましい。
(C)無機充填材は、平均粒径1〜100μmであることが、流動性を良好にするという点から好ましい。さらに、(C)無機充填材は、平均粒径が3〜30μmであり、且つ、粒径2μm以下の粒子が無機充填材全体の5〜40質量%である粒度分布を有することがより好ましい。これによって、優れたモールドアンダーフィルの狭ギャップ充填性を発揮することができる。
本明細書における(C)無機充填材の平均粒径及び粒度分布は、JIS M 8100:1992(粉塊混合物−サンプリング方法通則)に準じて無機充填材(溶融球状シリカ等)を採取し、JIS R 1622:1995(ファインセラミックス原料粒子径分布測定のための試料調製通則)に準じて無機充填材を測定用試料として調製し、JIS R 1629:1997(ファインセラミックス原料のレーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法)に準じて島津製作所社製のレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7000(レーザー波長:405nm)を用いて、溶媒に水を用い、無機充填材の屈折率が実数部1.45、虚数部0.00の条件のもと、粒子径基準を体積基準として測定される。
(C)無機充填材の平均粒径が30μmを超えると、充填性が低下する傾向がある。また、(C)無機充填材の平均粒径が3μm未満であると、溶融粘度が増大しワイヤー流れが発生する傾向がある。さらに、(C)無機充填材の粒度分布において、粒径2μm以下の粒子が5質量%未満であると、アンダーフィル充填性が低下し、粒径2μm以下の粒子が40質量%を超えると溶融粘度が増大する傾向がある。
(C)無機充填材の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体の60〜92質量%であることが好ましく、75〜85質量%であることがより好ましい。(C)無機充填材の体積分率は60〜85体積%であることが好ましく、65〜80体積%であることが好ましい。すなわち、(C)無機充填材の含有量が少なすぎると、無機充填材による吸水率の低減効果が小さくなり、エポキシ樹脂組成物の吸水率の絶対値自体がそもそも大きくなり、その結果、高温高湿信頼性が低下する傾向にある。逆に無機充填材(C)の含有量が多すぎると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、ワイヤー流れ及び未充填が発生する傾向にある。
本実施形態の封止用エポキシ樹脂組成物(半導体封止用エポキシ樹脂組成物)には、上記A〜C以外に必要に応じて、硬化促進剤,カップリング剤,離型剤,及びカーボンブラックをはじめとする顔料等の他の添加剤を、任意成分として含んでもよい。
硬化促進剤としては、従来公知のものが用いられる。具体的には、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン等の有機リン系化合物、フェニルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、及び1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5等のジアザビシクロアルケン系化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で含んでもよいし、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。硬化促進剤の含有割合は、封止用エポキシ樹脂組成物全体の0.05〜0.5質量%であることが好ましい。
シランカップリング剤としては、2個以上のアルコキシ基を有するものが好適に用いられる。具体的には、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、及びヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。これらは1種を単独で含んでもよいし、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
離型剤としては、高級脂肪酸,高級脂肪酸エステル,及び高級脂肪酸カルシウム等の化合物が挙げられる。例えば、カルナバワックス及びポリエチレン系ワックスが挙げられる。これらは1種を単独で含んでもよいし、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
さらに、耐湿信頼性テストにおける信頼性向上を目的として、ハイドロタルサイト類,又は水酸化マグネシウム等のイオントラップ剤を含んでもよい。
本実施形態の封止用エポキシ樹脂組成物は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、(A)エポキシ樹脂、(B)アリル化フェノールノボラック樹脂、(C)無機充填材、及び必要に応じて他の添加剤を常法に準じて適宜配合し、ミキシングロール機等の混練機を用いて加熱状態で溶融混練して混練物を得る。その後、混練物を室温下で冷却固化させる。その後、公知の手段により粉砕し、必要に応じて打錠する。このような一連の工程により目的とする封止用エポキシ樹脂組成物を製造することができる。
<半導体装置>
続いて、本実施形態の半導体装置について説明する。また、かかる半導体装置の説明を通じて本実施形態の封止用エポキシ樹脂組成物の好適な用途及び使用方法について説明する。
本実施形態の半導体装置は、上述の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物により封止された素子を備える半導体装置である。半導体装置は、例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材と、支持部材上に搭載された素子と、当該素子を封止するエポキシ樹脂組成物の硬化物と、を備える。
素子としては、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、並びに、コンデンサ、抵抗体、及びコイル等の受動素子等が挙げられる。このような素子が、上記実施形態に係るエポキシ樹脂組成物で封止される工程を経て、半導体装置が製造される。
半導体装置の具体例としては、半導体チップを、上記実施形態に係るエポキシ樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package);配線板又はガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、若しくはサイリスタ等の能動素子、及び/又はコンデンサ、抵抗体、若しくはコイル等の受動素子を、上記実施形態に係るエポキシ樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)モジュール;ハイブリッドIC;マルチチップモジュール;裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、上記実施形態に係るエポキシ樹脂組成物で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板においても上記実施形態に係るエポキシ樹脂組成物を有効に使用することができる。
実施例及び比較例を用いて本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜2、参考例1〜2、比較例1〜2)
<封止用エポキシ樹脂組成物の作製>
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂として、以下を使用した。
・エポキシ樹脂1:o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製、商
品名:EOCN−1020、エポキシ当量:195g/eq、融点:67℃
・エポキシ樹脂2:エポキシ樹脂、日立化成株式会社、商品名:PYB−3K2、エポキ
シ当量:192g/eq、融点:106℃
・エポキシ樹脂3:ビフェニル型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン株式会社製、商
品名:エピコートYX−4000H、エポキシ当量:196g/eq、融点:106℃
(B)硬化剤
硬化剤として、以下を使用した。
・硬化剤1:フェノール・キシリレン樹脂、明和化成株式会社製、商品名:MEHC−7800SS、水酸基当量:170g/eq、軟化点:65℃
・硬化剤2:フェノール樹脂、日立化成株式会社製、商品名:HPM−J3、水酸基当量:120g/eq、軟化点:90℃
・硬化剤3:フェノールノボラック樹脂、明和化成株式会社製、商品名:MEH−5000S、水酸基当量:168g/eq、軟化点:73℃
(C)無機充填材
無機充填材として、以下を使用した。
・無機充填材1:溶融シリカ、平均粒径:17μm、電気化学工業株式会社製、商品名:FB−9454FC
・無機充填材2:溶融シリカ、平均粒径:0.7μm、電気化学工業株式会社製、商品名:SFP−30M
(D)カップリング剤
カップリング剤として、以下を使用した。
・カップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−403
その他の添加物として、以下を使用した。
・硬化促進剤:トリブチルホスフィンとベンゾキノンの付加物
・着色剤:カーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:MA−600MJ)
・離型剤:ヘキストワックス(クラリアント社製、商品名:HW−E)
・イオントラップ剤(堺化学工業株式会社製、商品名:HT−P)
各成分を表1に示す割合で配合し、ミキサーにて十分に混合した後、2軸混練機を用いて約100℃にて2分間溶融混練した。この溶融物を冷却した後、固体状になったものを粉末状に粉砕して、実施例1〜2、参考例1〜2、比較例1〜2の粉末状エポキシ樹脂組成物をそれぞれ作製した。表1中の配合単位は特に記載のない限り質量部である。また「−」は未配号であることを示す。表1中、フィラー量(Vf)とは、粉末状エポキシ樹脂組成物に含まれる無機充填剤の体積分率(体積%)を示す。
Figure 0006849115
このようにして得られた各実施例、各参考例及び各比較例のエポキシ樹脂組成物を用い、下記に示す方法に従って各評価を行った。
<評価>
(1)線膨張係数(α1,α2)及びガラス転移温度(Tg)
各実施例、各参考例及び各比較例のエポキシ樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて成形して硬化させ、台形の試験片(20mm×下辺5mm上辺4mm×3mm)を作製した。成形及び硬化は、成形温度175℃、成形時間90秒間の条件で行った。175℃で5時間の条件で後硬化を行った。
TMA高精度二試料熱分析(セイコーインスツルメンツ製、商品名:SS6100)を用い、荷重10g、昇温速度5℃/minの条件で、試験片の線膨張係数(α)及びガラス転移温度(Tg)及びを測定した。2つの測定温度の間における線膨張係数(α)は次の式によって算出される。
α=l/(LΔt)
L=室温における試験片の長さ(mm)
l=伸び(mm)
Δt=測定温度差(℃)
測定温度が80℃と100℃の2点の測定温度間における線膨張係数αをα1、200℃と230℃の2点の測定温度間における線膨張係数αをα2とした。ガラス転移温度は、両直線の交点の温度とした。これらの結果を表2に示す。
(2)曲げ強度・曲げ弾性率
各実施例、各参考例及び各比較例のエポキシ樹脂組成物を、上記(1)と同じ条件で成形して硬化させ、直方体形状の試験片(長さ×幅×高さ=80mm×10mm×4mm)を作製した。この試験片の引っ張り試験を、万能引張試験器TENSILONを用いて荷重速度5mm/min、温度260℃の条件で行った。そして、次の式により、曲げ強さ及び曲げ弾性率を算出した。これらの結果を表2に示す。
бf=(3PLv)/(2Wh
Ef=(Lv3m)/(4Wh
бf:曲げ強さ(MN/m
Ef:曲げ弾性率(GN/m
P :試験片が折れた時の荷重(N)
Lv:支点間距離(m)
W :試験片の幅(m)
h :試験片の高さ(m)
m :荷重−たわみ曲線の初期直線部分の接線の勾配(N/m)
Figure 0006849115
硬化剤3を含むエポキシ樹脂組成物(実施例1〜2、参考例1〜2)に比べて、硬化剤3を含まないエポキシ樹脂組成物(比較例1,2)は、高温曲げ弾性率が小さかった。硬化剤3を含むエポキシ樹脂組成物(実施例1〜2、参考例1〜2)は、大きいα1を維持しつつ、高い高温曲げ弾性率を有していた。また、硬化剤3の含有率が大きくなると、線膨張係数α1及び高温曲げ弾性率は向上する傾向にあった。
したがって、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることで、成形温度から常温までの線膨張係数α1を大きくしつつ、リフロー温度時の弾性率を高くすることができる。ゆえに封止樹脂及び基板等のパッケージ構成部材との間の線膨張係数の差、及び弾性率の差等に起因して発生する熱応力を軽減することができる。このため、パッケージの反りを抑制することが可能である。
本開示によれば、成形温度から常温までの熱収縮率(線膨張係数:CTE1)が大きく、且つリフロー工程時に高い弾性率を有する硬化物を形成することが可能な封止用エポキシ樹脂組成物が提供される。また、上記封止用エポキシ樹脂組成物を用いることによって、反りの発生が抑制された半導体装置、及びそのような半導体装置の製造方法が提供される。

Claims (8)

  1. (A)エポキシ樹脂、
    (B)硬化剤、及び
    (C)無機充填材、
    を含み、常温及び常圧下において固体である封止用エポキシ樹脂組成物であって、
    前記(A)エポキシ樹脂がオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を含み、
    前記(B)硬化剤が、アリル基を有するフェノールノボラック樹脂を含み、
    前記アリル基を有するフェノールノボラック樹脂は、
    下記一般式(i)で示される構造を有し、前記アリル基がオルト位にあり、水酸基当量が140〜200g/eqであり、
    成形温度175℃、成形時間90秒間の条件で成形及び硬化し、175℃で5時間の条件で後硬化したときの硬化物の曲げ弾性率(260℃)が、1.55〜2.46GPaであり、
    前記(C)無機充填材の含有量が75〜85質量%である、モールドアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0006849115

    [式(i)中、nは0以上の整数を示す。]
  2. 前記(B)硬化剤が、下記一般式(X)で示される構造を有するフェノール・アラルキル樹脂を含む、請求項1に記載のモールドアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0006849115

    [式(X)中、Rは、水素原子、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。]
  3. 前記(B)硬化剤の全量に対する前記フェノール・アラルキル樹脂の含有量が30〜70質量%である、請求項2に記載のモールドアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記(A)エポキシ樹脂がビフェニル型エポキシ樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のモールドアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記アリル基を有するフェノールノボラック樹脂の含有量が3〜15質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモールドアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物。
  6. 前記(C)無機充填材の平均粒径は3〜30μmであり、粒度分布は粒径2μm以下の粒子が前記(C)無機充填材全体の5〜40質量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載のモールドアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載のモールドアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止されている素子を備える半導体装置。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載のモールドアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物を用いて素子を封止する工程を有する、半導体装置の製造方法。
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